大崎甘奈「えっちなのはいけません!」 (14)
ある日の事務所
P「ふう……社長への報告も済んだし、少し休憩するか」
P(といっても、特にこの時間でやりたいこともないし……ネットサーフィンでもしよう)
カチッ カチッ
P「ふーん……おっ。これはうちのアイドルの話題だな。WINGで優勝してから、やっぱり世間からの知名度も上がったよなぁ」
P(こうしてテキトーにネット見てるだけで名前を見るなんて、プロデューサーとしても鼻が高いよ)
P「どれどれ、内容は」
『283プロアイドルに激似って話題のAVが出てるらしいぞ』
P「!?」ブーーッ
P「な、なんだこの書き込み! AVって、嘘だろ……いや、でも同調してるレスもあるな……ということは、マジなのか?」
P「本物が出てるわけないし、そうなるといわゆるそっくりさんか……確かに、有名になった証ではあるかもしれんが……にしても、うちのアイドルに激似って売りのAVはちょっとなぁ」
P(というか、マジならせめてタイトルくらいちゃんと載せてくれ……気になってしょうがないぞ。うちのアイドルの誰に似てるんだ?)
P(さすがに未成年ではないとするなら、千雪か夏葉の二択……いやいやいや、真面目に考察してどうするんだ俺。仮に正解がわかったとしてどうするつもりだ)
P「こんなの気にしたってしょうがない。ある意味箔がついたとだけ思って、細かいことは忘れよう」
P「そう、こんなこと、気にしたって――」
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夕方
店員「いらっしゃいませー」
P(気になってレンタルビデオ店まで来てしまった……)
P「……いや、これはプロデューサーとしての仕事なんだ。うちのアイドルのそっくりさんがAVに出てるなんて、噂の真偽はしっかり確かめておくべきなんだ」
P(どのみち、あったところで中身を見たいとは思わないけどな……今後どういう顔して本物と会えばいいんだ)
P「………」チラチラ
P(アダルトコーナーに入るのは久しぶりだけど、なんでかのれんをくぐる前に周りの様子をうかがっちゃうんだよな)
P(誰にも見られてないことを確認しないと入りづらいっていうか)ソソクサ
P「よし、とりあえず入れた……捜索開始だ」
P「………」キョロキョロ
P「それらしきジャケットはなかったな……やっぱりガセだったのか」
P(……というか。今更だけど、わざわざ店に来なくてもネットで調べておけば解決だったんじゃないか?)
P「まあいいか。とりあえず安心だ」
P(せっかく店まで来たんだし、テキトーによさそうなの借りていくか。明日休みだし)
10分後
P「3本……こんなもんか。よし、じゃあレジに行くか」
P(学生の頃はそこまで気にしなかったけど、AV持ってるときに知り合いに出くわしたりしたら気まずいかもなぁ)
P「ま、この限られた時間でそんなタイミングよく誰かに会うわけ」
甘奈「あっ、プロデューサーさん! こんばんは☆」
P「」
甘奈「こんなところで会うなんて、めっちゃ奇遇だね!」
P「あ、甘奈? なんでここに」
甘奈「明日は学校もお仕事も一日お休みだから、甜花ちゃんと映画でも観ようと思って借りに来たんだ~」
P「そ、そうなのか。甜花は?」
甘奈「今やってるゲームがクライマックスだからお留守番。甘奈が帰ってくるまでにクリアしてみせるって意気込んでたよ」
P「ああ、なるほど」
甘奈「『明日はなーちゃんと映画観る……だから、今日中にクリアする……!』って」
P「甜花らしいな」
甘奈「でしょー?」
P「それで、何を借りるんだ?」
甘奈「じゃーん、これだよ☆」
P「これは……アニメか?」
甘奈「そうだよ。甜花ちゃんが大好きなアニメの劇場版! 結構有名な作品なんだ~」
P「へぇ……確かに、どこかで見たことあるような絵かもしれない」
甘奈「甜花ちゃんにお願いされて毎週録画してるんだけど、やってるうちに甘奈も毎週見るようになっちゃって。ストーリーが壮大で、毎回続きが気になっちゃうんだ」
P「なるほど。そこまで言われると、なんだか俺も気になってきたな」
甘奈「本当? あっちの角のところにあるから、よかったら一巻から借りちゃう?」
P「そうだな……せっかくだし、借りてみようか」
甘奈「やった☆ これでファンがひとり増えたね!」
P「おいおい、まだハマると決まったわけじゃないだろう」
甘奈「あっ、それもそっか。えへへ、早とちりしちゃった」
P「まあ、甘奈や甜花が好きなものなら、俺も好きになる可能性は高いかもな」
甘奈「パートナーだもんね☆」
P「ああ。じゃあ、俺はあっちに」
甘奈「ところで、プロデューサーさんはもともと何を借りに来たの?」
P「えっ」
甘奈「えっ? レンタルビデオ店にいるってことは、何かレンタルするってことじゃないの? それとも、返しに来ただけ?」
P「あ、あぁ……まあ、そんなところだ」
甘奈「? なんかプロデューサーさん、顔色悪くない? 言葉もなんだか元気ないし……」
P「いや、これはその。なんでもないよ」
甘奈「……もしかして。また、甘奈たちのために無理してる?」
P「えっ」
甘奈「自分のことも心配してって、あの時約束したのに……」グス
P「あ、甘奈っ! 違うんだ、本当にこれはそういうんじゃなくて」ブンブンッ
甘奈「違うって、じゃあなんでそんな……」
甘奈「……ねぇ、プロデューサーさん。その、右手に持ってるの……なに?」
P「右手? ……あ」
P(しまった、背中に隠していた右手をつい前に!?)
甘奈「今夜……恋しい……欲求不満な……団」カアァ
P「ストップ! 待ってくれ、それ以上は読まないでくれ!!」
甘奈「ぷ、プロデューサーさんっ!? これっ! えっち!! これっ!! えっ」
P「知ってるよ!! だから大声出さないでくれって!」
甘奈「あ、ご、ごめんなさい……」
P「いや……俺のほうこそ、ごめん。こんなもの見せちゃって」
甘奈「いえいえ、甘奈こそごめんなさい。変に勘ぐっちゃって」
P「いやいや俺のほうこそごめんなさい」
甘奈「いえいえあまにゃっ」
P「………」
甘奈「……噛んだっ!」
P「ぶふっ」
甘奈「も~、プロデューサーさん! 笑うところじゃないぞっ」
P「ああ、ごめんごめん。反省してるから」
甘奈「……まあ、謝り合戦になるところだったからちょうどよかったかも」
P「確かに。なんというか、ありがとうな」
甘奈「まあ、謝られるよりはお礼言われるほうがいいかな」
P「本当、ごめ……ああ、もう言わないほうがいいか。ええと、それにしても。こんなところで偶然知り合いに出くわすなんて思わなかったな」
甘奈「甘奈も。プロデューサーさんとは、いつもお仕事で一緒だし、たまにお休みの日に一緒にお出かけもするけど……街でばったりっていうのは、初めてだよね」
甘奈「ちょっと憧れてたんだ。あの人は、ひとりの時間で何をしてるんだろうって。偶然、甘奈の知らないプロデューサーさんを知ることができたらな~って」
P(その結果、AVを漁るプロデューサーさんを知ってしまったんだけどな……うぅ、改めて考えると相当恥ずかしいぞこれ)
甘奈「プロデューサーさんも、男の人だもんねっ。甘奈、ちゃんとわかってるから」
P「……埋め合わせといってはなんだけど。俺について何か知りたいことがあるなら、なんでも教えるよ」
甘奈「本当?」
P「ああ。さっき、おすすめのアニメを教えてもらったこともあるし」
甘奈「う~ん、そうだな~……あっ、じゃあ」
P「なんだ」
甘奈「お気に入りのえーぶいはなんですかっ?」
P「おいっ」
甘奈「えへへ、冗談だよ☆」
P「心臓が跳ね上がったぞ」
甘奈「ごめんごめん。ちょっと意地悪しちゃった」
P「まあ、なんでもと言ったのは俺だからな……」
甘奈「甜花ちゃんには、こういうの見せちゃダメだからね」
P「わかってる。というか、甘奈にも見せちゃダメだろ」
甘奈「それもそっか!」テヘ
数日後
コンビニ店員「しゃーせー」
P「仕事帰りにお菓子が食べたくなった時、コンビニって便利だよな。どこにでもあるし……っと」
P(お、成人向けコミックの新刊が出てる。ついでに買っていくか)
P「こういうのを気軽に買えるのもコンビニの魅力だよな」
P(そういえばこの前、AV持ってるところを甘奈に見つかったんだよなぁ。まあ、さすがにあんなことが立て続けに起こったりはしないだろう)
偶然同じコンビニに入った甘奈「………」ジーー
P「」
甘奈「……プロデューサーさん」
P「はい」
甘奈「えっちなのはいけません!」
P「すみません……」
甘奈「なんてね☆ 冗談冗談。個人の自由だもん」
P「甘奈は優しいな……」
甘奈「えへへ~。あ、でもほどほどにしないとダメだぞっ」
P「わかってます」
帰り道
甘奈「肉まんおいし~☆」
P「うまいな」
甘奈「いいの? 奢ってもらっちゃって」
P「たまたま会った縁ってやつだ」
甘奈「もしかして口止め料だったりして」
P「半分くらいは」
甘奈「も~、心配しないで大丈夫だよ。甘奈、こう見えて口固いんだから」
P「……見つかったのが甘奈でよかったよ。摩美々とかだったらどうなってたことか」
甘奈「でも安心しすぎもよくないかもね」
P「どっちなんだ」
甘奈「さあ、どっちでしょ~?」
P「甘奈だけど、甘くはないってことか」
甘奈「プロデューサーさん、おじさんくさ~い☆」
P「傷つくからやめてくれ」
甘奈「あははっ。でも大丈夫だよ、甘奈、本当に誰にも言うつもりないから」
P「本当か?」
甘奈「本当だよ。だって……こんな姿のプロデューサー、他の誰も知らないでしょ?」
P「まあ、事務所の誰かに見られたのは甘奈が初めてだな」
甘奈「だから、誰にも言いませんっ」
P「肉まん、うまいな」
甘奈「話の逸らし方、下手だね」
P「大人をからかうんじゃない」
甘奈「えへへ……大人、かあ」
P「甘奈?」
甘奈「プロデューサーさんもさ、やっぱり、大人だからそういうことに興味あるんだよね」
甘奈「甘奈はまだ、そういうのはあんまりわかんなくて。でも、クラスの子とかは結構詳しくて……これって、甘奈が子供ってことなのかな」
P「………無理して周りに合わせる必要はないだろう。甘奈は甘奈のペースでいいし、そのうち然るべき時が来るさ」
甘奈「来るかな」
P「来るよ」
甘奈「来なかったら、責任とってくれる?」
P「どうやって」
甘奈「プロデューサーさんが、持って来るとか?」
P「………」
P「肉まん、うまいな」
甘奈「話の逸らし方、下手だね」
P「うまいから何度言ってもしょうがないんだ」
甘奈「もう全部食べ切ってるように見えるけど」
P「………」
甘奈「ふたつめ、買いに行く?」
P「……そうする」
甘奈「一緒に行っていい?」
P「ああ」
甘奈「えっへへ~☆」
おしまい
おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
甘奈の時々小悪魔になるところが好きです
乙
冬優子や智代子に樹里と霧子なら一緒に見てみたいな←おまわりさんこいつです
とりま、昔にAVを借りたらその度にアイドルに遭遇して、見られない
(例、凛や智絵里のそっくりさんが出演。巴には止められる。愛海は大きさじゃないよ。パイセンは枕営業モノ)
な話があったなぁ……
乙
甘奈似の人が出てて…みたいなことかと思ってたけど違った。けどほのぼのでよかった。
あれ?これって、しーつーぶい氏の作品だよね?
酉もないけど、忘れたのかな?
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