「青春とは」 (52)
春
今日から俺は高校1年になった。
同じ公立高校に通うはずだった友達は皆受験に落ちた。
その落ちた中の1人に同じ小学校で、同じ塾に通ってて、遊ぶ時も大体一緒みたいな
いわゆる親友もいた。
そいつは滑り止めの私立高校にいった
俺はそのまま公立の高校へ行った
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高校生活といえば青春。
青春といえば高校生活。
俺は待ちに待った高校生活にかなり期待していた
「同じクラスじゃん、よろしく」
話しかけて来たのは同じ中学の友達だった
一緒に受験にはいかなかったけど
3年の時に同じクラスで、何回か話したことがある
あまり目立つ奴じゃなかったけど、中々話しやすい良い奴だ
「おお、よろしく、知り合いが居て助かったよ!」
正直な気持ちだ。
まずは一人ぼっちにならずに済んだので少し安心した
高校にはもっとイケメン…とまではいかなくとも、少しはオシャレなやつがいるんじゃないか
そう思っていたが、どうやらそういう奴はいないらしい
周りの奴らは一言でいうなら「もっさり系」だった
「よろしく」
軽く後ろの席の奴に自己紹介した
「ああ、よろしく」
なんだか少しすかした感じがしたが、あまり気にしなかった
彼の名前は金田といった
他に周りにはどんな奴がいるのかと周りをみると、斜め後ろの席にスマホをいじってる奴がいた。
周りに馴染めないのか1人が好きなのか
話しかけて見ることにした
「そのスマホってAndroidだよね?」
「あ、そうだよ」
彼は石田と言った
笑顔が爽やかなイケメンだった。
HRも終わって俺は中学の友達と帰った
彼もそれなりに友達ができたと言っていた
次の日
クラスには早くもグループが出来上がっていた
といっても出席番号順に並んでる席の近い同士で固まっただけだが
グループには金田の後ろの席の川崎、金田、俺のいる列の一番後ろの席の小島だった
男子には主に2つグループがあったが、お互いあまり関わることは無かった
中学の友達は僕とは別のグループにいたが、あまり関わりがなかったので、帰りの時くらいしか話さなかった
クラス分けから1週間立った時でも、誰も自分達のグループからは出て他の人と話そうとはしなかった
これだけでも驚きだが、更に、女子と話そうとする人がほぼいなかったのが驚きだ
シャイなのかもともと興味がないのか、いずれにせよ「とりあえず席が近いから固まる」「とりあえず席が近いから移動教室も放課後も一緒に」
こんな空気が僕は窮屈で仕方がなかった。
だが行動を起こす勇気なんて僕にはなかった
高校ってこんなところだったのか
と半分諦めていた
そんな状況を見兼ねたのか、向こうのグループの男子の1人がクラス会をしようと提案した
彼は戸田といって、身長が高く少しぽっちゃりした体型だった。あとモヒカン。
「やっぱさ!折角同じクラスになったんだし、もっと仲良くして行こうぜ!」
彼は体格に不釣り合いな少し高めの声でそう言った
僕たちのグループは喜んで参加する、と言った
どうやら女子も参加するみたいだった
その日の昼休み、僕がロッカーで荷物整理をしていると
不意に後ろから声を掛けられた
振り向くと3人ほどの女子がいた
「ねえ、君もクラス会参加するの?」
そう声をかけてきたのは小野田だった
黒いロングの髪で、自然な笑顔が素敵だった
彼女は小島の斜め前の席だった
「うん、小野田さんは?」
「私も。」
「私も参加するよ〜、ね?」
「うん」
隣にいた活発そうな印象でポニーテールが似合っている須坂、
そのまた隣で相槌を打っている
ショートボブで大人しめな雰囲気の鈴木
彼女らも参加するらしい
「よかった、このクラスなんていうか…皆グループで固まってるって感じだからさ」
僕は率直な感想を述べた
「あはは」
小野田は屈託のない笑顔で笑った
「これで皆と仲良くなれるといいなぁ」
「きっとなれるよ!そうだ、よかったらついでにアドレス交換しない?」
「私のも私のも!」
「交換しよ」
こうして僕のアドレス帳に一気に3人の女の子のアドレスが登録された
女子からアドレスを貰っただけなのに
青春してるな、と思った。
女の子のアドレスをゲットしてグループに戻ると早速質問攻めにあった
「おい!どういう事だよ!」
川崎が僕に肩を組んできて言った
「いやたまたまロッカーで話しただけだっつの!」
「やっぱお前はモテるな〜、俺前からお前はそういう奴だと思ってたぜ…」
ウンウンと頷く小島
だが僕は小島がこのクラスの女子のアドレスをほぼ持っている事を知っていた
「そういうお前も人の事言えねーだろ?」
僕は少し脅してみた
「イヤイヤ!意味わかんないから!」
はぐらかされてしまった。
確かにこの状況では知られたくない話だ
小島は制服をだらしなく着崩していて、あまり格好には気をつけない奴だが
よく見ると顔はかなりのイケメンだった
それにノリも良い、このクラスで女子のアドレスを持ってるのも頷ける
昼休みが終わるチャイムが鳴り、僕がアドレスを貰ったという話はそのまま終わった
放課後、僕はクラス会に向けて、なるべく多くの人と打ち解けておこうと思った
そこで僕はクラス会発案者の戸田に話しかけてみた
「よう、戸田」
「あー、オッス」
向こうもあまり僕の事は知らないらしい
やっぱり同じクラスになって結構経つのに全く口を聞かないとなんか気まずい
「クラス会って具体的になにすんの?」
「え?とりあえずメシいくじゃん!?そっからカラオケいくっしょ!」
少し強引な印象だった
でもこの強引さは今のこのクラスには絶対必要だと思った
放課後
いつものグループで集まって帰宅している途中で僕が戸田と話した事を言うと、皆も誰と話したかを報告した
どうやら打ち解けておこうと思ったのは僕だけでは無いみたいだ
「え、俺誰とも話してねぇんだけど」
「川崎は恥ずかしがり屋さんだからな〜」
「[ピーーー]」
川崎以外は順調に皆と打ち解けているようだった
その日の夜
ケータイを開くとメールが来ていた
小野田と鈴木からだった
「あなたは好きな人に何を求めますか?」
初めてのメールがそれかよ!と思った
いきなりこんなメールどうしたんだろう
「どうしたのいきなり笑」
すぐに返事は来た
「今クラスの女の子達でサイゼ来てるんだけど、なんかそういう話になっちゃって!皆は他の男子に聞いたりしてるんだけど
私は君のアドレスしか持ってないから…」
なるほど、男子全員のアンケートみたいなものか
「そうなんだー
僕は好きになった人が好みのタイプになっちゃう感じなんだけど
強いていうなら面白さかなぁ」
僕はこの時彼女というものがよくわかっていなかった
中学3年で彼女はいたが、まだ精神的に幼かったからか
性への欲求や興味はあったけれど
結局は友達以上家族未満としか見ていなかったのだ
「わかった、ありがと
皆に言っておくね笑笑」
「あんま人に言いふらすなよ!ちょっと恥ずかしいから!笑」
彼女は今頃僕の好みのタイプを暴露しているのだろうか
明日から少し学校へ行くのが憂鬱になった
ふと、鈴木からもメールが来ていた事を思い出した
慌てて開くと、写真付きのメールの様だった
写真にはよくわからない生物の入れ物、少し破損しているようだった
豚?鹿?牛?魚?
「筆箱が怪我しちゃった(._.)」
筆箱だったらしい
というかどこに文房具を入れるんだろう
とりあえず「絆創膏貼っておけばきっと治るよ」と送っておいた
クラス会では最早大人数の合コンかなにかなのではというくらいの盛り上がりだった
戸田がとにかく騒いでいた
「俺さぁ!やっぱ高校入ったからにはこう…盛り上がって行きたいのよ!!!!」
酒でも飲んでるんじゃないかという勢いだった
周りの皆もとても楽しそうにはしゃいでいた
「お前らなに食う?俺はドリア」
「え?何お前ドリっちゃうの?」
「なにその動詞」
「何か最近そういうの多くね?パクる?みたいな」
「パクるは結構前からあるだろ」
こんな下らない会話をグダグダ続けた
皆が食事を終えてしばらくすると、2次会に行く事になった
「じゃあさ!これから2次会いくけど、来る人いる!?」
「俺いくよ」
「あ、俺も俺も」
男子は僕、石田、金田、川崎、戸田、小島のグループの他に男子が数名
女子は小野田、須坂、鈴木の他に佐伯、松岡、竹内など僕はまだ話した事の無い女子達も来る事になった
食事を終えた時刻が21時頃だったからか、2次会には思ったより人は集まらなかった
「おし!じゃあ2次会いこーぜ!」
戸田が元気良く叫ぶと小野田が言った
「カラオケだっけ?それにしては人数多すぎないかな?」
それもそうだった
「え、そう!?」
「まぁ俺らまだ高1だしな、そんな長くカラオケいられないし」
川崎、お前たまには考えるんだな
「じゃあ向こうに河原があるんだけどさ、そこでとりあえずダベろーぜ!」
小島は本当に遊ぶ場所を沢山知ってるなぁ
「あ、でも何する?」
佐伯が首を傾げながら言った
「あ、俺んちに花火あるよ」
「まだ早くね?」
「でも夜だしいいんじゃね」
「じゃあ家近いし取って来る」
石田、やると決めたら行動が早いなぁ
石田が自転車で花火を取りに行ってる間
僕達は塀に一列で腰掛けて、ひたすらボーッとしてた
「なぁ」
「なに?」
「なんかさ、こう意味もなくこうしてるのってなんかいいな」
「え?」
ポツポツと、金田が話していく
「中学の時はさ、毎日があっという間に時間が過ぎて行って、やらなきゃいけない事、やりたい事が沢山あったんだ」
「部活もあったし休みの日には友達とゲームに漫画、映画に遊園地、ああ、高速道路っぽい一本道を倒れるまでサイクリングした事もあったな」
「そんで受験勉強やって…あの頃は何をしても必死だった」
「なんだよ、結局何がいいたいんだよ」
「いや、何もしないってのもいいなぁって」
「ふーん」
それ以上は何も言えなかった
その時僕は人は…というとスケールが大きすぎる気がするが
皆は何かを必死にやってこそ、楽しい人生を送れるのだと思ってた
生きてる意味があるのだと思ってた
だからわからなかった、何もしない事がいい、という事が
「おーい、持ってきたよー」
石田が花火を持ってきた事で僕らのあいだに流れてた沈黙はなくなった
「待ってたぜー!」
「すごーい!こんなにあるの!?」
「私たちで使いきれるかなあ」
「打ち上げ花火とかロケット花火とかもあるぞ!」
結構遅い時間だったけど、かなり騒いだ
佐伯がねずみ花火に追い掛け回されたり、戸田がロケット花火を手に持って火傷しそうになったり
「すげー!これうん○花火って言うんだよな!?」
「なんかスナック菓子にこんなのなかったっけ」
「あれだろ、カールだろ」
「それそれ」
「俺もうカール食えねぇんだけど」
沢山あった手持ちの花火はあっという間になくなり、打ち上げ花火をしようと
戸田達が一生懸命チャッカマンをつけてるのを
はしゃぎすぎて疲れた僕は塀に寄りかかってぼんやり見ていた
「楽しかったね、花火」
「小野田さん」
「まぁまだ終わってないか、あはは」
「小野田さんはチャッカマンつけるの手伝わなくていいの?」
「私が行ったところでつくようになるわけじゃないでしょ」
彼女ははにかみながら言った
「それもそうだね」
僕も笑った
「・・・」
「・・・」
「私ね」
「ん?」
「戸田くんに告白されたの」
「・・・そうなんだ」
「まだ知り合ってそんなに経ってないのにね」
「人の恋愛なんて突然やってくるもんだよ〜
俺だって小学校の頃クラスの女の子に一目惚れしたことあるし」
冗談ぽく言った
「そういうもんなのかな」
「そうだよきっと、で返事はどうしたの?」
「断ったよ、まだお互いをしっかり知れていないから、これから仲良くなろうって」
「そうなんだ」
無難な答えだと思った
今にして思えば、彼女は戸田を突き放すような言い方はしなかったが、自分の意思をハッキリ伝えたのだ
あなたとは付き合えない、言葉にせずともハッキリと
戸田はおそらくこれからもチャンスがあると誤解するだろう
そして彼はこれからも振られ続けるんだろう
でも僕はその時、その言葉をそのままの意味で解釈していた
「どうして俺に話してくれたの?」
「なんとなく」
「なんとなく?」
「うん」
「そっか」
ちょうどその時、戸田が僕達を呼ぶ声が聞こえた
「行こう、打ち上げ花火は近くで見ないと」
「うん」
打ち上げ花火は、決して祭りで見るような壮大なものではなかったが
僕らを興奮させるには充分だった
それから戸田とは打ち上げがきっかけになり一緒にいることが増えた
僕たちのグループと一緒に昼飯を食うことも増えた
「小島、お前なにやってんの?」
「モンハン」
「持ってきてるならそう言えよ、ハンターランク9の俺が手伝ってやるのに」
「お前の助けなどいらぬ」
モンハンの話で盛り上がってると
戸田が話に入ってきた
「あ〜モンハンか!俺も一応持ってるんだよな〜」
「2ndGか、つい最近全部クエスト終わったばっかだわ」
さり気なく金田がドヤ顔をする
「へ〜すげーな!難しいよな〜アレ!」
「G級めっちゃ強いよな」
「俺途中のクエストでつまづいててさ〜!」
「飽きてきたら改造とかやるとめっちゃ楽しいぞ」
「へ〜、でも俺まだ全然終わってないからな〜!時間かかりそうだわ〜」
・・・どうやら戸田はみんなと一緒にモンハンをやりたいようだった
僕はみんなに提案してみた
「今度みんなで一狩りやっちゃう?」
「いいねぇ、どこでやる?」
「俺んちっしょ!」
「戸田ん家か、そういえば行ったことねーな」
その週の休日
小島、川崎、石田、金田と僕の6人で戸田の家に集まった
「・・・お前んちでかくね?」
「まぁあれだよ、うちの父ちゃんバイクとか趣味だからさ、車庫とかちょっとでかいし」
「ちょっとってレベルじゃねーよこれ、すげーな」
戸田の家は本当に大きかった
車庫には色々なタイプのバイク、外車っぽい車もあった
「いや〜久々だな!モンハンやんの」
「よし、早速なに行くよ」
「フルフルっしょ!」
「上位クエスト終わってねーのかよ!」
3人ずつで分かれてひたすら狩りをした
だが(小島いわく)この日がきっかけで
戸田は最低の高校生活を送ることになる
6月
だんだん蒸し暑くなってきて、帰りが憂鬱になってきた
風通しのいい教室から出るのが嫌だった
だから僕はよく戸田と放課後、教室でしばらく時間を潰した後に太陽が沈みかけてから
学校を出ていた
今日も同じように教室で時間を潰していた
この時たまたま部活が休みだった川崎も一緒だった
「トランプやろうぜ」
「3人で?」
「無理じゃね」
「じゃあまた怖い話でもする?」
「いや、それよりさぁ!・・・ねぇ、竹内さんたちも俺らとトランプやらね?」
戸田が離れた席に座って話していた竹内と松岡を呼んだ
竹内は色黒で艶のある黒髪を肩甲骨くらいまで伸ばしているおとなしめの子だった
松岡はオドオドした感じの顔で、小柄で巨乳だった(男子の中では胸の事で有名だった)
「・・・いいよ」
竹内は少し控えめな声でそう言った
「松岡さんは?」
「えっあっ別にいいよ」
彼女もオドオドした声で賛成した
5人で大貧民をやった
「8流し!そんで3出して・・・はい上がり〜!」
よくある上がり方だ
「お前上がるのはえーなー・・・ほい、5」
「あっえっ・・・6」
「ハイ8流し〜!JOKER出して3出して上がり〜!」
「3で上がるのって流行ってんの?」
そんなこんなでほぼみんな上がってしまい、残るは松岡と川崎だけになった
「松岡さん、ここでイチかバチか出してみたほうがいいかも」
僕はここで控えめな女子を最下位にすると気まずい空気になりそうだったので
少しアドバイスをした
松岡は少し驚いた顔をしたけど、すぐに頷いて言うとおりにしてくれた
「・・・パス」
川崎が何か言いたそうな目で見ているが、スルーする
「じゃあこれだしてこれで・・・」
松岡が上がった、大貧民は川崎だった
大貧民をやってしばらくすると、時間も時間だったので解散した
その日の夜
戸田からメールがきた
「今週末遊ぼうぜ!」
「いいよ、誰誘う?」
「それなんだけどさ、松岡さんと竹内さん呼んでいい?」
「いいけど、なにするの?」
「当日考えるわ」
週末
僕たちは駅に集まった
それからカラオケに行った
「メ〜ルト〜♪」
当時はめちゃめちゃ聞いたことのある曲を松岡と竹内がデュエットで歌った
「松岡さん達歌上手いね」
「そう?君も上手いと思うよ」
「俺は!?」
「戸田くんは、うん、頑張って・・・」
「なんで微妙な反応なの!?」
戸田は正直かなり微妙だった、点数も良くはなかったし
・・・僕が言えたことではなかったけど
これからは暇な時一人で練習しに行こうかな・・・
「き今日は楽しかった、ありがとね」
それから近くのショッピングモールを回ったりして、すっかり二人と打ち解けた
彼女たちも楽しめたようでよかった
「それじゃあ、私たち向こうだから」
「あ、俺たち送っていくけど!?」
「ううん、大丈夫、私たち二人だから、バイバイ」
「バイバイ」
「じゃあね」
「なぁ」
「んー?」
「楽しかったな!」
「うん」
「また行けるといいなぁ」
「そうだな」
戸田は終始ご機嫌だった
7月
夏が近づいてきた
うちの高校では夏休みや冬休み直前になるとクラス対抗で球技大会がある
サッカー、バスケ、バレーの3つの種目があり、男女別にチームを組んで分かれるのだ
「金田、バスケやろうぜ」
「お、いいぜー、石田ーお前もバスケなー」
「マジで?」
「俺もやるやる、小島は?」
僕はバスケを選択した
実は小学校の頃にミニバスをやっていて、レギュラーだったのだ
サッカー以外の競技には自信があった
バスケのチームは、
僕の他に金田、小島、川崎、石田の5人だった
うちのクラスにはあまりバスケを経験した人がいなかったので
あまり人は集まらず、チームの人数もギリギリだった
その分他の競技に人が集中してしまい、随分決定に時間がかかっていた
チームも決まってしまい退屈だったので
小野田に話しかけてみた
あの花火の時以来すこしだけメールのやりとりはしていたが、あまり話したりはしなかった
でも僕は彼女との何気ないやりとりのメールが嫌いではなかった
「よっ」
「ん、君は何にしたの?」
「俺はバスケ!これでも経験者だからね」
「あ〜言われてみればなんかスポーツマンって感じ!」
「でしょでしょ?小野田さんは何にしたの?」
「私もバスケにしよっかな〜って思ってる」
「そうなんだ、ほかには?」
「須坂や鈴木も一緒だよ、あとバスケ経験者の神田さんと、伊藤さん」
「へ〜、なんでバスケにしたの?」
「サッカーは・・・ボール蹴るのって私苦手で〜」
同じく
「あとバレーは・・・レシーブすると腕痛くなるし〜」
同じく
「まぁバスケも・・・そこまで経験あるわけじゃないけど、私は結構好きだから」
人数が偏ったところはジャンケンで決めて
無事にチーム編成が終わった
「そういえばさ、花火の事なんだけど」
「ん?」
「・・・いや、やっぱなんでもない」
「そっか」
なんとなく気になっていたことを言ったけど
彼女に聞いたところでどうにもならないだろう
ある日
戸田がひらめいたように言った
「なあ、酒飲みたいな!」
「いきなりだな!まぁ、確かにな」
「今度飲もうぜ!」
僕は前から酒には興味があった
飲んでると大人になった気がするし、なんかカッコイイから
それに友達と一緒ならなんとなく心強い
「いいよ、他に誰誘う?」
「じゃあさ・・・松岡と竹内は?」
どうやらあの二人は戸田のお気に入りらしい
この前のカラオケがそんなに楽しかったんだな〜と思った
「あ、え、お酒?まぁ、いいけど」
松岡はいつもどおりオドオドしていたが、OKしてくれた
「うん、いいよ、私飲むの初めて」
竹内もOKしてくれた
週末に俺の家に集まった
酒は父ちゃんが飲むビールや姉が冷蔵庫にしまっているチューハイを飲むことにした
戸田がそれぞれのコップに酒を注いだ
「それじゃあ、カンパ〜イ!」
「うわっ、にが!!!にげぇ〜!」
「お、おお・・・これが酒!」
アルコールは3%ほどの軽い酒だが
まだ味覚が敏感だった僕にとっては中々苦いものだった
特にビールはかなり苦かった
あれを一気飲みできる父が理解できなかった
「う”」
「・・・・・」
松岡と竹内はほぼ無言で飲んでいた
「にがい」
「ん〜喉が熱い」
そう言われるとなんか喉がホクホクするような・・・
そんな酒の余韻に浸りながら色々話をしていると
松岡が急に饒舌になり始めた
「ねぇ、君ってホモ?」
「え?」
「ねぇ、受け?攻め?」
「ん?????」
「ちょ、ちょっと!そういう話はここじゃダメだよぉ!」
松岡を止めようとする竹内だが、彼女もいつもより少し声が大きくなっていた
「だっていつも戸田くんと一緒でしょ?」
「それだけでホモはないだろ!それにそんなに一緒ってわけでもないぞ!」
「え、松岡ってもしかして、腐女子ってやつ?」
「お前まで何言ってんの戸田」
「やめて!松岡まじでやめて!」
割と本気で松岡を止めようとしてる竹内
その後、松岡の誤解(?)を解くのに1時間ほどかかった
「そうなんだ〜、ホモじゃないんだね〜」
「だからそうだって言ってるじゃん」
「松岡は酒に弱いなあ」
「笑い事じゃないよぉ」
「ていうか松岡さんってそういう趣味だったんだなあ・・・」
「確かにな、ちょっと引くな」
「戸田くんに引かれてもなんもないけどね〜」
「ひどくね!?」
酒を飲んだ松岡は饒舌で、本音をストレートに言っていた
中には結構キツイ言葉もあった
松岡が饒舌になった途端、空気は一変した
話は飛び、いつのまにか猥談になっていた
「はぁ〜なんかあついね〜」
突然そう言って松岡は上着を脱ぎだした
「おぉ・・・」
「・・・・・」
僕と戸田はその大胆さと松岡の意外な色っぽさに少しキュンとした
「ねぇ君も脱ご?」
松岡はそう言って僕の服も脱がそうとし始めた
「え、あ」
普段なら絶対拒否するところだが、僕も酒に酔っていたせいか
抵抗は殆どしなかった
戸田が俺は俺は?という目で竹内を見る
「戸田くん、ヘンタイ」
「俺だけかよ!」
松岡が僕の服を脱がすと、鎖骨やらなんやらを撫で回し始めた
正直言うともう理性が吹き飛ぶ寸前だった
そうこうしてるうちに更に2時間ほど経った
戸田は寝てしまったらしい
竹内はずっと黙ってこっちを見ていた、怖かった
そうこうしていると、松岡が下着まで脱いでスッポンポンになっていた
「いや、マジでやばいよそれは」
「暑いからいいの〜」
「私ホモもいいけど普通にエッチなのも大好きなの」
「いっつも竹内とこういう画像見てるんだ〜」
そう言って見せた画像は男子が持っているようなエロ画像だった
「君ってヤったことあるの?」
「ま、まぁ一応」
「ふーん、じゃあ私に色々教えてよ!」
「え・・・・・」
「私は?」
いつの間にか竹内も服を脱いで僕のベッドまで這い上がっていた
「え、でも俺もあんまやったことないから」
「じゃあ私で色々試してみて」
正直我慢の限界だったのでいろいろ試してみた
松岡の大きめな乳や柔らかい腹の肉とか二の腕とか太ももとかを飽きるまで撫で回した
竹内の尻もふわふわだった
触っている間、僕の股間はかなり膨張してたので
松岡に咥えて貰った
竹内にはクンニをして、松岡には手マンをした
それから二人と3Pをした
二人共初めてで、出血もそれなりにあったし、すごく痛かったようで
泣きまくっていたが、僕はお構いなしに二人の体を思う存分味わった
松岡はムッチリしていて、中のも肉厚という感じでギュウギュウしていて最高だった
竹内は締まりがかなりよくて、感度も良かった
2人に2回づつ中に出してしまって後々死にたくなったが
妊娠はしなかったのでよかった
それから朝になって、何もなかったかのように松岡と竹内は先に帰った
戸田は昼まで起こさなかった
それから二人とは度々うちに上がらせては何度もやった
親は家を空けがちだったので、いつでもできた
流石に次からはゴムは付けた
僕はドンキに売ってる精力剤を彼女達に買ってもらい、それでかなりの回数をやった
でも出費はかなり痛かった
二人の体は何度抱いても飽きなかった
まだ思春期真っ盛りの高校生だったからかもしれない
ハメ撮りやベランダに出て野外もした
色々な体位もやった
バックに正常位に騎乗位に69
貝合わせのようなものはやり方がわからなかったのであまり気持ちよくはなかった
週末に戸田も含めて4人で遊びつつ帰りに落ち合って陰でやるのは背徳感があってとてもよかった
戸田が少し不憫だなと思ったがそんなことよりその時はひたすらセックスに夢中だった
それから2週間ほどたって
球技大会当日になった
僕はバスケを経験していたということもあったが
周りより先になにもかも経験していたのだ、という思っていたので自信満々だった
もうなんでもできるような気がした
「1回戦目余裕だな」
「だなー、バスケ経験者いないもんな」
「流すか」
「そだな」
数年まともにバスケをやっていなかったので、少し衰えてはいたが
すぐに慣れた
僕のチームがシュートを決めるたびにうちのクラスや他のクラスの男子からも歓声が上がっていた
なんだかヒーローみたいで嬉しかった
「お疲れ!余裕だったな」
「おう!でも俺もう疲れたわ〜」
「お前流してなかったのかよ」
「いや、俺手加減とかできない人間だから!」
「次も頑張ろうぜー」
試合が終わって体育館を出ると、小野田が入口にいた
「おつかれ〜、君すごかったねぇ」
「ありがと」
「なんかかっこよかったよ!」
「照れる照れる」
「照れんな!」
「小野田さんはいつ試合?」
「んー10時半から」
「じゃあ俺も小野田さんの試合応援行くよ」
「ありがと、私あんまバスケできないけど頑張るね」
「ポジティブなのはいい事だ」
「それなんの物真似ー?」
まだ?
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