姉「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」 (18)

弟「なんだ……それ?」

姉「ツバメやスズメの様な小さな鳥にはオオトリやクグイの様な大きな鳥の志は理解出来ない、という意味だ」

弟「ふぅん……」

姉「……私は自分が鴻鵠だとは思っている訳ではないが……」

姉「きっと私の想う事は誰にも理解される事は無い」

弟「……」

姉「いつか時間に流されて、取り残されて。朽ち果てていくのだろう」

姉「けれど……この想いを捨てる事は出来ない。この想いは……私の生きる意味だから」

弟「……誰かに理解されるかされないかなんて、話してみなきゃわからないんじゃないか?」

姉「……そうだな。そうかもしれない。だけど……怖いんだ」

弟「……姉ちゃんにも怖い物があるのか」

姉「私だって人間だ。怖い物の一つや二つあるさ」

姉「均衡が、平穏が、たった一言で崩れ去ってしまうのが怖い」

姉「今はまだいい。いつか、その時が来たらお前には……鴻鵠であって欲しい」


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続けて

弟「……」

弟「随分…懐かしい夢だったな」

弟「……結局姉ちゃんは何が言いたかったんだろう」

コンコン

姉「入るぞ」

弟「ん……おはよう」

姉「おはよう。それと……いつまでも眠っている場合ではないぞ」


ワァァァァ


弟「……なんだこれ」

姉「黄巾の残党だろう」

弟「城壁の外が黄色一色じゃないか……」

姉「ふふ、これでこそ戦だ。腕が鳴る」

伝令「申し上げます!黄巾軍は衝車を城門正面に展開!」

姉「そこまで門を開けて欲しいのなら開けてやろう」

ポイッ

弟「うおっ!」バスッ

姉「出撃する。小沛全軍は攻撃の用意を!」

姉「ちゃんとボディーアーマーは着ておけよ?」

弟「わかってるよ」

姉「各地で起きた日本と言う名の国家に対する蜂起。それが黄巾の乱だ」

弟「そりゃあこの教育システムに反対する人間だって沢山いるはずだ」

姉「そうだな。そしてその人間達が一斉に立ち上がった訳だ」

姉「先導したのは太平道教祖、張角の生まれ変わりを名乗る男……結局欲にまみれた狂人だったが」

弟「けどそれも随分前に鎮圧されたんじゃなかったのか?なんでこんなにも……」

姉「さあな。ただまだどこかに潜んでいた者達がいて、それが集結したのだろう」

弟「よりによってここか……」

姉「丁度いい。兵糧も尽きかけていた所だ。ここで一気に稼ごう!」


黄巾兵「衝車で一気に城門を突破してここを占領してやろう!」

黄巾兵2「そうだ!そうしなきゃ俺たちは弾圧されて終わりだ!」

黄巾兵3「いくぞーーッ!」

ギィィィ

黄巾兵「……向こうから開いた?」

ブゥンブゥン

姉「そこまでして私と相対したいとは……嬉しいじゃないか」

黄巾兵2「あの女……あんなでっかい長刀を馬の上で振り回すなんて」

姉「この青龍偃月刀の一撃を受けて立ち上がる者はそうはいない……」

弟「……」

姉「推して参る!」

ドドドドドド

ウォォォォ!!

黄巾兵「な、なんだあの気迫……!」

姉「せい!や!」ブゥン

黄巾兵3「ぐあっ!」

黄巾兵5「うわあああ!」

姉「さあさあさあ!どこからでもかかって来るといい!」

弟「やっぱり俺が出る必要無いじゃないか」

パカッパカッ

友「まぁまぁ……後方の確保とか奇襲の警戒とかもある訳だし」

弟「そりゃそうなんだけどさ」

姉「……敵が後退し始めたな」

「よぉ、あんたがこの軍の指揮官か?」

姉「如何にも」

何儀「俺は何儀。この教祖の子達をまとめてる」

姉「では、貴様を倒せば黄巾兵達は散り散りになる…という事だな?」

何儀「俺を倒せればな!」パカラッ

何儀「オラッ!」ブンッ

姉「……」ヒュッ

何儀「かわした!?」

姉「槍の振り方が甘いな」ブンッ

何儀「がッ!?」ゴッ

ドサッ

姉「この程度で一騎討ちを挑むとは片腹痛いぞ!!」

「しょ、将軍がやられた!」

「に、逃げろぉ!!」

兵士「追撃しますか?」

姉「いや、これでも反撃してくる者は攻撃しろ。それ以外はいい」

兵士「はっ」

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姉「ふぅ……」

弟「おつかれ」

姉「ありがとう。なんとか守り切れたな」

弟「なんとかも何も余裕だったじゃないか」

姉「それはあれが訓練された兵士ではないからだ。あの数の正規軍と当たれば間違いなくここは落ちる」

弟「……」

姉「ま、勝利は勝利だ!城内を凱旋して戻ろう」

弟「……俺はなにもしてないけどな」

姉「後方の守備があったからこそ敵陣に切り込んで蹂躙出来た。違うか?」

弟「……そうかもな」ポリポリ

はい。三国志です。けれど舞台は未来の日本です

この作品は一応姉萌えメインなので戦闘ばっかりにはならない…はず

別に三国志の正史通りに話が進む訳でもないので、というか名前を借りてるだけなので三国志知らない人でも読めると思います

姉「ふぅ……しかし。たった300騎では、本当にいずれどこぞの勢力に飲まれてしまうだろうな」

弟「……最近は洛陽の方でも騒がしいらしいしな」

友「どうやら董卓を名乗る男が献帝……つまり県知事を拘束して好き放題してるらしいしな」

姉「いずれ日本政府にも耳に入るだろう。そうすれば討伐軍も編成されるはずだ」

弟「もしそうなったら……」

姉「戦功を上げるチャンスだ」

今から遠くも遠すぎる事の無い未来。日本帝国は海外に対抗出来る兵士、指揮官を育成する為の一大プロジェクトを立ち上げた

それは中国史史上最も有名な「三国志」も模して、希望した人間を戦乱の世で鍛え上げ、その中から適材を探し出す。というものだった

一つの県を大規模に改革し、三国時代の群、県、都市をモデルに街づくりをした。そしてその舞台で、制約を設けながら歴史を辿らせる

俺たちもその舞台で踊る人間の一部だった

http://i.imgur.com/lgCQhkO.jpg

拾い物の画像ですが。地図や都市の配置はこれを参考にして下さい

ここにかいてある名前が市町村の名前。全土を合わせて県となります。現在献帝(県知事)がいるのは洛陽になるので、この県の県庁所在地は洛陽という事になります

姉「一旦我々の置かれる状況を整理しようか」

弟「同盟、つまりお互いに仲良くしてもらっているのが下邳太守の陶謙殿」

太守・・・今で言う市長辺り

友「コネなら北平太守の公孫瓚殿だな」

弟「特に敵対する様な勢力は無い…か」

姉「……むしろ敵対するには値しないと思われているだろうな」

弟「洛陽の董卓は5000。南皮の袁紹殿も1000は兵士を抱えているはずだしな」

姉「現場分かるのがそれだけだけにもっといるだろうな」

弟「おまけに小沛は立地も敵に攻められやすい」

姉「正面から戦ってはまず戦力差で圧倒されるだろうな……」

友「籠城が基本の戦術だろうな」

弟「正直キツイ」

姉「そうだな……」

姉「とまぁ……このような状況だが、考えすぎるのも良くない。今はさっきの戦いの疲れを癒そう」

弟「戦功も送信しておいたよ」

姉「しばらく兵糧に関しては問題無さそうだな……」


兵糧。つまり食料は政府からの配給制になっている。戦功やその他の功績を上げる事で、それに応じた食料が配給される

こんなかんじでちまちま書いていきます。そんな長くなるつもりはありませんよー

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