ミーナ「アニとポタージュ」 (42)

もう書いてる。SS。
立ったら。

皆さんこんにちは、104期訓練兵団のミーナ・カロライナです。
わたしが紹介したいのは訓練兵同期のアニ・レオンハート!
普段は「厨二病なの?」と思うくらいクールな彼女ですが、
実はなかなかウブで可愛いところもあるのです。
今日はアニのそういうところの話だよ!
そう、あれは座学が巨人の生態に及びはじめた頃でした・・・



・・・



ミーナ「ねぇアニ、次の座学が保健体育だって知ってる?」

ミーナ「巨人の生殖に関して人類との比較だって」

ミーナ「男女別々だったりするのかな?」

アニ「なんで男女別々になるの」

わっふるわっふる

ミーナ「え」

アニ「なんで」

ミーナ「それはやっぱり・・・年頃のぉ男女がですねぇ・・・」

アニ「なんで」

ミーナ「なんでって・・・アニだって子供の作り方は知ってるでしょ・・・?」

アニ「知らない」

エレアニ?

>>5
特にそういうのないっす

>>6
そうか...

ミーナ「え」

アニ「知らないよ、そんなこと」

ミーナ「(うおおおおおお!キター!キマシタよ皆さーん!)」

ミーナ「えっと・・・アニは、ご両親にそういう事を質問したりは・・・?」

アニ「ああ、そういえば一度あったね・・・」



・・・



幼いアニ「お父さん、子供はどうやったら出来るんですか?」

父「え」

幼いアニ「子供はどうやったら出来るんですか?」

父「あ、えーとだな、そういう事はお母さんに・・・」

幼いアニ「お母さん天国だからお話聞けません」

父「・・・そうか」

幼いアニ「子供はどうやったら出来るんですか?」

父「そうだアニ!また蹴り技の特訓をしよう!今日は秋晴れで特訓も気持ちいいぞ」

幼いアニ「子供は」

父「晩御飯はアニの好きな濃いポタージュにしよう!」

幼いアニ「こど・・・え!」

父「お芋のお菓子も作ろうな!」

幼いアニ「やった!やった!」

父「特訓の後で食べるとうまいぞー」

幼いアニ「お父さん大好きです!」

幼いアニ「特訓!先に特訓!」

父「そうかそうか!がはは!(ちょろいぞうちの娘)」

・・・


アニ「という事があったよ」

ミーナ(うおおおおお!敬語アニ!敬語アニ出ましたー!)

ミーナ「ふーん、お父さんも苦労してたんじゃん」

ミーナ「苦労してここまで大きく育ててくれたんだねぇ」

アニ「そうだね(・・・シガンシナ侵攻からは一人で育ってきたんだけど)」

ミーナ「ていうかお母さん亡くなってたんだ・・・」

アニ「顔も覚えてないよ」

ミーナ「ご、ごめん」

アニ「本当の事だから、気にすることない」

ミーナ「じゃあアニって・・・何にも知らないの?」

アニ「それって馬鹿にしてるの?」

ミーナ「馬鹿にとか、そういうわけではなくてですねぇ・・・逆にイイというかですねぇ・・・」

アニ「何がさ」

ミーナ「アニってば純粋培養で天然乙女のレオンハートなんだー!って嬉しくなっちゃったっていうか」

アニ「やっぱり馬鹿にしてるんじゃないか」

ミーナ「いやいやそこがやはりアニの魅力ですよ?」

アニ「もういいよ」

アニ「今日は座学の席もご飯の席も別々にしよう」

アニ「対人格闘の時は、覚悟しなよ」

アニ「じゃあね」

ミーナ「あ!アニ!ごめん!ごめんってば!待ってー!」

・・・


結局わたし達は座学を離れた席で受講したんだよね。
もちろん男女わかれていました。
そのお陰といってはなんだけど、教室も広く使え、
普段みたいに隣にいるよりアニの表情の変化がよく分かりました。
巨人に生殖器がないこと、繁殖方法が不明であること、日光に関する考察・・・
そのあたりの事はつまらなさそうに聞いていたのに、話がいざ人間の男女の、
凸と凹が、その、人間の情事によって、
凸と凹が、イェーガーしてアッカーマンしてアルレルトするのだ・・・
凸と凹は、そのための凸と凹であって男女ともお互い凸と凹は大切にするように・・・

という説明でアニの白い頬は熟したリンゴのように色付き、
頭からは巨人と同じように蒸気を噴出し(まさか巨人なの?)、
その表情は

...φ(・ω・*)カキカキ→(×_×;)→(°□°)→(゚_゚)

こんな感じでした。
それでも講義の終わりを告げる鐘が鳴るとクール顔を取り戻すアニすごくかわいい。


・・・

アニ「ねぇ」

ミーナ「アニ!さっきはごめんね・・・?」

アニ「・・・いいよ、気にしない」

アニ「純粋培養?の天然乙女だったあたしが馬鹿だっただけ」

ミーナ「そんな事はないけど・・・」

アニ「凸と凹が、まさかね・・・」

ミーナ「だよね・・・」

ミーナ(空気が重い・・・)

ミーナ「あ!でもでも!」

ミーナ「お父さんも初潮の時にはそういうのさり気なく教えてくれたんじゃない!?」

アニ「初潮・・・」

ミーナ「え」

アニ「開拓地だったから・・・お父さんいなくて」

アニ「周りのおばさん達が、おめでとう!って」

ミーナ「う、うん」

アニ「お祝いするから食べたいものあるかって聞かれて・・・」

ミーナ「そ、それで」

アニ「特別に濃いポタージュを作ってくれて・・・美味しかった」


・・・


あの時はあちゃーって感じでしたね。
アニは女の子として大切な時を開拓地で迎えていたのです。
年齢から考えれば凡そ推測できそうなものをわたくしミーナ・カロライナ、気が利きませんでした。
でも濃いポタージュが大好きなアニかわいい。
ポタージュかわいい。


・・・

ミーナ「アニってポタージュ好きだよねー」

アニ「?」

アニ「うん、だってお父さんが・・・」

ミーナ「よく作ってくれたんだ?」

アニ「誕生日とか、お祝いのときにね」

ミーナ「それだと兵団の食事のスープは薄くて嫌なんじゃない?」

アニ「兵団のスープは、あれで、仕方がない」

アニ「食いっぱぐれないだけマシだよ」

アニ「開拓地くんだりで暑くても寒くても野菜作ってる人たちのおかげだ」

アニ「だから文句ないよ」

ミーナ「わたしアニのそういう考えてるところも好きだなー」

アニ「はぐらかされてる気がするんだけど」

ミーナ「ん?なにが?」

アニ「凸と凹」

ミーナ「あ、うん・・・」

アニ「あんたはお母さんに教えてもらったの?」

ミーナ「そうだねー、さすがに教本みたいにハッキリじゃなくて、やんわり包んでだけどね」

アニ「ふぅん」

ミーナ「その話聞いてからはお父さんとお風呂入らなくなったりしてさ」

ミーナ「お父さん物凄く落ち込んじゃって」

ミーナ「思春期っていうのは難しいもんだね!あはは!」

アニ「そっか・・・」

ミーナ「アニも男の子を見る目が変わっちゃうかもね」

アニ「そうかな」

ミーナ「そうだよーだって凸と凹なんだもん、狼なんだもん」

アニ「そうかな」

・・・


そのあとアニは男子のライナー・ベルトルトと喧嘩をしたようでした。
普段は話もしない相手のはずなのに、明らかにギスギスしていて、
特別接点もなさそうなアニ・ライナー・ベルトルトなのでちょっとびっくりしました。
訓練中に何かあったのかな?
それとも三人はもしかしたら仲良しなのかな?


・・・

ライナー「ようアニ、きたか」

ベルトルト「やぁ」

アニ「どうも」

ライナー「この闇夜の会合ももう慣れたもんだな」

ベルトルト「一年以上になるからね」

アニ「そうだね」

ライナー「ではさっそく今日の議題なんだが・・・」

ライナー「特にないから雑談でいいか?」

アニ「最近はずっとそうだね」

ライナー「訓練兵団で好成績を修める以外に目下のところ俺達やることないからな」

アニ「まぁ、仕方ないんじゃないの」

ライナー「で、そうだな、お前らクリスタって可愛いと思わないか?」

ベルトルト「あー」

アニ「・・・(こいつ)」

ライナー「小柄な体から溢れ出る慈愛の精神、端正な顔立ち、美しい所作・・・」

ライナー「まさに嫁にしたい」

ベルトルト「わかる」

ベルトルト「小柄で金髪はいいよね」

アニ「・・・(こいつら)」

ライナー「あれはいつだったか、俺はなぁ、故郷を想って星空を眺めていたんだ」

ライナー「すると通りがかったクリスタが隣に立ち止まってな」

ライナー「“今日は星が綺麗に見えるね”って言うんだよ」

ライナー「その時だな、俺がこいつを嫁にしようと誓ったのは」

ライナー「実はもうプロポーズの仕方も決めてある」

ライナー「満天の星空の下で“今日の星空はまるであの時のように綺麗だな、そう俺達が並んで見たはじめての・・・”って聞いてるか?」

ベルトルト「キモいね」

アニ「キモいよ」

ライナー「そして雰囲気MAXラブラブ状態になった俺達は婚約のその契りを・・・」

ベルトルト「うわぁ・・・」

ライナー「な、なんだ」

ベルトルト「契りとか、いくらなんでもドン引きだよ」

アニ「ねぇ、契りってなに?」

ライナー「え」

ベルトルト「え」

アニ「言葉が難しくてわかんないよ」

ライナー「いや、おう・・・」

ベルトルト「それはえっと・・・あ、今日の座学で習ったでしょ?」

ライナー「愛し合う男女がお互いの生殖器を・・・」




バシン!!

星明かりの下、ライナーが空中で一回転するのが見えたよ・・・
※ベルトルト談

ベルトルト「ライナー!?」

ライナー「げふうっ」

アニ「ライナー!あんたは!クリスタを!そんな目で見て!」
 バシッ バシッ バシッ バシッ

アニ「自分の欲望で!凸と!凹を!」
 バシッ バシッ バシッ バシッ

アニ「あんたが!そんな奴だったなんて!!」
 バシッ バシッ バシッ バシッ

アニ「汚らわしい!近寄るな!どっかに消えな!お前なんか!お父さんになっちゃいけないんだ!」
 バシッ バシッ バシッ バシッ!!!

ライナー「や、やめろ!蹴るな!俺は別にそんなつも股間ガン!チーン・・・

ベルトルト「ライナーのライナァァァー!」

アニ「はぁ、はぁ・・・」

ベルトルト「・・・」

アニ「ベルトルト!いや、ベル!!」

ベルトルト「はい!」

アニ「あんたはどう思うの」

ベルトルト「えっと・・・?」

アニ「結婚、して、お父さんになるためには、どうするの」

ベルトルト「えっと・・・」

ベルトルト(地雷を踏んじゃ駄目だ・・・)

ベルトルト(僕のベルトルトがアニの艶かしい身体によってフーバーしてとか言ってはいけない・・・)

ベルトルト「結婚式を挙げて・・・花束を贈って・・・手を繋いで歩・・・きます」

アニ「よし、ベル!あんたは合格だ!」

ベルトルト「よかった!」

アニ「嬉しいついでにそこのゴミみたいな男じゃなくてゴミを片付けといて」

ベルトルト「う、うん・・・」

アニ「じゃ、あたしもう寝るから」

ベルトルト「おやすみ・・・」

ゴミナー「ぐおお・・・」

・・・


ベルトルト「昨夜のアニは怖かったね」

ライナー「ドキドキ☆初めての立体機動!のとき以上に死を身近に感じた、まだ痛ぇ」

ベルトルト「あの話の流れからすると、アニってさ・・・」

ライナー「座学で習うまでは知らなかったんだろうな・・・」

ベルトルト「逆にアリかも・・・」

ライナー「お前、鼻血出てるぞ・・・」

ベルトルト「あ、ごめん、ティッシュ」

ライナー「今のシーンをアニに見られていたらお前も一緒にボコッてもらえたのにな」

ベルトルト「ははは、ムッツリで助かったよ」

ライナー「あぁ、しかし、あのまま怒らせているわけにもいかん」

ライナー「三人だけの仲間だからな」

ライナー「ベルトルト、金はあるか?」

ベルトルト「訓練兵とはいえお給金をもらえるからね、多少はあるよ」

ライナー「よし、じゃあ近々買い物に行くか」

ライナー「あとは調理場の私的利用許可と・・・」

ベルトルト「やるんだな!?ライナー!」

ライナー「ああ」

ライナー「新鮮野菜を買い込む!勝負は今!ここできめる!」

・・・


何があったのはわたしには分かりませんでしたが、
次の休日に、ライナーとベルトルトがアニに濃厚ポタージュを振る舞っていました。
きっと仲直りの印かな・・・?
色々な野菜を丁寧に裏ごしして作ったようだから、
時間もかかっただろうし大男が二人で大変だったろうなぁと思うの。
でもアニは珍しく目尻が1mmほど下がっていて嬉しそうです。
(普段はめっちゃピーンてしてるよ!)
(超細かく見ないと分からないよ!)
(そうやって細かく見るとアニはとってもかわいい!)


・・・

アニ「・・・窓越しにブツブツ言ってないでミーナもこっちきなよ」

アニ「一緒に食べるよ」

ミーナ「え、でもそれ、三人のでしょ?」

アニ「いいでしょ?ライナー?ベルトルト?」

ライナー「もちろんだ、沢山作ってある」

ライナー「アニと仲良くしてくれてる・・・ミーナ、だったよな?」

ベルトルト「ミーナも、どうぞ召し上がれ」

ミーナ「ほんと?ほんとにいいの?やったー!」

ミーナ「いただきまーす!」

ミーナ「あ、これおいしいね!トロトロで甘い!アニ!おかわり!」

アニ「ふふっ」

ライナー「ミーナは昔のアニみたいだな」

ベルトルト「そうだね」

アニ「あたしはこんなオテンバ娘じゃなかったよ」

このアニかわいい

ミーナ「あ・・・三人ってやっぱり同郷っていうか、幼馴染っていうか・・・?」

アニ「そうだね、だけどそれは言いふらさないで欲しい」

ライナー「・・・」

ベルトルト「・・・」

ミーナ「そっか、でもなんかいいなぁ」

アニ「何が?」

ミーナ「お互いに大好きな物を知ってるって、なんかいいなぁって」

ミーナ「アニとポタージュかぁ」




おわり

以上!
ID変わる前に終わってよかった!

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