【咲-Saki-】菫「ミニ雀士の飼い方」 (69)

このSSは以前VIPの方で書いていた

菫「ミニ宥が大特価バーゲン中か」ミニ宥「アッタカクナイ、アッタカクナイ」

菫「ミニ宥を飼い始めた」ミニ宥「チョットアッタカーイ」

菫「ミニ宥との生活も慣れてきた」ミニ宥「カナリアッタカーイ」

の誤字脱字など修正してその後の完結までを目指すSSです。

よろしくお願いします。


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ミニ宥「アッタカクナイ、アッタカクナイ……」ブルブル

 ふと何気なく足を運んだペットショップに彼女は居た。

菫「——か、可愛いっ……!」

 身長はおよそにして8センチ前後だろうか。
 小さな体に愛らしい顔、寒いのかカタカタと身を震わせる彼女。
 最近世界で話題になっているペット、ミニ雀士の『ミニ宥』に菫はとびっきりのかつてない衝撃を体中に走らせた。

菫「店員さん! 店員さん!」

店員「はい、如何致しましたかお客様」

菫「この子の値段を聞きたいのですが!」

店員「定価は12800円ですが、只今セール中につき9800円になっております」

菫「安っ!? 買います! 一括で買います! すぐください! いまください!」

店員「ちょ、ちょっとお待ちください。お客様はミニ雀士を飼われた経験がございますか?」

菫「いえ……あ、犬なら家で飼ってますが」

店員「あー、でしたら今すぐお買い上げいただくというのは難しいですねぇ」

菫「何故ですか!? なら4倍……いや6倍までなら一括で出しますよ!? それ以上でも分割で……!」

店員「いえいえ、お金の問題ではなくて……」アセアセ

店員「ミニ雀士のミニ宥は飼育がかなり難しいんですよ。手間暇も、飼育費もそれなりにかかりますし」

菫「ぐむむ……」

店員「可愛いから軽い気持ちでお買い上げになるお客様も多いんですが、すぐに死なせてしまったりお捨てになる方も多くて」

菫「こんな可愛い子達を捨てたり死なせたりする奴がいるんですか!? ゆ、許せん……!」

店員「初心者でしたらこちらのミニ穏乃やミニセーラがオススメですが」

ミニ穏乃「アソブンダ! アソブンダ!」

ミニセーラ「バスガデルデー! バスガデルデー!」

菫「……こっちも可愛いことは、可愛いけど……」チラ

 確かにミニ穏乃は元気いっぱいで、見ているこっちまで楽しい気持ちになってくる。
 確かにミニセーラはやる気に満ちあふれていて、見ているこっちまで微笑ましい気持ちになってくる。

 けれど、それでも。

ミニ宥「アッタカクナイ……」ブルブル

 菫は、ミニ宥から目が離せない。
 心の中ですでに答えは決まっているのだから。

菫「ど、どうしても駄目でしょうか?」

店員「うーん……ミニ宥はブリーダーでも飼育するのが難しいと首を傾げるほどでして」

店員「こちらも商売とはいえ、命を扱う以上は……」

菫「——だったら、勉強してからまた買いに来ます! それならいいんですよね!?」

店員「はい、お客様のような熱心な方なら、知識さえ養っていただけさえすれば我々も安心してお売りできます」

店員「この子は予約ということにして起きますので」

菫「ありがとうございます!」

菫「急いで勉強しなくては……!」ダッダッダ

照「咲、淡。ご飯だよ」スッ

ミニ咲「カン! モイッコ、カン!」モグモグ

ミニ淡「クレテヤル! バイマンクライクレテヤル!」ムシャムシャ

照「ふふっ、いつみても咲と淡は可愛いなぁ」


 ピンポーン! ピンポンピンポンピンポンピンポーン!


照「ん? だれか来たのかな」

照「はーい、今出ます」タッタッタ

 ガチャ

菫「照、お前ミニ雀士飼ってたよな!? 後生だ! 私にミニ雀士の飼い方を教えてくれ!」ドゲザ

照「」

照「と、とりあえず上がって」

菫「ああ! お邪魔します!」



ミニ咲「アワイチャ、アワイチャ」イチャイチャ

ミニ淡「サッキー! サッキー!」イチャイチャ

菫「この子達も可愛いなぁ」

照「あげないよ? それにしてもミニ雀士を飼いたいなんていきなりどうしたの?」

菫「ああ、ペットショップで一目惚れしてな! ミニ宥というんだが」

照「ミニ宥!? ミニ宥を飼うつもりなの!?」

菫「そうだが」

照「止めておいたほうがいいと思う」

菫「何故だ!? お前までそんなことをいうのか!?」

照「私が飼ってる咲と淡も飼育は難しい方だけど、ミニ宥は別格」

照「この2人がレベル5くらいだとすると、ミニ宥はレベル30はある」

照「それくらいにミニ宥は飼うのが難しい」

菫「……それでも! それでも私はミニ宥を飼いたい!」

菫「こんなにも、何かを求めたことは初めてなんだ……」ポロポロ

照「菫……」

 菫の瞳から流れ落ちる雫。
 それを見つめる照とミニ雀士の2匹。

ミニ咲「ナカナイデー」トコトコ

ミニ淡「オナカイタイノ?」トコトコ

菫「うっ、うっ……」

照「わかった。私が知ってることでよければ全部教えるよ。頑張って、菫!」

菫「本当か!?」パー

菫「ありがとう、照! 待っていてくれ、ミニ宥。私はお前を幸せに飼える知識を身につけて、必ずお前を迎えにいくからな……!」

 ——同時刻 ペットショップ

店員「よかったなぁ、ミニ宥。優しそうな飼い主が出来そうだぞ」ナデナデ

ミニ宥「アッタカクナイ……」ガタガタ

店員2「あれ? 先輩、そのミニ宥予約になってますけど、買い手が現れたんですか?」

店員「そうなんだよ。なんでも、ミニ雀士を飼うのは始めてらしいんだが」

店員2「未経験者がミニ宥を!? 大丈夫なんですかそれ。ミニ宥の飼育ってかなり大変ですよ?」

店員「俺も一度そういって断ったんだけど、だったら勉強してまた買いに来ます! って真剣な目で返されてな」

店員2「へぇ、いいお客さんじゃないですか」

店員「ああ。ペットを飼う人達の大勢があんな熱意のある人なら、俺たちも気持ちよくこの子達を送り出せるんだが……」

ミニ宥「……」ガタガタ

ミニ穏乃「ラーメン! ラーメン!」

ミニセーラ「トキーバスガデルデー」

店員2「軽い気持ちでペットを飼うお客さんは多いですからね……」

店員「……だけど、あの人なら」

ミニ宥「アッタカクナイ、アッタカクナイ」ガタガタ

店員「きっとこの子をあったかくしてくれるさ」

 ——1週間後

菫「——という場合には、人肌よりも少し熱めの湯を沸かして、ゆっくりと体を洗ってやります」

菫「その際に使うスポンジはかなり柔らかいものを使い、洗ったあとは湯冷めしないように、部屋の温度とタオルは前もって温めて置くことが重要!」

店員「……猛勉強されたんですね。まさか一週間でこれほど知識を身につけるとは」

菫「で、では!?」

店員「はい、喜んでミニ宥をお売りしますよ!」

菫「や——やったああああああああああああああああぁ!」

ミニ宥「アッタカクナイ、アッタカクナイ……」ブルブル

菫「ミニ宥、待っていてくれ。今すぐ私があったかくしてやるからな!」

ミニ宥「……」ブルブル

店員「お買い上げ、ありがとうございました!」

店員(元気でな、ミニ宥……)


 ——菫の家

菫「前もって買っといたヒーターと電気毛布、電気コタツのスイッチを入れて……これでよし」

菫「ミニ宥は気温が常に27度以上じゃないと弱ってしまうからな、温度管理はしっかり気をつけねば」

ミニ宥「チョットアッタカーイ……」ヌクヌク

菫「おお、鳴き声がチョットアッタカーイに変わった!」

菫「少し環境と私に慣れてくれた証拠だな。完全に懷いてくれるとアッタカーイと鳴くらしいが、そこまでの道のりはまだまだ長い……」

ミニ宥「……」

菫「……」

ミニ宥「……」ウルウル

菫「可愛いなぁ! もう!」ナデナデ

ミニ宥「ヒッ」ブルブル

ミニ宥「アッタカクナイ、アッタカクナイ!」コタツノナカニヒキコモリ

菫「し、しまった!? ミニ宥は大変臆病な品種、いきなり頭なんて撫でたら怖がって逃げてしまうんだった!」

菫「すまないミニ宥……私が軽率なばかりに……」

ミニ宥「クロチャン、クロチャン……」ブルブル

菫「妹品種のミニ玄を呼んでいるのか……」

菫「本来なら一緒に飼ってあげられればいいんだが、残念ながらミニ玄は超貴重なドラゴンの因子を持った純血種」

菫「……1匹200万は、さすがに手が出せない……」

ミニ宥「クロチャン……クロチャン……」

菫「だが、いつかきっとミニ玄も飼って一緒に住もう」

ミニ宥「……」グー

ミニ宥「オナカスイタ……」ブルブル

菫「む、ご飯か。ミニ宥の好物はみかんだが、それはもう少し成長してからだ」

菫「今はホットミルクが適切。温度は人肌よりちょっと温かいくらいに調節して……」

菫「よし、出来た。宥、ご飯だぞー」

ミニ宥「……」ブルブル

菫「……食べないな。ああ、そうか! さっき私が恐怖心を与えてしまったから怖がっているのか!」

菫「宥の食事シーンを見れないのは残念だが、食事の間は部屋を出るしかなさそうだ……」スッ

菫「私は少し部屋を出るから、宥はゆっくりと食事を取ってくれ」

ミニ宥「……」

菫「もう少し懐いてくれたら、2人で一緒にご飯を食べような……」

 ガチャ、パタン


ミニ宥「……」

 にゅ、とミニ炬燵から体を出したミニ宥はあたりに誰も居ないことを確認。
 すると、静かにご飯に向かってゆったりな足取りで歩きはじめた。

ミニ宥「……」トテトテ

 目の前にはあのいきなり頭を撫でてきた、ちょっと怖い大きな人が用意してくれたホットミルク。

ミニ宥「……」グー

ミニ宥「……イタダキマス」

 ミニ雀士用の小さなコップを手に取って、さらに小さなその口でミルクを飲む。

ミニ宥「ゴクゴク」

 そのミルクは温かく、かといって熱くはないまさに最良の温度。
 それになんだかとても優しい味がした。

 その暖かさは、ミニ宥がペットショップに居た頃にはあまり感じれなかった暖かさだった。
 とってもアッタカーイ気持ちが、ミニ宥の心の中を満たしていく。

ミニ宥「……チョットアッタカーイ」

 ふとミニ宥は思い出す。ペットショップで自身を世話してくれた店員の1人が、別れ際に言った言葉を。

店員『あの人の傍で幸せになるんだよ、ミニ宥』

 幸せとはなんなのか。身長8センチのミニ雀士であるミニ宥には、そのような人間の概念を知るよしもない。
 けれど、幸せとは今のようにアッタカーイ気持ちで心がずっと満たされることだとするのならば——。

ミニ宥「……アッタカーイ」

 それは、とても暖かいとミニ宥は思ったに違いない。

本日はこれで終わりです。
VIPは流れが早くてちょっと四苦八苦していたのでゆっくり書いていける速報に移動させて貰いました。
更新頻度はかなり遅いと思いますがこれからよろしくお願いします。

あとミニ雀士のことで聞きたいこととかリクエストがあったら出来るだけ受付ますので良かったらどうぞ。

おつかれ〜待ってたから来てくれて嬉しい
聞きたい事だけどマスター側(照とか菫とか)のミニ雀士(ミニ照とかミニ菫)はいるん?

>>15
います。本来ならカナリアッタカーイの続きの話でミニ怜やらミニすばら、普通の竜華やセーラなどがじゃんじゃん出る予定でした。
まとめのコメントとかで変に勘ぐられててちょっと吹いた。

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