女「ヤクザさんへの借金で臓器いっぱいとられちゃった」(137)

男「………は?」

女「友達の連帯保証人になっちゃって、友達夜逃げしちゃって」

男「いやいやいやいや、臓器とかお前馬鹿じゃねえの?しかるべきとこに相談しろよ」

女「あははっ、銃突きつけながら脅されてるのにそんな余裕ないよ」

男「その場は適当に濁して乗り切れよ」

女「うん、無理だった。銃突きつけられながら闇医者のところまで直行だったから」

男「いや、第一なんで内臓とられたんだよ!ゲスな話になるけどお前なら稼げただろ?」

女「だって……初めては大切な人にあげたいし……」

男「それで大切なものいっぱい取られてんじゃねえか!」

女「大丈夫。一品物は残してもらったから」

男「おまっ、馬鹿!2つあるものは理由があって2つあるんだぞ!おまっ…おまえ……」

女「なんで泣いてるの?取られたのは私の内臓だよ?」

男「なんでお前そんなに馬鹿なんだよ……畜生…こんなことならずっと俺の手元に置いとくべきだった」

男「とりあえず警察いくぞ」

女「なんで?」

男「はぁ?わけのわからん理由で内臓とられてんだぞ」

女「でも私連帯保証人だし、借金だし」

男「内臓もってくような奴らに借金も糞もねえだろ馬鹿」

女「でも私ドナーカード持ってたし」

男「………駄目だこいつ」

女「私の内臓が病気で困ってる人の役にたってくれるのなら、それはそれで幸せだなって」

男「…………」

女「どうしたの?」

男「お前もう俺と結婚しろや」

女「えっ?」

男「もうだめだ。お前の頭が花畑すぎて腹が立つ。これから何かするときは全部俺に相談しろよ」

女「………あの」モジモジ

男「なんだ?」

女「トイレ行っていい?」

男「勝手にいけよ!」

女「だって…」

男「察しろよ!」

女「式はいつ挙げようかな?」

男「お前の好きな日にしろよ!」

女「子供は何人欲しい?」

男「二人欲しいけど諦めるよ!」

女「何で?子宮はあるよ」

男「内臓半分ないのに妊娠とか危険すぎだろ馬鹿」

女「がんばるよ」

男「がんばってもどうにもなんねえよ!」

女「大丈夫!私風邪とかあまり引かないから」

男「………」

女「なんで泣いてるの?」

男「お前のせいだよ!」

男「はぁ……お前のせいで俺の人生めちゃくちゃだよ」

女「じゃあ結婚するのやめようよ」

男「嫌だよ!」

女「なんで?」

男「お前のことめちゃくちゃ大好きなんだよ馬鹿!」

女「照れちゃうなぁ」

男「なんでお前そんなに馬鹿なんだよ……畜生…畜生…」

女「もう、また泣いて」

男「今くらい泣かせてくれよ!」

男「とりあえず病院いくぞ」

女「なんで?風邪なんて引いてないよ」

男「内臓半分とられてんだぞ!しかも闇医者なんだぞ!」

女「んー?」

男「もう…来いやこらっ」グイッ

女「痛いよ、腕引っ張らないで」

男「はー……」

女「どうして落ち込んでるの」

男「なんでお前は落ち込んでないんだよ」

女「落ち込む理由もないし」

男「お前馬鹿だから…内臓取られたのも勘違いかもという最後の希望にかけたのに……」

女「流石にそんな勘違いしないよ」

男「…警察には行ったし、お前も相手のこと覚えてたみたいだし」

女「私記憶力はいいんだよ」エッヘン

男「……臓器なんて戻ってくるわけないしな」

女「一つあるから大丈夫だよ」

男「おまっ!肺まで片方とか馬鹿じゃねえの!?日常生活に支障きたすわボケ!」

男「とりあえず病院には定期的には通わないといけないしな……」

女「私病院あまり好きじゃないなぁ」

男「好き嫌いの問題じゃねえよ!」

女「内臓片方だと急に死んじゃうこととかもあるらしいし、私のことは放っておいてもいいよ」

男「……死なせねえよ馬鹿」

男「義父さん義母さん」

父「………」

母「………」

男「なんで娘さんはあんなに馬鹿なんですか?」

父「すまない…何も言えない…すまない」

母「男くん、娘は私達が面倒みるわ。男くんに迷惑かけれないもの」

男「嫌です。僕は娘さんを愛してるんです」

父「………」

母「………」

女「男くん、この雑誌に見て。私このウエディングドレス着たいな」

男「空気読めよ!」

医者「子供は諦めることをお勧めします」

女「私子供欲しい」

男「諦めろよ!お前の命が危ないんだぞ!」

女「私命かけるよ」

男「……簡単にかけないでくれよ。俺にとってお前が一番なんだから」

女「えー……」

男「……養子って手もあるだろ」

父「私達の臓器を娘にやることはできないのかね?」

母「年寄りのでも無いよりはマシだと思うの」

男「それには色々と問題があるのでちょっと……」

女「いらない」

男「いらないは無いだろ!お前のためを想って……」

女「お父さんとお母さんには長生きしてほしいからいらない」

父「………」

母「………」

男「……畜生…お前のそういうとこ大好きだよ」

女「なんで皆泣いてるの?」

女「仕事やめろってどういうこと?」

男「体に負担かかることするなってことだよ」

女「男くんの稼ぎだけで生活できるの?」

男「馬鹿!何のためにがんばっていい企業に就職したと思ってんだよ。
そのためにお前と会うのも控えて学生時代からがんばって……
やっとお前を迎えれると思ったら……」

女「寂しかったけど大丈夫だったよ」

男「大丈夫じゃねえだろ!一人にして悪かったよ!ごめんなさい!」

女「なんであやまるの?」

男「いや、むしろお前が働けてたのが驚きだよ」

女「職場の人達はみんないい人だよ。結婚すること言ったら皆喜んでくれたし」

男「そうだな……俺も一緒に説明しに行くからな」

女「辞めるのは今メールで伝えたよ」

男「友達との約束じゃないだぞ!バイトでもありえないわ!」

女「OKだって」

男「どんな職場だよ!俺に電話させろ!」

男「夜分申し訳ありません。私、女さんと婚約している……」

社長「話は聞いています。私は女さんの会社社長の……」

男「社長にメールしたのかよ!」

女「うん」

男「むしろ何で社長のメアド知ってんだよ!」

女「会社の廊下の張り紙に書いてあったの。会社の不満等色々まってまーすって」

男「社長フレンドリーだなおい」

男「あ、申し訳ありません」

社長「フレンドリーだと思っていただけたようで嬉しいです」

男「……すいません」

社長「いえいえ、しかし何故女さん急に辞めることに?
仕事に関してはしっかりしてる彼女がそんなメールをしてきたのはビックリしました。
結婚するということで退社の手続きをしていた最中だったのですが」

男「仕事をしっかり?………は?あ、すいません、女さんがですか?」

社長「……なんてことだ。まさか、そんなことが」

男「…私も信じられません」

社長「何か困ったことがあったら私にメールして下さい」

男「メール好きなんですね」

社長「はい、とても」




男「本当にありがとうございました」ピッ

女「電話終わった?」モグモグ

男「お菓子食ってんじゃねえよ」

女「ごめんなさい」

男「社長、メール好きだけどいい人だったよ!」

女「楽しみだなぁ…結婚式」

男「そうか」

女「多分私世界で一番幸せ」

男「なわけねえだろ馬鹿」

女「幸せだよ」

男「俺の方が幸せだよ」

女「そうなの?」

男「何言わせてんだよ馬鹿」

男「昨日飲みに行ってきたよ」

女「何を?」

男「酒だよ!社長とな」

女「社長?なんで?」

男「電話だけで辞めますは有り得ないと思ったからだよ。菓子おりもって行ったんだよ」

女「お菓子私も食べたい」

男「買ってきてやるから話進めさせろ!」

女「やったお菓子だ」

男「社長話のわかる奴だったよ。あの会社入社したいわ」

女「ねえねえ」

男「なんだ」

女「なんで私が好きなの?」

男「難しいこと聞いてくるな、おい」

女「説明するの難しい?」

男「あー…なんでだろ…長い付き合いだしな………なんか放っておけない奴だとは思ってたが」

女「私は説明できるよ」

男「あ?」

女「男くんは私を大切にしてくれるから好き」

男「ああそうだ」

女「どうしたの?」

男「捕まったってさ、お前の内臓とってって奴ら」

女「かわいそう…」

男「全員死刑になってくんないかな」

女「そんなの駄目だよ」

男「臓器は早々に移植されたってよ」

女「それでその人の命が助かったのなら私は嬉しいな」

男「……お前のそういうとこ好きだけど嫌い」

女「どっちなの」

男「俺にもわからんわボケ」

女「招待状誰に送ろうかな?」

男「職場、学生時代の友達、恩師、その他諸々、呼びたい人に送れ」

女「夜逃げした友ちゃんにも送る?」

男「来てほしかったら送ればいい」

女「………あ、今の連絡先わからない」

男「じゃあ諦めろ」

ピンポーン

ガチャ

友「はい、なんですか?新聞ならいりませんよ」

男「女さんと婚約している者です」

友「……えっ」

男「連絡先がわからなかったので専門の業者に探してもらいました」

友「………」

男「こんど私達結婚するんですよ」

友「………」

男「彼女はあなたに式に出てもらいたいらしいです。これ案内です」

友「なんで……」

男「俺にはわかんねえよあいつの頭の中なんて!来いよ!絶対来いよ!」

女「ついに来ちゃったね」

男「ああ」

女「私途中で泣いちゃうかも」

男「俺なんて毎晩泣いてるわ」

女「嬉しくて?悲しくて?」

男「色々な理由でだな」

先生「女さん、幸せになってくださいね」

パチパチパチパチ

司会「では続いて女さん友達を代表して、友さんよろしくお願いします」

女「えっ?何で?友ちゃんには案内送ってないよね?」

男「黙って聞いてろ」

友「男さん、女ちゃん、ご結婚おめでとうございます」

女「ありがとー」

男「黙ってろって」

友「本来私はここに来れるような人間じゃありません」

ザワザワ

友「この会場の一部の方しかわからないと思いますが、女ちゃんの体は大変な状態になっています」

ザワザワ

友「そしてその理由の原因は私です。馬鹿で卑怯な手段をとった私のせいなんです」

ザワザワ

友「でも、女ちゃんはそんな私をこの素晴らしい式に呼んでくれました」

女「私呼んでないよ。だって案内おくっ…」

ポカッ

男「黙れ」

友「私はこの式が終わったらしかるべきところへ向かうつもりです」

ザワザワ

友「お目出たいこの式でこのような話をしてすいませんでした。
女ちゃん…これからも友達でいてくれますか?」

女「当たり前だよ」

友「ありがとう……お幸せにね……」

パチパチパチパチ

男「………まぁ、俺は許さんけどな」

女「なにを?」

男「知るか」

友「………」

女「今日は来てくれてありがとう」

友「ごめんなさい……なんて言っても謝りきれないよね」

女「……なんのこと?」

男「俺は許されることならお前の臓器を抜き取ってこいつに移植してやりたいよ」

友「私はそれでも……」

男「できるわけねえだろ馬鹿。お前の友達も馬鹿なんだな」

女「えへへ」

男「なんで笑うんだよ」

女「友ちゃんにまた会えて嬉しくって」

男「………そこの馬鹿」

友「……はい」

男「今度困ったことがあったらうちにこい。馬鹿なお前よりまともな答えだしてやるから」

友「………あり…がとうございます」

女「友ちゃんまで泣いて…どうしたの?」

数年後

ピンポーン

男「はい……チッ」

友「…お久しぶりです」

男「とりあえずあがってけよ。寒いだろ」




子「うーまー」

男「なにが馬なんでしゅかー?」

友「あの…女ちゃんは?」

男「ああ…この子な、女が産んだんだよ」

友「え…でも…」

男「どうしても産みたいって聞かなくてな」

男「まぁ、あいつも頑張ったんだけどな」

友「そ……そんな」ポロポロポロ




女「あれ?友ちゃん?久しぶりー」

友「………え?」

男「相変わらず馬鹿だなお前は、産むのが危険な状態での出産なんて俺が許さねえよ」

女「この子私の子供なんだよ。可愛いでしょ」

友「う……うん、とってもかわいいね!」


終わり

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