勇者「この大役、必ずや」ザッ
勇者「陛下との謁見は終わった。行こう」
戦士「おうよ」
魔法「ええ」
僧侶「はい!」
戦士「にしても……これでお前がカラクリだとはなぁ」マジマジ
魔法「何度言われても信じられないわね」
僧侶「言われても人にしか見えませんものね」
ガガガ ガガガガ
ロボカイを連想してしまった
勇者「だが、この体は間違いなく機械で出来ている」
戦士「そのキカイってのがよく分んねえんだけど、ゴーレムとは違うんだよな?」
勇者「様々な金属のパーツを組み合わせ電気……雷撃魔法の極々小規模の力で動いている」
戦士「???」
僧侶「は、はあ……?」
魔法「ふーん……興味深いわね」
戦士「噛み砕いてくれ」
魔法「雷撃魔法の力を原動力にした時計と思えば良いわよ。よって魔力が切れると動かなくなる」
勇者「その通りだ」
僧侶「あの……魔力の補給はどの様に?」
勇者「多少なら大気中より吸収できる」
勇者「が、そればかりでは足りないからな。各地を守る魔術師達から魔力を供給させるとの事だ」
戦士「あれって町結界で覆ってるんだろ? やばくないか? だいたい、それで足りるのか?」
勇者「町の規模にもよるが一日毎に補給を行った場合、最大三日でフルになるだろうとの試算だ」
魔法「そしてその三日間はあたし達が町を守ると」
僧侶「結果的にそういう事になりますよね……」
火鳥にいちゃあああん!
僧侶「ここから先に魔物達が」ゴクリ
戦士「僧侶は魔物と戦うの初めてか?」
僧侶「私達の中で魔物と戦った事のある人はそうそういませんよ……」
魔法「勇者は?」
勇者「起動テストとして数体との戦闘を行った。インプ、ゴブリンあたりだったか」
戦士「このあたりだと強いの、つったらそれぐらいだもんな」
口調はカタカナじゃないと
ザザザ
魔法「!」
戦士「敵か!」
スライムA「ウボァ」ウジュウジュ
スライムB「ヌボォ」ズルズル
僧侶「ひい!」
勇者「スライムか……」
戦士「おいおい……こんな高レベルな魔物がどうしてここに?」
魔法「近づかれる前にやるわよ! 氷結魔法!」カッ
なんと奇っ怪な
機械だけに
スライムAB(氷)「……」
戦士「おらあ!」ガシャァン
勇者「……」ガシャァン
魔法「ふぅ……危なかったわね」
僧侶「あ、あの……ドロドロして気持ち悪かったですけど、皆さんが恐れるほどの魔物なんですか?」
勇者「スライムは非常に強い酸性を帯びた、粘着性の高い液体の体で出来ている」
勇者「このぐらいならまだ平気だが、上位種となると私の体でも溶かされるだろう」
僧侶「……」ゴクリ
勇者「因みにスライム達は凍結させてしまえば簡単に倒せる。が上位種になればなるほど凍結し辛くなる」
僧侶「ひい……」
魔法「今のが一番弱いやつだったから良かったものの」
戦士「全くだな……げっ」
僧侶「ひぃ! なんですかそれぇ! スライム?!」
勇者「……これはインプだな。大方、先のスライムに捕食されたのだろう」
魔法「体の殆どが溶けているわね……」
戦士「同じ魔物でもこうして捕食されるのだ。自業自得とは言え憐れ」ガササ
インプA「人間メ! ヨクモ仲間ヲ!」
インプB「ブッ倒シテヤル!」
インプC「男ハ殺セー! 女ハ犯セー!」
戦士「とりゃあ!」ズバン
勇者「ふっ!」サン
インプBC「」
インプA「アレー?」
僧侶「す、凄い……」
魔法「流石は王国一の剣の使い手と新技術のからくりね」
戦士「よーし、僧侶。残ったのを倒せ」
僧侶「えええぇぇ?!」
勇者「戦闘経験が無いのだろう? ここである程度慣れるべきだ」
インプA「ア、俺サンドバックッスカ」
魔法「鈍化魔法、鈍化魔法、鈍化魔法」キュゥゥン
つまんな
僧侶「ひぃ……ひぃ……」
インプA「」
僧侶「酷いです……こんなスパルタ」
戦士「いざという時、ある程度身の守り方知っていて貰わないと俺達も困るしさ」
僧侶「魔法使いさんはいいんですか?!」
魔法「あら、あたしこれでも棍術習っているのよ?」
勇者「道理で長い杖を使っているわけだ」
魔法「戦士が左腕一本しか使えないハンデならそこそこ良い勝負よ」
戦士「ハンデきつ過ぎて凄いのか分んね」
『サポートシステム起動します』
勇者「なに?」
僧侶「え?」
戦士「どうした?」
勇者「視界によく分らないシステムメッセージが出てきた」
魔法「どういう事?」
勇者「体を動かしているのは俺の意志だが、様々な機能は別の……人格を持たない意思が執り行っている」
勇者「例えば魔力の残量が少なくなれば、極力魔力消費の少ないようにしたり」
戦士「さっぱり分んね」
魔法「で、それを統括しているのが何ですって?」
勇者「何やらサポートしてくれるらしいが、それ以上のメッセージが出ない」
僧侶「……故障でしょうか?」
『セルフスキャン開始……異常ありません』
勇者「エラー……問題は発生していないようだ」
戦士「ま、とにかく進むしかないだろ。その内、魔法使いが転移魔法覚えたら一旦王都に帰ろうぜ」
魔法「そうねぇ……他所では対応できない事だし、出来れば今すぐ戻るべきだとも思うけども」
勇者「いや、進もう。異常そのものが無いのに時間を食うわけにもいくまい」
勇者「たあ!」ザザン
インプF「トアアァァ!」バッ
勇者「遅い」ガッ
勇者「……」ドッ
インプF「ウォッ」
勇者「は!」ズシャン
僧侶「勇者様格好良い……」
魔法「よそ見していると死角から襲われるわよー」
戦士「しっかしすげぇな勇者は。横からの攻撃を瞬時に盾で受け止め、突き放して切りつける」
戦士「兵士でも教官クラスじゃないとできねぇな」
魔法「で、あなたは剣に関してはトップクラスと」
戦士「いや?」
僧侶「え?」
勇者「私もそう聞いていたのだが違うのか?」
戦士「騎士団長様にゃあ二勝二敗三引き分けだ。決着ついてねーぜ」
魔法「き、騎士団長ってそれこそトップの方じゃない」
戦士「先に二勝勝ち越した方がって取り決めなんだが中々なぁー」
戦士「今日は野宿かぁ」パチパチ
魔法「ほら焼けたわよ」スッ
僧侶「あ、ありがとうございます。勇者様もどうぞ」
勇者「私は食事の必要が無い。それにしても魔法使いは手馴れているな」
魔法「まあね。薬草採取とかで野外で行動するのは多いもの」
戦士「意外と肉体派なんだな」
魔法「そこらの病的な連中と一緒にするんじゃないわよ」
魔法「800mくらいの山なら登るもの」
戦士「そんな魔法使いお前だけだと思うぞ」
戦士「ところでよ、勇者は今までどうしていたんだ? そのなんだ? 調整みたいのとかか?」
勇者「そんなところだな。あとは今回の任務、各地での戦闘報告を元に大まかな、複数ある敵の拠点」
勇者「そういった情報を取りまとめていた」
魔法「ねえ……貴方、本当に王都で開発されたの?」
勇者「研究所の場所までは分からないな。私が起動した時には王都だった」
僧侶「どうかされたのですか?」
魔法「異常なのよ……こんな技術力、王都に……いえあたし達人間側にあるわけが無いわ」
勇者「正直なところ、それは私も疑問に感じていた。それらしい技術を他に見ていない」
勇者「単にこうした戦闘用のみしか開発されなかった可能性もある。がそれはいくつもの試作機があるべきだ」
勇者「全て破棄する訳にもいかないだろうし……何故見かけないのだろうか」
戦士「さーなー……意外と俺達の知らない所で前線に送られてボッコボコになってんじゃねーの」
魔法「その可能性もあるのでしょうけども……一切そういう話を聞かないというのもねえ」
僧侶(さっきから何を話してらっしゃるのかさっぱり分らない……)
勇者「しかし、どうあれ私はここにこうして対魔王軍として使命を与えられた以上」
勇者「全力で立ち向かうまでだ」
勇者「たあ!」ザン
戦士「そらあ!」ズバン
魔法「ふう……そろそろ町ね」
僧侶「やっとお風呂に入れますね」
『機能拡張』
『エナジーシールドが開放されました』
勇者「む……」
戦士「? ああ、何ちゃら何ちゃらーか?」
魔法「どんなメッセージかしら?」
『左手の甲より障壁を展開。出力以上の衝撃を受けると一時機能停止する為、』
『攻撃を受ける際は障壁を傾斜させて受け流す事。尚、左椀部に何も装備しない事』
勇者「どうやら魔力による障壁を展開できるようだ。そこまで出力は高くないみたいだな」
戦士「そりゃすげーな」
魔法「へえ……使うに十分な経験を積むと色々と機能が開放されるのかしら」
僧侶「なんだか凄いですね」
勇者「次の戦闘では私が一人で受け持つ」
戦士「試し……受け? は大切だもんな」
勇者「その言い方は何か嫌だな……試運転とでも言ってもらいたい」
勇者「敵が弱すぎてよく分らなかったな……」
戦士「んじゃー町に着いたら俺と手合わせしようぜ」
勇者「それが一番良さそうだな」
魔法「これ魔力で生成しているのだし、魔法も防げるんじゃないかしら?」
戦士「つってもそんな大型の盾じゃねーんだから、炎とかはどうにもならなくねぇか?」
僧侶「飽くまで盾として機能しているんですものね……」
つづけたまへ
町
僧侶「お風呂♪ お風呂♪」
戦士「俺はちょっと道具屋見てくるわ。装備の手入れ道具忘れてきちまった」
勇者「羨ましいな。私のは専用のものしか使えないからな。これが駄目になったらどうすれば……」
魔法「そういえば、勇者の剣って普通じゃなかったわね」
勇者「よく分らないがこれも何かしらの機能があるらしい。恐らくエナジーシールドと同じなのだろう」
戦士「とりあえず俺は行ってくるわ。泊まる宿屋の前で誰か立っててくれ」
戦士「おっ」
勇者「来たな」
魔法「それじゃあ行きましょうか」
戦士「え? ここじゃないのかよ」
勇者「エナジーシールドを試すのだろう」
戦士「僧侶は?」
魔法「お風呂。留守番お願いしてきたわ」
勇者「この先に広場がある。そこで行おう」
戦士「たああ! せやぁ!!」
勇者「……」ギィンギィィン
戦士「くらえええ!!」ブァ
魔法「ちょ、そんな大振り!」
勇者「ぐ!」ギュァァァ
戦士「うげ! なんだこの火花!」バッ
魔法「物理的な壁じゃないもの。真正面から切りかかればそうなるでしょ」
勇者「しかし戦士の上段に耐えられるのなら、人型の魔物には十分通用するな」
戦士「逆に大型の魔物は跳ね飛ばされるのかねぇ」
勇者「まず衝突の衝撃に、私が耐え切れなくてはならないからな」
魔法「それじゃあ次はあたしね」
戦士「お、お前こそ手加減しろよ?」
魔法「任せなさい。まずは火玉魔法いくわよ」ボッ
勇者「……」チュィン
戦士「お、弾いた」
魔法「投石魔法いくわよ」ドッ
勇者「っと」ガッ
魔法「火炎魔」ウズウズ
勇者「待て」
戦士「止めろ」
魔法「……っち」
勇者「なんか一瞬目が本気になったと思えば……」
戦士「油断ならねぇ女だよな」
勇者「とにかく、これの有効性は分かった事だし宿に戻ろうか」
魔法「……そうね、何時までも僧侶を放置している訳にもいかないし」
戦士「腹も減ったしとっとと行こうぜー」
僧侶「どうでしたか?」
魔法「まあそこそこかしら。魔法防御の付いた高価な盾くらいの性能はあるわね」
戦士「まあ今後、更に強化されるかもしれないしな」
勇者「そうだな……私自身機能が分らない以上、何が出来るようになるかは未知数だ」
魔法「ところで魔力は大丈夫なのかしら?」
勇者「現在93%ぐらいのようだ」
戦士「結構長持ちするな」
勇者「しかし、今後使えるようになる能力は全て魔力依存なのだろう。燃費は悪くなる一方のはずだ」
魔法「それは仕方ないことよね……」
戦士「うっしゃあ! 出発だぁ!」
勇者「魔力も100%だ。こちらに気にせず進んでくれ」
魔法「え? 大気中からそんなに魔力を吸収できるの?」
勇者「早朝、この町の魔術士達に差し支え無い程度に分けて貰った」
僧侶「なるほど……そうすれば私達がここに何泊もする必要が無いのですね」
勇者「そういう事だ。しばらくはこれで様子を見ようと思う」
ゴブリンA「ぎゃああ!」ブシュァァ
ゴブリンB「うおらああ!」ブォン
戦士「ちっ!」
僧侶「たあああ!」ドッ
ゴブリンB「ぐげ?!」
魔法「風矢魔法」シュシュシュ
ゴブリンC「ガアア!」ドドッ
ゴブリンB「く、くそっ! 逃げ」バッ
勇者「逃がすか」ヒュン
勇者「だいぶ僧侶も動けるようになったな」
僧侶「あ、ありがとうございます!」
戦士「ぶっちゃけ俺達が怪我しない分、僧侶暇になっちゃうもんな」
僧侶「あはは……はは」
魔法「勇者、魔力大丈夫かしら? 結構シールド使っているでしょ」
勇者「そこまで消費が高くないらしいな。今はまだ93%だ」
戦士「流石に減りは早くなっているな……」
勇者「どうにか他の方法で補給する手段を見つけないとな」
支援
勇者「あれは……」
戦士「あんな所に集落なんてあったか?」
魔法「……あれ、ゴブリンの群れよ。しかも上位種もいるわね」
僧侶「そんな。あそこに拠点なんて……」
勇者「小規模だから気付かなかったのだろう。二手に分かれて挟撃するぞ、私と魔法使いで南部を討つ」
戦士「あいよ。僧侶、お前は魔法で支援してくれ。北に回るぞ」
僧侶「は、はい! 頑張ります!」
勇者「ぐ!」ドドン
魔法「魔法を封じた魔石……なんて厄介なの!」ドゥン
勇者「おまけにこの数は……見誤ったか!」ザン
ゴブリンK「ぎゃああぁ!」
ゴブリンP「食らえ!」ポィ
勇者「!」ドォン
『エナジーシールド過負荷。機能一時停止』
勇者「こんな時に!」ギリ
『機能拡張』
『火玉魔法が開放されました』
しえ
戦士「こいつら……! 卑怯な!」ギィンザシュゥ
ゴブリンAG「もっとだ! 魔石を持ってこい!!」
ゴブリンAH「氷結魔法の魔石持って来たぜ!」
僧侶「対氷障壁!」パァ
戦士「さんきゅ! つっても、これじゃあ……」
ゴブリンAG「い、が!」タタタンチュチュン
ゴブリンAH「な、何が起こぐあああ!」タタンタン タタタタタ
勇者「戦士、僧侶! 伏せろ!」トタタタタン タタタタタタン
『左椀部より火玉魔法を高速射出。低出力の為、射程は5m程度』
『ただし威力は低い為、耐久力の高い敵には何十発も撃ち込む必要がある』
勇者「……」タタタタタタン
『残り魔力90%を切りました』
戦士「な、なんだありゃあ……左腕が『開いて』いやがる……」
僧侶「左手から……あんな連続で魔法を」
魔法「火炎魔法! 勇者、右からも!」
勇者「了解」タタタン タタタタタ
戦士「すげぇ……お前、魔力は大丈夫なのか?」
勇者「現在88%。しかし……この先強敵が現れた時を考えると不安だな」カション
僧侶「左腕が元に戻った……」
魔法「小さい建物は下っ端の居住スペースのようね」
僧侶「じゃああの大きな建物はここの魔物の統率していたものが……?」
勇者「調べてみる価値があればいいのだが……」
戦士「二人は外で待機だ。トラップがあると厄介だからな」
魔法「そうさせて貰うわ」
戦士「ものの見事に何もねーな」
勇者「全くだな……ん?」
戦士「何か……なんだそりゃ。随分と光ってんな。魔石かなにかか?」
勇者「分らない。トラップでなければいいのだが」スッ
戦士「ありゃ? 触れたら消えちまったな」
勇者「……?」
『データ解析...拡張機能を入手』
勇者「なに?」
戦士「またか?」
『魔力初期容量より10%拡張、現在魔力残量80%』
『ハイジャンプを入手。跳躍力おおよそ三倍』
戦士「どうだって? まさか今のお前専用の魔石か?」
勇者「よく分らないが魔力の貯蔵能力が少し上がったらしい」
勇者「後、跳躍力が三倍になったようだ」
戦士「……は? じゃあそこの棚に向かってジャンプしてみてくれよ」
勇者「……」ダッ
勇者「……の、登れてしまった」トッ
戦士「すっげ……俺よりでけぇ棚に軽々と……」
魔法「あら早かったわね」
僧侶「何か収穫がありましたか?」
戦士「勇者がパワーアップした」
魔法「どういう事?」
勇者「私にもよく分からないが、光る石を見つけて触れた途端に消えてしまったのだ」
勇者「そうしたら例のメッセージが……魔力の貯蔵量上昇と跳躍力の倍増が得られた」
僧侶「どれだけ高く飛べるんですか?」
勇者「おおよそ三倍だそうだ」
戦士「俺よりでかい棚に乗りやがったぞ」
魔法「……」
戦士「初の拠点攻めの成功を祝いまして、乾杯!」カシャン
魔法「乾杯」カシャン
僧侶「乾杯っ」カシャン
勇者「か、乾杯」カシャ
魔法「飲食できない勇者にこれは酷じゃないかしら?」
戦士「んな事言ったら何時も気遣わねーとじゃねーか。雰囲気味わえって事だよ」
勇者「しかし、いきなり乾杯と言われても、私にはこれがどういう意味か分らないんだが」
戦士「雰囲気だっての」
僧侶「……説明放棄?」
魔法「むしろ出来なくて諦めた、かしら」
しえn
戦士「そりゃあそうさぁ、俺ぁ剣一本でのし上がってきてよぉ」
僧侶「せ、戦士さん、飲みすぎですって」
魔法「……ねえ」
勇者「どうかしたか? ああ、俺の事なら」
魔法「それも無くはないけども、拠点での話よ。魔石を手に入れた時、何ていうメッセージが出たの?」
勇者「いきなりだったからよく覚えていないが……何かを解析して機能を拡張したようだ」
魔法「……」
勇者「どうかしたか?」
魔法「機能拡張……とはあるけれども、実際には元々貴方に与えられた機能。つまり機能使用の許可や権限を得ているだけ」
魔法「と考えると、魔物の拠点で貴方の機能を拡張する何かがあったというのは謎だわ」
勇者「ふむ……」
勇者「例えばそれら機能の開放に大量の魔力を必要とし、魔王軍の純度の高い魔石が適しているとしたら」
魔法「その考え方は分らなくもないわね……一つ聞いていいかしら? 魔力の貯蔵が増えたと言ったけども」
魔法「増えた時に残り魔力は何%と出たの?」
勇者「確か80%だったか……ああ、貯蔵量は10%増えたらしい」
魔法「……拠点に入る前は確か88%と言ってたわね。つまり最大容量110%を100%とみなした時」
魔法「残量88%は110%の八割、80%にあたる。魔石の魔力を吸収したのであればこれは不自然だわ」
勇者「君がそれを覚えている事の方が驚きでならないのだが」
ほうほう
魔法「ま、机組の人間だからね」
勇者「それは800mもの山を登る人間に当てはまるのだろうか……」
魔法「話が反れているわねぇ……何にせよ少し引っかかるわね」
勇者「……ふむ、やはり転移魔法を覚え次第戻ってみるか」
魔法「んー……現状だとまだ判断つかないし様子見でっもいいんじゃないのかしら?」
戦士「うおらぁぁぁお前らぁ飲んでるかぁぁぁ?」
僧侶「せ、戦士さぁん」
魔法「あたし飲まないし」
勇者「私は飲めないしな」
……
戦士「確か次の町までは距離があったな」
勇者「次の目的地は北にある魔物の砦だ。元から報告のあった場所で、これを撃破する」
魔法「一部の行商ルートが潰されていて、そこれなりの被害を被っているという話ね」
僧侶「何としてでも倒さないとなりませんね……」
戦士「敵の種類は?」
勇者「話だとゴブリンだそうだが、大半が上位種だそうだ」
魔法「この間の拠点はそこから出たものなのかもしれないわね」
マジックゴブリン「来タゾ!」
アーチャーゴブリンA「足止メヲスルゾ!」
アーチャーゴブリンB「射レー!」ビュッ ビュッ
僧侶「対遠距離障壁はまだ……!」
戦士「うおっ地味にやべぇ!」
勇者「一気に間合いを詰めるぞ」ガショォ
『魔法モード [>火玉魔法』ピピ
勇者「続け!」タタタタタン タタタタ
砦
魔法「紅蓮魔法!!」ゴアアァァァ
戦士「すっげ……魔法使いと勇者だけでいいんでねーの? もう」
僧侶「う……や、役立たずですみません」
勇者「突入するぞ。警戒しろ」ザザ
グレートゴブリンA「人間メ……来タカ」
グレートゴブリンB「ダカココマデダ!」
グレートゴブリンC「我々ト魔王様ヨリオ預ケ頂イタコイツデ!」
ロボゴブリン「……」ガション ガション
勇者「! 機械のゴブリン……?」
魔法「魔王軍も機械化を……」
グレートゴブリンA「殺セ!!」バッ
戦士「こりゃあ……勇者はあの変なゴブリンを頼む!」
勇者「グレートゴブリン三体を?」
戦士「任せろよ、俺も活躍しなくちゃぁな」バッ
勇者「……魔法使い達は戦士のサポートを」バッ
僧侶「対物障壁展開!」シュア
戦士「でやあああああ!」ギィィィン
グレートゴブリンB「グ! コノ人間強イ!?」ギィィン
グレートゴブリンC「イヤアアァァァ!!」ブォン
戦士「よっと、はっ!」シャァン シュバァ
グレートゴブリンB「ウオッ」ヨロッ
グレートゴブリンC「ギャアアアア!」ズシャアァ
グレートゴブリンA「隙アリ!!」バッガキィ
僧侶「……何とか、障壁で受け止め」ギリギリ
魔法「僧侶ナイス。いくわよぉ……」キィィン
勇者「……」キィィンキィンギィン
ロボゴブリン「……」ギィンガギィン
勇者「たあああ!」ズバン
ロボゴブリン「ギギ」フラ
勇者「終わりだ!!」シャン
ロボゴブリン「ギギ...」ズシャァァ
勇者「……」
ロボゴボリン「ギ...ギ」ズズ
魔法「電流魔法」バチィィ
ロボゴブリン「ギ...」ジジジ
ロボゴブリン「ギ」ドゴォォン
勇者「……」
魔法「全く、倒したなら倒したでとっとと止めを刺しなさい」
勇者「容赦が無いな……まあいい、そっちは大丈夫だったか?」
戦士「グレートゴブリン如きに引けをとる俺かよ」
僧侶「でも無事、ここを撃破できてよかったですね」
戦士「お? おい、勇者」
勇者「どうし……これは」
魔法「? これが光る魔石かしら? 機械のゴブリンの中から?」
勇者「ああ……」
魔法「勇者、触れてみて」
勇者「あ、ああ……」スッ
『データ解析...拡張機能を入手』
勇者「始まった」
魔法「やっぱり勇者専用なのかしら?」
僧侶「どういう事です?」
『魔力初期容量より10%拡張、現在魔力残量80%』
『ES機能が開放されました。フレイムエレメントが開放されました』
ソノ無様ナ姿ヲ後デメールデ送リツケテヤロウ
勇者(ES機能?)
『エレメントソード機能。現在エレメント設定フレイム。振るうと炎を帯びます』
魔法「……と、いう事よ」
戦士「そりゃあなんか怪しくねーか?」
僧侶「変、ですよね」
魔法「今の所はなんともねぇ……どうだったのかしら?」
勇者「剣に備えられた機能が動き出した」スラン ブァン
戦士「おお?! 炎が!」
魔法「属性……魔法剣の類なのかしら」
メカ僧侶のSS思い出した
戦士「お、なんか奥に部屋があんぞ」
僧侶「まさかまだ魔物が……」
勇者「いや……あれだけの戦力を投入してきた以上、ここには戦力は無いと思われるが」ギィ
魔法「これは……研究所?」
戦士「見たことの無い道具ばっかりだな」
勇者「……そうか、恐らくこれはあれをメンテナンスする為の」
僧侶「さっきのゴブリンですか?」
魔法「なるほど……資料とかあればいいのだけれども」
戦士「とりあえず探してみっか」
僧侶「あ……これでしょうか?」
戦士「お、なになに『A.H.A.01 開発者備考』?」
魔法「もっと大本の情報が欲しいけれども……一先ずはこれで我慢かしら」
勇者「試作機。ゴブリン最上位種であるグレートゴブリン並と言ったところか」
戦士「よえーな、それ」
勇者「これなら量産できそうだが、魔法防御力が皆無の上に物理防御もそこまで優秀でもない」
魔法「もしかして電流魔法直撃だけでも……?」
勇者「かもな……」
勇者「恐らく、量産の価値はないだろう。他種族をベースに作り直しと要改良」
僧侶「これが何時の事かによって、深刻な問題になり得ますね」
勇者「前衛として出す分にはそこそこの戦力となるだろう。が、グレートゴブリン二匹の方が低コストだ」
戦士「せつねーな、あのゴブリン」
魔法「それにしても……A.H.A.ねえ」
戦士「どういう意味なんだろうな」
僧侶「魔法使いさんでも分らないのでしょうか?」
魔法「そりゃそうよ」
そろそろ勤労に励んでくるでござる
23~24時くらいに帰ってこれる?落ちてたら深夜かどっかで
がんばれ
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