一夏「あれ、人が誰もいない・・・・・?」(129)

とりあえず注意

エロ・グロ・人道上問題のある行動や描写あり



15禁程度

はじまりはじまり~

1日目

今日もいつも通りの時間に起床

あれ、電気が付かない?

この前蛍光灯を換えたばかりなのに・・・やっぱり安物はダメだな。

トイレの電気も付かない・・・・停電かな?

尿意が・・・・仕方無い、無灯火でするか。あれ、水が流れるけど補充されない。
停電の影響でポンプまで止まってるのか?

とりあえず制服に着替えて教室へ行こう。停電のお知らせや連絡があるはずだ。
無くても授業はあるだろう。

あれ・・・・何かおかしい、誰ともすれ違わない・・・・。人の気配や物音さえない。

教室へ向かうが、誰も居ない。職員室へ行くが教師もいない。
別に急いで逃げ出したような後も無い。

他も当たって見るが、学園内には特におかしなところは無かった。

なぜ誰もいない?外にいるのか?

俺は外に出て叫んでみる。
「誰かいるかー!」

・・・・返事は無い。

どっきりか?カメラを探す。小さな木々の中などが怪しい・・・・。
番組タイトルは『IS学園唯一の男子 織斑一夏どっきり大作戦』だ。

しかしそんな期待は裏切られた。本当に何も無い。

俺は屋上から周りを見渡す。火災や津波の類は無いようだ。普通だ。おかしなところは見当たらない。

なんだココは。携帯をみてみる。圏外だ。電波時計が0で点滅して受信していない。
時計も電波時計だ。使い物にならない・・・・電力が止まっているからだろうか?

混乱する前に、状況の整理をする。
・人がいない
・そのため電気、水道、ガスのライフラインは全て停止している
・食料の確保も問題だ
・そして、この状況を作り出した原因はなんだ?

俺は記憶を辿る、昨日、ISの演習を行って、部屋に戻りお茶を飲んで寝た。
そして起きたらこの状況・・・・。

俺は防衛本能から来る衝動に突き動かされ、何か武器を探す。

昨日の演習後にエネルギー充填を怠ったせいで、白式は使えない。
もちろんライフラインが死んでいる以上、白式へのエネルギー供給が行えない。

武器を探さなければ・・・・・職員室にあてがある。

・・・・武器はすぐに見つかった。職員室の金庫をバーベルでこじ開ける。
ハンドガン2丁とカートリッジ4本。ショットガン1丁と弾30発。コンバットナイフ2本見つけた。

もし何者かが襲ってきてもこれで対処できるだろう。できなければ・・・・出たとこ勝負だ。

食堂へ向かうと、パンがいくつも置いてあった。菓子パンや焼きそばパン。
日持ちはしないが、当面の食料問題は解決できた。

俺は寮に立て篭もることにした。椅子や机を使い、玄関口、非常階段の入り口、階段・・・・全てを封鎖。

もちろん自分の部屋にも椅子や机で厳重に戸締りをする。同じ階の部屋には全て罠を仕掛ける。
どの扉を開けても小さい木の棒が多数こすれあって音で教えてくれる。

気がつけば夜。今が何時なのか分からないが、疲れ果ててしまった。

腹が減っていたがそのまま寝てしまう。

ハンドガンを握りしめて・・・・。

2日目

俺は熟睡しきっていた。気がつけば太陽は真上。正午だ。
周囲に特に異変が無いか確認する・・・・特に何事もなかったようだ。

頭がおかしくなる前に、日付をつけることにした。

壁に正の文字を付け、日付を刻んでいく・・・・。

何個書くことになるのだろうかと、T字を書いた時にふと思った・・・・。

何かに狙われている雰囲気も無い。あるのは無音。前と変わらない建物だけ・・・・。
食料は大事だ。水は、食堂にはあまり残っておらず、湖のものを濾紙で濾して飲むことにする。

風呂も無いため、暑い昼の間に湖で簡単に済ませる。

今日も何も無く一日が終わった。

3日目
食料問題以外は当面の問題はクリアできた。りんごの木でも植えるか?
収穫までに餓死してしまう。育て方も分からない。

自分の判断力の低下を感じ始める。人と接していないと判断力を失う。

俺はイメージトレーニングで、頭の中の箒やセシリアと話をしてみる・・・・。

顔が詳細に思い出せない。精神的に相当疲れているのだろうか。
俺は太陽が沈み少ししてから眠ることにした。

今日も何も無く一日が終わった。


7日目
ついに食料問題が露呈してきた。可能な限り地下の冷えたところに保存しておいたパンが腐り始めている。腐った

部分を捨てて、残りを全て食べきる。腐る前にカロリーにする必要があった。
腹がパンパンになって苦しかったが、仕方無い。
外敵の存在に疑問を感じ始める。

そして、今日も何事も無く一日が終わった。

15日目
完全に食料が尽きる。保存食として残してあった米がなくなった。

レジャー用の炊飯器を使い、自分で火をおこして白米と少量の塩、漬物で乗り切ってきたが
全て尽きてしまった。そもそも元からあまり無かった。

仕入れの時間は知らないが、仕入れる前にこんな状況になったのだろう。
俺はIS学園を出ることを決意する。

銃とナイフ、非常用のハンマーとバーベル、20mほどの縄を持ち出発する。

とりあえずこの人工島から出なければ。アドレナリンが分泌され、
俺は自分でもよく分からない興奮を覚えていた。

新しい刺激に餓えていたように・・・。

しかし、外に出れば外敵がいるかもしれない。

常に周りへの警戒を怠らず、少しずつモノレールの駅へ向かう。

モノレールの発着場所に着く。一応ハンドガンを構えてはいたが、取り越し苦労だった。

本当に何も無い。この島には住居が無い為、食い物も少ない。

やはりモノレール以外に脱出方法は無いが・・・。
当たり前だがモノレールは止まっている。

今日はこの駅にある救護室で寝ることにする。

ドアを厳重に戸締りして・・・・。

16日目

空腹で目を覚ます。駅の売店を見つける。

昨日は暗くて見つけられなかったのだろうか。食い物をあさる。

カロリーメイトがダンボールに半分程と少量の菓子類。飲み物もかなりの数がまだ残っている。
これで一週間は過ごせそうだ、俺はとても喜んだ!


そしてすぐ泣きたくなるような衝動に駆られる。俺は何の為に生きているんだ?
食い物を見つけて大喜びして・・・・。

哲学者にでもなるつもりは早々無いが、そんなことが頭をよぎる。

考えちゃだめだ。今はまだ目的が果たせていないじゃないか。
判断力を取り戻せ。この状態を作り出した原因を探すんだ。

18日目

ある程度、売店の食べ物を食べて持ち歩ける程度の量まで減らした。

ここからが問題だ。

モノレールのレールの上を歩かなければならない。

時刻は明朝。空が若干青みがかってきた頃に出発する。
暗くなってしまっては、足元が見えず落ちる危険性があるからだ。

強い風が吹く。バーベルとハンマーで少しずつ這って進む。
風が止めば少し腰を浮かせて慎重に走る・・・・・。

夕方頃にはなんとか陸地に着いた。見慣れた風景。

ショッピングに来るたびに通った道、橋、公園・・・・誰も居ない。

俺は思い切り叫ぶ。そうしないと気が狂う。
夕日に照らされながら、ストレスを全て涙と嗚咽に変えて俺は叫び続けた。

気がつくと夜になっていた。
月明かりが優しく照らしてくれていたため、それを頼りに寝床を探す。

民家のドア。施錠されている。バーベルでドアノブを叩き壊し、中に入る。
他人の家のなんとも言えない匂いが立ち込める。友人の家に入った瞬間の感覚だ。
正直不快だが、数分もすればすぐに慣れる。

現状の確認をする。建物は洋室タイプ。ベッドが3つあった、3人家族。
恐らく若い夫婦と小さな女の子の家だったらしき『モノ』有効に活用させてもらう。

もう、俺の中には罪悪感というものはなくなっていた。
この状態の俺に倫理を説く人間がいるなら同じ目に遭わせてやりたい。
とりあえず父親の部屋らしきところで就寝した。相変わらず厳重にドアの戸締りをする。もう習慣だ。

20日目

昨日から探していたものがようやく見つかる。ショッピングモールの食料保存庫に大量の食料。
生ものはほとんど腐っているが、缶詰や乾パン、またしてもカロリーメイト、菓子類が残っていた。

食糧問題は一気に解決した。
俺は食料をカートに乗せ、モール中央に集め始める。数ヶ月は暮らせるだろう。
賞味期限の順番に食べ物・飲み物を並べていく。

安堵感からか、買い物気分でウィンドウショッピングをしてみる・・・・。
こんなことになる前に入った店を見ては昔のことに思いを馳せる・・・。


まだ1ヶ月も経っていないというのに・・・・・。時計を見てみる。

なんだまだあったのかこの時計。箒が俺にプレゼントしてもらった時計だ。
限定版で側面にシリアル番号が入っている。

手に取り、何のけなしに見てみる・・・・・・俺はあることに気付き、自分の時計と比べる。
俺はすぐにこの時計の在庫を確認しに店舗の倉庫やカウンター下の中を探す。

この世界の矛盾点を1つ見つける。

俺が持っているこの時計とまったく同じシリアル番号の時計がここにはあった。

在庫分もすべて見たが、番号は全て違った。
同じ番号の時計が存在するはずが無い。なのにココにはそれが存在する。なぜだ?


正常な判断ができないのは重々承知の上だが、思考をめぐらせることを止められない。

この世界はなんだ?時空でも歪んでいるのか、そのせいで人がいない?
それとも人為的に作られたものなのか?いや、そもそも時間が違う?
俺の持っているものがここにはあった。時間にズレが生じているのか?

そこで思考はとまる。俺は非現実なことばかり考えていることに気付いた。

理性的になって自分の精神状態をを見つめなおすと、ありえないことばかり考えていた。
もう手を付けられないレベルだ。さっさと寝よう。

家具屋に行ってキングサイズのベッドを探し、100%羽毛布団で寝てやった。
今日も何も無く一日が終わった・・・・。

28日目

ショッピングモールの周辺を全て当たり、食料と手がかりを探す。
オフィスビルや民家、コンビニエンスストア、居酒屋・・・。

コンビニで食料の補充を行う。飲み物類はほとんどOKだ、それもかなりの量。

また、乾燥麺の類も結構あり、お湯さえ沸かせれば結構な食料にはなってくれる。


なんとなく髭剃りも取っておいた。

公園の湖で体を洗うときに、かなり伸びてきたひげもそっておきたかった。

自分の顎を擦りながら、あれからどれだけ日時が経ったのかと考えながら・・・・。


オフィスビル内のPCはもちろん全てアウトだ。
電力がカットされているのだから、分かりきってはいたが・・・。

書類の関係の日付は、こんな状態になる前の前日。

さすがに日付が変わるまで仕事はしていないのだろう。

おかしなところは無い。

オフィスという環境に慣れていないせいか、他に比べ更に無機質な雰囲気が漂うように感じた。

俺はモールへ戻り、ベッドで眠った。

今日も何事もなく、一日が過ぎていった・・・・。

30日目

いつものように目を覚まし、ベッドから立ち上がる。今日もいい天気だ。
学校が始まる前に一夏と朝稽古をしなければならない・・・・・。

なんだこの木の棒は、何かのおまじないか?放り投げて床に捨てる。
同室の者がつけたのだろうか。先に起きてどこかへ行ってしまったみたいだ。薄気味悪いことをする。


朝早いこともあってか静かな寮内。一夏の部屋の前で異常に気付く・・・・・匂いだ。

部屋に入ると、昨日とは一転し、部屋の様相は様変わりしていた。

ビニール袋や腐ったパン、トイレには流されていない糞尿。
嗚咽を抑えつつ、しかめた顔で中に入ると、壁に正の文字がいくつか並んでいる・・・・・・・。

何の数だ?なぜこんな生活を強いられていた?そもそも一夏がここにいたのかさえ疑わしい・・・・。
とりあえず一夏を探してみよう・・・・。

36日目

このショッピングモールでの生活もかなり慣れてきた。

だが、食料がいつまでも保つわけが無い。

俺はコンビニで拾った詳細地図と大きい地図を床に広げ、
まるで冒険にでかける主人公になった気分で少し興奮気味に目を見開いて自分の現在地を確認する。

まず、大きな地図で確認し、詳細な地図を広げ周りの細かな状況を把握する。
既に食料を調達し終えたコンビニや建物には×印を付けていく。

そして次の目的地、ここから北北東に60km程の地点にここと同規模のショッピングモールがある。

途中にコンビニが多いルートを優先した結果、直線距離に比べ倍ほどの距離になってしまったが、
時間はたっぷりある。

それにこのショッピングモールからは他のデパートなどへも近い。

自転車屋から拝借した最上級のマウンテンバイクに荷物を載せれば楽につけるはずだ。

やることも無いので、今日は本屋でなんのけなしに手に取った小説を読む。

恋愛小説だった。

あまり好きではないが、読まなければいけない。


自分の統率力がなくなって暴走してしまう。

理性の育成も大事だからだ。

37日目

ここには人がいない。この学園にいた『奴』を除いて・・・。

『奴』は既に学園外へ出て行ったようだ。

それもかなり周到に準備をして・・・・。食料はほとんどなくなっていた。

池の畔には炊事セット、火をおこした形跡もある。サバイバルな生活を行っていたようだ。

とりあえず追いかけてみよう。食料は、食堂のものは全て食べつくされていた。『奴』の仕業だ。

仕方なく、寮の中に女子が何か隠していそうな場所をくまなく探す。

ほとんどが菓子の類だが、保存期間と栄養摂取には問題ないと判断し、食していた。

早速脱出準備に入る。職員室に武器庫があるらしいが施錠は外され、中は空になっていた。

『奴』が持っていってしまったのだろう。

木刀一本か、今の私にはなんともか弱いものだ。

もし『奴』が脱出するなら船かモノレールしかない。

船着場は遠い、まずはモノレールの発着場から行こう。

明日、ココを発つことにする。

38日目

どうやら『奴』はこのモノレールを伝って本島へ渡ったようだ。
無茶をする・・・・。

売店があったが、どうせ既に荒されているのは明白。

だが一応覗いてみる。

案の定タバコと雑誌以外のものはほとんどなくなっていた。
気休め程度にカロリーメイトが数本と水数本が手に入った。

カロリーメイトを1本食べて救護室で寝ることにする・・・・。

『奴』はここも使ったようだった。罠をはり、守りを固めてある。
私はとりあえず寝ることにした。木刀を抱えながら・・・。

40日目 朝
モノレールを伝って本島へ向かう。風はあまり強くない。

木刀を構造物の隙間に差し込みながら、突然の突風に身構えつつ進む。

太陽が真上に来る。夜までに向こうへいけるか少し不安になる。

太陽が夕日になり、完全に沈んでしまった。

しかし、月の淡い光が私を救ってくれた。間接照明程度であるが、とてもありがたい。

なんとかモノレールの駅へ着くことができた。

私は残りのカロリーメイトを全て口に放り込み、水を飲み干した。

かなり消耗したせいだろう。腹が減って仕方なかった。

今日も、救護室を使うことにした。ここに『奴』の居た形跡はなかった。
私は倒れるように眠りについた。

41日目
私はモノレールの駅の売店を見てみる。まったく手付かずだった。
『奴』はこちらの駅について、嬉しさのあまりどこかへ行ってしまったのだろう。
救護室を使っていないところから見ても、駅での滞在時間は少ない。
売店で食料と水の補給を済ませる。

そして、いつもおなじみのショッピングモールに向かった。
途中、コンビニが何件かあったが、中は全て荒らされていた。
『奴』のせいだろう。

ショッピングモールはいつもの風体を保っていたが、異物感を感じる。モール中央に綺麗に整頓された飲食物が広

がっていたからだ。それを1つ手に取る。保管に向いた缶詰や乾パンだ、やはり『奴』が・・・・そう思った瞬間だっ

た。

「動くな」非常に衰弱した声と野太い重厚な音・・・銃を突きつけられている。
とりあえず確認したいことが山ほどある。こいつは恐らく私が追っている『奴』だ。

私は思い切って「そっちを向いていいか?」と質問する。
すると『奴』は、「手を頭の後ろで組み、ゆっくりこっらを向け。」と言った。とても堅実な性格だ。

ゆっくりと後ろを向く。『奴』と目が合うと私は数秒固まってしまった。

「・・・・・一夏、なのか?」私は自分の目を疑った、
一夏がなぜここにいるのか、なぜ私に銃を向けているのか・・・・。

そして一夏は私に答えるように言った「そうだ」と。

そして間髪入れずに質問を投げかけてくる一夏。「お前は俺の知っている箒か?」。

・・・・何を言っている?当たり前だ。
私は取り乱しそうになりながらも、「そうだ。いつも剣道場で朝練をして、昔からの幼馴染のその箒だっ!」
そう答えると一夏は銃を下ろしてくれた。

害は無いという判断だろう。

しかし、一夏は突然、私の身辺チェックを申し出る。

断る理由も無い。

それに私よりも明らかに衰弱しきっている一夏には、正常な判断ができなくなっているのは明白、

とても怯えきっている。あまり刺激するのはよくない。

一夏の指示に従う。

ある程度の身辺チェックを済ませて、満足した一夏は
「疑ってすまなかったな、箒」と衰弱しきった顔で笑う。

その表情はとても痛々しかった・・・・。

とりあえずこれまでのいきさつを説明し合い、情報の共有化を図る。
一夏は、私よりも1ヶ月も前にココに来ていたようだ。

夜になり疲れてしまったのか、一夏が突然「今日はもう寝よう」と提案してきた。
私も疲れていたので同意した。

同じベッドで寝た。久しぶりに人と寝る。
それに一夏と一緒というのが、さらに私の安心感を大きくしてくれた。

41日目
今日は自転車屋でマウンテンバイクの消耗品の交換方法と修理方法。
必要工具の扱い方を勉強していた。

恋愛小説を読んでも今更活用できる知識は無い。
今は生きる為の知識を得なければ成らない。
なぜあんな馬鹿げたことをしていたのかと自分に問い詰めながら・・・・。

そんなとき、小さな物音がモールの外から迫ってくる・・・・。
俺がいる2階からは見晴らしが良いためすぐにわかった。


箒だっ!

本能が『早く行け!1ヵ月半ぶりの人間だぞ!それも知り合いだ!』と興奮気味に告げる。

理性が『まて、罠の可能性がある。様子を見て情報を聞き出すんだ。』と冷静に告げる。

俺は後者を選択した。

ハンドガンを構え、安全装置を解除する・・・。

気付かれないよう気配を消し、音を立てないように『箒』の後ろに歩み寄る・・・・。

残り5m地点。

銃を向け、「動くな」と命令口調で言う。しかし声が震えていた。

『箒』は、俺の方を向いてもいいか、と問いかけてくる。

「手を頭の後ろで組み、ゆっくりこっらを向け。」映画のセリフのようにスラスラと言ったつもりだが、若干震えている。

そしてゆっくりと頭の後ろで手を組む『箒』。俺は銃を向け続ける。
『箒』は指示されたようにゆっくりこちらを向いた。

そして数秒の時間を置いて「・・・・・一夏、なのか?」と俺に確認するように質問を投げかけてくる。

俺はその質問に銃を突きつけたまま「そうだ」と答えた。
それ以上話かけるのは今はまだ良くない。

俺が感傷的になる可能性がある。

色々と聞きたいことがあったがまず正体を確かめたい。

「お前は俺の知っている箒か?」俺がそう言うと、箒は俺に向かって少し取り乱しながら答える。

「そうだ。いつも剣道場で朝練をして、昔からの幼馴染のその箒だっ!」そう答えた。

俺の期待した答えを返してくれた、それだけで満足してしまう。緊張感が途切れてしまう。

もう信用してやろう・・・俺もこんな真似をするのは疲れた・・・・・・。俺は銃を下ろした。

一応身辺チェックをする。武器を隠し持っている可能性もある・・・・・木刀と少しの食料以外は何ももっては居ないようだ。

俺は安堵の顔を浮かべ、「疑ってすまなかった、箒」と笑顔で謝罪をした。

まずは、これまでのいきさつを説明し合い、情報を共有する・・・何も得られるものが無い。

俺より1ヶ月前にこの世界に来たという情報だけだ・・・・しかし、時間に対する疑念が浮かび始める。

俺はこの一件でとても消耗していた。「今日はもう寝よう」特に脈拍も無く俺は箒に提案した。

箒はすんなり受け入れてくれた。俺達は同じベッドで寝た。
他人と寝るというのがこんなにも心休まることなのだと思い知った日だった。

42日目

今日からは2人1組だ。

箒と「絶対一緒に生き延びて行こう。」と約束し合う。

そのときの箒はとても元気に見えた。握手をして誓いを立てる。

当面の目標として・・・・・虚しくなるほどの情報収集だ。

俺達は散開し、可能な限りの情報を集めて周る。

住宅の中、新聞の日付はどれも同じだ。
炊事や洗濯をしていた痕跡がまったく無い・・・・。

夕方になればショッピングモールに戻る。

食料は十分ある、ゆっくりやればいい・・・・。

65日目

このサバイバルな環境で俺は生存本能を刺激され尽していた。

戦場の兵士は生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされたとき、
生存本能として性欲が高まると聞いたことがあるが、この衝動か。

箒と暮らし始めて既に20日目、安心するからという箒からの申し出で、
一緒に寝ていたが、箒をひとりの女として見始めてしまう。


非常に強い本能だ。今の俺に押さえ込めるのか・・・・・。

『もしも』のときのために、コンビニでコンドームを手に入れ、ポケットにねじ込む。


そんな自分にイラつき、棚を蹴り倒した。

70日目

食料の余裕はまだまだある。だが俺の性欲はもう限界だ。

夜になり床に就く。俺は自分を抑えながら箒に話しかける。

俺は箒の目を顔を見つめながら呼びかける「なぁ、箒・・・・」

俺の言葉に気付いて、目を開けこちらを見つめる箒「どうした?」

俺はもうこの衝動を抑えられないでいた。

真剣な眼差しで「俺のこと・・・・嫌いか?」と問いかける。

箒は俺の目を数秒見つめ、目を瞑った。箒が俺の手を固く握り締める。俺も握り返す。

それだけだ。たったそれだけで箒は意味を理解してくれた。

俺は初めこそ自分を律することができたが、
箒の体を舐めまわす間に理性が吹き飛ぶ。

箒の申し出で、コンドームだけはなんとか付けた。

まるで獣のように箒を激しく突き上げた・・・・・事が終わる。

俺はそんな自分が情けなくなり、「すまない、ひとりにしてくれ」とだけ言い残し、
違うベッドひとりで泣き、気付いた時には寝ていた。

75日目
箒が突然、「ショッピングを・・・・しないか?」と申し出る。

回答に困っていると、たたき掛けるように「き、気分転換だ!」
と言って俺の手を握り、洋服を着始める。

「ど、どうだ?」と言ってくるりと周る箒。とてもかわいらしい。

色んな店を回った。楽器店ではギターが弾けないのにポーズだけとってみたり、
ベースの練習をしたり、店員役とお客役をして遊んだりした。

たまに客側になった箒がクレーマー化してなかなかしつこかった。

水着屋に寄る。いろいろ試着する箒。それを試着室の前で見つめる俺・・・・。

感想を求められるが、かわいい以外に表現が乏しいと指摘を受ける。

たまに「綺麗だよ、箒」と言うと顔を赤らめて下を向いてしまう。

それを見て「かわいいなぁ、箒は」と笑いながら言うと、
「か、かわいくなどは無い!」と必死に取り繕うように否定する。

それがまたかわいいのだが・・・・。

そんなことを続けていると、少しずつ俺の中で、また箒への衝動が大きくなってしまった。
俺はまだ着替えている箒がいる試着室に入って、そのまま押し倒してしまう。

舌を絡ませ、お互いに求め合う。
今度は箒も悦んでくれているようで嬉しかった。

82日目

どんどん怠惰的な生活になっていく。
食い物はある、時間もある、しかしすることが無い。

すること・・・・。

昼飯を食べながら、箒の方をチラリと見ると
俺のことを見つめていたようで、すぐ横を向いてしまった。

もしかして同じことを考えていたのだろうか?
鎌をかけて、確認してみることにする。

「なぁ、箒。最近することも無いな。暇じゃないか?」
俺も暇だ、といわんばかりのアピールだ。

「そ、そうだな・・・・もう何もすることが無いな・・・・・何か無いものか、
気晴らしできて時間も潰せるような・・・」頬を赤らめながら答える箒。
言いたいことは伝わってきた。

「じゃあ、あっちにいいものがあるんだよ」そう言って俺は箒の腕を掴んで
家具屋まで行き、箒をベッドに寝かせた。

「じゃあ、時間潰しをしような?」笑顔でそういう俺に、
分かりきっている癖に「な、なんのことだ・・・・?」と頬を更に赤らめる箒・・・。


もう時間の問題だ。少し頭を撫でてやり、キスしてやる。箒も俺の腰に手を回す。

時間つぶしという名の、完全なる欲望の吐き出し合いだ。

それからというもの、ほぼ毎日SEXするようになっていた。

1日に2回することも増えてくる・・・。


ついに酒にまで手を出し始める・・・・。

106日目

俺と箒は完全に狂ってきた。毎日酒とSEXに明け暮れる。

情報集め?糞食らえだ。どうにでもなれ。
俺達はもう誰からも見放されている。食料はココにまだ十分ある。

無くなれば地図の通りに新しいところへ行くだけだ。
先は見えている。やることは無い。いや、できることが無いというべきか・・・・。

ゴムが尽きた・・・・。

箒が言う「生でも大丈夫だ。外に出せば。な?早くしてくれ」と懇願してくるようになる。

それも時間の問題だった。

遂に箒は「膣中にだしてくれ。」と言い始める。

箒も俺も焼けくそになっている。そして、遠くからそれを見つめる自分がいる・・・・。

112日目

箒が食料がそろそろ底を付くことを知らせてくる。

俺はイラついていた。その辺りにある棚を蹴り飛ばした。
そんな俺を見てただただ箒は怯えていた・・・。

そんな箒をみて我に帰った俺は、すぐに謝罪した。情けない。
箒は「気にするな」と言って、肩を軽く叩いてくれた。


箒の足は震えていた。


まだ食料は2週間分ほど残っている。
食料消費が2人分になったとは言え、周りのコンビニなどのおかげだろう予想より減りが遅かった。

俺達は怠惰的な生活から一転し、焦り始める。

そして、次のショッピングモールへ向かう。

113日目

新しいショッピングモールだ。規模は予想通り、前のモールと同じくらい・・・・。

だが、異臭がする。腐った食べ物の匂いだ。

俺達はビニール手袋を付け、袋にそれらを片っ端から放り込んでいく。

喫茶店のサンドイッチ、ファーストフード店の肉・・・・・。

遠くの民家に運び込みほぼ埋葬するような形にしておいた。

モールの窓を全てあけ、換気をする。大分マシにはなった。
だが、食料の調達が先だ。

かなり時間がかかったが、保存庫を見つけた。

中をチェックする。相変わらず生ものはアウト。

ほとんどがビニールパックされているので異臭は無い。

乾燥食品や缶詰をかたっぱしからカートに載せて運び出す。

そうこうしていると夕方になってきた。

異臭がなくなったので窓を閉める。

次第に夜が寒くなってくる。

寝床を探さなければ・・・・家具屋に向かう。

毛布を何重にもかぶり、俺達は寄り添って眠りについた。

168日目

このショッピングモールに着てから、1ヶ月経った頃だろうか。
またSEXと酒に溺れ始める。
どちらももう、手が付けられない獣だ。若い体を持て余していたものを取り返すように・・・。

何度も膣中に出しているが、まったく妊娠しない。

こちらとしてはありがたいが。

箒はずっと俺のモノを求め続ける。

酒と汗と蜜でベッドの上はびちょびちょになっている。

食料はまだ2か月分はある・・・・。

そんな安心感から来る本能による衝動行為。

だんだんエスカレートしていく。

209日目

食料にそろそろ余裕がなくなってきたため、また焦りを感じ次の目的地を探す。

随分暖かくなってきた。少し北上しよう。50km先のショッピングモールへ向かう。

途中のコンビニの位置も考慮に入れての距離だ。

1時間ほど自転車で走った頃だろうか・・・・おかしい。
地図があっていない。箒と一緒に地図を見比べる、周りにある店の名前が・・・・全然違う。

何気なく電柱の住所部分に目をやる。一番初めに居たショッピングモールと同じ市内だ!

確かに俺達は新しいショッピングモールに向けて走っていた。
太陽の位置、コンパスの示す方向、全てあっていた・・・・完璧だった。

この世界で最悪の矛盾を発見してしまった・・・・。

一定の位置でどうやらループしている・・・・。

まるで小さな地球の上にいるのだ。

箒は驚愕の顔をする。

地図を前の市街地のページに戻す。最悪だ・・・・×印がついたコンビニを周る。
俺達が荒らした後がある。

途中のコンビニでかき集めた食料を見る。
持って2ヶ月。俺達は食料集めに疾走する。
スーパーや住宅の棚にある乾燥食品の類。

1ヶ月ほどがんばった。なんどかループを繰り返しながらも、
街中を自転車で疾走する日々。

これだけあれば、1年は持つ・・・・・1年・・・・・・・・・・・。

俺の頭の中に何とも言えない衝動とそれを押さえ込む罪悪感が葛藤を始める。
「2人で1年・・・・」

これまでの経験。怠惰、焦りの繰り返し・・・。それが頭をよぎる。

221日目

また始まった怠惰な日々。完全に生き残ることを諦めている。そんな日々が続いた。

今日も箒が酒に良いSEXを求めてくる。断る理由も無い。

俺は箒を抱き、正常位でいつものように箒の膣中に己の欲望をぶち込む・・・・・。

箒は口をだらしなく広げ、あえぎ声を上げている。俺はいつにもなく冷静だ。

箒の首元をみる・・・・。細い首だ・・・・・。

俺の両手が箒の腰から肩へ・・・・そして首へ移動する。

箒は目が空中を彷徨っている。

こちらの行動には気付いていない・・・・・。俺は気がつくと箒の首を絞めていた。

あえぎ声が「カハッ・・・・クケッ・・・・カカケッ・・・・」という声に変わる。

箒が俺の目を睨み付ける、そして次の瞬間思い切り蹴飛ばされる。

壁にぶつかる俺、咳き込みながらベッドの下から木刀とコンバットナイフを取り出す箒・・・・。


どうやら箒も同じことを考えていたようだ。


ただ、俺が1日・2日早く行動を始めてしまっただけのことだ。それも俺に優位な形で。

もう余裕は無い。俺は上半身裸のまま一気に駆け抜ける!

武器は1階、ここは2階だ!
後ろから袴を着た箒が、木刀を持ち、追いかけてくる。

懐にはコンバットナイフが2本。

階段の手すりを滑り降り、一気にハンドガンに手を伸ばそうとした瞬間、

俺の左足太ももにコンバットナイフが突き刺さる。

激痛。

俺は劈くような声を上げた。引き抜けば肉ごと抉り出される形状。

投げナイフの要領で箒は俺の脚を狙ってきた。目がイカれている。

俺も同じ目をしているのだろう。這って銃に向かう俺。第二射が来る!
俺は、太ももに刺さったナイフが床と擦れあう激痛に耐えながら、床を転がりナイフをかわす。

後は木刀だけ、箒は銃を持っていない。持っていれば初めから使っている。
足の痛みなど気にしていられない!箒が20m後方から全速力で迫ってくる!

俺は前かがみになって、よろよろと右足で跳ねるように銃へ向かう!

ギリギリだ!俺は左手でショットガンの銃口を、右手でハンドガンを持ちそのまま倒れこむ。

箒は歯を食いしばり俺の頭部に向かって木刀を振りかざす!

俺は体を勢いよく反転させ箒の方を向き、ショットガンを俺の顔のあたりにかざす!

それにより箒の攻撃を防ぐ!完全ではなくてもいい!

箒は勢い余って俺の防御姿勢に気付かずそのままショットガンに向かって
木刀を振り下ろしてしまった。

ショットガンに沿って俺の目の前で右方向へ流れていく木刀。

ショットガンの裏に隠していたハンドガンを瞬間的に箒の眉間に押し当てる。



「絶対一緒に生き延びて行こう。」と約束した時の箒の笑顔が脳裏に浮かぶ。



俺は、まるでその時の箒に謝るかのように、「ごめんな」と言って引き金を引いた。

足が痛い。口に雑巾を押し込んでかみ締め、コンバットナイフを引き抜く。


あまりの激痛に意識が遠のいてしまうかと思った。次も問題だ。まず冷水で汚れを流す。

そして、消毒・・・・。全ての工程に激痛が伴う。何度も意識が遠のきそうになる。

だが壊死してしまうよりは良い。足に包帯をきつく巻きつけて箒の方へ歩く。


まだ箒の体はピクピクと痙攣している。罪悪感しか湧いてこない。俺は箒の顔を見る。


なんて醜い顔だ。どうせ俺も箒の事は言えないのだろうが・・・・。

目と口を閉じてやり、手を腹の前で組ませてやる。
そして造花だろうか、花壇にあった花をちぎり胸元に置く。箒に似合う、赤い花だった・・・・・・。

その瞬間、周りの景色が歪み始める!何が起こった!
どんどん俺の周りの景色が床に引きり込ままれていく。

俺の上空から少しずつ、壁を這うように・・・引きずり込まれていく・・・・・。

引きずられた先にあるものは、ドス黒い闇・・・・闇・・・・・闇・・・・・・・。

闇はどんどん迫る。足元まで迫ってきた!
遂に箒も消えてしまった。俺も消えるのか?

しかし俺は消えなかった。周りは真っ暗だが消えていない・・・・・。

上から光が差し込む、何事だろうか・・・・

「・・・・っくん」

何か声が聞こえる。

「いっくん」

声の主は“いっくん”と言った。独特の口調・・・・・束さん?

俺は長い長い悪夢から抜け出したように目をゆっくり開いた・・・・。

束「起きたのかな、いっくん?」

俺を真上から見上げる白衣の束さん

俺は眠っていたのか?

真っ黒なカプセルに入っている。

周りの何もかもが黒い。

その部屋の壁や天井をぼんやりとモニターらしき明かりが照らしている。

そしてものすごく広い。

天井はあまり高くない。俺は周りの状況を確認し終え、起き上がろうとする。

動かない。首以外どこも動けないように拘束具が取り付けられている。

すると、ドス黒い部屋とは正反対の、真っ白な白衣を着た束さんが座り込み俺に話しかけてくる。

束「もう、毎回毎回その反応されると飽きてきちゃうんだなぁこの実験♪」


実験?これは夢?俺は箒を殺してないのか?


束「これ説明するのも面倒なんだけどなぁ・・・・・周りを見てみなよ、ほら。」

俺は混乱して束さんの表情や思考を汲み取る余裕が無い。言われるがままだ。

俺を乗せた台が垂直に立ち上がる。俺の周りに・・・・・俺がいる。

50人?いや100人?そして向い合う形で、同じ数の箒がいる・・・。
みんな俺と同じカプセルに入れられて。

束「種明かしして欲しいのかなぁ~♪えーっと、君の検体番号はぁ・・・・・」

研究員A「『IO-0659-5』・・・・・あぁ、すみません。今この瞬間から『IO-0659-6』ですね。」

束「あぁ、そうそう!それだよぉ♪君はねぇ、659体目の織斑一夏君のクローンなのでしたぁ♪しかも!末尾の6は

どういう意味か分かるかなぁ?ふふふふぅん」

俺は首を横に小さく振る。眉間から上に違和感、頭蓋骨が無い感覚。脳に直接何か差し込まれている?

頭の整理が追いつかない


束「これは、君が今まで殺した箒ちゃんの数だよぉ♪なかなか優秀だねぇ♪」

何を言っているんだ・・・・・俺は夢の中で確かに殺したが、それも1人だけだ。


束「ほらほら、目の前の箒ちゃん・・・えっと確か、検体番号HS-0725-2だっけ?」ウィーン・・・・

束「ほら、眼球をみてみて、ね?動いてないでしょ?顔も青白いねぇ♪脈もぉ・・・無いねぇ、死んでるよぉ?」

死んでる・・・・・・・俺が殺した?

束「あまりにもリアルなヴァーチャル体験だからねぇ。夢の中とは言っても実際に死んでしまうんだなぁ♪
まぁ、それだけ私の作ったヴァーチャルシステムが完璧ということでもあるんだけどねぇ♪」

この人は頭がおかしい・・・・じゃあ俺は誰だ?

束「うんうん。いつもの質問の顔だねぇ?言いたいことは分かっているよぉ!」

束「いっくん、君には偽物の記憶を植え付けてあるんだよぉ。
そもそも君という固体は、IS学園で授業どころか織斑一夏として生を受けてすらいないんだよぉ~♪」

束「全部、実験に協力してもらったオリジナルのいっくんの記憶データだからねぇ。」

研究員A「まぁ、協力といいましても薬で眠らせての、ほぼ拉致のようなものですが。箒さんも同様に。」


「と、時計のシリアルナンバーは!あれはなんなんだ!」


束「うむ!いい質問だよぉ♪ ディスプレイで見てたけどいいところに気付いてたねぇ、あれはこっちのミスだよぉ!」

束「いっくんの記憶データを読み取った日と、いっくんの外見データを読み取った日が違ったんだねぇ。」
束「その間にあの時計をいっくんが手に入れてしまったんだなぁ♪」

束「しかし最新の記憶データからヴァーチャルシステムを構築すると
  そこに多少の時差が生じてしまい・・・ってことだねぇ♪」


「数日の間の変化を俺は見つけただけということか・・・・」

研究員A「まぁそんなところです、参考にさせて頂きます。では、時間が惜しいので作業を再開します。」

束「じゃあ、あとよろしくねぇ♪

研究員A「・・・・・・ではお願いします。、検体番号IO-0659-6の記憶の全消去とオリジナルデータの書き込み。」

研究員A「ダイブの準備を行え。検体番号HS-0725-2は廃棄、新しいのを寄こせ」


プシュー・・・・・

「や、やめろ!!やめてくれぇぇえええええ!!もう殺したくなぃぃいいいいいいいい!!」



俺は視聴覚を奪われ、真っ暗な世界に放り込まれた。

そして頭の中が真っ白になって・・・・・・・・

束「なかなかだったねぇ、221日!新記録更新だよぉ♪」

研究員B「はい。トータル800日で6人。」

研究員B「かなり長い間協力できていたようですね。」

研究員B「あと、今日のダイブで7回目になります。そろそろ脳に障害が出始めるかと・・・・・。」


束「そうなったら新しいのを用意すればいいんだよぉ♪」

束「それにしてもこっちの世界じゃあ1週間しか経ってないのに、
 向こうの世界じゃ200日経ってるなんて、チェックが忙しくてほんと疲れるよぉ・・・・ん~♪」


束「今度から口頭説明じゃなくて、ICレコーダー使おうかなぁ♪」

研究員B「がんばってください。これで白式と紅椿のスペックを更に向上させられるのなら安いものです。」

束「まぁ、そうなんだけどねぇ~、早く殺しあわない終わり方をするクローンが見つからないことにはねぇ・・・・」

研究員B「白式と紅椿のコンビネーションにおけるマッチング、ですか・・・・・」
研究員B「確か10年間生き残ればクローンは開放、精密検査行き、でしたか・・・・。」

たったったったった!

研究員C「束博士、また検体番号IO-0713-10です。今この瞬間、IO-0713-11になりました・・・。」はぁはぁ

束「また出会った瞬間射殺しちゃったのかぁ・・・この子も特異ケースだから説明が必要だよねぇ・・・。」

束「そうだ!今回の説明をICレコーダーに記録しよう♪」


研究員C「それより急いでください。大分混乱しています!」


束「そっかぁ・・・さぁ、みんなぁ!張り切って行っくよぉ♪」

研究員A「『検体番号IO-0659-6』と『検体番号HS-0425-8』の準備が完了しました。」

束「0425かぁ、いっくん今回はやばいかもよぉ?なかなか強敵だねぇ、じゃあ・・・・・」




束「はじまりはじまり~」ポチッ


1日目

「あぁ・・・・もう、朝か・・・・・・・・」



おわり

殺そうと思う理由がわからない

>>118
食い扶持が減るからじゃない?



>>118
殺せば食料の消費が半分になるだろ

>>118
あんな極限の状況に置かれたら、色々狂って何も考えられなくなる
いわば、野生みたいになるって事よ

>>118
>>126
分かりにくかったね。ごめん。

>>124
>>125
で正解。

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