女「私の二度目の初恋」(235)

しゃーおらっ

-私の初恋は、最悪の形で終わりを迎えた

-相手は一つ年上のサッカー部の先輩

-今になって考えれば、声をかけられるまで名も知らなかった相手に対しよくそこまで熱を入れられたものだ

-彼は顔がよかった。いわゆるチャラ男というやつで、私に声をかけたのも私の体が目的だった

-当時の私は、クラスで目立たない方の人間だった。色恋沙汰に興味が無い訳ではなかったが、そもそも相手がいなかった

-そんな私に彼は目をつけ(彼曰く『あいつは素がいい。絶対化ける』)、声をかけてきた

-『さっき試合見ててくれたでしょ?応援してくれてありがと』

-別にサッカーに興味があるわけではなかった。自分の学校で試合が行われていたから足を止めただけだった

-にも関わらず、私は声をかけてきただけの先輩に故意をしてしまった

-顔だろう。結局はそれにつきる。彼の顔がかっこよかったから私は舞い上がってしまったんだ

-土日は彼の応援に行くようになった

-彼はすぐに私の名前を覚えてくれた。休み時間にすれ違うと声をかけてくるようになった

-ある日彼が私の弁当を食べたいと言った。次の土曜、私は朝4時に起きて弁当を作った。

-我ながら笑える。『恋は盲目』とは良く言ったものだ。あれは侮蔑と嘲笑の言葉だったんだね。

-三週間後、私の気持ちは爆発した。彼に気持ちを伝えようと思った

-歯の浮くような文句を並べたラブレターを書き、彼に渡す機を伺った

-放課後、彼が一人で歩いているのを見かけた私は今が好機と彼の後を追った

-私が彼に追いついた時、彼は電話をしているようだった

-そして私は聞いてしまったのだ

-『あーあいつ?もう落ちたよ。告りゃ絶対いけるわww』

 『あいつ、飾り気ないけど素はいいし体もエロいしwwwソッコー頂きたいと思いますwww』

 『そん時はお前らに写メ送ってやるからさww』

 『ヤリ飽きたら捨てるから、そこを適当に優しい言葉かければお前らも食えるっしょwww』

 『まぁそん時はガバガバだけどなwwwww』

 『フェラやアナルも仕込むつもりだから期待してろwwww』

 『女ちゃん絶対処女だからwww想像しただけでフル勃起だわww』

-百年の恋(笑)が一気に冷めた瞬間だった

-それからは彼の連絡をすべて無視した。携帯からメモリを削除した

-彼も自分がヘマを犯した事を気づいたらしく、接触してくることはなかった

-変わりに彼の知り合いとおぼしき男達が私に声をかけるようになった。傷心の私を・・・という事だろう

-当然私は相手にしなかった

-17年の私の生涯の汚点だが、あんな下衆に処女を捧げないで済んだのは不幸中の幸いか

-この事は誰にも話さなかったが、母だけはなにか感じるものがあったようだ。だが母は何も言わなかった。その心遣いが本当にありがたい。

-程なくして一人暮らしの姉(社会人)から電話があった

-『私の部屋で暮らさないか』と。母が姉に話したようだった

-断る理由も特になく、姉の下に転がり込んだ。もちろん学校は転向だ。

-姉と暮らし始めて、私は化粧をしない事を姉に叱られた

-面倒だとしぶる私に、姉は自身の化粧テクを伝授しててきた(ありがた迷惑)

-そうして姉のテクを仕込まれ、現在にいたる

-そう、遥か昔の事のように語ってきた我が人生の汚点は、ついこの前の事だったのである

-そして今日、姉仕込みのナチュラルメイクに身をつつんだ私は部屋をでる

-新しい学校への登校日。新生活の初日だ

-特別期待などしていない。今まで通り、目立たず無難に残り一年ちょっとの学生生活を送りたい

-まだ見ぬ無難な学生生活を夢見て、地図でしかしらない道を歩く

-そして転向先のこの学校で、私は彼に恋をする

-人生二度目の初恋をするなんて、この時私は夢にも思っていなかった…

~教室前 HR~

女「ドキドキ…」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
先生『じゃあ後で声をかけるから、そのときになったら入ってきてね』

女『はい…』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

女「緊張するなぁ…」

女「お姉ちゃんは大丈夫だって言ってたけど、私のお化粧変じゃないかなぁ…」

エートツゼンデスガ、ウチノクラスニテンコウセイガヤッテキマス

ウソーマジデー

女「!!」

女「いよいよだ…」

ソレジャアハイッテキテジコショウカイヲオネガイシマス

女「い、いくぞ私!」

女「奇をてらわず無難に…目立つなよ私…」

ガラララ

2回目?かな?ごめんなさい



~教室~

意を決して私は教室の引き戸を引く

クラス中の視線が私に集まるのがわかる。うぅ、恥ずかしい…

…元来私は日陰側の人間なんだ

みんなの先頭に立って何かをするなんて柄じゃない

注目を浴びるということが、こんなにも恥ずかしいものだとは思わなかった

女「お、女です…。宜しくお願いします」

ウヒョーカーワイー

ふふっ、私が可愛いだって。何言ってるだろこの人たち

彼らに悪気はないのだろうが、その声援は私を少し嫌な気分にさせる

女「(…いけないいけない。平常心だぞ私…)」

先生「お前らちょっと黙れー」

女「(先生ナイス助け舟!!)」

先生「女の席は…そうだな、男の隣が空いてるな」

男「げ」

男と呼ばれたその人は、一瞬すごく面倒くさそうな顔をした。失礼な話だ。

どうやら私の席は彼の隣-窓際の一番後ろになったらしい

先生「それじゃあ女さんは男の隣ね。教科書はもう持ってるか?」

女「いえ、まだです」

先生「そうか、それじゃあしばらくは男に見せてもらってくれ。頼むぞ、男」

男「へーい」

パソコンからだとスレ立てできないからもしもしで立てた
最初だけ酉つけたつもりだけどずっと残ってる……助けて

かったるそうな返事。でも気持ちはわかる。

いつまでも教壇で突っ立ているのも恥ずかしいので、そそくさと与えられた席に歩をすすめる


隣の席の男くん(仮)は、前の席の男の人と話をしている。話しかけづらいなぁ…

女「あ、あの」

男「?」

女「これから…よ、宜しくね?」

男「あ、宜しくね女さん」

-これが、私と男くんの出会い

 私の二度目の初恋の相手…

 大好きな…大好きな男くん

名前欄の鳥消せばおk

>>20
いや消してるんだけど…




男くんの第一印象は、一言で言うと『かっこいい』

我ながらとてつもない馬鹿だと思う

先輩との一件で男に懲りたにも関わらず、脳内の第一声はこれだ

ただやっぱり、若干のトラウマみたいなものはある

男くんがかっこいいからこそ、ちょっと苦手に感じてしまった

~一限目~

女「あの…」

男「ん?あぁ、そっか」ガラガラ

私と男くんの机の間に教科書を置く為、男くんは机を引きずって私の机にくっつける

男「ハイ。見づらいけど勘弁してね」

………のはいいんだけど

近い!近すぎるよ!!!

男くんの距離が近い

教科書が見えづらいからだろうけど、彼は椅子ごと体を寄せてきた

女「……」

男「ん?どうしたの女さん?もしかして教科書見えない?」

女「い!いや!だいじょうぶ!だいじょうぶだから!!!」

これ以上教科書と一緒に体を寄せられたらたまったもんじゃない

……自意識過剰なのかもしれないけど

……この人も、私の事をそういう目で見てるのかな?

??「…………」

まぁいいや。とりあえず授業だ





女「(………まずい)」

女「(………授業がわからないぞ!!)」

前の学校と授業の進みが違うらしい。こんなところまだやってない

先生の言葉が半分くらいしかわからない・・・・

とにかく!板書だけはしっかりとノートに書いておこう!!

女「…………」カリカリカリ

男「…………」

??「………」

キーンコーンカーンコーン

なんとか切り抜けた…こりゃあしばらくは大変だなぁ…

女「……教科書、ありがとう」

男「どういたしまして」ガララ

二限目はまた見せてもらうことになるっていうのに、男くんは律儀に机を離した。まあ助かるといえば助かる

さて、今のうちにさっきとったノートのまとめを…

?「女さん!!!」

ひゃっ!

モブ娘「私モブ娘!よろしくね!女さん!!」

女「あ、うん…。よろしくn」

モブ男「俺モブ男!」

モブ男2「俺モブ男2ね!!」

「女ちゃんってどこからきたのー?」

「女さんはどこに住んでるの?」

「女さは彼氏とかいるの!?」

「女さんすっごいかわいー!化粧品とか何使ってるの!?」

……うわぁ

先生の言った通りになってしまった。しばらくはこんな感じなのかな

復習は帰ってからするしかないか…。お姉ちゃんに聞こう

女「あは、あははははは…」

こんな大人数に囲まれるなんで初めて。すっごく疲れる…

ふと隣の席を見ると、男くんはいなくなっていた

いやまぁ特に気にする事じゃないんだけどね

キーンコーンカーンコーン

授業の始まりを告げるチャイムが、今日ばかりは天使の祝福の鐘に聞こえた

やっと開放される…

~二限目~

男「よいしょっと」ガララ

休み時間はみんなに囲まれ、授業になると男くんに密着され…。この学校に私の心休まる時はないのかなぁ…なんちて

とにかく板書だ!今日はスーパー板書DAY!!

男「………あの、さ…女さん」

あっさり出鼻をくじかれた

男「もしかして、さっきの数学ぜんぜんわからなかった?」

女「!!!」

バレてた…

女「………うん…」

男「やっぱり。女さんノート取りに必死で授業ぜんぜん聞いてないみたいだったからね」

しっかり見られてるし…

何も悪い事はしてないはずなのに、なんだかすごく恥ずかしくなってしまう

男「前の学校と進みが違うんでしょ?しばらく大変だね」

女「…まぁ今のうちだけだから。少しの辛抱かなぁ」

男「二限目の世界史は○○あたりだけど、前の学校ではどうだった?」

女「やっぱりちょっと進んでるかな。私××までしかやってない」

男くんは今話してる会話の一歩先を把握しているみたいで、話の流れを導いてくれる

……好き嫌いは別にしても、こういうタイプは話していて楽だ


|∧∧
|・ω・`) そ~~・・・
|o④o
|―u'


| ∧∧
|(´・ω・`)
|o   ヾ
|―u' ④ <コトッ



| ミ  ピャッ!
|    ④

男「世界史は暗記系だから、遅れを取り戻すのはそんなに難しくないよ」

男「今のうちに数学の方をチェックしてみてもいいんじゃないかな?」

女「確かにそうかも…」

男「前の学校とはどれくらいズレてるのかね。とりあえずこんくらいかな」バチバチ

男「ハイ」

女「……え?」

男「ここ二週間くらいの数学の授業のルーズリーフ」

男「教科書とにらめっこするよりは捗るんじゃないかな?」

女「…え…貸してくれる…の?」

男「参考になるかはわからないけどねー」

女「あ、ありがとう…」

男「つぎの英語の先生はプリントが多いから内職してるやつが多いよ」

男「二、三限目を使えば数学の遅れてる内容の把握くらいはできるんじゃない」

女「う、うん」

見かけによらず男くんはマメなタイプだったみたい

二限目は男くんの助言通り数学の内職かなぁ

キーンコーンカーンコーン

……ふぅ

前の学校とのズレはわかった。三限目は遅れを取り戻すのに使えそうかな

そしてやってくるハイパー質問タイム。面倒だと感じる自分に自己嫌悪

モブ娘2「お姉ちゃんっと二人暮らしなんでしょ?お姉ちゃんってどんな人?」

モブ娘3「女ちゃんのお姉さんだからきっとすごく綺麗なんだろうなー」

モブ男3「女ちゃんって休日なにしてんの??」

あばばばばばば

モブ男4「女ちゃんって彼氏いないんでしょ?好きな人とかもいないの?」

…………ほっといてくれ

男「モブ男4お前がっつきすぎだろーwww」

げ、今度は男くんもいる…

友「モブ男4はすっこんでろ!!はい!!はいはい!!俺立候補しまーす!!」

男「友必死すぎww」

友「うっせぇ!!リア充はすっこんでろ!!お前は幼ちゃんとイチャイチャしてろ!!」

モブ男5「そうだそうだ!!」

モブ男6「リア充は消えろ!!!」

へぇ。男くん彼女いるんだ

友&モブ男共「しーねしーね!!」

みんな仲いいんだなぁ。でもなんかちょっと寒いかも…。仲の良い俺たち(笑)

キーンコーンカーンコーン

話の矛先が男くんと彼女(仮)に向かったおかげで、私への質問攻めはさほど厳しくなかった

そういう意味では感謝しときますぜ、男くん

~三限目~

男「ハイ、これ」バチバチ

女「?」

男「さっきの世界史の分」

女「あ……」

しまった…。すっかり忘れてた

女「いいの?」

男「ん?ぜんぜんへーき。俺家で復習とかしないし」

女「……そうなんだ。ありがと」

嘘だろうなー。ノートの取り方とか見るに、けっこうマメな人っぽいし

気を遣われてしまったぜ。いや、下心?

…………いけない。今の考えはさすがに下衆すぎる。反省

男「さっきも言ったけど英語の授業はほぼプリントだから。板書の方は気にしなくて平気だと思う」

私の考えの一歩先を提示してくれるこの喋りは本当に助かるなぁ。もしかして私って単純なのかな?

男「………」カキカキ

女「………」カキカキ

男「………」カキカキ

女「………」カキカキ

男「……あの……さ?」カキカキ

女「…ん?何かな?」ピタ

男「もしかして、ああいうの苦手?」

女「ああいうのって?」

男「みんなに囲まれて質問攻め」

女「うーん…。好きな人はそうそういないと思うよ?」

うっわ…我ながら嫌な答え方。さっきから男くんの事警戒しすぎだろ私

女「まぁ私そういうタイプじゃないから、苦手かな」

男「そうなんだ」

女「そうなんです」

キーンコーンカーンコーン

黙々と勉強するのは疲れるなぁ…この学校、前の学校より偏差値高いみたいだし

でもなんとか目処はたったかな。お姉ちゃんに教えてもらえば今週中には追いつけそう

男「よう友よ。久しぶりにアレやろうぜ」

友「お?大貧民か。今までの借金一気に返してやるぜー」

私の斜め前の友くん(っていうらしい)の席で、賭け大富豪が始まった。どこの学校でもやるもんなんだね

友くんの机に男の子たちが集まる。私の席は彼らで蓋をされた形だ。勘弁してください

まぁみんなの質問攻めもシャットアウトできてるみたいだから良しとしましょう

キーンコンカーンコーン

休み時間終了。四限目の始まり。四限目は現文かぁ

二限目休み、三限目休みと質問攻めが段々軽くなってきて助かる。感謝するぜ男くん

……………………………………あ

あー

あぁぁぁぁぁー

そういう事だったのか

どんだけ馬鹿なんだ私。冗談抜きで恥ずかしい。顔赤くなってないかな。

もうホント死にたい

~四限目~

男「今やってるのは羅生門。現文の先生はマメな人だから、女さんに気を遣ってくれると思う」

男「だから現文は普通に授業受けたほうがいいかもよ」

女「…うん、わかった」

どの口が『マメ』だとほざくか。どの口が『気を遣ってくれる』とほざくか。自分の事は棚上げっすか

転校初日であたしゃアンタに頭が上がらないよ。もう男くんにメロメロ!!

ってのは言いすぎだけど、自分の小ささをまざまざと見せ付けられた気がする

自意識過剰もいいところだ。一周回って卑屈になっちゃうくらいだよ

女「その…男くん」

男「ん?どうしたん?」

女「…その、…なんか…ゴメンね…」

…しまった。ここは『ゴメン』じゃなくて『ありがとう』だ。私のネガティブ信金貯金は貯まる一方です

男「……え?ははっ、いいよいいよ」

女「…でも」

男「すぐに返さなくてもいいから。ウチそれなりの進学校だからしっかりやっといたほうがいいよ?」

……………うっわー

わかってるくせに…。わかってるくせに知らないフリしやがったよコイツ

そんな答え合わせが如き礼なんて必要ないってか。どんだけ人間できてんだよ

女「じゃあ…お言葉に甘えるね」

男「そうしなさいそうしなさい」

本当に甘えてるなぁ私

女「ありがとう」

言ってやった。ささやかな私の反撃(笑)

女「……………」カキカキ

男「……………」カキカキ

女「……………」カキカキ

男「……………」カキカキ

女「………その…さ」ピタ

男「ん?」

女「私、前の学校だと地味ーなやつだったんだ」

男「え?そうなの?意外」

女「お化粧とかオシャレもぜんぜんしてなかったんだけど」

女「お姉ちゃんが『いい機会だー!』って言って教えてくれてね」

男「へぇー。いいお姉さんだ」

女「だから朝はすっごく緊張しちゃったんだ」

男「みんなの反応を見るに変身は成功だったんじゃない?」

女「そうかな…?よくわかんないや」

男「だいじょぶだいじょぶ」

男「遅れた高校デビュー女、つかみはバッチリ!」

女「もうー!何それー!」フフッ

??「ぐぬ…ぐぬぬぬぬぬ」

キーンコーンカーンコーン

それから男くんとチャイムが鳴るまで延々とくだらない話を続けた

って言っても、私がお姉ちゃんの話を喋って男くんが相槌をうってただけか

男くんはいわゆる聞き上手だった

私の話に相槌をうち、話の流れが一旦途切れるまで口を挟まない

私はあまり喋らないほうだと思っていたけど、男くんの手の上で良い様に喋らせていたみたいだ

でも、不思議と嫌じゃない

考えてみれば、私は今まで男友達というものがいなかった

男くんと話している間は不思議と時間の進みが早かった

……………男くんと、友達になれたらいいなぁ

…あ、羅生門?悟りを開いた男が追い剥ぎに転職する話だよね?

現代文の先生、すみませんでした

~昼休み~

お昼か…。お弁当持ってきたけどどうしよっかな。

男「あ、女さん。もし良かったら」

友「男ー、飯くおうぜー」

??「オトコ!!メシ!!クウ!!」

男くんに声をかけられたと思ったら、友くんと知らない女の子に囲まれた

男「いつもこの3人でメシ食べてるんだ。女さんも良かったら一緒に食べない?」

友「へいへいかもーん」

??「ぐぬるるるるるる」

……うん、まぁいっか

………質問攻めにあうよりは楽しそうだし

女「じゃ、じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな?」

友「いえーい!!」

よっつの机(ひとつ借りた)をくっつけて簡易宴会場の完成

記念すべき転校後初のランチタイム

男「今更だけど、こいつは幼馴染」

女「よろしくね、幼馴染さん」

幼「こ!こちらこそよろしくね!女さん!」

幼馴染さんというその子は、とってもかわいらしい子だった。小さな体に細くてスレンダーな体

これが話に聞く(聞こえただけだけど)男くんの彼女かぁ

そうなんだ、じゃあ私カップラーメン食べてくるね


保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内
保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内




友「いやそれおかしくねー!?」

男「ははは!!」

女「ふふふっ」

幼「…………ブツブツ」

男「ぶつぶつうっさいぞ幼馴染」ペチッ

幼「あいてー!」

幼「ひどい!傷ついた!」

男「朝はあんな機嫌良かったのにまーた嫌な事あったのか」

幼「そーだよあったんだよ!凹んでんだよ焦ってんだよ!」

男くんも幼さんもとても楽しそう。なんだかうらやましいなぁ

女「ふふっ」

でも彼氏彼女っていうよりは兄妹みたい。変な感じ

女「男くんと幼さんって仲いいんだね」

幼「そりゃね!私と男は幼なじみだからね!」

そっか、違和感の正体はそれか。それじゃ二人はまだ友達以上恋人未満って感じかな?

女「そうなんだ。そういうのって憧れちゃうなー」

幼「え?そ、そう?へへへ…」

ああもう幼さんイチイチ可愛いなーちくしょー

キーンコーンカーンコーン

友「うへぇー…まぁーた授業かー」

男「あとひとつだ。頑張れ友」

幼「女さん、明日も一緒にお昼食べようね!」

女「うん」

友くんは男くんの親友を自称するだけあってなかなかどうしておもしろい

幼さんは話してみるととってもおもしろい人だった

よく笑い、よく怒る。とっても素敵で、純真な女の子だ。ひねくれた私にはまぶしすぎるくらい

もしあれが作られたキャラだったら私人間不信になっちゃいそう

……いけないいけない。ネガティブ信金さんとの契約はそろそろ解約しなくちゃ

ひさしぶりー
今回は完結できる?

>>64
頑張る

~五限目~

男「リーディングの先生はけっこう厳しい人だから、今回はまじめに受けた方がいいかも」

女「そうなんだ。了解です」

男「授業の遅れは取り戻せそう?」

女「数学はめどが立ったかな。他の教科は手をつけてないからわからないや」

男「そっか。まぁ気負わず頑張りなさいな」

女「うん、ありがとう」

言ってやった

気にしていないつもりだったけど、私は先輩の一件をかなりひきずっていたらしい

ここまでネガティブになっていたのは我ながらびっくり

ポジティブ信金さんと契約したいなぁ

女「………」カリカリ

男「………」カリカリ

五限目は、男くんと話をすることはなかった

~女宅~

女「ただいまぁー」ガチャ

女「……って、お姉ちゃんはまだ帰ってきてるわけないよね」

五限目が終わると、男くんは幼ちゃんとさっさと帰ってしまっていた

クラスのみんなに捕まって帰り道も質問の嵐だったけど、不思議と嫌な気持ちはしなかった

結局は気の持ちようなんだなぁ

女「…さて、と!」ガサガサ

着替えたらまずは晩御飯の準備

それが終わったら今日一日の復習といきますか

女「………」カリカリ

結局、男くんからは今日授業のあった五教科のうち、数学、世界史、英語の三教科のルーズリーフを借りてしまった

一通り眺めてわかった。差が大きいのは数学だけで、世界史と英語はそれほどでもなかった。

他の教科に関してはまだなんとも言えないが、これなら思ったよりはやく片付けられそうだ

姉「ただいまー」ガチャ

妹「あ、おかえりお姉ちゃん」

姉「おなかすいたよー女ー」

女「ハイハイ、準備できてるからご飯にしちゃお」

姉「できた娘だよ女はぁー」

女「もう!お姉ちゃんったら!」

女「いただきます」

姉「はい、いただきます」

姉「それじゃあ」

妹「?」

姉「今日の酒の肴は、女の転校生デビューの話にしやしょーか」プシュッ!!

女「うえぇぇぇぇぇ??」

姉「ホラ!話した話した!!」

女「まったくもう…」




女「……っていうわけで、お姉ちゃんにはしばらく勉強を教えて欲しいんだけ……ど?」

姉「」ニヤニヤ

女「お、お姉ちゃん??」

姉「その男ってやつ、なかなかどうしてイイオトコじゃねーか」グビッ

女「な!!!」

女「ななななななに言ってんのおねーちゃん!?」

姉「……」グビッグビッグビッ

姉「プハァー!!」トン

姉「………あのな、女」

女「え?」

姉「正直私は驚いてる」

姉「転校初日の学校から帰ってきたおまえが想像以上に元気だったからな」

女「………」

姉「前の学校で……嫌な事、あったんだろ?」

女「!!」

姉「お前の様子から察するに、男関係の話だろ」

女「……」

女「……あ、あの…」

姉「いや、いい。無理に聞くつもりは無いよ」

姉「自分では気づいてなかったみたいだけど、あの時のお前、相当ひどかったらしいぞ。母さんが私に相談してくるくらいだからな」

姉「『それ』は逃げだっていうのはわかっていた」

姉「わかってはいたけど、それでも私は」

姉「お前をあの環境から遠ざけるべきだと思った。我ながら過保護な姉だね」

姉「逃げたっていい。誰も責めやしない」グビッ

姉「最終的にお前が幸せになってくれればそれでいいと思ったんだ」

姉「父さんも母さんも、もちろん私も」

姉「時間が全て解決してくれる」

姉「そう思って、私はお前を連れてきたんだ」

姉「ただそれでも、転校初日の今日はやっぱり不安だったよ」

姉「お前は母さんや私に似て、綺麗な顔をしているからな」

姉「………………おい、ここは突っ込むところだぞ」

姉「まぁいいや。アドリブのきかないやつめ」

姉「新しくクラスメイトになるやつらの好奇の目線に晒されて、嫌な思いをしていないかと心配だった」

姉「過保護すぎて笑えてくるねwwwww」

姉「まぁでも」

姉「今のお前の話を聞く限り、それも杞憂だったみたいだ」

姉「よかった」

姉「本当によかった」グビッグビッ

女「お姉ちゃん…」

姉「た!だ!し!」ドンッ!!

女「うわっ!」

姉「お前には既に『前科』がある」

姉「姉である私から見ても、お前は脳みそお花畑のお姫様だ。人の言うことを全て信じちまうお馬鹿ちゃんだ」

姉「さっきお前の話の中に出てきた『ステキな男くん』も、下心だらけの行動をお前が都合よく解釈しただけかもしれない」

姉「前の学校の件で懲りたとはいえ、可能性がないとはいいきれない」

姉「疑うなとは言わない」

姉「ただ、簡単にだまされるな」

姉「その『男くん』とやらを知るんだ」

姉「そいつの本質を見極めるんだ」

姉「もしそいつが下心しかないクズ野郎だったら私に言え」グビッ

姉「私がそいつをぶっ飛ばす」ドン!!

姉「もしそいつがお前の言う通りのイイオトコだったのなら…」グビッ

姉「さっさと押し倒して犯しちまえ」ドドン!!

女「ちょちょっとお姉ちゃん!!!」

姉「どうしたー?私は本気で言ってんだぞー?」ケタケタ

女「もう!せっかくイイ話だったのに台無しだよ!!」

姉「わははははは」プシュッ

女「それに『だまされるな』なんて簡単にいうけど、それで済んだら苦労しないよ!!」

姉「違いない!!よくわかってるね女は!!」グビグビグビグビ

女「もう!お姉ちゃん飲みすぎー!!」

姉「わはははははははは!!!」

お酒を飲んだお姉ちゃんはよく喋る

お姉ちゃんは私の事が大好きなんだ。私も同じくらいお姉ちゃんの事が大好きだ

お姉ちゃんが教えてくれたこと

すっごく難しいけど、私頑張るよ

ありがとうお姉ちゃん

でも、この調子じゃ私の勉強手伝ってもらえないね

初日早々こんな有様でごめんね、男くん

私がこの学校に転校してきてから二週間

(男くんに教科書を見せてもらっていたのは四日で終わった。勉強の遅れもなんとか取り戻せた)

自分でもクラスに打ち解けてきたと思う

幼ちゃん、男くん、友くんとは今でも一緒にご飯を食べてる

この三人が、この学校で一番仲のいい友達

正直なところ、私は今の学校生活をとても楽しんでいる

そんなある日、私は知らない男子に呼び出された

シーンは、放課後の体育館裏

『好きです。俺と付き合ってください』

そんなテンプレの告白

『あなた……誰?』

思わず口から漏れそうになった言葉を、すんでの所で飲み込む

なんて答えたらいいのかわからない

ちがった。なんて断ったらいいのかわからない

頭の中がグルグル回ってる

なんで?なんで私なの?

なんで一度も会話をしてことも無い人を『好きだ』って言えるの?

そうなの?結局そうなの?

男の人は私のことを『そういう』対象としか見てくれないの?

女「………ごめ……なさ……む……り」ダッ!

そう言って、逃げることが精一杯だった

ふと気がつくと、私はカバンも持たず駐輪場に突っ立っていた。あれから一時間がたっていた

一時間の記憶がハッキリしない。学校中をフラフラと歩いていた気がする。そういえば先生に呼び止められたかもしれない

…………カバン、取りに戻らなきゃ

足取りが重い。さっきの人、教室で待ってたりしないよね?

教室にたどり着き、重い引き戸を開ける

そこには……

男「7!」

友「8!」

幼「9!」

男&友「はいダウトー!」

幼「なんでさ!!」

男「いや、だって」

友「幼ちゃん嘘へたすぎ」

幼「ちくしょー!!

女「………あ…」

男「……あ」

友「おー!女ちゃんじゃーん!!」

幼「女ちゃんおかえりー!!かえろー!!」

男「おい今での負けさらっと無かった事にすんな」

幼「いやいや、今日はもう下校の時間ですので!!」

男「ぐぬぬぬ…」

友「まーまー。そーだ!帰りにマック寄っていこうぜ!!」

また、だ

わかっているはずなのに、何も聞かないでいてくれる

いけないのに…

お姉ちゃんと、約束したはずなのに…

男くんの優しさに、溺れてしまいそうになる

~女宅~

姉「……」モグモグ

女「……」モグモグ

姉「…………女」

女「!!」ビクッ

姉「今日、何かあったの?」

女「……うん」

姉「…あの男関連?」

女「……」フルフル

姉「そっか。言いたくなかったら、無理に言わなくてもいいよ?」

女「………今日の放課後ね、男の人に告白されたんだ」

姉「!!」

姉「……そっか」

姉「相手は?」

女「名前も顔も知らない人」

女「その時ちょっと嫌な事思い出してね」

女「泣きそうになりながら教室に戻ったら、男くんたちが待っていてくれたんだ」

姉「………へぇ」

女「男くんは何も聞かずに、『帰ろっか』って言ってくれた」

女「そんな男くんの顔を見たら、何だか嬉しくなって、すっごく泣きそうになって」

女「でも私、我慢したよ?泣かなかったんだよ?」

姉「…そっか。女は偉いなぁ」ナデナデ

女「エヘヘ……」

女「だから」

女「今はまだちょっと引きずってるけど」

女「私は大丈夫」

女「私には頼りになる友達がいるから!」

姉「…ん、そっか」

姉「良い友達ができてよかったな、女」

女「うん!」

姉「なぁ女」

女「なぁに?お姉ちゃん」

姉「お前、男くんのこと好きか?」

女「……」

女「………正直、よくわからない」

女「ただ」

女「たった二週間だけど、男くんにはたくさん助けてもらった」

女「私も、男くんを助けてあげたい」

女「男くうの傍に……男くんの隣に私はいたい……」

姉「……そっか」

姉「女、お姉ちゃんはもう止めないよ。お前の好きにしたらいい」

姉「ただアドバイスくらいはできるから、何かあったら何でも言ってね」

姉「がんばれよ」

女「うん、ありがとうお姉ちゃん」

女「私、頑張るよ!」

~翌朝~

女「いってきまーす!」

姉「あぁっ!ちょっと待った女!」

女「んー?」

姉「数学の教科書!忘れてる!」

女「……………げ」

女「あ、あはははー、いっけなーい!」テヘペロ

姉「?」

姉「…………」

姉「!」ピコーン

姉「ムフフ…」ニヤニヤ

女「!!!!」

女「ちちちちちちちがうの!ほほほほほんとに忘れてたんだって!」

姉「まぁまぁ」

女「うわーん!!!」

姉「ホラホラ、馬鹿なことしてると遅刻しちゃうぞ?」

姉「もう忘れ物をカバンに入れる時間なんてないんじゃないか?」

女「!」

女「そそそそそそうだね!もうそんな時間ないね!急がなきゃ!!」

姉「こりゃー誰かに教科書を見せてもらわないといけないなー」ニヤニヤ

女「っと!とにかく!いってきます!!」

姉「いってらっしゃーい」フリフリ

姉「……」

姉「女のやつ、立派に青春してますな」

姉「母さんも私も余計な心配だったかな」

姉「…………私にもイイ人いないかなぁ…」

~学校~

男「あ、女さんおはよー」

幼「おはよー!女ちゃん!!」

女「二人ともおはよう!」

女「………」

女「(数学の授業は三限目…)」

女「(大丈夫……私ならできる……落ち着け私……)」

女「」ドキドキドキ…

女「………あわ……あわわわわわ………」

~三限目 数学~

キーンコーンカーンコーン

女「(………時は来た!!)」

女「(一世一代の大勝負!いけ!行くんだ私!!)」

女「」

女「…………あうあうあうあ…」

女「………あわわわわ…」

どうやら私は、『超』がつくチキン野郎(野郎?)だったらしい

女「(無理……やっぱり無理………)」

女「(恥ずかしすぎる……今日は諦めよう……)」

女「(……今度こそ!今度こそは!)」

女「(………ホ、ホントだよ?)」

男「?女さん、どうしたの?」

女「!!!!」

女「え、あ、その………」

男「もしかして何か忘れものでもしたとか?」

女「ち、ちがっ……」

女「!!」

女「そう!そうそう!そうなんだ!」

女「わわわわ私結構おっこちょこいで、よく忘れ物しちゃうんだー」

……おっこちょこい………死にたい………

女「きょ、今日は数学の教科書忘れちゃったみたいでさ!」

女「わわわわわわわ悪いんだけど、教科書見せてくれないかなー?」

男「うん、いーよーいーよ」

ガララッ

男くんが机を寄せてきて、机の間に教科書を置いてくれる

必然、男君と私の距離が縮まる

転校してしばらくは男くんのお世話になっていた

私が教科書を購入してから遠ざかってしまった男君との距離

私だけの特等席

久しぶりだなぁ

女「………えへへ」

男「?」

女「ありがとね、男くん」

ズリッ

さりげなく椅子を寄せてみたり

いかんなぁ…癖になってしまいそうだよお姉ちゃん

この日の授業の内容は全く聞いてなかった…家で復習しないと

お?男くんのノート借りちゃえ♪また話す口実が増えてしまったぜ

女「………」カリカリ

お姉ちゃんにはあんな事言っちゃったけど、自分では薄々気付いてる

………『薄々』とか、この期に及んで私はまだ自分を偽っていた

薄々じゃないだろ私、認めちまえ

私は男くんの事が好きなんだ

全くお笑いぐさだ。あの人の一件で騙されてからまだ3ヶ月と経っていないのに

あの一件で私はどこかおかしくなってしまったのだろうか、こんなに簡単に人を好きになるなんて

ちょっと優しくされれば誰にでも気を許してしまう尻軽女になってしまったのだろうか

恋の魔法とやらの熱病に私は侵されてしまったのだろうか

こうして世の中に『ビッチ(笑)』、『スイーツ(笑)』と揶揄される頭の悪い女は増えていくのだろうか

知った事か

世の中の自称識者よ、笑わば笑え

理屈じゃないのさ、感情なのさ

男くんに興味を持ってしまった時点で私の負け。あとはなるようになるさ

もし男くんがあの人のような下衆な下心を持っているのであれば、私は二度と恋なんかしない

そうだ、それでいいや

…………

馬鹿だなぁ私、スイーツ(笑)

~女宅~

姉「………で?」モグモグ

女「?」モグモグ

姉「今日の数学はどうだったよ?」

女「あー」

女「まあそれなりの戦果はありました」

姉「」

女「ただ」

女「おかげで授業の方はサッパリだったよ」

女「まあでも転んでもタダでは起きない私」

女「男くんから今日の分のルーズリーフをゲットしてきましたー!」

女「イエーイ!」

姉「」ポカーン

女「あ、あれ?お姉ちゃん??」

女「ど、どうしたの?」

姉「……い、いや、なんでもないよ」

姉「ただちょっと…何か吹っ切れたのかなぁって思っただけ」

女「……そ、そうかな?」

姉「うん」

姉「最近の女はイキイキとしててお姉ちゃん嬉しかったけど、今の女は特に楽しそう」

姉「……お姉ちゃん、本当に嬉しいよ」

女「………ありがとう、お姉ちゃん」

姉「女本当に可愛いヤツだなー」

女「えへへ」

女「………」モグモグ

姉「………」モグモグ

女「………あのね?お姉ちゃん?」

姉「………んー?」

女「…私、男くんのことが好き」

姉「………そっか」

女「うん」

姉「頑張りなよ」

女「うん!!」

書き溜め尽きたなう
こっから超遅くなります

紫煙

~一ヵ月後~

楽しい。毎日が楽しい

幼ちゃんと話をする事が楽しい

男くんに会える事が嬉しい

友くんも……まぁおもしろい

クラスのみんなもとってもイイ人たちだ。今までの学校生活はなんだったんだろう

………あれから3人の男子に告白された

やっぱりみんな知らない人で、私を好きになった理由なんて全くわからなかった

当然、丁重にお断り

初めて告白された時はとっても怖かった、すごく嫌な気分になった

でも、自分の気持ちに気づいてしまった今はもう怖くない

そんなある日、私はまた一人の男の人に呼び出された

女「(また体育館裏か……)」

この学校には『告白は体育館裏で行うこと』という校則でもあるのだろうか

とにかく、今日も丁重にお断りするだけだ。誠心誠意謝って、早く帰ってしまいたい

?「あ、いたいた」

?「ゴメンね?呼び出しておいて遅くなっちゃって?」

女「………いえ、大丈夫です」

吐き気がした。喉までなにかがせり上がって来た気がする

今日私を呼び出した人は、バスケ部の先輩だった

学年を問わず女子に人気らしいが、あまり良くない噂も耳にする

曰く、『下級生の女子を次から次へと喰い漁っている』

記憶の彼方に忘れかけていた、『あの人』を髣髴とさせる雰囲気

あの時の私はソレにメロメロ(笑)だったのだろうが、今となっては嫌悪感しか抱かない

バスケ「女ちゃんだよね?最近転校してきた?」

慣れなれしく『ちゃん』付けというところまであの人と一緒だ。不快

女「最近、といってももう先月の話ですが」

バスケ「まぁそんな細かい事はいいや」

バスケ「女ちゃん。俺と付き合わない?」

………驚いた。告白すらされなかった。

この人にすれば女生徒はすべて『自分を好いている』事が前提らしい

言外に『俺が付き合ってやる』というニュアンスが含まれている。勘違いも甚だしい

できることであれば、この男の顔をおもいっきり殴ってやりたい

女「お断りします」

バスケ「ありゃ、フラれちった」

バスケ「いいの?俺と付き合えればクラスのみんなに自慢できるよー?」

怒るな…怒っちゃダメだ私…

女「結構です。私には別に好きな人がいますから」

『好きな人』

その言葉を口にするだけで彼-男君の顔が頭に浮かぶ

彼のことを考えるだけで、気持ちが落ち着き勇気が湧いてくるきがする

だけど

私の前に立つその男は-

そんな私の言葉など意に介さず-

バスケ「へぇー?女ちゃん好きな人がいるんだー?」

バスケ「その彼にはもう告白したの?まだ片思い?」

女「ッ!」

私の心の中に土足で踏み込んでくる

女「せ、先輩には関係ありません!!」

自然と語気が強まる

バスケ「その好きな人がどんなヤツか知らないけどさぁ?」

バスケ「俺の方が女ちゃんのコト、幸せにできると思うよ?」ガシッ

女「!?や、やめてください!!」

バスケ「ははっ」

バスケ「肩をつかまれただけでこんなになっちゃうなんて女ちゃんホントにかわいー」

不快

女「離してください!!」

バスケ「俺と付き合えよ、女」

女「やぁっ!!」

不快不快不快不快不快不快不快不快不快不快不快不快不快不快不快不快不快不快

いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ

男くん……男くんっ!!

??「あ、いたいた!!」

…………う………そ……

バスケ「あ?」

男「女さーん!」

…………どうして………どうして?…………

男「…………って、なんだか邪魔しちゃったかな?」

バスケ「おい…なんなのお前?」

女「へ、平気だよ!?それよりどうしたの!?」

男「英語の課題、女さん出し忘れてたでしょ?」

男「もう先生カンカンでさ、『すぐに女を連れてこーい!!』って怒ってたよ?」

男「だからすぐに職員室に行った方がいいよ?」

女「……………う、うん……わかった。………でも……」

バスケ「…………」

男「いいからいいから!早く行った方がいいよ?」

女「わ、わかった……」

女「……お、男くん…その、ありがとう」

男「いいからいいから」

タッ

なんで

なんで

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで

なんで男くんが助けに来てくれたの?

ずるい

ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい

好きだと思ってたのに……これ以上無い程に好きだと思ってたのに……

あんなことされたら、止まらなくなってしまう……

~放課後 教室~

少しだけ冷静になった頭で状況を整理する

ひとつ、そもそも英語の課題なんて無い。

男くんが助けに来てくれたのは私の都合のいい思い込みなんかじゃない

ふたつ、こっちの方が重要だ

私がいなくなったあの場から、男くんはいつになったら戻ってくるのか

あの先輩だって馬鹿じゃない、男くんが横槍を入れたことくらいわかっているはず

私がいなくなったあの場で、男くんはどうなってしまうのか

確かめなければならない、でも動くことはできない

怖い

男くんのことは心配だというのに、確認に戻ることがとてもおそろしい

結局、臆病な私は教室で男くんの帰りを待つしかなかった

男くんの帰りを待つ時間は、ひどく進みが遅く感じられた

男くんのカバンは机にかけたまま。教室には必ず戻るはずなのだ

一分か一時間か

悶々とした時間を過ごしていると、男くんが教室にもどってきた

女「男くん!!」

時計を見返してみると、なんてコトはない。私が教室に戻ってきてから五分が経った程度だった

男「あ、女さん」

女「男くん!ごめんね!私、わたしっ……」

男「ごめんね?」

女「えっ?」

男「女さんは英語の課題なんて無かったよね?課題があたのは友だったわ」

男「俺の聞き間違えだったみたい。ごめんね?」

女「…………」

この人は

この期に及んで直、くだらない嘘をついていた

あくまでも自分の勘違いだと、私は悪くないと

どうしてこの人はそこまで他人を思いやれるのだろうか

そうだと言うのであれば…

女「そっか」

女「勘違いなら仕方ない、許してあげよう」

平静を装い、頭からつま先まで、男くんの体を嘗めるように観察する

あの先輩に何かされなかっただろうか、それだけが心配だ

男「ははぁ、ありがたき幸せに」

女「もぅ、何それー」

………見つけた

女「男くん、その手……」

男「えっ?」

男くんは右手のひらを擦りむいていた。まるでたった今つけたかのような傷だ

男くんはきっとこう答える

男「ああコレね?実はさっき転んじゃってさ……」

男くんが『そう』望むのであれば、私は従うほかはない

『間抜け』な男くんは『転んで』怪我をしてしまったのだ

女「………もう、男くんはしょうがないなー」シュルッ

男「えっ?」

女「動かないで」キュッキュッギュッ

女「………これでよし」

女「もう保健室はやってないだろうからね」

女「家に帰ったらハンカチほどいてキチンと消毒してね?」

男「うん、わかった」

女「よしよし」

男「それじゃ、帰ろっか?」

女「そうだね」

女「帰ろ!」





男「それじゃ、俺はこっちだから」

女「うん、また明日」

男「また明日」

男「そうだ、女さん」

女「?」

男「ハンカチ、ありがとう」

男「じゃあね!!」

女「………」

女「……こっちが謝ったり感謝したりすることは許さないくせに」

女「………そっちは言い逃げですか」

女「………ずるいぞコノヤロー」

男くんは、人が負い目を感じることを極端に嫌っているみたいだ

今日みたいな事も、一度や二度じゃないだろう

その誰が相手でも等しく分け与えるその優しさは、もはや自己犠牲と言っても差し支えない

ご両親の教育の賜物なのか、過去になにかあったのか

………知りたい

男くんの全てを知りたい

全てを知った上で、男くんを支えたい

男くんの傍にいたい

×その誰が相手でも等しく分け与えるその優しさは、もはや自己犠牲と言っても差し支えない
○誰が相手でも等しく分け与えるその優しさは、もはや自己犠牲と言っても差し支えない



~女宅~

姉「頂きます」

女「頂きます」

姉「…………で?」プシッ

姉「今日は何があったんだ?」グビッ

女「……すごく嫌なこと」

姉「………そうか」グビッ

女「聞いてくれる?」

姉「勿論だ」

女「前の学校の事も関係あるから、話が長くなると思う。それでも平気?」

姉「…………」

姉「……………詳しく聞こうか」






姉「だいたいわかった」

女「……うん」

姉「とりあえず私は」グビッ

女「?」

姉「そのサッカー部のクズとバスケ部のクズをボッコボコにすればいいんだな?」

女「ぜんぜんちがうよ!!」

姉「冗談よ、じょーだん。ホントに殴るわけないでしょー」プシッ

女「冗談に聞こえないよ!!」

姉「そりゃそうだ、ボッコボコにしたい気持ちは本当だからな」グビッ

女「お姉ちゃん……」

姉「女」

女「ん…」

姉「辛かったね」

女「うん…」

姉「でも、良かったね」

女「うん……うん………」

姉「お姉ちゃんは女のことが心配で心配でたまらなかったけど……」グビッ

姉「もう女のことは心配ないみたいだ」ゴトッ

姉「ところで、だ女」プシッ

女「は、はいっ」

姉「さっきの話の男くんが助けてくれたくだり……」グビッグビッグビッ

姉「アレには一切の誇張はないか?」ドン

女「……え?」

姉「な・い・か!?」ドンッ!!

女「ひぇっ!な、ないですっ」

姉「誓えるか!?」

女「誓えます!ちかえますぅ!!」

姉「そうか」グビッ

姉「女」

女「?」

姉「男くんを押し倒しなさい」

女「えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」

女「きゅきゅきゅきゅきゅ急に何言ってるのお姉ちゃんはぁ!!」

姉「今日まで一ヶ月間とちょっと、私は男くんが女に相応しいか見極めようと女からヒアリングを続けてきました」

女「ヒアリングって……」

姉「ハイ結果はっぴょー」

姉「満点!満点です!!おめでとう男くん!おめでとう女ちゃん!!」

女「お姉ちゃん……すっかりできあがっちゃって……」

姉「女、私が保証する。男くんは本物だ」

姉「女が男くんを押し倒して既成事実さえ作ってしまえば、男くんなら絶対責任を取ってくれるよ」

姉「ファイト!女ぁ!!」

女「もおぉぉぉっ!!」

姉「ちなみにさ」

女「?」

姉「男くんの写真とかある?」

女「あるけど…」

姉「おぉ!!」

女「携帯の待ち受け……恥ずかしいから幼ちゃんと友くんも一緒だけど………」パカッ

姉「どれどれ…」

女「右の方ね」

姉「…………」

姉「………これが男くん?」

女「そうだよ?」

姉「………わ、私も男くんの彼女候補に立候補しちゃおっかなー」

女「!!!!………だっ、だっ、だっ」

女「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

姉「とまぁ冗談は置いておいて」

女「…………むー」

姉「女の隣にいる娘……、この娘が噂の幼ちゃんだね?」

女「…う、うん」

姉「とってもかわいらしい娘だね」

女「え、えへへ……」

姉「なんでアンタが照れるのよ…………わかってんの?」

女「……………え?」

姉「間違いなくこの娘が」

姉「男くんと付き合うにあたって最大の障害になるのよ?」

女「………うん」

姉「女のその様子を見ればわかるよ。この娘もとってもいい子なんだね?」

女「うん」

姉「でも男くんと付き合うためには、この娘を退けなければならない」

姉「かなりの強敵よ?」

女「………うん」

姉「とりあえず私が言えることは……」

姉「卑怯な真似は絶対にしないこと」

女「!!」

姉「正攻法で攻めて、幼ちゃんを正面から叩き潰すこと」

姉「男くんの恋愛関係と幼ちゃんの友人関係、どっちも手に入れるのよ?」

姉「わかった!?」

女「うん!!」

姉「わかればよろしい」

姉「女は本当に可愛いなー」ポンポン

女「えへ……へへへへ」

  ┌┐         / //
 [二  ] __     〔/ / 
   | |/,ー-、ヽ      / 
  / /  _,,| |     ./      
 レ1 |  / o └、  ∠/       
   .|__|  ヽ_/^     ,/     (  -_-)       ))
      __       /      /つ( ̄`ヽO_ノ⌒ヽ
   [二二_  ]    /     ノ   )        \ ))
       //    {..    (__丿\ヽ ::    ノ:::: )

     / ∠__    ̄フ..      丿        ,:'  ))  
    ∠___  /  /    (( (___,,.;:--''"´``'‐'    
     _   / /  \      
    / o ヽ/  /   /      
    ヽ__ /    \



すみませんマジすみません
今回は最後まで書かせてください
明日中には終わりますから勘弁してください

淫魔「レイディース・アン・ジェントルメン! マンコ・アン・チンコ! こんばんは、淫魔です。いまは書いてる人の代理です。
『淫魔「あなたのはじめて、ぜんぶちょうだい」 男「な……」』いかがでしたでしょうか。お楽しみいただけたら幸いです。

ん? ただヤるだけ? いいの。そういう話なんだから。

VIPで立てた前スレ
『「あうぅ……手首切るの気持ちぃ……」 淫魔「……」』
と、さらにそのいっこ前の途中で落ちたスレ
『「はぁ……はぁ……手首切るの気持ちぃ……」 淫魔「……」』
では、しょっぱなに男が風呂場で、自分の身体をカミソリやノコギリで切り刻むという展開に、呆然とこっちを見ているAAを立て続けに張られたり、マジキチとか、さすがのVIPPERもどん引き、など、ある種のお褒めの言葉をいただきました。

そのあと、最初のころの猟奇的な展開に驚いたが、読み進めるとエロかった、おもしろかった、という旨のお言葉、保守、支援もいただいて、「あうぅ~」の方は投稿を円満に終えることができました。この場を借りてお礼申し上げます。

しかしレスの中には、最初の展開で読むのやめた人も多いだろう、というご意見もありました。
前のスレを見返すと、ところどころグロ描写がひどく、好みでない人にはとってもイヤなものを投稿してしまったと。エロで吐く人は滅多にいないけど、グロで吐く人はけっこういるので。かくいうわたしもレクター博士の映画『ハンニバル』はキツいです……
さらにはわたしが2chまわりに不慣れなこともあって、SS速報に立てたスレに誘導するのを完全に失敗してしまいました。先のスレを読んでくれたのに、保守支援してくれたのに、続編に案内できなかった方も居るのでは……
そんな感じで申し訳なくなりまして。

オーソドックスな始まり方のエロSSを書いてみたかったのもあり、前スレからSS速報の現在のスレへの誘導を兼ねて、「あうぅ~」に投稿した男と淫魔の初めてを、加筆(地の文があるところが加筆箇所)投稿した次第です。


それでは、このへんで。ご覧いただき、ありがとうございました。……んふふ」

さすがに落ちたら諦めます
おやすみなさい

ごめんなさい
17時くらいになりそうです

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年11月16日 (水) 00:55:48   ID: GvWc-9Us

続きはー?

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