カリン「素敵な仲間が増えますよ♪」
キャル「仲間は間に合ってるんだってば! いいからあたしの水着を寄越しなさいよ!」
女神の秘石「……」
キャル「チッ……! また変な石ころばっかりじゃない!」
カリン「今ならなんと! オマケでプライズ報酬がもらえるんですよ~♪」
キャル「はいはい、くじ引きが引けるんでしょ。その説明、もう十回目よ? あんたっておんなじことしか喋れないわけ?」
女神の秘石「……」
カリン「6等と、6等と、5等と、6等と、4等と……」
キャル「えっ? 4等? 4等は初めてね。まぁどうせ大したもんじゃないんでしょうけど」
メモリーピース「……」
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キャル「あっ! これってメモリーピースってやつよね? 145個集めると水着がもらえるのよね!?」
カリン「ふふ♪」
キャル「さっさと水着が買えればいいんだけど……もし1等なんかを引けちゃえば、たとえ買えなくてもすぐに水着が手に入るんじゃない? よぉし……」
カリン「素敵な仲間が増えますよ♪」
女神の秘石「……」
キャル「畜生が……!」
カリン「今ならなんと! オマケでプライズ報酬がもらえるんですよ~♪」
キャル「ほらほら、はやくプライズくじを引かせないよ」
カリン「……全部6等でした」
女神の秘石「……」
キャル「あーもうっ! 水着が欲しいだけなのになんでこんなにイライラしなきゃなんないのよ!」
キャル「ほら、はやく水着を買わせなさいよ! はいジュエル!」
カリン「……んん? あれっ? お、おめでとうございます!!」
キャル「えっ? なになに? ついに水着が買えたのかしら!?」
水着ペコリーヌ「おいっす~☆」
キャル「ペ、ペコリーヌ!? 来ちゃ駄目だって言ったのに……! あんた、どうしてっ……!」
水着ペコリーヌ「ごめんなさいキャルちゃん。どうしてもキャルちゃんのことが心配で、来ちゃいました☆」
キャル「来ちゃいました☆ って……! すでに水着を持ってるあんたがここに来ちゃったら……!」
水着ペコリーヌ「……はい。お別れです。ただ、どうしても一言だけ伝えたくて」
水着ペコリーヌ「試着していた時のキャルちゃんの水着、すんごくかわいかったですよ♪ だからキャルちゃん、約束です──」
キャル「ペコリーヌっ……あんた身体が……!」
元水着ペコリーヌの秘石(みんなで水着を着て、また海に行きましょうね……☆)
キャル「あぁあああっ……! ペコリーヌーーー……!!!」
カリン「今ならなんと! オマケでプライズ報酬がもらえるんですよ~♪ 5等と、3等と、6等と……」
キャル「や、やめてっ! ペコリーヌがどれだかわからなくなっちゃう! やだっ! やだぁっ!」
秘石の山「……」
キャル「あああああぁ…………」
カリン「これだけの秘石があれば、水着にぴったり合うオシャレな浮き輪が買えますよ♪」
キャル「……あんたには情ってものがないわけ? ペコリーヌが石にされちゃったっていうのに……!」
カリン「あれは水着の妖精みたいなものですし。それより、もう水着は諦めちゃいますか?」
キャル「諦めるわけないじゃない! ペコリーヌと約束したんだから!」
キャル「心配しなくたって平気よ! 今日の日に備えてたんまりジュエルを貯めたから、懐にはまだまだ余裕があるわ!」
カリン「は~い♪ 素敵な仲間が増えますよ♪」
女神の秘石「……」
キャル「くそっ、また石ころか……!」
カリン「今ならなんと! オマケでプライズ報酬がもらえるんですよ~♪」
キャル「1等来い……1等来い……1等来い……!」
カリン「わぁ……♪ やりました! 1等が出ましたよ!」
キャル「っしゃあっ!!!」
キャル「……いやいや、1等よりも水着を持ってきなさいよ」
カリン「1等の景品は、メモリーピースがどどんと40個! あと秘石も付いてきます」
女神の秘石「……」
キャル「秘石はともかく、メモリーピースが40個は大きいわね! 145個まであと……あぁ、まだ90個近く必要なのか……ちょっと遠すぎない?」
カリン「いえ、あと40個で済みそうですよ? ほら、今回のプライズくじ、他にも2等と3等がふたつずつ当たりましたから♪」
キャル「さっきの1等と合わせて、メモリーピースが90個? 今までの分と合わせると、145個まで残りぴったり40個ってわけね!」
キャル「水着を直接手に入れても良し、1等を当てても良し! ふふっ、これならなんとかなりそうね♪」
カリン「ふふ♪」
キャル「次よ、次! いい流れに乗って一気に決めるわよ!」
カリン「素敵な仲間が増えますよ♪」
女神の秘石「……」
キャル「はぁ……。くじは? 1等あった?」
カリン「5等と6等だけですね……」
キャル「ふざっけんじゃないわよ……! あとちょっとだってぇのに……! ほら、グズグズしないで次っ!」
カリン「おめでとうございます!」
キャル「来たっ……! 今度こそ水着よね! あたしの水着が来たのよね!?」
水着ペコリーヌ「わたしでしたっ☆ てへ♪」
キャル「あぁっ、ペコリーヌ! また来てくれたのね! 会いたかった……!」
水着ペコリーヌ「えへへ……そう言ってもらえるのは超嬉しいんですけど、あんまり時間がありませんからね。なので、これをどうぞ!」
キャル「これは……かき氷?」
元水着ペコリーヌの秘石(それを食べて、幸せパワーをチャージしてくださいね……☆)
キャル「うぅ……ありがとうペコリーヌ……。しゃくしゃく、もぐもぐ……」
水着ペコリーヌ「一緒に食べれば幸せ倍増ですよね! わたしも隣でいただきまぁす♪」
キャル「あ、あれ……? あんた今石になったんじゃ……」
元水着ペコリーヌの秘石(あぁん! これじゃかき氷が食べられませんよ~っ!)
キャル「つうか、あたしの水着は!? なんかおかしくない!? 間違ってるわよね、絶対!」
カリン「ラッキーなのかそうじゃないのかわかりませんね♪ あはは♪」
キャル「全然ラッキーなんかじゃないわよ! ふざけんな殺すぞ!?」
カリン「今ならなんと! オマケでプライズ報酬がもらえるんですよ~♪」
キャル「あぁ、そうだったわね……。気合いで1等引きなさいよね。じゃないとさすがにやってらんないわよ?」
カリン「えぇっと……6等、5等、5等、6等……あっ! 1等!」
キャル「マジっ!? あは~♪ やったわ! ついに145個のメモリーピースが溜まったわよ!」
カリン「溜まりましたね! おめでとうございます♪」
キャル「ほらほら、さっさとあたしの水着を持ってきなさいよ♪ メモリーピース、全部あんたに支払うから!」
カリン「ごめんなさい……。水着は限定モデルの一点物となっていまして……」
キャル「は? なに? どういうことよ? まさか、ここに来て交換できないなんて言わないわよね……?」
カリン「残念ながら、メモリーピースでは水着と交換することはできないんです……。普通のお洋服ならご用意できますけど……」
キャル「ど畜生がっ! それならそうと早く言いなさいよ! あんたマジで性格悪いわね……! 間違いなくロクな死に方しないわよ……」
カリン「でも安心してください! メモリーピースでは交換できませんが、水着交換ポイントっていうものがあるんです♪」
キャル「…………いちおう聞くわ」
キャル「ふむふむ。つまり、その水着交換ポイントを300ポイント貯めたら、今度こそ水着がもらえるのね?」
カリン「はい♪ 今のキャルさんのポイントは150ポイントですから、あと22500ジュエル使えば300ポイント到達ですね」
キャル「2まっ……」
キャル「足元見やがってぇ……! うぅ……もう256ジュエルしか残ってないわ……」
カリン「それでしたら、現在夏の特別セールを開催していまして──」
キャル「買う! 買うわ!」
キャル「300ポイント貯まる前に水着が手に入ってもいいように……なんてセコい考え方はしないわ! 22500ジュエル分、即金で買ってやろうじゃない!」
カリン「かしこまりました~♪ ではこちら、22500ジュエルです♪」
キャル「あたしのバイト代が一気に吹っ飛んだけど……かわいい水着を着てあいつらと海に行くためなら、このくらい……!」
カリン「それでは……こほん! 素敵な仲間が増えますよ♪」
女神の秘石「……」
キャル「水着がないなら省略しなさい! スキップチケットとかいうのが腐るほどあったでしょ? それ使っていいから!」
カリン「は~い♪ 素敵な仲間が増えますよ♪」
カリン「素敵な仲間が増えますよ♪」
キャル「これはこれでイライラするわね……」
カリン「素て素敵素素敵なおめでとうございます!」
キャル「おおっ? いや、またペコリーヌじゃないでしょうね……?」
クウカ(オーエド)「こ、ここはいったい……? クウカはなぜいきなりこんな場所に連れてこられたのでしょうか……?」
キャル「誰よあんた!? 邪魔よ、消えなさい!」
クウカ(オーエド)「え? え? 状況もわからないうちに、いきなり消えろだなんて言われてしまったら、クウカは……クウカは……」
キャル「あっ……ごめん、悪かったわ……。今ちょっとイライラしてて……」
クウカ(オーエド)「あぁっ♪ 身体が熱く火照ってしまいますぅ♪ このあとはきっと、強引に帯を引っ張られて、ぐるぐると激しく回さされながらお店の外まで追い出されてしまうのでしょう……着物のはだけたクウカは、道行く人たちのいやらしい視線を一身に浴びて──」
キャル「うわっ、こわっ!? ちょ、ちょっとあんた? マジで大丈夫なの? 病院連れてこっか?」
クウカ(オーエド)「ハッ……! だ、大丈夫です……。それよりも、クウカはまた親切な人にご迷惑をおかけして……」
クウカ(オーエド)「申し訳なさで顔から火が出そうです……! あぁっ……! 顔が……い、いえ、全身が熱い~……!」
キャル「このクソ暑い時期に着物なんて着てるからでしょ……。なんでそんなカッコしてんのよあんた」
クウカ(オーエド)「え……? 暑いからですけど……」
キャル「???」
クウカ(オーエド)「???」
キャル「……どうでもいいけど、ちょっと緩く着崩したら? マジで熱中症にでもなって死んじゃうわよ?」
クウカ(オーエド)「そ、そうですね……。少しだけ、胸元を緩めて……」
クウカ(オーエド)「…………『へっへっへ。自分から胸を見せつけてきたんだろう?』なんて言葉責めをしながらクウカの胸を乱暴に──」
キャル「ちょ、ちょっと! またおかしなことを口走ってるわよ!? ほらっ、よだれ垂れちゃってるし!」
クウカ(オーエド)「はぁ、はぁ……ぐふふ、ぐふふふふ~~~! も、もう限界です……! 恍惚絶頂の舞~♪」
キャル「ぎゃあああ! こっち来んなぁ! さ、サンダーボール……!」
クウカ(オーエド)「あ゛~~~……♪ シビビビビレますすすすぅ……!」
キャル「もう帰って! お願いだから!」
クウカ(オーエド)「ほ、放置プレイでしょうか……?」
キャル「放置よ!」
クウカ(オーエド)「あっ……♡」
カリン「き、気を取り直して……素敵な仲間が増えますよ♪」
女神の秘石「……」
キャル「はぁ……。もう気分が落ち込んできちゃった……。今何ポイントだっけ? あとちょっとで300ポイントなんじゃない?」
カリン「残り60ポイントです」
キャル「あとちょっとね!!」
カリン「そうですね♪」
キャル「じゃあ次お願い。水着以外はスキップしてちょうだい」
カリン「……おめでとうございます!!」
キャル「おぉっ! 水着が来たのね!」
水着ペコリーヌ「やっほ~♪」
キャル「またペコリーヌのやつっ!!!」
元水着ペコリーヌの秘石(ファイトですよ、キャルちゃん☆)
キャル「あんたが邪魔するせいであたしの水着が来ないんだってば! 応援はもういいから大人しく待ってなさいよ!」
カリン「素敵な石が増えますね♪」
キャル「うるさいっ!」
カリン「素て素敵な素敵素」
キャル「あんたバグってるわよ」
カリン「次で300ポイント貯まります♪ 長い戦いでしたけど、泣いても笑っても次で最後です!」
キャル「まったく笑えないけどね。水着買うだけでここまで苦労するとは思わなかったし」
カリン「では、ラストチャレンジ……気合いを入れて行ってみましょう!」
キャル「やっと水着が手に入るのね……! あぁ、これでやっと気兼ねなく海に遊びに行けるわ……♪」
カリン「……おめでとうございます!! 水着が無事買えたみたいですよ!」
水着「あんたとのバカンスも、悪くないかもね」
キャル「えっ? これ、あたしの水着っ! 最後の最後で来てくれたのね!」
カリン「やりましたね! 水着、ゲットです♪」
キャル「う、うん……。ちょっと複雑だけど、自力で手に入れられたって思えば……まぁ……」
水着ペコリーヌ「やりましたね、キャルちゃんっ☆ ここまでよく頑張りました! 偉いです! わたし、思わず感動しちゃいましたよ~♪」
キャル「あんた、また……」
キャル「ところでカリン? この貯まった300ポイントってどうなっちゃうの? ただのゴミになっちゃうのかしら……」
カリン「水着と交換できますよ♪ キャルさんの水着かペコリーヌさんの水着、どちらがいいか選んでください」
キャル「どっちかって……どっちも持ってるんだけど?」
秘石の山「……」
キャル「もうひと山作れってことか……」
カリン「女神の秘石はたくさんあるに越したことはないと思いますけど……。メモリーピースに引き換えて、才能を開花させることもできますし」
キャル「才能かぁ。いまいちピンとこないわね。例えば、開花させるとどんな恩恵があるの?」
カリン「水着を着た人の才能となると……泳ぎが上手くなる、とかでしょうか?」
キャル「えっ!? あたしでも泳げるように……おほん! 泳ぎが上手くなるのね! そ、それなら……ありったけの秘石をつぎ込もうかしらっ♪」
カリン「ふふ♪ 毎度ありがとうございます♪ どんな才能が開花するのか楽しみですね♪」
コッコロ「おや? キャルさまではありませんか。ショップでお買いものでございますか? あ、こんにちは。カリンさま」
キャル「あら、コロ助じゃない。見て見て! ちょうど今、あたしの水着が買えたところなのよ♪」
コッコロ「おぉ。なんと、それはめでたい。今年の海も楽しいものになりそうですね」
キャル「苦労したのよ~? バイト代もきれいさっぱりなくなっちゃったし、しばらくは貯金で細々生活しないとね♪」
コッコロ「あ、あの……キャルさま……? いちおう、本当にいちおうのつもりでお聞きいたしますが……」
キャル「あん? なによ。顔青くしちゃってさ」
コッコロ「ちゃんと残っているのですよね……? 旅費……」
キャル「…………」
コッコロ「キャルさま……」
キャル「ね、ねぇカリン? このスキップチケットとかいう紙束、買い取ってもらえないの……?」
カリン「ごめんなさい……そちらは買取不可となっていまして……」
キャル「じゃあこっちのハートの欠片は!? ほら、キラキラしてるし、ちょっとした値打ちがつくんじゃないの!?」
コッコロ「そちらはたいへん貴重なものなので、市場では値がつけられないと聞きました」
キャル「……ふ、服! 服を売るわ! あたしの私服! 今着てるこれっ!」
コッコロ「落ち着いてくださいまし、キャルさま……! 服を売ってしまったら、それこそ生活できませんよ……!」
キャル「ふえ~~ん……! これじゃ何のために水着を買ったのかわからないじゃなぁい……!」
コッコロ「むぅ……困りましたね。水着のために旅費までつぎ込んで、そのうえ泣いちゃうとは思いませんでした」
コッコロ「いたしかたありません。主さまとペコリーヌさまにも相談して、キャルさまの旅費をわたくしたちで立て替える方向で検討いたしましょう」
キャル「立て替え……? ほ、ほんと……? お金貸してくれるの……?」
コッコロ「主さまたち次第ではありますが。……まぁいざとなれば、わたくしのへそくりでなんとかいたしますから」
キャル「う~……ありがとう……。まじめに働いて、なるべくはやく返すわね……」
コッコロ「ふふ。さぁ、キャルさま。ギルドハウスへ向かいますよ。……今回の無茶な出費についても、少しお話ししておきたいですし」
キャル「えっ……あたしお説教されんの……?」
カリン「あっ、待ってください! 女神の秘石をお忘れですよ!」
秘石の山「……」
キャル「うげっ……! これも持って帰らないといけないんだったわ~……ちらっ」
コッコロ「はぁ……。これだけの量を運ぶのでしたら、ペコリーヌさまにも手伝っていただかなくては。運搬用の台車も用意して……」
キャル「ご、ごめんね……。秘石とかハートの欠片とか、あんたたちにも分けてあげるから……」
キャル「くっそぉ~……! こんな買いもの、もう懲り懲りよぉ~……!!!」
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クウカ(オーエド)「じゅるり……ふひっ……ふひひひひ……!」
クウカ(オーエド)「…………あ、あれ? いつのまにかクウカ以外に誰もいません……」
カリン「もう閉店ですよ~?」
クウカ(オーエド)「閉店……!? さ、さっきのドSな人は……?」
カリン「ずいぶん前に帰っちゃいましたよ。私ももう帰るところです」
クウカ(オーエド)「そ、そんなぁ……。本当に放置されて、しかもそのまま置いて帰ってしまうなんて……!」
クウカ(オーエド)「ぐふふふふ……♪」
カリン「帰りますよ~」
おしまい
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