友「私もお兄ちゃん欲しいなぁ」妹「ウザイだけだよ、お兄ちゃんなんて」 (55)

妹「この間だってさ」

友「うん」

妹「わたしがホラー苦手なの知ってるくせに絶対観るって聞かないし」

友「ほぉ」

妹「暑苦しいから離れろー、とか意味わかんないこと言い出すし」

友「ほぉ?」

妹「それにお風呂も寝るのも別々ってありえなくない? ねぇ友ちゃん?」

友「……そ、そうだねぇ」

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友「いくつか聞きたいんだけど」

妹「なぁに?」

友「一緒に観るのは確定なの?」

妹「え? うん」キョトン

友「暑苦しいからってのはなに? 抱きつくの?」

妹「いやいや抱きつかないから。腕を捕まえてぎゅーってするだけ」

友「するだけかぁ」

妹「あとはお膝に乗っかって後ろからぎゅーってさせるとか」

友「そっかぁ」

友「お風呂と寝るのが別々ってのは? いつも一緒なの?」

妹「いつもじゃないよ。お風呂はたまに一緒、寝るのはたまに別々」

友「たまに別々とは……」

友「確認なんだけど、妹ちゃん高一よね?」

妹「友ちゃんもね」

友「お兄さんは何個上なんだっけ?」

妹「にこ」

友「だよねぇ……」

妹「?」

ピコンッ

妹「あ! お兄ちゃんっ」パァッ

友「嬉しそうだね」

妹「いや別にうれしくないけど」ニマニマ

友「お兄さんなんて?」

妹「今日は早めに終われるから帰りに甘いものでも食べに行こうって」

友「よかったねぇ」

妹「ご機嫌とりにきただけでしょ。お財布すっからかんにしてやろ」

友「デートだねぇ」

妹「いやいやただの買い食いだし。ってかお兄ちゃんとデートとかないわ」

友「と言いつつあーんとか……ってさすがにしないか、はは」

妹「え?」

友「え?」

ピコンッ

妹「あっ! じゃあ先帰るね」

友「う、うん……」

妹「ばいばい」トタタタッ

友「ばいばい……」フリフリ

友「……」

友「……」キュポッ

友「……」ズズズッ

友「間違えて持ってきたブラックが大活躍だぜ……」

支援

妹「はぁ……」

友「どしたの? 朝っぱらからため息なんか」

妹「今朝寝坊してさー、お兄ちゃんが」

友「お兄ちゃんが……」

妹「そのせいで自分で髪セットしなきゃでさぁ」

友「まるでいつもはお兄さんにやってもらってるみたいな言い方だな」

妹「おひざに座るのも無しだし、髪の毛くらい自分でとかせーとか言ってくるしさぁ」

友「いつもお兄さんにやってもらってるみたいだな」

妹「自分が寝坊したくせにだよ? おかしいよね友ちゃん?」

友「……そうだねぇ」

友「ちなみに妹ちゃんは寝坊しなかったの?」

妹「いつもお兄ちゃんに起こされるまで寝てるからなぁ」

友「あぁ、うん……」

妹「今朝はたしか、目が覚めたらお兄ちゃんが寝てて、ちょっと寒かったからぎゅーってして……」

友「ナチュラル同衾……」

妹「とにかく、お兄ちゃんが寝坊したせいでわたしにまで災難が……はぁ、ほんとウザイ……」

友「そっかぁ……」

妹「めちゃくちゃ腹たったから、登校中1回も口聞いてやんなかった」

友「でも一緒に登校するんだねぇ」

妹「あーもーほんとムカつくったらほんとにさぁ……」ブツブツ

友「もしかしてお兄さんとおしゃべりしたくなっちゃったのかにゃ?」

妹「文句は言いたいかもね」

友「1限まであと5分くらいあるよ」

妹「3年の教室遠いし」

友「お電話差し上げるなんていかがでしょう?」

妹「む……べ、べつに……」

友「いつもは髪梳いてもらってる間とか登校中とか、いっぱいおしゃべりしてるんでしょ?」

妹「いっぱいじゃないもん……ちょっとだけだもん……」

友「声聞きたいんじゃない?」

妹「むぐ」

妹「ぅぅ……」

妹「うー……」

妹「友ちゃん」ガタッ

友「なぁに?」ニコニコ

妹「違うから」トタタッ

友「そうだねぇ」ニマニマ

妹「んんん……」タプタプ

妹「あ、お兄ちゃん? 出るの遅い、あんまり時間ないんだから。あのね……」

友「……」ガサゴソ

友「……」キュポッ

友「……」ズズズッ

友「やっぱブラックだなぁ……」

友「お? 妹ちゃん、今日はなんかもこもこだねぇ。寒い?」

妹「ん、ちょっと寒いかも」

友「あっためてしんぜよう」ギュッ

妹「だよね。普通そうするよね?」

友「えっ、なにが?」

妹「寒いって言われたらおててつなぐよね?」

友「おててて」

妹「やっぱりお兄ちゃんがおかしいんだ……」

友「なになに? なにがあったのよ」

妹「お兄ちゃんに寒いーって言ったらさ」

友「うんうん」

妹「そうでもなくね? ってそれでおしまい。おかしいよね友ちゃん?」

友「……そ、そうだねぇ」

友「でもまぁ最近あったかいしぃ?」

妹「お兄ちゃんが寒いかどうかなんてどうでもいいの」

友「言いきっちゃったよ……」

妹「それにわたしもほんとに寒いわけじゃないし」

友「ハイコンテクストすぎる……」

妹「なのに今日の気温何度とかどうでもいいこと話し始めるし」

友「うん……」

妹「挙句の果てにカーディガンよこしてくるし。ほんとに全然わかってない」

友「そうだねぇ……」

妹「自分で渡してきたくせに匂い嗅ぐなとか言ってくるし」

友「着たうえ嗅いだと」

妹「ムカついたからそのまま強奪してやった」

友「あぁ、それお兄さんのなんだ。通りでぶかぶか」

友「あったかい?」

妹「うんっ♪」

友「そうかい……」

友「お兄さん今ごろ寒がってるんじゃない?」

妹「かもね。でもどーでもいいし」

友「風邪ひいちゃうかも」

妹「バカは風邪ひかないからだいじょぶ」

友「もしほんとに風邪ひいたら、伝染るから近寄るなーって言われちゃうかもよ?」

妹「え?」

友「そうなったらぎゅーもなでなでも無し、一緒に寝たりもできないし登下校もひとりぼっちに……」

妹「え、ぁ……」

妹「ぅ……」

妹「……」

妹「あの、友ちゃん……わたし……」

友「うん」ニヤニヤ

妹「なにニヤついてんだよぉ」

友「別にぃー?」ニマニマ

妹「んもー! わたしもう行くからね? じゃ」ガタッ

友「あいいってら。今のうちに匂い堪能しときなよー」

妹「うんっ!」タタタッ

友「いや、うんじゃねーわ」

友「まったく……」ガソゴソ

友「……」キュポッ

友「……」コポコポ

友「……」ズズズッ

友「今日も今日とてブラックが美味いぜ……」

もう間違いでなく初めからブラックを持ってきてるんだな

妹「……」ムッス-

友「お?」

妹「……」ブッス-

友「今日に限ってはブラックは不正解だったか?」

妹「……」プック-

友「妹ちゃんどったん?」

妹「あー友ちゃん。聞いてよ」

友「聞く聞く」

妹「昨日は珍しくわたしのベッドで一緒に寝たんだけどさ」

友「大正解だったか……」

妹「今朝起きたらお兄ちゃんが反対向いててさぁ」

友「おぉ」

妹「しかもわたしじゃなくてぬいぐるみぎゅーってしてたの」

友「お兄さん、抱き枕ないと寝られないタイプなのか?」

妹「隣に私いるのにだよ? ほんとありえなくない? ねぇ友ちゃん?」

友「そうだねぇ」

妹「ムカついたから今夜はずぅっとぎゅーさせるんだ。絶対そっぽ向かせない」

友「へぇ……」

妹「起きたときちゃんとぎゅーってしてなかったらぼこぼこにしてやろ」シュッシュッ

友「凹凸の少ない握りこぶしですこと」

ピコンッ

妹「ん? あ……」

友「お? どしたの?」

妹「……」

友「妹ちゃん?」

妹「ねぇ、友ちゃん……」

友「なんだね?」

妹「謝るときに連絡だけってありえないよね?」

友「あー、そうかもねぇ」

妹「フツーならちゃんと直接会って目を見て誠心誠意謝って、それで機嫌なおるまでぎゅーってしてなでなでするよね?」

友「後半はさすがに……」

妹「ね?」

友「はい……」

妹「では行って参る」トタトタ

友「ご武運を……」

友「……」

友「……」

友「……」キュポッ

友「……」コポコポ

友「……」ズズズッ

友「ふは……」

友「インスタントも飽きたなぁ」

妹「♪」ニマニマ

友「お?」

妹「♫」ニヤニヤ

友「なんかご機嫌だねぇ」

妹「全然そんなことないよ。お兄ちゃんウザすぎて機嫌わるわる」

友「そうは見えないけどなぁ。なんかあった?」

妹「駅前に新しくクレープ屋さんできたじゃん?」

友「できたねぇ」

妹「あそこ行ってみたくてさぁ。お兄ちゃんに連れてってもらおうと思って」

友「デートだねぇ」

妹「違うし。お兄ちゃんなんてただのお財布係だし」

友「ひでえ」

妹「ともかく、誘ってもらえるようにさりげなくアピールしてみたの」

友「さりげなくとは?」

妹「駅前にできたお店屋さんなに屋さんだっけーって言ってみたり」

妹「あーなんだかクレープ食べたいなーって言ってみたり」

妹「お店のチラシをお兄ちゃんの机にセッティングしてみたり」

友「さりげなくとは……?」

妹「そんな感じで3日も頑張ったのにさぁ、全然誘ってこないの」

友「自分から誘うという選択肢はないんですか……」

妹「それは、だって……断られちゃうかもしんないし……」

友「なぜ急に弱気」

妹「んで、焦れったくなって問い詰めたの」

友「なぜ急に強気……」

妹「そしたらね、カップルデーに誘おうと思ってた、だってさ」

友「あぇ?」

妹「ほんと意味わかんないよねー♪ カップルじゃなくて兄妹だしー♪」ニコニコ

友「それでか」

妹「てゆーか最初から誘うつもりなら早く言えばいいのに♪ ほんとバカだよねー♪」

友「……そうだねぇ」

友「そんでいつ行くの?」ガサゴソ

妹「今日」

友「じゃあ放課後デートだ」ザラザラ

妹「うんっ♪」

友「わーいい笑顔」ゴ-リゴ-リ

妹「ところで友ちゃんよ」

友「なんだね妹ちゃんよ」ゴ-リゴ-リ

妹「それなに?」

友「ミル」ゴ-リゴ-リ

妹「なにそれ?」

友「コーヒー豆挽くやつ」ゴ-リゴ-リ

妹「コーヒー好きだっけ?」

友「最近ハマっちゃって」

妹「へー、なんかおしゃれ」

友「飲む?」

妹「んー、いいや。わたし苦いのダメだし」

友「私もだよ」

妹「??」

妹「あー……」

友「おやおやどうしたのかね妹ちゃん」

妹「お兄ちゃんがさぁ……」

友「うむ」

妹「ウザくてさぁ……」

友「そう言うと思ってたよ」

友「んで、今度はどしたん?」

妹「昨日さぁ、お風呂上がったらお兄ちゃんがソファで寝ててさ」

友「あー、うちもお父さんがたまに占領してるわ 」

妹「とりあえず上に座ったの」

友「感覚麻痺ってるけどその距離感がもう既におかしいんだかんな?」

妹「そしたらね、退かそうとしてくるの。わたしもソファ座りたいのにさ」

友「そりゃそうなるだろ」

妹「髪乾かさないと風邪ひくぞーとか言ってくるし。そう思うなら自分で乾かせばよくない?」

友「ああそうだな、自分で乾かせ」

妹「まぁなんやかんやで乾かしてくれたんだけどさ」

友「お兄さん甘すぎねぇか?」

妹「終わったら、はいおしまい俺は寝るってまたソファ占領してさ。せっかくお膝の上でご機嫌だったのに台無し」

友「ご立腹ですなぁ」

妹「ぎゅーとかなでなでとかするでしょフツー。せっかくお風呂上がりであったかいんだしさぁ」

友「……そうだねぇ」

妹「お兄ちゃんはわたしがどれだけ文句言いたいかわかってないんだ」

友「ほぅ」

妹「だから同じ気持ち味わわせてやろうと思って、上に寝っ転がってそのまま寝てやった」

友「お兄さんどうだった?」

妹「あったかかった♪」

友「反応を聞いたんだけど……」

ピコンッ

妹「あっ」

友「お兄さん?」

妹「うん」タプタプ

友「なんでいつもゆっくりなんだっけ? 部活?」

妹「なんか課外授業とってるとか……」

友「あー進学組かー」

妹「それー」

友「先帰ってていいよとか言われないの?」

妹「この前それで喧嘩した」

友「あーうん、だいたい想像ついたわ」

妹「思い出したら腹たってきた。お財布すっからかんの刑にしてやろ」

友「お兄さん、すまん……」

妹「んじゃお先ー」フリフリ

友「手加減してあげなよー」フリフリ

友「……」

友「……」ガサゴソ

友「今日はちょっといい豆使ってみますか……」ザラザラ

妹「ムカつく……お兄ちゃんまじムカつく……」

友「今度はどうしたん?」

妹「お兄ちゃんがウザすぎて、毎日のように文句言ってるんだけど」

友「文句ねえ……」

妹「最近ね、わたしが怒ってるとお兄ちゃんが急にこうやってね……」

友「ほぉ?」

妹「ばーって両腕広げて、おいでーってするの」

友「わーお」

妹「わたし怒ってるんだよ? ほんとどんな神経してるんだか」

友「そうだねぇ」

妹「しかもわざわざ言わなきゃなでてこないし」

友「しっかり抱きしめられとる……」

妹「ちゃんと言葉にしなきゃわかんないんだよ? おでこぐりぐりーってしても全然気づかないの」

友「うん……」

妹「ほんと鈍いっていうか、どんくさいっていうか……ウザイんだよねぇ」

友「そっかぁ……」

妹「しかもほんのちょっとで、そろそろ離れろーとか言ってくるし」

友「あー」

妹「匂い嗅ぐなとか頭こすりつけるなとかさぁ。自分からおいでってしたくせにさぁ」

友「ご立腹なんだねぇ」

妹「まぁでも大人しくぎゅーさせてあげれば、そのうち自分から謝ってくるんだけど」

友「怒ってるときは何言っても逆効果だから落ち着かせてから謝ると……完全に手玉じゃねぇか……」

妹「でもやっぱり、人が怒ってるときにそういうことするのはどうかと思うの」

友「そうだねぇ」

妹「ちゃんと言わなきゃ分かんないからなぁ。今日も文句言わなきゃなぁ。疲れるなぁ」

友「あれ、味占めてる? 怒ると抱きしめてもらえるの気づいちゃった?」

妹「お兄ちゃんまだかなぁ……」

友「ダダ漏れじゃねーか」

ピコンッ

妹「お兄ちゃんっ!」ガタッ

友「犬か」

妹「じゃあ友ちゃん」

友「あいよー」ガサゴソ

妹「……え、友ちゃん? それなに? 理科室から盗んできたの?」

友「そんな悪いことしないよ」

妹「いつも給湯室からお湯くすねてるのに」

友「まぁまぁ」

友「これはサイフォンって言ってな。まぁかっこいいコーヒーメーカーみたいなもん」

妹「ほぇ、なんかすごそう」

友「バレたら怒られるから内緒ね」

妹「わかった。んじゃね、友ちゃん」パタパタ

友「じゃねー」フリフリ

友「さて……」

友「……」

友「……」

友「……」

友「うし……」コポポ

友「……」ズズズッ

友「ほぅ……」

友「ハンドドリップとはまた違ったおもむき……」ズズズッ

友「妹ちゃんってさぁ」

妹「うん?」

友「お兄さんのこと好きなの?」

妹「いや全然。まったくない。ウザイしきもい」

友「そっか。結構仲良さそうだから気になって」

妹「毎日喧嘩してるし、むしろ悪い方じゃない?」

友「ほぅ……」

友「じゃあさ、例えばお兄さんに好きだよって言われたらどうす……あらららららら?」

妹「……///」

友「わーお」

妹「ぅ、ぁ……///」

友「ふむ……」

友「妹ちゃん妹ちゃん。いったんカムバック」ガクガク

妹「あぇ? あれ? なんだっけ?」

友「これまでのことはいいのです。大事なのはこれからです」

妹「はて?」

友「より質量のある妄想にしましょう」

妹「?」

友「目を瞑ってください」

妹「はい?」ギュ

友「いいですか? あなたは今お兄さんに抱きしめられています」

妹「うん、いつも通り」

友「もはや何も言うまい……」

友「いつもより強く抱きしめられています」

妹「う、うん……」

友「いつもの優しい抱きしめ方と違って、お兄さんはなにか必死なご様子。精一杯妹ちゃんを求めているようです」

妹「お、お兄ちゃん……」

友「そしてお兄さんが耳元で囁きました。『妹、愛してる』」

妹「ぁ……」

妹「おにい、ちゃん……」ポロッ

妹「おにいちゃぁん……!」ポロポロ

友「うわぁ、おもしれぇ……」

妹「うん、うんっ……わたしもっ……!」

友「そーら戻ってこーい」ガックンガックン

妹「あぇ? お兄ちゃんは……?」キョロキョロ

友「お、復活した」

妹「……」ソワソワ

友「あらら? まだ心ここに在らずって感じ?」

妹「あ、あの、友ちゃん……」

友「なんだね?」

妹「わたし……行かなきゃいけないところが……」

友「お兄ちゃんに会いたくなっちゃったのかにゃ?」

妹「……ん」コクッ

友「では往くといい。それが汝の答えとなるだろう」

妹「うん! いってきますっ!」タタタッ

友「いってらー」フリフリ

友「……」

友「……」

友「……さて」ガサゴソ

友「……」カキカキ

友「……」トンッ

友「ブラックコーヒー1杯50円でーす。あぁ並んで並んでちゃんとみんなの分あるから。え、3杯? まいどありー」

妹「……」

友「……」

進路希望調査
第一希望「」

妹「はぁ……」

友「あ゛ー……」グタッ

妹「進路希望かぁ……」

友「さぁて、どう書いたもんかなぁ」

妹「なんでこんなの書かなきゃいけないの……まだ高一なのに……」

友「ねー」

友「差し当って進学か就職か……」

妹「んー、特にやりたいことないしなぁ……」

友「もうさ、お兄さんのとこに永久就職しちゃえば?」

妹「ん? どゆこと?」

友「お兄ちゃんと結婚するー、みたいな?」

妹「そんな5歳児みたいなこと言わないから」

友「お、おう……」

妹「それに兄妹は結婚できないでしょ」

友「できたらするのか……?」

妹「いやしないよ。結婚なんてしてもしなくても同じだし」

友「?」

妹「どうせ死ぬまで一緒にいるんだからさ」

友「わーお」

妹「んー、どうしよ。進学って言っても行きたい大学とかないし……」

友「お兄さん進学組でしょ? 同じ大学は?」

妹「むーりー。なんか頭いいとこ行こうとしてるし。ちゃんと稼げるようにならなきゃーとか言ってさぁ」

友「あぁ、養わなきゃいけなさそうなのがいるもんなぁ」

友「でもあれだね。お兄さん卒業したら寂しくなるね」

妹「ぜーんぜんこれっぽっちもさみしくないし」

友「今まではずっと一緒だったんでしょ?」

妹「ずっとじゃないし。お兄ちゃんなんてどこでも好きなとこ行っちゃえばいいんだ」

友「あら? お兄さんもしかして、来年から一人暮らし?」

妹「うん……」

友「また喧嘩しちゃった?」

妹「した。めっちゃした」

妹「とにかく強情でわがままで、全然話聞いてくれないの。兄離れがどーのとか知らないし」

妹「あーもームカつく。お兄ちゃんのばか、あんぽんたん、おたんこなす。お兄ちゃんなんて指と爪の間にシャー芯いっぱい突き刺さる夢見て飛び起きればいいんだ……」ブツブツ

ピコンッ

妹「む……」

友「あーほら、お兄さんじゃない? 返信しなくていいの?」

妹「お兄ちゃんなんてもう知らないもん」プイッ

友「ごめんね、私が余計なことを……」

妹「友ちゃんはなんにも悪くないもん。ぜーんぶお兄ちゃんが悪いんだもん」

ピコンッ

友「そう言わずに機嫌直してよ。ほら、お兄さんからもまた連絡来てるし」

妹「別に機嫌悪くなしー。お兄ちゃんなんて知らないしー」

ピコンッ

妹「あーもーうっさいなぁ」

妹「わたしの話は全然聞いてくれないくせに自分ばっかりさぁ」

妹「だいたいお兄ちゃんはいっつもいっつも……!」

「妹いるー?」

妹「!」ビクッ

友「お?」

「あぁ、ごめんね。妹なんだけど、どこにいるか分かるかな?」

友「噂をすれば王子様のご登場だよ……って」

妹「……///」

友「私のことはもう眼中にすらないってか? 恋する乙女みたいな顔しちゃってさぁ」

「んぁ?あぁ、いたいた。妹ー帰るぞー」

妹「う、うんっ!」ガタッタタタッ

妹「あっ」クルッ

妹「友ちゃんばいばい!」フリフリッ

友「えぁ……?」

「妹ー?」

妹「今行くっ!」クルッタタタッ

友「ば、ばいばい……」フリフリ

「あ、お前、連絡ちゃんと返せよな。心配するだろ」

「うっさい。子供扱いすんな」

友「……」フリ…

「お兄ちゃん寒い」

「また? お前ほんと寒がりな。カーディガン着る?」

「だから違うっての。なんでわかんないかな……」

友「……」

「いらないなら……」

「いる。はやくよこせ」

「嗅ぐなよ」

「うっさい」

友「……」

友「……」

友「……」

友「はぁ……」

友「……」ピラッ

友「……」トントン

友「……」カキカキ

進路希望調査
第一希望「バリスタ」

友「フッ……」トオイメ-

おしまい

続けてよー

間違って買ったブラックから始まるバリスタへの道
稀に見る良作だった

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