姉「はい、もしもし」妹「私だ」 (128)

姉「どうしたの?」

妹「……特に用は無い」

姉「ああ、そう。切るよ?」

妹「待て! もう少し構え、寂しいだろう」

姉「…………なに? 用があるなら部屋から出てくればいいでしょう」

妹「だから、特に用は無いのだが?」

姉「…………」

プツッ ツー、ツー

プルルル

姉「……もしもし?」

妹「私だ。今度一方的に電話を切った場合、家中に設置した爆弾を爆発させる」

姉「いや、あんたも吹き飛ぶけどね……」

姉「で、なに? なんか用なの?」

妹「指示に従え。言っておくが、こちらには徹底抗戦の用意がある。下手な考えはよしておけ」

姉「はぁ? ちょっと待って、今アンタの部屋行くから」

妹「やめろ! 死にたいのか貴様! いいから黙って服を脱げ!」

姉「…………」

妹「現在、リビング、廊下、玄関、トイレ、果ては貴様の部屋に至るまで、全てカメラにより監視させてもらっている」

妹「加えて私の部屋にはポテチ、コーラ、ビスケット、ポチ……籠城の備えは万全だ」

妹「私の言っている意味が解るな?」

姉「ごめん、全然わかんないわ」

15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/10/25(金) 03:23:09.94 ID:M45FNWfdO
医学生だけど何か質問ある?

80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2010/08/13(金) 01:57:22 .27 ID:3VC9i+5WO[sage]
教えてください

染色体を構成してる、二重螺旋のDNAは、
1つの染色体の中でちぎれたりしてませんか?
1つの染色体内で、糸みたいに繋がってるんですか?

あと、体のあらゆる部位の染色体は23対必ずありますか?
腕とか足の細胞内にも性染色体が入っているのでしょうか?

91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2010/08/13(金) 02:09:12 .24 ID:HJfvZohY0[sage]
>>89
DNAがち切れたときはその細胞が死ぬとき

全ての体細胞に、2nある

94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2010/08/13(金) 02:11:14 .98 ID:3VC9i+5WO[sage]
>>91
ありがとうございます!
凄く助かりました!

妹「つまり! 私がその気になれば、貴様の恥かしいあれやこれやを全世界に配信する事ができるのだ!」

姉「ふーん」

妹「くやしいか?」

姉「別に」

妹「恐ろしいか?」

姉「別に」

妹「……んだよ、も少しのれよー」

姉「もう切るよ? 今ご飯作ってるんだから」

妹「ほう、今日のメシは何だ?」

姉「そうめん」

妹「私はカレーライスを所望する」

妹「もしこの要求が受理されない場合、私は家中に設置した爆弾を爆発させるだろう」

姉「だから、あんたも死ぬって」

妹「うだうだ言わずにカレーを作れこの飯だき女! そんなんだから彼氏もできな――」

姉「――ぶち殺すぞ?」

妹「よし落ち着こう、まずは落ち着こう、な?」

姉「はぁー……、カレー、レトルトでいいんなら作れるけど、それでいい?」

妹「マジでっ? 流石姉ちゃん愛してるー!」

姉「はいはい。いいから降りてらっしゃい」

妹「いや、それは出来ない」

姉「……なんでよ」

妹「理由か? それを教えるのは簡単だ。だがな、姉よ。知りたがる女はモテないものだぞ」

姉「…………」

妹「女ってのはいつもそうだ。理由を尋ねては男を困らせ、納得がいかないと怒りだす」

姉「いや、あんたも女でしょうが」

妹「黙れ! とにかく貴様は言われた通りにカレーを作り、私の部屋まで持ってくればいいんだこのチキンヘッドが!」

プツッ ツー ツー
プルルル

妹「あの、嘘です、お腹減りました。でも下に降りたく無いので、ご飯を上まで持ってきてくれませんか?」

姉「……まぁ、いいでしょう。それじゃ、10分くらいで出来ると思うから。電話切るね」

妹「あ、はい、ありがとう」

姉「はー、いくら連休で暇だからって、こんなくだらない遊び始めるとはねー」

姉「妹ー? 持ってきたわよー!」

妹「いえあー!」

姉「うわっ、ビックリした……」

姉「ていうか何あんたその格好! 服着なさいよ!」

妹「ふん、これが小学生の正しい服装だ」

姉「いや服着てないし! はぁ……、あんたって本当に馬鹿ね」

妹「馬鹿は貴様だ! 私はきっと、マニアには大人気だぞ! この育っていない胸を見ろ!」

姉「どうでもいい、超どうでもいいから、風邪ひかないようにね」

妹「心得た!」

プルルル
ガチャ

姉「もしもし」

妹「私だ」

姉「……今度はなに?」

妹「カレーを食べ終わった。とても美味だった」

姉「ああ、そう。それは良かったね」

妹「しかし、カレーを見て思い出した。私は今、う○こがしたいのかもしれない、と」

姉「……ごめん、もっかい言って?」

妹「だから、う、」

姉「何故それを私に言う?」

妹「何度も言うが、私は部屋から出たくない。具体的な対処法を教えろ」

姉「トイレ行きなさい」

妹「やだ、部屋から出たくない」

姉「…………」

プツッ ツー、ツー

プルルル
ガチャ

姉「なに?」

妹「姉ちゃん真面目に聞いて! 割と限界なのっ!」

姉「さっさとトイレ行きなさいっ!」

プルルル

姉「…………もしもし」

妹「スッキリした」

姉「ああ……そう……よかったね」

妹「ん、どうかしたのか? 頭痛いの?」

姉「うん……あんたのせいでね」

妹「言っている意味が全く解らない、何を言ってるんだ?」

姉「もう切るよー……」

妹「あっ、待って切らないで! 一つだけ聞きたい事があるの!」

姉「なによ……」

妹「ボーイズラヴって、なんだ?」

姉「はぁっ? い、いきなり何よ」

妹「いや、今漫画読んでるんだけどさ、この、」

姉「ちょっとアンタ今どこに居るのっ!?」

妹「姉ちゃんの部屋、の、ベッドの下」

姉「すぐに出てきなさい! ていうか今行くから動くな!」

妹「どっちだよ?」

ダダダダダダダ

ガチャ、ガチャ

姉「えっ? やだ、ちょっと」

姉「か、鍵かけんなこらぁっ!」

妹「おおう、そんなに焦ってどうした?」

姉「あ、ああんた、今すぐドア空けなさい!」

妹「なんだ? 何かようけ?」

姉「此処はあたしん部屋でしょーが! いいから空けろコラァー!」

妹「ゲラゲラゲラゲラ、めっちゃ怒ってんの、ゲラゲラゲラゲラ」

姉「……そう、分かったわ」

姉「あんた、今日の晩御飯要らないのね?」

妹「なぁっ!?」

姉「いいえ、今日だけじゃないわ。明日も、明後日も。あんたのご飯は無しよっ!」

妹「き、貴様! なんて恐ろしいことを!」

姉「でも、此処を開けてさえくれれば、全てを水に流しましょう」

妹「……勝手に部屋入ったの、怒らない?」

姉「ええ、怒らないわよ?」

妹「なんか意味の解らない、男同士で絡み合う漫画勝手に読んだのも、怒らない?」

姉「え、ええ、怒らないわよ?」

妹「正直、うげっ、姉ちゃん気持ち悪っ、て思っちゃったんだけれども、許してくれる?」

姉「…………」

妹「姉ちゃん?」

姉「……許しましょう。だからお願い、開けて?」

妹「了解したっ!」

ガチャ

姉「確保ォーッ!!」

ドゴォ

妹「ぐふぅ、な、何をする……」

姉「ふふふ、部屋に入ってしまえばこっちのものよ」

妹「き、貴様! もしかして初めからっ!?」

姉「当たり前じゃない、見事に引っ掛かってくれたわね」

妹「くっ、なんて奴だ! まるで豆の腐ったような奴だな!」

姉「いや、それ納豆よね」

妹「あ、本当だ」

妹「……姉ちゃんは本当に豆の腐ったような奴だな! 臭い的な意味で!」

姉「あぁっ!?」ギリギリ

妹「あ、ぐ、ゆるぢで、ぐるじいー!」

姉「絶対に許さないっ!」

妹「くっ……! 待て、落ち着け姉ちゃん! そ、そんな締めたら色々出ちゃう! 出ちゃうからー!」

姉「さっ、いい加減観念しなさい?」

妹「待てっ、その前に、私の話を聴いてくれ!」

姉「……なに? 命乞い?」

妹「ああうん! そんな感じ!」

姉「……いいわ、聴きましょう」

妹「あのな、これはとっても言いづらいんだけれども!」

妹「でもでも、これだけは言って置かなければならないんだ!」

妹「では……! ごほん!」

妹「姉ちゃん!」

姉「なによ」

妹「好き!」

姉「はぁ?」

妹「好き、めっちゃ好き、愛してる!」

姉「えっ、何、いきなり……」

妹「私がイタズラして本気で怒ってくれるのは姉ちゃんだけだし、なんだかんだ付き合ってくれるし、私はそんな姉ちゃんの事が好き!」

妹「これはもう、愛と言っても過言ではない!」

姉「ちょ、えぇ……?」

妹「姉ちゃん、私の愛、受け止めてくれる……?」

姉「はぁ、いや、ちょっと、いきなりそんなカミングアウトされても……」

妹「姉ちゃんは、私の事、嫌い?」

姉「いや、嫌いじゃないけど……」

妹「じゃあ、好き……?」

姉「好きか嫌いかで言えば……まぁ……好き……かな?」

妹「私も好き! 大好き!」

姉「あ、うん……ありがとう?」

妹「へへー。姉ちゃーん!」ダキッ

姉「わっ、ちょっと……もう、いい加減寒くなって来たんだから、せめてパンツぐらい履きなさいよ」

妹「うん! 解った! ちょっくら着てくるなー!」タッタッタッ

姉「まったくもう……しょうがないわね、あの子ったら」

姉「あれ? メール?」

姉「………………」

FROM:妹
TO:姉
『嘘だよー、バーカ\(^o^)/』

プルルル
ガチャ

姉「…………はい」

妹「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ! ガチャ――」

ツー ツー

姉「…………」

姉「…………よし、殺そう」

妹「ふん、やっぱり女ってのはちょろいぜ!」

妹「なんだかんだ、好きって言ってれば許して貰えるもんなー!」

ドンッ ドンッ ガチャガチャ

姉「出てこいコラァー!」

妹「馬鹿か! 殺されると解ってのこのこ出て行く訳ないだろう!」

姉「出てこないと晩ご飯抜きよ!」

妹「ふんっ、もう忘れたのか姉よ! この部屋にはポテチもコーラもビスケットもあるんだ! 徹底抗戦の用意は出来ている!」

姉「…………そう。そっちがその気なら、私にも考えがあるわ……」

妹「…………行ったか?」

妹「よし、監視カメラで確認っと……」

妹「……普通にリビングで雑誌読んでるな」

妹「ふふっ、ふは、あーはっはっは! 完 全 勝 利!」

妹「後は、あの茹でダコになった頭が冷えるまで籠城していればいい」

妹「さっ、借りてきたDVDでも見ようかなーっ!」

~6時間後~

妹「……マズいな」

妹「めっちゃおしっこしたい」

妹「でも、部屋から出てトイレに行く途中、姉に見つかったらきっと殺される……」

妹「姉ちゃんは……くそっ、まだリビングに居るのか……」

妹「ど、どうしよう……!」

プルルル
ガチャ

姉「もしもし?」

妹「私だ」

姉「あら、なぁに?」

妹「まだ怒っているのか?」

姉「んー、なんでー?」

妹「いや、特に他意はないが」

姉「……ふふふ、あなたが今どういう状況なのか、私には手に取るように解るわよー」

姉「あなた今、オシッコしたいんでしょう?」

妹「……何故、そう思う?」

姉「どうせ考えなしにガブガブコーラ飲んだんでしょう? トイレは一階にあるのにねー」

妹「そんな訳がないだろう。憶測でモノを言うのはやめた方がいい」

姉「そうかしら? まぁとにかく、よぉく考えた方がいいわよぉ?」

姉「もしトイレを使いに一階に降りてきた、その時は……ふふっ、うふふふっ!」

ガチャ
ツーツー

妹「全部読まれてるー!!」

妹「どうしよう、どうしよう、どうしよう! もう我慢も限界に近いのに!」

妹「待て、落ち着け、クールになるんだ。びー、くー……」

妹「この感じ……私の膀胱の限界まで、恐らく後二時間はある……」

妹「さて、選択肢は、三つだ。一、姉ちゃんに謝ってトイレを使う。二、バレずに頑張ってトイレを使う。三、ここで出す」

妹「…………どうしよう?」

妹「謝りたくないし、なんとかバレずにやってこよう……!」

妹「姉ちゃんは……あっ、テレビ見てる! これチャンスじゃね?」

妹「ポチ大尉!」

ポチ「わんっ(……なんだ)」

妹「これより、コードネーム『爆撃Bクイック』を開始致します!」

ポチ「わんっ(よしっ、行って来い! 武運長久を祈る!)」

妹「ゴーアヘッド! ゴーアヘッド!」

ガチャ

妹「廊下……クリア!」

ポチ『わんっ(慎重に進め)』

妹「階段……クリア!」

ポチ『わん……(よし、後一息だ!)』

妹「トイレの前……クリア!」

妹「敵影無し! イーグルワン、これより作戦行動に移る!」

ポチ『わんっわん(了解した。抗菌使用のクソ生意気な白面に、血の雨を振らせてやれ!)』

ジャー
バタン

妹「作戦行動終了。イーグルワン、全弾ゼロ」

ポチ『…………(よくやった! 早く戻ってくるんだ!)』

妹「了解した。イーグルワン、直ちに帰投する……!」

姉「あらあらー、やっと出てきたわねー?」

妹「っっ! イーグルワン! ブレイク! 敵と遭遇! 大尉、ご指示を!」

ポチ『…………』

妹「大尉!? ポチ大尉!? 応答を!! ポチーッ!!!」

姉「ねぇ……そろそろいいかしら?」

妹「…………どうして私が部屋から出たとわかったんだ?」

姉「いや、あんな大声で叫んでたら、普通気付くから」

妹「ふん、中々に賢しいな、姉よ。いいだろう。此処は大人しく、捕虜になるとしよう……」

妹「ジュネーブ条約が、きっと私を守ってくれる……!」

姉「ううん、捕虜なんてとらないよ? 撃墜、してあげるからね?」

妹「……のーうぇい……」

妹「あっ、待って、謝る、謝ります、」

妹「あれ、なんで抱きかかえるの? うわっ、も、持ち上げないで、」

妹「えっ? 何ですかこの技は、姉ちゃん? 姉ちゃんってば!」

姉「大人しくしてないと、首の骨折れちゃうよー?」

妹「姉ちゃん、お姉様、あの、本当ごめんなさい、痛いのは、ゆ、許」

姉「アルゼンチンバックブリーカー!」

妹「んぎゃああああっ!」ボキボキボキメキィ

~翌日~

プルルル
ガチャ

姉「もしもし?」

妹「私だ」

姉「はいはい、また特に用はないんでしょ? 切るわよ」

妹「ちょっ、ちょっと待って! 用はあるから!」

姉「……なによ」

妹「あの、……昨日は気絶してちゃんと言えなかったから、その……えーっと」

妹「…………ごめんなさい」

姉「……なんで謝るのに、わざわざ電話してくるのよ」

妹「だって……直接いうのは、キャラ的に、恥ずかしいし……」

姉「反省の色が伝わってこないわね」

妹「……ごめんなさい」

姉「あー、もういいって。それより、早く降りてきなさい。昨日はお菓子しか食べてないでしょう? 朝ご飯の用意、出来てるから」

妹「……許してくれるの?」

姉「だから、もういいってば……」

妹「本当の本当?」

姉「本当よ。だから早く降りてらっしゃい」

妹「……もう、ワザかけない?」

姉「かけないかけない」

妹「ふふっ……ふははっ、ふははははーっ!」

妹「許してもらっちゃったぜー!」

姉「はいはい。早く降りてきなさいねー」ピッ

プルルル
ガチャ

姉「…………なに?」

妹「私だ」姉「もうそれいいから」

妹「実はな、今日も私は暇なんだ」

姉「で?」

妹「一緒に遊びに行こ――」

姉「却下」ピッ

プルルル
ガチャ

姉「もしもし」

妹「泣くぞ!」

姉「泣けば?」

妹「えー? 遊びに行こうよー! 今日は日曜だしー、天気もいいしー」

姉「私は今日忙しいのー! 溜まってた家事もやらないといけないし!」

妹「そんなん午前中で終わるでしょー? あっ、なんなら私が手伝うよ!」

姉「やめて。あんたが手伝ったら苦労が倍になるから。お願いだから私の手間をコレ以上増やさないで」

妹「…………どうしても、譲歩しないというのだな?」

姉「だからそう言ってるでしょ。遊びには、一人でいきなさい」

妹「……いいだろう。そっちがその気なら、私にも考えがある」

妹「首を洗って待っていろ! ふろむごーとぅへる!」

姉「ああ?」

ガチャ
ツー、ツー

姉「何する気よ、あの子……」

姉「まぁいいや、洗濯やっちゃおーっと」

ドタドタドタ

妹「フリーズ!」ガチャ

姉「…………なに?」

妹「フリーズ! どんすてぃ! ほーるどあっぷ! はりー! ぽったー!」

姉「もう意味が解らないんだけど」

妹「これは英語で動くな、両手を上げて頭の後ろに組め、と言っている」

姉「うん、色々間違ってると思う」

妹「とにかく動くな! この拳銃の餌食にされたくなかったらな!」

姉「……はぁ……」スッ

妹「なっ!? 正気か!? 撃つぞ、このアバズレ女!」

姉「いいわよ、撃っても。どうせエアーガンか何かでしょ?」

姉「それより私は洗濯したいの。邪魔だからどっか行って!」

妹「ちっ、これだから日本人は! 危機感が足りていないぞ貴様!」

姉「はいはい、そうですねー。……よいしょっと」

妹「……あ、本当に洗濯するのか?」

姉「当たり前でしょ。さっ、どいたどいた」

妹「……むー。姉ちゃんが乗ってくれない……」

~2時間後~

姉「はー、やっと家事が片付いたー」

姉「さっ、午後のドラマでも見ようかなー」

妹「姉ちゃんは本当にオバハンだなー」

姉「うるさいわね。なに、遊びに行ったんじゃなかったの?」

妹「ううん。行ってない。代わりに、これ作ってた」

ゴトン

姉「……えっ、何、この四角い箱は」

妹「うん。これはね、爆弾」

姉「……あー、はいはい。あんた本当にこういうの好きね。このオモチャ、いくらしたの?」

妹「んーと、材料が割りと安く買えたから、5千円してないぐらいかなぁ。お年玉の残り使っちゃったぜー」

姉「えっ、こんなオモチャに!? あんた本当に馬鹿じゃないの!?」

妹「むっ、なんだよ、馬鹿じゃないよ! それにオモチャオモチャ言ってるけど、これは本物だぞ」

姉「…………はっ? 何言ってんの? 確かに良く出来てると思うけど、そんな訳ないじゃない。ほら、何? このデッカイボタンは。明らかにおかしいでしょ」スッ

妹「馬鹿、触るなあっ!」

姉「えっ?」

ポチッ

ポチ「わんっ」

ピーーーーーーーー

姉「あれ? 何、この電子音は」

妹「…………何やってんの……」

妹「爆弾作動しちゃったじゃないかーー!」

姉「えっ? で、でも、オモチャの、でしょ?」

妹「だから違うって言ってるじゃん! 火薬も硝酸アンモニウムと軽油で作ったし、時限起爆装置もキッチンタイマーにPIC組み込んでちゃんと作動するようにしてある!」

姉「えっ? えっ?」

妹「爆発まで後5分しかないよ!」

姉「ええーーーーーっ!?」

姉「ど、どど、どうしよう! どうしたらいいの!? ひ、冷やすとか?」

妹「それは駄目! 温度計が組み込んであって、急激な温度の変化を感知すると起爆するようになっているから!」

姉「あんたなんてもの作ってんのよ!」

妹「姉ちゃんが起動させたんだろ!?」

姉「あーもうバカバカバカ!」

妹「いてっ、ちょ、落ち着けって! 大丈夫だよ! 火薬はそんなに入れてないし、仮に爆発したとしても、近くに居なければ死ぬような事はないから!」

姉「大丈夫じゃないじゃない! 早くどこかに捨てにいって……」

妹「だから、もうそんな時間は無いって! くそっ、こうなったら……」

妹「私が解除する……!」

姉「妹!? で、出来るの?」

妹「ふんっ、この爆弾を作ったのは私だぞ? 配管の構造やダミー回路はバッチリ頭に叩きこんである!」

妹「ただ、起動の度にランダムで通電されるように設定したから、どの配線を切ればいいのか、解らないんだけど……」

姉「そ、それって大丈夫なの?」

妹「わかんない……。でも、やるしか無い! 姉ちゃんは安全な所に非難してて!」

姉「妹……!」

姉「……私も此処に残るわ!」

妹「姉ちゃん……! 何をいって――」

姉「起動させちゃったのは私だし、あんたばっかり危険な目に合わせる事はできないし」

姉「さぁ、時間が無いんでしょう? 早くやっちゃいましょう!」

妹「……うん!」

カチャカチャ、

妹「姉ちゃん、タイマーの残り時間は?」

姉「あと……2分16秒……15……14」

妹「そのまま続けて……」

カチャカチャ

妹「よし、8本切って、後4本……。起爆に必要なコードは二本だから……」

姉「妹……! 残り、60秒よ!」

妹「あぁくそっ! どれだっ!? オレンジ? パープル? いや違う、そもそも通電はランダム配置だった……」

妹「……どれを切れば……!」

姉「妹! 落ち着いて! 大丈夫、あんたならきっと出来る!」

妹「姉ちゃん……!」

姉「大丈夫! 死ぬ時は私も一緒よ! だから――」

姉「あんたが思うように、やりなさい!」

妹「――うん!」

妹「…………姉ちゃん。最後に、何か言いたいことはある?」

姉「…………昨日の、アレ」

妹「え?」

姉「あんたの事、好きって言ったの。あれ、少なくとも私は、嘘じゃないから」

妹「姉ちゃん……」

姉「も、勿論、姉妹的な意味でよ!? 勘違いしないでよね!」

妹「私も、姉ちゃんの事が、世界で一番大好きだよ」

姉「妹……」

妹「じゃあ、行くよ、姉ちゃん!」

姉「ええ、あんたを、信じるわ!」

「「いっけぇー!」」

パチン
ピッ

ドオオオォォォぉォォォオオォォン

姉(…………死んだ。何か爆発音したし……。もう、絶対死んだ……)

姉(ああ、こんな事で死ぬんだったら、もっと美味しいものいっぱい食べておけば良かった)

姉(妹と、もっと遊んであげれば良かった……!)

妹「姉ちゃん! 姉ちゃん!」

姉「あれ……? 妹?」

姉「私、生きてる……?」

妹「うん! 姉ちゃん、生きてるよ!」

姉「ってことは……! 爆弾、解除できたのね!?」

妹「え? 解除には失敗したよ? ほら、爆発音したし、解除失敗の旗も飛び出してきたでしょ?」

姉「……………………はっ?」

妹「いやー、失敗しちゃったけど、すっげぇ面白かった! 頑張って作った甲斐があったよ!」

姉「ちょっと待って。あんた、まさか……!」

姉「この爆弾、偽物なの!?」

妹「えっ? 当たり前じゃん。爆弾なんて危ないもの、作るわけないだろ?」

姉「でもあんた、さっきオモチャじゃないって……」

妹「ああ、あれ? いやー、リアリティが無いと、姉ちゃん遊んでくれないと思って……」

妹「でもでも、すっげぇ楽しかったろ? ん?」

妹「姉ちゃんなんて、ダミーの爆発音が鳴った時、後ろに吹っ飛んでたもんな! いやー、アレは見ものだった」

姉「…………おい」

妹「なんだ?」

姉「なんだ? じゃないだろ、コラ……あぁ?」ガシッ

妹「ちょ……くるし……えっ、な、なんでだ!?」ギリギリギリ

姉「どぉいうつもりでこんな手の込んだイタズラするのよ……! 心臓止まりかけたじゃない……! あんた、私をどうしたいのよ……!」

妹「いや、一緒に遊ぼうと思ってだな……。そ、そんなに怒るなって。ほ、ほら、私達は相思相愛なんだし、あの時の姉ちゃん、可愛かったし……」

姉「言いたいことはそれだけかなぁ!?」

妹「……いやあのすいません、もう一つだけあります」

姉「……なに?」

妹「命だけは助けてください」

姉「ふふっ……! うふふふふっ!」

妹「オーマイガーッ!」

プルルル
ガチャ

妹「もしもし……」

姉「私だ」

妹「……おぅ、お、お前だったのか」

姉「なんでちょっとどもるのよ」

妹「だって……姉ちゃん、この前の爆弾の事、まだ怒ってる……」

姉「いや、何ヶ月前の話よ。もう怒ってないわよ。それより、どうだった?」

妹「あ、うん……。合格、しました」

姉「ああ、そうなの? いやー、あんた馬鹿だから、絶対不合格だと思ってた」

妹「あの、これでも、理科と社会は学年トップだったんだけど……」

姉「いや、そういうんじゃなくて、生き様がね。ホラ、馬鹿でしょ?」

妹「…………ふぁっくゆー……」

姉「え? 今何か言った?」

妹「いや、なんでもないです……」

姉「でもこれで、今年から同じ学校ねー。中等部と高等部だけど」

姉「あー、あんたと一緒の学校だって考えると……。本当に面倒くさいわね?」

妹「泣くぞ」

姉「だってそうじゃない、あんた、イタズラばっかりするし」

妹「わ、私だって、そろそろ大人になるんだし? そんなイタズラとか子供っぽいこと、時々しかするつもりないし?」

姉「時々はするんだ……」

妹「う、うん……。えっ、駄目、かな……? やっぱり、まだ怒ってる……?」

姉「ねぇ、妹」

妹「な、なに?」

姉「後ろ向いてごらん」

妹「えっ……? わぁっ!」

ガバッ

妹「ね、姉ちゃん!? いつの間に後ろに!?」

姉「気づくの遅いよ、ずっと着いてきてたよ?」

妹「えっ、マジで? っていうか、苦しい! なんだ、何のつもりだ? はっ、まさか!」

妹「ここで私を狩るつもりなのか!? またアルゼンチンバックブリーカーなのか!」

姉「違うわよ、馬鹿。あんたが合格できるか心配で、こうしてずっと着いてきたんじゃない」

妹「えっ?」

姉「合格おめでとう。これからは、学校でも遊べるね」

妹「……こ、これは何の冗談だ? ドッキリなのか? カメラは何処にある。プラカードは?」

姉「ドッキリじゃないから。なによ、私があんたの合格に喜ぶのが、そんなに意外な訳?」

妹「……うん。だって姉ちゃん、私が姉ちゃんの学校受験するって言った時も嫌がってたし……」

姉「ああ、あれは、まぁ、なんだ。……照れ隠し」

姉「本当は、とっても、嬉しかった」

妹「…………姉ちゃん……ねえちゃぁーんっ!」

姉「えっ、嘘、マジ泣き? あー、ホラ、鼻水がつくじゃん」

妹「うわーん! 姉ちゃーん!」

姉「もう、解ったから。……よしよし」

妹「うっ……ぐすっ……ちーん」

姉「おいコラ、私の服で鼻水かむな馬鹿」

妹「う”ー……なんか、やられた。私の心は、もう姉ちゃんに落とされた……」

姉「はいはい。それじゃあ帰ろうか。夕飯、すんごいの作ってあるから」

妹「……手、握って」

姉「はいはい」ギュ

妹「……足らない」

妹「あれにして、恋人同士がやるやつ!」

姉「…………はいはい」ギュウ

妹「えへへ……姉ちゃん」

姉「なに?」

妹「大好き!」

姉「……うっ……あんたのその時々素直になるとこ、ずるいわぁ……」

妹「えっ? でも、本当に大好きだぞ?」

姉「……そんな事、ずっと前から知ってるってーのっ!」

終わり

支援ありがどうございました!
完走出来て良かったです

では、仕事行ってきますー

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