アムロ「メンタリスト?」 ジェーン「ガンダム?」 (14)

メンタリスト。それは人の心を読み、暗示にかける者。

思考と行動を操作する者のことである。


第××話 『彗星は赤い色』


――深夜

リズボン「良い? ジェーン。被害者のユノア・アスノはあのフリット・アスノ将軍の娘なの」

ジェーン「30代で中将に昇進したエリートだったね。そして改革派のホープ」

リズボン「ええ、そうよ。アスノ家自体も名門で各界と強いコネクションを持っている」

リズボン「ジェーン、お願いだから、絶対に騒ぎを起こさないでよね」

ジェーン「フゥン……考えとくよ」

リズボン「もう……」

――アスノ家近郊の森

チョウ「ボス、お疲れ様です」

リズボン「状況は?」

チョウ「被害者はユノア・アスノ、14歳。この先のアスノ家に両親や兄と居住」

チョウ「頭を鈍器で何度も殴打されています」

リズボン「可哀想に……。犯人は相当な恨みを持っていたみたいね」

チョウ「通報したのは被害者の両親。悲鳴を聞いて現場に駆けつけたところ、逃げる犯人と遺体を見つけたそうで。時間は22時頃です」

チョウ「血液の量から、殺害現場は他にあるようで現在捜索中です」

リズボン「足跡は残っていないの?」

チョウ「犯行後に雨が降った為に消えてしまっています」

リズボン「そう。地道に捜索するしかないわね」

ジェーン「ドラッグをやってたみたいだね」

リズボン「なんですって?」

チョウ「ええ、腕に注射針の痕がいくつも残っています」

リズボン「スキャンダラスね……」

メンタリストのSSとか初めてみたわ
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アムロ「失礼します。CBIの方ですね」

リズボン「そうですが、そちらは……?」

アムロ「私はアムロ・レイ大尉です。こちらはマーセナス少尉」

リディ「リディ・マーセナスです。軍よりあなた方のサポートをするよう命じられています」

リズボン「……監視、ってこと?」

アムロ「アスノ将軍とご家族は非常に傷ついておられます」

リディ「これ以上彼らが苦しむことの無いよう、将軍と懇意にさせて頂いている我々を傍につけようという上層部の配慮です」

リズボン「マーセナス少尉……。もしかしてマーセナス下院議長のご子息?」

リディ「……ええ、そうですが」

ジェーン「保守派の大物政治家だね。改革派のアスノ将軍とは政治的に対立してるはずだけど、何でキミは将軍と懇意に?」

リディ「……父は関係ありません。私は私です。軍人として将軍には恩があります」

リディ「あなた方が将軍を傷つけるようなことがあれば、それを阻止しなければならない」

リズボン「……分かりました。でも、くれぐれも捜査の邪魔はしないで頂戴」

アムロ「もちろんです」

ジェーン「ちょっと良いかな」

アムロ「は?」

ジェーン「……フゥン。良い時計だね。高そうだ」

ジェーン「アムロ・レイと言えばたしかMSパイロットのトップエースで、昔、軍から特別な待遇を受けていたよね?」

アムロ「ああ、まあ色々事情があってね。たしかに一時は田舎の豪邸に軟禁状態だったりしました」

アムロ「この時計もその時に貰った懐柔品だよ」

アムロ「でも、それももう終わって、今は安月給で働かされてるけどね」

ジェーン「なるほど。ボクはパトリック・ジェーンだ。よろしく」

アムロ「こちらこそ、どうか事件を解決してくれ」

アムロ「よし、じゃあ将軍とご家族に会って頂こう」

――アスノ家邸宅

フリット「……よく来てくれた」

リズボン「CBIのリズボンです。こちらは同僚のパトリック・ジェーン」

リズボン「この度は、お悔やみ申し上げます」

フリット「……ありがとう。こちらは妻のエミリーだ」

エミリー「うっ……、うっ……」

フリット「息子のアセムもいるが、今は自室で休んでいる。部下のウルフ少佐についていてもらっているから大丈夫だとは思うが」

リズボン「後ほどお話を伺わせて頂くことになるかもしれません」

フリット「……仕方があるまい。こんなことに、なったとあればな」

ジェーン「どうも、アスノ将軍。パトリック・ジェーンです、よろしく」グッ

フリット「ああ、よろしく頼む」

リズボン「犯人を目撃されたそうですが」

フリット「ああ。フードの付いた赤いレインコートを着ていたよ。雨に備えていたのか、顔を隠す為か」

フリット「だが、遠目に逃げる背中を見ただけだから顔も見ていないし、性別や体格すらよく分からなかった」

フリット「あの時、銃を持って外に出て入れば……。ユノアの悲鳴を聞いて、そこまで考えが及ばなかった。情けない話だ」

リズボンがリボンズに見える

フリット「それが私たちにも分からんのだ。あの子がなぜあんな時間にあんな場所にいたのか」

フリット「家族の誰に聞いても心当たりがないと言う。我々に隠れて誰かと待ち合わせでもしていたのかもしれない」

リズボン「なるほど。犯人の手がかりに繋がるかもしれません。調べてみます」

ジェーン「あのー、ちょっと聞きたいんですが」

フリット「何だろうか?」

ジェーン「娘さんが妊娠したのはいつ?」

エミリー「……!!」

フリット「……なん、だと?」

アムロ「……!?」

リディ「な、なにを!」

リズボン「ちょ、ちょっとジェーン!?」

ジェーン「遺体を見てすぐに分かったよ。彼女、中絶したでしょ?」

リズボン「本当なの? ジェーン」

フリット「なにを、バカな」

リズボン「将軍。娘さんのご遺体が調べられればすぐに分かることです」

リズボン「もし本当なのであれば、どうか、捜査の為にいま教えてください」

フリット「…………わかった」

エミリー「あなた……」

フリット「どちらにしろすぐに知られることだ」

フリット「君の言う通り、たしかにユノアは妊娠していた。だが一つ間違っていることがある」

フリット「彼女は中絶ではなく、流産した」

ジェーン「……なるほどね」

フリット「妊娠を知った時には驚いたよ……。何とかして相手の名前を聞き出そうとしたが、娘は頑として話そうとはしなかった」

フリット「相手の身を案じてのことだろうな。たしかに相手が分かれば、私はあらゆる手を使いその男を破滅させただろう」

フリット「出産にも当然反対した。だが、娘はどうしても産むと言って聞かなかった。最後には私も折れて認めたのだが……」

フリット「突然娘が暴れだし、自分の腹を鈍器で殴りつけたのだ。何度もな」

リズボン「それで、流産を?」

フリット「ああ……。我々の反対をおしてまで産みたがっていたはずなのに、なぜあんなことをしたのか、これも一向に話さない」

フリット「気付かないうちに相手の男と接触して、冷たい言葉でもかけられたのか……」

フリット「医者を雇い、ようやく身体が治ったばかりだというのに、こんなことに……」

エミリー「う、うう……」ポロポロ

フリット「エミリー……」ギュッ

ジェーン「フゥン、じゃあ娘さんがドラッグ中毒だったのは知ってた?」

エミリー「え……!?」

フリット「な……!? バカな!! 娘がドラッグなど使うはずがない!」

リズボン「いえ、将軍。残念ですが、事実です!」

フリット「出鱈目を言うな! 娘が、そんな!!」

リズボン「ご息女の腕には多くの注射痕がありました。以前から常用していたようです」

フリット「……ば、かな」

エミリー「……あ、ああぁ、ユノア……ッ」ガクッ

フリット「なぜだ……。なぜ、こんなことに」

フリット「許せん!! どこのどいつが娘にドラッグを……!! 許さん、殺してやるッ!!」

リズボン「……それをこれから捜査します。犯人を逮捕する為に、全力を尽くします」

被害が重いよ・・・

ジェーン「ねえ、息子さんにも話を聞いて良いかな?」

リディ「おい、いい加減にしないか! これ以上ご夫妻を苦しめるような真似は!」

フリット「いや、良いんだ、少尉」

リディ「将軍! しかし」

フリット「真実を知るためだ。アセムも辛いだろうが、ユノアの為に堪えてもらおう」

フリット「すまないが、アセムの部屋まで案内してやってくれ」

アムロ「……了解しました。では、こちらへ」

ジェーン「どうも」



――アセムの部屋

アセム「CBI、ですか……」

リズボン「ええ。辛いでしょうけど、ユノアさんのことについて聞かせてくれるかしら」

アセム「……分かりました」

ウルフ「大丈夫か、アセム?」

アセム「はい、ウルフさん。ユノアの為ですから」

アセム「でも、何を話せば良いんでしょうか」

リズボン「妹さんが妊娠していたことは知ってた?」

ウルフ「……っ」

アセム「はい……。周りには父さんが手を回して病気だということになっていましたけど。俺には教えられていました」

ジェーン「エニアクル少佐、キミも知ってたんだね」

ウルフ「……ああ、まあな。相手のクソ野郎が分からねえのが今でも残念だ。見つけたらぶっ殺してやる」

ジェーン「フゥン」

ジェーン「キミも相手のことは知らない?」

アセム「はい、俺にもユノアは何も」

ジェーン「じゃあ彼女がドラッグ中毒だったことはどうかな」

ウルフ「はっ!?」

アセム「え……」

ウルフ「お、おいどういうことだ!?」

リズボン「残念ですが、言葉通りのことです」

アセム「そんな、ユノアが……」

ウルフ「なんてこった……!」

リズボン「なにか、彼女におかしな様子はなかった?」

アセム「ありました……。流産してから、いえ、そのずっと前から、ユノアは塞ぎ込んでいました」

アセム「……俺が、もっとユノアのことを気にしてやっていれば。俺は、父さんに認められたいって、自分のことばっかりで」

アセム「全然、ユノアのことを見てなかった……。俺が」

ウルフ「自分を責めるな、アセム。悪いのはユノアを傷つけた野郎だ。そうだろ?」

アセム「……はい」

ウルフ「刑事さん。どうか、犯人を捕まえてくれ」

リズボン「全力を尽くします」

ジェーン「刑事じゃなくて捜査官だけどね」

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