まどか「ほむらちゃんと凄く仲良しになりたい」 【後日談+α】 (158)

タイトルに違わず普通にまどほむ

まどか「ほむらちゃんと凄く仲良しになりたい」


の続きなので読んだ事がない人はこちらからどうぞ

現在掛け持ち状態なのでこちらの更新ペースは未定です

これのさらに続きの

まどか「ほむらちゃんとずっと仲良しでいたい」

は掛け持ちが終わったら多分書き始める……かな?

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1362168083

【七話 後日談編】

〜☆

ほむらちゃんと私が恋人どうしとなった記念すべき日の翌日。

昨日ほむらちゃんは私の家で寝泊まりをしたので、

そのまま二人でさやかちゃんとの待ち合わせ場所に向かいます。
  
「おはよーまどかー……っとほむら!?」
  
「おはよーさやかちゃん」
  
「うるさい」

さやかちゃんはまるでほむらちゃんの幽霊でも見たかの様な顔をしています。
  
「え?いや、どういうこと?昨日ほむらが【まどかは大丈夫。丁重に保護した。

これから家に送る。今日は遊べそうにないから気をつけて一人で帰りなさい】

とかメールしてきたと思ったら次の日二人で腕を組んで登校してきた……。

朝帰りとか健全な女子中学生がすることじゃないぞ!

たとえ神様が許してもこの見滝原一まじめな美少女さやかちゃんが許しません!」

「さやかちゃんがまじめ?」  
  
「いくら美樹さやかがお馬鹿でも自分がそうじゃない事くらいはわかっているはずよ。


きっと今の見滝原一は美少女にかかった言葉なのよ」
  
「ぐぬぬ……こいつら二人揃うとかなり手ごわいな」

昨日までは考えられなかった朝の幸せなひと時。

そうだ、さやかちゃんに釘を刺しとかないと。

さやかちゃんが男の子を好きなのは知ってるけど、

もしかしたら女の子も好きになるかもしれないもんね。

ましてやほむらちゃんだったらどんな虫が寄りつくかわからないもん。

念には念を入れておかなくちゃ。
  
「あのね、さやかちゃん」
  
「ん?なに?ま、まさか昨日の相談の続きとか……?」

さやかちゃんがおそるおそるといった調子で私に聞き返します。

何か私に今恋愛相談されると困ることでもあるのかな?

「うん、まあそうとも言えるかな?

私、念願叶ってほむらちゃんと恋人としてお付き合いする事になりました!」
  
「へー付き合うんだー、良かったじゃんほむらおめでとう。

……え?えっ!?えぇええええええええええええ!!!」

さやかちゃんの絶叫が辺り一帯に響き渡ります。
  
「美樹さやか、本当に静かにして頂戴。

私ただでさえ朝に弱いのにあなたの大きな声を朝聞くとひどい頭痛がしてくるの。

……何なら口を利けなくしてもいいのよ?」

そう言ったほむらちゃんは本気の目をしていました。

〜☆

「ふーんなるほどねー。だいたいわかったよ。

しっかし二人とも私が言うのもなんだけど回りくどいのにも限度があるでしょ」

さやかちゃんに昨日の顛末を大雑把に説明しました。

さやかちゃんはそれを聞き終わると何やらうんうんうなずいています。

これは私の記憶が正しければ彼女が何かをからかおうとしている前兆の一つです。  
  
「それじゃまどかがしたことも聞いたの?」


さやかちゃんの意地の悪そうな笑み。へっへーんだ。

そんなことじゃ私達の愛は揺るがないよーだ!

昨日ほむらちゃんとしっかり愛を確かめ合ったので、

今の私は昨日までの不安なんて微塵も感じさせないほどの自信に満ち満ちています。

「ええ、全部聞いたわ」
  
「じゃあまどかが制服の匂いを嗅いでたって聞いてどう思った?」

そう言えばどう思ってたんだろう?ちょ、ちょっとだけほむらちゃんの口から聞くのが怖いです。
  
「そうね……。好きな子の制服の匂いを嗅ぐなんて、

同年代の男子とかにもやってたりする人もいるんじゃないかしら?中学生らしくてかわいいわね。

私はまどかになら何をされても別に構わないから特に気にしてないけれど、

私のブラジャーを頭に巻いたって聞いた時には

ただただ申し訳ないという気持ちでいっぱいっだったわ。

こんな貧相な…最後まで私の口から述べるには余りに酷ね。

パンツを履いたって聞いた時には少し嬉しかったわ。

これでまどかの誕生日が来たとしてもまどかにプレゼントする物に悩まなくて済むもの。

その場でお気に入りの脱ぎたてパンツをプレゼントすればいいのでしょう?凄く経済的よね」

「…まどかさん。説明してもらえますかな?」

ほむらちゃんが空気を読めないというのはどうやら事実みたいです。

だってこんなに私とさやかちゃんの間の空気が凍りついているというのに

一人で呑気にスカートを指でピラピラしてます。

ああ、見えそうで見えない。

今の話の流れでそれを見続けるというのは大変よろしくありませんが、

スカートとソックスの境界線から目を離せません。
  
「まどか、こっちを見なさい」
  
「ねえまどか?私今日は白の無地のパンツなのだけど、

プレゼントするならどんなパンツがいいかしら?

昨日大人なところが好きと言ってくれたし黒の紐パンとか?」

「黒の紐パンはやりすぎだと思うよほむらちゃん」

ほむらちゃんの中の大人のイメージはどうなっているのでしょうか?

「…まさか本当にほむらにパンツをプレゼントさせる気じゃ……?」  
  
「ち、違うよぉ。ここで訂正しなかったら


ほむらちゃんに好きなパンツを履かせられるなあとかはちょっと考えてたけど……」
  
「うわぁ」

長年心を通じ合わせてきた親友にここまでどん引きされる日がまさか来るとは思いませんでした。

 「いやーまあ、まどかの意外な一面は置いといてさ−」

なんだか変態さんとして扱われている様でむっとしてしまいますが我慢します。

おそらく今私が必死にこれを否定したとしたらそれは逆効果だからです。
  
「まどかがほむらのこと親しくなりたいけど親しくないって思ってたのは驚きだわ。

私も最初好きな人ができたって聞いた時

ほむらのことかなーって思ったけどそこで違うんだなって思っちゃったもん」

ああ、ほむらちゃんが見るからにへこんでます。  
  
「そうね、私もそれは確かにショックだわ……」

  
「だ、だってほむらちゃん私と仲良くしたい様子なんて全然見せないんだもん!

嫌われたくないし我慢してたんだから!」

「ええー?ほむらは事あるごとに私のアプローチは完璧だー

何の隙もないぞーみたいなこと言ってたけど?」
  
「そんな言い方はしないし事あるごとに言うわけないでしょう。

話を盛るのはやめなさい美樹さやか」

いつもよりやけにほむらちゃんのさやかちゃんへの態度が優しいのが気になります。

……まさか浮気!?ってそんなわけないです。

「そう言えばほむらは結局どんなアプローチをまどかにしてたの?」

  
「そうね…たとえば毎朝の挨拶よ」  
  
「は?」

  
「気持ちのいい毎日は朝の挨拶から始まる。

きちんと目を見てまどか大好きって思いを込めて挨拶してたわ」

あれってほむらちゃんの好きだよアピールだったんだ。

さすがにそこまで深い意味があるとは思わなかったよ。

「……なんかもう聞きたくない気もするけど他には?」
  
「まどかを家まで送った後には必ず今日も楽しかったと気持ちを伝えるようにしたわ。

思いは口にしないと相手に伝わらないもの」
  
「そっか。ほむらちゃんは私を毎日家に送るのやっぱり楽しんでくれてたんだね。

……今までほむらちゃんの言葉を疑ったりしてごめんね」
  
「おい、ちゃんと相手に伝わってなかったみたいなんだけど」

  
「おかしいわね。好感度うなぎのぼりでもおかしくない作戦のはずなんだけど」  
  
「……あんたってただでさえ表情読めないんだから


そんな奥手なアプローチしても相手は気付かないって普通」

「こ、これ以上?私としてはこれでぎりぎりまで頑張ったつもりなのだけれど……」
  
「いやいやいや!?もっと他に話しかけるとか出来たはずだよね!?」
  
「用事もないのにまどかに話しかけるなんてそんな事出来る訳ないじゃない。

もし面倒な奴だと思われたらそれだけでまどかとの関係はもう手遅れになってしまうわ」
  
「……何というか予想していた以上にひどいなこりゃ」

これにはさやかちゃんも今世紀最大級のあきれ顔です。

私の方はというとほむらちゃんが余りにもいじらし過ぎて、

ちょっとにやついちゃってるのがほっぺの感じからわかります。

幸せすぎて馬鹿になってしまいそうです。

「やっぱほむらが私より空気が読めるってのはないわ。人と仲良くなるの下手すぎでしょ」  
  
「……病院生活長かったし友達もいなかったのに


どうやって人と仲良くなる方法を身につければいいのよ」

ほむらちゃんが悔しそうです。

ここは恋人である私がほむらちゃんに愛の助け船を出すべき場面に違いありません。

「で、でもほむらちゃんはすごいキスが上手なんだよ!

舌を入れたりするやつとか昨日お布団の中でやったけどほむらちゃん凄かったんだからね!」
  
「ちょ!?まどか!?」
  
「その話詳しく」
  
「さやか!?」

……なんだか今日の私はちょっと運がないみたいです。

もしかしたら人間の幸せと不幸には何らかの差し引きがあるのかもしれません。

〜☆

「なるほどなるほどお風呂場で裸の洗いっこしたわけだ。女の子同士何も問題はないね。続けて」
  
「さ、さやかもう許して……」

ほむらちゃんがさやかちゃんに懇願します。

あれから登校中ずっとさやかちゃんに昨日の事を事細かに尋問されています。

通学路がこんな長く感じられたのは初めてかもしれないです。

何かさやかちゃんの注意を逸らせるものはないかと辺りを見回すと、

前のほうにマミさんと杏子ちゃんらしき背中が見えました。
  
「さ、さやかちゃん!前のほうに杏子ちゃんとマミさんだよ!ほら!前見て!」
  
「……確かにマミさん達だね。あの黄色いクルクルロールは見間違えようがないし。

仕方ないなぁ、今日はこれくらいにしといてあげるよ」

今日は?ちょっと気になる言葉がありましたが気にしないことにします。

「マミさーん!杏子ー!って杏子なんでいるの!?」
  
「おはようございますマミさん、杏子ちゃん」
  
「おはようさん。まどかもその様子と表情を見るに成功したみたいだね。おめでとう。

結果なんてやる前から既にわかりきってた気もするけど」
  
「おはようマミ。おはよう杏子」
  
「うん。ありがとう。杏子ちゃんもマミさんと仲直りできたんだねおめでとう!」
  
「おはよう暁美さん。鹿目さんに美樹さんもおはよう」
  
「……まっ、ちょっとな」
  
「マミさんおはようございます。杏子もおはよう。それよりお二人さんなんか昨日あったの?」
  
「昨日落ち込んでたところを杏子ちゃんに励ましてもらったんだよ」
  
「へっ、そんなたいしたことしてないって」

「まあ、偉いわ佐倉さん!今日はお菓子一個多めに買っていいわよ」
  
「えっ?本当!?ラッキー!」
  
「……私昨日ほむらに予定キャンセルされた辺りから完全に蚊帳の外だなぁ」

ふと見るとほむらちゃんがどう会話に加わっていいのかわからないみたいでオロオロしています。

なんなのでしょうこの可愛い生き物。
  
「マミさん。杏子ちゃん発表があります。ほむらちゃんと私付き合うことになりました!」
  
「うん、だと思ったよ」
  
「えっ、えぇ!?昨日いったい何があったというの?

……まあ細かいことは置いといて暁美さん本当によかったわねおめでとう」
  
「ありがとうマミ。私今凄い幸せよ怖いくらいに」
  
「ホントこのへたれはいつまでも一人でウジウジと……」
  
「うるさいわよ杏子」

なんだか私達が付き合うのがさも当たり前みたいな風潮。疑問を素直に口にします。
  
「そんなにほむらちゃんの態度ってみんなの前だと分かりやすかったの?」
  
「わかりやすいっつうか公言してたしな。

まどかは目に入れたら痛いだろうけどそれを我慢してねじ込むくらいの覚悟はあるとか何とか」
  
「暁美さんの発言には正直時々ひいちゃったこともあるわ」
  
「……ほっといて頂戴」

ちょっとむくれてしまうほむらちゃん。

ほむらちゃんは冗談を言うのがそこまで得意ではなさそうです。

それだけに私はほむらちゃんの発想が時々怖くなることがあります。

それでもほむらちゃんが優しさに溢れた素晴らしい人間で、

そしてとても可愛い女の子である事に変わりはないはずです。

もっとほむらちゃんのことを理解してあげられるようになりたい。そう思います。

「そりゃ徹夜で自分のまどかへの愛について語られたこともあるしね……。

まああれのおかげで失恋をふっきれたといっても過言じゃないし感謝してるけどさ」

徹夜で私への思いを語れるほど私の事が好きなんだ。

私も早くそれくらいほむらちゃんの事を知りたいな。
  
「さやかがまともに感謝の言葉を述べてると純粋に気持ち悪いわ」
 
「あっ、その気持ちちょっとアタシにもわかるかも」
  
「お前らさすがに鋼メンタルのさやかちゃんでもそんなこと言われたら泣いちゃうからな!」
  
「ふふ、もう暁美さんったら素直じゃないんだから」
  
「……それはどういう意味かしら?」

うーんほむらちゃんが話の中心になると会話に加わりづらいなぁ……。

やっぱりまだ皆の方がほむらちゃんについて詳しいみたいです。

いつかほむらちゃんについてみんなに聞いてみたいと思います。
  
「おっ、ほむらの顔が赤いぞ」
  
「結構貴重な姿よね。彼女基本的に鹿目さんが関係しないことで心動かさないし」
  
「おっ?ツンデレか?ツンデレなのか?」
  
「私で遊ぶのはやめて!」

みんなに遊ばれてるほむらちゃんも可愛いなって、そう思ってしまうのでした。

今日はここまで
正直+αの方も「まど仮にもしも編」さえ完成したらそれだけで書き溜め完了なのですが、
掛け持ちの内容的に百合物日常イチャイチャを新しく書く気分じゃないというか
これの中のはっちゃけたまどかのテンションを頭からひねり出して
地の文書く気にならないというか……

なのでこれについてはあと数カ月は放っておくつもりだったのですが
昨日前のスレでの自分のレス読み返したら「絶対」とか偉そうなこと言ってたので
出来てるとこまでとりあえず投稿してみる事にしました
楽しみにしてくれてた方とか居るかどうか定かではありませんが気長にお待ちください


早く戻ってこいと言ったその日に戻って来なさったw

pixivでやれ

更新再開
こうやって書いた奴を見直すの地の文リハビリに丁度いいかも
改めて前の奴とかこれとか読みなおすと内容無茶苦茶恥ずかしいけどそこは気にしない

〜☆

特に何事もなく学校に到着しマミさんと杏子ちゃんとお別れして教室に入ります。
  
「少しお花を摘みに行ってくるわね」

ほむらちゃんがやや早足に入ったばかりの教室を後にしました。
  
「いってらっしゃいほむらちゃん」

そういう言い回しにしてもお花を摘んでるほむらちゃんはちょっと想像しにくいです。

この花の蜜は体にいいのよ、味も濃厚だし。と私の中の想像のほむらちゃんは言いました。

私はほむらちゃんをなんだと思ってるんだろう。
  
「なんで杏子がいたのかなー。あいつ学校に通ってないんでしょ?」
  
「なんでだろうねー。後でマミさんにお昼ごはんの時に聞いてみようよ」
  
「え?まどかマミさんがいつもどこでお昼とってるかわかるの?」
  
「ほむらちゃんがいつもマミさんは屋上で食べるんだって言ってたよ」
  
「へー」

そんなたわいない話をしていてふと思い出しました。

ほむらちゃんがマミさんにほむらちゃんと呼ばれた時のあの謎の反応。

どういう意味なのかちょっと実験してみたいかもなんて思ってしまいます。
  
「あのねさやかちゃん」
  
「ん?」
  
「ほむらちゃんが昨日マミさんと一緒に屋上でお昼食べてる所を隠れて見てたんだけどね」
  
「アンタいったい何してんのよ……」
  
「いいから。その中でほむらちゃんは私以外にほむらちゃんと呼ばれるのは我慢できないとか、

私に自分をほむほむと呼ばせたくないって言ってたの。

もしかしたら私がほむらちゃんって呼ぶのはほむらちゃんにとって

何か大きな意味があるのかなって思ったらそれがどうも気になっちゃって……」
  
「ほほーう。それはなかなか面白そうな話ですなー」
  
「さやかちゃん……」

さやかちゃんのその顔は絶対ろくなことを考えてない時の顔だって私胸を張って言いきれます。

〜☆

「あっほむらちゃんお帰りー!」
  
「た、ただいまどか?」

冷静に考えてトイレから教室に帰ってきてお帰りは何かおかしいよね。言ってから気づきました。
  
「ほーむらちゃーん」

さやかちゃんがとことこ何も考えてなさそうな歩み寄り方でほむらちゃんに近づきます。

絶対ノープランに違いないです。三歩歩いたら自分が何をしているのか忘れるんじゃないかな?
  
「ふっ!」
  
「ごほっ!」

ほむらちゃんの渾身のお腹をえぐるようなパンチがさやかちゃんのお腹に突き刺さります。

さやかちゃんは一時間目の授業開始のチャイムが鳴ってもなお、

しばらく立ち上がることすらできませんでした。   

〜☆

一時間目終了のチャイムが鳴りました。
  
「どうして私がこんな目に遭わなきゃいけないんだー!

たかが……名前にちゃんづけしただけじゃないかー!」

さやかちゃん偉い!学習して今度はほむらちゃんって言わなかったね!

……私のせいでこんな事になってしまったのは明らかなので

後でしっかりさやかちゃんに謝ろうと思います。
  
「あなたがこんなことを突然言い始めた理由は良くわからないけど

明らかに私をおちょくる意思があったでしょ?

私はこの呼び方を他人におちょくられるのが我慢ならないのよ絶対に。

特に普段から私をおちょくるあなたに言われるのは一番嫌ね」
  
「……」

さやかちゃんは何も言い返す事が出来ません。

さやかちゃんがほむらちゃんをからかうつもりだったのもまた明白だからです。
  
「でも前もって名前をおちょくられたくない事を伝えていないのに

ついかっとなって何の予告もなしに殴ったのは悪いと思ってるわ。ごめんなさい」

ほむらちゃんは少し頭を下げます。

こういったちょっとしたお辞儀もやはりほむらちゃんは美しいです。

「歯を食いしばりなさい美樹さやかとか先に注意しておくべきだったわね」
  
「顔はやめてよ!?」

この後ほむらちゃんのお説教は、

お昼休みまでの全ての休み時間ごとに授業というインターバルを置いて続けられました。

怒っているうちにさやかちゃんの普段からの行いについても

だんだんほむらちゃんがむしゃくしゃしてきたためです。

〜☆

「マミさーん!」
  
「あら?鹿目さんどうしたの?それに美樹さんまで」
  
「今日はこの二人も昼食に加わるわ。構わないわよね?」
  
「私もうひとりじゃないのね……!」
  
「いや元々アタシと食べる予定だったじゃん」
 
「あっ、杏子ちゃんさっきぶりだね。お昼休みになるまでどこにいたの?

……っていうか今どこから来たの?」

「ちょっとここら辺をパトロールして魔女を探してたんだ。

学校の奴らとはち合わせるとめんどくさいから適当にちっちゃい槍刺しながら

ささっと学校の壁登ってきた」
  
「ロッククライマーかなんかとして生きていけるでしょアンタ」

「佐倉さん!学校の壁を傷つけてはダメ!

次からはこっそり入ってきなさい!ロッソファンタズマがあるでしょ!

……ってこれは必殺技の名前だったわね。」
  
「えー、でもアタシマミと別れてから幻術使えないんだよねー。

それに中わざわざ通るのめんどくさいし」
  
「杏子ー。ロッソファンタズマってなに?」
 
「……悪いことは言わねえ。忘れろ」
  
「わ、わかった」
  
「なんだかさやかの声を聞いてたらまたイライラしてきたわ。

だいたいさやか、あなたはいつもいつも……」
  
「も、もう許してください。ホントこれから気をつけますので」
  
「幻術ができなくなった?なら佐倉さん!私と秘密の特訓よ!」
  
「一番めんどくさそーな選択肢選びやがって……」

「ねえ、杏子。どうして朝マミさんと二人で登校してたの?アンタ学校通ってないじゃん」
  
「ああ、マミが一人で登校するのが寂しいって散々駄々をこねたからね。

アタシは昼になれば弁当も食えるしwin-winの取引だよ」
 
「ちょ、ちょっと佐倉さんばらさないでよそんなこと!」
  
「……巴マミ。クラスにも話すくらいの友達ならいるのだから

その寂しがり屋なところ早く直しなさい」
  
「暁美さん!私寂しがり屋なんかじゃないわ!」

  
「よく言うぜ」 

「じゃあ毎日これからみんな五人で食べましょうよマミさん」
  
「えっ!?いいの美樹さん!……これって夢じゃないわよね!?」
  
「あそこから試しに飛び降りてみたらわかるんじゃないかしら?」
  
「ほむら、それ死ぬから」
  
「さやかはこれが冗談なこともわかんねえのかよ」
  
「わかっとるわ!」

……お弁当を食べ始めるのにはどうももう少しかかりそうです。   

〜☆

「ほむらちゃん、あーん」

ほむらちゃんは私のお箸からおかずを啄むように口に入れます。
  
「はいまどか、あーん」

私も口の中にほむらちゃんのお箸からおかずを……何これ美味しすぎるよ!?
  
「!?????!……!?」
  
「ま、まどかどうしたの?口に合わなかったのかしら……?」
  
「えー。見た目はすごくうまそうなのにね」
  
「いや、うますぎたんだ」
  
「へ?」
  
「暁美さんの料理の腕は間違いなく一流のプロ級。

そんなものを中学生が自分で作ったお弁当だと出されたから

鹿目さんは今こんな表情をしているのよ」

「何まどかそんなに美味しかったの?」
  
「え?ほむらちゃんはつい最近まで入院してて、

今は中学生ながらも一人暮らしをしてるんだよね?」
  
「そうよ」
  
「毎日魔女や使い魔を退治しに街をパトロールしてるんだよね」
  
「そのとおりね」
  
「この料理の腕はいつ磨いたの?パパのよりおいしい料理なんて初めて食べたよ」
  
「時間はたっぷりあったのよ。まどかと仲良くなるきっかけ作りのために頑張ったわ」
  
「いやいやいやいや!今の話の流れに時間がとれる要素一つもなかったよね!?」
  
「そんなに絶賛されてると気になっちゃうなー。ほむら私にも何か一個頂戴」
  
「わかったわ。好きな白米を一つ取って行きなさい」
  
「米一粒かよ!」

「暁美さん今日はそのだし巻き卵をもらえるかしら?このハンバーグと交換で」
  
「だ、ダメだよマミさん。半分……いや3分の一個までだよ交換は」
  
「なんで最初の条件より後のほうがむしろ減ってんだよ。

あっほむら。アタシはその唐揚げ一個頂戴」
  
「あなたは何と交換するのよ」
  
「……仕方ねえ。背に腹は代えられねえか。マミ特製ハンバーグを一つやろう」
  
「ハンバーグ二つはいらないわ。あげるから美樹さやかと半分こなさい」
  
「ほむらさすが!私アンタの事間違った目で見てたよ!」
  
「えー。さやかには白米があるじゃんか」
  
「この鬼!悪魔!人でなし!お前なんか人間じゃないやい!」
  
「おう、魔法少女さ」
  
「ぐぬぬ」

「佐倉さん私も魔法少女なのだけれど……。

そんな言い方するとまるで私や暁美さんに美樹さんも人間じゃないみたいに聞こえるわ」
  
「……おう、マミ悪かったよ」
  
「ほむらちゃん!明日は二人っきりで中庭で食べよう!ねっ!」
  
「まどかと二人っきり……」
  
「あっ、まどかきたねぇぞ!お前それでも人間かよ!」
  
「親友のこんな食い意地の張った所見たくなかった……」
  
「杏子ちゃんにさやかちゃんひどいよ!

私はただ自分が受けるに値する当然の権利を守ってるにすぎないよ!」

「……明日はお弁当大きいの二つ持ってくるからとりあえずはそれで構わないかしらまどか」
  
「うー。仕方ないなー」
  
「お前どんだけ食う気だよ」
  
「それアンタにだけは言われたくないと思うよ」

「なんだとさやか!やんのか!あ?」
  
「へっへーん、今の私が前までの私と同じだと思うなよ!」
  
「確かにさやかの脳が時間が経つにつれ徐々に劣化してる可能性も否めないわね」
  
「ひでぇ!?」
  
「おいおいほむら本気か……?いくらさやかでもまさかそこまで……」
  
「冗談よ」
  
「アンタの冗談えげつなさすぎるわ!冗談言うの下手くそか!」

「どうせ私なんて冗談もロクに言えないグズよ……どうせ私なんか何の役にも立たない……」

「メンタル弱っ!」

「あー、さやかなにほむら泣かせてんだよ酷い奴だなー」

「しくしく」

「絶対嘘泣きだよね!?これ!?」

「今日も平和ねー」

いつの間にか食べ終えていたらしい

ほむらちゃんのだし巻き卵を二分の一個もとっていったマミさんが、

そのおっきな二つのモノをぶるんぶるんさせながら

屋上に仰向けにゴロンと倒れこむのを見ながら考えます。

明日パパに言ってお弁当は少なめにしてもらおうって。

脂肪を一点に集中させているらしきマミさんのように私はなれないのだから。

〜☆

放課後になりました。

ほむらちゃんは何やらマミさんと用事があるようで、

今日はさやかちゃんに送ってもらうことになりました。
  
「ごめんねーまどか。愛しのほむらじゃなくってさ」
  
「ううん、さやかちゃんと帰れて私は嬉しいよ。だってさやかちゃんは私の親友だもん」

厳密に言うとほむらちゃんは恋人でさやかちゃんの上に位置していますが、

それでもさやかちゃんと帰れて嬉しいのは本当です。恋と友情は別腹って奴です。
  
「まどかー。私は嬉しいよーこんな可愛い嫁が持ててー。鹿目まどかは私の嫁になるのだー」

 
「それはやめて。私はほむらちゃんのものなんだから」  

「はい」

「でもさやかちゃんには今までたくさん助けてもらったからね。

親友としてだったら悩みでもお願いでもできるだけ聞くよ」

さやかちゃんは魔法少女なのだから、

私なんかが助けになるような事なんてどうせほとんどないだろうけど。

ああ、辛いことなんかすべてなくなってこんな日々がいつまでも続けばいいのに。

ほむらちゃんももちろんだけど私の大切な人みんながずっと笑っていられたら、

それはどんなに素晴らしいことなのでしょう。
  
「うう……まどかぁ……」

私のそんな思いは十秒経ったか経たないかのうちに儚く潰えてゆきました。

感情の起伏が激しすぎるよさやかちゃん。

「ど、どうしたのさやかちゃん?」
  
「私もう駄目だよー……」

いっつも考える前に感じるをモットーに生きているような

さやかちゃんがこうやって弱音を吐くのはなかなか珍しいことです。

黙って自分から話し出すのを待ちます。
  
「恭介に振られたのは仕方ないよ。

でもそれだけじゃなくて仁美と私達って最近距離が離れてきてるじゃん。

そんなのおかしいよ。私達そんな脆い絆じゃないと思ってたのにさ」

唐突なさやかちゃんの話。

でもさやかちゃんの思いは痛いほど伝わってきます。

私もまた仁美ちゃんと仲良くしたいと思っているからです。

「まどかもほむらとくっついちゃうしさ……。

昨日ほむらにドタキャンされてぽつーんってなって思ったんだ。

あれ?私もしかしてあぶれてる?って」
  
「私達と別に友達じゃなくなったわけじゃないでしょ?」
  
「あんだけ二人で桃色の空気作っといて何言ってんの!

さすがに気を使うわ!……まどかともこれから疎遠になったらなんて思ったら

どうしたらいいのか最近わかんなくなっちゃって……。私もう駄目だよ……」

まあ確かにいちゃいちゃしてる二人の輪に入るのは厳しいかもしれません。
  
「マミさんや杏子ちゃん達もいるよ。それにさやかちゃん友達いっぱいいるじゃん」
  
「いやまあそうだけどさ……」
  
「さやかちゃんはまだダメなんかじゃないよ。

いつもみたいにガーって行ってそれで駄目だったら

そこでみんなに助けてもらえばいいんじゃないかな?

……頼りにならないかもしれないけど私もいるよ」

「頼りにしてなかったらこんな相談してないよ」
  
「あ、ありがとねさやかちゃん」

そんなこと急に言われたらちょっと照れちゃいます。
  
「仁美ちゃんの事に関しては絶対また仲良くできる方法はないかもしれないね」
  
「そんなぁ」
  
「でもだからって諦めちゃダメだよ。

仁美ちゃんだってきっと私達とまた仲良くしたいって思ってるだろうからさ、

落ち着くまでしばらく待とうよ。思いから逃げたら絶対後悔するもんね」
  
「うん……」

夢を見続けたからってその夢が叶うとは限らないけど諦めてしまったら絶対叶わない。

言わなくても思いは感じてもらえるかもしれないけど、感じてもらえるかはわからない。

どの選択肢を選ぶのが正しいのかなんてわからない。

でも後悔せずに済む選択ならきっとどこかにあるはずなのです。

「だいたいさ、ほむらはまどかにべったりしすぎなんだよ。

私だってほむらの友達じゃないのかよってんだ。

昨日まどかも見たでしょ。あいつがバレーで怪我してたの。

あれ外から物音がするたびに体育館の入り口見てたからなんだよね。

それで顔面でボールレシーブしてぶっ倒れてまどかぁ…どこ行ったの…?

心配させないで…って呟いてさ。いやいやお前のその状態のほうが心配だっつうの」
  
「ティヒヒ」

さやかちゃんもほむらちゃんともっと仲良くしたいんだね。

でもある程度以上はダメだよ。私のほむらちゃんなんだから。

 「大体いつもあいつはさ……」

さやかちゃんのたまりにたまった日頃の愚痴が延々と吐き出されます。

人の愚痴をひたすら黙って聞くのは結構苦痛なものです。

それでも私は頑張って最後まで聞いてあげたいって思いました。

私には話を聞いてあげる事くらいしかできない。

でもたとえどんな方法であっても私のこのあふれんばかりの最高の幸せを親友、

それだけじゃなくて私の大切な人みんなに分けてあげることが出来るとしたら

それはとっても素敵な事に違いないのです。

【七話 終わり】

今日の更新終わり

掛け持ちの会話書くのに詰まったのでこっちをやる気が続くだけ更新します

【8話 まど会議編】

〜☆

今日はほむらちゃんが遊べないらしいのでマミさんのお家に遊びに来ました。

杏子ちゃんはともかくさやかちゃんが居たのにはびっくりしました。

どうも最近ほむらちゃんと私がその……、

ラブラブなせいで肩身の狭いらしいさやかちゃんは、

マミさんや杏子ちゃんとよくつるんでいるみたいです。

私の体が二つあったらさやかちゃんとも遊べるのになあ……。

いや、両方ほむらちゃんと一緒に居たがるかな?
  
「やあ、まどか。

今何か叶えたい願いが多少なりとも見つかったんじゃないかな?

僕が叶えてあげるよ!」
  
「お前帰れよ」

いつからか杏子ちゃんはQBをひどく嫌うようになりました。

マミさんも最近QBに結構冷たいしちょっとかわいそうかもと思ってしまいます。

「願い……。そうだ、みんなにちょっと聞きたいことがあるんだけどね」
  
「ん?なにまどか?」
  
「鹿目さん、私をドンと頼りなさい!先輩らしく悩みを解決してあげるわ!」
  
「さすがマミさん!」
  
「さやかもマミもコントやってないでまどかの話聞いてやれよ」

ほむらちゃんがいない今日は絶好のチャンス。

何かほむらちゃんの弱みを握っておきたい所です。

やはりほむらちゃんも人間なのだから弱点の一つや二つはあるはず。

一つくらい私にもほむらちゃんの弱いところが欲しいよ。

ほむらちゃん私を全然頼りにしてくれないし。
  
「ほむらちゃんについて知ってること全部洗いざらい吐いて欲しいなって。

もちろんほむらちゃんにはこのことは秘密にしといてね」

「……く、黒まどかや」

さやかちゃん後でじっくりお話ししよっか?

〜☆

「まずはほむらちゃんの弱みについて話して欲しいかな。はいさやかちゃん」
  
「い、いきなりヘビーな話題ですねまどかさん……」

これ聞きたいだけだけだからね。
  
「うーんよく遊ぶけどあいつのことはよくわかんないねーやっぱ」

なにそれ、最近ようやくほむらちゃんと仲良くなれた私に対する当てつけか何かなの?
  
「役立たず」
  
「ひでぇ!まどか最近ほむらうつってきてるよ絶対!」

ほむらちゃんを病原菌か何か扱いするなんていい度胸してるねさやかちゃん。
  
「なあ、マミ。どうしてさやかはいちいち地雷をぶち抜くような発言ばかりしてるんだ?」
  
「私に振らないでよ。QB今日のご飯は何がいい?」
  
「焼き鮭が食べたいよマミ」
  
「ペットの意見を聴く必要なんてないだろ」
  
「……黙って私の魂をソウルジェムにしたといってもQBがいなかったら私は死んでたわ。

ずっと前からQBも私にとってはお友達で家族なのよ」
  
「マミと最近仲直りしたのは君だけじゃないということさ杏子」
  
「けっ」

「あのう……まどかさん?」
  
「なに?」
  
「じっくり考えてみたんですけどほむらの弱点はやっぱりまどかなんじゃないかなーって」
  
「どうして?」
  
「例えばあいつも杏子とある程度似たような考え方してるとこがあって

本来だったら使い魔なんてほっとくタイプなはずなんだよ」
  
「ほむらちゃんはそんな悪い子じゃないよ」
  
「やっぱアタシはなんだかんだ言っても悪い子なんだよな……。まあ自業自得だけど……」
  
「さ、佐倉さん最近は私と一緒に使い魔も狩ってるじゃない!」
  
「幾ら杏子が善行をつんだところで過去は変えられないよ、マミ」
  
「きょ、今日の晩御飯は佐倉さんの好きなものにします!」
  
「そんなぁマミィ。そんなのってあんまりだー横暴だー」
  
「おお!よっしゃ!じゃあちらし寿司食いたい」
  
「……じゃあちょっと鮭を多めに使ったちらし寿司にするわね」
  
「……どうやらここがぎりぎりの妥協点のようだね」

「悪い子っていうか経験の違いっていうか。うーんなんて言ったらいいんだろ。

仲悪かった頃私あいつにマミさんの弟子として、正義の魔法少女としての自覚はないのか!

って煽ったことあるんだけどね」  

「暁美さんは正義のヒーローというよりダークヒーローって感じよね。

ひとりの女の子のためにすべてを捧げる。

カッコいいわそういうの。……というか暁美さん私の弟子ではないのだけれど」
  
「マミはそういうカッコ良さほんと好きだよな。

弟子でもいいんじゃない別に?本人も否定しなかったんだろ?」
  
「うん、今思うとちょっと不思議だよね。

それはともかくそしたらあいつ信頼してた先輩の魔法少女に殺されかけたり

好きな人のことを自分で殺さなきゃならないような目に逢えばそんな幻想吹き飛ぶわってさ。

確かにあいつはちょっとひねくれたところもあるけど

まどかへの思いは本物だし優しい奴だと思う。

ただあいつの魔法少女ってものに対する考え方は凄いシビアだよ。

必要だったら一般人を魔女の結界に置き去りにしたり放り込んだりするくらいにはね」

「……ほむらちゃんは本当につらい目に会ってきたんだね」

その好きな人って誰なのかな?私もその人に負けないように頑張らないと。

「やっぱりダークヒーローにはそういう冷酷な面がないとダメよね。

でも一方で心の底に熱く滾る情熱があるとなおいいわ」
  
「アタシが使い魔狩るのはおかしいって言った時はそんな反応しなかったじゃんか」
  
「私は今でも自分の考えが間違ってるとはかけらも思っていないけど、

あそこまでの覚悟を見せられちゃうとね。

今だって魔法を使えないのにあんなに頑張って……」
  
「え?」
  
「お、おい馬鹿!」
  
「あ」
  
「あちゃー」

え?ほむらちゃんが魔法を使えない?一体どういうこと?

「……ほむら固有の魔法がなんなのか私は知らないけど

あいつには魔法を使える期限があってそれがワルプルギスの夜が来るまでだったらしいんだ」
  
「元々暁美さんはワルプルギスの夜を倒すのが目的だって言ってたけど

本当に自分の全てを捧げたのでしょうね。魔法少女の能力には願いが色濃く反映されるもの。

今の彼女は変身と肉体強化くらいにしか魔法を使う事が出来ないのよ」
  
「そんな、どうしてみんなそんな大事なこと私に言ってくれなかったの!?」

私ってそんなに信用ないのかな。

でもほむらちゃんの弱みは壮絶すぎるよ。

こんなのを一人で抱えてるなんて悲しすぎる。
  
「ほむら本人の希望だからな。まどかに心配かけたくないって。

実際あいつはさやかの剣とマミの銃をたくさん分けてもらって

盾に収納しておくことで魔女と戦えてる。

戦いの危なっかしさだったら正直さやかの方が上だ」  

「……せめてそろそろ魔法を使えないほむらくらいうまく立ち回れるようになりたいかな」

「美樹さん焦り過ぎは禁物よ。

暁美さんのあの動きは想像を絶するような経験の末に得られたものに違いないのだから。

彼女時々魔女の動きを読んでるとしか思えない動きするもの。

どうやるのって聞いたら

魔法少女の能力が願いの影響を色濃く受けるように魔女の行動にも決まった癖がある。

その癖を結界や使い魔。

姿、攻撃手段などから統計的に読み取れば死亡のリスクを限りなく減らすことは可能よ

ってそんなの無理よ!」
  
「まあ心配するなって言っても無理だろうけどそんな気にすることじゃないよ。

アイツは今ワルプルギスの夜が来る前とは明らかに戦い方を変えてる。

お前に少しでも元気な姿を見せるためにひたすらダメージを受けないようにな。

マミ達の武器を使わせてもらってるからソウルジェムもなかなか濁らないし」

「うん」

「わ、私が言いたかったのもまどかを大事にしてるってことなんだよ!

ほむらが使い魔狩ってるのって少しでもまどかに危害が及ぶ可能性を減らすためらしいからさ。

アイツまどかのためならなんでもしそうじゃん!なんか心当たりあるでしょ?」
  
「私が告白した日も私が学校を飛び出したと知ったら、

自分のカバンを放っておいて私のカバンだけを持って追いかけてくれたりしたっけ」
  
「それはやりすぎね。甘やかしすぎだわ」
  
「ああ、まどかの将来のために良くない」
  
「こ、この話お終い!私が悪かったから!まどかももう十分でしょ!?」

「そういえばほむらちゃんに告白して私の家でお泊まりした

次の日普通に鞄持ってたからそれは何?って聞いたら

予備って言ってたけど中にきちんと教科書入ってたんだよね。

教科書の予備持ってるってやっぱりほむらちゃん変わってるよね」  

「ほむらあの日普通に鞄持ってたもんね。

あれ?教室に残したかばんはどこいったんだろ?実は持って帰ってたとか?

いやそもそも予備はどこから持ってきたんだろ?」
  
「暁美さんの便利な盾に収納されてたんじゃないかしら」
  
「あーなるほどさすがマミさん。ほむらの盾ってほんと便利だよねー」
  
「私も学校について確認したらほむらちゃんが持ってる鞄と

机にかかってた鞄二つあったしやっぱりほむらちゃんの魔法なんだろうね。

ほむらちゃんの元々の魔法っていったい何なんだろ」
  
「今でもその便利収納は使えるみたいだね」
  
「知りたいかい?仮説だったら僕にもあるけどね」

「……ほむらの魔法の話はこれくらいにして次マミのターン行こうぜ」

今までほむらちゃんの魔法の話の間、ずっと口をつぐんでいた杏子ちゃんが突然口を開きました。

何か杏子ちゃんは知ってるみたいだけど、

杏子ちゃんは私のためを思って話を逸らしてくれてるのでしょう。

だったら私も聞かないでおこう。

いつかほむらちゃんから直接聞けるかもしれないし。

「QB。女の子の秘密を勝手にばらす男の子は嫌われるぞ」
  
「君たちだって暁美ほむらの秘密をまどかに言ってるじゃないか。

第一ボクは男の子でも女の子でもない」
  
「そ、それとこれとは別なの!

他人の願いなんて、特に暁美さんのなんて勝手に暴いていいことのはずがないわ」
  
「まあ壮絶なのは間違いないよねー誰か好きな人もいたみたいだし。まどかも頑張れよー」
  
「さ、さやかちゃん何を頑張れっていうの」
  
「秘密にも優先順位があるのかい?

漏らしていい秘密の基準があるなんてわけがわからないよ」

QBの正論が耳に痛いです。

〜☆

「私が思うに暁美さんんの弱点はちょっと世間ずれしてるところね」

なるほど確かに私は今までほむらちゃんのそういうところを

チャームポイントとしか捉えてこなかったけど、それは裏を返せば立派な弱み。

さすがですマミさん。  

「え?なんでまどかは今気づいたみたいな顔してんの?」
  
「さやか……。地雷はよけて通っていいんだぞ」

さやかちゃんとのお話タイムの予定をちょっと延長しなくちゃいけないみたいだね。
  
「私と初めて会った時もそうだったわ。

突然家に訪ねてきたと思ったらつまらないものですがって

孫の手と胸が大きくなる本を渡されてね」

ああ、多分自分が欲しかったものをあげたんだろうなぁ。

「マミのをこれ以上大きくする気かよ。そんな事したら破裂するんじゃない?」
 
「しないわよ!」
  
「ほむらのギャグってやっぱよくわかんないわ」
  
「それがギャグじゃなくて自分が欲しいものをあげたら

人は喜ぶって本に書いてあったって後で言ってたのよね」
  
「限度があるだろさすがに……。てかあいつやっぱ胸大きくしたいんだな」

私が小さいままの方がいいって言ったらそのままでいてくれるかな?

それともそれでもやっぱり大きくしたいかな?

まあどっちでもほむらちゃんは可愛いけど。

「品物を渡された後の協力を求めるあの真摯な土下座がなかったら

私暁美さんのこと信頼できなかったと思うわ」

  
「ああー。アイツの土下座凄いですよねー」  

「え?アタシそんなの見たことないんだけど」
  
「見たことないなんて杏子ちゃんは人生を十分の一は無駄にしてるよ絶対」
 
「そ、そんなに凄いのかよほむらの土下座」
  
「私の話はこれで終わりよ」
  
「マミさんすごく役に立ちました。

ありがとうございます!やっぱりマミさんは頼れる先輩です!」
  
「そ、そんな照れるわ。もう!鹿目さんったら!」
  
「え?マミさんこれだけでこの高評価?」
  
「やめとけさやか。その辺にしときなって」

さやかちゃん二週目いってもらっちゃおうかな?

〜☆

「さあ最後は杏子ちゃんだね。

今のところさやかちゃん30点。マミさん80点くらいかな。

杏子ちゃんには期待してるよ」

色々ほむらちゃんの事知ってそうだし。
  
「あら?なかなか採点厳しいわね」
  
「うわ……私の点数低すぎ……」
  
「口ごたえしたからさやかちゃん15点マイナスね」
  
「ちょっマミさんは!?」
  
「さやか……」

妬ましいさやかちゃんにちょっとした意地悪です。

私もさやかちゃんみたいにほむらちゃんに体に触れるスキンシップがしたいよ。

それにはっちゃけて遊んでみたり軽口たたいてみたりもしてみたい。

……たとえちょっとうざがられても。

「さあ気を取り直して杏子ちゃんだよ」
  
「……うーん。あいつの秘密ねー、話せるようなことはなかなか思いつかないなー」

話せないようなことならいっぱいあるのかな。

頑張ってほむらちゃん本人に話してもらえるようになろう。今はそう思うしかありません。
  
「ああ、でも転校してくるまでは三つ編みの赤い眼鏡でオドオドしてたらしいことを

昔のアルバムかなんか勝手にのぞいた時に聞いたな」
   
「杏子ちゃん。それ詳しく。思い出せる範囲のことすべてお願いできるかな?」
  
「お、おう…?」

ついに見つけたほむらちゃんのかわいい弱点。

私はその日杏子ちゃんを家に招いてまで細かい話を聞き出しました。

事情聴取は朝になるまで夜通し行われました。

【八話 終わり】

【九話 まど風邪に用心編】

〜☆

週末に明日だったら休日だったというのにほむらちゃんが風邪をひいてしまいました。

普通の魔法少女なら体の治癒力を魔力で補強することで簡単に治せるらしいのですが、

ほむらちゃんは今は使えなくなってしまった魔法に能力をどうも全振りしてしまったようで、

そういった魔法も使えないみたいです。

癒しの力を持つさやかちゃんやマミさんは怪我などの修復は得意なのですが、

こういった病気などに対しては残念ながら

多少苦しみを和らげるくらいしか出来ないという事です。

自分にかける魔法と他人にかける魔法とではだいぶ勝手が違うらしいのですが、

一般人の私にはよくわかりません。

事の顛末はほむらちゃんが今日の朝いつもの待ち合わせ時間の10分前にメールで

【かぜをひいちゃった。今日は休む。遅刻しないように】

と送ってきたことから始まりました。

私はそれを見た途端思わずほむらちゃんの家へ駆けだそうとしましたが、

ほむらちゃんの家の場所がわからないことに気づきました。

……私ってほむらちゃんの家の場所知らないの!?

今更この事実に驚愕させられた私は

稲妻に打たれたようにその場に立ちつくすこととなったのでした。

〜☆

結局私の愛故の行動はさやかちゃんによって阻まれました。

どうやらさやかちゃんの携帯に私より少し前に、

風邪で休むことと私が何か変な動きを見せたら無理にでも学校に連れていくようにと、

メールが送られていたようです。ほむらちゃんにはやっぱり敵いません。
   
「ほむら結構無茶なとこまで我慢するから大丈夫かどうかは見てみないと何とも言えないけどさ、

ほむらはまどかに学校を疎かにしてまで家に来てもらっても有難迷惑だろうし、

そんなことしたらほむら多分怒るよ?」

ほむらちゃんが本気で怒ると漏らしちゃうくらい怖いのは

さやかちゃんへの普段の応対を見てて想像がつきます。

それにほむらちゃんには最高の看病をしてあげたい。そして喜んで欲しい。

仕方がないので放課後まで頑張って待ちました。

授業の内容はほぼ全て耳から頭を通って違う方の耳へと抜けてしまったことを考えると、

やっぱり朝すぐにほむらちゃんの家へ向かっても一緒だった気がします。

待ちに待った放課後がやって来ると私とさやかちゃんは一度マミさんの家に向かい、

そこで杏子ちゃん、マミさんと合流しましました。

そしてどういったものを持ってお見舞いに行くべきなのかを皆で会議します。
  
「アイツの家生活必需品ですらちょくちょく不足するくらい物ないから

必要なものは全部持って行った方がいいよ。

料理道具とかは一式あるけど、

食材の方はアタシがいないから弁当の分とちょっとくらいしかないだろうね」

杏子ちゃん詳しすぎるよ!すっごい妬ましいよ!  

「そもそも風邪の症状は何なのかしら?

それに応じて持っていくものも変わると思うのだけれど」
  
「メールで聞くか?」
  
「いや、ほむらの性格からいって事前に見舞い行くこと伝えたら普通に断るんじゃない?」
  
「困ったね……」
  
「やあみんな。お困りのようだね」

どこからともなくQBが現れるのはいまだに慣れません。

「テメェ…何のようだ。」
  
「佐倉さん、QBはまだ何も悪いことしてないじゃない」
  
「やれやれ、ほむらの風邪の症状なら知ってるから教えに来たというのにこの扱いかい?」
  
「QB様。どうかお教えください」

美しさとか何も考えずにただ土下座をします。なりふり構ってられないからです。

  
「鹿目さん!?」  

「そうだなぁ、だったら僕と契約して「おいテメェ…。」冗談だよ杏子。

まどかはこのことを願いに値するほど強く望んでいない。

普通の魔法少女ならこれで契約してもかまわないけど、まどかほどの逸材にはもったいない」

幾らでも「お願い」はするけど「契約」するほどではないです。当たり前です。

「で?ほむらの症状って何?とっておきの看病を見せてやんよ!」

さやかちゃんは家庭的なのでこういうとき期待できます。

杏子ちゃんは妹がいたらしいしこの中で私が一番足引っ張りそうだなぁ。

私ドジだし。
  
「中々ひどい風邪みたいだね。だるさと寒気がひどいみたいだ。

熱もはかったら39度だってさ。まどかにうつしたら大変だから休むみたいだね」  

「こんな時まで鹿目さん基準なのね、見事だわ……」
  
「マミ。感動してる場合じゃないよ」
  
「熱ってことは冷えピタとか?」
  
「なにいってるのさやかちゃん。座薬タイプの解熱剤に決まってるよ」
  
「まどか……アンタって子は……」

「熱は病原菌と体が戦ってる証なのだから辛いでしょうけど

そのまま我慢してもらった方がいいんじゃないかしら?

もちろんあまりにひどいようだったらそれも考えた方がいいでしょうけど」
  
「そんなぁ……」
  
「ほむらもこんなにまどかに思われて本望だろうな」
  
「凄いお尻狙われてるけどね」

失礼な。もし座薬を入れる際に何かが見えたらそれは事故だよ。

誰の過失でもないただの事故だよ。お触りも必要悪となる絶好のチャンスなんだよ。  

「じゃあ後はお粥の材料とかでいいかしら?

熱ならちょっと温かすぎないように注意しなくちゃね」

ちゃっちゃと準備を整えた私たちはほむらちゃんの家へと向かいました。

〜☆

ほむらちゃん家の前につきました。外観を見る限り普通のお家です。
  
「暁美さんの家ってワルプルギスの夜が来る前に段取り合わせのために一度来たけど

部屋の中不思議空間だったわよね。何だか改めて入るの緊張しちゃうわ」
  
「いや、あれは魔法でそういう空間にしてただけだぞ」
  
「ええ!?そうだったの!?」
  
「私もワルプル過ぎてから泊まりに行ったらびっくりしましたよー

なんだこの普通の家!?って」

最近お泊まりしたんだねさやかちゃん。

告白ちょっと前くらいかな?

はぁ。私なんて一度も来たことないのに。  

「なんでも部屋を移る時、中をいちいち整理し直さなくて済むから楽なんだと」
  
「ん?ほむらに引っ越しの予定があったって事?」
  
「え!?」

何それ聞いてないよ!

「……ワルプルギスの夜に負けてたらの話さ。

今はまどかも契約してないしこのままだったらほむらもずっとこの町にいるんじゃないか?」
  
「よ、よかったー」

力を抜いたら地面にへたり込んでしまいそうです。

安心するとふつふつと疑問が湧いてきます。

ええい、言ってしまおう。
  
「ねぇみんな。今までほむらちゃんの家に何回泊まったりしたことあるの?」
  
「暁美さんの家に泊まったことは一度もないわね」

  
「何回かね。アイツ結構アポなしのごり押しで行くと泊めてくれるよ」  

「見滝原に来てマミと仲直りするまで毎日だな。ほぼ同居してたな、うん」

杏子ちゃんは仕方ないとして他の二人の話にはちらほら気になるところがありました。

もう少し調査を続行します。

「ええ。ただソウルジェムの秘密がわかって

ちょっと精神が不安定になってた時に何度か私の家で一緒に寝てもらったことはあるわ。

同じ布団で後ろからギュッとしてもらっちゃったけど

あれはそういう意図があったわけではないから許して鹿目さん」

そんな申し訳なさそうな顔をされたら許さずにはいられません。

理由もきちんとしたものだし。

でもうらやましいなぁ、私も風邪ひこうかな。  

「じゃあさやかちゃんはほむらちゃんとどんな話をしたの?」
  
「うーん。まくら投げとかしたけど話?

まあ主なのは恋バナかな?ほむらの方はひたすらまどか関連だけど」

「へー」

面白そうな話題ですね。根掘り葉掘り聞きたくなります。
  
「後はクラスの男子評とかね。

ただほむらがほとんど男子覚えてないからすぐ終わったけど。

隣の中沢を中島君だと思ってたのには笑ったわ。

後ちょっとだけエロトークしたよ。

まああいつはまどかとの興奮するシチュエーションを説明してくれただけな気がするけど」
  
「待って今書くものとメモ探すから」
  
「まどかも乙女だなあ……」
  
「あのう、鹿目さんに美樹さん。

まずは暁美さんの家に入らない?」

マミさんはおろおろ、杏子ちゃんはもうほむらちゃんの家の中に入っていました。

え?鍵まで持たされてるの?

〜☆

部屋に入るとほむらちゃんは布団をかぶって眠っていました。

ほむらちゃんの顔は熱のせいかほんのり赤みがかっていて、

苦しいのか艶っぽい息をハッハッと吐いていました。

熱かったのでしょう。掛け布団はあらぬところに落ちており、

紫系統の色のパジャマ姿からかわいいおへそがのぞいています。

ぺろぺろしたら怒られるかな?
  
「私決めた。こんな苦しそうなほむらちゃんを見てられないよ。

今日はほむらちゃんの家に泊まる」

嘘は言ってません。

ただほむらちゃんと二人っきり……、

ちょっと間違いが起きてしまっても何らおかしくないのです。

「病人見て顔を赤くしてハアハア言いだした奴にほむらを任せられるか。

大体アンタ看病の経験とかないでしょ?私も泊まるよ」

そ、そんな!ちょっと甘える作戦とかすっごい甘えられる作戦とかがパーだよ!

どうにかしないと。
  
「タツヤのがあるもん!」
  
「親に手伝ってもらってでしょ?ひとりでは任せられないよ。

私は友達の看病とか何度もしたし恭介を手伝ってた経験もある」

ぐぬぬ、こういうときだけ理屈で武装してくるさやかちゃんが憎らしい。
  
「お、おかゆを作ったり家事も手伝えるから私も泊まっていいかしら……?」
  
「え?マミさんも泊まってくれるんですか?もちろんですよ!マミさんがいれば百人力ですよ!」

マ、マミさんが来るなら仕方ない。

確かに私は自分のことばかり考えすぎていました。

ほむらちゃんが早く風邪を治せるようにするのが一番の目的のはずなのに。 

「初めてほむらちゃんの家に来たからって舞いあがって私、間違っていました。

ほむらちゃんの風邪を治すために来たことをどこかないがしろにしていたんです。

マミさんにさやかちゃん、そして杏子ちゃんもこんな私に協力してくれますか?」
  
「もちろんだよまどか!」
  
「ええ。もちろんよ」
  
「アタシもできることならやるよ。

友達が苦しんでる時は助けてやろうとするのが当然ってもんだ。

それにマミがいなきゃ家で飯も食えないし。

ただマミはお泊まり会っぽい雰囲気に浮かれて泊まることを立候補したみたいだけどな」
  
「そ、そんなことないもん!」

こんだけのメンバーがそろえばほむらちゃんの風邪なんて1日で治しちゃうよ!ティヒヒ

〜☆

マミさんはお食事係。

さやかちゃんは洗濯やその他雑用係。

杏子ちゃんは家のことをよく知っているのでお掃除係。

そんな中わたしはほむらちゃんと一緒にいてあげる係に任命されました。

本当にこれでいいのかな?

ほむらちゃんの方を見るとすやすや先ほどの寝苦しそうな姿とは

打って変わって気持ちよさそうに寝ています。

誰かを手伝いに行こう。そう思って腰を浮かすとほむらちゃんが突然体を起こしました。
  
「ほむらちゃん?」

薄目を開けていますが寝ぼけているようでボケーって顔をしてます。かわいいです。
  
「鹿目さん……?」

思わずどきりとしてしまいます。

ほむらちゃんのいつもの声の調子は無感情気味でひどく落ち着いています。

声だけですら彼女は堂々としていてカッコいいのです。

しかし今のほむらちゃんの声は震えていて、

私の耳にはおどおど何かに引け目を感じているように聞こえました。

その声が私の苗字を呼ぶのですからこの胸のザワザワ感は当然のことなのです。

ギャップ萌えって奴です。

しかし名残惜しいですが私は行かなくてはなりません。そのまま立ち上がります。
  
「待って!鹿目さん!行かないで!」
  
「うわっ!ちょ、ほむらちゃん!?」

風邪をひいてるというのに体のどこにそんな力が残っていたのか

ものすごい力で片腕を引っ張られました。

私はなす術なくそのままほむらちゃんの方に倒れ込んでしまい

ほむらちゃんを押し倒す形になります。

しばらくどちらもただ沈黙したまま動こうとはしませんでした。

「……ほむらちゃん?」

胸がドキドキしすぎて痛い。

いったいほむらちゃんはどうしたんだろう。

ほむらちゃんは私の呼びかけに応えぼそっと小さく蚊の鳴くような声で言いました。

  
「一緒にいてください……」  

「え?」

きちんと聞き取れてはいたけれど突然の事態に思わず聞き返してしまいます。

どうやらほむらちゃんはまだ半分夢の中にいるみたいです。
  
「これが幻であってもいい……。

ただせめてもうしばらくはあなたの温もりを感じさせてください。

そうしたら私はまた頑張って歩いて行けるから。

たとえどんなに辛くたってどんなに怖くたって」

今度はさっきと違う意味で胸が痛くなります。

今ほむらちゃんが見ているのはおそらく「私」であって私じゃない。

これはきっと昔の転校してくる前のほむらちゃんなのでしょう。

なら今あなたが見ている「私」は誰?

ねえ、ほむらちゃん。

私達今までここじゃないどこかで会ったことあるのかな?

そんな疑問は喉の奥で音になる前に消えてゆきました。  

「うっ…うっ…うう、鹿目さん。

鹿目さん……大好きです。

魔法少女になんかなっては駄目……!

あなたが幸せになれるなら私は何だってする!

……地獄にだって落ちて見せる!だから!」

大丈夫、大丈夫だよほむらちゃん。私はあなたがいるだけで幸せだから。

言葉にならない思いをただ強く抱きしめて頭を優しく撫でる事で伝えようとします。

もどかしい。

なにもかもがもどかしい。

ほむらちゃんを縛り付けている何かも。

それをどうすることができない私も。

そしてそれがなくなったら

私の前からほむらちゃんがいなくなってしまうのではないかと恐れる私も。 

「私はどこにも行かないよ。ほむらちゃん疲れてるんだよ。

手をつないでてあげるからしばらく一緒に眠ろう。

きっと眠ったら何もかもよくなってるよ。全てがうまくいった未来が来てるから、ね?」

「うん……」

そう言って素直に私の手をギュッと握りしめながら安らかに目をつぶる彼女を見て願います。

どうか彼女が次目を開けてみた光景が彼女の求めた最良の未来でありますようにって。

〜☆

「やあ、暁美ほむら。風邪はすっかり良くなったみたいだね。

やはり君もなんだかんだいって魔法少女のはしくれという事か。

普通の人間よりは風邪の治りが早い」
  
「QB、私今すごく忙しいの見ててわからない?」

次の日完全復活を遂げたほむらちゃんとは異なり、

眠るほむらちゃんを邪魔しないように夜遅くまで遊んでいた

私たち皆に見事ほむらちゃんの風邪がうつりました。

ほむらちゃんは私たちの介抱を一人でするため必要な物を買いに出かけたりとてんてこ舞いです。  

「よっしゃ、これでお粥がまた食えるぞ……。ほむら今日は絶品おじやが食いたい……」
  
「あなたの食欲には時々あきれるわ杏子。今日だけよ」

「ぐーぐー」
  
「さやかは寝てるしスルーしましょう。

こういう時は手がかからなくて楽ね。ずっと風邪ひいててくれないかしら?」
  
「ほむほむぅ…ほむほむぅ…ごめんね。

あなたを看病しに来たのにこんな迷惑かける事になっちゃって。

……ただもし良かったら絵本を枕元で読んでくれないかしら?」
  
「ああ、甘えん坊度がいつにもまして上がっているわ……。

私ひとりの時より苦労は4倍になってるじゃない。

本当なんで病人がいるのに夜はしゃいじゃったのよ。

しっかり眠らなかったことを反省してほしいわ」  

「ちゃっかりまどかの人数分引いて倍にするのはさすがほむらといったところだね」  

「QBうるさい。外にほっぽりだすわよ。

……わかったわマミ。かちかち山か3匹の子豚どっちがいい?」
  
「もも太郎……」
  
「割と贅沢言うのね、了解したわ」

「まどか、何か欲しいものはある?なるべく善処するから何でも言ってみて」
  
「ほむらちゃん……」
  
「それはもうあなたの物よ今更のことだわ」
  
「ウェヒヒ」
  
「ほむら。先ほどから見ているとキミは今日やけに機嫌がいいね。なにかあったのかい?」
  
「昨日やけにリアルな夢を見たのよ。幸せな夢だったわ」

  
「夢?そんな不安定なもので一々日頃の生活に影響が出るなんてやっぱり人間はおかしいね」  

「勝手に言ってなさい。ただ私は救われたのよ。たとえ幻だとわかっていても。……ねえまどか」  

「なあに、ほむらちゃん」

「ずっと一緒にいられたらいいわね。死ぬまで一緒。

死んでもずっと一緒。あなたと一緒にいられたら私ずっと幸せでいられる気がするわ。

実際まどかに何かあったら気分は落ち込むのだからそんなはずないのにおかしな話よね」

だったら私もおかしいね。

私もほむらちゃんといられるだけで幸せになれるって思ってるもん。

風邪のせいで思いを全部言葉にするのは億劫なので、

私はただほむらちゃんのすべすべの手をとって一言だけ
  
「大好き」

と囁くのでした。

【九話 終わり】

今日の更新終わり

一部書いてた時はテンプレ的なキャラの動かし方やらの練習の為に書いてたので
改めて読み返しながら訂正してると恥ずかしすぎる
特にギャグやら変態やらの日常の絡み

ただ風邪の話の後半は自分の趣味が出てて結構好き
やはり読んでて恥ずかしいけど



>かちかち山か3匹の子豚どっちがいい?
微妙に作為的なものを感じるww

掛け持ち書くの疲れたから(ry
最終話構成すらまともに決まってないけどまあどうにかなるよ二カ月あったら
……エタる期限が一カ月になったら生存報告頑張ります

【十話 まど家族にご挨拶編】

〜☆

それはいつもと変わらない日常の中で起きたちょっとした事件でした。
  
「おっきろー!」

いつも通りにママを起こして、いつも通りに朝食を摂った後、

身だしなみを整えている時、その事件の発端が突然顔を出しました。

どこに何があるか人生全く予想が付きません。
  
「まどかも最近急に色っぽくなったねぇ……」
  
「そ、そう?本当だったら嬉しいな」
  
「ここまで急激な色気付き方はもしやまどかにも春が来たのかな?」

ママのニヤケた顔。

今思えばただ私をからかっていただけなのでしょう。

でもその時の私は何も考えずただこう言ってしまったのです。
  
「確かにそうかも。恋ってそんなに人を変えるのかな?」
  
「え?」

あの時のママの顔に貼りついた湿った海苔みたいな笑み。

もし私がカメラを手元に持っていたら、

一枚写真に撮ってまだ幼い弟が大人になった時に見せてあげたことでしょう。

「ま、まどか、もしかして本当にあんた誰か好きな人がいるのかい?」

慌てふためくママを見た私のまず第一の感想はやっちまったなーでした。

ほむらちゃんに見られてると思えば身だしなみに気を付けるようになったし、

いつも出来るだけかわいくありたいと意識していたのが

もう実を結んでいたのかと自答してただけなのに。

どうしてこうなったのでしょう。
  
「うん」
  
「そ、その思いは片思い?それとも両想い?」
  
「両想いだよ。もう付き合い始めて二週間ちょっとくらいかな?」

正確に言う二週間と三日です。  

「ひょ、ひょぇぇぇえぇ。……」

ママがこんな声を出してるところなんて初めて見ました。

もし今手元に携帯があったら録音機能で録っておいて、

また今度ママが飲み過ぎた時に聞かせてあげて酔い覚ましに使うところです。

「お、お相手はどちらの殿方ですか!?」

ママが若干暴走気味です。でもここまで来たら最後まで言ってしまいます。
  
「殿方というかほむらちゃんだよ」
  
「ほむらちゃんってあの大体二週間前くらいに

まどかが初めて家に連れてきたお気に入りの子かい?

数日前もまどかがほむらちゃんを看病するって

急にお泊まりしたと思ったら次の日看病されて帰ってきた子だろ?」

ほむらちゃんの家で風邪に苦しんだ私を余所に

さやかちゃんは一時間ほど二度寝して復活。

杏子ちゃんはお昼ご飯ごろに復活。

マミさんは夕方復活。正直魔法少女の回復力をなめてました。

唯一その後も3日尾を引いた私は、

その日ほむらちゃんに膝枕でナデナデしてもらったり

ほむらちゃんにおじやを食べさせてもらったりといった至福の時間を過ごし、

夕方頃事前に家族にメールしてた時間にほむらちゃんにおんぶしてもらって帰宅したのでした。

自分でも甘え過ぎだったと思います。

「うん、そうだよ。ほむらちゃんが初めて家にお泊まりした日に告白してOK貰ったの」
  
「そ、そうか……。まどかがやけに積極的だと思ったらLikeじゃなくてLoveの方だったか……」

ママだったら私とほむらちゃんとの交際を認めてくれるはず。

そう思っていたけれどもし違っていたら?

だとしても私はほむらちゃんを選びます。

ほむらちゃんには大きく迷惑をかけるだろうけどそれでも二人で一緒に生きていきたい。  

「その、ほむらちゃんとはどこまで進んでるんだい?」
  
「進んでる?」
  
「あー、あれだよ。手をつないだとかデートをしたとか」
  
「布団の中で抱き合って舌を入れてチューくらいまでかな?」
  
「なんてことだ……なんてことだ……」

ママが両手で頭をかきむしります。せっかくセットしたのに台無しです。
  
「ほむらちゃんを次の日曜日家に呼びなさい」
  
「え?」
  
「ほむらちゃんとまどか、私とパパで四者面談さ……」

そして私のハラハラドキドキな一日が始まったのです。

〜☆

ついに運命の日がやってきました。

朝食を家族みんなで食べ終わってちょっと経った頃、

玄関のインターホンが鳴りました。

何も言わず玄関先に向かうママの後に私も続きます。

パパは洗い物をしてるみたいです。

「いらっしゃい、ほむらちゃん」

玄関を開けるとそこにいたのはやっぱりほむらちゃんでした。
  
「先日もお邪魔させて頂きましたが改めてご挨拶に伺いました。

暁美ほむらです。鹿目さんとは同性ではありますが互いの合意の元、

恋人として毎日を過ごしています」

ほむらちゃんが玄関先でQBに見せた土下座に勝るとも劣らない土下座を見せます。

前から見るとこんな感じなんだ、なんか見てるだけで凄く申し訳ない気分になってくるよ。
  
「いやいや頭をあげておくれ。なんだかあたしが悪者みたいじゃないか。

なにもべつにあんた達の恋路に文句付けようってわけじゃない。

ただ私もまどかが大事だ。まどかの恋人にいくつか質問したくてね」 

「はい」

顔をあげたほむらちゃんの目には熱い決意の色が燃え滾っていました。

〜☆

「ほむらちゃんは何か飲みたいものあるかい?」

パパがほむらちゃんに尋ねます。

そのニコニコ具合はこの場の緊張感から言って異様な感じすらしました。
  
「コーヒーで。できればブラックのを」
  
「ほー。ほむらちゃんは大人だねー家のまどかとは大違いだ」

一言余計だよママ。
  
「ほむらちゃんはコーヒーか。まどかはココアでいいかい?」
  
「うん。パパありがとう」
  
「ありがとうございます」
  
「いいよ一々礼なんて。客人に飲み物も出さないのは失礼だろ?」

ママも私が恋人がいると言った時とは別人のように落ち着いていて、

今はほむらちゃんを品定めするようにじっと威圧するような視線を投げかけています。

おそらくこれの相手がパパだったとしたらもう二言三言泣き言を言ってるところでしょう。

それなのにほむらちゃんは私と同い年にも関わらず

その視線に全く動じることなく平然と見つめ返していて、

なんだか二人の視線の攻防は映画のワンシーンのよう。

うーんかっこいいなあ。

「はい、コーヒーだよ。まどかにはココア。火傷しないように」

無事飲み物が私たちの元に渡ったのを見るとママは口を開きました。

あれ?ママの手元にはいつの間にかビールの缶があります。

いったいいつの間に……?  
  
「さあ、まずは一つ目の質問だ。アンタのまどかへの気持ちから聞かせてもらおうかな」


ほむらちゃんはママから一度も目を逸らす事なくすらすらと答えます。
  
「まどかは私の一番大切な人で私の全てです。

私の生きる意味です。

彼女の幸せのためなら人生だって喜んで投げだします」

ほむらちゃんの言葉で場の空気はなんだか結婚の話し合いみたいな物になってしまいました。
  
「中学生が使う言葉としてはちょっと荷が重すぎるんじゃないかい?

それにほむらちゃんが転校してきてこんな短い期間でそこまで……」
  
「これは事実ですから」

ピシャリと断固とした口調でほむらちゃんが言い切りました。

パパがママの隣でびっくりって顔をしてほむらちゃんの方を見つめています。

ママはちょっと動揺しているようです。

ママが他人との話し合いでたじたじになってるのをはじめて見ました。

それも相手は一介の女子中学生なのです。……本当はちょっと違うけど。
  
「……まあその顔を見る限り本気みたいだね。

確かにこの子はいい子だけどいったい何があんたをそこまで惹き付けたのやら」
  
「恋は理屈じゃないですよ」

そう言って笑うほむらちゃんに私は何となく不安な気持ちになります。

その笑いは嘘だってわかるからです。でも何に嘘をついてるんだろう。
 
「でも一つ理由をあげるとするなら

まどかが私と最初に友達になってくれた人だってことですね。

私にとって彼女は特別なんです。色々な意味で」

ほむらちゃんの言うことはやっぱり良くわからない。

彼女は前、剣を友達の証として誰かの形見にもらったと言っていた。

私が最初の友達?……やっぱりほむらちゃんと私はどこかで?

「……もうほむらちゃんの気持ちが本物だってのは十分わかった。二つ目はまどかにだ」
  
「わ、私?」

丁度考え事していたところを突然名指しされてびっくりしてしまいました。
  
「まどかのほむらちゃんへの気持ちを聞かせてもらいたいね」

私の気持ち……。  

「言葉にするのは難しいけど一緒に歩きたいってことかな」

みんな私の方を見てる。頑張って整理して少しでも私の気持ちを言葉にしないと。

「私ほむらちゃんにいろんな事で助けてもらってばかりなんだ。

ほむらちゃんは勉強も運動もとにかく何でも出来てカッコよくてそれで優しいの。

私は最近まで仲良くなりたいだとか、受けた優しさを少しでも返してあげたいとか、

ほむらちゃんには自分のことだけ見て欲しいとか、

ほむらちゃんに認められるような立派な人間になりたいとか、

そんなことばかり考えてたの。

でも今はただほむらちゃんとずっと一緒に生きていきたいって思ってる。

辛いことも苦しいことも楽しいことも嬉しいことも、

情けない私自身のことだって、ほむらちゃんと一緒にいられたら全て幸せに感じられる。

そんな気がするんだ」

上手く伝えられたかな?どうだろう、よくわかんないや。

しばらくの間誰も口を開かない。

タツヤは今何してるんだろう?多分寝てるのかな。
  
「ほむらちゃんとまどかの気持ちはよくわかった。

私は二人が付き合う事を認めるよ。

二人が本気だったら邪魔する気なんて最初からなかったし。パパももちろんいいだろ?」
  
「うん、元々ぼくは何も心配してないよ。

まどかの選んだ子だからね。

ただ何も言う気がなかったせいでなんか僕最初から最後まで空気みたいになっちゃったね、

ハハハ」
  
「やったよほむらちゃん!」
  
「ええ!」

ほむらちゃんはさっきまでの気迫溢れる様子を崩し、

へなへなといった感じで椅子の背もたれにもたれかかります。  

「……ただね」

ママが何か言うみたいです。

せっかくハッピーエンドっぽかったのになんか怖いです。

「……その、舌を入れるキスとかディープなのは中学生には早過ぎると思うんだよね。

あんた達からしたら余計なお世話かもしれないけど」
  
「も、もう二人はそこまで進んでいるのかい?最近の若い子は凄いね」

ほむらちゃんの顔がサーって青ざめたかと思うと

口をパクパクさせ終いには俯いて顔を真っ赤にしました。

見てて面白かわいいのでもう一回やって欲しいです。
  
「その情報はいったいどこから……?」

俯くと黒髪のせいで顔はよく確認できませんが、

涙目でしゃべっているだろうということが容易に予想がつく弱弱しい声です。

やっぱ弱弱しいほむらちゃんにはグッとくるものがあります。

「数日前まどか本人からね。

正直今日ほむらちゃんを呼んだのはこっちが本題みたいなもんなんだよ。

さすがに心配でね。

まあ並な男が来るよりはほむらちゃんみたいのが来てくれた方が私は嬉しいんだけどさ。

二人ともまだ中学生だからね。老婆心ながら私見を述べさせてもらったわけ」
  
「そ、その御心配はごもっともです!

こんな若輩者が娘さんに手を出してしまって申し訳ありません!」

先ほどまでの毅然とした態度はどこに行ってしまったのか

ほむらちゃんは完全に委縮してしまっています。
  
「そんな何も男が女を孕ましちまったわけじゃないんだから……。

大体最後までいってないんだろ?」

  
「詢子さん、ちょっと下品が過ぎるよ。お酒ストップした方がいいかい?」  

「おおっと、失礼。気をつけるよパパ」

さ、最後…?あれ以上があるの…?

ほむらちゃんと初めて出会った夢の中じゃ

裸で互いの体を触ってキスすることしかわかりませんでした。

となるとやっぱりおまたをどうにかするのかな……?全然想像つかないや。

「まあまとめるとだ。親としては付き合うことは認めるけど、

出来るなら高校生までは

口が軽く触れるくらいのキスまでにしておいてくれないかってお願いしたいわけ」

え!?せっかく続きがあるって知ったのに我慢しろって言うの!無理だよそんなの!
  
「そうですね。

もっと他のデートとかお弁当の食べさせあいとかの方法で愛を確認したいと思います」

今日初めてこの家の中でほむらちゃんが見せた本当の笑顔。

おかしいよ、そんなの、ほむらちゃんは我慢できるの……?
  
「ふざけないで!!!」

今まで出したことのないような大声が出ました。みんなビクリとします。 
  
「ど、どうしたのまどか?今の話は凄い真面目な話だったと思うのだけど……」

  
「無理だよそんなの!ほむらちゃんと毎日過ごして我慢するなんて!」
  
「お、落ち着いてまどか」
  
「落ち着いてなんかいられないよ!そもそもほむらちゃんのせいなんだからね!」
  
「えっ、えぇ!?」
  
「そんなえっちぃ体して誘惑しておいて今更お預けなんて生殺しもいいところだよ!」

  
「ど、どういうことなの…?こんなごぼうみたいな体にそんな魅力なんて……」  

「……そういうことなら一から説明してあげるよ」

その後私のほむらちゃんへの「思い」についての演説は数時間続きました。

〜☆

「ハハハ、まどかも大人になったもんだね。アタシもここ十年で一番びっくりしちゃったよ」
  
「ママ、なんかまどかがどこかに行ってしまったみたいで涙が出そうなんだけど」
  
「知久。それ以上言うな」

今ちょっと遅めの昼食をほむらちゃんが用意しています。

おかげで私は家族に「趣味」をばらされてその中に放置されるという中々過酷な状況下にいます。
  
「出来上がりました」

そんな気まずい私を救ったのはやっぱりほむらちゃんでした。

  
「おお、未来の娘の嫁の手料理……ってなんか凄い本格的だぞ!?」  

「す、凄いね今までの時間でどうやって作ったんだい?」
  
「来る前に下準備をある程度済ませてきたんです。」
  
「ほむらちゃんはこれをどうやって運んできたっていうんだ……」

間違いなく魔法です。

「まあ細かいことはいいからとりあえず早く一口頂こうか……ってうまいぞなんだこれ!?」
  
「こ、これは僕も料理を教わりたいレベルだね」

いつにも増して気合入ってます。早く大人になって同棲したいです。
  
「ちょっと頑張っちゃいました」
  
「頑張って中学生が作れる料理じゃないよこれ。悔しいけどうちのパパよりおいしいじゃないか」
  
「……まどか、本当にほむらちゃんって何者なんだい?

まさかプロの料理人だったりするのかな?」  

「さ、さあ。私もよくわかんない」

本当にほむらちゃんについてはわからないことが一杯です。

〜☆

その後はみんなで仲良く話したりカードで遊んだりと仲良くした後、

今度はパパが手料理を振る舞って、自然な流れでお風呂に入ることになりました。

どうもほむらちゃんがお泊まりするのはいつの間にか決定していたようです。

ほむらちゃんと一緒に入ったらとママが煽るせいで

二人とも急に恥ずかしくなって入れなくなってしまったので、

仕方なくほむらちゃんに先に入ってもらってその残り湯に浸かって楽しむことにしました。

今私はママと二人で向かい合ってテーブルに座って話をしています。

ママ今日は朝からお酒飲んでる気がするけど大丈夫なのかな?  

「ほむらちゃんだけどさ…あの子はいったい何者なんだろうね?」    

一言で言うなら謎多き魔法少女といったところでしょうか?
  
「私は結構会社の中で無理してるし、

この性格だから学生の頃から今までヤバい奴を色々見てきた。

でもあんな眼をした奴に会うのは初めてだよ」

私の会った数少ない魔法少女はみんなどこか少女をやめてしまったような目をしています。

さやかちゃんも魔法少女になってからはどこか大人びた目をするようになりました。

そんな中でもほむらちゃんは私ですら怖いと思う目つきをすることがあります。

きっと恐ろしく過酷な時を過ごしてきたのでしょう。

「絶対ロクでもない修羅場を潜ってきてる。

アタシが言うんだ。間違いない。

ただの女子中学生なまどかとあの子が今同じ道を歩んでいるってのはちょっとした奇跡さ」

わかってるよ、そんなこと。

私とほむらちゃんが釣りあってないことなんて。それでも私は……。
 
「まどかはほむらちゃんと一緒に歩きたいんだろう?」
  
「うん」
  
「だったら絶対に何があっても手を放すんじゃないよ。

例え腕を振り払われたとしても無理にでもしがみつくんだ。

一度離しちまったらそれできっと終わっちまう。

それがまどかのしたいことならあたしは最後まで何があっても絶対応援してやるからさ」
  
「ママ……ありがとう」

私は本当に恵まれています。素晴らしい友人達に恋人。

そして家族。毎日幸せを実感するばかりです。

もしこのままでいられるなら他に何もいらないよ。
  
「ママ。私ママの娘でよかったよ」
  
「はは、嬉しいこと言ってくれるじゃないか。

あたしもまどかみたいないい子が娘で良かったよ。

そりゃちょっと暴走しちゃうところもあるけどそれもまどかの良いところさ。

あたしの娘だからね。それくらいやらないと」  

「も、もうママったら」

「まろかー。ほむあー。」

弟のタツヤがパパに連れられてこっちの部屋に来ました。家族全員集合です。

会ってすぐ、なぜかほむらちゃんはタツヤに懐かれました。

自慢の黒髪を引っ張られ困ってあたふたするほむらちゃんは私の中で殿堂入りしました。
  
「パパ、私パパの娘で良かったよ」
  
「ハハ、いったいどうしたんだいまどか」
  
「まろかー。ほむあー。すきー」
  
「も、もうタツヤったら!」
  
「どうやらまどかのほむら愛はこんな小さな子供でも分かるみたいだね。

パパ、これはタツヤに頑張ってもらわないと孫の顔は拝めそうにないよ」
  
「も、もうママまで!」

「お風呂あがりました」

お風呂上がりのほむらちゃんは黒髪の水滴がつややかに輝いて、

まさに水も滴るいい女といった言葉がぴったりです。

ああ、やっぱり一緒にお風呂入りたかったな……。
  
「まどか、なんだったらほむらちゃんに頼んで今度は二人一緒に入ってもらったらどうだい?

せっかく出たところでまた入ってもらうのは申し訳ないけれど」
  
「も、もうパパまで!」

何のことやら訳がわからないと、

ほむらちゃんがおろおろしてるのを面白そうに眺めるママとママをほほえましげに眺めるパパ。

そして我関せずといった感じで何か一人で遊んでいるタツヤという

この光景が妙に私の脳裏に残りました。

〜☆

「まどか起きてる?」

  
「私たちこれで晴れて正式に恋人、いいえ、もうすでに半分婚約したレベルかもしれないわね」  

「今まで欲望の赴くままにあなたにキスなんて教えてごめんなさい。

……今私が言いたいのはそんなことではないわね。

こんな大事なことをあなたが眠ってる今しか言えない臆病な私をどうか許してちょうだい」
  
「私ね、未来から来たの。あなたを守るために。

だから私が愛しているのは過去にも未来にも今にもあなただけ。

それがずっと言いたかったのだけれどやっぱり私って最低ね。

まどかを救うと決めた時から、いえ、今まで生きてきた人生でずっと変わりたかったのに」
  
「臆病で、役立たずで、それでもたとえ嘘であっても全て塗り固めるしかなかった昔の私。

今では本当の私なんて忘れてしまった。

こんな私があなたの傍にいる資格なんてないのかもしれない」

「それでもあなたが望むなら出来る限り傍にいるから。

あなたが魔法少女にならない限り。

あなたを魔法少女にしない事が私の目的。だって魔法少女は……」
 
「今日はもうお終い。

ご両親に申し訳ないからキスも今一度したらしばらくやめちゃいましょう。

まどかが寝ているのが残念だけれど。

……いつかまたエッチなことが堂々とできるようになった頃、

面と向かって最後の秘密も一緒に明かせたらいいわね」

そうして軽く重なった唇は少ししょっぱい涙の味がしました。 

【十話 終わり】

更新終わり
恥ずかしィぃぃぃ!うわぁぁあぁあぁ

今まで長かったけど後もうちょっとなので気が向いたときに頑張ります

乙ー
掛け持ちってどこかで書いてるの?

これは乙ですね


恥ずかしい?だがそれがいい

更新です

>>114
巴マミ「寄生獣?」このクロス物現在書いてる
寄生獣原作知らなくても読めるようにしてるつもりだけど
まどほむどころか百合要素ないし暗い雰囲気の話なので
こっち読んでる人向けではないと思う
ただ少しでも寄生獣に興味持ってくれる人が増えればなーって気持ちで書いてるので一応宣伝

正直掛け持ちの展開想像してる方がワクワクするから
こっちの次回最後の更新がいつになるかは不明です
打ち切って二部に統合すらあり得る

それどころかあっちの内容これの二部の数倍濃くて、客観的に見ても面白そうなので
あっちが終わった後に二部をやる元気が残っているかも不明
まどほむ書きたくてこういうの書き始めたし多分大丈夫だと思いたい

今日は美樹さんと佐倉さんと朝から一緒にお買い物です。

私は今まで学校の友達とはろくに遊べていませんでした。

いつ魔女や使い魔が出てくるかわからないからです。

魔法少女である事がばれたりその子達を巻きこんだら一大事なので、

うかつに遊ぶわけにはいきませんでした。

しかし美樹さんも佐倉さんも魔法少女。

そんなことを心配する必要はありません。  
  
「マミさーん!杏子ー!おはよー!」

  
「おはよう美樹さん」

全員そろったので目的地であるショッピングモールへと三人で歩き始めます。

今日は楽しみすぎていつもより3時間も早く起きてしまいました。

「ようさやか、時間に遅れないなんてお前にしては上出来じゃん」  

「なんだとー!」
  
「佐倉さんも私が起こさなかったらまだ布団の中でしょ」
  
「へへっアタシはいいんだよ。だってマミはいつでも傍にいてくれるからな」
  
「もう佐倉さんったら!」

そんなの急に言われたら照れるわ!

幾ら師弟関係といってもそれじゃまるで恋人みたいじゃない。
  
「……二人ともまさかまどか達みたいに

私の知らない内に恋人関係になってたりしないよね?」
  
「はは、馬鹿言うなよ。アタシらはそんな関係じゃないよ」
  
「そうよ、どうせだったら私も暁美さんみたいな人がいいわ」
  
「……マミ?」

佐倉さんが不安そうな顔、

美樹さんが目を輝かせ楽しくて仕方ないといった顔をしてこちらを見てます。

どうやら私の言い方のせいで勘違いさせてしまったようです

「別に鹿目さんみたいに私も暁美さんに恋してるってわけじゃないわ。

ただお菓子の魔女に食べられかけてた私を助けてくれた

暁美さんみたいに誰か王子様が私の危機を救ってくれないかしらって思ってるだけよ」

佐倉さんはああなるほどといった顔、

美樹さんは何だか不満そうな顔をしています。

少なくとも誤解は解けたみたいです。
  
「マミはそういうロマンチックだったり

なんかめんどくせえの好きだもんな。

大方ああ、私だけの王子様!

とかまだ見ぬカッコいい男を伴侶の相手として想像してんだろ?」

  
「なによ、いいじゃないそういうのに憧れたって。私たちまだ中学生なのよ」  

「マミの胸はすでにアダルトビッグバン級だけどな」

佐倉さんが意地悪な顔をしてこっちを見ています。
  
「もう!気にしてるのに!

私がこれをコンプレックスなの知ってて

言うのやめてよ佐倉さんったら!」

「でも確かにほむらはまどか限定に近い気もするけど

結構お姫様を救うナイト気質だよね。

クラス内の人気実際凄いんですよアイツ」
  
「まあ暁美さん綺麗ですもの」
  
「それに実際純粋な剣の扱いならさやかより上手そうだよな」
  
「……気にしてるからそれ言わないでよ。

ほむらって凄いよなー。

眉目秀麗、才色兼備。

運動も勉強もとにかく何でもできるドジっ子でまどかに一途。

過去は謎に包まれてるしどんだけキャラ建てすれば気が済むんだよ」  

「実際クラスの男子とか中学三年生になったとはいえ

精神年齢だけ見ても暁美さんに見劣りするのよね……」
  
「ほむらレベルを普通の子供に求めんなよ。

このままマミの恋愛観が年月とともに自由に育ったら

マミのお眼鏡に適う男は地球上からいなくなるな」

さ、佐倉さんって結構きついことはっきり言うわね……。

知ってたけど。

「……き、気をつけるようにするわ。私早く恋してみたいもの」
  
「恋に恋なんかしてもロクなことにならねえぞ」
  
「あら?それって佐倉さんの体験談かしら?」
  
「体験談っつうか昔教会でそんな奴ら山ほど見てきたからな。

自分が勝手に相手に惚れたくせに

その相手が結婚してて私はどうしたらいいですか?とかね。

それこそ神のみぞ知るって奴さ。

てめえの人生だ。てめえの好きにすりゃいい」

好きにしろと言われてもどうしたらいいかわからないから

相談しに来てるわけだし……難しい話ね。
  
「うう耳が痛い。

私もマミさんやほむらに後押しされなかったら

まだうじうじしてたんだろうなぁ……」
  
「でもあなたはちゃんと戦ったじゃない。

過去にifを持ち出しても無意味だわ。決して変えられないのだから。

美樹さんも私も早く素敵な運命の王子様に出会えるといいわね」

「そうですねぇ。あっ!そう云えば運命で思い出しました!」
  
「なんだよ、突然でかい声出しやがって」
  
「まどかがほむらに出会ったのは運命だなんだって

最近のろけてたんだけどさ、

ほむらが転校初日に教室に入ってきた時を別にしたら、

まどかとほむらの初めてのまともなコンタクトって、

QBが使い魔に襲われたから近くにいたまどかに助けを求めて

それを聞きつけたまどかが助けに行った時なんだよ」  

「あいつ一般人のまどかに助け求めてたのかよ」
  
「今日の晩御飯は抜きね」

その時は私も近くにいたはずなのに……。

こういう話を聞くと時々QBのことが信じられなくなる。

暁美さんがQBを嫌ってるという事が私の胸に重い影を落とす。

何か私の知らない事実がそこにあるんじゃないか。

そう思ってしまうんです。

「でも冷静に考えるとなんでQBが使い魔に襲われてたのかなって。

なんか作為的じゃない?

自然な状態でQBが使い魔に襲われるとか考えられないんだけど」
 
「それはね美樹さやか」
  
「きゅ、QB!」
  
「……お前突然出てくんなよ殺すぞ」

私達の話を今までずっと聞いてたのかしら?

お留守番しときなさいって言っておいたのに。
  
「ただ姿を見せただけなのにひどい言われようだなあ。

あ、マミ。ボクは別に君の言いつけを破った訳じゃないよ。

ちゃんと家には君に留守番してろと言われた個体が居るから安心してね」  

「え?」
  
「……こいつはゴキブリみたいにいっぱい世界中に散らばってんだよ。

全員が記憶を共有しながらな」

訳がわからないわ……。

「あんな生命力が高いだけが取り柄の下等生物と一緒にするなんてひどいよ杏子」
  
「けっ、感情なんて持ち合わせてないくせによく言うぜ」
  
「言葉のあやさ。君たちの用いる言語という伝達手段は必然的に伝達内容が抽象的、

比喩的にならざる負えないという欠点がある。

人類も早く記憶を共有できるようになれたらいいね」

みんなと記憶の共有なんて恥ずかしすぎる。

やっぱりQBとは分かり合えないことも多そうね。

……でも互いに歩み寄る姿勢があればいつかきっと分かり合えるはずって信じてるから。  

「そんなの死んでもごめんだよ。気持ち悪い」
  
「杏子、気持ち悪いという概念は僕達にはほんとうに理解し難いよ。

合理的なリスク判断の際に用いられることもあれば、

主観的な偏見に基づいていることもある。

いわゆる感情のノイズと言う言葉が一番適切に意義を表しているのかな?」
  
「おーいもしもーし。さやかちゃんを忘れないでー」

……今日帰ったらQBに詳しくお話を聞かないとね。


でも何を?

〜☆

「さぁついたぞー!ショッピングモール!」
  
「なんでわざわざ徒歩なんだよ。あーめんどくさ」
  
「どうしてわざわざ人間は苦労をしたがるのかな、訳がわからないよ」
  
「綺麗な公園を通って気分をリフレッシュして、

朝ごはんをおいしく食べるためにお腹を空かせるためよ」  

「さすがマミさん!」

みんなと少しでも早く一緒に居たかったからなんて言えない。

……ダイエットを兼ねてるなんてもっと言えない。

佐倉さんと一緒に生活してるとお菓子の誘惑が……。
  
「はあ?ほっときゃ時間になったら腹なんて勝手に減るじゃんか」
  
「開店時間まであと30分あるみたいだね」
  
「うへーマジかよー腹減ったー」

「あれ、あそこにいるのほむらじゃん」
  
「あら、本当ね。」

暁美さんがこんなところに一人で来るなんてびっくりだわ。

こういうところに休日わざわざ来るタイプとは思えないのだけれど。
  
「おーいほむ」
  
「しー!静かに」
  
「いきなりなんだよさやか」
  
「見なよあの服装。

あいつがきちんと私服に気を使ってるって事は

まどかとのデートって事でしょおそらく」  

「ああ、なるほど」

美樹さんってこういう細かいことに鋭いのよね、私も見習わないと。
  
「じゃあほっといてやるか。邪魔しちゃ悪いもんな」
  
「そうね、そうしましょう。

でもそうなると結局開店時間まで暇になっちゃたわね」
  
「じゃあQBになんで使い魔に襲われてたのか聞いてみましょうよ」
  
「おら、早く話せよ」

QBを踏みつけるような動作を佐倉さんがする。

私がいなかったら多分本当に踏んでいたのでしょうね。

「やれやれ、別に大した話でもないよ。

僕はその時歴史上他に例を見ないほど莫大、

という言葉ではおよそ言い表すことのできないほどの

才能を持った魔法少女候補を追っていた」

  
「ってそれまどかでしょ」  

「あんな毎日何不自由ない生活送ってる奴に契約迫るとかやっぱお前えげつねーわ」

QBはどうしてそんなにたくさんの人と契約をしたがるのかしら……?

魔女を一匹でも多く倒す駒が欲しいから?

でもそれだけとはとても……。

この町は既に魔法少女が多すぎるというのに今だって鹿目さんを……。
  
「しかし彼女のそばにある一定の距離以上近づこうとすると

決まっておかしなことが起こった」
  
「お?なんかホラーっぽいぞ」
  
「さやか、話が長くなるから話の腰折るな」

「確かに僕は彼女の元へまっすぐ歩いていたのに全く違う場所にいるんだ。

しかも何度か繰り返すうちに

その不可解な瞬間移動にはある規則性がある可能性が出てきた。

僕は何日もその調査に追われててね、困ったよ。

いくら調べても原因はわからないけど何らかの規則性はあるらしい。

やめるわけにもいかないから他の予定が色々狂ってしまう。

ただその日はいつもと様子が違った。

いつものようにまどかに近づいたと思ったら突然使い魔の口の中さ。

使い魔が一口噛んで吐くものだから死ぬわけにもいかなくてね。

どうせ自分から近づくのが無理なら

この状態でまどかを呼んだらどうなるのかを試してみたのさ。

普段何もない状態で呼んだらそれは胡散臭いだけだろうからね。

他の魔法少女候補なら適当な願いを考えさせて契約してもいいが、

まどかほどの素質を考慮すると余りにもったいない。

そんな中ファーストコンタクトとしてあの場面は絶好のチャンスだったんだ。

僕から話しかけるのといきなり呼び出すのとでは意味合いがまるで違うからね。

できればやりたくなかったのだけど」

「うわーあくどいなー」
  
「で、結局原因は何だったのかしら?」
  
「そりゃほむらだろ」
  
「結論から言うとその通りだろうね。ボクは彼女に完璧に踊らされていた訳だ。

現に一度まどかと接触した後はもうその現象は起こらなくなったからね」

そんな前から彼女は鹿目さんのことを守っていたのね……。愛って素晴らしいわ。
  
「ん?何日もその強制テレポートは起こってたんだよね?」
  
「そうだよ」
  
「でもほむらが転校してきた日ってちょうどその日なんだけど。

まどかのことはどこで知ったんだろう?」

 「僕には断定的なことは言いかねるが

彼女が時間を操る魔法少女である可能性が相当高いことを考慮するに、

彼女が元々いた時間軸で出会ったんじゃないかな?」

え?暁美さんって時間を操ってたの?

瞬時に空間移動する魔法を使ってたのかと思ってたわ。

盾の中は自由に空間を広げてるものだとてっきり。

「時間を操る能力だって言う根拠はなんかあんの?」
  
「さやか、彼女に今までおかしい節はなかったかい?

まるであの一カ月のことを何でもあらかじめ知っているような……」
  
「……あった。

病院の魔女の時も中から恵方巻きみたいなのが

出てくるの知ってたみたいだったし、

ほんともう飽きるくらいあった。

てかワルプルが来ること知ってたのがそもそもおかしいよね」

あのとき美樹さんが契約してくれるって

言ってくれたから私舞いあがっちゃったのよね。

情けない話だわ。

あの時暁美さんがいてくれなかったら私は死んでいた。

もっと強くならなくちゃ、心も技も。  

「それにボクはそもそも彼女と契約した記憶がない。

これはおかしいんだよどう考えても。

ボクは全個体で記憶を共有しそれをすべて保存している。

ということはつまりボクたちと彼女はそれまで絶対契約していないことを示す訳だ。

それこそ未来で契約したか、ボクとの契約の記憶を消す祈りで契約したとかでもない限りね」

「それに彼女の戦い方を見てもわかる。

あれは瞬間移動の能力だけでは足りない。

普段の戦闘ではそんな判断材料なんて与えてくれなかったが

さすがにワルプルギスの夜との戦いではそこまで気を使うことはできなかった様だ。

他には彼女の魔法少女の熟練度と肉体年齢がかみ合っていないというのもあるね。

少なくともあれは数十年で身に付く技術ではないよ。

魔法の使用制限から察するにあの1ヶ月を数え切れないくらい繰り返していたのだろう」  

「それにそう考えると一番の謎が解ける。

さやかの剣をさやかが契約する前に持っていたことだ。

本来魔法少女が違えば魔力の違いからどんなに外見が酷似しても

同じ武器を作ることはあり得ない。なら彼女が友達の形見と言っていたあの剣は何だ?

やはりさやかのものだと考えるべきだ。違う時間軸のね」

「……どうしてそこまでわかってたのに誰にも言わなかったの?」
  
「聞かれなかったからね。

知る必要がどうしてもある情報ではないだろう?

現に今マミはその事で余計な苦悩を感じているじゃないか」

ならその苦しみを独りで抱えていた彼女は……。

そこまでして時間を繰り返さなくてはならなかった理由……。

QB、あなたは他に何を隠しているの……?  

「まあ、確証が欲しいというなら簡単さ。

聞いてみればいい。杏子は真実をほむらから聞いていると思うよ」  

「……杏子?」
  
「……佐倉さん?」

佐倉さんの表情は苦々しげで

どこか私たちが一度袂を分かつこととなったあの日を思い起こさせました。

〜☆

「あ、まどかが来た!」

結局佐倉さんは何も言いませんでした。

ただ怖いくらいに無表情で私たちを見返すばかり。
  
「すっごいニコニコしてるわね」
  
「でもほむらいつからあそこにいるんだろ?」
  
「約3時間前だね」
  
「「え!?」」
  
「ボクは君たちの前に姿を見せる前はずっと彼女の監視をしていたからね。間違いないよ」

……よくもそんなストーカー発言を堂々と言えるわね。

ある意味感心しちゃうわ。

「あ!まどか達中に入ってくみたいですよ。……って開店時間じゃん!」  

「追いかけましょう」  

「え?」
  
「ちょっとデートを追いかけてみるだけよ」
  
「おお!楽しそうですねそれ!」
  
「……やめといた方がいいんじゃねえの。趣味悪いぞ」

佐倉さんの正論を無視する。

だって何か分かるかもしれない。

もう何も知らないまま生温かく見守られているのはたくさんよ。

私と美樹さんがこっそり二人の後方を歩き出すと

佐倉さんもため息をつきながらついてきました。

お金は私が管理しておいて本当によかったわ。

〜☆

鹿目さんと暁美さん、二人の後を三人で一日中つけまわしてわかったことは、

当然というかなんというか二人が普通にデートしていたということだけ。

まずは二人で服を見て買って、少し本屋で時間をつぶしてお昼ご飯。

食後は映画館で映画を見てショッピングモールを出る。

その後はゲームセンターでクレーンゲームとプリクラなどを楽しんで公園へ。

今二人はベンチにいて、

暁美さんが鹿目さんに頭をなでられながら、

膝枕をされて熟睡しています。

一日のデートプランとしては

中々ぎりぎりに予定が詰まってるんじゃないかと思います。
  
「いやー今日は楽しかったですねーマミさん。

杏子ー私にもその焼きトウモロコシ頂戴よ」

黙ってついていくのも何だったので三人で色々楽しみましたが、

そう考えると何だか今日は暁美さん達のデートプランに沿って

遊んだだけな気もしちゃいます。

結局なにもわかりませんでしたが、

なんだかんだ言って最高の一日でした。

「ああん?馬鹿言ってんじゃねえぞさやか。

これはアタシのもんだ。

働かざる者食うべからず。学校で習ったよね?」

佐倉さんの今朝の不機嫌は朝食を摂って、

彼女が別行動で数々の試食コーナーを制覇した頃には解消されていました。

彼女のそういうさっぱりしたところは私も見習いたいわね。
  
「良いじゃん杏子のケチー」

最近佐倉さんはまた昔みたいに幻術が使えるようになったみたいで、

その力を生かして日中私達が学校にいる間は結構な時間働いているみたい。

嬉しいのだけれど秘密の特訓もなにもなしに

また使えるようになっちゃったのは残念です。
  
「それにしてもまだあの眼鏡をかけたほむらの顔が忘れられないよ。

まさかあいつがあんなしおらしい姿するなんてねー。やっぱあれが素なのかな?」

服の買い物中鹿目さんがどこに持っていたのか

赤縁の眼鏡を取り出し暁美さんに装着させて、

手際良く髪を三つ編みにしてフリフリの服を試着させたのには驚きました。

あの大人しい鹿目さんがあんな……。

それはともかく母性があるだけでなく

庇護欲までかきたてるなんて暁美さんは恐ろしい子だと思いました。
  
「今となってはいつもの態度の方が素っぽいけどな」
  
「確かに終わった後ちょっとほっとしてるっぽかったわよね」
  
「全くほむらもいつもあんだけかわいげがあったら……気持ち悪っ!」
  
「そりゃさやかは普段の扱いの分だけ違和感あるだろうな。

アタシとしてはホラー映画にビビりまくるほむらが印象的だったね」
  
「ああ、あれも面白かったね。

まどかもホラー得意じゃないしおそらく一番怖い山場で

抱きつきに行くのを狙ってたんだろうけど、

ほむらがこっちが引いちゃうくらい怖がってたからずっと頭撫でて慰めてたよね」  

「ほむらが縮こまりながらひゅぇ、なんて声あげてるとこなんて

映画館じゃなかったら撮影してるな」
  
「それじゃあ今度鹿目さんと暁美さんを含めて

みんなで遊園地に一緒に行ってお化け屋敷にでも……」
  
「お、良いなそれ」
  
「賛成ーー!」

暁美さんが来るまではこんな幸せな未来があるなんて想像もしなかったわね。

あなたは今どう思っているの?

あなたに何か私が報いることはできないのかしら?

恩を受けた者……いえ、親しい友達として。

「あっ、まどかがほむらにキスするくらい顔を近づけてる」

こんな外でそんな……ことをやっていました。

今の時刻は日が沈む少し前。

そんなこと今外でするのは中学生なのにちょっと大胆すぎるわ……。

ああ!やっぱりキスしてしまった。

「か、鹿目さん舌入れるき、キスしちゃってる……」
  
「マミ、そんな目のふさぎ方しても指の間から見えるだろ」

ど、どうしよう今の私にはまだ早いわ……。

「うわー。こっちまで音聞こえてきそう。激しいな、オイ」

「昔アタシが寝泊まりしてたホテルで男と女がやってたキスもこんな感じだったなー」
  
「アンタいったいどんなホテルに……、ごめんやっぱ聞きたくないわ。

それにしてもなんで起きないんだろほむら。もしかしてわざと?そういうプレイか何か?」
  
「そもそもアイツがまどかと一緒にいて眠ること自体おかしいし疲れてるんだろ」

  
「なるほど。ちょ、まどかさすがに服の中に手を入れるのはヤバいって」  

「あ、ああ鹿目さんの手が暁美さんの下半身に!」
  
「あ、起きた」
  
「な、なんか言い争ってるぽいね」
  
「何を話しているのかしら……?」
  
(ボクが内容をテレパシーで教えてあげようか?)
  
「「「!?」」」
  
「ボクの聴覚ならこんな距離何の障害にならない。

彼女たちの話の内容ならクリアそのものさ」

QB居たのね……。すっかり忘れてたわ。
  
「さあ、どうする?聞いてみるかい?」

悪魔が何か言っている。

駄目よ人の会話を盗み聞くなんて……。

※微妙にエロっつうかキス描写注意
幸い大したのじゃないけど

〜☆

「ほーむらちゃん。ほむほむー」

ほむらちゃんは完全に眠ってしまったようでした。

眠っていても美しいその顔をじっと見つめていると

だんだんそわそわした気分になります。

今日は私服をほとんど持っていない

ほむらちゃんの服選びのために二人でお出かけしたけど、

もう今日の日程ってほぼデートだよね。デートの最後はキス。

お決まりのパターンです。起こさないようにそっと口付けをします。

誰かに見られてるかもしれないという感覚が心地いい。頭がカーと熱くなる。

駄目、我慢できない。後一年お預けなんて無理だよ。

ほむらちゃんの口の中に舌を入れて舌を絡めたり、

丹念に歯ぐき、歯の裏、口蓋まで中をなぞっていく。

わざと音を立てるようにすると何だか体全身まで熱くなってきた気がします。

ここまでは今までも家の中でならしたことがあります。

でもママはこの先があると言っていた……。

そんなことをしたら私はいったいどうなっちゃうんだろう。

片方の手でほむらちゃんの胸付近をいじりながら

もう片方の手はほむらちゃんのパンツの方へ自然と伸びる。

私の手がほむらちゃんの下腹部をすっとなぞる。

「まどか」

ふわふわしていた頭が一気に現実に引き戻されます。

私が口を口で塞ぎ舌を舌でねぶっていたせいで、

舌ったらずではあったけれどその声は確かに私の名前を呼んでいました。

慌ててベンチから転げ落ちるようにほむらちゃんから離れます。

膝枕の姿勢から無理に抜けたものだから、

ほむらちゃんの頭がベンチにぶつかりゴチンという良い音をたてました。
  
「ご、ごめん!痛かったよねほむ」
  
「鹿目まどか」
  
「は、はい」

ほむらちゃん完全に怒ってるよ……。思ってたより数倍怖い……。  

「あなたは勝手に私のパンツを履いてエッチなことして後悔したんじゃないの?

どうして同じような間違いを繰り返すの?あなたはそこまで愚かだと言うの?」
  
「うう、ごめんなさい。そこまで怒るなんて思ってなくて……」

ほむらちゃんにこんなに本気で苛立ちをぶつけられたことなんて今まで一度もなかった。

情けなくなって私は思わず泣いてしまいました。

でも後一年ちょっとなんて生殺しにも程があるよ……。

私が泣いてしまったのを見てほむらちゃんは表情を多少和らげてくれました。
  
「怒ってるわけじゃないわ。

ただ私やご両親との約束があるのに

どうしてこんなことをしたのかを聞いているだけなの。

私はあなたにやましいところなんて何一つないようにしてるつもりよ」

それ絶対怒ってるよね……。

それにほむらちゃんだって私にやましい所あるはずだよ。

未来から私を守る為に来た事とか何か隠している事とか。

それなのに私ばっかりずるいよ。

「私あの約束にうんなんて一言も言ってないもん」
  
「そんな屁理屈……」
  
「それにほむらちゃんだって私との約束まだ果たしてくれてないのあるよ」
  
「え?」
  
「私が魔法少女にならなかったらなんでもしてくれるって言ってたじゃん!

まさか忘れちゃったの!」
  
「あれはそういう意味じゃ……」
  
「私は自分の正当な権利を行使しただけだよ!

いいじゃんベロチューぐらい!減るもんじゃないんだからさ!」

  
「まどかさっき私の服の中と下半身に手を……」  

「大体私ひとりじゃ我慢なんてできるわけないよ!

そこまで言うならちょうだいよ!ほむらちゃんの脱ぎたてパンツ!」
  
「は?」
  
「だからほむらちゃんの脱ぎたてほかほかパンツだよ!

ほむらちゃんをペロペロできないならパンツをペロペロするしかないじゃない!

一人で出来るもん!愛とパンツさえあれば!」

あれ?私いったい何言ってるんだろう?
  
「……これはまどかのご家族一緒に又話し合いね」

家族家族家族家族……。ほむらちゃんはいったいどう思っているの?

素直じゃない私は怒っているふりをするしかできない。

本当はただ怖いだけなのに。

「…ほむらちゃんも私のこと好きじゃないの?

私だけなのかな?こんなことしたいって思ってるのって。

やっぱりおかしいの?

でもほむらちゃんのことを毎日恋の対象として見てたら

どんどんそういうことしてみたいっていう好奇心が……。

もしかしてこんな私のことなんか嫌いになっちゃっうかな……?」

「冗談でもそういうことを言うのはやめて」
  
「っ!?」

いつもより一層静かなほむらちゃんの声。

でもそこには有無を言わさぬ迫力がありました。
  
「私は誰よりもまどかを愛しているわ。

あなたが私を嫌いになっても、

あなたがどんな事をしてもあなたを手放したりしない。

……それでも節度のある交際がしたいの」
  
「で、でももう私は……」
  
「だからご家族ともう一回話し合いをしましょう。

そして今度こそあなたが我慢できる範囲にすればいい」
  
「ほむらちゃん!」

やっぱりほむらちゃんは私の最高の恋人だよ!

「ただ公園でキスはまずかったわ」
  
「どうして?」

誰もいないのに。

  
「あの三人が居るのよ」  

「え?」

指差された方を見ると茂みが動いて「おい馬鹿!」という杏子ちゃんの声がしました。

ちょっとの間が空いてマミさん杏子ちゃんさやかちゃんそしてQBが出てきました。

三人ともばつの悪そうな顔をしています。

腹立たしい事にQBはいつも通りの表情です。
  
「こいつら今日一日中私たちの後をつけていたのよ」

今日一日中?

いやな予感……もはや確信というべきものが私を圧迫します。

さっきとは違う感じに顔が赤くなってくる。
  
「……じゃあさっきのその私のアレは」
  
「まどか本当にごめん!」

さやかちゃんが土下座をしました。
  
「アンタが思いつめて思いつめて爆発するタイプなの知ってたのに

私が鈍感だったから……私が気付いてほむらへの

思いをもっと早くぶつけさせてあげなかったから。

……まどかはそんな変態になっちゃたんだよね。本当にごめん!」

やめてよさやかちゃんみじめすぎるよ。

「性欲は個人差が激しいって言うし

別に人より激しくてもそれだけで悪いということじゃない。

まあ運動とかで昇華されるっていうしがんばれよ。それと焼きイカ食うかい?」
  
「あ、ありがとう」

持ち切れないくらいのその盛りだくさんの食べ物はどういう事なんだろう。

どこかお祭りにでも行ってきたのかな?
  
「だ、大丈夫よ鹿目さん。

え、えっちなことばかり毎日考えてて

ちょっとえっちな子になっちゃっただけよ。

深く気にする必要なんてないわ」

マミさんそれフォローじゃなくて追撃です。
  
「まどか、君たちのさっきの口論は

一字一句そのまま三人にテレパシーで内容を伝えてしまったけれど

何か問題はあるかな?

おそらくこれは君たちの言う漏らしていい秘密だと思ったのだけれど」

……問題ありまくりだよ。

「大丈夫よまどか。

どんなまどかでも私はずっと一緒にいるから。

まどかはちょっと耳年増で少し性欲に満ち満ちているだけ。

私も頑張ってエッチなこと勉強するから待っててね」

そう言って優しく微笑むほむらちゃん。

もう駄目恥ずかしすぎるよ。全身が燃えているように熱い。

私は自宅へ向かって全速力で駆け出しました。
  
「うわあああああああああああぁぁぁぁ!!!」
  
「まどかぁぁぁあああああああああああ!!!」

その後第二回家族会議や

さやかちゃん主催の「まどか更生プロジェクト検討会議」

が開かれたのはまた別の話です。

【十一話 終わり】

冷静にこれ書いた奴頭おかしいと思う

本当は今日でまど神に祈りを編も投稿して次回最終回!にしたかったけど
心が折れました
ということで次次回最終回ですすいません

……うん>>1は頭がおかしい(ほめ言葉)

乙でーす


貴重なまどほむ

乙、最高にワロタ
まどかも思春期だもんね、仕方ないね
ちょっと性欲がアレしちゃっただけだもんね?
公開プレイワロタ


次も全裸待機しとくよ

更新再開
今回まどかがほとんど出て来ない
これを最終回にするのもちょっと面白そう
いわゆる打ち切りエンドって奴ですね

>>156
服は着といた方が良いと思う

【十二話 まど神に祈りを編】

〜☆

そろそろ時間か。

いや、もうちょっとかな?

アタシは今日、家族との思い出の詰まった

懐かしの教会へ久方ぶりに足を運んでいた。

ここに人が立ち入る事がなくなって随分経った。

だからあちこちざっと見渡すだけでだいぶガタがきているのがわかる。

本当はもう二度とここへは来たくなかった。

来たら色々せっかく振り切った物を思い出して嫌な気持ちになる気がしてたからだ。

だけど実際来て見たらどこかぼんやりした懐かしさ、寂しさくらいしか感じない。

いざ何も特別感じないとわかってみると、

今度は不思議とそれが少し残念に思えてくる。

それはともかく今日ここに立ち寄ったのは待ち合わせ相手、

ほむらがここを待ち合わせ場所として指定したからだ。

あいつが未来から来たってのはわかっちゃいるが、

知らない内に自分のことを色々知られてるってのも

余りいい気持ちのするものじゃないね。

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