どうも、森久保乃々です。
現在、大きな悩みを抱えています。
少し前に、「詩を投稿していたら美玲ちゃんがファンになっていました」事件がありました。あ、事件の名前は、たった今つけました。
事の顛末は"美玲ちゃんが楽しそうで良かったです"で終わらせておきましょう。それ以上語ると、ねたばれぇ……
あの後、美玲ちゃんは、もりくぼの詩を色々な人に紹介していたみたいです。布教、というやつですね。
もちろん、もりくぼのものとは知らずに、です。
布教の成果は、出てしまったようです。
「凛さん、"小さな森のポエム帳"って、知ってますか?」
「それならもう全部読んだよ、まゆ。面白かった。蒼い風を感じたよ」
まゆさんと凛さんが、もりくぼのよく知っている詩について、ニコニコと話しています。
蒼い風ってなんですか。そんな鮮やかな色纏う波紋が飛び立ちそうな風、もりくぼの森には流れませんけど。
「うふ、蒼じゃなくて、緑の風ですよね?」
まゆさんが、もりくぼの心の声を代弁してくれました。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1548423956
もりくぼは、しばらくまゆさんと凛さんが話しているのを聞いていました。
凛さんは美玲ちゃんから聞いて、まゆさんは輝子ちゃんから聞いて、知ったそうです。
輝子ちゃんも布教活動をしていたとは……。といっても、雑談のネタのひとつとして、ちょっと言っただけのようなので、布教とは違うかもしれませんが。
ですが、輝子ちゃんがまゆさんに言っていたのは、意外でした。
意外すぎて、思わず、「えっ」と、声を上げてしまいました。
まゆさんと凛さんが、こちらに気付きました。
「「乃々(ちゃん)、おはよう」」
「お、おふたりとも、おはようございます……」
このままだと、そのまま詩のお話になりそうです。なので、話の方向性をシフトさせるよう、話を振ってみます。
「えーと……今日は何のお仕事があるんですか……?」
「私は来週のライブのレッスンですねぇ。凛ちゃんは、どうですか?」
「私は、ちょっとトライアドプリムスで撮影がね。乃々は?」
「私は、もうしばらくしたら、プロデューサーさんと打ち合わせがありますね」
うまく話を逸らすことができたようです。
「それで、乃々は"小さな森のポエム帳"って、読んだことある?」
嘘です、うまく話を逸らすことはできていませんでした。どうして凛さんはお仕事の話に乗ってくれないんですか。
自分で作った作品について言及するのがどれほど難しいことか……そんな愚痴は、ふたりにはとても言えませんけど……。
「え、ええ。読んだこと、ありますけど……」
凛さんは、へぇ、と、いたって普通な反応をしています。もりくぼが作った作品ということに、気付いていないようです。
ですが、まゆさんは……どうして、もりくぼのことをじっと見つめているのでしょうか。もしやと思うと、冷や汗が止まりませんけど。
「そういえば、これ読んでるときに、主人公の女の子が、なんだか乃々みたいだな、って思ったんだよね」
凛さんが発言するたびに、心臓が止まりそうになるんですけど……ひょっとして、気付いたのでしょうか。
「あ、あはは……もりくぼも、そう思いました……作者さんとは、気が合いそうですね……」
美玲ちゃんや輝子ちゃんは気付いていませんでしたし、凛さんもきっと気付いていないはず……そう信じて、ごまかし続けます。
ですが、もし気付かれていたら、ただのピエロですね。ピエロくぼです。やけくぼになって玉乗りでもなんでもしてやりましょうか。あははは……
もりくぼの頭の中でピエロが踊っているところに、凛さんが、さらに追い討ちをかけてきます。
「じゃあ……あの四話目の詩の"臆病なリス"、あれ、乃々ならどう思う? 美玲は単に登場人物の一人だと思っていたみたいだけど、私は作者自身の分身だと思ってて……ほら、作者のペンネームも"RISU"だから」
とうとう凛さんも詩の内容に踏み入った解釈を述べてきました。
ええ、実際、もりくぼも、その意図で書きました。"もし私がリスとして生まれていたら"みたいなことを妄想しながら書きました。
読者に伝わるのは嬉しいですけど、やっぱり恥ずかしいぃ……
「え、ええと……もりくぼも、そう思います……性格を細かく書い……書かれているので……」
目をひたすら逸らし続けながら、頑張って答えます。もうむーりぃー……
「やっぱりそうだよね。乃々が深く話せそうで良かった。あ、あと……」
凛さんがまた何か聞こうとしてきます。もりくぼ、もう耐えられないんですけど……
「あの……私、実は最初の一話しか読んでないので……続きは私が読んでからでいいですか?」
まゆさんが、助け舟を出してくれました。
どうぞ、と言いたくなるのを抑えながら、凛さんの方をチラッと見ました。
「そう? ……ごめん、まゆを置いてけぼりにして。じゃあ、また今度、話そう?」
凛さんは素直に引いてくれました。
そしてそのまま、もりくぼの昨日の仕事がどうだったとか、そういう話に移りました。
まゆさん、ありがとうございます。そう心の中で呟きました。
ところで、どうしてもりくぼなんかのお仕事の話になったんでしょうか。昨日は本の朗読の収録がありましたが、そんな話をしても、面白くないと思うんですけど……
プロデューサーさんに「森久保オススメの本を朗読してみてくれ!」とムチャ振りされて、ヤケになって少女漫画の朗読をやって、何故か採用された話しか、ネタがないんですけど。
それでも、まゆさんと凛さんは、もりくぼの話を笑いながら聞いてくれてました。
少しお喋りをした後、凛さんに電話が来て、そのままお仕事に行きました。
まゆさんも丁度いいからと、凛さんに続いてレッスンへと向かいます。
まゆさんが事務所から出る直前、もりくぼにこっそり、こんなことを言いました
「乃々ちゃんに合わせて、作者が乃々ちゃんだってこと、言わないようにしますね」
……えっ?
気付いたら、まゆさんは既に事務所から出ていました。
どうしてまゆさんにはバレたのでしょう。やはり、まゆさんは、勘が鋭いのでしょうね。
前にも、そう思わせるようなエピソードがありました。
プロデューサーさんと二人きりでカフェに行ったことがあったんです。他の人にはナイショで。
ですが、翌日机の下に入ったら、まゆさんがニコニコしながら待っていて、こう言って出迎えてくれました。
「乃々ちゃん、待ってましたよ。……昨日、どこに行ってたんですか?」
と。
気分転換に、静かなカフェに行っていた、と言ったら、すかさず誰と行ったかと詰め寄られました。正直にプロデューサーさんと行ったことを伝えると、その時の私やプロデューサーさんの様子を、事細かく聞かれました。
身の危険を感じていましたが……「楽しそうで、よかった」と笑顔で言ってくれて、その後の様子は特に変わりはありませんでした。
プロデューサーさん絡みになると時々人が変わるので、気をつけようと思った一件でした。
ただ、プロデューサーさん絡みでなくとも、今回のように、勘が働くことが多い気がします。
輝子ちゃんのキノコ自走事件とか、もりくぼプール授業大失敗事件とか……
詳細は割愛しましょうか。ええ。
そんなことを思い出していたら、机の外から賑やかな声が聞こえました。ちらっ、と見てみると、事務所に何人か集まっているみたいでした。
未央さんに茜さん、文香さん、ありすさん……よく見る組み合わせ同士が集まって、よく見ない集まりになっていますね。
皆さんのお話に耳を傾けます。盗み聞きくぼです。机に耳あり障子に目あり、です。
未央さんと茜さんが美味しいカレーのレシピの話をして、ありすさんが相槌を打ちながらメモをとっています。文香さんは……会話に参加せず、ひたすらタブレットを覗き込んでいますね。あまり見ない光景です。
「そういえばふーみんがタブレットで何か読んでるのって珍しいねえ。もしや、ついに電子書籍デビュー……!?」
「言われてみれば……だ、だだだ……大事件じゃないですか!!!?」
未央さんと茜さんも、やっと気付いたみたいです。って、茜さんは気付くのが遅すぎるのでは……? 意外とよく話しているので、既に事情を知っているものかと思っていました。
文香さんは読書好きで有名ですが、読書は紙派というのも有名です。電子書籍に手を出すことはしていません。なので、確かに大事件だと思います。
電子書籍でしか読めないものでも読んでいるのでしょうか。
「いえ……電子書籍ではなく、ネット小説を読んでいます。出版されておらず、ここでしか読めないもので……」
もりくぼの予想は外れました。文香さんがネット小説を読むとは思いもしませんでした。
「ネット小説!? ふーみんが!? 電子書籍デビューよりもビックリだよ!!」
未央さんが、先ほどの茜さんの声と負けず劣らずな大声を上げました。茜さんの方は……固まっていますね。声も出ないようです。
ですが、その横でありすさんが、驚きもせず、なんだか勝ち誇ったような顔をしています。どやくぼの参考にとてもいい表情です。
「ふふふ……実は、私が文香さんに教えたんです」
「「な、なんだってー!!??」」
「実は私、飛鳥さんから、ネットで色々な人が小説を投稿しているサイトがあると聞きました。それで……」
ありすさんは、そのサイトの紹介を、ぺらぺらと喋りました。
といっても、もりくぼがよく知っているサイトでしたので、聞き流していました。
「……その詩が、"小さな森のポエム帳"っていうんですけど」
聞き捨てならない単語が、森久保の耳に飛んできました。
「ふぅ……独特な感性を感じる、素敵な詩集ですね……思わず読み入っていました。ありすちゃん、教えてくれて、ありがとうございます」
文香さんが、やっと顔を上げました。どうやらキリのいいところまで読み終わったようです。
文香さんがベタ褒めするくらいですから、きっと聞き間違いでしょう。そう信じて、息を飲みながら会話の続きに耳を傾けます。
「文香さんには、普段からよく本を借りていますから……そのお礼ですよ。ふふっ。ちなみに、どこまで読みましたか?」
「三十二本目の、"大樹と狼"まで読みました」
「「ってそれ全部じゃないですか!!」」
思わず、ありすさんと一緒にツッコミを入れてしまいました。キリのいいところまでどころか、読破していたとは思いませんでした。
机の下へ、目線が四本、向かっています。そんなに見られると、むーりぃー……。いえ、机の下から大声が聞こえたら、もりくぼだって見てしまいますけど。
「乃々ちゃんも、それ、知ってるんですか!!?」
茜さんが、机の前まで走ってきました。
「ええと……知っているといいますか……その、わ、私も、読んだことがあるので……」
ありすさんの目が光ったように見えました。嫌な予感がします。
「乃々さん! ぜひ、感想を聞かせてください! いえ、語り合いましょう!」
「感想を語り合うなんて、そんなの、むーりぃー!」
読書感想会は、熱心に自分の解釈を喋るありすさんと、解釈を受け止めながら補足を加える文香さん、そして、ひたすら話を聞いては相槌をするもりくぼの三人で開かれました。
文香さんはありすさんの推薦で読んだそうですが、ありすさんは飛鳥さんの推薦でこれを知ったそうです。飛鳥さんは……きっと、美玲さんでしょうね。そもそも美玲さんがこれを知ったの、飛鳥さんからみたいですし。
飛鳥さんがなぜ知っているのかは察しがついていますけど、憶測に過ぎませんし、割愛しましょう。
どうやらありすさんは、全話二周したそうです。いつの間にそんなに読んだんですか。
文香さんはそれを聞いて「私はまだ一周ですが……」と返しました。"まだ"って……一回読むだけで十分だと思うんですけど。
ですが、詩への理解は、文香さんのほうが深いように感じました。いえ、ありすさんが理解不足というわけではなく、文香さんの読解力がとんでもないのです。作者でさえ意図していなかったことまで気付くのですから。
心情と天候の暗喩や、似たような意味の単語を繰り返すトートロジーといった表現技法……無意識に書いていましたが、それに名前をつけて褒められるのは、なんだかヘンな気分です。
前に美玲ちゃんと語り合ったときは、「この詩、なんだかよく分からないけど、リズムが良くて面白いよな!」くらいのレベルだったので、そのくらいを想定していたのですが……これは国語の授業みたいです。国語の授業よりも、面白く、分かりやすいです。
そうやって真面目に読んでもらっているのに、もりくぼは自分が作者であることを黙っているなんて……わるくぼですね。
よくよく考えれば、美玲ちゃんも凛さんも、それにありすさんも、みんな真面目に読んでいます。……これは、ひょっとしたら、もりくぼ、思っていたよりもひどいことをしているのではないでしょうか。
「……あれ、乃々さん? 顔色が悪いですが、大丈夫ですか……?」
ありすさんが、心配をしてくれました。
「あ、いえ……大丈夫です」
「私と文香さんは、これからお仕事に行ってきますけど……体調悪いなら、机の下じゃなくて仮眠室で寝ていたほうがいいですよ?」
「い、いえ……お気になさらず……お仕事、頑張ってください……」
そう言って、ありすさんと文香さんを見送りました。
そういえば未央さんと茜さんはいませんね……感想会しているときに、途中で抜け出したのでしょう。ちょっと申し訳ない気分になりました。
それから、机の下にまた隠れました。事務所へと入れ替わり立ち替わりやって来る方々が、どんな話をしているのか、聞いていました。
"小さな森のポエム帳"についての話題が、案外多いです。
美玲ちゃん、広めすぎではないでしょうか……?
どうやら、小梅さんや蘭子さんも読者のようです。他の方々も、名前は聞いたことがある、誰かが読んでいるのを見たことがある、と言っていますね。
ですが、もりくぼっぽい! という声はあれども、もりくぼが書いているに違いない、みたいなことは、誰も言っていません。
規模が広がっていることを知り、もりくぼの胸のモヤモヤも広がっていきます。
「お疲れ様でーす……って誰もいないか」
プロデューサーさんが、やっと事務所に戻ってきました。
「いえ……ここに、もりくぼがいますけど……」
もりくぼは机の下から這い出ました。
「も、森久保、いたのか。お、お疲れ様」
プロデューサーさんが少し驚いていたのは、もりくぼが自ら出てきたからでしょうか、顔色が悪かったからでしょうか、……それとも、逆にもりくぼが驚いた顔をしていたからでしょうか。
プロデューサーさんの後ろに、まゆさんがいました。
「プロデューサーさん、お疲れ様です?」
「うおっ!? ……ま、まゆもいたのか……びっくりした……」
「それで、乃々ちゃん、顔色が悪いけど、大丈夫ですか?」
もりくぼは、深呼吸して、事務所を見渡して、他に誰もいないことを確認しました。
「えっと……その……お二人に、ご相談があるのですが……」
「……というわけで、もりくぼの詩が、色んな人に知られているんです。もりくぼが書いたものと知らずに……。なんだか、皆さんを騙しているようで、も、もしバレたら、ど、どうなってしまうかと考えると……怖くて……。やっぱり、皆さんにちゃんと言ってしまったほうが、いいんでしょうか……?」
プロデューサーさんとまゆさんに、今日あったことと、不安の限りを伝えました。お二人とも、じっと最後まで聞いてくれました。
「……なんだ。そんなことか」
プロデューサーさんは、そう言って軽く笑いました。
「そんなことってなんですか……もりくぼ、真剣なんですよ……?」
「ああ、ごめんごめん……いや、だって、なあ。俺は森久保のポエム帳を読んじゃったから知ってるけど……そもそも森久保がポエム帳に何を書いてるかって、誰も知らないだろ?」
「ええ。あれを見せたのは、プロデューサーさんだけですね……そういえば、どうしてまゆさんは、もりくぼがアレを書いたの、気付いたんですか?」
「実は、まゆも一度だけ、中身を見たことがあるんです。机の下にポエム帳を落としてた時に。……勝手に中身を見てしまって、ごめんなさい」
「ああ、いえ……それは、もりくぼの不注意だったので……」
プロデューサーさんが、軽く咳払いをして、説明を続けます。
「で、森久保のポエム帳を見たことのない人が見ても、『森久保が書いてそうなポエム』としか思わないんだよ。森久保がどんなポエムを書いてるか、誰も知らないからな」
「それも、そうですね……」
確かに、どんなポエムを書いているか、誰も知りません。前にどんなポエムを書いているのか予想してみよう、なんて話題が上がっていたくらいです。しかも、ほのぼのしたポエムから、攻撃的で過激なポエム、えっちなポエムまで、色んな予想が上がっていましたね。
「あと、みんな森久保の性格を知ってるからな……誰にも見せていないものを、全世界の人が見られるところに公開するなんてこと、森久保がするとは誰も思わないんだよ」
「うふふ……そうですね。それに、みんな乃々ちゃんの性格を知っていますから……もしも気付いたとしても、誰も言いふらさないと思いますよ? もちろん、乃々ちゃんに騙された、って思う人も、いません」
プロデューサーさんと、まゆさんの言葉が、スッと、もりくぼの頭に染みわたりました。完全に盲点でした。……というより、もりくぼが何か見失っていたようでした。
「確かにそうですね……ふふっ、お二人とも、ありがとうございます」
もりくぼの心のモヤモヤが八割ほど晴れたところで、事務所の扉が勢いよく開きました。
「お、プロデューサーにマユ、ノノ、おはよう! 何の話をしてたんだ?」
美玲ちゃんが事務所にやってきました。……セーフですね。
「美玲、おはよう。ちょっと最近流行のあの話をな。美玲は、"小さな森のポエム帳"の作者、どんな人だと思う?」
プロデューサーさんがド直球な質問を美玲ちゃんに投げました。もりくぼの心臓を止める気なのでしょうか。
ですが、美玲ちゃんの返答は……
「ん? RISUさんのことか? どんな人……って、そうだなあ……フミカみたいな感じの、静かな女性……か……? でも、もしかしたらアスカみたいな感じかも……うーん……」
思わず吹き出してしまいました。なんだか、もりくぼが悩んでいたのがバカらしくなりました。
「なんでノノが笑うんだ?」
「あー、いえ……ちょっと悩んでいたことがあったんですけど、なんだか美玲さんを見て、吹き飛んだだけです」
「ん? 悩みって何だ?」
「ヒミツです」
「えー? 教えろよノノー」
「ノーノー、です……ふふっ」
おわり
おまけ
翌日、事務所に来ると、紗南さんがゲームをして、横で雪美さんがそれを眺めていました。
事務所のテレビ画面には、イカのキャラクターがインクを撒き散らしているのが映っています。見ているだけで楽しいですね。
お二人とも画面に夢中ですので、気付かれないように机の下に移動して、もりくぼもここから観戦させていただきます。
「そういえば、最近事務所で流行ってるアレ、読んだ?」
ゲームの待ち時間中に、紗南さんが雪美さんに話しかけます。アレ、というと、やっぱりアレでしょうか。いえいえ、まさかそんな訳が……
「"小さな森のポエム帳"……?」
「それそれ」
「ありすに……読ませてもらった……」
そのまさかでした。どうやら事務所で流行っているらしいです。もりくぼの知らないところで着々と広まっています。
「でも……一話しか、読んでない……。その……乃々が書いた……と思うと……」
口から心臓が飛び出かけました。どうして雪美さんがそれを……!?
紗南さんは、それを聞いて、笑いながら言いました。
「乃々ちゃんが書いた……あー、それいいね!」
「……え?」
「『もし乃々ちゃんが書いていたら』って思いながら読むの、面白そう!」
「……そういうことじゃ……なくて…………」
「お、やっとマッチング終わったよ。じゃあ見ててよ、今度は10キルしてやる!」
「……やっぱり、いい…………」
紗南さんは、何事もなかったかのようにゲームを再開しました。
雪美さんは、ちょっぴりふてくされた顔をして、こちらを振り向きました。……もりくぼと雪美さんと、目が合ってしまいました。
すると、雪美さんはこちらにやってきて、机の下に入ってきて、もりくぼの横に来ました。
そして、こちらをじっと見つめて、こう言いました。
「乃々……詩のこと、なんで……誰にも……言わないの……?」
口から心臓が飛び出ました。
「ゆ、雪美さんはなんでそれを知ってるんですか!?」
「えっと……ペロ、教えてくれた……」
「ペロ……雪美さんの飼っている猫ですね……って頭良すぎませんか!?」
おわり
乙
ペロぱねぇ
乙
アッキーも気付いてそう
乙です。
ヒョウくんは2周してそう。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません