ウートガルザロキ「あなたの願い、叶えます」 (1000)


・以前総合スレでやった奴

・※『どんなカプが成立するか未定』

・劣化しまくり屋さンシリーズ

・気が向いたら更新



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1383193548


~バゲージシティーよりちょっと離れた街の商店街のようなとこ~



ウート「ハァ…なんとか生き延びたはいいが、気がついたらいつのまにか切り捨てられて無職かよぉぉ…」

ウート「あんっっだけ粉骨砕身『グレムリン』に尽くしてきたってのに!」プンスコ!=3
ウート「ちょっーと不意討ち食らってぶっ倒れて本来の仕事こなせなかっただけでポイかよ!」

ウート「…あーあー、どーっすっかなー…流石に俺も魔術師としてのプライドあるし、バイト暮らしってのもなー?やっぱ特技生かしていきたいわー」

ウート「ん?」

現地の幼女(モブ)「ねーねーこの童話の本ほしーなーってミサカはミサカはあなたに可愛くおねだりしてみたり!」つ『マッチ売りの少女』

現地の少年(モブ)「あァ?要らねェもンねだるンじゃねェよ荷物になるだろォが。それでもいいなら早く買ってこい」つ1000円


ウート「もんのスゲー悪人面なのにやさしーねあの兄ちゃん」

ウート「にしても、なつかしーなー『マッチ売りの少女』。昔術式研究でよく読んだっけ…」

ウート「……っ!」 ピコーン!

ウート「それだっ!」ガタッ

ウート「俺の専門分野の幻覚魔術を使って、客にそいつの願いや欲しいモノを一時手に入れさせてやる商売をやろう!」

ウート「っべー、俺マジ天才だわ!まぢパネェ!んんっパネェ!!」

ウート「あっ、そうだ」タッタッタッ


ウート「Hi!そこのお兄さん!」

現地の少年(モブ)「あァ?なンだよ」

ウート「ありがとう!俺、あんたのお陰でマッチ売りの少女になる事にしたわ!」テギュ

現地の少年(モブ)「…頭沸いてンのかオマエ」




~学園都市、第7学区~


ウート「はい、そんなわけでやって参りました学園都市!イエー!」パチパチパチパチ!

ウート「何で学園都市かって?そんな気分だから!」

ウート「いやいや、本当は色々理由あるよ?でも長くなるから言いまっ↑せーん?」

ウート「てゆーかー、科学sideの総本山のど真ん中でオカルトの商売やるとか、俺マジヤバんじゃね?マジワルいんじゃね?!」

ウート「ッフーウ!」

土御門「……一人で盛り上がってるとこ悪いが、侵入補助、移動販売用改造ワゴン車1台、霊装やら偽装ID等々の手配代金を払ってもらおうか?」

ウート「あ、すんません」つ札束

土御門「毎度。あ、ポイントカード貯まってるな……ほら、ヴェルタースオリジナル一袋だ」つ□

ウート「あっ、もうそんなつっちーに頼みまくってたっけ?ヤリィ!」

土御門「んじゃ、またのご贔屓を…」ヒラヒラ

ウート「おー、また頼むわつっちー!」フリフリ

ウート「っはー、あんだけ無茶ぶりな要求したのに全部完璧に用意するとか…つっちーマジつっちー」

ウート「……さて、営業に必要なモンは揃えたし」





ウート「"叶え屋 ロキ"、開店でーす!」




インデックス「うう…とうまったらひどいんだよ!ごはんもお金も置いてってくれなかったから、私今日一日ごはん抜きなんだよ………」グルルキュー

インデックス「うう…お腹すいたかも…ん?」テクテク

ウート「…やべっ、ナ・メギドの火力マジパネェ」カチカチカチカチ

『あなたの望みを30分だけ叶えます!"叶え屋ロキ"~一回300円~』

※クレープとか売ってるちょっとデカイ移動販売車を思い浮かべよう



インデックス「…おなかいっぱい食べさせてくれるのかな?」テッテッテッ





ウート「っしゃああ!赤箱《レア》キタコレェェ!流石トライブースt、あ、らっしゃーせー」ポイッ ガシャーン

インデックス「今ゲームやってなかった?」

ウート「んーん?やってないよー?真面目に客待ちしてたよ?俺」ニコッ

インデックス「そ、そう」

インデックス「あ、ねぇねぇ、何でも叶えてくれるの?」

ウート「おー、もちロンだよー!30分だけ俺の幻覚魔術であんな夢こんな夢全部頭の中でだけ叶うから!たった300円でサゲぽよ→アゲぽよだ!」ヘラヘラ

インデックス「あなた魔術師なの?……ふーん、"この世のあらゆるものと真面目に取り合わない服装"といい、強力な術式行使の維持のために"魔術的意味合いを持つ不真面目な行動を普段からとる"から推測するに…かなりの腕かも。幻覚系特化型って珍しいね」

ウート「…へぇ?お客さんも魔術師なんだー?」ニコッ

インデックス「ううん。知ってるだけなんだよ?」ニコッ

ウート「ま、それなら話は早い。俺の魔術の腕がわかるなら、どんだけリアルに体感できるかわかんじゃね?」

インデックス「うん。……じゃあ、お願いするんだよ」

ウート「毎度ッ!」

インデックス「うう、でもとうまからの今月のもらったばっかのおこづかい全額はやっぱり痛いかも」つ300円

ウート「」

ウート「……初回サービスで、タダでいいよ」ニコッ

ウート(流石にいたいけな少女のなけなしの300円はとれねーわー…)

インデックス「いいの?ありがとう!」

ウート「それで?何をお望み?」



インデックス「せめて1食だけでもお腹いっぱい食べたいんだよ」




ウート「………」ブワッ

ウート「OKOK!叶えてやる!叶えてやる!」

インデックス「ほ、ほんと!?お腹いっぱいになれるなんて数ヵ月ぶりかも!」ワクワク

ウート(チクショウ!!この子の保護者なにやってんだよ!メシをまともに食わせる事もできない甲斐性なしとか最悪じゃねーか!不憫すぎるわ!)




~とある高校~

上条「ぶぇっくしょい!」

姫神「………ひどい。つば。沢山顔にかかった」ボタボタ

上条「ご、ごめん!」

姫神「…今日。上条くん家に遊びに行かせてくれるなら。許す。」

上条「?あ、ああ…別にいいけど…なんでまた?」

姫神(わたし。頑張る事にした。もう行動を起こさない昨日までの影と幸薄いわたしgood-bye。)メラメラ

上条「姫神ー?」




ウート「…はい、御要望、確かにうけたりゃりゃしたー」

ウート「…準備完了。それじゃ、始めーす」

インデックス「お願いするんだよ!」



ウート「…はい、ではこの携帯の画面に映る豪華絢爛なフランス料理のフルコースの画像をじーっと見つめてください…」スッ

インデックス「じーっ」ジー

ウート「…あなたは今、こんな感じの可愛いよそ行きの服を着て、とうまくんと食事に行きます……」つ可愛い服の写真

インデックス「……」フワーン

ウート「今、あなたは高級車に乗って、高級フランス料理店につきました―――――

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―――――
――――




~特別な日にはご馳走を~




「…インデックス、そろそろつくから起きろよー」

車特有の匂いと、とうまの声で目が覚めた。

寝ぼけ眼を擦りながら、運転席からチラリと見えるとうまの横顔を見やる。

「インデックス、お前が行きたいって言うから上条さんはお酒飲むのも諦めて車出して、初給料で美味しいフランス料理店に行くんですよ?」

お前が寝てちゃ意味ないだろ?と、とうまはケラケラ笑う。

…それはまた、随分優しいんだね。いつもありがとう、とうま。

…なんだろ。とうまがもうお酒も飲めて車も運転できる年って、違和感しか感じないんだよ

「はは。そりゃ上条さんがいつまでもガキっぽいって言いたいのか?」

…ううん。とうまの昔を知ってるから、今そうやって流れるように車を駐車してる姿が感慨深いって話かも。





店内に入るとボーイさんが音も立てずにスーッと現れる。あは、ちょっと恐いかも。

高級ホテルを思わせる内装。きっと、あの並べられた椅子1脚だけでもとうまの安月給じゃ買えないんじゃないかな?ってくらい。

「いらっしゃいませ」

「予約した上条です」

「…畏まりました。こちらへどうぞ」

バトラー服に近い服の店員さんとのテンプレートなやりとり。


こっそりとうまと手を繋いで一緒に予約席へ。




「いいか、インデックス。『コース料理』だ。おかわりはできないからな?流石に上条さんもこれ以上は首吊らなきゃならなくなる」

むぅ、私だってそのくらいわかってるんだよとうま!

純白のテーブルの上はいつでも食事を始められるようにセッティングされていて、食事用ナプキンとナイフとフォークが美しい間隔で置かれている。

最初に来たのはお冷や代わりの二つの冷たいお茶。

流石高級レストランかも。コップも個性的な形をしていて、まるでラッパを縦にしたような造形。

グラスに刺さるストローをくわえて吸い出す。

…おいしっ!なんだろ、お茶としての味はあっさりとしてるのに水の味のクリア感がすごいかも。

あ、別に味が薄いってわけじゃないんだよ。喉を湿らせるための意味が強いお茶って感じかも




お茶もなくなり、談笑も盛り上がってきた一時の頃。

ボーイさんが二人分の料理と、注文しておいたジンジャーエール二つを器用に腕に挟みながら運んできた。


「こちら、前菜のフォワグラとポテトのテリーヌ、サラダ添えとジンジャーエールでございます」

コト。という音と共に、かつての男子寮での同棲生活では天地がひっくり返っても見られなかった料理が置かれた。

白い大皿の中央にフォワグラが三切れ、半切りのポテトが側に寄り添う。アスパラガスやトマト輪切りのピーマンや根菜類なんかが黄色いソースと共に添えられている。

「~~でございます。尚こちらの料理は当レストラン三ツ星シェフ、"味覚の魔術師"ことサンドリヨンが作りました」

…ハッ!ボーイさんが何やら料理の説明をしてくれているみたいだけど、右から左に流しちゃっていたんだよ

料理を見る事に一生懸命になってたかも

うむむ、料理の美麗さだけでここまで夢中にさせるとは…これを作った人は本当にすごいんだよ

…それにしても流石高級料理、視覚的満足感もすごいかも。実に艶やかなんだよ

「とうま、そういえば私ふぉわぐらなんて初めてかも」

「俺もかも。少なくとも記憶無くしてから食ってないからな」

じゃ、お互い初めてなんだね。お揃いだね!

二人で、笑いあう。



…ああ、もう我慢できないかも!いただきまー…

「待った。ちゃんと乾杯しようぜ」

あ、うん。と、とうまが忘れてないか試しただけかも!

「ハイハイ。んじゃ、改めまして…」




「インデックス、誕生日おめでとう」

「ありがとう、とうま」




チン ミ☆とお互いのシャンペングラスを軽く触れさせ、乾杯した。

中身はジンジャーエールだけど、なんとなくお酒飲んでるみたいかも


フォワグラは美味しかった。香りがすっごくよくて、食感もよく弾力が半端ない。素人舌ながらに「いい食材使ってるんだな~」なんて思ったり。

ポテトもまろやか、サラダもシャキシャキでTHE☆新鮮!って感じかも。

食べ終わって、ほう……と一息。本当に美味しい料理だと前菜だけでも中々お腹いっぱいになるらしいけど意外と真理かも

…いやいや、まだまだ私の胃と舌は満足してないけれどね!

ふと気づくと前菜を素早く平らげた私を見ていたとうまがクスクス笑う。

むぅー!いいじゃない!すっごく美味しかったんだもん!

「いや、悪い悪い。美味しそうに食べてるお前が可愛くてさ」

ううー、とうまったらいつの間に意識してそんな口説き文句を言うように。

ちょっと、嬉しいけど



「こちら、松茸入りコンソメロワイヤルでございます」

凹な形の皿に黄色いスープ。

おお、この松茸の豊潤な香り!

ちょっと土くさいのも魅力的な松茸だけど、どんな調理をしたのか、あの土の匂いはない。松茸の純粋な香りとコンソメのまったりとした香りだけ。

一層食欲が掻き立てられるかも!

こう、お皿掴んでがぶ飲みをしたら楽に飲めるんだろうけど流石に、ね?

というかそんなそそうをしようとする気すら起こさせないようにする料理って何気にすごいかも

まさか魔術師!?




「こちら平目の香草パン粉焼き、キャビア添え、ヴェルモットソースでございます」

お魚がまるごとカラッとフライにされ、中央に十字線。キャビアが少量お供して、鮮やかなソースが描く軌跡がまた美しいんだよ

サクサク。ぷちぷち。白身魚とキャビアのコントラストが口の中で踊ってるかも!

平目の薄く、儚い味がキャビアとソースの引き立て役。メインと思いきや黒子役だなんて!

上手な手品を見せてもらったみたいかも。




「こちら、オレンジのグラニテでございます」

所謂、お口直し。ゆで玉子を置く専用食器のようなカップ状の皿にオレンジのシャーベットがちいさくこんもり。

うん、ちょっと酸っぱいかも。オレンジの酸味を微量の氷菓に凝縮するとこんな感じなんだね


おいしっ



「こちら、国産牛ロースのグリエ、マスタードソースでございます」

来たー!!きたきたきた!待ってました!おにくっ!お肉なんだよ!おーにぃーくぅ――!!!

分厚く、重厚なスライスされたお肉が花びらのように並べられ、粒マスタードがちょこん。

たったこれだけのシンプルな見た目。なのに何故だかボリューミーさを感じるんだよ!

あーーむ!もっむもっむ。

おお、この口いっぱいの肉肉しい感じ!堪らないんだよ!香辛料で後付けされた色濃く豊かな味わい!いくらでも食べられるかも!

お肉最高なんだよ!



「こちら、チーズケーキ、紅茶のアイスクリーム添えとグアテマラコーヒーでございます」

デザートと食後のコーヒー。


楕円形の白皿の上には一口サイズのチーズケーキにキャラメル色のアイスクリームがコロンと。

ケーキを口に運ぶと、ミルフィーユ状のチーズやベリー系ソース層が断面から見える。

あむ。

おいひっ♪

甘いものを食べた時の幸福感って不思議だよね


そんな幸福感を温かいコーヒーで流し込む。

コーヒーの苦味がまたデザートの隠れた一味を引き出す。


やっぱり私も女の子なので、甘いものは大好きなんだよ

男の人でも甘いものが好きな人いっぱいいるけど、大体の人は量を求めるのってなんなんだろうね?

私達おにゃのこは割りと小さなモノで満足するのだけど。




そんなこんなで、私達の食事は終わりを迎える。




「インデックス、美味しかったか?」

うん!すっごく美味しかったんだよ!


うん。すっごく、おなかいっぱい―――

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ウート「――just30分。いい夢見れたかよ?」ドヤァ

インデックス「…はうあ!そこはかとなくお腹いっぱいな気がしてるんだよ!」サスリサスリ

ウート「ああ、副次的産物だねそりゃ。強めの幻覚作用から抜けきってないってだけだから、その満腹感はあんまりもたないけどなー」

インデックス「へー」ションボリ

ウート「…あー、よかったらお土産に持っていきな」つ土御門からもらったヴェルタースオリジナル

インデックス「ありがとうなんだよ!!」



インデックス「じゃ、私はこれでおいとまするんだよ」ガタッ

ウート「ん。気を付けて帰ってねー」

インデックス「ねぇ、叶え屋さん!」

ウート「ん?何?」

インデックス「すっごくよかったんだよ!叶え屋さんありがとう!いい腕だね!」ニッコリ

ウート「~~ッ、はは…照れるわー」テレテレ

インデックス「あ、じゃあ私行くね!また来るんだよ叶え屋さん!」フリフリ

ウート「あいあい。ありゃりゃっしたー」フリフリ





ウート「うーし、出だしは好調だな」

ウート「……金取れなかったけど」

ウート「ええい、次だ次!叶え屋さんの次回客にご期待ください!!」


今回投下終了。


美琴(今日は久々にコンビニで立ち読み尽くししよっかな♪)テクテク

美琴(最近のコンビニ、立ち読み禁止が増えたけどさ)テクテク

美琴(色々事情があるのはわかるけど、立ち読みできないジャンプとか、もうジャンプじゃないわよね)テクテク

美琴「ん?」

ウート「クッソ、速攻死んだ!転送直後にファルスアームのバンバン叩いて来るやつ二連続直撃とかどうしろってんだよ!」ガシガシ

『あなたの望みを30分だけ叶えます!"叶え屋ロキ" ×一回300円 ○~料金はお客様がお決めください~』


美琴(う、うさんくさッッッッッ!!)

美琴(というか何よあのバイト、仕事中にゲームとか頭おかしいんじゃないの?!何で店長とか何も言わないのよ!)

ウート「あー、また死んだ…つか50近くまでLevelあげて一撃死って…フォース紙防御すぎんだろ…」カチカチカチカチ※店長

美琴(車の側面が受け付けカウンター、後ろから中に入る感じなのね)チラッ

美琴「…すんごい胡散臭いけど、ちょっと興味あるかな?」




美琴「あの!すみませーん!」

ウート「!? ラッシュアワースリー!」ブンッ

店の奥\ガシャーン/

美琴「…あの、いいんですか?アレ…」

ウート「ん?なんのこっすか?」ニコッ

美琴「…(まぁいいや)あの、どんな願いでも叶うんですか?」

ウート「あーそのあたりはー、お客様次第っつーかー、ケースバイケースっスねーハイ」ヘラヘラ

美琴「へーそーなんですかーじゃあどんなものなら叶えられるんですか?(態度ウザああッッ!!!店長出しなさいよ店長!部下にどんな教育してんのよ!)」イライライラ

ウート「いやちがうんスよ!基本叶うんすけどぉ、例えば『俺(ウート)、または客本人を廃人にしてくれ~』とかみたいな?精神的自殺系とかはウチではマジ勘弁っつーかーってカンジッスハイ」※くどいようですがコイツが店長です

美琴「ふぅん……あの、好きな奴と、その、こう…結ばr…りゅみたいな…」モジ

ウート「! あー!ハイハイ!そーいう系ッスね!そんなんなら全然大丈夫ッスよーマジ余裕ッス」ヘラヘラ

美琴(どうしよう思いっきりぶん殴りたい)イライラ

ウート「じゃーそいつの特徴とか、望みのシチュ、あなたのお名前とか教えてもらっていーっすか?教えてもらった情報分クオリティageageになるんでー」ハリィハリィ

美琴「…名前は上条当麻17才、異能の物ならなんでも消せる能力を持ってて―――」

ウート「ん?上条?」




~上条宅~

上条「まぁなんもないとこだけどゆっくりしてってくれ」ガチャ

姫神「お。お邪魔します…!」ドキドキ

姫神(すごい。私、男の子の部屋に遊びに来てる…!かつての私では決して見られなかった景色。勇気出してよかった…!)ジーン

上条(そういや今日は何故か御坂に逢わなかったな?大体いつもなんやかんやで現れて絡んできたりするんだけど…なんでだろ?)

上条「で、珍しく姫神からの遊びの誘いだけど、どうしたんだ?急に」

姫神(さすがに然程仲がいいわけじゃない現段階で。『本気であなたを私だけのものにしたいから』キリッとか。言えない。)キリッ

上条「なぁ、なんか困った事とかあったのか…?」ソッ…ギュ

姫神「ふぇ?!(手を握られた?!)え。あ。あの……///」フイッ

上条「よかったら話してくれよ。お前の力になりたいんだ」テヲギュウー。

姫神(結婚しよ。)

上条「姫神?」





ウート(…すんごい知ってる奴だったわ…俺が首になった原因の幻想殺しのことかよ…あのインデックスちゃんといい、上条くん人気だねー?)

ウート(つかこの子いつまで語ってんの)ゲッソリ

美琴「んのなの!そんで、お風呂あがりはツンツン髪からへたっ…っててなってて、口癖は『不幸だー!』で、それからそれから」ペラペラ

ウート「あ、もうそんくらいで」




ウート「じゃ、みこっちゃんの願いは、『幻想殺しといちゃいちゃラブラブちゅっちゅがしたいのっ!』っと……」メモメモ

美琴「ちょちょ、やめっ、やめてくださいよ!!その言い回し!!」

ウート「えー?間違ってないだろ?べっつにさー」ヘラヘラ

美琴「ま、間違って……なぃですケドお…////」







ウート「…はい、御要望うけたーした!」

ウート「はぃじゃー、はじゃーあす!」

美琴(何で若いバイトって、ちゃんと発音しないのかしら)



ウート「……はい、では、お客さんが学生手帳に挟んでたこの二人でとった写真(機種変の時のアレ)をじーっと見つめてください…―――」

美琴「………」シンケン

ウート「…あなたは数年前から上条当麻と恋人です。いつもの彼の姿を思い浮かべてください…」つ写真の上条さんの部分だけ

美琴「………」ニヘラ

ウート「これから始まるのは、そんな幸せな毎日のとある1ページのお話です……―――――――――

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――――――
―――――



~一生、一緒に居てください~



※少女漫画画風、美化30%増しで脳内再生するといいんだよ!


朝、いつものように雀の鳴き声であたしは目を覚ました。

美琴「…う~ん…」

まだ布団から出る気にはなれないほど、朝特有の肌寒さが私を布団に監禁する。

でも起きなきゃね。

大きく伸びをして、チラリと隣で深く眠る男を横目で見やる。

上条当麻、私のヒーロー。

そんで…私の彼氏

こいつのトレードマークのツンツン頭はワックスがつけられてないため、今は普通のショートヘアーになっている。

最近は私のアドバイスもあってか、無闇矢鱈と立たせる髪型からショートウルフ系の髪型に。

その、昔からかっこよかったけど、最近は更に…

お揃いのゲコ太パジャマ(フード付き)も相俟って愛しさがこみ上げてくる。

……にしても、当麻の寝顔ってどうしてこんなに無防備なの?私に襲われたいわけ?まったくしょうがn



~以下15レス相当のみこっちゃん葛藤ショーのため省略~



美琴「さてっと」

当麻が寝てる内に朝食を用意するのが私の役割。

同棲して最初の頃は当麻に作ってもらってた事もあったけど、当麻が大学通い出してからは私が作るようになった。

だって、「朝早く起きなくていいからさー」なんて言ってろくに食べないのよ?私がちゃんと食べさせるしかないじゃない?

ま、イヤじゃないけどさ。

今日の献立は味噌汁とー、焼き鮭、ごはんとオレンジジュース、納豆かな?

当麻ってこの献立が好きみたいで、結構な頻度でこのメニューをリクエストしてくる。

たぶん、私が初めて当麻に料理を作った時のメニューだから。


…あ、ダメだ。顔ニヤケて止まらないわ。いや誰に見られるわけでもないのだけど

~更に延々と長いので省略~

よし、味噌汁かんりょー。

後は…

上条「お、は、よ!」ガバッ

美琴「きゃ?!」

…ちょろっとー、料理してる時に後ろから目隠しとかやめてよねー?危ないじゃない

上条「俺も朝メシの仕度手伝うよ。美琴ばっかに作らすのも悪いしな」ナデナデ

あう、私はコイツの頭撫で攻撃にはどうも弱いようだ。

あー、もうダメだ。もうダメ。私もう暫く撫でられてる。

しあわせすぎてしにそ。




~以下引き続き48レス相当のみこっちゃん妄想ショーが続くため省略~



そう、しあわせだけが長くわけがない。この世を統治する神様は美しさと、


―――残酷さも持ち合わせているのだから。


ねぇ、嘘でしょ?当麻

返事してよ

なんで、頭から血

なんで当麻がはねられ、

起きてよ

とうま



冥土「…結論から言おう。彼は二度と歩けない可能性がある」

神妙な面持ちで、医者は語る。

冥土「彼が交通事故で脳の――」


医者の、当麻の脳に起きた事象の解説

何よ、それ。

当麻が、何かしたわけ?

なんで当麻があんな目にばっか逢わなきゃいけないのよ

例え当麻が自分で選択して、その結果が順当なのだとしても。

私はちっとも納得できなかった。




あの事故から3日後。当麻の意識は、まだ戻らない。



~上条の目覚め、事後処理、上条が自身についての現状を把握。省略~


当麻、ほら、一緒にリハビリ頑張ろ?私、いくらだって付き合うからさ!

リアルゲコ太も「確率はかなり低いが、血を吐くほどのキツいタイプのリハビリを続けていけば、なんとかなる可能性はあるんだね?」って言ってたじゃない?

……ねぇ。

上条(23)「…うるせぇよッッッ!もう、なんもしたくないんだよッ!人助けして、自分ばっかり傷ついて!もうイヤなんだよ!」

上条当麻《ヒーロー》の本音。

いや、多分普段の当麻なら口が裂けても言わない、思わない事。

つまりは、上条当麻《ヒーロー》がそこまで追い詰められて、死ぬ事が怖くなったという、こと…

上条「…こんな事なら、助けるんじゃなかった」

あの上条当麻から、私のヒーローから、決して出ないはずの、出て欲しくない言葉が、彼の口から漏れた。



私はただ当麻の傍らにいることしかできなかった。



~一念発起→リハビリ→そして。省略~




上条(25)「…美琴、俺リハビリ始めてよかった。お前があの時発破かけて、俺を再び立ち上がらせようとしてくれなかったら……」

上条「俺、どうなってたかわからない」

何よ、今更。当たり前じゃない!ほ、ほら!私あんたの彼女だし!

上条「…ありがとう」

上条「なぁ、それ…なんだけどさ、」

なぁに?

上条「俺、お前とのその関係を変えたいんだ」

え?

……それ、別れたいって……こと?




上条「違う。……これ…」

……指、輪?

上条「…俺には、もう美琴しか見えないんだ」

上条「ずっと、あの日初めて美琴と出会ってから、今日までずっと。」

上条「怪我をしてから、俺を支えてくれたのはお前だった。支えたいと思ったのも、お前だった」

上条「ずっと、一緒にいたいんだ」

上条「だから!」



上条「美琴。俺の彼女から妻になってくれないか?!」



……!


はいっ!



~物影、A地点とB地点の防犯カメラ同時Live映像~

エツァリ『えんだぁああああああああああああ』

海原『嫌ァアアアアアアアア!!!!』



エツァリ『……なーんて。よかったですね、御坂さん。自分は、あなたが幸せならば…それで満足ですから』

エツァリ『…ええ、本当に……っぐ』



海原『そんな…この前自分の事、「私、あんたのことそんなに言うほど嫌いじゃない」ってツンデレてくれたじゃないですか…!』



~二人はマリッジブルーだったりなんだったり。そして結婚式へ。省略~


カラーン…

カラーン…

祝福の鐘が鳴る。

パパ、泣いてたわ。

ママは微笑んでた。

ふふ、黒子は違う意味で泣いてたけどね

ヴァージンロードを当麻と二人で歩く。

夢みたい…!

パチパチパチパチパチパチ……と拍手と、祝福の言葉、ライスシャワーが私達にかけられる。



インデックス「とうま、みこと!おめでとうなんだよ!お幸せにね!」

ステイル「おめでとう」

土御門「カミやんおめでとうだぜい!」

青ピ「おめでとー!でも爆発しいやカミやん!」

婚后「おめでとうございます!」

泡浮「おめでとうございますー!」

湾内「おめでとうございまーす!」

小萌「おめでとうなのですよ上条ちゃん!」

黒子「おめでとうございます、お姉様!」

浜面「おめでとう!大将!」

黒夜「おめでとさン」

打ち止め「お姉様おめでとう!ってミサカはミサカはライスシャワーと祝福の言葉を投げかけてみたり!」

一方「………」

番外「おめでとー!別れないように気を付けてね☆おねーたま☆」

黄泉川「おめでとうじゃん!」

トール「みこっちゃんおめでとっ!」

スフィンクス「にゃにゃ、にゃあーんにゃー」



エツァリ「…おめでとうございます」

海原「…………おめでとうござい、ます」

雲川(芹亜)「一先ずは、おめでとうなのだけど」

神裂「…おめでとうございます」

五和「…………おめで、どうっ…ございMAす……ッッ!うぐぐ…!ぐぬぬぬ………!ッッ!」

御坂妹「……おめでとうございますお姉様、とミサカは内心羨ましさと悔しさでちくしょうお姉様ちくしょう」

食蜂「…おめでとぉ☆」

バードウェイ「おめで、とう…」

姫神「……おめでとう。」



吹寄「おめでとう!」

佐天初春「「おめでとうございまーす!御坂さん!」」

ウート「おめでとー、みこっちゃん!」パチパチ

旅掛「うぉおお……うあああ…ぐすっえぐっ…うああ…おうおう……」

美鈴「美琴ちゃん!おめでと!」

刀夜「おめでとう、当麻」

椎菜「おめでとう、当麻さん」




上条「なぁ、みこと」

なあに?当麻。



上条「俺今、すっげー幸福だ」

…私も!


私は青空へブーケを舞わせた。



~その後20代~80代までの出産、育児、冒険、孫、曾孫エピソード等々、いい加減にしやがれというくらい長いので省略~


ねぇ、当麻。

上条(80)「ん?」

子供達は皆無事成人したし、離れていっちゃったのは寂しいんだけどさ

上条「ああ」

その、あんたとまた二人っきりじゃない?

上条「まぁ、な」

…ねぇ、いつだか約束したさ、一段落したら船で世界一周の旅しようってやつ。やってみない?

上条「そーだな…いいな、それ。よし、いくか!」


それからも私達はずっと、死ぬまで一緒にしあわせに……―――――――――――

―――――――――――

―――――――

――――


ウート「ぜぇ、ぜぇ……い、いい夢見れた?つか見れなかったとかはマジ勘弁してくっさい…」グッタリ

ウート(臨界点突破しながらも見事やりきった自分をマジ褒めたい。よーし今日自分への御褒美にたっけぇアイス買お。ウートガルザロキくんよく頑張りましたッッ!)

美琴「…」プルプル

美琴「超、最高……!」キラキラ

ウート「そりゃーよかった。あー、あのさ、3時間かかったんだし、いっぱいくれると、それはとっても嬉しいなって」

美琴「……」ゴソゴソ

美琴「今の手持ち全額の20万分のマネーカードです!私の気持ちなんでっ!」ドササ

ウート「」

美琴「あー、もー!すっごい幸せ!」

美琴「また、定期的にきますんで!それじゃ!」

美琴「♪」タタタタ…


ウート「あ、ありゃしたー…」ヒラヒラ


ウート「くっ、ちゅうにだからと恋するおにゃのこを舐めてた……」ガクッ




ウート「…………」

ウート(……なぁ、みこっちゃん。俺が言うのもなんだけどさ?)





ウート(でもそれ、結局偽物なんだぜ?)


今回分終了。みこっちゃん書こうとしたら終わらない事に気づいた故のダイジェスト。

ひょっとしたら将来的に若干ほのぼのしなくなる可能性、浮上。

尚次回客は一方さんではない



~店(車の外)~

ウート「っし、マネカ現金化っと」

ウート「……にしても最近のJCって20万も持ち歩いてんのかよ…スゲェな」

ウート「あー!マージーつーかーれーたー!流石にあんなクソなげーのはもう絶対やんねぇー!」バタバタ

ウート「つーかよー、まだ二人目なのにハードすぎじゃね?俺は短時間幻覚専門なのに肉体労働級のしんどさとかマジ勘弁してほしーわ」グッタリ

ウート「…………」

ウート「幻覚専門の!!スマートなこの俺にっ!!こんなっ!!肉体労働をっ!!させてんじゃねえーよっっっ!!!!!!」クワッ



フレメア「?!」ビクッ←たまたま通りすがったフレメアちゃん


ウート「ってか?こんだけ疲れると、いつだかのバゲシティでの木原との泥試合を思いだS」フゥ

フレメア「………っぐすっ…」ウルウル

ウート「」

フレメア「うう、う、ぐすっ…」ジワァ

ウート「あー!ごめんごめん!違うの!今の君に言ったんじゃないから!ごめん!まぢゴメン!」アワワ

フレメア「大体、私、何もっ…ぐすっ…してなっ、にゃあ…」エグッエグッ

ウート「そぉぉーだよねェェー!?君全然悪くないよ!?俺が悪い!こいつめこいつめ!」ガンガン!←自分殴ってる



フレメア「ふぇえ…」ウルウル

ウート(いや幻術使えば即解決なんだろうけどなー……やっぱそれは、な?)

ウート「よ、よし!わかった、涙を飲んで、俺の今日のおやつのヴェルタースオリジナルあげよう!だから泣かないで!お願い!」つ□

フレメア「すぅ――……うわぁあああああああああああああァァアアアあああAAAAaんんんんNんンンン!・゜・(´Д`)・゜・」ビエェェ!!

ウート(これでもかってくらい力一杯泣いたぁ――――!!?Σ( ̄口 ̄lll))ガーン


ウート「と、とりあえず店(車)の中に…」

フレメア「うぇええええ!!」






ウート「…落ち着いた?」

フレメア「大体、むぐむぐ…しょーがないから…こくこく…許してあげる。私大人だし!お姉さんだし!にゃあ」グスッ

ウート「あー、うんありがとう…カルピス(自販機で買った)とヴェルタースオリジナル、美味しい?」

フレメア「にゃあ、わりと」マクマクマクマク

ウート("わりと"の割にはめっちゃ食べてるね?)クス

フレメア「そーいえば。大体、おにーさんは何してる人?」

ウート「んー、何だと思う?当ててみてよ」

フレメア「んー、わかんない!」

ウート「答えはね、」

フレメア「うん」




ウート「"何でも願いを叶えられる魔法使い"…かなっ?」ドヤっ!キュピンミ☆




フレメア「………」マクマク

ウート「………」キラキラキラキラ…

フレメア「…おにーさん」マクマク

ウート「なぁに?」ドヤっ?

フレメア「大体、自分でも言ってて恥ずかしくないの?にゃあ」←蔑みの眼

ウート「……うん、今……恥ずかしくなった…」ズーン



ウート「ところで、おわびと言っちゃなんだけどさ」

フレメア「?」マクマク

ウート「今何か欲しいものとか、こんな風だったらよかったのにな~って思う事とかない?もしよかったら」

フレメア「大体、ない」

ウート「あ、そっすか…」シュン

フレメア「……あ、やっぱある」

ウート「ん?なになに?」




フレメア「大体、殺されちゃったおねーちゃんと、ずーっと会ってない駒場のお兄ちゃんに会いたいにゃあ」




ウート(…おっおーぅ、中々にへっぶぃ…)

ウート(なんとなーく、察っせるけど、これ多分"駒場のお兄ちゃん"の方も亡くなってるパターンだよなぁ…)

ウート(非合法な組織に所属してれば、そこそこ色んな死に関わってこれば。大体そういう空気は察っせちまうもんだ)

ウート(あー、ダメだわこれ。俺こーいうのに弱いんだわ。どーーーっしても、見捨てらんねぇ)



ウート「……おーけ。いいよ、逢わせてあげる」

フレメア「ほ、本当の本当に?!」ガタッ

ウート「ああ、本気と書いて"マジ"だ」ニコッ
フレメア「でも、大体お姉ちゃん死んじゃってるよ?」

ウート「だぁーいじょーぶだぁーいじょーぶ!兄弟でも姉妹でも、兄貴や姉貴は例え死んだって弟や妹の我儘を聞いてやるもんだからさ!」

フレメア「」スゲェ

ウート「じゃ、そのお姉ちゃんとお兄ちゃんって人の事教えてくれっかい?」ニコッ




フレメア「~~でね、~~なの。~~で、それでね」

ウート(…ああ、そりゃあ勿論嘘八百だ。本当に生き返らせる訳じゃない。俺は幻術師。
    嘘を創る事しかできない使えねー男だからね?死者蘇生や『死者の軍勢《エインヘルヤル》』なんてできないっつーの)

フレメア「大体、おねーちゃんは~~」

ウート(この子に笑顔で嘘をつき続けるのは辛いけど、俺にしてあげられるのはこれだけだしな)

ウート「うん、うん。それで?」


ウート(この子の話によれば、この子はロクにさよならも言えずにお別れだったらしい。しかもそいつらは恐らく凄惨な最後。)

ウート(…多分、この子の周りの奴はリアリストなんだろうさ。この子は『姉貴が殺された』って知ってるんだから)

ウート(でも、俺はこんな年端もいかねー子に姉貴や慕ってた兄貴が無念や失意の内に死んだ、そんなバッドエンドを背負って生きて欲しくねーの。)

ウート(だってよ、そんなのあんまりにもあんまりじゃねぇか)

ウート(だから、もう一度会わせる)

ウート(この子がいつか気づく時までは、この嘘をつき通す)

ウート(これは叶え屋としても、魔術師としてのプライドでもねぇ。優しさでもなんでもねぇ。俺個人のエゴだ)




ウート(故に。)




ウート(この神をも騙す巨人《ウートガルザロキ》は全力で嘘をつこう)




フレメア「そんでなー、大体なー、あのなー?」

ウート「…あー!そろそろ二人とも来るわー!(棒)」

フレメア「え?!大体、お姉ちゃんも?!にゃあ?!」

ウート「おぉ!何か来そう!あーもう来るわこれ来るわ!マジ来ちゃう系だわー!」

フレメア「どっから?!大体どっから来んの?!にゃあ!」ワクワク



ウート「はい、じゃあこのベレー帽とブレザー、ゆるふわ金髪の写真、ゴリラの写真をじーっと見てください……」つ

フレメア「にゃあ!」ジー

ウート「今、この店の入り口、つまりは後ろのドアの向こうに、二人の人間が立っています……」

フレメア「にゃあ……?」ムニャ

ウート「……どうやら、貴女には見覚えがある人のようです………――――――――――――

―――――――――――
―――――――――

――――――――――――――




~せめて、最後にもう一度~



ウート「……………」

フレメア「…………」

ウート「…………」

フレメア「…………」

ウートフレメア「「………………………」」


フレメア「…こないじゃん」ガックリ

ウート「いやいや、見てみ。」チョイチョイ

フレメア「!」クルッ

?「…」トントン

フレメア「!……?!……!」ワタワタ

ウート「はは、いーよドア開けて」

フレメア「……お姉、ちゃん?駒場のお兄ちゃん?」ガチャ…



フレンダ「久しぶりっ!フレメア元気にしてた?!」ダキッ

フレメア「にゃあ?!」

駒場「………元気そうだな、舶来」ノソッ…

フレメア「駒場のお兄ちゃん!?」


フレメア「う…よかった……大体、生きてたんだね!二人とも死んじゃってなんかいなかったんだ!麦野が嘘ついてただけなんだ!にゃあにゃあ!」グスッ


フレメア「よがっだ!よがっだよぉおお!!うわぁああん!!」ギュゥウウ

フレンダ「……」ヨシヨシ


フレンダ「麦野ったら結局、酷い訳よ!」プンプン

フレメア「よかった…」グスッ

駒場「………………だが、俺達は少しだけ戻ってきただけだ…またすぐ行かなくてはならない…」

フレメア「大体、私を置いてどこへ行くの?にゃあ」

フレンダ「んん、すっごい遠いとこをすっごい早さで駆け回らなきゃいけない感じ、かな?」ナデナデ

フレメア「……」

フレンダ「結局、そういう意味では死んだってのと変わらないかもね」

フレンダ「その人が永久に居なくなったわけじゃなくて、ちょっと今自分にはその人の姿が見えなくなってるってだけ」

フレンダ「結局、フレメアが私の事を忘れなければ、私はいつだってフレメアの側にいるってわけよ」ナデナデ

フレメア「…目には、見えないだけで?」

駒場「…………そうだ。本当に大事なモノは、目には見えないものだ…」

駒場「………俺達はこれからお前に何かしてやる事はできない。だが、何時でも側にいる。見守っている…」

フレメア「駒場のお兄ちゃん…」





駒場「…………舶来、俺達から離れてからも元気にやってるのか…?」

フレメア「!う、うん…」

フレンダ「結局、毎日楽しくしてる?友達できた?」

フレメア「うん、大体はまづら団もいるし、学校でも友達いっぱいできた…にゃあ」

フレンダ「よかった…」ホッ

駒場「………ああ……」ホッ

フレンダ「さて、」

駒場「……ああ、そろそろ俺達は行く」

フレメア「大体、もう行っちゃうの?にゃあ」

駒場「……ああ」

フレメア「次は大体いつ帰ってくるの?にゃあ?」

フレンダ「結局、それはちょっとまだわかんないわけよ」タハハ

駒場「……舶来がもう少し大きくなった頃ぐらいだ」

フレメア「……うん、わかった!私、大体待ってるから!にゃあ!」フリフリ



フレンダ「ん!結局、またいつか会えるから!元気にしてるんだぞっ!我妹よ!」ガチャ

駒場「……いい女になれよ。浜面達をよろしくな…」フリフリ


フレメア「うん!大体、私に任せとけ!にゃあ!」フリフリ――――――――――――――

――――――――――――
――――――――――
―――――――――


―――――――――――――――――



ウート「……な?会えたろ?」ニコッ

フレメア「にゃあ!」コクン!

フレメア「おにーさん、大体ありがとう!にゃあ!」

ウート「……どういたしまして」


フレメア「…あ!大体もうこんな時間にゃあ!」←マジックで腕に書いた時計見てる

ウート「ブフッ?!」

フレメア「私帰るね」

ウート「あ、よかったら送ろうか?丁度この店車だし」

フレメア「いやいや!大体、送り狼になられたりこのままどっかに連れ去られたら困るからにゃあ?流石私、頭脳明晰」フンス

ウート(いやいや!だったら最初から車に乗っちゃダメだろ!俺が悪い人だったら連れ去られちゃってたよ!)アッブネェェェ!!

ウート「…そっか、じゃあ気を付けてねー?あと、さっきはごめんな?」ガチャ

フレメア「大体、いいよ!にゃあ!」




フレメア「…で、大体ここどこの学区だっけ?私第13学区に住んでるんだけどウロウロしてたらよくわかんなくなっ」

ウート「よーし!車で送ってくわ強制でな!」バタン



~第13学区~


ウート「はーい、つっきまーしたーよーっと」

フレメア「おお、愛しの我が家」

ウート「今度からあんま遠出しないようにねー」ガチャ

フレメア「魔法使いのおにーさん」

ウート「ん?」

フレメア「私あんまりお金持ってないけど、」

フレメア「大体、また遊びにきてもいい?」

ウート「…ふふ、いいよ?いつでもきな」ナデナデ

フレメア「その時は迎えに来てね!」フリフリ

ウート「あー…うん、その方がいいっぽいよね」ウン

フレメア「じゃあ大体これ私の携帯の番号。にゃあ」つ

ウート「お?こ(↓)ーれ(→)ーはー(↑)?!お人形さん系元気タイプなカワイー女の子のアドゲットしちゃった的な!?ありがとね!」ハハ

フレメア「うぜっ…」←蔑みの眼

ウート「」ゴフッ




フレメア「ばいばーい」フリフリ

ウート「じゃねー」フリフリ



~再び第7学区~


ウート「……」メルメル

ウート「よし、あの子に『今日はごめんね、またよろしくねーメール』送っといた」

ウート「さて、もうすぐ夕方だし、今日は次誰かきたらお仕舞いにしとこ」



ウート(…………)



ウート(あんだけ頭ん中で啖呵を切って、やっておいてから言うのもなんだけどさ、)

ウート(ひょっとして。あんなに沢山のモノを救って、ハッピーエンドにしてきた幻想殺しなら、俺みたいに痛みを先伸ばしにしたりするような救い方はしなかったんじゃねぇかな)




ウート(やっぱり、あの子でさえ。俺には幻想殺し《ヒーロー》みてーには救えないらしい。)


投下終了


~ちょっと前の上条宅~

上条「じゃ、本当に何にもないんだな?」

姫神「うん。心配してくれて。ありがとう。」

上条「そっか、それならいいんだ」ホッ

上条「……………」

姫神「……………」

上条姫神((これからどないすればええねん…。))

上条「な、なぁ!」

姫神「!?な、何?」

上条「ウチには何にも遊ぶもんとかないし、ゲーセンでも行こうぜ!」

姫神「うん。行く!」

姫神(よかった、上条くんがじぇんとる精神溢れるナイスガイで。あの沈黙は私には辛すぎた。)ホッ

上条「じゃ行くか!」ソッ

姫神(?!またナチュラルに手を握ってきただと……?!これは。本当に。"脈アリ"……?!)ドキドキ



~ここはつまり、ゲーセンなのだよ~


上条「さて、何からヤる?」

姫神「じゃあ私。ちょっとやりたいものが」ハイ

姫神(ここで私も遊び慣れている事を。『姫神さん超遊べる人』アピールをする。上条くんが今後も私をゲーセンに誘いやすくなるように!)

姫神(大丈夫。私は今までの出番なかった間。ずーっと一人でゲーセンに通いづめだった!その実力はそこらの人には負けない自信がある。)メラメラ


~ju○eat~

姫神「上条くんもやろう?」つカード挿入

上条「へー、16マスのパネルのうち、光る所に合わせて押す音ゲーか…これはやった事なかったな」

姫神「そう?じゃあ先ずは。私がお手本を見せる」スッ

姫神「曲は。Whiteberryの夏祭りで」

機械「きーみーがーいたなーつーはー♪」

姫神「ふっ」シュパパパパパ

上条「」

上条(す、スゲェ!光るパネルに合わせて押す物の筈なのに、まるで姫神の華麗な手の動きに合わせてパネルが光ってるみたいだ!!)

姫神「…フィニッシュ」シュパーン!

一位HIME☆さん←姫神の登録ネーム 二位HANABATAKEさん 三位みこっちゃんさん


上条(ダニィ?!同時プレイヤー60人中暫定ランキング1位だと?!)

姫神「今日はトップランカー常連のYOSIKAWAさんが来ていないから簡単に1位とれた」フィー

上条(いつもトップ争いしてんの!?)

姫神「どう?上条くん。できそう?」クルッ

上条「えっ?!い、いや、上条さんには難しそうだから他やらないか?!」アセアセ

姫神「そう?じゃあ。あっちのダン○ボ。一緒にやろう?」クイクイ

上条「あ、ああ…」



~ダ○レボ~

姫神「…」つカード挿入

姫神「あ。体暖めるために一回だけソロでやらせてほしい」

上条「ガチでやる気!?」

SINGLE
VERSUS
DOUBLE←(いっちゃん難しいの)

姫神「曲。ランダムで」

上条(これも玄人?!)

機械「タータッター…♪タータッター…♪」

姫神機械「「ペガぁサスー♪遠い宙ー…♪グロォリアー♪届くっよにー♪」」ズッダ!ンダンズダズダダダ

MARVELOUS!!!

MARVELOUS!!!

上条(振り付け付き、歌いながらパーフェクト?!)

上条(でも歌いながらプレイとか、いいのか?店員さんとかに怒られたりとか…)チラッ

店員「!?ウチのゲーセンにあのHIME☆さんが来ただと?!やっふぅ!」ガタッ

上条(あ、大丈夫だ店員さん黙認姿勢なファンだった)

ギャラリー「おいマジかよ…音ゲー、レースゲー、景品落とし系etcのランキング上位総ナメの生HIME☆さんだ…!」つ写メ

上条(姫神、普段あんまり会わないと思ったら…お前、ゲーセン界の神になってたんだな…)

姫神機械「「寂しぃさはっ♪背中(せな)のぉ羽に乗っせた♪あンわだつ雲のreflux♪じょっぉしょお気流のblowhole♪」」フリ♪フリ♪クイックイッ♪

上条(今まで、どんだけ…暇だったんだよ…)ホロリ

姫神「今をー…♪ッ飛ぶよー♪」ズダダン♪

上条(まぁあんなに輝いてる姫神見んの初めてだし、よかった…のか?)


~その後二人対戦~

姫神「…ふぅ。」ズダン♪

MARVELOUS FULL COMBO!!!

上条「すげーな姫神!あっさり負けちまったよ!」←パネル踏んだつもりだったけど踏めてなくて速攻終わった人

姫神「ありがとう///」エヘヘ

姫神「じゃあ次は。UFOキャッチャーを」

上条「おっ、俺もこれなら結構自信あるZ」

姫神「…」スタスタ

上条「え?何で素通り…」

姫神「……この台。この台ならアームの力が強い方。景品の角度。ずり下がり具合。よし。一番いい獲物のあの大きなぬいぐるみなら引っ掻け→落としならワンコインで行ける」チャリン

上条「」

姫神「?上条くん何か言った?」

上条「あっ何でもないです」フルフル

姫神「上条くん。もし何か欲しいのあったら言って。この台のなら。どれも二回かければとれる」キリッ

上条(姫神さん頼りになりすぎぃ!)



―――――――

――――――



姫神「色々やったけど。次で最後に」

上条「ああ、何やるんだ?」

姫神「定番の。ぷりくら。」




~第7学区~

一方(…ッチ、黄泉川の野郎、なァにが『掃除手伝わないならせめて家から出てて欲しいじゃン!』プンスコ!=3 だ)カツッカツッ

一方(仕方ねェ、スタバで時間潰すか)カツッカツッ


一方「…あン?」カツッ


ウート「あーくっそ、ヴィータの修理補償入っとくんだったな…つっちー何とかしてくんねーかな…」ブツブツ


『あなたの望みを30分だけ叶えます!"叶え屋ロキ" ×一回300円 ○~料金はお客様がお決めください。延長:大体2時間くらいまで~』


一方(…くっだらねェ)カツッカツッ

一方(そんなホイホイ願いが叶うかよ)カツッカツッ

一方(興味ねェよ)ウロウロ

一方(どうせアレだろ?麻薬的なアレでアレとかなンだろ?)ソワソワ

一方(はっ、そォだ、どうせ暇だったンだ。そォ、これはただの暇潰しだ。おら、俺の望み、叶えられるもンなら叶えてみやがれェ!)ダッ



ウート「っしゃーせー何をお望みっすかー」

一方「おい、どンな願いでも叶うのか?」

ウート「基本何でも叶っすよ」ヘラヘラ

一方「そりゃ、例えば『俺を神にしてくれ』だとか、『死んだ○○を蘇生してくれ』みてェな願いでも叶えられンのかよ」

ウート「いやー、それらの願いも叶えられるっちゃー叶えられっすけどね。
    結局、幻覚によるリアル体験なんでー、現実には何も作用しねェってだけっすねハイ」ウン

ウート「あくまであなたの頭の中だけで30分~1時間だけまるで現実に体験してるような気分になれっすハイ」

一方「………」



~店内~

一方(チッ、財布の中万札しかねェ)ゴソゴソ

ウート「どーしやっす?」

一方「できるだけ長く頼む」つ1万円

ウート「あっざーす!あ、これサービスの新発売缶コーヒー(自販機で買った)とヴェルタースオリジナルすー」コト

一方「……」ズズー




一方「……このまろm ウート「それ以上はいけない」フルフル



ウート「…じゃ、改めまして。どんな感じの望みか教えてもらえっす?」

一方「あァ、じゃあ……」




一方「もしかしたら、手にしていたのかも知れねェ日常を」




~プリクラ内部~

上条「結構狭いな」

姫神「そう?」チャリン

機械「どのフレームがいいか決めてね!」

上条「どれにする?」

姫神「じゃあこのディズ○ーのを」

機械「もうすぐ撮るよ!」

姫神「…ほら。もっと寄らなきゃ」クイクイ

上条「おい、そんな近づいたら、密着して…」

姫神「……ドキドキ…しちゃうとか?」ギュ

上条「っ、ひめが」

姫神「秋沙。でいいよ?当麻くん。」ニコッ

上条「~~っ////」

機械「ハイっポーズ!」パシャ



上条「じゃ、その、出るか…『秋沙』///」
姫神「待って。」

上条「?」

姫神「…もう少しだけ。このままでいたい」キュ

上条「お、おう…///」


姫神(はっ!今。こんなに密着して。いい雰囲気。お互い下の名前呼びにも成功した。)

姫神(……軽く。ちゅうくらいなら。いけるかもしれない。)



姫神「当麻くん…」スッ…


上条「えっ?」

姫神「んっ…」




美琴「あれ?当麻?」バサッ

上条「あれ、御坂?」クルッ



姫神「」




姫神(え゙?!え゙ぇ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙?!何でェェェェ?!)

上条「どうしたんだ御坂、こんなとこで?」

美琴「超電磁砲の弾集めにね。そしたらあんたが入ってくの見かけたからさ」

姫神(おい。おいそこの常盤台生。何故!何故もう少し待ってくれなかったの!?せめてあと2秒くらいあれば…)ズーン

姫神「?!」

美琴「……」ニヤリ

姫神(まさか!わ、わざと?!この子。中の状況を知ってて邪魔をしたの?!)ワナワナ

美琴(悪いわね、姫神さんとやら。叶え屋さん行った後にこいつをGPSで見つけ出した後、ずーっと尾行してたのよ!少しでも変な事をしそうになったら止めるためにね!)フハハハ

美琴(電撃使いを舐めるんじゃないわよ!多少の遮蔽物があったって、生体電気の流れやら何やらで中でナニしてるかくらいはわかんのよ!)ハーッハッハッハッ

姫神(こ。コイツ…っ!)ワナワナ

上条「あー、折角だし3人で飯でも行くか?御坂の門限まで」スック

姫神「?!」バッ

美琴「いーわねー!それ!『当麻』ってば、やっさしぃ!」ダキッ

姫神「?!」

上条「おいおい、くっつくんじゃねーよ。上条さんはいつだって優しいですのことよ?」

美琴「…フッ…」ニヤ

姫神(くっ。年下後輩ポジを利用したボディタッチ。その上さりげなく名前呼び…!)ゴゴゴゴゴゴ

美琴(悪いけど、アンタに恋人譲ってあげるほど、私はお人好しじゃないのよ!)ゴゴゴゴゴゴ

美琴姫神((負けられない…!))ゴゴゴゴゴゴ

上条「どーしたんだ?お前ら…っておい!秋沙までひっついてくるんじゃねーよ!恥ずかしいだろ?!」

美琴「ふ、ふぁ?!はぁーっ?!何であんたこの人を名前呼び…?!しかも私と反応違うし!」

姫神「…ふっ」ドヤァ?

美琴(こ、こいつ…!)






青ピ「あー、あー。カミやん、はよ爆発して死なへんかなー?」カチカチ

土御門「なー?」カチカチ




ウート「…はい、ごよーぼーシナリオ、かしこかしこまりましたかしこー」

ウート「準備完了でぃーす」

ウート「はい、では、あなたの携帯に入ってたこの家族写メやら何やらの画像をじーっと見つめてください…―――――」 つ一方携帯

一方「………」ジロ

ウート「…そしてこちらをご覧ください……あなたは段々ねむくなーるねむくなーる……」つ五円玉プラプラ

一方「……」ウツラウツラ

ウート「おや、あなたのお母さんがあなたを起こしにきました…――――

―――――――――

―――――――

―――――


~とある平行世界の一方通行~




一方「…」スヤスヤ

黄泉川「おーい、そろそろ起きるじゃんよー」ペチペチ

ンだよ、もう朝かよ……

…あァ?頬ペチペチすンじゃねェよクソババア。

昨日テスト勉強してて寝ンのが遅かったンだよ眠てェンだよ………?!やめ、やめろ!!何しやがる!!


黄泉川「ん~?なんだ、てっきりおかーさんからのチューがないと起きたくないのかと思ったじゃん?」ニヤニヤ

一方「~~ッッ!うざってェ…」モゾモゾ

黄泉川「あーもう!学校遅刻したら、お前を叱るのは私じゃん?」

黄泉川「まぁ?学校でまでお母さんに叱られたい!っていうならそのまま寝てていいじゃん?」ニヤリ

一方「チッ」ムク

ったく、人をマザコンに仕立てようとすンなよクソババア。

黄泉川「ごはん出来てるから、早く下に降りてくるじゃんよー?」


あー、クソ、朝から気持ちわりィ。

いくらなンでもスキンシップが過ぎるだろ…

息子大好きにも程があるだろォが。




黄泉川「ほぉら、早く席つくじゃん?あ、顔洗ったじゃん?」

一方「おー、洗った洗った(棒)」

嘘ついた。洗いに行くの面倒くせェし

木原(数多)「おはようクソガキ。やーっと起きやがったか…」

パジャマ姿、新聞紙片手にコーヒー。完全に朝の父親スタイル。

前から思っちゃいたが、オマエが随分父親スタンス似合うって感じンのは何でなンだろォな?

木原「ったく、いつまでも小学生みたいに愛穂に何度も起こさせてんじゃねーぞぉー」ズズー

一方「…おはよォクソジジイ、飲んでるコーヒーはたいてやろォか」

番外「ちょっとー!にーちゃんよー、手を洗ってから食卓ついてよね!ナニ触ってるかわからない人とミサカごはん食べたくなーい☆」ケラケラ

うっせェ。昨日『は』ナニも触ってねェよ

打ち止め「桔梗ねーちゃんは今日も朝ごはん要らないのかな?ってミサカはミサカは家族が全員揃ってないのを気にしてみたり」

またアイツ朝メシ食わねェ気かよ…つゥか、いつまでクソジジイとババアの脛かじってる気なンだ?クソニートめ

木原「ほっとけほっとけ」

黄泉川「はい、じゃ、手を合わせて」



一同「「「「「いただきます」」」」」



木原「おい、愛穂」モッサモッサ

黄泉川「なんじゃん?」アムアム

木原「今度の学会での研究発表終わったらまとまった休みがとれんだけどよ」モグモグ

黄泉川「あー、この間の家族旅行の話じゃん?」モキュモキュ

木原「おぉ、お前の方は空けれそうか?」クッチャクッチャ

黄泉川「どっかなー…ちっと体育祭近いからなー、まぁ、調整はしてみるじゃんよ」

番外「えー、そこは頑張ってよーおかーさーん」

打ち止め「あ、おかわりちょーだい!ってミサカはミサカはお母さんにおねだりしてみたり!」

家族旅行……山の方とかにドライブすンだっけか?


俺も予定合わせとかねェとな



~学校~

黄泉川「じゃ、また後でな」フリフリ

一方「へいへい」ヒラヒラ

いや、流石に一緒に登下校はしてねェよ?

たまたま校門で一緒になっただけだ


学生達の登校ラッシュの中をよけながら、自分のクラスに向かう。

中には"特別クラス"や"特進クラス"、なンて上等なクラスに向かう奴等もちらほらいやがる。

実は俺にもそォいうクラスに入らないか?という打診があったが蹴ってやった。文字通りにな

そンなわけで。俺がこれから通うのはありふれた、平々凡々なふっつゥな奴等が集められた教室。

…ま、それなりに愛着があるクラスだ



土御門「よ、木ィィィ原くゥゥゥン!」ガシ
一方「その呼び方やめろ」ベシッ

教室に入って早速、親友《シスコン》に遭遇。相変わらずうっとォしィなオマエは!

エツァリ「おや、"アクセラレータ"の方がいいんですか?」ニコッ

一方「そォじゃねェよ、アクセントの問題だ」

よォ、友達《ストーカー》。

結標「あら?じゃあ、"あっくん"でもいいのかしら?」クスッ

一方「サラシむしるぞ」

小さい頃からお姉さんぶるの好きだよな、幼馴染み《ショタコン》。

はァ、毎日こンなウゼェ奴等とよくつるンでいられるな、俺も。


垣根「はは、お前らのグループっていっつも仲いいよな」

一方「本当にそォ見えてンなら眼科行けよ。つゥか、向こうで浜面と麦野が呼ンでンぞ?早く行ってやれ」シッシッ

垣根「お、本当だ。じゃ!」

オーイムギノン、ヅラァ!

ヅラジャネェ!ソノヨビカタヤメテクレヨ!

ツギソノヨビカタシタラケシトバス、ッテイッタヨニャーン?

ズビャーーーン!

「「ギャアアアア!アブネェェ!!!」」

よく飽きねェな、あいつらも



チープで陳腐、うんざりするほど簡単な授業がやっと終わり、放課後。

土御門「木っ原ぁー♪今日は皆でカラオケいこーぜい♪」ガシ

肩に手ェ回してくンなよ暑苦しい。

エツァリ「いいですね、貴方はどうします?」

結標「いくいく!私ちょーど歌いたいのあったのよねー。ひとついはじめの新曲がさー…」

一方「…あー、わりィ。今日は俺パスだ」
土御門「? ああ、いつものとこかにゃー?」

エツァリ「それなら仕方ないですね。彼の罰ゲームはまたの機会にしましょうか」ニヤニヤ

結標「そうね、いっつもカラオケで得点最下位で罰ゲーム受けてたら、ねぇ?」ニヤニヤ

土御門「だーいじょうぶ。また誘ってやるから早く行ってくんだぜぃ!」バンバン


土御門…なンだかンだでオマエが一番いい奴な気がするわ



~冥土帰しの病院~


冥土「また2万人の"妹達"の見舞かい?色んな意味で君も大変だね?」

一方「そいつらの面倒を見なきゃいけねェオマエほどじゃねェよ」スタスタ

だってそォだろ?しかも他の患者も見てんだから

頭があがらねェよ、この医者には



一方「よォ」

病室に入ると、同じ顔をした14才くらいの見た目の奴等が一斉にこっちを向く。

ちょっとしたホラーだ。うちのクソガキなら泣くンじゃねェか?


妹達「おや、また貴方ですか?ほとんど毎日よく飽きませんね、とミサカ09030号はまさかミサカ達の誰かに好意でも持っているのかと勘ぐります」キラン

一方「絶対ねェから安心しろ」

妹達「今日の見舞品はなんですか?!とミサカ00020号は一方通行見舞恒例の美味しい物へ思いを馳せます」ジュルリ

一方「今日はプリンだ。前みたいにオマエ一人で食うンじゃねェぞ」ガサゴソ

妹達「一方通行、見てください!先日教えていただいたあやとりの"東京タワー"ができるようになったのです、とミサカ03000号はドヤ顔で習得した技を披露します」シュババ、ドヤァア!

一方「そォか、じゃあ今日は"エンデュミオン"を教えてやる」ドヤァア

妹達「なぬぅー!ミサカ03000号の努力を小バカにしたかのように更に上の技を出すなんて!と、ミサカ04747号はうぐぐ!」

…こいつら"妹達"は昔俺が中二の頃に引き受けた実験の被害者だ

だから、こいつら全員の怪我と生活の金は俺が面倒を見ている。


別に赦されたいだとか、許してもらったとか、許してもらえるかもしれねェとは思わねェ

ただ、それでも。



   "    "



~再び家~

リビングに入ると家族全員が揃っていた。

木原「おかえり、クソガキ」

ソファーに座り、パンいちでビール片手のクソジジイ。

黄泉川「おかえりじゃん」

料理途中だったのか、台所でジャージにエプロンなクソババア。

芳川「あら、おかえり」

机でファッション誌を読むクソニート。

打ち止め「おかえりー、ってミサカはミサカはあなたを出迎えてみたり!」

とてとて歩いてきて俺にすりよるクソガキ。

番外「おかーりー☆」

ゲーム中でこっちも見ねぇクソガキ2号。


一方「……ただいま」ニコッ



俺の、かけがえのない家族―――――――――

――――――――――――――

――――――――――

―――――



ウート「これでよかったっすか?」

一方「………あァ、絶対叶わないからな」
ウート「そっすか。満足いただけやした?」

一方「ああ」

ウート「あっしたー」ヒラヒラ

一方「…また来る」カツッ

また後で投下する


一方(…別に、なかった事にしたいわけじゃねェ。赦されたいだとか、誰かとどうこうなりたいわけでもねェ。ただ、ああいう自分と世界に、少し憧れてただけだ)カツッカツッ

一方(誰に何と言われようと、どんな内容だろうと、キモい妄想をすンのは自由だしなァ)カツッカツッ

一方(そろそろ家に帰るか。…いや、たまにはアイツらになんか買ってってやるか)カツッカツッ



一方(プリンでも)カツッカツッ





ウート「…さて、もー疲れたから今日はへーてんしよーっと」つ[close!]パタン

ウート「いやぁ、初日ってのもあってか、結構儲かったな」ウン


ウート「感想としては、意外と皆真面目っつーか…何かに飢えてる内容ばっかだったな」ウン

ウート「親元離れて育つ学園都市っ子故かねー?」

ウート「当初はぶっちゃけ×××とか[自主規制]とかばっかかなって思ってたけどそんなことはなかったぜ」キリッ


ウート「さってと!今日(みこっちゃんのお陰で)すげー儲かったし、なんか美味いもん食いにいくかなっと♪」フンフンフーフフーフ♪




姫神「…じゃあ。私はここで。送ってくれてありがとう。」ニコ

上条「おう、気を付けてな」フリフリ

姫神「また。明日」フリフリ




上条「…あの時もし、あのタイミングで御坂と遭遇しなかったら、やっぱ俺は姫神とキスしてたのか…?」テクテク

上条「ほっとしたような、残念なような」ハハ

インデックス「あっ!とうま!」フリフリ

上条「インデックス?どうしたんだ?」

インデックス「『どうしたんだ?』じゃないんだよ!とうまがごはんやお金を置いていってくれないから、今日私困ってたんだよ!」ガブッ

上条「いってぇェェェェェェ!?ごめん!謝るから勘弁して!」

インデックス「叶え屋さんがいなかったら飢え死にしてたかもしれないんだよ!」プンプン!

上条「『叶え屋さん』?」




~説明中なんだよ!~




上条「……へー、そんなよくわかんねー事してる魔術師もいるんだな…」

インデックス「とうまも行ってみたら?基本的には脳に直接作用するから、幻想殺しでも消せないし」

インデックス「よかったら場所教えてあげるんだよ!」




上条「あ、あった!たまたま近くでラッキー!!」ダダダダ

上条「上条さんも色々な妄想グヘヘを叶えてもらうぜッッ!」ダッ


[close!]

上条「……………不幸だ」ガクッ

上条「あーあ…あの場所からだと遠いのに、御坂が最後『か弱い私をきちんと家まで送り届けて』なんて言わなきゃギリギリ間に合ったかもしんないなー…なーんて」クルッ


美琴「………」←別れた後に何か上条さんに会いたくなって戻ってきちゃったみこっちゃん

上条「」

美琴「…ねぇ、そりゃないんじゃないの?」バチバチ

上条「」




上条「ちょっタイム」



ズドォォォオオオン……


ウート「…爆発?ま、いっか。何食おっかな~♪焼肉?しゃぶしゃぶ?ひゃっふぅ!」スタスタ


今回分投下終了。


ウート「はい!そんな訳で開店二日目ですイエー!」パチパチパチパチパチパチパチパチ


ウート「さっそく開店と行きたいとこですが、その前にぶっちゃけそろそろ一人が寂しいんで従業員を雇おうと思います」ハイ

ウート「第一候補はあの不憫少女か?魔術に精通してるみたいだしな」ウン

ウート「まぁ、それに限らず、適当にぷらついて誰かよさげなやついたら即ハンティングって事で」テクテク

ウート「んー、とりあえず"雑用"、"呼びこみ"、"術式アシスタント"で3人は欲しいな」テクテク



~とある公園なのである~


天井「…………」

天井「私は、何をしているのだろうな」

天井「あの時、死なせてくれればよかったのに」



――――――――――

―――――――

―――――


~一方さンが天井くンに頭ぱーンされた時ィ~

芳川「なんだ」

芳川「やればできるじゃない、あの子」





冥土「…気がついたかい?」

天井「冥土、帰し…?私は、生きて…?」

冥土「僕を誰だと思っている?僕は生きている限り、必ずその患者を助けてみせる男だよ?」

天井「……死なせてくれ」

冥土「できるわけないね?」

天井「死なせてくれ!!!」

冥土「断る」

天井「何故、助けた…!」フーッフーッ

冥土「僕が医者で、君が僕の患者だからだ」

天井「………一生かけても返しきれない額の借金がある」

冥土「頑張って返すんだね?」

天井「……反学園都市組織からも、学園都市からも命を狙われる」

冥土「身辺整理ができる時間が延びてよかったじゃないか」

天井「……もう、嫌だ…生きたくない…この先何年も生きられるわけもないのに…」ブルブル

冥土「…」



~数ヵ月後ォ~


冥土「…もうすぐ君は退院だ」

天井「………もうすぐ君は死ぬ、の間違いじゃないのか?」

天井「この病院からでれば、私はすぐに学園都市側、反学園都市組織、いずれかに殺されるのだからな」

冥土「……僕は医者だ。そして、患者が生きるために必要な物は全て揃えてみせる」

冥土「だから、君が生きるために必要な措置という事で、僕からの心ばかりのプレゼントをさせてもらった」


冥土「顔の包帯をとってみてほしいんだね?」

天井「……」シュルシュル…

天井「?!」

冥土「すまないが、勝手に僕権限で君に若返り美容整形を行った。…そして、」ゴソゴソ

天井「?」

冥土「偽装ID《きみのあたらしいみぶん》だ。大事に使いなさい」

天井「これは、つまり、」



冥土「君に生きろと言っている」

天井「…………」

冥土「かつて借金まみれだった天井亜雄博士は、あの日撃たれて亡くなった」

冥土「……君のセカンドライフがいいものになる事を祈るんだね?」スタスタ

天井「ま、待っ」

天井「…………」

―――――――――――――

――――――――――

――――――
――




天井(若)「何度でも言うぞ、冥土帰し。『こんな私にどう生きろ、と言うんだ?』」ハァ





ウート「女々しくてッ♪女々しくてッ♪女々しくてッ♪つぅらいよぉーっおおー♪っと」テクテク

天井「……」フゥ…

ウート「おおっと、第一村人発見なんじゃね?」

ウート「ん」ピーン!

ウート「よし、俺の第六感も『アイツにした方がいいんじゃね?』と囁いてきたし…」

ウート「っし、アイツに決めた!俺の必勝ナンパテク?を魅せてやるぜッ!」ダッ




天井(研究職には戻れんだろう…だが、他の職もやれるとは)ウダウダ

ウート「…なぁ、お兄さん」

天井(なんだこのチャラいホスト)

天井「…なにかな?」

ウート「わかる、わかるぜ、あんたリストラか何かみたいな、辛い事があったんだろ?」ポン

天井「(なんだコイツ)いや私は別に」

ウート「おにーさん、名前は?」

天井「…天井だが」

ウート「ん、天井さんね。俺はウートガルザロキ」




ウート「天井さん、俺でよかったら……話、聞くぜ?」ニコッ



1、俺、お前に興味津々なんだよねー?先ずはお互いを知ろうぜ!


天井「いや別に、」

天井(この話が学園都市側に漏れたら…いや、ぼかせば大丈夫、か…?)

天井(……いや、もう…いいか。どうなっても…これで始末されても構わない……)

天井「…実は」

――――――――――――
―――――――――

―――――――



ウート「…なるほど、威信と再起を賭けた仕事を始めたら、まさかのあり得んアクシデントの連続で本来成功確実な仕事がポシャって1文無しで干されたと…」

天井「ああ……」

ウート「辛かったんだ…?」

天井「! ああ、辛かった……辛かったっ…」ウウ



2、その人に対して真摯たれ。真剣に話を聞いて、理解し、優しくしてあげる事が大事。



ウート「よし、もう忘れちまおう!コンビニで酒でも買いに行きましょう!俺が奢りますから!」

天井「ウートくん…!」

ウート「…ってわけでさ、強力な術式を維持するために俺普段から不真面目な行動とらないといけないんだよ…」

天井「君も大変なのだな」クピッ

ウート「そうなんだよーだからさ、辛いのはあまっちだけじゃないんだって!」

天井「はは…」



3、酒や煙草、食事などの何らかの娯楽で忘れさせてあげましょう



~数時間後~

天井「そーだそーだ!ウートくんのゆーとーりだ!学園都市なんてクソ食らえだー!」バンバン

ウート「だしょー?」ヘラヘラ

天井「うう…でも本当にこれからどうしたらいいんだ私は…」グス

ウート「あまっち…」ポン

天井「?」

ウート「俺んとこで、働けよ」ニコッ

天井「まさか…あなたが神か?」

ウート「はい」ニッコリ

天井「神だ!やっと神と……!」オオ…

―――――――――――――

――――――――――――――
―――――――――――


天井「……」ボー…

ウート「4、……という幻覚を見せましょう」ニヤリ

ウート「円滑な交渉にも使える幻術ちょー便利(笑)」

ウート「へい!あまっち!へい!」ユサユサ

天井「ッハ?!…ああ、すまないウートくん、少しぼーっとしていたようだ…」

ウート「大丈夫大丈夫。気にすんなよ!さ、俺らの職場にいこうぜ…?」ポン

天井「ああ、私の第二の人生スタートだ!」

ウート(思 い 通 り !)



~叶え屋ロキ、車中~

ウート(運転席)「『あまっち』がなかまになった!▼」テッテレー♪


天井(店内)「ウートくん、この紙に書かれた配置に物をおいていけばいいんだな?」ヨイショ

ウート「うんー!しくよろー」


ウート「…しっかし、今のこの車の大きさだと二人は狭いんだよなー…」ウーン

ウート「しゃーね、まだ助手増やす予定だし、買ったばっかだけどつっちーにこのワゴン車下取りにしてもっとデカイキャンピングカーみたいなん用意してもらお」プルルルル




~とある高校~

土御門「でにゃーカミやん、やっぱり俺もそろそろ義妹と結ばれようかと思ってんだけど」

上条「ああ…うん、もう好きにしたら?」

土御門「!」ブブブブ

土御門「わりぃ、カミやんちょっとでんわだぜい」ソソクサ

上条「おー」フリフリ

姫神「当麻くん」スッ

上条「よ、秋沙」

吹寄「?!」ガタッ

姫神「今日のお昼なんだけど。一緒に食べない?」

上条「おーいいよ」

姫神「ありがとう。実は。当麻くんの分も作ってきた」つ弁当

上条「マジで?!」

姫神「うん。マジで。ふふ」

上条「サンキューな、今日購買の予定だったけどまた財布なくしたからな…うう」

姫神「ドンマイ。当麻くん」

姫神(仕組まれているのでは。と勘ぐるくらい都合よく土御門くんが上条くんの側を離れてくれた。神は言っている。私にがんばれと。)

姫神(今日は、『あーん』をしてみせる。)メラ


吹寄「…………」



土御門携帯<ブブブブブブ

土御門(!仕事用番号の方か)ピッ

土御門(見た目木の板の通信霊装を起動、携帯に割り込み、通信開始)


土御門「…合言葉を言え。『片手に』」

ウート「『ピストル』」

土御門「『抱くのは』」

ウート「『義妹』」

土御門「『唇に』」

ウート「『火の酒』」

土御門「…ウートガルザロキか、何の用だ?」


ウート「やー、昨日用意してくれた車あんじゃん?アレを下取りにもっとデカイ改造キャンピングカーを用意してくんねーかなーって。後色違い新品ヴィータ2台」

土御門「…なら200万だ。いつまでに?」

ウート「3時間以内がいーなー」

土御門「わかった、受け渡し場所は何時ものように…」

ウート「あいあいー」プツ


土御門「さて、あとは下請け業者に…」クルッ
黄泉川「…土御門、お前さっきから何やってるじゃん?」アキレ

土御門「」

土御門(見られてたのか?!くっ、どうす)

黄泉川「…あー、うん、お前くらいの年ならそういう奴はいっぱいいるじゃん」

土御門「?はぁ」

黄泉川「ただ、ごっことはいえ、学校にそういうのを持ち込むのはいただけない。今回は見逃してやるが、次はないじゃん?」

土御門「(…ごっこ?)はいだにゃー」

黄泉川「早く、治すじゃんよ……?」ナマアタタカイメ

土御門(厨二病患者に間違われてる……だと…?)




ウート「うっし、これでよーし。後は簡単に引っ越せるようにしとくのと、通常運営かなっと」

ウート「さて、あまっちにも業務内容説明しとかねぇと」ガタ



~『魔術』と叶え屋さんについて説明中ぜよ!しばらく待って欲しいにゃー!~



ウート「…っと、こんな感じ。一気にガーって説明したけどなんかわかんなかったとこある?」

天井「…いや大丈夫だ。しかしまさか科学以外の法則、それも『魔術』なんてものが実在したとは…」ブツブツ

ウート「…頼んだぜっ!あまっち!」ポン

天井「あ、ああ…」←E:ウートが着てるホストっぽい服(の予備)

ウート「じゃ、あまっちはこれから雑用担当ね。今から客に出す用のお菓子とお茶類買ってきてもらっから」

天井「わ、わかった…」

ウート「あ、店ん中は貴重な霊装とか、術式構築の配置とかあるから気を付けて移動な?」

天井「ああ…わかった」




ウート「じゃ、あまっち帰ってきたら"叶え屋ロキ"開店でぇす」オー

天井(しかし、どうも腑に落ちない……何故私はこんな胡散臭いとこで働く事にしてしまったんだ……勢いというのは怖いな)ガチャ

バタン…


土御門「よぉ、ウートガルザロキ。注文の物持ってきたぞ」ガチャ

ウート「うおっ?!流石つっちー、仕事早ッ!」

土御門「うまい!安い!早い!がモットーだからな」

ウート「牛丼屋?!…あー、悪い。まだ引越し準備終わってねーんだけど」

土御門「そうくると思って、引越し業者も呼んである。サービスだ」クイッ

ウート「パネェ」


叶え屋Loki(デカいキャンピングカー)


天井「…お使い済ませて帰ってきたら、店がでかくなってる…だと…」

天井(中型トラックくらいの大きさ、店に改造したキャンピングカー…これまた目立つな)ガチャ

ウート「あ、あまっちおかえりー」ダラー

天井「一体どうしたんだ?この車は…ついでに前の車も」

ウート「あー、今後に備えて?前の下取りにして買った」ウン

天井(すっごく無計画に、思いつきのまま、気分の向くままにやってるように見えるのは気のせいだと思いたい……)アタマカカエ

天井「…私の給料はちゃんと支払われるんだろうな?」ハァ

ウート「そりゃ当たり前だっての。どんだけ赤字でも払うって。そんなことよりさ!ちょっとゲーム手伝ってくんね?」つ新品ヴィータ

天井「仕事をするんじゃないのか?ウート店長?」ハァ

ウート「いやちげーんだって!よく誤解されっけど、こーいう不真面目な行動なんかも術式維持のためのさぁ!」バタバタ




天井(……私は、また人生の大事な選択を間違えたのかもしれない)ズーン


今回分終了。言いづらいがシギンは次の次とか、近い内に登場。

俺も幻覚にかかってしまったのだろうか
「姫神が目立っている」というありえない状況が目の前で展開されているんだが

>>181
落ち着け、それはウートガルザロキの魔術じゃなくて木原乱数のファイブオーバーだ

>>181ウート「大丈夫じゃね?現実だよ」


ウート「多分」メソラシ


>>182乱数「濡れ衣なぁンですけっどォォォォォォォォォォォォォォ――――――――?!」

投下。



小萌(ヤニがきれちゃったのです)テクテク

小萌(…職場に煙草の自販機がないと買いに行くのは辛いですねー)テクテク

小萌(ん?)



ウート「ちょっ、だからさぁ!あまっちはまだLevel低いハンターじゃん?だからー、俺がゾンディールで敵を集めるからそこをさ…」カチカチカチカチ

天井「なるほど…把握した」カチカチカチカチ



『あなたの望みを30分だけ叶えます!(現実には作用しません)"叶え屋Loki" ~料金はお客様がお決めください。延長:大体2時間~』

小萌「」


小萌(め、滅茶苦茶胡散臭いのです?!怪しさ大ばくはつなのですよ?!)ガーン!

小萌(まぁそんな事よりケムリ補充を…)

小萌(いや、待つのです私!もしあの店が詐欺の類いで、上条ちゃんあたりとかが引っ掛かったら…)アワアワ

ホンワホンワ
――――――――――
―――――――――

―――――――

上条『うわぁ!店内で拘束されてる内に今月分の生活費と貯金入った財布と身ぐるみ全部盗まれた――!不幸だ…』バタッ

黄泉川『アンチスキルじゃん!全裸少年!猥褻物陳列で逮捕じゃん!』

――――――――――――
――――――――――――――
―――――――――――

―――――――――


小萌(って、上条ちゃんの場合本当にありそうなのですよ!?)ガタガタ


小萌(んー…まだ大分時間の余裕はあるんですよね…)チラッ

小萌(よし、ちょっと調査です)イソイソ




小萌「こんにちわー…」オソルオソル

ウート「!エアロスミスーっ!!」ポイ

天井「うごあ?!」ベチーン

小萌「あの、何でも叶えてくれるのですか?」

ウート「基本的にはそっすねー」ヘラヘラ

ウート「あ、立ち話もなんだし、店内にどぞー」

小萌「…じゃあ、ちょっとだけ…」


ウート「あ、あまっち!お客さんにお茶とクッキー出したげて」

天井「は、はい、かしこまりました…」イテテ





天井「どうぞ、お客様。こちらサービスのコーヒーとマカロンでございます」コト

小萌「わ!ありがとうなのですよ!」

小萌(サービスいいですねー)ホクホク


ウート「…それで、本日は何をお望みですか?お姉さん?」エイギョウスマイル←実年齢見抜いてる

小萌「はうっ?!お姉さん!?初見でそんな事言われたの初めてなのですよ…お上手です///」テレテレ

天井(あー、大人ぶりたい年頃の子なのか)←実年齢見抜けてない




小萌「えっとですね、先生が教師になったきっかけ、憧れた原点をですね、全部体験したいのです!」




天井(教師になった?学園都市はまだこのくらいの年の子供を教師認可していないはずだが)

ウート「わっかりました!あまっちー!オーダー入りましたー!」

天井「かしこまりました、それでは提示する"素材"の準備を…」

ウート「……」

天井「?」

ウート(いや固っ苦しいから『オーダーありがとうございまーすイエー☆』みたいなアゲアゲ↑な感じで言ってほしかった…みたいな?)

天井(ウートくん、直接脳内に…!?)


天井「……お、オーダーありがとうございまーす!イエーア☆」キラッミ☆


ウート小萌「「うわっ…」」

天井「」ピシッ






ウート「…はい、具体的な内容、確かに承りゃしたー」

ウート「涙ふけよ、あまっち」ポン

天井「言う通りにしただけだというのに…」イジイジ

ウート「はい、ではこの『金○先生』のDVD、『GT○』の単行本、『ごく○ん』のDVDをじー……っと見つめてください……」

小萌「はいなのです」ジー

ウート「あなたは不良高校で有名なとある男子高に新任教師としてやって来ました…」
小萌「あう、あう……?」フワー

ウート「貴女に同僚の教師が話かけてきます…――――――――――――――

―――――――――――――――

――――――――――

――――――



~3年B組 GTK《グレート・ティーチャー・こもせん》~




黄泉川「月詠先生、くれぐれも気を付けて欲しいじゃん…あいつら狂犬みたいなもんじゃん」ヒソヒソ

小萌(身長170cm、上から90、55、85)「大丈夫なのですよ!どんな子達でも大丈夫なのです!」フンス


小萌「では…」スタスタ

小萌「おはようなのですよ!みんな!」ガラッ




上条「………あぁ?」ギロッ

土御門「あん?」ギロッ

ステイル「………」スパー…

一方「ンだァ?…」ギロッ

青ピ「あん?なんや、あの人めっちゃ綺麗やなぁ?来る場所間違えとるんちゃう?」スパー…


小萌「」



小萌「」



小萌「あ…れ…?5人、だけ…です?」

小萌(出席簿には…)ベラペラ

小萌(あれ?!やっぱりこのクラス、28人いるはずですよね?!)アングリ

小萌(……喫煙する未成年5人、タバコ臭い教室、ぐっちゃぐちゃに置かれた机、椅子…落書きだらけの壁と黒板…麻雀卓に簡易ベッド…)

小萌(ビールに酒瓶やコーヒーの空缶、散らばった漫画本、卑猥な本に……じ、女性の下着と使用済み近藤さん?!教室でナニをシてるですかー!?)

小萌(ここの先生達はこんなになるまで何故ほっといたんです?!これ、もう学級崩壊ってレベルじゃないのです!)

上条「おい、そこのねーちゃん」

小萌「?!」



上条「何しに来たか知んないけどさー、ちょっと煙草買ってきてくんない?自販機下にあっから」

土御門「っはは、さっすがカミやん!初めて会う女を早速パシらせるとかサイコーだぜぃ!」ゲラゲラ

一方「あ、じゃついでに俺も頼むわァ。マイ7と缶コーヒー、あコーヒーはブラックな?」ギャハ

ステイル「………」スパー

青ピ「あ、じゃボクもボクも!あんドーナッツ一袋買ってきて?」つ500円

一方「お?金出してやるとか、優しィなァ?青ピくゥゥン?」ウリウリ

青ピ「あー?ちゃうちゃう。貸・し・て・あ・げ・るだけや。足りなかったら出してや。」ニター

青ピ「あ、でもちゃんと後で返してや?」

一方「でも返すならァー?」




青ピ一方上条土御門「「「「倍返しだ!!!」」」」

上条青ピ土御門一方「「「「ァハハハハハハ!!」」」」



小萌「………」ツカツカ

上条「ハハハ…ん?」

小萌「………」バン!!

上条「…あぁ?おねーさん何机叩いてンの?ひょっとしておこなの?」ケラケラ

小萌「私は、今日からここに赴任してきたこのクラスの担任の『先生』です」

小萌「今すぐ教室を片付けて、授業を受ける準備をしなさい!」

蒼ピ「……ぷふぅ!」

土御門「『今すぐ教室を片付けて、授業を受ける準備をしなちゃい!』だってよwwwwwwこーんな状態から今更授業なんて体裁に戻せるわけないぜよwwwwwwww」ゲラゲラ

青ピ「いやいや、こーんな美人さんに授業やってもらえるならボクはええよー?
   でも保健体育、第二次成長期限定な!後は"実技"でボクのをしゃぶるのが条件や!」ケラケラ

一方「オマエは相変わらず下半身と脳が直結してンなァ」ヘラヘラ

上条「つか、わかったから早くターバーコー、買ってきて?先生?」

小萌「……!」カチン

小萌「あのですねぇ…!」プルプル

ステイル「…僕は帰らせてもらうよ」ガタッ

小萌「!ちょっと、待つのです!まだ授業すら!」

ステイル「……」スタスタ

小萌「待っ」

ステイル「…こんな状態で授業とか…馬鹿馬鹿しいと思わないかい?少なくとも僕はこんな状態で授業受けたいとは思わないよ」ボソ

小萌「…ッ」



上条「…あーなんか白けた。出席やっといたし、俺らも帰ろーぜー」ガタッ

土御門「だにゃー」ガタッ

青ピ「やね」ガタッ

一方「じゃあ俺ン家来るか?今俺ン家セフレいるからヤりまくり」ガタッ

上条「おーお邪魔するわー!」

青ピ「マージー!?さっすがあっくんや!愛してるでー!」

小萌「待ちなさい!待ちなさ…きゃ!」ドサ

上条「いやさ、邪魔だから。な?わかったろ?こんな底辺校にきちゃったあんたの運が悪かったんだよ。じゃ、『先生、さようなら』ー」スタスタ

青ピ「あ、これボクのケー番な?後で連絡してくれたらいくらでも"お相手"するで?ほな、さいなら」スタスタ

一方「そンなに教師ごっこしたけりゃ、よそのいい子ちゃン達の学校行けるように祈ってろよカス」スタスタ

土御門「ばいばいにゃー」スタスタ


小萌「」ポツーン



黄泉川「……」ガラッ…

黄泉川「月詠先生?だから言ったじゃんよ…あんなの受け持ったら最後じゃん…」

小萌「いえ、大丈夫です」

黄泉川「…その内挫折するじゃん。今からもう他のとこへ回してもらうように努力した方が建設的じゃんよ…」

小萌「いーえ!先生は自分の生徒を"絶対に"見捨てません!」

黄泉川「そんな綺麗ごとなんて捨てなきゃ、本当に何されるかわからないじゃんよ!?」ガシッ

小萌「…かもしれないですね」スッ

小萌「でも、私は逃げません。私は教育者ですから…生徒から逃げる事だけはしません」カチッカチッ…シュボ



小萌「1教師として……よ?」スパー←GTOの鬼塚風フェイス

黄泉川「……!」





黄泉川「……でも1教師として教室内で喫煙とかは絶対ダメじゃんよ」ヒョイ

小萌「あー!盗らないでくださいー!」バタバタ




小萌(その後、私は3―Bの建て直しを図り始めたのです)




小萌「この、バカチンが!」ペチン←金八先生調

上条「ぶ゙っ゙ぇ゙え゙え゙え゙?!」ズザザザァアア!!


小萌「この、ショタコンが!」ペチン←金八先生調

結標「ショタっ゙?!」バターン!



~どっかの倉庫な場所~

一方「なンで来やがった…なンでオマエ来やがったンだよ?!」

青ピ「長点に喧嘩売って、マヌケにも捕まったボクらなんてほっとけばええやんか!?」

ウート「あー?テメェ誰だよコルァ?」

天井「名乗れやコルァ!」


チャッチャーララッチャチャッチャチャー♪←ごく○んの生徒ピンチの時のヤンクミ出現時のBGM


小萌「私は……コイツらの『担任の先生』だ…!」←ヤンクミ(仲間由紀恵)風に

ウート「ハァ?その担任のセンセーが何しに来たんだよ?今更俺達に『暴力はいけないのですー!』とか言うつもりかぁ?!」ヘラヘラ

天井「言うつもりかぁ?!」

小萌「いいえ。あなた達にはあなた達を怒るべき人がちゃんといるはずですから、私からはあなた達に何も言いません」

小萌「でも、私の教え子は返してもらいます!」ダッ

ウート「はっ、ボッコボコにしてやる……!」ダッ

小萌「ふん」ヒョイ

ウート「?!」

小萌「やー!たー!」ビシッベシッ

ウート「ぐっはぁ?!」バターン!

天井「う、うらぁああ!」ダダダダ

小萌「はっ、」ヒョイヒョイ

天井「な、」

小萌「おるぃああああ!!!」ズガーン

天井「痛っ…」ドサッ

小萌「ふぅ…もう、大丈夫ですよ?お前ら……!」ガバッ

青ピ一方「「小萌てンてェェェェ!!」」ガバッ




~ステイル宅~

ステイル「…先生、行かないでくれないか…?」←後ろから抱きしめてる

小萌「……/////」ドキドキ


ステイル「先生、僕は、あなたが……」




~道徳の授業~

小萌「今日は予定変更して『命』について考えます」

小萌「皆さん、驚かずに聞いてください」

小萌「吹寄ちゃんのお腹には赤ちゃんがいます」

吹寄「?!先生!絶対言わないって約束したじゃない!?」ガタッ

小萌「そうです。でも私は」

小萌「愛した人を孕ませたにも関わらず、責任を取らずに逃げようとしてる生徒を、見逃す事はできません」ジロッ

モブ眼鏡「!?」ビクッ



~いじめ問題~

小萌「いじめ?!」ガタッ

屋上

姫神「私。要らない子だから。」

小萌「やめるのです!姫神ちゃん!」

小萌「要らない子なんて、この世にはいません!姫神ちゃんも例外なく!」

小萌「大体!いじめは姫神ちゃんの勘違いなのですよ!」

姫神「えっ」

姫神「あ。」グラッ…

小萌「姫神ちゃんが落ちたのです――!!?」ウワァアアア!

一方「俺に任せろォォ!」ダッ

ステイル「なら僕は魔術で彼のバックアップを」ダッ

土御門「もし落ちたらこの簡易緊急用マットを使うぜよ!」サッ

青ピ「じゃあボクはもう救急車呼んどくわ!!」ピポパッ

上条「待てや」ベシ




~生徒を守るためとはいえ、やはり暴力は教師として不味かった~


小萌「…お前らの言いたい事はわかった!」←ヤンクミ(仲間由紀恵)風

土御門一方上条青ピステイル「「「「「こもせん!!」」」」」

小萌「でも、これは私が責任を取らなければいけない事ですから」

上条「ちくせう!なんで小萌先生がここを辞めなきゃならねーんだよ!」ダンッ

一方「あンまりだァ!」ダンッ

土御門「理不尽すぎるぜよ…!」ダンッ

青ピ「なんでや!なんでボクらを守った小萌先生が職を追われなアカンのやッッ!」ダンッ



ステイル「…いや、普通に警察呼べばよかったのに実力行使でフルボッコにしたからじゃ」



~なんとかなって、そして卒業~


あおーげばーとぉーとしー♪


小萌「皆ともお別れです。最初あった時は不安ばかりでした。でも、皆いい子ばっかりであることを知れてよかったのです!」ウルウル

土御門「こもせん…」

上条「小萌先生…」

青ピ「小萌先生…」

一方「小萌てンてー…」

ステイル「……」

吹寄「小萌先生…」

姫神「小萌先生。」

結標「小萌…」

その他の生徒達「「「小萌先生…!」」」


小萌「皆、卒業おめでとうなのですよー!」

皆「ウワァアアアア!!!」


~♪NO more Cry♪(ごくせんのテーマソング)~




小萌「私の教師人生はまだこれからなのです!」

黄泉川「月詠先生…あんたの転勤先、また極悪高校になったじゃんよ?なんでそんなに楽観視できるじゃん?」

小萌「ふっ、どんな子達相手でも大丈夫なのです!」

小萌「だって、私は『先生』ですから!」――――――――――――

――――――――――――
――――――――――
――――――――

――――――――――――――

―――――――――――――――――


ウート「ふー…どーでした?」

小萌「おぉー…」プルプル

小萌「最高でした」キリッ

ウート天井((ほっ))

小萌「あ、お金いくらくらいです?」

ウート「お気持ちで」ニコッ

小萌「うーん、相場がよくわかりませんが、このくらいで…」つ2000円

ウート「大丈夫でーす!あじゅじゅしたー」

天井「ありがとうございました。また御越しくださいませ」ペコリ

小萌「さよならですー」フリフリ


小萌(……ああいう学級崩壊クラスを受け持った事はないですから、新鮮でしたね。私の受け持つ子は皆いい子ばっかりですから)テクテク

小萌(ただ、教師として。ああいう状況になったとしても更正できるようにならないといけないですね)テクテク

小萌(私もまだまだです)テクテク

小萌(……んん?)

小萌(きゅ、休憩時間終わっちゃってるのですぅぅうう?!)ダダダダ…



~とある高校屋上~

姫神「……」ナデナデ

上条「Zzz…」

姫神(昼ご飯の後、眠くなった当麻くんを膝枕してる。私。)

姫神(ちなみにあーんはできた。…このまま膝枕してると授業遅れちゃうんだろうけど。)

姫神(それでも。………もう少しだけ。こうしていたい。)ナデナデ

上条「Zzz…」


ドア裏の吹寄「…………」



ウート「あまっち、演技へったくそだったから練習な」

天井「う、うむ…」

ウート「俺の術式はさ、"五感で得た感覚を他の感覚に移し変える"とかなんだけどさ?」

ウート「長く、精密な幻術をかけるためには相手に"素材"を提示し続けなきゃいけないわけよ。つまり、あまっちという"素材"がダメなら幻術もクオリティサゲぽよになっちゃうんだって!」プリプリ!

天井「すまない…」シュン

ウート「はい!とゆーわけで練習!やられ役がやられた時の演技!はいどうぞ!」

天井「ぐ、ぐぅわー!やーらーれーたー!(棒)」カクカク!カクカク!

ウート「えー…なにそれ、バカにしてんの?」

天井(本っ当に、何をしているんだろうな私は)


ウート「はい!そこで客に"素材"を見せる!」

天井「はっ!」ビシッつ写真


天井(…でも、なんだかんだで、昔よりは………)

――――――――――――

―――――――――――――――

――――――――――――――――――



~天井くン私設研究所所長時代~



天井「…ハァ、Level5の量産…ですか?」

?「ああ、統括理事長からの依頼だ」

天井「! わかりました…しかし、偶発的にしか生まれない"超能力者"を確実に量産できるとは…」

?「そのための原論と具体案は用意した。後は貴方にそれを調整、実現してほしい」

天井「…なるほど…これならば…確かに理論上は……わかりました。承ります」



天井「ふふ、まさかしがない私設研究所所長の私があの統括理事長からの研究依頼を受けるとはな!」

天井「これが完成すれば、軍事関係は強化され、私は有名に!金もたんまり!学園都市でも地位を確立!」

天井「その元となった研究を成し遂げた私は…ふふ…」

天井「やるぞォォ!」オー



~天井くン『量産能力者計画』時代~


天井(…なーんて。思っていたのだがな…)カタカタ

天井(最終段階で『樹形図の設計者』のシュミレートで超電磁砲のたった数%ほどしか出力できないと結論。)カタカタ

天井(あの依頼者にまんまと騙された、というわけだ)

天井(あれから探したが、彼は雲隠れ。)グスッ


天井(私はこの責任をとり、研究員への退職金、違約金、etc…を支払うために多額の負債を抱えるはめになるだろう…)

天井(……だが、まだ私には最後のチャンスがある)

天井(『絶対能力進化実験』のメンバーにならないか?という誘い。)

天井(倫理が一欠片もないような実験への加担だが…私に選択肢などないような現状だ。それに、)

天井(そんなブラックな非人道的実験など、この街では日常茶飯事)カタカタカタカタ

天井(普通。そうだ、これは普通なんだ!責められるような事じゃない!やらなきゃ私が生きられないんだ、実験動物なんかどうなったって…!)カタカタカタカタ…ッターン!

天井「…では私はこれで…」

研究員A、B「お疲れ様でーす」


ザーザー…

天井「っ、そうか、今日は雨だったな…」

天井「…くそっ、デスクに傘忘れた」ナイ

天井「取りに戻るか…」テクテク


「……!…天井博士……。」

天井「?私の名前?なにを…」ソー

研究員A「しっかしよー、天井の野郎マジムカつくぜー」カタカタ

天井「」


研究員B「なー。優秀だからって態度でかいし、なーんか俺らの事見下してるっつーかー」カタカタ

天井(……そんなつもりは、)

研究員A「俺らがまだ仕事してるってのに、自分のノルマ達成したらソッコー帰りやがるしよ」カタカタ

研究員B「そんなに優秀なら手伝ってけっつーのなー」カタカタ

天井(いや何故私が部下の、しかも管轄外のすぐ終わるようなデータ打ち込みを手伝わなければならないんだ)

研究員B「しかも何か暗いし、堅物だし。つまんねーし」

天井「………」

研究員A「だよなー!そんなんだから飲みにも誘われないんだよ友達いないんだよ」カタカタ

研究員B「な。あ、そういえば。ここだけの話、この計画もうコケてるんだとよ」

研究員A「ハァ?!」

研究員B「でも、アイツだけはスキルが一線級だからって『絶対能力者進化実験』メンバーに抜擢されるらしいんだぜ?やってらんねーよ!」ケッ

研究員A「ハァ?!あの第一位の?!かー、俺らは路頭、アイツは栄転かよ」カタカタ

天井「………」

研究員B「ま、その代わり。20代前半で莫大な借金返済しなきゃならなくなるわけだし、更に外道な研究するんだ。きっとアイツロクな死に方しねーよ」

研究員A「それを考えれば、俺達はまだまともで救いがある人間だよな?」

研究員A、B「「ハハハハハ!」」




天井「……」ソッ…パタン

天井(…今日は、濡れて帰るか…)トボトボ





~天井くン『絶対能力進化実験』時代~



天井「わ、私が妹達のソフト面の責任者ですか?!」

?「ええ、そうデス。優秀な貴方に是非お願いしたいのデス」

天井「わかりました!やって見せます!」


~暫くして~


天井「~♪」

天井「?」


芳川「あら、天井博士が?」

布束「yeah、『量産能力者実験』は失敗前提の実験だった。Dr,天井は恐らく学園都市上層部に利用されたのね。可哀想に」

壁|天井(やはり、そうだったのか?!しかし、何故その話が漏れている?………まさか)コソコソ




芳川「天井博士と言えば。今度第三位による破壊活動のせいでこの実験が他研究所への委託されるらしいけど…」

芳川「…あの人、確か既に一生かけても返せないくらいの借金まみれだからここに来たはずよね?外部委託するなら利権譲渡が発生するから、彼の取り分も自然と…」

布束「so、借金を返すために外道に堕ちて。必死の努力の結果も更なる借金をする事になるなんて…皮肉な話ね」

壁|天井(……そん、な……)





天井「この研究の外部委託には断固反対です!この研究は……!」

「では天井博士。あの膨大な研究資料を引き継ぐいい方法が他にあると言うのデスか?」

天井「…っ、それ、は……」




「天井博士は、持つスキルは一級品だが与しやすい。実に扱いやすい男デス」クスクス


クスクスクスクス




~『絶対能力進化実験』第10032回実験後~



天井「…………」

天井「まさか、第一位が無能力者に敗れ、最後の頼みの綱の実験が……凍結するとは…」

天井「は、はは……ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

天井「……………っぐ…」グス

天井「これで私はもう、学園都市に居場所はない…」

天井「借金が返せないのなら踏み倒すしかないのだからな」


天井「何故……!何故私ばっかりこんな目に遭わなければいけないんだッッ…!」ダンッ

天井「……学園都市は私を否定する。私が生きられないように、私を殺そうとする」

天井「ならば、殺られる前に殺ってやる…!」

天井「もう、なりふりかまって、いられるか……っ!」ポロポロ


天井「私自身は『外』に逃げ、学園都市に最も大ダメージを与える方法で復讐してやる…!」

天井「はは、どうせ友人も大事な人も物も組織もないんだ!どうなったって構うものか!!」

天井「学園都市がなくなれば、非道な実験ももうなくなる!私の気も晴れる!学園都市の闇も拡散するが…私の知った事ではない!良いことづくめじゃないか!あはははは!!」

天井「私を追いつめる妹達を使って学園都市を追いつめる…中々に愉快じゃないか……なぁ?」ニヤリ

打ち止め「………」コポコポ

――――――――――――

――――――――――

――――――――


天井(…だが、結局私は失敗した。打ち止めは生きようともがき。一方通行の自己変革を見誤り、芳川桔梗の"強さ"を舐めていた。)


天井(そして、学園都市は私程度がどうこうできるような物ではなかった)


天井(…思えば。学園都市に来てから今日まで、楽しいと感じる事などついぞなかった気がする。)


天井(だが)


ウート「だーから、違うって!こうこう!…ッエーイ☆ッエーイ☆」エヒャ!

天井「…ッエーイ☆?」エヒャ…?

ウート「アハハハハ!!あまっちのキチ顔マジ面白ェェ!!」ダッハハハハ!

天井「遊んだだけ?!関係ない練習させないでくれないか!?」ウガー!


天井(…何故なのだろうな。私がかつて望んだ金も地位も名誉も。名前すらも全て失ったのに)


ウート「悪かったって!」アハハハハ!




天井(この青年と過ごしてる今は……少し、幸せだ)フッ


投下終了。アレイスターがエイワス現出のための布石は妹達から~って事から、元は天井発ではなかったのではと

5巻で、一方「~~一級品のスキル~」や「一線級のスキルを持ってたから実験に拾われた」、超電磁砲のあの人の「有能だが扱いやすい」的発言や20代で私設研究所持ちな天井くんは実はスゲえ


例え悪党でも

幻覚の小萌てんてーとステイルはつまらん事に結局あれ以上の関係には進まなかった。

あの世界での小萌先生は『先生』であり、ステイルは『生徒』。

『先生』であることに誇りと生き甲斐を持つ彼女は、例え幻覚であっても『生徒』であるステイルに手を出す、出される事は許しませんでした。

ついでに、小萌先生自身がステイルの中身についてあまり知らない故にどう妄想したらいいかイマイチわからなかった、というのもある

なんてどうでもいい裏設定。投下。




シギン(結局さ)




シギン(奇跡。奇跡なんだよね、もはや。まさか私自身も生き残れるとは思わなかったよ)テクテク

シギン(バゲージシティ作戦開始ののっけから捕まって、近江手裏とかいうやつの仲間に刃物つきつけられてマリアンちゃんを潰す『助言』をさせられて…)テクテク

シギン(そいつらに自滅する『助言』をして拘束から逃れられたのも奇跡。)テクテク

シギン(ウートガルザロキと違って、大失態の上に利用され、本命の大事な実験はパー。味方の敗北理由の要因にまでなったっていうのに)テクテク

シギン(粛清担当のマリアンちゃんが私を『改造』する前に敗北、その後現れたリーダーもマリアンちゃん緊急回収のために私を放置という、いっつあミラクル。)テクテク

シギン(てっきり私はその後制裁しにマリアンちゃんがきて悪趣味家具にされるかとビクビクしながら逃げてたのに何もしてこないし)テクテク

シギン(オティヌスちゃんは何考えてんだろね?余裕がないのか、どうでもいいのか、はたまた…)テクテク



シギン「………」フゥ




シギン(……どーしよっかな?)



シギン(とりあえずは身を隠したままがいい。いいよね。グレムリンが、オティヌスちゃんが『槍』製造のための"素材"を確保する作戦に移るのはもう少し先のはず。)

シギン(他にこっそり世界中で散らばり動くグレムリンメンバーからの制裁から逃れるのに一番いい、安全なのは学園都市。だから身を潜めにきたのだけど…………?!)テクテ…


ウート「あまっちってさ、ぶっちゃけ女子のストライクゾーンって下から何歳まで?俺は自分の年からプラマイ2くらいなんだけどさ」

天井「うん?そうだな…、私の場合は」


『あなたの望みを30分だけ叶えます!(現実には作用しません)"叶え屋Loki" ~料金はお客様がお決めください。延長:大体2時間~』



シギン「…何やってるの?ウートガルザロキ」アキレ

ウート「え?」



ウート「…あー!!シギぴーじゃーん!おひさー!あんだけ大失敗したのによく生きてたなーお前!」フリフリ

シギン「うん、次そのあだ名で呼んだらはっ倒すからね?」

天井「知り合いか?」

ウート「おー、元同僚。いやあ、あんだけスーパー大失態をやらかしたんだ、てっきりマリアンの野郎の肘掛け椅子にでもなっちまったんじゃねぇかと…」

シギン「……ウートガルザロキ。その事については二度と触れない方がいいよ?痛い目に逢うから、と『助言』しておこう」コキコキ

ウート「えーナニナニ?意外と気にしぃだなー?シギぴーh」



ゴンガンドンバンガンギンドンガングジャ!!!!!!ぽにゃっ



~車内、店スペース~


ウート(正座中)「…あの、ホンットすんませんでした…久々にかつての仲間に会って、ちょっと調子こいてたっていうか」ボロボロ

シギン「本っ当に、ウートガルザロキは鬱陶しいよね。バゲージシティで死んでたらよかったのに。死んでしまってたらよかったのに」イライラ


シギン「――――!」

ウート「―――じゃね?!」



天井(…つもる話もあるだろうし、私は席を外して紅茶とお菓子でも用意しておくか…)ヨイショ


※新叶え屋Lokiの店兼住居はデカイキャンピングカーなので、店スペース、休憩スペース(キッチン等)、運転席、二階部分に小さい部屋がいくつかある。




シギン「…で?つまり、ウートガルザロキはおマヌケにも。この科学の街のど真ん中で今にも目をつけられかねないオカルト丸だしの商売を威風堂々やってる、と」

ウート「いや、そこはほら、霊装とかで魔術的カムフラージュしてるし、自分が本当にやりたい事をやるためだからさ…」

ウート「後は近い将来、オティヌスが事を起こす時とか、その過程とかでもさ?上手くやれば世界中で一番安全と言えるのはここだろ?」

ウート「『槍』の素材集めや製造準備がある程度整うまで、本拠地の『船の墓場』がバレるのは避けたいはずだから滅多な事がない限りは学園都市にはまだ手をつけないはず」

シギン「そりゃ、まぁ…ね」

ウート「ついでに『グレムリン』だけじゃなく、グレムリンメンバー捕まえて色々吐かそうとする他組織や魔術結社、合衆国やら何やらの奴等もここなら下手に手出しできないしよ…」

シギン「…その代わり、下手を打てば別の面からでの科学sideと魔術sideの戦争になるって考えなかったの?」イライラ

ウート「いやそのへんはそのへんでまたちゃんと考えてっから」

シギン「…ならいいけどさ」

シギン「…にしても、店の名前が"ロキ"って……"いいの?"」

ウート「あー、それはそれで、……な?」

シギン「……知らないよ?」

ウート「えー?何々ー?シギぴー俺の事チョー心配してくれてんのー?」ニヤニヤ

シギン「…まぁ、不本意だけど。不本意でしかないけど」プイ

ウート「あーもー!マジありがとー!もー俺マジチョーシギぴーと付き合いたいわー!『シギン』の伝説に合わせて、名前ロキに改名しちゃおっかなー?」ダキッ

シギン「……」イラッ


※北欧神話で『シギン』は悪神『ロキ』の妻。


ウート「ぎゅってしていー?」ギュー♪

シギン「…」ブチッ




天井(しかし、ちょいちょい『魔術』の専門用語がドア越しに聞こえてくるが……門外漢の私にはなんの事だかさっぱりだな…)カチャカチャ

天井「すまない、ちょっといいか」ガチャ


シギン「あ、はい何かな?何なのかな?」グイー

ウート「やめてやめて!鼻フックデストロイヤーはやめて!俺の端正フェイスがヤバイ感じに!超絶不細工になっちゃってっから!」バタバタ

天井(…どうなるかわかってて自分から仕掛けに行くあたり、ウートくんがドMなのか、中学生的なちょっかいしかかけられないのか判断しかねるなぁ……)ニガワライ

天井「あー、シギン…さんだったかな?もしよかったら紅茶とお菓子でも」コト

シギン「わぁ、ありがとう。…えーと、」

天井(ああ、名前を名乗ってなかったか)

天井(…名前、か。一応偽装IDの名前は"木原加群"なのだが…)

天井(自分の名前をもう名乗れない、というのも中々辛いな)

天井「…私は木h ウート「待った、あまっち」

ウート「名乗んなよ、"自分の名前"を」

天井「……しかし、」

ウート「少なくともシギンや俺の前ならモーマンタイだからさ」ニッ

天井「…ありがとう」

天井「私は、『天井亜雄』だ。よろしく」スッ

シギン「…そう。よろしくね天井くん」スッ

天井「ああ、よろしく」ギュ



コポコポ…



シギン「…へぇ、美味しい。天井くん紅茶淹れるの上手いね。私専属の執事になればいいのに。執事になってしまえばいいのに」コクコク…

ウート「悪趣味、と『助言』しておこう(ムカつくフェイスでシギン声真似)」ニヤ

シギン「ウートガルザロキはちょっといい加減に発言を慎んだ方がいいよ、と『助言』しておこう」チョップ

ウート「へぼぁ!」

天井「…そういえば、シギンさんはどうして学園都市に?」

シギン「シギン、でいいよ天井くん。私はね、隠れにきたんだよ。隠れにね」

ウート「おーいおい?さっきキレてきた割りにはシギンも似たようなもんじゃねぇ?」

シギン「黙れ。私はいいの。『助言』しかできない私が単独で生き残るためにはこれしかないんだもの」

ウート「納得いかねー…ん?じゃあシギン今どんな生活してんの?」ゴクゴク

シギン「グレムリン時代の貯金使いながらビジホ暮らし…かな?」コクコク…

ウート「へー……じゃあ隠れてるって割りには自由に行動できんだ」ズズー

ウート「…えっ、じゃあいつも何して時間潰してんの?」

シギン「んー。寝てたりとか、散歩したりとか?」サクサク

ウート「うわぁ、若さと寿命を無駄にしてんなー」ハハハー

シギン「何?人の行動に口出せる程自分は有意義に過ごしてると言いたいの?言っているの?」グニー

ウート「いひゃいいひゃい。両頬をひっひゃらにゃいでふんにゃい?」

シギン「…」パッ

ウート「いやな?マジな話、これがビックリするぐれぇ実際有意義なんだよ。グレムリンで情報戦担当やってた時よりも、グレムリンに入る前よりも」

シギン「……」



ウート「やっぱりよ、人間生きてると笑顔と感謝、生き甲斐がほしくなるもんなんだよ。どっかで」

ウート「でもそれは『グレムリン』では見れなかった。『グレムリン』では手に入らなかった」

ウート「でさ、お前もどうせもう『グレムリン』には居られないんだ、これからは自由に生きていいんだろ?多少の制限ついてもさ?」


ウート「じゃあ、何でお前、自分が楽しいって思える生き方しようとしねぇんだよ?」


シギン「……やりたい事がなくなっちゃったんだよ。『グレムリン』にいたのだって自分の特性を一番上手く活かして生きれる手段だったから…だしね」



ウート「………」

ウート「なぁ、シギン」

シギン「なぁに?ウートガルザロキ」


ウート「…いや、もしよかったらさ」

ウート「お前、俺んとこで働かねぇ?」ポリポリ

シギン「……」パチクリ

シギン「…本気で言ってる?ウートガルザロキ」

ウート「ああ、普段おちゃらけてるウーさんじゃない時くらいマジだとも」

シギン「………」ウーン

ウート「特性上、他人がいなければ成立しないシギンが今後も単独で生き延びるってのはやっぱ難しいだろ?」

ウート「お前が俺を心配してくれたように、俺もお前が心配なんだよ」

シギン「…う…///」


シギン(ま、まぁ、暇だし。暇だからね。)コホン

シギン(他にやりたい事ないし、魔術師としても中々に強いウートガルザロキといれば何かあっても生き残れるかもしれないし)ウン

シギン("あの"ウートガルザロキにああまで言わせるこの仕事にちょっと興味出てきたし)ウン



シギン「…じゃ、お願いしていい?ウートガルザロキ」ニコッ

ウート天井((超可愛い))

ウート「おうっ!」

シギン「ん。よろs」つスッ

ウート「…」グイッ

シギン「?!//」ポスッ

ウート「…一緒にがんばろーな?何かあっても、俺がシギンを守るからさ」ナデナデ

天井「」

シギン「…////…」プルプル

ウート「?」

シギン「…どうして?どうして私がシェイクハンドのつもりで出した手をとって抱きよせてきたの?ねぇ頭沸いちゃったの?頭沸いてたの?」ゴスゴスゴスゴスゴスゴス

ウート「痛い痛い痛い、いや、シギンがあまりにも可愛いからつい抱きしめたくなっちゃって~みたいな?」テ……ヘっ…?

シギン「ば、バッカじゃないの?!///女に『可愛い』って言っとけば大体なんとかなるって考えてるの?ウートガルザロキは浅はかだよ?浅はかなんだよ?」ポカポカポカポカ!

ウート「やめっ、ちょっ、目覚める!なんかシギンに目覚めちゃうから!キュンっ…て来ちゃってるから!」イタイイタイ

シギン「?!///~~ッ」ポカポカポカポカ!

天井(これがホストの手口か…)

天井(…私は掃除でもするか…)スタスタ

ウート「ヘイ!あまっちヘイ!去らないで!ヘルプしてよ!」

シギン「天井くん?私、天井くんにまで被害拡大させたくないよ?させないようにしたいんだよ?」キャメルクラッチ

ウート「あれ?!急に可愛い感じの攻撃から痛い感じの攻撃に?!」イタイイタイ

天井「…すまない、ウートくん。私は、優しくないんだ!甘いだけなんだ!天井だけにな!」クッ…!

ウート「クッソツマンねーよ!?はくじょーものォォ!」




『シギン』が仲間に加わった! ▼ポンケレピーン♪



シギン(……でも、本当によかった。ウートガルザロキも。生き延びてた)ホッ

シギン(…やっぱり、私は独りで生きるのは無理らしい。特性としても、精神的にも。)

シギン(例え100%正しい『助言』ができても、聞いてくれる人がいなくちゃ意味がない。意味がないんだよ)

ウート「じゃ、シギンには呼び込み頼むわー」ヘラヘラ

シギン「んー、私を雇うなら受付、客対応、営業アドバイザーにするといいと思うよ。それは他の人を宛行うべきだよ、と『助言』しよう」フフ

ウート「おー?じゃ、そうするわ。頼りにしてんぜ?シギン」ニッ




シギン(でもね、これからずっと。私の『助言』を聞いてくれるのはあなたがいい、かな?)


投下終了。

新訳4巻、巻末のかまちーのキャラ紹介のシギンの項目で、「マリアンの手で椅子やテーブルにされないのが不思議なぐらいのキャラ」から、多分マリアンには殺られてない(そんな余裕もなかったろうし、当時オティヌスも色々精一杯だったはず)。

近江手裏か、その仲間に捕まった時殺られてたらマリアンとの会話はなかった。

からのシギン生存説。

また、バゲージシティに来てたグレムリンの仲間が他にいなかったからかもしれないが、かまちー曰く「仲間意識極めて希薄、簡単に裏切る」にも関わらず彼女が唯一心配したのはウートガルザロキ。故の妄想も入れた。

乙乙
出オチ未満だからキャラがまったく掴めないが、このシギンは可愛いなあ

もうこのシギンが公式設定でいいんじゃなかろうか。
どうせ本編では二度と登場することも……

ん? 電話がかかってきたようだ。

>>252>>256

シギン「ぐすっ、えぐ………うぅ、ふぇ……」プルプル

ウート「やめたげてよぉ!」


投下



~シギン加入から数日後~



佐天「~♪」

佐天「うーん、初春も風紀委員だし、ひっまだなー……」

佐天「ん?」

『あなたの望みを30分だけ叶えます!(現実には作用しません)"叶え屋Loki" ~料金はお客様がお決めください。延長:大体2時間~』


佐天「へー…ちょっと入ってみよっかな?」テクテク




佐天「…こんちわー…?」ガチャ…


ウート「うぉえ…悪い、俺コーヒーの炭酸入りはちょっと無理だわー…」ウエー

シギン「んん。私は別に大丈夫、かな?『すっごく美味しい!』とは思わない、思えないけどね」コクコク…

天井「ふむ、コーヒーは受けが悪いな…」メモメモ


佐天「」



ウート「でもあまっちすげーよなー、クジで5等の『液体に炭酸を注入できる機械』当てるとか」グビ

天井「いや、1000名限定のクジだったし、残り人数からして確率論的にはもう少しいいのを狙えたはずだったからな…あんまり凄いとは言えn」

佐天「…あの、」

ウート「!っうぉしゃーい!」ガタッ

シギン「あ、いらっしゃいませー」フリフリ

天井「いらっしゃいませ。…君らはもう少し接客を勉強するべきじゃないか?」ハァ


佐天「あ、ええー…っと。…や、やっぱ止めときます!お邪魔しましたッ!」ダッ

ウート「えー?!ちょ、待って待って!今ならサービスで炭酸入りコーヒー出るよ!?」

佐天「それ今受けが悪いって話してたやつですよね?!」ガーン!





ウート「…ど?」

佐天「…いや、私は結構好きですよ?炭酸入りコーヒー。」ズズー←結局ごり押しされた

ウート「oh…マジか…」

シギン「んん、私は普通に天……木原くんが淹れたコーヒーの方が好きかな?」

天井「…///っゴホン。いいから早く、何を叶えるのかお聞きした方がいいのでは?」

ウート「あっれー?あまっち顔真っ赤~?フゥ~↑?」ウリウリ

シギン「褒められ慣れてないから顔真っ赤~?フゥ↑~?」ウリウリ

天井「や、やめろ!////いいから早く!」


佐天(仲いいなぁ…)




ウート「あ、それで?何を叶えて欲しい?」

佐天「えっと、それじゃあ…」




佐天「Levelなんか低くたって凄くなれる、ヒーローになれる!Level5にも勝てる、無敵になれる!」

佐天「そんな夢を叶えてください!」




~とある高校~

上条「はー、よーやく終わったか…家帰る前にスーパー寄ってかなきゃな……」

吹寄「上条」

上条「?どうした?」

吹寄「今からちょっと二人で話せない?」

上条「あー……、今?」クビカシゲ

吹寄「今」コクリ

上条「いや、上条さんはこの後特売に向かわなきゃ行けなくてでしてねー?できれば後日また時間がある時にゆっくり……」

吹寄「じゃあ、その分奢ってやるし、その後貴様ん家で晩御飯も作ってやるから」グイ
上条「今日は何でそんないつにもまして強引Goingなんでせう?!」アダダ

吹寄「別に?たまには"幼馴染み"同士で話そうってだけよ」

上条「……………」




上条(……ゑ?)





ウート「はい、ご要望シナリオ確かに!」

シギン「私の『助言』で一風変えてみました」ブイ

天井(不安だ)

ウート「始めまっす!」

佐天「……」ドキドキ




ウート「…はい、ではこのワンパ○マンのウェブサイトをご覧ください……」

佐天「はい!」ジー

ウート「貴女は今から3年後に飛びました……」

佐天「…ん…」ウトウト

ウート「その身に"無敵"を宿した貴女は旧友と3年ぶりに再会します―――――――――――――――

――――――――――――――――

―――――――――

――――――



~佐天「どんな相手もワンパンで倒す能力かぁ…」~




「…おい、聞いたかよ」


「ああ、"八人目"だろ?知ってる知ってる。」



「すごいよねー!Level0からいきなりLevel5になるなんて!あたしも能力の練習頑張っちゃおっかなー」


「アハ、万年Level0のあんたが何言ってんのよ。あーいう『トクベツ』はさ、持って生まれた才能と、『目標の基準点に達するまで努力出来る』奴がなれるのよ?あきっぽいアンタじゃムリムリ」




佐天(……そう?私はそー思わないけどな)






佐天(きっとさ、才能なんかなくったって、不毛な不断の努力をし続けるだけよりさ、)

佐天(ガチで。マジで。"本気の本気"で。人生を投げ捨てる覚悟で『今の自分を変える』行動力さえあれば。)


佐天(誰でも『トクベツ』になれるんじゃないかなって思うよ。私は)


佐天「っば。初春との待ち合わせに遅れちゃう」





初春「…あのぅ、佐天さん?」


佐天「なぁにー?ういはるー」ダラーン


初春「…せっかくこうして中学時代の親友と3年ぶりに会ったっていうのに、何でそんな私に興味なさそうなんですか?」

佐天「んんにゃ、最近の私はこれがデフォルトなのだよ。初春」




 中1の時から常連のファミレス。佐天さんと二人で来たのは今言ったように3年ぶりです。


この3年で私の回りも、環境も、私も…皆変わりました。

そりゃそうですよね?ル○ィ達だって2年であんだけ変貌するくらいなんですから。その2年に更にプラス1年ですよ?


私は自分のボリュームアップした花飾りや胸、身長、学校や近況…御坂さんや白井さんが今何してるかを語ってみたんですが…


佐天「ふーん…」ボケー


しかしまぁ、リアクションを返してくれません。おのれ佐天さん。全然聞いてません



初春「あの、佐天さん…」



よし。佐天さんはひょっとしたら今は私の話を聞くより自分の事を話したい気分なのかもしれません。


今日佐天さんと会った時からずっと気になっていた事を聞いちゃいます。

親友の事なら、やっぱり色々知りたいものですし。


ちょっと聞きづらかったけど…思いきって!




初春「なんで髪型をハゲにしたんですか?」ビシィッ

佐天「うるさいよ!ハゲにしたんじゃないよハゲたんだよ!」バン!




…え?そんな事より3年前に何故佐天さんが突然失踪したのかを聞け?


いえいえ、「初春としか今は会いたくない」って拒否られて、仕方なく私の耳に装着した盗聴機+イヤホンマイクごしに話しかけてきた御坂さん。

流石にまだ聞けません。色々怖くて。


佐天「………私さ、ずっと修行してた」

佐天「3年間、ずっと」


え、やだ…やですよ?!やっぱり今は聞きたくないです!聞きたくない聞きたくない!なんかすっごく怖いですもん!

自分から語り出さないでくださいよぉ!佐天さぁあん!!





~三年前~




あの日、私の人生が180゜変わった


いつものように中学の未だによくわからない授業を受け終え、初春が風紀委員の仕事あがるまで待って。


いつものようにバカな話して。いつものとこで初春と別れて。

CDショップよって視聴。


後は部屋に帰って寝るだけ。


そんな間もなく最終下校時間になる夕暮れ時。


路地裏の方で何か話声が聞こえる。


……ひょっとして、都市伝説の「ヒソヒソ」さんの正体かもしれない!

路地裏で話し声は聞こえるけど、実際に見てみると姿は見えないんだよね~


そんな好奇心で路地裏に入り、奥を覗くと。

金髪、茶髪、青髪…の、いかにも頭悪そうなスキルアウト達。

……と、そいつらに絡まれてるいかにも「あー、こいつ絶対イジメられるタイプだなー…」な黒いマッシュルーム頭に眼鏡の中学生がいた。



スキルアウトA「だーかーらー。はよ財布だせっつってんじゃん」ゲシ

マッシュルーム「い…嫌だよ…こ、このお金ないと来月までご飯が」

スキルアウトB「大丈夫大丈夫!ちょっと『借りるだけ』だからさ!そのうちまた会ったら返すからさ!俺達に貸してよ~」


 うわぁ、明らかにそのまま永遠に借りたままにする気だよ…しかも「借りただけ、返す意思はある」ってタチ悪いよね。


私の中で、何かが燃え上がるのを感じた。こんな理不尽は許せない。

…そうだよ、御坂さんだったら絶対立ち向かう。白井さんなら飛び込んでいく。きっと、初春だって。


…そうだ、Levelなんて関係ないんだ、チカラなんてなくったって、勇気を出さなきゃ!

佐天「や、やめr」


ウニ頭の少年「やめろ!何してんだお前ら!」





私が声を張り上げる前に、向こうから黒髪のウニみたいな頭をした高校生くらいの男の人が現れた。


まるで、ヒーローみたいに。

ウニ頭「お前ら、弱そうな奴からカツアゲなんて小者な事してんじゃねぇよ!」

ウニ頭のヒーローはスキルアウト達に指さし、啖呵をきる。

私の中で燃え上がっていた何かは差された水で消火された。

…むぅ。ちょっと、面白くない。それ私がやろうとしてたんですけど?その立場にいるはずだったの私なんですけど?

……ああいう人達に対してあんなに強気に出れるってことはやっぱり強い能力者なのかな


スキルアウト「「「「ギャハハハハッッ!!」」」」」

金髪スキルアウト「いやいや、ちょっと金借りるだけじゃん?お前にゃカンケーねーだろ?向こういけって、ホラホラ。」

しっしっ、とあっち行けジェスチャー。

上条「んなことできるかよッッ!そこの眼鏡のやつ、早く逃げろ!」

ウニ頭さんが眼鏡くんを捕まえてた青髪スキルアウトにタックル!

いやいや、待ってウニ頭さん!眼鏡くんそんな度胸ないって!そんな勇気あったらもう逃げてたに決まってるじゃん!

案の定、眼鏡くんはプルプル震えて微動だにせず。いや微振動はしてるけど

上条「な?!なんでにげnっだッ?!」

あ、殴られた

青髪のスキルアウト「いったいな~自分なんやの?ヒーロー気取り?バッカじゃないの?」

ガスっ、ぼぐっ、どふっ。

上条「う、ごぇっ…おげぇぇぇえ!!」

袋叩き。何かの能力を使わないって事はあの人無能力者か、喧嘩には役立たない能力者なのかな?





………あれ?





……私、助けに行こうとしてたよね?してたはずだよね?


助けに行こうとしたのは眼鏡くんだったけど、ウニ頭の人を助けない理由にはならないよね?


……わたし、なんでここであの人が吐瀉物まみれになって倒れてくのを見てるんだろう?


なんで私、助けにもいかず、誰かを呼ぶ事もせず、冷静にあの人を見物してんだろ?


……ああ、そうか


私、ホッとしてるんだ。


『あー!よかった!もし私が助けに行ってたら、あのウニ頭の人みたいになってたんだー。ほんっと、"助"け"な"く"て"よ"か"っ"た"ぁ"ー"!"』




って。


……あー、そっかそっか。私、自分が思ってたよりもゲス野郎だったんだね。……初めて、知ったよ。


あはは……

ほんっと、私って何にもできないんだなぁ。


暫くして。ボロ雑巾になったウニ頭さんと。結局財布ごと盗られた眼鏡くんだけが残された。

眼鏡くんは「なんだよ!結局盗られちゃったじゃないか!」と叫んで蹴りの一発をウニ頭さんに叩きこんだ後泣きながら去っていった。

おいおい…仮にも助けようとしてくれたんじゃないの?その人。よくそんな事できるね


私は、前から思ってた事を再確認した。


『チカラがなければ、正しく生きる事はできないんだ』


と。



『チカラ』が何かとは定義しないけど、それは、


例えば、御坂さんのように。

例えば、白井さんのように。

例えば、初春のように。


…例えば、あのウニ頭さんのように。



そうだ、そうだよ。もしあの眼鏡くんにチカラがあったらそもそもあんな人達に絡まれなかったんだ

もし、私にチカラがあったら。


……いや、違うよね。前は飛び込めたんだから。今と変わらないのに

ただ、あの時は本当に運がよかっただけで、『普通ならどうなるか』を見ることがなかったから飛び込めただけで。

いやこれも、助けに行かなかった大義名分にしたいだけかな……


……何で私は、助けにもいかず、見てただけで。

ここで自分の情けなさと不甲斐なさで無様に泣いてるだけなんだろう。

う、うう……ぐす、うっぐ……


鼻水と涙でぐちゃぐちゃになった顔を袖で拭う。

……止めよう。泣くのは。

……つけよう。『チカラ』を。

能力じゃなくてもいい。

勇気や精神力、信念だけじゃない。


もう、誰も泣かなくて済むチカラをつけよう。



上条「…あ、もしも…し。救急車…一台、お願い…します…ええ、はい。いつもの、ウニ頭です…はい、はい…あ、場所は第7学区のファムマ裏の、路地裏です…右足骨折、アバラ何本か逝ったっぽいです…あ、はーい。待ってまーす」



その日から、私は『特訓』を始めた。







……それで?佐天さんはその後どんな特訓をしたんです…?

佐天「うん、『地獄の特訓』」


い、一体どんな……

抽象的すぎて具体的な事は何にもわかりませんが、とにかくうら若き乙女が『女の命』とも称されるモノをなげうつ程の(ハゲるくらいの)努力をした、ってのはよくわかりました。

それで……どれだけ成果が出たんですかね?

私が知ってる佐天さんは『空力使い(エアロハンド)』、Level0。

『地獄の特訓』で一体どれほど…


佐天「んー?Levelは0のまんまだよ?」

…え。


そんなに(ハゲるまで)努力したのに何も進歩しなかったんですか?!

佐天「まー、特訓したからって言ってすぐすごい力が手にはいるなんて事はお話の中だけだよ」

いや、そりゃそうかもしれませんけど。

佐天「でもまるっきり収穫がなかったわけじゃないのだよ初春」

チッチッチ。と私の顔の前で指をふる佐天さん。

じゃあどんな収穫があったって言うんです?

佐天「……とりあえず、喧嘩は誰にも負けなくなった」

…ストリートファイトにでも明け暮れてたんですか?

佐天「んーん。毎日欠かさず腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回、ランニング10kmやってただけ」

わー、鍛えてたんですねー……

筋肉を。



ってそりゃLevelあがりませんよ?!強さが欲しかったんですよね?!

佐天「いやそれだけじゃないよ初春!」

佐天「朝昼晩と絶対ご飯食べたし、精神鍛えるために夏はクーラー、冬は暖房なしで生活するという荒行をだね…」

いやだからそれでもLevel(忍耐力)しかあがりませんよ?!

地獄の特訓とか言ってふっつーの鍛練じゃないですか!『チカラ』が欲しかったんじゃ…

佐天「んー?…いやいや、前提が違うよ、初春。私が欲しいチカラ=能力強度じゃないよ。チカラ=腕力でもないし、チカラ=勝利でもないしさ?」

????

よくわからなくなってきたんですが。

…佐天さんって筋肉信仰、肉体言語派の方でしたっけ?

佐天「そーいうんじゃなくってさー…、なーんてゆーかなー?そういうのだけじゃなくってさー……?」

うだうだ。顎を机に乗せてストローくわえてピコピコ振る佐天さん。


……ん?風紀委員用緊急コール?

『第7学区、セブンスミスト周辺で駆動鎧が暴れまわってる』?!

……すみません佐天さん、ちょっと緊急事態みたいなんで私行きますね!


佐天「…やめといたら?初春」


え?



な、何言ってんですか佐天さん!私も風紀委員なんですよ!?せめて何か手伝える事をしなきゃ!

佐天「うん、だからね?そーいうのは警備員の仕事であって、校内治安を守る風紀委員さんの仕事じゃないでしょ?」

佐天「初春は白井さんに感化されすぎ。正義感に振り回され過ぎ。」

佐天「大体、電脳戦ならまだしも、『駆動鎧』相手に何する気?」

佐天「戦えないのに無理したって、怪我するのがオチだよ?」

佐天「あの時の私や眼鏡くん、ウニ頭さんのように。チカラないのに出張ってもしょうがないんだって」

~~ッッ、見損ないました!佐天さんはもっと勇気がある人だと思ってましたよ!


さっきから変わる変わるって言って、結局一歩も進んでないじゃないですか!

大体、チカラがどーのこーの言うより、例えダメでも何か行動する人の方がよっぽどかっこいいですよ!!

……ごめんなさい、もう私行きますから!お金ここに置いていくんで!それじゃ!




佐天「……」





佐天「……バケモノ扱いされたくないから初春には現場に来て欲しくなかっただけなんだけどなぁ……しょーがないっかぁ」


佐天「…さて、私も事件現場に行きますか。店員さん、おあいそお願いしまーす」

ウニ頭の店員「あ、はーい」

佐天「」

ウニ頭「……」

佐天「……ひょっとして、聞いてました?」

ウニ頭「……いえ…」メソラシ

佐天「…なんかごめんなさい」ペコ

ウニ頭「いえ…」



佐天「あ、じゃあウェブマで…」ピッ

ウニ頭の店員「……恐れ入りますがお客様、300円程足りません」

佐天「……」ナイ

ウニ頭「………」


佐天「………」

ウニ頭「………」


佐天「……」ニコッ

ウニ頭「………」ニコッ


佐天「………」ダッ

ウニ頭「食い逃げだぁ―――!!」



佐天「いや違うんで!後で払いにくるんで!ツケで!今急いでるんで!!」ダダダダダ

ウニ頭「ウチはツケなんてシステムねーんだよ!!待たんかいぃぃぃ!!!」ダダダダダ





テレスティーナin駆動鎧(-Five-Over-・Gatling_Railgun)「ぎゃっはははははははははははははは!!!!」

テレス「ざっまぁあああねぇぇえなぁぁあああ?!れェェるがァァン?!」

御坂「ぜぇ、はぁ…く、」

テレス「ほらほらホラホラホラホラホラホラぁああああ!!!早く私を何とかしないと、町中スクランブルエッグになっちまうぞぉぉぉぉぉぉ?!」ズダダダダダダ

御坂「くっ…そぉぉぉ!!!」

御坂(ダメだ!磁力操作で砂鉄やスクラップの盾を作っても消し飛ばされる!)

御坂(超電磁砲を撃っても相殺される!)

御坂(放電やアークブレードはリーチが足りなかったり、周りの風紀委員や警備員、一般人に被害が出ちゃう!)

御坂(不味い!このままじゃ……)

テレス「更にダメ押しだぁああああ!!」

御坂(?!キャパシティダウン?!……ダメ、演算、が………)

テレス「ハハッ、アハハハハハはははははははっッッ♪」

テレス「よぉぉぉぉぉぉやく、あん時の雪辱晴らしてやれるなぁああああ?!れェェるがァァン?」

御坂(銃口、突き付け、られ……ああ、もう……お、わ………………)



初春「たぁああああああ!!!」ガン!

テレス「………ハァ?」

初春「…これで、私特製ウイルスを流し…ッ?!」

テレス「……ハァ?ハァ?ハァ?なぁーにさッッッむゥイ茶々入れてンだ花畑よぉぉぉぉぉぉ?!」ドガン

初春「あ……」

御坂「初、春さ……」

初春「」ドサ

テレス「クソの役にも立たねー雑魚がしゃしゃってくんなよ…気分悪りい」

御坂(気絶した、だけか)ホッ

テレス「そんなもんで、メイドイン私バージョンの『-Five-Over-』が狂うわけねぇぇえだろぉぉぉがよぉ……」

テレス「あーうん、悪かったな、『超電磁砲』。トドメ刺すの遅れちゃって」ウィーン

テレス「…外部に隠し設置したAIMジャマーも起動した。しっかりきっかり、確実絶対に。100パーセントあの世に着払いで送ってやるから…感謝しろぉ?」キュィィィィ………

御坂「………も、…ち…、く、……」





佐天「お、ギリセー?よくやった初春」


テレス「あ?」




佐天「まぁ、ちょっと待てよ。ピンクババア。」






…私が目を開けると、私や御坂さんがまだ五体満足で生きている、ということがわかった。

私の体はまだ『痛い』という感覚が全身にあるし、御坂さんは驚愕の表情でテレスティーナを見ている。

……『テレスティーナを見ている』?


…私の記憶が改竄されてないのなら、あの脱獄犯はまっピンクの駆動鎧に乗っていたはず。

だから、駆動鎧の中に格納されているテレスティーナ本人を肉眼で確認する事なんて、できないはず………なのに。

テレス「………な、……なに、が……?」


なぜ、駆動鎧の前半分が吹き飛んで、中身が露出してるんでしょう?


佐天「やだな、ちょっと駆動鎧のコクピットカバーはたいただけじゃないですか」


?!佐天、さん…?

じゃ、佐天さんがやった、と…?

いやいや。いやいやいやいやいやいや!!

佐天さんはLevelゼロですよ?!

っ、何か兵器や特別な武器を…?

………いえ、何も…武器やそれらしいものは、な…い……?


佐天「ちょっと流石にこれはダメでしょ。やりすぎですよ」

そんなちょっとマナー悪い人に注意するような……

テレス「……あん?テメェ、最近どっかで見たと思ったら…"八人目"か?!」

……はちにんめ?

それは、もしかして。学園都市に7人しかいないLevel5に、新しく序列に加わった八人目がいて、それが佐天さん…という意味で言ってるんでしょうか?



テレス「はっは!はははっはあははは!!」

テレス「まさか、こんなとこで八人目に会えるとはなぁ?!」


!もしかして、さっき佐天さんは嘘をついていたんですか?!本当は、『空力使い』の


"Level5"に…?


テレス「だっがぁ!残念無念!その性能が遺憾なく発揮される事はないのでした!くらいやがれ!」

っ!そうか、キャパシティダウン………!

佐天「……」ボヘー

……………あれ?


テレス「な、何故キャパシティダウンが効いていないんだぁあぁああぁ?!貴様はlevel5なんだろォおおおおおおおおおおがよォォォ?!」

テレス「『ちっとも効いてません』なんてツラしてんじゃねぇぇえよクソ虫がよぉぉぉぉぉぉ!!!」


ヒステリックに叫ぶテレスティーナをよそに、佐天さんは「あー、今日の晩御飯何にしよっかなー…?」とでも部屋でぼんやり考えてるように佇んでるだけ。

あっれー……?



佐天「…ハァ、違いますよ?よく言われますけど、研究員さん達が勝手に言ってるだけで。私は未だに『空力使い』の『level0』ですよ」

…はい?……ダメです。私にはもう、なにが何だかわからないです…

テレス「は、ハァ?!そ、そんなわけないだろぉが!!たかがクソ無能力者が駆動鎧をはたいただけで破壊できるわけないだろぉが!!」

そーだそーだ!どーゆー事なんですか佐天さん!

佐天「…毎日欠かさず腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回、ランニング10km」

佐天「一日たりとも休まず続けて、『変わろう』って頑張ってたら……」

佐天「ハゲて、強くなりすぎてた。どんなものもどついてぶっ壊せるようになった」


佐天「そんだけ。」どん!


………えぇ~………


テレス「嘘をつけ!」

佐天「………じゃあ、それに搭載されてるだろう能力測定機でも何でも使ってみてくださいよ。本当かどうかわかりますから」

ピッ

テレス「……なッ……は、判定、『Level0』……!」

え。……じゃあ、さっきの妄想話、は……?


本、当?


佐天「言ったでしょ?じゃあ、もういいですよね?」


ツカツカと。拳を握り固めていく佐天さんが近づいていく。





テレス「まッ―――――――」





佐天「 さ よ な ら 」





ドッゴォォォォォォォォォォォォォッッッッッッッッッッッッ!!!!






    それはまさに"拳の咆哮"だった


     テレスティーナは。


   キャパシティダウン、AIMジャマーを展開し、数メートルある駆動鎧を着込み、毎分何千発と撃ち込む『-Five-Over-・Gatling_Railgun』を装備した、

……少なくとも、この場においては『絶対の強者』であるはずの彼女は。


少女のたった一発の右拳で。


暗く、陰気な空へ向かって、打ち上げられていく。


投擲された物体が落ちる時、必ず描く放物線。その軌跡上にあるものを全て巻き添えに破壊しながら。


ビルの一角を吹き飛ばし、マンションの窓ガラスをぶち破って、会社の看板を引きちぎり、『窓のないビル』の一部をぶち抜いて。


テレスティーナ・木原・ライフラインは天空へと姿を消した。




『あ、これ夢見てるわ』。



全身の痛みがないなら、そう判断するような。

嘘のような光景。



佐天「さってと…もう行かなきゃ。じゃね、初春」

こちらを見ずに。手をこちらにヒラヒラ振りながら。

どこへ、行くんです?



佐天「私の"チカラ"を必要とする人達の所へ」





佐天さんはそのままけだるそうに何処かへ歩いて行きました。


あれだけの事が起きたのに、何もなかったように。

……あれ?私、本当に夢でも見てたんですかね?




「…ねー、"八人目"ってさ、どんな人なの?」

「あー?お前知らねーのかよ?"ヒーロー"だよ"ヒーロー"。」

「誰かが理不尽な暴力振るわれてたら、いつでもどこでも駆けつけてくれるハゲた女子」

「…ハゲ?女子?」

「そ。ハゲ女子。」


「どんなやつもワンパンで倒すんだと」

「画像ないの?情報とか、どんな人かとかさ」

「んんー…ちょっと待ってー。掲示板に確か………よし、出たよアケミ。はい私の携帯画面見て」



~Level5の噂、第八位編~


Level5序列:第八位

氏名:佐天涙子(さてんるいこ)

能力名:一撃必殺【ワンショット・ワンキル】

強度:Level5

能力詳細:いかなる物、いかなる者でもたった一度の殴打で破壊する。

     『空力使い』のLevel0という判定だったが残す結果は明らかにそれではなく、また常人の身体能力を大幅に越える。

     原石の可能性有り。




『…あれ、あの時のウニ頭さん?』

『ちょ、その呼び方は……?どーしたの、そんな走り回って』

『私、変わる事にしたんです』

『へー、お疲れさま。ちなみに変わるって、どう変わりたいの?』



『今度こそ、誰かを助けられるヒーローに。』ニッ


『それじゃ!』


『…あれー?ひょっとして俺すっごく皮肉られた?』





ウニ頭「へぇ…すごいじゃん。あの子、ホントにヒーローになったんだ」カチカチ

木山店長「携帯を弄らなくていいから、あの子の食った分もしっかり働いてくれないか?」


ウニ頭「あ、はい」ゴシゴシ


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ウート「…ど?」

佐天「おお…すっごい爽快感…」キラキラ

佐天「私、TUEEEEEEE!!」キャー!

佐天「クールに去る私かっくいー!」ッフー


天井(私としては厨二真っ盛りの君に、今のうちに色々言っておいてあげたい事があるんだが…)



佐天「いやー!あのドッゴーンの辺りとかよくないですか?!」

天井「…そうですね?」ニッコリ



シギン「…ふっ」どやっ!

ウート「実際は一言二言『助言』しただけで、プラン立てて術行使してたの俺だけど、『私の手柄!どう?』ってなってるシギンちょー可愛ィー」ナデナデ

シギン「はう?!///」

天井「そうだな、素材提示の術式アシをやってたのも私だけだったがドヤ顔して自慢気なシギンちょー可愛ィー」ナデナデ

シギン「あう?!///」

ウート天井「「可愛い可愛い」」ナデナデナデナデ

シギン「わ、私の『助言』あったから上手くいったんだもん!私の手柄だもんんん!!////」うー!


佐天(仲いいなぁ…)





ウート「ありっとーざぃましたー!」ヒラヒラ

シギン「また来るといいよ、と『助言』しよう」フリフリ

天井「ありがとうございました。また御越しくださいませ」ペコリ

佐天「お邪魔しましたー♪」フリフリ




佐天「あー!楽しかった!今度は違うのを……ん?」

初春「ふーやっと帰れますー」テクテク

佐天「ふ」ニヤリ


    \うーいーはーるぅー!/




      \みゃ―――?!/




ウート「……あい、皆乙カレー!」コト

シギン「お疲れ、私。今日の成功は私がえむぶいぴー」フゥ

天井「突っ込まんからな?」


ウート「今日の客は中2な感じだったなー?なつかしーわー。俺もよくあんな感じの妄想したわ」ウン

シギン「へぇ?ウートガルザロキはどんな感じなの?どんなだったの?」

ウート「(・_・)」

シギン(真顔で沈黙?!いったいどれほどの…!)ドキドキ






天井(……気になる事が一つある。)



天井(実は、私が加入してからのこの店の売り上げを計算してみたんだが…)


天井(10万円越えてない)ウム


天井(ウートくんとは最初にちゃんと契約していたんだが…これ本当に私達の給料はちゃんと支払われるのか…?)ブルブル



ウート「?またあまっちが不安顔になってるな?」ホノボノ

シギン「ほんとだ。天井くんあの顔するの好きだね」ホノボノ


投下終了。


先日、たまたま聞く機会があった。ので、私がイメージするウートガルザロキのCVは江口拓也さん

異論は認めまくる。投下。


~とある高校前~


上条「えー……?」

上条(いやいや、いやいやいやいや…いや確かに上条さんは記憶がありませんから、吹寄さんとどうだったか、なんてのはわかりません事よ?)

上条(でも、今までの学生生活の中で、そんなそぶりや言動、噂やら何やらなんて聞いたことも…)ウムム

吹寄「何してんの?早く行くわよ」グイッ

上条「お、おう…」



姫神「なん……だと……?」コソコソ

姫神(思わぬ。伏兵。確かに当麻くんはモテるし。吹寄さんは『対カミジョー属性』を持ってるなんて言われてても所詮は"メス"。)

姫神(やはり。彼女もオスのフェロモンには逆らえなかったということか。ぐぬぬ。)

姫神(……せめて。追えるとこまで追う。敵情視察。)コソコソ



~買い物しましたの!キンクリですの!~



吹寄「いっぱい買えたわね」

上条「ああ」

上条(しかし、本当に吹寄が幼馴染みだったんだとしたら…やっぱり、色々あったんだろうなぁ…)

吹寄「―――よねー、―――さ」

上条「へー、さすがだなー」

上条(…多分他にも。吹寄以外にも。記憶を失う前に親密な仲だったり、関わっていた奴っていたはずだよな…)

吹寄「――それでね、また大きくなっちゃって、ブラをまた変えなきゃいけなくなっちゃったのよ」

上条「へー、さすがだなー」

上条(もっと積極的に失った記憶の残滓を探した方がいいのか?)

上条(でも、どうやって探せばいいってんだ?)

吹寄「―――でさー、…ちょっと、聞いてる?」

上条「ふぇっ?!ああ!ああ聞いてるとも!で?どうして佐藤さんちのお子さんが高校を辞める事になったんだ?」

吹寄「貴様が何一つ聞いてなかったのはよくわかった!」ゴス

上条「びぶるちっ!」



吹寄「ったくもー…ほら、早く貴様の部屋に入れなさい?」

上条「へいへい…」ガチャ

インデックス「あ、とうま!おかえりなん」

バタン……

上条「ごめん吹寄、ちょっと俺の部屋人呼べる感じじゃなかった」フルフル

吹寄「私は気にしないし、誰にも話さないわよ。それに、ごはん作ってあげるって約束したでしょ」ガチャ

インデックス「ほんと!?いっぱい食べさせてくれるとうれし」

バタン

上条「いやだからさ、ちょっと……な?女の子には見せられないもんとかあるからさ、な?」フルフル

吹寄「何よ、私と貴様の仲でしょ?」ガチャ

インデックス「とうま!またなの!?」プンスコ!=3

バタン!

上条「わかった、だが30分くらいは待ってくれ。ちょっと窓から逃がし…隠したいエロ本あるから…」

吹寄「早くしなさいよ」

上条「悪いな」ガチャ

インデックス「とうま!さっきからなんなのかな!開けたり閉めたりし」

バタン…



姫神(…今。当麻くんの部屋の中に。…インデックスちゃんが。いた。よう……な…?)ガクガクガクガク

姫神(ま。まさか…)



上条「お待たせ」

吹寄「はいはい」

バタン

姫神(…出てくるまで。待ってみる。積極になれ。私。吹寄さんが帰ったら。当麻くんを詰問する)



姫神(…寒い。)プルプル

姫神(…お腹。すいた…ぐすっ)クー





吹寄「…で?隠したかったのはあの子かしら?」ニヤニヤ

上条「ブフーッ!」

上条「え?え?何の事だ?お前幻覚でも見たんじゃねーの?ハハーン?わかったお前ひょっとして男子寮の妖精さんを見たな?このラッキーガールめ!」キョドキョド

吹寄「焦りすぎでしょ…大丈夫。別に誰にも言わないわよ」

上条「…え?」

吹寄「な、なによ」

上条(嘘だろ?いつもの吹寄なら『また貴様はー!』とか、『どういう事だ上条当麻ー!』とか言ってデコクラッシュしてくるのに……)


上条「…はっ!まさか貴様、偽者だな!?」ビシッ

吹寄「…えー…」

上条「いやいや!なわけないよな!嘘だからデコクラはやめ…」



吹寄?「…なんだよ、もうバレたのかよ」ッハー…



上条「えっ」




吹寄ル「あー、うん、初めまして。になんのかね?」パキバキパキ…

上条「えっ、やだなにそれこわい」


吹よール「俺は『グレムリン』の正規メンバーの一人。」パキバキパキ…

吹ール「"直接戦闘"担当…」バキ…


トール「『"雷神"トール』だ。よろしくな」ニッ

上条「」


トール「実はさ、ちょっーと協力してくんねーかな?と話に来たんだよ。幻想殺し。」




~夕刻、『叶え屋』店内スペース~



シギン「くぁ、ふぁ~~…あみゅ、む」ニャムニャム

シギン(眠い。眠いよ。まだ夜にもなってないってのに、眠くなっちゃうこの現象ってなんなんだろうね?)ふぁ…

シギン(んー…)エート

シギン(よし、ニャムニャムするから『ニャムニャム現象』と名付けよう)ウン

ウート「~♪」ゴソゴソ

シギン「ん?」




ウート「ぃってきま~すっと…」ガチャ

シギン「…どこいくの?ウートガルザロキ。」

ウート「ふぁっ?!…なんだ、シギンか」

シギン「……なぁに?何かやましい事でもしにいくの?…シにイくの?」ジトー。

ウート「いかがわしいナニかと勘違いしてるみてーだから一応否定しとくぞ?ちげーからな?」

シギン「そう。…それで、いつもより上等なスーツを着てネクタイしめて。いつもと違うワックスと香水つけてどこいくの?」ジトー

ウート「…あー、アレ。ちょっと最近知り合った女の子と酒飲みにいくの。うん」ヒラヒラ

シギン「……………へぇ」ムスーッ

ウート「な、なんだよ、不満そうにすんなよ……あ、焼きもち?『私のウーくんが知らないおにゃのこと飲みに行くのいやー!』って?」ニマニマ

シギン「ち、ちがうし。別に私ウートガルザロキと付き合ってないから、ウートガルザロキが誰とどこでナニを致そうが知らないし!」

シギン「どうぞ、ご自由に!」ぷいっ!

ウート(嫉妬してんじゃん)ニヤニヤ(・∀・)


ウート「ま、そんなわけで。あまっちには『今日ご飯いらない』って言っといて」ヒラヒラ

シギン「はいはい」ムスッ

ウート「…あー、お土産買ってくるからさ、そんな怒んなって」ナデナデ

シギン「………ケーキがいい」プクゥ

ウート「りょーかい。んじゃぁね」フリフリ

バタン…





シギン「…あんまり、プラプラしないでほしいんだけどな?」ポソッ





ガチャ

天井「シギン、今夜のメインはミネストローネにしようと思っているんだが…他に何かリクエストはあるか?」

シギン「えーとね、コーンスープ」ウン

天井「メインがスープつってんのに更にスープ?!」ガビーン!




~学園都市第一五学区とあるホストクラブ『アースガルズ』~




抜人「今日ウチの新No.1来るってホントッスかシグマさん」


※新訳7巻のバット強盗。仮名。

志熊「おう、バイトなのに、一晩でウチの"元"No.1の3倍稼いだからな。
   いい人だし。ずっといてほしーわ」ケラケラ

※フルネーム、今川志熊。新訳7巻で『破滅屋』に殺られた人その3


抜人「俺まだ入ったばっかなんで会ったことないんッスよー」ヘラヘラ

絶対等速(元No.1、源氏名:イツキ)「…チーッス」ガチャ

志熊抜人「「ウィース」」

絶対等速「…おい、俺順位は落ちたけどな、俺はNo.2だ。
     ちゃんと立って、頭下げて、挨拶。あとケ・イ・ゴ。ちゃんと使えやバカ野郎」ドガン!

志熊抜人「「…すいませんでしたイツキさん」」



※"このホストクラブでは"いわゆる昔の野球部的なノリがあり、

『個人の売り上げ業績ランクが低い人は業績が上の人に敬意と礼儀を尽くさないといけない』

という、どこの職場でもあるような所謂職場内ルールがあると思いたまえ



絶対等速「つか、エツの野郎はどこにいんだよ?挨拶にくらい出てk」

藍花「イツキさん!お呼びッスか!」ササッ

※フルネーム、藍花悦。新訳7巻で第六位の名を騙った人

絶対等速「自分より上位の奴が出勤してきたら、ちゃんと挨拶できるようにスタンバってろバカ」ベシッ

絶対等速「…テメェら全員俺より業績低いくせに調子こくんじゃねーぞ?次、俺に舐めた口聞いたらマジぶっ殺すから」

志熊抜人藍花「「「…………サぁセンッス…」」」



絶対等速「っとによぉ…」スッ

志熊抜人藍花「「「………」」」

絶対等速「……オイ、俺タバコ吸おうとしてんだろうが!さっさと火出せや新参」ゲシッ

抜人「…サーセンッス」シュボ

絶対等速「ッチ、トロくっせーし、使えねー新参だなオイ」プハァ…

抜人「…サーセンッス」

絶対等速「お前さぁ、俺の事舐めてんの?上下関係くらいバイトでもわかっぞ?なぁ?」グイッ

抜人「サーセンっす…」

絶対等速「…ッチ、つか"アイツ"、まだ来てn」


バタァァン!!


絶対等速藍花抜人志熊「?!」



ウート「チーッス!お疲れーッス☆」ミ☆キュミン☆


絶対等速藍花抜人志熊「「「「出勤お疲れ様です!No.1!!」」」」バッビシッ!

ウート「あー、いいっていいって!そんな硬いの!俺ヤーよぉ?俺めっちゃ新参だしね!」ヘラヘラ

藍花「ウーさん!言って貰えれば車で迎えにいったッスよ?!」

ウート「あーいいのいいの!自分で行けるし、先輩にそんなんさせらんねーってぇ!」

抜人「……」

ウート「ん?アレ?見ない顔だけど」

抜人「あ、自分新入りの"バット"ッス!お世話になります!」ペコッ

ウート「あ、君新入り?よーろ↑ーしーこー♪まぁとりあえず?俺を尊敬して?そしたら全部大丈夫だから」ポン

抜人「アザっす!」

ウート「あ、シグちゃん、これ昨日シグちゃんが言ってた、シグちゃんの彼女が欲しい言ってるクッキーね」つ

志熊「!ウーさんアザーっす!悠花の奴、ホントこの限定クッキー食べたい食べたいってうるさかったんスよ!マジ助かるッスわ!」

ウート「あー、昨日シグちゃんが悠花ちゃんに『仕事終わったよ♪電話』してた時も言ってたもんねー、ま、これで更に仲良くしちゃってくださいッ!」ビシッ

志熊「アザっす!」


絶対等速「……ッチ」スパー…

ウート「あ、イツキ、お前暫く禁煙な。理由は『"No.1の"俺が非喫煙者で、ケムいの嫌』だから」

絶対等速「……ウス(ッチ!新参のくせに調子コキやがって…)」

藍花(皆非喫煙者で、吸ってんのイツキさんだけだったしなぁ…流石ウーさん、皆の代弁者。僕一生ついてくッス!ウス!)




絶対等速(クソッ、俺の人生どこで狂っちまったんだ?あの日、ツインテのクソガキに銀行強盗邪魔されてからロクな事ねーぞ)

絶対等速(統括理事会メンバーの一人の『ムショから出してやるから暗部御用達のホストやれ』に始まり)

絶対等速(行ってみればその店は所謂『やらかした奴』等が集まる掃き溜め。ヤバイ取引、暗部のためのアリバイ工作が日常茶飯事)

絶対等速(そんな中でやりがい持って努力して。ようやくNo.1になったと思いきや表の人間っぽいアホ面新参バイトに抜かされる)

絶対等速(しかもなんだよ、"ウートガルザロキ"って!名前長いわ!何のゲームのキャラの名前だよ!)

絶対等速(クソッタレ)

絶対等速(…まぁいい。今日は久々の『上客』が来る日だ)

絶対等速(指名されなくても、無理矢理ヘルプでついて酔わせて金を搾り取り、業績伸ばしてNo.1に返り咲いてやる)スタスタ



※ヘルプ…客を楽しませるメインのホストが忙しかったり、人数必要なサービスをする時にでばるアシスタント。

会話で、動作で。場繋ぎで助けて盛り上げる。




薬味「んふふ、"ちょっとした贅沢"なんて久しぶりよね☆」ファサッ←噂の上客

薬味(『人的資源計画』も順調。『恋査』もまもなく本格稼働!これは自分にごほーびよねぇ?)フフフ…


薬味「ハァッアーイ☆、お得意さんがきたわよー?」

藍花「!…VIP御用達、『アースガルズ』へようこそ薬味ちゃん!久しぶりー!」

薬味(んー、ドアボーイくんは変わらず70点、ってとこかしらね?)

抜人「今日は楽しんでいってくださいね!」

薬味「はーい☆」

薬味(新人くんは68点っと)スタスタ




志熊「いらっしゃいませ、薬味様。お上着、お預かり致します」スッ

薬味「はーい☆」つ

志熊「本日は指名されますか?」つホストの顔、自己紹介、ランキング乗ったメニュー表

薬味「んー、そーねー…」パラリ

薬味(…あら?イツキくんランク落ちしてるわねぇ?代わりに第一位…"新人"、『ウートガルザロキ』?)

薬味(へぇ?面白そうじゃない?ちょっと話してみようかしら?)

薬味「じゃ、この子をお願いするわ?後、フルーツ盛りとワイン。30万クラスのやつ。」

志熊「!かしこまりました。ウチのNo.1、ウートガルザロキの御指名ありがとうございます!では奥へどうぞ!」




ウート絶対等速志熊「「「いらっしゃいませ!今日は楽しんでいってくだっっさい!!」」」

薬味「んふふ、よろしくね?」

薬味(んー、右から85、78、75…点かしらねー)

志熊「ウーさん、御指名です」ヒソヒソ

ウート「あ、俺?あいあーい。」

絶対等速「…ち」

薬味(さてさて?イツキくんを蹴落として一位になった君はどんな子かしら?)

絶対等速「No.1、俺もヘルプつかせてほしィンすけど」ギロ

ウート「え?うーん…」チラッ

薬味「あ、今日はイツキくんはいいや」フルフル

絶対等速「orz」




~お得意様用テーブル席なんだよ!~



薬味「…君、最近入った子よね?じゃ、自己紹介からしましょ。私は薬味久子。あなたは?」

ウート「あ、俺はウートガルザロキっていいます。よろしくでーす」ヘラヘラ

薬味「…へぇ?北欧神話、巨人の国の王の名前?何か好きなゲームのキャラの名前かしら?」ニコッ

ウート「いやっ違うんすよー、よく言われるんすけどね、"本業"の方で使わなきゃいけない名前なんですよー」ヘラヘラ

薬味(……"本業"、ね…。そ。このボーヤも暗部の……あら?でも"ウートガルザロキ"なんて裏家業の奴いたかしら?)ハテ?

薬味「へー、ウートくんの"本業"ってどんなお仕事なのかしら?」ニコッ

ウート「んー、まぁ、超わかりやすく言うとぉ、"手品師"っすね」ニコッ

ウート(嘘は言ってないキリッ)

薬味「へー…じゃあちょっと何かやって見せてよ」

ウート「いいっすよー」ヘラヘラ


ウート「はい、ではあそこでしょぼくれてるNo.2の彼をじーっと、ご覧ください…」





~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 端正な顔立ちと、鈴を転がすような美声を持つ、長髪の青年。


 元『新入生』メンバー、シルバークロース=アルファは第一五学区の繁華街を一人歩いていた。

様々な『駆動鎧(きがえ)』を持つ彼にしては珍しく、普段着込むアルマジロ型の駆動鎧ではなく『―Emergency―』である。


その出で立ちは、粘性のある黒いオイルのようなものと帯状のゴムのような素材で構成され、人工的な筋肉を外側から着込んだような姿。

外側からは化学性スプリングの『繊維』が直接蠢くのが見え、艶めかしい凹凸を持つその表面に赤い文字で『Emergency』のモデル名が表示されている。


学園都市第15学区。『夜の街』として君臨するこの学区を、夜遊びしにぶらつくには少々不適切な装い。


だが、今の彼にとってはこの上なく適切だった。

彼は遊びに来たのではなく、仕事(コロシ)に来たのだから。


駆動鎧コレクションを保有する彼は一つのモデルに拘らず、TPOに合わせて着こなすことを信条としている。


"状況に合わせて最適な物を選ぶことで最大の効果を発揮させる。"


つまるところ、今回依頼された内容を達成するのに一番適切な『駆動鎧』がこれだった、というだけの話である。

雨がもうすぐ降り始めるな、と怪しい雲行きの空を眺め。

シルバークロースはふと今回の依頼についての経緯をふりかえった。




「シルバークロース=アルファ。君に一つ、依頼をしたい」



黒夜海鳥に演算コアとして放り込まれた『-Five-Over-・Gatling_Railgun』から助け出され、病院に搬送されて。

彼が意識を取り戻し、初めに聞いた言葉がこれだった。

病院のベッドに寝ている自分の耳元に遠隔通話モードになったスマホが置かれ、声はそこから。

スマホの画面を横目で見やると、通話相手の名前が表示されている。


通話相手は、潮岸。


潮岸は統括理事会のメンバーの一人であり、学園都市軍事関係に強い影響力を持つ。

常に襲撃を危惧し、駆動鎧を着込む臆病な老人だと聞いている。

……そんな情報を思い出し。なんとなく親近感が沸いてしまった事に、シルバークロースは苦笑する。


「…まさか、最初に見舞いの言葉がをくれる相手があなたになるとは思いませんでしたよ」

「そうかね?」


そりゃそうだろうが。

そんな言葉を飲み込んで、シルバークロースは思考する。

統括理事会のメンバーがわざわざ直々に自分に依頼?あり得ない。


 自分達、学園都市暗部の闇に留まりたがる者達で編成された『新入生』が召集され、事を起こしたのは、学園都市外部の大きな敵、『ヤツら』に対抗する準備として、学園都市内の統制を固めるため。

目の上のたんこぶであった一方通行と浜面仕上に接点を作り、上が危険分子として処理できるようにする為。



……だが、失敗した。



暗部の仕事で失敗="制裁"であり、それは絶対だ。

だから、自分が始末か何らかのペナルティを受けるならともかく、更に仕事の追加というのはあり得ない。

……いや、案外それが制裁なのかもしれない。無理難題を押し付けられ、誰かの利益になるとか、責任逃れのためだとか。

…まぁ何にせよ、受けない訳にはいかない。

保身としての意味でも、自分の信条のためにも。

「…わかりました。どんな依頼ですか?」

「おお、受けてくれるかね?」



白々しい。受けなければ始末するんだろうが。


「…実は、『ヤツら』のメンバーが学園都市内に侵入した可能性が浮上した」


……なんだと?

「君には、この不確定情報の確認と、その情報が真実であった場合の処理をお願いしたい」

なんてこったい。

「わかるね?なるべく物的、人的被害を出さぬように頼むよ」

おい、マジか。

「詳細についての資料、君の『ハンガー』の所在等は全てこのスマホの中にある」

……つまり、お前は完全に掌握されているぞと。

「報酬は、君の暗部復帰だ。…健闘と成功を祈る」

プツリ。通話が終了する。

シルバークロースは思わず頭を抱えた。




どうやら、自分の考えは当たっていたようだ。

この受けざるを得ない依頼そのものが、失敗に対する"制裁"。


潮岸は、

「学園都市が全力を持って相手をしなければならない程の敵性組織を一人で相手どれ」

「お前の"戦力"は全部把握し、制御可能だ。抵抗や離反、逃亡亡命、反逆しても無駄だ」

「『ヤツら』だけを排除しろ。周囲を破壊する"ファイブオーバー"やエッジビーなんかの重量級駆動鎧を原則使うな」

「あとお前クビだから。成功したら撤回するが、失敗したら死ね」


と言っているのだ。




…はっきり言って、無理ゲーである。

難易度、ジェノサイド。魔王相手に初期装備の20Lv勇者が一人で挑むようなもの。

「…なぁにが、不確定情報だ?嘘こけ。だったら"依頼"なんてせずに、とっくに盗聴機なりなんなりで事実確認してるはずだろうが…」


……つまり、いるのだ。確実に。


世界大戦を一都市で圧勝し、勝ち抜けるほどの学園都市が。

科学side総本山、他の追随を許さぬ、最強の技術とチカラを持つ都市が。


"そ"の"学"園"都"市"が"脅"威"に"思"う"ほ"ど"の"『バケモノ』"が"。


(だが、)

しかし、シルバークロースは絶望と共に一種の高翌揚感も感じていた。


(…私はまだ、学園都市を守るために動けるんだな)



 元々。シルバークロースが暗部にいたのは合理的に学園都市を守るためだった。

彼が好きな駆動鎧で遊ばせてくれるこの都市を、好きな方法で。


彼は常々思っていた。



『表だけでは、守れない。』

例えば、家の玄関に番人を置いても、盗人はバレずに窓から侵入して財産を奪うように。


『持てる全力をふるわなければ、食われるばかりだ。』

…例えば、「気にくわないから」と殴られて。「暴力はいけないんだぞ!」とひたすら正論を言った所で相手が止めるわけがないように。


『"全力"を出すには、"裏"でやらなければならない。』

…例えば、家から財産を盗んだ盗人や、散々殴った暴漢が。二度とそんなマネが出来ないようにするためには。


『闇は、必要だ。』


と。



学園都市内の不穏分子の削除及び抹消。

裏で暴走し、学園都市になんらかの損害を与える危険がある者や組織を始末する役割を担っていた

『アイテム』。



学園都市を円滑に動かしていくために「上」に都合の悪い裏の問題を片付ける

『グループ』。


学園都市と協力関係にある外部機関との連携や監視をしていた

『ブロック』。


統括理事長の手足として彼の障害となるものを取り除く

『メンバー』。


外部と内部からの電子情報戦を監視、掌握するためにいた

『迎電部隊(スパークシグナル)』。


統括理事長が隠密迅速に人間を"処理"するための兵隊

『猟犬部隊(ハウンドドッグ)』。


どれもが学園都市運営と維持、世界の中で絶対的アドバンテージを確保し続けるためには必要なモノだ。

尚、あの日。『スクール』が起こした暗部組織間抗争後に壊滅、解散した組織は合併、補充、調整され新暗部組織として成り。

かつての組織がそれぞれが果たしていた役目を担っている。


そう、なくならない。

必要でないならなくなるはずだ。

なくならないなら、必要だ。


闇は手段を選ばないだけであり、学園都市暗部は学園都市を守るために存在しているのだから。


外部からのスパイ、内部からの反逆者……卑劣な手を使う敵を相手どるなら、こちらも外道とならねばならない。


…例え、そのために無関係な者達が泣き叫ぶ事になったとしても。

身勝手だろうがなんだろうが、それは他の大多数の幸福を得るためには支払わなければならないコストだ。

超合理主義者、最大多数の最大幸福を信条とするシルバークロースは、そういう思想を持っていた。



だから一方通行の恫喝により暗部が解散しても。

シルバークロースは『新入生』として闇に残り続ける事を希望した。


歪でも、悪党でも。自分の好きな学園都市を"裏"から守るために。



(…『ハンガー』を確認したが…以前私が所有していたコレクションは全て整備され、揃っていた)

スマホを操作し、入っていた情報を確認していく。


(潜伏先とおぼしき場所は…学園都市第15学区、ホストクラブ、『アースガルズ』…)


(潮岸は、『わかるね?"なるべく"物的、人的被害を出さぬように頼むよ』と言った。)

だが。"始末するために全力を尽くさねばならなくなった場合"は。

全力=目標達成のための最低限度の必要な犠牲ならば。

『やむを得ない場合』においてはシルバークロースは"フル装備"で戦ってもいいはずだ。

(…やってやろうじゃないか。言いなりになりすぎるのは癪だ)

まぁ、フル装備で戦う必要がなければそれに越した事はないのだが。

(だが、負けることはほぼないだろう。…私はこの街でも、決して弱い方ではない。)

ニタリ、と悪い笑みを浮かべる。

そうだ、最強の技術力を持つ学園都市の中でも、だ。

例え外の『ヤツら』がどれだけバケモノでも、脅威であっても。個人でできる事などたかが知れている。

(大丈夫。私は勝って"闇"に舞い戻る)


そんな風に。甘い算段、たかをくくり。シルバークロースは街をゆく。




…………その先にあるのが、



"巨人の王"の胃袋だとも知らずに。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~




―――――――――
―――――――――――

――――――――――――――



ウート「…はいっ!」テッテレー♪

薬味「すごーい!イツキくんが何もない所で縦回転してるー!」キャッキャッ!


     速
    絶 「クソッタレ!どんな理屈でこうなってんだ!?」ギュルルルル

    対 
     等



―――――――――――
――――――――――――――

――――――――――



ウート「……くるくる回ってるよ、イツキくんがくるくる回ってるよ…」ボソボソボソボソ

薬味「………」ボー…

藍花「…ウーさんが手品?をやってる時、皆ボーっとしてるのなんなんですかね?」

志熊「幻覚でも見てるんじゃないか?ははは」



投下終了。シルバークロース云々は憶測7割、推測3割。

この話もそろそろ、うねりを上げて吹き荒れる。ほのぼのはまだする。

尚、最終回は既に書いてある。…ので、多少間が空いても気にはしないで大丈夫。


ヘタ錬は出す予定ないなぁ…いまんとこは。

投下。


薬味「Σ(´□`)」ハッ

ウート「どーでした?」ニコッ

薬味「すごく面白かったわ?」ニコッ

薬味(もっと捻ってたらね)

ウート「そりゃよかった!」ニコッ



~カラオケ~

薬味「ズン♪ズンズン♪ズンドコ♪」

ウート藍花絶対志熊抜人「「「「「HI・SA・KOっ♪」」」」」

薬味ウート「「ズン♪ズンズン♪ズンドコ♪」」

藍花絶対志熊抜人「「「「「HI・SA・KOっ♪」」」」」


※薬味ちゃんはおばーちゃんですので


~ポッキーゲーム~

ウート「ぃまからぁっ!久ちゃんとっ!ポッキーゲームやりまァすッ!」

薬味絶対藍花抜人志熊「「「「ウェーイ!」」」」

ウート「はいっ、久ちゃんあーん☆」

薬味「あーん!」アム

ポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリ…

薬味「んっ…」

ウート「ん」

薬味「…きゃー!やーだー!ウートくんとちゅーしちゃったー☆」

ウート「っしゃッ!久ちゃんの唇頂きましたッ!(棒)」

絶対「ってめ、ずりぃぞ!抜け駆けしやがって!(棒)」

藍花「ピュー♪」

抜人「フゥー♪」



~ドンペリタワーだドン~


ウート「ハイ!ドンペリタワーご注文頂きましたッ!ッエーイ☆」

絶対藍花抜人志熊「「「「ッエーイ☆」」」」

薬味「久ちゃんの奢りでぃーす☆オメーらっ!たんっとお飲みッ☆」イェイ☆

ウート絶対藍花志熊抜人「「「「「ウェーイ!あざーすッ!」」」」」

ウート「ハイじゃ、かんぱーい!」

絶対藍花志熊抜人薬味「「「「「かんぱーい!」」」」」

ぐびっぐびっ…

薬味「ん、わたしぃ、ちょっといーとこ見せちゃおっかなー?」チラッチラッ

ウート志熊抜人絶対藍花「「「「「見たーい!」」」」」

ウート「ッハイ!久ちゃんの!ちょっといーとこ見てみたいっ!」パンパン!

絶対藍花志熊抜人「「「「飲んで飲ーんで飲んで♪飲んで飲ーんで飲んで♪イッキ♪イッキイッキ♪」」」」パンパンパンパンパンパン♪

薬味「んぐっ、んぐっんぐっ…」

薬味「っはー…」

薬味「飲みきったぜぃ☆」プヘー

絶対藍花志熊抜人ウート「「「「「ウェーイ!」」」」」パチパチパチパチパチパチ!

絶対「ウーさんの!ちょっといーとこ見てみたい!(ゲス顔)」

ウート「?!」

薬味藍花志熊抜人「「「「ッハイ!飲んで飲ーんで飲んで♪飲んで飲ーんで飲んで♪」」」」パンパンパンパンパンパンパンパン♪

ウート「んぐっんぐっんぐっ」グビグビ

ウート「…ハイっ!飲みきり、ましたっ!」

薬味藍花志熊抜人絶対「「「「「ウェーイ!」」」」」パチパチパチパチパチパチパチパチパチ

絶対(ちっ)



※イッキ飲みなどの急激な大量のアルコール接種は急性アルコール中毒を引き起こす原因です。

『本当に死にます。』絶対真似をせず、後輩や部下にも強要をしないでください。



~愚痴トーク~

薬味「だーかーらーさー!わーたーしーは!誰も見たことがない景色を見たいのー!」バタバタ

薬味「一番価値がある人生って、そういう事でしょー!?何か特殊な技術がある人はその世界と景色が見える!」

薬味「何らかの宗教の敬虔な教徒が見たってゆー、『啓示』や『神』、『天使』だって素晴らしいわ!」

薬味「歴史の偉人や犯罪者だって、ある意味では普通の人生では決して見られない景色を見たはずよ!」

薬味「私は"それ"が見たいの!『私の人生は、誰の人生よりも素晴らしいものだった!』って証明したいのー!のー!」ベタベタ

薬味「わかるぅ?!」ダキヨセ

ウート「うん。わかる。わかるよ久ちゃん」ウンウン

薬味「…ほんとぉ?誰も理解をしてくれないようにゃ私の事、わかってくれるのぅ?」ウルウル

ウート「もちろん。俺は久ちゃんの言いたい事わかるよ?凄く共感する」ニコッ

薬味「ありがとー!ウーくん大好きー!」ダキッ

ウート「はっはっは」

絶対「…」ギリッ




薬味「ッハー…楽しかったー」バフッ

ウート「よかった。…あ、俺も超楽しかったよ久ちゃん!」

薬味「んー、じゃ、そろそろおウチ帰ろっかにゃーん…」


藍花「あ、僕車持ってきますね」ガチャ

志熊「じゃ俺が清算しとくね」

抜人「水持ってきます」

薬味「ウーくーん…肩貸してー」

ウート「いいよ。大丈夫?久ちゃん」

薬味「んー。ねーウーくーん、これからアフターで私ん家おいでよー…」フラフラ

ウート「う、うーん、どうしよっかなー?」コマリ

絶対「…ちょっと外の空気吸ってくる」ガチャ


絶対「クソッ」シュボ


絶対(…アイツ、別にそんなに客の扱いが上手いわけでもないのに、なんで上客捕まえるのが上手いんだ?精神干渉系の能力者だったりするのか?)スパー…

絶対(しかし客のリクエストとは言え、前から俺の固定上客だった薬味をとりやがって!)イライラ


絶対(俺がどんだけあのババァにサービスしまくって常連に仕立てあげたと思ってやがる!)イライライライラ

絶対「…あん?」

シルクロ「……」ザッザッザッ

絶対「……」スパー

絶対(……なんだ?アイツ…)

藍花「~♪」ガチャ

シルクロ「…アイツか?」ザッザッ

絶対(殺気?!)ゾクッ

絶対「エツ!逃げ―――」




ズガァアン!!!!!!



全員「?!」バッ

藍花「が、ぱ………」ドサ

シルクロ「………」シュー……

薬味「嫌ぁああ!!」

絶対(クソッ襲撃か?!どこの奴だ?!)バッ

シルクロ「…しまった、早速ドアを壊してしまった」ザッザッ

志熊「エツ!大丈夫か?!」

藍花「が…あ……」ビクンビクン!

シルクロ「…む?『―Emergency―』の一撃を受けて意識があるとは…拳の着弾点を僅かにずらし、受け流したのか?」ホゥ

シルクロ「中々に武術の心得があるようだな。…無意味だが」スタスタ

志熊「てめっ、どこの奴だ!?何しにげぼ?!」ドゴン!

シルクロ「…すまないが、わざわざ目的の解説はしない」

志熊「」ガクッ

シルクロ「一応、『ヤツら』ではなかった場合を考えて手加減はしておいた」


シルクロ「さて…」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ぐるり。

店内を見回し、状況を確認する。

近未来チックな内装の奥。角のボックス席に軽薄そうな金髪の男、30代くらいの女性。

倒したホストの男二人は床に転がっており、戦闘不能。

後ろから入ってきた赤髪のホストは立ち尽くしている。


今日この店は所謂"貸し切り状態"というヤツらしく、ホストも客もほとんどいない。

恐らくは。ここにいるホストのメンバーも、客が指定した条件に引っ掛かる人間だけなのだろう。

そうでなければこれだけ人がいないのはおかしい。

(ふむ。随分人がいないが……罠、という可能性は…いや、ないな)

もし罠だとするなら、最初から潮岸がシルバークロースを始末するつもりだったということになる。

そして、もし本気で始末するつもりならもっと手練れがいるはずであり、人も武装も充実しているはず。

ブービートラップの可能性も考えたが、『―Emergency―』から送られてくる周囲の解析結果にそれらしきものはない。


(さて。『ヤツら』は誰だ?)


「…………」

女は自分を睨みながら、震えている。

保留。

「あわわわわ」

ホストその1、ガタガタ震えている。

「「」」

武術に長けたホストその2は不意打ちにより立ち上がれず、戦闘不能。

ホストその3、不意打ちにより気絶しており戦闘不能。

…不意打ちとはいえ、あの程度で再起不能になるならば『ヤツら』である可能性は限りなく低い。


立ち尽くす赤髪のホスト、AIM拡散力場を感知。能力者であるため、除外。

最後。こちらをつまんなそうに見つめる金髪の軽薄そうな男。

「…………」

震えもせず、戦闘体勢もとらず。視線だけは自分に合わせている。

金色のコインを二枚、キン、キン!と弾いて手遊びをしながら。


スマホのデータ上では無能力者、手品師。

だが。

もし、この中に『ヤツら』がいると仮定するならば。


(一番可能性があるのは、コイツだ。)


シルバークロースは、確信して。

ショットガンよりも遥かに破壊力を持つ拳の照準を、ウートガルザロキに固定した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



志熊「」

藍花「」

抜人「…」ガタガタ

絶対「……」ジャラ…

ウート「………」ジー

シルクロ「…まぁ、全員殺してしまっても構わないか」スッ

シルクロ(嘘だがな。ヤツに攻撃を悟らせないブラフだ。)

抜人「う、うわぁああ!」

バキャ。

抜人「」バタ

シルクロ(候補、更に一人除外。)


絶対(…特殊仕様、暗部謹製の駆動鎧…こいつ、『新入生』のシルバークロース=アルファか?!)

絶対(ここで長い間働いてれば、裏の奴等の名前はよく聞く!)

絶対(『グループ』、『スクール』、『ブロック』『メンバー』『アイテム』『迎電部隊』、『猟犬部隊』、『新入生』…)

絶対(何か一つの暗部組織の名前を聞く度に、構成員の名前一つを聞く度に。ここで奴等の『下働き』させられてればな!)

絶対(…不味いな、こりゃ。多分俺じゃ太刀打ちできないし、バットは無能力者。エツとシグマは戦闘不能…)

絶対(こいつは…)チラッ

ウート「ええー…なんでこんなめんどくさい事になっちゃってんだよ」ハァ…

絶対(はい俺死んだッ!コイツは頼りにならねぇ!)

絶対(…俺がやるしかねぇ、か…)ジャラ…

絶対「ふん!」バラッ!

シルクロ「む」ピクッ

絶対「俺の能力は"絶対等速"【イコール・スピード】。俺が能力を解除するか、投げた物が壊れない限り、その速度を絶対維持する能力!」

絶対「テメェに逃げ場はねぇぞ、シルバークロース!」

鋼玉「」ユルユル

シルクロ「鋼玉の弾幕か」

シルクロ「だが…」

シルクロ「…」つ側にあったワインボトル

シルクロ「足元がお留守だ」ヒュン

絶対「い、がっッ?!」グシャッ

鋼玉「」ピタッ

シルクロ「"自分が能力を解除しない限り"この鋼玉は止まらない…のだったな」

絶対「がぁあああ!俺の足がっッッ!いッてぇえ!」

鋼玉「」ポロッポロッ…

シルクロ「それだけ痛みがあれば能力発動を維持するための演算はできないだろう?」

鋼玉「」コロン…コロコロ

絶対「クッソ…」ゼェゼェ

シルクロ「頼むからこれ以上何もしてくれるなよ。私も別に、君に恨みはないしな」スタスタ


薬味「ひっ」ガクガク

ウート「…薬味ちゃん、店の奥に」スッ

薬味「うん」ササッ

シルクロ(別に女性は狙ってないのだがな)スタスタ

絶対(!?あいつ、まさか薬味を[ピーーー]気なのか?!ヤバイ!それだけは何としても防がなきゃならねぇ!!)ジャラ

絶対(俺があの女にどれほど尽くしてきたと思ってやがる!!)

絶対(普段の接客、サービス、アフター、個人的付き合い…一朝一夕じゃ築けないものを作ってきたんだぞ!?壊されてたまるか!)

絶対(俺がNo.1に再び返り咲くためには、あの客にこれからも金を落として貰わなきゃ困るんだよぉぉぉ!)ブンッ

シルクロ「ふ」ヒョイ

絶対「あ」

絶対(手 持 ち 最 後 の 玉 外 し た !)

シルクロ「…何もしてくれるな、と言ったと思ったんだがな」ギロ

絶対(あ、ダメだこれ。銀行強盗した日(あのとき)と同じだ)

絶対(結局、俺は、また)




ウート「…あー、あんたさ、多分、俺を殺りに来たんだろ?目線でわかるよ」


シルクロ「…」ピタッ

絶対(ふぁ?!)

シルクロ「…お前が『ヤツら』か?」

ウート「じゃね?いや知らんけど。」ヘラヘラ

シルクロ「…」ダッ

ウート「あー、聞かないだろうと承知で一応言っとくけどさ、『やめといた方がいいよ。あんたじゃ勝てない』」

シルクロ「その台詞は、バットで打ち返してやろう」ブンッ!


ウート「…あーあー、実力差が歴然なんだから、素直に引き下がれっての。」


キン!キン!




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




フッ

唐突に室内を照らしていた灯りが消え、辺りは闇に包まれる。

(ふむ?どうやったかはわからないが、暗闇にして優位性を保とうとしたか?)

(生憎だな、『―Emergency―』のサポートのお陰で私には手に取るようにお前の姿がハッキリ見えている。)


シルバークロースが今回装着している駆動鎧『―Emergency―』は、簡単に言えば、これを着るだけで誰でも武術の達人になれるというもの。

肉体とスーツのセンサーを利用し標的を確実にロックオンでき、例えスーツの"中身"を破壊されても"外身"が『経由』し、戦闘を続行する。

高速演算による状況判断と次攻撃翌予測判断。一番破壊力が出せる攻撃を、必ず当てる動きをさせる。

対人戦、ストリートファイトにおいてはほぼ無敵。

その"無敵スーツ"の恩恵に預かるシルバークロースは拳を大きく振りかぶり、空気を唸らせ。ウートガルザロキに向けて必殺の一撃を撃ち込む

ブォオン!!

    が。


「はい、残念ハズレ。」

シルバークロースの拳は空を切った。

(…なんと、これを避けるか。やはり、コイツが『ヤツら』か!)

標的の発見に

『即再演算。次攻撃プリセットプログラムへシフト』

『上段蹴り、肘打ち、リバーブロー、正拳突き、正拳突き』

 『実行』

一瞬の内に、スーツにインプットされた行動プログラムに沿い、眼前の金髪男を容赦なく肉塊にするべく攻撃を開始する。

(当たっているはずだ。当たらないはずがないんだ…!)

かつての浜面仕上との闘いの時のように、相手が同系統の駆動鎧を装着でもしていない限り当たらないなんて事は有り得ない。

にも関わらず。

「………」

すり抜ける。

立体映像でも相手にしているかのように。

(何故だ?!何故当たらん!)

『次攻撃プログラムへシフト、実行』!

が、またしてもすり抜ける。

(偏光能力【トリックアート】系能力者か?!)

完全に透明になれる能力者、実物の位置の認識を誤認させる光学系能力者も学園都市には存在する。

(いや、違う…!これは、そんな生易しいものではない!)

 攻撃を行うのも標的認識をするのもシルバークロースという肉体だけではなく、"スーツ"もなのだ。

このスーツは視覚的判断以外からも戦うべき相手を見つけ拳を叩き込める性能を持つ。にも関わらず、何故外すのか。

「特別に教えてやろうか?」

金髪の青年、ウートガルザロキが口を開く。


「俺の"術式"はさ、『五感で得た情報を別の感覚に移し変える』ってやつなんだ」

("術式"?『ヤツら』の持つという、学園都市での能力とは別のチカラの事か!)

拳を肘を、足を青年にねじ込む。

……すり抜ける。

「さっき、俺はコインを弾いてたろ?あれが術式発動のトリガーなんだよ」

(どういうことだ?コインを弾いたからどうだというんだ?!)

科学一辺倒。『魔術』を知らないシルバークロースには、理解ができない。

「コイントスの"裏と表を入れ換える"象徴によって五感を入れ換えてんだよ。」

(何を、言っているんだコイツは)

「あー、わかんない?つまりさ、ネタバレすると、今のアンタは特殊なチカラで"触覚"が視覚に、"聴覚"が"視覚"になってんだよ」

要するに。

実際はシルバークロースの少し離れた所にウートガルザロキがいる。

しかし、現在シルバークロースは触覚が視覚になっているので、何にも触れてない彼は何も見る事ができない。

そして、シルバークロースの聴覚が視覚となっているので、ウートガルザロキの声、出した音を認識した時、彼の目の前にウートガルザロキの虚像が現れるということなのだ。

戦闘開始時、灯りが消えたのではない。ウートガルザロキがシルバークロースからの攻撃を避けたわけでもない。

ただ、目隠しをされたシルバークロースが誰もいない所へ向けて攻撃アクションを行っているだけなのだ。

(ならば、広範囲に渡る攻撃を仕掛ければッ!)

見えている虚像を無視し、本人に当たるまで攻撃し続ければ。

「いや普通にさせる訳ねぇだろ?」

キン!

コインを弾く音が聴こえ。

バキッ!

「がっ……?!」

唐突に、腹部に激痛を感じる。


"ス"ー"ツ"の"機"能"に"よ"り"痛"み"を"麻"痺"さ"せ"て"い"る"に"も"関"わ"ら"ず"。

「ご…あ…?な、な……?」

「"視覚"を"触覚"に切り替えた。アンタはまださっきの感覚入れ換えによる人体の戸惑い…"酔い"があるから、前の切り替えられた感覚と重なって上手く知覚できてないだろうけど」

「今俺はアンタの視界の中で思いっきり殴るモーションをした」

("殴られる動き"を無意識の内に視認していたから、視覚=触覚の状態の私は殴られたように感じたというわけか!)

しかも、その特殊なチカラとやらは肉体に直接作用するため、スーツによる中身への防護機能は一切働かない。

シルバークロース自身は特別な人間ではない。一般人と何一つ変わらない人間だ

打たれ慣れている訳でもなく、強靭な肉体を持つ訳でもない。



「がっ、あっ!ふっ、ぐぁあいああ!!!ひっぎぃぃいいいい!!」

ひたすら殴打され、間接を捻られ。急所への攻撃の嵐。


「ちょっとした雑談なんだけどさ、」

涼しい声色で、防御不可能な暴行を続けながら、ウートガルザロキは語り始める。

「実はさ、幻覚系魔術だけを使う奴ってのはあまりいねぇんだよ」

「そもそも『幻覚魔術』って分野自体が難しいってのと、戦術として扱うにはクリアしなきゃいけない課題が多いからだ」

「戦闘中に精密な幻覚を見せるって事がまず難しいし、実際に魔術をかける術式の簡略化も難しい。」

「がっ!ああああ!!」

「よしんばかけられたとしても、相手の現実と幻想の境界線を曖昧にし続けなきゃならないから、矛盾が一つもない、違和感ゼロのエピソードをアドリブですぐ思い付かなきゃいけない」

「ちょっとでも違和感を感じられたら幻覚から覚められちまうし、一度破られたらそこからかけ直すのはまた至難の技。」

(くっ、視界に入ると攻撃を受けるなら、目を閉じれば…!)

ピッ。

ウートガルザロキが何かを切り裂く動作をした。

ぽとり。

視線をやれば、落ちた自分の瞼。

目が閉じれないならば、目線を外せば。

キン!

感覚切り替え。感覚酔いと共に別のアプローチからの攻撃が続行される。

(ま、ず……!)

「しかも幻覚系魔術は対策を取られやすい。」

「魔術師は基本、自分の精神補強のために精神防壁を張るからそれを突破するためにかなり強力な術式を使わなきゃならなくなる」

「で、必然として。それだけ強力な術式を扱うとなると、引用するのがそこそこポピュラーな伝承や逸話だったりするからすぐ特定されて術式のタネがバレる」

「だから大体ソッコーで術式を逆算されて、術を封じる手段に出られる」

「あとは、…まぁ、やっぱりあくまで幻覚でしかないから、現実には何も作用しないし、相手を倒すのに時間がかかる。」

「そんな気苦労と扱い辛い魔術を使うぐらいなら、素直に霊装とか物理的に威力があるようなわかりやすいチカラを使った方が遥かに簡単だからな」

シルバークロースはもう身動き一つとれないほど、殴られていた。

成す術もなく、彼には倒れる意外の選択肢がなかった。

「だが、俺はスゲエので。それらの問題をいとも容易く乗り越えた!以上!」

ウートガルザロキのフィニッシュブローを視界に捉えた後、シルバークロースの意識は闇の彼方へ吹き飛んだ




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



シルクロ「」キュー

ウート「よっえ。いや相性もあったんだろうけどさ」

ウート「さて、後はどう―――」

―Emergency―『アラート。アラート。装着者の意識途絶。緊急時システムへ移行します。』

ウート「…あん?」

-Emergency-『起動。招聘。-FIVE_Over-.Modelcase_……』



-Emergency-『 -Melt_ Dowwner- 。』




ズゴォオオオン!!




~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 シルバークロースはもし己が負けた場合、ハンガーにあった"隠し球"を起動、自動装着するよう設定していた。


『-FIVE_Over-.Modelcase_"Melt_Downer"』

学園都市Level5第四位、原子崩し。その、ファイブオーバーシリーズを。

 『-Emergency-』が無理矢理シルバークロースの体を動かし、先ほど轟音が鳴り響いた外へ転がり出る。

そこに鎮座していたのは人型駆動鎧。側頭部には-Melt_Downer-の刻印。

シルバークロース…の体を動かす『-Emergency-』はその開いた胸部の中に飛び込んだ。

ハッチが閉まり、ヒュイィイイイン……と駆動音が静かに呻き、唸りをあげ始める。


動き出す。学園都市第4位が。


「もう、終わりだ…」

赤髪の青年、絶対等速は諦観が滲み出たような声を絞り出す。

「テメェのせいだ。ウートガルザロキ!」

情けない、責任転嫁。

「前から思っちゃいたが、テメェは本ッッ当に疫病神だな!」

「コイツ、テメェを殺るために来たんだろ、テメェのせいで俺達は巻き込まれるんだろ?!」

わかっていても、絶対等速は叫ばずにはいられなかった。

「………」

「俺から上客もNo.1の座も奪いやがって!挙げ句の果てには命まで、だ!」

理不尽に奪われる事への慟哭

「………」

「…何とか言えや!!クソッタレが!」

そこまで言われてようやっと。ウートガルザロキはチラリと絶対等速を見て。

「イツキ。もし助かりたいんなら協力しろ」

「あ?」

「別にお前のもんなんて、何一つ欲しくねぇんだよ。地位も客も、命もだ」

「っのヤロっ…」

「つか、なんかゴチャゴチャ言われんのもめんどくせぇの。助かりたかったらとりあえずは協力しろ。オーケー?」

(…ああ、クッソ!ッッとに気に食わねぇ野郎だッ!)

しかし、もしこの状況を打破できるとするなら、それはウートガルザロキしかいない。

「……なにすりゃいい」

絶対等速は嘘つき巨人の王に賭ける他なかった。



 ファイブオーバー・メルトダウナーは規定された戦闘タスクプログラムに則り戦闘モードを展開する。

自身の躯を膜状のメルトダウナーが薄く覆い『バリア』を展開。

腰に下げた鞘からクレイモアのような武器を取りだし、刃の部分からはメルトダウナーを噴射させる。

背中のバックアップから砲身が伸び、標的に照準を合わせる。

戦闘準備完了。

破壊の権化、鋼の騎士。シルバークロースの、"本気"。

対する、敵性目標の行動は。

「………」


キン!キン!

黄金のコインを打ち鳴らす。


―――――――――――――

―――――――――――――――――

――――――――――――――――――――



((攻撃対象、黄金のコイン2枚を弾く。意味のある行動ではないと思われる))

((ピッ、攻撃対象消失!?再補足、索敵開始))

黄金のコインが2枚宙を舞った直後、ウートガルザロキの姿は消え。


『覚悟しろよ、スクラップ』


鬼のような姿の"巨人"が現れた。



((ピピ、攻撃対象変化。人→鬼のような姿の、巨人。))


禍々しい顔、ツノ。筋骨隆々の巨躯。紅の硬質そうなゴツい皮膚。


ファイブオーバーの電子頭脳の中で戦闘対象が人を想定した物からバケモノを想定したモノへ再演算される。

((攻撃開始。粒機波形高速砲4門発射))

バシュゥゥウウウウ!!!バシュゥゥウウウウ!バシュゥゥウウウウ!バシュゥゥウウウウ!

ファイブオーバーの砲口が閃き、原子崩しが"鬼"目掛けて何発も撃ち出される。

『効かねぇよ』

原子崩し。

 本来『粒子』又は『波形』のどちらかの性質を状況に応じて示す電子を、その二つの中間である『曖昧なまま』の状態に固定したモノ。

簡単に言ってしまえばあらゆる全ての物を消し飛ばすビーム。

そんな暴君のようなものを受けたのに、鬼には傷一つついていなかった。


((砲撃に効果ナシ。メルトダウナー・ソードによる直接攻撃、殴打、銃撃を開始。))

ファイブオーバーはバックアップから原子崩しを噴射、爆発させロケットのように鬼の面前へ飛んでいく。

かつて麦野沈利が浜面仕上との戦いでやってみせた原子崩しの爆発による高速移動の再現。

ヴゥン!ヴゥンヴゥンヴゥン!

原子崩しの刃が鬼の顔面に何度も突き立てられる。

決して折れぬ、万物切り裂く刃。

『だからさ、学習しろよ。無駄なんだって』

文字通り、刃が、立たない。


"鬼"には切り傷一つ、火傷一つなかった。そして、


ブォォオオオンンン!!!


鬼の巨腕がファイブオーバーを薙ぐ。


((ピ、時速300km、原子崩し機動なら回避可能。回h――))


ゴシャ。


((ピピ、理由不明。回避行動を行ったが直撃。不明。不明。不明。不明不明不明不明!!))

触れる物全てを消滅させる『バリア』も虚しく、ファイブオーバーは半壊し、墜落していく、

ゴシャアアアン!!



地に墜ちた鋼の騎士は、虫ケラのように蠢きながら、鬼を見上げた。



((ピガ・がががが、砲\{@∃◎∞仝$∀撃、\!%*#+&~'"^`開(※…))

『イツキ。今だ、やれ』

「!おらよ!」

ファイブオーバーのカメラアイに映った最後の光景は、絶対等速の投げた銀色の玉だった。



――――――――――――――――
――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



シルクロ「」ズリズリ

ウート「…ふぅ。脱がして、縛ったぞと」ギュッギュッ!

ウート「イツキ、外と店の後処理よろしく。コイツはちょっと聞きたい事あるから俺が処理する。」

絶対「あ、ああ…」

絶対「一つ聞きたい事があんだけど。」

ウート「何ー?」

絶対「………No.1。あんた一体何やったんだよ」

ウート「えー?何やったも何も、お前が見てたのが全部だけど?」シレッ

絶対「………」

絶対「シルバークロースが突然外に。いつの間にか現れてたデカい駆動鎧に乗り込んで、攻撃準備。」

絶対「だがあんたがコインを投げてからは急に大人しくなって、地面に倒れた。」

絶対「そこに俺が拾ってきた鋼玉でトドメを刺した。」

絶対「…そんなんで。何がわかるんだよ」

ウート「だからさ、イツキちゃんよ。」


ウート「その場にいた誰が、どんな認識してようと。結局各自が体感したものこそが"現実に起きた事"なだけなんだよ。」ドヤ


絶対「…はぁ?意味わかんねぇよ。そりゃ詮索すんな、って事か?」

ウート「うんにゃ。真摯に答えたつもりだけど?」ヘラヘラ

絶対「………『洗濯屋』に依頼して痕跡を消してもらうよう手配してくる」クルッ

ウート「………」

ウート(いやぁ、グレムリンにベルシがいて助かったわ。)

ウート(ベルシが「例えファイブオーバーシリーズでも、駆動鎧である以上は基本人の脳を演算コアにする」って話してくんなかったら死んでたな)ウン

ウート(俺は機械は騙せねぇ。人しか騙せねぇからなぁ)スタスタ



ウート「大丈夫?薬味ちゃん。ケガ、なかった?」

薬味「う、うん…」ブルブル

ウート「ん。」ダキヨセ

薬味「…」ギュ

ウート「うん。うん。恐かったよね。ごめんな、薬味ちゃん。もう大丈夫だから」ナデナデ

薬味「もー、最悪よ…何で楽しみに来たのにこんな目に…」グスッ

ウート「…じゃあ何かお詫びするよ。何がいい?」ナデナデ

薬味「…"アフター"でも慰めてくれなきゃ、いやよ?」グスッ

ウート「…んんー、じゃあ…ちょっとだけ、ね?」ニコッ


※"アフター"…客と仕事の時間外で個人的に会って色々する事。

大体は食事や一緒に出勤、"寝る"とか。



~数時間後~


絶対「…おかえりなさいませ、No.1。シルバークロースはそこに転がってんで」

ウート「おめーも徹底してんなぁ…」アキレ

絶対「客は?」

ウート「ちょっといちゃついたら満足してお帰りになったよ。とらねーから安心しろい」ヒラヒラ

絶対「…じゃ、俺はもう上がるんで。お疲れさまでした」ペコッ、スタスタ……


ウート「アイツほんとめんどくせーなぁ…」

ウート「ふーっうっと。ソファにダーイブ」ドサッ…

ウート「………」


ウート(さーて、さて。こりゃどーいうこった?)

ウート(シルバークロースって奴が来る事になった発端は絶対俺じゃあねぇよな?いくら何でも侵入から日にちが空きすぎだし、霊装や隠蔽術式のお陰もあってバレるようなヘマはしてねぇ。)

ウート(なーのーにー。コイツは真っ直ぐ俺んとこに来やがった。)

ウート(そりゃつまり、近日中に侵入した『"ウートガルザロキが"侵入していた事を知ってる』誰かさんが誘導したって事だよな)

ウート(学園都市の中の奴がリークして、外の奴等が元グレムリンメンバーを狙う…ならもっと大掛かりになるはずだし)

ウート(普段の生活からバレたんじゃないなら、恐らく最近俺と同じ侵入ルートを使う魔術師が侵入して。そいつが侵入時に俺が使った術式の痕跡を見つけた…ってとこか。)

ウート(となると、)

ウート(変装や変身系、幻覚系術式での侵入をする魔術師。性質上自分じゃ倒すと後処理できねぇ、暫く自分への追手を俺に引き付けさせて潰させようとするような、魔術師……ね)

ウート(…ま、少なくともグレムリンの奴だわな。俺の術式を知ってる奴はそうはいねぇし)


ウート(まずシギンは違う。これをやるメリットがないし、俺が消えたら困るのはアイツだ。それにシギンも侵入から日にちがだいぶ立ってる。)

ウート(ヘルとフレイヤ、マリアン、フェンリルはそもそも侵入ルートが違うし、ヨルムンガンドは役目の管轄外過ぎるから除外。

ウート(バイト二人は俺の術式を知らねぇはずだし、ミョルニルは問題外。ベルシは死んだし、ロキならもっとえげつない。)

ウート(イドゥンとシフは術式どころか俺を知らないし…フェンリルはこんなことするくらいなら自分でやるわ)

ウート(オティヌスは『槍』製造中の時期に危険を承知でわざわざ俺なんかを潰しにくるなんて事はしないはずだから、粛清の線もなし。)

ウート(…ま、消去法でアイツか。)ゴロン

ウート(いやぁ、まさかテメェまで侵入してくるとは思わんかったわ)


ウート(……なぁ?トール。)


ウート(私事だか仕事だか知らねぇけど、人に迷惑かけんじゃねぇよオトコンナ)ハァ

ウート(しかし参ったねこりゃ。やっちまった以上、何もしなけりゃ今後俺が狙われるようになるわな)

ウート(幻術かけて、『この兄ちゃんを倒したのはトールだ。トールが侵入者だ』って正しい認識に戻して帰してもいいんだが…)

ウート(トールが違う場所でカメラにでも映ってアリバイ作っちゃってるだろうから、結局『じゃあトールに化けて倒したのは誰なんだ』→俺が疑われる対象になるんだよなぁ…)

ウート(他のホストの奴等になすりつけてもいいんだが、それはなぁ……)


ウート(あーめんどくせっ!結局目的や依頼内容吐かせて幻術で、『そんな奴いませんでした』って事にするしかねーじゃんか)ガシガシ

ウート(トールのヤロー、もし会ったらただじゃおかねーかんな)ハァ


シルクロ「う、うう…?」

ウート「あ、起きた?シルクロちゃん。突然だが、キリキリ吐けよ?俺残業したくないタイプだからさ」ニタリ

シルクロ「」


~シルクロちゃんはスマホ見つかり、キツい幻術でキリキリ吐かされ→ウートに都合がいい幻覚を見せられましたのです~



シルクロ「」


ウート「はい、スマホ」つ

シルクロ「…もしもし」

潮岸「やぁ、君か。首尾はどうかね?」

シルクロ「誤認でした。」

潮岸「……ほう?」

シルクロ「『ヤツら』は、侵入者は…存在しませんでした。」

潮岸「そうかね」

シルクロ「ええ。杞憂だったようです」

潮岸「……ああ、君がそう言うならそうなのだろうな」

潮岸「わかった。"もういい"」

シルクロ「……」

潮岸「…ああ、そうだ。今後も君のハンガーは君の好きに使ってくれて構わんよ。それでは」プツン…

シルクロ「……どうやら、切られたようだ。二つの意味で。」ポイ

ウート「あらま。ま、仕方ねぇよ。'今'回'の'依'頼'は'上'が'お'前'を'切'る'大'義''名'分'の'為'だ'っ'た'ん'だ'か'ら'」ポン
シルクロ「うむ…しかし、これからどうすれば…」

ウート「暫くはここで働いたら?オーナーに俺から言えばすぐだぜ?」

シルクロ「…すまない、頼めるか」

ウート「勿論。」ニヤリ

ウート(後は志熊達にも幻術かけてシルクロちゃんじゃなかった、って事にしとかねーとな)

――――――――――

―――――――――――――――



~時は少し戻って上条宅~




上条「ぐ、『グレムリン』!?」

トール「おーいえす。あいあむグレムリーン!HAHAHA!」

上条「何しにきやがった!?俺がお前らに協力してやる事なんて絶対ないからな!?」ビシッ

トール「まぁそう殺気だつなよ、上条ちゃん。話だけでも聞けよ。それに俺は観光に来ただけだって。か・ん・こ・う。」ポン

上条「嘘だ!絶対嘘だ!」

トール「………」

上条「…否定しろよ!」ダンッ

上条「うがぁー!つか、学園都市は魔術師に侵入されすぎだろ!どんだけザル警備なんだよ?!」ガシガシガシガシ!

トール「まぁ、そーいうなって。ここの防犯警備は決してザルじゃねぇぞ?」

上条「いやいや、だって実は俺の知り合いの大半もさ…」

トール「いや今まで傭兵として色んな国に何度も密入国してきたが、一番侵入するのに手間がかかって面倒臭かったのはこの街だ」ビシッb

上条「聞きたくない!聞きたくないよそんな不法入国者事情!つかテメェ、グレムリン以前にフツーに犯罪者じゃねーか!」ウガー!

トール「あ、腹減ったし飯食わね?ほら、近づくために変装してたとはいえ、『飯作ってやる』って約束したしな」ゴソゴソ

上条「マイプェーース?!」



トール「『料理は愛情』なーんてのはよく聞くスローガンだが…」トントントントン…

トール「意外とバカにはできないもんだ」サッサッ

トール「要するによ、『料理』というものは、食う側の事考えて栄養配分だとか好みの味付け、好物を作れば相手を喜ばせる事ができるって事だろ?」ジュージュー

トール「とまぁ、俺は解釈してるんだが」コトコトコトコト…

トール「そう考えると料理をするってのは誰でもわかりやすい形で本当に相手を思いやる事が出来る、とても素晴らしい行為だよな」パッパッパッ…

上条「お前…」

トール「出来たぞー」





トール「ラージ・ハンバーガーだ」コト

上条「散々語って結局ジャンクフードぉぉぉ?!」ガーン!




上条「え゙え゙え゙え゙?!栄養配分とか好みの味付け云々はどこいったの?!」

トール「んだよ、文句あんなら食うなよー?」モッサモッサ

上条「なんだろ、オルソラとは別のマイペースさに上条さんはもうついていけませんことよ?!」あ゙あ゙あ゙!




上条「…んで?結局話ってなんだったんだ?」モッサモッサ

トール「お、聞いてくれんの?」モッサモッサ

上条「なんかお前がそんな悪い奴に見えないしな。色々聞きたいし、戦わなくて済むならその方がいいだろ」モッキュモッキュ

トール「過大評価だし、いつかは戦う事になると思うけどな。…実は頼みは二つ程あるんだけども」モキュモキュ

上条「ふんふん」

トール「さっき、学園都市に侵入すんの難しいって話たろ?実は侵入する時にちょっとドジっちまってさ」

上条「ふんふ…え?」

トール「このままだと俺にヤヴァイ追手がくるんですわ」モギュモギュ

上条「えー…と?」

トール「具体的には、戦ったらちょーっと一学区が戦いで消し飛びかねない感じの」ウン

上条「」


トール「だから、多分俺を直接追うであろう奴の矛先を変える手伝いをしてほしいな、と」

上条「ちょ、ちょっと待て!」

上条「それって、ようは身代わりを用意して、そいつに全部押しつけようって事かよ!」

トール「まぁ、そんな感じ」モクモク

上条「ふざけんな!誰がそんなもんに協力するかよ!」ガルル!

トール「…あっれー?いーのかぃ?上条ちゃん」

上条「何が!」ガルル

トール「"戦いで消し飛びかねない"ってのはさ、追手がそれほどの破壊力を秘めてるって事じゃあない。」

トール「『この"雷神"トールさんが殺られないために全力で抵抗するから』ってのが枕詞につくから…なんだぜ?」ニヤリ

上条「?!」

トール「"直接戦闘担当"を舐めるなよ、上条ちゃん。悪いけど、俺はグレムリンの中でも結構強い方だぜ?」

トール「あまりにも強すぎるから、巷じゃ"戦争代理人"なんて呼ばれるくらいだ」マクマク

上条「」


トール「追手を叩きのめすのはわけない事だが、街まで破壊するのは俺も不本意。そうならないためのWin-Winな契約をしよーぜって事よ」

上条「…お前が出ていけば済むんじゃないのか?」

トール「悪いが、そりゃ無理だ。」ゴクン!

トール「詳しくは話せないが、俺が今学園都市を一歩でも出るとヤベェ奴に秒殺される」

トール「…わかるか?それなりに強い方の、この雷神トールを。ボッコボコにできる程の奴に目をつけられてるんだぜ?」

上条「…それって、」

トール「おっと。深くは突っ込むなよ、上条ちゃん。お察しって奴だ」

上条「………」

トール「……上条ちゃんがバゲージシティで、ハワイで。誰かに利用されんのはまっぴらっだー!ってなってんのは知ってる。」

トール「でもよ、今は一刻を争う状況なんだぜ?」

上条「いや吹寄に変身して学校に行って。呑気に俺に飯作って一緒に食ってるじゃねーか」ジト

トール「…昨日から何も食ってなかったし、追手について知ったのが学校で。今までの行動は追手を撒くためでもあったんだよ」ハァ

上条「ふぅん?」ジトー

トール「…ついでに言っとくが、情報の仕入れ先はあの土御門元春だ。信用できるぞ」

上条(逆に信用できねぇ!)



トール「ともかく!アイツに押しつければアイツが全部丸く収めてくれるはずなんだ。その手伝いをしてくれよ」

上条「…さっきから言ってる、"アイツ"って誰だよ」


トール「ん、ああ…元グレムリン正規メンバー。そんで、"裏切りもん"だよ」



~上条宅外~


姫神(…待ち続けるの。辛い。)プルプル


ガチャ


上条「勘違いすんなよ、俺は被害を出されたくないだけで、お前を信用したわけじゃないからな!」

姫神「!」

姫神(やっと。出てきた。さぁ。尋問タイムの始まりだ吹寄!)

姫神(…ふぉ?!ちょ。長時間座ってたから。足が痺れ…)プルプル

トール「はいはい」

姫神(……ん?!当麻くんと出てきた人が吹寄さんじゃ。ない…?)

姫神(インデックスちゃんでもない。あの金髪ロングの女の人は。誰…?)

姫神(私が彼女が入るとこを見てないのに。中から出てきたって事は。当麻くん達が帰宅する前からいたって事だよね?)

姫神(ま。まさか。4人P…?)ガクガクガクガク

トール「ん?」

姫神(あ。こっち見た。…むぅ。レベル高い。かなりの美少女。一体どこの女狐だ。)むー。

トール「…はっはーん…?」ニヤァ

上条「?何悪い顔してんだ?」

トール「上条ちゃん」

上条「ん?なん…?!」




んちゅ。




上条「」

姫神「」

トール「…んっ……と。やー、出掛けの際の無病息災を祈るおまじないを忘れててな」

上条「」

姫神「」

トール「ほら行こう?」ズリズリ


※でこちゅーです。




姫神「」

姫神「」

姫神「」



姫神(なん………………だと…………?)ゴフッ…

ドサッ




~とある病院~




上条「…何?お前そういう方なの?本当何してくれてんの?ちょっ、本当に……なんか………ぐすっ…」グスッ

トール「いや、あくまで親愛の情だ。」フルフル

トール「実はな、あれも必要だったんだ。上条ちゃんは気づいてなかったようだが、怪しい奴が俺達を見ていたから顔を自然に隠すために誤魔化すためにどうしても必要だったんだ(棒)」ペラペラ

上条「そ、そうか…なら仕方ないな…」グスッ

トール(ごめん大嘘です。ちょっとした悪戯ですたwwww)キリッ

上条「で、ここで何をすんだよ」

トール「上条ちゃんは潮岸ってお偉いさんを知ってるか?」

上条「いや?」

トール「……まぁいいや。ともかく、そのお偉いさんが俺を狙ってる。俺が侵入する時、そのお偉いさんの情婦に変身したんだが…後から当人が否定して、そこから『あれ?何者かが侵入した?』ってなったらしくてな」

上条「それで?」

トール「だが潮岸は今腹心の部下が殆どダメになっていて、信頼して動かせる兵隊が一人しかいない。」

上条「そいつがここにいるのか?」

トール「いぐざくとりー。で、今からやるのはその潮岸から兵隊への指示を一部改竄する事だ」

上条「…なぁ、そいつが入院中なら、今殺っちまった方がいいんじゃないか?潮岸はそいつしか動かせないんだろ?」

トール「正確には、"潮岸が信頼して動かせる兵隊はそいつ一人しかいない"だ。」

トール「つか、もし殺っちまったら『侵入者がいるかも?』から『ヤバイ侵入者がいる。直ちにぶっ殺せ』になって、潮岸以外の偉い奴の兵隊に狙われるだろ。」

トール「だから騙してアイツに丸投げして、『誤認でした』か『侵入した奴は自分です』って事にしてもらうんだよ」

上条「…随分"アイツ"って奴を信頼してんだな」

トール「まぁな」

上条「…上手く行くのか?なんか穴だらけのような…」

トール「だが現状何とかできるとしたらそれしかねーのさ。上条ちゃん、時には『行動してから考える』ってのも必要なんだぜ?」

トール「っと。上条ちゃんには釈迦に説法だったな」ケラケラ

トール「さ、やるべき事はささっとやっちまおう」





~近くのスタバ~




上条「…なぁ、スマホの情報書き換えだけでよかったのか?」

トール「ああ。後は一直線だからな。これで俺は晴れて自由の身ってやつさ」

上条「そんなもんか?」

トール「そんなもんさ」

上条「…そういえば、お前は何頼んだんだ?」

トール「ん?リザーブ。スマトラワハナエステート」

上条「…日本語でお願いします」

トール「あー、見てればわかる」

店長「失礼致しますゥ。お待たせ致しましたァ」コト、コト

上条「?」

店長「お客様、リザーブは初めてでございますかァ?」クビカシゲ

トール「いや結構飲みますね」

店長「そォでしたかァ、失礼致しましたァ」ペコリ

店長「本日のリザーブに使われている豆、スマトラワハナエステートは優しい酸味とまろやかなコクが特徴でェす」ギュッギュッ

店長「今まではご提供していなかった、水洗式なンですよォ」トポポポ…

上条(へー、リザーブってのは店員さんが目の前で器具使って淹れてくれるサービスの事なのか)

店長「ごゆっくりどォぞォ」ペコリ

トール「んー……いー香り」スンスンスンスンスンスン

トール「んくっ、んくっ…」

上条「…美味いの?」

トール「んー、残念ながらこの豆は俺にはあんまり合わなかったけど、少なくとも自販機や缶コーヒーよりは美味いぞ」ズズー

上条「…ちょっとくんない?」

トール「じゃちょっとな」

上条「おぉ…濃い…なんか高級感あるな」

トール「まぁ一杯800円くらいするしな」

上条「ぶはっ、たっかッ!よく頼むな、そんなコーヒー」

トール「その価値があるからなぁ。コーヒー好きにはたまらん…」ズズー

上条「ふーん…」

トール「俺はファーストフードのコーヒーはあんまり認めたくねー派なんだよ。ファミレスやカラオケのドリンクバーとかもな」

上条「缶コーヒーにすら不満はないタイプの上条さんにはよくわからんなぁ」


店長「…」ニヤリ

店員「マスター!物陰から覗くのよして下さいな!」グイグイ




上条「……」チビチビ

トール「…元気ないねぇ、上条ちゃん」

上条「ん…」

トール「まだ、ハワイやバゲージシティの事を気にしてんだな」

上条「!…ああ」

上条「俺はもう、助けたつもりが誰かを傷つけてたとか絶対嫌なんだ。だけど、どうしたらいいのかわからないんだよ」

上条「…って、それの元凶のお前に語るのもおかしな話だったな」

トール「おいおい。ちょい待ち。ハワイやバゲージシティでの胸くそ悪い喧嘩が俺達の総意だと思ってんのか?」

上条「仮に納得してなくても、黙認したんなら同じだろ」ブスー

トール「いーや、違うね。少なくとも俺は違う」

トール「俺はあんなやり方は嫌いだから、もしオティヌスの野郎が人を追いやってこそこそやってなきゃ止めてたさ」

トール「グレムリンを実質動かしてるのがオティヌスだからそういう動きになってるだけで、別にグレムリンはそこまで悪党な訳じゃねーよ」

上条「…でも、また何かそれに準ずる事をやるんだろ?なら同じだろ」

トール「意地悪な質問だな」ハハ



トール「確かに答えはイエス。」

トール「俺達正規メンバーがオティヌスに協力するのは、例えいつか"完成した"オティヌスが叶えてくれなくても、その僅かな可能性にでもすがらなければ叶わない夢があるからだ」

トール「俺もその一人。自分ではどれだけ努力し、逆立ちしても叶わない夢を叶えて欲しいから、協力するんだよ」

上条「?…お前はどんな願いを叶えて欲しいんだ?」

トール「それはひみつ。」

トール「…話が逸れたな。上条ちゃんが誰かの思惑に乗せられたくねーってのはよくわかったよ」

トール「ただ、難しいよな。何せ神様か何かにでもならない限り、そんなもんは不可能だ」

トール「だから、俺がお前にしてやれるアドバイスは一つだけだ」

上条「…」

トール「『かつての自分を思い出せ』だ」

上条「かつての…自分?」

トール「おう。上条ちゃんの今までの経歴ややってきた事は大体知ってる。」

トール「何の見返りがなくても、泣いてる誰かのためだけに立ち上がってきたんだろ?」

上条「…その結果がハワイやバゲージシティなんだが」

トール「じゃあもう助けるのは止めるか?」

上条「そうじゃねぇよ!どうやって助けていけばいいのかがわかんねぇって言ってんだよ!」

トール「だーから。それに関しちゃどうしようもない、だよ。」

トール「あのな。理由はどうあれ、事件の盤面に登る以上はどうしたって誰かの思惑が絡む。自分がそれを知る術はない」

トール「なら、唯一できる事をやろうじゃねぇか。それは、自分のやりたいようにやる事だろ」


トール「考えない。考えない。『この子を助けるのを邪魔する奴がいる』?『関係ねぇ、助ける』。」

トール「『この子が助けられたらそれを掠めとられる』?『うるせぇ、守る』」

トール「『この子が助かると他が助からない』?『知らねぇ、皆助ける』」

トール「かつてのお前はこうだったろ。俺はさ、それでいいと思うぜ」

上条「でも、それでまた誰かを傷つけたら」



トール「だったら、そいつも助けろ。助けて、助けて。全員救っちまえ。できるできないは関係ねぇよ。やるか、やらないかだ」

上条「……!」



トール「少しは楽になったか?」

上条「…ああ!ありがとな!」

トール「どういたしまして」ニコリ




店長「お会計200円になりまァす」チーン!
トール「え?」ヤスイ

店長「いィお話聞かせてもらったンでェ」ニヤ

トール「…参ったな…ナイショにしてくれよ?」

店長「勿論だ」

店員「ありがとうございましたの」ペコッ



~上条宅~




上条「…そういえば、トールは二つ頼みたい事があるって言ってたよな?もう一つってなんだ?」

トール「ああ、それな。実はそれが本命の頼みごとなんだけどよ」

上条「…」ゴクリ


トール「滞在期間中、俺をここに泊めてください」深々m(__)m


上条「ごめん無理」


トール「そげなこと言わんとぉ!」ヒシッ

上条「ええい!離せ!既に上条さんちは定員オーバーなんだよっ!」

トール「全部助けてみせる!って事で納得したんだろ?!あの子だけじゃなくて俺も助けてくれよ!」

上条「うるせぇウチは女の子《インデックス》がいるんだよ!」

トール「じゃあ俺も女の子になるから!なれるから!」

上条「そーいう問題じゃねぇ!」


トール「頼むって!部屋代払うからさぁ!」つ札束

上条(いやその金でホテル泊まれよ)

上条「……」チラッ

つ札束

上条「……」チラッチラッ

つ札束(インデックスさんの食費一ヶ月分くらいの額)

上条「………」ジー

つ札束(上条さんの一ヶ月の昼飯をずっとゴージャスにしても大丈夫な額)

上条「……仕方ないな、インデックスに変な事すんなよ!いつまでもいてくれていいからな!」ガシッ!

トール「上条ちゃんならわかってくれると信じてたぜ!」ガシッ




なんだか薄ら暗い取引が成立した! ▼



上条「あ、もしもしインデックス?急に追い出して悪かった!」

インデックス「まったくなんだよ!」プリプリ!

上条「その代わり、今日は新入歓迎会開くから御馳走だぞ!早く帰ってこいよ!」

インデックス『ほんと?!とうま!嘘ついたらダメなんだよ?!』


インデックス『…"新入"?』




~ホストクラブ『アースガルズ』前~





ザ―――――…

ウート「…うっわ、最悪。雨降ってんじゃん…しまったなー、天気予報見ないからなー俺…」



シギン「……」



ウート「シギン?!なんでここが」バシャバシャ

シギン「後尾けたから」

ウート「」

シギン「…ねぇ、ウートガルザロキ。」

シギン「ここで、バイトしてたんだね。叶え屋だけじゃ、お金稼げないから」


ザ―――――………


ウート「…なーんだ、バレちっち?やだねぇ、恥ずかしいから黙ってたってのによ」ガシガシ

シギン「…傘、持ってきてあげたから、一緒におウチに帰ろう?帰ろうよ、ウートガルザロキ。」スッ

ウート「ん…あんがと」



シギン「ずっと不思議だったよ」テクテク

ウートガルザロキ「…」テクテク

シギン「ウートガルザロキはグレムリン時代から"小遣い稼ぎ"はあんまりやってなかったのに…」テクテク

シギン「どうしてあんな大きい改造車をポンと買えたのか、どうして学園都市側に店を隠せる程の高額な"隠蔽霊装"を買えたのか」テクテク

ウート「……」テクテク

シギン「…どうして、儲けなんて殆どないのに、私達を雇う余裕があったのか」テクテク

シギン「ねぇ、ウートガルザロキ。」

ウート「…」

シギン「なんでそこまでして。そうまでしてでも、『叶え屋』をやりたいの?」

シギン「よかったら、教えてくれないかな」ジッ

ウート「…………」

ウート「……あー、ほら、」

ウート「俺は、やっぱり魔術師だからさ。」

ウート「バイトで食い繋いで行くより、魔術師として生きていきたいんだよ」

ウート「だから、俺はそれを『叶え屋』という形で――」




シギン「嘘でしょ?」





ウート「…………」

シギン「普通、魔術師として生きたいならどこかの魔術結社に入るはずだよ?」

シギン「ウートガルザロキ程の幻術師なら、どこの魔術結社でも引く手あまたのはずだよ」

シギン「例えグレムリンにいた経歴を差し引いても。どこも欲しがるはず」

ウート「………」

シギン「……ねぇ、そうしないのはなんで?なんでなの?」





ザ―――――――………





ウート「……………」

シギン「……………」

ウート「……………………」

シギン「……言いたく、ないの?」

ウート「……………」






ウート「…………今は。」

シギン「…そう」





ザ――――――――……………



投下終了。

禁書オススメ教えろくださいスレで、現行オススメの中でこのスレの名前があった時嬉しかった。


そんな訳で投下。



~翌日・上条宅風呂場~




トール「…おい!起きろよ上条ちゃん!もう9:00だぜ!?」ユサユサ

上条「んん…?昨日は……久しぶりに豪華な飯を腹一杯食って…トールが一緒に暮らす事言ったらインデックスがぶちギレて……どうしたんだっk……ぐー…」ネボケー

トール「バカ!いいから早く準備しろ!ただでさえ学校行けてなくて出席日数やべーんだろ?!」ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ!

上条「うう?」クシクシ





インデックス(うう、とうまったら酷いんだよ!私に断りも入れずに知らない人と住む事決めちゃうなんて!)グス

インデックス(トールは悪い人じゃないけど…とうまがトールに構ってばっかりでつまんないんだよ)

インデックス(むぅ)

ガチャ!

上条「だー!なんでもっと早く起こしてくんないんだよ!」

トール「はぁ?!さすがに俺にそんな義務はないはずだぜ上条ちゃん!」

上条「いや、どうせ早く起きたなら起こしてくれたっていいだろ?!」ギャーギャー!

トール「いや直前まで俺も寝てたんだってば!」ギャーギャー

インデックス「…いいから、早く準備したら?」



バタン!

トール「上条ちゃん!早くしろ!遅刻しちまうぜ!」C=C=¬(;・ロ・)ノダダダダ!

上条「お、おう!」ダダダダ!

上条「…って、待て待て待て待て待て待て。」ガシッ

トール「なんだよ!今言わなきゃいけないことか?!後にしろよ!」

上条「いや…お前、何で俺と走ってるの?」

トール「…はぁ?ついにボケたか上条ちゃん?今からスクールライフを満喫すべく、レッツ登校タイムだからだろ?」フー、ヤレヤレ…

上条「いや、うん、だからな?何でウチの高校の生徒でもないお前も学校行こうとしてんの?って聞いてんの」

トール「……」メソラシ

上条「こっち見ろや」グイッ

トール「…あんな?トールもぉ、学校行きたいねん…////」モジモジ

上条「じゃ俺学校いくから。飯はインデックスと食ってくれ」スルー

トール「ちょっ、いいだろ!別に!上条ちゃんには迷惑かけねーよぉ!」ガシッ

上条「登校妨害されて、今まさに現在進行形で迷惑かけられてるんですがね!?」グ、グ、グ…

上条「って!今気づいたけど何ちゃっかりアイロンかけた上条さんの予備制服着こんでやがんだお前!」

トール(E:学ラン。パリッとしてます)「あ、ちょっと借りてるからな?」メンゴ

上条「ああ、もう貸してやる!貸してやるから学校にくんなよ!?頼むから!」

トール「ひでーや上条ちゃん!転校してから初めて登校するトールさんに向かって『学校くんな!』って…いじめ、ダメ絶対!だぜ?!」ヨヨヨ…

上条「だあ゙あ゙あ゙!うぜぇぇぇぇ!!!」ガシガシガシガシ




~とある高校~



上条「くっそ、振り払ったはいいけど結局遅刻した…」ゼェゼェ…


上条「すいませーん!遅くなりましたー…」ガラッ

小萌「あ、上条ちゃん!めっ!なのですよ?」

上条「スンマセン、スンマセン!」ペコペコ

小萌「もう…いいから早く席についてください?」

上条「はい…」スゴスゴ





上条「よ」

青髪「ああん!今日も小萌せんせはかわええな~~カミやんずるい!ボクもおこられたいわ~」クネクネウネウネ

上条「はいはい」

土御門「なんだカミやん、まーた不幸で遅刻かにゃー?」

上条「ああそうだな、不幸…だな。うん」

トール「気を付けろよー上条ちゃん。お前ただでさえ出席点悪いんだからさぁ」ハハハ

上条「だなー」ハハハ

土御門「まぁカミやんの場合は気をつけようがないけどな!」


4人「「「「アッハッハッハッ!」」」」




上条「で…」


上条「なぁんで、テメェはここにいやがるんですかねぇ……?」メリメリメリメリメリメリ

トール「いひゃいぜ、きゃみひょうひゃん」モガモガ

上条「ていうか!!何でお前の方が早く到着してる訳?!おまけに上条さんの隣に自分の席確保しやがってるしよォォ!」ガックンガックン!

トール「えー、走っただけだし。つかよぉさっきも言ったけど、ちゃんと『転校してきた』んだからいいじゃないかー」ガックンガックン!

上条「へあ?!」

小萌「雷神 亨(らいじん とおる)ちゃんは個人的事情で今までこれなかった子なのです!上条ちゃん?仲良くしてくださいね?」

上条「ハァ?!そんな、どーやって……」ハッ!

土御門「yes」bビシッ!

上条(犯人はお前か――――!)


ギャーギャー!


吹寄「アイツはうるさいわね、相変わらず」ハァ

吹寄(…そういえば、さっきは姫神さんから凄い剣幕で『昨日上条くんちでナニしてたか。教えて?』って言われたけど…なんだったのかしら?)ハテ?

吹寄(昨日私に『この2万円やるから明日学校休んでくれ』って持ちかけてきた奴の誘いに乗って、自分の家で寝てただけなんだけど…)

吹寄「…あら?そういえば昨日の奴って、あの雷神って奴じゃない」

トール「先生!俺何もしてないのに、上条くんが叩いてくるんですぅ!ぐすっ」(・д・)ノハイ

小萌「もうっ!上条ちゃん?めっ!なのですよ?」プンプン!

上条「トールテメェぇぇぇ!!!」

吹寄「…転校生だったのね。三バカトリオがバカルテットになりそ。」フゥ

吹寄「ね、姫神さ」クルッ

姫神「男……?男…?boy?あんなに美少女な男の娘…?という事は昨日のでこちゅーは…ベーコンレタス…?」ブツブツブツブツブツブツ

吹寄「」

吹寄(今は触れない方がよさそうね!)クルッ



~授業なのですよ!上条ちゃん!~



上条(…何か、スゲー疲れた…)ゲソ

上条(トールのハジケっぷりに上条さんはてんてこ舞いだよ)グス

小萌「では、この問題を…上条ちゃーん?」

上条「ふぇ?!」バッ

上条(やべっ、全く聞いてなかった!)

小萌「もうっ、ちゃんと聞いてないとダメなのですよ?」プンプン!

トール「上条ちゃん!『小野妹子』!『小野妹子』!」ヒソヒソ

上条「!」


上条「小萌先生!俺、ちゃんと聞いてました!答えは『小野妹子』です!」キリッ


小萌「…上条ちゃん?今は数Aの授業なのですよー?」

トール「ブフォwwwwwwwwwwwwwwww」

土御門「ブッハッwwwwwwwwwwwwwwww」

青髪「ちゃんwwwwとwwww聞いてwwwwへんwwwwやんwwwwwwww」

吹寄「アハハハハwwwwwwwwwwww」

姫神「…プフゥッww」

上条「あ、あ…////////」カオマッカ


上条(トォォォォォォォォォォォォルゥゥゥゥゥゥ!!!)

トール「ダッハハハハハwwwwwwwwいや、まさかこんなベタな手にマジで引っ掛かるとはwwwwwwww」腹イテー




~体育じゃんよ!~




黄泉川「…じゃ、後は好きにやっていいじゃんよ!」

ワイワイ





~運動場の隅っこ~

トール「へー、男女混合でバレーか…いいねぇ?高校生って感じでよ」

上条「さいでっか」ムスッ

トール「…悪かったって」

上条「ふんっ」ムスッ

トール「……」

上条「……」

トール「んっんー…ちっ!ここの女子の体操着、ブルマじゃねぇんだな。
    ジャパニーズブルマを楽しみにしてたんだが…」チッ

上条「黙れよ変態」ハハ


土御門「…あ!カミやん達ここにいたんだな!」タタタタタ

青髪「探したでー!」タタタタタ

上条「おー」フリフリ

トール「よー」フリフリ


キャッキャッ


青髪「なぁカミやん、亨くん!女子の体操着姿、やっぱりええと思わん?」ハァハァハァハァハァ

土御門「んー、いいとは思うが、俺は妹に着てもらいたいぜぃ」ブフィー

トール「まー、半ズボンもアリっちゃアリだとは思うけどなー…俺はやっぱ、ブルマがいいわー」ウン

上条「お前ら…」ゲンナリ



\吹「ボール、イクワヨー!」ブルンッ!/


トール「おっ、やっぱ吹寄ちゃんの大っぱいはいいねぇ…ぶるんぶるんじゃん」ウヘヘ…

上条「おっさんかお前は」

青髪「いやいや、わかる!わかるで亨くん!大っぱいも正義や!」ウンウン

土御門「全くだぜぃ!」ウンウン

トール「おっ、話がわかる奴がいて嬉しいぜ!」ケラケラ

上条「いや、そりゃ上条さんもおっぱいは好きだけどさぁ…」

トール「ん?ああ、吹寄ちゃんの限定で?」ニヤニヤ

上条「ちげぇよ!」

トール「いやぁ、だって吹寄ちゃんと上条ちゃん仲いいじゃんか?てっきり俺ぁ幼馴染みかなと勘違いしてたんだぜ?」ニヤニヤ

上条「あ、アレやっぱり嘘だったのか!」

トール「まぁまぁ。で?実のとこどうなわけ?」

上条「え、まぁ吹寄は普通…かな?うん」

トール「へぇ。ひんぬー派だから?」

上条「いやそういう訳じゃなくてだな…まぁ、上条さんは普通に大きいのが好きですよ?吹寄さんのも好きですよ?ただ…」

トール「へぇー?」ニヤニヤ

上条「…他の奴に言うなよー?」ハハ

トール「心配すんなってー」ハハ


吹寄「姫神さん、次は私とバレーやらない?」テクテク

姫神「うん。いいよ。」テクテク


トール「 ! あ、おーい!吹寄ちゃーん!ちょっと聞いてほしい事があんだけどさー!」ダダダダ…

上条「トォォォォォォル!!テメェ絶対今の事言う気だろォォォォ!!」ダダダダ…


青髪「げ、元気やね、カミやん」

土御門「あんな叫ぶカミやん初めてみたぜよ」





上条「…捕まえたッ!」ガバッ

トール「な、何すんだよ上条ちゃん!」ジタバタ

上条「お前に余計な事言わさないためだっつの!」ガシッ

トール「いや別に何も言わないって!大体余計な事って何さ?!」ジタバタジタバタ

上条「そりゃお前、さっき話してた『俺が吹寄のおっぱいも大好きだ』って…いう……」

吹寄「……」ピキピキ#

姫神「…むぅ」プクゥ

上条「」

トール「…いやぁ、今のは上条ちゃんの自業自得だと思うぜ?」ソソクサ

吹寄「上条当麻…?」ユラリ

上条「あわわわわ」

上条「いや、違うんだ吹よS 吹寄「このっ変ッッッ態ッッ!!!」


ゴガン!!!


上条「」バタッ

吹寄「ふんっ!全く、貴様というやつは…」プンスコ!=3

トール「…おーい、生きてるかー?上条ちゃーん?」ツンツン

上条「」チーン!



姫神「……」プヨプヨ

姫神(…やっぱり。それなりな大きさの私のでは。魅力が足りないのかな。当麻くんには…)クスン。

姫神(よし。後で機会があったらブラ外して胸を当ててみよう。)フンス!



トール「あ、吹寄ちゃん。さっき言いかけてたやつなんだけどさ、俺もバレー入れてくんない?」

吹寄「あら、いいわよ?別に」

上条(ほんとに何も言うつもりなかったんかい)

トール「おっしゃ!…あ、そうだ。どうせならタイマンでやらないか?」

吹寄「え、いや私姫神さんと…」

姫神「あ。私の事はお気遣いなく。なんなら私が審判。やるから。」フルフル

吹寄「そう?じゃあいいけど…私、結構強いわよ?」ニヤリ

トール「ほーお?そりゃ楽しみだな!」




\吹「イクワヨー!」 ト「コイヤァー!」/

姫「ガンバレ。フタリトモ。」体育座り



青髪「…もうクラスに溶け込んでるね、亨くん」

土御門「にゃー」


\吹「ウリャー!」ズガァァン! ト「ナンノー!」バシィィ!/


青髪「…で。実際のとこ、亨くんって何者なん?」ヒソ

土御門「急に転校してきた、ただのクラスメイトだろ」ボソ


\ト「オカエシダー!」ズガァァン 吹「ニャロッ!」スパァァン!/

姫「トウマクン。フキヨセサンノムネガスキラシイケド。ワタシノムネハ。ドウカナ?」ムニュムニュ

上「ホワッ?!アッ…キモチ、スキダゾッ!アイサノモッ!」

青髪「…それ、マジで言ってる?土御門くん?」ヒソ

土御門「…察しろ」ヒソ

青髪「はいはい。土御門くんは隠し事多いなぁ」

土御門「……」




トール「これで決めるぜ!」カットイン!


トール「"雷神大槌"《トール・ハンマー》!!!」ドゴォオオン!!

ギュオオオン!


吹寄「必殺技名叫ぶとか、小学生?!」カットイン!


吹寄「"爆乳防壁"《わたしをナメんじゃないわよ!》!!」バイーン!

ポイーン!

トール「(oh…揺れてるぜ…ナイスおっぱ)ぶべらっ?!」ボグシャア!

トール「ごっ、がぁあああああああああ!!!」ズザザサザザザザ゙ザァァアア!!

ドゴーン!

トール「」ガクッ

姫神「一本!亨くん戦闘不能!WINER!吹寄さん!」バッ!ババッ!バッ!

吹寄「ふん、私を倒そうなんて十年早いのよ!」ファサッ!

ギャラリー「ワァアアア!!」


※バレーの試合です




~昼飯なのですねー~




上条「っはぁ、やっと飯か…」スタスタ

トール「お、"スクールランチ"ってやつにいくんだろ?一緒に行こうぜ。場所わかんねーんだよ」テクテク

上条「おー、じゃあ行くか」テクテク



青髪「あらら、一緒に食べようって思ったら。」

土御門「もう行っちまってたみたいだにゃー」

青髪「…なんか、カミやんが遠くなってる気がするわー」

土御門「ちょっと寂しいぜよ」



~食堂ですわ!~


上条「いやぁ、トールのおかげで久し振りにまともに昼飯食えるよ」ピッ

トール「あん?そんなに上条ちゃんち貧窮極まってたのか?」ピッ

上条「ああ。Level0の上条さんの奨学金じゃ、インデックスと自分の生活費でカツカツなんだよ…」スタスタ

トール「へー?バイトとかすればいいじゃねーか?」スタスタ


学食の人「はっしゃーせー」ダラダラ

学食のお姉さん「はっしゃーせー!でございますよー」ニコニコ


上条「肉うどん2つ!…いや、上条さんはよく事件に巻き込まれたり、不幸だらけだったりで中々そういう事ができないんだよ」

トール「ほー。んじゃ、インデックスちゃん働かせたら?」


学食のお姉さん「カルボナーラは美味しくできたのでございますよー」モグモグ

学食のおばちゃん声「つまみ食いしちゃダメですの!!」


上条「いや、インデックスはまだ働ける年じゃないし、そもそもIDを持ってないから雇ってもらえねーんだよ…」

トール「ふーん、"禁書目録の管理者"ってのも大変なんだなー」


学食の人「ほらよ、肉うどン二つだ」つ

トール「あ、ども」ウケトリ


トール「…おにーさん、第7学区のスタバでもバイトしてなかった?」

学食の人「いいえ?ちょっと何言ってるかわかンねェンですけどォ?」

トール「あれ?すんません…間違えました」








上条「はふはふ…」チュルル

トール「…なー、上条ちゃんよ。うどんって、どうやって食うんだ?」

上条「?…ああ、外国人は"すする"がわからないんだっけ?」チュルル~

トール「そ。」

上条「んー、くわえて、息を思いっきり吸う!って感じかな」

トール「こうか?」ズルッ

トール「∫◎∃{$√※仝%&?!」ジタバタジタバタ

上条「ちょっ!吸いすぎだから!そりゃそんな熱いのいっぱい吸ったらそうなるよ!!」つ水

トール(死ぬ……?この、雷神トールが、こんな…ところで…?死因、うどんがのどに詰まって…?)ビグン!ビグン!

上条「…おい?何ちょっと死を覚悟した顔になって…ちょっ!おい?!トール?!」ユサユサ

トール「」

上条「トォォォオォォオルゥゥウウウ!!!誰か!助けてください!誰かァアアア!!!」



~授業は全部終わったんだケド~




小萌「――じゃ、先生からお知らせは以上なのです!」

青髪「起立、礼!」






トール「ふー、やっと帰れるな」ノビー

上条「だなー」ノビー

吹寄「待ちやがれ二人とも」ガシッ

上条「な、なんだよ!」

吹寄「貴様ら二人とも、もうすぐ『一端覧祭』って知ってる?」

上条「…あ、そっか。もうすぐなのか」

吹寄「そ。だから私達の出し物も決めてかなきゃいけないわけ。だからまだ帰るな」ニコッ

トール「…『一端覧祭』?」

上条「まぁ、ようするに文化祭だよ。文化祭。オープンキャンパスとか、体験入学みたいな意味も含んでるんだけどな」

トール「へっえー。じゃ、俺はスゲーいい時に転校してきたんだな!」ワクワク!

吹寄「あら?やる気あっていいわね!上条!貴様も見習いなさい?」

上条「へいへい…」







吹寄「……」カッカッカッカッカッカッ

黒板『出し物決め』

吹寄「…はいっ!じゃあ私達は『一端覧祭』で何を出すか、やるか。意見を言っていって頂戴!」

青髪「ミス水着コンテスト」(・д・)ノハイ

吹寄「貴様が一人で出てなさい?」ニッコリ

土御門「メイド喫茶」(・д・)ノハイ

吹寄「じゃあ一応…」カキカキ

姫神「巫女さん姿で御神託形式での占い」(・д・)ノハイ

吹寄「皆が巫女服着たら姫神さんアイデンティティ消えるわよ?書くけど…」カキカキ

上条「たこ焼屋台」(・д・)ノハイ

吹寄「まぁまだまともよね…皆がたこ焼作れるかわかんないけど…」カキカキ

トール「舞台でロックな音楽演奏」(・д・)ノハイ

吹寄「んー、皆が練習する時間がそんなにないから…ちょっと難しいんじゃないかしら」

トール「ちぇー。あ、じゃあ『ロミジュリ』は?演劇。」

吹寄「さっきと同じ理由を挙げてあげる。準備期間が短すぎて、皆が台詞覚えられないわ」

姫神(ロミジュリ…ロミオとジュリエット。主役を私と。当麻くんでやれるなら。賛成して決死の努力をするのだけど。)

土御門「お化け屋敷はどうかにゃー?」

吹寄「まぁ候補に書いとくわ」カキカキ

トール「」←お化け屋敷とかスプラッタ、ホラー系苦手な人

やいのやいの


小萌(ふふ。皆青春してるのです)ニコニコ




~上条宅~

インデックス「…それで?結局何になったの?とうま」モキュモキュ

上条「ん、なんやかんやでコスプレ喫茶店になったよ」モクモク

トール「まさか最後に青髪ちゃんがあんな理路整然とした真面目な演説するとはなー」モッシャモッシャ

上条「いや上条さんもあんな青髪は初めて見たよ」

トール「なんだっけ、『個人の理想とする姿、目標とする姿を借りることで己の目指すべき道を再確認し、改めて今の自身を省みるためにも~』だっけ?」

上条「それでやる出し物が『コスプレ喫茶』だから面白いよな」ククク

トール「だよな!」


アハハハハハハハハ!!



インデックス(ふふ。ちょっと嫉妬しちゃってたけど…)

インデックス(とうま、トールが来てからなんだか楽しそうなんだよ。いい友達ができてよかったね)ニコニコ





~次の日。『叶え屋』生活スペース。~




ウート「叶え屋Lokiの朝は早い…」ファー…

天井「いや、正確に言えば私の朝が、だな」ジュージュー

ウート「あ、あまっちー、今日の朝飯なに?」ムニャ

天井「パン、スクランブルエッグ、ソーセージ、サラダ、コーンスープだ」カチャカチャ

ウート「…あんがとー……Zzz」ネムネム

シギン「おはよー…Zzz」ネムネム

天井「…とりあえず二人とも顔を洗ってこい」ハァ





ウート「雇ったばっかの時のあまっちの料理はやばかったけど、すぐ上達したなー」モッサモッサ

シギン「へぇ?料理上手な天井くんしか知らない私は全然想像できない。できないよ」モキュモキュ

ウート「あまっちは学習能力たけぇからなぁ」

シギン「天井くん基本頭いいもんね」ムグムグ

天井「///んん、」ゴホン。

天井「やってみればなんて事はなかったな。正確な調理法と分量を守れば、料理は科学実験となんら変わらん」ムグムグ

シギン(あ、天井くん調子のった)クスクス

ウート「へー……あ、今日みこっちゃんが15:00から予約入れてるから皆そのつもりでー」

天井「…また超電磁砲か…好きだな、あの子も」モクモク

シギン「また幻想殺しとの?」ゲンナリ

ウート「ん。今日は一周回って付き合う前~付き合うまでパターンだってさ」ムグムグ





ウート「んじゃ、今日も叶え屋Loki、開店でーす!」

天井シギン「「おー」」





ウート「しゃいませー!なにをお望みですかー…ッ!?」

キン!

絶対等速「とにかく、贅沢三昧がしたい。…そうだな、300億円分くらいの豪遊がしてみたい」

ウート「はいはい!オーダー確かにうけりゃりゃしたー!(知らないふり知らないふり)」

※五感互換術式で絶対等速にはウートガルザロキが別人のイケメンに見えています

シギン「ご注文、ありがとう。」





天井「豪遊か…なら"素材"はこれとこれと…」ゴソゴソ

シギン「あ、木原くん。これを加えたら更に精密さは上がるよ?と『助言』しておこう」つ椰子の木(ミニチュア)

天井「ああ、すまない」





絶対「…」ボー

ウート「 ボーイ『お客様のような方に、こちらのスゥイートルームにお泊まり頂けるとは…恐悦至極の至りでございます』 」ボソボソ

天井「『部屋の内装の第一印象は、どこかの城…ひょっとして、王族が利用していたのではないか?と考えてしまうような造りだった』…」ボソボソボソボソ

シギン「…」つそれっぽい資料の写真





ウート「っしゃい!何をお望みですかー?」

鋼盾「先生…Level5になって俺TUEEEがしたいです…不良に仕返しがしたいです…昔助けてくれた金属バットの娘に惚れられたいです…」

※フルネーム、鋼盾鞠彦。超電磁砲で不良に幻想御手をボラれ、カツアゲされてたとこを佐天に助けられた日村似のモブキャラ。


ウート「…あまっちーお願いー。科学はわからん」パス

天井「ふむ、どんな能力のLevel5かな?」
鋼盾「エレクトロマスター…"超電磁砲"クラスがいいです」

天井(よ、よりによって皮肉にも私の専門分野とは…ぐ、トラウマが…)ウォオ

シギン「ドンマイ、ドンマイだよ」ヨシヨシ

天井「す、すまない…」プルプル

鋼盾「?」





ウート「はっしゃーせー!何をお望みっ?」

介旅「風紀委員に復讐して悦に入りたい」


※フルネーム、介旅初矢。超電磁砲の虚空爆破事件の犯人である少年。能力はレベル2の『量子変速【シンクロトロン】』


ウート「……気分悪りぃ願いなんで要望聞くのはシギンにパース」カーッペッ!

シギン「ウートガルザロキ、態度がわるい」ベシ

介旅「な、なんだ客に対して!失礼じゃないか!」

シギン「ごめん、ごめんね?じゃあ、あなたのお望みのシナリオを聞かせてもらえる?」





シギン「……だからね?そこは[自主規制]に[自主規制]して、[自主規制]した方が効果的に[自主規制]できるの。あなたは温い。天井…じゃないや、甘いよ。人を苦しめたいのでしょ?なら甘さは捨てなきゃ。捨てなければ。」ウフフフ

介旅「」ガクガクブルブル

ウート「シギーン?お客さんはお前レベルのグロは望んでないからその辺になー?」

シギン「…最適な『助言』がこうだっただけだもん」プイッ

介旅「」

天井「おい、ついに客が気絶したぞ」




~遊びに来ましたよっ~




フレメア「にゃあにゃあ!大体遊びに来たぜ!」ヤッホー

シギン「ねぇ、ウートガルザロキ。だぁれ?この可愛いお人形さんみたいな子!」 おお…//プルプル

フレメア「にゃあ?急に抱き抱えるなぁ!」バタバタ

天井「ウートくんの知り合いか?」

フレメア「!?知らない人が二人も増えてる!?」

ウート「あれ、らっしゃいフレメアちゃん。メールくれたら迎えに行ったのにー」ダラダラー

フレメア「大体、学校帰りに見かけたから来ちゃった」てへっ☆

シギン「へぇ、フレメアちゃんって言うんだ」アクシュつ

フレメア「にゃあ!」フンスつ

ウート「あまっちー、お茶とお菓子出したげてー」ダラケー

天井「ハイハイ。たまには君も動いてくれないか?」ヤレヤレ

シギン「じゃあ私、叶え屋を休憩タイムにしとくね」


つ[close!]パタン!






フレメア「にゃあ!おいしぃー!」サクサクサクサク

ウート「だろー?あまっち特製生姜クッキーなんだぜ?」サクサク

シギン「木原くんすっかり主夫だよね。いつか結婚したら、きっといい主夫になれるよ」サクサク

天井(結婚、か……少なくとも、今の私では出来ないだろうなぁ…相手もいないしな)グス

シギン「私ももし結婚するなら料理してくれる人がいい。いいな」サクサク

ウート「ふーん…じゃあ、俺も料理上手になっから、シギン俺と結婚してくれねぇ?」ヘラヘラ

シギン「!?……か、考え、とく…/////」カオマッカ

フレメア「私も大体いい人欲しいにゃあ」サクサク

天井(私も欲しい)トポポポ…




~超電磁砲、
    襲
    来~




御坂「ふっふっふーん♪今日はどんなアイツといちゃつこっかなー」ニヤニヤ

御坂「こんにっちはー!」ガチャ

ウート「おっ、いらしゃー」

シギン「いつも来てくれてありがとう」フリフリ

天井「いらっしゃいませ。いつもご利用ありがとうございます」ペコリ

御坂「お願いしまーす!…あれ?木原さんスーツいいのに変えたんですね!お似合いですよ!」ニコッ

天井「え?ええ、ありがとうございます。昨日給料日でしたので新調したんですよ」ニコッ

天井(…"妹達"の件もあって微妙に気まずいな…いや、彼女は私が昔何をやっていたなど知らないだろうが…うむむ…罪悪感が)

天井「…そういう御坂さんも、新しい髪留め、お似合いですよ?」ニコッ

御坂「! ありがとうございます!流石木原さんですよねー…現実のアイツも見習ってくれればいいんですけど。」ブツブツ

天井(なぜか私に対して妙にフレンドリーなのも罪悪感に拍車をかける…胃が痛い…)キリキリキリキリ

天井(! 知ってるのか?!まさか、私が元凶だって知ってるから、こう…罪悪感を感じさせるために?!あえてフレンドリーなのか?!)アバババ




天井「…」コマリガオ

天井「…」シカメッツラ

天井「…」…ハッ!

天井「…」アガガガ!アガガガ!


御坂「…木原さんって、時々百面相してますけど、何でなんですかね?」

シギン「一緒に住んでる私も未だによくわからない。よくわからないんだよ」フルフル

ウート「一番古いつきあいの俺でも未だにわかんねぇ」フルフル




~安定の長さとハードさ。だからキンクリなんだね?~



―――――――――――

―――――――――――――――


御坂「ありがとうございましたー!」

バタン…


ウート「」バターン!

シギン「」パタッ…

天井「」ドサッ


ウートシギン天井「「「」」」チーン!


ウート「…みこっちゃん常連客だし、金払いがいいんだけど……毎っ回毎っ回、クッソハードすぎじゃね……?」ピク、ピク…

シギン「…うう、私は正式アシじゃないのに…疲れた。疲れちゃったよ」プルプル

天井「う、む……」

ウート「おかしいな、3人で分担するようになったのに何で一向に楽にならないんだ…?」ピクピク


フレメア「にゃあ、大体終わった?」ガチャ

ウート「あーうん、何か俺達の体力的なのも終わった」ウン

フレメア「…だから皆床で寝てるの?」


シギン「うん。ごめんね?私達の回復までもう少し待ってくれる?」プルプル

天井「ああ、長時間1人にして済まない」プルプル

フレメア「大体、ずーっと皆がんばってたもんな!」





~夕方ちゃんなのだぜ~



フレメア「送ってくれてありがと!」フリフリ

ウート「おー、じゃーね!また来なよー」フリフリ

ブゥウン…


ウート「さってさて。じゃこのまま風呂屋チョッコーでいい?」

天井「そうだな、時間も頃合いだ」

シギン「この車にもお風呂ついてたらよかったのにねぇ?」フゥ

ウート「いや一応ついてるっちゃついてるんだぜ?超狭いだけで」

天井「いやアレは最早風呂じゃなくて、洗面台ではないのか?」

ウート「ま、だからお風呂屋さン行く訳ですがっと」


ブゥウン!




~第二二学区、カミやんが五和ちゃんと行った銭湯やで~



ウート「じゃ、あとでロビーで待ち合わせな」フリフリ

シギン「ん。ちゃんと待っててね?」フリフリ

天井「今日はあまり長風呂するなよ?シギン」

シギン「木原くんうっさい」


カポーン…


ウート「うーい…」

天井「ふぅ…超電磁砲の仕事がある日の風呂は染み渡るな…」

ウート「…じゃ、ほぼ毎日じゃねぇ?」ヘラヘラ

天井「…はは、そうとも言うなぁ…」

ウート「…あまっちー、今日の晩飯って何?」

天井「ん?そうだな…チキングリルとサラダ、ししゃもの天ぷらにでもしようかとは思っているが」

ウート「おお、レパートリーまた増やしたんだ?」

天井「"昨日の最新が今日の最新とは限らない"…そんな学園都市に住んでいると、自然と自分の技術の向上に熱心になるものだよ」

ウート「かね?」

天井「ああ。」









シギン「~♪」チャプチャプ

シギン(…そういえば。今日ウートガルザロキにプロポーズされたんだっけ…)

シギン「………」

シギン「///////」カー

シギン(いやジョークっていうか、リップサービスなんだろうけど、やっぱりドキッてする。するよね///)チャプン

シギン(//////)プクプクプクプク……

?「あら?貴女はいつもここでよく会う人よね?」

シギン「あ、こんにちは。…えっと、」

心理定規「メジャーハートよ」

シギン「私はシギン。よろしく。」

心理「…ふぅん?まだ彼との距離は縮まらないのね」

シギン「ぷぇっ?!えと、何のことなのかな?何のことだかわからないよ?」ワタワタ

心理「今男湯にいる彼が気になってるんでしょ?」ニコッ

シギン「ぬぉ、何故知って…何のことかな?」プクプク…

心理「来る度に男湯の方を見てたり、ロビーで金髪の彼と仲良くしてたら、ね?自然と察するわ」

シギン「」

心理「…あのね、貴女と彼の距離が縮まらないのはね?」

シギン「?」

心理「貴女自身が"距離"を置いてるからなのよ?わかってる?」

シギン「……うん…なんでわかるの」

心理「人と人の心の距離を測る。私はそういう能力者だもの」ニコッ

シギン「へぇー…そういう能力もあるんだ」

心理「何故距離を置くのかしら?」




シギン「…私には、ウートガルザロキの本心がわからない。わからないんだよ」

シギン「いっつも、誰にも何にも言わずに、自分だけでやっちゃうの。」

シギン「私達に何かを話す時も表層だけ、上辺だけしか見せてくれないの」

シギン「だから、もし私が知ってるウートガルザロキが見せてくれる好意が、偽物だったらって思うと……」

シギン「…近づけなくて。何にも言えなくなっちゃうんだよ」

心理「ウートガルザロキって言うのね、彼。…そんなに彼は秘密主義なの?」

シギン「そりゃもう。術式も名前も嘘だらけの人なんだもの」コクン

心理「…あのね、秘密主義の男はね、逆に普段の態度で本心を出すものなのよ?」

シギン「?」

心理「例えば、さりげない挙動、言動とか。」

心理「私が好きな人もそうだったもの」

シギン「うーん…?」

心理「そうだ。一ついい情報をあげる。」

シギン「?」

心理「貴女と彼の距離単位は+47。気の置けない間柄。親しい友人。」

心理「…だからきっと、その秘密主義の彼も。貴女には素の好意を見せているのだと思うわ」

心理「後は、貴女が貴女の心の壁を取り払うだけよ」

シギン「……中々難しいことを言うね。メジャーハート」

シギン「でも、ありがとう。」

心理「私は助言をしただけよ。後は貴女次第。…じゃ、私はあがるから」ザパー

心理「うまく行くといいわね」スタスタ


シギン「……」プクプク

シギン(うう、『助言』は私の専売特許なのに…)

シギン(というか、そんな勇気あったらとっくに告白してるよ)

シギン(……なんで私って、自分自身には『助言』できないんだろ)プクプク

シギン(私自身に『助言』ができれば。100%上手くいくのに。)プクプク

シギン(神様はいじわるだ)




ウート(E:カチューシャ、前髪をカッケー感じで纏めてる感じ)「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」ゥィンゥィン

天井(同じく)「お゙お゙お゙お゙お゙お゙」ゥィンゥィン

ウート「あー、ほぐされてるわー」ハニャーン

天井「ああ…癒される…」ゥィンゥィン


シギン(E:ヘアピン。後ろで纏めてる)「お待たせ。二人とも」テクテク

ウート「おー」ゥィンゥィン

天井「いつか、こういうマッサージチェア、欲しいなぁ…」ゥィンゥィン




~銭湯出て、適当な無料駐車場に『叶え屋』カーを停め晩御飯タイムなの~



天井「御飯出来たぞ」

ウート「おっ、今日も美味そっ」

シギン「うーん、私も料理できるようになろっかな?」





ウート「じゃ、俺寝るわ」ファ~

天井「おやすみ。私はまだ研究資料を読んでいるから気にしなくていいぞ」ペラ

シギン「?どんな資料なの?」

天井「ん?ああ…木山春生という人が提唱した、"共感覚性"による脳波パターンの…」ペラペラ

シギン「あ、私もう寝るね」

天井「」




天井(しかし…)ペラ

天井(実は、昨日『叶え屋』の給料日だったのだが…)ペラ

天井(私の給料、35万円だった)ウム

天井「破格と言えば破格なのだが…」ペラ

天井(総売上の倍以上ってどういう事なんだ……)

天井(ウートくんに聞いたら、『いっぱいお小遣いくれる"ママ"何人かいるから』ヘラヘラって返された)ペラ

天井(ウートくんはいつも肝心なところを隠すというか、教えたがらないクセがあるが…少し心配だな)フゥ




天井「もう少し、人を信用して欲しいものだな」パタン


本編投下終了。以下オマケ。

屋さンシリーズ書いてた>>1に菓子折りもっていく手段を最近ちょっと本気で考えている。リスペクトなネタで他意はない。

ウートガルザロキやシギン、天井くん達の絵とか増えねぇかな。シブとかでも。


トール「よぉ失礼するぜ」

ウート「おー、どした?」

トール「いやな?ちょっとばかし、思いついたことがあるんだけどよ」

ウート「おう」

トール「オティヌスは『魔神』であるが故に常に"無限の可能性"に縛られてて、50%の成否確率に悩まされてるんだよな?」

ウート「ああ…それが?」

トール「逆に利用できんじゃないかと思ってよ」

ウート「へぇ?何に?」

トール「そうだな、仮にオティヌスとプールに遊びに行ったとするだろ?」

ウート「その状況が既にスゲェな。…んで?」

トール「で、だ。普通、女子と遊びに行っても99%起きない現象…通称"ポロリ"があるだろ?」

ウート「…まさか」

トール「ああ。」コクン


トールウート「「オティヌスなら、そんなあり得ない確率でも!逆に50%に引き上げる事ができる!!!」」ガシッ!


ウート「しーかーもー?」

トール「女子を増やし、グレムリンガールズ…フレイヤ、シギン、マリアンにヘル、サンドリヨンやらサローニャ達も同時に誘えば!」

ウートトール「「女子全員が『"ポロリ"しちゃう♪』というあり得ない可能性ですら50%に引き上げる事ができる!!!」」

ウート「へーい!」ハイタッチ!

トール「へーい!」ハイタッチ!

オティヌス「…………」


ウートール「「?!」」ビクッ


オティヌス「随分楽しそうな話をしているな、貴様ら」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


ウートトール「「 」」


   \ギャー!/


通りすがりのベルシ(いや、術式行使の際に発生するのが"無限の可能性"なのだからそんな事にはならんはずなんだが)


通りすがりのベルシ(だが、私も彼女達のポロリは見たい)キリッ



ウート「なぁ、前から思ってたんだーけどさ?」

トール「あん?」

ウート「ウチのリーダー…オッティちゃん、露出しすぎじゃね?」

トール「目の保養になっていいじゃねぇか?」

ウート「ああいや、否定する訳じゃあねぇのよ?あんなエロエロ眼福衣装マジ最高だと思ってっけど?」

トール「じゃあ何が言いたいんだ?」

ウート「いやアレ、たぶん街歩けねぇだろーなーって」

トール「まぁ流石に…俺もアレと一緒に歩く勇気はねぇなぁ」

ウート「私服とかどんなんなんだろな」

トール「意外に地味子ちゃんだったりしてな!」ハハ

ウート「あ、でも?逆に?それはそれで有りじゃね?ほら、~ウチで見られる限定コスプレ~みたいな」

トール「あー、"俺だけが知ってる彼女の姿"みたいな感じ?」

ウート「おう。…術式のために服合わせなくていいなら、アレを制服にしてウチの女子全員あの服(?)にしてくんねーかなって思うわ」ハハ

トール「おい、そんなんなったら"船の墓場"での需要No.1がティッシュペーパーになんぞ?」ハハ

ウート「うん、オティヌスちゃんのこれからの痴女っぷりに期待だな」

トール「…魔法少女ならぬ、"魔神痴女"オティヌスちゃん!」

ウート「魔法の杖【グングニル】で!わるものを懲らしめちゃうぞ☆」


ウートトール「「ハハハハ!!」」



オティヌス「…貴様ら、今が会議中というのを忘れすぎじゃないか?うん?」ピキピキピキピキピキピキ

ウートール「  」


\ホギャアアアア!!/


マリアン「何故そんな簡易自殺法を試すかねー?」ハハ

シギン「とりあえずサイテーだなって思う。思うよ」イライラ

ヘル「バカね」フー

フレイヤ(私がリーダーの服着たら…すごい絵ヅラになるよね)フフ

ミョルニル「」ガタガタ!

フェンリル(救えないけど、同意はするぜ二人とも)キリッ

ヨルムンガンド(上に同じだ)キリッ

ロキ(ふっ、露出していればいいってものではない事がわからないとは…まだまだ若いと言わざるをえませんね)ニヤ

ベルシ(やれやれ…TPOくらい考えろと説教したくなるな…)ハァ


オマケ終了。


あの魔神衣装をフレイヤが着たらすさまじいな…
それにしても、ほのぼのグレムリンズ最高だわ
またオマケ小ネタを挟んでくれたら嬉しい

オッレルス「(……つまり、あの女の特性を使えば普段は不回避なことすらも免れることも可能とも言えるな)」ギシギシッ

シルビア「またアンタは面倒事を増やしたんだね。このまま三角木馬に座って一日過ごしな」

フィアンマ「(俺様もいずれはあの様な扱いを受けてしまうのか……?)」

>>513ウートガルザロキ「あなたの願い、叶えます」

>>515オティヌス「いや、例え私の特性があっても貴様の場合は回避不可能だろ」


投下。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「なぁ、あんたは"魔神"にどんな願いを叶えてほしいんだ?」




グレムリンに所属するメンバー達は皆、


『自分だけでは逆立ちしても叶えられない願い』を持っている。


自分ではどうしても叶えられないから、唯一叶えてくれる可能性がある魔神《オティヌス》に協力して。


媚びを、借りを、恩を売る。


だから、気になったんだよ。「皆はどんな願いを叶えてほしいんだ?」って。

で、聞いてみたのさ。




「俺は、祖国を救いたい」




「私は母さんを助けたいの」




「俺はもう飢えないようになりたいんだ」




「本当の自分の姿を取り戻したいのさ」




「復讐の機会を得るためだ」




『私がここにいるのはマリアンがいるから。マリアンといると、"愉しい"から。
 …そうだね。強いて言うのならば、マリアンとずっと一緒にいたい、だ』



「ふっふっふー。願いというより、利用して実現する…ですかにゃ?

 ロシアちゃんを守り、ヨーロッパ圏内から学園都市ちゃんを、アメリカちゃんを追い返し、豊かにしたいのだよ!

…まぁ、もし、できるなら……昔あった私の故郷の「小さな森」ちゃんを復活させてくれると嬉しいかにゃーん?」




「別に?貴方達と組んだのは、ただの仕事《ビジネス》だもの。

 …そうね、あえて言うならば、魔術sideと科学sideの勢力差を入れ換え。魔術師として成功する事…かしら?」




「願い…でございますか?そうですね、『彼女の覇道の行く末を近くで見守りたい』でございましょうか。

 後続の者の成長と未来を見守る。これが老いらくの楽しみだから、でございます」




「んー…いつか、この人だけに私の『助言』を聞かせたいって思える人を見つけ…って、何言わせるの」




「願い?ないよ、そんなの。私がここにいるのは、"趣味"に没頭させてくれて、生き甲斐を持たせてくれるから。

 ……なんだよ?いや別にベルシは関係ないってば!笑うな!」




etc、etc。


そんで、聞かれた。




「「「「「「「「「じゃあ、あなたの(お前の)(君の)(あんたの)(テメェの)(貴様の)(ウートガルザロキの)」」」」」」」」」



「「「「「「「「『願い』は?」」」」」」」」」」」





「…わりぃ、秘密。」


…悪いな、今はまだ。"ここでは"教えられないんだ。


何故かって?勿体ぶるなって?いやいや、ダメダメ。ダメなんだよ。まだまだな。


だってよ、俺の願いは。





―――――――――――なんだから。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




絹旗「ふぅ」



絹旗「フレメアの身辺警備も超楽じゃないですね」テクテク

絹旗「夕刻からフレメア就寝までの時間まで超拘束されますし、報酬も超発生しませんし」テクテク

絹旗「超volunteerですから仕方ないといえば超仕方ないんですが」

絹旗「他に仕事もないですが、趣味の映画鑑賞までできなくなると超ちょっと…」


絹旗「…なんか、超疲れちゃいました」ハァ

絹旗「ん?」チラッ




『あなたの願いを30分だけ叶えます!(現実には作用しません)"叶え屋Loki" ~料金はお客様がお決めください。延長:大体2時間~まで』


絹旗「…リラクゼーションとか超できたりするんですかね?」テクテク

絹旗「超冷やかしでもしてやりますか」スタスタ



ガチャ。

絹旗「超失礼しまーす」ガチャ


天井「最近、デザートやスイーツ類にも手を出し始めてみたんだが…試食を頼めるか?」

シギン「わぁ、ほんと?私甘いものスキだから嬉しいな」

ウート「おっ、何々?どんなん作ったワケ?」ワクワク

天井「今回はザッハートルテと、ティラミスを作ってみた。」コト、コト。

ウート「へー、俺ザッハートルテとティラミスの1ホールは初めて見たわ」

天井「今日はいつもより甘いから、紅茶ではなくコーヒーを淹れようか」トポポポ…

ウート「いーねー」

シギン「あ、私カップとかお皿とか出しておくよ」


絹旗「あの」



ウート「あまっちー、粉って何使うの?」

天井「今日は"ケニア"にしてみようか」

ウート「ほほう」

絹旗「あの!?ちょっと!」





天井「では、正直な感想を頼む」

シギン「おいひー」モムモム

ウート「どれどれ…?」


絹旗「あの!超お客様来てるんですけどぉー!」


天井「!?し、失礼しました!いらっしゃいませ!」

ウート「! しゅあっさーぃ!」

シギン「おいふぃー♪」マクマク♪

絹旗「まだ約一名超気づいてねぇ!!」



絹旗(…もういっそのこと超帰ってやりましょうか)







絹旗「あむ、もむもむ…全く、折角客が来てるのに超無視とか超あり得ないです」モキュモキュモキュモキュ

ウート(まさか機嫌取りのために俺の分を献上するはめになるとわ…)ちくせう

天井「先程は大変失礼致しました。」ペコ

絹旗「いえ、超もういいです。このティラミス超美味しいから超許します何コレ超美味ッ!!」モキュモキュモキュモキュ

シギン「ううーん、困っちゃうな、このままだと私太っちゃうかも」モキュモキュ

ウート(くっそ!俺も食いてぇェェ!!)

ウート「し、シギン。よかったら俺にも一口…」

シギン「えっ」

シギン「……」

シギン「////」ポンッ!

シギン「…一口、だけだからね?///」つ―∈□ アーン

ウート「さんきゅー♪」アム

絹旗「」

ウート「お、確かにうめーな。流石あまっち。」モムモム



絹旗「…あー超そういえばなんですけど。」

ウート「ん?何?」

絹旗「実は超よくわからないまま入っちゃいましたが、ここって超どんな店なんですか?」

ウート「あれ?表の看板見なかった?」

絹旗「いえ、超見た上でよくわからなかったので超聞いてます」

ウート「oh………まぁ、わかりやすく言うと『現実では叶わないようなシチュエーションをリアルに体感できる!』ってとこかな。」

ウート「例えば…キモメンが美少女ハーレムを築く事もできるし、貧乏な奴が大富豪にもなれる。」

ウート「無能力者が超能力者にもなれるし、ゲームのようなファンタジー世界を冒険する事もできる。そんな感じだよ」

絹旗「へぇー…ちなみに超どうやってやるんですか?」

ウート「企業秘密…とまでは言わないけど、簡単に言うと俺の"能力"みたいなモンを使うだけだよ」ヘラヘラ

絹旗「へぇ、そんな能力者も超いるんですね」

絹旗(その程度なら学園都市の技術でも超再現出来そうな気はしますけど)

ウート「あ、それで。君は何を望んでるのかな?」




絹旗「んー、超リラックスというか、癒されたいですね。できればC級映画みたいな話に超してほしいです」




天井(癒されたいのに何故C級なんだ?)

シギン(C級映画ってどんなのなんだろ)

ウート「りょかいっ!じゃ、具体的なシナリオなんだけど…」






ウート「よし!シナリオ、整いました!あまっちー!」

天井「かしこまりました、少々お待ちください」

シギン「ふむふむ。アレと、コレを準備するんだね」







ウート「はーい!準備完了ォ!」

ウート「それでは、このきゃわいい子リスちゃんの画像をじーっと見つめてください……」

絹旗「超わかりました」ジー

ウート「…貴女の体はどんどん縮み、この子リスちゃんのように、可愛らしい耳、鼻、髭、尻尾が生えてきました…」

絹旗「う…超……超……?」ボヤーン…

ウート「おや?どうやら、貴女のリスな一日が始まるようです――――――――――――



――――――――――――――
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――――――――――
――――――――



~とっとこ!子リスのモアイちゃん!へけっ!~




※某あざといハムスターのアニメのOPをご想像ください


とぉっとこ~走るよ♪モアイちゃん♪

路地裏~走るよモアイちゃん♪

だ~い好きなのはー♪

C~級映画~♪

やぁっぱりぃ~走るよモアイちゃーん♪

チャラチャチャラチャチャラチャチャチャチャ♪


絹リス「それリスじゃなくてハムスタァアアア!!!」ガバッ!




 子リスのモアイちゃんは、切れ味のいいツッコミとともに目が覚めました。

モアイちゃんの住む森は今日も平和で、いい天気のようです。


絹リス「え、超なんですかこの絵本調なナレーション」

絹旗(リス)「…おお?!私のお尻からリス尻尾、頭にリス耳、リス鼻が」

絹リス「自分で言うのも超なんですが、コレ結構超可愛いんじゃないでしょうか?」クルン♪


モアイちゃんは綿のベッドから降り、木のうろのおうちから出てみました。


絹リス「というか、私の名前は『さいあい』であって、超『モアイ』じゃないんですが」


モアイちゃんは木のうろのおうちから出てみました。


絹リス「超頑なですかナレーション。」




モアイちゃん?早く外に出てください


絹リス「超強制ですか」


モアイちゃん、話が進まないので。早くおんもに出ろ


絹リス「…超嫌だと言ったら?」


いいからはよ表出ろや!話進まねーっつってんだろ!


絹リス「本性が超出ましたね、ナレーション」


うっせーよ!いいから早くしろよ!何で序盤でつまづいてんだよ外に出るだけだろうが!


絹リス「いえ、あなたの思い通りに動かされるのが超気にくわないだけです」


メンドクセェェェェェェ!!モアイちゃんのプチ反抗期メンドクセェェェェ!!


絹リス「超癒してくれるんですよね?早く超癒してくださいよー」ニヤニヤ



だから外出ろって!マサラ○ウンから一歩も出ないでリーグチャンピオンになれると思ってんのか?!あ゙あ゙?!


癒してやるから!お願いだから外に出て?!

絹リス「超いやです」


オンドレャアアア!!




絹リス「というよりもですね…」

絹リス「ナレーションの声が超麦野ですし、」

絹リス「外で麦野っぽい猫が私を食べようと超狙ってますし…」ジッ


麦野(猫)「な、なんで気づいたのよ…」


絹リス「超野生の勘です」

麦にゃん「野生の勘スゲェ」


絹リス「というわけで何故か家(?)の中に置いてあった超小型火炎放射器を超使います」ボォォオオ!

麦にゃん「あづぁあああああ!!絹旗テメェェェェェ!!」


モアイちゃんは、かーいい麦にゃん(棒)に容赦なく炎を浴びせました。


絹リス「今度のナレーションは超浜面ですか?そしてやはり超モアイちゃん呼びですかそうですか」ボォォオオ!!


いわゆる"照り返し"も大丈夫です。

モアイちゃんは窒素装甲を持っているので燃えないし、熱くないのです。


絹リス「超いい感じに焼けてきましたねー」ボォォオオ!!


鬼畜外道です。


絹リス「超うっさいですよ浜面」ボォォオオ!!







麦にゃん「」こんがり♪

絹リス「うう、仲間を焼くのは超心苦しいです!」フゥ


モアイちゃんは秋晴れのような笑顔でストレスが解消された喜びを感じていました。


絹リス「誰であろうと、親が私に唯一くれた名前《モノ》をバカにするのは超許しません」

絹リス「…まぁそれに限らず、私も麦野には普段からちょっと思う所が超あったので。」


だよなー?麦野ももう少し俺に優しくしてくれたらいいんだけどなー


絹リス「浜面ナレーションの仕事放棄して雑談に超入らないでください」


浜面(猫)「あ、わりぃわりぃ…」


絹リス「まだ悪いねこちゃんが超いましたか」ボォォオオ!!

浜にゃん「あつっ!あづづづづ!ぁあああああ!!」

絹リス「モアイちゃん呼びをやめるなら私も超やめましょう」

浜にゃん「わかった!わかったから!」

絹リス「さて、そろそろおんもに超でますか。いざという時の囮も超手に入れましたし」

浜にゃん「それ俺のこと?!」

絹リス「むしろ他に誰かいたら超怖いです」


~おんも~

絹リス「ふぅ。猫の上に乗ってお散歩って超メルヘンですよね。一度超やってみたかったんですよ」

浜にゃん「へーそりゃよーござんしたね」スタスタ


てくてく。もあいちゃんとはまづらは仲良く森を散策します。


絹リス「…今度は滝壺さんが超ナレーションですか」

浜にゃん「あー、どーせ上に乗っけるなら滝壺がいーなーよかったなー」テクテク

絹リス「全く、超失礼ですね?私を背中に乗せられるとゆー、浜面の人生唯一の超檜舞台だというのに」フゥ

浜にゃん「俺の人生そんなにつまんなくねーよ?!」


もあいちゃん、そこ代わって。はまづらの背中も隣も上に乗っかるのも全部私のポジション。


絹リス「滝壺さん独占欲超丸だしですね」

浜にゃん「やー、照れるぜ~」デレデレ

絹リス「…」ツネリ

浜にゃん「いにゃ゙?!」ビグン!

絹リス「何故か超イラッときたので」プイ


滝壺(猫)「はまづら。私もきちゃった」ニャーン

絹リス「ナレーション仕事の放棄超早いですね皆」

絹リス「…というか、また猫ですか…何ですか?ひょっとしてこの森、アタゴオルの森なんですか?猫率ちょっと超高過ぎません?」

浜にゃん「つまり、文字通りにゃんにゃんしろとの神様からの啓示…?!」Gokuri…

絹リス「嫌ですね、浜面は。超下半身と脳味噌直結してて」グニッ

浜にゃん「痛い痛い」

滝にゃん「はまづら、私にはまづらの子猫産ませて…?」ニャン

浜にゃん「?!」ゴフッ?!

絹リス「よかったですね浜面。滝壺さんも性器と脳味噌、超直結してたみたいですよ?超お似合いですね?」アワレミノメ

浜面「そういう言い方やめてくんない?!」






麦にゃんMark-II「もーあいちゃあーん?」ウィーンガッシャン、ウィーンガッシャン!


絹リス「む、むぁた懲りずに来ましたか麦野」

麦II「私を、舐めてんじゃあ!ねーぞォォォオ?!」キュイーーン…


結局、麦にゃんマークIIの執念は恐ろしいってわけよ!


絹リス「次のナレーションはフレンダ、ですか」

浜にゃん「に、逃げろ!」ダダダダ

滝「はまづら。その背中の雌リスを置いていけば私達の生存確率はあがると思う。」ダダダダ

絹リス「なんでしょう、私次に現実の滝壺さんに超会った時、普通に接する事が超できなくなりそうです」


麦II「一匹もォォォオ!!逃がさなァアアアいィィィイ!!!」バシュゥウ!バシュゥウ!バシュゥウー!


大変!結局、麦にゃんマークIIはブチ切れて、森の半分を焼き払ってしまったわけよ!

絹リス「流石麦野、一々やる事が超ヤバイですね」


フレメア(狩人)「にゃあにゃあ!大体、悪いことする猫ちゃんはどこだ!」


おおっと!ハンターが助けに来てくれたってわけよ!


絹リス「あ、人間は超存在するんですね」

狩人フレメア(猫)「にゃあ?」クルッ

絹リス「やっぱり猫?!」




フレにゃん「にゃあにゃあ!大体、私の鋼鉄破り《メタルイーター》で土手っ腹に劣化ウラン弾ブチ込んでやるぜぇぇええ!!」ドバーン!

麦II「小癪な!!その程度で私を倒せると思ってんじゃねぇぇええぞォォォオ?!」バシュゥウ!バシュゥウ!

フレメア「うっせーババァ!!姉御の仇じゃゴルァアアア!!!」バーン!バーン!


絹リス「…超どんなジャンルに分類されるんでしょうね、この話って。私にはもう超わかりません」

絹リス「…キャラ崩壊し過ぎてて、超一発で見る気なくします」



~結局、数時間に及ぶ戦いだったってわけよ~




黒夜(猫)「…これでわかっただろ。争いは、悲劇しか生まねェンだよ!」クワッ!

絹リス「お前は超どっから出てきたんですか」

麦II「…ちっ」ボロボロ

フレにゃん「に、にゃあ…」ポロッ…ポロポロ……

絹リス「すいません、ちょっと省かれすぎて、どこに泣ける要素があったのか超わかんなかったんですけど」

浜にゃん「滝壺、俺はここで終わりだ。…けどよ、」

浜にゃん「あの戦いが始まってからの、お前と過ごした数ヵ月、楽しかった…ぜ…」ガクッ!

滝にゃん「はまづら?…はまづらぁぁあああああ!!!」

絹リス「…あの、超"数時間後"じゃなかったでしたっけ?」

黒にゃん「大丈夫、浜にゃんは寝ただけだ」

滝にゃん「…よかった…!」



麦II「…その、私が、わるかった。ごめん、な?」

滝にゃん「いいよ、もう。わたしもはまづらも、怒ってないよ」フルフル

黒にゃん「住み処を壊された私も許すよ」

絹リス(そんだけやられてよく超許せますね…まぁ、"許す"と"また仲良くする"は超違うとは思いますけど。)

フレにゃん「…ヴァカめ!隙を見せたなぁぁあああああ!!!ゲヘヘヘ!!!」パーン!

絹リス「最低かお前」

滝にゃん「私はもう、誰かを失うなんてイヤ!!」バッ!

絹リス(かばった?!)

麦II「ぐわ――――!!」ブシャー!

滝にゃん「あ」

絹リス「超間に合わなかった――――!?」

浜にゃん「ぐわぁあああ!!!」ブシャー!

絹リス「貫通して浜面まで超とばっちり!?」

黒にゃん「大丈夫だ!まだ間に合う!私が治してみせる!!」





~結局、数分後ってわけよ~




黒にゃん「できたぜ!」フー

麦にゃんマーク3『I'll be back.』プシュー…

浜にゃんマークII「ハマヅーラいず、タキツボLOVEデース!」ウィーンガッシャンウィーンガッシャンウィーンガッシャン

絹リス(うわっちゃーお。完ッ全に超大失敗じゃないですか……もうこれ治さない方が超よかったんじゃ…)チラッ

滝にゃん「よかった…!はまづらが元に戻って…」グスン

絹リス「…滝壺さんにとっての麦野と浜面って、超なんだったんでしょうね?」トオイメ

黒にゃん「これで、この森に真の平和がとり戻されたな」フフ

麦3『Thank You. KURONYAN!』ダキ

黒にゃん「ハハッよせよ、照れるぜ」

フレにゃん「にゃあにゃあ!やっぱり皆仲良しがいいな!」

浜II「イエース、イエース!ザッツラーイト!グッバーイ!」ウィーンガッシャンウィーンガッシャン

滝にゃん「ふふ。」




絹リス「……超なんだこれ」







サバンダ「結局、これでおしまいってわけよ!」ピチピチ!

絹リス「フレンダだけサバだ――――!!!」



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ウート「…………」

ウート「………あの、やっといてなんだけど…本当にこんなんでよかったの?」


絹旗「ええ!」フンス!

絹旗「あのよくわからない感、クソつまらなさ、身内しかわからない、カオス、シュールさ、Z級ギリギリですね!」hshs!

絹旗「最高に超最低でした。私は叶え屋を超舐めていたようです」キリッ

ウート「よ、よかったね?」

絹旗「いやぁ、久々に超癒されました!」


ウート(アレで癒される人間がいる事に俺はビックリだよ)

シギン(…世の中って、色んな人がいるんだね)

天井(私にはわからん世界だなぁ…)








絹旗「ふー、次は浜面も超一緒に連れてきましょうかね。」テクテク

絹旗「そうだ、次は映画の中に超入るってのも超いいかもしれないですね」テクテク


ブゥン。


絹旗「うわっ?!超危なっ!!」サッ

ウウゥゥウウウン……

絹旗「…行っちゃいました…超何だったんですかね?」




絹旗「今の、白いカブトムシみたいなモノは?」ハテ?




~某日朝、上条宅・風呂場~




美琴「…ちょっと!いい加減起きなさいよ!」ユサユサ!


上条「…え?」パチ

美琴「もう起きる時間でしょ!さっさと起きる!」バサッ!

上条「???!」

美琴「それとも…っ」

美琴「……//////」モジモジ

美琴「チュー、しなきゃ…起きない?/////」ハジライっ

上条「……」


上条「……」右手ポン

パキーン!

美琴ール「し、仕方ないわね!アンタが私のせいで遅刻しても気分悪いしっ!」パキパキパキ…

美トール「べっ、別に私がキスしたいだけなんかじゃないんだからねっ!」パキパキパキ…

トール「じゃあ………あん?」

上条「……で?何の真似だコノヤロー?」コキコキ

トール「何って……悪ふざけ?」テヘペロ☆

上条「くたばれェェェェェェ!!!」




ゴンガンバキボキャバン!!




上条「つええ……」ドサッ…

トール「甘いぜ、上条ちゃん」ニヤリ

スフィンクス(オメーが負けんのかい)ビシッ

インデックス「あ、終わった?トール、パン焼くの手伝って欲しいかも」

トール「おー了解了解。」スタスタ


上条(何故だちくせう)






トール「やー、しっかし!すっかりどこも『一端覧祭』っぽくなったなー」テクテク

上条「そーだな。屋台、屋台。行き交う業者の車と学生。平和だな」テクテク

トール「なのに。『一端覧祭』準備期間中の授業はないはずだってのに。今日は一時間だけ授業あんだろ?」テクテク

上条「まぁ、本当は出なくてもいい『特別授業』で、単位足りない奴への救済処置、内申点アップが目的の授業なんだけどな。」テクテク

トール「上条ちゃんみたいな、ちゃんと出れない奴も救うんだな。」テクテク

トール「…そーいやよ、上条ちゃんは当日誰と回るワケー?」テクテク

上条「さーてな。土御門や青ピ、お前やインデックスと回ろっかなって思ってるけど」テクテク

トール「お?いーね!…って、もっと女子誘おうぜー?上条ちゃんよー」ベタベタ

上条「ええい!まとわりつくな!」ベシベシ



上条「…大体、他に誰を誘いたいんだ?」

トール「んっんー…そーだなー、姫神ちゃんと、吹寄ちゃんとー…」ユビオリ、ユビオリ…

サローニャ「サローニャちゃんとー」ユビオリ

トール「…まぁ、後は時間が合えば、ミコっちゃんじゃないか?」

上条「」

トール「…ん?どーした?上条ちゃん。腹の調子でも悪いのか?」

サローニャ「いやいや!頭の調子かもしんねーぜ?トールちゃん!」

トール「おいおい、そりゃいつもだろ?」

サロトール「「アハハハハ!!」」

上条「いやナチュラルに会話に混ざってんじゃねぇ―――――よォォォオオオオオ!!!」


サローニャ「やだー、ちょっとぉ!上条ちゃん大きい声出さないでよー耳キンキンするじゃん!」ぷぅー!

上条「ぷぅー!…じゃねーよ!どっから涌いて出た魔術師!!」ウガー!

サローニャ「おいおい、こんなに可愛いおにゃのこ捕まえてウジ虫みてーに言うもんじゃねーぜい?」フゥーヤレヤレ

上条「うっせぇ!!どーやって脱出して、何しに学園都市に侵入してきやがったんだ!」




サローニャ「…アレアレちゃん?前にも言ったとー、おーもうんだーけどー?」クビカシゲ


上条「…ああん?」

サローニャ「…いい加減、何でもかんでも聞けば正答が返ってくるって期待すんのはやめましょーや。」

サローニャ「頭空っぽの検索世代ちゃん?『自分の知りたい情報』だけで頭を構成するのはとーっても危険なんだってば。」

サローニャ「サローニャちゃんでさえそうだったでしょ?グレムリンに、オティヌスちゃんに。いいように利用されちゃってたでしょ?」ジロッ

トール「…」プイ

上条「…!」

サローニャ「じゃ、それらを踏まえた上で考えよーぜ?」




サローニャ「……なぁ、おい。なーんで、あん時取っ捕まっちまったはずのサローニャちゃんがココに居ると思う?」



上条「……」

トール「……」

上条(サローニャがここにいる、理由。)

上条(…あの時、サローニャは学園都市『も』ロシアから追い出したいって言っていた。)

上条(『(俺を)殺す理由はワンセット揃っている』とも言っていた。)

上条(…俺が、第三次世界大戦を終わらせて、間接的にサローニャの故郷を蹂躙させた、から…)

上条(例え理屈の上では無関係だって理解できても、感情は納得できない、よな…)

上条(それにグレムリンに利用されていたかもしれないが、サローニャがグレムリンでなくなったかはわからない…)

上条(それに、手札を全部失った状態で、アメリカの軍からどうやって逃げおおせたか?)

上条(やっぱり、グレムリンか、バードウェイ達のような組織が助けた……のか?)

上条(なら…)



サローニャ「答えは……」ダッ

上条「?!」サッ

サローニャ「あいつらのとこから助け出された後、ここに侵入したのはね……?」バッ!

上条(俺への、学園都市へのリベンジ、そして、サローニャの現所属組織からの指示か!)バッ!

上条(奇襲を仕掛けてこなかったのは自信の現れ……だが、そんなことは関係ねぇ!)キッ


上条「…上等だ。いいぜ、サローニャ!お前が俺達に危害を加えようってんなら!まずはそのふざけた幻想を…!」グッ




上条「ブチ殺 サローニャ「上条ちゃんに会いに来たからなのーっ!」ダキッ!





上条「………………………は?」



サローニャ「会いたかった、会いたかったよぅー!」スリスリスリスリ♪


上条「………………はぁ?!」

サローニャ「ふにゅ?なんかいったかにゃーん?」キョトン?


上条「はぁ―――――――?!」


トール「…す、すげー、考察して……ッッ…のに…ッ!……ぜ、ぜんぜんッッ……!」←声にならないほど爆笑してる




~とある高校~




小萌「……それで?」イライラ

上条「ええと、その…」セイザ

サローニャ「……」セイザ

小萌「部外者と一緒に仲良く超重役出勤…というわけなのですー?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

上条「……すみません」

小萌「すみませんで済んだら、大人は悩まないのですよー?」ピキピキ

上条「面目次第もございません…」

小萌「…はぁ。『次』はないのですよ?」

上条「はい…」




トール「いやー、上条ちゃんが羨ましーぜー」ニヤニヤ←トールは間に合った

土御門「うー、まーたカミやん病患者かにゃー?!」バンバン!

青髪「なんでや!なんで登校しただけであざとい系美少女に惚れられとるんやぁぁあああああ!!」バンバン!

吹寄「また?アイツのどこがそんなにいいのかしらね?」フー

姫神(また。ライバルが増えた…?しかも私よりキャラが濃い…まずい。このままでは…当麻くんが…)うう…







サローニャ「…えーと、上条ちゃん?ゴメンね?そんなに急いでるって知らなくて…」

上条「あーもーいーですよーだ…」グデー

サローニャ「…あー…あの先生ちゃん!優しくてよかったね!減点なし、私も今日は居てもいいってさ!」

上条「そーですねー」

サローニャ「ほら、ばんじゃーい!って!ほら!ばんじゃーい!」バンジャーイ

上条「そーですねー…」

サローニャ「…森田一義アワーでもないんですけどね?」

上条「そーですねー…でよ、」


上条「そろそろ上条さんの頭の上にアゴ置くの止めてもらえませんかね?」

サローニャ「え?やだよー?」キョトン?


青髪「…もうボク、真の力解放していい?」ガタッ

土御門「おれもそろそろ本気出そうと思ってたとこだぜぃ」ガタッ

トール「じゃあ、トールさんも便乗だ」ガタッ

姫神「私も。一言。物申す。」ガタッ




ザッザッザッ。


サローニャ「うりうりー。どっかな?サローニャちゃんの悩ましぼでぃは?うん?」ムニュムニュ

上条「あ…ちょ……ん?どーした?」


土御門「…すまんなぁ、カミやん。」コキコキ

青髪「ボクはお前を殴らなアカン」コキコキ

トール「殴っとかな気がすまん」コキコキ

姫神「のや。」コキコキ

上条「ちょ、」


青髪「羨ましい」

土御門「妬ましい」

トール「なんとなく」

姫神「そこ(上条に密着するポジション)は私の場所。」


姫神「野郎共。やっちまえ!」

土御門青髪トール「「「 応 !!!」」」バッ




サローニャ「……あ゙?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



土御門「あ、カミやん次の授業に遅れるぜい?」

青髪「待っとくから、はよ準備してくれん?」

トール「上条ちゃん?早く行こーぜ!」

上条「お、おう…」



姫神「」

吹寄「…」ポン


~家庭科室~



黄泉川「今日の『特別授業』は調理実習じゃん!」

黄泉川「各自、サラダ、ごはん、味噌汁、プラス何かおかずを一品作ってもらうじゃんよ!」

上条「せんせい!」ハイ!

黄泉川「どーしたじゃん?上条?」

上条「調理器具が炊飯器しかないんですけど!」

黄泉川「それが?」

上条「へぁ?!いやいや!炊飯器で味噌汁やら何やらは作れませんって!」

黄泉川「ふー…いいか、上条。炊飯器はな、『万能』じゃん。お前が炊飯器の"無限の可能性"を知らないだけじゃん」

上条「…じゃあ先生、やってみせてくださいよ!」

黄泉川「おーいーとも?作っといてやろう」ニヤリ

黄泉川「だがまぁ、確かに炊飯器を使いこなすのはお前らには難しいかもな。普通の調理器具使っていいじゃんよ」




トール「知らなかった…炊飯器って"魔神"級にスゲェんだな…」ゴクリ

サローニャ「サローニャちゃんもご飯ちゃんを炊くぐらいしかできないと思ってたよ…!」ゴクリ

上条「いやその認識で合ってると思う」

姫神「炊飯器料理。奥が深い。」

吹寄「炊飯器の隠された性能を引き出すって凄いわね」

青髪「あ~ん!黄泉川せんせの愛情たっぷりの炊飯器料理、ボクも食べたいわ~」

土御門(グループ時代、一方通行の「アイツ何でも炊飯器で作りやがるンだよ」って本当だったのか…)ゴーン






姫神「私と吹寄さんはお味噌汁を作る。土御門くんと青髪くんはごはんを。雷神くんと当麻くんとサローニャさんはサラダをお願い」テキパキ

吹寄「はいはい。」

土御門「任せるぜよ!」

青髪「ええよー」

上条「ういうい。」

トール「あいよっ!」

サローニャ「サローニャちゃんにお任せだっぜ!」


~ごはん班~

青髪「…」シャカシャカ←米研ぎ中

土御門「…」シャカシャカ←米研ぎ中


青髪「…なぁ、土御門くん。また増えたね?」

土御門「そうだな。だが、サローニャの侵入に関してだけは今回俺はノータッチだ」

青髪「…『侵入に関してだけは』?」

土御門「…」

青髪「はいはい。いつものとーりいつものとーり。」シャカシャカ

土御門「…」シャカシャカ



~味噌汁班~

姫神「私は。赤味噌派」

吹寄「えー…私白味噌派なんだけど」

姫神「……」

吹寄「……」

姫神「最っ初は!」

吹寄「グー!」

姫神吹寄「「ジャンケンポン!」」



~サラダ班~

トール「まぁ、サラダなんて簡単だよな。洗って切って、盛りつけるだけだろ?」

サローニャ「今回はドレッシングちゃん作るのも一応あるんだけどね」

上条「…?!」

サローニャ「?どーしたの?上条ちゃん」

トール「どした?そんな真顔になっちゃって」

上条「………野菜、持ってくるのを忘れた…」

トール「はぁああ?!昨日あんだけ言われてたのに忘れたのかよ!?」

サローニャ「あらら。」

上条「すまん…」

トール「おいおい…俺達だけサラダなしかよー」

上条「とりあえず、皆にも事情を…」

サローニャ「ちょい待ち!どうかにゃ?ここはサローニャちゃんに任せてみないかい?」ニヒヒ

上条トール「「?」」

サローニャ「ちょろーんと、10分ほどお時間頂きますぜ!」ガラッ

タタタ…

トール「…出てっちまったな」

上条「…俺もちょっと見てくるよ」スッ






~花壇~


サローニャ「種を植えて…っと♪」ポンポン

上条「サローニャ!」タッタッタ

サローニャ「おりょ?待っててくれてよかったのよ?」

上条「いや、お前が(何する気か)気になって…」

サローニャ「!」

サローニャ「もっー!上条ちゃんは私を喜ばせるの得意かー?」バシバシ

上条「?…で?何する気なんだ?」

サローニャ「コホン。私の術式はご存じ『森の支配者:レーシー』。」

サローニャ「『ゾーン』内の"森"をある程度自由に操れる術式。その操作対象は動物や虫、『植物』。」

サローニャ「つまりね?」

ニョキニョキ。

上条「うお?!花壇から何か生えた?!」

サローニャ「応用すれば、支配領域の植物ちゃんがどう成長するか、その方向性や進度、成長率も操れるんですわ」

ニョキニョキニョキニョキ…

上条「おお…スゲェ!あっという間に成長してキャベツ、レタス、トマトに人参、胡瓜がなった!」

サローニャ「いっひっひ!じゃ、収穫しちゃいましょーかぁー!」






ガラッ

トール「…お?帰ってきたな」

上条「見てくれよ!サローニャのおかげでこんなに!」ドサッ

トール「うおー?!マジか!」

サローニャ「ふっふっふー。もっと褒めてくれてもいいのだよ?上条ちゃん!私の頭をナデナデして、でこちゅーくれちゃってもいーんだぜ?」

上条「ありがとな、サローニャ」ナデナデ

サローニャ「…おおぅ、まさか本当にしてくれるとは…」にへー♪

姫神「?!」ザクッ!

姫神(早速抜け駆け?!私が当麻くんに美味しい物を食べてもらおうと努力している隙に?!)ダパダパダバ…

青髪「ひ、姫やん?!指ザックリいっとるよ?!出血ヤバイって!」ヒィイ

サローニャ「でこちゅーは?ねぇねぇ?」でこ出し

上条「しません!でこちゅーはしません!」

サローニャ「ちえー」

トール「俺は上条ちゃんにでこちゅーしたけどな」

ざわっ…

上条「トォォォォォォオオオオオルゥゥウウウ!!!」

サローニャ「じゃあ!私もする!トールちゃんだけ特別とかイヤ」ガバッ

んちゅ。

ちゅぅうううううう

上条「」



姫神「」ドポポポボバババ

青髪「姫やん?!姫や――――ん!!?」






黄泉川「じゃ、いただきまーす」

「「「「「「いただきまーす」」」」」」

上条「……まさかマジで炊飯器で全部作るとは…」

サローニャ「あ、おいしー」モキュモキュ

トール「俺も炊飯器買おっかな…」モギュモギュ

吹寄「…赤味噌もイケるのね」

姫神「白味噌も。美味しい。」

吹寄「結局、どっちも作っといてよかったわね」

土御門「あの、何かオレの味噌汁だけ血が浮いてるんだけど」





~クラスの出し物準備だぜ!~



上条「メニュー表と、机と椅子…」

土御門「食材、材料、厨房、調理器具…」

青髪「その間の自分達用の食料調達…」

トール「コスプレ用衣装作成と用意…」

サローニャ「お店ちゃんの看板作り…」

姫神「チラシ作り…」

吹寄「全員行き渡ったわね?今日は各自、そのメモに書かれた事をやってもらうわ!」

吹寄「私は各班を見て回ったり、手伝い、書類提出なんかを済ませとくから!んじゃ、頼んだわよ!」





~街中~


上条「メニュー表はともかく、机と椅子か…まぁ、探すしかないよなぁ…」テクテク

サローニャ「おっす上条ちゃん!」ヒョコ!

上条「…サローニャ?お前看板作りじゃなかったか?」

サローニャ「無理言って上条ちゃんと同じ班にしてもらっちゃった~☆」てぃへ☆

上条「」

サローニャ「一緒に行こーぜ?」ギュ

上条「わかった!わかったから腕に絡むなよ!」

サローニャ「イーヤー♪」




御坂「」←偶然のみこっちゃん







サローニャ「おおっとぉ?あの店なんかいーんじゃにゃーかい?上条ちゃん!」ユビサシ
上条「…なぁ、サローニャ」

サローニャ「何かな?」ニコッ

上条「…お前、俺を憎んでたっていうか、恨んでたんじゃないのか?」

サローニャ「……」ピク

上条「第三次世界大戦をああいう形で俺が止めたせいで、ロシアが学園都市とアメリカにいいようにされて。」

上条「それを巻き返すためにああいう事をやったんだろ?」

上条「そんな子が何で、いきなり俺にスゲェ好意的になってんだよ。どういう心境変化があったってんだ?」

サローニャ「ああ…」ポン!

サローニャ「いいよ。教えてあげる。」ニッ

サローニャ「とりあえずお店ちゃん入ろっか」



~スタバ~



サローニャ「上条ちゃんに倒されてからあの後ね、アメリカ軍ちゃんに捕まっちゃったんだ」

上条「…」

サローニャ「その時、あー…詳しくは言えないけど、"合法的に"助けてくれた人がいてさ。」

サローニャ「暫く森に身を隠して、それからこっちにきたの。」

サローニャ「…助け出されて、ここに向かってる途中でね、『そういえば、あのツンツン頭ちゃんにも会うんだよなー』って考えてたんだ。」

サローニャ「そんで、あの時の事思い出して。」

サローニャ「よくよく考えたら、上条ちゃんは私の故郷を滅茶苦茶にしてる奴等とは違うんだってやっと気づいたの。」

上条「……」

サローニャ「上条ちゃんの功績を利用して、ズルい奴等が酷い事してただけ。」

サローニャ「それを、私はあまりにも結果論だけで考えてて。『納得できない!』って感情論だけで、八つ当たりしてただけなんだなーって。」

上条「……」

サローニャ「上条ちゃんに酷い事言っちゃったし、悪いことしたにゃー謝んなきゃなって思って……」

サローニャ「そんで、上条ちゃんが『正義を利用してお前達を苦しめている奴等と戦うのは俺の役目だ。』、」

サローニャ「『お前が世界中から非難される必要なんてない』って言ってくれたのを思い出しちゃって。」


サローニャ「……その、今まで誰もそんな風に言ってくれた事、なかったから…////」




サローニャ「…いつの間にか、上条ちゃんが好きになってたんだよ」エヘヘ




上条「……////」

サローニャ「…この話を信用してくれなくてもいい。許さなくても、批判しても、嫌いでも、私の好意を見てみぬふりをしたっていい。」

サローニャ「でも、私が上条ちゃんを好きな事はちゃんと知っておいてほしいな。」ニコッ

上条「あ、う…えと……//////」

サローニャ「ひひ、いーよ?別に今すぐつき合ってくれなんて言わないしぃ?」ニッ

上条「…その、ありがと」

サローニャ「いーのいーの!んじゃ、そろそろいこっか!サボりすぎはダメダメちゃん!」



~近くの席~

御坂「そんな、そんなそんな……ヤバイ、どうしよ、とられ……?やだよやだよ…」

御坂「わ、私も告白するしか……?」

御坂「ってできるわけないし!」ウガー!

店長「…おい」

御坂「はい?!」バッ

店長「チャンスとピンチが目の前にあンのに、チャンスを掴もうとしないのは勿体ねェと思うぞ」コト

御坂「…これは?」

店長「サービスだ。」スタスタ…

御坂「何で顔隠して…それにあの特徴的な喋り方…」

御坂「…まさか、ね」


~夕刻~



サローニャ「…さってと。みーんな帰っちゃったし…」

サローニャ「探しますか。」テクテク


サローニャ「『叶えたい願いを強く念じれば見つけられる』だったよね」テクテク




~叶え屋、店内スペース~



ウート「天と地のオメガ♪イデオロギー♪っと」

ガチャ。

サローニャ「やっはろー♪'恩'人'ち'ゃ'ん'!'いやー、探したよぉ?」

ウート「お?サロにゃんじゃん。ひさぶー」フリフリ

サローニャ「ひさぶー!……へー、本当にお店ちゃんを開いてるんだねぇ?」キョロキョロ

ウート「おう。いい店だろ?」ニカッ

サローニャ「だね!」ニコッ

ウート「…まぁこれで。無事侵入できたわけだな?」

サローニャ「そーだねん♪」ポスッ

ウート「…っはー」ドサッ

ウート「まーだ、足りねぇんだよなぁ…」

サローニャ「それは『役者』ちゃんの話かにゃ?」

ウート「ああ。まだまだ全然だ。話で言えば、やっと導入部分が終わりかけってとこ。」

サローニャ「あーりゃりゃん。先は長いねぇ?」

ウート「全くだ。…あー、悪かったな。サロにゃんが捕まったってつっちーから聞いて、助け出したはいいが…」

サローニャ「まだウーちゃんが"本命"ちゃんの準備中で、私の事まで首が回らなかったんでしょ?わかってるよ。」



ウート「いやぁ、でも隠れるためとはいえ一週間樹上生活は辛かったろ?マジゴメンな」

サローニャ「うん。…オランウータンちゃんの気持ちになれたね」

ウート「……」

サローニャ「……」

ウート「学校どう?」

サローニャ「たのしーよー?好きな人もいるしねー」ニャハハ

ウート「いーなー、俺も年が合えば学校行きたかったわー」ハハ

サローニャ「んふー、今日はねぇ、『一端覧祭』の準備を手伝ったんだけどね……」



―――――――――――――

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――


サローニャ「…おっと、もうこんな時間。じゃ、またくるよ」フリフリ

ウート「おう。…頼むぜ?『パイプ役』。」

サローニャ「任せな!」bビシッ!


サローニャ「……ウーちゃんの『願い』、叶うといいね」

ウート「あんがと。サロにゃんが手伝ってくれれば百人力。多分叶っちゃうねコレ。」

サローニャ「…ガンバろーね」ヒラヒラ


バタン…


ウート「…………」




ウート(そろそろ"本命"のために、あの霊装も探し始めなきゃな。……確か、イギリスの魔術組織『新たなる光』のアイツが持ってんだったっけか)


ウート「……あー、クソ。バゲシティのあの日から覚悟はしてたつもりだったんだけどな…」ガシガシ

ウート「やっぱ、ちょい怖ェわ…」


ウート(…わかってるさ)




ウート「これができるのは…俺しか、居ないんだ」


本編投下終了。以下オマケ。

じわりじわりと話は進んでいる。

だけどまだ当初の予定のごぶんのいちかろくぶんのいちくらいなのが怖い


ウート「魚が食べたい?」

フレイヤ「そうなの」コク

ウート「…食えばいいじゃん?」

フレイヤ「それがさ、食べたくても食べられないんだってば。」

フレイヤ「戦争中でしょ?だから学園都市近辺の物流に世界中が敏感な今、支給される以外のモノを買いに行く~なんて目立つ行動はできないの」

フレイヤ「私達はまだ水面下にいなきゃいけないんだから」

ウート「ふーん。まぁ、言いたい事はわかったけど。具体的に俺にどーしてほしいわけよ?」

フレイヤ「私と魚釣るの手伝って。」

ウート(めんどくさっ!!イヤだってスゲー言いてぇんですけど!?)エー

ウート「~っ、わーったよ、わーったわーった。何匹くらい釣ればいいんだ?」ガシガシ

フレイヤ「3匹くらいでいいよ」

ウート「あいあい。3匹ね」





ザザーン…

ウート「……釣れねーなー…」

フレイヤ「こっちも。…くそう。さっきから一匹も釣れん。へるすぃーな魚が恋しい…」くすん。

ウート「つかよぉ、魔術師なのにそのチカラを使わず、原始的な方法に頼るってどーなのよー?」ウダウダ


フレイヤ「魔術使用痕跡をオッレルスあたりの"サーチ"に引っ掛かけさせて、グレムリンの本拠地バラして。オティヌスちゃんにブッコロされたいのかね?」ウリウリ

ウート「そりゃジョーダンじゃ済まねぇだろうな。色々な意味で。」ククク

・・・・・。

ウート「…釣れねーな」フゥ

フレイヤ「餌が悪いのかなぁ?」フゥ



マリアン「お困りかね?」ヒョコ

ミョルニル「…」ガタガタ♪

フレイヤ「あ、マリアンにミョルニル。手伝ってくれるの?」

マリアン「ふっふっふ、頼りになりそーなのを借りてきたよ?」

ミョルニル「…」ガタガタ

ウート「?魚釣りに使えるようなもん、ウチにあったっけか?」

マリアン「ふふー…じゃっじゃじゃーん!※『ロキの投網』ー!」テッテレー!

ミョルニル「…」ガタガター♪


※新訳4巻、マリアンがバゲージシティに飛来した学園都市の戦闘機を撃墜した時に使った霊装。

本来の用途は『呪い剃らし』を封殺し、確実に相手に攻撃を当てる程度の補助霊装。


フレイヤ「おおー!いっぱいとれそーだね!」

マリアン「おーともさ!いっぱいとれちゃうぜー?」ニヒヒ

ミョルニル「…」ガタタ!

ウート「じゃ、いっちょやりますか!」


\「うおー!大漁だな!」「へっへっへー!」「すごー!」「…」ガタガタ!/

キャッキャッ!

~ロキルーム~

ロキ「…おや?私の霊装が一つ見当たりませんな…」ウロウロオロオロ



~バゲージシティ~

マリアン「…で。結局、あの後返すの忘れてて借りパクしちゃったんだっけね」テヘッ☆

マリアン「さてさて。んじゃ、学園都市兵器に一発かましてみますか!」ブンッ!



~"船の墓場"とある豪華客船のダンスホール~

ヘル「~~♪~~~~♪」ツイッツイッ…

ヘル「~♪~~♪♪~~~~♪」フワッ…クルッ…

ヘル「~~~~♪♪♪~~~♪~~~♪……」タン…

パチパチパチパチ…

ヘル「?」クルッ

ウート「ブラァボー、ブラボー。」パチパチパチパチ…

ヘル「……やだ、覗いてたの?貴方、趣味が悪いわ。」

ウート「いや黙って見てたのは悪かった。ダンス、上手いんだな。……ああ、鼻歌も」

ヘル「…意地悪な人ね。出てこずに墓場まで秘密にしてくれればよかったのに」プイ

ウート「いや、拍手と称賛がされてもいいくらいには優雅で華麗だったからなぁ。つい。」

ヘル「……ありがと。」

ウート「なぁ、歌ってた曲ってどんな曲?」

ヘル「…バッハ、『管弦楽組曲 第1番、第5曲メヌエット』。」

ウート「へー、クラシック詳しいんだな」

ヘル「たまたまよ」

ウート「習ってたのか?ダンス。」

ヘル「ええ。小さい頃に」

ウート「ああだから、か」

ヘル「……ここね?」

ウート「?」

ヘル「私が、初めて発表会をやった所に似てるのよ。だから…」

ウート「つい、懐かしくなった?」

ヘル「そんなとこ。」フフ

ウート「あー、実はな、俺もちょっとは踊れるんだぜ?あーいうの。」

ヘル「あら、意外ね。貴方も習ってたのかしら?」

ウート「うんにゃ。モテたくてつい最近に、な」

ヘル「ふふ?随分簡単な理由ね」クスクス

ウート「難しい、複雑な理由の方が珍しいんじゃね?」ヘラヘラ

ヘル「そうかも。」クスクス

ウート「っと。」ッスタッ!

ヘル「?」

ウート「…亡者を従えしニヴルヘイムの女王様。」

ウート「もしよろしければ、この巨人の王《ウートガルザロキ》と一曲、踊ってはいただけませんか?」スッ…

ヘル「っ…アハッ、アハハっ!なぁに?それ。ふふっ!」クスクスクスクス!

ウート「ん?いやぁ、ほら。せっかくだし、さ?いいだろ?ロマンチックで。」

ヘル「アハハ…はいはい。いいわよ、乗ってあげる。」スッ

ウート「光栄の至りでございます。女王様《ヘル》。」スッ


  \~~♪♪~~~~♪♪♪~~/

オマケ投下終了。

いつかオッレルスside、一方通行sideも本編かオマケで導入したい。

番外編。本編とはいっさいがっさい関係がない。パロ。


何故ならば、本編の12/24付近はこうならない予定だから。

投下。

12/20。

~とある高校~


トール「そんなわけでもうすぐクリスマスなわけですが」

上条「そうだな」

トール「トールさんは今彼女がいません。」

上条「…で?」

トール「だから、イヴは予定がない寂しいトールさんとクリパやろーぜ!」にぱー☆

上条「クリスマスパーティ?いいけど、まさかお前と二人でか…?」エー

トール「ばっかお前、そんなワケねーだろ?仲いい奴皆誘ってだよ」

上条「はいはい。ま、上条さんはどうせ予定がないんでいいですよー」

トール(上条ちゃんならいくらでも当てあるんだからデート誘えばいいのにな?勿体ねェ…)




そんなわけで。知り合いに声かけてみました




姫神「当麻くん。もしよかったら。その。今度のクリスマス……私と……え?クリパ?」


サローニャ「かっみじょーちゃーん!今度のクリスマスはサローニャちゃんとクリスマスデートしよーぜい?

      …え?クリパ?うん行く行くー!」ギュー


土御門「おー、いいぜい?舞夏も誘っていいかにゃー?」


青髪「ええよ!…え?女の子もくるん?カミやん最高やぁああ!」ウッヒョー


吹寄「クリパ?うーん……じゃ、参加しようかしら?」


インデックス「え、私もいいの?じゃあ参加させてもらうんだよ!」




※ちなみにみこっちゃんは

御坂「クリパ?すっごく行きたいけど…その、常盤台《ウチ》は寮の規則とかきびしいから……うん、せっかく誘ってくれたのに、ごめん」グス

でした




~叶え屋~


ウート「もうすぐクリスマスかー…ウチも何かやる?」

シギン「!」ピクッ

天井「ウートくん?何を言っているんだ24日は平日だ。そんなイベントは存在しないぞ?」ウン?

ウート「アッハッハ、あまっち目が死んでるぞー?」

天井「ふん、何がクリスマスだ何が 芳川「え?クリスマス?冗談は騙され易さだけにしてくれないかしら?」だ。何が 布束「sorry、生理的に無理」だ」ブツブツブツブツブツブツ

ウート「……その、なんか…ごめん」くっ

シギン「大丈夫だよ。天井くんも努力を続ければ。次は女性とクリスマスデートできるよ、と『助言』しよう」


天井「それは、もはや『フォロー』だよ」ズーン








シギン「天井くんふて寝しちゃったね」

ウート「うーん…さすがのウートガルザロキさんもあまっちの願いは叶えられねーわ…」ウーン

ウート「シギン、どうしたらいい?『助言』くれね?」

シギン「うむむ。そうだね…」

シギン「クリスマスは恋人と過ごすだけじゃないよ。友達や家族と過ごす…代替の楽しみを用意したらいいよ」


シギン「私達『叶え屋』メンバーでクリスマスディナー、プレゼント交換なんかをするといいよ、と『助言』しよう」



そして12/24。当日。



上条「んでパーチー会場が…」

トール「ほほう」

インデックス「ここなんだよ」


~サローニャの住んでるマンション(黄泉川さんちもあるファミリーサイドの一角)~

ディンドゥーン♪

インデックス「おお、音がゴージャスなんだよ」

トール「上条ちゃんちもこういうとこだったらなぁ?」チラッ

上条「俺に甲斐性がないみたいな言い方すんな!」

サローニャ『はいはいちゃーん!上条ちゃん御一行、到着ちゃんですかにゃ?』

インデックス「なんだよ!」

サローニャ『了解ちゃん!今開けるよん♪』






サローニャ「上条ちゃん達いらっにゃーい!」ガチャ

上条「おう、場所提供ありがとな」

インデックス「お邪魔するんだよ!」

トール「うぃーす!他のやつらは?」

サローニャ「もう皆来てるよー?上条ちゃん達が最後♪」


姫神「あ。当麻くん達。」フリフリ

吹寄「遅かったわね」

土御門「よう、待ってたぜい」

舞夏「なんだか久しぶりだなー二人ともー」

青髪「今からクリパの料理作るとこなんやでー」

上条「お?そーなんだ。じゃあ上条さんも手伝いますことよ」ウデマクリ

サローニャ「はいはいちゃん!そんじゃー皆でごはんちゃん作りますかぁー!」

姫神「うん。わかった。」

吹寄「はいはい。あっ、私も肉料理系なら手伝えるわ」




~叶え屋~


ウート「っと。」靴トントン

ウート「それぞれ交換用プレゼントを買いにいくって事になってんのに、シギンが『一緒にいこう?ウートガルザロキ。…ついでに、ブラブラしない?』なーんて。」

ウート「こりゃ立派なデートだよな?いや付き合ってないんだから微妙だーけーどー」ガチャ

ウート「しっかし、あまっちはディナーの準備してんのに俺達はデートってどうな…まいっか!」






シギン「あ。待ってたよウートガルザロキ。」フリフリ

ウート(へー、クリーム色のダッフルコート、チェックマフラー、茶皮ロングブーツか…ちょいよそ行き程度ってとこかね)

ウート「おまたー。」フリフリ

シギン「じゃ、どこいこっか」テクテク

ウート「んー、冷やかしにウインドーショッピングしながらプレゼント候補みて、荷物はコインロッカー、後は遊ぶとかどうよ」テクテク

シギン「ん。プレゼント何がいいかな」テクテク






シギン「んん。服買ってくれてありがとうウートガルザロキ。」

ウート「いーよいーよ。シギンがあんな感じの服着てるの見たいだけだし?」ヘラヘラ

シギン「も、もー…///」


ウート「あ、そういや昼飯何食う?」テクテク

シギン「私はなんでもいいよ?」テクテク

ウート「じゃそこのミスドでいい?」

シギン「うん!」







ウート「ふー、腹いっぱい」

ウート(シギンのドーナッツちまちま食べる女子食い可愛かった)

シギン「うう。やっぱり暖房きいたとこから外出ると寒いね」

ウート「!じゃ、暖めてやるよ」テギュ

シギン「ほわっ?!///」

ウート「行こーぜ?」ニコッ

シギン「う…うん//」



~サローニャ宅~




サローニャ「えー、コホン!それじゃー!メリークリスマース!かんぱーい!」

「「「「「「メリークリスマース!」」」」」」カチャン☆



トール「お、スペアリブ美味いな」モグモグ

インデックス「とうまのもあいさのもせいりのもサローニャのも全部とーっても美味しいんだよ!」バクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバク

吹寄「ちょっと自信なかったんだけど、そう言ってもらえると嬉しいわ」

上条「ああっ、上条さんのポテサラが?!」クワレタァアア!

姫神(隣)「当麻くん。よかったら私とるよ?」

上条「あ、じゃ頼んでいいか?」

姫神「うん。任せて」

サローニャ(後ろから)「かっみじょーちゃーん!私の作ったボルシチちゃんも食べてほしーにゃーん?」ダキッ

上条「おう!」

土御門「まいかー、あーんとかしてくれないかにゃー?」アーン

舞夏「あにきあにきー、それは二人っきりの時だけだぞー」



青髪「え、何この疎外感……ッ!」ガクガクガクガク





~叶え屋、生活スペース~


ウート「ほんじゃ!叶え屋の忘年会兼クリパ始めまっす!かんぱーい!」

シギン天井「「かんぱーい!」」チンミ☆


天井「材料費をたくさんもらったし、少し豪華にしてみた」フンス

ウート「お?ロールキャベツにローストチキン、チーズにサラダに…ナイスファイトあまっち!」bビシッ

シギン「おいふぃー♪」モキュモキュ


天井「一応ワインもあるが…君らって未成年」

ウートシギン「「じゃないんで、そのいいワインください」」

天井「……一応信じるが…飲み過ぎるなよ?」トポトポ





~サローニャ宅~


トール「あー食った食った。」ポンポン

サローニャ「このあとどっする~?」

土御門「カラオケでも行かないか?」

舞夏「すぴー…」Zzz←お腹いっぱいでちょい寝てる

青髪「ええね」

姫神「それなら。私の十八番の『終焉はどちら/能登麻美子』を魅せる。」

上条「じゃ俺も…」

インデックス「私は聖歌歌うんだよ!私の美声に酔うといいんだよ」フンス


吹寄「…貴様ら後片付け手伝ってからいいやがれ…」ピキピキ←一人で片付けやってた吹寄さん




~叶え屋~


ウート「じゃ、クリプレ交換な!」つ

シギン「はい。」つ

天井「メリークリスマス、二人とも。」つ



~ウートの場合~

ウート「~♪何が出るかな~っと」ガサゴソ

ウート「お?あまっちからはイカす時計か」

ウート「シギンからは…」ガサゴソ

ウート「長財布か!中々いいやつくれたなー」ホクホク

ウート「…」ニヘラ



~シギンの場合~

シギン「天井くんからは…」ガサゴソ

シギン「ちょっと高いチョコの詰め合わせかー」

シギン「大事に食べよう」ウン

シギン「ウートガルザロキからは…」ト゚キト゚キ

シギン「あ、可愛いネックレスだ」

シギン「…と、メッセージカード?」

シギン「…『シギンへ。いつもありがとな。シギンが着てる服と似合うやつ選んでみた。よかったらどうぞ。メリークリスマス』」

シギン「…えへへ」ニヘラ



~天井の場合~


天井「ふむ…」ガサゴソ

天井「ウートくんからはネクタイピンと…カフスか」

天井「中々凝ったデザインだな、気に入った。明日からつけよう」

天井「シギンからは…」ガサゴソ

天井「ネクタイだな。ハデすぎず、地味すぎない。…二人ともセンスあるなぁ…」

天井「…今までのクリスマスの中で、一番楽しかったかもしれないな」ニヘラ



~黄泉川家~



一方(サンタコスチューム)「………」ソッ… つクリプレ

打ち止め「ん~むにゃむにゃ」


一方「……」ソッ つクリプレ

番外「…くー…」


一方「…」ソッ つクリプレ

黄泉川「……ぐー」


一方「…」チラッ

芳川「…そーなのよ、だから後二人ほどパーティメンバーほしいなって」カタカタカタ



一方「………」ソッ←部屋の前に置いた




一方「……メリー・クリスマス」パタン


終わり。では自分は引き続き予定を楽しむ。


どんな形でも。よいX'masを。

メリークリスマス。

番外編、季節ネタ第二弾。

このスレでやろうとしてる事と今度の新刊の中身と被らないかすごく不安。

投下


シギン(E:犬耳)「ねぇ、ウートガルザロキ」クイクイ

ウート「ん?おー、可愛いじゃん!どしたんそれ」

シギン「福袋で当たったんだよ」パタパタ

ウート「…福袋に動く犬耳て…学園都市ェ…」

シギン「でもさ、これってあれだよね。私がバゲージシティで被ってた帽子と合わせるとさ、なんだか言いたくなるよね」

ウート「?」

シギン「わふ- ウート「やめなさい」

天井「おーい。お雑煮とおせちできたぞー」

ウートシギン「「はーい」」

天井「あ、それと…」ゴソゴソ

天井「少ないが、お年玉だ。」つ

ウート「?」

シギン「?」

天井「えっ」

ウート「…なぁシギン、『お年玉』って何か知ってるか?」ヒソヒソ

シギン「ううん。知らない。知らないよ?」ヒソヒソ

天井(あー…そういえば二人とも外国人だったなぁ…)



~初詣~



パンパン!

上条(今年はなるべく無事に過ごせますように)

吹寄(健康健康健康健康健康健康健康」ブツブツ

青ピ(落下型ヒロインのみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護婦さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様ニーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性と燃えるような恋愛の果てに付き合えますように)

舞夏(今年もあにきと一緒にいられますように。あと、あにきが[ピー]とか[プー]とか、[パー]プレイを解禁してくれますようにー)

土御門(…今年も、舞夏と生き残れますように)







サローニャ(E:振り袖)「あ、終わったー?」モキュモキュ

トール「」チーン!

インデックス(E:振り袖)「トールがまたおもちを喉に詰まらせたんだよぉおおお!!」ウワァァァ!

吹寄(E:振り袖)「ねぇ、あんた達本当にお願いしなくてよかったの?」


サロトーイン「「「うん。宗教上の理由でダメだから」」」


吹寄「…」ソウナノ?σ

上条「…」ウン

トール「本当は神社に入るのもかなりアウ インデックス「あ、そろそろここでバイトしてるはずのあいさのとこいかない?」





サローニャトール土御門青髪「「「「ひーめがーみちゃーん!」」」」

姫神(E:巫女服、大麻《おおぬさ》)「はーあーいー♪」ピョコ

舞夏「おー、本格派巫女かー」

姫神「ふふ。他のバイトの娘達は支給されたものだけど。私のは自前。」

上条「お、やっぱり姫神は巫女姿似が合ってるな!」

姫神「ふふふ。そう?」テレッ

インデックス「うん。やっぱり巫女服のあいさが一番しっくりくるんだよ!」

姫神「あなたたちも。振り袖よく似合ってるよ」ニコッ



~おみくじなのだぜ~


姫神「はい。皆は特別。私のおごり」つおみくじ

上条「あんがと」ガサゴソ

土御門「にゃー」ガサゴソ

青髪「ありがたやありがたやー」ガサゴソ

吹寄「ありがと。…大吉大吉…」ガサゴソ

トール「…まぁ、おみくじくらいなら…」ガサゴソ

サローニャ「ね。なっにが出るかにゃーん?」ガサゴソ

インデックス「じゃあ私も…」ガサゴソ

舞夏「どれどれー」ガサゴソ





青髪「皆何が出たん?ボクは中吉やったでー」

吹寄「大吉。」

上条「最凶、今年も不運にまみれます。絶不調。銃弾に注意」

土御門「大凶、ぶっちゃけアンタ死ぬわよ」

舞夏「大吉だぞー」

トール「マジ吉、戦闘狂もほどほどに」

サローニャ「車だん吉、って誰だっけ……何これ」

インデックス「大吉なんだよ!」

上条「……流石学園都市のおみくじ。変なのばっかりだな」

姫神「皆ごめん。きっと私が不幸を呼んだ」クビツリ

トール「ちょ!ちげーよ!姫神ちゃんのせいじゃないって!」アセアセ

吹寄「そうよ!どっちかっていえば上条当麻が不幸を呼んだのよ!」アセアセ

上条「?!」

インデックス「大丈夫だよあいさ!むしろ皆ピッタリかも!当たってるんだよ!」アセアセ

土御門上条トールサローニャ「「「「?!」」」」


~叶え屋~

ウート「へー、この国にはお年玉ってシステムがあんだな」

シギン「天井くんごめんね?でも、いいんだよ?慣習に縛られなくても…」

天井「いやいいんだ。たまには大人らしい事をさせてくれ。今まであげる相手もいなかったんだからな」

ウート「…そっか、じゃあありがたくいただいとくわ。」

シギン「天井くんありがとう。」

天井「どういたしまして。さ、お餅を追加で焼こうじゃないか」

ウート「あ、俺は醤油バターで!」

シギン「じゃあ私はきなこもちー」

天井「ああ、わかったよ。」つ もち


投下終了。あけましておめでとう。もしよかったら、今年もこのスレにお付き合いくださいな。

では

先日、たまたままた聞く機会があった。ので、シギンの希望CVは門脇舞以さんで。



投下。



~某日、とある地下施設~



プシュー…

木原唯一「……」コツコツ

唯一「おはようございます、第二位」


繭『……』

唯一「…だんまりを決め込まないでもらえます?」

唯一「貴方が自我を取り戻し。自身の人体細胞、臓器を構築できるようになった事はもうバレていますよ?」

唯一「ああ…あと、学園都市中にカブトムシ型の未元物質を散開させ、情報収集をしている事も」



繭『………だったら、なんだってんだ?』



唯一「いえ、別に。」

唯一「ただ、貴方に『仕事』をしてもらいたくて。そろそろ引きこもりのニート生活から脱却してほしいんですよ。私としては」

繭『テメェ…今俺が機嫌よくなかったら肉塊になってたぞ』

唯一「ほう」

繭『「仕事」だ?ふざけんなクソッタレ。今まで俺から散々搾取、強制的に未元物質工場化しといてまだ何かやらせようってか?』



繭『「垣根帝督」を舐めるのもいい加減にしろ、学園都市』


カブトムシカブトムシカブトムシカブトムシカブトムシカブトムシカブトムシカブトムシカブトムシ「「「「「……」」」」」ジャキン!


繭『やれ』

カブトムシ'S『『『『『砲撃を開始します』』』』』ヒュイイイン!




唯一「……この仕事が終われば、永久に学園都市の奴隷から抜け出せるとしてもですか?」


繭『…』ピク

唯一「"学園都市は"、仮に貴方と武力衝突したとしても有効な対抗策をもっていないわけではありません」

唯一「…なんなら、今すぐ貴方を自壊させても構いませんが」

繭『ハッ、AIM拡散力場に干渉する技術の応用か?その程度で――』

唯一「ああ、そういえば"その手も"ありましたね」フム

繭『…………』ピクッ

繭『…「仕事」の内容はなんだ』

唯一「ご自分の立場を察していただけたようで何よりです。」

唯一「依頼内容は、学園都市内を徘徊する『侵入者』達、及び脱走者の抹殺、捕縛です」

繭『あ?俺を起用するほどの奴らなのか?』

唯一「それはイエスであり、ノーですね」

唯一「『侵入者』は『新入生』No.2のシルバークロース=アルファを容易く退けられる程度の実力はあります。」

唯一「それ自体はさしたる問題ではありませんが、かつて貴方が起こした暗部抗争のせいで現在の暗部組織は常に人手不足。」


唯一「今すぐ動かせる"兵隊"の中に、シルバークロース以上の実力を持つ者はいないんですよ」

唯一「…まぁ、要は3年生が卒業した後の2年、1年生スタメンでは力不足なので、OBにピンチヒッターをお願いするって話です」

繭『はっ、なんだそりゃ。今の暗部連中がクソだっただけじゃねーか』

唯一「ええ。…ああ、仕事結果についてなんですが、"成否は問いません"。」

繭『ん?』


唯一「成功しても失敗しても構わない。貴方の好きにして構いません。思う存分にやりたい放題やっちゃってください」


繭『…いいのか?何が目的だ』

唯一「無論、未元物質の"可能性"が観測(み)たいだけですよ。我々"木原一族"は」

繭『……………』

繭『………「やりたい放題やっていい」…そう言ったな?』

唯一「ええ。」

繭『…』メキメキメキメキメキメキメキメキ…

パキン。

黒垣根「いいぜ、乗った」ニタァ…

唯一「ありがとうございます。じゃ、これが依頼内容の詳細なデータです」つチップ

黒垣根「ふん」パシッ

黒垣根「…」グチュ

唯一(ほう。頭の横に即席電子回路とスロットを創り、チップの中身を直接"視る"とは)

黒垣根「ほーん…ま、俺の敵じゃねぇな」

黒垣根「んじゃ、準備しますかね」スタスタ…

唯一「ではよろしく」

プシュー…

唯一(…まぁ、「やりたい放題」とは言いましたが、貴方の思考パターンはわかっていますし。どうせ、第一位にちょっかいかけるくらいが関の山でしょ?)スタスタ

唯一(貴方はそのイベントで未元物質がどこまでできるかを見せてくれればいい。)スタスタ

唯一(狂気的《たのしい》発想は私達がやりましょう)スタスタ

唯一(まぁ目下見たいのは、未元物質が『魔術』に対して有効打たり得るかですかねー)スタスタ



~~~~~~~~~~~~~~~~~~




木原唯一は、余裕と狂(くる)みを帯びた笑顔で闇を歩いていった。


 数ヵ月前。垣根が冷蔵庫のような物に成り果てる前。

ブラックボックス能力である『未元物質』をどのように扱うかをモニターしていた木原唯一はガッカリしていた。


"発"想"力"が"圧"倒"的"に"足"り"な"い"。


未元物質を異形環境に変化させる調整装置としての使用、翼での機動力確保、第一位への反射貫通としての運用しかしなかった垣根を見ての率直な感想だった。

「いやぁ、色々なものに配慮をしたんでしょうけど。私ならアレを、もっと。もっともっともーっと。ブッ飛んだ使い方ができたでしょうに…あー、勿体ない」


「『未元物質』は思考実験をしているだけでも本当に面白いのに。例えば、"全部繋げちゃったり"、"国を創っちゃったり"。"定義次第では神をも創れる"のに。」

「ああ、"人間樹"なんて面白そうですね」


常識を地平の彼方に置いてきたような。不穏な発想を口にしながら木原唯一は不満そうに歩いていく。


しかし。

少し先の未来。木原唯一にしては珍しく、後に彼女はほんのちょっぴり後悔する。


…何故ならば。ブッ飛んだ思考回路を持つ『木原』の一人である彼女が、

「…やっぱり、あんな事言わなければよかったかな?」と思うくらいには。


そんなヤヴァイ事件が起こるからである。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



~その数日後。叶え屋、生活スペース~




天井「ふぁ…」ムニャムニャ

天井「さて、朝食を作らなくてはな」

天井「今日はフレンチトーストにでも…ん?」


『ちょい出掛けてきます。探さないでください。

 3日後には帰ります。お土産買って帰ります。

 その間は叶え屋はおやすみという事で。

 生活費とかもちょい置いてく。好きにしてていいよ

 byウートガルザロキ☆ミ(ゝω・) +シギン』


天井「……臨時休業、という事か?」

天井「構わないんだが、せめて事前に言って欲しかったよ」ハァ



~第23学区~


ウート「やっほーつっちー。待った?」ヒラヒラ

土御門「いや、大丈夫だ。いこう」ザッザッザッザッ

ウート「……ちなみに、『かなり早い方』の飛行機?」オソルオソル

土御門「そうだ。音速の方だ」

ウート「………エチケット袋用意しなきゃ…」ゴソゴソ


シギン「…」コソコソ







アナウンス『当機はまもなく離陸致します。衝撃にご注意ください』

ガクン!

ウート「あがっ?!ぁああばばばばばばばばばばばばばば!!」

土御門「………」







ウート「うげぇっ、おぅえっ!オゥィエっ……」エレエレエレエレエレエレ……

土御門「……」ソッ つティッシュ







ウート「もう無理もう無理もう無理もう無理もう無理」フルフルフルフル

土御門「頑張れ。後20分だ」

ウート「あの、かえって死刑宣告受けた気分なんだけど」







ウート「ぁ……ぁ……」グッタリ…

土御門「ふぁ…」ムニャムニャ








ポーン!

アナウンス『お待たせ致しました。当機はまもなく、イギリス、ヒースロー空港に着陸致します。ご利用、ありがとうございました。』

ウート「ちゅ、ちゅいた?イギリス、ちゅいた?」ゼェゼェゼェゼェ、オエッ…

土御門「ああ。よく頑張ったな」サスリサスリ

ウート「ははは!!はははははははは!!ちくしょう、勝った。ようやくの安全圏。俺は生者の世界に帰ってきたぞ!俺はァ!生きているんだァァァあああああああああああああ!!」ガッツ!

土御門「だがいい加減、乗る度にそれをやるのはやめろ」ベシッ




~イギリス、某所~




ウート「は~~るばるきーたぜーイーギリっスぅ~♪ってか?」スタスタ

土御門「じゃ、俺はここで。『新たなる光』の現在地は渡したメモにある。2日後、帰る時に呼べ」スタスタ

ウート「おーさんきゅなー」フリフリ





ウート「…えぇーと?確か、ここだったよな?つっちーの情報によれば。」テクテク

ウート「こんちゃーす!」ティンポーン!

トタトタ…

ランシス「はい?どちらさん?」

ウート「あ、どもどもっ!初めまして!俺ウートガルザロキっていいまっす!」つアクシュ

ランシス「は、はぁ。」つアクシュ

ウート「ベイロープさんと個人的に御話しがしたくてきたんすけどぉ、います?」ニコッ

ランシス「ええ…いますけど…ちょっとお待ちください」

ウート「はーい」




~『新たなる光』アジト~




フロリス「…え、なに?誰がきたのよ?」トタトタ。

ランシス「なんか、"ウートガルザロキ"って名前のイケメンが『ベイロープに個人的に話がある』って」

レッサー「なんですと?!…いやぁ、ベイロープもスミに置けませんなぁ?」ニヤニヤ

ベイロープ(E:ジャージ)「へあ?私がなんだってー?」オシリボリボリ






~15分後~


ウート「…ハっネウマぁのよーにー乱暴だけーどっ♪それでもっ遠くーまでっ♪はぁーこぉーんでっ♪くぅっーれぇーるぅー♪っと」

ガチャ

ベイロープ(E:谷間見せ簡易ドレス)「お待たせしました。…貴方ですか?私に話があるのって」

ウート「ええ。アポなしで急に押し掛けて申し訳ないんですけど、もしよろしければ今から1時間程度お時間頂けないでしょうか?」ニコッ

ベイロープ「…わかりました。そのぐらいなら。但し、企業秘密なんかもありますから中にはお通しできません。」

ウート「では、どこで?」

ベイロープ「じゃ、私の行き着けの喫茶店にでも」ニコッ



―――――――――――

―――――――――――――――

――――――――――――――――――


フロリス「…黒のロシア帽、とんぼ眼鏡タイプの黒グラサン、グレーのざらざらした短めタイトコート、黒い縦セタ、白マフラー、金のハートのネックレス、黒タイツ、黒ブーツ…」

ランシス「………ベイロープ、今まで見た事ないぐらいにめっちゃオシャレして出てったね…」

フロリス「ケッ。なーにが『企業秘密ガー』だよ。ココには何もねぇっつの。」

レッサー「やっぱり、『チャンスだ!』とかでも思ったんじゃないですかね」ズズー

フロリス「あー、ワタシにもチャンスこないかなー」

レッサー「『果報は寝て待て、昔の人は言いました。

      でももうそんな時代じゃないのです。

      地面を掘り起こしてでも、果報は探し出すものなのです。

      だから探しに行きましょう!』」

フロリス「…なにそれ」

レッサー「とある団長のありがたいお言葉です」キリッ

フロリス「ふーん」

レッサー「そんなわけで。フロリスも今度私と一緒に果報を掘りに、彼に会いに行きません?」ニヤニヤ

フロリス「は、はぁ?!別に幻想殺しに用なんかないしっ!」

レッサー「あっるぇ~?私ぃ、『幻想殺し』なんてぇ、言いましたっきぇ~?」ニタニタ

フロリス「くっ、スゲームカつく…ッ!」プルプル



~喫茶店(隠れ家みたいな感じ)~



ウート「へぇ、二階があるんだ。それに、内装が屋根裏部屋みたいな感じだな」キョロキョロ

ベイロープ「私の行き着けなのよ。ここに来ると落ち着いて考えごとできるから」ニコッ
ウート「そうなんだ。」ニコッ

ベイロープ「私はコーヒーにするけど…貴方は?」

ウート「あ、俺もコーヒーで」

ベイロープ「オーケー。」





ベイロープ「へぇ?ウートくんって北欧神話系幻術使いなんだ?めっずらしー」タニマチラッ

ウート「あは、よく言われんだよねぇ、それ。やっぱ十字教系の奴多いし?」

ベイロープ「よねぇー」ホオヅエ

ウート「あ、ベルちゃんは何系?」

ベイロープ「私?んー、何だと思う?」髪先クルクル

ウート「んー…何だろ?あ、ひょっとして…?」

ベイロープ「そ!私も北欧神話系!」

ウート「え、マジで?チョーぐーぜーんじゃーん!」

ベイロープ「やだ、すっごい運命的!」クスクス

ウート(なんだこの茶番…んなもん、俺らクラスの魔術師なら見た瞬間にわかんだろ……)

ベイロープ「それで、ウートくんってさー」タニマチラッ

ウート(…つか、さっきから露骨なセックスアピール多いなーオイ)







ベイロープ「それで…私に個人的な用があるとか?」ワクワクドキドキ

ウート「あぁ、そうなんだ。実は…」

ウート「君の持っている霊装…『知の角杯(ギャッラルホルン)』を譲ってもらえないかと打診しにきたんだよ」

ベイロープ「あ、そうなんですか…」ガッカリ
ベイロープ「…ん?『知の角杯』を?でもあれは北欧神話、"雷神トール"の術式…『鋼の手袋』との組み合わせで探知した指定ポイントに雷を落とすだけの霊装ですよ?」

ウート「ああ、知ってる。」

ベイロープ「その、確かに武器としても使えるし、やり方次第ではその名を使って他の術式にも転身できるわ?でも……そんなに価値があるものとは…」

ウート「ああ、でも、俺にとってはこの上なく価値があるんだよ」ニコッ

ベイロープ「…何に使うのかしら?」

ウート「"まだ"言えない」ニッコリ

ベイロープ「?…理由がわからないのに渡す訳には――」

ウート「けど…」スッ

ベイロープ「えっ?」




ウート「君が悲しむような使い方だけは絶対しないと誓える。」テギュ

ベイロープ「////」




ウート「信じてくれ」キリッ

ベイロープ「………わかりました。お譲りします」

ウート「本当?ありがとう!」ニコッ

ベイロープ「但し!条件があります」

ウート「?」

ベイロープ「あなたが、私がお譲りする霊装を悪用しない人かどうか…見極めさせてください」キリッ

ウート「ええーと…、具体的にはどうやって?」

ベイロープ「今日から明後日まで、私と過ごしてください」ニコッ

ウート「」



ウート(おい、マジか)




~同日上条宅、朝~




上条「ZZ…ん?」パチ

サローニャ「あ!目、覚めた?おはよ~」ギュ

上条「」

上条(目が覚めたら、密着したサローニャに頭を抱き抱えられてなでこなでこされてたでごわす)

上条(はっ!またトールか?!トールいねぇし!)

上条「…トール、いい加減にしろ?」右手ポン

サローニャ「にゃん?!///」

上条「いいか、毎朝毎朝なんらかのイタズラ仕掛けるのはやめろって!わかってんのか?」モミュモミュモミュモミュ

サローニャ「あっ…や、ん…ふっ…////」

上条「おらおらぁ!偽乳揉みしだいてやんよー!!」

サローニャ「はぅ、うんっ…偽じゃないもん…天然だもん……!////」ナミダメ

上条「うぉおおお……あれ?……パキーンって、ならな…い……?」サー

トール「上条ちゃーん?そろそろめし……」ガチャ

上条「え」

トール「…すまん、ごゆっくり」パタン

上条「え」

サローニャ「お、起こしに来たのに…寝かしにこられちゃった…」ビクンビクン

上条「え」

インデックス「とうまー?先食べちゃうよー?」ガチャ

トール「ちょっ、インちゃん待っ…あーあ…」

上条「」

インデックス「」

上条「いや、これはだな、」

インデックス「…」ニッコリ

上条「…」ニッコリ



\がぶっ。 アッー/




~とある高校~




土御門「…で、そんな歯形だらけ、と」

青髪「羨ま死ねやー」ハハハ

サローニャ「うむむ。そのままそっとしといてくれればよかったのにぃー」ぷー!

トール「悪かった悪かった。次からはそーするわ」

吹寄「はいはい、雑談はそのへんにして!いよいよ3日後よ!口より手を動かしてちょうだい?」

姫神(…次は私が。)メラメラ





トール「おい、看板のペンキ塗り終わったぜー」

吹寄「お?お疲れ様!じゃあ…」

トール「やぁっと休憩か…」ドッコイセ

吹寄「注文した機材、貰ってきて?」ニコッ

トール「」




~学園都市、第7学区、大通り~



打ち止め「まさか、あなたがお買い物と遊びに連れてってくれるなんて!青天の霹靂かなってミサカはミサカは喜びのあまりクルクルクルクル回ってみたり!」クルクル♪

一方「今日はスタバも学食もマッサージ屋も幼稚園、万屋、塾講師のバイトもねェし、家にいると黄泉川がうっせェからな」カツッカツッ

打ち止め「うーむ。それにしても、まさかあなたが働くなんて驚天動地かもって、ミサカはミサカはあなたの引きこもり脱却を喜んでみたり」ウンウン

一方「……」


―――――――――

――――――――――――――

――――――――――――――――――




~某日、一方通行が叶え屋に行った日の黄泉川家の食卓~




黄泉川『皆、明日はどんな予定じゃん?』モグモグ

番外『ミサカ、明日はクロにゃんと遊んでくるからごはんいらない』モギュモギュ

打ち止め『ミサカは明日公園で遊ぶの!ってミサカはミサカはハードスケジュールを打ち明けてみたり』アムアム

芳川『私は"落第防止"の勉強かしらね』マクマク

黄泉川『…一方通行。』モグモグ

一方『なンだよ』モキュモキュ

黄泉川『お前、明日の予定は?』モムモム

一方『なンもねェが?』モキュモキュ!

黄泉川『…「なンもねェが」じゃないじゃんよ!』ダンッ!

一方『あ?何か問題あンのか?』ビクッ

黄泉川『大有りじゃん!』プンスコ!=3

黄泉川『お前、いつまでそうやって社会に溶け込もうとしない気じゃん?』

一方『あァ?急になーンなンですかァ?学校に行けってンならお断りだ。』

一方『長点上機程度の1~3年生の勉強範囲ならいつでも問題なく全教科100点取れる。』

一方『クラスメイトとの仲良しこよしがなンちゃら~って言われたとしても、俺は特別クラス。一人だ』

一方『それに打ち止めや番外個体になンかあった時すぐ行動できねェだろォが』

一方『だから俺はあえて―――』



黄泉川『―――引きこもって、毎日ダラダラしてンだよ」か?』


一方『……あ?』



黄泉川『…一方通行。確かにお前は頭がいい。恐らく、この街で一番な。』

黄泉川『でもな、一方通行。』


黄泉川『今のお前、最高にダセェじゃんよ』キリッ

芳川『…』モクマク。

打ち止め『…』マクマク

番外『…』ハムハム

黄泉川『やらない理由ばっか探してんじゃねぇじゃん!腐った生き方するためにお前は代理演算をしてもらってるのか?!違うだろ、一方通行!』ガタッ!

黄泉川『お前は!自分がしてしまった事を一生懸命悔やんで、贖罪と守るために生きようとしてるんじゃなかったか?!』クワッ

黄泉川『毎日毎日、ダラダラソファーでまったりゆったりコーヒー飲みながらなんとなーく生きている事がそうなのか?!』ガシッ!


黄泉川『私はお前の事情を少なからず知っているじゃん!お前が公で人と関わっていく事に、どこか一線を引いてるのも見てきたじゃん!』クゥッ…

黄泉川『でも!いつまでもそんなガキな生き方はできねェじゃんよ!』クワッ!

黄泉川『脱却しろ、一方通行!今の甘えたぬるま湯ライフから!』

黄泉川『進め、一方通行!お前が大人になった時、「大人としての守り方」でテメェの大事なモンを守れるように!』

黄泉川『輝け、一方通行!十代らしく、生きた生き方ができるように!』プルプル

芳川『……』モグモグ

番外『……』モグモグ

打ち止め『……』モグモグ



一方『…チッ、じゃあ具体的に俺にどォしろってンだ?』ガシガシ

黄泉川『とりあえず、手当たり次第バイトしてみるじゃん!』キリッ

一方『…ハァ。面倒くせェが、一理あるしな…わかった、明日履歴書をk』

黄泉川『その上から目線は社会人としてダメじゃんよ!』バッキィィィ!

一方『ごっ?!がぁああああああ!!』ズシャアアアアア!!




番外『……』モグモグ

打ち止め『……』モグモグ

芳川『…ねぇ』モグモグ

番外『なーに?』モグモグ

芳川『愛穂に強い酒飲ませたの、誰?』

打ち止め『「一方通行がお土産に買ってきてくれたじゃんよ~」って言ってたのは聞いたけど、ってミサカはミサカは誰のせいでもない事を証言してみたり』モキュモキュ




それから、俺のバイトライフが始まった。


~スタバ編~

スタバ店員『貴方の教育を務めます、白井ともうしますの!』

一方『あァ』

スタバ店員『…態度が悪いですわよ?』

一方『チッ』




御坂『何しよっかなー』

佐天『私はクリームいっぱいがいいかなー』

海原『…』コソコソハァハァ


一方『?!』

一方(バレたらまずい…!)カチッ




御坂『えーっと…じゃあキャラメルマキアートのエクストラホイップで!』

一方(能力でスキンヘッド、無精髭。E:グラサン)『畏まりましたァ!今ご用意致しますゥー♪』


一方『キャラメルマキアート、エクストラホイップゥ~♪』ニッコォ♪

他店員達『『キャラメルマキアート、エクストラホイップぅ~♪』』





一方『え、俺がここの店長ですかァ?!』

偉い人『君の優秀さは本社でも話題でね。是非頼むよ』

一方『ありがとォございますゥ!』ペコッ





トール『はー、終わったぜー』

上条『上条さんはスタバ初めてなんですが』

トール『あ?そーなの?』

一方『ンな?!』

カチッ。

一方(黒髪ショート、E:グラサン)『っしゃせー』


~学食編~

学食のおばちゃん声『私、貴方と組む事になりました白井と申しますの』

一方『白井さン?!スタバだけじゃなく…?』

学食のおばちゃん声『?どなたかは知りませんが…私はここでしかバイトした事ありませんわ?』フルフル

一方『』





青髪『な~土御門くーん。この前奢ったったやん?ここは奢ってー』

土御門『しょーがないにゃー』ヤレヤレ

一方『?!』

一方(アイツの学校だったのか!クソ、絶対バレたくねェ!)カチッ





一方(能力でモヒカン、E:マスク、ゴーグル)『食券受けとりまァす』

土御門『にゃー』つ





トール『』

上条『トォォォオォォオルゥゥウウウ!!!誰か!助けてください!誰かァアアア!!!』

一方(チッ、仕方ねェ)カチッ

一方『どいてください。今助けますンでねェー』

上条『あ、貴方は"学食のモヒカン"さん?!』

一方(ベクトル操作ァ!)ヒュイィーン

トール『…ぽぅっ?!』ゲホエホ!

\『わー!助かったぞー!』『さすが学食のモヒカンさんだわー!』/

トール『わ、わりぃ…助かった…』ゲホ

\モ・ヒ・カ・ン!モ・ヒ・カ・ン!/


一方(俺、そンなシュールな渾名で呼ばれてたのか…)ゴーン…



~幼稚園で紙芝居のバイト~

一方『』

結標『ハァハァハァハァハァハァハァハァ/\ア』ハァハァハァハァハァハァハァ

一方『あ、もしもし黄泉川か?いやちょっとバイト先に変質者が』





ニュースキャスター『昨日、○○幼稚園で変質者の少女が逮捕されました。』

ニュースキャスター『少女は「ショタのパンツが食べたかったんです」とワケのわからない供述をしており…』

一方『よし』


etc、etc。


―――――――――――――

――――――――――――――――

――――――――――――――――――――



一方(……思えば、色ンな苦労があった…)シンミリ

一方(何故か妙に知り合いとのエンカウント率が高い中。バレねェよォに見た目を変更、仕事をこなしていく日々。)

一方(だが、充実感がある。毎日にハリがある。)

一方(……あァ、悪くねェ。悪くねェよ今。)シミジミ

一方(泥酔黄泉川の提案だったが、『グループ』でのクソ掃除のバイトよりもずっと楽しいじゃねェか)

一方("妹達"への借りを返す具体的な手段はまだ見い出せてねェが…)

一方(とりあえず、バイトの金で。匿名でアイツらに何か欲しいもンでも送ってやろォかと思う)ウン

一方(俺からもらっても嬉しくはねェだろォし、勝手な自己満足でしかねェが。それでも)

打ち止め「? どうしたの?ってミサカはミサカは思い詰めた顔するあなたを心配してみたり」

一方「なンでもねェよ」カツッカツッ

一方(まずは打ち止め、オマエからだ。一番最初に買ってやるのはオマエにと決めてた)

一方「…で?オマエは何が欲しいンだ」カツッカツッ

打ち止め「うーん、でっかいくまさんのぬいぐるみかなってミサカはミサカはリクエストしてみたり!」テクテク

一方「あァ、買ってやる」カツッカツッ

打ち止め「ほ、ホント?!」テクテク

一方「あァ本当だ……?!」カツッカ…




「………………………。」




打ち止め「?」

一方「…打ち止め、俺から絶対に離れるな」

打ち止め「え?!これってひょっとしてプロポーズ?!ってミサカはミサカはイヤンイヤン!」イヤンイヤン

一方「バカ、"客"が来てンだよ」

黒垣根「………」



一方「……よォ、久しぶりだな。第二位」




~叶え屋、店内スペース~




天井「ふむ…」ギシッ

天井(仕事がない、食事も用意しなくていいとなると中々に暇を持て余すな)

天井(…レシピを増やすか?)

天井(いや、専行分野の簡単な研究でもしてみようか)

天井(店の掃除か?)

天井(うーむ、迷うな)

天井(…ああ、平和だ……)ふっ…

天井(私は、ようやく居場所を、安寧を、存在意義を得られた気がする。)

天井(私は、学園都市《ここ》に居てもいいのかもしれない)

コンコン。

天井「?」

コンコンコンコン。

天井「……」

天井(…客、か?)ソロリ

天井(まさか、私の追手じゃないだろうな?)チラッ

?「すまないが、居留守は止めてくれないか?中にいるのはわかっているんだ。頼むよ」

天井(…誰だ、この女性は?)

天井(開け……ないべき、だろうな。怪しすぎる。)アトズサリ

天井(武器、いや…車を動かして逃げるべきだな!)ダッ

?「仕方ないな。鍵も開いてるし、お邪魔させてもらうよ」ガチャ

天井「ノォォォォォォォォォ!?」

天井(ちょっ、ウートくん!鍵くらい閉めて行ってくれ!無用心過ぎるわ!)アババババ



?「ふぅ…いやすまないね、少し休ませてくれないか?」バタン、ガチャ

天井「あ、貴女は誰だ?!」

?「私かい?私は…」

木山「木山だ。木山春生。元大脳生理学研究チーム所属の研究者だ。専行はAIM拡散力場だよ」

木山「よろしく。」つアクシュ

天井「は、はぁ…あ、私は木原だ。木原加郡。ここの従業員だ」つアクシュ

木山「…木原?」ピクッ

天井「な、何か…?」

木山「…いや。しかし、この店の中は暑いな…」ヌギヌギ

天井「?!////」Gokuri…

木山「…なんだい?」

天井「あ、いや…////」メソラシ


天井「そ、それより!貴女はここに何しに来たんです?」

木山「ん?ああ…」ヌギヌギ

木山「実は、私は少し前に『幻想御手《レベルアッパー》事件』を起こして逮捕されていたんだが」…パサッ、シュルシュル

天井「待て」

木山「ちょっとどうしても脱獄しなければいけない理由ができてね」ヌギヌギヌギヌギ

天井「待ってぇ?!お願いちょっと待ってくれないか!?」

木山「…なんだい?」ハァ

天井「貴女はどこまで脱ぐ気だなんだ?!」

木山「許されるなら、全bヌギヌギ 天井「せめて下着までにしてくれ」グググ

木山「やれやれ。仕方ないな…」




~第7学区~




一方「…オマエ、」

黒垣根「……よぉ。待たせたな?ついに、俺は還って来たぜ。第一位」スタスタ

一方「…一生、生命維持装置とおねンねしてればよかったのにな」

黒垣根「ハハッ、相変わらずテメェはクローンと家族ごっこしてんだな」

一方「オマエはそれすらできる相手がいねェだろォが」

黒垣根「一々癪にさわるやろうだ」

黒垣根「…あー、話は変わるんだけどよ。」


黒垣根「なぁ。もし、単純に能力の出力をあげたい時。テメェならどういう手段をとる?」

一方「オマエがどンだけ能力出力をあげよォが、俺には勝てねェよ」


黒垣根「1。"体晶"や"幻想御手《レベルアッパー》"、"外装代脳《エクステリア》"なんかで能力暴走誘発や強制オーバーワーク。能力制御のセーフティーストッパーを外す。」

黒垣根「2。脳にどんな形でもいいから補助演算装置を追加し、演算能力を底上げする。」

黒垣根「3。能力の噴射点を増やす。」

黒垣根「4。能力者本人の成長。具体的には演算領域を広げる、演算能力の向上や能力をより使いこなす…」

黒垣根「まぁ、ざっくり言えばこんなとこだろう」

黒垣根「…だが。」


黒垣根「もし、今言った1~4までを全て同時に行い、実現できるとしたら?」


黒垣根「もし、その規模が。性能が。どこまでも無尽蔵に伸ばせるのだとしたら?」


黒垣根「もし、それを『未元物質』でやったなら?」


黒垣根「…その答えは。」


一方「…?!まさか、オマエ!」


黒垣根「テメェ自身で、確かめやがれ」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



その日、学園都市の歴史に残る大規模事件が起きた。


その事件は『0930事件』とは比較対象にもないほどのインパクトとトラウマを学園都市に住む人間達に与えた。



第一位、一方通行の目の前に立つ、かつて『垣根帝督』だったモノ。

彼の言葉の直後、その背から噴き出した未元物質が。


学園都市を飲み込んだ。


……『科学の街』。

僕らの街がそう呼ばれていたのは、もう数時間前の話。

かつて未来を感じさせるデザインと銀色の搭を思わせるビル群は、

今や未元物質製の『大樹』に変わり、その枝からは白地に紫の斑点模様の毒々しい花が咲き乱れ、実を、蔓を、根を、葉を広げる。


かつて能力者達が思いを馳せた空には、今は白い蟲や獣、天使などの異形生物が飛び交う。


かつて学生や警備員、風紀委員や暗部の者、研究者達が肩で風をきって歩いた道は。

今は学園都市Level5第二位:未元物質製垣根帝督達が跋扈する。



僕達の愛した街は。この日、白い悪魔にぶん盗られてしまった。





~介旅初矢、『僕のマル秘日記』第38巻52ページより引用~



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




~VS・上条当麻~




上条「…なんだ、アレ」

\ドパァーン!/

上条「白い、粘土みたいなモノが空に向かって吹き上がってる…」

上条「どんどん建物を包んで…くそっ、魔術師か?!」ダッ


黒垣根(天使)「……」


上条「…なんだ、お前」

黒垣根(天使)「…俺は『垣根帝督』。学園都市Level5第二位。能力は『未元物質』」

上条「俺に、何の用だ」

黒垣根(天使)「侵入者《ターゲット》達と仲良しごっこしてるテメェが、万が一にも邪魔をしねぇように相手をしに来た。」

黒垣根(天使)「それに、今から俺が学園都市を掌握するのに一番邪魔くさい能力持ちだからな。最初に、な」バサァ!

黒垣根(天使)「恨みはねぇが、死に腐れ。"幻想殺し"。」ビュン!

上条「なっ?!」パキーン!




~VS・"雷神"トール~




トール「やれやれ、一端覧祭準備も大詰めか。メモにある持ち帰る機材は…って、調理器具一式かよ?!人使い荒いぜ……」スタスタ


\ドパァーン!/


トール「…あん?なんだあの白い生クリームみてーなのは…」

トール「ビルも道も車も…人も飲み込んでやがる…?!」

トール「うお?!『樹』に、『蟲』?みたいなモンが次々産み出されてやがる…」

トール「…なーんか、ヤバイ奴臭ェな。それなりに経験値稼ぎくらいにはなりそうな…」スンスンスンスン

黒垣根(虎型獣人)「あ?ナメてんのか?悪いが、俺はメタルキングどころか隠しボス級だぜ?」バサァ!

トール「…お?なんだよ、早速元凶様の御登場か?随分よわっちそうだけどよ」ケラケラ

黒垣根(虎型獣人)「…今決めた。テメェは俺の感にさわったのでぶち[ピーーー]。異論は認めねぇ」ビュン!

トール「…いやぁ、こりゃちょっとしたサプライズプレゼントかぁ?」クックッ

トール「最近ひよってばっかりなトールさんには久方ぶりにちょーどいい運動だっぜ!」バシュン!

黒垣根(虎型獣人)「抜かせ」ガルル…




~VS・サローニャ=A=イリヴィカ~




サローニャ「光はかーげのー♪影はひっかーりのー♪果てまでつーいてーいくのだろぉー♪」テクテク

サローニャ「サローニャちゃんはお菓子作りのお手伝い~♪」フンフフーン♪

サローニャ「ふっふー、こっそり上条ちゃんに手作りお菓子ちゃんでも持ってってあげちゃおっかにゃー?」フンフーフン♪

サローニャ「にゃ?」


\ドパァーン!/


サローニャ「なに、アレ…大量のフレッシュミルクちゃんみたい」

サローニャ「…うん、先ずは現状確認しなきゃね!」ダッ





サローニャ「うぉお!魔術ドーピングダーッシュ!」テテテテテ

黒垣根(鎧騎士)「……」ガチャン、ガチャン…

サローニャ「おわっとぉ?!」キキーッ!

黒垣根(鎧騎士)「……」

サローニャ「……えーとぉ?今からサローニャちゃんはそこ通るからどいてほしーんだけどにゃーん?」クビカシゲ

黒垣根(鎧騎士)「悪いな、テメェがこれから通るのは地獄への入り口だよ」ガチャン!

サローニャ「…へー?このサローニャちゃんに喧嘩売るたぁ、いい度胸だねぃ?」クスクスクスクス

サローニャ「…いいよ、このサローニャちゃんがあなたと遊んでしんぜよう!」ダッ




~VS・天井亜雄~






木山「…ほら、お望み通り。下着までにしたよ」ムスッ

天井「あー……いや、もう何も言うまい…それで、なんだったかな」

木山「私はワケあって脱獄したんだが、先程見るからに危険な奴に追われ始めてね」

天井「」

木山「ただ、逃げ回っている途中に気づいたんだ。何故か奴はこの車を避けるように移動するんだよ。」

木山「これはしめたと思ってね。無理矢理ながらに入った、というわけさ」

天井「」

木山「簡潔に言うと、『私、今ちょっとヤバい奴に追われてる。匿ってくれ』だ。だから…」

天井「よし、出ていってくれ」グイグイ

木山「…人の話を聞かない人だな、貴方は」グググ

天井「やかましい。ちゃんと聞いただろ私はもう"そういうの"には関わらないと決めているんだ」グイグイ

木山「! …おっと。それなら、尚更今は私を追い出さない方がいいぞ」

天井「…一応理由を聞こうか」

木山「窓の外を見たまえ」チョイチョイ

天井「…」チラッ

黒垣根(オオカマキリ型)「……」キョロキョロ

天井「<○> 口 <○> 」

木山「…おや、突発的に危険人物が現れる事はそんなに珍しい事かい?」

天井「いやそういう訳ではないというか、人ってか巨大な虫っていうか、逆にそれを一般的と言い張るなら貴女は余程特殊な地域で育ったのだなーと。というかまた何か面倒ごとかやだもうちくしょう」

木山「…もういいかい?話を聞いてくれ」

天井「……なんだ」

木山「匿ってくれ。礼なら私ができる事ならば何でもする。…狙いは恐らく、私の幻想御手《レベルアッパー》の構築技術だ。」

木山「でなければ心当たりは他にはないし、単純に私を捕らえるだけに第二位が出張るとは…」ウムム

天井「ハァ…私はなんだか、表の第二位よりも、貴女の方が危険人物に見えてきたよ」ハァ

木山「おや、もう一度言おうか?」クス



木山「この学園都市《とくしゅなちいき》で。『突発的に危険人物が現れる事はそんなに珍しい事かい?』」ドヤ




~VS・絶対等速、シルバークロース=アルファ~




絶対「…だぁから、テメェはもちっと愛想をよくしろってんだよ」ぺち。

シルクロ「う。すまない…」

絶対「ウートガルザロキの野郎のコネだってだけで、今のテメェにホストとしての価値はねぇ事はしっかり頭に叩き込んどけよ?」

シルクロ「わ、わかった…」

絶対「あと敬語。じゃ、ドンペリタワーの時の連携をもっぺんおさらいすんぞ」

志熊(あの人、なんやかんやで面倒見いいし、頑張る人なんだよなぁ…Levelも4だし…)

抜人(もう少しマイルドってか、人当たりよくすればいいのに…)

藍花(はぁーお腹すいた)


ズズン…ズズン……


絶対「なんだ?!」

シルクロ「…」ダッ

絶対「いいか、テメェらは中にいろ!役立たずに出張られちゃ困る」ダッ

志熊(『危ないから外出んなよ!』って事ですねわかります)

抜人(『戦闘能力がある俺が守らなきゃ!』って事ですねわかります)

藍花(今日はマカロニグラタンにしよう)


ガチャ!

絶対「な、んだ…コレは…?」

シルクロ「…第、二位…?」


黒垣根(巨人)「よぉ、役立たずども。文字通り踏み潰しに来てやったぜ?感謝しろ」バサァッッ!!




~VS・一方通行~




一方「…やりやがった」

打ち止め「どうなっちゃうの…ってミサカはミサカは…」

一方「チッ、あン時シェイクにしたつもりだったンだがな」

黒垣根「復活したのさ。人体を未元物質で作る事に成功してな。臓器も、体も、」


黒垣根「"脳"もな」パチン!


垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根垣根

ズラッ!

一方「ついに"自分自身"まで作っちまったのか、オマエ」

黒垣根「まぁな。」

黒垣根「…11兆4491億71万2554。」

一方「?」

黒垣根「今、この学園都市に存在する"俺"の数だ」

一方「?!」

黒垣根「…第一位。全ての俺を、倒せるか?」ニヤリ

一方「ハッ、問題ねェよ。雑魚なンざ何匹増えても一緒だ」カチッ


黒垣根「おっと、お前の相手は俺じゃねぇ。コイツらだ」パチン!


ザザザッ!

黒垣根「コイツらはな、ただのスレーブ個体じゃねぇ。"俺"の人格をインストールしている。特殊個体だ」

黒垣根「他の個体とは一線を画す。…中々に強いぜ?」ニヤリ

一方「ハッ、どンな奴だろォが関係な、」



チャラチャラ♪チャッチャチャーラララーラ♪(BGM)


一方「?!」キョロキョロ




「「「「「「「トゥッ!!」」」」」」」


垣根A「燃え盛る情熱の焔!」バッバッバババッバッ!

赤垣根(瞳は炎)「垣根レッド!!」どん!

一方「」

打ち止め「」


垣根B「冷静沈着!」バババッバッバッ!

青垣根(冷え性)「垣根ブルー!」どん!

一方「」

打ち止め「」


垣根C「親和と協調。」バッバッバッバッ!

緑垣根(糸目)「垣根グリーン!」どん!

一方「」

打ち止め「」


垣根D「カレー大好き!」バッバッババババババ!

黄垣根(ぽっちゃり)「垣根イエロー!」どん!

一方「」

打ち止め「」


垣根E「脳内常にピンク色♪」バッバッバババババババッ!

桃垣根(女)「垣根ビッt…ピンク!」どん!

一方「」

打ち止め「」


金垣根「垣根ゴールドと」ニヤ

銀垣根「シルバーもいますよ?」クス


垣根'S「「「「「7人合わせて!」」」」」

垣根'S「「「「「「「垣根戦隊!カキネンジャー!」」」」」」」ドーン!!



一方「<○> 口 <○>」

打ち止め「<○> 口 <○>」


黒垣根「ハハハハハハハハ!!仮にこいつらがピンチになれば真打ち、"垣根合体、未元ロボ"も用意してる」

黒垣根「テメェに勝ち目はねぇ」ニヤリ


通行止め「「ダッサ。」」

黒垣根「なにおう?!」ムカチン!




~学園都市、某所~




「…ふぃ。私の結界術式がなかったら危うく侵食されてたな」

「すまない。助かったよ」

「…で、どうする?完全に異常事態だが、俺様達も動くのか?」

「ふむ……いや、私達はこの件にはノータッチでいこう。ステルステストはまだ経過を見る必要があるしね」

「おや、珍しい。いつものように、何にも後の事を考えず助けにいくのかと思ってたよ」

「…耳が痛いな」

「それで?『フロイライン・クロイトゥーネ』は?」

「ほぼ間違いなく、『窓のないビル』の中だろうね」

「そして、彼女の殺害、変質、消滅、転送による『槍』製造妨害方法については実際に幾つか試してみなければわからないな。…やはり、現物を見てみない事には」

「『窓のないビル』を誰にも見つからずに壊すのは難しいな」

「"右手"は?」

「できないわけではないが…」

「隠密行動はもうできなくなるし、"穴を開けた後"を考えるとやはり君の右手は温存しておきたいしね…もしやるなら最後だろう」

「使用回数制限…俺様の"右手"が完全であればな」

「なぁ。ところで、仮に学園都市側と表の白いアレの戦いが持久戦になったらどうする?」

「ああ、当面の問題はそれだな。ここの食料の備蓄はそんなにないぞ?普通に食べて…精々3日分ってとこだ」

「「「……」」」


「…その時は、ちょっと介入してでも解決を図ることにするよ」



~叶え屋前~


黒垣根(タランチュラ01)「居たか?」

黒垣根(スズメバチ05)「いや。学園都市各地に設置した『目』や『耳』、『ソナー』にも引っ掛かってねぇ」フルフル

黒垣根(オオカマキリ08)「…チッ、どこに行きやがったんだ?たかが身一つの研究者がなんてステルス機能持ってんだよ」ガシガシ




~叶え屋、生活スペース~


\オレハアッチヲサガス。テメェラハアッチトソッチダ/


天井「…どうやら、本当に彼等にはこの車が認識できないらしいな」

木山(E:下着、白衣)「だろう?この車にどんな防犯機能がついてるのかは知らないが」

天井(私もわからんな…ウートくんがこの車にステルス機能を持たせる魔術を施していた…ぐらいしか思い付かん)

天井(…おかしいな。私、何にも悪いことはしてなかったはずなんだが……)

天井「…何故、何故…ッ!こんな…事に…」グスッ、グスッ… 

木山「巻き込んですまないね。なるべく早く出ていくようにはするよ」

天井「…いや、貴女が安全に出られると私が確信するまではいてくれていい…」

木山「おや、自分第一…というわけでもないのかな?」クス

天井「当たり前だ。…後味も悪いしな」

木山「そうかい」フフ

天井「にしてもだ!やっと平和と安寧、居場所を得られたと思っていた矢先にこれだよ!私、呪われてるんじゃないだろうな?!」あ゙ー!

木山「おや、この科学の街で『呪い』かい?貴方は面白い人だな」クスクス

天井「貴女は随分呑気ですねぇ?!」ウガァアア!

木山「いやぁ、正直もう諦めているんだよ。貴方を道連れにしてしまうのは心苦しいが…」

天井「私を巻き込むなよ!?死ぬなら一人で死んでくれないか!?」

木山「うん、すまない。申し訳ないが『運命だ』と思って私と死んでくれたまえ」フフ…

天井「嫌ァァァ!あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!どうしてこうなった?!」アタマカカエ

木山「しかし、やはり暑いな…」ヌギヌギ

天井「下着はぬ!ぐ!な!いい加減襲うぞ?!」ガシッ

木山「…ほう?」流し目

天井「えっ」ドキッ





~とあるビルの屋上~




黒垣根「ん~~、んっんー?」コツコツ

黒垣根「さてさてテメェら、状況報告タイムだ。俺からのオーダーはどうなってやがる?」

カブトムシ01『口頭オーダー1:「未元物質による魔界生成」は44.6%完了』

黒垣根「残りを急げ。次」

カブトムシ02『口頭オーダー2:「一方通行の撃破」は進行中。』

黒垣根「詳細。」

カブトムシ02『未元物質製「垣根帝督」達の数の暴力による、徹底的な電波遮断を行いましたが、第一位が音速戦闘に持ち込んだため、予定通り垣根ンジャーズが戦闘中。』

カブトムシ02『最終信号は捕縛、拘束中です』

黒垣根「ふーん…まだ殺るなよ?殺るなら第一位の目の前でクローンとあん時の警備員を殺る時だ。警備員の拘束も急げ。…次。」

カブトムシ03『口頭オーダー3:「侵入者とおぼしき者2名の抹殺」は現在進行中。尚、黄色い方の抵抗はかなり激しいです』

黒垣根「"増援"を増やせ。…次」

カブトムシ04『口頭オーダー4:「木山春生の捕縛」、現在「未元蟲部隊」が捜索中。ターゲットは第7学区の路地裏を最後にロスト』

黒垣根「補足と拘束を急げ。」

黒垣根「…にしても、この依頼がいっちばんわけわかんねぇなぁ…そんなにヤバい奴なのか?コイツ。」

カブトムシ04『彼女のパーソナルデータで目立つ物と言えば…「幻想御手事件」の犯人…ということぐらいですね』

黒垣根「あぁ…あの。ん?……いや、いやいや。あんなんもう終わった話じゃねぇか。たいした事なかったし。なんでそんな奴を"捕縛"しなきゃなんねぇんだ?」

カブトムシ04『木原唯一から寄越されたチップに理由は記載されていませんでした。ただ…』

黒垣根「ただ?」

カブトムシ04『彼女がどうやって収容されていた施設から脱出したのかは明らかになっていないそうです』

カブトムシ04『憶測ではありますが、その辺りに理由があるのではと』

黒垣根「…ふーん…ま、追々、ってとこだな。次。」



黒垣根「………」

黒垣根「………次。」

黒垣根「…………。」

黒垣根「……………オイ!『カブトムシ05』はどうした!」

カブトムシ06『あ、カブトムシ05ならトイレで大きい方を排泄してくるそうです』ハイ

黒垣根「あっ、そーなんだーそりゃしょーがねーよな、生理現象なんだものなー」ポン!

黒垣根「…て、ンなワケねェェェェェェだろォォがァァァァァ!!!」ガンッ!

黒垣根「ンな機能創った覚えねーぞ!任務ほっぽらかしてどこ行きやがったあの糞虫は?!」イライラ

黒垣根「探せ!『口頭オーダー06:カブトムシ05を始末しろ』!」

カブトムシ'S『サーイエッサー!』ビシッ

ブゥウン。

黒垣根「……」

黒垣根「……まさか、な?」




~時は少し戻って、カブトムシ05~




05『…』ブブブブブブ…

05(口頭オーダー05:「"心理定規"の保護と安全地帯への連行」…)

05『!』

心理「何かしら、この白いの…気味も趣味も悪いけど…まるで、あの人の能力みたい」タタタタ…

05『心理定規さん!』ブーン

心理「?!」

05『私は"垣根帝督"の使いです。"安全地帯"まで一緒に来てください!』ブブブ

心理「い…」

05『?』



心理「イヤァァァ!!何これキモいッ!」スパァーン!

05『ごぱんっ?!』

ズシャアアアアア!!


カブトムシ05は肉体的にも精神的にも重傷を負った!▼




05『うごご…』

心理「イヤッ、本当にキモい!デカイし喋ってるしっ!私、虫の類いが大ッ嫌いなのよっ!」イヤァアア!

05『おふ、おぐぉ………あ、あの!私が嫌いでも構いません!とにかく話を』

心理「勘弁してよ!ホンッット生理的に無理なの!!!」トリハダー

カブトムシ05『Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン!』


「生理的に無理」。これ程どうにもならない理由もない。


05『く、これでは目的を達成できません!』プルプル…




05(考えろ、考えろ!私が彼女を連れてくためには…)

05(やはり、『人型』になるべきですよね?)

05(しかし、スレーブ個体の私に変質機能はついていません。カブトムシ以外には変われない…)

05(!そうだ、逆に考えましょう!)

05(未元物質では変質できない。ならば、垣根帝督になり変質を行えば!)

05(今、『未元物質』と『垣根帝督』の境界線は曖昧です。)

05(つまり、『未元物質』の私と、『垣根帝督』の優位性はいとも簡単に覆る!)

05(オーダーを達成するために、一時的に『垣根帝督』へシフトすれば"変質"ができます!)




05(少しくらいなら反逆行為をしても大丈夫でしょう。バレなければ。ちょっとだけなら。)メキメキメキメキメキメキメキメキ…

心理「」


※昆虫…サナギから成体が出てくる映像をご想像ください。


05『私は、……私は…!私は!』


パキィン。


白垣根「『未元物質』を操る学園都市の超能力者。『垣根帝督』です。」パァアアア!


心理「」




"羽化"。

『未元物質』、『カブトムシ05』は偉大な進歩を。躍進を遂げた。


"能力そのものの進化"。間違いなくとんでもないモノに。カブトムシ05は成った。



心理「」

白垣根「…さぁ。これなら大丈夫でしょう?私についてきてください。」ニッコリ


心理「イヤァァァ!!何か気持ち悪いぃぃぃぃ!!」スパァーン!

白垣根「ぐべらッ!?」ビターン!


が、心理定規には関係がなかった! ▼




白垣根「な、何故…」ガクッ

心理「だって、虫の背中から出てきたとか、姿はあの人だけど丁寧語の誰おまとかマジ無理なんだもの」フルフル

白垣根「oh……ん?」ピピッ

カブトムシ06『…05、マスターが報告をと』ツウシン

白垣根「あ、すみません。私ちょっとトイレで。大きい方をしてきますんで。そう伝えてください…」

カブトムシ06『了承した』

白垣根「うう、ここまでやってもダメなら私はどうすればよいのでしょうか…」メソメソ

心理「……」

心理「ハァ…もう、いいわ。虫でも何でも。妥協してあげるから早く連れていって頂戴」

白垣根「! ありがとうございます!さぁ、行きましょう!」パァ







バサァッ。


心理「…すごい。本当に空を飛んでる…」

白垣根「お気に召しましたか?」ニコッ

心理「…ふふ。そうね、いい景色だわ」

心理「……ところで、"安全地帯"ってどこなの?なんだか高度がどんどん上がってるのだけど…」

白垣根「え?ああ…それはそうですよ」





白垣根「何せ、今からご案内するのは学園都市上空に浮かぶ、未元物質製のお城ですからね」ニッコリ

心理「」




\「オロシテー!」「チョ、アバレナイデクダサ、アッー」/

投下終了。以下オマケ。


未元物質の悪夢編(笑)。たぶん、きっと、『可能性』の話。


~"船の墓場"とある豪華客船の甲板~

ロキ「~♪」コク…コク…

ウート「あれ?ロキじい。今日はひなたぼっこの日なのか?」ちーす

ロキ「…おや、ウートガルザロキ。お元気ですかな?」ニコッ

ウート「おー、元気元気。」ヘラヘラ

ザザーン…ザザーン…

ウート「…景色がめっちゃいい!…とは言わねぇけど、こっからの眺めも悪くねぇもんだなぁ…」ノンビリ

ロキ「ええ。私もここからの眺めが大変気に入っております」コク…コク…

ウート「ひなたぼっこしながら海を眺めて。豪華客船の甲板にテーブルと椅子を置いて高級紅茶をクッキーと頂く…」

ウート「なんか、これ以上ないってくらい充実してる老後って感じだよな」ウン

ロキ「おや、そうでございますか?」クス

ウート「えー?他に何かあるか?」

ロキ「…『家族』。」

ウート「…あー、奥さんと子供か。思い浮かばなかったわ」

ザザーン…ザザーン…

ロキ「……」

ウート「…あのさぁ、ロキじいが"グレムリン《ココ》にいる"って事は…」

ロキ「…ええ、昔。家内と息子、孫がおりました」

ウート「……"おりました"、ね…」

ロキ「ええ。"おりました"、でございます」コク…コク…

ウート「…寂しいのか、やっぱ」

ロキ「いえ。今はメンバーもおりますし、何より…魔神《かのじょ》がいらっしゃる。」

ロキ「寂しくはありませんなぁ」コク…コク…

ウート「……ひょっとしてさ、そのお孫さんってオティヌスに似てたりする?」

ロキ「…ええ、まぁ。」コク…コク。

ウート「あぁ、だからあんなにアイツにやさしーんだ。なる、なる。」ウンウン

ロキ「それから…ウートガルザロキ、貴方にも」ジッ

ウート「……」

ウート「なぁ、ロキじい」

ロキ「どうなさいましたかな?」

ウート「俺の事、孫と思ってくれてもいいぜ」

ロキ「…おや、それはそれは……」

ウート「っと、わり!もう行かなきゃ。じゃな!」ヒラヒラ

ロキ「ええ、また。」



ロキ「…いけませんな。どうも歳をとると、涙腺が緩くなるようで」


ザザーン…ザザーン…



~とある豪華客船、操舵室~


ヨルムンガンド「ヨーソロー!ぃやっほぉーい!」グルグルグルグルグルグル!

ヨルム「かーじぃをー2ぃ時のほぉーこぉーへー!」グルングルングルン!

ヨルム「プー!プー!」←警告音を口で言ってる

ヨルム「何ぃ?!氷山だ?!大丈夫、大丈夫!この『ヨルムンガンド号』は変形機能がついてるのさ!」

ヨルム「ガシャーン!ガシャーン!」

ヨルム「ハーハッハッハー!」

ウート「………」

ヨルム「よぅし!敵が見えたぞ!砲門、ひらー………け………」

ウート「……」

ヨルム「」


ウート「……」

ヨルム「……」


ウート「あ、オティヌスがお前に指示出したいから来いってさ」ニコッ←優しい目

ヨルム「う、うわぁあああああ!!////////」ワタワタワタ

ヨルム「いやっ…これはそのっ……ちがくて!そーゆーんじゃなくて!!」ジタバタジタバタジタバタ

ウート「いや、別に誰にも言わねぇから安心しろよ、ヨルムん」ニコッ

ヨルム「え、ほんと?よかったー…」ホッ

ウート「ああ、『ヨルムンガンド号』に変形機能がついてる事は決して誰にも言わねぇと誓うよ」キリッ

ヨルム「うわぁあああああん!!」

ヨルム「言う気だろー!お前、絶対言う気だろー!」ペシペシペシペシ!

ウート「言わねぇ言わねぇ。言わねぇったら」

ヨルム「ぜ、絶対だかんな?」

ウート「ああ……



               多分。」ニタァ

ヨルム「うわぁあああああん!?」

ヨルム「ゆーなよ?!ゆったら『毒の息』だかんな?!」グイグイグイグイグイグイ

ウート「いやぁ、"ヨルムンガンド"の名を冠するお前も。そんな遊びをするんだなぁとお兄さんは安心しましたよ」ハハ

ヨルム「い――――や―――!!」ウワァァァン!


※案の定、皆にバラされました(笑)


オマケ終わり。


~新訳9巻発売されました~


ウート「……ウートガルザロキの"ウ"の字もねーな」つ9巻⊂

シギン「……シギンの"シ"の字もない。ないよ」つ9巻⊂

天井「それは、まぁ…仕方ないだろう。そもそも『オティヌスとの戦い』、『壊れた世界』に、『オティヌスの人となり』について描写する巻になるだろうと予想できたじゃないか」

ウート「うん、まぁわかるよ?でさぁ、…なーんで、あまっち出てんの?」


天井「………え、マジで?」


シギン「うん。マジ。マジで。」つ9巻

天井「うわっ…本当だ…い、いやでもこれはほぼモブじゃないか!台詞ないし!」つ9巻⊂

ウート「いや、でもさ?なーんかやたらと『借金、失恋がない』ってワード出るじゃん?」

ウート「…『借金』…いや一方通行さんも国家予算規模の借金はしてましたけどもー?」チラッ

シギン「…やっぱり。たぶん、天井くんを指すためだけの言葉じゃない?」チラッ

ウート「スゲー特別扱いって感じだよな。地味に。」チラッ

天井「…その、なんか…すまない」

ウート「はーあ!バゲージシティ編で御登場の木原一族どもやベルシは出てるくせによー!」プンスコ!=3

シギン「ね!かまちーもせめてトール達や他のグレムリンメンバーと出してくれればよかったのに!」プンスコ!=3




上条「いやあいつらはロクなキャラづけと他キャラとの絡みなかったし…」


姫神「…表紙の中のイラストが定位置。もう私が本編で口を開く事はないの…?」クッ。

サローニャ「……ま。なんとにゃーく、私の扱いもわかっちゃいたけどな」チッ。つ9巻⊂

トール「いや、ひょっとしたらお前とフレイヤは出てんじゃねーの?92Pの女子グループのやつ。『猫ちゃん』とか、『~くれてやろう☆』とか怪しくねーか?」チョイチョイ

サローニャ「お!ホントだ!かもしんない!」キャッキャッ♪



サンドリヨン「私はヒロインになり損ねた…か?いやまだイラストにいるし……いやでも…」ブツブツ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


オティヌス「……ふむ…」つ9巻⊂ペラ…ペラ…

オティヌス「うん。」パタム。



オティヌス「…いやぁ、実に次巻が楽しみだなぁ?主に『私っ!メインヒロイン!』的な意味で。」クックックッ…

せめて次巻ではかまちーがグレムリンズにキャラづけやら何やらをしてくれますように。

超展開に次ぐ超展開。最初の頃のゆったりまったり感はどこへやら。

多分、読んでた人の何人かはそっ閉じしただろうけど、自分のやりたい事を思う存分やる事にした。


頑張ってかいたけど、まだ書きたいシーンに辿り着けない。

投下。


~VS・一方通行~



通行止め「「つゥか、寒い。(ってミサカはミサカは凄まじい子供っぷりにドン引きしてみたり)」

黒垣根「ハァ――――?!ふざけんな!テメェら全国の戦隊ヒーロー好きに謝れよ!かっこいいだろ!夢だろ!『俺の考えた戦隊ヒーローが実写になる』とか最高だろ!?」プンスコ!=3

一方「悪ィが、これっぽっちも理解できねェわ」ナイナイ ノシ

打ち止め「この人はヒーローモノ視ないタイプだし、ミサカは女の子だからわからないかもしんないかなーって、ミサカはミサカは第二位さんにフォローを入れてみたり」

黒垣根「うっせ!このロマンがわかんねーなら同じだ!行け、"俺"!」

黒垣根'S(スレーブ個体)「「「イー!」」」バサァッ!

打ち止め(そこは仮面○イダーなんだ!?)ガーン!




黒垣根(スレーブ)'S「「「イー!イー!」」」バサバサバサ!!

打ち止め「ふわ!?こっちに飛んできた!ってミサカはミサカはドーム状になるよう飛び上がってきた第二位さんにびびってみたり!」

一方「! 俺のチョーカーの電波障害が狙いか!」ダッ!

打ち止め「おわ?!抱き抱えられて…え、飛ぶの?ってミサカはミサカわ゙ッ」グンッ!
黒垣根「チッ、"俺"でドームを作って未元物質の壁に再構築、その後はドーム内を埋め尽くす未元物質の槍でグチャグチャにしてやるつもりだったんだがな」

黒垣根「…ま、いいや。おいテメェら、後は頼まぁ。」スタスタ

カキネンジャー'S「「「「「「「了解」」」」」」」







黒垣根(スレーブ個体)「ち、電波障害の檻から逃げられたか…」メキメキ…

黒垣根(マスター個体)「おい、『槍』行くぜ」ガシッ

垣根は側にいた"自分"の内の一人の身体を掴んだ。

そして、掴まれた垣根は「そうする事が当たり前」と言わんばかりに槍に変形していく。

人としての形を殆ど失い。投擲される事が、玉砕する事が前提となっている攻撃手段の道具として。"使用"されるとわかっていて。


黒垣根(槍)「串刺しだ、第一位」ギュン!

飛ぶ。

狂気。


一方「死ね!」バキャ!

あらゆる物を破砕するように調整された一方通行の最強の拳が一本の槍と化した垣根を躊躇なく砕く。

が。


黒垣根(槍)「甘ぇ!」バラッ!

粉々に砕かれた垣根の一つ一つの破片が変形し、槍に変わる。

"意地でも貫く"らしい。




一方(!?打ち止めが危ねェ!)ガバッ

あえて垣根に背を向け、打ち止めに被害が出ぬようにする。

黒垣根(槍)'S「「「「死にやがれ!」」」」ギュン!


だがあまりにも悪手だ。

一方通行の能力は人を守る事には向いていない。

自分の身は守れても、他の誰かは反射の膜で覆えない。

垣根達は勝利を確信した。これで後は一方通行を360゚囲み、一斉突撃。串刺しにすればいい。


 かつて垣根はあの日、一方通行の"反射"のホワイトリストとブラックリストを解析し、"反射"を貫通してみせた。

一方通行に『"反射"を通り抜ける未元物質』を解析され敗北する結果となったが、得る物はあった。

それは、"未知の攻撃。それも初撃なら一方通行は反射できない"ということ。

そして、自身の肉体を創造できる程人体に精通する今の垣根なら、攻撃手段は更に多彩になる。

例えば、『人体細胞、特に血液中の赤血球の浸透圧を大幅変更する未元物質』、

『周囲の酸素濃度を生命活動に影響が出るレベルまで変更する未元物質』

なんかも今の垣根なら創れるのだ。

仮に『未元物質』そのものを"反射"リストに加えられていても。趣向を凝らせば貫通する事は不可能ではない。

それに加え、数の暴力による圧殺が可能。



一方通行と打ち止めに逃れる術はない。





一方「――と、思うだろ?」ニタァ



不敵な笑みを浮かべて、第一位は。

打ち止め「ふぇ?」


一方「あ、よォいしょっと」ぽーい。


打ち止めを放り投げた。


打ち止め「え―――――――――――――――?!」


自由落下運動していく打ち止めを尻目に、一方通行は

一方「すゥ―――――――……………」

己のベクトル操作能力を使い、常人では決して不可能な肺活量を実現し、大量の空気を吸い込む。

そして。

一方「ふン!」


ぶっ。


ぶぉー、ぶぶぶぶぶびぶびぶブリプリプリッッッ!!!

己の肛門から、水素、酸素、メタン、二酸化炭素、窒素、酪酸、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、アンモニア、リン化水素 、インドール、スカトールを大量に生産した。


一方「圧縮、圧縮圧縮!圧縮ッッ!」


垣根(槍)「?…………ま、まさ、か、テメェ…!?」



一方「ギャハッ…アっハハ、ヒャハハハハハアアアhッハははハはアハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ !!」

一方「喰らえェェエ!!!」ブンッ!!

悪い顔をした一方通行に精製、投げられた"大量殺人兵器"は、情け容赦なく垣根達に衝突した。


ボフン…!


中の"大量殺人兵器"が散らないよう張られた空気の膜が弾け、垣根達に"それ"が襲いかかる。


垣根(槍)'S「「「「おェぇぇ、ええええええエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」」」」」


一方「ギャハハハハハ!!」ギュン!

一方(だったら、囲まれなきゃいい。そもそも動きを止めちまえば。テメェに負けやしねェンだよ!)


一方「そして打ち止めキャッチィー」ポス

打ち止め「わふっ。…ね、ねぇあなた…第二位さんに何したの…?ってミサカはミサカは泣いて嘔吐して酷くのたうち回る第二位さんを見て怖くなってみたり」

垣根(槍)'S「うぉえっ、おぉおえっ………おぼろろろろろ……」ビシャヒジャァ

一方「あン?心配すンな。そォ悪い事はしちゃいねェ」


一方(単に能力で最大限まで臭いと量、威力を引き上げた『握りっ屁』だからな)




 "おなら"というのは、実は7割が『呑み込んだ空気』で、2割が『血液から腸管内に拡散したガス』、残りの1割が一般的にイメージされる『腸内細菌が食べ物を分解した際に発生するガス』である。

一方通行は能力で自身の体内で調整、精製を行った。


一方「いや、下品極まりねェし、結構体に負担かけるからやらなかったンだが…前から一回やってみたかったンだよ」ゲヘヘ

打ち止め「うん、あなた外道だね。第二位さん可哀想ってミサカはミサカはその対象に選ばれてしまった第二位さんを憐れんでみたり」

一方「ついでに竜巻×2撃っとくか」つ竜巻、竜巻


黒垣根(槍)「がっ?!ぎゃあああああ!!」ミンチ

一方「ンで収束させた空気ワイヤーで薙ぎ払い!」ブゥン!

黒垣根(槍)'S「「「「がぁあああ!?」」」」

一方「よし、これで片付いたな」フゥ!

打ち止め「どうしよう、なんだか涙が止まらないってミサカはミサカは……ッッ?!」

ゾクリ。


突き刺さるような視線を感じとる。


その原因は眼下に。遥か下の地にて、垣根がニヤニヤ笑いながらこちらを見ていた。

黒垣根(マスター)「おい、第一位。安心してるようだが、俺ァまだ"弾切れ"だなんて言っちゃいねぇぞ?」ブンッブンッブンッブンッ!


黒垣根(槍)'S(第二陣)「「「「「「死ねよ、第一位。」」」」」」ギューン!

一方「」

一方(クソ、なンだこいつら!自分自身を"消耗品"として兵器運用するとか、気が狂ってるンじゃねェのか?!)ギュン!

打ち止め「空飛ぶあなたに抱えられて、なんだかジェットコースターに乗ってるみたいかもって、ミサカはミサカはこの状況を楽しんでみたり!」キャッキャッ!

カキネンジャー'S「「「「「「「「オイ、俺達を忘れてねーか?」」」」」」」」ギューン

一方「そォいやあいつらもいたな…ン?」

壁<ハロー

一方(しめた!)ギュン!

黒垣根(槍)'S「!速度を上げた!追え!」ギューン!

一方「――で、逆下方へ飛ぶ!」ギュン!

黒垣根(槍)'S「「「あ、ちょ!壁g」」」」

グシャ!グシャグシャグシャグシャグシャ!!

一方「ふゥ…ン?」チラッ

一方「」


黒垣根(槍、第三陣)「「「「オイオイ、第一位。まさかこの先、安心できる瞬間が到来すると思ってんじゃねーだろーな!」」」」ギューン!


一方「ハァ、しつけェ野郎だ」ギュン!!






一方「…キリがねェ、クソ、バッテリー残量も7割切りやがった」

一方「槍垣根はプラズマで周囲ごとぶっ飛ばしたが…」

ボォオオ!

一方「あいつらも死ぬほどうぜェ!!」ギュン!

赤垣根「オラオラ!どうした第一位!テメェの実力はそんなもんじゃねぇはずだろうが!もっと!熱く!なれよぉぉおお!!」ボォオ!

一方(?!未元物質の翼じゃなく、炎を噴射させて飛ンできやがった!)

赤垣根「食らえぇぇえええ!!"炎邪破滅砲《エンキュリオス・エチュバイアス》"!!!」ボォオォォォオオオオ!!

一方「は、ンな火球が効くか」ハンシャ!+竜巻ガード

赤垣根「それはどうかな?」ドヤ ドン☆!
ボン!!!

一方(!そのまま火球が爆散、炎を放出し続けて…クソ!熱によるダウン、酸素を燃やしきって俺達の窒息を狙ってやがるのか!)

一方「ふンっ!」つ竜巻

赤垣根「くっ、掻き消されたか!」

一方「オイオイ…オマエの能力に"発火能力《パイロキネシス》"なンてあったのかよ」ブン!

赤垣根「はっ、未元物質で色々実験してる内に気づいたのさ!」ヒョイ

赤垣根「『未元物質の分身に"俺"自身の脳と能力を実装できるなら――」


赤垣根「――例え他人であっても、そいつの詳細なパーソナルデータさえあればそいつの脳も能力も再現できるんじゃねーか?』ってな!」


赤垣根「こんな風に!」ボォオオオオオオオオオオ!!!




一方(しかも、本人《オリジナル》より演算能力がある上に第二位の補強があるから…本来の能力強度はLevel3~4程度でも、出力はLevel5級なのか!)ハンシャ!


青垣根「私を忘れてもらっては困りますわ」ピュン!

ズガァン!

一方("水流操作《ハイドロハンド》"か。水塊ミサイルがホーミングしてきやがる)ハンシャ!

青垣根「いつまでその子を守りきれますかね?」クスクス

一方(クソ、俺は問題ねェが打ち止めが危ねェ!)

打ち止め「……」プルプル

一方(かといって、学園都市中に未元物質の脅威がある以上、木原ン時みてェに飛ばす訳には…)ギリッ

緑垣根「今です!」キュイイン!

打ち止め「ほわ?!ミサカの体が宙に!?ってミサカはミサカは助けてあなた!」ジタバタ

一方「オルァ!」ハンシャ!

緑垣根「く、自分の能力干渉を妨害されましたか」

一方(あの緑は"念動能力《テレキネシス》"か)

黄垣根「ギャハ☆」パリパリ!

一方(電気分解でオゾン精製…"電気使い《エレクトロマスター》"…)ダッ

桃垣根「えーい!」ヒュミンヒュミン

一方「?」

打ち止め「?」

桃垣根「じー」←視線、一方通行の股間

桃垣根「…ふっ、ちっさ」プークスクス

一方(……あァ、"透視能力《クレアボヤンス》"か)

打ち止め「ねぇねぇ、『ちっさ』って何に対してなのかな?ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」

桃垣根「え?それはね?第一位のオチ 一方「死ねオルァァァァ!!!」グシャ!

銀垣根「アハ、余所見してると刈られるよー?」ビュン

一方(腕から液体金属できた鎌…水流操作か、その亜種ってとこか?)ハンシャ!

金垣根「あら、私の存在を無視するとは…この私を垣根ゴールドと知っての狼藉ですの?」ボシュ!

打ち止め「え?」ポシュー――――!!

一方「打ち止め!?」

一方("空力使い《エアロハンド》"か!重力ベクトル操作、耐熱用ベクトル操作!音速で…)

一方(よし、間に合う!)ギュン!

桃垣根「残念♪」ピ

打ち止め「助k」ヒュン

一方「な?!」

一方(クソ!騙された!あいつ透視能力じゃなくて"座標移動《ムーブポイント》"だったのか!)




赤垣根「はは、さーどーする?」ニヤニヤ

青垣根「大変な事になりましたわねぇ?」ニヤニヤ

緑垣根「最終信号は御坂さんにそっくりですし、自分が後で彼女をprprしてしまうかもしれませんねぇ?」ニヤニヤ

黄垣根「ギャハ☆カキネは身内にだって容赦はしないんだぜ?第一位」ニヤニヤ

桃垣根「ねぇ、一方通行。あなたこの未元物質製薬『ショタニナール』飲まない?」ニヤニヤ

金垣根「おーっほっほ!降参するなら、この私の下僕にしてさしあげてもよろしくてよ?」ニヤニヤ

銀垣根「マ、そん時は私がブッ殺すけど♪」ニヤニヤ


一方(…打ち止め……第二位の性格上すぐに殺される、危害を加えられるとは思わねェが…)

カキネンジャー「「「「「「「さぁ、どうする?第一位?」」」」」」」クスクスクスクスクスクス



一方(…ありえねェ。)ギリッ


一方(いくらLevel5であったとしても、こンな街全体を覆って自分自身を11兆体以上産み出せる程の演算なンて出来るワケがねェ)

一方(仮に。学園都市1の演算能力を持っていた『脳に損傷を負う前の俺』が未元物質を扱えたとしても。ここまでの能力出力はできねェはずだ)

一方(…第二位は、『能力出力を上げるためには~』なンて言ってやがったが…)

一方(この規模……街の掌握やこいつらスレーブ個体の性能から鑑みるに、最新大型スパコンを3台4台繋げた程度じゃ到底足ンねェぞ)



一方(…こいつ、自身の能力ブースターに何を選びやがったンだ?)




~VS・上条当麻~




黒垣根(天使)「…テメェの打ち消す能力の有効範囲は右手の手首から上だけ。」

黒垣根(天使)「だからリーチが短く、多角攻撃には弱い。そんで能力の特性上、能力が伴わない物理攻撃には死ぬほど弱い」

黒垣根(天使)「…ま、あっけなかったな」

上条「ちく、しょう…」グスッ

黒垣根(天使)「未元物質で20mくらいの高さの樹を作り、そこに"幻想殺し"を閉じ込めた未元物質製の檻をぶら下げてみました☆」

黒垣根(天使)「右手で檻を消せば出られるが、やれば20mの高さから地面にまっ逆さま。」

黒垣根(天使)「同様の理由で、樹にしがみついて降りようとしてもまっ逆さま。」

黒垣根(天使)「服で右手を包んで降りようとすればまだ望みはあるが…」

黒垣根(天使)「ずっとそばにいる俺がそうはさせねぇ。」ニッコリ♪

上条「悪魔め…」グスッ

黒垣根(天使)「とんでもねぇ。何か暴行を加えるわけもなく、今すぐ檻を消して[ピーーー]わけでもないんだぜ?正に天使じゃねぇか」ニッコリ♪

黒垣根(天使)(…ま、俺へのオーダー内容は"抹殺"じゃなくて"足止め"なんでな。終わるまでは大人しくしてろ)ニヤニヤ


上条「へ――――――――ルプ!誰かぁ!ヘ――――ルプミぃいい―――――――――!!」ウワァァン!



"ヒーロー"から"ヒロイン"にジョブチェンジした上条当麻の哀しい叫びが辺りに木霊していた。



~VS・"雷神"トール~




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




第7学区、大通り。


 未元物質に覆われたその街並みの中央道で、虎と垣根帝督を混ぜ合わせたようなモノと、"戦争代理人"と称された"雷神"トールの『爪』が交錯していた。

「ふん!」

その背から生える翼と未元物質製の肉体により。

トップアスリートですら不可能な身体能力を虎獣人型『垣根帝督』は実現させていた。

飛翔し、空中をきりもみながらアクロバティックに五指から伸びる未元物質の『爪』による撫で斬り。

「わっほい!」

ガキィィイイイン!!

その斬撃を、"雷神"トールは自身の左手から伸びるアーク溶断ブレードで弾き飛ばす。

「んなっ?!」

次いで。

「どっせ――い!」

もう片方の手からボン!という爆発音とともに五指からアークブレードを伸ばし、そのまま虎型垣根の頭部を、胴を、四肢をぶち抜く。

「がっ?!ぁああああああああ?!」

「オララララぁああ!!まぁーだ終わんねぇーぞぉぉぉぉおお?」

指を小刻みに動かし、ブレードが突き刺さった周辺の筋組織をなるべく破壊するように。ブレードを食い込ませる。

「ふん!」

そして、そのままブレードの刀身を最長の長さに伸ばす。

「ガ、ァァァァァアアアアアアアアアアア!?」

ズダン!

未元物質に覆われたビルに縫い付けられる形で、虎型垣根は叩きつけられた。

「…なんだよ、この程度なのか?」

つまらない。心底ガッカリした。

そんな顔で"雷神"トールは指をくしゃくしゃっと動かし。

「がg」

虎型垣根帝督を細切れにした。


「……はぁああ~~~~~~~~~~………なんだよ、なぁにが『隠しボス級』だホラ吹き野郎。スライム以下じゃねぇかよぉぉおお……」


がっくし。肩を、腕を落とし。頭を垂れた"雷神"トール。









………の背後から。たった今細切れになったはずの虎型垣根の爪が、その背中に降り下ろされた。




ザシュ。




~VS・サローニャ=A=イリヴィカ~



第7学区、路地裏。


サローニャ「にゃんにゃかにゃーん!にゃかにゃかにゃーん!おめでとーござーます!あなたは見事、『サローニャちゃんにブッ倒される権利』を獲得しました~!」チパチパチパチパ!

黒垣根(鎧騎士)「うぜっ」

サローニャ「あぁん!」ムカチン!

黒垣根(鎧)「現実に、素でンな可愛い娘ぶった喋り方する奴とか、『にゃ』とか言う女がいるわけねーだろ演技派クソ女」ペッ

サローニャ「は―――?!いるしぃ!それに私以外にもそーゆー子いっぱいいるしぃ!」ぷぅ!

黒垣根(鎧)「っせーよ大体そんな痛いキャラづけして『私可愛い』と思ってるなんてバカの極みじゃねーか」ケッ

サローニャ「あー!あー!今君敵に回したよ?!全国の女の子敵に回したからな!」プンスコ!=3

サローニャ「あれでしょ!前にそーいう子に騙されたとかそーいう口なんでしょ!どーせ!」プリプリ!


黒垣根(鎧)「………………ンナコトネーシ…」

サローニャ(え、マジで?)

サローニャ「えっと、その…元気出して?」アセアセ

黒垣根(鎧)「ホントうぜぇな、もう死んじまえよ!」ブンッ!

サローニャ「おわっとぉ?!」ヒョイ!

サローニャ「ちょっとー!痛いとこ突かれたからって、か弱いおにゃのこにハルバードぶん投げてくるとかどうなの!」プンスコ!=3

黒垣根(鎧)「クソが、避けてんじゃねーよ」ブンッブンッブンッブンッ!

サローニャ「おわっ?!よっ!はっ!ほっ!」ヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイ!

黒垣根(鎧)「……」イラッ

サローニャ「クレイモア、トライデント、鉄扇、バトルハンマー…投げて使うもんじゃないぞー?道具を正しく使えないなんてお猿さんじゃないかね?」ニヒヒ

黒垣根(鎧)「既存の法則や既定概念。固定観念に囚われて、新しい何かを産み出さないのは猿以下じゃねーの?」クイッ。

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!!

サローニャ「?!」

ズバッ、グシャ、ドスバキ!

サローニャ「った!ひっ、ぐ……」ドサ

サローニャ(な、何よそれ~!最初のハルバードや投げられてその辺に転がってた武器が宙に浮いて…斬りかかってきた…)

サローニャ(舐めてたわ…)くぅ

黒垣根(鎧)「…やっぱな。反撃や防御をしないとこを見ると、テメェ今『魔術』が使えねぇんだろ」

サローニャ(?!"魔術"を知ってるの!?)

黒垣根(鎧)「テメェの戦術パターンはハワイのカメラから取得済みだ。」ガチャン

黒垣根(鎧)「テメェの"魔術"ってチカラは"特定の植物"を起点として初めて機能する。」ガチャン

黒垣根(鎧)「だが、ここは元々コンクリートジャングルな上に、未元物質で付近の"植物が植えられる場所"は全て封殺した。」ガチャン

黒垣根(鎧)「ついでに俺自身も"鎧"。動物としての機能を完全に捨てたタイプの"俺"だ」ニヤリ

黒垣根(鎧)「だから、"幻想殺し"に使ってた麻痺させる魔術も俺には通用しねぇし」

黒垣根(鎧)「テメェに、勝ち目はねぇ」ジャキン!




サローニャ(あー、ハワイでの上条ちゃんとの戦闘をモニターされてたのか)

サローニャ(ま。ま。ま。そーれーはー、いーいーんーだけーどー?)

サローニャ(術式ちゃんはホントにガチ使えんわけじゃーないのよ?)


サローニャ(いちおーこうなる場合も想定して、調理実習ん時にとある高校の花壇に術式用植物植えたんだから。)


サローニャ(それがまだ生きてんなら使えるはずなんだけど、鎧ちゃんが言ってた事がホントだとなー…誤差動して"しっぺ返し"が来たらエライ事になりかねにゃーのよね)

サローニャ(それに相性が悪いんだよね。悔しいけどアイツの言った通り鎧相手に私の術式通用しなそうだし、使えた所でどーなの?ってね。)

サローニャ(でもでも。使わなきゃ不味いよねー…簡易肉体強化術式じゃ、やっぱ無理無理ちゃんー…)


サローニャ(さって。これはさりげにピンチですかにゃー?)


黒垣根(鎧)「もう抵抗はしねぇのか?なら遠慮なくミンチになれよ」ブンッ!


ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!!



サローニャ(……あーあ、上条ちゃんが王子様とか騎士みたく助けに来てくれたらよかったのになー)フゥ






~VS・絶対等速、シルバークロース=アルファ



…30m程だろうか。

「全く、俺は情けなくて涙が止まらねぇよ」

目の前の巨人の身長は。


「仮にも暗部組織のNo.2ってんならそれなりに有能でなきゃダメだろ」

文字通り見下してグチグチ説教する巨大な第二位に、シルバークロースは辟易としていた。

第二位がここを襲撃する意味。まず自分への解雇通知代わりととっていいだろう。

(あのクソジジイめ。)

同じ駆動鎧を愛する者として、同好の士に対するような念を抱いていたが、どうやらそれはこちらの独りよがりだったらしい。

(―――"着替える"…か?)

スーツのズボン、後ろポケットに入れてあるスマホをこっそり起動させる。


あの日、ウートガルザロキにやられてからシルバークロースはすぐに自分の『ハンガー』を確認して、何も"細工"をされてない事を確認した。

それはつまり、「反乱を起こされてもすぐ対処できる」と見なされている、もしくは「何かと戦わせるためにあえて戦えるようにしたまま」という可能性もあわるわけだが。

まぁ、いくら考えても仕方ない。

大事なのは何時でも戦えるという事だ。

指をスライドし、操作する。

相手が第二位なら、通用するかもしれない。

あの駆動鎧ならば。


「――あん?」

黒い粘性のあるゴムのような物がシルバークロースを包む。

胸元には"―Emergency―"。そして、


「やはり、この場において"最適な着替え"はこれだろう。」


取り出したるは、"白いのっぺりとした仮面"。


金と白で彩られ、縦の長さが顔の二倍以上ある異様な形相。目や口のための穴は存在しない。

 
シルバークロースが顔に装着すると、仮面全体が携帯電話のLEDデコレーションのように発光し、複数の色の光で模様を描く。

その光により、文字が浮かび上がる。





『"―Equ.Dark_Matter―"』





「シルクロ、お前」


「んん?なーんか、覚えがあんな。その仮面。嫌ーな記憶と一緒に思い出される。」

眉間にシワを寄せる。

「あー……すんげー、ぶっ殺したくなってきた。皆殺しけってーい。」バサアッ!

そんな第二位を見据え。

「奇遇だな。」

仮面の中心部から生物的な外見の翼が発生。仮面はみるみる伸び、縦に伸びる。


「私もだ」

「かっ、生意気な後輩だな」



巨人のゴキリ、という首を鳴らした音が。


戦闘開始のゴングだった。



~VS・天井亜雄~





(…さて、どうするべきか。)


木山にコーヒーを淹れてやった後、「少し一人にしてくれ」と言い。

天井は叶え屋の運転席でハンドルを握りしめて悩んでいた。


(いや、私は…"どうしたい"んだ?)


もし、天井が自分が問題から解放される事を第一に考えて行動するなら話はすぐに解決する。

簡単な事だ。心を鬼にして木山を外へ放り出して車でさっさと逃げればいい。

その後は、事が収まるまでずっとこの車に引き込もっていればいい。


(だが、それは…私が選択したい事ではない)


天井は本当に、真に、心底悪人な訳ではない。

確かに彼は一度大きく道を踏み外したが、それらの土壌は全て『嵌められたから』だ。

借金も、実験も、…最後の誘拐も。

天井は生きるために必死に自分が切れるカードを最大限活かして切っただけ。

決して褒められた行動ではない。許される事ではないし、客観視すれば間違いなく悪党に分類される。

が、彼には彼の。どうしようもない事情があった。

…閑話休題。


現在。今の天井は他者を考えられるだけの心のゆとりと、常識的な判断能力を取り戻していた。

長年頭を悩ませていた借金から解放され。

ウートガルザロキと、シギンと。『叶え屋』をやっていく中で、ようやっと。


(…木山とずっとこの車に引き込もっていても事態が好転する事はまずないだろう)


ならば。とれる手段は二つ。


(わざと捕まらせ、温情を期待するか…)


もしくは。


(……第二位を、倒す、か…)




しかし、それは…と、すぐに首を横にふる。

(…無理だな。例え軍隊並みの装備や人員があったとしても…私達では"Level5"には勝てない)

確か"超能力者《レベルファイブ》"の定義は『単独で軍と渡り合える程の性能を持つ』ではなかったか。

(はは、そんな"怪物"を相手にする方がイカれてる)


しかし、そこまで考えてみた所で。

天井亜雄の"研究者"としての好奇心が、本能が。ふと頭をもたげた。


(……待てよ?)


…そういえば。自分は学園都市第一位、"最強"の超能力者に一発くれてやったのではなかったか?


恐らくは一方通行自身の油断だったり、たまたま反射が切れていた、運がよかった…というだけだったのだろうが。


長年の間、ずっと研究され続けた中で、たったの一回も突き破る事が、達成する事ができなかった…


『アクセラレータに物理攻撃を当てる』を、何の変哲もない銃で。


(……そういえば。地味に私が最初だったのか?あの無能力者を除いて…)

未だにあのツンツン頭の少年が一方通行の"反射"をどう越えたのかはわからないが、『どうも反則染みた何かがある』というのはわかっていた。

そういったチート技なしで"反射"を乗り越えたのは。


―――ひょっとしたら、自分が最初だったのではないのか。




(…そうだ。そうだった。超能力者とて、"絶対"じゃないんだった。)


第一位だって倒される。

第二位だって倒されて。

第三位だって倒せるし。

第四位だって倒された。


そうだ。超能力者のベスト4までが、敗北しているじゃないか。

ならば。

ひょっとしたら。

やり方しだいでは。


(………勝てる、かもしれな……い?)


やってみたい。


天井の中で、方向性が決まった。


…そうだ、考えよう。

自分が今持つ手札を使って。


手段は問わない。偶然でも構わない。




第二位に、一発くれてやる方法を。



~そういえばシギンはどうしたんだってばよ?~




「お、置いてかれた…」


第23学区、学園都市と"外"を繋ぐ窓口。航空施設の暗部御用達のエアポートの中央。


科学とも魔術とも言えぬ、すれば100%成功に導く『助言』ができる能力を持つ少女はへたりこんでいた。


「まさか音速の方を使うなんて…」


深夜、ごそごそ音がするのを聞き見やればどこぞへ旅立とうとするウートガルザロキ。

いい加減、ウートガルザロキに隠し事をされるのが嫌になったシギンは出ていくウートガルザロキを尾けていた。


荷物量からして、恐らく学園都市から出るつもりだろう。



シギンも通常の旅客機や物資運搬の輸送機なんかなら単独で潜り込める。(許可もチケットもビザもパスポートもなしで)

だが、音速の場合は難しい。

紛れ込む事はできるが、体にかかるGに物理的に耐えられないのだ。

「…ぐすん。」

(戻ろう。『叶え屋』に。)

そう思って、トボトボ歩き出した所で。

(……? 魔、力?どこから?!)

シギンは魔術師ではない。が、『グレムリン』にいた時に、その道のエキスパートである魔術師達から魔力を知覚する方法を教わっていた。

その方法に従い、感知した魔力の先を辿ってみる。

「…この、荷物の中からだ」

宛先はとあるマンション。中身は『医療用リハビリ調理具材』。

("中"でも充分手に入りそうな物なのに、わざわざ学園都市の外から取り入れる?それも魔力を帯びたモノという事は――)

中身は間違いなく『医療用リハビリ調理具材』とはかけはなれたモノ。

「送り主は…?!」

荷物に貼られた荷物詳細の紙に記載されていたのは。

「"サンドリヨン"……」


確か、『グレムリン』の臨時雇用者の名前だったはず。





~未元物質城 不思議な国の心理定規ちゃん~



バサッ。


白垣根「ほら、見えてきましたよ」


学園都市の丁度真上。

大きさは縦横共におよそ500mくらいだろうか。

巨大な、半透明の土塊の上に純白の建築物が立ち並ぶ。

いや、立ち並ぶというよりは、

『ちょっと許容オーバーしてるけど、それでも建てたいものがいっぱいあるから無理矢理にでも積み込んで、捩じ込んだ』

という感じ。

一角には白い樹海。一画にはビル群。シンデレラ城のような城やオリュンポス宮殿のような建物。

遠くにはバベルの塔、ドーム。隅には見覚えがある、『スクール』がかつてアジトにしていたマンションまである。

街では『垣根帝督』や『蟲』、異形生物があちこちを飛び交っている。

最早、それは一つの"国"だった。


今まで誰も気づかなかったのは、特殊な物質が光学迷彩機能でも持っていたからか。



心理「……すごい――」

白垣根「! そうでしょうそうでしょう?何せ――」エヘン!


心理「――趣味が悪いわ」

白垣根「」ガクッ

心理「ゴテゴテしすぎよ。」フフ


まぁ、でも。


心理「――確かに、元々メルヘンチックな人だったけど。」クスクス


ここまで来ると、思わず呆れて笑ってしまう。


心理「…でも、きれいね。あの人の心情風景を形にしたら、こんな風なのかしら?」フフ

白垣根「少しは気に入っていただけましたか?」ニコッ

心理「べつに?」ニコッ

白垣根「あ、あはは…」ニガワライ

白垣根「では、バスの停留所に行きましょうか」バサバサ

心理「…直接飛んでいってはいけないのかしら?」




~バスの停留所~


白垣根「えーと…よかった。もうすぐ来ますよ」

心理「交通機関がある事にビックリだわ。これもあの人が生んだの?」

白垣根「ええ。『垣根帝督』が生みました」ニコッ

心理「…信じられないわ。どう考えても個人の能力でできる範囲を越えてるもの」

白垣根「では、私や目の前の光景は全てマヤカシだと?」ニコッ

心理「そういう事にできるなら、そう思いたいわね」

白垣根「これは手厳しいですね」クックッ

心理「…あの人の顔でそういう仕草をされると気持ち悪いわ」プイ

白垣根「困りましたね、私もこれ以上姿は変えられないのですが」


ダダダダ…


白垣根「あ、バスが来ましたね」




心理「ね、猫バ○……」

猫○ス「なーお!」

白垣根「さ、手を」スッ

心理「はいはい。」パシ





ダダダダ…


心理「いや確かに、『一度は猫○スに乗ってみたい』なんて考えた事もあったわ?」

白垣根「おや、そうなんですか。夢が叶ってよかったですね!」ニコッ


心理「…獣臭いわ」

白垣根「猫バ○ですから」ニコッ

心理「天井が内蔵っぽいんだけど…」ウネウネシテル

白垣根「○バスですから」ニコッ

心理「…座席の中で心臓が鼓動してるのがわかるんだけど」ドクンドクンキコエル

白垣根「生きていますから」ニコッ



\なおーん!ダダダダダダダダ……/







アナウンス『なななーお、うにゃーお』


白垣根「おや、もうすぐ着くようですね」

心理「今のでわかるの?」

白垣根「ええ。貴女が言いたい事を理解するのと同じ事ですよ」

心理「私はそんなにわけのわからない言葉を話してるつもりはないのだけど?」ムスッ

白垣根「いえ、そういうわけではないのですよ。」フフ

白垣根「『生き物』として備えてる機能を使えば、どんな相手でも言いたい事はなんとなくわかる…と言いたかったんです。」

心理「何それ」

白垣根「ほら、『相手の気持ちを推察する』ですよ」ニコッ

心理「…全くわからないわ。説明になってないし。」ハァ

白垣根「こういう手合いのものは考えてはいけません。感覚的に理解し、感じとるものですよ」ニコッ

白垣根「『考えるな、感じろ』です」ニコッ

心理「なんだか私、新手の宗教団体に拉致された気分よ」ハァ

白垣根「あながち、間違ってはいないのかもしれません」クスクス


\なおーん ダダダダ…/






白垣根「さぁ、あのお城ですよ」

心理「さしづめ、湖に浮かぶ、昼のドラキュラ城…と言ったとこかしら?」

白垣根「ドラキュラ伯爵は住んでいませんけどね」クスクス

白垣根「では、ボートへどうぞ」







ぎぃっこ。ぎぃっこ。




心理「……ねぇ、やっぱりあなたが飛んだ方が早いんじゃないかしら?非効率よ」

白垣根「とんでもない。確かにそうですが、無粋ですし、ナンセンスです。」

心理「私は合理的な方がいいわ」ブスー

白垣根「いえ。合理的、効率性が高いものが全てではないはずですよ。」

心理「…そうかしら?仕事能率が下がってメリットがあるなんて思えないわ」

白垣根「いえいえ。そもそも損得勘定で物事を考える…そんなのはいけません。だって、ロマンがないじゃないですか」

心理「はぁ、"ロマン"ねぇ?前にあの人が語ってくれた『漢の浪漫』については右から左に射出したけれど。」

白垣根「勿体ない。それは高級ステーキを食べずに捨ててしまうのと同じですよ」

心理「そうかしら」

白垣根「そうですよ」




ぎぃっこ、ぎぃっこ。







ギィイイ――……


白垣根「さぁ着きましたよ。長旅お疲れさまです」

心理「ふぅ。ようやくついたのね。私の部屋はどこ?休みたいわ」

白垣根「こちらですよ」


てくてく。


心理「…広いわね」テクテク

白垣根「ええ。ですが、もうすぐ着きますよ」スタスタ

心理「こんな広いお城一つ建てるだけでも大変だったんじゃないかしら」テクテク

白垣根「いえ、何十人もの『垣根帝督』が一斉に作り上げましたから。精々5時間かかったか否かくらいですね」テクテク

心理「あの人にそんな演算力あったかしら」テクテク

白垣根「いえ?『底上げ』をしてるだけですよ」テクテク

心理「『底上げ』?」テクテク

白垣根「ああ、丁度いいですし、少し寄り道しましょうか」スタスタ

心理「……私は早く休みたいのだけど」テクテク








白垣根「ここですよ」

"Computer_room"

心理「コンピューター、ルーム?」

ガチャ…


白垣根「これが、今の『垣根帝督』の力の源です」

心理「?!これって……まさか」

白垣根「ええ。」



白垣根「『樹形図の設計者《ツリー・ダイアグラム》』…そのレプリカです」




樹形図の設計者「………」

心理「で、でも!『樹形図の設計者』は壊れたはずでしょう?」

白垣根「ええ。」

白垣根「"人工衛星『おりひめ1号』に入れられていた『樹形図の設計者』は、七月二十八日、正体不明の高熱源体がおりひめ1号を直撃し大破。"」

白垣根「その『残骸《レムナント》』も完膚なきまでに破壊されました。」

白垣根「世界最高のスーパーコンピューターは半永久に失われた、と言っても過言ではないでしょうね」

心理「じゃあ、どうやって…?」

白垣根「――"残留思念"というのをご存じですか?」

心理「オカルトの?」

白垣根「そうですね。一般、広義の意味としての"残留思念"です」

白垣根「実は、『垣根帝督』は『未元物質』の実験をしてる内に一つの能力に気づきました。」

白垣根「それは、『"何かが喪われた場所"であれば、その遺した痕跡から喪われたモノを復元することができる能力』です。」

白垣根「理屈としては…その場所にある物質の表面についた細かい凹凸を未元物質でなぞって、"喪われたモノ"の情報を取得、獲得、集積し、復元する。ですね」

心理「それ、何でもいいの?というか、樹形図の設計者は宇宙にあったのよ?どうやって……」

白垣根「前者に対してはイエスですね。当時実験したのは、"とある実験で喪われた少女達"でしたが…」

白垣根「見事に同じモノを造れました。そして、衣服類等の無機物もです。つまり、何でもです」

白垣根「後者についてですが…"エンデュミオン"を使いました。」

心理「あの宇宙エレベーター?」

白垣根「そうです。あそこから宇宙へ行き、『樹形図の設計者』の情報を集めたんです。頻繁に使われていたからか、残っていた残留思念は豊富でしたし、本物の欠片もありました。」

白垣根「必要なのは演算部だけでしたし、何とかなりました。そして、それを500台程復元したんです。これはその内の一機ですよ」


樹形図の設計者「……」


心理「…すごいわね、としか言えないわ」

白垣根「ふふ。では、貴女もお疲れのようですし、部屋に行きましょうか」スタスタ

心理「やっとね」テクテク



樹形図の設計者『………』



~その頃のウートガルザロキ~



~イギリス、服屋~


ベイロープ「ねぇねぇ!この服、私に似合うかしら?」

ウート「うーん。ん。ん。ん。ベルちゃんはー、寒色系より暖色系がいいんじゃね?これとかどうよ?これに細めベルトでさ…こーいう感じでー」クルクルッ

ベイロープ「へぇ!なるほどなるほど。ウートくん、中々にセンスあるわね!」ニコッ

ウート「えーマジー?じゃーベルちゃん専属コーディネーターなっちゃおっかなー?」ダキヨセ

ベイロープ「やだもー////じゃあ、お願いしちゃおっかなー?/////」テレテレ

ウート(――はっ!しまった!ついいつものテンションで口説こうとしちまった!やべぇ、ベルちゃんを落とすつもりはなかったのに!)

ベイロープ「ふふ…///」ギュ

ウート(っべー…これ完全に俺に惚れてね?しまったー…マジミスったぁああ!)ウオオ

ベイロープ「ねぇ、今度はウートくんの服もみよう?(甘え声)」クイクイ

ウート「お、おう!(上擦り)」

ウート(かと言って、機嫌を損ねられて『知の角杯《ギャッラルホルン》』を渡してもらえなかったら困るしなー…)ウムム…

ウート(仕方ねぇ、『え?あー、ゴメン!実は俺、彼女いるから……作戦』しかねぇか…)

ウート(……『私と付き合ってくれなきゃ渡さない』とか言われたらどうしよう)

ベイロープ「あ!ねぇウートくん!この辺の奴とか似合いそうじゃないかしら?///」ニコッ

ウート(あーもー、普通に付き合っちゃおっかなー?ベルちゃん可愛いしぃ、スタイルいいしぃー)ウン

ウート「えー、マジでー?」ヘラヘラ


投下終了。以下オマケ。

もう2、3回くらいで未元物質編終わらせられたら、と。

そして気づけばもう残レス数ない。>>1000ってこんなに少なかったのか…

後一回投下したら小ネタで埋めるか、ウートガルザロキとトールの(他キャラも可)参加型ラジオでもやろうかと思ってたり。


~とある豪華客船、会議室~

オティヌス(E:セーラー服)「いいか、今日は魔術畑の我々にベルシが『科学』について教えてくれる。これから科学とも戦うんだ、全員知っておけ。」

ヨルムンガンド(E:学ラン)「ああ、わかったよ」

シギン(先生まだかな)←ブレザー

フェンリル(E:ブレザー)「はいよー」

ウート(E:ブレザー、前開けシャツ出し)「そういやーよ、世界26ヵ国で性行為の回数を調査したらさ、年間48回で日本が最下位だったんだってよ(2007年デュレックス社調べ)」

マリアン(E:セーラー服)「へーそうなの?」

トール(E:ブレザー着崩し)「へーマジで?そんなんだから日本人は少子化止めらんねーんだよ」

ミョルニル(E:無理矢理セーラー服)『…』ガタガタ

ヘル(話はわかったけど、何故日本の学生服着用が義務なの…)←ブレザー

ロキ「ほっほっほっ」←学ラン

ベルシ「…では授業を始める。」

マリアン「あ、ベルシ!私と日本の少子化防がないか!?」ガタッ

ベルシ「すまないが、授業を始めたら私語は慎んでくれ」

マリアン「」スカッ

ベルシ「今日は学園都市の科学について教える。前日に指定した教科書の12Pを開け。」

マリアン「はい!先生、私教科書忘れちゃったんですけど!先生の教科書を一緒に見たいなーなんて!」アキラメネェェ!

ベルシ「そうか、ミョルニルに見せてもらってくれ。ではこの3段落目を…トール、読んでみてくれ」

トール「へーい」ガタッ

マリアン「」スカッ





ベルシ「~であるからして、学園都市の能力者は確固たる"自分だけの現実"を持っていなければ能力強度は上がらないと言える。」

オティヌス「ふむふむ」カキカキ

トール「ふーん」ホジホジ

ミョルニル(板書したいけど字、書けねぇ…)

マリアン「はい!先生!」

ベルシ「なんだマリアン」

マリアン「先生は彼女いますか?!」

フェンリル(マリアンェ)

トール(お?この真面目すぎてつまんねー授業を楽しくしてくれるか?)

シギン(真面目に聞いてる人もいるんだから、やめてほしいんだけどな。マリアンちゃん)フゥ

ベルシ「いや居たことがないな。授業に関係ない事は質問しないように」

全員(((うっわ、つまんねぇ回答)))

マリアン「すみません先生!ちなみに私の隣、空いてますけど!」

ベルシ「確かに君の隣の席に座ってる者はいないが…」

マリアン「そうじゃなくて!」

ベルシ「君が話したい事は、この授業に関係ある事か?終わってからではダメなのか?」

マリアン「すみません…」

ベルシ「では授業を続ける」

ウート(正論だし、当たり前の対応なんだけどダメだコイツ本格的につまんねぇ)


キーンコーンカーンコーン♪

ベルシ「む、もう終わりか。では次までに今日の範囲を復習しておくように」

マリアン「先生!私と付き合ってください!」

ウートール((直球いった――――!))

ベルシ「………」に、にこっ……?

ウートール((そんで『はっきり言わないけど、察して?』な笑顔出た――――――!!))

マリアン「オッケーですか!?やった――――!」

ベルシ「?!」

ウート(マリアン違げぇそれ「喜んで」じゃなくて「そんなこと言われましても…」だから!)

トール(つか、ベルシもちゃんと断らないのが悪いよな。受け入れるつもりがないのに、期待させるだけさせとくのが一番タチ悪いわ)

ベルシ「すまん、そうじゃないんだ。おっと、次の授業の準備をしなくちゃいかんでは私はこれで」ソソクサ

マリアン「先生!待って!私もお手伝いするよ!」ダダダダ



ミョルニル『やれやれ、マリアンも早く諦めたらいいのに』ガタガタ

トール「まぁーったくだ」ヤレヤレ

フェンリル「マリアンはベルシの事になると残念さんだからなー」ケラケラ

ウート「ま、いーんじゃね?例え望み薄でも。拳を下げて諦めちまうのも、拳を上げて戦い続けんのも本人の自由だろ?」ヘラヘラ


オティヌス「では、真面目に聞いてなかった貴様らに拳を上げるのも私の自由か」ゴキゴキ

「「「「「((((;゜Д゜)))」」」」」

ガン☆


~『グレムリン』採用試験会場~

ザワザワ

オティヌス「集まったようだな」コツコツコツ…

オティヌス「私が『グレムリン』のリーダー、"魔神"オティヌスだ。敬え崇め奉れ!」バサァッ!

((((何あれ痴女?))))

オティヌス「ふむ…」キュイイーン…

オティヌス「よし、今私を見て痴女と思ったそこのお前とお前とお前とお前、不採用!帰れ!」ビシッビシッビシッビシッ!

「「「「ええっ?!」」」」ガーン!

オティヌス「では、受験番号を呼ばれた者から入ってくるように」スタスタ


ウート「あっぶねー…」←『何あれお腹超綺麗』で回避した

シギン「まさか、初っぱなからあんな落とし方してくるなんてね。ビックリ、ビックリしちゃったよ」←他事考えてた

フェンリル「ヒューウ、なるほど。最後の、『敬え崇め奉れ』はそーゆー意味かよ?」←『わー肌めっちゃ綺麗だなー』で回避

トール「まさか強さとか能力を見てこねーとはなー…」←『なるほど、アレが"魔神"の術式衣装か。戦いてぇ』で回避





オティヌス「それでは質問する。貴様らが『グレムリン』の役に立てると思う能力を実演してみせろ」


ウート「おらよ!」キン!キン!←精巧な"巨神"の幻覚見せた

シギン「マントをあまり翻さないだけでも随分違うよ」←なるべく痴女に見えないようにする『助言』

フェンリル「『中切歯』、『側切歯』、『犬歯』"解放"」バキバキバキ…←術式使用

トール「こんなもんでどうよ?」ボワッ←全能ver.

オティヌス「ふむ、よくわかった。そこの女、Welcome to Gremlin.これからは"シギン"と名乗れ」

シギン「あ、はい。ありがとうございます。」

オティヌス「…さて、貴様らにはガッカリだ。他には何かないのか?」フゥ、ヤレヤレ

「「「?!」」」

ウート「せい!」キン!キン!←オティヌスを見た人が『ちゃんと服きてる!』って思う幻覚見せた

フェンリル「『中切歯』、『側切歯』"解放"!」←"溝"でオティヌスの肌を隠した

トール「これでどうだ?」←全能ぱぅあーでオティヌスの身体を稲光で照らして見えないようにした


オティヌス「ふむ、訂正しよう。貴様らは有能だったようだ。Welcome to Gremlin.合格だ」フフフ…

ウートフェンリルトール「「「…………」」」


「なんか、腑に落ちなかった。」(合格者談)

オマケ終わり。

やっほう。投下に来たよ第一位。



このSSのコンセプトは『たぶん誰もやった事がない事をやる(ネタやら何やら含む)』






カタカタ…カタカタ…

ベイロープ「! ゴメン、ウートくん!ちょっと通信霊装が…」 人

ウート「あ、いーよいーよ。気にしないでー。俺、そこのベンチで待ってるわ」

ベイロープ「うん、ありがと!すぐに戻ってくるから!ゴメンね!」タタタ…



ウート「ふーっ」ドッコイショ

ウート「うーん。やっぱベルちゃん、かーいいよなー。いい娘っぽいし」ウンウン

ウート「………」

ウート(でも、じゃあ『好き』なのか?と聞かれたら…NOなんだよな…)

ウート(つーか、会ったばっかだし?ま、合コンとかなら会ったばっかでもすぐ好きになれるんだけどーなっと。)


神裂「すみませんステイル、少し…そのお花を摘みに」

ステイル「…早くね。僕はそこのベンチで一服してるよ」

神裂「すみません」タタタ…


ウート「…」


ステイル「すまない、隣に座るよ」

ウート「どーぞ。」

ステイル「ふー…」スパー



ウート「……」

ステイル「……」フー…

ウート「……」

ステイル「……」ハー…



ウート「…なぁ、神父さんよ」

ステイル「なんだい?」

ウート「さっきのポニーの美人さん、カノジョ?」σ

ステイル「まさか。同僚だよ」スパー

ウート「ふーん。」

ステイル「それに、僕にはもう一生かけて守りたい人がいる。
     仮に彼女に告白されたとしてもそういう関係にはなりたくないね」スパー…

ウート「そーりゃ、羨ましいこって。」


ウート「……」

ステイル「……」スパー…




ウート「なぁ、神父さんよ」

ステイル「…なんだい?」

ウート「ちぃっとばかし、悩みを聞いてくれんかね?」

ステイル「…言ってみなよ。」スパー…

ウート「あんたさぁ、女子から告られた事ある?」

ステイル「いや?ないね。」

ウート「ふぅん。俺はそこそこあるんだけどさ?」

ステイル「…生憎、悩みや懺悔は聞いても自慢を聞く気はないよチッ」スパー…

ウート「いや違う違う。ちゃんと悩み相談っつーか、懺悔っつーかだって」

ステイル「…ハァ。それで?」

ウート「あんがと。」

ウート「さっきも言ったけどさ、その…俺けっこーモテるんだわ。
    たぶん、背も顔もスタイルもそれなりにいい方だし、魔術師としても有能だからってのもある」

ステイル「それは間違いなく君の勘違いだよ。妄想だ。
     そんなモテ男があのツンツン頭以外にいてたまるか」カーッペッ!

ウート「いや知らんけど…まぁ、一応『好き』って言われんのよ」

ウート「自分は普通に友人として接していたつもりだったのに、向こうはそう取ってなかった…って事が多くてさ」

ウート「好きだけど、別に特別好きってわけではない娘に惚れられて。告られんだけど」

ステイル「……」

ウート「俺、基本断らねぇんだよ。」

ウート「『断って、この子が泣くのはどうしても耐えられねぇ』ってなっちゃって。」


ウート「二股とかはしなかったけど、別れたらすぐまた違う娘に告られて付き合う…とかはあった。」

ステイル「なんだ。結局好きじゃないのがバレて別れてるんじゃないか。
     君、学習しないの?」スパー

ウート「いや別れる理由も十人十色なんだぜ?
    それに、『好きじゃないんでしょ』『気持ちが通じあってなかったから』なんて理由は言われなかったし」

ステイル「どんな理由を言われたかは知らないけれど、根底にあるのはそれだと思うよ。
     君自身の気持ちが伴わないのに交際が長続きするわけないだろ。当然の帰結さ」スパー…

ステイル「"愛してる"は伝わりにくいけど、"愛してない"は伝わりやすいものだよ」


ウート「……ひょっとして、経験者?」

ステイル「…似たようなものだよ。」スパー…

ステイル(僕の気持ちは彼女には伝わらないし、彼女が僕を愛していないのはすぐわかったしね)スパー…

ウート「って、話の腰折らないでくれよ。本題まだなんだよ」

ステイル(ちっ)

ウート「んで、そーいうのが嫌になってさ。」

ウート「最後に告られた時、初めて断ったんだ。」

ステイル「…」フー…

ウート「俺、その娘には嘘をつきたくなくて。その娘とは本当に仲良かったから。」

ウート「その娘には真摯に、応えたくて。」

ウート「『ゴメン。悪いけど、お前をそういう目で見れない』って断ったんだわ。」


ウート「そしたら、すっげー泣かれたのよ。」

ウート「『お前だけは、私の事を理解(わか)ってくれるって思ってたのにっ!』って」

ウート「…それから、その娘は変わっちまって。……もう、暫く会ってない。」

ステイル「ふぅん。」スパー

ウート「んで、本題なんだけど。なんか、今日初めて会った娘に惚れられたみたいでさ…」

ステイル「それは…なんというか。その子もその子だね。普通ないよ」アキレ

ウート「付き合おうかとも考えたけど、やっぱ俺も初見でってのは無理だから、断ろうって考えてるんだけども。」

ウート「やっぱ、あの時の事考えると二の足踏んじまうっていうか。トラウマっつーか。」

ステイル「……」スパー……

ウート「もう、また別れる結果になってもいいから。今度こそ、嘘を突き通してみせるからって思っちまう」

ステイル「…僕から言えるのは一つだけだね」

ウート「…」



ステイル「その生き方や考えを否定するわけではないけれど…
、    もしそれを選んだら。」

ステイル「きっと、どんな経過を辿ろうと。
     君自身が幸せになる事は決してないと思うよ」

ウート「………」

ステイル「だってそうだろう?もし仮に嘘をつき通せても君は不幸だし、」

ステイル「嘘がバレたら皆が不幸だ。」

ウート「……」

ステイル「たぶん、また君の付き合ってきた彼女達と同じ事になるだけだよ」

ウート「…それでも。俺の幸せなんて、どーでもいいから。
    一時的でも『皆幸せでいてほしい』って願うのはそんなにダメかね」

ステイル「…本当にそれで、真実皆が幸せになるのならその答えだって正しいさ。」

ステイル「ならないと思うけどね」

ウート「うーん」

ステイル「ま。そこまで決意が固いなら僕にできる事はもうないよ。
     いや、どうしようもできないと言うべきか」

神裂「…」スタスタ

ステイル「…丁度、神裂が帰ってきたようだ。僕はいくよ」ヨイショット

ウート「わり。聞いてくれてありがとな」フリフリ。

ステイル「まったく、14才にする相談じゃないだろうに」スタスタ…

ウート「」


ウート「……マジかよ」






ベイロープ「ゴメン!レッサーがしつこくって!」タタタタタ

ウート「おー、大丈夫大丈夫。」

ウート「じゃ。次はどこいこっか?」ニコッ

ベイロープ「えっと。///じゃーあー、じゃあね?さっき見つけたんだけど―――」






ステイル「やぁ、神裂。随分長かったがそんなに溜まっていたのかい?」スタスタ

神裂「ぶち殺しますよ?そんなわけないでしょう」スタスタ

ステイル「あの軽薄男の悩みを僕に話させてやるために出てこなかったんだろ?」スタスタ

神裂「ええ。彼の悩みは解決しましたか?」スタスタ

ステイル「さぁ?僕なりにアドバイスはしたけど。」スタスタ

神裂「さぁ、って…ステイル。それは少し無責任では?」ハァ

ステイル「彼だって子供じゃないだろ。それに、僕は完全解決するまでなんて面倒見きれないね」スパー…

神裂「ハァ」ヤレヤレ

ステイル「まぁ…あの悩みの根幹は、彼の生き方そのものにあったと思うよ。」

ステイル「悩みを解決したかったら、彼自身が生き方を変えなければならない。」

ステイル「だが、魔術師というのは往々にして我が強い生き物だ。
     そう簡単に生き方を変えられるとは思わないな」スタスタ

神裂「…それ、解決しない問題だから適当に答えて逃げたってことじゃないですか」ハァ


ステイル「うっさい。解決しそうもない問題から逃げて何が悪いんだ」ぷいっ

神裂「ふふ。あなた、たまーに14才相応になりますね」クス





~VS・上条当麻~


黒垣根(天使)「あー、暇。」

上条(考えろ、どうやったら脱出できるんだ?)

上条(いっそ、骨が折れるの前提で飛び降りて…)

黒垣根(天使)「お前さー」

上条「ふぇ?!何?!」ドッキーン

黒垣根(天使)「もし仮にこっから出られたとしたらよ、どうするわけ?」

上条「そりゃ、この町中の白いやつを消して回ったり、狙われてるっていう俺の友達を助けに行くよ」

黒垣根(天使)「ほーん。」

黒垣根(天使)「なんで?」

上条「なんでって…友達を助けたいって思うのは当たり前だろ?」

黒垣根(天使)「全くわからん。」ウーム

上条「なんでだよ」

黒垣根(天使)「あー、ほら。俺友達居たことねぇからだな」ウン

上条「…」ブワッ

黒垣根(天使)「あんだよ、人間関係なんて面倒なだけじゃねぇか。」

上条「その面倒臭さが心地いいもんなんだよ」

黒垣根(天使)「よくわかんねぇな。利害関係、メリットデメリットを考えねぇのかよ」

黒垣根(天使)「大体、暗部でそれは致命的だぜ」

上条「お前、暗部のやつなのか?」

黒垣根(天使)「今は違うけどな。」

黒垣根(天使)(厳密にはまだそうなのかも知れねぇが)

上条「……だったらさ、俺と友達にならないか?」

黒垣根(天使)「……ハァ?」

上条「いや、だってさ、もう暗部じゃないんだろ?だったらいいじゃないか。」

黒垣根(天使)「『だからここから出せ』ってか?お断りだ」

上条「そうじゃない。…いや出してもらえたら嬉しいけどさ」

黒垣根(天使)「哀れんで、ならお断りだ。」

上条「違う!ただ、俺も友達が一人も居ないって時があったんだよ」

黒垣根(天使)「…ふーん」

上条「だから、気持ちがわかるっていうか…」



黒垣根(天使)「………」

上条「お前がイヤって言うなら、いいんだけどさ」

黒垣根(天使)「………」

黒垣根(天使)「………………」

上条(ダメか。あーくそ。どうやって降りれば…)

黒垣根(天使)「本当に、俺と友達になってくれるのか」

上条「! ああ!」

黒垣根(天使)「わかった。出してやる」ガチャ

上条「垣根…」

黒垣根(天使)「おっと、右手で俺に触れるなよ?消えちまうからな」

上条「でも、本当にいいのか?俺を出して…」

黒垣根(天使)「ああ。よく考えたら俺がアイツに従う必要はなかったし。」

黒垣根(天使)「俺は、俺がやりたいようにやる。お前を手伝ってやるよ、上条」ニヤリ
上条「…サンキュな!」




~そしてシギンは~


荷物「……」

シギン(ううん。このあやしー荷物、どうしよ。)ウデクミ

シギン(私には全く関係ないことだし。放っておいてもいいんだけど)

シギン("サンドリヨン"って名前がどうも引っ掛かる。引っ掛かってるんだよね。)うーむ

シギン(確か…元グレムリンの臨時雇用の人。キラウェア火山、ハワイの時のパートタイムの人だったよね。)ウン

シギン(直接会ったわけじゃないけど、なんちゃらブルーシェイクの監視カメラで見てた限りでは)

シギン「無駄にプライド高かくて上から目線だった。だったよね」ウン

荷物「……」イラッ

シギン(もし、そのプライドが無駄に高いサンドリヨンが『利用されたから』と、
    私達元グレムリン《ウートガルザロキとわたし》に復讐(笑)をしようとしてたら…?)

シギン(送られる場所を見る限り、物理的には『叶え屋』に直接攻撃できないけど…)

シギン("準備"のためとか、その場所で狙撃できる魔術が使えたりしたら)

シギン「……処分しちゃった方がいい。いいよね!」ウン

荷物「?!」

シギン「よし、持っていこ」ヨイショヨイショ







~叶え屋~



シギン「ただいまー」バタン

天井「ZZZ…」

シギン(天井くんは寝てる…か。)

荷物「……」

シギン「…開けてみたくなる」ジー

シギン「…………」ジー

シギン「……ちょっとだけ…」

シギン「開けるだけ。開けるだけだから。何か危ないものだったらアレだから」ぱかっ

シギン「?なーんだ。普通の医療用リハビリ調理具材だったんだ」

シギン「……じゃあ、魔力を感じたのは私の勘違い?悪いことしちゃったな」ションボリ

シギン「そうだ。毒を食らわば皿まで。どうせだから作って天井くんに食べさせてあげよう」ポン

荷物(おいマジか)

シギン「ウートガルザロキは私を置いてっちゃったから食べられないけどね。ふーんだ。」


シギン「えーと…濃度0.9%の食塩水を用意、箱詰めにされてる器具は一度煮沸消毒……
    めんどくさいから、これはパスしよう。」ポーイ

荷物(?!)








シギン「……なにこれ」

料理?「……」プカー

シギン「…私、何かはわからないけど、いちおー『料理』を作っていたつもりだったんだけどな」ツンツン。

シギン「……えーと……人体模型?」

人体模型?「」ピカー!


ザバァア!


人体模型?「―ッハァ――――――!!!!ふー……はーっ。
      い、一時はどうなるかと…勝手に持ち去られるわ消毒しないわ指示通りに作らないわ……
  ちゃんと"組み立てられた"のが奇跡すぎる!」

シギン「おおー…人間になった…知らなかった、知らなかったよ。最近の料理って人間になるんだね」

?「なわけあるか!というか、作られている間ずーっと思ってたが、お前は料理をしたことがないのか?!
  色んな事が雑すぎる!」

シギン「(・ω<)テヘペロ☆」


?「~~っ、もういい!それより、タオルくれないかしら?」

シギン「?」クビカシゲ

?「タ・オ・ル!タオルケットをくれないか?って聞いてるのだけど?」イライラ

シギン「んー……あ!」

?「やっと通じたかしら?」

シギン「これフランス語だ。私フランス語はわからない。わからないんだよね」

?「そっから!?ああもう!」

シギン「なーんてぇー。本当はわかるよ~」にへー←フランス語

?「じゃあ早くタオルちょうだい?寒いのよ!」イライライライライライライライライライラ

シギン「名前わかんないし、タオルタオル言ってて可愛いから"タオルちゃん"って呼んでもいい?」

?「絶 対、ダメ。私は、"サンドリヨン"だ。地獄に落ちても忘れるな」ビキビキ

シギン(…あー、やっぱり?うわー…まさかご本人だとは…どーしよ)ウーム

サンドリヨン「…だっから!早くタ・オ・ルゥゥウ!!!タオルよこしなさいよぉぉ!?」ブルブル






※こっからのシギンさんとサンドリヨンさんの会話は全てフランス語だと思えですの


サンドリヨン「へっくち!」クシュン!

シギン「風邪?」

サンドリヨン「ええ。あなたのせいでね」ズズッ

シギン「さっきから素っ裸だけど、服ないの?よかったら私の貸すけど」

サンドリヨン「そうね、お願い。後、もうひとつ仕事を頼みたい」

シギン「なぁに?」

サンドリヨン「箱の中に設計図と型紙があるでしょ?、それで私の"ドレス"を作ってちょうだい。」

シギン「えー」メンドクセッ

サンドリヨン「お願い。早くして(上から目線)」プイッ

シギン(うーん…なんだか色々な意味でタコ殴りしといた方がいい気がしてきた…)

サンドリヨン「……さむいわ」プルッ

シギン「じゃあ、少し待っててね」タッタッ


シギン(…でも、なんだか見捨てたらダメな気がする。
    後で戦わなきゃいけなくなるかもしれないけど、それでも。)

シギン(やることがなくなってしまって、脱け殻状態の…少し前の私みたいで。)






シギン「できたよー」つ

サンドリヨン「感謝するわ」パシッ

シギン「多分、上手く作れたと思う。思うよ」ふふーん

サンドリヨン「んー…まぁまぁね。」モゾモゾ

シギン(私そろそろ怒っていいかな)

シギン「…サンドリヨンちゃんはこれからどうするの?」

サンドリヨン「助けてくれたし、特別に教えよう。私はこれから、復讐のために動く。」

シギン「誰に?」

サンドリヨン「『グレムリン』のマリアン=スリンゲナイヤー…と言ってもわからないだろうけど、そいつにだ。"借り"がある」

シギン(いえめっちゃ知ってます)

サンドリヨン「奴の居場所を知ってそうな『グレムリン』の正規メンバーにコンタクトをとらなければならないが…」

サンドリヨン「偶然会う機会というのはまずないだろう」ウン

シギン(いえ、目の前にいます。いやマリアンちゃんの居場所は知んないけど)

サンドリヨン「だから、手掛かりを持ってそうな…ハワイでやりあった科学sideのあいつらに接触することにする」

シギン「へー。あいつらって?」

サンドリヨン「あれから調べあげた。名前は、上条当麻、御坂美琴、浜面仕上、黒夜海鳥、一方通行だ。
       ちなみに、これらの名前に聞き覚えは?」

シギン(…なんだか、荷物発見当初に心配してたことより深刻じゃないや。
    教えてあげちゃっても大丈夫みたい。)

シギン「んー、上条当麻と御坂美琴は聞いた事あるよ」

サンドリヨン「よかった。ではどちらかへの案内を頼む」

シギン「じゃあ、御坂ちゃんがきそうな場所に案内しよう」






シギン「――で、あそこに『ゲコ太専門店』と、上条当麻がよく通る道があるんだけど。
    御坂ちゃんそこによく行くんだって。前に叶え屋に来た時言ってた」

サンドリヨン「ほう。随分都合がいい場所もあったものだ」


\ドパーン!!/


シギン「何あれ…牛乳の噴水?」

サンドリヨン「この街に住んでるお前も知らないのか?」

シギン「うん。」コクリ

サンドリヨン「…なら、"異常事態"と見るべきだな。私につかまれ。」

シギン「? うん。」ギュ。



サンドリヨン『感謝をしますお婆さん』♪


サンドリヨン『王子様との素敵なダンスの時間をありがとう。♪

       キラキラ輝くドレスにガラスの靴。♪

       素敵なお召し物が弱気な私を後押ししてくださいます。♪

       優美で完璧なる一夜の姫に♪』

サンドリヨンの清らかな歌声による詠唱。

その直後、サンドリヨンのハイヒールの踵が電動ミシンのような音を立て始める。

カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ!!!!

「しっかりつかまっていて。」

ドォン!と破裂音が鳴り。

サンドリヨンは猛スピードで駆け出した。


「きゃ?!」

「うわっ?!」

「んなっ?!」

「ピガガ?!」


人や車、清掃用ロボットを軽やかに避け、飛び越え、追い抜き、股抜けして。

疾風のごとく疾走していく。

「サンドリヨンちゃん!右から!」

「! ありがと!」

背後から迫った『未元物質』を半回転捻りでよけ。

「サンドリヨンちゃん!貴女の足なら壁も公共物も足場に使えるはず!
 それらを使えばより効率的に逃げられるよ!と、『助言』しよう!」

「! 了解!」

ダンッ!歩道を踏み抜く勢いで足を叩きつけ。

オフィスビルの3階付近へ跳躍する。

「はっしっれー!サンドリヨンちゃん!」

「言われずともっ!」

カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ!!!

重力?何それ美味しいの?と言わんばかりに、サンドリヨンはオフィスビルの壁を爆走していく。

「! サンドリヨンちゃん!右舷3時の方向!」

「把握っ!」

ズダン!壁を蹴り、『未元物質』の触手から離脱。

「っしょっと!」

信号機の上へ着地。


からの

「ラ♪ラ♪ラー♪」

追加詠唱を組み込んで跳躍力を伸ばし、信号機や街路樹を飛び石代わりに跳んでいく。

全速力で逃げる事数分。街を浸食していく"白い何か"からようやく離れ始めていく。

「すごい。どんどん引き離していくよ!」

「フン、当たり前よ。舞踏会の灰被り《サンドリヨン》は完璧なのだから」



(結果として、サンドリヨンちゃんを助けてよかったかも。
 アレが何かはわからないけど、ウートガルザロキもいない今、天井くんと私だけじゃ飲まれて終わりだっただろうし…って)


(天 井 く ん 忘 れ て た ! ! !)


「も!戻って!戻って戻ってサンドリヨンちゃん!!一人大事な人を連れてくるの忘れてたの!ねぇ?!」

「無茶を言うな!あの白濁液の中に突っ込んでけと言うのか?!」

いくら完全無欠を誇る灰被り《サンドリヨン》術式でも、正体不明のモノに触れて無事に済むかどうかはわからない。


「あま、木ィィィィ原くゥゥウゥゥウンン!!!」







~とあるビルの屋上~

サンドリヨン「ふぅ…なんとか、離れられた」

シギン「ゴメンね、あm、木原くん。心の中ではいっぱい、いっぱい"ゴメンなさい"したから許してね…?」ウルウル

サンドリヨン「…なんとか逃げ切れたが…ここも時間の問題か」


『未元物質』の浸食が進む街をサンドリヨンは睨み付けていた。



~VS・一方通行~



一方「いや、簡単な話だった」バキ

赤垣根「がっ…」バタ

一方「第一位のこの俺が。学園都市の頂点が、こンな雑魚に手間取るわけがなかったわ」ゲシ

一方「オマエらは打ち止めをどォにかする気がねェみてェだしな」バキ

青垣根「ひゃ?!」バタ

一方「そして、打ち止めがいねェなら、俺も全力でやれるってわけだ」ズガン!

緑垣根「ごっ!?がぁあああああ!!」

桃垣根「な?!止めなさい!一方通行!!打ち止めがどうなるかわからないわよ?!」

一方「やってみろ」

桃垣根「んな?!本当にやるわよ?!いいの?!」

一方「…は、もし、オマエらが本気で打ち止めを[ピーーー]か、損傷させるって事をやるンなら最初からやってるはずだろ。」

桃垣根「」ドキッ

一方「発火能力、水流操作、念動能力、電気使い、座標移動、水流操作(亜種)、空力使い……」バキャ!ゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴス

桃垣根「ごばっ?!いたっ?!ちょ、あふっぐはっ!?」バターン!

一方「そンだけ多様な能力持ってるンなら、普通に打ち止めを狙い撃ちできただろォが」ガン!

金垣根「ひ、が……」ドサッ

一方「なンでやンねェのか、さっぱりわからなかった。
   俺をいたぶりたいから打ち止めを人質にしたとしたって、それが成された今も何故か一斉にかかってこねェ」ドスッ!

銀垣根「が……は………」ドサッ

一方「そこで、『まさか、な?』『いやいや、そンなバカな』とは思いつつも…考えてみた」



一方「オマエら、第二位が定義する"戦隊ヒーロー"像に反する行為は原則できねェンじゃねェか?」

カキネンジャー'S「っ、」


一方「第二位はどォも、"戦隊ヒーロー"にこだわりがあるらしいからな。
   『多対一で戦闘をしない』とか、『人質を取るみたいな"ヒーローらしくない"卑劣な作戦行動はできない』とか。」

一方「それならそれで、"カキネンジャー"を俺に宛がうべきじゃァなかったな。間抜け過ぎるミスだ」

「何をするつもりかさっぱりわからねェが…
 俺を殺りてェなら、さっきの"槍"か、『未元物質』が実装されてる分身で俺を消耗させ続けるべきだった」

一方通行のチョーカーの電池残量がゼロになるまで。

(と、いうのは誰でもすぐにわかる事なンだが。)

一方通行は思案する。

(なァンで、それを敢えて実行した?そンな事もわからねェほど頭悪い奴じゃなかったと思うンだが)

(打ち止めを転送した先で別の奴がぐちゃぐちゃにして、それを敗北した俺に見せたい?
 いやァ、それなら尚更分身で肉壁を作るか、さっきみてェに電波障害壁→捕まえてスイッチ切る→拘束の方がいい)

(……遊んでいるだけ?『未元物質』の実験をやっている?俺の戦闘データをとっている?)

それとも。

一方(あいつらに何か仕掛けがある…か?)

黄垣根「……」

一方(第二位がキモい笑いをしてやがるのが気に食わねェが…やるしかねェな)

黒垣根(マスター)「……」ニヤニヤ


一方「あとは、オマエだけだな」ブン!

黄垣根「がっ…」パキン!

一方「…あン?マスクが、割れて…?!」


番外個体(黄垣根)「痛ったいじゃん。酷い事するね、第一位。」ニヤリ


一方「オマ、エ」

黒垣根(マスター)「ハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

黒垣根(マスター個体)「おいおい!何驚いた顔してんだよ、第一位!」ニヤニヤ

黒垣根(マスター)「『"他人の脳も能力も"再現できるんじゃねぇかと気づいた』っつったろ?」

黒垣根(マスター)「つまりは、チューンナップされてるとはいえコピー元…本人を再現してるに決まってんじゃねぇか」ニヤニヤ

黒垣根(マスター)「本当は気づかず殺っちまった後に気づくってのが一番よかったんだがな?」ケケケ


黒垣根(マスター)「なぁ?テメェは"妹達"が大事なんだよなぁ?」ニタニタ

黒垣根(マスター)「しかもそいつは一緒に暮らしている"妹達"だ!!」ヒャハハハ!

黒垣根(マスター)「はは……、テメェは、その大事な大事な番外個体《シスターズ》を倒せんのか?」ニヤニヤ




一方「……えっ?」ゴスゴスゴスゴス!

番外(黄垣根)「」ボッコボコ


黒垣根(マスター)「 」




黒垣根(マスター)「えぇー…」

黒垣根(マスター)「いや、待とう?ちょ、待てよ。さすがにさぁ、マズイと思うんだよね、俺」


一方「おら」バキャ

番外「ごへっ?!」

黒垣根(マスター)「追撃?!ちょ、待って待って。俺ちょっとついてけてないから。お願いちょっと待って一瞬待って。」フルフル

一方「爆☆砕!!」ズガン!!

黄垣根「あf」パーン!

黒垣根(マスター)「垣根イエローぉぉぉぉおお!!!!」ウワァァア!!

黒垣根(マスター)「テメェェェ!!!ふざけんなぁぁああああ!!!"妹達"には手をあげないんじゃなかったのかよぉお!!悪党止めたんじゃなかったのかよ!!見損なったぞ!!」

。一方「あ?こいつは『俺が守るって決めてるアイツ』本人じゃねェだろォが?」キョトン?

黒垣根(マスター)「それでも!普通!!攻撃できねぇだろ!!!」

一方「いやそンなもン俺が決めるし…」ンナコトイワレテモナァ?

黒垣根(マスター)「クソが…なら、テメェが実際殺った本人ならどうだ?!」パチン!


モニョモニョモニョモニョ……


妹達'S(未元物質)『『『『実験を開始します。とミサカは銃を構えます』』』』ガチャ!

一方「?!」

黒垣根(マスター)「ハハハ!上手く作用したみてぇだな?
          "残留思念"って言葉があんだろ?そいつらはな、未元物質で読み取り、再現した、妹達の"最後の断末魔"だ!!
          さぁ、どうする?やっぱりさっきみてぇに殺っちまうのかよ?」ヒヒヒ


一方「そォだな」竜巻ドーン!

妹達'S『『『『ぐっはぁああああ?!と、ミサカは躊躇も遠慮もない攻撃に吹き飛ばされました!?』』』』

ズザザザザザザザザ!!!


黒垣根(マスター)「 」


黒垣根(マスター)「…クソっ!一万人ぶっ殺したりクソみてぇな発言しまくってきた奴はやっぱり本当にクズだなッッ!!」ダンッ!

黒垣根(マスター)「このド外道がぁあああ!!!」ビッシィ!

一方「っせーなァ」


黒垣根「俺と同じクズのくせに善人ぶりやがって!表の人間ぶりやがって!楽しくバイトなんかしやがって!」プンスコ!=3

一方「更正しよう、少しでも善性に近づこうと努力すンのがそンなに悪いか」

黒垣根(マスター)「は、悪いなんて言わねーよ?ただ、『やってる』って言うには足りてねーっつってんだよ!誠意も謝罪の意識もな!」

一方「ほォ。じゃあ聞いてやるけどよォ、オマエは俺はどうするべきだったと?どう生きるべきだったと?」

黒垣根「そんなもん、悪党貫くか、惨めったらしく泣いて謝り続けるとか…」

一方「ふゥン。なるほどな。でもよォ、」

一方「仮に俺がそォ生きたとして…死んだ妹達は満足するのか?」

黒垣根(マスター)「なんなら聞いてやるけど?」

一方「オマエが歪める可能性もあるし、そいつは本人じゃねェだろ」

一方「本人に謝ってくれって言われたならいくらでも謝る。額擦り付けて、涙流して土下座してやる。
   …けどよォ、謝る先は?」

一方「俺は何に謝ればいいンだ?墓か?空か?妄想にか?」

一方「悪いと思う事が大事?ずーっと申し訳ないって面してしゅんとなって生きていく事が大事か?」

一方「意味ねェだろそれ。」

一方「結局、何したって本人には届かねェだろォが。
   それで満足すンのは『最低だ!』って糾弾してくる部外者だけだろ」

黒垣根(マスター)「だったら何もしなくていいのか?」

一方「だったらオマエならどォすンだ。」

一方「オマエも散々『ムカつくから』『仕事だから』とぶっ殺してきたんだろ?」

一方「今少し更正したとして、そいつらにオマエはどォ贖罪すンだ?見せろ」

黒垣根(マスター)「見せてんだろ。殺ってきた責任と贖罪の意味で、俺は更正しねぇし、悪党《クズ》のまま生きてるんだよ」

一方「へ――それはまた迷惑な贖罪ですねェ?だから変わらず、また命を奪うンですねェ?バカですねェ?」

黒垣根(マスター)「……」

一方「まァ、お互い目糞鼻糞なンだ。そォ噛みつくなよ」

黒垣根(マスター)「…チッ」



一方「つゥかよォ。」

一方「統括理事長のメインプラン(笑)になって、何を直接交渉しよォとしたかは知らねェが…結局オマエがした事って…」

一方「俺に無様に負けて。」

黒垣根(マスター)「あう。」グサッ

一方「いいように使われる未元物質生産工場になって」

黒垣根(マスター)「ぐ。」グサッ。

一方「復活してきて何するかと思えば単なる俺への嫌がらせ」

黒垣根(マスター)「う」グサッグサッ

一方「街を覆ったり…こンだけ大がかりな事をやるンだ。
   多分、学園都市からの指示で何か仕事をするンだろ?
   ンで、理由もねェから俺への復讐は仕事内容にはなかったはずだ」

黒垣根(マスター)「う」

一方「オマエ、確か『メインプランになって学園都市を~』とか言ってたと思うンだが…
   あれれー?おっかしィぞォ?(コナ○調)何で逆に学園都市のために働いて…?」

黒垣根(マスター)「いや、それは、その、やむを得ずって、いうか……」ユビクルクル



一方「口に出す事すら面倒臭ェが、言ってやる。」


一方「オマエ、何がしたいの?(笑)」ハッ(見下し)

          (笑)
         の
        い
       た
      し
     が
    何
黒垣根(マスター)「ぐはッッッッ?!」
  エ
 マ




黒垣根(マスター)に10000のダメージ!▼


黒垣根(マスター)「違う、今の俺は、俺の可能性を知るために…」

一方「隙アリィィィィィィィィ!!!」ベクトルプァンチ!!

黒垣根(マスター)「ちょ」パァン!





黒/垣/根/(/マ/ス/タ/ー/)



一方(危なかった…バイトでコミュ力を鍛えてなければ、最初の仕掛けで終わっていた…!)フゥ!

一方「くっ、待ってろ打ち止め…!」ダッ



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


カブトムシ01『以上です』

黒垣根「…ま。あれは第一位のデータ取るためだけだったし…負けたとか、失敗したとかじゃねーし…(強がり)」グスッ




~VS・絶対等速、シルバークロース=アルファ~




『Q.もし、現実に。ウルトラ○ンやゴ○ラ、戦隊モノの合体ロボやエヴ○ンゲリオン、進撃○巨人なんかの所謂"巨人"を再現したとしたらどうなるか』

という問答に対し、

『A.自身の自重を支える事ができず、立ち上がる事すらできないでしょう』

というのをどこぞで聞いた気がするのだが。


目の前の白い巨人はそんな空想科学の常識的物理学理論なぞどこ吹く風だ。平然と当たり前のように立ち、存在している。

あまつさえ。

「まずは小手調べだ」

巨大な"翼"をシルバークロース達目掛けて落としてくる。

「行くぞ、第二位」

「ほがっ?!」

仮面から生えた"ツバサ"により、シルバークロースも絶対等速を抱え高速移動を開始。

垣根からの初撃を容易にかわし、空へ飛翔する。

「チッ。いっちょ前によけてんじゃねーよ、メンドクセーな」

「すまないな。あまりにも鈍いものだから」

垣根と一定距離を保ちながら更に上へ上昇する。

学園都市一学区が見渡せる高度まで上がった所で、二人は改めて思う。


((……デカイな))


7~8階くらいのマンションと同じくらいだろうか。

手も口もデカイ。自動車を掴んでスナック菓子のようにボリボリ食べれそうだ。

ひょっとしたら、垣根の顔半分部だけでもシルバークロース10人分を並べた分ぐらいあるのではないだろうか。


「こっから一歩も動かずにテメェを潰してやろうか?」

「できるものなら。精々やってみるといい」

「あー、ウザッ。一々売ってくんなよ。ちゃんと擂り身にしてやるから、感謝して[ピーーー]よ?」

巨大な垣根の背から延びる3対6翼が煌めく。

白い殺人羽根が"刃"となり、二人目掛けて射出された、


「おいシルクロ!くんぞ?!」

「大丈夫だ、問題ない」

垣根の巨大な羽根カッターがシルバークロースにインパクトする瞬間。

仮面の中心から伸びる翼がまるで盾のように展開された。

ガッキン!ガキンガキンガキンガキンガキンガキンガキガキガキガキガキガキガキ!!!!!

激しい横殴り、"羽根"の暴風雨。それを

「ふ、防ぎきりやがった……スゲェな、シルクロ」



「…ああ?これも防ぐのかよ?メンドクセーやつだな」

垣根はガシガシと頭をかきながら、「参ったなぁー」といった面持ち。

「かったりぃが、"動く"か。」


――から、猛禽類の顔付きに変わる。


「?!イコールスピード!また高速戦闘に入るぞ!!」

「は!?ま、待て!待―――――――ぁぁぁあああああ!!!」


巨人が空《ソラ》を"飛ぶ"。

シルバークロースも空《クウチュウ》を"跳ぶ"。

似て非なる『未元物質』のツバサで。

「あぁ~…気に食わねぇ、気に食わねぇよ。まったくもって、だ」

「あれだ、格ゲーで自分がよく使う持ちキャラとおんなじキャラ、おんなじ戦法で挑まれた気分だな」

「そうか?私は"自分の方が上手く使えると証明できるかも"と高翌揚するが」

瞬間移動に近い早さで距離を離す。いや、どんどん詰められていく。

「しっかし、どうなってんだ?その仮面。明らかに"この世に存在しない物質"なのに、『未元物質』じゃねぇな?
 ま、解析続けりゃわかるだろうが。」

羽根が、"翼"が、シルバークロースと絶対等速を強襲する。

「くっ、受け流すッ!!」

ザリッ。ザリガリガリガリ!!!

"この世に存在しない物質"と"この世に存在しない物質"の接触により、虹色の火花を散ら白い"翼"が白い"ツバサ"を滑っていく。

「あ?なんだこの解析結果は?やっぱり見たことねぇベクトルとエネルギーを発してやがるな。逆算すりゃ『未元物質』で再現は可能そうだが…」

ブツブツ独り言を呟きながらも垣根はその巨躯を生かしてシルバークロースの逃げ場を潰していく。




「なぁ、シルクロ。実際のとこどうなってんだ?そりゃ」

「これを横流ししてくれた売人曰く、『垣根帝督に産み出させた未元物質によって更に新しく産み出した"この世に存在しない物質"で作った』そうだ」

 かつて、ロシアで『アイテム』とぶつかった『―Equ.Dark_Matter―』装備兵はこう言った。


『超能力とは炎に似ている。
 炎は確かに人間だけが制御できる強い力だ。
 だが炎をそのまま振りかざすのは原人の松明に過ぎん。
 文明人は炎を使って鉄を打つ。それと同じ事だよ』

と。

『未元物質』という、この世に存在しない物理法則を越えたエネルギーとベクトルを持つ物を使えば。

物理法則を越えたエネルギーとベクトルを持つこの世に存在しない新物質が誕生する。

カーボンナノチューブが単なる炭塊とは違うように。

"鋼"が単なる柔らかい鉄とは違うように。


『―Equ.Dark_Matter―』は単なる『未元物質』とは違う。

第二位を"原人の松明"と揶揄するくらいには。



「まぁ、だからこそ第二位の能力である『この世に存在しない素粒子を産み出し操作する』能力でもこの仮面には干渉できない…といった所か。」


「チッ、俺がさっきからその仮面に干渉し続けてんのに自壊させられないのはそういう訳かよ」


そう。垣根の能力は"『未元物質』を産み出す"ではない。

あくまでも"この世に存在しない物質"を創り出して操る能力だ。

逆に言えば。"既にこの世に存在してしまっている物質"は創り出せないし、操れない。

現在の『垣根帝督』を構成する人体や服、機械なんかも結局は『既存物質に類似する効能を持つ未元物質』で代替しているだけにすぎないのだ。

だから垣根は『―Equ.Dark_Matter―』の素粒子を操って自壊させることもできないし、
どれほどの硬度、効能やスペックを持つかもわからない故に貫通する事もできない。

「でも、勝てるのか?ありゃ正真正銘の第二位《バケモノ》だぞ?」

シルバークロースの腕にぶら下げられている絶対等速は不安げに見上げる。

「おまけに俺っつーお荷物つきだ。…なんならそこらに置いてってくれてもいいんだぜ?」



「バカを言うな」


すかさず答える。それなら、最初のツバサから助けもしなかった。


――シルバークロースは超合理主義者だ。


「あなたと一緒なら、第二位に勝てると思ったから助けている。」

「…そりゃ、お前は死んでも俺の命は保持された状態なんだろうな?」


――絶対等速は自己中心的だ。



だが、だからこそ。


「ああ。この作戦なら。」

「…仕方ねぇな」


「けっ、何コソコソやってんだか知らねぇが、そろそろ消えろよ」



「…さぁ、やりますよ?私とあなたなら、一撃で倒せますよ。……先輩」

「…けっ。ヘマんじゃねーぞ、後輩。」


この不適に笑う先輩と後輩コンビは強い。





~VS・天井亜雄~




彼を知り、己を知れば百戦殆うからず。


まず、天井がした事は自分の手札の確認だった。

具体的に言えば、叶え屋の生活スペースでコーヒーを啜っているであろう木山に「君は何ができる人間か」を聞きにいった。

そして。

「あ、いやこれはだね」

全裸に白衣の木山に出迎えられた。

「…『脱いでも構わないが下着まで』と言ったはずなんだが」

「……暑くてね」

「今は秋だぞついでにさっき暖房も切った」

どこまでも真っ直ぐな眼をしている脱ぎ女に呆れ、額に手をやる。

「…ハァ、もういい。貴女がいいなら私も何も言わない」

「すまないね。よいしょ」

「だが更に脱いでいいとは言っていない」

最後の一枚に手をかけた木山の手をガシッ!っと握り、最終防衛ライン『白衣』だけは死守する。

流石の天井もマッパウーマンとにこやかに対話をできるほどアイアンハートではなかった。


「全裸ではなく、あくまでも白衣着用を義務づけるとは…君はそういう性癖なのかい?」

「何興味深そうな顔をしてやがるんだ変態」

「失敬な。私のこれは性癖じゃないよ。ちなみに、精神医学では『露出症』というものがあってだな」

「ならいい医者を紹介してやる。話が進まんから口を挟むなよ?今から―――」


手札を確認するだけなのに、何故こんなに疲れなければならないのか天井はわからなかった。



叶え屋、運転席。


「――いいか?1.寒いが冷房をつけた。2.私は思いっきり厚着した。3.冷たいお茶も淹れて助手席脇にセットした。」

「ありがとう。ここまでしてもらってすまないね。」

「ああ、どういたしまして。で、だ。ここまで私は健気に尽くしたんだ。貴女も着る努力をしてくれ」

「ああ、ぱんつくらいは履くに値するよ」

「…すまない言葉が足りなかったな。全・部・着・ろ。この店に入ってきた時の服装にしろと言っているんだ」


青筋をたてながらも、なんとかニッコリ笑って対応できた自分を褒めたかった。





(よかった。車を動かしても奴等はこの車に関心を持たないようだ)

念のために彼等に接触しないよう、大回りして車をトロトロ動かす。

白い怪物や蟲達はウロウロと休まず警邏を続けている。

「……それで?君のかつての根城にご案内という事だが。」

天井と木山はかつて『量産能力者《レディオノイズ》計画』が行われていた研究所に向かっていた。

天井の元私設研究所である。

天井にとっては人生のターニングポイントの象徴でもあった。

そこは、天井が最初に人生を踏み外し始めた場所であり、8月31日に一方通行と芳川桔梗に追い詰められ、敗北した場所だった。


「私にとっては忌まわしい場所だがな」

「そこに何があるんだ?」

「私の武力的手札……試作劣化超能力者がいる。」

「…ほう。君も人間を"実験動物扱い"するタイプかい?」

ジロリ。木山の目付きが鋭くなる。

「恥ずかしい話だが…かつては、な」

「今はそうではないと?」

「ああ。昔の話だよ。今は反省している」


(…必死だったんだ。心的余裕が、無さすぎた。
 ……はっきり言って、妹達《シスターズ》を『借金を返すための手段』としてしか見てなかった。)


口には、出さなかったが。








誰もいない、研究所跡地。


8月31日の天井はここに入る事ができなかった。閉鎖されていたために太い鎖と鍵がかかっていたからだ。

…もし。その時天井が入れていたら。
所内の装置を使って打ち止めを維持し、妹達は予定通りウイルスにより暴動…
当時の天井の思い通りになり、歴史が大きく変わっていたかもしれない。

天井が車を入り口の門手前まで進めると、鎖と鍵が壊れていた。

よく見ると、門に見覚えのある銃弾が食い込んでいた。


「これは―――」


―――――――――パァン!

『……、芳川。桔梗』

『ごめんなさいね。わたしってどこまでいっても甘いから。優しくなくて、甘いから。』―――――――――――




(――ああ、そうか。あの日、芳川に撃たれた弾がこの門の鍵に命中して…)

世の中、何が作用するかわからないものである。

そのまま車で門を押し開いて、中に入った。

ここはまだ『未元物質』の支配下にないらしく、車庫内なら車から出入りしても大丈夫そうだった。

…時間の問題だろうが。


所の自家発電システムはまだ生きていたらしく、暗証番号ひとつで中に入る事ができた。

何度か暗部の連中に入り込まれたようで、道中には一部天井も知らない傷や爆破痕もあった。

(…暗部が侵入したのか…アレはまだ、"いる"よな?壊されてないよな?道中で動かなくなったアレを見かけたくはないぞ)

しかし、天井が心配する事は何もなく。何事もなく研究所奥、天井の執務室に辿り着いた。




事務用机と椅子だけがある簡素な自室。


「……ふ。懐かしいな」


使い込まれた机を撫でて、昔を思い出す。


数年前、天井はここで責任者として働いていた。


自分なりのプライドと夢と、生き甲斐があって。

部下も何人かいて、資産や所持金も沢山ではないが、そこそこあって。


『さっすが、天井博士ですね!この難解なプログラミングも瞬時に理解しちゃうなんて!』

『俺、一生天井博士についていくッス!』

『admire…やるわね、天井博士』

同僚との思い出もたくさんあった。


「……………。」

もう、思い出以外全て失ったが。



「それで…あったのかい?"手札"とやらは。」

「あ、ああ…」

我に返って、天井は机をポン、ポン、ポポン、とリズミカルに叩く。

ウィーン。

机がスライドし、ハッチが開く。

「…隠し部屋かい?男性はそういう仕掛けが好きだね」

「ロマンだからな」

木山が転ばないよう手をとって、一緒に階段を降りていく。






結果から言うと。試作超能力者は生きて、居た。

「…この子が?」

「ああ」

大きな試験管みたいだ、とでも形容すればいいのだろうか。

ガラス越しに、御坂美琴にそっくりな少女が眠っているのが見える。

「第三位にそっくりだね」

「第三位に似せたからな」

培養液に浸された試験管の中で、"それ"は居た。

天井亜雄製、超能力者第三位『超電磁砲』型量産能力者。その"プロトタイプ"。


ミサカ00000号。


通称、《フルチューニング》。


「…驚いた。君は"あの実験"の関係者だったのか」

「…ああ。その報いを受けて、一度死にかけたがね」

「…今は不問にしておくよ」

「そうしてくれ。今"起動"させる」

スイッチを、と探して。




『お帰り、パパ。待ってたよ/return』




試験管の中のフルチューニングと目があった。


叫ばなかっただけ、マシだと思いたい。

「な、な、な、な………」

エサを求める鯉のような口に。

『いやー。ミサカ暇でしょうがなかったよ。/return
 回りに人はいないし、ミサカはMNWから切断されてたじゃん?/escape
 おまけに意識はあっても動けないまんまだからさー/return』

『ねぇ、ミサカはさ、ずーっと、ずーっとずーっとずーっと、ず―――――――――――――――――――――――――――――っと。
 いい子にして待ってたんだよ?"パパ"/return。すぐに迎えに来てくれないなんて酷いなー/return。』

『ねぇ、パパ?どーしたの?/escape
 …あ!"お父様"のがよかったりする?!/escape』

『ミサカはパパが望むなら、"おとう"でも"パピー"でも"とーちゃん"でも"とーたん"でも"父上"でも"クソジジイ"でも"ダディ"でも"ファーザー"でも"親父"でも"おとっつぁん"でもいーよ?/escape』

今まで人と話せなかった分を取り戻すつもりのようなマシンガントーク。

「…君はそういうプレイ用に彼女を作ったのかい?」

「誤解だ。命令違反や反逆防止、正規妹達の謀反から私の身を守るために『私に絶対的な好意を持つ』ようインプットされているだけだ」

「外道だね。というか、気持ち悪いよ。」

「やめろそんな目で見るな。私だってまさか"父親"として好意を持たれるなんて想定してなかったんだ」

『ねーぇー?無視しないでよーパーパー。/return』

「ひとまず、出してあげたらどうだい?パパ?」

「殴るぞ」







フルチューニングを外に出し、簡単な調整、手術衣を着せてやり。

一同は急いで『叶え屋』に戻った。

そして、彼女と木山に経緯と作戦を話す。



「――へー大変だねー。それで?/escape」

「言った通りだ。この作戦で、私は第二位を倒す。協力してくれ、フルチューニング。」

「いーよー二つ返事で了承しちゃう/return。
 ミサカも死ぬほど退屈だったしね☆/return
 私はパパの娘だし、子供はパパの言うことを聞かなきゃね/return」

反応に困り、木山に話の水を向ける

「どうだろうか、木山。」

木山は脚を優雅に組み、口元に手をやる。

「…ふむ。確かに、私と彼女を用いれば理論上は可能かもしれない。」

「だろう?では――」


「だが、『無謀だ』と言わざるを得ないな。」


断じる。



「まず"ソレ"が『本当に再現可能かわからない』という点、
 次に『第二位の現在の状況、能力について詳細情報がなく、推論だけでやらなければならない』点、
 そして『失敗した時のリスク』からすると、」

「しかし」

「――もはや、小型犬が熊に挑むようなものではないかな?」

「だが、」

「だから、言ったんだよ。『実は、私はもう諦めている』と。」

勝てないと、わかっているから。

「…なぁ。木原くん。君自身わかっているはずだ。何故完全な勝算もないのに、戦おうとする?」

天井に二の句をつがせぬあたり、木山は問題点の指摘というよりは作戦実行そのものに反対のようだった。

「……それは。」

「もし、私のためにと言うなら…私は今すぐここから出ていくよ。だから、君自身と彼女を危険な目に合わすな」

「だが、やらなければ。このままでは貴女も私も、彼女もジリ貧だ」

「…ああ。そうだ、最初から…こうしてればよかったな。私が捕まれば、それで済む。」

もう聴く気はないようだった。

立ち上がり、世話になったねと言い。木山は出ていこうとする。

「ま、待ってくれ!」

(それだけはダメだ!貴女を救いたいから、わざわざ危険を犯して『フルチューニング』を引っ張り出してきたというのに!)

これでは、本末転倒だ。



「無謀は承知だ。だが、座して待ってもいつかは死ぬ。それに…」

「…それに?」

「…仮に、貴女が出ていったとしても。
 作戦実行せず、貴女と心中するはめになったしても。
 きっと、いずれこの車は破壊されていると思う。」


「…きっと、そうならないよ」

「いいや!仮に貴女が出ていけば、出た瞬間を捕捉される!」

「さっきは大丈夫だったよ」

「あれは、運がよかっただけだ!」

「例え籠城しても、この車の備蓄だっていつかは切れる!
 補充時を狙われれば終わりだし、垣根がいつまでもこの車を捕捉できないとも思えない!」

「だから、私が捕まれば――」

「それだけじゃない!」

(頼む。折れてくれ木山!見捨てたく、ないんだ!)




必死に言葉を、説得材料を、理屈を探す。

「もし、垣根が貴女を捕らえて、そこで終わりではなく!」

「そこから"何かをする"としたら?!」

「……」

これに賭けるしかない。
実際に垣根が木山を捕らえてどうするかなんて事はわからないが、犠牲を嫌う木山を説得するならこれしかない。

「………」

仮に第二位が木山をつかって何かをするならば、その規模はきっと街全域以上。

第二位を倒さない限り、天井もフルチューニングもどうなるか。想像にかたくない

「…確かに、絶対とは、言えないが…」

よし。

「私と、戦ってくれないか。木山。」

「…しかし。」

「なら、更に理由を足そう。もし、垣根がこの車を捕捉したらと仮定しよう。どうなる?」

「…多少なりとも破壊される可能性は高いだろうね。
 そして、私だけでなく、君達が死ぬ可能性も。」


「ダメなんだ。それだけは。」

キッパリと。

一拍置いて、ハッキリと宣言した。

少し、震えたかもしれない。だが、天井は毅然と告げた。




「この『居場所』だけは。例え、私が酷い最後を迎えてでも守りたいものだからだ。」

「……」

「貴女を、見捨てたくないんだ。どうしても」

「…じゃあ!お望み通り、一生ここに居てあげようか?!作戦に参加はしないがね!!
 君が判断を誤れば、その大事な場所とやらが壊れるぞ?!」

「だから、全てを守るために戦おうと言っているんだ!!」

「っ、」

「……私は、科学が好きだ。 だが、学園都市は嫌いだ。
 私を利用するだけ利用し、拒絶し、生きられないようにするからな。」

「……」


「私には、仲間もいなかった。友人もいなかった。恋人も。仕事も、命でさえ…失いかけた。」

「だから、少し前まで。本当は、もう出ていこうと思っていた。」

「それが、研究者として死ぬほどの苦痛であったとしても。」

木山も同じ研究者として、それは痛いほど分かる。

"科学の最先端"を知る研究者としては、"外"の十年単位で遅れた技術で研究など、苦痛以外の何物でもない。

例えるなら、街で暮らす若者が『今からケータイもパソコンも、電化製品も便利な道具も何もない原始時代の生活をしろ』

と言われるようなものだ。



「でも。今の同僚が私を引き留めてくれたんだ。」

「『俺んとこで、働けよ』と」

「私が作った料理を食べて、『美味しい、また食べたいよ』と言ってくれた。」

今は留守にしている二人の同僚の顔が思い浮かぶ。


思わず、木山の肩を掴んでいた。


「ここは、私が初めて…学園都市でできた"居場所"なんだ」

「……」

「失って、たまるか…っ!今度こそ、守ってみせるんだ!もう、何一つ『学園都市』に奪わせてなるものか!」

気づけば、拳が真っ赤になるくらいに握りしめて震えていた。

「いいか、もし貴女が出ていったり、第二位が貴女を使ってこの街を更にどうにかしてしまったら。
 私の"居場所"は直接、間接的に失ってしまうんだ!」

「頼む、木山!私の"居場所"を一緒に守ってくれ!!!」


木山は黙って、じっと聞いていた。

そして。

「……ハァ。わかったよ。私の負けだ。」

「やって、くれるのか」

「ああ。私もできる限りの事をしよう。第二位に、一泡吹かせようじゃないか」

ニッコリ微笑んで。

「「よろしく頼む(よ)」」

二人の研究者は握手を交わした。




「ふふ、ひょっとしたら。いつかこの人がミサカのママになったりして?/escape
 なーんて。/backspace」




~VS・サローニャ=A=イリヴィカ~



白い凶器達が、路地裏に倒れる少女に襲いかかった。

鎧騎士姿の『垣根帝督』による遠隔操作により宙に浮かび、少女を切り刻むために。

哀れ少女はぐちゃぐちゃの肉塊になる


――はずだったのだが。

ガキィィィィン!!!

「……あ?」

鐵(くろがね)の鎧騎士姿の垣根は、目の前の景色が信じられなかった。


「…お怪我は?」

「ないないちゃん♪偉いぞー?そんないい子にはサローニャちゃんがナデナデしてあげよう♪」

垣根が投げたハルバードとクレイモアを受け止めた、大きな白いマウンテンゴリラが少女に撫でられている。


「俺の影に隠れてろよ、お姫様」

「うんうん。頼んだよ?私の騎士《ナイト》ちゃん♪」

垣根が投げたトライデントを角で絡め受けた、大きな白い牡鹿が少女の前に立つ。


「ブッ飛ばしてやる」

「お願いねん♪」

鉄扇を弾き飛ばした、大きな白い猪が熱り立つ。


「ボッコボコにしてやる」

「きゃー☆ステキー♪」

バトルハンマーを受け流した、大きな白いリスがシャドーボクシングをし、垣根に鋭い敵意を見せている。


「…どーいうつもりだ、テメェら」

「「「「テメェをぶっ殺すつもりに決まってんだろうが」」」」

どこからともなく現れ、忠臣のごとくふるまう彼等白い動物達は。

皆、警邏中の動物型『垣根帝督』達だった。



(いやぁ。上条ちゃんに助けて貰わなくても、サローニャちゃんは自分で倒せちゃうからざーんねんだわー?くすくすー。)


「おいテメェら!そいつがターゲットだぞ?!なんで従ってやがる!しかも邪魔しやがって!」

「「「「…………」」」」

「無視かコラ」

(ふふふー。まっさか、ここまで大成功するとはサローニャちゃんも思わなかったよ)

(敵に直接効果が出なくて倒せないなら、戦える、倒せる人を呼んじゃうだけだしぃー♪)


「クソが!『垣根帝督』として、俺とリンクしろ!」

「「「「…………。」」」」

(ぷぷぷ。話しかけても無駄無駄ちゃん♪
だーって。この子達はあなたを敵《サローニャ》と、私を《鎧騎士》と認識してるんだもーん♪)




サローニャの術式、"レーシー"。

スラヴ神話の森の支配者の伝説に準えたそれは、言わば"支配術式"。


レーシーの森で『酸素と二酸化炭素のやりとり』を行った生物は森の住人と見なされ、術の支配下に入る。

故に、"支配地"から連れてきた動物と移動先の植物に「酸素と二酸化炭素のやりとり」をさせる事で、例外的に「飛び地」を作成する事が出来る。

尚、現地から植物を移植する事で直接的な"支配地"と見なす事もできるが、
移植した植物を撤去されるとエリア内の術式全てが効力を失ってしまう。

昆虫や爬虫類など、脳の構造が単純な生物の制御を行うための術式であるため、
人間のように大脳が大きく、複雑化した個体に使う際は完全に操る事は出来ず、
効果は単純な認識のすり替えや、意志薄弱になる程度に留まる。

(尚、操れるのも数人~十数人程度。森の一部を所持させる事で成立。)

但し。"ギャンブル"に勝利して支配権を奪った場合においてはその制限から外れ、ある程度の強制力を持って相手を操る事が可能。

(例:サンドリヨンが敗北した時の情報封鎖の時)

尚、「支配下に入った」と判定されるまでは飛び地内に居させなければならず、レイヴィニア=バードウェイの予測では概ね3~4日ほどの時間が必要。

支配地の『森』にいる動物の精神性を均等に再整備することで擬似的な群集心理を統べ、
ゾーン内の所有物を傷つけた相手にはペナルティを押しつける事が出来る。

森の支配者であるサローニャに従う生物たちによる多数決の結果を押しつけられることで、森の住人の悪意が一点に集中し、
「危害を与えた箇所の感覚を奪う」という形でエリア内から排斥される。



サローニャがとある高校に植えた植物は、まだ『未元物質』の支配下にはなかった。

いや、正確には『未元物質』で覆われていたが、"植えられている"という術式発動条件が阻害されていなかったために効果の発揮に支障がなかったのだ。

そして。前述の通り、サローニャはその植物の『酸素と二酸化炭素のやりとり』をした動物型『垣根帝督』達支配下に置いていた。

本来ならば人間を支配対象にする場合、種や葉等のものを持たせなければ"支配下"に置く事はできない。

が、彼等の見た目が動物そのものだったために、
術式が『垣根帝督』達を"ヒト"ではなく"動物"の定義に当てはまる、と判断し、機能してしまったのである。


正規ではないその分、効果は半端になり、劣化して『サローニャがいる場所に喚べる』『自我が残る認識すり替え』になっているが。




「ま。その不完全な支配も、すぐ"完全"になるんですけどね。」

サローニャは4匹の下僕にストックしていた花粉を飲ませていく。

「さて、皆?"ギャンブルをしよう"。ルーレットを思い浮かべて?『全額投入はどこにする?』」

「赤の25」

「黒の8」

「赤の10」

「黒の2」

「ほいほいちゃん。"勝負の結果は緑の0に"。承認完了!」

「「「「   」」」」

白い動物達の目から、光が喪失した。

その身体は、もう彼等のものではなくなった。

それを確認し、振り返ったサローニャは。


「ぬっふっふっふっ。」

悪魔の笑顔。

「さて?形勢逆転かにゃーん?」

そして。"完全な支配"に置かれた垣根達は野生的な唸りをあげ始める。


「「「「グルルルルル………」」」」

「あ、あ……」

悟る。間違いなく、このあと自分が数の暴力に晒されることを。

悟る。足掻くだけ無駄だと。




「野郎共?"やっちまえ"☆」

「クソがぁあああ!!」


ゴスン!!!ドガン!!バキャ!!ズガーン!!!ゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴス!!!!


ゴリラの拳が。牡鹿の角が。猪の牙が。リスのリバーブロー連打が。


断末魔の叫びを上げる鐵の鎧騎士を粉々にした。




「いっえーい!!ぶいぶいっ!サローニャちゃんのしょーりっ!」

うおー!と、いもしない観客《オーディエンス》に勝利のVサインとポーズ。


勝因はサローニャの運の強さ。

敗因は垣根の"魔術"に対する知識不足と世の理から外れ過ぎてしまった事、最後に冷静さを失ったからだろうか。

…もし、垣根が冷静だったなら。

"自分も『未元物質』で味方を作り出す"や、"彼等に干渉して自壊させる"などの選択肢を取れたかもしれない。

しかし。パニック状態に陥っていた垣根には思いつく事ができなかった。


『戦いは冷静さを失ったら負けだ』とは誰の言葉だったか。



「ふひひー。ま。あなたがサローニャちゃんの"森"に迷い込んじまったのが悪いんだよ?」

パチンミ☆とウインク。ついでにお尻をプリプリふって。

サローニャは垣根(牡鹿)の背に優雅に飛び乗る。

「さぁってと!他に使えそうな子もその辺りでスカウトしながら。とりあえずは上条ちゃんを探しますかねっと!」

その後を、ゴリラと猪、リスが追従する。


森の支配者レーシーは。想い人探して闊歩する。




~VS・雷神トール~


「が、あぁああああああああぁあああ?!」

トールの背に、虎型垣根の爪が深く突き刺さっていた。


(や、べ………!ち、めい、しょ……受け、ちま……?!)

「誰がスライムだ?そりゃテメェの方だろ」

ぐいーーっ。

虎型垣根の"爪"が、"雷神"トールの肉をスーッと裂いていく。

「がぁああ!!!」

なかば無理矢理体を捻り、背後の虎型『垣根帝督』にアーク溶断ブレードを叩き込む。

「 」

虎型『垣根帝督』が霧散する。

「ぜぇ、ぜぇ。ひゅー……ぐば」

虫の息。

(っべーっべー!完全にしくった!これはマズイ!!)

顔がこわばる。

ドクドクドク。背や胸から血が流れ出ていく。

貫通、したらしい。

(マジィ、マジィ!!)



「ハハッ。スライムにやられちまう勇者なんていたんだな?」

白い粒子がどこからか集まり、再び虎型垣根が再構築されていく。

「てめ、見た目が"虎人間"なのは、お前の本来の性質から目を逸らすためのフェイクかよ…!」

「ああ。俺を見たやつの大半は明らかなパワータイプの戦い方をする、と勝手に誤解してくれるだろうな」


この『垣根帝督』は"無限再生"タイプだった。


未元物質でできている『垣根帝督』達は未元物質で傷や欠損したパーツを治したり、"自分"を新しく産み出す事はできる。

が、

死なないわけではない。いくら人外であっても脳を破壊されればその個体は死ぬ。

無限増殖と超再生で不死に見えているだけ。

「俺は"死"を克服した『垣根帝督』だ」

「俺は、たった一欠片でも細胞が生きてさえいれば、そこから自分を再構築できる。
 ほら、DNAは全部の細胞にあるだろ?それを元に細胞分裂のシステムを未元物質で捻曲げて、爆発的な分裂スピードと再生を実現させているんだよ」

「だったら、細胞の一片も残さなければいいんだろ?」

「ところがどっこい。俺が"死ぬ"と周囲の街を覆う『未元物質』が俺の残留思念を読み取り、再構築させる。
 …今のこの街と『垣根帝督』がいる限り。俺は死なねぇ」


不老不死。残機×∞。人類の夢。

それをあっさり叶えてしまった垣根。

「ハハ。さぁ、テメェの命を諦める時間だぜ、侵入者。」

ニタァ…と笑みを浮かべ、にじり寄る垣根に対し。

「…………」

"雷神"トールは項垂れていた。グロッキー状態のボクサーのように、ダラン…と両腕をぶら下げて。

それは血を流しすぎたせいで貧血状態になっているからなのか、"勝てない"と絶望したからなのか。

「お?抵抗もしねぇってか?ま。刈るこっちは楽でいいけどよ?」

翼が、爪が、"雷神"トールを襲う。

「…………」



ガキン!

半死人のような状態のトールの片腕が、自動防衛装置のように不自然に上がって垣根の攻撃をガードした。

「ち、まだ動けたか………?」

様子が、ヘンだ。

「―の槌』…――続開――――確認。――後に供給――」

ブツブツブツブツ。何かを呟いている。

いや、待て。それもおかしいが。


――なぜ、アーク溶断ブレードではなく、"腕で受け止めている"?

「?!」

トールが顔を上げた。

そして



「いくぜ『投擲の槌《ミョルニル》』。最初から、最大全速、最大出力でいく!!」



その眼(まなこ)が、開き、サーチライトのように光を放った。

トールに、"火"が、点(とも)る。

エンジンが始動し始めたように。

帆船がマストを広げ、目一杯風を受けた時のような。

"雷神"トールの眼の色が変わった。いや、比喩ではなく、物理的に。

髪に、指先に、いや身体全てに。青白く迸るエネルギーの光の渦が。爆風が。爆炎が。

何かが。何かが、何かが!

雷神トールの五指から、足の裏から、背中から!

アーク溶断ブレードに似た帯状の光が噴射された!

ズビャアオオン!!!

空気を、垣根を、『未元物質』を焼く!

「うッ…!ォォォォォォォオオオオオオオ!!!!!」

雄叫びとともに。"雷神"トールの周囲を焼き払っていく!

「んな?!なん、だそりゃァアアアアアアアア!!?」









         カッ







真っ白な光の爆発が『未元物質』と『垣根帝督』のみを焼き払った。




「―――ッハァ―……」

シュウウゥゥぅぅぅぅ………


鎮火。"雷神"トールの輝きは一瞬だった。

「噴射点を増やして、ちょこっとだけ"雷神"としての全力を出してみたみたんだが…予想以上に焼けたな」

キョロキョロと辺りを見回す。

「………ん。あの意味わかんねー白い奴は綺麗さっぱり燃え尽きちまったみてぇだな。
 防火策が使われてんのか、ビルやら何やらも壊さなかったし。」

少なくとも、トールから半径7kmに『未元物質』は存在しなかった。


「…この近くに飲まれた人がいなくてよかったな。もしいたら蒸発しちまってて、後味悪かった」

ふー。危ない危ない。と額の汗を拭うトール。

人がいようがいまいが。何かを壊そうが壊さまいが。

戦うためなら躊躇なく攻撃を仕掛ける。

"戦闘狂"。"戦争代理人"。"雷神"。

それが、トール。

「しっかし、惜しいことしたかね。死なないってんなら俺が体力切れるまでずっと戦っとけばよかったかもな。」

自分の実力のステップアップ、"踏み台"になってくれたかどうかは怪しいが。


「…なんだよ、結局お前がスライムレベルだったじゃねぇか?」

トール、平常モード。


「とりあえず、傷口は焼いて塞いどくか。」

アーク溶断ブレードを一本だけ短く、あえて雑に噴射。

傷口に宛がい、焼いていく。

トールにとって、上条達との学生ライフよりはこういった方のが"日常"だった。

「治癒術式を使うには道具がたんねーしなー」

「…しっかし。街がこんなんで吹寄ちゃんからのオーダーこなせんのかね?」

呟いて。

ぼんやり、空を眺めた。




~未元物質(ふしぎ)な国の心理定規ちゃん~



白垣根「こちらです。」

心理「…へぇ。」

ただっ広い広間。

縦7mくらいの格子付き窓から日光が差し込み、遠くで『垣根帝督』達が群れを成して飛んでいくのが見える。

そして、差し込む日光がスポットライトのように中央を照らしていた。

心理「真っ白、ね。全部」

部屋の中央には白いテーブルと椅子、天涯つきベッド、浴槽、便器が鎮座していた。

『生活に必要なものは全て揃えた。だからここから出る必要はないだろ?』

と言外に言われてるような。

心理(…どれだけの期間、私をここに拘束するつもりなのかしら)

ここまでの物を用意するあたり、1日二日では済まないとは思うが。



心理「そういえば。…まさかとは思うけど、あなたの前でお風呂や排泄をしろとは言わないわよね?」ジロ

白垣根「はい。勿論です」ニッコリ

心理「ほっ。よかっ」

白垣根「ちゃんと後ろを向いて目隠しします!」ニッコリ

心理「おい」

白垣根「はっ、すみません!耳も塞がなきゃいけませんでしたね!」テヘペロ

心理「そうじゃない。そうじゃないのよ?うん?わからないかしら?」アイアンクロー

白垣根「いたいいたい。痛いです心理定規さん」ジタバタ







白垣根「紅茶をどうぞ。心理定規さん」コト

心理「ありがと。」

なんとなく、王皇貴族になった気分だ。

窓の外、純白の国を眺めながら、一人心地る。

心理「…美味し。」

のんびり、飴色の液体を喉奥へ流し込む。

白垣根「お気に召しましたか?」

心理「そうね。フローラルなのにまったりとしてて、スカッとする…私は結構好きよ?」

白垣根「それはよかった」ニッコリ

心理「おかわり、頂けるかしら?」フフ

白垣根「勿論です」

差し出したカップを受け取り、垣根は嬉しそうに笑う。


心理(こういうあの人も、悪くはないかもね)




そこで、ふと。

…そういえば。どうやって紅茶を用意したのだろうか。

ここに来るまでにも食料や飲料水なんかは見かけなかったし、この部屋にもそんな物はなかった。

心理「ねぇ、さっきの紅茶なんだけど――」クルッ




白垣根「あ、はい。今作ってます」ギュッギュッ

心理「」

白垣根「?どうしました?」ギュッギュッ

心理「…私、目がおかしくなったのかしら。
   あなたが上半身をはだけさせて、右乳首から紅茶を出してるように見えるのだけど」ゴシゴシ

白垣根「その光景が見えているのなら、あなたの目は正常ですよ」ニコッ

白垣根「さぁ、搾れましたよ!どうぞ、お代わりです」ニッコリ




心理「いるかぁぁああああ!!!」バッッキャァアアア!!!

白垣根「何故?!」ビターン!!




心理「何故じゃないわよなんてモン飲ませてんのよ?!」ガックンガックンガックンガックンガックン

白垣根「え、衛生面は問題ありません!『未元物質』で人間や動物なんかの有機物が造れましたから、"食べ物"も作れるはずです!
    それに、ちゃんと実験もしました!」ガックンガックンガックンガックンガックン

心理「オーケーオーケー、そーゆーことじゃねーのよ?ファッキンカブトムシ」メリメリメリメリ

白垣根「あ、味に不満なのでしたら、左の乳首からコーヒーを出しますが…」

心理「もう頼むから死んでくれないかしら!?」バキャ!!

白垣根「ぐはっ?!」ビターン!






心理「…いい?私が口にするものに関しては今後一切『未元物質』を使わないと誓いなさい」ギロ

白垣根「はい…」ボロッ

心理「全く…あの人はもっと常識があったわよ。能力にはなかったけど」ハァ

白垣根「すみません…」ションボリ

心理「もういいわ。…ところで、あなたってどういう生き物なの?」

白垣根「私ですか?」

心理「だって、カブトムシからあの人になって、『未元物質』を扱えて、紅茶とコーヒーがちく…胸から出る…」

心理「いやもう、本当にマジでなんなの?」

白垣根「そうですねぇ…長いお付き合いになるかもしれませんし、ご説明しますね」

心理「手短にね」



白垣根「私達は…そうですね、わかりやすく言うと『何にでもなれる生物のような何か』です」

心理「定義、超曖昧でふわっふわしてるわね」

白垣根「私も私達を何と呼ぶべきか…言葉が思い浮かばないのですよ」

白垣根「今の『垣根帝督』は一つの組織染みた群体生物になっています。」

白垣根「そうですね、"定数群体"という言葉をご存じですか?中学くらいの生物の授業でやるやつなんですが」

心理「ああ…一応は。」

白垣根「アレと同じです。単細胞生物的な細胞…『垣根帝督』からなる群体でありながら個々の細胞の独立性はかなり高い。」

白垣根「…例えば、群体が壊れても破片になった細胞数の少ない状態でも生き続けられます。
    また、無性生殖時には個々の細胞が全て新しい群体を形成します。」

白垣根「一応『垣根帝督』の代表個体はいますが、仮にその『垣根帝督』がいなくなっても別の個体が代表個体になりますから…
    今の私達を滅ぼすのは相当難しいのではないのでしょうか」

心理「突き抜けすぎよ…随分人間止めてるのね?」

白垣根「『"ヒト"を超越した』と言っていただけると嬉しいです」






心理「そもそも。なんでそうなってしまったのよ」

白垣根「…始まりは最初の垣根帝督が未元物質で人体錬成する術を会得した事に起因します」

心理「オイ」

白垣根(まぁ、割りとマジでできちゃうんですけどね、人体錬成。
    …"垣根の錬金術師"も面白そうです)

白垣根「失礼、正確には人体構築技術ですね。
    それを獲得した垣根帝督は欠損している自分の身体を未元物質で補填し、復活したんです。」

白垣根「すると、垣根帝督の体の一部となった未元物質が侵食し、垣根帝督と未元物質の境界線はかなり曖昧になりました」

白垣根「そこから未元物質の実験を繰り返して、自分自身も作れると知り、作れるだけ作りました。」

白垣根「その結果。垣根帝督の精神は未元物質に溶け、未元物質で作られた誰もが『垣根帝督』たりえるようになりました。」

心理「じゃあ、あの人は死んだの?」

白垣根「いえ。超能力『未元物質』と一体化した…と言った方が正確ですね」

白垣根「そして、『垣根帝督』達は各々が未元物質で『垣根帝督』を48人作り、また更に…とねずみ算式に増やしていったんです」

白垣根「未元物質の性能実験班、自分がいなくなってから現在までの学園都市の情報収集班、樹形図の設計者再現班、城の建築なんかで班を分けて平行作業。」



白垣根「その後、各『垣根帝督』が作り出したKKN48《カキネフォーティエイト》の活躍により、樹形図の設計者と私達をKNW《カキネ・ネットワーク》で繋ぎ、演算の底上げが成された事で更にパワーアップしました。」

白垣根「とまぁ、そして今に至るわけです。」ニコッ

心理「へぇ…」


心理「色々パクりすぎじゃない?」

白垣根「ご心配なく。自覚はあります」ニヤリ



心理「…ところで、あなた達『垣根帝督』は何の目的があって、ここまでやったわけ?」

白垣根「それは…、すみません。元スレーヴ個体の私にはわかりかねます。」

白垣根「私を産んだ個体は『復讐』、『どこまで進化できるかを試したい』、『この街を掌握、人質にアレイスターと交渉する』…
    なんて言っていましたが」

心理「…そ。まだ諦めてなかったんだ。あの人」

白垣根「そのようです。」フフ

心理「にしても、復讐はともかく『進化』ね…」

心理「『進化の最終地点は自滅だ』なんて聞いた事があるけど。」

白垣根「ああ、たぶんそれは適切ではない、見切り発車で進化してしまったケースの事ではないでしょうか。」

心理「?」



白垣根「そうですね、例えば…」フム

白垣根「『空気は無限にある。だから食べ物に困らないように空気を食べて生きていけるように進化した』」

白垣根「そんな生物がいたとします。」

心理「うん」

白垣根「当然ながら、淘汰されない限りその生物達は爆発的に増えるでしょう」

白垣根「ところが、ある日学園都市の兵器により、その生物達が住む一帯の空気が永久消滅したとします」

心理「意外とありえそうで嫌ね、それ。」

白垣根「あとは言わずもがな。彼等は突然の環境の変化に対応できず絶滅…」

白垣根「過ぎたるは及ばざるが如し…といいますか。」

白垣根「いくらでも環境が変わる可能性がある中で、ある一点に集中特化した故にフレキシブルな対応ができず絶えてしまう…という話でした。」ペコ

心理「…なるほど。じゃあ、あなた達も考えて進化しなきゃね」

白垣根「そうですね。もし進化する時が来たとしたら。一考するようにしますよ」フフ



~再び、イギリス~


ウート「鉛筆ってさ、ヨーロッパだと10B~9Hまであるって知ってた?」

ベイロープ「へぇーそんなにあるんだ」

ウート「ん?」

街頭テレビ「緊急速報です!本日、学園都市が謎の白い物体に乗っ取られるという―――」

ウート「 」

ベイロープ「何かしらあれ…」

ベイロープ「学園都市にも困ったものね。ねぇ、ウートくん。次は――」

ウート「…わりぃ、ベルちゃん。俺、ちょっと学園都市に行かなきゃいけねぇみたいだわ」

ベイロープ「え?」


ウート「この埋め合わせはまた今度する。だから…ごめんな!」ダッ

ベイロープ「待って!ひょっとして、アレを何とかしにいくの?!」

ウート「いや、安否確認しに。」

ベイロープ「…『知の角杯』はいいの?」

ウート「…どっちみち、約束果たしてねぇから受け取れねぇよ。また今度もらいにくるわ」ヘラヘラ

ベイロープ(……ひょっとして、学園都市に女がいるから…?)ムムム

ベイロープ「なら…」




ベイロープ「私も学園都市に行くわ」


ウート「え」


ベイロープ「向こうで約束果たしてくれたらいいから」

ウート「えーと…その、安全保証ができねぇんだけど…」ポリポリ

ベイロープ「大丈夫よ。私、ちゃんと自分責任で行くから」

ベイロープ「…その、ウートくんが心配なのよ……ダメ?」チラ

ウート「あー…む…わかった。じゃ、今から迎え呼ぶから。」




ウート「…まさかとんぼ返りになるとわ……」モシモシツッチー?



ウート「…あまっちやシギンが無事だといいんだけど」


本編投下終わり。以下オマケ。

たまに他所のスレ見てて、「あれ、ひょっとしてこれ、このスレでやろうとしてる事と被……る?」

ってなる時マジ戦々恐々。


オティヌス「今の私は14才相当の見た目なわけだが」

ロキ「そうですな」コクン

オティヌス「ほら、私…可愛いだろう?」

ロキ「そうですな」コクン

オティヌス「そこで思ったんだ。『成長した姿なら、もうどんだけ美しいんだ?』って」

ロキ「きっと、美の女神も裸足で逃げ出す美しさでございますな」コクン

オティヌス「で、成長術式を使ってみたんだが――――」


ウートショタザロキ「ふははー!この、あくのきょじんおうをたおせるかー!?ゆうしゃとーる!!」

ショタール「たおしてみせる!くらえ!あーくようだんぶれいどぉー!」ブォン!

ロリギン「うぇーん!わたしもなかまにいれてよぉー!」グイグイ


ロリアン「べるしー、わたしがおおきくなったらけっこんしよう?」グイグイ

ベルシ「」

ロリニル『まりあん、べるしがこまるからそのへんに。』ガタガタ


ショタムンガンド「さるがっそーでかくれんぼしたらおもしろそうだよな!やろう?」

ションリル「おー、いーよ!みんなさそってくるわ!」タタタ

ロル「あら、わたしもいれてもらってもいいかしら?」フフ



ロキ「…"負の50%"に傾いたわけでございますね?」

オティヌス「…うん」グスッ




オティヌス「今の私は14才相当の見た目なわけだが」

ロキ「そうですな」コクン

オティヌス「ほら、私…可愛いだろう?」

ロキ「そうですな」コクン

オティヌス「そこで思ったんだ。『もっと幼い姿なら、もうどんだけプリチーなんだ?』って」

ロキ「きっと、天使も裸足で逃げ出す可愛らしさでございますな」コクン

オティヌス「で、退行術式を使ってみたんだが――――」



ウート(ナイスミドル)「不思議だ…"恋"というのはどれだけしても飽きる事がない…」カラン…

ミドン「もう、こんなおばさんに期待させないで。させないでほしいよ///」カラン


ミドール「…『戦いに明け暮れ続けた後に残るのは屍の山だけ』…それをおじさんは身をもって知ったよ」フッ…

青年ガンド「トール…」


ミドンリル「酸いも甘いも、飲み込んできたつもりだったんだがな。どうやら俺はまだまだ子供らしい。」フフ

ミへル「…バカなひと。」


ミドアン「いいじゃないベルシ。一晩だけでもさ…?」ツツー

ベルシ「?!」

ミドニル『いいじゃない。一発くらいヤったげなさいよタマナシ』ガタガタ



ロキ「…また"負の50%"に傾いたわけでございますね?」

オティヌス「…うん」グスッ




ウート「~♪」

オティヌス「ウートガルザロキ。」ヌッ

ウート「ほわっ?!な、なんだよ急に!」ドキドキ

オティヌス「暇だから、"魔神クイズ"をやろう」

ウート「また随分唐突な…あー、一応聞くけどよ、なにそれ。」

オティヌス「私に関するクイズを私が出題する。それをお前が解く遊びだ」

ウート「あー…うん。まぁ別にいいけど」

オティヌス「では、第一問。」ターランッ!

オティヌス「私の好きな色は?」

ウート「えぇ?えーと…」ウーン

ウート(ぶっちゃけ、死ぬほどどーでもいいっつーか。つかわからん)

オティヌス「安心しろ。シンキングタイムは私が飽きるまでだ」タラタタ~♪

ウート「うーん。服からして…黒とか?」

オティヌス「ふむ。ふぁいなるあんさー?」

ウート「アハハっ、ああ。ファイナルアンサーだ」

オティヌス「………」←変顔しながら溜め

ウート「ぶふっww」

オティヌス「正解だ」テッテレー♪

ウート「お、やりぃ!で?なんかプレゼントでもくれるのか?」

オティヌス「十問正解したらな」フフン

ウート「つまり、あと9問付き合えと」ハハハ…





オティヌス「私の好きな本は?」


オティヌス「私がされて嫌な事は?」


オティヌス「私が今日つけてるブラの色は?」

ウート「いやつけてねーだろ」


オティヌス「私の好きな食べ物は?」


オティヌス「私の将来の夢は?」

オティヌス「私が――――





オティヌス「ふむ、やるじゃないか。まさか連続9問正解とはな。日頃からよく私を視姦しているということか」フフ

ウート「いや言い方」

オティヌス「では運命の十問目だ。」ターランッ!

ウート(早くお終んねーかな)


オティヌス「私が今。してほしいことはなんだ?」


ウート「え、えー…?」

オティヌス「ふむ。この問答は事前知識は関係ないし、難しいからな。ヒントをやろう」

ウート(いやどれも事前知識関係なかったし超難しかったんだけど)

オティヌス「ヒントは…これだ」バッ

ウート(両手を胸の前で八の字に広げた?)

オティヌス「ふふ。さぁ、当ててみろ。ウートガルザロキ」フフ

ウート(うーむ。普通にジェスチャーで考えると、)

ウート(『抱っこして』か、『抱きしめて』、『高い高いして』なんだが)


オティヌス「さぁさぁ。私の事を存分に考え、答えを出せ。ここまで来たら"降参"は無しだぞ?」フフフフ…

ウート「うーん…」

ウート(もーいいや。これで。)スッ…

オティヌス「?」

ウート「よいしょっ…と。」

オティヌス「?!」フワッ

ウート「『お姫様抱っこしてほしい』…でファイナルアンサーにしとくわ」ヘラヘラ

オティヌス「……」


オティヌス「―――残念、不正解だ。」ぷくぅ

ウート「あら。そりゃ残念だ。」ヘラヘラ

オティヌス「…だが。あんな理不尽なクイズに9問も正解したんだ。十問目もおまけで正解にしといてやる」

ウート「へー、マジで?何くれんの?」ヘラヘラ

オティヌス「ん…」スッ…

ウート「?顔を近づけて…?」


オティヌス「これをやろう」つ

ウート「………花?」

オティヌス「ああ。この"船の墓場"では珍しいだろう?たまたま見つけたんだ」フッ

オティヌス「そんな貴重なものだ。大事にしろ」ヒョイッ

ウート「はは、あんがと。」

オティヌス「では、私は皆に指示を出してくる。」スタスタ…


ウート「…ひょっとして。十問全部の答えも本当は不正解で。
    単に『どうだ?珍しいだろ?』って見せたかっただけだったりしてな。」クスクス


…その時、オティヌスから受け取ったベラドンナ・リリーは。

まだ、"船の墓場"の俺の部屋にあるんだろうか。


上条「なぁトール。」モッサモッサ

トール「どーした?上条ちゃん?」モッサモッサ

上条「昨日から明後日までお前が食事当番だよな?」モッサモッサ

トール「あぁ。だからこーして今日の晩御飯も作っただろ?」モッサモッサ

上条「うん、でな?」


上条「なんで3食全部ハンバーガーなのかなって」


ハンバーガー「こんもりもりもりてんこもり」


トール「いや…美味いじゃん?」モッサモッサ

上条「いや美味いよ?確かに美味しいよ?
   チーズバーガー、照り焼きバーガー、モスバーガー、激辛バーガー、アメリカンバーガー、サルサバーガー…
   いっぱいあるよ?」

トール「だろ?頑張ったんだぜ?俺。」モッサモッサ

上条「いや作ってくれるのはありがたいんだけど、毎食はキツいんだよ!」ダンッ

トール「…上条ちゃん……」モグ

トール「わかった。じゃあ明日は違うのにするな?」モッサモッサ

上条「頼むよ」モグモグ

インデックス「……」モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ


~次の日~

上条「………」

トール「どーした?今日はちゃんとハンバーガーじゃないぜ?上条ちゃん」

上条「………」チラッ


サンドイッチ「私の具でございますか?ハンバーグ、レタス、トンメェイトゥでございます」


上条「……あのさぁ、言いづらいんだけどさぁ……ハンバーガーと、変わらなくね?」

トール「は?全然違うだろ?」モグモグ

インデックス「とうまは文句つけすぎかも!食べられることに、作ってくれたことにもっと感謝すべきなんだよ!」モッサモッサモッサモッサモッサモッサモッサモッサモッサモッサモッサモッサモッサモッサモッサモッサ

トール「おー、インちゃんはいーこと言うな!」わっしわっしぃ

インデックス「ふふー」モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ


上条「………」

~3日後~

トール「飯できたぜー」

インデックス「わーい!」

上条「………」

ホットドッグ「…食えよ。」

上条「」

トール「どーした?上条ちゃん?食わねーのか?」マクマク

上条「…ダメだ、俺、もう……!」ガタッ

ホットドッグ「待てよ」

上条「?!」

ホットドッグ「…オマエが俺を食いたくねェのは、見た時からわかってた。だが、あえて言ってやる。」

ホットドッグ「俺を、腹一杯食え」

上条「でも…!でもさぁ!」

トール「? 上条ちゃんは誰と話してんだ?」モグモグ

インデックス「さぁ?」モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ

上条「毎日毎日!ブレッドアンダーザ、レタストンメイトゥハンバーグチーズハンバーグレタスアンダーザ、ブレッドなんだぜ?!」

ホットドッグ「それがどォした」

上条「限界なんだよ!人間は同じ物ばっかり食って生きていけないようになってんだよ!」

ホットドッグ「甘えるなよ、ヒーロー。」

上条「!?」

ホットドッグ「オマエのダチは、オマエが作ってくれっつったから作ってくれたンだろォが」

ホットドッグ「なら、そいつが何作ろォが自由だろ」

上条「でも…!」

ホットドッグ「だったら言い方を変えてやる。俺を残すのか?」

上条「!」

ホットドッグ「いいか、オマエがどンだけ拒否しよォと、俺はもう作られちまったンだ。
       オマエが食わなきゃ、俺は廃棄される。」

ホットドッグ「いいのかよ、ヒーロー。オマエのダチの『気持ち』を踏みにじって。」

上条「……っ、」


トール「あ、上条ちゃん。食わねーならラップしといてくれな?明日俺食うし」


ホットドッグ「オマエのダチが、『オマエのために』精魂込めて作ったもンだろォが。」

ホットドッグ「いくらでも俺を憎ンでくれたって構わねェ。その代わり…」

上条「…ああ…わかったよ、ホットドッグさん」


インデックス「とうまがホットドッグと喋ってるんだよ」ヒソヒソ

トール「明日病院連れてくか…?」ヒソヒソ


上条「イタダキマス……」

その後、上条さんちの食事当番は全て上条さんになりましたとさ。


トール「上条ちゃん、またホットドッグか?好きだなー」ケラケラ

上条「ほっとけ」モグモグ

~スクールアジト~

垣根「………」ボー

ゴーグル「……」

垣根「…暇。」

ゴーグル「………あ、はい」

垣根「はいじゃないが」

ゴーグル「………あ、はい」

垣根「はいじゃないが」

ゴーグル「………あ、はい」

垣根ゴーグル「「…………」」


垣根ゴーグル「「ぶはははははは!!」」

ゴーグル「うぇーいwwwwwwww」ツンツン!

垣根「ちょ、やめろってー!お前やめロッテー!」イヤイヤ

ゴーグル「やwwwwめwwwwねーwwwwしぃwwww」ツンツンツンツン

垣根「は、おまっ、ぶひゃひゃwwww」ニタニタ

※中学生がふざける時特有のあのテンションをご想像ください

ガチャ。

砂皿「俺☆参上wwwwwwww」キュピピピーン☆

垣根「っえーい!wwww」コツン

ゴーグル「っえーい!wwww」コツン

砂皿「っあーい!wwww」コツン

ゴーグル「いや、今カッキーツンツンやってたんすよwwwwwwww」

砂皿「はwwww?(*´∀`)♪まじでー?俺も俺もぉっ」ツンツンツンツン

垣根「ちょwwwwマジそれ弱いんだってwwww」

ガチャ。

垣根「!」シュバッ

ゴーグル「!」シュバッ

砂皿「!」シュバッ

心理「随分楽しそうな声が聞こえてたのだけど、なんだったのかしら?」

垣根「知るか。つーか、もう少し早くこい。"心理定規"」ギロ

ゴーグル「あ、心理定規さん、ちぃッス」ペコッ

砂皿「……仕事の話以外する気はないがな。それで?俺は誰を殺ればいい?」

心理「………」

心理(何故かしら。皆いつも通りなのに、すごい疎外感が)

この世には。

おとこのこにしかわからねぇもんがある。

      『スクール』。


垣根「――――っていうCMを考えたんだが」

ゴーグル「相当暇だったんッスね」

オマケ終わり。


残レス処理、どうしようか考え中。何か要望か意見、その他あれば。

ひょっとしたら実現させられるかもしれない

ウート「えー、突然ですが。残レス処理しよーかと思いまーす。イエー」チパチパチパ

ウート「せっかくなんで安価の練習でもしようかと。」

ウート「ただ思いつきのままに俺が誰かとダラダラ話そうかと思います」ハイ

ウート「えー>>995くらい、時間は今日の23:00くらいまでやろうかと。」

ウート「そこまでいかなかったらまた次回、機会設けます」ウン

ウート「なお、ここからの空間は超時空。死んでる人間でも本編の人でも未登場キャラでもオーケーでーす」

ウート「※但し、あまりにもマイナーキャラだったりすると再安価か推測と憶測混じった感じになんぜ」


ウート「では、俺の話し相手を」

安価+1

ウート「話題とか、テーマとか、なんかそーいうのを」

安価+2

ウート「あ、いい忘れてたが連投もオーケーだ。人いねーかもしんねーしな」

安価↓

ウート「りょーかい、りょーかい!参加ありがとなー」フリフリ


ウート「…はい、では登場してもらいましょう!イギリス清教のかわいーシスターさんアンジェレネちゃんでーす!」チパチパチパチパチパチパ

アンジェレネ「ど、どうも…」オズオズ

ウート「やー、よく来たね!ま、座って座って!」カモーン

アンジェレネ「し、失礼します…」

ウート「ガッチガチだねー」ハハハ

アンジェレネ「は、はい…」

ウート「ま、あなたの好きなこれでも飲んで。まずはりらーっくすりらーっくす。」つ

アンジェレネ「わ!チョコラータ・コン・パンナ!いいんですか!?」

ウート「いーよいーよー」ヘラヘラ

アンジェレネ「…あの、シスター・ルチアには…」

ウート「大丈夫大丈夫。言わないよん」

アンジェレネ「!」パァ

アンジェレネ「いただきます!」

ウート「たんとお飲みー」ヘラヘラ






ウート「落ち着いたー?」ヘラヘラ

アンジェレネ「はい!ごちそーさまでした!」ニヘ

ウート「いやいや。」

\ピロン♪メールだぜ!/



ウート「お?来たな。えーと…『魔術サイド科学サイド連中の服装について
』」

アンジェレネ「服装、ですか?」


ウート「んー…確かに、魔術sideに関しちゃ、一般の人からしたら変わってるからなぁ」ウン

アンジェレネ「そうなんですかね?」キョトン

ウート「まー、俺達みたいなドップリ魔術師な魔術sideからすっと、あんまり違和感は感じねぇんじゃね?」

ウート「あくまでも術式を扱うためだから、ファッションセンスは二の次三の次だし。」

アンジェレネ「ですよねぇ」

ウート「この感覚を伝えるとしたら…何て言うんだろうな…あー、あれだ、海でダイバーの人見かけた時を想像してくれ。」

ウート「たぶん俺達の気持ちがわかるはずだ」



アンジェレネ「科学sideはどう思います?」

ウート「変だよな」キッパリ

アンジェレネ「」

ウート「いや、別にな?某ウルトラマンさんやさらし、ハチメイドさんの事を言いたいわけではないんだぜ?」

ウート「ただなー、なんか…こう、」

ウート「個性を大事にし過ぎてる人っていうか…さ?」

アンジェレネ「…私も変だったりするんですかね」ショボン

ウート「んなことねーって。俺はアンジェレネちゃん、超可愛いと思うし」ナデナデ

アンジェレネ「えへ、そうですか?ありがとうございますー」エヘー

ウート「じゃ、次の話題をメールくれぃ」カモーン


安価+1(話し相手を変えてもOK。一人なら増やしてもOK)


ウート「ん?」

ダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラ♪←ドラムロール

パンパカパンパンパンパカパーン♪

シャッ。

バードウェイ(姉)「私だ」ドーン!!

アンジェレネ「」

ウート「…随分、ハデな登場っすね、姉御…」

バード「フフン、私の登場シーンだぞ?凡庸な登場なぞしていられるか」フフン

ウート「さすがッス、姉御」

アンジェレネ「私と同じくらいの子…」←ウートの後ろに隠れ

バード「なんだと?私の方が大人だろ!」プンスコ!=3

アンジェレネ「ひぃ」

ウート「はいはい、そこまでなー。あ、姉御。こちらにノンアルコールカクテルの代表格をご用意しております」つ

バード「ほう?気が利くじゃないか。ホストっぽい格好をしているだけあるな?」






アンジェレネ「バードウェイさんの飲んでるやつってなんなんですかね?」ヒソヒソ

ウート「ん?まぁ言っちゃうとただのミックスジュースだな」

アンジェレネ「わ、私もジュース欲しいですっ!」

バードウェイ「ノンアルコール・カクテルだっっっ!!」ダンッ



\ピロン♪メールだぜぃ!/


ウート「お?何々…?『魔術師の行き過ぎた個人主義について』」



アンジェレネ「あ、ミックスジュース美味しいですー」ほふぅ

バード「貴様…!」ピキピキ



ウート「"大人な"バードウェイ姉御はどう思います?」

バード「! うむ、そうだな…」

バード「やはり、魔術師というのは"大人になれなかった"人間だから…ではないだろうか」

アンジェレネ「? 私達子供ですよ?」

バード「…落ち着け、私。落ち着け…」プルプル

ウート「…といいますと?」

バード「言った通りだよ。そもそも、『個人主義』というのは、言い換えればただの自己中だ。」

バード「人間社会でそんなものが許されるのは、精々が大学生くらいまでだ」

バード「いや早ければ、大抵は小学生くらいから『自己中ではやっていけない』と理解する」

バード「そういった"大人"な精神性を会得しないで来てしまった…とでも言えばいいのかね」

バード「ま、通常の物理法則をねじ曲げて自分の理想とする事を、物を、無理矢理現実化できてしまう…」

バード「それを幼い頃に知ってしまったから、魔術師は我が強く、どこか子供で個人主義が行きすぎてしまう…ではないだろうか?」

バード「ということさ」

ウート「へぇー…」

アンジェレネ「…じゃあ、バードウェイさんもやっぱり自分が子供だって認め…」

バード「そろそろキレるぞ?!」



ウート「じゃ、次の話題をメールくれぃ」カモーン


安価+1(話し相手を一人増やしてもOK。ウートガルザロキ以外なら減らしてもOK。)

上条が建てたフラグの数々について

ウート「りょかいー。よかったら話題も頼むぜ」

安価+1

ウート「おっと。>>955で行くぜ。参加ありがとな」

/  パカッ。  \

   ∥∥∥ヒュー

上条「おわーっ?!」ベチャ!

ウート「いらっしゃーい。Mr.アンラッキーマン」

アンジェレネ「あ、上条さん」

バード「なんだ貴様か」

上条「な、なんだ?!なんだなんだよなんですかぁ?!上条さんをどうするつもりだコノヤロー!」

ウート「あ、そういえば…」ツカツカ

上条「?」

ウート「ふんっっ!!」バキャ!

上条「ぐはっ?!」ビターン!

ウート「今ので、バゲシティでのアレはチャラにしてやるよ上条」ヘラヘラ

上条「」チーン!







ウート「ほらよ、コーヒー飲みな」つ

上条「あ、ああ…」ズズー


\ピロン♪メルメルメ~/

ウート「お、来たな。えー…『上条が建てたフラグの数々について』」


上条「フラグ…?いやでも上条さんにそんなハッピーイベントなんて…」

ウート「いや?"フラグ"としか書いてねーんだけどー?勝手に幸せな理解をしようとしない方がいいぜー?」ゲヘヘ

上条「え」

ウート「いや例えば"死亡フラグ"だとか」

上条「そんなフラグも立てた覚えねーよ!」


バード「……」

アンジェレネ「あ、そういえばバードウェイさんは…」チラ

バード「誰がお兄ちゃん属性だ!!」クワッ

アンジェレネ「ま、まだ何も言ってないですよぉ!」ヒィィ





ウート「しっかし、羨ましい限りだぜー。何か特別な努力をしてるわけでもないのに魅力的な美少女達と出会い、落としてんだからなー」

上条「落とした、とか自覚がないんだけどな…」

ウート「…いや、それ本気で言ってんならもう病気だからな?」ポン

上条「辛辣ッ?!」ゴーン!

ウート「大体、普通わかんだろ?特にみこっちゃんなんてわかりやすすぎるじゃねぇか」

上条「御坂は友達だって!大体アイツもそんな風に接してきたことないし…」

ウート「はーい、じゃー説教しまーす」パンパン

上条「ええ?!」

ウート「いいですかー?好きでもないやつに対して、女の子はあんな表情しませーん」
ウート「携帯ペア契約も、共闘も、あんな態度もとりませーん」

ウート「わかんねぇか?」

上条「はい」キッパリ

ウート「…オーケーオーケー。じゃあ…」

ウート「インちゃん、姫ちゃん、雲川姉妹、みこっちゃんに妹達、サンドリヨンにオティヌス、アリサ、ねーちん…」

ウート「これらの女の子達に惚れられている、またはあと少しで落ちる…っていうのは?」

上条「いやいや!普通に仲いいだけだって!」


ウート「バッキャロー!いいか、朴念仁や鈍感が通用するなんてなぁ、小説の中だけなんだよ!」

ウート「一応先輩として言うけど、そんなんすぐ愛想をつかされるんだよ!」

ウート「俺は、前に3人の子に惚れられていた事があったんだけどな?」

上条「なんですと」

ウート「いいから聞け。それで、つい好奇心で…試しにお前みたいな小説の主人公を演じてみたことがあったんだわ」

上条「はぁ、」

ウート「全員、すぐ俺から離れたぞ」

上条「」

ウート「いやもう、本気でビビった。」

ウート「例えば、そのうちの一人の女の子のケースだと、

『あれ?髪型変えたんだねー』

『え、よく気づいたなー』

『その、ずっと、君を見ていたからっ…』

って顔真っ赤にしながら言ってきた時に

『え?俺なんか変だった?』

って言った時の真っ赤→真顔→冷たい眼にシフトしてった時と言ったら…」


上条「」

ウート「だから、言っといてやる。女の子の気持ちには敏感になれと」キリッ

上条「そう言われてもなぁ」

ウート「ばか!いいか、じゃあさっき言った女の子は皆お前に惚れかけている前提でよく観察しろ!」

上条「わ、わかったよ」

ウート「なるべく、女の子は泣かせるなよ?」ッタク




アンジェレネ「…バードウェイさんの名前挙がりませんでしたね」

バード「ッチ、そうだな……って、私は違う!違うんだからな?!」

アンジェレネ「…」ニヤニヤ

バード「違うといってるだろ!」

アンジェレネ「そうでしたね、バードウェイさんは上条さんに恋人になってほしいんじゃなくて、お兄ちゃんになってほしいんですもんね?」ニッコリ

バード「あああ、もぉ―――!!」モダモダ


ウート「じゃ、次の話題をメールくれぃ」カモーン


安価+1(定員オーバー。ウートガルザロキ以外なら話し相手を一人減らすか、入れ替えてもOK。)


上条「つーかさ、俺、お前がそんなにモテるなんて思えねぇんだけど。なんか鼻につくし」ジー

ウート「…あのなー、俺、水面下でも普段からも色々日々努力してんだぜ?これでもな」

上条「ふーん?」


ウート「ん?」カタカタ…カタカタ…

ウート「わり、ちょい通信霊装が。…もしもし?…あ、はーい。」

ウート「アンジェレネちゃーん?」

アンジェレネ「はい?」つチョコラ(以下略)⊂

ウート「シスター・ルチアが早く帰ってこいってさ」

アンジェレネ「あ、門…限…」ガタガタ

ウート「あー、大丈夫大丈夫。シスター・ルチアにはちょっと口聞いとくからさ」

アンジェレネ「!ありがとうございます!」

ウート「いーっていーって。あ、これお土産ね。また来てよ」フリフリ

アンジェレネ「わぁ、ありがとうございます!それじゃ」フリフリ

上条「またなー」フリフリ

バード「またな」フリフリ

タタタ…




ガチャ。

アニェーゼ「シスター・アンジェレネ。お迎えに来てやりましたよー」

ウート「え?アンジェレネちゃんなら今入れ違いで帰ったけど?」

アニェーゼ「んな?!…ここまで来るのにどれだけかかったと……」ヘタリ

ウート「あ、よかったら少し休んでく?お茶とお菓子くらい出すよ?」ヘラヘラ

アニェーゼ「…お言葉に甘えます」






\ガーガッガッガノイジー♪耳をふーさいだーらー♪/

ウート「お、きたか。えー…」

ウート「『上条さんに対する2人の印象というか求める理想像』」

上条「え、俺?」

アニェーゼ「」

バードウェイ「」

ウート「あー…確かに、似通っては、いるよな?」チラ

ウート「…一応、上条には耳栓渡しとくな?」つ

上条「はいはい、聞くなってことですね」スポッ



ウート「じゃ、きーていい?別に普通に人物評価してくれればいいからさー」ヘラヘラ

バードウェイ「そ、そうだな!」アセアセ

アニェーゼ「普通に!普通にしてれば問題ねーですもんね!」アセアセ


ウート「じゃー、アニェちゃんから。上条の印象はもしくは求めるものは?」

アニェーゼ「えぇ…うーん…印象の方なんですが、『父親』…ですかね?」

ウート「へぇ?」

アニェーゼ「『法の書』の件でもそうでしたが、ほとんど関係ない誰かのために立ち上がって、私に戦いを挑んできやがりましたし…」

アニェーゼ「なんと言うか、親が無償で子供を守ろうとするみたいだって言うか…」

ウート「なるほどね」

ウート(それは、どっちかっていうとアニェーゼが求めているもの、な気がするけどね)

ウート「そっかー。何か求めるものとかは?」

アニェーゼ「うぇ?!えーと、んー…求めるっていうか、やってほしいことなんですが」

アニェーゼ「私に添い寝して欲しい、ですかね」ポソリ

ウート「へぇ?何か理由はあったりする?」

アニェーゼ「前に、その…事故で!事故で一緒に寝てしまったことがあるんですが」

アニェーゼ「…何故だか、すごく安心したんですよ」

アニェーゼ「他のシスターにも頼んでみたことがあったんですが、あれほどのもんはなかった」

アニェーゼ「だから…お願いできたらなと」

ウート「なるほど。」ウン

アニェーゼ「い、言わないでくださいよ?」アセアセ

ウート「わかってるわかってる。絶対言わないって。」ヘラヘラ

ウート(…やっぱりさびしーんだね、アニェちゃんは)


ウート「じゃー次は姉御お願いします」ペコ
バード「ふん、いいだろう」

ウート「上条の印象は?」

バード「政治的カード、魔術師に対するジョーカー…私に有益をもたらしそうな"駒"、といったとこだな」フフン

ウート「本当は?」

バード「こんなお兄ちゃん欲しかったなー…って違う!そうじゃない!」ブンブン

ウート「ハハハ、わかってるわかってる。(棒)じゃ、求めるものは?もしくはしてほしいことは?」

バード「一生私の優秀な駒、友人、奴隷として働け…といったところかな?」ドヤ

ウート「なるほどさすが姉御。で本当は?」

バード「もっかいお膝に乗せてもらったり買い物行ったりしてほし…って何回トラップを仕掛けてくるつもりだ!クソヤロウ!」ウガー

ウート(やっべぇ楽しすぎる)



ウート「あ、もう耳栓はずしていいぜ」つ

上条「っと。おわった?」

ウート「ああ」

上条「何言われたかは…」

ウート「わりいが教えない。って約束したからな」ヘラヘラ


ウート「ま、変なことは言ってなかった。二人とも、年相応だったよ」ヘラヘラ



ウート「じゃ、次の話題をメールくれぃ」カモーン


安価+1(定員オーバー。ウートガルザロキ以外なら話し相手を一人減らすか、入れ替えてもOK。)



ウート「はい、アニェちゃんにホットミルク」

アニェーゼ「あ、ありがとうごぜーやす」クピクピ


\メールだよっ!メールだよっ!って、ミサカはミサカは着信をお知らせしてみたり!/

ウート「あ、来たな。えー…『上条さんに妹とか娘がいたらどんなことしたいか』だってさ。」

上条「また上条さん関連ですかそうですか」

ウート「じゃ、耳栓は――」

バード「あ、私は結構だ」フルフル

アニェーゼ「あ、私もいりません」フルフル

ウート「――だってさ」ニコッσ

上条「俺のプライバシーは守られないの?!」ガーン!







ウート「二人には少し離れたとこに待機してもらいました」

バード「…」シンケン

アニェーゼ「…」シンケン

ウート(まー、こっちの声は聞こえるんだけども)ゲヘヘ


ウート「んじゃ。聞くぜ?『もし妹がいたら』?」

上条「んー、上条さんちにはすでにインデックスがいるからなー」

上条「妹みたいだし、娘みたいだし…ちょっと想像しづらいっていうか」ハハハ


アニェーゼ「」

バード「」

ウート「…お前さ、もう能力名『超朴念仁《フラグブレイカー》にしたら?」ニコッ

上条「ええ?!なんでっ!?」ガーン!

ウート「いーからはよ答えろって」

上条「えぇ…うーん…」

上条「膝に乗せたり、買い物一緒に行ったり…」


バード「yes!yes!」ガッツ!ガッツ!


上条「漫画貸し借りしたり、旅行とか一緒に行ったりしたいかな」ニコッ



バード「あ、マークか?今すぐジャパンの面白いコミックを100シリーズ。あとスイス旅行のペアチケットを用意しろ。緊急だ」



ウート「へー。じゃ、『もし娘がいたら』?」

上条「えー…上条さんは記憶喪失だから、そういうのは何したらいいかわかんないんだよなぁ…」

アニェーゼ「」ションボリ


ウート「! いやいや、上条が『こうしてあげたい』とか『これやったら喜ぶんじゃないか?』とかさ」

上条「えー…うーん……一緒に寝たりとか?」


アニェーゼ「しゃー!」バンザーイ


上条「お洒落な靴買ってあげたりとかかな」


アニェーゼ「ふむ。ねだれば、意外と新しい厚底を…」


ウート「へー、いいじゃん。なんだ、ちゃんとそういうのわかってんじゃん」ハハハ

上条「そ、そうか?」ヘヘ



ウート「(゚∇^d)」


バード「(*゚▽゚)b」

アニェーゼ「(*゚▽゚)b」


ウート「じゃ、次の話題をメールくれぃ」カモーン


安価+1(定員オーバー。ウートガルザロキ以外の話し相手を減らしてもいい。入れ替えるのもOK。)



ウート「いやぁ、お前意外といい仕事するよな」ヘラヘラ

上条「なんのことだ?」

ウート「気にすんな」

アニェーゼ「…さて、私もそろそろ帰りますかね」ヨイショ

ウート「あ、大丈夫?送っていこうか?」

アニェーゼ「あ、大丈夫です。自力で帰れますんで」

バード「なら、私もそろそろおいとましようか。」ヨイショ

バード「二人なら安心安全だ」

アニェーゼ「いいんで?」

バード「ああ。帰る頃にはマークがコミックを用意しているだろうしな」

ウート「そっか。じゃあ気を付けて帰ってね」

バード「ああ。中々楽しい時間だったよ」フリフリ

アニェーゼ「また会いましょう。今度はイギリス清教にも来やがってください」フリフリ

ウート「おー。あ、これ土産な。んじゃ!」つ

上条「じゃーなー」フリフリ






コンコン。

ウート「どぞー」

五和「失礼します」

オルソラ「お邪魔するのでございますよー」

上条「五和?!オルソラも!?」

オルソラ「あら、おひさしぶりなのでございますよ」ホワホワ

五和「か、上条さん?!お元気でした?///」

上条「おー。二人ともどうしたんだ?」

五和「実は、夕飯の買い物に来たのですけど、たまたま散歩中のオルソラさんと会いまして。」

オルソラ「お元気でしたか?」ニコニコ

上条「お、おう。それで?」

五和「歩いていく途中で上条さんを見かけたものですから。挨拶しようって///」ニコッ

上条「そっかー」

ウート「時間あるならだべってく?」

五和「あ、いいですか?じゃ少しだけ…」

オルソラ「実は、散歩をしていたのですが、途中で五和さんと」

上条「オルソラそれもう聞いた」






ウート「へー、二人ともそんな苦労があったんだなー」ヘラヘラ

五和「はい!それで私は上条さんと…///」
オルソラ「お煎餅とお茶が美味しいのでございますよー」ハムハム


コトン。


ウート「お?ポストにきたか」スタスタ

ウート「えーっと」ビリッ、パラッ…


ウート「『安く作れる美味しい料理について』」


上条「料理か。確か二人とも料理得意だったよなー」

五和「と、得意ってほどじゃないですけどね!」ブンブン!

オルソラ「そうですね、自信はあるのでございますよ」ポワポワ

ウート「へー。」ヘラヘラ


ウート「じゃあ、安く作れる美味しい料理で何かオススメみたいなのってあんの?」


オルソラ「そうでございますねぇ…」ウーン

五和「金額にもよりますけど…」ウーン

上条「もやしかな」

ウート「ん?ああ、そういやお前もそこそこ作れたんだっけか」

上条「ああ、インデックスにいつも作ってるしな」

ウート「で、もやし?」

上条「ああ!もやしはいいぞ!なんてったって安い!美味い!適当に調理しても美味い!」

上条「もやし《マイフレンド》には随分助けられたんだ…!(遠い目)ビバもやし!ハイルもやっしー!」



ウート「それで、お二人はどうよ?」

五和「んんー、山菜料理でしょうか?採ってきますから材料費はタダですし…」

オルソラ「パスタ系でございますね。安価で、大人数にも対応できますし。」


上条「」


上条「聞けよ!俺の話しを!もやし話聞けよ!」ウアアアア!

ウート「いや、だってつまんねぇし…」メソラシ

五和「か、上条さん!私ならいくらでも聞きますよ!お話聞かせてください!///」

上条「五和ぁあああ!五和はやっぱりいい人だな!」

五和「ええっ?!いい人(恋人的な意味で)?!///」


オルソラ「あ、もしよろしかったら私今から皆さんにパスタ料理を振る舞うのでございますよ」ポン!

ウート「あ、じゃおなしゃーす!」ヘラヘラ



ウート「じゃ、次の話題をメールくれぃ」カモーン


安価+1(定員オーバー。ウートガルザロキ以外なら話し相手を減らすか、入れ替えてもOK。)


オルソラ「~♪」サッサッ

ウート「よかったら手伝うぜー」ヘラヘラ

オルソラ「あら、ありがとうございます」ニコニコ

上条「そんで、もやしのシャキシャキ感を際立たせるために――」

五和「へーそうなんですかー///」ニコニコ






オルソラ「ここでオリーヴオイルをどっぱぁ!なのでございますよー」どっぱぁ

ウート「」


オルソラ「…あら?オリーヴオイルが切れてしまったのでございますよ」コマッタ


ウート(丸々一本分入れてまだ入れんの?!)ガビーン!


オルソラ「私、ちょっと買ってくるのでございますよ」ヨイショ

ウート「あ、気をつけてね」

ばたん。







デゥインドゥーン♪

ウート「はーい!」

ガチャ。

神裂「すみません、こちらに五和はいますでしょうか?」

ウート「あ、あん時14才神父の隣にいた…」

神裂「? ステイルのことでしょうか?」

ウート「あ、名前聞いてないからわからねぇな」

神裂「そうですか。それで、五和は?こちらにいるとシスター・オルソラからお聞きしたのですが」

ウート「あー、いるいる。あ、あがってきなよ」

神裂「いえ、すぐ済みますし…」

ウート「そ?」ヘラヘラ






五和「プ、女教皇?!なぜこちらに?」トタトタ

神裂「いえ、五和が遅いので天草式はもう出前をとったということを伝えに…」

五和「あの、それなら通信霊装でよかったんじゃ」

神裂「」


神裂「失念していました」キリッ

五和「あ、もしよかったら少し休んでいきませんか?あと少しでオルソラさんのパスタもできますし…」

神裂「いえ、そこまでお世話になる気は…」アタフタ

ウート「いーよー、ここはそーゆーのが許される時空だからね」ヘラヘラ

神裂「…そうなのですか?では…」



ヒュン。

カツッ!

神裂「敵襲ですか?!」サッ

ウート「いや、ただの矢文。」ヨイショ


ウート「えー…『神裂の服装について』」


神裂「?!」

上条「あれ?神裂も来たのか」



ウート「けっこー語り尽くされてるんじゃないかね?この話題に関してはさ」ヘラヘラ

神裂「な、何がですか!///」

上条「ふともも、お腹…」ボソ

神裂「~~ッ///」キッ!

上条「…」サッ

五和「女教皇の服装は切断威力強化、肉体強化の術式のため…でしたよね」

ウート「そだね。魔術師の俺らからしたらそんな違和感はねぇんだけど。」

上条「一般代表の上条さんからしたらちょっと…」ハハハ

神裂「ちょっと……?」シュラン

上条「あははは…ゴメン俺が悪かったんで刀はしまってください」


ウート「んー…十字教は専門じゃねぇんだけど。『アシンメトリー』と『露出すること』が術式を構成する上で必要だから…」

神裂「…ええ。これ以上は。上に一枚羽織るくらいならまだ壊さないのですが…」ウムム…

ウート「きちんとした服を着ているように見える霊装を持ち歩くとか、その戦闘服?を普段は着ないようにするとか…」

神裂「襲われる、戦えないと困りますから、後者は難しいですね…」ウムム

ウート「じゃ、神裂さんに似合いそうな服を…皆で色々コーディネートしてみっか。」

神裂「しかし、服は」

ウート「ハハ、大丈夫。何せ俺は『幻術師』だからさ」

キン!キン!






オルソラ「戻ってきたのでございますよー」つオリーヴオイルどっちゃり

ウート「あ、おかーりー」ヘラヘラ

上条「おー」

神裂「お帰りなさい、オルソラ。」

五和「お帰りです」


オルソラ「では、調理再開なのでございますよ」ニコニコ






オルソラ「できたのでございますよー」

ウート「お、美味っめっちゃ美味い!」モグモグ

五和「美味しいですね!上条さん、あーん」つ

上条「えっ?!」

ウート「…」ツン

上条「! あーん」

五和「////」ニヘ



神裂「…」モグモグ

ウート「……」ニヤリ

キン!キン!

―――――――――
―――――――――――――
――――――――――――――――

上条「神裂、あーん。」つ

神裂「?!」ブフォッ!!



―――――――――――

――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――



ウート「はい。以上。今までのは俺が皆に見せてた幻覚でした。」ヘラヘラ

ウート「次スレ立てと誘導をやるんで、まだ埋めないでくれると助かる。」

ウート「参加ありがとう。俺の練習につきあってくれてありがとな」フリフリ



いつも乙と感想レスあざす。すごく、励みになる。

また次のスレもよかったら。

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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年01月25日 (土) 23:24:32   ID: 4P5NnVaC

シギン可愛いのになんでss少ないんだろ?

ウートさんもこの作品で好きになった。

2 :  SS好きの774さん   2014年01月29日 (水) 23:33:40   ID: FvRdQ3ft

俺はこのスレで上サロに目覚めた

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