執事「どうしてこんなことに」 (36)


数ヶ月前。

お嬢様「そういえば、あなた高校はどうするの?」

執事「通わないつもりですけど」

執事「お嬢様のお世話を考えれば、違うところに行くわけにはいきませんし」

お嬢様「あら、じゃあ同じところに行けばいいじゃない」

執事「お嬢様が春から通われる高校は女子高ですよ?」

執事「男の私では入学できません」

お嬢様「それもそうね」


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お嬢様「あっ」

執事「どうされましたか?」

お嬢様「いい方法を思いついたわ」

お嬢様「ちょっとこれ着てみてくれない?」

執事「それ、お嬢様が春から通われる学校の制服ですよね?」

お嬢様「そうよ」

執事「私は男ですよ?」

お嬢様「似合うと思うわ」

執事「・・・用事を思い出したので少し下がらせてもらいます」

お嬢様「待ちなさい」


執事「結局着せられてしまった」

お嬢様「これは予想以上ね」

お嬢様「初対面だとまずわからないと思うわ」

お嬢様「声ももともと女の子っぽいし」

執事「仮に女に見えるからといって、女子高に女装した男が入れるわけないでしょう?」

お嬢様「それはパパに頼むから大丈夫」

執事「またそういうことを・・・」

執事「いつか痛い目に遭いますよ」

お嬢様「その時はその時よ」

お嬢様「第一、あなただって私のお世話をするために同じ学校に行きたかったんでしょう?」

執事「それはそうですが」


お嬢様「そうだ」

執事「まだなにかあるんですか?」

お嬢様「あそこ、確か寮があったわよね?」

執事「はい」

執事「ほとんどの人は寮に入るそうですね」

お嬢様「それで、相部屋よね?」

執事「そうですが・・・まさか」

お嬢様「私たちも寮で2人暮らししましょう」

執事「正気ですか?」

お嬢様「もちろん」


数日後。

パパ「学校側から入学許可が下りたよ」

お嬢様「ありがとうパパ」

パパ「なに、娘の頼みだからね」

執事「親バカにも程がありますよ」

パパ「不満そうだね」

執事「当たり前でしょう」

パパ「そうそう、男だと生徒にバレたら退学だから気をつけてね」

お嬢様「一応言っとくけど、自分からバラしたらクビにするわよ」

執事「わかってますよそれぐらい」

執事「ここまで来たら覚悟は出来てます」

お嬢様「よろしい」

お嬢様「大丈夫、私がちゃんとフォローしてあげるから」


そして現在。

お嬢様「入学式の前に校長先生にお礼を言いに行くわよ」

執事「はい」

お嬢様「歩き方、仕草、特訓の成果が出ているようでなによりだわ」

執事「まさかあれからずっと女装して女の子らしく振る舞う特訓をさせられるとは思いませんでした」

お嬢様「やるなら全力でやらないとね」

お嬢様「あら?」


生徒1「あれ、○○財閥の・・・」

生徒2「うわ本当だ」

生徒3「本物のお嬢様じゃん」

生徒1「この学校には何人かいるんだって、本物が」

生徒2「へー」

生徒3「隣の子はメイドかな?」

生徒1「可愛いー」

生徒2「ねー」


お嬢様「今のところ、全く疑われてないみたいね」

執事「安心なような、残念なような、複雑な気分です」

お嬢様「ふふっ」


お嬢様「失礼します」

校長「君が○○財閥のご令嬢か」

お嬢様「はい」

校長「それでそちらが執事くんか」

校長「これはまた見事なものだな」

お嬢様「お褒めに預かり光栄です」

校長「これならば大丈夫だろう」

校長「ではくれぐれも男だとバレることのないように」

校長「あと女と思われてることを利用して犯罪行為をするのもやめてくれよ」

執事「そんなことはしません」

お嬢様「もしそのようなことがあれば私が死ぬより辛い罰を与えるのでご心配なく」

校長「そりゃ頼もしい」

お嬢様「それでは、これからよろしくお願いします」

校長「うむ」


お嬢様「よかったわね、褒められて」

執事「女装が似合ってると褒められて喜ぶ男などいません」

お嬢様「そうかしら」

執事「ところで、死ぬより辛い罰とは?」

お嬢様「聞きたい?」

執事「・・・遠慮しておきます」

今回はここまで

始めます

入学式。

司会「それでは、校長先生からお言葉をいただきます」

校長「えー、皆さん、入学おめでとうございます」

校長「これから3年間、立派な淑女になれるよう、精一杯頑張ってください」

お嬢様「立派な淑女ですって」

執事「いちいちからかわないでください」


司会「続いて、次期生徒会長からです」

会長「皆さん、入学おめでとうございます」

お嬢様「あら、知り合いね」

お嬢様「あとで挨拶に行きましょう」

執事「そうですね」

会長「ーーー以上です」

司会「ありがとうございました」

司会「これで入学式を終わります」


お嬢様「今日はこれで終わり?」

執事「いえ、このあとは教室にてホームルームです」

お嬢様「そう」

執事「私たちは2組ですね」

お嬢様「2組?」

執事「それがどうかしましたか?」

お嬢様「なにか大事なことを忘れているような」

お嬢様「まあいいわ」

執事「いいんですか?」

お嬢様「そのうち思い出すわよ」

執事「それでは行きましょうか」


執事「そういえば、お嬢様のご友人はこの学校にはいらっしゃらないのですか?」

お嬢様「何人かいるわ」

お嬢様「あなたが知ってる人もいるわよ」

執事「その方々に事情は説明されているのですか?」

お嬢様「いや?」

執事「それはまずいのでは?」

お嬢様「その場で説明すればいいじゃない」

執事「そううまくいくとは思えませんが」

お嬢様「そんなことよりも早く行くわよ」

お嬢様「時間ないんじゃないの?」

執事「誤魔化しましたね」

執事「確かに時間がないのでこの話はまたあとでゆっくりと」

お嬢様「はいはい」

今回はここまで

みてるねっと

始めます


廊下。

お嬢様「あら、噂をすれば」

お嬢様「早速知り合いを見つけたわ」

執事「あの方はまさか」


短髪「久しぶりだなーじょー!」

短髪「卒業式以来かー?」

お嬢様「そうですね」

お嬢様「元気そうでなにより」

短髪「今日は執事も一緒かー」

短髪「ってあれ、なんでお前いんの?」

短髪「てかなにその無駄に似合ってる女装は」

執事「これはその、いろいろありまして」


短髪「いろいろってなんだよー」

短髪「男が女子高にいるのに、いろいろで済むわけねーだろー?」

お嬢様「私と同じ学校に行くために頑張ったのよ」

執事「誤解を招く言い方はやめてください」

短髪「また嬢のわがままかー」

短髪「程々にしておけよー」

お嬢様「ええ」

お嬢様「こんなことは執事にしかしません」

執事「私に対しても出来ればやめていただきたいのですが」

短髪「ふーん、本当嬢は執事が好きだなー」

お嬢様「ええ、大好きよ」

執事「私の意見も聞いてください」

お嬢様「何か言ったかしら?」

執事「もういいです」

短髪「にしし」

今回はここまで

おつ

始めます


お嬢様「そういえばあなたは何組?」

短髪「2組だけどー」

執事「では同じクラスですね」

短髪「おおー」

お嬢様「これから1年よろしくお願いね」

短髪「こちらこそー」


教室。

先生「はーい、ちゅーもーく」

先生「私がこのクラスの担任です」

先生「これから1年、楽しくやっていきましょう」

先生「じゃあまずは自己紹介しよっか」

先生「窓側からどうぞ」

生徒1「はい」


自己紹介1:お嬢様

お嬢様「初めまして」

お嬢様「ご存知の方も多いと思いますが、私は○○財閥の娘です」

お嬢様「ですが、ここでは一生徒です」

お嬢様「なので気軽に声を掛けて下さると嬉しいです」

お嬢様「1年間、よろしくお願いします」


自己紹介2:執事

執事「初めまして」

執事「私はお嬢様の、メイド、をさせていただいています」

執事「お嬢様共々、よろしくお願いします」


自己紹介3:短髪

短髪「初めましてー」

短髪「運動が好きなので陸上部に入ろうかなーと思っています」

短髪「1年間よろしくー」


自己紹介4:???

???「初めまして」

お嬢様「あれ、あの顔どこかで見たような」

執事「お嬢様、あの方は××財閥のご令嬢ですよ」

お嬢様「ああ、そうそう」

???→令嬢「これから1年、よろしくお願いします」

お嬢様「ここでは同じ学生だし、同じ財閥の娘同士、仲良くなれるかもしれないわね」

執事「そうですね」


先生「はい、ありがとう」

先生「それじゃあ、連絡事項がたくさんあるから、そっちを先に片付けちゃうわね」

先生「そのあとは交流会をしましょう」


お嬢様「そういえば」

執事「なんでしょうか」

お嬢様「ちゃんとメイドって言えたわね」

執事「バレるよりはマシですからね」

お嬢様「これからもその調子で頑張って」

執事「他人事のように言わないでください」

お嬢様「他人事だなんて」

お嬢様「私たちは運命共同体、そうでしょう?」

執事「わかっているならばいいです」

今回はここまで

今回はここまで

おつ

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