響「闇のゲーム?」(363)

はいさい!みんな元気か―? 自分はいつも元気いっぱいだぞ!

自分、我那覇響 765プロってとこでアイドルやってるんだ
仕事は……まだ少ないけど、いつかきっとトップアイドルになってみせるからな!
今は同じような志を持った仲間たちと一緒に日々努力してるさ~


響「みんなー!自分と一緒にお昼しないか?今日はサーターアンダギーたくさん持ってきたんだ」

春香「……チッ」

千早「いきましょう、春香」

ガチャ、バタン!

響「うぅ……」

響「あっ、や、やよいはお腹空いてないか? ほら、サーターアンダギーどうかな…」

やよい「うっうー…わ、私は…」

伊織「やよいー、今日は私と一緒にお昼食べるって約束よねー?」

やよい「あ…うっ…でも」

伊織「そんな薄汚い油の塊よりよっぽど美味しいもの食べさせてあげるわよ」

伊織「それとも何?この伊織ちゃんの言うことが聞けないっていうの?」

やよい「うっうー、そんなことないけど…」チラッ

響「や、やよい……自分は一人でもなんくるないから、伊織と一緒に楽しんでくるといいさぁ」

伊織「ほらやよい、行きましょ。何だかここ空気悪いし」

ガチャ…バタン!

響「…なんくるないさぁ」

律子「気が付いたらもう一時近くね。そろそろお昼にしましょうか」

響「!ねえ律子、よかったらこれ…」

どたぷ~ん

響「うあっ…!」

あずさ「律子さ~ん、私この近くに美味しいお店見つけたんですけど~よかったらご一緒しませんか~?」

響「あ…あずささん酷いさー!急に後ろからぶつかるなんて」

律子「いいですね。でも行き方覚えてるんですか?」

あずさ「大丈夫ですよぉ~私に任せてください~」

響「無視しないでほしいぞ…」


小鳥「はいはーい、私も行きます!美味しい店なら私も行きたいです!」ピヨピヨッ

律子「小鳥さんは 駄 目 です」

小鳥「ピヨッ…」

律子「今やってる仕事、午後までに片付けておいてくださいって言いましたよね?」

律子「それが終わるまで休憩は無しです」

小鳥「そ、そんなぁ…」

律子「私たちが戻るまでには終わらせておいてくださいね。それじゃあ」バタン!

小鳥「う…ううっ、酷わ…あんまりよ。私だけ仲間外れにして」

小鳥「…コンビニにからあげクンでも買いに行こうっと」ガチャ


響(結局最後まで無視されっぱなしだったぞ…)

響「もういいや…一人で食べよ」

響「……」モグモグ

響「…おいしいさぁ」

コトッ

響「?」

雪歩「お茶ですぅ」

響「ゆ、雪歩…」ジワッ

響「あ、ありがとう雪歩、自分…」グスッ

雪歩「何で泣いてるの?それより早く飲んで感想を聞かせてよ」

響「うっ…そうだな」ゴシゴシ

響「ありがたくいただくぞ、雪歩の淹れてくれたお茶」ゴクゴク

雪歩「……」

響「ん、なんだかこのお茶変なとろみがあるな…」


響「って、ぶっへぇぇなんだこれぇ!苦くてピリッときたさぁ!」


雪歩「ぷっ…うふふ」


響「うげぇぇ、舌がヒリヒリする…」

雪歩「緑茶に青汁の素と練りわさびを混ぜてみたんだけど、どうだった?」

響「なんで…」

響「何でこんなことするのさぁ……自分、何か悪いことしたか?」

雪歩「……」

響「ねえ雪歩、答えてよ…」


ガチャ

真「雪歩、まだこんな所にいたんだ」

雪歩「あっ、真ちゃん」

真「春香と千早が待てるよ。早くご飯食べないと、昼休み終わっちゃうよ?」

雪歩「ごめんなさい、すぐに行きますぅ」

デサーキョウノレッスンチュウニネ

アハハ、ソンナコトアッタンダァ~

響「……」

響(いいなぁ、自分もあんな風に笑いあえる友達が欲しいぞ)

自分、765プロに来てからずっとこんな調子さぁ
入った時から周りに馴染もうと、皆と仲良くなろうと努力してるんだけど
何故か皆自分に冷たいんだ

……なんでだろう?

もしかして、自分があの悪名高い961プロから移籍してきたからなのかなぁ
でも、仮にそうだとしても腑に落ちない点が一つあるぞ

だって961プロから移籍したアイドルは自分の他にもう一人…

ガチャ

貴音「…響」

響「たかねぇ…」


貴音「……」

響「貴音、お昼は」

貴音「もう済ませました」

響「そ、そっか…」

貴事「特に用が無いのなら私は行きます」

響「あっ…ま、待って!待ってほしいさ」

貴音「何か?」

響「あぅ……えっとー…」

響「自分、自分はもっと貴音と仲良くしたいんだ。だから…」

貴音「何故そのようなことをする必要があるのです?」

響「それは…!貴音は…自分と一緒に961プロから移籍してきた仲間だし」

響「貴音だって、一人でいることが多いじゃんか…」

貴音「知っての通り、私は一人でいることが好きなのです」

貴音「それに、私は皆と最低限の意思疎通は図れています。あなたと違って」

響「うっ…」

貴音「では、これで失礼させてもらいます」

キィィ…バタン

響「……うっ…う゛ぅ…グスッ…どうして……どうしてさぁ」

貴音は961プロ時代からずっとあんな感じさぁ
いつも一人でいて月を眺めてることが多かったし、正直何考えてるか分からない
会話もほとんど仕事の話しかしなかった覚えがあるぞ

でも961プロにいた時は黒井社長の方針で極力他人と話さないようにしてたから、
こういうのも仕方ないと思ってたんだ

だからこそ、765プロに移籍した時はこれでやっと貴音と普通に話せる
貴音の他にも仲間が出来るって喜んだんだけどなぁ……

響「むぐっ、もうお腹一杯さぁ」

響「はぁ~…持ってきたサーターアンダギー、無駄になっちゃった」

自分以外誰もいない、がらんどうな事務所はまさに今の自分の心そのものさ……


響「暇さぁ……まだ休憩終わるまで結構時間あるし」

響「……そうだ。こういう時はあれをやるに限るね」ゴソゴソ

みんな、突然だけどここでクイズだぞ!
今自分が取り出した箱の中身、これなんだと思う?

ヒントは『見えるけど見えないもの』
さあ、わっかるかな~?


……ん~言い方が悪かったかな?

正解はパズルさ!ジグソーじゃなくて、立体パズルってやつ
ほら、この黄金のピースを組み合わせることで何かが完成するみたいなんだ

えっ?その何かって何だよだって? それは自分も知らないんだ
なにせ沖縄にいたころから数えて八年間、ずっと挑戦し続けてるんだけど
未だに組み上げられないんだもん……


響「よーし、今日こそ完成させてやるからな~」

響「……」カチャカチャ

響「うーんと……ここがこうで……」

響「……う゛ぅ…ここからよく分からないんだよなぁ~」

響「……あっ?でもここをこうすれば……」

亜美「亜美パ→ンチ」ドガッ

響「わっ!」ガシャーン

亜美「な~に一人でぶつぶつ言ってんのさー」

真美「暗い指数200パ→て感じだねぇ。ただでさえ今日は雨降りでじめじめしてるってのに」

響「亜美真美か…(あうぅ、せっかく組んだパズルがバラバラになっちゃった)」

亜美「なにこれ~何かの部品?」ササッ

響「そ、そうだぞ。これは見えるけど見えないもの……えーっと、つまりパズルなんだ。ちょうど今組み立ててたところさ」

亜美「ふ~ん。こんなので一人遊びしてるなんてひびきん暗いよ→」

響「…そんなの、自分の勝手だぞ」

真美「ねーねーそんなことより真美たちの遊び相手になってよ。やることなくて退屈でさ→」

響「!喜んで……って言いたいとこだけど」

響「その前にパズルの部品をこっちに返してよ。小さいから無くしたら大変さぁ…」

亜美「やだよ→返してほしかったら亜美たちを捕まえることだね」

響「えぇ、そんなのって…」

真美「ほらほら~早く捕まえないと真美たちどっか行っちゃうよ?」ダッ

響「あっ、事務所の外に…」

【事務所裏】

響「待てー!」

真美「亜美、パ→ス」ポイッ

響「あーっ、頼むから落とさないでくれよ?」

亜美「よっと。逃っげろ~」

真美「ひびきんに触られるとひび菌がうつっちゃうかんね~」

響「……」

響(流石に今のは少しカチンときたさぁ…)


響(こうなったら本気で捕まえてやるぞ。ちょと大人げないかもだけど…)

亜美「ほーら、ここまでおいで…」

響「」ダッダッダ

亜美「あれ?速っ…」

ガシッ

響「捕まえたぞ。さぁパズルを返してよ」ググッ

亜美「ちょ…ねえ、痛いから離してよ」

響「そのパズルは大切なものなんだ…だから」

亜美「痛いってば!」

響「あぅ……わ、悪かったさ」パッ


亜美「ほら、返す」ポイッ

響「うわっと…! 投げないでよ」

亜美「全く…こんな遊びに本気になんないでよ」

真美「年下相手にマジになっちゃうなんてメチャださださって感じ」

亜美「まっ、ひびきん私たちよりチビだけどね→」

響「むかっ、背はまだまだこれから伸びるさー!」

響「……はぁ、こういうことはもうこれっきりにしてほしいぞ」

響「自分、亜美真美と遊ぶのは嫌じゃないんだぞ? でもそれならもっと普通に遊びたいさぁ」

亜美「そんなこと言われても」

真美「ねー?」

伊織「あんたたち何やってんの?」

亜美「あーっ、いおりん聞いてよ~ひびきんがさぁ」

伊織「何ですってぇ? 響、あんた子供相手に手をあげたの?」

響「ち、違うぞ!自分は…」

真美「そうなんだよね。ちょ~っとからかっただけなのにムキになっちゃってさ」

響「真美まで…」

やよい「うっうー…」

響「やよいは、やよいは信じてくれるよな? 自分そんなことしないぞ!」

やよい「ううぅ…私…」

伊織「ちょっと響!やよいが困ってるじゃないの。止めなさいよ」

響「なっ…自分はただ」

伊織「あんたねぇ、自分の立場分かってんの?」グイッ

響「いっ痛だだぁっ!!ピアス引っ張らないで…」

伊織「この私にこうやって口きいてもらえるだけでも感謝しなさいよ。本来ならあんたみたいな未開人と一緒に居るだけで反吐が出そうなのに」

響「ど、土人って……酷い」

伊織「まあいいわ。今日のとこはこれくらいで勘弁してあげる。それ持ってとっとと私の視界から消えなさいよ」

響「うぅ…分かったよ…」

真美「いおりん怖~い♪」

亜美「惨めだねぇ、ひびきんの後ろ姿」

伊織「ふん!あいつを見てると無性に腹が立ってくるのよ。自分でも不思議なくらいにね」

亜美「あっ、それ分っかる~」

真美「ひびきんって、見てると何だかいじめたくなっちゃうんだよね→」

伊織「それであんたたち、あいつから何盗ったの?」

亜美「それがね~亜美にもよく分かんないんだよ。ひびきんが言うにはパズルらしいんだけど」

真美「『見えるけど見えないもの』だっけ? 真美にはただのガラクタにしか見えないよ」

伊織「ふーん、まあ別になんでもいいんだけど。どうせなら返さなきゃよかったのに」

真美「んっふっふ~♪ 真美、今いいもの持ってるんだよねー」ゴソゴソ

伊織「?」

真美「じゃじゃーん↑実はもう一個盗ってました☆」

亜美「おおっ!真美やるぅ~」

伊織「にししっ、あんたにしてはよくやったじゃない。ちょっとそれ貸しなさいよ」

真美「いいけど、これどうするの?」

伊織「よく分かんないけどこれってパズルの部品なんでしょ?」

伊織「つまり一つでも欠ければパズルは完成しないってことよね」

伊織「だったら……こうしてやるわ!」ヒュッ

すいませんちょっと席外します
すぐ戻ります


亜美「ありゃりゃ~草むらの中に消えちゃった」

真美「いおりん軍曹はまっこと鬼ですなぁ~」

やよい「伊織ちゃん……さすがにやりすぎじゃ」

伊織「構わないわよ。私をここまでイラつかせるあいつが悪いんだから」

伊織(そうよ、あいつ見てるとイライラするの。自分ひとりで空回って、そのことに気付きもしない馬鹿)

伊織(まるで昔の私を見てるみたいで胸糞悪いのよ!)

伊織「ほら、さっさと事務所に戻るわよ」

亜美・真美「はーい」

やよい「うっうー」





「くくくっ……いいネタ見っーけ……」


P「よし、今日のレッスンはここまで。みんなお疲れ様」

春香「はぁ~疲れたよぉ。ねえ千早ちゃん、帰りにミスド寄ってかない?」

千早「えぇ、いいわよ」

真「春香、ボクと雪歩も一緒に行っていい?」

春香「もちろん大歓迎だよー今日は100円セールの日なんだ~」

ワイワイワイ



響「…帰るぞ」


響(これから何しようかな…)

「ちょっとすいません」

響「ん?」

「あなた…765プロの我那覇響さんですよね?」

響(むむ、見るからに怪しいやつ……パパラッチか?)

響「そうだけど…お前誰だ?」

「あ、申し遅れました。私は『週間芸能暗黒界』って雑誌の記者をやってる者なんですが」

響(暗黒界って……ゴシップだらけで有名な雑誌じゃないか。こんなやつと関わったら何書かれるか分かったもんじゃないぞ)


響(こういう手合いは無視だ無視!)

響「言っとくけど、お前に話すことなんて何もないからな!」

記者「まあまあそうおっしゃらずに…」

響「自分帰るとこなんだ。邪魔しないでよ」

記者「話だけでも聞いてくださいよ。実は最近とある噂がありましてねぇ、その内容ってのが」

記者「765プロ内でいじめが流行っている……というものなんですよ」

響「!」ドクン

記者「…我那覇さん、何か心当たりはありませんか?」

響「じ、自分は…」ドキドキ


響「そんなこと……自分は知らないぞ」ボソッ

響「765プロは所属アイドルみんなが仲良しな、アットホームな職場さー…」

記者「ほぉ~しかしですね、こういうのは別に珍しいことじゃないんですよ」

記者「自分より売れてるやつを妬んだり、また逆に売れっ子が調子に乗って後輩をいびったりするなんてのは、この業界じゃ日常茶飯事でして」

記者「ただ、めったに表に出てこないだけでね」

響「と、とにかく自分は知らないって言ってるだろ? もう帰るからな!」

記者「ああ待って、もう少し…」

響「話は終わりさ! 家までついてきたら訴えてやるぞ!」

記者「まさか、そんなことしませんよ。お気をつけて」

響「ふ、ふん…!」スタスタ


記者(全く、分かりやすいお嬢ちゃんで助かるよ。さて、明日にでも仕掛けるかな)

【響のマンション】

響「ただいま…」

家のドアを開けると真っ先にハム蔵が
続けていぬ美にブタ太にワニ子その他自分の家族たちが嬉しそうに自分を出迎えてくれたさー

ハム蔵「ヂュウヂュー」

響「ごめんなハム蔵。本当は事務所に連れてってやりたいけど、もうトイレに流されたりするのはこりごりだろ?」

いぬ美「クゥーン、ハッハッ」

響「おお、そうか。みんな腹ペコなんだな。よし、今食事を作るから待ってろよ―?」

そうだよ、家に帰れば自分にはこんなに沢山の温かい家族が待ってるんだ
事務所で一人だからってなんくるない……はずさぁ


響「ふぅ~お腹いっぱいだぞ」

今日はいつもより張り切って夕飯作りすぎちゃったけど家族たちは残さず食べてくれた
そのせいか、満腹になった皆はいつもより早く眠りについちゃったんだけどね

響「こうなるとすることがないさぁ…」カチャカチャ

適当にパズルをいじくり回しながらため息が出た
自分が退屈な時にやることって言ったらこのパズルか編み物しかないもんなぁ

響(卓球は…相手いないし。今度新しいラノベでも探すさー)

考えてみれば自分の趣味ってインドア系のものばかりさー
でも仕方ないよね?
自分熱がりだから外出るの嫌いだったし……うん、沖縄暑かったし……あれ?

じゃあ今は?


響(……考えないことにしよ)

そういえばこのパズルも、
あまり外に出たがらなかった小さい自分におとぅがくれたんだっけ
どうせどこかのお土産コーナーかなんかで売ってたのを買い与えたんだろうけど……

それでも、死んじゃったおとぅがくれたこのパズルは自分にとって一番の宝物なんだ

響「おとぅ…兄貴…」

沖縄のみんな、東京は辛い場所だぞ
自分、トップアイドルになるまでは帰らないってタンカ切って沖縄を飛び出したけど
その前に、心、折れちゃいそうだ……

響「友達が……一緒に頑張れる仲間が欲しいさぁ……」ギュウウ





千年錐『』ゴゴゴゴゴゴゴ

チュンチュン

響「朝か……」

解きかけのパズルを握りしめたまま、気が付いたらふて寝してたみたいだ

響「…よし」

うん、大丈夫
一晩思いっきり悲しんだら、何だか気分がすっきりしたさぁ
トップアイドルになるっていうでっかい目標のためにも、こんな所でへこたれてらんないよね!

響「自分、完璧だからな」

鏡を見ながらいつもの一言
よぅし、今日こそ事務所のみんなと仲良くなってみせ……なれるといいな

【765プロ】

響「とは言ったものの、何も出来ずにお昼になっちゃったさぁ」

響(気が付いたら誰もいないし。また自分を除け者にして皆でどこかに食べに行ったみたいだ)

響「まぁいいさ。自分も今日は外に食べにいこう…」ガチャ


ちょい夕飯食べてきます
たびたびすいません
すぐ戻ります


記者「あっ、我那覇さん」ニコニコ

響「げっ! 昨日のゴシップ記者……何の用だよ」

記者「今日は我那覇さんに是非見せたいものがあって来たんですよ。今時間あります?」

響「今お昼食べに行くとこなんだ。悪いけど…」

記者「お一人で?失礼ですが、同じ事務所の候補生の方とはご一緒しないんですか?」

響「う、うるさいなっ!そんなのどうだっていいだろ!?」

記者「すいません、無神経な質問だったようで。ちょっとだけでいいんです。お時間とらせませんから」

響「……分かったよ。そこまで言うならちょっとだけだぞ。変なモノだったら承知しないからな」

記者「大丈夫ですよぉ。きっと我那覇さんも喜んでくれるはずですから…」ニヤッ

【事務所裏】

響「こんな所に一体何があるっていうのさぁ」

記者「ふふ…ほら、あれですよあれ」

響「ん?」

亜美「あ…」

真美「ひびきん…」

伊織「……」

響「亜美に真美? それに伊織も……ここで何してるのさ」

伊織「あん……ってたのよ…」ボソッ

響「え? 聞こえな…」

記者「これを見てください」スッ


響「!この写真…」

記者「そうです、これはそこの三人があなたをいじめている現場を写したものです。昨日のことだから覚えてますよね?」

響「そ、それは…」

記者「今まで誰にも相談できず辛かったでしょうね。でも安心してください」

記者「私どもの雑誌によってこの悪事が世間に公表された暁には、必ずや正義の鉄槌が彼女たちに下ることでしょう」

響(じょ、冗談じゃないぞ。こんなの雑誌に載せられたら、伊織たちどころか765プロにとって大打撃なんじゃ…)

                                `ヽ      _
                ,. --─.、             |       l `
            _/: : : : : : | : :',              ノ    / 、_) ヽ
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       , </::/: : ,': : : :_r‐「>┴┴┴`- 、____    l      ‐┼ l l
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   |/  |: : : : : :ノ/: ::|: : : /ミ/|/|/: :/--<.ヽ/ //: : : : : :',   |
     l: : ::( ̄/: :_:ノ: : 〈{./ : :o |/{ヽ /:l})ト、//: : :/ : : : l  ノ    二7
     .}: : |ヽフ!:(ヽ: : : : /: : : :/ ゚ `U ー'三/イ/|∠!: : : : ! ヽ    ()_)
    <:__ノ  ヽ/ ∨: /|: ゚: ::/o   __ 三三/l)}|: :| :/  /

       ,. -─- 、 ∨ .|: : /  ,. <:::::\  l `'oノ:/:/  /.    -/- ヽ
      /l     \|  |: /  ∧   `ヽ:::`7 /|/|/  く     / d、
    / .|      |\ |/ \ \\   l/ /:/o゚    |     ┃ ┃
   /      ',     ト、  .\ \>'´ _'/:/       ム‐- 、. ・ ・
          ',  / | ∧  /|_ヽ-- '"/: : :/o         |  __
           l /  !ヽハ 〈、ヽ`lヽ/イ/       __     レ´
           |/   \`|_)l `ト、|        _∠_ \--、
          / /|_    `卞、_}_ \     //ヽ \ \ l


響「これは……ただふざけ合ってただけさぁ。そこの三人もそう言ったんじゃないかな…?」チラッ

亜美「ぁう…」

真美「……」フシメガチ

記者「そうですかねぇ、私にはとてもそうは見えませんでしたけど」

記者「この写真を見た読者の方もそう思うんじゃないですかね。見え透いた嘘はおやめなさいな」

響「…お前、こんなことして一体何が目的なんだよ」

記者「別に…ただ個人的にこういう輩が許せないんですよ」

記者「あなたこそ、どうしてこの三人を庇うんです?」

響「……」


記者「双海さん姉妹に水瀬さん、あなたたちは我那覇さんに酷いことしましたよね?」

記者「だったらすることは一つでしょ。人間的に考えて」

伊織「っ……」

真美「ひびきん、ごめん!」ドゲザー

亜美「亜美も謝る。今まで酷いことしてごめんなさい」ドゲザッ

亜美「だから…許してくれるよね?」

響「ふ、二人ともやめてほしいさぁ! 自分何もそこまで…」オロオロ

記者「おやおやぁ…一人だけまだ頭を下げようとしない人がいますねぇ」


伊織「くっ……こんな…冗談じゃないわよ」プルプル

響「伊織…」


記者「我那覇さん…彼女のこういう態度どう思います? 許せませんよねぇ」

亜美「いおりん、嘘でもいいから謝りなよ!そうすればあの写真渡してくれるって…」

真美「亜美、しっー!」チラッ

響「ぅぐ……」

記者「今まで散々酷い仕打ちを行ってきてこれですよ。傲慢にも程がある」

記者「我那覇さん、あなたも何とか言ってくださいよ。彼女たちにはこれまでずっと苦しめられてきたんでしょ?」

響「っ……くぅ」

記者(さぁ、積もりに積もった鬱憤をぶちまけろよ。罵るなり足蹴にするなりとにかく何でもいいけどよ)
  
記者(新しいネタを提供してくれよな。ゴシップになりそうなネタをさぁ~)

記者「ほら我那覇さん! どうしたんです? 謝らせましょうよ、このふてぶてしい女を!」

響「がっ…」


響「がああぁぁあああ!!!!」カワイタサケビ


亜美・真美「……」アゼン

記者「が、我那覇さん…?」

響(…ふぅ、ちょっとスッキリした)

響「自分、伊織や亜美真美のことは…」

響「一緒にトップアイドル目指してる同じ事務所の……仲間、だって信じてるから」

伊織(!……)


響「だからさ、亜美も真美も顔をあげてよ。伊織も、自分に頭下げる必要なんてないさ」

響「仲間同士で無理やり謝らせるとか……そんなことするなんて、ヘンじゃんか」

真美「ひびきん…」

記者「(ちっ…なんだよこの展開)…仲間内でも最低限の礼節は必要だと思いますがね」

記者「あなた方はその最低限すらなってないようでしたけど。それで仲間だといえるんですかぁ?」

響「…確かに、仲間だと思ってるのは自分だけかもね。この想いは一方通行かもしれない」

響「でも今はそれでいいよ。いつかお互いにそう思える日がくるって、自分信じてるから!」


記者「…ふん、まぁいいや」

記者「とにかく、お前たちが何と言おうが765プロ内でのアイドルいじめがあったのは事実なんだよ」

響(こいつ、急に口調が…)
    
記者「しかも加害者のうち二名が今売出し中のユニット、竜宮小町のメンバーときた。これじゃせっかく出来たファンも幻滅するよなぁ」

響「や、やめろっ!」

響「竜宮小町は765プロ初の売れっ子アイドルになるかもしれないんだ! 弱小事務所の自分たちにとっては希望の星なんだよ!」


響「今はそのための大切な時期なんだ。頼むから見逃してくれよ、この通りさぁ!」ドゲザッ

記者「ほぅ…」

亜美「ひびきん…」

伊織「なんで…」

伊織(やめてよ……やめなさいよ……何で、何であんたが頭下げてんのよ?)

記者「まぁ俺も鬼じゃないからね、条件次第で考えてもいいよ」

記者「そうだなぁ、口止め料として……一人頭ざっと200万ってとこだな」


響「なっ…やっぱりお前金が目的で…!」

記者「ははっそりゃ当然でしょ。こっちだって生活がかかってるんだからさ」

真美「真美たち四人で800万円……大金だよ」

記者「今までの稼ぎを合わせれば何とかなるんじゃねえの? 水瀬財閥のお嬢サマもいることだし」

伊織「っ……!」

伊織(ふ、ふざけんじゃないわよっ!どいつもこいつも…こんなゲス野郎まで水瀬水瀬って…私の家ばかり見て!)

伊織「ふ響「ふざけるなぁ!!」


響「最初からそのつもりで自分に近付いたんだな!」ダッ

伊織「響?」

響「こいつ、一発ぶん殴って…」

記者「おっと」バッ

ズシンッ!

響「がなはっ…!」

亜美・真美「ひびきんっ!」

伊織「ちょ…あんた何やってんのよ女の子相手に!」

記者「めんごめんご、向かってくるもんだからつい投げちった。こう見えても昔柔道やっててさ(白帯だったけど)」

響「く、くそっ…」

記者「じゃ俺そろそろ行くわ。金、早いうちに用意しとけよ? 写真載せられたくなかったらさ。ははは!!」

響「う゛ぅ……」


響・伊織・亜美・真美「…」ズーン

響(空気が重いぞ…)

真美「ね、ねえ…」

伊織「亜美、真美、行くわよ」

亜美「え?……で、でも…」

伊織「この後レッスン入ってるの忘れたの? 遅れちゃうじゃない!」

亜美「あぅぅ…分かったよぅ」

真美「……」チラッ

タッタッタッ…


響「…自分もいかなきゃ」

その後は散々だったぞ
あの写真の事が気になって、全然レッスンに集中できなくてミスを連発しちゃうし
プロデューサーにはやる気あるのかって怒られるし、他のみんなの視線が痛かったさぁ

伊織たちは自分と目を合わそうともしてくれない
誰かに相談しようにも、自分にはそんな相手いないってことに気が付いたよ

そんなこんなで何も解決策が思い浮かばないまま家に帰ってきちゃった……


響「うぅ…200万なんて急に言われても…」

響(伊織は家が大金持ちだし、亜美真美は親が医者らしいから何とかなるかもだけど)

響「自分そんなにお金持ってないぞ…」カチャカチャ


響「って、また無意識にパズルいじってるよ自分。今はそんな場合じゃないのに」ポイッ

響「うがっー! どうすればいいのさー!」

響「…なにも思い浮かばないや」

響「……」

響「……」カチャカチャ

――――

響「ん……待てよ。ここをこうしてこうやって捻れば……」ガチャリ

響「や、やったぞ!半年ぶりにパズルが先に進んだ!」

響「あっ…ってことはこっちも同じようにすればはまるんじゃないか?」カチャカチャリ

響「あ、やっぱり!」

響(冴えてるっ…気分は最悪なのに、何故だか分からないけど今日の自分すっごく冴えてるぞ!)

小一時間後

ガチャリ

響「や…やった。とうとう完成だぞ…」

響(嘘みたいだ。今までずっと苦戦してたのが、たった一日でこんなスラスラと…)

響「あとは真ん中のピースをはめれば……ええっ!?」


箱『』スッカラカーン


響「最後のピースが無い? どうして…どこかに落としたのか!?」

響「嘘だろ~!? もうちょいで完成なのに…」ガサゴソ

響「みんな!この部屋のどこかにこれくらいのピース落ちてないか?」

バゥバゥヂュヂューニャンニャンブーブーナイサーナイサー


響「ここにはないだって? ……あっ、まさか!」

【765プロ】

響「はぁはぁ……やっぱり、亜美たちにいたずらされた時に…」

響「だったら、この事務所のどこかに落ちてるはず…」

響(絶対、絶対見つけるぞ!あれは…おとぅがくれた大切な…)

それからはまさに事務所ごとひっくり返しそうな勢いで探しまくったさぁ
ソファやテーブルの下、床という床を這いずりまわって
事務所中の机の引き出しや冷蔵庫の中に普段は使わないロッカーも調べて調べて調べ尽くしてやった

それなのに……


響「ない……ない……」ガサガサ

響「ここにも……そこにも……どこにもっ」ガサガサガサ

響「何で見つからないのさぁぁぁ!!」ガッシャーン


響「…なんでだよぅ」グスッ

響「う、うあ゛ぁぁぁぁ……じぶっ、じぶんどうぢてごんなめにばかり…」ポロポロ


ガチャ

亜美「ひびきん…?」

真美「何してんの?」


響「ま゛み…ぞれにあ゛みぼ…ぼばえだじごぞあんでごごに゛?」グスグスッ

亜美「うわっ…ちょっと何言ってるか分かりませんな~」

真美「まあいいじゃん探す手間がはぶけたんだし。ほら、これで涙拭きなYO」つぬのハンカチ

響「あ、あ゛りがど…」チーン

真美「真美たちね、その…あらためてひびきんに謝ろうと思ったんだよ」

亜美「亜美たちのことかばってくれたひびきんの姿見てたら、自分たちのこと恥ずかしくなっちゃってさ」

響「それは…もういいよ。写真取り返そうとしたけど結局駄目だったさぁ。あげく金まで要求されて…」


亜美「それでも!だよっ。このままじゃ亜美たちの気持ちが収まんないもん」

真美「昼間みたく強制されてするわけでもない、これは真美たち自身の意思だかんね」

亜美・真美「今までごめんなさいっひびきん!」

響「二人とも…」

真美「真美たちを許して…くれる?」

響「…うん。もちろんさぁ」ジワッ


駄目だ、自分また涙出ちゃいそうだ……


響「と、ところで二人とも、さっきから気になってたんだけど」ゴシゴシ

響「どうしてそんなに泥まみれなんだ?」

亜美「あ→これはですねぇ…」

真美「ちょっとお外で探し物をしておりまして~」

響「探し物?」

亜美「じゃじゃーん、はいこれっ! ひびきんのでしょ?」つパズルピース

響「あ……あ……」ワナワナ


響「あっりがとー!!!!だぞっ二人ともぉ~~!!!」ダキッ


亜美「うわわ!!くっ苦しいよひびき~ん!」

響「よく…よく見つけてくれたさぁ!」ギュウウウ

真美「だって…言いにくいけどそれ、元々は真美が盗んだやつだし」

響「そんなこともうどうだっていいさ!これでパズルが」

亜美「んっふっふ~♪ 驚くのはまだ早いよ」

真美「実を言いますと~それを見つけたのは真美たちじゃないんだよね~これが」

響「へ? それってどういう…」

ナーヤンデモ~シカタナイ♪

真美「おおっ噂をすれば」


亜美「うん…うん…ここにいるよ。今かわるかんね」

亜美「はい、ひびきん」つケータイ

響「電話? 誰からだ…?」

真美「でれば分かるよん」

響「もしもし…我那覇だけど」

『知ってるわよ。こっちがあんた宛てにかけてんだから』

響「その声…伊織か?」


『パズル、見つかったんでしょ?よかったじゃない』

響「そっか…これ見つけてくれたの伊織だったのか。ありがとな」

『なっ、なんでそのこと…こらぁ! 内緒にしろって言ったじゃない!』

亜美「だって~いおりんが一番泥だらけになって探してたじゃんか~」

響「というか、何で亜美の携帯に?」

『仕方ないでしょ!あんたのケータイ番号誰も知らないんだから!』

響「あ…いやそうじゃなくてさ、こんなことしなくても直接会って話せば」

『私は忙しいの!今日だって屋敷でお父様主催のパーティに参加しなくちゃいけなくて…』

真美「騙されちゃ駄目だよひびきん。いおりんはね~照れくさくて仕方ないんだよ本当は」

響「そ、そうなのか…?」

『っ~~~!!!何勝手なこと言ってんのよぉぉおお!!!!』


『もう…』

響(伊織のやつ、怒ってるのかな)

『……確かに、今はあんたと顔合わせられないわ。自分の不甲斐無さが恥ずかしくてね』

響「え? 不甲斐ないって…」

『昼間のことよ!いちいち言わせないでよね!』

響「あぅ…ごめんだぞ」

『……お金のことだけど、私がなんとかするから』

響「え?」


『アイドルとしての私のこれまでの収入と……それでも足りない分はお父様や…お兄様に頭下げてでも借りてみせるから』

『だからあんたは何も心配しなくていいのよ、響』

響「うう、伊織ぃ…」

響「その、自分なんて言ったらいいか……感謝しても感謝しきれないっていうか」

『はいストップ』

響「?」

『…あんたねえ、何か勘違いしてるみたいだから言っとくけど』

『いい? 私にありがとうなんて絶対に言わないでよね!? これは私の落ち度なのよ』

『こうでもしないと私、あんたに一生顔向けできないじゃない!』

響「伊織…」


『あーもう忙しいから切るわよ。じゃあね!』ブッ

亜美「あーあ、切れちった」

真美「いおりん、もうちょい素直になればいいのにね~」

響「…充分さぁ。今ので伊織の気持ちは自分にしっかり伝わったよ」

真美「あっ、真美たちもね~パパやママに内緒でこっそりお金持ってきたんだよ」

亜美「これで我らも飛行少女?ってやつの仲間入りですなぁ。金額的には全然足んないんだけどね…」

真美「まっ今悩んでも仕方ないって!明日また四人で考えればなんくるないさぁ~」

亜美「あははっ今の似てれぅ~」

響「ふふっ…」


ありがとう、みんな……

闇響か…期待


亜美「んじゃ!まったね~ひびきん!」

真美「バイバ→イ」

響「二人とも、気を付けて帰れよ~」

響「ふぅ……」

今日は最悪なことがいっぱいあったけど、ちょっとはいいこともあったぞ

自分、あの三人と友達になれたのかな?
双子はともかく伊織とは……まだ分かんないや


響「そうだ、とうとうパズルが完成するんだったぞ!」


震える手で最後のピースをはめ込む
苦節八年、やっとこの想いが報われる時がきたんだ…!

カチッ

響(出来た…!)

その時だったさぁ
パズルの真ん中にあるでっかい目ン玉が突然キラメキラリ輝き出したんだ
真夜中だってのに沖縄の太陽みたくギラギラ眩しい光が自分を包み込んで……


響「うぎゃああぁぁぁあああ!!!???」


それからのことは自分、よく覚えてないんだ……

――――――
―――
――


【混沌公園】

記者「ここか。待ち合わせの場所ってのは」

記者(しかし金の用意が出来たっていうから来てみたが、いくら何でも早すぎないか?)

「やぁ、記者さん…待ってたぞ」

記者「お前……誰かと思ったら我那覇響か」

記者(何だよその格好、ゴスパンクってやつか? 撮影用の衣装でも着てきたのかよ)

記者「まぁいいや…それより金だ。ちゃんと持って来たんだろうなぁ、おい」





闇響「…あぁ、もちろんさぁ」ゴゴゴゴ


闇響「金はこのケースの中さぁ。そっちも写真のネガとコピー、みんな持ってきたよね?」

記者「ああ、全部このカバンに入ってる。これ以外に複製はない」

記者(なーんてな。まだ焼き増ししたのが会社に保管してあるよーん)

記者(せっかく見つけたおいしいネタだ、稼げるだけ稼がしてもらうぜ)

闇響「オッケー、じゃあ交換するぞ」

闇響「…って言いたいとこだけど、ただ渡すだけじゃつまらないな~」

闇響「どう? 自分とゲームしてみない?」

記者「はぁ?ゲームぅ?」

闇響「そうだよ、それもただのゲームじゃない」


闇響「闇のゲームさァ」

闇響「ならサテンに行くさぁ!」 ドン☆


記者「あのなあ、ゲームとか何寝ぼけたこと言ってだよお前。自分の立場分かってる?」

記者「この取引の主導権握ってんのは俺なの俺。ゴシップ記事にされたくなかったら、お前は大人しく金だけ渡せばいいんだよ」

闇響「まーそうビビんないでよ。ゲームといってもただの度胸試しみたいなものだし」

闇響「それにもしお前が勝ったら、もっと多く金を払ってやってもいいぞ」

記者「何…?」


闇響「自分が賭けるのは、このケースの中身を丸ごとさぁ」ガパッ

記者「ひょっ…これ、全部金じゃねえか!」

闇響「自分は太ッ腹だからな。お前が勝てばこれは全部お前のものさー」

闇響「でも自分が勝ったらそのカバンを無条件でこっちに渡してもらうからね」

記者(間違いなく1000万…いやそれ以上あるなこりゃ。どこでかき集めてきたかしらないが、こんなおいしい話に乗らない手はないな)

記者「…ああいいぜ、付き合ってやるよそのゲームとやらに」

闇響「ふふっ、そうこなくっちゃ」


記者「それで、どんなゲームをやろうってんだ?」

闇響「実は準備ならもう出来てるんだ。足元を見てみなよ」

記者「ん…?」


                ド  ン  ☆                         

                                      __,.--、         
                   __,,,.-t┬.t.┬ー-.、_   _,.- ';~;___ <.!>;. "''ー--='‘〉
     ,.,._,.,,..,、.、.--tーt''''TT~lニl__l_ニ|ニ|ニ|ニlニ!-|=l_;_~!T´_;:゚。;{‘、ー-ー-=ェェェ=-ー=〈

  ,..-'`'~l-.lー;ーl~l |-|-,。;-ーー-、。;゚v。:。;l゚。;o・。;;。;/ニゝ; i=}`ー-:-;ー''''''''"""" ̄´
 {Xぐ||_l={ 。ニ}ニ|ニ|ニ}ニl {/ミ;ミミ/_;ー;-;-;ー;-;-;-;-;-;-{_=:┴;<"~´ ̄
 {メ、メヽ、 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄‘ー--ニミ;, ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  "'ー-、v`=;、
  ` :./,_メ`Z^ーz.、,、
      ̄ ̄ ̄ ~"`



記者「うおおおおお!!?? ワ、ワニが何でこんな所に…」

闇響「紹介するぞ。こいつは自分の家族のワニ子、このゲームの主役さァ」


記者「お前のペット…? そんなやつをゲームに使うだと?」

闇響「フフ…ワニっていうのは古代エジプトじゃ神聖な生き物として崇められてたんだぞ」

闇響「でも同時に邪悪の象徴として恐れられてもいたんだ。まさに光と闇、その二面性を併せ持つ動物ってワケ」

記者(古代エジプト? 光と闇? 突然何を言い出すんだこのガキは…)

闇響「おっと、こんな蘊蓄どうでもよかったね。それじゃあ運命のゲーム、そのルールを説明するぞ」


闇響「ワニ子、開け」

ワニ子「」ガパァ

記者「げっ…」

闇響「見てのとーり、今ワニ子の口の中にはコインが何枚か入ってるんだけどさ」

闇響「ゲームはそれをお前と自分で交互に取り出していくんだ。どう、簡単でしょ?」

>>219

          i'⌒! i'⌒!
        f゙'ー'l f゙'ー'l
        |   | |   |
       ノ ,ォ ≠ミ "ゝ

      /  {_ヒri}゙   ヽ
     /    {ニニニィ    ',
.    ,i'    ∨    }    ',     どぉ~だいみんな!
    ;i'     ゙こ三/     |
   「l  _i⌒)-、    _i⌒)-、. h      ハ ワ イ ア ン だ ろ ?
   |.i( _,O 、.ノ  ( _,O 、.ノ |.|          _/\/\/\/|_
.   |l 廴人__)′ 廴人__) |j           \          /
.   `!     r′ __ぅ     l___       <  サテンサン!! >
.    ',    /;';';';';',:, )    ,'\  \ミニヽ、   /          \
.     ',   (ii'⌒!テ7   ,'  }、 \ミ二ニ   ̄|/\/\/\/ ̄
      ;,   f゙'ー'lフ     ,'  /::\   \ミニ           _i⌒)-、
     / ヾ、 ,l   ト、 , , ,i'   /ニ三\  \ミ            ( _,O 、.ノ
  ィ (   r''f!  l! ヽジ  /二三二\   \__         /廴人__)ヽ     _/\/\/\/|_
/ \\ イ,: l! , ,j! , ト、/二三二三二\     "' ゝ   /  ,ォ ≠ミ   ',    \          /
\   \,/ :',ォ ≠ミ  ':. l ヽ.:三二三二三二ヽ        "ゝノ   {_ヒri}゙   }    <  サテンサン!! >
二\  ,ll 〃 yr=ミ:、.  ゙': ゙i三二三二三二三}              ̄´   ',    /          \
三二\ll  iイ {_ヒri}゙  '゙ !三二三二三二ニ/           {ニニニィ    i    ̄|/\/\/\/ ̄
二:三二ヽ.     ̄´   リ三二三二三二:/            ∨    }    i
ニ二三二ヽ  {ニニニイ  /二三三三ニニ‐''/    /、         ゙こ三/   ,i
.二三二/ i!  ∨   } /           い _/  `-、.,,     、_       i
      l!  ゙こ三/ イ.、        /' /     _/  \`i   "   /゙   /
                        (,,/     , '  _,,-'" i  ヾi__,,,...--t'"


記者「バ、バカ言うなよ……本気でこんなこと……第一こいつの方から襲いかかって来たらどうする?」

闇響「その点は心配ないよ。こいつは今たらふくエサを食って満腹状態だから、自分からは襲わないはずさー」

闇響「それにワニってのは口が長いうえに目が横についてるせいで、口を開けると正面がほぼ死角になっちゃうんだ」

闇響「つまり、真正面から手を入れればワニ子の方から噛みついてくる心配はないってこと」

闇響「ただしワニってのは、口内に何かが触れると反射的に口を閉じちゃう習性があってね」

闇響「このゲームはワニ子の口に触れないように、いかにコインを取り出すかというゲームなんだよ」

闇響「どう? ゾクゾクしてこない?」

記者(正気じゃねえよ、こいつ…本当にあの我那覇響か?)

闇響「そう硬くならないでよねー。ただの度胸だめしなんだからさ、気楽にいこうよ」

闇響「じゃあまずは自分がお手本を見せるぞ。ワニ子、開け」

ワニ子「」ガパァ

闇響「よしよしいい子だ。御主人サマの手を噛むんじゃないぞ」ソロ~リ

記者(ほ、本気で手ぇ入れやがった…!)



闇響「ふぅ~……まずは一枚だぞ」チャリン

記者「マジかよ…」

闇響「さ、次はお前の番だぞ」


記者「っ……」

闇響「どうしたのさ、まさかとは思うけど怖気付いちゃったの?」

記者「うるさい! い、イカれてんだよそもそも…こんなキ○ガイじみたこと!」

闇響「忘れたのか? お前が勝てばこのアタッシュケースの金が丸ごと手に入るんだぞ」

記者「ぐっ……」

闇響「情けないな~仮にも男のクセに、自分みたいな女のコに負けちゃうのか?」

記者「……よ、よし分かった!やってやるよ畜生!」

ワニ子「」ジロッ

記者「うっ…」ドクン

記者(くそっ、ナメるなよ。あんな小娘に出来たんだ、俺だって…)


ワニ子「」ギョロッ

記者「ひっ…!」ビクッ

闇響「あ、忠告しとくけど事前に汗をしっかり拭き取っておくのをオススメするぞ。前にそれを忘れて…」

記者「黙ってろっ!余計なプレッシャーを与えるな!」

闇響「ハハッ、悪かったさー。お前があんまりにも汗だくになってるから、ついね」

記者「はぁ…はぁ……」ドキドキ

ワニ子「」ジーッ


記者(よ、よし…手を入れるぞ…)ソロ~


ワニ子「……」



記者(大丈夫だ…大丈夫、下手に口の中を触らなければ…)ソ~


ワニ子「……」



記者(……よし、コインをつかんだ!)

記者「っ!」シュッ

闇響「お見事、やるね」

記者「ハァ、ハァ……」チャリン


記者(ハハ…やった、やったぞ! 噛みついてこない!そうだそうだ、こんなの簡単さ)


闇響「さて次は自分の番だけど、こうしてお互い一枚ずつ取ってたらいつまでも勝負がつかないや」

闇響「だから次は自分、二枚取ってみせるぞ」

記者「何ぃ!?」

ワニ子「」ガパァ

闇響「……」ソロ~

記者(糞クソクソッ、失敗しろ失敗しろ失敗しろ噛まれちまえ…!)



闇響「ふぅ、何とか二枚とれたさぁ…」

記者(こ、このガキ、やりやがった…)

闇響「さぁどうする? 自分に勝ちたきゃ、少なくともこのターンでお前も二枚とらなきゃ駄目だぞ」

記者「や、やってやるさ……お前に出来て俺に出来ないはずは…」

闇響「ククッ、やれるもんならどーぞ」



記者(焦るな、落ち着け…さっきは成功したんだ。同じようにやれば…)ドキドキ


ワニ子「……」ガパァ


記者(うぐっ…ワニの口がまるでブラックホールみたいだぜ…)ブルブル



記者(……よし、まず一枚!……あともう一枚を…)


記者(クソッ、ここを乗りきったらお前らのこと最悪のゴシップ記事に仕立ててやる!覚悟しとけよ…)



ワニ子「」ピクッ



記者「!!」



記者(何だ? 今自分から動いたかこいつ!? でも自分からは襲わないって……嘘!!??)ドキドキドキドキ



記者(いやいや待て待て落ち着け、焦っちゃ駄目だ……とりあえずこいつを刺激しないようにゆっくり抜いて……あ、汗ェ……)ドッキンドッキンドッキン



記者(汗が噴き出して手がぬかるんで…コインが滑り落ちるっ…やばい抜かないと……でも動くと汗がこぼれ……駄目だ動かせない!)バックンバックンバックン



記者(早く!早く抜かないとぉぉぉおおおおあああああああ汗がこぼれるぅぅぅ―――)






ピチョン…






グシャァァァァッ☆


記者「ひぎぁぁあああああ!!!!!腕ッ!!!腕がぁぁぁぁああ!!!」

闇響「あーあ、やっぱりこうなっちゃったか」

記者「こいつぅぅ!!離せ!!!離せぇええ!!」ジタバタ

闇響「無駄だと思うぞ? ワニの噛む力は一トン強。もうその手じゃ写真、撮れないかもね」

記者「だ、頼むぅうう!!!ごいつを!!!ごいつを離ぢで…」

闇響「それにしてもキミも変なやつだよねー。アタッシュケースいっぱいの木の葉なんかのために、こんな危険なゲーム受けちゃうんだからさ」

記者(な゛……に゛……!!!????)


闇響「ま、今回は自分の勝ちってことで。ルールだから金は払わなくてい―よね?」

記者「…そんな、ぞんなごといいがらっ!!!!早くゴレどっでえええええええ!!!!」

闇響「まぁ自分も鬼じゃないからね。条件次第で考えてやってもいいぞ」

闇響「写真のコピー、まだまだあるんでしょ? どこにあるか教えてよ」

闇響「一枚残らず燃やしちゃいたいからさァ…」

翌日

【765プロ】

響(う~ん、頭痛い……昨日のことがよく思い出せないや。どーやって事務所から帰ったんだろ)

響「ま、いっか。自分完璧だから何とかしたんだよね多分」

響「それよりとうとうパズルが完成したさー!嬉しいぞ~」


亜美「おっはよー!ひびきんっ」

真美「朝からテンションバリ高だね☆」

響「あ……お、おはようだぞ…」

響(初めて向こうから挨拶してくれたさぁ…嬉しいな)

真美「おおぅ!それがパズルってやつですかな? ペンダントにしたんだ~」

亜美「キラキラ光ってチョ→カッコEじゃん!」

響「うん。これは自分の宝物だし、これからは肌身離さず持つことにしたんだ」


伊織「ちょっとあんたたち、今朝のニュース見た?」

亜美「あ、いおりんおっはー☆」

伊織「お、おっはー……じゃなくて! 例の記者、なんか重体で病院に担ぎ込まれたんですって」

真美「ええっ? そりゃまたどうして?」

伊織「ペットの動物に噛まれたとかなんとか言ってたけど、まぁいい気味ね」


伊織「それだけじゃないわ。芸能暗黒界の編集部……ほら、あいつが勤務してたとこよ」

伊織「あそこも昨日放火の被害にあったらしくてね。ビルごと丸焼けになっちゃったんですって」

響「な、何か気持ち悪いくらい自分たちにとって都合のいいことばかりさー…」

伊織「ふん、この伊織ちゃんを脅迫なんてするからバチがあたったのよ」

亜美「むむむ…これは事件の臭いがしますなぁ真美探偵」

真美「そうですなぁ亜美警部補、もしかしてこれはいおりんが裏から圧力を…」

伊織「ちょっと、失礼ね。いくらなんでもここまでやらないわよ」

亜美「ていうか真美ズルい!亜美も探偵がいいよー!」

真美「早いもの勝ちだもんげ~」

キャッキャッ ドタバタ

伊織「とにかく、写真のことはもう心配ない……って聞いてないわね」


伊織「……」チラチラッ

響(伊織がこっち見てる…また何か気にくわないのか?)

伊織「…そ、それが例のパズル? ふーん、結構似合ってるじゃない」

響「あ…ありがと」

伊織「何よ、怪訝そうな顔して」

響「いやだってさ……伊織がストレートに何かを褒めるとこ、初めて見たから」

伊織「はぁ? 聞き捨てならないわね、あんた私がひねくれてるって言いたいわけ!?」

響「別にそういうわけじゃないけど…」

響(あれ、自分いつの間にか伊織とも普通に会話出来てるぞ)

伊織「はぁーっ、まぁいいわ。特別に許したげる」


響「あのさ、伊織」

伊織「ん?」

響「昨日は色々とあ…っ!」

響(そういえば感謝したら駄目って言われたんだったぞ)

伊織「何よ、なにか言いたいことあるんでしょ?」

響「えーっとだな、それは……」

響「そ、そうだっ!自分と友だ」

伊織「はいそこまで」

響「ち…に…」


伊織「全く、これだから庶民は困るのよ。教養が足りてないからすぐ勘違いするんですもの」

響(はは…やっぱり駄目かぁ。自分ちょっと思い上がりすぎちゃったかな)

伊織「何でもかんでも言葉にすればいいと思ってるんだから。聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃう」

響「……へ?」


伊織「もうあんたと私との間には『見えるけど見えないもの』があるじゃない」

伊織「それで十分よ。にひひっ」

響「あっ…」


響「……」

伊織「どうしたのよ、感極まって声も出ないってわけ?」

響「いや…自分、今の台詞はちょっとクサすぎると思うぞ」

伊織「んなっ///」カァー


真美「ねーねーいおりん、『見えるけど見えないもの』ってどういう意味?」

伊織「うううるさいわねっ、あんたはあっちで遊んでなさいよもうー!」

亜美「うわ~みんな見て見て!この本男同士で変なプロレス技かけあってる~」

小鳥「すみません~遅刻しちゃ…ピヨオオオッ!!?? どどどどどうして私の秘蔵本がこんな所に???」

響(あ…それ昨日事務所荒らした時に見つけたやつだ。元の場所に戻すの忘れてたぞ)

やよい「おはようございまーす! あれれ? みなさんどうしたんですか~」

亜美「あっ、やよいっちもこっち来て亜美たちと遊ぼうよー」

小鳥「そ、その前に亜美ちゃんそのご本をお姉さんに返してくれないかしら。一生のお願いだから、ね?ね? 」

真美「ねー教えてよーどうしてそんな顔真っ赤にしてるのさー」

伊織「しつこいわねぇ離れなさいよこの~」グググ…


騒々しい朝、これはいつものことだけど
自分がその輪の中に、中心にいるってのは初めてのことで


だからこれは個人的な予感なんだけど
ここから、これから自分の物語は始まるんだなって


伊織「ちょっと響!真美を引きはがすの手伝いなさい!」

響「うん、分かった。今行くさー!」



そんな気がするんだ

キリがいいんでひとまずこれで

闇の力と83のバストを持ち、
闇の番人となった響の次なる活躍にご期待ください

続きをやるならまた今度新しく建てることになると思います
とりあえず話のアイディアはあるのに
闇のゲームが思いつかねえ…
和希は天才

ではおやすみなさい

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