ベルトルト「寝れないので散歩に行きます」 (53)
夜 男子部屋
ベルトルト「…」
ベルトルト「……」
(なんか今日は寝れないなあ)
ベルトルト「ちょっと外の空気でも吸ってくるか」
(とりあえず兵舍裏の方に散歩でもして)
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*ベルユミです。注意忘れた
兵舍裏
(あ 今日は星が綺麗だなあ)
ベルトルト「ちょっと座るかな」ヨッコイセ
(こんな時間なら誰もいないし、気分が落ち着く)
時々あの場所にいるのはとても辛くなるから
(みんなといる毎日が楽しい、なんて思ったらいけないんだろうなあ)
コツコツコツコツ…
(足音?誰だろう 教官かな 夜中にうろついてるなんてバレたら怒られる)
(とりあえず木の影に隠れよう)サッ
コツコツコツコツ…
(あの人は…ユミルだ )
(どうしてこんなとこに)
「~♪~~♪」
(歌ってる)
(何の歌だろう 気になる)
(…意外と綺麗な歌声)
(でもやっぱりなんかこわい…!)ガタガタ
ユミル「…誰かいんのか?」ギロッ
ベルトルト「…(バレた)やあユミル。どうしたのこんな時間に」
ユミル「なんだベルトルさんか。…寝れなくてな、ちょっと外散歩でもするかなってさ。
ていうかベルトルさんこそどうしてこんなとこにいるんだよ」
ベルトルト「僕も寝れなくて散歩しててさ…足音が聞こえたから教官かと思って思わず隠れちゃった」
ユミル「おー悪かったなビビらせて」
ベルトルト「気にしないでいいよ」
ユミル「そうか。…ていうかお前…まあいいや。
せっかくだししばらく喋ろうぜ。ベルトルさんそこ座れ」ストン
ベルトルト「?う、うん(まじか)」ストン
ユミル「…でさ、この前クリスタが…」
(あんまり喋ったことないから緊張する…)ダラダラ
(でも、クリスタのこと喋ってるときは可愛らしい、かも)
ベルトルト「…ほんとにユミルはクリスタが好きだね。確かいつも一緒にいるもんね」
ユミル「当たり前だ!クリスタは天使だ!誰にも渡さん!
手を出す奴がいたら私が引きちぎってやるよ!ライナーにもそう言っとけ!」ケラケラ
(どんまいライナー)
ユミル「お、もうこんな時間か…そろそろ戻るか」スッ
ベルトルト「うん、そうだね」スッ
ユミル「しかしあれだな、こんなにベルトルさんと喋ったの初めてだな」テクテク
ユミル「もっといろんな奴と絡めばいいのによ」テクテク
ベルトルト「はは…」テクテク
ユミル「?」
ユミル「お、着いたな」
ベルトルト「うん、おやすみユミル」
ユミル「おう、また明日なーベルトルさん」
ベルトルト「また明日」
(いつも暴力ふるっててこわい人かと思ってたけど)
(意外と普通の人なのかな)
(話してても、嫌な感じはしなかった)
(あ、あの歌なんていう歌か聞き忘れた)
翌日 朝 食堂
コニ―「今日は対人格闘術か…」モグモグ
エレン「今日こそアニに勝つ!」モグモグ
アルミン「む、無理はしないでねエレン」モグモグ
ジャン「死に急ぎ野郎は今日も負けるに夕食のパン賭けるわ」モグモグ
ミカサ「ジャン…削ぐ」ナイフジャキンッ
ジャン「!?」
ベルトルト「最近ミカサに投げ飛ばされてばっかだよねライナー」モグモグ
ライナー「ああ…ミカサは強すぎる。クリスタと組みたい。女神と結婚したい」モグモグ
ベルトルト「そんなことになったらユミルに引きちぎられるよ…」モグモグ
ライナー「俺の周りには敵しか居ねえ…」ブルブル
ユミル「おい、なんか私の名前が聞こえたが」
ベルトルト「お、おはようユミル。いや、別に何もないよ?」ダラダラ
ユミル「まーどうせクリスタに手を出そうって話してたんだろ筋肉ゴリラが。
よし、そんなことはさせねえ今からボッコボコにしてやろう」ニヤニヤ
ライナー「ちょ 待て やめろユミル!ベルトルト助けうわあああああああ」バキッドゴッ
ユミル「絶対クリスタには近づかせねえ」フン
ライナー「」
(ライナーが白目向いてる)
ユミル「あ、そういえばベルトルさん」クルッ
ベルトルト「はい!?」ダラダラ
ユミル「昨日は相手してくれてありがとな。いい気分転換になったよ」
ベルトルト「あ、いや全然構わないよ。こちらこそありがとう」
ユミル「私結構夜あそこらへん散歩してるんだ。また寝れなくなったら喋りに来いよ。
相手してやるぜ。」
ベルトルト「はは、ありがとう。」
ユミル「あ、愛しのクリスタ発見!おーいクリスタ私の天使ー」タッタッタッタッ
クリスタ「もう!ユミルどこ行ってたの!探したんだから」
ユミル「ゴリラの駆逐してた」
クリスタ「?」
ライナー「泣いていいか」
ベルトルト「災難だったねライナー…」
ライナー「辛い。…そういえばさっきのユミルの台詞、お前ら夜に会ってたのか?」
ベルトルト「ああ、昨日夜なかなか寝付けなくてさ、
外に散歩しに行ったらユミルに会ってちょっと喋ってたんだ」
ライナー「は!?暴力振るわれたりしなかったか!?」アセアセ
ベルトルト「いや、そんなことなかったよ。最初はやっぱこわかったけどさ。
でも1対1で喋る分には全然普通だった。あと、」
(これはなんでかライナーにも言いたくなかったんだけど)
(歌声が、唄っている姿がとても綺麗だった)
ライナー「?あと?」
ベルトルト「い、いや。なんでもない」
ライナー「?そうか。…しかしあのユミルと夜に逢引ねえ…」ニヤニヤ
ベルトルト「ニヤニヤしないでよ…なんか勘違いしてるでしょライナー。
男女の関係とか、そんな展開にはならないから」
僕らの描く未来に彼女達はいないんだしさ
クリスタ「そういえばねえユミル、昨日の夜どこか行ってなかった?
たまたま起きてベッド見たらいなかったから」
ユミル「ん?ああ、寝付けなくて散歩してた。んでベルトルさんに会って喋ってた」
クリスタ「また?あんまり夜にぶらぶらしてると教官に見つかっちゃうよ?
ていうかベルトルトと会ってたの!?逢引!?」
ユミル「逢引じゃねーよ。向こうも寝れなくて散歩してたらしいわ」
クリスタ「そうなんだ…なんか意外な組み合わせでちょっとびっくりしちゃった。」
ユミル「まあなー」
(明らかに最初ビビッてたもんなベルトルさん)
(…あいつ、なんであんなに)
ある夜 男子部屋
アルミン「今日の訓練も疲れたなあ」バタン
エレン「俺もう限界。寝る」バタン
ライナー「おい、お前らちゃんと洗濯物とか纏めてから寝ろよ!
明日の着替えも出しとけ!明日の朝困るぞ!」
エレン「へいへいライナー兄ちゃん…」モソモソ
ジャン「あのお兄ちゃんスキルなんなんだよ…」モソモソ
コニ―「兄貴通り越して母ちゃんだろあれ」モソモソ
ベルトルト「言えてる」
アルミン「あはははははは」
ライナー「褒めてんのか貶してんのかどっちだよ!ったく、もう灯り消すぞ!」フッ
(…やっぱり今日も寝れない)
(この日常に埋もれていけばいくほど心地が良くて眠れなくなる)
(…今この部屋に居るよりは気分もマシになるかな)
(…散歩、行くか)
なんだ糞スレだな。
>>15
黙って消えることも出来ないのか?
期待してる人もいるんだからそういう発言は控えな
兵舎裏
ユミル「~♪~~♪」
(また、あの歌だ)
ベルトルト「こんばんはユミル」
ユミル「お、ベルトルさん。今日も眠れねえのか」
ベルトルト「そうなんだ、それでお言葉に甘えてきちゃった」
ユミル「不眠症は辛いねえ。…ちょっとあっちの方歩こうぜ」
ベルトルト「うん」
ユミル「…あんときのライナーの顔、最高だったぜ」テクテク
ベルトルト「あんまりいじめてあげないでよ。あれで結構繊細なんだよ?」テクテク
ユミル「繊細なゴリラ面白いな…」テクテク
ベルトルト「…ふふ」テクテク
ユミル「お、笑った笑った。なんかちょっと安心したわ。あ、そこ座ろう」ストン
ベルトルト「?安心?」ストン
ユミル「いや、この前初めて夜会った時あるじゃん?あんときのベルトルさんさ」
ユミル「なんか泣きそうな顔してたから」
ベルトルト「…え?」キョトン
ユミル「だから、笑った顔見て安心したってこと」ニカッ
(なんで)
ベルトルト「……」ブワッ
ユミル「え!?ちょ!泣くなよ!あたしが泣かせたみたいじゃねえか!」アワアワ
ベルトルト「ごめん…グスッ」
ユミル「まあとりあえず泣き止め」
ベルトルト「はい…ズズッ」
ユミル「おーよしよしいい子だ」
ベルトルト「子ども扱い…」
ユミル「こんなでかい図体の子ども嫌だよ。…まあ何があったかなんて野暮だから今は聞かねえけど。
聞いたところでお前絶対話さないだろ。強情そうだし」
ベルトルト「う…まあ話さないかな…(話せないよ)」
ユミル「実際私にも人に言えない悩みとかあるし、誰だってそういうもんはあるんだよ」
ユミル「でもまあ、抱え込みすぎもよくないって事だ。難しいけど」
ベルトルト「…ありがとう」
ユミル「ん」ワシャワシャ
(泣き顔見られた頭なでられた恥ずかしい)
ベルトルト「…そろそろ戻ろうか」
ユミル「ん?ああ、そうだな」スクッ
ベルトルト「…恥ずかしい」ボソッ
ユミル「なんか言ったか?」
ベルトルト「いや、何もないよ」
ベルトルト「…ユミルは本当は優しいんだ」テクテク
ユミル「本当はってなんだ本当はって」テクテク
ベルトルト「いつも口が悪いし暴力振るったりしてるとこしか見たことなかったから。
こうやって優しくしてくれる人とは思わなかった正直」テクテク
ユミル「結構言うじゃねえか。お前の身長縮めるぞ」テクテク
ベルトルト「はは、ごめんごめん」テクテク
ユミル「~♪~~♪」
(彼女が唄うこの歌はとても心地いい)
ユミル「よし、着いた」
ベルトルト「うん。…今日はありがとう」
ユミル「気にすんな。辛くなったらまた頭なでてやる」
ベルトルト「それはもう恥ずかしい!」
ユミル「じゃーなーベルトルさん」ヒラヒラ
(僕なんかを心配してくれたユミルはとてもいい人なんだ)
(…僕らの描く未来に、君も居てくれたらなんて思ってしまった)
(あ、そういえばまた何の歌だったか聞くの忘れた)
女子部屋
ユミル「ただいま…」コソコソ
ユミル「~♪~~♪」
クリスタ「うーん…ユミル?また散歩行ってたの?」
ユミル「あ、起こしちまったか。悪い」
クリスタ「いいよ。…あれ、なんか機嫌いい?」
ユミル「んーまあな」
(あいつはいったい何を抱えてるのか私には関係ないことだけど)
(ちょっとつついたら泣いちまうなんて繊細すぎるだろ)
(ただ、笑った顔はちょっと可愛いなんてな)
(…なんだこれ)
翌日 座学
ベルトルト「……」ボーッ
(わからない、もやもやする)
ユミル「おうベルトルさん。隣の席いいか?」
ベルトルト「!?あ、ユミル。どうぞ。(びっくりした)あれ、クリスタは?」
ユミル「今日はアルミンの隣で受けるんだと。残念だったなライナー」
ライナー「…いや…別に…」シュン
ユミル「あからさまに落ち込んでんじゃねーよゴリラ」
ベルトルト「昨日あんまりいじめないであげてって言ったじゃないか」
ユミル「面白くてつい」
ライナー「お前どれだけ俺の事嫌いなんだよ…」
ユミル「愛情表現だよ」
ライナー「嘘つけよ」
ベルトルト「…(愛情表現…)」イラッ
食堂
ベルトルト「……」ボーッ
(こんなこと今までなかったのに)
コニ―「おいブス!お前またバカにしやがって!」
ユミル「実際バカじゃねえか」
コニ―「うるせえ!俺は天才だって言ってるだろ!」
ユミル「自分のこと客観的に見てみろよ…」
サシャ「また喧嘩ですかー。やめましょうよご飯が美味しくなくなります」
ジャン「あいつら飽きねえのか」
マルコ「ジャンもあんなふうにいつもエレンと喧嘩してるじゃない」
ライナー「人の事言えねえわな」
ベルトルト「…(ブス…)」イラッ
数日後 男子部屋
エレン「んだとコラ!」
ジャン「おーやるのか死に急ぎ野郎!ボッコボコにしてやるぜ!」
ライナー「またあの2人喧嘩してやがる。全く世話の焼ける奴らだなベルトルト」
ベルトルト「……」ボーッ
(あれから何度か夜に会った)
(他愛ない話をした)
(ユミルは、いつも決まってあの歌を唄っていた)
ライナー「ベルトルト」
ベルトルト「……」ボーッ
(耳からあの歌声が離れない)
(僕なんかに笑いかけてくれた、あの笑顔が頭から離れない)
(これは、いったい何なんだろう)
ライナー「おい、ベルトルト」
ベルトルト「……」ボーッ
ライナー「反応しねえ」
アルミン「ベルトルトが遠い世界に行ってるね」
ライナー「最近たまにこんな調子なんだよなこいつ。何があったんだよ」
アルミン「体調が悪いわけでもなさそうだし…」
コニ―「誰か好きな人ができたとか?」
アルライ「!!!!」
アルミン「まさか!?ベルトルトが!?(何それ面白い!)」
ライナー「コニ―こういうときだけ賢いな!…おいベルトルト!反応しろ!」バシッ
コニ―「」
ベルトルト「痛い!…いきなり何!?」
アルミン「最近ベルトルト様子がおかしいけどさ…好きな人でもできた?(わくわくする)」
ベルトルト「うん?好きな人?えー何それ…」
コニ―「とぼけたって無駄だぞ!教えろよ!」
ベルトルト「???????」
アルミン「あれ、なんか違うのかな…(面白くない)」
ライナー「面白くねえな…」
ベルトルト「うーん…」
ベルトルト「…好きってさ、実は僕あんまりわかんないんだけど」
ベルトルト「その人とまた2人で会いたいとか、触れてみたいとか、声が聞きたいとか思う」
ベルトルト「そういうのが、男女間の好きってこと?」
(ユミルに会いたい、ユミルに触れたい、ユミルの声が聞きたい)
(この気持ちが、好きってこと?)
アルミン「そうだよ。ずっと一緒に居たいとかさ。ていうかやっぱ好きな人いるんだ!」
コニ―「まじかよベルトルト!お前一生恋愛とかしなさそうだと思ってたけど!」
ベルトルト「…こんなの初めてなんだ」
アルミン「初恋!」
コニ―「甘酸っぱい!」
ライナー「まあこいつもいきなり恋がどうとか言われて混乱してるんだろ。
…で、相手はユミルだよな?」ボソッ
ベルトルト「らいなあああああああああああああ!」
ライナー「図星だ」
(これが好きってことなのか)
(そんな感情持ってはいけないのに)
(…もう、ユミルとは関わらない方がいいのかもしれない)
僕たちはあんなことをやったって生き延びる
座学
ユミル「おーいベルトルさん」
ベルトルト「!ユミル…」
ユミル「またクリスタがアルミンのとこ行っちまってな。隣…」
ベルトルト「ごめん、今日は一人で受けるよ」ガタン
ライナー「?おいベルトルト?…行っちまった。なんかすまんなユミル(あいつ…)」
ユミル「?おう…(いきなりなんだ?)」
(ごめんなさい)
(これ以上は)
対人格闘術
ユミル「おいベルトルさん、一緒に組もうぜ」
ベルトルト「え、あ…ごめん、今日はジャンと組むんだ」
ジャン「へ?俺たちそんなこと」
ベルトルト「ジャン、あっちの方でやろう」
ジャン「なんだ?あいつあんな強引だったか…?」
ユミル「…(はあ?)」
ライナー「…(避けてるな)」
ベルトルト「ごめんねジャン、強引にして」
ジャン「いやいいけどよ…どうしたんだお前」
ベルトルト「はは…」
(しんどい)
廊下
ユミル「あ、ベルトルさん」
ベルトルト「……お疲れさま。おーいライナー」サッ
ユミル「……(なんだよムカつく)」
ライナー「いいのか?ユミルが呼んでるぞ」
ベルトルト「いいんだ。…気にしないで」
(耐えなきゃ)
数日後 夜 食堂
ライナー「おい、ベルトルト」
ベルトルト「何?」
ライナー「お前、あれからユミルの事避けてるだろ」
ベルトルト「……そんなこと、」
ライナー「俺たちの任務のこと気にしてるのか」ヒソヒソ
ベルトルト「……」
ライナー「確かに俺たちには任務を遂行しなければならない義務がある。だけどな」
ユミル「おい」
ベルライ「!」
ユミル「ちょっとベルトルさんと話してえんだ。いいよな?」
ベルトルト「いや、…また今度じゃダメかな」
ユミル「うるせえよ、私は今すぐお前と話がしたい。とりあえず来い」グイ
ベルトルト「うわっ!待ってよユミル」
ライナー「…いってらっしゃい」
兵舎裏
ユミル「よし着いた」
ベルトルト「…話って何?」
ユミル「単刀直入に言うけどよ、お前私の事いきなり避けだしたよな。
夜も散歩に来なくなった。理由はなんだ」
ベルトルト「君の気にし過ぎじゃないかな」
ユミル「…言えないってことか」
ベルトルト「…避けてないよ」
ベルトルト「ねえ、もう戻っていい?」
(泣いてしまいそうだ)
ユミル「…お前は、もう私と関わりたくはないってか」
ベルトルト「…そんなこと」
ユミル「そんなことあるだろ」
ベルトルト「…」
ユミル「…私は、お前と話してると結構楽しかったんだがな。
理由もわからずにこうなってるのはすげえムカつくぞ」
ベルトルト「…僕は強情だから、何があったかなんて聞いても話さないだろって言ったのは君だ」
ユミル「それもそうだったな。でもな、私は」
ベルトルト「…辛いんだ」
ベルトルト「本当にしなければいけないことを、目的を、忘れそうになるんだ」
ユミル「…なんだそれ」
ベルトルト「ユミルには…何もわからないよ」
ユミル「!……」
ベルトルト「…もう行くね」スタスタ
(君はなにかを言おうとして僕を見た)
(僕はもう振りかえれなかった)
男子部屋
ベルトルト「ただいま…」
ライナー「おうベルトルト。帰ったか」
アルミン「お帰りー」
コニ―「お帰りー」
ベルトルト「…僕もう疲れたから早めに寝るね」
ライナー「お前、」
ベルトルト「…おやすみライナー」
ライナー「……」
(ひどいことをした)
(もう、君の歌も、聴けなくなる)
(僕は)
女子部屋
ユミル「ただいま」
クリスタ「お帰りユミル。…どうしたの?」
ユミル「んー?なんもねえよ」
クリスタ「…そう?…でも私に嘘つけないでしょ」
クリスタ「目、赤いよ」
数日後 夜 廊下
(あれから一切喋ることもない、目を合わすこともない)
(これで良かったんだ)
(これで、)
クリスタ「ベルトルト」
ベルトルト「ん?クリスタか。どうしたの?」
クリスタ「ちょっと話があるの。いい?」
ベルトルト「…」
(たぶんユミルのことだろうな)
クリスタ「…何が言いたいのかわかると思うけど、ユミルの事で」
ベルトルト「…うん、でも、僕は何も話すことは」
クリスタ「うるさい!とりあえず話を聞きなさい!」
ベルトルト「はいいいいい(女神の激怒こわ)」ビクビク
クリスタ「…ユミルとこの前話したでしょ?だいたいそのときのこと聞いたの。
ユミルは表に出さないけど、結構辛そうだから我慢できなくて」
ベルトルト「……」
クリスタ「ユミルは、自覚ないと思うけど結構ベルトルトのこと私に話してくれてたの。
昨日の夜はあんな話をした、今日は少し笑っていた、そんなことを。」
クリスタ「ユミルのそのときの顔が、なんだかきらきら輝いてて、私思ったの。
ああ、これは恋をしているんだなって。」
ベルトルト「え」
クリスタ「私はなんでベルトルトがユミルをいきなり避けるのか知らない。
ベルトルトなりの理由があるんだと思う。
でも、私はそんなこと知らない。
ユミルはいつも兵舎裏でベルトルトのこと待ってるよ。
このままの形で終わらせて、これ以上ユミルを苦しめるんだったら」
クリスタ「本当に許さないから!」
(僕は、本当にこれでいいの?)
(このままで、この感情を消してしまって)
(失うの?)
ベルトルト「…ごめんねクリスタ」
クリスタ「謝るのは私にじゃないでしょう?」
ベルトルト「そうだね…。じゃあ、」
クリスタ「うん」
ベルトルト「ありがとう、クリスタ」
男子部屋
ベルトルト「ライナー、ちょっといい?」
ライナー「ん?なんだ」
ベルトルト「ここじゃちょっと話しにくいから、空き教室でも行こう」
ライナー「おう」
空き教室
ライナー「…で?どうしたんだよ」
ベルトルト「ユミルの事で」
ライナー「…あのときユミルと話したんだよな?お前」
ベルトルト「話して、突き放した。僕には彼女を好きでいていいわけないから」
ライナー「それは、任務のことがあるからか」
ベルトルト「…僕は兵士として過ごす日常がとても心地いいと思っていたんだ。
いつかは壊す日常に埋もれていっていた。
ああ、このままでいいかなと思うときもあったんだ。
でも、そのすぐ後にさ」
ベルトルト「僕は戦士だ、兵士じゃない。いつかはみんな殺すんだって。
僕らの描く未来に彼らはいないんだって」
ライナー「……」
ベルトルト「僕は弱いんだ。あんなことをやったって生き延びる。
消えてしまえたらいいなと思ってた」
ライナー「…それは俺もアニもだ。お前とおんなじことを思ってるよ」
ベルトルト「…だから、好きな人なんて、恋愛なんてしたらいけないんだ。
そんな資格なんて僕にはない」
ライナー「ベルトルト」
ベルトルト「でも、彼女はそんな僕の弱さに触れてくれたんだ。
見透かして、触れて、撫でてくれた」
ベルトルト「それがとても心地よくて、明日も生きようと思った
生きていける気がした」
ライナー「もういいよ、」
ベルトルト「ライナー、僕は、知らなかった。
こんなふうに誰かを愛せるって、信じれる?」
ベルトルト「僕は」
ライナー「ベルトルト。いいんだよ。お前は、自分の好きにすればいい。
咎めやしない。咎められるわけないだろう。
お前は、戦士だ。兵士じゃない。
だけどな、その前にお前は俺の親友だ。」
ライナー「お前が悲しんでいるのは、俺もアニも望んでいない。
後から問題は出てくるだろう。だが、そのときは3人で乗り越えて行けばいい」
ライナー「俺たちは、いままでそうやってきた。そしてこれからもだ」
ベルトルト「…ねえ、ライナー。僕、彼女のこと」
ベルトルト「彼女の手を、掴みに行ってもいいの?」
早朝 兵舎裏
(僕のこと、許してくれるだろうか)
「~♪~~♪」
(いつもの、あの歌は、君は)
「~♪~~♪」
(また、)
ベルトルト「ねえ、泣きながら唄ってるの」
ユミル「……」
ベルトルト「もう、愛想が尽きた?」
ベルトルト「僕は君にひどいことをした」
ユミル「…本当だよ」
ベルトルト「本当にごめんね」
ユミル「……許してやんねえ」
ベルトルト「…僕は弱い。とてもね。
だから、これからも君に寄りかかっていたいんだ。
頭を撫でて、触って、甘やかして欲しい」
ユミル「…はは」
ベルトルト「ふふ。ねえ、ユミル」
ベルトルト「手を、繋いでもいい?」
ユミル「…しょうがねえな。部屋に戻るまでだぞ」
ベルトルト「ありがとう」
(世界が、少しだけ違って見える)
ベルトルト「ねえ、君のいつも唄っている歌は、なんの歌?」
ユミル「ああ、あれか。あれはな」
ユミル「遠い国で昔流行った、恋の歌だ」
君の手を握り締め歩いたんだ
柔らかくて透明な朝
終わり。
乙
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