男「救世主(メシア)学園か……」(38)
学園 2年13組
担任「今日からこのクラスの仲間になる、男くんだ」
男「……」ペコリ
担任「このように物静かな奴だが、みんな仲良くしてやれよー」
生徒達「はーーい!!」
担任「それじゃあ席は……」キョロキョロ
男「……」
担任「……」
男「……」
担任「あそこの……」スッ
生徒達「「!!?」」ビクッ
担任「空いてる席へ……」
女生徒「先生ッ!!!」ガタッ
担任「……」
担任「なんだ女生徒? 騒々しいぞ」
女生徒「あそこの……」
女生徒「窓際の一番後ろの席は……」
担任「ちょっとした手違いでな、新たな机は明日にならんと届かないんだ」
担任「だから、何日も不登校の生徒の机を、今日だけ使わせてやるだけだよ」ニコリ
担任「ん? どこに問題がある?」
女生徒「っ……」ギリッ
担任「男も、構わないだろ?」
男「……」コクリ
キーンコーン カーンコーン
担任「ほらほら、一時間目が始まるぞ!! さっさと準備しろ」
担任「男、転校してしばらくは大変だと思うが……頑張れよ?」ポンッ
男「……」
男「……」コクリ
男「……」
男「……」スタスタ
男生徒「おい、転校生の奴、マジであの席に座るつもりだぞ!?」ヒソヒソ
女生徒「誰か止めないとっ!?」ヒソヒソ
図書委員「……」ペラペラ
図書委員「私が止める」パタン
男「この席か……」スッ
図書委員「待って!!」グイッ
男「……」
図書委員「……」
男「なんだ?」
図書委員「貴方は、その席に座るべきでは無い」
男「……」ジィーッ
図書委員「……」ジィーッ
男「……」ニコリ
図書委員「……」
図書委員「どうなっても、責任は取らない」パッ
男「すまないな」
男「……」
男「さて」ドスン
女生徒「あーっ!! 転校生が黒蝶様の席にぃぃっ!!?」ブルブル
男生徒「万が一、黒蝶様が登校して来たら、転校生が入院生になるぞ!!!」ブルブル
男(黒蝶、か)
男(ここまで畏怖を振り撒くとは、一体どんな……)
ガラガラッ
図書委員「っ!?」クルッ
男「むっ……」
男生徒「ひっ、ひいぃぃぃぃっ!!?」ガタッ
女生徒「く、黒蝶様っ!!?」ガタッ
黒蝶「……」ザッ
黒蝶「なんだオメェら、随分と騒がしいじゃねぇか?」
黒蝶「……」チラッ
男生徒「うぅっ……」ブルブル
黒蝶「……」チラッ
女生徒「はうぅ」ブルブル
黒蝶「……」
黒蝶「チッ……」グッ
ダッ ダッ ダッ
舎弟「黒蝶さん!! 戻って来たんスね!?」ザッ
舎弟「鬼爆の総長とタイマン張ってケガしたって聞いた時は、心臓止まるかと思ったッスよ!!」
黒蝶「ふっ、このオレがケンカで負けるかよ」ニヤリ
黒蝶「鬼爆の縄張りをぶんどって来てやったぜ?」
舎弟「流石は黒蝶さんッス!! さぁさ、カバンは私が持つんで、どうぞお席に……」サッ
舎弟「って」
男「……」
舎弟「何やってんだテメェはっ!!!」ダッ
舎弟「早くそこからどくッス!!」ガシッ
男「……」パシッ
舎弟「なっ!?」
男「……」
舎弟「ぐっ、殴られないとわかんねぇんスかぁっ!!」バッ
黒蝶「止めろ舎弟……」グイッ
舎弟「っ!?」クルッ
舎弟「でも黒蝶さん、コイツ……」
黒蝶「いいから下がってろ。自分の教室に戻んな」
舎弟「……」グッ
舎弟「はい、わかりやした」ペコリ
舎弟「ではまた後で伺います」ダダッ
黒蝶「……」
黒蝶「行ったか……」
黒蝶「で、だ……」
黒蝶「お前は転校生か何かか?」
男「……」コクリ
男「今日、ここへ来た」
黒蝶「そうか」
黒蝶「なら、知らなかったで通るな……」
黒蝶「そこはオレの席なんだ。どいてくれないか?」
男「……」チラッ
男「ああ、知っていた」
黒蝶「っ!?」
男「……」
黒蝶「……」
黒蝶「そうか」
黒蝶「自分でこんな事を言いたくはねぇが」
図書委員「黒蝶……」
黒蝶「オレは黒蝶。『倉田吁牙刃(ブラックアゲハ)爆走愚連隊』の総隊長だ」
黒蝶「三秒待ってやる、そこから退きな!!」
男「……」
黒蝶「ひとーつ」
男「……」
黒蝶「ふたーつ」
男「……」
黒蝶「みっつ!!」
男「……」
黒蝶「てめぇっ……」ギュッ
男「退かせてみろ」
黒蝶「ちっ」ググッ
黒蝶「上等だコラぁ!!」ブォン
図書委員「イケない黒蝶!! 貴方が本気で殴ったら!!」
男「ぐおぉっ!!?」バキィッ
男「うぅっ」ズザァァッ
黒蝶「っ!?」
黒蝶(コイツ、寸止めするつもりだったのに、自分から顔を突き出して拳へ当たりに来た……)
黒蝶「マゾかオメェは?」
男「ぐぅっ……」フラフラ
男「……」
男「成長したな……」ポロポロ
黒蝶「うげっ、なに泣いてんだよキモいな。早くどっか行け」シッシッ
男「ああ……そうしよう」チラッ
図書委員「なに?」
男「いや」
男「今日は帰るよ」タッタッ
「うわー、遅刻したーっ!!」タッタッタッ
男「っ!?」
ドンッ!!
「わきゃっ!?」フラッ
男「くっ」ガシッ
図書子「スポ子!?」ダッ
黒蝶「スポ子っ!!」ダッ
スポ子「あっ……」ジィーッ
男「すまんな」パッ
スポ子「パパ?」
男「……」
スポ子「あはは、変なこと言ってごめん」ペコリ
男「いや、別に構わない」
図書委員「大丈夫?」
スポ子「うんっ」
黒蝶「……」
黒蝶「おい、転校生!!」
男「……」
男「なんだ?」クルッ
黒蝶「オレはオメェが気に入らない」
黒蝶「だから、ブン殴ろうと思うんだが……」グッ
図書委員「っ!?」
スポ子「ちょっ、黒蝶!?」
男「……」
黒蝶「どうかな?」スッ
男「どうぞ……」スッ
男「好きなだけ殴るといい」
黒蝶「……」
黒蝶「ああ、そうか、よっと!!」ダッ
スポ子「ダメだよ黒蝶!!」
図書委員「避けて転校生!!」
黒蝶「フッ!!」ブォン
男「っ……」
黒蝶「……」
男「……」
黒蝶「ちぃっ」ピタァッ
男「……」ニコリ
スポ子「黒蝶が……」
図書委員「すんどめした……」
黒蝶「なんで避けようとしねぇ?」ギリッ
男「お前が無抵抗な者を殴れる外道ならば、避けもしたが……」
男「そうでは無いのだろ?」
黒蝶「……」
黒蝶「お前さ……この学園には合わねぇぞ?」
黒蝶「ここがどんな場所だか、分かって転校して来たんだろ?」
男「ああ、知っている」コクリ
男「60km四方の広大な土地に、300の学棟が建ち並ぶ……」
男「通称、救世主学園」
図書委員「ここは、その代300棟。『青銅(ブロンズ)』と呼ばれる学棟」コクリ
スポ子「300~100棟に通ってるのが青銅。99~2棟が『白銀(シルバー)』」
スポ子「そして……」ゴクリ
黒蝶「1棟が、『黄金(ゴールド)』」
黒蝶「更に上位十二人は、黄金十二子神と呼ばれてる……」
男「……」
黒蝶「青銅は白銀に、白銀は黄金に逆らえない……オメェが転校して来たのは、そんな場所だ」
図書委員「ここでは黄金の命令は絶対。もし反抗すれば命すら取られ兼ねない」
男「知っている」
黒蝶「はぁ? 知っててここに来たのかよ?」
男「……」
男「喋り過ぎた」
男「今日は帰るとしよう」タッ
スポ子「帰る……って、寮に戻るんだよね?」
男「いや。学園を出て、自分が帰るべき場所へ帰る」
図書委員「今日は黄金の生徒が校門で検査を行う日」
図書委員「途中帰宅は絶対に許されない」
男「……」
黒蝶「学園から逃げようとすりゃ、捕まって病院送りにされっぜ?」
男「黄金……」
男「挨拶しておくか」タッ
図書委員「っ!!?」ビクッ
スポ子「転校生!!?」
黒蝶「おい、殺されっぞ!!!」
校門の一つ 阿修羅門前
生徒「ひぃっ、許してくださいデスクラブ様!!!」
死蟹「どんな理由が有ろうと、途中下校は見逃せねぇなぁ」
生徒「母親が倒れてヤバいんですぅ!! すぐに戻って来ますから、せめて一目だけでも!!」ペコリ
死蟹「……」ピタッ
死蟹「母親……か?」
生徒「はいっ!! お願いしますっ、一目!! 一目!!」
死蟹「それが?」
生徒「はっ?」
死蟹「それがどうした?」
生徒「えっ、デスクラブ様?」
死蟹「そんな理由じゃあ、途中下校許可の理由にはならんなぁ」ニヤリ
生徒「そん、な……ぐっ!! ふざけるなっ!!」グッ
死蟹「お前……誰に口を聞いている?」ボソッ
生徒「っ!!?」ゾクッ
死蟹「どうやら」
死蟹「久し振りに」
死蟹「見せしめ……が必要なようだな?」ニヤリ
生徒「あ、あぁ……」ガクガク
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