【艦これ】ゴトのしごと (26)
キャラ崩壊注意
短め注意
工廠――
提督「おーい、明石いるかー?」
ゴト「さっき資材を運びに行ったわよ」ヒョコッ
提督「おわ!? ……なんだゴトか、驚かすなよ」
ゴト「デイリーの開発かしら?」
提督「そそ、例の茶番」
提督「別に開発できなくても良い開発って、意味わからないよな」
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ゴト「それなら、私が代わりにやっておくわね」
提督「え? そんなこと出来るのか?」
ゴト「出来なくても良いんでしょ?」
提督「そりゃまあ、開発したという事実が必要だが……」
ゴト「それならゴトにおまかせあれ♪」
提督「うーんでも……」
ゴト「紳士なら、レディの申し出は素直に受け取るべきよ?」
提督「ズルいなあゴトは、そんなこと言われたら断れないじゃん」
ゴト「ウフフ、あなたってば昔からそうね」クスクス
提督「隙あらば古くからの幼馴染みになるのやめなさい」
提督「とはいえ、工作艦でもない子に開発をさせるというのは……」
ザリザリザリ……
ウィーン……
バチバチッ……
ゴト「ドラム缶の完成よ」
提督「出来ちゃった!!」
明石「ふう~室内用の資材運搬車でも作ろうかな~」ガラガラ
明石「あ、提督! 工廠に用事ですか?」
提督「しかし、今なくなった」
明石「ヒューッ」
明石「つまり、どういうことです?」
提督「いつもの開発をお願いしたら、ゴトがやってくれたんだ」
提督「なあ、ゴトがこんなこと出来るって知ってたか?」
明石「ええ知ってますよ」
提督「マジで?」
明石「彼女は日曜大工が得意なので、うちの空き工廠を貸してるんです」
明石「提督……そろそろ課金して、4つ目の工廠を解放しましょうよ~♪」ニヤニヤ
提督「こ、今度給料が入ったら考えるから……」
提督「しかし……そうか、ゴトは工作が得意だったのか」
ゴト「ええ。故郷にいるときから、簡単な家具なんかは自分で作っていたわ」
提督「そりゃまたなんで」
ゴト「スウェーデンって家具で有名でしょ?」
提督「うん」
ゴト「だからよ」
提督「うん(盲信)」
提督「それにしても、なかなかの出来栄えだな」マジマジ
明石「こっちに来てからは木工だけでなく、金属加工も覚えたんですよ」
ゴト「やったことはないけど、単装砲くらいなら作れると思うわ」
提督「マジで?」
明石「提督の許可さえあれば、こちらで研修を行って、工作艦免許三級を渡したいんですが……」
提督「えっなにその制度?」
明石「蔓延する工作艦不足を解消するため、工作艦の技能を一部認める免許制度があるんです」
明石「……まさか、知らなかったんですか?」
提督「おっと藪蛇だったな」ヤレヤレ
提督「……あ、まさか!」
提督「どんなにイベントで忙しくても、頼めば家具を作ってくれたのは、まさか――!?」
明石「はい、あの時はいつもお世話になっています」
提督「嬉しいけど、勝手に動かれても困るな……」
明石「私も監修していますから」
提督「……まあこの話題は俺も都合悪いから、お互い言及なしということで」
明石「はい、それで結構です」
提督「そうか……あの家具はゴトも手伝ってくれていたのか」
ゴト「ゴトの家具の使い心地はどう?」
提督「良いね。本当の職人のような仕事だよ」
ゴト「あらあら、昔からほめ上手ね」ウフフ
提督「まだ一年も経ってないんだが?」
提督「……そういえば、たまに姿が見えなくなるのは、もしかして……?」
ゴト「それはきっと、ここにいる時だわ」
提督「なるほど」
提督「それじゃどこにもいない時は、ここに来ればいいな」
提督「どんなものを作ってるんだ?」
ゴト「最初は簡単な家具を作っていたわ」
ゴト「そのあと、この国の伝統的な工芸品を一通り作るのが流行りだったわね」
ゴト「明石からバーナーや溶鉱炉の使い方を教わってからは、何でも作るようになったの」
提督「へえ~想像以上に本格的だな」
提督「それじゃ、最近は何作ってるんだ?」
ゴト「ええ、今は――」
ゴト「数千個の銀玉で音楽を奏でる楽器を作っているの」フフン
提督「ちょっと何言ってるか分からないです」
ゴト「それなら実物を見せてあげるわ」
ゴト「こっちよ」トコトコ
提督「お、仕事場を見せてくれるのか」トコトコ
明石「ぜひ見てってください、あれは驚きますよ!」トコトコ
提督「明石がそう言うなら間違いないんだろうな」トコトコ
ゴトのしごとば――
ゴト「これよ!」
提督「こ……これは、何だ……!?」
提督「木製の四角いフレームの内部に、オルゴールみたいに円柱形が横たわっていて、その下に鍵盤とベースとシンバルが取り付けられている……!?」
ゴト「本体の横にあるハンドルを回すことで、このドラムの回転の他、様々な駆動を動かすの」
ゴト「そのドラムに取り付けた鉤爪が、上のレールのスイッチを開いて、命令通りに銀玉を鍵盤にたたきつけることで音を奏でるわ」
ゴト「落下した銀玉は一つに集められ、ベルトコンベヤーとレールを使って、また上部の銀玉プールに回収されるの」
明石「つまり、ハンドル一つで演奏し続けるんです!」
提督「はえーすっごい」
提督「ぜひ、演奏しているところを見たいんだが……?」
ゴト「構わないわ」
ゴト「ちょっと待ってて、電源いれるから……」スタスタ
提督「しかし……これ、本当に動くのか?」
明石「動きますよ! しかもいい音してるんですから!」
提督「いやでも、こんなの初めて見るし……」
ゴト「お待たせしました」スタスタ
提督「その黒い服は?」
ゴト「普段の服だと、引っかかったりするかも知れないから」
提督「そんな服を強要させてゴメンね?」
ゴト「別に構わないわ、あなたとの仲だもの」ウフフ
提督「まだケッコンカッコカリもしてないけど?」
ゴト「それでは聞いてね、演奏するタイトルは――」
ゴト「『Marble Machine』よ」
ゴト「――どう?」
提督「おおお~!」パチパチ
提督「スゴい! これはスゴいな!」パチパチ
明石「でしょ!?」パチパチ
提督「これだけで巡業できるんじゃないか?」
ゴト「うーん、それがそうとも言えなくて……」
提督「問題があるのか?」
ゴト「試作品って意味合いが強いから、作りにいくつも不満があって……」
提督「え? 本当に?」ジロジロ
明石「私はなんとなく分かりますよ」
ゴト「だから今、新しい楽器『Marble Machine X』を作っている最中なの」
ゴト「今度はもっと精密に作って、金属パーツやガラスパーツも採用して、あと耐久力も上げたいわ」
提督「これ以上のものを作りたいのか……」
明石「モノ作りをしている人は、どんどん完成度を高めたくなるものですよ」
明石「私には分かる」ウンウン
提督「そうか、完成が待ち遠しいな」
ゴト「その時はあなたを招待してあげるわ」
提督「楽しみにしてるよ」
ゴト「それに、昔約束したでしょ?」
ゴト「『あなたをCautionに連れてってあげる』って」ニコリ
提督「『Caution』じゃなくて『甲子園』じゃないか?」
提督「それは高校野球の話だぞ」
提督「連れていくのはドームだと思うな」
提督「そんな約束された覚えがないんだが」
提督「そもそも男が女に約束する時のフレーズなんだけど」
提督「もちろんそんな約束した覚えはないし」
提督「ツッコミ所が多すぎるわ!!!!!!!!」
おわり
以上です、ありがとうございました。
おまけ――
Wintergatan
スウェーデン出身のフォークトロニカバンド。
変わった楽器を自作して演奏したりしてます。
現在はYoutubeで『Marble Machine』の改良版『Marble Machine X』の作製過程を配信中です。
演奏や現場の様子が面白いので、気になった方はぜひご覧ください。
興味出て調べてたら
同じスウェーデン出身と知ったので
衝動的に書いた次第です。
おつおつ
着眼点すげーわ
ゴト師として活躍するのかと思った
妙に癖になる音じゃの
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