あなた「血果て、羽根尽きるまで」 (72)
*スクスタの世界線です。色々思うところはある作風だけど見逃して。
*数か月前に別スレで投下された者の改訂版です。
あなた(刹那の一瞬でもいい、そこに享楽があるなら、それでいい)
あなた(刹那的快楽主義者、そんな風に例えるならば自分というものを当てはめるべきか、もしくは好き放題しているを「楽しい」に変換し続ける行為を繰り返して生きる、そんな感じか)
あなた(高校二年生新学期最初の一日ですら、そんな感じだ)
あなた(なにかに潜むびっくりに会いたいお年頃でなにがきたってへのへのかっぱ。多言語的に言うなら無問題がよく似合う)
あなた(誰もが同じスピードじゃ生きられない、そういうのを良く知っているからこそ、夜を越えて朝を迎えるときに朝目覚めた自分に安堵してしまう、たとえ頭が割れそうな程痛んでも)
あなた(胸の七つの傷跡が痛んでもって具合に。愛と勇気が友達なのか北斗神拳の伝承者なのか、あるいは俺より強い奴に会いに行ったのかはっきりしたい夢を見て明けた朝がこれだ)
アナウンサー『訃報をお伝えいたします。昨夜、世界的に知られる天才少女画家、鍾■■さんが、カフカ・ぺチャック症候群による多臓器不全で亡くなりました。13歳でした』
あなた「うわーお。朝の頭痛によく効く嫌なニュースだよ、訃報ってさ…あー、頭痛い…ガンガンする」
アナウンサー『9歳でカフカ・ぺチャック症候群を発症後、大好きな絵を描き続けたいと筆を執り、キャンパス全てに色を置く力強い絵が多くの人たちに評価され、日本でも三船グループ後援の元、五度目の個展開催を一週間後に控え…』
あなた「こんな頭痛じゃ、バイクは無理か。トホホ、我が愛車よ、お前が校門をくぐるのは翌日だぁ~」
あなた(今年の頭に買ったばかりのハンターカブCT125だが、なかなか通学に使えないのが難点ある。バイクというものは何度も乗り回したいものなのだが。休日の遠征や帰宅後のツーリングにしか使ってない)
ぴんぽーん
あなた「あ…歩夢ちゃんもう来たのかな…今出るよ」
かちゃり
あなた「おはよー、歩夢ちゃん」
歩夢「おはよう、あなた。ふふっ、今日もまた眼鏡とサングラス、間違えてるよ。学校に行くときは眼鏡じゃないとダメだよ?」
あなた「はーい…昨日届いたばかりのモデル見せたかったんだけどなぁ」
歩夢「朝ごはん…はまだみたいだね。卵焼きでいいかな? 今日の焼き加減は?」
あなた「中身がとろりとした感じのスクランブルエッグを頼もうかな。ちょっと朝から嫌なニュース見てた」
歩夢「ああ……そういえば、前に日本で個展あった時に、一緒に行ったよね」
あなた「うん。五度目の個展、開かれるといいけどな」
あなた(こんな風に刹那的快楽主義で過ごす日々。その日々がまったく変わらない筈だった)
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初夏 スクールアイドル同好会 部室
あなた(人間、一日あれば変わるというが今年も暮れまで世界中の快楽に身を委ねて過ごすつもりがそうもしてられず、なんの因果かスクールアイドルのサポーターというものを始めた)
あなた(理由なんてやりたくなったからしょうがないだろ、好きになったらそれはもう好きである。邪魔する奴には立てた中指か逆Vサインでもかましてやればいい)
愛「かすかすー、悪いんだけどそっちのペン取って~」
かすみ「だからかすみんそんな頭すかすかなあだ名じゃないですよー」
愛「とは言っても少しは勉強しない事にはねー。果林も勉強してる事だし」
あなた「まあ、確かに愛ちゃんの言う通りだね、かすみちゃん。勉強しなきゃ」
かすみ「でも先輩さっきからサイコロタワー建設してますよね…?」
あなた「かすみちゃんが一問解く間に二個重ねるが目標さ」
かすみ「あ、ペンが飛んでっちゃいましたー!」
あなた「おうふっ!? なんてこった、記録五十二段、まだまだ行けるぜ五ミリサイコロタワー」
愛「ちょっと待って、地味にすごいね部長さんそれ」
愛「だってサングラスして手元見えづらい筈なんだよ?」
かすみ「あ、かすみんも思ってました。なんで部活中はサングラスしてるんです?」
あなた「知りたい? それは、そうしたいからさ!」
あなた(魅力的なスクールアイドルたち、彼女たちのサポーターとして頑張る事は、私をどこか彩った)
かすみ「ただの筋金入りのサングラス好き!?」
愛「ああ、だから毎日サングラスのデザイン違うんだ」
あなた「お? 愛ちゃんわかっちゃう? そうなんだよ、サングラスの形も色々だからそれもまた魅力なんだよね~」
あなた「愛ちゃんやかすみちゃんに似合いそうなのも持ってるからね、そのうち持ってきたいけど歩夢ちゃんに怒られるからなぁ」
かすみ「……あ、そういえば歩夢先輩よくサングラス外してって言ってますね」
あなた「威圧感でもあるのかなぁ? でも、私には威圧感もへったくれもないぞ。璃奈ちゃんマイナス1センチ、されど1センチだもんなぁ」
愛「でも部長は部長だから可愛いよー」
かすみ「愛先輩、かすみんも可愛いって言ってくださいよー!」
愛「かすかすも可愛いよ」
かすみ「だからかすみんですって!」
ワイワイ ガチャリ
せつ菜「生徒会が…また紛糾…」青い顔
しずく「演劇部の練習が早めに終わったので…」
あなた「やぁせつ菜ちゃん、しずくちゃん」
あなた「例の一年生役員ちゃんか、再選挙だなんて、穏やかじゃないね」
せつ菜「ええ、まあ……」
あなた「気分でも変えようか、せつ菜ちゃん。背中に乗ってくかい? ツーリングに行こうぜ、川崎の工業地帯とか、多摩川沿いを走るとかさ」
せつ菜「その部長のバイクの事でも今日三船さんに突っ込まれたのですが…」
あなた「昨日の帰りにバイク使ってるの見られて追い回されたからかな」
しずく「思いっきりそれじゃないですか…先輩、ただでさえ目立ちますからね」
しずく「でも、その朝の雪みたいな色の髪、すごく素敵です」
愛「うん。愛さんも好きだよ…なんか、まっさらで、なんでも包んでくれるような、それでいて小さいのがまたギャップで」
あなた「あっはっはっは。ありがと、二人とも」
せつ菜「ところで部長、バイクはどこに隠しているのです? 三船さん、あの様子だとローラー作戦でもやりかねないですよ」
あなた「ああ、大丈夫。フツーにバレない所さ」
あなた「まあ、それに歩夢ちゃんが日直とか委員会とかで先に登校する日でもないと使えないしね。歩夢ちゃんは私がバイク乗るの嫌がるから」
がちゃり
歩夢「もう! また今日もバイクで来たでしょ!」
エマ「日本は道の狭さに加えて車が多いから…」まあまあ
あなた「やあ、歩夢ちゃん。エマさん。いやー、うっかりね? 歩夢ちゃんがいないとさ、寝過ごす前まで寝たくてね?」
彼方「…歩夢ちゃんは事故とか心配してるからだと思うなー」むくり
せつ菜「うわぁっ!? 彼方さんいたんですか!?」
彼方「最初からずっとすやぴだよー……目が覚めたら顔にサングラスが五本かかってたよ」サングラスだらけ
歩夢「また彼方さんをサングラスだらけにして! この前かすみちゃんだよーとか言ってたけどあなたでしょ!?」
あなた「えへっ」
歩夢「えへって何なのもう!」ぷんすか
璃奈「ただいま。それと、果林さん、ようやく見付けた」
果林「違うのよ璃奈、これはそう、人生という旅路に迷っていたのよ。だからたまたま、よ。たまたま。部室へなんて目をつむっていても行けるわ」
あなた「果林さんは写輪眼持ってないから道に迷うのも無理はないね」
果林「も、もう部長ったら……あ! 待って、そのサングラス!」キラキラ
果林「もしかしてイタリアの―――――――」
あなた「おおう、流石果林さん。昨日届いたんだよねー。かけてみ、かけてみ?」
あなた「幸い他のサングラスもあるしね。彼方さんごめんねー」ヒョイ
彼方「彼方ちゃんはサングラス置き場じゃないんだけどね…そこで雫型のサングラスを選ぶのが部長さんらしいや」
あなた「彼方ちゃんストックと名付けよう」
せつ菜「石川ストックじゃないんですから」
果林「ど、どうかしら」
あなた「やっぱ果林さんには勝てないや…世界で一番似合ってる」
果林「あなたもすごく似合ってると思うけど」
あなた「あはは、どうだろう。私はあんがい背伸びしてええかっこしい事したいだけかも知れないよ?」
歩夢「じゃあ、かっこつけるのを止めたら案外気が抜けるかも知れないよ?」
あなた「歩夢ちゃんが辛辣だぁ! この悲しみを癒してくれるのはしずくちゃんだけだぁ~」だきっ
しずく「わわっ!? も、もう先輩やめてくださいスリスリしないでくださいよ…」
あなた「しずくちゃんが可愛いからさ」
かすみ「あ、しず子ずるい! かすみんも! かすみんも可愛いですよね!?」
あなた「もちろんさ、かすみちゃんの可愛さは世界を照らして、愛ちゃんの可愛さは楽しさを分け与えてくれて」
あなた「せつ菜ちゃんだってエマさんだって、彼方さんも果林さんも璃奈ちゃんも歩夢ちゃんも皆それぞれの可愛さがあって、大好きだよ」
あなた(そんな彼女たちのサポーターでいられる、その輝かせる背中を押していけるのが、何よりも楽しくてそうやって輝いてくれるのを、見るのが好きなんだ)
あなた(大好きはそこにある、明日はどんな風になるかを楽しみになれるように)
しずく「も、もう……」
あなた「あはは、悪かったよ、しずくちゃん」
せつ菜「しかし部長、どこにバイクを隠したのです? 流石に三船さんにローラー作戦されたのでは」
あなた「それは言えないかな」
歩夢「だーめ。バイク通学はそもそも禁止だよ」
あなた「………」
歩夢「………」
あなた「マルセイユ・ルーレット!」逃亡
歩夢「あ、こら!」リコーダー取り出しー
歩夢「サスケ、出ておいで。♪~♪♪」
サスケ\やぁ/
あなた「ひぃっ!」急ブレーキ
あなた「歩夢ちゃん、いきなり蛇使いはやめて」
歩夢「♪♪♪」
あなた「だからサスケをけしかけないで怖いから! 私の身長並みに長いんだからさ、サスケ!」
かすみ「そもそもマルセイユ・ルーレットって、サッカーのフェイントじゃないですか……」
しずく「この前もそれで逃げてましたけどすぐ捕まってましたものね」
璃奈「先輩、私より体力ない」
あなた「それは言わないお約束だよ、璃奈ちゃん。いやぁ、まぁ、貧弱貧弱なのは認めるけどさ」
エマ「本当に体力ないもんね…サスケ、ほら、大人しくしないとダメだよ?」
歩夢「♪ー♪♪♪ー♪」
あなた「いいからもうサスケをしまいなよ」
しずく「体力ない、かぁ…うーん……」
あなた「おや、しずくちゃん。もしかしたら今度は病人の人を演じるのかな?」
しずく「え、ええ…」
しずく「カフカ・ぺチャック症候群の患者役だそうなんですけど…」
あなた「ああー」
かすみ「……」
歩夢「……」
あなた「なかなか変わった病気の一つではあるよね」
果林「…聞いた事のない病気ね。どんな病気なの?」
せつ菜「最近どこかで聞いた事があるようなないような…」
あなた「若年者に多い、患者の七割以上が20歳以下、二十代の患者は大半が十代後半に発症した人」
あなた「ガンのように細胞が増殖していくという疾患だけどその進行速度は様々、予後は極めて悪く明確な治療法は殆どない、進行が様々なので余命は年単位になる事も多い、5年生存率は一桁。進行を遅らせる方法は不明だが強いストレスなどが進行を早める事もあり。高熱や苦痛を伴う症状が出た際に対症療法はあるけど、その症状が出る頃にはガンに例えるとステージ3か4レベル」
あなた「自分の中で何かに変わっていくという感覚からカフカの変身に、身体がいう事を聞かないロボットのように変わっていくということからカフカ・ぺチャック症候群なんて名付けられた説もあるね」
しずく「先輩、ずいぶん詳しいんですね」
あなた「まあね。毎日のネットサーフィンは変な事にも詳しくなるよ。ウィキペディアのコピペ程度さ」
あなた「確かに難しいな、こういう役目は…うーん、時限爆弾を仕掛けられながら日常を送る人みたいなイメージかも知れないね」
しずく「わかるようなわからないような……」
かすみ「まあまあしず子。案外、しず子みたいに、夢があって、それを追いかける為に一生懸命日々を生きてる、そういう人たちかも知れないよ?」
しずく「…なるほど」
コンコン
エマ「どうぞー?」
栞子「とうとう見つけましたよ! 今朝もバイクで通学していたと報告がありました! 廃部にしますよ!」
あなた「あっ、妖怪廃部姫!」
栞子「誰が妖怪ですか!」
あなた「マルセイユ・ルーレット!」インターセプト
栞子「あっ! ま、待ちなさい! 廊下は走らない! そこは理事長室です!」
果林「あれ、何の音?」
せつ菜「バイクのエンジン音…ですね」
あなた「残念無念また来週~!」ヘルメット装備
栞子「だからバイク通学は禁止ですと何度言ったら! 待ちなさい!」
かすみ「先輩理事長室にバイク隠してたんですか!?」
あなた「せつ菜ちゃんゴメン! ツーリングの予定はまた今度で! 今は明日に向かってバカヤローを叫びに、果てしなく続く男坂を登ってくるんだ!」
あなた「バイバイさよならまーたーねー!」
愛「部長さんハンターカブCT125乗ってるのかぁ……確かに原付二種二人乗り出来るけど…」
*原付二種こと小型自動二輪での二人乗りは条件があります。
璃奈「確か高速走れないって、この前乗せてもらった時に」
愛「りなりー、部長の背中乗ったんだ?」
璃奈「ゲームセンターの遠征に行こうよって誘われて、埼玉の方まで。半日過ごせたけど帰るのも時間かかった」
果林「…璃奈ならまだいいけど、私たちが後ろに乗ったら部長さん大変じゃないかしら?」
エマ「部長、小さいからね」
しずく「しがみつくのも大変ですよね…高速走れないってのもありますし。あ、でも…二週間ぐらい前の土曜日に、鎌倉で見かけましたよ。早朝から江の島見たくなったから来ちゃったとか言ってて。美味しいパスタの店聞いてましたけど、なんでパスタなんでしょう?」
歩夢「この前の土曜日一日いないと思えば…」
かすみ「うわー、しお子まだ走ってる先輩追いかけてる。あ、へばった」
せつ菜「無謀な挑戦でしたね、三船さん…」
彼方「やれやれ、部長さんめ。サングラスは彼方ちゃんが責任を持って預かっておくとしよう」
果林「あ、私も返すの忘れてたわ…彼方ごめん、預かっててくれるかしら?」
彼方「いいよー」
『サングラスと彼方ちゃんストック』
あなた「スクールアイドルフェスティバル目指して、こうも働きづめ練習漬けというのは疲れる訳だよ」
せつ菜「ええ、まあ…」
果林「そうね、確かに」
愛「ああー」
かすみ「で、先輩。なんでわざわざお台場に?」
あなた「おいおい、決まってるだろ、もうすぐ夏だぜ? 夏と言えばビーチの女の子さ!」
あなた「ナンパに行こうぜ」
かすみ「それならせめてせつ菜先輩の服なんとかしましょう」
果林「そうね、一人だけ小学生が混じってるわ」
せつ菜「小学生!?」
愛「いくらなんでも小学生はいいすぎだよー、中一にしてあげなよ」
せつ菜「フォローになってませんよ愛さん! それなら部長も見栄っ張り系女子小学生ですよ!」
果林「ほら、馬子にも衣裳って言うから…」
あなた「果林さんひでぇ」
せつ菜「サングラスで無理に大人風にしてても誤魔化せませんよ!」
果林「まあ同好会でもかなり小さいものね、部長さん」
あなた「ぐぬぬぬ~!」
かすみ「で、どんなプランで行くんです?」
あなた「なに、うまく食事に誘えばいい。愛ちゃんのお店に誘って愛ちゃんのお客さんも増える、一石二鳥」
愛「だからお台場でやるんだね。考えたよ」
あなた「大丈夫、かすみちゃんとせつ菜ちゃんと愛ちゃんの可愛さと果林さんの溢れ出るエロスがあれば問題ない」
果林「ちょっと待ちなさい、溢れ出るエロスってなによ」
あなた「かすみちゃんが可愛い系、愛ちゃんがスマイル系、せつ菜ちゃんがカッコ可愛い系、果林さんいやらし系って分類さ」
果林「一文字! せめて一文字抜いて! ら抜き言葉にしなさいよ!」
愛「あっはっは、果林、さっきのお返しされたねー」
せつ菜「部長、それを言うなら部長さんはどうなんでしょう?」
あなた「もちろん、決まってるだろ?」
あなた「無邪気系って奴さ。おっと、あの子はどうだい? 後ろ姿がいい」
せつ菜「どれどれ……むむっ、あの人はいけませんね。胸囲の戦闘力ですよ」
あなた「戦闘力53万だね…胸囲だ」
千鶴子「………?」
あなた「おお、人妻みたいなアンニュイな顔がいいな」
果林「少したれ眼なのがミステリアスな感じがするわね」
かすみ「それでいてあの大きさですよ…」
愛「いやいや、お尻の方もだね…」
せつ菜「部長、ここは誰が行きます?」
「おい」
あなた「はい?」
仁美「俺の連れ合いに何か用か?」ポキポキ
五人「「「「「すいませんでしたぁ!」」」」
仁美「いや、そこの白いチビは特に反省してない顔だな、ちょっと顔貸せ」
あなた「すみません、そこの服装女子小学生が言い出しました!」
せつ菜「いや誘ったの部長ですよね!?」
仁美「とりあえず全員来やがれ」
五人「「「「「」」」」」
あなた「…ひどい目にあった。畜生、気を取り直してもう一度だ」
果林「滅茶苦茶怖かったわ…なんで本物の不良がやってくるのよ」
せつ菜「今時あんな番長いるんですね」
愛「……あの子とかどう? 少し背が高い、りなりーみたいな髪の色の」
かすみ「クール系みたいですからね、なしのつぶてですよきっと」
優理「……」スマホポチポチ
あなた「待って…おお! すごい可愛い子が近寄ってきて、あの子に!」
愛「うん! すごい可愛いよねあのツインテールの子!」
せつ菜「チャンスですね!」
果林「チャンスの前髪は離さないわよ!」
かすみ「先輩、ここは一つ見本を!」
あなた「任せろ。Hey、そこのお二人さん。お姉さんたちと一緒にお昼ご飯食べに行かない?」
優理「んー?」
ココ「あ、あの…友達と待ち合わせしてますから」
あなた「その子も良いって言うならどうだい?」
「優理ちゃん、ココちゃん、お待たせ~…あれ?」
遥「虹ヶ咲の…こんにちは、皆さん」
あなた「あれ? 遥ちゃん?」
遥「はい、友達と買い物に…皆さん、どうして恥ずかしそうな顔してるんです?」
あなた「いやぁ、まぁ運命論とアガスティアの葉の因果関係について考えてたのさ」
遥「?」
あなた「まさかの二連敗、まだまだ行くぜ」
果林「二連敗どころか不戦敗よ不戦敗」
せつ菜「しかしまだ諦めないですね、部長」
あなた「仕方ない、この前まで付き合ってた子に振られちゃったんだ。ここで彼女をゲットできなきゃ夏は悲しい事になるぞ」
かすみ「振られたって何があったんです?」
あなた「なに。栞子ちゃんを背中に乗せて秋葉原を爆走したのを見られてたらしくて『ツーリングに付き合ってくれるような子が良いのでしょう?』って笑顔でビンタ食らったよ」
果林「あらあら、残念」
あなた「畜生、カムバック姫乃ちゃんと言いたいけれどここは新しい恋に…よし、あの子に決めた! Hey、そこの素敵な長い髪の…」
姫乃「あら、この前、後ろに乗せてた子はどうしたのでしょう?」くるっ
あなた「………」ダラダラ
かすみ「部長、本日三敗目ですね」
バシーン
あなた「でも負けない、女の子だもん…」ヒリヒリ
愛「そもそもなんでしおってぃーを背中に乗せて秋葉原に行ったのさ?」
あなた「この前μ’sの皆がスクールアイドルフェスティバルの打ち合わせに来た時に忘れ物をしたんだけど、栞子ちゃんが届けたいって言ってたから」
かすみ「タイミングが悪いというかなんというか先輩目立ちますからね…」
あなた「やれやれ、サングラスやっと拾えた…」サングラス装着
せつ菜「で、どうします? 大人しく愛さんの所でもんじゃ焼き食べにいきます?」
あなた「いいや、わんちゃんだ。セカンドチャンスは必ず…お」
果林「あら、どうしたの?」
あなた「あの子、どう?」
愛「あの子…すごいね、あの身長で胸が大きい。花丸ちゃんにも負けないよ」
あなた「でしょ? それでいて、少し落ち着いた服装…地方の子かも知れない」
あなた「たぶん中学生だな、よし、君に決めた!」
千歌ママ「……(まいったなぁ、千歌たちどこにいったのかなぁ。三姉妹揃って昔から迷子になりやすいからねぇ)」キョロキョロ
あなた「Hey、そこの可愛い人よ。迷子かい?」
千歌ママ「へ?」
あなた「どうだい、お姉さんたちが一緒に保護者を探してあげるよ?」
千歌ママ「(うわぁ、この子サングラスしてるけど背伸びしたがりの女子中学生よね…? 女子中学生に年下扱いされるぐらいに見えるって私もまだまだ捨てたもんじゃないなぁ)」
千歌ママ「いいの? ありがと~!」がしっ
あなた「うんうん、大船に乗った気持ちで任せると良いのだ。お腹空いてないかな? それならごちそうして…」
「おかあさーん…あ、いた」
愛「あれ? 千歌っち?」
千歌「あ、愛ちゃん! あれ? お母さん、同好会の部長さんに抱き着いて何してるの?」
あなた「…へ?」
果林「…千歌の……お母さん?」指さし指さし
千歌「果林さんに、せつ菜ちゃん…かすみちゃんも。うん、お母さん」
あなた「」真っ白
千歌「……部長さんはなんで真っ白になってるの?」
せつ菜「そうですね、部長のナンパ成功率は壊滅的という事ですね」
千歌「まあ、部長さん私と同い年に見えないから…」
千歌ママ「あはは……え? この子、千歌と同い年なの!? てっきり一人だけ中学生かって思ってた」
あなた「」
かすみ「先輩、頑張りましょうよ。明日は必ず来ますって。スクールアイドルフェスティバルを成功に導けば彼女もできますよ!」
あなた「そうだなぁ、世界一かわいいかすみちゃんがいてくれると嬉しいなぁ」
かすみ「います! いますからー! かすみんは先輩の傍にいますよー!」
あなた「あはは、そうだね。ようし、かすみちゃん! デートしようぜ」
愛「いいなーいいなー、かすかすー、愛さんも混ぜてよー」
せつ菜「ああっ! ずるいですよかすみさん! 私! 私もです!」
あなた「よしきた。午後は四人でいやらし系な果林さんを眺めるとしよう」
果林「だから一文字! 一文字多いわよ!」
せつ菜「しかし果林さんはえちえち、これは譲れません」
果林「せつ菜ぁ!」
千歌ママ「うーん、若いっていいなぁ」
『苦いナンパな女の子』
あなた「何かを始めるのに遅すぎるなんて事はない。どんな時であっても、だ」
かすみ「そうですね、先輩。それは認めます」
歩夢「かすみちゃんの言う通りだね。でもね」
歩夢「学生向けクラブイベントの出演者抽選についノリで申し込んで、パフォーマー忘れたなんてありえないよもう! 何考えてるの!」
あなた「本当に忘れてたんだよ…」
かすみ「まあ、先輩のお願いですからかすみん、本気出して覚えますよー」
あなた「ありがとう、かすみちゃん…こういう曲目で行きたいんだけどね」
かすみ「しかしクラブイベントでダンス、ですか。こういうのはやった事ないですけど…」
あなた「他の出演者にもスクールアイドルが割といるみたいだしね」
かすみ「なるほど、新しい分野、ですね。できるでしょうか」
あなた「出来るさ。何かを始めるのに遅すぎるなんて事は無い。新しい世界を広げるのは、いつだって思いついたら、やるのさ」
かすみ「先輩らしいですね」
あなた「そゆこと」
歩夢「ダンスの振り付けは?」
あなた「今考えてる」
歩夢「手で何してるの?」
あなた「ゲームのログインボーナスを忘れて…」
歩夢「振り付けを考えようか?」ゴゴゴ
あなた「わかった! わかったから!」
あなた「こうきて、こうで、こう」
かすみ「こうで、こうですか?」
あなた「そんな感じに。最初は飛ばさないで、テンポは少しずつ上げていく」
あなた「意外と難しいけれど、大丈夫さ。かすみちゃんなら出来る」
かすみ「もう、先輩ったら。褒めてもコッペパンぐらいしか出ませんよ?」
あなた「これで後十年戦える」
かすみ「張り切ります!」
歩夢「もう…かすみちゃんも無理はしないようにね。スクールアイドルフェスティバルも近いんだから」
かすみ「はーい!」
あなた「よし、流石かすみちゃんだ!」
かすみ「先輩が出来るって信じてくれて、先輩がかすみんを選んでくれました。それだけで、かすみんは思いっきり行けるんです」
かすみ「先輩がいてくれて良かったって、心の奥底から思えるんですよ」
あなた「そう言ってくれて」
あなた「私も嬉しいよ。かすみちゃん」
歩夢「……」
あなた「世界に放った輝きは、長く残さないと。その一瞬ですらも、誰かの人生という歴史に刻むものであればいい。スクールアイドルとは、そういうものさ」
かすみ「そうですね。世界で一番かわいいかすみんが、世界中の人たちのかすみんであって欲しいです!」
かすみ「その為に、先輩だって背中を押してくれますから!」
あなた「へへっ、その調子その調子!」
ガチャリ
せつ菜「あ、部長。ここにいましたか」
あなた「やぁ、せつ菜ちゃん? どうしたのさ?」
せつ菜「生徒会からまたボランティアの件で…」
あなた「うげ、またか。しょうがないな…」
歩夢「私も行くよ」
あなた「かすみちゃん、とりあえず音源は残しておくから、しばらく聞いて身体を慣らしておいて」
かすみ「はい、先輩」
スタスタ
かすみ「……先輩」
かすみ「先輩も覚えていてくださいね、世界にかすみんがいたことを」
かすみ「あなたが生きた世界の輝きの一つに、私がいて欲しい」
かすみ「その為なら、どこまでも。なんでも」
かすみ「それが今の…私の生きる意味なんですから」
『その星は永遠』
あなた「福引チケットたくさんかぁ…何回分だ、これ?」
あなた「……少し遠いけど、よし。日曜日だしな、そういう日もいい。えーと」スマホスマホ
一時間後
彼方「わざわざ迎えに来てもらっちゃって悪いねー」
あなた「いやいや、気にしない気にしない」
彼方「それにしても彼方さんでいいの? 部長がもらった福引チケットなんでしょ」
あなた「グルメで有名な商店街の福引チケットだからさ、うまいもの当たれば美味いものを作ってくれる人を誘うって寸法よ。おー、やってるやってる」
あなた「ブレーキ、ブレーキっと」
彼方「二人乗り、大変じゃない?」
あなた「慣れれば簡単さ」
愛「あれ? 部長にカナちゃん」
あなた「やぁ、愛ちゃん」
彼方「愛ちゃんもこの商店街に買い物?」
愛「ああ、この商店街業務用の道具売ってるとこもあるから、それを見に来たんだよ。まあ、頼まれたわけじゃないから、値段と品ぞろえ見にきたのかな」
あなた「へへっ、さすが愛ちゃん。よっ、若女将」
彼方「よっ、日本一」
愛「褒めても何も出ないぞー?」
あなた「では、福引チケットはどうだろう? こんなにあるのさ」
愛「うわ、すごっ!? どうしたのさ、そんなに」
あなた「私立の学童クラブに寄付をした返礼品」
愛「へー、そうなんだ」
愛「…部長ってさ」ヒソヒソ
彼方「時々、ミステリーだよね…彼方ちゃんも思うよ」ヒソヒソ
あなた「?」
商店街の人「福引やってまーす!」
あなた「よーし、回そうぜ。三人でチケット分割してーの」
愛「えーと……この枚数だと、合計50回分だから…部長さん、二十回分にしよう。はい」
彼方「トップバッターは部長さんだね、任せるよー」
あなた「いや、残り十回は二人の後に回そう。何が出るかはお楽しみ方式だ」
あなた「十回分だね」ガラガラ
あなた「なにが出るかな♪ なにが出るかな♪」
コロコロ
彼方「透明なのが出たよ」
あなた「おおっ、これは?」
商店街の人「おめでとうございます! 7.5等のいわし水です!」
愛「7.5等!?」
あなた「その0.5に何の格差があるんだ…いわし水か…なんでひらがなでいわし水? ま、いいや。愛ちゃんどうぞ」
愛「ありがと……なんか成分表にイワシって書いてあるんだけど?」
あなた「なぜ作ったそんなもん」ガラガラ
コロコロ
愛「白い球に何か書いてあるね」
商店街の人「えーと…スカですね」
あなた「」ずるっ
あなた「残り八回もスカだった、愛ちゃん十五回分よろしく」
愛「はいよー」ガラガラ
彼方「深緑が出たね」
商店街の人「おめでとうございます! 6と2/1等のヘチマです!」
あなた「6.5等じゃないのかよ!?」
愛「もはや何がなんだか」ガラガラ
愛「その後、愛さん、二回もヘチマが出たよ…」
彼方「いいのが当たると良いねー」ガラガラ
コロコロ
彼方「緑色に黒い縞々が…これはまさか!」
商店街の人「おめでとうございます! 4等のスイカ柄ウクレレです!」
彼方「目立つねぇ」
あなた「いつの時代のアイドルグループだよ」
愛「?」
あなた「すいかの名産地ー♪」
彼方「まあ、まだ少しは役に立つかもね」ガラガラ
商店街の人「おめでとうございます! 4等のスイカ柄ウクレレです!」
あなた「しかもまた当てた!?」
愛「もう何も突っ込まないよ、愛さん」
彼方「だろうね」ガラガラ
商店街の人「おめでとうございます! 4と3/1等のスイカ柄マラカスです!」
あなた「もうわざとだろこの景品ラインナップ」
彼方「その後は大したものは出なかったよ、いわし水が三本増えた」
あなた「残り十回が怖いな」ガラガラ
コロコロ
商店街の人「お、おめでとうございまーす!」
商店街の人「特等、神戸牛・松坂牛・近江牛・米沢牛・但馬牛ブロック肉各1キロ詰め合わせです!」
あなた「え」
あなた・愛・彼方「「「ええええええええっ!!!!!」」」
あなたちゃん宅 キッチン
彼方「ブロック肉だよ、塊だよ…」
愛「だよね…見た事ないよ…」
あなた「……この大きさがあれば、あれが出来るかも知れない」
彼方「あれって?」
あなた「タテだかヨコだかわからんビフテキ。いわゆるマンガ肉の一種だね」
彼方「彼方ちゃんもラーメンライスは好きだけどさ、本当に部長そんな古いマンガをよく知ってるね」
愛「ラーメンライスと言えば愛さんはラーメンライス食法かな」
あなた「いや、あれ最後の食べ方は乱れ食いしてるだけでしょ」
彼方「ビフテキというぐらいだから、普通に焼いてみようか」
愛「しかしこの厚さだからねぇ」
あなた「頑張れ火力…ファイヤー」
彼方「強火にすると外だけ焦げそう」
愛「確かに」
あなた「フランベでもしてみる? ウォッカしかないけど。まあ、唐辛子漬けこんでる奴だから、風味もつくけどさ」
彼方「辛そうだね、コーレーグースみたいだよ」
愛「匂いだけで辛そうだよ」
あなた「じゃあ、最後の手段にでも取っておくか」
あなた「暇潰しにギターでも弾いちゃうかな」
愛「おおー、いいねいいね」
彼方「ノリノリな奴を頼もうかなー」
~♪ Hit in the USA/Beat crusaders
愛「しかし焼けないね…」
彼方「中まで焼ける気がしない」
あなた「マンガ肉は回転させて焼くお約束だからねぇ。上手に焼けました~♪」
愛「なんでサビに合わせた」
彼方「うーん……なんてこった、頑張れ神戸牛」
あなた「もっと熱くなれよ、神戸牛! コービー・ブライアントがお前を誇ってるぞ!」
愛「……コービー・ブライアントって誰さ?」
彼方「なんか有名なスポーツ選手」
あなた「神戸牛が名前の由来なんだってさ」
彼方「なんだか焦げ付いてきたね」
あなた「最終兵器だ。ファイアーしようぜ」
彼方「行けるかな?」
ぶわっ
彼方「わわわっ!?」
愛「やっぱこうなるよねー」
彼方「……とりあえず切ろうか」
サクサク
あなた「…レアですらないな」
彼方「この大きさ、やはり無理だったか」
あなた「一朝一夕でうまくいくはずもない、か」
愛「上手に焼けませんでした、だね」
あなた「あ、残った四キロ分の肉は二人で分けていいよー」
『タテでもヨコでもないからどうしようもない』
果林「あら、そこにいるのって部長じゃない?」
エマ「本当だね。なにかに並んでるよ?」
果林「ファッションの店ね、今日何かの発売日だったかしら…?」
果林「読者モデルとして知らないのはまずいわね、ちょっと見てみましょう」スタスタ
記者「すみません、そこのサングラスの子、ちょっと取材いいですかー?」
あなた「んー? なんの取材? テレビ、ラジオ?」
記者「あ、ネットラジオの取材です。首都短波放送チャンネルの『深夜のテンションと賢者タイム』って…」
あなた「ああー。聞いてます聞いてます。水曜日の全力で突っ走るミュージック天国のコーナーとか好き」
記者「え、こんなに小さいリスナーさんいるの? 午前0時からのライブ放送だけどお母さん大丈夫?」
あなた「面白いからいいじゃん」
記者「それで、金曜日の名前のないファッションショーってコーナーで……」
あなた「あ、だから発売日に取材に来たんだ。あれ聞いて買いに来たからさ」
果林「…ずいぶんマニアックな番組というかなんというか…」
エマ「果林ちゃんが知らないのも無理はないね」
記者「はい。当番組の働きかけで、ジンバブエ発、アフリカのブランドなのにアロハ風シャツブランド、日本初上陸! こんなところにファンがいるとは、心境はどうですか?」
あなた「乗るしかない、このビッグウェーブに!」
記者「ありがとうございましたー」スタスタ
あなた「どうもー」
果林「どんなシャツなのよ、逆に気になるわ…こんにちは、部長」
エマ「こんにちは」
あなた「おお、果林さんにエマさん」
エマ「それにしても素敵な返事だったね。乗るしかない、このビッグウェーブにって」
果林「例のI Phoneおじさんのコメントじゃない…エマに変な日本語を覚えさせないで頂戴」
あなた「あはは、悪かったよ」
果林「ところで、さっきのブランドってどんなシャツなの?」
あなた「ああ、見てみる? ステージ衣装のベース用にいいかなって、皆の分も買うつもりで来たんだ」
果林・エマ「「え」」
果林(何を買う気だったのよこの子…)
あなた「ちょうど皆のイメージカラーもあったしね。ああ、見本が出てきた。あれとかせつ菜ちゃんカラーだよ」
エマ「……あれ、柄、何?」
あなた「ダイオウグソクムシだね。赤ベースにダークブルーのダイオウグソクムシが乱舞する柄。ラジオによると職人が一匹一匹ミシンで縫ってるってさ」
果林「どんな柄なのよ、これ他が怖くなったわ…」ヒソヒソ
エマ「でもせつ菜ちゃん…意外と喜びそう」ヒソヒソ
果林「…イメージできるのが怖いわ」ヒソヒソ
あなた「ありゃ、ブルーがベースカラーの奴、サイズがないなぁ…なんだよ、2Lしかないって」
果林「(良かった、私のは回避出来たわね…)どんな柄なの?」
あなた「背中にでかでかとイセエビ。デザイナーが三重県に取材したってさ」
エマ「イセエビだけ妙にリアルだね」
あなた「むーん…サイズにいいのがない、しずくちゃん用とせつ菜ちゃん用はあるけど…あ、エマさんの奴は別の柄になるけどあるか」
エマ「え、あるんだ」
あなた「タツノオトシゴ柄はSサイズしかなかったからね、当初のイメージとは変わるけど」
あなた「タコの柄。足を広げるタコ、タコ、タコ」
果林「……古来より、日本の女体とタコは切っても切り離せないわね」
エマ「もーっ!!」プンプン
あなた「…諦めてせつ菜ちゃん用としずくちゃん用を買うとしよう」
エマ「しずくちゃんはどんな柄なの? 水色ベースなのは分かるけど」
あなた「四方八方から顔を出すチンアナゴ」
果林・エマ「「………」」
後日 同好会部室
せつ菜「しずくさんもなかなか可愛らしいですね。イメージカラーがこうもあると」ウキウキ
しずく「あはは…せ、せつ菜さんはすごく独特ですよね…あれ、先輩は?」
かすみ「しず子とせつ菜先輩が着替えてる間に果林先輩たちから話を聞いた歩夢先輩に追い回されてどっか行っちゃった」
『ビッグウェーブに乗っていこうぜ、または作っていこうぜ』
かすみ「海岸沿いはもうやめましょうよ~、先輩。かすみんごと吹き飛びそうでしたよ~」
あなた「まさかあんなに風が強いとは思わなかったんだよ…おっと、見なよ、かすみちゃん、横浜ランドマークタワーだ」
かすみ「こうして見るとなかなか大きいですよね」
あなた「そりゃ関東で一番でかいビルだもんね。璃奈ちゃんとしずくちゃんはもう着てるかな?」
かすみ「まあ、りな子は昨日しず子の家に泊まってますからね」
あなた「今日はかすみちゃんも泊まる訳だ。明日は日曜日、楽しい女子会トークを楽しめよ」
かすみ「先輩はいいんですか?」
あなた「いいんだよ、かすみちゃんを背中に乗せてのツーリングもしたかったからね。妖怪廃部姫も載せてるのにかすみんは乗せてくれないんですかーなんてね」
かすみ「地味に似てないです」
かすみ「あとちょっとですけど、少し休憩してきましょうよ。かすみん腕が痺れそうです。先輩に掴まり過ぎると前のめりで転びそうでして」
あなた「ふーんだ。かすみちゃんは私よりデカいですからね」
かすみ「先輩怒らないでくださいよー。飲み物奢りますからー」
あなた「おお、よろしく」
かすみ「先輩、こんな日々もきちんと思い出にしてくれますか? 忘れないでいてくれますか?」
あなた「もちろんだよ、かすみちゃん」
あなた「こんな日々も、会話一つ一つも、全部立派な思い出として魂にも残してる」
あなた(そしていつか屍者の帝国に送られても、その魂が朽ちないように残してくれる命綱であるんだ)
あなた(輝いていく、かすみちゃん達は知るべきではない、ぼくだけに残った――――――だからぼくが屍者の帝国でいずれ朽ち果て無数に転がる灰の一部になっても、かすみちゃん達も覚えていて欲しい)
かすみ「ありがとうございます、一番かわいいかすみんを、ずっと覚えていてくださいよ?」
あなた「もちろんだよ。ようし、そう言っているかすみちゃんにご褒美だ」
あなた「璃奈ちゃんとしずくちゃんには悪いけど、もうちょっとツーリングだ! 日産スタジアムでも見に行こうか?」
かすみ「ちょっとちょっと! 二人を待たせてますから~! そこまで先輩独り占めしちゃ悪いですよー!」
かすみ「お陰でこっちの駐車場に向かわせるのが大変だったよ」
璃奈「おつかれ」
しずく「で、駐車場にバイクを置きに行った先輩は…」
しずく「本屋で立ち読みしてる…」
璃奈「部長、もう」
あなた「あ、ごめんごめん…つい、ね。これを買いに行こうっと」
しずく「何を夢中になって読んでたんです?」
あなた「伊藤計劃の虐殺器官。電子書籍版は持ってるんだけど、紙で読んでるとやはりいいね」
璃奈「映画は見たことある、ハーモニーとかと一緒に」
あなた「ハーモニーの映画はただでさえ難解な原作を詰め込んで余計に解らなくなったからなぁ」
『今日のことを思い出すいつかを思う』
同好会部室
せつ菜「難しいですね」
あなた「難しいよね」
愛「他の奴と違って全体が見えないから明らかに難易度が上がってるんじゃない?」
璃奈「そもそも、お助けアイテムがないのが間違い」
あなた「そういうゲームだし、しょうがない」
ガチャリ
栞子「話は聞かせてもらいました! 廃部にしますよ!」
あなた「出たな、妖怪廃部姫!」
璃奈「悪霊退散」つお札
栞子「誰が妖怪ですか! まったく、学校にゲーム機を持ち込んではいけませんよ!」
あなた「それはどうかな」
栞子「どういう意味です?」
あなた「カフェテリアに突如現れたインベーダー筐体、100円タワーを積み上げてプレイする栞子ちゃんの写真がこちらになります」
栞子「こ、これは何かの嘘で……あの、大きなリボンが髪の毛の中からはみ出ているようですが」
愛「やっぱしずくをしおってぃーにするコラージュは無理だって」
璃奈「いいや、愛さん。私なら問題なく出来る。部長が下手なだけ。璃奈ちゃんボード『ふふん』」
栞子「やっぱり桜坂さんではないですか!」
あなた「やべぇ、バレた!」
栞子「決して気になっているわけではありませんがあれは何者かが勝手に持ち込んだのできちんと生徒会で預かりは致しますが……ところでさっきから何をしていたのです?」
あなた「メガドライブ版ソニックスピンボール。昔の洋ゲーならではで難しいよ、これ」
栞子「は、はぁ……なかなか雰囲気がありますね。ピンボールはよく大人の遊びというイメージはあります」
あなた「そうなんだよね、子供向けとは思えない難易度だぞ、これ。本格的ピンボールをそのままソニックに落とし込むとこうなるね」
せつ菜「正直、私でもまったく…」
栞子「ピンボール同好会の力でも借りてみるというのは?」
あなた「そりゃあ、いいね。相談してみようか」
あなた「くっそ、あのピンボール同好会め!」
璃奈「どうしたの?」
あなた「『その程度もクリアできないとか、ソニックスピンボールがクリアできないのは小学生までだよねーwww』とか言って来やがった! 畜生、意地でもクリアだ!」
栞子「ピンボールの腕前でコケにされたのは初めてです…」
あなた「こうなったら意地でもクリアしてやる! 愛ちゃん、コーラよろしく!」
愛「あいよー」
せつ菜「ポテチトングは?」
あなた「欲しい」
璃奈「味はどうする?」
あなた「のり塩で」
「カフェテリアのインベーダー筐体は?」
あなた「エマさんに名古屋撃ち伝授するまで置いておく」
歩夢「…家でやろうか?」ニコニコ
あなた「げぇっ!」
あなた「マルセイユ・ルーレット!」
歩夢「♪」リコーダー吹き
サスケ\やぁ/
あなた「ひぎゃあああああ!!!」
あなた「栞子ちゃん、ここに! 蛇を持ち込んでる奴がいまーす!」
栞子「蛇を持ち込まれたのは初めてです…」
あなた「取り締まれよー!」
『ピンボールとインベーダー』
愛「ごめんね、こんな時間に」
あなた「気にしないでいいさ、美里さんに大事無くて良かった」
あなた(午前四時半、明るくなりだした空が照らす道路を、バイクで走っていく)
あなた(愛ちゃん家に泊まる日に訪ねてきた美里さんがまさか倒れるとは誰が予想したか、そんなの予想できるか)
愛「おおー、太陽が昇ってきたよ」
あなた「このまま、もうちょい足を延ばしてみようか。そうだな、日曜日の学校というのも面白いかもね」
愛「朝練する部活の人だってまだ来てない位の時間だよー」
あなた「だろうね。だから愛ちゃん、二人きりの学校を眺めるデートだぜ」
愛「あはははっ! とても部長さんの方が彼氏役には見えないなぁ」
あなた「小さいのは気にしてるんだけどねぇ」
愛「りなりーよりも小さいからね…お陰で掴まるのは大変」
あなた「おっと、それじゃもう少ししたら休憩しよう」
愛「いやー、ここから見ても虹ヶ咲学園、よく見えるねぇ」
あなた「東京都内でも有数の大きさだからね。ビル型校舎とはよくいったもの。それでいてグラウンドも整備されてるからさ」
愛「あ、夜明け」
あなた「綺麗だね」
愛「うん…明けない夜は無いよ」
あなた「確かに。祭りが終わった翌日の朝は寂しく思えるけれど、それでもその朝を迎える価値があるから祭りが終わるのさ」
愛「ああー、わかるわかる。愛さんも、楽しい時間は終わりがあるから楽しいって思う。楽しい時間が長く続くのはいいけれど、永遠だったら一つの楽しいは飽きちゃうよ」
あなた「だろうね。意外とその事に、気付かない時もあるかもね」
愛「?」
あなた「アイスマテ茶は旨い」
愛「だよね! 脂っこい食事にも合うんだってさ」
あなた「マジか、常飲するわ。私、そういう食生活してる時あるから」
愛「部長さん、健康に気を遣おう」
『昨日を変えられない今日の価値』
同好会 部室
果林「スイカが食べたくなってきたわね」
あなた「おや、それはスイカTシャツのせいかな?」
果林「そうね。例のブランドの柄独創的だわ。青地に黄色いスイカって鮮やかだけど」
愛「まあ、アロハシャツ着てると夏って気分になるよね。たださ、部長さん。この柄すごくない? オレンジベースに、なにこの柄? ウニ?」
あなた「ドリアンだよ」
かすみ「わかる気がします。夏らしい事したいですよね…でも、先輩。このシャツは派手過ぎです。なんですか、ワニだらけはかすみんの可愛いイメージには似合いませんー!」
せつ菜「しかしですね、スイカと言えば…スイカ割だと思うんですよ!」
あなた「いいね、スイカ割。スイカ買ってくるよ」
愛「いいのー? 部長、悪いね」
あなた「なに、今日もバイクで着てるしね」
果林「……ねぇ、背中に乗っけってもらっていいかしら?」
あなた「おお、果林さんは初だ」
ガチャリ
かすみ「そういえば先輩の背中に乗っけってもらって横浜に行ったときは風が強くて飛ぶかと思いましたよー」
せつ菜「部長さん小さいですからね……私も秋葉原まで一緒に乗った時に何度かカーブで持っていかれそうに…」
愛「まあ、果林私たちの中でも大きいほうだし、大変だろうねぇ…愛さんの時も乗るのが大変だった」うんうん
果林「バイクだとあっという間ね。もう虹ヶ咲に帰ってこれたわ」よいしょよいしょ
愛「おおー、おかえりー。部長は?」
果林「栞子にまた追い回されてたわよ。だからまたバイクで逃げてったわ」
かすみ「しお子、バイクを追いかけるのがもはや定番だ…」
せつ菜「まあ、それはさておき割る棒…棒…?」キョロキョロ
かすみ「無さそうですね」
愛「ソフトボール部からバット借りる?」
果林「果汁でべたべたになりそうだからやめた方がいいかも」
せつ菜「では棒でも探しに行きますか」
かすみ「ついでに先輩も迎えに行きましょう」
果林「スクールアイドルフェスティバルも、もうすぐね」
愛「そうだねぇ」
かすみ「……しっかり、いいステージをやりましょう。だいじょうぶ、私達ならできます」
せつ菜「もちろんですよ!」
愛「お、部長いた…」
あなた「くそう、妖怪廃部姫め…ひどい目にあったぞ」
果林「あら、どうしたの?」
あなた「理事長のベンツの前に出る羽目になっちゃったよ」
かすみ「大丈夫だったんですか?」
あなた「大丈夫もクソもなくてね、栞子ちゃんが理事長のベンツの後部座席に乗ってそのまま追跡してきたんだよ。理事長もノリノリで拡声器まで使ってきて…ジャック・ベイカーと殴り合いしている気分だった」
せつ菜「そんなに運転荒いんですか?」
あなた「たぶん、今回だけだと信じたいさ…理事長は今度からファミパンおばさんと呼ぶ事にする」
かすみ「フレーズだけ聞くといやらしい言葉に聞こえますよ…」
せつ菜「でも実際はファミリーパンチの略ですし」
理事長(拡声器)『あなたは既に包囲されているわ、大人しく出てきなさい。ほら、故郷のお母さんも君を思って泣いているのよ』
あなた「まだやってるぞ…もうこっちに逃げてるっての」
理事長(拡声器)『そんな歳で白髪になってる程苦労しているんでしょう? わかってるわ、けど非行に走っても決して満たされることはないのよ』
あなた「染めてんだけど!!!?」
かすみ「え、地毛じゃなかったんですか?!」
果林「ちょっと意外ね」
かすみ「すごく自然に白いですもんね」
あなた「そんなことはさておき、スイカ割をしよう、スイカ割を」
かすみ「棒が無くて…」
あなた「棒か…あ、そうだ。確かあれがあるぞ」ゴソゴソ
あなた「歩夢がロッカーにスポーツチャンバラ用の棒を隠してたな」
せつ菜「ああ、ありましたね! 歩夢さんが部長さんを制裁する時に使う!」
あなた「乱用、ダメ、絶対」
かすみ「いや、正しい使い方をする分には問題ないでしょう、スポーツチャンバラの棒」
あなた「と、いうことで究極のずばずばばっさり感で頼むよ。私はギターを弾いてる」
愛「相も変わらず気分屋だねぇ」
~♪ みらいいろ/Plastic Tree
かすみ「ここは一つせつ菜先輩にお手本を」
せつ菜「いやいや、かわいい後輩かすみさんにお譲りしますよ」
愛「まあまあ、落ち着きなよ。こういう時は大岡裁きをするんだよ」
愛「はい、果林」
せつ菜「なるほど、さすが愛さん!」
かすみ「うんうん!」
果林「もう…えーと、目隠しして」
果林「ぐるぐる回って」
あなた「飛んで飛んで飛んで飛んで…」ボソッ
せつ菜「ん?」
愛「回って回って回ってまわーるー♪」
せつ菜「おおっ、そういえばこんな曲ありましたね!」
あなた「よっしゃ、ノリノリで行くかい?」
愛「ばっちこい」
かすみ「よしきた、ですね」
~♪ 夢想花/円広志
栞子「あ、ようやく見付けましたよ…いいですか、バイク通学は…って何してるんです?」
果林「す、少し回り過ぎたわ…」フラフラ
かすみ「果林先輩、右ですよ、右」
果林「わかったわ、右ね!」←しかし左へ向かう
せつ菜「逆です、逆。果林さん、逆ですよ」
果林「さすがせつ菜ね」←バックしてくる
あなた「前、前! 果林さん、前!」
果林「わかったわ、前ね!」←更に左へと寄っていく
愛「果林、もうちょい右だよ、逆だって」
果林「わかったわ、愛。もう大丈夫よ、ここね!」←左へ向かって半回転している
ぶんっ ガイン
果林「あらっ?」
理事長「私の車のドアミラーに恨みでもあるのかしら?」ニコニコ
五人「「「「「すみませんでしたぁ!」」」」」
理事長「それとそこの白髪の子は栞子ちゃんに廃部姫なんてあだ名をつけたようね?」ニコニコ
あなた「」
彼方「いやー、みんなごめんね補講が多くて…って、なんで額にバカって書いてあるのさ?」
あなた「全部廃部姫のせいだ」
かすみ「全然落ちないですよー…せんぱぁい」
せつ菜「かすみさん、泣いてはいけませんよ、こういうのは根気よくこすって…」
果林「明日までに消えるかしら、明日撮影なんだけど」
愛「愛さん今日も手伝いあるんだけどなー」
『スイカが好きな花たちへ』
虹ヶ咲学園 プール
あなた「くっそ、向こうは手強いな…」
彼方「しかし負けるわけにはいかないのだよ、メロンソーダが掛かってるのさ」
かすみ「まだまだ、ここからですよ!」
せつ菜「ふっ、甘いですね彼方さん、かすみさん。抜けるものなら抜いてみるのです!」
愛「せっつー、そう言うと隙をつかれるよー」
果林「愛の言うとおりね、せつ菜。2点リードしただけよ、まだ油断は禁物」
あなた「確かに、彼方さん、かすみちゃん。まだ慌てるような時間じゃないさ」
彼方「そうだね、かすみちゃん、パス!」
せつ菜「おおっと、甘い! 頂きます!」
あなた「悪いがインターセプトでかすみちゃんパース!」
かすみ「先輩、リターンです!」
あなた「OK、スマッシュ!」
果林「あっ! ほら、せつ菜! 言う傍からまたタワシ取られたじゃない!」
愛「大丈夫だよ、果林。まだ1点差だから」
エマ「…皆、なにしてるの?」
璃奈「ブラシでホッケーしてる…」
しずく「定番ですね…」
歩夢「まーた遊んでる…」
あなた「おや、エマさんたち」
エマ「彼方ちゃんがプール掃除の手伝い頼まれたっていうから、手伝いに来たのになんで遊んでるの…」
せつ菜「いやぁ、つい」
果林「スイカ割事件の罰がプール掃除とはいえ、プールでタワシとブラシとくれば」
愛「いてもたってもいられなくてねー」
彼方「さあ、1点差だよ。そっちタワシだね」
せつ菜「良いでしょう、点を取り返しますよ! 果林さん!」
果林「任せなさい、レシーブ! あっ!」
あなた「ナイスボール!」
果林「ほら同点になった!」
せつ菜「いや、今のは果林さんのミスでしょう」
愛「レシーブミスから打ち返されたからねぇ」
果林「そうは言っても…」
エマ「果林ちゃん。後ろでかすみちゃんと部長と彼方ちゃんがすごい勢いでタワシを打ち込んでるよ」
果林「ちょっ!?」
彼方「これで七点リードだね、メロンソーダは頂きだよ」
せつ菜「卑怯にも程がありますよ!?」
歩夢「もう、そろそろ遊んでないで真面目に掃除しないとだめだよ?」
あなた「やれやれ、それもそうか」
かすみ「そうですね」
果林「ついつい夢中になったわ」
バターン
栞子「話は聞かせてもらいました! 廃部にしますよ!」
あなた「出たな、妖怪廃部姫!」
璃奈「悪霊退散」つお札
しずく「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」九字
栞子「だから私は妖怪じゃありません! しずくさんも九字を切らないでください!」
あなた「しょうがないだろ、次のしずくちゃんの役は巫女さんなんだから」
しずく「これも演技です」
歩夢「しずくちゃんも悪乗りしない! もう、栞子ちゃん困ってるでしょ!」
あなた「悪かったよ、ちゃんとやるって。栞子ちゃん」
栞子「まったく…」
栞子「あなたには生徒会長の適性があるのですから、真面目にしていただければもっと」
あなた「そうでもない。私みたいな奴が生徒会長になったら周りが苦労する」
栞子「まとめ役や先導役としては最適ですしサポートも手厚くする方、私の目に間違いはないですよ」
あなた「少なくとも真面目な生徒会長はブラシでホッケーはしないさ」
栞子「自分で言うってどうなのです」
栞子「ほら、手伝いますよ。さっさと終わらせましょう」
あなた「おお、感謝するよ栞子ちゃん」
ゴシゴシ
あなた「しっかし意外と汚れは溜まるな、室内プールとはいえ」
栞子「普段も水泳部が使いますからね」
エマ「あれ、なにかあるよ?」
エマ「なんだろう、これ。少しふにふにで…」
あなた「エマさん、どうし」
あなた「げえっ!? ハチの巣だ!?」
かすみ「なんでそんな所にあるんですか!?」
エマ「え? ハチの巣!」
愛「だ、ダメだよ大声出したら!」
璃奈「しかしハチの巣から反応はない」
果林「古い巣なのかしら?」
彼方「なんでそんな所にあるんだろうね。まあ、ハチがいないならさっさと外しちゃおうか」
せつ菜「ゴミ袋を取ってきましたよ!」
せつ菜「ああ、そうだ。どうせなら放水して壊しましょう。それなら」
あなた「名案だ。いちいちあんなもん触りたくない。くらえ、全力攻撃だ!」
ぶしゃぁぁぁぁ
ぼろぼろ
ぶーん
あなた「げえっ!? ハチの逆襲だ!」
せつ菜「まだ中にいるじゃないですか、誰です古い巣なんて言ったの!」
果林「いやぁ! ハチだけは私だめなの!」
エマ「果林ちゃん落ち着いて!」
栞子「プールにハチの巣を作られたのは初めてです」
あなた「そんなにあってたまるかよ! なんで水泳部は報告してないんだ!」
あなた「逃げるぞ! ハチに襲われる!」
生徒会室
あなた「出動多くて来れるのが三日後? そこをなんとか…学校ですし」
あなた「こん畜生」ガチャン
あなた「優先して欲しけりゃ特急料金出せだなんて足元見やがって!」プンスカ
栞子「どうでしょう、業者は見つかりましたか?」
あなた「先立つものをくれなきゃ今日中は無理だと」
あなた「しゃーない、こういう時は伝手だ」
栞子「そうして代替案を出してくれるところが、生徒会長の適性があると思うのですが」
あなた「遠慮しとく。周りの胃に穴が開く」ピポパ
菜々「なんとなく想像できますね…」
あなた「鞠莉さん? 害虫駆除業者を探してるんだけどいい所知らない? いや、実はハチの巣が…」
鞠莉『それならお買い得な所を知ってるわ。すぐに連絡とるわね、シャイニー☆』
二時間後
バババババババババ
鞠莉「レインボースチューデント! マリーが会いに来たわよ!」
あなた「やあ、鞠莉さん。ところで業者は?」
千歌「こんにちは、専門家です」防護服装備
あなた「……大丈夫なの、千歌ちゃんで?」
鞠莉「大丈夫だ、問題ない」
あなた「それフラグって言わない!?」
ぶうううん
あなた「言わんこっちゃねぇ!」
『そんな装備に慢心してはならない』
しずく「あ、結ヶ丘女子の制服…」
あなた「結ヶ丘女子だね」
せつ菜「今年開校した学校でしたっけ…開校一年目の生徒会長は大変そうですね」遠い目
あなた「せつ菜ちゃん、元気出せ。新会長妖怪廃部姫の右腕として頑張るのだ」
エマ「部長、フォローになってない。それにしてもあの子たち、仲良しそうだね」
あなた「そうだね」
あなた「……」
あなた「『ねぇねぇ、見てこれ。昨日通販でポチッちゃった』」
せつ菜「アテレコ始めた…」
しずく「『わー、すごいねー』」
エマ「そして乗っかるんだ、しずくちゃん」
あなた「『うん、君にプレゼントしたくて』」
しずく「『ありがとうありがとう! いつ届くの?』」
あなた「『輸送に時間かかるみたいだから、もう少し時間がかかるかも。この画像見て楽しみにしてて?』」
しずく「『うん、いつもいつもありがとう……私を、大事にしてくれるよね』」
あなた「『もちろん。だって大事にしてくれるんだもん…だからさ。その……』」
せつ菜「おおっ、これはこれは…」
エマ「まさか…これは、伝説の桜の木の下的な…」
しずく「『だけど、お母さんにも相談しなくちゃ。どこに置けばいいかな…』」
しずく「『アイルランド国鉄8500系』」
エマ「なんでそんなもん通販で売ってるの!?」
せつ菜「そもそも一両幾らなんですか!? 通販で買える金額じゃないでしょ!?」
あなた「『どこでもいいさ、君が大事にしてくれるなら』」
せつ菜「まだ続けるんですね…」
しずく「『あなたがくれるなら、なんでも大事にする』」
あなた「『この電車は、私のお父さんの従妹の再婚相手の弟の親友の叔父さんがプロポーズを申し込んだ思い出の電車なんだ』」
せつ菜「誰です!?」
エマ「それ、日本語じゃなくても他人って言わない?」
かのん「…あのー」
あなた・しずく・せつ菜・エマ「「「「あ」」」」
かのん「私、スペインとのクォーターで、特にアイルランドにゆかりはないんだけど…」
千砂都「…かのんちゃん、突っ込むところそこ?」
かのん「まあ、後輩が可愛いのは分かるけど、声の大きさは注意しないとね? リボンが素敵な先輩さん」
しずく「あの、実は私の方が後輩でして…」
かのん「え?」
千砂都「うっそだぁ、一人だけ女子中学生が混じってるんでしょー?」
せつ菜「すいません、この子これでも高二なんです」
かのん「え? だって、サングラスして大人っぽく見せてるけど、明らかに中学せ…」
あなた「ちくしょー!!!」
あなた「…クーポン貰っちゃったよ、今度タコ焼き食べに行こうぜ」
エマ「タコ焼き、いいね。あの子が作るの、絶対美味しいよ!」
『タコ焼きが結ぶもの』
スクールアイドル同好会 部室
栞子「むむむ……」コントローラー握り
あなた「頑張れ、栞子ちゃん。大坂の陣は難関だがクライマックスだ」
栞子「画面が暗いので余計に難しいのですが」
あなた「初代戦国無双は元々のモチーフが室町後期の水墨画らしいから仕方がない」
栞子「なのに真田信繁公が主役扱いなんですか? 訳が分かりませんよ」
あなた「そういうものだからしょうがない。文句はカプコンに言え」
栞子「なんでコーエーテクモじゃなくてカプコンに言うんです…」
栞子「ああ、また敗退…。なんですか、あの伊達政宗公の速さは…」
あなた「牢人五人衆他の四人全員モブだからしょうがない。塙とか薄田も敗走しやすいし。木村もモブで大野はそもそも戦力外」
あなた「しかし悪いね、栞子ちゃん。今日はみーんな用事があって来れないみたいで」
栞子「だからといって部室でゲームして遊ばないでください」
あなた「栞子ちゃんも遊んでるけど」
栞子「これは実地調査です」キリッ
栞子「今度という今度は家康公の首を取りに行くのです」
あなた「五度目の挑戦、今度は勝てるといいな」
栞子「家康公をもっとも恐れさせた男、真田信繁公は日本一の兵ですので」
あなた「家康を恐れさせた男自体は北は政宗に直江山城、西に真田昌幸、南にクロカンと鬼島津と色々いるけどな」
栞子「恐れ過ぎですね、家康公」
あなた「だろうね」
あなた「まあ、誰だって怖いものは山ほどあるさ」
栞子「そうですか? あなたに怖いものはなさそうに見えますが」
あなた「あるよ、私にだって。死ぬのとかね」
栞子「それは誰だってそうでしょうに」
あなた「まあ、そりゃそうだけど」
栞子「誰にでも、死は訪れます…けど、その死を意味あるものにする為に、精一杯生きるのだと思います」
栞子「戦国最後の戦で散った信繁公のように」
あなた「ああ……」
栞子(いつもとはどこか違った。死を語る時だけ、彼女から楽しさを振りまく空気は消える)
栞子(まるで仮面を外したような。もしかすると、普段のその楽しさは仮面なのだろうか)
栞子(では、その仮面の下はなんだろう)
あなた「その最後の輝きは、とても綺麗だ。400年の時代を経ても、まだ私たちが語り合えるぐらいにね」
栞子「ですね」
あなた「その輝きを残せる人は、とても幸せだなって思うよ」
栞子「あなたも、きっと」
あなた「どうだろうね」
栞子「そう、でしょうか」
栞子(その言葉が酷く悲しく響いた時、画面の中で)
栞子「また敗退…」
『仮面を外した話』
夕暮れ 部室
あなた「皆はまだ…練習中だよな……少し休憩だ」
あなた「………気分転換、だな」ギター取り出し
~♪ 夜に駆ける/YOASOBI
~♪ フルカラープログラム/UNISON SQUARE GARDEN
あなた「なんかテンション上がってきたぞ…もう一曲行くか」
~♪ Zips/T.M.Revolution
パチパチ
彼方「本当に歌上手いねぇ」
エマ「うん、とても」
あなた「おや、まさかのギャラリーがいたよ」
璃奈「ギター好きなのは知ってたけど、これはびっくり。璃奈ちゃんボード『羨望』」
かすみ「意外と最新の曲とかも聞いてるんですね」
あなた「…璃奈ちゃん、良かったらギター弾いてみるかい?」
璃奈「いい、の?」
あなた「家にもう一本あるしね」
彼方「本当に部長って時々ミステリーだよね」
璃奈「璃奈ちゃんボード『こんな事もあろうかと』がよく似合う人」
エマ「ああー……ファッションセンスは謎だけどね…今してるサングラス、何それ?」
あなた「ああ、これ? 角度と見方で見える色が変わるサングラス。レインボーにね。スクールアイドルフェスティバルには、よく似合う」
璃奈「璃奈ちゃんボード『まるで意味がわからんぞ』」
あなた「くうっ! だが理解してもらえるまで頑張るぜ、歩夢ちゃんは無理だったけどさ…」
あなた「さて、璃奈ちゃん。こう持って、こうして」
璃奈「う、うん」
あなた「そして、輝くッ! ウ■トラソウッ! ハァイ!」
かすみ「そして何でそれなんですかっ!?」
彼方「~~~!」腹筋崩壊中
エマ「???」←なんのことかわかってない
あなた「まあ、冗談はさておいて」
璃奈「こう…?」ぽろん、ぽろん
あなた「上手、上手。今はミキサーやDTMソフトも色々あるけど、実際の楽器弾けると広がるからね」
璃奈「う、うん。頑張ってみる」
あなた「大丈夫、璃奈ちゃんなら大丈夫さ」
エマ「部長さんが持ってても大きく見えるけど、璃奈ちゃんが持っても大きく見えるね、ギター」
あなた「家ではたまにギター抱いたまま寝るときもあるからさ」
エマ「そうなの?」
あなた「これぐらいの重さの方が途中で気づいて目覚めるからさ。寝るときの姿勢はちゃんとしないと疲れは取れないさ。でも、何かをやりかけながら眠りにつくのもまた色々さ」
あなた「永遠じゃないんだ。高校生活だって、約1100回分の夜を迎えることを『もう一度』と繰り返すようなもので、有限でしかない。時間は決まってる、時間でしか、片が付かないものもあるしそうでないものだってあるよ」
あなた「いつか璃奈ちゃんが、ギターで作った曲を聞いてみたいかな」
璃奈「……うん」
かすみ「かすみん、ちょっと飲み物を買いに…」
あなた「ああ、そういえば飲み物ないな…一緒に行くよ」
ガチャリ
かすみ「そうですよね、先輩。永遠なんて、ないですよね」
あなた「そうだね。有限だから、輝けるし、尊い。過ぎていく毎日毎日も、終わりはある。だけど」
あなた「同好会の皆といる、日々がとても輝いていて、幸せなんだ。空っぽでも透明でもない、その重みも、その色も、全部大切な宝物だ」
かすみ「いつまでも、そうしていてくれますか? 人生最後の日になっても、そう思っていてくれますか?」
あなた「かすみちゃん?」
かすみ「……二か月の時間…パワーアップかも知れない、だけど、その二か月、大きいですよ」
あなた「ああ。大きいよ。六十の夜も、一炊の夢なんかにはならない」
かすみ「ずっと、黙ってたんです…こんな、かすみん、可愛くない。けど、先輩には…伝えたいんです」
かすみ「春休みに……カフカ・ぺチャック症候群A型って診断されて……その時…余命、二年って」
かすみ「先輩が、卒業するころに……かすみんは……」
あなた(必死に涙をこらえるつもりなのか、もうオレンジを通り越して青紫に変わっていく空の方を向いて、かすみちゃんは最後の言葉を言えなかった)
あなた(その頃に、かすみちゃんの命が尽きてしまう)
あなた(それは偶然か、或いは運命か。いいや、運命であってほしい)
あなた(それがよりによって、スクールアイドル同好会のかけがえのない仲間で、そして時間までドンピシャだなんてそんなの運命以外ありえない)
あなた(神様、もしかしてぼくにそれを下したのは――――――――――)
あなた「ああ、そうか……きみもだね」
あなた(ぼくにこの言葉を、彼女に告げる為ですか)
あなた(それは残酷にも思える、だけど、勇気を振り絞ったかすみちゃんに告げなければいけない)
あなた(約1100回の一夜物語を繰り返し続けるぼくに、世界が無色で空っぽになっていたぼくにもう一度色と重さをくれた、彼女たちには言えなくても、それでもかすみちゃんに言わなければならない)
あなた「かすみちゃん。私も大きな秘密があるんだ」
あなた「入学式前日に、余命三年って言われたんだよ」
あなた(君と一緒に死ぬなら、ぼくは一人ぼっちでカーテンの向こう側に行かなくていい。君を一人ぼっちでカーテンの向こう側に送り出さなくていい)
あなた(スクールアイドルとして今を輝き、明日もっと可愛くなるかすみちゃんが旅立つ楽園への水先案内人を務めよう。その入り口で別れて、屍者の帝国へ行くぼくとは違って)
あなた(そんな君の明日を輝かせる為に、二か月の時間は、無駄になんかならないんだ)
かすみ「先輩…」
あなた「カフカ・ぺチャック症候群X型でね。進行が遅めだとは言われてたけど……いつか自分が死ぬって解るのは、怖いよ…一緒だ」
かすみ「……先輩、かすみんと一緒に…進んで、くれますか…?」
あなた「うん。世界で一番かわいいかすみちゃんを、世界で一番かわいくしたい」
あなた「だから二か月かけて、頑張ってくる」
あなた(二か月後の君たちを、もっと輝かせて可愛くするために)
あなた「これは、二人だけの秘密」
かすみ「はい…!」
『前夜の秘密』
しずく「……カフカ・ぺチャック症候群……うーん、やっぱり難しい…」
しずく「もうちょっと調べてみよう」
しずく「進行は様々で、人によって判明時の余命は様々」
しずく「高熱や苦痛を伴う劇症症状に対する対症療法である注射はある、けど劇症症状が出ている時点でガンで例えるならステージ3か4」
しずく「進行が進めば進むほど、毎日劇症が出る為…患者自身か近しい人が注射をする事も…」
しずく「……強いストレスは進行を早める症例が報告されている」
『強いストレスは進行を早める症例が報告されている』
あなた「嘘だろ」
ランジュ「私、あなたは要らないわ」
あなた(それまでは笑顔を張り付けていた彼女の顔が変わったのは、その直後だ)
ランジュ「ううん……あなたみたいな人が、一番嫌いよ」
あなた(その素敵な顔を歪めて、はっきりとした軽蔑と憎しみを込めた瞳が、サングラスごしでも解る)
あなた(やはりそう見えるか、いや、今までの話を聞いてたらそうなるか。栞子ちゃんからどんな話を聞いていたかは知らないだろうけれど、きっと鍾嵐珠はこちらを憎んでいるレベルで嫌いになりそうな事だけは解り切ったことだった)
あなた「……だろうね。そんな顔してるや」
スタスタ
あなた「ぐぬぬぬ、しかし監視委員会か」
あなた「………しかしよりによって、あの鍾嵐珠か、鍾嵐珠なんだよなぁ…」むむむ
あなた「かすみちゃん…」
あなた(屋上の片隅に、いた。震える足が折れないように、体重を背中にかけて、震える手が取りだした注射器)
あなた(かすみちゃんはこちらに気付くと、目をそらそうとした。見て欲しくないのは解ってる、だけどいつかそうなる自分を思うと、それから目をそらせなかった)
あなた(ぷしゅ、という音。苦痛を堪える瞳。そして、同時に悟る。自己注射しなければならない、それを)
あなた(スクールアイドル部の存在が、この子の症状を急速に悪化させてしまった)
あなた「……ごめん」
あなた(そっと抱きしめた。透明で空っぽになっていたから、また明日が楽しみになってきた。だからその明日の為に二か月という時間は惜しくなかった)
あなた(でもそうじゃない。君と一緒に死んでいく、筈なのに。それが出来なくなってしまった)
あなた(それでも、恨み言一つも言えないのは、尊厳を守る為だ。それはぼくが屍者の帝国まで連れていくものだ。だって、その尊厳を守らなきゃもっと多くの希望が潰えるんだ)
あなた(シンデレラに、魔法をかけなくちゃ)
『かぼちゃの馬車はどこに消えた?』
ミア(退屈なステージだ…)
ミア(ランジュは次から次へと新曲を要求して、まったく…ライブの演奏もするのに楽じゃないと…)
ミア(ん?)
ミア(何か妙だ…)
ミア(いや、妙どころじゃない…まさか)
ミア(サウンド機器のコードが全部違う所だ!?)
ミア(どうしよう、どうしよう。今繋ぎなおすにしても今ライブ中だ)
ミア(ランジュが知ったらどんな顔をす…ん? 待てよ?)
ミア(なら、なんで今)
ミア(サウンドは完ぺきに流れている?)
ミア(一切の乱れもなく)
ミア(一切の狂いもなく)
ミア「誰が…これを…」
ミア(ボクは慌ててステージ裏に向かった―――――――コードをたどると、そこにボクの機材に座る一人の人影)
あなた「おやおや、ミア。ステージ中に持ち場を離れるなんて、どうかしてるぜ! なんてね」
ミア(ベイビーちゃんはボクに視線を向けながらも、鍵盤をたたき続ける。一切乱れも狂いもなく。時折サウンドを、まるでボクが演奏しているかのように調整しながらも)
ミア「え…なんで…なんで…」
あなた「なにがだい?」きょとん
ミア「楽譜も…ないのに」
あなた「今日は新曲がないからね。プログラムは先週と同じ。だからそれと同じ曲を同じタイミングで同じアレンジで流せば問題ないって寸法だよ。すごく簡単さ」
ミア「いや、だって、ボクの、アレンジ…そのまま…」
ミア(足が震える。なんだ、これは)
あなた「ミアの曲を聞けば、ミアはこんなのが好みだねってだいたいわかるからさ。難しくないよ」
ミア(なにがローカルな環境だ)
ミア(なにが素人の作ったノイズだ)
ミア(素人は)
ミア(ノイズは)
ミア(ボクの方じゃないか!!!)
ミア(呆然と膝を折るボクの前で、ボクをそのままコピーしたベイビーちゃんは最後の曲を終えた直後)
\デデーン/
あなた「ランジュさん、アウト―」
ミア(とマイクに向けてそんなアナウンスをした直後、ステージの真ん中にいたランジュの頭にタライが直撃した。一瞬で爆笑に包まれる観客と愛と果林、栞子ですら笑いを堪えた直後)
しずく「笑ったので、全員アウトですね」
\デデーン/
あなた「全員、アウトー」
ミア(などとしずくが発言した直後、愛と果林と栞子の頭上にスライムバケツが降ってきた)
ミア「ベイビーちゃん…キミは……」
ミア(なんて声をかければいいんだろう。それでも彼女は笑っている。ステージ上で怒り狂うランジュにもスライムバケツの再攻撃だ。そこへ)
しずく「やっぱり、先輩の方が安心できますね」
あなた「やあ、おかえりしずくちゃん。ダンスが上手になったねぇ」
しずく「ありがとうございます」
あなた「それでこそあなたの理想のヒロイン、さ。さ、それじゃ行こうかしずくちゃん。璃奈ちゃんと、皆が首を長くして待ってる」
あなた「エスコートするよ」
ミア(恭しくしずくの手を取る、ベイビーちゃん。その小さな手も、その指も)
ミア(ボク以上の、もの。ボクは…)
ミア(越えたいのか? ううん、違う)
ミア(この人に、認めて欲しいんだ。すごいって思ってほしい)
ミア「………また、会おうよ、ベイビーちゃん」
ミア(その返事はないのは知っている。だけど、もしも会う機会が与えられれば、その時は)
『カエルと白鳥』
ランジュ「しずく、なんで同好会の方がいいっていうのよ、だってあの子の元よりずっと…他の子だって……」
キャーッ!
ランジュ「ん?」
あなた「ぐへへ、助けなんかこねぇよお嬢ちゃん」白い着流し&洞爺湖と掘られた木刀装備
彼方「大人しくしてれば命までは取らんぞ」オレンジの忍装束と額当
せつ菜「さあ、大人しく部室を明け渡してついでに生徒会長の座を中川菜々に返せと親友の三船さんにいうのです!」赤べスト&麦わら帽子
しずく(ランジュ風かつらとランジュのステージ衣装)「そ、そんなぁ! ランジュをいじめないで欲しいのラ! 誰か助けてラーッ!」
ランジュ「」
「そこまでよ!」
ランジュ「この声は…」
果林「見付けたわよ狼藉もの! 大人しくその子を離すのよ!」赤い着物&ペンで書いた十字傷&模造刀装備
愛「お台場警察24時だね」黒い羽織装束&黒い模造刀装備
ランジュ「なんでアニメに出てきそうなコスプレしてるのよ二人とも」
あなた「出たな、チンピラ警察24時!」
せつ菜「おらぁ! こっちには人質がいるんだぞ、大人しくしやがれ!」
彼方「大人しく道を開けろ、人質殺されたくなかったらな!」
果林「人質とは卑怯ね」
愛「うーん、こりゃ手が出せないねぇ」
しずく「ラぁーっ! 助けてぇ!」
ランジュ「少しは妨害しなさいよ! てか、しずくはやめなさい、似てない!」
「ウーウーウーウー」←サイレンのつもり
ミア「そこの三人組止まりなさーい。公道で武器を振り回してはいけませーん」王子様的なテニスユニフォーム
ランジュ「ミアまでなにやってんのよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
あなた「おおっと、そういう訳にはいかねぇなぁ!」
彼方「虹ヶ咲学園を守るために致し方無い事なのさ」
せつ菜「チンピラ警察24時は引っ込め」
ミア「はーい、公務執行妨害。おまわりさんの心を傷つけたー」バズーカ装備
ランジュ「ちょっ!? ミア、そのバズーカなんで後ろ向きに構えてるのよ!! こっちに向いてるでしょうが!!」
ボーン
ランジュ「なにこれぇ……」クリームだらけ
愛「ミア、ミア。パイ投げ用パイ発射バズーカが逆だよ」
ミア「あれ? 気付かなかった」
しずく「ミアーっ! 助けてラーッ!」
ミア「ランジュ! 今助けるよ!」バズーカ二本目
ランジュ「だからなんでバズーカ構えるのよ! あと私! 本物私!」
ボーン
ランジュ「そしてなんでまた逆に向けてんのよ…!」
ミア「大変だ、果林、愛。バズーカが品切れだ」
果林「なんてこと。こうなったら白兵戦よ、けど敵は手強いわ」
愛「頑張ろう、そうしよう」
「ミアの危機、助太刀」
ミア「璃奈!」
愛「りなりー!」
璃奈「とうっ」千年パズルを首から下げたノースリーブ
璃奈「冥界からの使者、天王寺璃奈」
しずく「璃奈! 助けてラー! ついでにこの入部届にもサインするのラーっ!」
璃奈「大丈夫、ランジュさん。ミアは助ける。ミアは」
ランジュ「いや、ランジュは!? というか、誰か助けてぇ……」
ランジュ「あと、私はここよランジュはここ!」
果林「あら、ミア。バズーカを二発とも誤射しちゃってるわよ」
愛「するとこの…あれ?」
愛「えーと…整理しようか」
あなた「そうだね」
あなた「まず、スクールアイドル部の人が、果林さん、愛ちゃん。ミアちゃんと…そこで彼方さんとせつ菜ちゃんが抱えてるランジュさん」
ランジュ「ちょっとぉっ! ランジュは私よ! それはしずくでしょ!?」
しずく「いーや、ランジュこそ本物ラ! その証拠はこの衣装ラ!」
ミア「確かに本物のランジュだね、ボクが言うから間違いないよ」
ランジュ「よく見たらその衣装本当にランジュのじゃない! 微妙にしずくだとサイズあってない!」
あなた「で、同好会のメンバーが私と、彼方さんと、せつ菜ちゃんと、璃奈ちゃん」
彼方「間違いないね」
あなた「…って、事はえーと…君、誰?」
あなた「ああ、もしかして大串君? あらら、すっかり立派になっちゃって。あの金魚まだでっかくなってるの?」
ランジュ「誰が大串君よ! てか、人をこんなにクリームまみれにさせておいて少しは謝りなさいって!」
あなた「だってミアの誤射だし、私が撃ってないし」
ランジュ「絶対あなたの脚本でしょ、だってあなたこういう自由奔放且つスラップスティックなの大好きでしょ、果林や愛から聞いて知ってるのよ!」
あなた「まあまあ落ち着きなよ。それに、こんな風にもめてたらそろそろ撤収しないとやばいぜ。妖怪制裁ウサギがやってきそうだ」
ランジュ「制裁ウサギって誰よ…あ、わかった。歩夢ね。あなた幼馴染をそんな呼び方しちゃダメでしょうに」
あなた「あっはっは、今を全力で楽しむことも私のモットーの一つだ。2000のモットーを持つ女と呼んでくれ」
せつ菜「五代雄介みたいなものですね」
璃奈「あれ? なにか……」
愛「なに、あれ」
栞子「………」←太陽みたいなトゲトゲ装備&顔の周りをオレンジペイント
エマ「………」←水色の全身タイツ着用&「ぬ」と書かれたハンカチを持っている
歩夢「………」プラカード『なぜなら私は魚雷だから!』を片手に全身紫タイツ
ドドド
あなた「うわぁぁぁぁぁぁあぁ!!!!?」
せつ菜「なにか来ましたよ!?」
果林「とにかく、逃げましょう!」
ミア「璃奈、逃げよう!」
璃奈「うん」
愛「てか、何で三人とも無言!?」
あなた「なんか怖い! すごく怖い!」
ランジュ「なんでランジュまで一緒に逃げてるの!?」
しずく「そんな事より逃げれば無問題ラ」
彼方「ここは一つどっかでバラバラに逃げようか」
歩夢・エマ・栞子「「「…」」」←無言で追跡してくる三人
ドゴン
あなた「いでっ、なんだよなにかにぶつかったぞ!」
ぼごっ ガイン どさどさっ
せつ菜「いたた…人は急に止まれませんよ」
果林「もう、なによこの障害ぶ……」
理事長「……あなた達、私の車にそんなに恨みでもあるのかしら?」ニコニコ
ランジュ「あ、ママ!」
理事長「ランジュも可愛いけどすこーしおいたが過ぎるわね」ニコニコ
ランジュ「」
右月「何の苦行ですか、生徒会長…」ゼェゼェ
栞子「業務です」
左月「もう肩痛いですよ…何個パイを作っては投げればいいんですか…?」
歩夢「もうそろそろいいかな。反省したと思う」
エマ「うん、二人ともありがとう」
右月「は、はい…」
左月「それにしても……」
右月・左月「「あのクリームパイの海に埋もれてあの人たち大丈夫かな…」」
もぞもぞ
あなた「やっと飛んでこなくなったぞ…八個目から先は覚えてないや」
果林「真っ白じゃない…璃奈、大丈夫? 埋もれてるわよ?」
璃奈「せつ菜さんが、守ってくれた。問題ない」
せつ菜「お陰で私も埋もれましたけど」
しずく「ふぅ、ランジュさんは盾にもなりませんね」
ミア「ランジュは逃げ回るから仕方ないさ、しずく」
愛「彼方さん、大丈夫? 何個食べたの?」
彼方「三個が限界だよ、パイが大きいんだ」
ランジュ「うぅ……ひどい目に遭った……」
*後でパイは学園のみんなで食べました
『仁義なきパイ投げ』
理事長「あら、桜坂さん」
しずく「あ、理事長。そういえばランジュさんなんですけどね、少し元気がないようなので…」
理事長「そうね、仕事が忙しいからかしら」
しずく「はい、なので…ひそひそ」
理事長「なるほど、スクールアイドル部の部室のロッカーに隠れてバァするのね。名案だわ」
しずく「ふふっ、善は急げです」
ランジュ「火災予防ウィーク…そんなのもあるのね。日本は色々だわ」フムフム
栞子「ええ。なので、虹ヶ咲学園では、消火器の他、廊下の各所に放水ホースと水道を設置しています」
ランジュ「それにしてもあの白い悪魔はいないわよね?」キョロキョロ
栞子「おや、どうしたのです?」
ランジュ「例のスクールアイドル同好会部長の事よ! ママに怒られたのもそうだけど、先週は部室に入った瞬間にインク入り水風船が飛んできたし、四日前は愛と果林に声かけて何してるかと思えば練習中に窓から新聞が飛んできてインストラクターが『恐怖新聞だ!』って逃げ出すし!」
ランジュ「その前に至っては施設のスタジオをロックバンド同好会とか軽音楽部に解放してたわね…てか、いつの間にランジュの認可スタンプを複製してたのよ、あの子」
栞子「案外協力者でもいたんじゃないですか? 意外と近くに」
ランジュ「昨日だってエマに勧誘に行ったら璃奈とせつ菜を連れて輪ゴムを次々と撃ってくるし…なんで同好会の子たちはあの子に付き合ってるのよ…あんなの今日が楽しければそれでいいやしか考えられない刹那的快楽主義者じゃない。一番スクールアイドルってものも考えてない気がするわ」
栞子「……その真偽は本人のみぞ知る、かも知れませんね」ぼそり
ランジュ「?」
はんぺん「にゃー」
ランジュ「あら…猫ちゃんだわ。かわいい。おいでおいで」
ランジュ「同じ白でもこの子はこんなに可愛いのに…」ナデナデ
ぷすっ
ランジュ「痛ぁ!? な、なにもう…」
あなた「さすがケツ吹き矢、よく効くぜ」
はんぺん「にゃー」たたたっ
ランジュ「またアンタって人はランジュに…許さないわよ!」
あなた「マルセイユ・ルーレット!」逃亡
ランジュ「待ちなさぁぁぁぁい!」
栞子「こんな同好会の危機でも先輩は楽しそうですね……果林さん愛さん相手にもフツーに接しているようですし……」
栞子「かすみさんの事を相談すべきでしょうか…いや」
栞子「私や、愛さん達がかすみさんに裏切者って言われるのは…私の過ちです…」
ランジュ「どこに行ったのかしら、あの白い悪魔。あ、璃奈。しずくも」
璃奈「ん?」はんぺんナデナデ
しずく「あ、ランジュさん」
ランジュ「スクールアイドル同好会の部長見てないかしら?」
しずく「今、そこのスクールアイドル部の部室に入りましたよ」
璃奈「ロッカーが開く音がした」
ランジュ「なるほど、ロッカーに隠れているのね。把握したわ」
ランジュ「そういうことならこっちにも考えがある。そろそろ寒い季節よ、ずぶ濡れになるのは最悪だわ」廊下から放水用ホースを持ってくる
ランジュ「しずく、璃奈。今って言ったら水道全開よ」
しずく「はい、ランジュさん♪」
璃奈「わかった」
ランジュ「こういう時なんて言えばいいのかしら。えーと、年…年…なんだったっけ? まぁ、いいわ。借金払え! 今よ!」
しずく「全開、とな」キュっ
びしゃああああああああ!!!
理事長「ちょっと…ランジュっ! やめなさい!」ずぶ濡れ
ランジュ「えっ!? ママ!? な、なんでロッカーの中に…しずく、璃奈!」
璃奈「璃奈ちゃんボード『大成功』」
しずく「これは一本取られましたね」
あなた「大成功、やったぜ」グッ
ランジュ「あんの性悪白ピクミン~!!!」
理事長「ランジュ、ちょっとママと大事な話しましょう?」ニコニコ
ランジュ「ち、違うのよママ! あいつが! あの白チビが悪いのよ!」
ランジュ「うわあああああん!」ガチ泣き
エマ「うわ、ホースが出しっぱなし」
歩夢「もう、水道も出しっぱなしダメ…って、ランジュさん? なんで泣いてるの?」
ランジュ「同好会の部長が…」グスッ
歩夢「まーた、悪戯したんだね?」
エマ「…溜飲は下がるけど、ランジュちゃんすっかり部長のおもちゃにされてるね…」
歩夢「で、今日はなにがあったの?」
ランジュ「かくかくしかじか…」グスン
歩夢「……」くるっ
あなた「よし、しずくちゃん、璃奈ちゃん逃げるぞ!」
しずく「はいっ」
璃奈「璃奈ちゃんボード『合点承知の助』」
歩夢「逃がさないよ」だだだっ
ある小学校
教師「みなさーん、火事はとても危険です。今日はボランティアのお姉さんたちが私たちで出来る消防活動を実演してくれます」
子供たち「「「「「はーい」」」」」
歩夢(消防服装備)「火事はとても危険。燃え広がる前に消せればそれにこしたことはないね」
エマ(消防服装備)「それは万国共通だね」
しずく「ぼーっ! ぼーっ!」(赤い服着て赤い帽子を被り、火を熱演中)
璃奈「めらめら」(赤い服着て赤い帽子を被り、火を真似っ子中)
あなた「全集中、炎の呼吸!」(赤い服着て赤い帽子をかぶってるけど火を演じる気なし)
歩夢「つまり、この段階で消せれば問題ありません。エマさん、放水」
エマ「うん」
あなた「冷たっ! ちょっと歩夢ちゃん! 水は出さない筈じゃなかった…冷たい冷たいてか水圧痛い!」
しずく「ひゃああああああ!!!!」
璃奈「なんで私まで」
『火災予防は突然に』
栞子「ですからバイク通学は…え?」
果林「あらあら」
愛「まーたやってるね、しおってぃー」
ランジュ「どういうこと?」
果林「部長はバイクを乗り回してるから、時々それで学校来るのよ」
愛「金曜日の放課後ですらバイク帰宅なんだねぇ」
ランジュ「本当に刹那的快楽主義者なのね、あの子…栞子? どうしたの?」
栞子「今、部長の背中に乗ってたの…理事長のようだったのですが」
ランジュ「へ?」
理事長「いいお湯だったわねぇ。東京から近い距離でこんな所があるなんて」
あなた「喜んでいただけて、何より」
あなた(息抜きは大事である。どんな時でも)
あなた「今日はサングラスに文句言わないんですね」
理事長「あら、ここは学校の外よ。それは野暮だわ」
あなた「ははっ、そりゃどうも」
あなた(新しいジャケットを披露したかったのと、バイクを磨いていたら理事長に発見されたので、せっかくだから日帰りで温泉に出かける事にした)
理事長「あ、肉巻きおにぎり」
あなた「いいですね、甘辛で。この辺りは豚が有名なんでしたっけ?」
理事長「そうそう。あら、とんとろ串も……ビールが欲しくなるわ」
あなた「飲んでもいいと思いますよ、学校の外ですし」
理事長「ダメよ、あなたの運転で帰るんだから」
あなた「なるほど」
理事長「折角ですし、二つずつ買ってきましょう! あ、焼き鳥発見!」
あなた「ぼんじりと皮、つくね、ねぎまを二本。塩で欲しいですね」
理事長「あら、趣味がおじさん」
あなた「よく合いますから。炭酸な飲み物にですよ?」
理事長「こら」
あなた「あだっ」
あなた「もう……こういう所に連れてくるのはとっておきなんですよ、とっておき。一人で行くのも楽しいですけど、背中に乗せての女子旅というのはいいものですって」
理事長「ふふっ、そうしてくれると嬉しいわね」
「あらあら」
あなた「……こ、この声は…」
音ノ木坂理事長(以下、ことりママ)「そのとっておきは確か前に私を連れてきたんじゃなかったかしら? もちろん、ご自慢のバイクに乗って」
あなた「……」ダラダラ
理事長「初めまして、現彼女です」
ことりママ「初めまして、ご丁寧に。前々彼女です」
あなた「そこは前彼女とは言わないんですね」
ことりママ「雪穂ちゃんの事はことりから聞いたもの」
あなた「いっ!?」
「へ~…ほー…お母さんとも来てたんだ…へー…」
あなた「や、やばい…」
「そうだねぇ、海未ちゃん、聞いた?」
「これは一つ制裁を加えましょうか」
ことり「うん!」
穂乃果「さあ、覚悟しようか」
海未「少しは反省というものを知るべきですね」
あなた「冗談じゃない! マルセイユ・ルーレット!」逃亡
穂乃果「逃がさないよ! 雪穂だけに飽き足らず色々な人とデートするなんて!」
ことり「そうだねぇ、ことりのおやつになって反省してもらうよ!」
海未「言い訳無用です!」
あなた「てか、なんでことりちゃん達ここにいるのさ!?」
「それはここにある小学校での出張ライブの帰りよ」
あなた「あ、にこさん…ってμ’sのみんないるし!?」
凛「せっかくだから部長さんのお仕置き、面白そうだにゃ」
あなた「そんな折角だから赤の扉を選ぶぜみたいなノリは勘弁だよ、凛ちゃん!」
絵里「いえ、あなたは反省が必要ね。亜里沙に手を出したら北極海に沈んでもらうわよ」
あなた「絵里さんが一番怖いっ!」ダダダッ
ことりママ「本当に誰とでも仲良くなる子ねぇ」
理事長「そういう子よ。うちの子とも、もうすっかり打ち解けて…」
ことりママ「そのようね、たまに噂はこちらにも」
理事長「時々危うさがあるけれど…」
ことりママ「…確かに」
『佳人薄命について』
かすみ「……うくっ…はぁっ…はぁっ……」
あなた(荒い息を付きながら、その注射器を首元から離したかすみちゃんは、ゆっくりと壁に寄り掛かる)
あなた(手を貸す事だけは、かすみちゃんは嫌がった。それはかすみちゃんのプライドなのだ。ぼくと同じ時に死ねないかすみちゃん自身が縛った鎖か、または二か月という時間離れていた間に、開いてしまった距離か)
かすみ「先輩…すみません、せっかくのデートなのに……」
あなた「いいんだ。それより、もう少し休んでいこう」
かすみ「はい…そしたら、この痛いのも…治まり、ますから……」
あなた(涙を目に一杯溜めながら、少し悪くなった顔色でも、振り絞る力。燃え上がる、生きるという炎)
あなた(だから知っていて欲しいのだ。きみと同じように振り絞って煌々と明るく燃えた、きみが知らない炎の話を)
かすみ「すごい色遣いだ……鮮やかで、とても力いっぱい」
あなた「かすみちゃんが気に入ってくれて、良かった」
かすみ「このひまわりの絵、すごいですよ。草原の中に一本だけなのに、全部にきちんと色があって、ひまわりなんか特に」
あなた「ああ、この絵の実物すごいな。初めて見るや。画集なんかと全然違う」
かすみ「ところで、どんな画家さんなんです?」
あなた「今年の春にカフカ・ぺチャック症候群で亡くなった子だよ。13歳でね。彼女の絵が、とても好きなんだ」
かすみ「そんなニュースを見たような見てないような…あれ?」
あなた「ん?」
かすみ「薫子さん、ですよね…」
薫子「公開すべきじゃない」
支配人「しかし……」
薫子「故人がそうすべきじゃないと思ってる」
ランジュ「でも、最期の作品なのよ。あの子の…あの子が、ベッドから這い出て…」
薫子「それでも、これは見せるべきじゃない」
かすみ「うわ、ランジュだ。なんでここに?」
あなた「この画家は……ランジュさんの従妹なんだよ」
かすみ「え?」
かすみ「ホントだ…写真も、確かに面影、ありますね…」
あなた「大好きな絵を描き続けたくて、それで死に物狂いで絵を描いて、こうして世界中の人たちが褒める位の輝きを残していった」
あなた「…そういう、輝きを残していったんだ。その行き先は、安らぎある楽園であるべきなんだ」
かすみ「先輩……かすみんは、そんな輝きを」
あなた「スクールアイドル、中須かすみの輝きは誰もが知ってるさ。世界で一番かわいいかすみんってね」
あなた「そしてまだまだ、これからも輝かなくちゃ」
薫子「公開すべきじゃないんだ。あの子の為にも」
ランジュ「見てもらわなきゃ! あの子の最期の最後なのよ、それを伝えなきゃ…」
薫子「本当にあの子の意志がわかるなら、公開すべきじゃない」
あなた「…穏やかじゃないな」
ランジュ「げ、性悪白ピクミン。なんでこんな所に…」
あなた「おや、彼女の絵のファンだからに決まってるだろ」
ランジュ「かすみ、こんなのに付き合ってたらダメよ。ついでに入部届にサインを…」
薫子「おい、部長。覗き見しようとするんじゃない」
あなた「ちょっとだけでもダメー?」
薫子「ダメ」
あなた「そこをなんとか」
薫子「NO」
あなた「お礼にサングラスコレクションから好きなのあげますから」
薫子「ダメと言ったらダメだ。欲しいのは幾つかあるけど」
ランジュ「そんなに見たいなら…見せてあげるわよ。ちょっとだけカーテンめくるから」
薫子「ランジュ!」
ランジュ「…ファンなら、どう?」
あなた「……なるほど」
あなた「薫子さん、ごめん」
あなた「薫子さんの言う通りだった。見るべきじゃないものを見てしまった」
薫子「君のそれを聞いて安心した。ランジュ、これは公開すべきじゃない。引っ込めるんだ」
ランジュ「………わかったわ」
ランジュ「かすみ、いつでも部室で待ってるわ。無問題ラ、あなたならもっと輝ける!」
かすみ「…行きましょう、先輩」
あなた「ああ」
喫茶店
かすみ「すいません、また発作出ちゃって…」
あなた「気にしなくていいよ、かすみちゃん。すいませーん、注文を」
かのん「はーい……あれ? もしかして…」
あなた「そうそう。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、スクールアイドルの中須かすみちゃんだよ」
あなた「かすみちゃん、この子は澁谷かのんちゃん。結ヶ丘女子のスクールアイドル、Liella!のメンバーで歌を歌うのがすごく上手い」
かすみ「初めまして、かすみんですっ」
あなた(やはり、かすみちゃんはすぐに笑顔になった)
かのん「初めまして。あ、注文だよね」
あなた「カフェラテを二つ貰おう」
かすみ「先輩、この子とどうやって…まさかまたナンパを」
あなた「たまたま、だよ。たまたま」
かのん「でもすみれちゃんナンパしてたの知ってますからね、私」
あなた「な、なんで知ってるんだ!?」
かのん「すみれちゃんから聞いたので」
かすみ「へぇー、先輩どんな口説きを?」
かのん「『君、スクールアイドルに興味ない? ライブ一緒に見に行きませんか?』だって」
あなた「その後、Liella!のライブに逆に連れてってもらったよ」
かすみ「見たい! 先輩、かすみん、Liella!の皆のライブみたいですよー」
かのん「私たちは一緒にステージに立ちたいかな」
かすみ「虹ヶ咲の皆と…うん!」グスッ
あなた「ああ、そうだね」
あなた「その日を、楽しみにしよう」
かのん「あのね、私たちこんな感じに…」
かすみ「うんうん。かすみん達はこうして…」
あなた「………ライブ、か……」
『光の届かない場所を覗いた日のこと』
スクールアイドル部 部室
ランジュ「あっ! 虹ヶ咲暴走モルカー! 今度は何を企んでいるのかしら!?」
ランジュ(部室の扉を開けた瞬間、脚立に乗って何かをしている同好会の部長である。昨日に引き続いて癇癪玉とねずみ花火はゴメンだ)
あなた「出たな! 妖怪井戸カエル魔王!」
ランジュ「どんな言い草よ! さっさと出なさい!」
あなた「やなこった」
ランジュ「もーっ! あっ」
ランジュ(彼女のタチの悪さは予想外の所に置かれた罠だ。私が突っ込んでくるのを予想していたのか、入ってすぐの所にロープが張ってあり、それに引っかかって私は転んでしまう――――――転んだ先にきちんとマットが敷いてあるのは良いが、だが)
ランジュ(伸ばしていた手が彼女の乗っていた脚立に当たり、そして)
ガタッ ドタッ バターン
あなた「いつつ…畜生、なんてこった」
ミア「すごい音がしたけど、どうし…って大丈夫かい!? きゅ、救急箱!」
あなた「折れたわけじゃないし、ミアは大げさだなぁ」
ミア「大げさじゃない! すごい青くなってるし手首だよ手首!? ベイビーちゃん、もう少し自分の身を大事にするんだよ!」
ランジュ(ふと見ると、彼女の手首は青くなっていた。ミアはすぐに救急箱を探し出すが)
ミア「クソ! なんでペインキラーが入っていないんだ!」
あなた「ミア、アメリカと日本は薬の法律というものがだね…」
ミア「ベイビーちゃんになにかあったら璃奈に言い訳できない!」
ランジュ「ほら、ミア。救急箱貸しなさい。あなたは手を出して」
ランジュ(言われたとおりに彼女はおとなしく手を出した。確かにこれは明らかに痛そうだ)
ランジュ(湿布をはり、包帯でテーピングを施していく。驚くほど手が細い)
あなた「お見事。流石だね、ランジュさん」
ミア「うまいもんだねぇ」
ランジュ「身体の弱い従妹が昔よく怪我をしてたから覚えただけよ」
あなた「…なるほど」
ランジュ(何故その時、彼女の顔が曇ったのか分からなかった。その時、サングラスが床に落ちているなと)
あなた「おっと」
ランジュ(いつの間にかサングラスを拾って目に着けた。ただし、今テーピングしたばかりの手で)
あなた「痛い…」
ランジュ「当たり前でしょ! しばらく安静にしないとだめよ!」
ぐぅ
あなた「おやおや」
ミア「……」
ランジュ「ミア、またご飯抜いてたのね。ちゃんと食べないと…」
あなた「そういう事なら二人にごちそうをしよう」
ランジュ「ごちそうって、あのね…」
ガチャリ
彼方「やっほー」
エマ「元は私たちの部室だけどいいのかなっ…ってランジュちゃん。部長さん、どうしたのその手!?」
ランジュ「悪戯しようとして脚立から落ちたのよ」
ミア「ベイビーちゃんに万が一があったら璃奈に顔向けできない!」
あなた「ミアは大げさだよ。彼方さん、例の物は?」
彼方「もちろん。まあ、折角五人だし、それで食べようか」
あなた「ミアがお腹ペコペコみたいでね」
彼方「はいはい。部長さん、コンロは?」
あなた「はい、バーベキュー用大型コンロ―」
ランジュ「部の備品…」
彼方「やかん二つー、フライパンひとーつ」
あなた「丼は…まあ、これでいいや、うん」
彼方「ピーマンを切ります。勇気を出してみじん切りまではしなくていいね」
あなた「ツナ缶を…あけれない」
エマ「しょうがないなぁ…」
彼方「ありがとう。さてさて、ピーマンを炒めてー」
あなた「お湯が沸いたので、ランジュさん。丼にこいつを頼む」つチキンラーメン
ランジュ「え、ええ」
ミア「これは確か…璃奈とベイビーちゃんが話してたチキンラーメン、だっけ」
あなた「璃奈ちゃんと話してたら食べたくなってね。せっかくだからミアに食べさせたかったのさ」
ランジュ「いつの間にミアと仲良くなってる…」
ミア「そりゃそうさ。ボクの師匠みたいなものだからね」
彼方「師匠?」
エマ「師匠?」
ランジュ「師匠? 師匠って先生って意味よね。ミアが、じゃなくて?」
ミア「うん。ベイビーちゃんさぁ…」
あなた「おっとミア。秘密の話はそこまでだ。沸いたお湯をどんぶりに入れる役目を授けよう」
ミア「はーい。あちち…」
あなた「そして卵を贅沢に二つ割り入れるのだ。この役目はエマさんにあげるね」
エマ「う、うん。こんな感じ?」
彼方「そうそう。そして火を通したピーマンとツナをあえて…」
あなた「三分間、待つのだぞ」
三分後
彼方「ピーマンとツナの和え物を載せて、と。はいっ」
あなた「見事なチキンラーメンだ。さて、頂きます」
ランジュ「あ、うん。いただきます…おいしい!」
エマ「ホントだ。ピーマンとツナからもおいしさが出てる!」
ミア「うまいっ! 野菜ってこんなに美味いんだ!」
あなた「ふふふ、ミアに楽しんでもらえたなら何より」
彼方「ところで、ミアの師匠ってなにさ」
ミア「ボク、ベイビーちゃんに弟子入りしたんだよ」
ランジュ「逆じゃなくて?」
ミア「んな訳あるか。ベイビーちゃん、間違いなく世界クラスだ。パパがスカウトしてもおかしくないよ」
あなた「もうされた」
ミア「え」
あなた「留学中にね。でも日本でやることあるからって断って帰ってきたんだよねー。てへぺろ」
ミア「いやてへぺろじゃないって!?」
ずるずる
ランジュ「…おいし」
彼方「あの子は、あったかい子だからね」
ランジュ「え」
彼方「本当に、ね」
『お腹が空いたので』
ランジュ「仕掛けておいた紙が落ちている…と、いうことはあの白チビ、また部室に不法侵入したわね!」プンスカ
愛「白チビって酷いあだ名だね」
果林「無理もないわね。この前も廊下でランジュに獅子舞がタックルしてたけど、どう見ても部長とせつ菜と彼方だったもの」
果林「後はこの前せつ菜と璃奈を連れて輪ゴム鉄砲ガトリング作ってたわね」
愛「そういえば一昨日は部長とせっつーに誘われて折り紙手裏剣たくさん作ったけど、どうするんだろうね?」
果林「それは昨日だわ。ダンスのレッスン直後に忍者になったあの子とせつ菜としずくと璃奈が襲撃してきたのよ。もー、インストラクターの皆さん大混乱よ。その様子がもうおかしくっておかしくって。途中でミアも一緒に混じって手裏剣投げてたぐらいよ」
愛「うわ、愛さんお店の手伝いなければ混じりたかった!」
果林「私と栞子も一緒に遊んでたら、そこへ顔を白塗りした歩夢が模造刀手に現れてまとめて逃げ回る羽目になったわ」
愛「部長さん、ランジュさんが来てからめっちゃ楽しそうだよね。実際楽しいけど」
果林「すごくわかるわ」
ランジュ「愛、果林。先入って怪しいのがないか見てきて」
愛「はいはーい」
果林「どれどれ」ガチャリ
果林「なにもないわね」
愛「なにもないね」
ランジュ「本当に?」
果林「ええ、本当よ」
愛「本当になにもないね」
ランジュ「それなら…」
ランジュ「って本当になにもないじゃない!!! 部室がからっぽ!?」
ランジュ「あんの最終鬼畜ハツカネズミ~! 今日という今日は汚名挽回ラ!」
栞子「汚名を挽回してどうするんです…騒がしいですよ、ランジュ。生徒会室まで聞こえましたよ」
ランジュ「栞子! 部室の中身が!」
栞子「ああ、だから生徒会室に荷物が届いたんですね」
ランジュ「?」
栞子「生徒会室に拾得物として荷物が山ほどきたんですが…道理で見覚えのある中身だったんですね」
ランジュ「もーっ! 今日こそとっちめてやるんラ!」
栞子「監視委員会に同好会の活動を妨害させてるから、やる事ないんじゃないですか? 監視委員会を廃止すれば練習するかも知れませんよ」
ミア「なんとなくわかる気はするけどね…ランジュ、こっちまで聞こえてる。うるさい」ガチャリ
ランジュ「むきーっ! 同好会のアジトに行ってやる!」
ドタドタ
ランジュ「今日という今日は許さないわよ! 人の部室に侵入して!」
彼方「ニーハオ。私、成都のカナタ・チャンあるよ」中華服装備
璃奈「……」←ライブ用璃奈ちゃんボードにゴ〇ゴ13の顔を映している
彼方「そしてこっちは伝説のゲーマー、リナリー13」
璃奈「用件を聞こう」
ランジュ「いや、あんた達なにやってんのよ。てか、同好会の部長どこに行ったか知らない?」
璃奈「依頼を果たすのは私にゲームで勝ってからだ」
ランジュ「なんか嫌な予感がするけどいいわ、受けて立つわよ。果林、愛、栞子、ミア。一緒に」
璃奈「マスター、ゲームの方を」
彼方「おまかせーある」ゴソゴソ
栞子「ボードゲーム?」
彼方「堕天使ヨハネの地獄生活ゲーム。難易度は高いあるよ」
彼方「ルールは人生ゲームのようなものあるね」
果林「なるほどね。わかったわ」
愛「よーし、それじゃ愛さんはオレンジで、果林が青で、りなりーは白。しおってぃーは緑、ランジュさんは赤でミアは黄色だね」
栞子「人生ゲームの割にはルーレットがついてないようですが」
彼方「ここに最新型のルーレットタブレットコントローラ。タッチして回すある。六人分あるあるよ」
ランジュ「彼方のその喋り方、まるで似合わないわね。じゃあ、順番は愛、果林、璃奈、栞子、ランジュ、ミアの順番ね」
彼方「プレイヤーはそれぞれ初期の所持金として十万リリー貰えるある」
栞子「リリーって単位だったんですか?」
彼方「ちなみにマイナスになると借金生活になるある」
愛「それじゃ、愛さんからね。行くよー」ぽん
愛「えーと、6だね。6マス進むと…」
『散歩中にしずくまに襲われ、メロン畑に逃亡。逃げ切れたがメロン畑が台無し、三十万リリーのお支払い』
愛「いきなり借金…」
果林「頑張りなさい、愛。私は……3、まあまあね。3マスっと」
『キャプテン曜にカキをもらって食べたが、大当たり。二回休み』
果林「二回休みって…」
璃奈「私の番。むんっ…15」
ランジュ「え? 15? このルーレット10までしかないように見えるんだけど」
璃奈「一万リリーを支払うと、ルーレットの数字に10を足すことが出来る」
璃奈「15マスっと」
『サイボーグPKエリーチカに襲われた! 五万支払うか一回休んで次のプレイヤーに五万負担してもらうかを選ぼう』
璃奈「一回休んで次のプレイヤー、すなわち栞子に五万支払ってもらう」
栞子「始まる前から資産が減りました…」
栞子「ふむふむ…一万リリーを支払うごとにルーレットの数字に10プラス、ですね。では、残り五万リリーを全て支払うので50を足してもらいましょう」
栞子「さあ、回れ回れルーレット! 55ですね、55マスっと……」
『職業マス:総統に就任。給料200万リリーが給料日マスに入ってくるぞ! 総統は他のプレイヤーに命令を下すことが出来る職業だ!』
栞子「総統ですか…総統になるのは初めてです…」
彼方「ぽちっとな」
ランジュ「なにかしら、この軍歌風な曲?」
栞子「私が地獄の総統、三船栞子です!」
ガラっ
あなた・せつ菜・しずく・璃奈「「「「総統! 総統! 総統!」」」」
栞子「みなさん! 地獄で一番偉いのは?」
あなた・せつ菜・しずく・璃奈「「「「しおりん! しおりん! しおりん総統!」」」」
栞子「そうです、私がしおりん総統です!」
あなた・せつ菜・しずく・璃奈「「「「しおりん! しおりん! しおりん総統!」」」」
栞子「逆らう相手に?」
あなた「廃部宣告!」
栞子「そうでなければ?」
せつ菜「停学通知!」
栞子「そんな私は?」
しずく「生徒会長!」
栞子「学校で一番?」
璃奈「偉いぜ総統!」
あなた・せつ菜・しずく・璃奈・彼方・果林・愛・ミア「「「「「「「「しおりん! しおりん! しおりん総統!」」」」」」」」
ランジュ「あんた達までなんで加わってるのよ! てかうるさい!」
栞子「スクールアイドル部は廃部にします!」
ランジュ「ぬわぁんでよっ!!!!」
ランジュ「てか、とうとう見付けたわよ最終鬼畜ハツカネズミ! 覚悟なさい!」
あなた「マルセイユ・ルーレット!」ひょいっ
ランジュ「あ! 後ろに!」
あなた「からのホック外し!」ぷつっ
ランジュ「きゃあ!!!!!!!」赤面
あなた「あーんど、わしわしMAX!」わしわしMAX
ランジュ「いやああああああああああああああ!!! やめっ、ちょっ、やめなさっ…ぁんっ…」
せつ菜「うーん、えちえちですね」
愛「学園の風紀が乱れるね、みだらなランジュさんのお陰で。みだれてるだけに…ぷくくっ」
しずく「これは…逸材ですね、やらしい系スクールアイドルでしょうか」
栞子「ランジュにはやらしさの適性があります」キリッ
果林「部長、ランジュをわしわしMAXした感想は?」
あなた「ご立派ぁ!」
璃奈「そんなにすごいの」
ミア「ランジュはすごいよ、ほら」ふにふに
璃奈「おお、これは…」ふにふに
ランジュ「ミアも璃奈もやめなさっ…まだ下着直してなっ…許さないわよ!」
あなた「バイバイさよならまーたーねー!」ぴゅーん
ランジュ「もーっ! もーっ!」顔真っ赤
ランジュ「ぜぇぜぇ…」よいしょよいしょ
ランジュ「生徒会室と何往復したのよ…やっと全部運び終わったわ…皆も手伝ってくれてありがとう」
せつ菜「いえいえ、運び出したのをまた元に戻すだけですし」
エマ「せつ菜ちゃん、運び出すのもやったんだね?」
璃奈「愛さん達と一緒、問題、ない」
愛「そうそう。どこにどこを入れれば把握できるからね」
ランジュ「」ずるっ
歩夢「まったく、あの子は…」
ランジュ「あの最終鬼畜ハツカネズミどこに逃げたのかしら?」
歩夢「今朝バイクのカギは隠したから逃げ足は速くないと思うよ」
カチャカチャ ガチャリ
愛「おー、部長さん、どうしたのさ?」
あなた「愛ちゃん、工具箱見てない? 工具箱?」
愛「そこの棚だよー」
あなた「いやー、ハンターカブのキー隠されちゃって…だから、今日はサブのクロスカブ50で来たんだけど」
歩夢「なんでいつの間に二台目のバイクも持ってるのあの子は…!」
エマ「まあまあ」
あなた「あんまり乗ってないからすねちゃったみたいでね。少し直さないと」
愛「あ、手伝うよー」
果林「原付よね? ちょっと見てみたいわ」
璃奈「私も、手伝う」
彼方「原付かぁ、興味あるなぁ」
ランジュ「…ちょっと? その工具箱スクールアイドル部の備品よね!? てか、なんでナチュラルに鍵開けて入ってきてるのあの子!?」
ゾロゾロ
ランジュ「最早突っ込みどころが追い付かない…」ぜぇぜぇ
ランジュ「本当に手伝ってくれてありがとう」
エマ「…え、あ、うん。頼まれたから」
エマ(なんでだろう、部長に振り回されるランジュちゃん)
エマ(普通の女の子みたいに見える)
璃奈「もう少し、手入れしないと」
あなた「あちゃー…そっか」
璃奈「こっちのパーツを変えよう」
璃奈「そういえば、あのボードゲーム、テストプレイでもなかなか面白かった」
あなた「それはなによりだ。共同考案者のルビィちゃんと花丸ちゃんにも伝えておくよ。次はμ’sやAqoursも誘ってやろう」
果林「…彼方」
彼方「んー?」
果林「かすみ、どうしてるかしら?」
彼方「ゲリラライブも練習も一生懸命だねー」
果林「……部の部室からもの運ぶときもそうだったけど。あの子、私にも愛にも、栞子にも…ずっと裏切者って呼んでた。でも」
彼方「でも?」
果林「あの子、裏切者って言う度に。目を合わせないで、本当はそんな事を思ってなくてすまなそうな目をしてるのよ」
彼方「……」
果林「部長は、かすみはデリケートな所があるからって言ってたけど」
彼方「かすみちゃんは、プライドが高いからね。にこちゃんみたいにさ」
愛「…それは、愛さんも思ってた。なんだろう、何か不安になるよ……まるで」
愛「わざと私たちに嫌われる事言ってるようで」
あなた「……」
あなた「シンデレラの魔法は、十二時の鐘が鳴り響くまでだ」
『地獄の総統へ挨拶しに、チャリで来た』
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