●
律子「はっきり愚痴を言わせてもらうと、私たちは飽き飽きしています」
律子「萌え要素をツギハギしただけの記号的なキャラ、ビジュアルがとにかく可愛いだけの深みの無いキャラ」
律子「アナタたちも薄々感じているはずですよ?」
律子「……」ギィ…… (椅子に深くもたれる)
律子「この場を借りて、臆面もなく言わせていただきましょう」
律子「そして、今から証明してみせましょう」
律子「……」
律子「『THE IDOLM@STR』こそが、正真正銘の終わらないコンテンツであることを」
スレタイキモッ!!!!
うざ
クロスSSですがクロス元知らない人のほうが楽しめるかもしれません
書くの遅いですが完結まで頑張りますので落ちたらごめんなさい
あ、はい・・・
Days 6,305 ● -萩原邸 鏡の前-
雪歩「もしもぉ~し? あなたは萩原雪歩でしょうか?」
雪歩「売れないダメダメアイドルの、萩原雪歩でしょうか?」
雪歩「……」
雪歩「なんだか最近思うんです」
雪歩「本当に、私は私なのか、って」
雪歩「もしかしたら萩原雪歩は2人いたりするんじゃないか、って」
雪歩「どう思いますか? 鏡の中の萩原雪歩さん」
雪歩「……答えが返ってくるわけない、よね」
──萩原雪歩、先に向かっていますよ? (貴音が雪歩を呼ぶ声)
雪歩「あっはぁい! 四条さん今行きますぅ!」タタッ
萩原雪歩、17歳です 現在Eランクアイドル 四条さんとデュオを組んでいます
懐かしいな
支援
期待
● -萩原邸 玄関前-
雪歩「四条さぁん?」キョロキョロ
雪歩「うぅ……また四条さんの神隠しに会いましたぁ……」
事務所の提案で、親睦を深めるために四条さんと同棲をしています。
いつも凛としていて、綺麗で、憧れの四条さんだけど、こういう時は本当に困りますぅ……。
美希「ゆ~きほっ♪ おはようなのー! 先に事務所行ってるよ」ポンッ (雪歩の肩を叩く)
雪歩「おはよう、美希ちゃん」
雪歩「あっそれと」
雪歩「会えない時のために。 こんにちは、こんばんは、おやすみ」
美希「あはっ♪ 何それ、新しいポエム?」
雪歩「う、うん。 どうかな? 昨日の夜考えてみたんだけど」
私の人生で2度、とっても辛い別れがあったから。その想いを込めて。
美希「んーバッチグーなの♪」 (指でサインを作る)
スレタイのあいさつ、洋画でみたことあるわ
ジムキャリーだったな
>>10
「トゥルーマン・ショー」だったっけ
● -事務所への道 公園前-
あずさ「あらあら~ 雪歩ちゃん今日も白いワンピースがお似合いねぇ」 (頬に手を当てて微笑む)
雪歩「あっ、あずささんおはようございます」ペコッ
同じ場所、同じ時間で、今日も毎朝の日課を聞きます。
あずさ「雪歩ちゃぁん、今日の占いはねぇ……」 (微笑む)
あずさ「アンハッピー。 嫌な事が立て続けに起こるでしょう……ね。 残念だわ~」
雪歩「ううぅ~……やっぱりダメダメな私は運勢もダメダメなんですぅ~……」
あずさ「うふふ、そんな事ないわ~」
雪歩「でも、あずささんの占いってよく当た……」
……ヒュウウゥゥゥゥ……
雪歩「へっ?」
頭上から空気を裂く音がして、空を見上げると何か真っ黒いものが降って……へっ?! わ、私の近くにっ!
ガシャァァァアアアン!!!
あずさ「ゆっ雪歩ちゃん大丈夫?!」タタッ
雪歩「ひぃ……ひぃぃ……」
間一髪、空からの落下物はガラスを飛び散らせながら、私の数メートル先に転がり落ちました。
あずさ「い、一体何が落ちてきたのかしら?」
雪歩「な、なにこれ……?」ツンツン
それは、両手で持ち抱える程の大きさの、何かの器具のようなものでした。
小さな白いラベルが貼ってあって「No.304」の文字が……
雪歩「……?」
あずさ「や、やっぱり今日は雪歩ちゃん、今日はアンハッピーかもしれないわね~」 (頬に手を当てつつ苦笑する)
雪歩「うぅぅ……」
くぅ~疲
「他の番組は?」
「TVガイドを」
● -事務所前 大通り-
雪歩「うぅ、あずささんに任せて先に行っちゃったけど……本当に良かったのかな」スタスタスタ
雪歩「これってもしかしてダメダメな私への神様の天罰か何か、ですか……?」
雪歩「……」
雪歩「ううん、朝からこんなにネガティブだとまた四条さんに心配されちゃう」
雪歩「こんな時は……」ゴソゴソ
雪歩「Yuki-Phoneの出番ですぅ!」バーン!
雪歩「……」///
ただのi-phoneですぅ
えへへ、これで通勤しながら音楽とかラジオを聞くのがささやかな楽しみ
Yuki-Phone『続いては臨時ニュースです。 飛行機が故障して一部の部品が足立区に落下したとの情報が……』
雪歩「……」
Yuki-Phone『これから飛行機に乗る予定の方はご注意を』
雪歩「ぜ、絶対無理ですぅ~~!」
Yuki-Phone『それでは、GOOD LUCK!』
トゥルーマンショー好き
● -事務所前 階段前-
雪歩「ち、遅刻かな? まだ大丈夫だよね」
亜美「ゆっきぴょーん! あーゆでぃ?!」ダキッ (雪歩に背後から抱きつく)
雪歩「ひゃっ!」
真美「みーわくのレディのPUSHすたぁ~と?!」ダキッ (更に亜美の背後から抱きつく)
雪歩「お、おはよう亜美ちゃん……真美ちゃん……いたた……」
真美「んっふっふ→ ゆきぴょん、元気がないよーだから早速イタズラをしかけさせてもらったよ?」
雪歩「へっ、イタズラ?」
亜美「んふふ→ 後ろの壁を見のだゆきぴょんよ」
雪歩「後ろの壁って……ポスターが貼ってある……」
[古里村 ガチムチ納涼祭! 男好きなみんな行っチャオ☆]
雪歩「ッッッ~~~~~!!!」
雪歩「おっ男の人~~~~!!!!」ダダダダッ
亜美「あっはっは! ゆきぴょん亜美達より元気いっぱいじゅわぁ~ん!」 (腹を抱えて爆笑する)
こんな感じで、私は765プロの皆たちとこうした楽しい日常を送っています
男の人は苦手です……
どうしてもダメなんです……
絶対絶対にダメなんです……
● -765プロ事務所 オフィスデスク前-
小鳥「はい、雪歩ちゃん。 頼まれてたお茶と……あと雑誌」スッ (雪歩に雑誌を手渡す)
『イケメンアイドル大特集 -Jupiterに新メンバー加入?! 熱いニュースにBL本が厚くなる!-』
小鳥「……」
雪歩「ありがとうございますぅ」
雪歩「……」
小鳥「……」
雪歩「あっあのっ、これはその、違う感じでっ! ただあのっ私はっ」
雪歩「 男 の 人 が 大 好 き で す ! ! !」
小鳥「……」
雪歩「あっ今のはお茶と男の人を間違え……ひぃ~~ん……」
雪歩「ざ、雑誌にハーブティのコラムをやってて、そっそれで……」アタフタ (両手をワチャワチャする)
小鳥「……そう」 (無関心)
④
小鳥「はーい、今日もお仕事が来るまで事務所で待機でーす」パンッ (手を叩く)
雪歩「うぅ、要するに何もお仕事無いんですね……」
雪歩「それじゃ……」スッ
Yuki-Phonを取り出して、着信履歴からお決まりの番号を選択しました。
Yuki-Phon『はい、こちらアイドルプロダクション案内係です』
雪歩「あ、あのあの、真さんという方が所属しているプロダクションを教えて欲しいのですが……」
Yuki-Phon『……はい、今日は大体どこの地域でお探しでしょうか?』
雪歩「えっと……それじゃ神奈川の……南くらいで……はい男性の方です……ショートカットの黒髪で……」
Yuki-Phon『該当の方はいませんね。せめて名字さえわかれば……』
雪歩「……ありがとうございました」プツッ
ほ
雪歩「ふぅ……すぅ……」
深い深いため息をひとつ。もやもやした気持ちを全部吐き出すように。
気持ちを落ちつかせて、今度はぐつぐつした気持ちを、胸の中へ吸い込むように深呼吸をひとつ。
雪歩「……えい!」ペラッ
ちっぽけな勇気を振り絞りながら、雑誌のページを1枚ずつめくります。
うぅ……やっぱり男の人ばっかり……。えっと、薄く切れるような釣り目に、吸い込まれるような大きな黒い瞳……。
雪歩「あっ……」
1枚の写真に、目が止まりました。
別人だけど似てる、かもしれない。瞳が、たしか、こんな感じだった。
ぼんやりと霧のかかった顔が頭の中に浮かぶ。
雪歩「……真美ちゃん、ハサミ貸してもらっていいかな」
真美「えっ、いいけど……」スッ (ハサミを手渡す)
雪歩「……!」チョキチョキ
真美「ゆきぴょん何してんの? イケメンアイドルの目の部分だけ切り取ってさ……新しいシュミ?」 (呆れ顔を浮かべる)
ポーチから誰にも見られないように、こっそりと、男の人の顔のパーツを貼りつけて作ったモンタージュ写真を取り出しました。
今貼ってあるのはショートカットの黒髪、うっすらと紅色のかかった唇、なだらかで均整のとれた輪郭……。
雪歩「……んっ」ペタッ
これで、目が完成。 似てる? 似てない? あの人に。 あの時の思い出に。 よくわからない。
雪歩「……」
バカみたい、ですよね、私。
小鳥「雪歩ちゃーん! お仕事よー!!! どこにいるのー?!」 (大声)
雪歩「へっ、ほっ、ほんとですか?!」サッ
小鳥「えぇ、今から営業にいってもらうわ」ニッコリ (満面の笑み)
雪歩「が、頑張ります! そ、それで足立区のどこですか?!」
小鳥「いいえ、今回は隣の区へ行ってもらうから」ニコニコ (笑みを崩さず)
雪歩「へっ?」
小鳥「移動はモノレールを使ってちょうだい」ニコニコ (相変わらずの笑み)
雪歩「ふえぇぇえ~!!!???」
● -足立区 モノレール-
うぅ……足立区っておかしいよ……。絶対不便だよ……。東京の中なのに森に囲まれてるって……。地下鉄も走ってないなんて……。
文化フライは美味しいけど……。移動手段がモノレールだけって……。
雪歩「あ、あの……往復切符……お願いしますぅ……」
車掌「はい」ピッ (切符を手渡す)
雪歩「ありがとうございますぅ……ひぐっ……」ジリ……ジリ……
一歩一歩、すり足で階段の方へ向かっていく。お願い、何か奇跡……起こって……。
雪歩「だ……大丈夫……大丈夫、平気、うん平気だよ。 な、何度も言えるよ」
雪歩「きっと今日は奇跡が起こってる。この角を曲がると……」スッ
曲がると……。
犬「」
雪歩「」
雪歩「」
犬「ヴァイ!」
雪歩「犬 ぅ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ! ! ! ! 」ダダダダダダッ
車掌「お、お客さぁん?! 今日も乗らないんですかー?!」ブンブン (雪歩の後ろ姿に手を振る)
● -足立区 公園噴水前-
雪歩「犬ぅ~~~……」ヒックヒック
気が付いたらいつのまにか日は落ちて、あたりは真っ暗でした。
蝉の声がかすかに遠くから聞こえてきます。
雪歩「うっ……やっぱり犬こわいよぉ……」グスン
あれは、二年前……。
● -二年前 足立区 森林内撮影現場-
犬「ヴァイ!ヴァイ!」
雪歩「あっわんちゃんですぅ。 よーしよーしおいで」ナデナデ
犬「クゥ~ン♪」
雪歩「えへへ、毛がふかふかで、可愛いな」ナデナデ
P「雪歩、今日は動物との撮影ロケ、頼んだぞ」グッ (拳を強く握る)
雪歩「はい! Dランクアイドル昇進のチャンス、ですもんね! 絶対に成功させます!」
これから寝ようと思ってたのに
これは完結して欲しい
いいね
……。
雪歩「だっだれかぁ! スタッフさん!来てください! 助けてくださぁい!」
目の前でプロデューサーが何匹もの大型の犬に襲われている。
必死に転がって、もだえて、時々ゾッとするようなうめき声をあげる。
P「ッッ! 逃げろ! 俺のことはいいから雪歩!!!」 (転がりながら叫ぶ)
雪歩「そっそんなっ! プロ、プロデューサァー!」
その時の私の顔はきっと、見れたものじゃないと思う。
スタッフ「萩原さん、避難を! あなたも襲われます!」ガシッ (雪歩の腕を掴む)
P「う、うおおおおおおお!」ゴロゴロゴロ (坂へ転げ落ちる)
雪歩「離してくださぁい! イヤですぅ! プ………」
……プロデューサァァァァ!!!!!
● -足立区 公園噴水前-
雪歩「……うっ……」ブルッ
あの時の事を思い出すと今でも、体が震えます。
プロデューサーは懸命の捜査も虚しく行方不明に。遺体は恐らく犬に食べられてしまったのだろう、と……。
頬に、一粒の雫が降り落ちました。
雪歩「……雨」
やがて雫は二粒に、三粒に、無数に、強く、痛いほど強く。
まるで私の気持ちを表しているかのような、酷い土砂降りでした。
雪歩「……」
こんなに遅いと、四条さんにまた心配かけちゃう。帰ろう。
ずぶ濡れになって透けたワンピースをからだ全体で持ち上げ、帰路に就きました。
● -萩原邸 ダイニング-
雪歩「ただいまですぅ……」
貴音「雪歩、随分と遅かっ……まぁ、ずぶ濡れではありませんか!」 (目を見開く)
雪歩「また、お仕事潰しちゃいました……ごめんなさい……」
貴音「良いのですよ、雪歩。 今はEランクでも、ゆっくりと、共に歩んでいこうではありませんか」 (花のような柔らかい笑み)
あぁ、四条さんは、伝え下手な私の澱んだ心を、きれいに掬い取ってくれる。
まるで私を、いつでも、いつでも見守ってくれているみたい。
貴音「イヤな事は忘れて、もう夕食にしましょう。 わたくしはもう、空腹の極みです」
雪歩「はい。待っててくれたんですね、ありがとうございます」
貴音「もちろんです、今日の夕食は……」スッ (口元に人差し指を当てる)
貴音「らぁめん二十郎、10周年記念。 メンカタカラメヤサイダブルニンニクアブラマシマシ、トッピングスペシャル」
貴音「……なのですから、是非雪歩と一緒に食べたかったのですよ」スッ (人差し指を降ろす)
雪歩「えへへ、そんなの食べきれないですよぉ」
Yuki-Phon『コースモースコスモス! コースモスコスモッス!』
雪歩「ひゃっ! 着信が……こんな遅くに……誰だろう」ピッ
雪歩「……春香ちゃん?」
Pカワイソス…
● -足立区 公園ベンチ-
春香「はい、雪歩。 今日はめんたい味だよー」スッ (うまい棒を雪歩に手渡す)
雪歩「ありがとう、えへへ、やっぱりうまい棒はおいしいね……」サクサク
天海春香ちゃん、私がアイドル候補生の時から今までずっと一緒だった……親友!です。
雪歩「ねぇ春香ちゃん、私たちランクが上がったら足立区以外のお仕事も入ってくるのかな」
春香「んー? そうだねぇ。でも、やっぱり現実は厳しいねぇ、アイタタタ」サクサク (うまい棒を食べながら喋る)
春香「私は今のままでも十分楽しいなーって思うよ、おっとっと」ポロッ (うまい棒の食べカスをおとす)
雪歩「……うん、皆と居ると楽しいよ。 でもね、最近私、大きなステージで思い切り踊ってみたい、って思うんだ」
春香「大きなステージって具体的にぃ? あむっ」 (うまい棒を口に含む)
雪歩「……」
雪歩「東京ドーム」
春香「?! ドームですよ!ドー…ッ…ウェッホエッホ!」 (蒸せる)
ゆきぽぽ
春香「……ッ……ゆっゆきほぉっ! 私たち今Eランクだよ! ドームって……A、ううんSランクじゃないと無理だよ!」ドンドンッ (胸を叩きながら)
雪歩「……私らしくない、かな?」
春香「うん、いつもの雪歩だったら……ダメダメな私はケツの穴掘って埋まってますぅ~!って言うとこだよ!?」 (穴を掘る仕草をする)
雪歩「えっ……私そんなこと言わないよ……」
春香「もーボラギノールジョークだよー! 私も愛用中!」ポンポン (雪歩の肩を叩く)
えっ、春香ちゃんってこんな事言う子だったっけ……。
雪歩「でも、いつか行ってみたいなぁ、そろそろ私も足立区限定アイドルから卒業したいよ……」ギュッ
それと、あの日の約束のためにも。
春香「あはは、それじゃあ、まずはモノレールに乗れるようになる所から始めないとね」ニヤリ (閣下的暗黒微笑)
雪歩「えっ?! 知ってた、の?! うぅぅぅ……春香ちゃんはイジワルですぅ……」
支援は紳士のつとめ
Days 6,306 早朝
● -事務所前 大通り-
Yuki-Phone『今日の占いです。 ヤギ座の方はミラクルハッピーです。 何も危険のない、平和な一日となるでしょう』
雪歩「占い、当たるといいな、えへへ」スタスタ
小鳥「雪歩ちゃん奇遇ね! 今日も頼まれた雑誌、持ってきたわよ」ポンッ (背後から雪歩の肩を叩く)
雪歩「あっ! 音無さん、ありがとうございますぅ!」ペコッ
雪歩「えっと、その、あれは……」モジモジ
小鳥「ハーブティの研究、でしょ?」パチッ (ウィンクを投げる)
雪歩「うぅ、はい……」
小鳥「うふふ、見終わったら私に貸してちょうだいね~」タッタッタ (小走りで事務所へ向かう)
雪歩「……えへ、今日は良いことが起こりますように」スタスタ
P「」
雪歩「お仕事が来ますよ──」
──えっ?──
不意に、視界の端に、見覚えのある横顔がすぅと通り抜けました。
雪歩「っっ!!」バッ
P「」
振り向──あの人っ──高い背──眼鏡──くたびれたYシャツ──水色のネクタイ──
P「」
雪歩「ぁ……」
P「」
──見間違えるはず、ない──
雪歩「ぷ……」
雪歩「プロデューサー?」
P「」
P「雪」
高木「あーーーー!!!! そこでこっちを見ているキミ!!! そうキミだよ!!!」 (怒号)
雪歩「へっ」
高木「こっちへ来なさい!!!!」ガシッ (P?の腕を思い切り掴む)
しえ
高木「私の事務所のアイドルに何をしようとしているのかね!!!」ズズズ…… (Pを引きずる)
P「ま、待ってください!」
高木「話は向こうで聞こう!!!!ささっ!!!!」ズズ…… (引きずる)
P「このまま……続けさせてくださぁい!」
高木「なぁにを言っているのかね!!!!」ズズズズ! (思い切り引きずる)
P「続けさせてくださぁい!!」ジタバタ
雪歩「へっ、あっ、ちょっ、しゃちょっ、待ってくださっ」タッ……
ガシッ
あずさ「雪歩ちゃぁん、助けてぇ、迷子になっちゃったわぁ~!」 (雪歩の背中から強く抱きつく)
雪歩「あっあずささん!? それよりっあれっ、プップロデューサーが!」
あずさ「あらぁ~、事務所はどっちかしらぁ~!」ズズ… (普段では考えられない力で雪歩を引きとめる)
P「続けさせてくだ……!」
P「……!……!」
社長に引きずられて、プロデューサーの姿がどんどん遠くへ、小さくなっていく。
雪歩「は、離してくださぁい! あずささぁん! 事務所ならあっちですぅ!」
あずさ「あらあら~、お願い一緒に着いてきてちょうだぁい!」ズズ…… (雪歩を背後へ引っ張る)
美希「あっ、ゆーきーほ♪ またポエム教えてなのー!」ガシッ (アメフトのタックルのように抱きつく)
雪歩「ミキちゃっ?! えっとえっと、萩原と荻原もうどっちでもいいですぅ! かっ考えたから離してぇ!」ジタバタ
美希「むーイマイチだから離してあげないの~」ズズ…… (雪歩をひたすら押し込む)
雪歩「ひぃ~~~ん!!!」
……結局その後、事務所へ戻って、社長にあれはプロデューサーだと、必死に説明しても
「最近多発しているアイドルを狙っている変質者だ」の一点張りで、意見を聞き入れてはくれませんでした。
● -萩原邸 地下倉庫-
雪歩「……」ペラッ
埃をかぶった小さな黒い箱から、数枚の写真を取り出す。
デビュー記念、オーディション合格記念、番組出演記念。
みんなプロデューサーが写っている写真。やっぱり見間違えるはずないよ。
一度目の別れで後悔したから、ううん、今でも後悔してるから。
ちゃんと、写真は撮るようにしたんだよ。
貴音「雪歩、ここにいるのですか?」ギィ…… (階段を軋ませながら降りてくる)
雪歩「あっ……四条さん……」
貴音「プロデューサー殿の写真……やはりアレはプロデューサー殿だったのですか?」 (怪訝な顔つきで)
雪歩「はい、きっと」
雪歩「……えっ、どうして四条さんが知っているんですか?」
四条さんは今日はオフで事務所に行ってないはず……。
貴音「……」
貴音「高木殿から電話がかかってきたのです」ニッコリ (花のような柔らかい微笑み)
雪歩「……」
雪歩「そうですか……」
貴音「上で待っていますよ、わたくしはもう空腹の極みです」
貴音「ときに雪歩、その自転車、そろそろ買い替え時では?」スッ (自転車を指さす)
雪歩「えっ?」
貴音「……」スッ (唇に人差し指を当てる)
貴音「『自転車』、『MASTER SPECIAL 05』に絶賛収録中。好きだよ、心こめて……」
貴音「……」スッ (人差し指を降ろす)
雪歩「……」
雪歩「……?」
……。
四条さんの気配が無くなったのを確認してから……。
雪歩「……よいしょっ」パカッ
黒い箱の二重底をあけて、丁寧にくるんだビニール袋の中から……。
雪歩「……」スッ
一着のジャージを取り出しました。私には似合わないスポーティなジャージ。
雪歩「……失礼しますぅ……」クンカクンカ
埃の匂い。もう残り香も消えちゃった、です。
小さな真っ白な缶バッジが肩についてて「First Step」って書いてある。
雪歩「……」クンカクンカ
……。
■
冬馬「おい、なにやってやがんだ?」
翔太「思い出を必死に手繰り寄せてるんだよ。 童貞の冬馬くんにはちょっと難しいかな?」
冬馬「はっはぁ!? どっどっどっ童貞ちゃうわ!!」 (顔を真っ赤にする)
翔太「そう、美しい思い出だよ……あれは……」
あれは今から三年前……。
Days 5,110 ● -765プロオーディション会場-
雪歩「うぅぅ……私がアイドルになんてなれるわけないよ……海藻あたりがお似合いだよ……」
春香「ほーらっ! ゆっきほ! 『ポジティブ!』だよ! 『ポジティブ!』」ポンッ! (笑顔で肩を叩く)
雪歩「どうしよ、あとちょっとで順番呼ばれちゃう……」モジモジモジモジモジモジ
雪歩「や、やっぱり諦めて帰ろ──」
……ポンッ……
突然、ふわりと頭に何かが乗っかった感触がした。
手? 手だ。 凄く優しい包み込むような手……。
真「がんばれ」ボソッ
雪歩「えっ……?!」
真「ははっ、すごく怯えてるみたいだから、居てもたってもいられなくなって勝手に手が、ね」 (手をひらひらとさせて立ち去る)
雪歩「……?」
顔、よく見えなかった。今、男の人に触られた……?
いつもだったら、それだけで失神しちゃうのに。
だけど、何でだろう。 あの人は平気だった……。
春香「雪歩! オーディション『START!!』だよっ! 『START!!』!」 (満面の春香さんスマイル)
Days 5,121 ● -プロダクション合同合格発表会場-
ま、まさか合格出来るなんて思ってませんでしたぁ……。
雪歩「奇跡だよね……」
春香「違うよ、雪歩が頑張ったからだよ! えらいえらい、花丸をあげよう」 (くるくると雪歩のオデコで指を回す)
ううん、きっと、あの人が励ましてくれたおかげ。
あの人のおかげで、逃げ出さないで男の人と喋る勇気が出た。
雪歩「合格……してるのかな?」キョロキョロ
辺りを見回すと数十人の新米アイドルのみんながカチカチに緊張してる。
黒髪のショートカットを探す……いるかな……。
真「……」
……あっ……。
いた。声が漏れる。
全力四円
真「……あっ……」
目と目が合う。……あの目……。じっと私の方を見つめてくる黒い瞳。
その時、思った、ううん、もっと深い部分で、そう、感じたのは……。
他のアイドルの皆とは違う、春香ちゃんとも、違う、お父さんとも、私が今まで出会ってきた人全員と違う。
純粋で無垢な瞳。そんな目をして──。
……ドスンッ……!
突然、目の前が真っ暗になる。
気づいたら、いつのまにか地面に仰向けに倒れていました。
雪歩「うぅ……な……に……?」
段々と視界が明るくなっていく。
これは、大きな大きな……
お尻?
貴音「申し訳ありません……少々躓いてしまったようで……」スリスリ (お尻をさする)
貴音「して、突然ですがこうして私と貴方が出会ったこと、何か運命的だと思いませんか?」ジ…… (雪歩を微笑みながら見つめる)
いつのまにか、あの男の人は居なくなっていました。
Days 5,173 ● -合同練習場-
雪歩「はぁ……はぁ……」タンッ
何度も何度も同じステップを踏む。
この前のオーディション、私がダンスをドジっちゃったせいで落ちちゃったから……
だから四条さんの食事のお誘いを振りきって一人ダンスレッスンですぅ。
雪歩「ふぅ、ちょっと休憩」
各小部屋のレッスンルームでは他の子たちが汗を流しながら練習してる。
雪歩「……そうだ」
ふと、他の子のダンスを見て研究しようという考えが頭をよぎり、そろりそろりと気づかれないように部屋を出ました。
一番ダンスが上手い子、一番ダンスがうまい子は……。
雪歩「……あっ!」
3番目の小部屋で、足が止まった。
だって、三度目の出会いはないと思ってたから。
真「……あっ……」
男の人は、私に気づくと何故か苦しそうに顔をそらしました。
雪歩「お、おはようございますぅ……」ペコリ
自然と挨拶が口から飛び出た。
真「……」
おはよう、は返ってこないで、男の人は辛そうに顔を背け続ける。
トレーンングウェアの背中には大きな一文字が……もしかして……。
雪歩「名前、あの、もしかして、真、っていうんですか?」
真「……」コクン
雪歩「あの、なんていうか、その、ダンス、凄い上手、ですね?」
心臓は痛いくらい脈打ってるのに、不思議と心は波風ひとつ立たっていない。
雪歩「迷惑じゃ、なければ、その、私にダンス、教えて、くれませんか……」
真「……」
真「……ごめんボク、君と話しちゃいけないんだ」
雪歩「えっ?」
雪歩「……そうですよね。 こんなウジウジしてる私といたら弱虫が移りますよね」
真「そういうことじゃない、話しちゃダメって言われてるんだよ」
雪歩「……えっ……誰に、ですか?」
雪歩「あっ!……も、もしかして私、早速いじめられる、ですか?」
真「違うよ」
沈黙。な、何か、会話、繋げたい。
雪歩「えと、そのバッジに書いてる言葉、「First Step」ですか? 良い言葉ですね。 私が一番欲しいものかも、えへへ」
真「……」
またじっと見つめられる。
真さんの瞳の中に私が映り込んでる。私の瞳にも、きっと真さんが映り込んでる。
真「雪歩、ダメなんだよ……」
雪歩「えっ、私の名前知ってるんですか?」
真「知ってるよ、君のことはよく知ってる」
雪歩「……あの……それじゃ来週良かったら……」
どうして私はここまで、この男の人に惹かれるんだろう。
真「……」
真「……」スゥ……
雪歩「あの、真、さん?」
真「あぁ--------!!!!!!」
雪歩「ひぅっ!?」
ビ、ビックリした……。
真「ぷっ……あはっは……」
いきなり大声を出したと思ったら、今度はいきなり笑い始める。
真「あー……わかった、いいよ、行こうか、ねっ?」
雪歩「ほっ本当ですか? それじゃ来週の何曜……」
真「今!」
雪歩「今……?」
今って、これからお互い研修があるはずだよね?
真「さぁっ行こっ!」
真さんは私の腕を掴むと……えっ──
雪歩「ひゃぁああああああ!」ダッダッダッダ
雪歩「ど、どこへ向かってるんですかあああ」ダダダダダダ
真「わからない! 好きな所へ連れていくよ!」ダッダッダッダ
雪歩「止まってくださぁああああい」
…キッ…
あっ止まった……と思ったら何かに乗せられる。これは……
自転車?
真「さぁ、全速力で漕ぐよ! ちゃんと掴まって!」 …グッ…
雪歩「……ひっ……」
■ -足立区 メインストリート-
風が頬を切り裂く、目まぐるしく建物が通り過ぎていく。
雪歩「ま、真さぁぁああん! もう止めてぇぇええ!」
真「あっはっは、止められないよ! 止まると掴まる! それと、真さんっての、やめてよ! 同い年だし」
雪歩「そ、それじゃ真クン止めてくださぁい!」
真「それはもっとダメ! クン付けされるくらいなら呼び捨てがいい!」
雪歩「へっよっ、呼び捨てはちょっと……」
真「じゃあ、真ちゃん!」
雪歩「ま、真ちゃん?! それって変じゃないかな?」
真「真ちゃんで決定! 曲がるよ!」キキィ
雪歩「わ、判りましたぁ! 真ちゃんって呼ぶから、だから……」
真「雪歩、覚えていて!」
雪歩「えっ?」
真「君はどこだって行ける! 道が決まってなくたって!! どこだって進んでいける!!!」
展開がわからん支援
Days 5,174 深夜 ■ -足立区 森林前-
真「はぁ……はぁ……ははっ、もう漕げないや……」
真ちゃんはジャージを脱ぎ捨てると、大の字に寝転がる。
私も、腰が抜けて立てない。
途中、風の音でよく聞こえない部分もあったけど、いっぱいいっぱいお話したし、歌った。
雪歩「な、なんだ、ろ……この、初めて……の気持ち……真ちゃんにも、通じるのかな……」
真「……雪歩、君に本当のことを言うよ、いいかい?」
不意に、暗闇から眩しい光と、タイヤが擦れる音が聞こえました。
真「……来た!」ガバッ
真「いいかい! 雪歩よく聞いて!」
真「これは企画なんだ! ゲームなんだ! 君の回りは全部偽物なんだよ!」
雪歩「……えっ?」
●REC開始 -足立区 森林前-
真「プロジェクト名は『THE IDOLM@STR』!」
真「みんなが君を知ってる! 誰からも知られ愛される存在に“させられてるんだよ”!」
真「みんな君に合わせて演技してるだけなんだ! 全員役者なんだよ!」
雪歩「??? な、何言ってるの、真ちゃん?」
真一「真、こんな所にいたのか! すいません、私の息子がそそうを」ガシッ! (真の腕を掴む)
真「は、離せ! 誰だ、お前なんか知らない!」
真一「昔から精神がおかしいヤツなんですよ、男のくせに女装したり、まっこまこりんとか奇声をあげたりしてね」ズズズ! (真を思い切り引きずる)
真「ボ、ボクは男じゃない!」
真「ゆ、雪歩っ空も海も全部舞台装置なんだ。 視聴者参加型ゲームの一部なんだよ!」
真一「ほらっ! 真クン、病院にいこう!」バンッ (真を無理やり車に押し込める)
雪歩「へっ???? えっ?! えっ?! アイドルマスター? ゲーム? まっこまこりん? 舞台?」
支援は紳士のつとめ
真一「お前をアイドル事務所なんかに入れたのが間違いだったな!」 (車のエンジンを入れる)
真「お願いだ! ボクの話を信じて!」ドンドンドン!
真「……! 雪歩、約束して!」
真「君がドアをあけるその時が来たら! 最高のきらめく舞台で会おう!」
雪歩「えっ? えっ?」
真「だから、今日を絶対に忘れないで! それまでボクはずっと待ってる、雪歩ぉ!」
………。
…。
雪歩「……」
そして、嵐が過ぎ去ったその場所には、呆然と立ち尽くす私と、真ちゃんが脱ぎ捨てたジャージだけが残っていました。
Days 6,306 早朝 ■
冬馬「で、どうして萩原は菊地を追わなかったんだよ」
翔太「その後にすぐ雪歩さんのお父さんが襲撃を受けて、意識不明の重体になったからねー」
北斗「やれやれ、父親を置いていけなかったってことか。 心優しい子猫ちゃんだね☆」
すいません、区切りがついたところで一旦仮眠させてください・・・
起きてもし残ってたら最後まで一気に書ききろうと思いますので・・・
落ちたらSS速報で書いてくれ
待ってるから
めっちゃおもろいやんけ
残らんやん
ユキポックスの人か?
ほ
保守の間隔がわからん
ほ
ほ
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