カレン「……また明日も来るから」ルルーシュ「またのご来店をお待ちしてます」 (10)

Though it's not so easy to get through.
(それを乗り切るのは簡単ではないけど)
Here I am, I'm sure that things will go my way.(我はここに在り、物事が思い通りになると確信している)

神のみぞ知るセカイ - God onry knows

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「いらっしゃいませ」

What I'm seeing ...... Is it real ?

「ルルーシュ……?」

ふらりと立ち寄ったコンビニのレジに商品を持っていったら、店員がルルーシュだった。
唖然とする私に微笑みかけて、彼は尋ねる。

「レジ袋はご利用になりますか?」
「あ、はい……じゃなくて!」

What I'm feeling ...... Is it real ?

「ルルーシュ、あんた何してんの?」
「すみません。仕事中なもので……」

質問を無視してテキパキと商品を袋に詰めていくルルーシュ。酒類とつまみを見られたのが恥ずかしい。思わず手を伸ばしてしまう。

「いいからっ……自分でやるから」
「はあ……そうですか」

What I'm doing ...... Is it real ……?

(なんでこんなところに元皇帝が居るのよ)

「お客様」
「なによ……なんか文句あるわけ?」
「少しは身体に気を遣え、カレン」
「っ……やっぱり、ルルーシュじゃないの」

やっぱりルルーシュだった。これは現実か。
それとも恋に焦がれていたあの頃に見た幻想か。或いは、諦め切れずに見た残像なのか。

すみません
>>1レス目のGod onry knowsはGod only knowsのスペルミスです。確認不足で申し訳ありませんでした。

以下、続きです

「ありがとうございました」

(はあ。結局、何も聞けなかった……)

コンビニを出て帰路につく。提げたレジ袋の重みはそのまま心情を表していて気が重い。
たぶん私はまたあのコンビニに行くだろう。
そしてそのたびに毎回心が揺れる。震える。

「あいつはもう……ゼロじゃないのに……」

缶ビールを飲みながら自分に言い聞かせる。
あれはただのコンビニ店員。相変わらずシュッとして爽やかだった。イケメン店員さん。

(あんなモヤシ……全然タイプじゃないし)

アッシュフォード学園でのルルーシュはやたら女生徒に人気があった。彼に黄色い声援を送るクラスメイトの女子を眺める私は冷めきっていた。いざという時に行動出来ない男なんて男じゃない。ルルーシュは軟弱だった。

(ゼロとは、似ても似つかないのに……)

そんな彼が仮面を被ると、レジスタンスを率いる頼れる指導者へと変貌した。いや、もとより資質はあったのだろう。なにせ彼は、ブリタニア皇帝の血を引く、皇族なのだから。

「なのにコンビニ店員とか何考えてんのよ」

口に出すとなんだか笑えてきた。少し酔っ払ったかも知れない。得体の知れないのはいつものこと。私は非日常にワクワクしていた。

(はあ……早く明日にならないかな……)

There must be the meaning of life.
(そこには確実に人生の意味がある)

「会いたいな……ルルーシュ」

Somehow unexpected happenings thrill me.(何故かは定かではないけれど、予想しなかった出来事が私を高揚させる)

「それで? 今度は何を企んでるわけ?」
「329円」

翌日、再びコンビニに出向いた私は改めてルルーシュの意図を尋ねた。ルルーシュが、あのゼロがなんの思惑もなくコンビニ店員などするわけがないのだ。しかし彼は答えない。

「合計で1205円になります」
「……また明日も来るから」
「またのご来店をお待ちしてます」

(別に明日が待ち遠しいとか思ってないし)

今日のルルーシュは店員として徹していてやはり質問には答えてくれなかったけれど、私は諦めない。あいつが白状するまで通うぞ。

「あ……お酒……足りなくなっちゃった」

昨日ルルーシュに忠告されたので酒量を控えた結果、物足りない。このままだと上手く寝付けないかも知れない。仕方ない、買おう。

「ルルーシュは……良かった。まだ居た」

コンビニまで戻ってきて店内を覗くと、ルルーシュはまだ勤務中だった。なんか安心だ。
お酒なんか口実で私は会いたかったらしい。

「くちゅんっ」
「え? ちょっと、あんた……」

背後でくしゃみをされて振り向くと、翠髪の女が立っていた。そんな奇抜な髪色の女なんて私の知り合いには1人しか居ない。C.C.だ。

「なんであんたまでこんなところに……」
「悪い、C.C.。遅くなった。待ったか?」
「!?」

問い質そうとすると勤務終わりのルルーシュが私服で現れた。なんて不覚。完全に挟み撃ちされた。よもやこれが目的かと思いきや。

「L.L.。ピザまんは貰えたか?」
「ああ。約束通り貰ってきたぞ」
「よし。それでこそ私の共犯者だ」
「別に盗んだわけじゃない。店員の特権だ」

身構える私を完全に無視して2人は微笑む。

「それを確認したくて店まで来たのか?」
「ついでに働いてるお前の顔を見に来た」
「やはり、似合わないだろう?」
「そうでもないよ。可愛かった」

What I'm seeing ...... Is it real ?

「冷えただろう。鼻の頭が赤いぞ」

そっとC.C.の頬に優しく触れるルルーシュ。

(なんで、無視すんのよ……)

なんで、こんなにも胸が痛む。苦しいのか。

What I'm feeling ...... Is it real ?

「ふふっ。キスをされるかと思ったよ」
「何を馬鹿なことを。公衆の面前だぞ」
「童貞にはハードルが高すぎたかな?」

そう茶化して自分からキスしようとするC.C.

「だ、だめぇーっ!?」

What I'm doing ...... Is it real ?

「なんだカレン。まだ居たのか」
「なによ。居ちゃ悪いっての?」

まるで邪魔者を咎めるようなC.C.の物言い。
知ってた癖に。私が居るとわかった上で、見せつけようとした癖に。誰が誰のものかを。

「あんたたち、何が目的なの?」
「ピザまんだ」
「は?」
「コンビニ店員になれば、余ったピザまんを貰える。だから俺はこうして働いている」

What a ridiculous situation. てっきりこの平和ボケした世界に衝撃を与えてくれると思っていたのに。ある意味、衝撃は大きかった。

「カレン、お前も食べたかったのか?」
「違う! もういいわよっ……勝手にすれば」

(やっぱり軟弱な男なんて、嫌いだ)

ルルーシュは変わってしまった。もうあの頃のような野望や野心はない。あるのはただ、C.C.に対する愛情だけでそれが私は哀しい。

「お客様」

引き止めるその声は、ただの店員のもので。

「今日は1本足りなかっただろう、カレン」

手渡された缶ビールの冷たさが、胸に響く。

「……明日もまた来るから」

My mind is as free as the wind.
(私の心は風のように自由である)

「はい、またのご来店をお待ちしてます」

But now what I should do is to fall in love.
(だが今すべきなのは恋に落ちる事である)

「最後に、ひとつだけ」

私は対峙する。彼にとって、唯一の女神へ。

「C.C.。あんた、お酒飲める?」
「ふふっ……私は強いぞ」
「じゃあ今度、3人で飲みましょう」

提案すると魔女は嗤う。Which only knows.

「構わないが、ルルーシュは弱いぞ」
「え、そうなの? お酒、嫌い……?」
「嫌いではないが、たしかに弱いな」

I don't need that kind of real things.
(私にはリアルなんて必要ない)
Feels like I'm lost in the labyrinth.
(迷宮の中で道を失ったような感じ)

「主に膀胱のほうがな」
「フハッ!」

Your own happines, you can find it.
(あなた自身の幸せを見つける事が出来る)

「ルルーシュのおしっこで乾杯でもしよう」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

Just believe in myself and my dream.
(自分自身と、自分の夢だけを信じよう)
Anyone could be a hero and heroine.
(誰もがヒーローや、ヒロインになれる)

「ふぅ……C.C.。あんたには負けないから」
「備えるとしよう。ピザまんを食べながら」

諦めない。また恋する。恋をすれば。
Opportunity for victory, you can take it.
(勝利の機会を、得ることが出来る)


【逆襲のカレン - Which only knows】


FIN

ごめんなさい
>>8レス目のwhichはwitchのスペルミスです
確認不足で本当に申し訳ありませんでした

最後までお読みくださりありがとうございました!

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