何度でも巻いてやる!(ミカエレ)(30)

リクエスト→マフラー巻き巻きネタでギャグ(ミカエレ)
(うまくいくかわかりませんが、ちょいと思いついたネタをぼちぼち投下していきます)

それはエレン達がまだ、訓練兵だった頃の話。





今日は、料理の下ごしらえの当番の日だ。

しかしエレンは早々に調理場から逃げて男子寮に戻ってきた。




エレン「アルミン!!(ぜーはーぜーはー)」

アルミン「(……またか)今度は何? またミカサが何かやらかした?」

エレン「あいつのアレをどうにか止める方法を一緒に考えてくれ…! 俺ももう、限界だ!」



アレ、というのはミカサのお節介のことである。



アルミン「(ミカサの世話好きは今に始まったことじゃないけど…)今回はなんか酷そうだね? 何があったの?」

エレン「さっき、芋の皮剥きやってたらよ…ヘマやって親指を少し切ったんだよな。水で洗って、そのまま放置しようとしたら、皆のいる前で、ミカサが親指舐めてきた…」

アルミン「(消毒のつもりなんだろうな…)で、皆にまた「ヒューヒュー」とからかわれたと」

エレン「そうなんだよ! あいつ、羞恥心が足りなさ過ぎて…本当、困るんだけど!!!」

アルミン「二人きりだったら良かったの?」

エレン「そりゃ人が見てなけりゃ……って、何言わせるんだアルミン!」

アルミン「(おーおー赤くなっちゃって)まあ、一緒に暮らしてた頃に同じようにやってたんなら、癖が出ても仕方ないんじゃない?」

エレン「そりゃ昔はしょっちゅうそういう事あったけど…今は昔と違うだろ! もう何度も「人前で世話すんのやめてくれ!!」って言ってんのにあいつ、ききゃしねえんだよ!」

アルミン「(もう諦めちゃえばいいのに)そうだね…ミカサをどうにかしないと、今後も問題あるかもね」

エレン「なあアルミン! なんかいい方法ねえかな……どうしたら、ミカサは俺の気持ちを理解してくれるんだ?」

アルミン「うーん…(;´д`)」

アルミンは読みかけの本をそっと閉じて、考えた。

アルミン「もうさ、いっそのこと……」

エレン「いっそのこと?」

アルミン「やり返しちゃえば?」

エレン「…? どういう意味だ?」

アルミン「そのまんまの意味だよ。普段、エレンはミカサにお構いなしに世話されてるから、逆にエレンが、ミカサを世話しまくってみたら? 立場が逆転すれば、ミカサもエレンの気持ちが分かるんじゃないのかな?(無駄かもしれないけど)」

エレン「……………」

アルミン「例えば…そうだね。着替えを手伝ったり、ご飯をよそったり、食べさせたり、いつもべったりくっついたり…普段、エレンが人前でやられて恥ずかしいって思ってることを、そのままミカサに一度、やってごらんよ。人間って、その人の立場になってみないと、本当の意味で気持ちなんて分からないじゃないか。だから案外、ミカサも恥ずかしがって、自分の行動の愚かさを反省してくれるかもよ?(無駄骨に終わる可能性もあるけど)」

エレン「そうだな……アルミンの言うとおりかもしれねえ」

アルミン「勿論、ミカサにしか出来ない事をエレンが無理にやる必要はないけどね。エレンの出来る範囲内で、やってごらんよ」

エレン「ああ分かった! 早速仕返ししてくる!(ダッシュ)」

そう言って、調理場に帰っていくエレンを見送りながら…

アルミン(やれやれ…さてと、本の続きを読もうっと…)

と、適当に考えていたアルミンだった。

そんなわけで、エレンは頑張って考えてみた。


エレン(俺の出来る範囲で、ミカサに世話をする。先手を取らないと意味がねえ!)

そんなわけで、エレンの世話焼き大作戦が始まった。

下ごしらえが途中だったので、戻ってきたエレンに対して、周りからはブーイング。

ミーナ「エレンー! さぼったらダメでしょ。ププッ…(笑いを堪える)」

エレン「思い出させるなよ、さっきのことは忘れろ!」

ミーナ「えー無理だってwwwwww」

エレン「くそっ…見てろよ! 俺だってやられっぱなしじゃねえんだ!」

エレンは羞恥心を押さえて、しょんぼりしているミカサの背後に立った。

ミカサ「エレン? (良かった…戻ってきてくれた)」

エレン「ミカサ! 皮剥き終わったのか?」

ミカサ「うん……あとは小さく刻んでスープに入れるだけ」

エレン「混ぜればいいんだな? 俺にやらせろ!」

エレンは不器用ながらもぐるぐるぐるぐるスープの中をかき回す。

ミカサ(かき回しすぎ…どうしたの? エレン…)

エレンの様子が、少しおかしい。

エレン「他に何かすることねえか?」

ミカサ「えっと…えっと…(オロオロ)」

困った。エレンが逃走している間にもうほとんどやることを終えている。

それが言えずにミカサがオロオロしていると…

ミーナ「もうそれで最後だよー。ったく、帰ってくるの遅すぎー! プッ」

エレン「(何だって?!)ちっ……悪かったよ。次は俺が全部やるから」

ミーナ「エレン一人で下ごしらえしたら日が暮れちゃうよ~無理無理」

エレン(くそーっ!)

ミーナにまで舐められているのがむかついた。

ミカサ「エレン! 無茶しないで!」

エレン「うるせえ! 俺はやるっつったらやるんだよ!」

ミカサ「エレン……」

ミーナ「ま、そこまで言うなら次の当番の時だけ一回、自分一人でやってみたら? プッ」

ハンナ「そだね~それもいいかもね」

ミカサ「……私も手伝う」

エレン「お前はいいんだよ!」

ミカサ「………(´・ω・`)」

ミカサ(エレンの様子がおかしい…)

それから数日間、エレンはいつもにも増して意地っ張りな行動を取ることが多くなった。

ミカサの分までなんでもやろうとし、ミカサの身なりに気を遣い、そしてミカサと共に行動をすることが増えた。

ミカサ(一緒に居られる時間が増えるのは嬉しいけれど…)

エレンが無理をしているのは明白だった。

その理由が、全くわからない。

だから、ミカサは極力、エレンにやらせないように、自分のことは自分で管理した。

それがまたエレンの苛立ちを増長させているのだが…

ミカサはそれに気づいていない。

エレン(くそー! なんでこう、うまくいかねえんだ! 俺の時は!)

ミカサの世話をしようとしても、先手を打たれて何も出来ない。

まるで、自分は無能だと言われているようで癪に触るエレンだった。

エレン(俺だってなあ…俺だって…!)

ギリギリ……

そんなエレンの様子を見かねて、ミカサはある日、アルミンに相談した。

ミカサ「アルミン…相談があるの」

アルミン「ん…? (また何かあったのかな?)」

ミカサ「エレンの様子が…変なの。いつも一緒に、私の傍にいるの。それ自体は、嬉しいのだけれども…常にイライラしているような……ので、どうしたらいいか分からない」

アルミン「(失敗したかな? これは)ああ…あれはね、普段、ミカサがエレンにやってる事を、逆に自分もやってみようとしているんだよ」

ミカサ「? どうして?」

アルミン「普段、ミカサにばかりしてもらってちゃ…対等な関係じゃないって思うから」

ミカサ「対等…?」

アルミン「うん。だってそうじゃない? おんぶにだっこじゃ、僕だって気持ち悪いもの」

ミカサ「……そうなの?(そんなこと考えたこともなかった)」

アルミン「そうだよ。だからミカサはちょっと力を抜いて、エレンがやろうとしていることを少しだけでいいから、受け入れてみなよ。そしたら、エレンの機嫌もすぐよくなるから」

ミカサ「本当? それは本当なのね?」

アルミン「うん…間違いないよ」

ミカサ「ありがとうアルミン…やっぱりアルミンに相談して良かった」

アルミン「いいって…じゃ、頑張ってね」

ミカサ「(こくり)分かった」


そしてアルミンの元を機嫌よく去っていくミカサだった。

エレン(ミカサの髪がはねてる…チャンスだ!)

エレン「ミカサ! くしで髪とかしてやるからこっちこい!」

ミカサ「うん…」

廊下を歩いている時に気づいたエレンは、持ち歩いていたくしでミカサの髪を解かしてやった。

エレン「いつ触っても触り心地がいいなあミカサの髪は(ぐしぐし)」

ミカサ(痛い…! 力強い…エレン…(><))

頭皮が結構痛い。

男の力で手加減無しにすると、結構痛いのだ。

しかしミカサはそれを我慢して耐える。

ミカサ(こ、これでいいのよね?)

アルミンに言われた通り実行してみるミカサだったが……

エレン「よし! 終わり!(やった! 初めてミカサの世話が出来たぞ!)」

ミカサ「ありがとう…(もう少し優しくして欲しかった)」

エレン「(他に何かねえかな…)たまには髪でも結んで見るか? 前髪とか」

ミカサ「(イメージチェンジね)うん。分かった」

エレン「(よし、ゴムも持ってる)ちょっとじっとしてろよ」

エレンは不器用な手でミカサの前髪をいじっている。

そして前髪を上にあげて、てっぺんで結んでみた。

エレン「どうだ! これなら前髪が邪魔にならねえだろ?(可愛い)」

ミカサ「(鏡で確認したいけど…)うん…邪魔にならない」

まるで赤ちゃんがするような、その髪型に通りすがりの女子や男子は「なんだアレ?!」とびっくりしていた。

サシャがああいう髪型をするならともかく、ミカサのイメージとはかけ離れているからだ。

ミーナ(あわあわわ…エレン何やってんのー?!)

ハンナ(何がどうなってああなるの?(笑))

ユミル(ん? …ぷっ…! ミカサの奴、イメチェンか? 斜め上の方向いってんぞ)

クリスタ(あれは…サシャならともかく、ミカサにはちょっと…)

ミカサの新しい髪型に気づいた女性陣が皆、内心ツッコミを入れていた。

また、別の日には、

エレン「ミカサの分、こっそり大目によそいでもらってきたぞ。うんと食べろ!」

ミカサ「え…!(そんな事したら他の子の分が減っちゃう…)」

エレン「いいから食べろ! もっと筋肉つけねえとな!」

ミカサ「分かった…(ちょっと罪悪感)」



またまた、別の日には、

エレン「ミカサ! 筋肉痛になってねえか? マッサージしてやろうか?」

ミカサ「え? (筋肉痛になんてなってない…)」

エレン「肩とか凝ってねえか? 揉んでやるよ!」

ミカサ「え…っと…じゃあお願い(別に凝ってないけど)」

エレン「よし!(ぐいぐい)」

ミカサ「(痛い…手加減して欲しい)………」



またまたまた、別の日には、

エレン「食べかすついてんぞ。(ひょいパク)」

ミカサ「!(皆、見てるのに?!)」

エレン「なんだよ…(普段、おまえもやるだろが)」

ミカサ「あ、ありがとう…(なんだか恥ずかしい)」



またまたまたまた(以下省略)、別の日には、

エレン「(様子が変だな)ミカサ、目にゴミでも入ったか?」

ミカサ「うん…(目がゴロゴロする)」

エレン「ちょっと見してみ。まつげ入ったのかもしんねえ」

ミカサ「うん…」

至近距離で、目の中のまつげを確認する。

エレン「ああ…ちょっとこりゃ道具ないと取れないっぽいな。綿棒貰ってくるわ」

そして綿棒でちょいちょいっとまつげをかきだすエレン。

エレン「よし、取れた。一応、目洗っておいたほうがいいな」

ミカサ「あ、ありがとう……(今のはちょっと嬉しかった)」

そんなわけで、来る日も来る日もエレンに甘やかされる日々が続き…

ミカサは再び、アルミンに相談することにした。

ミカサ「アルミン…助けて欲しい…」

アルミン「(今度はなんだ?)どうしたの?」

ミカサ「アルミンに言われた通り、エレンのやることを受け入れていたら……」

アルミン「受け入れたら?」

ミカサ「幸せ過ぎて自分がダメになりそう…(赤面)」

アルミン「(お…ちょっと効果が出てきたみたいだ)そうなんだ。それは良かったね」

ミカサ「良くない! こ…このままでは、自分の足で立てなくなりそうで…怖い…身を委ねることが、こ…こんなに怖いなんて思わなかった」

アルミン「(おお…想像以上に効果が出てる)うん…だろうね。でも、今、エレンがやってることって、普段、ミカサがエレンにやってる事とそんなに大差はないと思うよ」

ミカサ「えっ………」

アルミン「僕からみたら、ミカサの方が少し酷いって思う事もあるくらいだし」

ミカサはそれを聞いて、自分がどれだけ愚かだったのか、ようやく自覚出来たのである。

ミカサ「わ、私……エレンに酷いこと…してたのね」

アルミン「(やっと分かったみたいだな)そうだね。甘やかすのも程々にしないとね」

少しだけ反省した様子のミカサにアルミンも安堵したのだった。

ミカサ「そうね…私も少し…自重する(ブルブル)」

アルミン(意外と早く問題が解決したみたいだな)

ミカサ「もうエレンの髪の毛集めたり、エレンが爪を切った後のゴミを漁ったり、エレンの服の匂いをこっそり嗅いだりもしない…」

アルミン(………)

聞かなきゃ良かったな、と思ったアルミンだった。

ミカサ「私は、エレンと距離を置く。決して離れるわけじゃない。でも…そうしないといけない事もあるって分かった。だから、頑張ってみる」

アルミン「その方がいいだろうね」

ミカサ「ありがとう…アルミン。私はひとつ、大人になった」

ニコッと微笑むミカサにアルミンも心底、微笑んだのだった。

しかし事態は、今度は別の方向に転がっていった。

エレン「…………(物足りねえ)」

エレンは、自分からミカサの世話をする楽しみを奪われて欲求不満に陥っていた。

エレン(なんだ…この感情…? 今まで、味わったことがねえ)

そわそわするような、もやもやするような……

ミカサを見ると何かしたくて堪らない自分に気づいて、おかしいと思い始めた。

エレン(どうしよう。アルミンに相談してみるか)

困った時はアルミンに相談するのが日課のエレンは早速、夜寝る前に、アルミンに胸の内を白状した。

事情をひと通り聞いたアルミンは、何を言えばいいのか思案に暮れた。

アルミン「………………」

エレン「アルミン、俺はどうしたらいいと思う?」

アルミン「(まさかこうなってくるとは…)どうもこうも…それじゃあまるで君がミカサみたいになってるじゃないか」

エレン「そうなんだよ! 自分でも分かってるんだよ! でも…実際、ミカサの世話を焼く側になって、初めて分かったんだ。ミカサの気持ちが」

アルミン「…………」

エレン「あいつ…いつもこんな気持ちを抱え込んでたのかって思うと……俺の方が酷いことしてたんじゃねえかって、思えてくるんだよ」

アルミン(立場が逆転して…理解したのはミカサだけじゃなかったのか)

エレン「冷たい態度ばっかとって反省してる……俺、どうしたらいいんだ(両手で顔を覆う)」

アルミン「うーん(;´д`)(弱ったなあ…)」

つまり、これは……

アルミン(二人は根本的に何処か似た者同士なのかもしれない)

お互いがお互いに本能的に世話をしたがるからぶつかるのだ。

+(プラス)と+(プラス)では反発し合うのと同じである。

どちらかが-(マイナス)の役割を果たさないと永遠とループしていくだけである。

アルミン(弱ったなあ…どっちもどっちってこういう事を言うんだろうね)

いい方法ではないかもしれないが、今のアルミンにはこれ以外は思いつかない。

アルミン「もうこうなったら、お互いに平等にするしかないんじゃない?」

エレン「平等…?」

アルミン「うん。二人で役割分担をきっちり線引きして…それ以上のことはやらないように気をつけるしかないよ。君たち二人で妥協出来るラインを模索して、話し合って解決するしかないんじゃないかな」

エレン「つまり…どういう事だよ」

アルミン「例えばの話だけど……人前では必要以上に世話を焼かない。ルールを破ったら、後で罰を受ける。とか」

エレン「ううーん…」

アルミン「罰則が思いつかないなら、違う方法でもいいけど。でも一度、心底腹を割って話し合う機会はいずれ必要だと、僕も思ってたし…いい機会だからエレンの方からミカサと話し合ってみたら?」

エレン「腹の底を話し合うのは今まで何万回もやってきてんだよ…(涙)」

アルミン「ああ…そうだった。ループしてるんだっけ…でも、今のミカサなら以前よりは話しやすいかもしれないよ?」

エレンはいまいち信じられなかったが……

エレン「分かった。また同じことになるかもしれねえけど…やってみる」

アルミン「どうしようもなくなったら、僕も間に入るからね。じゃ、明日頑張ってみなよ。おやすみ」

エレン「ああ…おやすみ(布団に潜る)」

布団の中に潜ったアルミンは、心の中で呟いてみる。

アルミン(……こういうのって、痴話喧嘩に入るのかな)

喧嘩、とも言えない微妙な悩みに頭を悩ませてしまうアルミンだった。






そして、翌日の朝。

エレンは自分からミカサを捕まえて、二人きりで話せる場所まで連れて行った。

まだ早朝だから、人の少ないその廊下の隅で、エレンは話を切り出した。

おお

リクエストが通ったのかありがとう

今から夕飯の支度とか材料を買い物しにいくので、一旦ここまで~
またね( ´ ▽ ` )ノ

>>14
思ったよりギャグ要素の薄いほのぼの系になってしまってますが…
とりあえず、進めていきます~よろしくです。

乙!
待ってます。

エレン「ミカサ…(じーっ)」

ミカサ「な、何…?(ドキドキ)」

エレン「少し試したいことがあるんだが…やってもいいか?」

ミカサ「何を?」

エレン「ちょっとだけ、動かないでくれ」

そう言って、エレンはすぐに行動を起こした。

きつめのハグをしてミカサの体を包み込む。

ミカサ(………!)

そして十秒くらいだろうか。

そのまま、の体勢で二人は抱き合い、そして離れた。

エレン「今度は逆だ」

ミカサ「え?」

エレン「ミカサから、俺に抱きついてくれ」

ミカサ「……分かった」

今度は、ミカサがエレンに抱きついた。



ぎゅうううううううう……



エレン「ちょ…強い強い強い! そんなに力入れるなよ!」

ミカサ「ご、ごめんなさい」

少し力を弱めてハグを続ける。

そして、離れる。

ミカサ「一体、これに何の意味が…」

エレン「ミカサ」

エレンは、真剣に問う。

エレン「お前、どっちが好きだ?」

ミカサ「え?」

エレン「抱きしめられるのと、自分から抱きしめるの、どっちがいい?」

ミカサ「…………抱きしめる方、かな」

エレン「やっぱりかー…(天井を仰ぐ)」

ミカサ「え? (まずかったの? 今の答えは)」

エレン「同じなんだよ」

ミカサ「え?」

エレン「俺も、ミカサと同じなんだよ。だから俺達、うまくいかねえんだきっと」

ミカサ「そんな……」

ショックな表情を隠せないミカサ。

それに対して、エレンは続けた。

エレン「お互いが同じことをやりたいって思ってるから、受け取る側になると負担に感じるんだよ」

ミカサ「……………」

エレン「だから、どうにか今の関係を改善したい……これは提案なんだけどさ」

エレンは頭を掻きながらその旨を伝えた。

エレン「俺達、もう少し……その……負担を平等にしないか?」

ミカサ「平等…?」

エレン「そう…俺ばっかり、ミカサからして貰うのは嫌なんだ。だから、たまには俺も返す。返す時は、ミカサも素直に受け取って欲しい」

ミカサ「……なるほど」

それはとてもいい提案のように思えた。

エレン「俺さ…結構、やってみたら楽しかったんだよ。お前にお節介やくのがさ」

ミカサ「そう…だったの」

エレン「ああ…なんか、すごく懐かしい感じがして……多分、俺達、一緒に暮らし始めた頃は、俺の方がお前よりお節介だったように思うんだ」

ミカサ「……そうだったかしら?」

エレン「ああ。うちの中のこととか、分からないことは全部、俺が一から教えてやる! って意気込んでた。でもそれが成長するにつれてお前の方がどんどん俺を追い抜いていくもんだから…俺もなんか、いろいろ出来なくなっちまって…いつの間にか、素直になれなくなってた」

ミカサ「……………」

そこで思い出したのは、初めてこのマフラーを貰った日のことだ。

確かにあの時のエレンは、お節介だった。

一生、忘れられない、お節介だった。

あれが、エレンなのだ。

あれが彼の本質なのだ。

エレン「だからその……ミカサが俺にいろいろやりたい気持ちも分かるから…俺がやりたいって思う気持ちも理解してくんねえか?」

ミカサ「うん………」

ミカサは即座に頷いた。

それ以外の選択肢なんて初めから存在しない。

エレン「よし! これで問題解決だ! 良かった良かった」

ミカサ「そうね…ふふっ」

これでもう、遠慮なんてする必要はなくなった。

ミカサ「じゃあこれからは、遠慮しないで世話をしていいのね?」

エレン「ああ? そうじゃねえよ。遠慮しながら、世話すんだよ」



あれ…?



ミカサ「今、お互いの負担を平等にって…」

エレン「あのなあ…今までどれだけミカサの方が俺の世話してた思う? しばらくは、俺のターンってことだろ? ってことで、俺の方からちょっと触る」

エレンはそう言いながら、ミカサのマフラーをいじっている。

エレン「もう少しこう……こう、巻いたらどうだ? こっちの方が可愛い」

ミカサ「ちょっと…エレン…苦しい( >Д<;)クッ クルシイ」

エレン「え?! 締め付け過ぎたか?! 悪い…(~ω~;)))」

支援
かわいいコントを見ているようだw

久しぶりにミカサのマフラーを触ったので勝手が思い出せないエレン。

エレン「おかしいな…確か昔は、こう…巻いたはず…(ぐるぐる)」

ミカサ「息が出来ない…(顔が半分隠れてる)」

エレン「ちょっと違うか? だったらこうだ!」

ミカサ「これもなんか違う…(マフラーが、なんかごちゃごちゃ)」

エレン「くそっ…おかしいな? だったらこうか?! いっそリボン結びか?!」

蝶ネクタイのように何故かリボンを作ろうとするエレン。

脱線しすぎである。

ミカサは少々呆れて、エレンの手を止めた。

ミカサ「エレン……もういい」

エレン「よくねえよ! 俺は、お前のマフラーを巻くんだ!」

ミカサ「でも……」

エレン「いいからやらせろよ! (ぐいっ)」

マフラーを使って、ミカサの体を首ごと乱暴に引き寄せてしまったエレン(*危険ですのでマネしないでね)。

その瞬間、口と口が触れるか触れないか、ギリギリの距離まで、顔が近づいてしまった。

ミカサ(あっ……)

このままだと、本当に触れてしまう。

反射的に、ミカサが手を使って体を反らそうとしたその時…

エレン「あ…!」

バランスを崩したせいで、エレンが後ろ向きに勢いよく倒れてしまった。

エレン「ってー……(やべー、たんこぶ出来たかも)」

ミカサ「大丈夫! エレン!」

エレン「だ、大丈夫………!?」


その時、マフラーとシャツの間から、ミカサの胸元が影になって見えた。




ドクン…ドクン…ドクン…




目を離せない。

胸元の、隙間を、つい、見てしまう。

エレン(ば…ばかか! 何見てる俺はっ…!)

覗き込むように一瞬、見てしまった自分を恥じて視線を逸らすエレンだった。

ミカサ「動かないで! 頭を打ったかもしれない! 下手に動いてはダメ!」

ミカサは、エレンに覆い被さるように両肘と両膝で自分の体を支えていたので、怪我はなかったようだ。

エレン「大げさにすんなって…大丈夫だこんくらい…(たんこぶ出来た程度だろ)」

ミカサ「エレンはすぐそうやって怪我を甘く見る! キース教官を呼んでくる! 呼んでくるまで絶対動いちゃダメ!」

エレン「おい! ミカサ待てって!」

しかしミカサは聞く耳持たず、体を起こすと光のような早さでその場を去った。

ひとり残されたエレンは、なんとも言えない表情で顔を覆った。

エレン「結局…こうなるのかよ」

自分の情けなさに本当、腹が立つばかりであった。

>>21
支援ありがとん。
やる気出る(`・ω・´)

今回のお話は全体的に可愛くなってしまったかもしれない…。

アルミン「で? 結局どうなったわけさ?」

その日、アルミンは一応、経過を聞いておこうと思い、昼の休憩時間にベッドでエレンに話しかけたが、当の本人は……

エレン「結局、頭にたんこぶ出来たせいで、ミカサがキレて、暫くは俺の世話するってまた言い出した…」

アルミン「ふりだしに戻っちゃったねー(呆れ顔)」

エレン「いいところまでいったと思ったのに…くそっ…どうして俺はいつもこうなんだ…肝心な時に、なんかダメだ」

アルミン「そういう星の元に生まれついたんじゃない?(適当)」

エレン「そんな残酷なこと言うなよ! アルミン!」

アルミン「現実を受け入れることも必要だと思うよ? 特にミカサに対しては」

エレンはしくしくと涙で枕を濡らしてしまうのだった。

ミカサ「エレン…そろそろ包帯取り替えないと」

その時、突然、ミカサが男子寮の部屋にやってきた。

まるで忍者のように忍び込んでいるのだが、これが彼女の日常である。

エレン「いいって…それくらい自分で出来るし」

ミカサ「エレン?(怒)」

エレン「はい…ごめんなさい。今回は俺が悪いです」

思わず敬語で謝るエレンだった。

ミカサに自由に頭を触らせると、ふとまたマフラーに目がいった。

そして、ちょいっとそれに触れる。

ミカサ「エレン?」

エレン「ちょっとずれてる。急いできたんだろ、こっちに」

マフラーを微調整しながらエレンは言った。

ミカサ「動けば少しくらいならずれてくる。その度に調整しても面倒なだけ…」

エレン「あのなあ…そんなこと言うなよ。ミカサは女の子なんだぞ」

アルミン「え…?(ドキッ)」

あのエレンがまさか、そんなこと言うなんて思わなかった。

エレン「ちゃんと巻いてやるから。これくらいなら、俺に任せろよ」

ミカサ「でも…エレンに任せると…その…(オロオロ)」

エレン「何度でも巻いてやる! ちゃんと出来るまで何度でも…だ!」

火がついちゃったエレンを止める術はなかった。

ミカサはアルミンに視線をよこすが…

こればっかりはアルミンも解決させる手段を思いつかなかった。

エレン「こんな感じでどうだ?」



エレンのセンスは、ずっと変わらないままだったと言う。










(こんな感じでおしまい)

ミカサの胸チラはサービスカットwww
そしてエレンの不器用なマフラーの巻き方はずっと変わらない…というオチでした。
ミカエレ、という要望だったので安定のミカサっぽく、
かつエレンも男の子らしく書きたくてこんな感じになった。
ちゃんとリクエストに答えられたか…ちょっと自信ないけど、まあこんな感じでOK?
ありがとうございました!

乙です。
エレンもミカサも可愛いかった。

>>27
ありがとん。
エレンのマフラーの巻き方は、見ている分には萌えますよね。可愛くて。
実際、やられたら苦笑いするだろうけど…
そんなエレンと、たまには振り回されるミカサもいいかなと思いました。

次は出来れば、エレンとミカサが二人で温泉
(という名の怪我の治療をする)に行く話を書こうと思ってます。
ちょっと準備に時間かかるかもだけど…
なるべく早くアップしていくので、よければそっちもよろしくですw

あ、リクエストのネタがあれば、そっち優先するんで、
何かネタがある方は自由に書き込んでてていいです。
拾えたらちょくちょく拾っていくつもりなんで~。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月16日 (木) 18:40:43   ID: 8a6l20a7

かわいい///かわいすぎる///
いいよ、こういうの大好き///

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom