結衣「転校することになった」(210)


結衣「今日ウチに泊まりに来ない?」

京子「お、なになに? 結衣から誘うなんて珍しいね」

結衣「京子はいつも私の意思まるっきり無視だもんな」

京子「私には寂しがりや結衣ちゃんの心の声が聞こえるのだよ」

結衣「はいはい」

京子「なんてったって、一番の親友ですから!」


 結衣宅

京子「明日は休みだし、めいっぱい遊べるな」

結衣「ああ。その前にごはん作っちゃおう」

京子「私、阿蘇牛のステーキがいい!」

結衣「……わかった、阿蘇牛のステーキね」

京子「!?」


結衣「なに? 別のにする?」

京子「いやいやいやいや待って待って。阿蘇牛ってなんだか知ってる?」

結衣「高級和牛」

京子「そうだよ、100gで1000円とかだよ!? 中学生が食べていいもんじゃないよ!!」

結衣「いらんの?」

京子「いや……いただきます……」

結衣「私つくっとくから、京子はお風呂いれといて」


京子「あ、待って! 私やっぱり別のでもいいよ!」

結衣「……じゃあ、オムライス」ボソッ

京子「えっ?」

結衣「オムライスとかどう?」

京子「いい! いいねオムライス! 私いますっごいオムライスが食べたいなあ!」

結衣「じゃあ、その二つね」

京子「そんな食べ切れ……」

結衣「文句があるなら食べなくていいぞ」

京子「滅相もございません」

結衣「よろしい」


 ジャーッ

京子(何かがおかしい……)

 ゴシゴシ

京子(一体何を企んでるんだ、結衣のやつ)

 ゴシゴシ

京子(ベタなところで、私をとって食おうとしてるとかか?)

 キュッ

京子(ちょっと熱めに設定しておこう)

 ピッ ピッ ピッ …ジャーッ

京子「よし」

京子(……はっ! まさか結衣のやつ、デブ専なんじゃ……?)

京子(そう考えるとすべてのことに合点がいく……!)

京子(結衣がしょっちゅうラムレーズンをおごってくれるのもそれだったのか!)


京子「って考えたんだけど、正解?」

結衣「ちげぇよ」

京子「思い出した! そういえば私たちが夫婦になって今日で五周年だったね。忘れてた」

結衣「いつから夫婦になったんだよ。っていうかどっちが夫だよ」

京子「え、結衣に決まってんじゃん」

結衣「まあ……それはそうか」

京子「うん……」

結衣「…………」

京子「…………」

結衣「なんか恥ずかしいから、黙らないでくれないか」


京子「でも、結衣さ、ちょうど五年くらい前だったと思うけど」

結衣「うん」

京子「私が犬に吠えられて泣いてる時に『一生私が守ってやるから大丈夫』って言ったよね」

結衣「ああ……まあ、あれはな。まだこどもだったし」

京子「そんなひどい! あの言葉は嘘だったっていうの?」

結衣「……嘘じゃないよ」

結衣「嘘じゃ……ないよ……」ギュッ

京子「……結衣?」

結衣「ううん、なんでもない」

京子「どうしたの、結衣? なにかあった?」

結衣「そんなことより、ほら、出来たぞ。おいしそうだ」

京子「…………?」


京子「いっただっきまーす」

結衣「どうぞ」

京子「ステーキうんめー!」モグモグ

結衣「そっか。よかった」

京子「ぴょーいぺばぷぱぴぽむぱいぷぷぷっぺぷぺぱぽぺ」モグモグ

結衣「行儀悪いし、何言ってるのかまったくわからんぞ」


京子「そういえば、私が最初に食べた結衣の手料理はオムライスだったなーって」

結衣「そうだったっけ?」

京子「昔はケチャップライスはべちゃべちゃで、卵はすこし焦げてたし、形も良くなかった」

結衣「ほんと文句ばっかだな」

京子「でも、なぜだか、このおいしさだけは変わらんな」パクリ

結衣「はいはい。どーもありがとうございます」


京子「うっぷ……もう食べられない……」

結衣「まさか本当にぜんぶ食べきるとは思ってなかったよ」

京子「ゆ、結衣の、うっぷ、愛を……うっ」

結衣「はいはい」サスサス

京子「膝枕して~」

結衣「なんでだよ」

京子「寝ゲロしても床が汚れないという画期的な方法ですよ」

結衣「私は汚れてもいいと?」

京子「パクっちゃだめだよ」

結衣「誰もパクらないと思うけどな」


京子「……んう?」

結衣「おはよう」

京子「んあ……おはよ……何時間くらい寝てた?」

結衣「そんな寝てないよ。30分くらい」

京子「膝、ありがとね」

結衣「はいよ。楽になった?」

京子「おかげ様でだいぶ」


結衣「ゲームやろう」

京子「またあのレベルを上げるだけのRPG?」

結衣「別にいいだろ。私はレベルを上げるのが好きなんだよ」カチッ

 テケテケテレレテレレテレレテレレテレレレテレレテレレテン ドン!

京子「え、まだそこなの? この前やった時から全然進んでないじゃん」

結衣「でももっとレベル上げないと。あのボスには勝てない」

京子「待って結衣! あれ負けイベントだから!」


京子「…………」

 テレレレッテレー

京子「…………」

 テレレレッテレー

京子「…………」

 テレレレッテレー

京子「…………」

 テレレレッテレー

京子「……ねえ、結衣」


結衣「なに?」

京子「今日、どうしたの?」

結衣「ん? 何が?」

京子「なんかおかしいよ」

 テレレレッテレー

結衣「……うん」

結衣「私、実はさ……」

結衣「……転校することになったんだ」


結衣「実は、親の都合で引っ越すことになったんだ」

京子「……引っ越すってどこに?」

結衣「まあ、そこまで遠いところじゃないよ。会おうと思えばいつでも会える」

京子「そう……なんだ……」

結衣「うん……」

京子「で、でも、今も一人暮らししてるんだから、別にこのままここにいればいいじゃん?」

結衣「親もそう言ってるんだけど……」

結衣「でも、こうやって、たかが数百メートル離れてるのとは訳が違うし、」

結衣「親も私の意思を尊重するとか言いながら、言外にはやめろって仄めかすんだ」

結衣「やっぱあまりに離れすぎるのは心配みたい」


京子「ちなつちゃんが悲しむよ」

結衣「うん……」

京子「あかりだって悲しむ」

結衣「…………」

京子「生徒会のみんなもクラスのみんなも」

結衣「うん、ごめん」

京子「私に謝ったって仕方ないって」

結衣「ううん、ごめん、京子」

京子「…………」


京子「いつ頃いくの?」

結衣「明日の夜にはもう……ごめん、なかなか言い出せなかった」

京子「そっか、すぐだね」

京子「まったく、いきなりそんなこと言うからびっくりしちゃったよ」

京子「私なら大丈夫だから。そんなことより、寂しがりやの結衣ちゃんの方が心配だな~」

結衣「大丈夫だよ」

京子「えーそんなこと言わないで、ちょっとは寂しがってよー」

結衣「まあ、会えなくなるわけじゃないからな」


京子「そうだよ、たまには親友の顔も見に来てよ?」

 私と結衣は親友だから。
 だから、結衣が自分で考えて決めたことは尊重してあげなきゃいけない。
 私の勝手なわがままで引き止めたりしちゃいけない。

結衣「ああ。親友なんだから、会いたくないわけないだろ。休みには必ずくる」

 そう、私たちは親友だ。唯一無二の親友なんだ。
 けれど、結衣に「親友」と改めて言われると、
 なぜだかわからないけど胸がしくしくと痛んだ。


結衣「ふ~いい湯だった」

結衣「京子。つぎ、風呂いいぞ」

京子「…………」

結衣「なんだ、また寝てるのか」

京子(本当はここから逃げ出したいけど)

京子(泊まりに来た手前、帰るとは言い出せない……)

結衣「おーい、京子。風呂にも入らないで寝るなー」

京子「…………」


結衣「…………」

結衣「まったく……寂しくないわけないだろ……」

結衣「私だって、ずっとみんなと一緒にいたいんだ」

結衣「ねえ、京子。私どうしたらいいのかな」

結衣「引き止めてよ、京子。昔みたいに、私を頼ってよ」

結衣「ねえ、京子……」


 チュンチュン

結衣(ん……いつの間に寝てたのか)

結衣(あれ? なんかいい匂いがする)

京子「あ、結衣おはよう」

結衣「おはよう、何してるの?」

京子「昨日のお返しにと思って」

結衣「……京子ってそんな殊勝なやつだっけ?」

京子「まったく失礼しちゃうなあ」

結衣「ふーん……って、またオムライスかよ! しかも朝から」

京子「文句があるなら食べなくていいよ」ニコッ

結衣「ちょっと、顔を洗ってくる……」


結衣「む……」モグモグ

京子「どう?」

結衣「ケチャップライスはべちゃべちゃで、卵はすこし焦げてるし、形も良くな。けど」

京子「けど?」

結衣「けど、おいしい」

京子「まあ、天才にかかれば、こんなもんですよ」ニッシッシ

ごめん、書きなおす


結衣「む……」モグモグ

京子「どう?」

結衣「ケチャップライスはべちゃべちゃで、卵はすこし焦げてるし、形も良くない。けど」

京子「けど?」

結衣「けど、おいしい」

京子「まあ、天才にかかれば、こんなもんですよ」ニッシッシ


京子「あ、そういえば、あかりとちなつちゃんには、もう転校のこと言ったの?」

結衣「いや、まだ言えてないんだ」

京子「だったら、みんな呼んで、結衣の送別会やろうよ」

結衣「ここで?」

京子「うん。お昼過ぎくらいから」

結衣「ああ、いいよ」

京子「それまでは、荷物まとめるの手伝うよ」


結衣「いや、いいって。見られたくないものとかもあるし」

京子「私たちの仲でしょ?」

結衣「友人の間でも守られるべきプライバシーはあるからな」

京子「いいじゃん、私が手伝うって言ってるんだよ?」

結衣「まあ、それはありがたいけれども」

京子「じゃあ、この引き出しから……」

結衣「だーっ! わかったから、ちょっと部屋の外で待ってて」


京子「まさかダンボール五つ分しかないとは……」

結衣「本と服とゲームくらいしかないからな。家具は備え付けだし」

京子「それにしても少なすぎだろ。私だったら二十箱を超える自信がある」エッヘン

結衣「それ、威張れる要素ゼロだからな……」

 グゥ

京子「あ、お腹鳴った」

結衣「サンドウィッチ作ってあるから食べよう。持ってくるよ」パタパタ

 ポロッ

京子「お、さんきゅー。って結衣、ポケットからなんか落ちた……」ヒョイ

京子「なにこれ? 手紙?」


京子(ほう……?)

京子(まさかこれがさっき言ってた見られたくないものか?)

京子(『としのうきょうこさまへ』だって。汚い字だなー小学生のころのか)

結衣「んー? なんか言ったか、京子?」

京子「いや、なんでもない。ちょっとトイレ借りるー」ソソクサ

京子(読んじゃおう。私宛なんだからいいよな)

 ジャー バタン

結衣「おう、けっこう長かったな」

京子「あ、ああ、ちょっとお腹が痛くてですね」

結衣「なんで敬語なんだよ」

京子「そういうお年頃なんだよ」

結衣「どんなだ」

京子「お、たまごサンドいただき!」

結衣「各種一つずつだからな」


京子「そろそろ来る頃だな」

結衣「ああ」

京子「後輩たちへの気の利いた辞世の句は考えた?」

結衣「なんで死ぬことになってるんだよ」

京子「もう二度と会えないかもしれないし」

結衣「いや、もう一度言うけど、それほど遠くに行くわけじゃないからな?」

 ピンポーン

京子「あ、きた」


あかり「京子ちゃん結衣ちゃん、きたよー」

ちなつ「結衣先輩、おじゃましまーす」

結衣「いらっしゃい」

ちなつ「ってあれ? なんか部屋がすっきりしてますね」

あかり「ほんとだ。あ、わかった! 用事って大掃除のお手伝いでしょ」

京子「ぶっぶー」

あかり「えー! えーと、じゃあね、えーと」

京子「まあそれについてはこれから結衣が話すから、とりあえず中に入りなよ」


あかり「え……」

ちなつ「そんないやです! 結衣先輩ともう会えないなんて絶対にいやです!!」

結衣「まあ、落ち着いて。ちなつちゃん」

ちなつ「そうだ、私と駆け落ちしましょう先輩! それがいいです!」

結衣「落ち着いてって、ちなつちゃん。大丈夫、そんな遠くには行かないから」

ちなつ「ふぇ?」

京子「そうそう。会おうと思えば会えるから、大丈夫」

結衣「まあ、今よりは会える頻度は断然少なくなるけどね」


あかり「よかったぁ」

あかり「あかりほっとしたよぉ」

あかり「結衣ちゃんの顔がとても深刻そうだったから、とても遠くに行っちゃうのかと思っちゃった」

結衣「…………」

結衣「そんなわけないだろ、まったくあかりは……」アハハ

京子「…………」

ちなつ「あ、ちゃんと言われた通り、お菓子いっぱい買って来ましたよ」ガサガサ

京子「……よし! というわけで、第一回結衣送別会をここに開催する!」

結衣「送別会にナンバリングは必要ないと思うんだが」


あかり「じゃあねー結衣ちゃん。絶対また会おうねー」

結衣「ああ、絶対な」

ちなつ「あの、私、毎日メールします!」

結衣「私も毎日メールするよ」

ちなつ「あっ、あの! 最後に、ぎゅってしてもらっていいですか?」

結衣「……うん、いいよ」ギュッ

ちなつ「私、幸せです……」ギュッ

あかり「あっ、ずるーい! わたしもー」ギュッ

結衣「…………………………」

結衣「あの……もういいかな?」

ちなつ「お願いします、あともうちょっとだけ……」ギュゥウウ

結衣「ちょっと、くるし……」


 バタン

結衣「……ふぅ」

結衣「で、なんで京子は帰ろうとしないの?」

京子「まだ言うべきことを言ってないし、聞くべきことを聞いてないからだよ」

結衣「だから京子は大袈裟なんだって、また次の週末にでも言えばいいだろ」

京子「それ、嘘でしょ」

結衣「…………」


結衣「……それって?」

京子「近くに引っ越すっていうの。本当はどこか遠くに行っちゃうんでしょ?」

結衣「なんで私がそんな嘘をつく必要があるんだよ」

京子「さぁ、私にはわからない」

結衣「じゃあ嘘じゃないんだろ……」

京子「でもね、これだけはわかるよ」

京子「結衣は、本当は、転校なんかしたくないんだって」


結衣「……そんなの当たり前だって。普通そうだろ」

京子「私も結衣に行ってほしくない」

結衣「そんなこと言っても、仕方がないだろ。私だって行きたくないんだ」

京子「うん、分かってる。仕方のないことだって」

結衣「わかってるなら帰ってくれよ……頼むからこれ以上つらい思いをさせないでくれ……」

京子「いやだ。このまま帰ったら、私がつらい思いをしなきゃいけないから」

京子「私の大好きな人がもっとつらい思いをするかもしれないから」

結衣「…………」


京子「ごめんね、私、結衣の気持ちに気付いてたよ」

京子「まあ、気付いたのは実は結構最近のことなんだけど」

京子「ほんと、私って鈍感で馬鹿だなぁ」

結衣「そんなこと、ないよ」

京子「ありがと」フフフ

京子「ねえ、結衣は私の想いに気づいてた?」

結衣「それは……」

京子「何か勘違いしてるならごめんね」

結衣「…………」


京子「私たち親友だよね」

結衣「……そうだな」

京子「親友って独特だよね」

京子「周りはあの二人は言いたいことをずけずけ言えて羨ましいと思ってるんだけど」

京子「本当に言いたいことは言えないんだ」

結衣「…………」

京子「もし拒否でもされたら、その人とは親友ではなくなってしまうかもしれないから」

京子「大切な支えを二つも失ったらと思うと怖くて、結局、自分を騙くらかすしかない」

京子「だから、結衣」

結衣「……なに?」

京子「私、結衣の親友やめるよ」


結衣「なっ、なんでそうなるんだよ! 言ってることがむちゃくちゃだ」

京子「ごめんね、私が自分を騙してたからいけないんだ」

結衣「なんで京子が悪いことになるんだよ。それだったら私も……」

京子「違うよ。私、結衣のこと、結衣と仲良くなるずっと前から好きだったもん」

京子「すごいかっこよかった。私が言えないことをなんでも言えたし、何よりも優しかった」

京子「まだ仲が良くなかったときも、いじめられてる私を助けてくれたりもした」

京子「それで私を強くするんだーって言って隊員にしてくれたんだよね」


結衣「違う」

京子「何が違うの?」

結衣「私も京子と仲良くなる前から好きだったんだ。ずっと気になってた」

京子「やっぱり結衣はやさしいね。でも、今は嘘はやめて」

結衣「嘘じゃないよ」

京子「ふっふっふ……そんなこと言っていいのかなぁ?」

結衣「?」

京子「これなーんだ?」スッ

結衣「そ、それは!」カァッ

京子「結衣ちゃんのラブレターでーす」


結衣「おっ、お前、いつの間に!」バッ

結衣「か、返せ!」

京子「えーと、なになに? 『としのうきょうこさま』」

結衣「や、やめろっ」

京子「『きょうこをたい員として きたえているうちに』」

京子「『正式に つま にむかえてもいいと 思ったので』」

京子「『とくべつに』」

結衣「わ、わかった! もう嘘はつかないから!」

京子「ほらね、これによると、私のほうが先に好きだった、いい?」

結衣「ああ……そうだな……」


京子「はい、これ。勝手に読んでごめん」

結衣「最悪だ……捨てとくんだった……」

京子「なんか話がわからなくなっちゃったけど」

京子「とにかく、これは私が悪いの。わかった?」

結衣「これじゃあどっちが妻だかわからないな……」ボソッ

京子「わかった?」

結衣「は、はい」


京子「話を戻すと、私が結衣の優しさに甘えたのがいけないんだって」

結衣「優しさ? 私に優しさなんてないよ。私こそが京子に甘えてたんだ」

京子「違うよ。それは違う」

京子「私が怖いから、結衣につらい思いさせても、結衣だったら許してくれるって」

京子「そうやって甘えてたからこうなったんだ」

京子「だから、ごめん」

結衣「いや、だから……」

京子「はい、私の話はこれでおわり。次は結衣の番」

結衣「え? おわり?」

京子「うん」

結衣「自分の好き勝手に話して、勝手におわらないでくれよ……」

京子「でも理解はしたんでしょ?」

結衣「ああ、なんとなくだけどな……」


結衣(いや、話って言っても……)

結衣(どうしよう。考えろ、考えるんだ)

結衣「ぎゅっ」

京子「……えっ?」

結衣「いや、さっき、京子だけぎゅってしてあげてないなって思って」

京子「それだけ?」

結衣「……うん」


京子「……ほんとにそれだけ?」

結衣「えー……私だけここに留まれないか、親にもう一度かけあってみるよ」

京子「他には?」

結衣「えーと、心配かけてごめん」

京子「他には?」

結衣「京子だけが悪いなんて思わないでよ。そうやって自分を責めないでくれ」

京子「うん、わかった。他には?」

結衣「ほ、ほか?」

京子「うん、もっと大切な事があるでしょ?」ジーッ


京子「……」ジーッ

結衣(京子の青い目。吸い込まれそうに綺麗だ……)

結衣(京子のほっぺた)プニプニ

結衣(京子のおはな)ツンツン

結衣(それと……)

結衣(京子の唇……)チュッ

京子「っ!」

結衣「ん……京子……」

京子「ちょっ……ん……ちゅ……あっ……」

結衣「京子」ハァハァ

京子「ゆ、結衣」ハァハァ

結衣「京子。私、京子が好きだ」

京子「もう、台無しだよ。結衣」

結衣「好きだ、京子」

京子「……私も好きだよ、結衣」

        ┏┓                ┏┓         巛 ヽ.                     ┏┓      ┏┳┓
┏━━━┛┃┏┓        ┏━┛┗━┓  ┏┓ + 〒ー|    ┏┓    ┏┓┏━━┛┗┓┏┓┃┃┃
┗━┓┏━╋┛┗━┳┳┳╋━┓┏━╋━┛┗┳━|  |┳━┛┗┳━┛┗╋━┓  ┏┻┛┗┫┃┃
    ┃┃  ┗┓┏┓┃┃┃┣┓┃┃┏╋┓  +┻ +/ /┻┓  ┏┻┓  ┏┛  ┃┃┃┏━┓┃┃┃
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  * | 〒  /⌒ヽ | 〒  ||| ,.へ´_|_ヽ  ,-r、,r/」  f  |||  ∧ ∧,.へ,    〒 ! /⌒ヽ 〒 !
     |  |  ( ´∀`)  |   人l ァ'`・ω・)〉/_ュヘ〈|7  | *   (゚∀゚ `ァ ノ +   |  | ( 个  ) |  |
 +  |  {  |   .|   {  .(__)、   ○〈_}ノ :   |  +  O    /:-一;:、 / /. |    | ./ /*
    ヽ ヽ |   .|.ヽ ヽ (___)  、 〈   く/ ヽ__,」 +    )   ミ;;★:;:;:;ミ/ /   |    |/ /
     ヽ  ヽ,, ´∀`) ヽ  ヽ ´∀`)__ノ ヽ__) /  ,ヘ   | __,, '´ ̄`ヽ__ (・ω・´/ /  (・∀・ / /
 ,.へ ■ヽ ヽ     ー、 ヽ     ー、     /  / |.  | ★((ハヾヽ,.べ, ミ三彡 f  ,-     f+
 l ァ'^▽^) i     ,rュ ', i     rュ ', |||  (   〈  .|  .|  ハ^ω^*`ァノュヘ    |  / ュヘ    |
 ヽ    ○.|    /{_〉,.へ∧ ∧{_〉  << \ ヽ .|  .|   O☆゙ _ノ_,} )   | 〈_} )   |
  |  、 〈 |    〈   l ァ';・∀・)        \ノ |_,,|   ノ´ ̄ゞ⌒'ーァ    ! |||  /    ! |||
||| l__ノ ヽ__)|   ,ヘ. ヽ  ヽ    ○ヽ  +    |__ノ|  )  `7゙(´〈`ー''´     |   /  ,ヘ  |   ガタタタン!!!!


結衣「ねぇ京子、もっと……」

京子「だめ。まだやるべきことが残ってるでしょ?」

結衣「やるべきこと?」

京子「うん。親に私たちのこと認めてもらわないと」

結衣「……そうか、そうだな」

京子「でも、もし理解してもらえなかったら……」

結衣「大丈夫だよ。私たちなら、大丈夫」

京子「……うん」ポロリ

結衣「泣くな、京子」ナデナデ

京子「ふふっ。なんかあの時に戻ったみたいだね」

結衣「ああ、私たち。本当は何も変わってなかったんだな」

  * * *


あかり「ごめんね、ちなつちゃん! あかりが寝坊したせいでこんなことに」ハァハァ

ちなつ「いや、私も起きれなかったし」ハァハァ

あかり「あっ、あそこにいるのは京子ちゃん! と、あれ、なんで?」ハァハァ

ちなつ「そんな……まさか。私、寝ぼけて……?」ハァハァ

あかり「いや、私にも見えてるよ」

あかり「手もつないでて、なんか、いつも以上に仲がよさそうだねー」

ちなつ「しかもあれは……恋人つなぎ!? あれじゃあ、まるで、まるで……」

あかり「本当だ。まるで、恋人みたいだね」



 おわり

正直すまんかった

ごめん、プロットとかなかったんだ。
書きだめもほとんどしてなかったし、勢いでやってしまった。

途中、風呂敷を広げすぎてどうしようもなくなったから、
逃亡しようか迷ったけど、なんとか終わらせることができました。
でも伏線拾いきれてない。ほんとごめん。

転校話をきっかけ

ごめん、途中で送信してしまった。

タイトルは、転校話をきっかけに自分の気持ちに気付いたみたいな、
そんなんで許してください。ほんとすみませんでした。

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