果穂「見たことないヒーローがいます!!!!」 (58)

 始まりはほんの些細な摩美々の悪戯だった。

『プロデューサーの机に置いてある資料用のDVDをエッチなものに代えてやろう』

 そんないつも通りの可愛らしい悪戯だった。いつも通りではなかったところといえば、いつもならばすぐに事務所に戻ってくるはずのプロデューサーが、渋滞に巻き込まれ帰るのが遅くなってしまったこと。そして、もう一つ、摩美々が資料用だと思ったDVDは、プロデューサーが果穂と約束をして、貸してあげる予定だったヒーロー特撮シリーズのものだったということだ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1618649681

P『果穂、すまん、帰るのに少し時間がかかりそうだ。もしも先に事務所についてたら約束のDVDは俺の机の上にあるから、持っていっていいぞ』

果穂「りょ、う、か、い、で、す…あ、り、が、と、う、ご、ざ、い、ま、す…っと…」

果穂「えーっと、プロデューサーさんの机の上にあるDVD…あった!これかな?」

ガチャッ

智代子「おはようー!」

樹里「おは…って、果穂?」

夏葉「その…手に持っているのは…」

凛世「…なにで、ございましょうか?」

果穂「えーっと、『スパンデクサー5』って書いてあります!!!」

https://www.dmm.co.jp/digital/videoa/-/detail/=/cid=h_173ghko00036/

智代子(AVだ!?)

樹里(AVじゃねぇか!?)

夏葉(…AVね)

凛世(アダルトビデオ…というものでしょうか…)

果穂「私、ヒーローには詳しいつもりだったんですけど!!!この作品は今まで知りませんでした!!!」

智代子(知ってたら大問題だよ!!)

果穂「でも、女の人が一人で戦ってる作品なんて初めて見ました!!!」

樹里(そりゃ男がそんなことされてるの見てもな…)

凛世(いえ、それはそれで需要があるのやも…)

果穂「早速見ましょう!!!皆さんも見ますか?」

樹里「え!?」

凛世「そ、それは…」

果穂「あっ…す、すいません…そうですよね、皆さんも私も、今日はレッスンでした…」

夏葉「い、いや、ちちち違うのよ!?」

夏葉(ダメ!果穂が悲しんでいる!)

智代子「うん!本当はその…私たちも…見たいんだけど…」

樹里「あ、あぁ…その、うん…」

果穂「どうしたんですか?みなさん、なんだか様子が…」

凛世「いえ、なんでもございません…」

樹里(どうすんだよこの状況!?)

凛世(見なければ果穂さんを悲しませる…)

夏葉(かと言って見せるわけには絶対に…)

智代子「わ、私、プロデューサーさん探してくる!」

果穂「え?」

智代子「ちょ、ちょっと用事がプロデューサーさんに用事があるんだ!だから、それからでもいいかな?」

樹里(ナイスだチョコ!その理由なら時間稼ぎができる!)

果穂「あ、はい!!!確かにプロデューサーさんとも一緒に見たいです!!!」

夏葉(そんなことしたら捕まるわよ!?)

智代子「そ、それじゃあ私探してくるから!」

智代子(とにかくプロデューサーさんを探して何とかしなきゃ…後は頼んだよ…みんな!)

果穂「はい!いってらっしゃい!!!!」

凛世(…これで少しは時間稼ぎができましたが)

果穂「ふんふふ~ん♪楽しみです!『スパンデクサー5』」

夏葉(ダメね…このまま果穂が興味を持ったままだと、どのみち『見せない』となった時に落ち込むことに…)

果穂「5ってことは、前作が4つあるんですかね?それともジャスティスVみたいに5人組なんでしょうか!?」

樹里「さ、さぁな…まぁそれは見てからのお楽しみにすればいいじゃねぇか」

夏葉(あ、バカ!?)

果穂「はい!!!!とっても楽しみです!!!!」

樹里「あっ…」

樹里(やっちまったぁぁぁぁあ!?)

凛世(下手に喋っていると、果穂さんの期待を煽ってしまう…)

樹里(果穂が楽しみにすればするほど、見れない時のダメージが多くなっちまう…)

夏葉(こんなの…どうすれば…)

果穂「見るのが楽しみですね!!!凛世さんも一緒に見ましょうね!!!」

凛世「…それは…叶いません」

果穂「…え?」

夏葉「ちょっ!?」

樹里「おい、凛世!?」

凛世「…どこかでは言わなくてはなりません」

果穂「な、なんでですか…もちろん、レッスンが終わった後で…」

凛世「そうではなく…果穂さんはこのDVDを見られないのです…」

樹里「…つーか、アタシたちも見れねぇんだ」

果穂「え?ど、どうして…」

夏葉「…R-18…このマークが付いているものは18歳以上の人でないと見れないの」

樹里「アタシは17で、凛世は16。チョコだって17歳だから見れない」

凛世「…果穂さんは」

果穂「…12歳です」

樹里「そういうことだ」

果穂「でも、でも!!どうして18歳以上じゃないと見れないんですか?」

凛世「そ、それは…」

樹里(言えるわけねぇだろ!?『これは特撮じゃなくてエッチな話だから』だなんて…)

夏葉「その…ちょっと衝撃的な映像だからかしら…」

果穂「しょーげきてき?」

夏葉「えぇ、ホラー映画なんかにもよくあるけれど、怪我の描写がリアルだったりすると、怖くなっちゃう子もいるから…」

樹里(ナイスだ夏葉!)

凛世(完璧に誤魔化せました…)

果穂「…」

夏葉「…果穂?」

果穂「あっ、ご、ごめんなさい…そっか…そうだったんだ…私…まだこれ見れないんだ…」

樹里「ぐっ!?」

凛世「こふっ!?」

夏葉「樹里!?凛世!?」

果穂「それなのに…見たい見たいって…わがまま言って…皆さんを困らせて…」

夏葉「ち、違うわよ、果穂!私はあなたにそんな顔をさせたくて言ったんじゃ…」

樹里「そ、そうだよ…」

樹里(やめてくれぇ!心が、心が抉られるぅ!)

果穂「でも…」

凛世「くっ…私は…なんということを…」

凛世(果穂さんをここまで苦しめてしまうとは…)

夏葉(ダメ…このままでは果穂だけでなく全員が…こうなったら…)

夏葉「…いいわ、見せてあげる」

果穂「…え?」

樹里「おい、夏葉!お前何言って…」

夏葉「もちろん、これをそのままじゃないわ。私が一度一人で見て、果穂に見せられるように作り直す」

凛世「はっ…確かに、夏葉さんは唯一18歳を超えております…」

樹里「でも作り直すったって、どうやって…」

夏葉「…私たちで演じるのよ」

樹里「はぁぁぁぁあ!?おま、何言ってるのかわかってんのかよ!?」

夏葉「じゃあそれ以外にあるの?果穂に『スパンデクサー5』を見せる方法が!」

樹里「それは…ねぇけどよ…」

果穂「…見れるんですか?私にも…『スパンデクサー5』が…見れるんですか?」

凛世「果穂さん…」

樹里「ぐっ…そんな顔されたら…やらねぇわけにはいかなくなるなぁ…」

果穂「樹里ちゃん…!」

夏葉「決定ね!」

しばらくして…

夏葉「…何とか台本は出来上がったわ」

樹里「正直こんなことやっていいのかどうかわかんねえけど…」

夏葉「ここまで来たのよ、覚悟を決めなさい」

樹里「あぁ、だが問題は…」

凛世「誰が、どの役をするのか…でございますね」

夏葉(というよりも…)

樹里(この場合主役が一番恥ずかしい目にあうんだよなぁ…)

果穂「はい!!!!」

夏葉「あら、どうしたの?果穂」

果穂「あの!!!私、ヒーロー役は樹里ちゃんがいいと思います!!!」

樹里「どぅぇえ!?」

凛世「それは…何故でしょうか?」

果穂「だってだって!!!樹里ちゃんのイメージカラーは黄色で!この女の人と同じです!!!」

樹里「ま、まあそうだけどよ…」

果穂「それにそれに!!!樹里ちゃんはいっつも優しくてかっこいいです!!!」

樹里「いや、そう言ってくれるのは嬉しいんだけど…」

果穂「あっ…ご、ごめんなさい…私…樹里ちゃんの気持ちも聞かずに…」

樹里「ちょっ!?違う違う!!」

樹里(果穂ぉぉぉお!!その目は卑怯だぞぉぉお!!)

果穂「本当にごめんなさい…でも、樹里ちゃんいっつも…ヒーローごっこなら悪役やってくれて…私にヒーローさせてくれるので…だから…だから…」

夏葉(樹里ぃ!!)

樹里「い、いやぁ!ちょうどやりたいと思ってたんだよ、『スパンデクサー5』」

果穂「ほ、本当ですか!?」

樹里「あぁ、この役だけは誰にも譲らねえぞ?」

樹里(ちくしょぉぉぉお!)

果穂「やったぁぁあ!!!優しくてかっこいい樹里ちゃんが見られます!!!」

樹里「それは…自信ねぇけど…」

夏葉「そうと決まれば早速準備するわよ」

凛世「準備…とは?」

夏葉「最低限の衣装やセットは必要じゃない」

樹里「そこまでやんのかよ、あんまりリアルにやりすぎるとそれはそれで…」

夏葉「甘いわ!やるからには徹底的によ!幸い事務所には過去の仕事で使った衣装や小道具もある程度はあるわ。それを改造して、それでも足りない分は実家に連絡して用意してもらってる」

樹里「台本書きながらそんな手配までしてたのかよ…」

夏葉「さぁ、樹里、この服に着替えて」

樹里「お、おぉ…」

五分後

夏葉「そろそろ着替えられたかしら?」

樹里「いや、着替えはできたんだけどよぉ…」

夏葉「それじゃあ開けるわよ」

樹里「なんでこんなに露出多いんだよ!!」

凛世「それは…致し方ないかと…」

樹里「股のところなんかこんなにキレ上がって…下着はどっちもつけられねぇし…」

果穂「かっこいいぃぃぃぃい!!!樹里ちゃん!!!最高にかっこいいです!!!」

樹里「そ、そうかな?」

果穂「はい!!!やっぱり思った通りでした!!!樹里ちゃんは最高のヒーローです!!!」

樹里「うぅ…」

凛世「果穂さんもこのように言っておりますし」

夏葉「これでいくわよ」

樹里(クソ…他人事だと思って…)

夏葉「それじゃあまずは拷問のシーンからよ」

果穂「ご、ごうもん!?そんなのあるんですか!?」

夏葉「というより、このDVDは全編拷問シーンよ」

樹里(いや、本当にどんなヒーローモノだよ!?)

果穂「こ、怖いです…これが…R-18…」

夏葉「どうする?ここまで来たけど、別にやめておいても…」

果穂「いえ!せっかく皆さんがここまでしてくれたんです!!!私でも見れるように…だから見ます!!!」

夏葉「…わかったわ、私たちも全力でいくわよ!」

凛世「それでは、まず樹里さん、こちらへお乗りくださいませ…」

樹里「ちょっ!?こんなのに乗ったら足が…」

夏葉「いいから、乗る乗る!」

樹里「うわっ!?ちょ、待っ…ひぁ?」

夏葉「ちょっ!?変な声出さないでよ…」

樹里「だっ、だって…こ、こんなの…」

凛世「それに加えて…首輪に…手錠…」

樹里「お、おい!何もそこまでしなくたって…」

凛世「安心してください、最後に…目隠しを…」

樹里「うわぁ!?な、何にも見えねぇ…」

凛世「それでは…参りましょう」

夏葉「まずはローションを塗るわ」

果穂「どうしてですか?」

夏葉「このローションの成分と、首輪に埋め込まれた金属がヒーローである樹里の力を奪うからよ」

果穂「な、なんというピンチ…」

樹里「おい!今何がどうなってんだ!?目隠ししてるからわかんねぇ…」

凛世「それでは…参ります…」ヌルッ

樹里「ひぁぁぁあ?」

果穂「樹里ちゃん!?」

樹里「ちょっ?あっ?どこ?触って…」

凛世「しかし、台本にはそのように…」ヌルヌル

樹里「ひぁ?そんな?汚いところ?」

夏葉「大丈夫、果穂からは見えていないわ」ヌルヌル

樹里「ひぃう?そ、そういう問題じゃ?あっ?」

果穂「樹里ちゃん!!負けないでください!!」

夏葉「ほらほら、果穂が見てるわよ?」ヌルヌル

樹里「そ?そういうこと?あっ?言うな?あっ?」

凛世「樹里さん…あまりその…我慢しなければ…」ヌルヌル

樹里「な?んだよぉ?」

凛世「…胸の辺りが…透けておりますゆえ」コソッ

樹里「なっ?」

夏葉「ちょっと!たってるのどうにかならないの!?」ヒソヒソ

樹里「無茶言うな…ひぃん?お?お前らが…あっん?さわ、るから…んっ?」

凛世「声も抑えなければ…果穂さんが…見ていますゆえ…」

樹里「おまっ?それわざとじゃ…ぁぁぁあ?」

果穂「樹里ちゃん!?大丈夫ですか!?」

樹里「あ、あぁ、し、心配…んっ?すんな…」

樹里(見るなぁぁぁあ!果穂頼むから見ないでくれぇぇぇえ!)

夏葉「くっ…誤算だったわね…まさか樹里にマゾっ気があったなんて…」ヒソヒソ

樹里「おい!妙なこと言ってんじゃ…ぁあん?」

凛世「しかし、果穂さんに見られて興奮しているのでは?」ヒソヒソ

樹里「し、してねぇよ!」

果穂「樹里ちゃん…」

夏葉「いけない…これ以上は怪しまれるわ、次のシーンに移行するわよ…」ヒソヒソ

樹里「次って…」

夏葉「ふん!強情ね、樹里、でも…この鞭には耐えられるかしら?」

樹里「おまっ!?ま、まさか…」

夏葉「ふん!」ビシッ

樹里「いってぇ!?おまっ、マジの鞭持ってきてんのかよ!?」

夏葉「やるなら徹底的によ!」

果穂「樹里ちゃん…い、痛そうです…」

夏葉「もう一回!」ビシッ

樹里「くぁ!?」

夏葉「目隠しさせられて、いつ当たるかわからないから余計に痛いわよね?」

樹里「くっ…で、でも、こっちならまだ…ってぁぁぁあ?…り、凛世!?何しやがる!?」ヒソヒソ

凛世「台本には、鞭で責めている間、もう一人がこのように…と」ヒソヒソ

樹里「だ、だからって?あっ?そこは?違?」

夏葉「ほうら!」ビシッ

樹里「ふぁぁぁぁぁぁあ?」

樹里(な、なんだこれ!?こ、こんなのヤられたら…)

夏葉(何、この感情…樹里は大事な仲間なのに…もっと樹里を…無茶苦茶にしたい…)

凛世(何故でしょう、樹里さんの命運を私の指先が握っているかと思うと…)

夏葉「ほらほら、いつまで我慢できるかしら?」ビシビシッ

凛世「早くお答えになった方がよろしいかと…」クチュクチュ

樹里「うぁぁぁぁぁあ?」

果穂「樹里ちゃん…」

樹里「見るな?見るなぁぁぁあ?」

果穂「も、もうやめてください!!!!」

夏葉「果穂…」

果穂「ご、ごめんなさい…でも…でも…こんなに苦しそうな樹里ちゃんの姿…私見てられません!!!」

樹里「はぁ?はぁ?んっ?」

樹里(や、やべぇ…早く…戻してもらわねぇと…変な気分に…なる…)

夏葉「…ごめんなさい、私が変なことを言い始めたばっかりに…」

果穂「いえ、夏葉さんは悪くないです!私が…どうしても見たいってわがまま言ったから…」

樹里「な、なぁ、早く降ろして…」

果穂「樹里ちゃん!!!」ギュッ

樹里「か、果穂!?お前、急に抱きついて来るなよ!?あ、危ないんだぞ!この台の上!」

果穂「ご、ごめんなさい!!でもでも、私のせいで、樹里ちゃんがとっても痛い思いを…」

樹里「…気にしてねぇって、そもそもアタシもやるって言ったんだしな」

果穂「でも、鞭で打たれたところ、こんなに痛そうで…」ツツ-ッ

樹里「ひぁ?」

夏葉「本当ね…薬を塗っておきましょう」ヌルヌル

樹里「ひぃぁぁぁぁあ?」

果穂「樹里ちゃん!まだ痛むんですか!?」

樹里「ち、違?」

果穂「私も薬塗ります!!」ヌリヌリ

樹里「ほぉぉぉぉぉお?」

樹里(やばいやばいやばいやばい!?夏葉の指で触られんのもやばいけど、果穂の指は…なんかこう、匂いも相まって背徳感が凄い!)

樹里「ちょっ…やめ…ぁぁぁあ?」

樹里(凛世!?お前、また指を…)

凛世「台本によると…助けに来た仲間の前で辱められ…」ヒソヒソ

樹里「だからもう終わって…ぁぁぁあ?」

夏葉「樹里!」ヌルヌル

果穂「樹里ちゃん!」ヌルヌル

凛世「…」クチュクチュ

樹里「だ、ダメだ?イ、イ…」

ガチャッ

智代子「みんな!プロデューサーさん連れて来たよ!」

P「みんなどうした!?智代子からなんだか大変なことが…」

樹里「くぅぅぅぅう?」

P「起こって…へ?」

夏葉「あっ…」

凛世「あ、あの…これは…」

樹里「はぁ?はぁ?はぁ?」

果穂「プロデューサーさん!!樹里ちゃんが…樹里ちゃんが…」

P「お前ら…そ、その…なんだ…そういうのは…果穂のいないところで…」

樹里「お前のせいなんだよぉぉぉお!?」

 この後、みんなはづきさんに怒られた。

終わり

いきおいすき
腹抱えて笑った
おつおつ!

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 05:27:16   ID: S:6LmhKp

今夜セックスしたいですか?ここに私を書いてください: https://ujeb.se/KehtPl

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom