女「公衆便女だよ」(110)
帰り道、急に腹痛に襲われた。
今にも決壊しそうだ。
幸い、近くに公園があった。
慎重に、早足でトイレへ。
入り口に清掃中の看板が立っていたが、緊急事態につき無視。
なんとかたどり着いた。
いささか乱暴に個室のドアを開けると、中に女がいた。
女子トイレと間違えたか?
いや、でも小便器はあった。
くそっ、なんで個室が一つしかないんだ。
とにかく別の、いっそ女子トイレに……
入り口で立ち尽くしていると、顔色で察したのか女が便器を譲ってくれた。
最中ではなかったようだ。
感謝もそこそこに、扉を閉め、ズボンを下ろし、腰掛ける。
尻が便座につくまえに噴出。
下品な水音と、遅れて臭気がただよう。
ああ、助かった。
安心感につつまれる。
幸せだ。
ひと心地つくと、疑問が沸いて来る。
なんでここに女がいたんだろう?
清掃員か?
それにしては服装が変だった。
あまり良くはみていないけれど、あれはバスローブだったんじゃないだろうか。
だいたい、清掃員にしては若すぎる。
偏見かもしれないが、ああいうのはいわゆるおばちゃん、おじさんの仕事だろう。
個室の中も変だ。
妙に生活感というか、人のいた気配がある。
あの女、ここに住んでるんじゃないんだろうな。
そんな馬鹿な考えまで沸いて来る。
いやしかし、もともとが尋常じゃない。
なにがあっても不思議では……
まあいい。
もう女もいないし、確かめようがない。
一通り出し切ったので、くだらない考えにキリをつけて、紙に手をのばす。
尻を拭くと、おびただしい茶色のシミ。
ウォシュレットがほしいな。
無い物ねだりはよそう。
十分に拭き取って、レバーを下げる。
グルグルまわりながら消える汚物。
達成感と共にドアをあけると、女がいた。
「間に合ってよかったね」
平坦な声で女が言う。
どうも……と、でも返せばいいのだろうか。
なんだこの女は。
どうしてまだいるんだ。
さっき止めた疑問がまた溢れ出す。
「出てもらっていい? ちょっと邪魔」
追撃。
思わず道を開けてしまう。
身体を横にしてスッと個室に入ってしまった。
便座を紙でサッと拭くと、便器へぽい。
一連の動作が滑らかだ。
「……君、だれ?」
「公衆便女だよ」
平坦な声だった。
公衆便所?
この女が?
トイレの精とか、そういうことか?
見えてはいけないものが見えてしまう人種の匂いがする。
格好もやはりおかしい。
ところどころ染みのついたバスローブに、やはり寒いのか、ホッカイロがたくさん貼ってある。
今は便器に腰をかけ、大きめの肩掛けを下ろしている。
……こういうとき警察と病院、どちらにすべきだろう?
「あなたの、ずいぶん臭うね」
失礼なやつだ。
むっとするこっちを無視して、鞄を漁る。
消臭スプレーだ。
茶色の臭いがきえてゆく。
「で、使うの?」
個室を清めながら女が尋ねる。
「……使うって、なにを?」
「わたし」
「はあ?」
「公衆便女だから、わたし。好きに使ってください」
使うって、どういうことだろうか。
どうも、そういうことしか想像できない
いつの間にか、硬くなっていた。
「使うみたいね」
そこを見ながら女が言う。
事務的な口調に、なぜかゾクリとした
今すぐにでもズボンを脱ぎ捨てたかったが、ありえない状況に理性が働く。
「……い、いくら?」
物語の中でしか聞いたことのない台詞を口走る。
十分錯乱しているようだ。
「タダだよ」
女が薄く微笑む。
「ココも、ココも、ココもココもココも…」
…みーんなタダ
唇から始め、女の身体の随所を細い指先がなぞる。
それだけでバスローブの下の身体が意識される。
もうどうなってもいい。
使おう。
ズボンを下ろす。
脱ぎ捨てる。
勃起しきったそれを、女はじっと見る。
一歩、近づく。
チラリと視線をこちらの背後にやる。
「鍵、閉めたほうがいいよ」
そういう性癖じゃないならね。
使用中、でしょ?
妙に冷静だ。
それが逆に興奮をさそう。
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・) バンバンバンバン゙ン
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バン はよ
バン(∩`・д・) バン はよ
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ドゴォォォォン!!
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