エレン「なあ。ずるずるさんって知ってるか?」(42)



『ね、知ってる?ずるずるさんの噂。』


『知ってる。夜の訓練所に出るっていう妖怪ね。』


『そうそう。本当かどうかは知らないけどさ。』


『ずるずるさんは、肉のかたまりで動くたびに、ずるずる・・・って聞こえるから、ずるずるさんなんだよ。』


『そうなんだ・・・。』



『それでね、そのずるずるさんに見つかって捕まった人は殺されちゃうんだって。噂ではその殺されちゃった人の肉が、そのずるずるさんの表皮に見える肉らしいよ。』


『何それ。怖い・・・。』


『まあ噂だから・・・本当に会ったことある人なんていないと思う。』


『都市伝説ってやつかな?』


『都市伝説にしては、噂の広がりが大きいんだよね・・・。』


『なんなのだろう・・・。』




エレン「ずるずるさん・・・。」

アルミン「ずるずるさん?」

エレン「オカルトの類だ。」

アルミン「うん・・・深夜に出るってことは知ってるよ。」

エレン「少し興味があるんだ。」


アルミン「そうなんだ。」

エレン「今夜、2人で訓練所に忍び込んで探そうぜ。」

アルミン「怖いよ・・・。」

エレン「大丈夫だって!俺がいるからさ。」

アルミン「本当に?」

エレン「あぁ」


【夜】

アルミン「1階の資料室の窓が開いてるなんてね。」

エレン「開けといたんだよ。」

アルミン「そうだね。正面の扉は鍵が掛かってるしね。」

エレン「にしても暗いな。」

アルミン「ここは毎日見慣れてるけど、夜なると本当に怖いね・・。」


エレン「だな。灯りが1つもないしな・・・。」

アルミン「懐中電灯持ってきたよね?」

エレン「あぁ。持ってきてるぞ。」

アルミン「部屋の電気を点けたら誰かに見付かるかも知れないしね・・・。」

エレン「教官もいないよな・・・?」

アルミン「大丈夫。教官達も夜中は寮のほうで寝るし・・・。」


エレン「そうだな。俺ら訓練兵が訓練所に忍び込むなんてこと考えもしないよな。」

アルミン「そもそも忍び込む必要もない場所だしね・・・。」

エレン「おう。じゃあそろそろ探索するか。」

アルミン「うん。」


タッ・・・・タッ・・・・タッ・・・・・


エレン「トイレか・・・。」

アルミン「止めといたら?」


エレン「まっ。一応探すか。」

アルミン「一つ目の扉ね・・。」


ギィ・・・バタンッ

ギィ・・・バタンッ

ギィ・・・バタンッ


エレン「ここには何も無しか・・・。」

アルミン「トイレって普通に何も無くても怖いよね。」

エレン「まぁな。トイレの怪談話は色々聞くしな・・・。」

アルミン「そもそも入り口近くのこの鏡でさえ怖いよ。」

エレン「後ろに何か映りそうでな・・・。」


【数分後】

エレン「1階は何もいなかったな・・・。」

アルミン「いないほうが嬉しいよ。」

エレン「はぁ・・・。」

アルミン「所詮、噂は噂なんだよ・・・。」

エレン「まだだ。2階に行くぞ。」

アルミン「やっぱ止めとこうよ!」

エレン「いいや。解明できるか、全部まわるまでは満足できねえ。」


アルミン「そういえば、ずるずるさんは何処に出るの?」

エレン「知らない・・・。」

アルミン「え?」

エレン「ずるずるさんは『トイレの花子さん』みたいに決まった場所には出ないんだよ。」

アルミン「じゃあ、やっぱここみたいにシラミ潰しに探すの・・・?」

エレン「そういうことになるな。」


【2階】

アルミン「ここは座学の教室があるね。」

エレン「自分達のよく使うとこの近くに、そんなもんがいると思うと怖いな。」

アルミン「そんなこと想像すると鳥肌が立つよ・・・。」

エレン「まぁ確かに怖いな。」


【数分後】

エレン「2階も何もいなかったな。」

アルミン「安心だよ。」

エレン「じゃあ向こうの側も行くか。」

アルミン「北側の兵舎に?」

エレン「あぁ。あっちは教官室や医務室。実験室に図書室と色々あるし・・・。」

アルミン「怪しいね・・・。」

エレン「だろ?行くぞ!」


【北兵舎】

アルミン「2階の渡り廊下・・・先が真っ暗だったね。」

エレン「怖かったな・・・。」

アルミン「じゃあ早く終わらせよう・・・。」

エレン「おう。まずはこの部屋からだな。」

アルミン「ここはなんの部屋だっけ・・・。」


ガラガラ・・・

エレン「実験室・・・か。」


アルミン「こ、怖い・・・。」

エレン「気味悪いな・・・。」

アルミン「うん・・・人体模型に動物のホルマリン漬け。なんか生臭いしね・・・。」

エレン「探索するか・・・。」



【数分後】

アルミン「この階もないね。」

エレン「じゃあ最後。北兵舎の1階だ。」

アルミン「うん。」


【北兵舎1階】

エレン「教官室が開かない。」

アルミン「やっぱ大切な資料とかあるから用心のため鍵を掛けているんだよ。」

エレン「まぁいいか。」

アルミン「じゃあ・・・図書室に行く?」

エレン「おう。」

アルミン「あそこは本の棚で入り組んでるから、少し怖いんだよね・・・。右に曲がったら居た!みたいになったりしたら・・・。」

エレン「そんなネガティブになるなって。」


【数分後】

アルミン「何もいなかったね。」

エレン「次が最後の部屋か。」

アルミン「医務室だよ。」

エレン「入るぞ。」


ギィ・・・バタンッ

アルミン「ひっ!」

エレン「何びびってんだよ・・・。人間の構造のポスターだぞ。」

アルミン「そうだね・・・。」


エレン「つか何も居ねえぞ。」

アルミン「そうだね。よかったよ。」

エレン「良くない!時間の無駄だったぜ!」

アルミン「しっ!大きな声出しちゃ駄目だよ!誰かに見つかっちゃう。」

エレン「もういい!帰るぞ!」

アルミン「うん。1階の渡り廊下から、西兵舎に行こう。」

エレン「はぁ・・・。」


【資料室】


ガガッ・・・

エレン「は?」

アルミン「エレンどうしたの?」

エレン「いや、開かないんだが・・・。」

ガガッ!ガッ!!

アルミン「え?どうして?」

エレン「知らねえよ。」

アルミン「変わって!僕がやる。」

ガガッ!

アルミン「本当に開かない・・・。僕達、ここの扉から入ったはずだよね!?」

エレン「クソ・・・他の部屋の窓から出るぞ」

アルミン「う、うん・・・」


タッ・・・タッ・・


エレン「ここの部屋の窓から出るぞ」

ガガッ!

アルミン「え?」

エレン「クソッ!この部屋も開かないぞ・・・」

ガッガッガッガッ!!


アルミン「ど、どうしてなのさ!僕らは1回この部屋に入ってるから、この扉は開いてるはずなのに!」


エレン「知らねえって言ってるだろ!」

アルミン「・・・・・。」




アルミン「もしかして・・・ずるずるさんが・・」
エレン「バカ言うなって!俺達がいない間に、教官か誰かが鍵を締めたに決まってるだろ!」

アルミン「で、でも!人がいた様子なんて・・・。」


エレン「仕方無い・・・正面の扉から出るぞ。」

アルミン「あそこなら鍵が内側から付いてるから、開ければ外に出られるもんね・・・。」

エレン「でもな・・・。」

アルミン「うん・・・バレても仕方無いよね・・閉じ込められちゃったんだし。」

エレン「罰は嫌だな。」

アルミン「まぁバレなきゃいいって・・・」


【1階廊下】

タッ・・・タッ・・・・・


アルミン「あっ・・・」

エレン「どうした・・アルミン?」

アルミン「ちょっと靴ひもが、ほどけちゃって・・・・。」

エレン「そうか。」

アルミン「先に行ってていいよ。」

エレン「さっさと来いよ?」

アルミン「うん・・急ぐから。」



【正面扉】

タッ・・タッ・・タッ・・・

エレン「はぁあ・・・こんな暇があったら、少しでも寝てたかったぜ」


タッ・・・タッ・・

エレン「つかアルミン、遅
『うわわぁぁぁぁぁああああッ!!!!!!!!!』

エレン「はッ!?ア、アルミンの声か!?」ビクッ


エレン「おいッ!!どうしたアルミン!?」


【1階廊下】


エレン「お、おい!?どこに行ったんだ!?アルミンッ!!」


エレン「いるなら返事しろよ!」


・・・・・。



エレン「アルミン探さなきゃ!」



エレン「どこ行っちまったんだよ・・・」


【数分後・・・北兵舎】


ダッダッダッ!

エレン「クソ・・・どこにいるんだよ・・。」


ズッ・・・ズルズズッ・・・・・


エレン「!!??」


エレン「・・・今、何か引きずるような音が聞こえたよな・・。」



エレン「医務室からだったぞ・・・行くか!待ってろアルミン!」

眠いで今日は終わるわ
別にトリ付けなくてもいいよね

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