幼馴染「ごはんできたよー!」(235)

幼馴染「早く食べないと冷めちゃうよ」ユサユサ

男「ん…まじでもう少し…寝せて…」

幼馴染「だーめ。ほら、早く起きないと一緒の布団に入るぞ」

男「あーもう……朝から…。ほっとけよ母さっ…」

幼馴染「母さんじゃないぞー」

男「…!?」ぐるん

幼馴染「よっ」

男「…お…幼…?なんでおまえがここに!?」ガバッ

幼馴染「おはよっ」

男「…え?え…ちょっと待て…思考が追いつかない」

幼馴染「わかっちゃいたけど、ご両親がいないからってだらけすぎだぞ」

男「…待て…えーっと…」

幼馴染「ほら布団から出る」

男「…なんで朝からおまえが俺の家にいて…俺を起こしに来るの?」もぞ…

幼馴染「ん?ご両親に頼まれたんだけど。留守中頼むって」

男「留守?」

幼馴染「もしかして、何も聞いてないの?」

男「何を…」

幼馴染「キミの両親とウチの両親、今日から旅行で出かけるって」

男「…聞いて…ないんだけど」

幼馴染「毎度だけどすごいなキミの家庭は…自由すぎる…」

男「自由なのは父と母だけだ。俺は振り回されるだけで」

幼馴染「とにかく旅行の期間キミのことが心配だからって、ご両親からボクに頼まれたんだ」

男「何を…」

幼馴染「食事とか身の回りのこと。ほら、ご飯食べるぞ」

男「…イヤだ」

幼馴染「は?」

男「年がら年中家にいる台風が旅行に行ったんなら俺は平和を楽しむ…寝る」バフ

幼馴染「あっコラ!?そういうことにならないよう、ボクは頼まれたんだ。起きろ…!」ぐぐ

男「布団…引っ張んな…俺の束の間の休息を邪魔すんな…!」ぐぐぐ

幼馴染「ほっといたら…夕方まで寝るだろう…!そうはさせないぞ!」ぐいっ!

男「あっちょっほんとに布団返せ…」ガッ

ドスン

幼馴染「…」

男「…」

幼馴染「…」

男「ち、ちがっあの!これは!えっと、お、重いか!?って違ぁぁぁう!」グォォォォ

幼馴染「か、顔……近い…よ…」

男「ご、ごめん!!痛くなかったか!?」ガバッ

幼馴染「…うん…。ボクも無理やり引っ張ってごめん…なさい」

男「いやいやいや俺も粘り過ぎたし!今日いい天気だもんな!もう起きないとな!」

幼馴染「うん…ご飯…できてるから。…食べよ?」

男「おう!すぐ着替えてくから先に行ってくれ!」

幼馴染「わかった…」

スタスタ…

幼馴染(び、びっくりした…)ドキドキ

男(…驚き過ぎて一発で目が覚めた…早く顔を洗おう…)

男「いただきます」

幼馴染「いただきます」

男「…」モグモグ

幼馴染「人並みには作れてると思うんだけど、どうかな?」

男「…」

幼馴染「…男…?」

男「食卓でなあ!相手に『おいしい?』と聞くのはなぁ!」

幼馴染「!?」

男「内心ビクビクの作り手が!甘ったれて言うセリフなんだよ!!!」

幼馴染「…!?」

男「美味しいよ」にこ

幼馴染「キミはご両親からしっかり遺伝しているなぁ…自由さを」

男「それで、ウチの根無し草とおまえん家の両親はご旅行だって?」

幼馴染「うん、そうらしい。数日間行ってくるから、防犯も兼ねて一緒に生活しろって」

男「そういうことは息子に伝えろよなおやじも母さんも…」

幼馴染「それはボクもそう思う」

男「…ん?一緒に生活?」

幼馴染「うん」

男「おまえ…風呂とか寝るときはどうすんの…?」

幼馴染「…こ、こっちの家を…借りろって」

男「……………」カァ

幼馴染「な、なんで赤くなるんだ!」カァ

男「お、おまえだって赤いわ!」

幼馴染「な…!?そ、それはキミのがうつったんだ!」ボス

男「クッション投げるな!」

幼馴染「…」ハァ…

男「…疲れたな…」フゥ…

幼馴染「うん…」

男「冬期休暇になんでこんなに規則正しい生活してんだよ…」メソメソ

幼馴染「キミの一人暮らしは心配だなあ…」

男「ほっとけ。ところで今日は何する?2人でいるし、家では友達も呼べないな」

幼馴染「そのことだけど」

男「ん」

幼馴染「両親たちが…こ、これ…置いていった」スッ

男「映画のチケットか、用意がいいな…でも外寒いんじゃ」

幼馴染「ボクと観に行くの…嫌かな?」オド…

男「え!ううん、嫌じゃないよ。行こう!」

幼馴染「よかった」にこ

男(…なんだろう…変な気分だ)

コツコツ…

男「2人で出かけるなんて小学生以来だな」

幼馴染「そうだね。久しぶりにキミと出かけられてうれしいよ」

男「…俺もうれしい」ボソ

幼馴染「なに?」

男「なんでもない」

幼馴染「さて。映画が始まるまで時間があるね」

男「となりのゲーセンでも行く?」

幼馴染「そうだね」





男「…」

幼馴染「…キミはなぜ1000円も使ってUFOキャッチャーのアイスを取ろうとしたんだ…」

男「隣の芝は青く見える、ガラスの向こうは貴重に見えるのさ…」

幼馴染「全然かっこよくないぞこの状況でそのセリフ…」

女の子「…また失敗しちゃった…」

母「あら、残念…難しいわね…くまさんかわいいのにね」

女の子「…ぐす」きゅ

母「よしよし、また今度連れてきてあげるから、ね?今回は我慢できるわよね?」なでなで

女の子「」こくん




幼馴染「偉いねあの子、ちゃんと我慢した。できればとってプレゼントしてあげたいけど…」

男「……」チャリン

ウィー…ガッ…ポト

幼馴染「い、一発!?」

男「小さいタイプのキャッチャーは得意なんだ。それ以外は諭吉がいても無理」

幼馴染「…で、それどうする気?」

男「…ん。ん!」グイ

幼馴染「え…ぼ、ボクに?」

男「違うわい。あの女の子に。俺があげてもいいけど、多分…警備員が来るかも…」

幼馴染「なるほどね。わかった、あげてくるよ」

スタスタ

男「…さて」

幼馴染「お嬢ちゃんっ」

女の子「?」

幼馴染「これあげる」にこ

女の子「わあ!…あ…でも…お姉ちゃんがほしくてとったんじゃないの…?」もじ

幼馴染「お姉ちゃん本当はきりんさんが欲しかったんだけどね、となりのクマさんがとれちゃったの」

母(…)

幼馴染「だからね、それキミにあげる。もらってくれる?」

女の子「…うん!ありがとう!」にっこり

母「すみません…ありがとうございます」ふかぶか

幼馴染「いえいえ。いいんです」にこ

女の子「お姉ちゃんありがとう!またね!」ぶんぶん

幼馴染「ふふ。またね」

男「おかえり」

幼馴染「渡してきたよ」

男「おう、見てた」

幼馴染「嬉しそうにしてたよ」

男「そりゃよかった」

幼馴染「あの…」

男「ん?」

幼馴染「いや、なんでもないや」

男「…」

幼馴染(ボクも…ほしかったなぁ…。なんでもいいから…)

男「ほれ」スッ

幼馴染「…え」

男「お前の分。渡してくれてありがとう」

幼馴染「」ぽかん

男「い、いらないなら…取出し口から機械に投げ入れるけど」

幼馴染「も、もらう!もらう!」

男「…きりんじゃなくてごめんな」

幼馴染「ううん、ライオンかわいい…」

男「そろそろいい時間だ。映画館に行こう」

幼馴染「うん」


幼馴染「…ありがと…」きゅ

男「ぐすっ…」

幼馴染「キミは本当に涙もろいな…」

男「だっで…あが…赤ぢゃん…無事で…よがった…」グス

幼馴染「感動もしたけど、ボクはジャッキーチェンの動きに夢中だったよ。また観たいな」

男「グス…ああ、たしかにあの人はすごいよな」

幼馴染「さて、このあとはどうする?」

男「お昼には早いか。買い物でも行こうか」

幼馴染「うん。ちょうど服が欲しかったんだ」

いらっしゃいませー

男「…おまえこういう服屋も来るんだな…」

幼馴染「ぼ、ボクだって女の子らしい服に興味くらいあるんだからな!」

男「…へえ…」

幼馴染「く…面倒だったらそのへんの椅子で休憩しててくれ」

男「一緒に見るよ、せっかくだし」

幼馴染「…そうか、なら…」

店員「あれ?男?」

男「…女先輩さん?」

幼馴染「!?」ズキ…

女先輩「久しぶりだね。どうしたの?女物の服屋に来るなんて」

男「いや、幼馴染の買い物の付き添いで…先輩こそどうしたんですか?」

女先輩「私はここのバイトだよ。それにしても幼馴染ね…」チラ

幼馴染「…はじめまして」

女先輩「あななたち付き合ってるの?」

幼馴染「」ブッ

男「…!いやいや!そんなわけないですよ!ただの幼馴染です!」

女先輩「ふぅん?」

女先輩「2人でいるの結構いい感じに見えたんだけどねえ…」

男「…!…!!」

幼馴染「」クラクラ

女先輩「幼馴染ちゃんだっけ?どんな服を探してるの?」

幼馴染「…はぇ…?あ!あの…○○なものを…」

女先輩「…なるほど。じゃあためしにこれと…これを合わせてみようか」

男「…俺は?」

女先輩「あんたは待機!そのへんでジュース飲んでたらいいんじゃないかな」

男(適当…)

幼馴染「あ、あのボクは…さすがにこういう服は!」

女先輩(ボク…か)

女先輩「ワンピースやらスカートくらい試さなきゃ!さ、行きましょお客様」にっ

女先輩「こんなもんかな…こっち向いて…あらら…まあまあまあ」

幼馴染「へ、変じゃないですか?」

女先輩「なかなか器量よしだとは思ったけど…似合うわね…」ボソ

女先輩「着心地はどう?」

幼馴染「足がスース―します…」

女先輩「そりゃさっきまでズボンだったからよ。こういうカッコは普段しないの?」

幼馴染「興味はあったんですけど、よくわからなくて…」

女先輩「自信持っていいわよ、よく似合ってる」

幼馴染「ほ、本当ですか?女の子らしいですか!?」

女先輩「本当よ。せっかくだからあいつも呼びましょうか…」スクッ

幼馴染「へ」

ヴ―ッ

男「なんだ…?メールが…おやじからか」パカ

男「なになに…」

男「…」ブフォォッ

女先輩「な!?…何してんのあんた…!」

男「せ、せん…ゲホッ」

女先輩「幼馴染ちゃんの試着できたから迎えに来たんだけど…」

男「わ、わかりました。行きます。ゴホッ」

シャッ

女先輩「こんな感じよ。どう?」

男「…せ…背中を向けて…座り込んでますけど…」

幼馴染「…」ブルブル

女先輩「そうで…え!?ちょっと!」

幼馴染「は…恥ずかしいです!」

女先輩「こっち見なさい幼馴染ちゃん!」ぐい

幼馴染「こ…心の準備が!」

女先輩「あんたにとって男はその服を見せたくない相手なの!?じゃあ誰に見せたいの!?」

幼馴染「…」

女先輩「可愛い服着るのは見せたい相手に見せるからでしょ!ちゃんと見せて感想を聞きなさい!」

幼馴染「……!」

くる…

幼馴染「か…感想…」

男「…」ぽけー

女先輩「がんばりなさい」

幼馴染「へ…!変じゃない!?」

男「……か」

女先輩「か?」

男「………かわいい」ボソ

くるっ スタスタ…

女先輩「あれ!?男?どこ行くの!?」

幼馴染「…」ぺたん

女先輩「あっ…幼馴染ちゃんも大丈夫?」

幼馴染「…よかったぁ…」コテ



男「反則だよ…」スタスタ

女先輩「ほら、着替え手伝ってあげるから」

幼馴染「すみません…」

女先輩「…あんたは男のことどう思ってるの?」

幼馴染「…あ、あの」

女先輩「あたしには言わなくていいけどね。本人には伝えたほうがいいんじゃない?」しゅるっ

幼馴染「…」

女先輩「あんな奴だけど、優しいだろ。みんなのこと考えられるんだ」

幼馴染「…知ってます…」

女先輩「そっか。でね、そんなあいつだからさ。好きになるやつも多いかもよ」きゅっ

幼馴染「」ズキ

女先輩「後悔する前に、動いた方がいいんじゃないかなぁ…」スル

幼馴染「…ボクは…。ちょっと変な奴だから…」

女先輩「…どこが?」

幼馴染「女の子なのによくオシャレとかわからないし…。い、一人称もボクだし…」

女先輩「普通の子でしょ」

幼馴染「…だって!まわりにボクなんて使ってる子いないし!自分も変えたほうがいいかもって思っ…」

女先輩「好きな人に可愛いと思ってもらいたい、悩み多きただの女の子でしょ」

幼馴染「……。…それでも…ボクは…」

女先輩「…アイ…いや。あなたの好きな人はそんなこと気にする奴だとでも思うの?」

幼馴染「それは…。でも、怖いです…」

女先輩「わからないことは怖いわね。でも、わからないことを確かめることは、恋には必要なことよ」

幼馴染「たしかめる…」

女先輩「方法は1つだけ。さて、着替えはこれでいいわね。この服、どうする?」ニコ

幼馴染「…買います!」

女先輩「まいどあり♪」

女先輩「じゃ、レジ行こうか」

幼馴染「あの!」

女先輩「ん?」

幼馴染「あ…女先輩は、その…男のこと…」

女先輩「…どうかな?大人のお姉さんはミステリアスなのさ」

スタスタ

幼馴染「…」

女先輩「さて、会計も済んだけど…あいつはどこへ…」

男「ハァ…ハァ…」

幼馴染「な…どうしたんだそんなに息を…」

男「待ってる…最中に…他の店を見回ってきた」

女先輩「だめだぞー。デートの最中に相手を一人にしちゃ」

男「でっ…!!」

幼馴染「あぅぁ…」フラフラ

女先輩「あはは冗談だ」

男「まったく先輩は…。さて、買い物も済んだみたいだし、帰ろう」

幼馴染「うん…」

女先輩「また来なよ…いろいろと待ってるぞ」

男「いろいろ…?はぁ…」

幼馴染「…は、はい…!」

女先輩「またお越しくださーい」ぱたぱた

男「…少し遅いけど、お昼どうする?」

幼馴染「お腹は…あんまり減ってない…(緊張で)」

男「俺もそんなに減ってないな…(緊張で)」

幼馴染「じゃあ、今は我慢して早めに夕飯食べよう」

男「そうするか!材料の買い出しして帰ろうぜ」

幼馴染「うんっ…」

ガチャ

男「ただいまー」

幼馴染「さて冷蔵庫に…」ガサゴソ

男「手伝う」

幼馴染「うん…よし。これでいい」

男「まだ夕飯には早いしどうしよう…」

幼馴染「ふぁ……!…ごめん!」

男「はは。昼寝するか」

今日www仕事www
昨日www寝たのwwwたったの3時間とかwww
可能なら仕事先で投下するからwwwよかったらwww付き合ってwww

幼馴染(男はボクのことどう思ってるんだろう…)

幼馴染(確かめたいけど…もしなんとも思われてなかったら…)

幼馴染(もう…こんな風に遊べないのかな…それは嫌だなぁ…)

幼馴染「…ぐすっ」

ぶるるっ

幼馴染(…うう…冬だからか…布団に入ってても寒い)

幼馴染(…眠れない…)

男「くかー…」

幼馴染(…!)

幼馴染(……いや!?それはさすがに…嫌われるんじゃ…)

『後悔する前に、動いた方がいいんじゃないかなぁ』

幼馴染(いや、この場合動いたら後悔するんじゃ?ああでも素直にならないとボクは…)ぐるぐる

幼馴染(うう…でも今しないともう…次はこんなチャンス…うう!)

幼馴染「…自分に素直になろう…今回だけ。いや、寒いからだよ…?」がば

モゾモゾ

幼馴染(………)

幼馴染(同じ布団に入っちゃった…)

幼馴染(ど…どうしよう!ボク何してるの!?)

幼馴染(起きたときなんて言おう!?き、嫌われたらどうしよう…うぅ)

男「ん…」ゴロ

きゅ

幼馴染「あっ…」

幼馴染(…温かい…)

幼馴染(…ごめんね男…)

幼馴染(今だけ…こうさせてね…)きゅ

幼馴染(…おやすみなさい…)

幼馴染「すぅ…すぅ…」

男「…えーっと…」

幼馴染「すぅ…ん…」

男(どういうことだ…)ダラダラ

男(なんで起きたら幼馴染が同じ布団で寝てるの?)

男(あれ?俺無意識に布団に連れ込んだ?夢遊病かこれ!?)

男(………そっか!転がってベッドから落ちて来たんだな?そうだな??)

男(ヤバいよこれ絶対ヤバいよ…起きたら何言われるか…)

男(もしもう家に来てくれなくなったらど…どうする!?)

男(それは嫌だぞ!何か良い理由を…えーっと…!)

幼馴染「ん…ぅ…」きゅ

男(…!)ドキドキ

男(…よく考えたら要らないな理由とか!無意識!俺無意識!)

男(や、優しくなら…大丈夫かな…起こすのは悪すぎる…)きゅ

男(…なんだかいい匂いがする。シャンプーかな…)

男「…今だけ…許してな…幼…。おやすみ…」

男「……」

男「…!」ガバッ

男「…いない?」キョロ

男「幼…?どこだ…?」

男「幼……!?」

ガチャ

幼馴染「男、晩御飯できたよ…」

男「…」

幼馴染「…どうしたの?」

男「…」ぎゅうっ

幼馴染「ひゃ…!?き…え?え?」

男「起きたらいないから…びっくりした…」

幼馴染「ご、ごめ…でもその…びっくりしたのはこっちもっていうか…」

男「え?……あっ ご、ごめん!」バッ

男「ほんとごめん!その…ね、寝ぼけてた!」

幼馴染「えっ あ、そ、そうか!それじゃ仕方ないね!ボクは大丈夫だから気にしないで」

男「あ、ありがとう…」

幼馴染「じゃあ、居間で待ってるから…」パタパタ…

男「………うおおおおおおお」ゴンッ ガンッ ゴンッ ゴンッ ゴンッ

男「…いってぇ…。何してんだ俺…」

男「あれ?俺一緒に寝てた気がしたんだけど気のせいか?」

男「しかもなんでアイツ普通にしてんの…ほんとに夢?」

男「…それよりなにやってんの俺…もうバレバレだよ…キモいよ俺……」ばふ

男「………」

男「あぁぁぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉ…………」バタバタ

男「ずっと内緒にしてきたのに!誰にも言わずに来たのに…よりによって本人にあんな…」

男「さっきの昼寝とあのメールのせいだ!クソォ………」フリフリ

幼馴染「男ー?」ひょこ

男「うわぁぁぁぁああああ来るならノックしろぉっ!」

幼馴染「ご、ごめん…なかなか来ないんだもん…」しゅん

男「い、今行くよ。さ、行こう」スクッ

眠すぎる
有給の電話してくる

男「おまえどうやって料理覚えるの…」モグモグ

幼馴染「え…ま、まずい…?」オロ…

男「いや美味しいよ。なんで普通に料理できるのか謎なんだけど…」

幼馴染「お母さんの手伝いしたりとか…キミはそういうのしないの?」

男「少しはやるよ、肉焼いたり」

幼馴染「うーん、調理の手伝いすると覚えるもんだよ」

男「そうか。ならさ、俺に教えてくれよ。手伝うからさ。これからは一緒に料理するよ」

幼馴染「…」かぁっ////

男「えっ あっ!いや!?俺変なこと言った!?」

幼馴染「な、なんでもない」

男「顔赤いよ…」

幼馴染「なんでもないから、大丈夫…」

幼馴染(さっきの昼寝といい、今日はボク意識しすぎだ…これじゃばれてしまう…)

男「ごちそうさまでした」

幼馴染「ごちそうさまでした」

男「じゃあ風呂洗ってくる」

幼馴染「休まなくていいの?」

男「ん、平気だ。幼は休んでていいぞ。ご飯作ってくれたしな」

幼馴染「それじゃあ、お願いする…」

ゴシゴシ

男「…」

ゴシゴシ

男「…」

ゴシゴシ

男「…!」

ゴシゴシゴシ

男「…ふー…」

ジャーーー…

男「…ダメだ。何してても幼のことを考えてしまう…」


男「洗い終わったよ」

幼馴染「ありがとう」

男「…食器洗ってくれたのか。休んでていいのに」

幼馴染「あは。何かしてないと落ち着かなくてさ」

男「はは…俺は何かしてても落ち着かないけどな…」

幼馴染「うん?」

男「なんでもないよ。先にお風呂入るか?」

幼馴染「ちょっと休むよ。先に入って…」

男「わかった。じゃああがったら声かけるな」

幼馴染「うん」

男「…」ぬぎ…

男「まったくあのおやじ…」ぬぎぬぎ

男「そういうことかよ…」パサ

男「息子のためにこんなもん仕組んだのか…?」

男「昼間に変なメール寄こしやがって!」パカ

【送信元:父  件名:オッス!オラおやじ!】

 ヒャッホウ!元気か息子!今父達は岐阜の温泉宿にいるよ!
 もう映画館は行ったか?プロジェクトBBおもしろいぞ!
 あ、今回の旅行に際してひとつだけ言っとく

 幼馴染ちゃんのこと好きなら、素直になった方がいいぞ
 突然いったい何だよと思ったかい?あのな、
 ず っ と 気 付 い て た わ

 なんでわかったかって?
 バ レ バ レ だ よ 。それに俺は父だからな
            ▽

            △
 関係が近すぎて伝えづらいかもしれないけどな、人生の先輩としてアドバイスをあげよう
 恋は素直になった奴が強いぞ!
 大切な女の子に近くにいてほしいなら、きちんと伝えなくちゃだめだ
 後悔したくないなら、気持ちに素直になって、それを伝えることだ
 
 がんばりなさい

 追伸
 温泉から出たら母さんと幼馴染ちゃんのお母さんいなかった。ショッピングだって!
 父2人放置されちゃったよ!さみしい
 暇で仕方ないから宿の雪かきがんばった!腰いたいからまた温泉に浸かったよ!



男「…俺も今お湯に浸かってるよ…。そんなに簡単に素直になれたら苦労しねえよ…」

幼馴染「…自分の気持ちくらいはわかってるつもりだけど…」

幼馴染「どうしていいかわからないよ…」

幼馴染「ボク、本当にどう思われてるんだろう…。変な奴だって思われてないかな…」

『好きな人に可愛いと思ってもらいたい、悩み多きただの女の子でしょ』

幼馴染「男も…ボクのこと女の子って見てくれるのかな……そうだったら…いいなぁ…」コテ

ピーピピ♪ピピーピピ♪ピーピーピ♪ピピー♪

幼馴染「…メール?ボクにだ…」パカ

【送信元:お母さん  件名:チャオ☆】
 幼ちゃん、映画デート楽しかったかしら?
 まさか引っ込み思案になってやきもきしてる、なんてことはないわよね
 え?デートってどういうことって?
 
 そ れ は ね ?
 今回の旅行は男家と幼家の共通イベントなんだけど…
 その実態は、恋する者に素直になってもらう企画なの☆
 ロマンスのお母さんがおせっかいにも用意した大チャンスよ(>ω<)-☆

 あなたは昔からあまり自分のことを表に出さなかったけれど…
 男くんの前では素直に見えたわ
 それはなぜかしら?
 まあ、ひとつだけは隠し事をしているようだけど
            ▽

            △
 難しく考えることはないのよ
 ただ自分の気持ちに素直になるの
 そしてそれを相手に伝える
 伝えようとしなければ、それは努力を怠っていることになるわ
 自分自身の気持ちに対してね…

 あなたの伝えたいことは何かしら?
 愛情?友情?感謝?それとも他の何か?
 
 胸に抱えたその想いは、隠したままでは可哀そうじゃないかしら?
 あなたにとっても…

 しっかり、落ち着いてがんばりなさい。きっと大丈夫だから

 追伸
 パパ達放置して男くんママとお買いもの行っちゃった☆
 おみやげたくさん買ったから、楽しみにしててね
 お母さんも楽しみにしてるから…

幼馴染「自分の気持ちを…素直に…」スク

幼馴染「ボクが…伝えたいこと…」スタスタ…

幼馴染「ボクを…受け止めてくれていたこと」スルル

幼馴染「ボクを…素直でいさせてくれたこと…」パサ

幼馴染「…キミのこと…」クルクル

ガラッ ぺたぺた…

男「…あ?」

幼馴染「想いに…素直に…」ブツブツ

バシャ

幼馴染「ふぅ…。……あれ…。…!?」

男「…!……!!!」(必死に目を抑えている)

幼馴染「…やぁああああ!!!!」ばちんっ

男(俺悪くなくねっ!?)

幼馴染「やー!やああ!!!」べちべち

男「ちょ…いって…いって…何!?なんで入ってきたの!?と、とにかく洗い場の逆に体を向けんと…!」ぐる

幼馴染「グスッ、ちが、違うの!」ばちん

男「いってぇ!!何言ってんの!?背中痛いんだけど!」

幼馴染「考え事してたの!そ、そしたら…とにかく違うの!」

男「痛いよう…」シクシク

幼馴染「あっ ご、ごめん!ぼ、ボク出る」ス

男「ま、待て!」

幼馴染「?」

男「お湯体にかけちゃったろ?温まらずにでたら寒いぞ。こっち向いてるから、体洗えよ。交代で俺があがるから…」

幼馴染「…うん…」ゴシ…

男(あ、あれ?俺があがればよかったんじゃないか!?)

幼馴染「…見ちゃだめだよ」スル

男「見えないよ。さっきはタオル巻いてたし…」

幼馴染「うん…グス……うぅ」ゴシゴシ

男(音だけっていうのもキツイなこれ)

幼馴染(素直になるどころか引かれたよ!伝えるどころじゃないよ…グス)

男(まずいな。意識しすぎて…何かしてよう)ぶくぶく

幼馴染「…」ゴシゴシ…

男「…」ちゃぷ…

幼馴染「…あ」

男「…?どうした」

幼馴染「目を瞑ったまま…シャンプー…お湯…出せない」

男「…」

幼馴染「ど、どうしよう…」

男「あはははは…」

幼馴染「うぅ…」

男「…ちょっと待て、シャワー出すから」

幼馴染「で、でも今はタオル…」

男「見ないように努力は…する…」

幼馴染「…」

男「…」

幼馴染「…いいよ見ても…」

男「…は?え!?」ドキドキ

幼馴染「キミだったら見られても…平気。いや、平気じゃないけどさ」

男「…なんで…」

幼馴染「…キミだから」

男「…」

幼馴染「…」

男「…絶対見ない」

幼馴染「………やっぱり…ボクって魅力ない?」

男「…!違う!!!昼間だって…その…か、可愛かった…」

幼馴染「…ぐす……じゃあ…なんで?」

男「……そりゃ…おまえだからだ」

幼馴染「ボク…だから…?」ぐす

男「とにかくシャンプー流すぞ…あっ!足元だけ見れば!変なとこ見ないかも!」

幼馴染「…うん…」ぐしゅ

男「うぅ…と…よし!」グイ

ジャー…

男「この際湯船にどれだけはじいてもいいから!俺目ぇ瞑ってるから好きなだけ洗え!」

幼馴染「うん……ありがとう…」コシュコシュ

男「………。あのな、さっきの…理由だけどな」

幼馴染「うん…」コシコシ

男「おまえはな」

幼馴染「うん…」コシ…

男「俺にとってな」

幼馴染「……うん……」バサ

男「大切な人なの」

幼馴染「…」

男「だからな、大事にしたいの。それが理由」

幼馴染「…ひっく…」

男「…ごめん…」

幼馴染「なんで…謝るのぉ…」

男「いや、だって…おまえ泣いてるんだもん…」

幼馴染「泣い、てぇ、ないっ」

男「いや、泣いてるじゃん…髪洗い終わった?」

幼馴染「ま、だぁ」

男「…わかった。泣き止…髪洗い終わったら言ってな…待ってるから…」

幼馴染「…うぅぅ…!」だきっ

男「うわっ!?なな!?なに!?」

幼馴染「すきっ…なの…っ!男のこ、とぉ」ギュッ

男「えっ えっ え!?」パチクリ

幼馴染「ずっと、前から…ボクは、男、が、すきぃっ」グスッ

男「……!!!」ドキドキ

幼馴染「ボクを、受け止めてくれた、優しい、男、がぁ…好きなの…」

男「幼…」

幼馴染「ボクの、こと!素直で、いさせてくれて…ありあ、とぉっ」

男「…」

幼馴染「っぐっ、ひうっ、ううううぅぅぅ」

男「」ぎゅうう…

男「…今度は俺から言わせてくr…言わせてください」

幼馴染「ひっぅ…ぐす…」

男「すぐ泣くし、だらしないし…お世辞にもまともとは言えない俺…僕を…」

幼馴染「ひっ…うぅ…」

男「傍にいて、支えてくれて…優しくしてくれて、ありがとう」

幼馴染「…ふっぅ…」

男「ずっと前から、幼馴染のこと…好きでした」

幼馴染「…ぐす…ほぇ?」

男「こんな僕でよければ…」

男「………………つ……………………ぅ……………」

男「……………………付き合ってください!!!」

幼馴染「……………………………………………………………」

幼馴染「……………………………………………………………」

幼馴染「……………………………………………………はいっ」にこ…

男「…」

幼馴染「…」

ちゅう…

男「…ん…」ちゅ…

幼馴染「ン………ンっ……ッ……!」

ぷは…

男「…ふふ」にこ

幼馴染「えへへへ」にこ

ぎゅうっ

男「…ん。……はっ そういえばタオル…!!!」

幼馴染「…ああ!!?」べちん!

男「背中合わせで風呂ってのもあれだなぁ…」

幼馴染「や、やっぱり恥ずかしいんだ!」

男「ちゅーしたのに」

幼馴染「それとこれとは別だよ…」

男「あがろうぜ、そろそろのぼせる…」

幼馴染「うん、そうだね…」コテ

男(背中の体重…心地いいや…)

幼馴染「ふぅ、寝る準備はいい?」ふかふか

男「…その前にひとつ…」ゴソゴソ

幼馴染「…?」

男「…はいこれ。誕生日おめでとう、幼」ス…

幼馴染「覚えてて…くれたの!?」

男「まあな。元々今日はプレゼント買うつもりで…だから一人で外出する予定だったんだ…」

幼馴染「そうだったんだ…なら…いつのまに?」

男「おまえが服屋にいるときにな。走って汗だくだったよ、はは」

幼馴染「あっあり…ありがとう!」だきっ

男「わ!?おまえ積極的過ぎるぞ…」

幼馴染「えへへ。ボクね、キミへの気持ちに素直になることにしたんだ。…開けていい?」

男「お、おう」ドキ…

幼馴染「……!綺麗な色…ヘアピンだね!いいの?」

男「うん、いいよ。今日服屋で着てたのに合うかなって…」

幼馴染「…」パチ

幼馴染「…似合うかな?」

男「うん、その…かわいいと…思う」

幼馴染「…」ドキドキ

男「…」ドキドキ

幼馴染「ふ、布団…どうしよう」

男「1組で…いいんじゃないかな…その…温まるし…」

幼馴染「…」ドキドキ

男「…」ドキドキ

カチャ…

男「電気…消すよ…」

幼馴染「う、うん…」

パチ

男「…」ドキドキドキ

幼馴染「…」ドキドキドキ

スッ…スッ…

男「…幼…」

幼馴染「うん…?」

男「…キス…していいか…?」

幼馴染「ボクは…キミならいつでも平気。ううん、キミがいい」ニコ

男「…幼…」スッ…


ガチャ

「「「「ただいまーーーーー!!!!」」」」パチ

男「」

幼馴染「」

男母「どう?うまくいったかしら…あら?ふふ、同じ布団?」

幼母「あらあらうふふ…予想以上にうまくいったみたいね?」

男父「2人ともやっと素直になったんかー。これで一安心だよ。なっ幼父!」

幼父「今の私の戦闘力は100万以上は確実だよ…男くん…!」

男「……!!!」ドゲザァァァ!!!!

幼馴染「ち、違うよお父さん!これはその…ボクが…!」

男「…」スッ

幼馴染「男…?」

男「お世話になっています!幼のお父さん!」

男「この僕、男は!今日から娘さん、幼さんとお付き合いさせていただくことになりました!」

男母「あら…」

男「ついては幼父さんにもお付き合いを認めていただきたく!お願い申し上げるものです!」

幼父「…娘を傷つけたら空中大爆発では済まんよ…?」

男「ずっと大切にします!」

幼父「…」

男「…」

幼母「…」ぽっ

男父「えっ」

幼父「…」

男「…」

幼父「…あははははっ」

男「…?」

幼父「そう固くなるな。キミの事はよく知っているつもりさ」

幼母「パパったら旅館でね…

   『幼ちゃんは男くんとうまくやってるかな?』

   『幼ちゃんは男くんに美味しい料理食べさせてるかな?』

   『幼ちゃん、泣いて男くんを困らせてないかな?』

   『男くん男くん…』ですもの、うふふ」

幼馴染「お、お父さん…」

男父「はは、あんまりうるさいから買い物に連れて行ってもらえなかったんだよな!なっ」

幼父「や、やめろ恥ずかしい!」

男母「だからね、あんたは本当に、幼ちゃんのこと大切にしなきゃだめよ」

男「…」ふかぶか

男「ありがとうございます!大切にします!」

幼父「うん…頼むよ…」

男「はい!」

男母「幼ちゃんも、うちの息子、お願いね」

幼馴染「大丈夫です」にこ

男父「じゃあ俺たちは居間にいって飲むか!祝い酒!!」

幼母「男くんやっぱりいい男ねー…一緒に飲む?」

幼父「こらっ男くんはこれから…なあ?」にやり

男「…、…!あ、あのう…それはそのう……」しどろもどろ

幼馴染「お、お父さん!!!」

幼父「あっはっは。婿をからかっただけだ。それじゃおやすみ、2人とも」

男母「いい夢みるのよ」

ガチャ…パタン

ハハハハハハ…

男「……寝よう」ばふ

幼馴染「うん」モゾモゾ

男「…」きゅう

幼馴染「あっ………。手、温かいね」

男「うん?うん…。手、柔らかいな」

幼馴染「………」

男「……」

幼馴染「…おやすみ。また明日ね」ぎゅう

男「…おやすみ。また明日」ぎゅ…





「「だいすきだよ」」



おしまい

居間
ハハハハハハハ…
男父「ほんとよかったなー」

幼母「身近なところに恋があるって素敵ね…まるで青い鳥みたい」うっとり

幼父「ふふ、これでまた見守る楽しみができたな」

男母「どんなカップルになるのかしらねぇ…」



とあるマンション

女先輩「どんなカップルになるかは、本人たち次第じゃないですかねえ…」チビチビ

女先輩「…アタシは応援してるからなっ」ぐい



おしまい!!!

おまえらありがとう

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