幼女・ゾエ(33)
ハンジが幼女化、もとい幼児化する話です。ベタです
ラストは決まってるんだけど展開が全く見えない
でも書く、ハンジの可愛さを拡散するために書く
「ペートラっ!」
「わあっ!」
ここは、壁から離れた古城。調査兵団跡地である。
周辺には集落もなく、人の生活の気配は無い。
そんな場所に似つかわしくない幼い子供の声が、自室に戻ったばかりのペトラ・ラルを二重に驚かせた。
「び、びっくりした…ってゆうか何で子供がこんなところに!?」
「ふふーん、びっくりしたぁ?」
「そりゃあ、したわよ。いきなり背後から…ってそんなことよりあなた、誰?
ここは許可を持った兵士以外立ち入り禁止よ。そもそも馬がないと来られない場所だし…
あなた、誰かのお子さん?だとしてもこんな所にいちゃだめよ。送っていってあげるから、どこから来たか教えてちょうだい?」
ペトラは目の前の少女の背丈に合わせてしゃがんだ。
彼女が調査兵団に入団したのはもう何年も前のことになる。
その間、最前線に立つ兵士として日々の訓練と、およそ月に一度行われる壁外調査のため、頻繁に家に帰ることはできなかった。
兵団の中にあっては、子供と話をするのも当然稀になる。
久しぶりに間近で見る子供の愛らしい様子に、自然と声色がやわらかくなる。
また、そんな彼女の状況を考慮せずとも、この少女の愛らしさの前では大抵の大人が目尻を下げることになるだろう。
歳は5、6歳といったところであろうか、茶色味を帯びた瞳はくりくりとして、高い位置でひとつに結んだ髪と同じ色をしている。
そして何故か、大人ものの麻のシャツを身につけており、袖が長すぎるために腕を動かす度に袖口がぶらんぶらん揺れていた。
「ずいぶんとおかしな格好しているのね…お母さんのシャツかしら」
ここでペトラは、はたと気付く。
「そういえばあなた、どうしてわたしの名前知ってるの?」
「知ってるさぁーずっとまえからねっ」
「え…前にも会ったことがあったかしら?」
少女は屈託のない笑みでにこっと笑う。
そのいたずらっぽい笑みに、ペトラはある人物の面影を見た。
なんとなく、なんとなくだけれど、似ている。
そう思ったら、少女の瞳や髪の色も、その人物と同じだ。
まさか…
「もしかして、あなた…ハンジ分隊長のお子さん…!?」
「ブッフォ!ち、違うちがう!私まだけっこんもしてないし、まして子持ちでもないよ!!」
「そ、そうですよね!そんな話聞いたことな…って。…え?」
腹を抱えて笑う少女をまじまじと見る。
「私、ハンジだよ!ハンジ・ゾエ!」
「えええええええええぇぇー!!!!」
「おーい、ペトラー!だいじょうぶ?」
放心して床にへたり込むペトラの服の裾を、少女がくいくいと引っ張る。
ありえない、そんなことあるはずがない。
大人が子供の体に戻るなんて。
いや、しかし。
ありえる。この人なら。
ちら、と少女の顔を見ると、相変わらず屈託のない瞳でこちらを見ている。
「え…と。ハンジ分隊長、なんですよね?」
「そうだよ!さすがペトラ、信じてくれるんだね」
「ええ。これがオルオだったら一発殴って、本物のオルオに引き渡すところですけど。あなたならありそうな気がして」
「うん、さっしが良くてたすかるよ!」
こういう時、案外女性は冷静だ。
「それで、なんでまた子供の姿に?」
「ん!よくぞきいてくれた!」
「聞かないわけにはいきませんよ…」
キラキラと目を輝かせる少女を前に、ペトラは怒る気も失せ、ただただ溜息をつくしかない。
「コホン…。このたび私はね、体をちぢませるくすりの開発にせいこうしたのだよ!」
えへん、と胸を張る少女。
「体を縮ませる…?」
「そうとも!そもそものほったんはだね、きょじんの体をちぢませられるんじゃないかって事にあるんだけど。
手はじめに、人間の体をちぢませるくすりをつくってみたんだ。
でもまぁ、知ってのとおり、人間と巨人の体のこうぞうはこんぽんてきに異なるから、もちろんこのくすりがそのまま巨人につかえるわけではないし、おそらく何の参考にもなりはしないとおもうんだけどね!」
「はぁ…」
「あ、でも他のひとにはいわないでね。いろいろとめんどうなことになるから」
「そんな…」
がっくりと肩を落とすペトラ。
「でも、なんで私に?」
「女の子のほうがなにかと都合がいいかなとおもって。モブリットにいったら、こんどこそ胃潰瘍で死にかねないしね!」
「モブリットさん…」
ケラケラと笑う少女、もといハンジを前に、モブリットの心労を思ってペトラはそっと涙をぬぐった。
とりあえず今日はここまでー
最終的にリヴァハンになります
これは期待せざるを得ない
頑張ってください
>>10
ありがとう!あまり期待しないで待っていてくださいww
ようじょ・ゾエ描いてみた、視力は回復したので眼鏡は無し
http://uproda.2ch-library.com/688496g50/lib688496.jpg
チョーおもしれぇぇ!!!
期待できる!!!!頑張って下さい!
期待!モブリットさんの絡みあったらおもしろそうw
ああ^~
うおおぉ!ありがとぉお!
相変わらず展開が迷子です☆この人出して、っていうのがあったらリクエストお願いしますw
>>13
割と理由のある胃痛がモブリットを襲う…!
モブリットさんのキャラがいまいち掴めてないんですががんばります!
「とりあえず、その服装をなんとかしましょう」
ペトラの提案に、ハンジはきょとんとした表情を浮かべた。
「ふくそう?」
「そうですよ。女の子がそんな格好で歩き回ったらだめですよ。昨今はどんな輩がいるかわからないですし」
そう言うと、ペトラは自分のクローゼットから半袖のシャツと細い紐を取り出した。
ぶかぶかだったハンジのシャツを脱がせ、自分のシャツを着せたあと、紐を腰で蝶々結びにすると、今のハンジの体にぴったりのワンピースになった。
「はい、これでよし!」
「おおー!ぴったり、すごいねペトラ!」
ハンジは、ペトラの前でくるりとひとまわりしてみせた。
「ハンジさんって…小さい頃は可愛かったんですね…」
「ちょ、ペトラ!さりげなく失礼だな!」
「あっ、いえ!そういう意味じゃなくて!大人のハンジさんは中性的でかっこいいんですけど、子供の頃は女の子らしくって可愛いなって!」
両手をぱたぱたと降り、あわてて弁解するペトラに、ハンジはぷっと吹き出した。
「あはは!私なんかより、ペトラの方がずぅっとかわいいよ!」
そう言って、ペトラの頬を両手でふにっと挟む。
「ふぇ!?はんひひゃん!?」
「よしっ!じゃあ外にくりだそうか!」
「!?」
言うが早いが、ハンジは部屋をとびだした。
廊下にパタパタと軽快な足音が響く…
「……ハ、ハンジさぁぁぁあああああん!?」
ペトラは慌ててハンジの後を追いかけたのであった。
「はぁ、はぁ…ハンジさん、どこへ行ったの…」
ペトラはすっかりハンジを見失っていた。
ただでさえ予測不能なハンジの行動が、幼児化したことですばしっこさが加わり、さらに厄介になったようだ。
「……、………!!」
「…?…………」
城の中を走り回るペトラの耳に、どこからか楽しげに談笑する声が聞こえてきた。
「庭の方…!」
廊下の窓から庭を覗くと…いた。ハンジが誰かと話をしている。
「わあぁ!ってもう誰かに見つかっちゃってるじゃない!」
ハンジは基本的に頭がいいので、上手く切り抜けることもできるだろうが。
(面倒なことになる前に保護しなくちゃ!)
ペトラに謎の保護者意識が芽生えた瞬間であった。
庭に出ると、相変わらずハンジは誰かと話をしている。
あれは…
「エレン!」
息を切らせて走り寄るペトラに、名を呼ばれた人物は笑顔を向けた。
どうやら、今まで班員の馬の世話をしていたようだ。
「ペトラさん!どうしたんですか、そんなにあわてて」
「その、その子…」
「ああ、この子ですか?」
言われて、エレンは先ほどまで自分と話をしていた少女を抱きかかえた。
「ハンジ分隊長のお父さんのいとこのお嫁さんのおじいさんのお孫さんの旦那さんの妹さんのお子さんなんですよね」
「へっ!?」
膝に手を当てて息を整えていたペトラはパッと顔をあげた。
と、エレンに抱きかかえられたハンジと目が合う。
ハンジはペトラにウインクしてみせた。
(かわいい、けど…!)
再びがっくりとうな垂れるペトラ。
今朝から胃が痛い。
「モブリットさん…!」
「ハンジおねえちゃんが、かいぎで私のめんどう見れないから、ペトラおねえちゃんが代わりにあそんでくれるの!」
わざとらしく、年相応の喋り方をしてみせるハンジに、エレンは何の疑いも抱いていないようである。
エレンと呼ばれた少年も、ずいぶん早いうちから子供でいることを許されなかった。
母親が目の前で巨人に食い殺され、父親は姿を消し、復讐心に燃えて兵士になった。
理不尽に平和な子供時代を奪われた彼の目にも、無邪気にそう話す少女が眩しくもあり、いとおしくもあったのだろう。
「そっか。じゃあペトラおねえちゃんの言うこと、ちゃんと聞かなきゃだめだぞ」
目を細めてそう言う彼の目は、年齢よりもずっと大人びて見えた。
(ペトラおねえちゃんって…!)
一方ペトラは、幼いハンジと、年の離れた弟のようなエレンによる"おねえちゃん"攻撃に心の中でだくだくと鼻血を流していた。
(って、萌えている場合じゃない!ハンジさんを今すぐ人目につかないところに連れていかないと!)
「ね、ねぇ、そろそろ戻りましょ?エレンも暇じゃないんだから…」
「えーもっとエレンおにいちゃんとあそぶのー!」
(ハンジさぁん!!)
何を考えているんですか!?と喉まで出かかった抗議の声をぐっと飲み込む。
それにしても…
(なんだか、若い男の子が子供と遊んでいるのって、癒される…)
まして、エレンは他の班員よりずっと年下なのに周囲に遠慮してなのか、あまり心からの笑顔を見せない。
いくら「巨人化できる人間」という危うい存在であっても、ペトラは彼のことを本当に弟のように思って気にかけていたのだ。
そんなエレンが子供と遊んでいる様子は、ペトラにとってとても微笑ましい光景であった。
「そういえば、君の名前はなんていうんだ?」
「!?」
「!?」
(そうだった…名前、どうするのハンジさん…!?)
どうやらハンジもその答えを用意していなかったようで、笑顔がやや引きつっている。
「あーえっとね、ニージャ!私、ニージャってゆうの!」
「そっかぁ、よろしくな!ニージャ!」
(ああ、ハンジさん)
(こんなに素直なエレンに嘘をついて、あなたには良心の呵責というものがないのですか…?)
共犯者であるペトラの胸に、エレンの眩しい笑顔が針のようにちくりと刺さった。
ちなみに、NijahはHanjiのアナグラムです
jってドイツ語じゃiと同じ発音になるんじゃ…いえなんでもありません
そんな事言ったらジャンはヨハンとかヤンになっちゃうんジャン?
キルシュタインっていうドイツ語系の姓に対してフランス語系の名だからだいぶ混血が進んでるんじゃないかしら
壁の中の言語とか気になるけど
きっとなんだかんだ英語ベースに色んな言語がしっちゃかめっちゃかになってると思うよ
きっと江戸の町人と山の手よろしく、内地とその他で使う言葉違って、上流階級になってはじめて◯◯系っていうコミュニティが出来てそう
一般人は識字率あんまり高くなさそうだし、兵士になったらなったで兵法ばっかりであまり文学はやらなそうだから、◯◯語読みっていう認識がそもそも無さそうな気がする
エレンにバイバイと手を振るハンジの、もう片方の手を引いてペトラは城の中へ入っていった。
「…ハンジさん、その体が縮む薬の解毒剤はあるんですよね…?」
「ん?無いよ?」
「無いんですか!?」
ケロっと言い放ったハンジの顔を、驚愕のまなざしで見る。
「このくすりはそんなにこうかが強いものじゃないからね。せいぜいもって24じかんってとこじゃないかな」
「ハンジさん、ちなみにその薬を飲んだのは何時ごろなんですか?」
「よあけまえ」
「ということは、明日の朝になれば元の体に戻ってるってことですね」
「うん、そうだねぇ」
「ハンジさんっ」
ペトラはパッと立ち止まり、ハンジに向き直った。
「面倒なことにならないように、明日の朝までわたしの部屋にいてください!」
いつもの穏やかなペトラとは異なり、キッと睨むような目線にハンジはすこし驚きつつも、いつもの調子で答えた。
「あはは、ペトラったらなんだかおかあさんみたいだ」
「わたしは真面目に言ってるんですよ…」
がっくりとうなだれる。
一体この人は何を考えているのだろう。
「ねぇ、ペトラ」
「今度は何ですか…?」
「ペトラは、こどもがほしいっておもったこと、ある?」
「え?」
脈絡のない質問にペトラは一瞬戸惑った。
「…スキありぃーっ!」
タタタタタッ…
「ハ、ハンジさぁぁぁあああああん!?」
ペトラの受難は続く。
デジャヴ。
デジャヴだ。
己の運命を呪いながら、ペトラはひたすら走った。
「それにしても…」
先程のハンジの質問は何だったんだろう。
『ペトラは、こどもがほしいっておもったこと、ある?』
自分が子供を生む。
そんなこと、考えてもみなかった。
まして、家庭を持って"普通の幸せ"を手に入れるなんて。
ペトラも年頃の女性である。
訓練兵になってから、調査兵になった今でも訓練漬けの毎日であったが、心惹かれる男性も中には居た。
しかし、自分の使命ー巨人と戦うことーを考えると、背負うものは少ない方がいい。
「そうしないと…飛べなくなっちゃうもの」
ペトラはこれまで何度も死線をくぐり抜けてきた。
自分が生き延びれば生き延びるほど…仲間の死を多く目にすることになる。
同じ釜の飯を食った仲間が無残に殺される。
それだけでも耐え難い苦痛を味わうことになるのに、まして、自分の伴侶となれば…
ドンッ!
「うわっ!?」
「ひゃあっ!」
考え事をしながら走っていたペトラは、曲がり角に差し掛かったところで思いきり誰かにぶつかった。
「っとと…すまない、大丈夫だったか?」
そのまま倒れるかと思いきや、ペトラよりずっと大きな腕に支えられ、地面に衝突することは避けられたようだ。
「エルド!ごめんなさい、わたし考え事をしてて…あなたこそ怪我はない!?」
「ははは、ペトラに体当たりされたくらいどうってことないよ」
「なんだなんだ、そんなに慌てて」
エルドの後ろから、のっそりとグンタが顔を覗かせた。
「グンタ、あなたも一緒だったのね」
「ああ、ちょっと兵長に呼び出されてな。お前はどこかへ急いでいたのか?」
「いやっ…!まぁ、そ、そんなところかなっ…?」
小さい分隊長を探しています、なんてこと言えない。
かと言って、女の子を探していると言うとそれはそれで説明が必要だし…話すと絶対にボロが出る。
もう、いっそのことこの2人には打ち明けてしまおうか。
そんなことを考えていると、グンタが思い出したように口を開いた。
「そういえばペトラ。お前この城に子供が来るなんて話、聞いているか?」
「へっ!?」
「さっきな、廊下で子供とすれ違ったんだよ」
「ああ、そうそう。すごい速さで走り去って行ったから、話を聞く余裕もなかったんだけど。それでグンタと、誰かの子供が見学か何かに来てるんじゃないかって話をしていたん…」
「ど っ ち に 行 っ た」
その時の血走ったペトラの目は獲物を狩る狩人そのものだったという。
今日はここまで!次回はやっとあの人が出てきます!
乙
このSSまとめへのコメント
早く