にこ「いや…あんたは勉強しなさいよ。暇なんだから」

穂乃果「そうだよ。した方がいいよ？」

凛「なんで凛だけ！」

にこ「だって暇なんだもん。あんた」

凛「二人も暇でしょ！」

にこ「だからぁ…」

そう。この説明するまでもな、この三人は勉強が大嫌いなのである。

穂乃果「まあ、まだ一週間あるしさ。今日勉強しなくてもなんとかなるでしょ」

にこ「そうそう。なんだかんだで毎回乗り越えて来たしね」

凛「確かに。その通りにゃ」

海未「甘いです」

穂乃果「げっ！？この声は…」

海未「何がげっですか。全く。教室に居ないと思ったら。逃げ切れると思っているのですか？」

穂乃果「いや…逃げたとかそう言う事では…ねえ？」

にこ「ちょっと。私達を巻き込まないでよ。あんたと海未の問題でしょ？」

絵里「あなた達にも言ってるのよ」

にこ「げっ！？絵里まで…」

絵里「毎度毎度、最後には私と希に泣きついて来るんだから」

真姫「そうよ。こんなんで赤点取って活動停止なんてダサすぎるから」

凛「真姫ちゃん…」

海未「あなた達は今日から毎日ここで勉強です！！！」

ほのにこりん「え～」

こうしてμ'sの勉強会の開催が決定した。

穂乃果「はぁ…。最悪だぁ…」

にこ「なんで勉強なんかしなくちゃいけないのよ…」

凛「それはにこちゃんが毎回赤点ギリギリだからだよ」

にこ「あんたもでしょ？」

凛「凛は英語だけだもん」

穂乃果「そんな事言ったら私だって数学だけだよ！」

にこ「にこだって…」

バシンッ

ほのにこりん「ひいっ」

海未「先程から口ばかりで手が動いてない様ですが？」

穂乃果「いや…あの…」

海未「何ですか？」

穂乃果「ごめんなさい」

海未「よろしい。続けて下さい」

穂乃果（はあ…。なんだってせっかくの何もない放課後に勉強なんてしなきゃいけないのかなぁ）

凛（勉強するくらいなら練習したいにゃ）

にこ（後30分で配信が始まる…。帰りたい）

ほのにこりん「はあ…」

コンコン

海未「はい？」

教師「取り込み中に悪いな。園田ちょっといいかな？」

海未「私ですか？」

教師「生徒会の事でな。高坂は何か…あれだしな。テスト期間中に申し訳ないが」

海未「分かりました。すぐ行きます」

教師「悪いな」

海未「私はこれから席を外しますが…。くれぐれも…分かってますよね？」

穂乃果「え？あっ…はい」

凛「も、もちろんだにゃ」

にこ「がってん承知…にこ」

海未「では…」

こうして三人を拘束する者は一時的に居なくなった。

にこ「え？どうする？」

穂乃果「どうするって？」

にこ「いや…これもう帰るチャンスじゃない」

穂乃果「でも、今日帰れたとして明日怒られるよ？」

にこ「そうだけど。今日帰らないと生配信見れないのよ。あんただって漫画読みたいでしょ？」

穂乃果「まあ…うん」

にこ「なんか知んないけど絵里も真姫も居ないし。このチャンスを逃す手はないわよ」

穂乃果「ん～…そうだね！」

凛「でもなぁ…」

にこ「いいから！いい？にこ達は一連托生。今この時から私達は同志よ！」

穂乃果「お～なんかカッコいい！」

こうして、三人が抜け出す事が決定した。

穂乃果「いや～すっごい楽勝だったねぇ」

にこ「ねえ？こんなにすんなりと抜け出せるとは」

凛「凛…何か忘れている様な気がする…」

穂乃果「あっ！本屋さん寄っていい？漫画買わなきゃいけないからさ」

にこ「早くしてよ？直ぐに生配信始まるんだから」

穂乃果「大丈夫！買うものは決まってるからさ」

この時、三人は気が付いて居なかった。

ウィーン

穂乃果「ほら！あったあった！この漫画！」

にこ「あっ！それ今日発売日だったの？」

穂乃果「そだよ！」

にこ「そうだったの。私も続きが気になってたのよね」

穂乃果「あれだったらさ。ウチに来る？」

にこ「え？」

穂乃果「生配信ウチで見てその後読めばいいじゃん」

にこ「いいの？」

穂乃果「うん。凛ちゃんも来るでしょ？」

凛「うん」

穂乃果「じゃあ買って来るよ。えっと…財布は…」

凛「ねえ…穂乃果ちゃん？あの…カバンは？」

穂乃果「え？」

凛「カバン…持ってないよね？」

穂乃果「あっ！？…あっ…ああ…」

凛「にこちゃんもカバン…持ってないよね？」

にこ「そう言うアンタも…」

凛「うん。なんか違和感があったんだよね」

穂乃果「嘘…でしょ…」

鞄を取りに学校へ戻る事となった。

どうしてこうなっかを説明すると…。

海未「ここで勉強した下さい」

穂乃果「え～部室じゃないのぉ」

海未「部室だと誘惑が多いでしょう？私もここに居ますから分からない所があったら各自聞いてください」

海未の提案で部室ではなく空き教室で勉強をする事になって居たのだった。

穂乃果「最悪だぁ。部室だよ。部室に置きっ放しなんだよ」

にこ「部室って…。誰かいるんじゃないの？」

穂乃果「かなぁ…。でも取りに行かない訳には…財布も携帯も入ってるし」

凛「も～悪い事なんてしなきゃ良かったにゃ。だから言ったのにぃ」

にこ「そんな事言ったって仕方ないじゃない」

穂乃果「取りに帰るしかないよ。とほほ…」

時を同じくして音ノ木坂。廊下を歩く海未と絵里。

海未「すいません、絵里。私か提案したのに」

絵里「先生に呼ばれたなら仕方ないわよ。順番は順番だから。今度は私の番。海未は部室で自分の勉強してね」

海未「ありがとうございます」

絵里「さてと、それじゃあ」

ガララ

シーン

絵里「え？」

海未「どうしました？」

絵里「まさかとは思ったけど…やられた」

海未「なっ！？あれだけ言ったのに…」

絵里「どうやら甘かった様ね」

部室。

花陽「ええ！？家に帰っちゃったの？」

海未「はい。私のせいです」

真姫「全く。どうしようもないわね」

希「どうせ次の日怒られるのになぁ」

絵里「本当よ、全く。まあ、言ってても仕方ないわ。皆んなは勉強続けてちょうだい」

ことり「あの～」

絵里「どうしたの？」

ことり「穂乃果ちゃん達のカバン置きっ放しだけど」

絵里「え？本当？」

真姫「忘れてったのね。本当そそっかしいんだから」

ことり「どうしよう？連絡する？」

海未「待ってください」

ことり「え？」

海未「放っておきましょう」

ことり「でも…」

絵里「それがいいわね。きっと今頃三人も気が付いてるんじゃない？」

真姫「そうね。そしたら取り戻って来るしかないものね」

絵里「逆にことりから連絡なんかしたら届けてくれると高を括るかもしれないし」

海未「逆に私達が気が付いてると警戒心を高めるかもしれませんね」

真姫「なるほど。気付いてないと油断させといて戻って来た所を叩くって訳ね？」

花陽「え？叩くって…手荒な真似をする訳じゃ…」

絵里「大丈夫よ、花陽。ただね、大分ナメた真似をしてくれたからね。それ相応の対応をさせて貰うわ」

ことり「もしかして…絵里ちゃん怒ってる？」

希「そのもしかしてや」

穂乃果「うわぁ。戻ってきてみれば。絵里ちゃん激おこだよぉ。どうする？」

にこ「くっ。まさか部室で他の子達が勉強してたなんて。これじゃあ、中に入らないじゃない」

凛「その為に凛達は別の教室に移されたんだね」

穂乃果「どうする？カバンは取りに戻らないしこのままじゃ多分怒られるコース」

凛「お腹が痛くてトイレに行っていたって事にする？」

穂乃果「三人同時に？」

にこ「絶対バレるわよ」

穂乃果「これどう？にこちゃんが中に入って皆んなの気を引きつけてる間に窓から入って私と凛ちゃんがカバンをこっそり持ち出す」

凛「それがいいにゃ！」

にこ「嫌よ。私だけ捕まるじゃない」

穂乃果「にこちゃんが言い出しっぺなんだから犠牲になってよ」

凛「そうだよ」

にこ「やだって。も～生配信始まっちゃったわよ…」

穂乃果「はあ。後先考えて行動するんだった。たかたが漫画の為に…漫画なんて後でも読めたのにさ」

凛「本当だよ。どうせ今日帰れたって明日怒られて辛いんだからやめとけば良かったんだよ」

にこ「私なんて配信は見れないわ怒れるわで一番最悪じゃない！」

穂乃果「知らないよ。にこちゃんが言い出したんでしょ？責任取ってよ」

にこ「はあ？あんたも納得したじゃない。失敗した途端責任転嫁なんて最低よ」

穂乃果「だって～…やめよう。ここで争ったって虚しいだけだし」

にこ「そうね」

穂乃果「はあ…どうする？」

にこ「どうするって。海未と絵里をどうにかするしかないでしょ」

穂乃果「海未ちゃんと絵里ちゃんを？」

にこ「そうよ。問題はあの二人じゃない。花陽やことりが私達を追い詰めて来るとは思えないし」

穂乃果「確かに。じゃあ…例えば…一斉放送で二人を呼び出しちゃうとか？」

にこ「声でバレるわよ。って言うか下手したら教師陣にも怒られるわ」

穂乃果「だよねぇ。ん～…」

凛「ねえ？素直に謝るって選択肢はないの？」

にこ「絵里と海未のあの顔を見たでしょ？謝ってそれで終わりとは思えないわよ」

凛「確かに…じゃあ、帰ったんじゃなくて三人でトイレに行ってたって事にすれば！」

穂乃果「あっ！それ名案だね！」

にこ「凛！いい事言うじゃない！もしかして天才？」

凛「かもしれない」