腹「へってきたな…」 (16)
クソSSです
暇なときにでもどうぞ~
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腹下「今日付けでこの部署に配属されました、『はらした』です。よろしくお願いします!」
腹中「おう、お前の教育係になった『はらなか』ってんだ。よろしくな。」
僕の新しい生活が始まる。この頃はまだ、夢と希望でいっぱいだった。その先にある「闇」など知る由もなかったのだ。
仕事にもだいぶ慣れ、新人の看板を降ろした頃……
腹下「腹中せんぱーい、この後お時間あります?」
腹中「んなもんねーよ。お呼ばれされたクソ上司にお伺いたてて、左右の二の腕のコスパ報告書見たあとに、ふくらはぎの方見にいかなきゃなんねーからな。」
腹下「いつも通り忙しいですね。でもちょっとマジな話なんですが……。」
腹中「……珍しいな、言ってみろ。」
腹下「あの……腹上先輩のことなんですけど」
腹中「………」
腹下「やっぱり噂通り……」
腹中「あほくせーなぁ。」
腹下「ええっ!?」
腹中「あれだろ?最年長者から順に『消えていく』って話だろ?腹上先輩は旅行がどうとか聞いたぞ?」
腹下「…………」
腹中「わーってるよ。腹上先輩の次は俺が最年長だからって気にしてんだろ?ったく、んなオカルトで効率落とすなよ?」
腹下「ですけど……」
腹中「っと、わりぃな。時間がギリギリだ。今度ゆっくり話せたら世界に蔓延るオカルトの信憑性のなさをじっくり教えてやるよ。じゃな。」
腹下「お時間取らせてすみません。」
腹中「気にすんな。あ、あと両の太ももに乳酸増えやすくなり過ぎだから栄養まわしとけ。」
腹下「はい。」
そのやり取りを最後に腹中先輩は姿を消した。
どう考えても不自然なのだが、どれだけ調べても先輩の足取りを掴めない。あの噂が流れ始めてからこの部署も人数がかなり減った。まるで空いた穴を埋めるかのように新人が入ってくる。僕も今や教える側だ。あまり考えないようにしよう。新人に辞められては困る。そうは思うものの気は晴れない。
そんなある日、僕はクソ上司に呼び出された…
腹下「この忙しい時期になんだろう……。」
僕はクソ上司に呼ばれ、彼の部屋へと向かっていた。忙しいことくらいは分かると思うのだが……。あの人が何を考えているのかどうも分からない。ゴマすりが通用する相手でもないので淡白な関係だが、上司には変わらない。呼ばれたなら行くしかないわけで。
コンコンコン
腹下「失礼します。腹下です。」
部屋に入ると同時に異臭が鼻をついた。
そして僕が入ってきたドアの鍵がガチャリと音を立てて閉まった。
腹下「……?」
腐乱臭でもなくツーンと来るような感じでもない、なんというか"生ぬるい"異臭が立ち込めている。そんな部屋の真ん中でデスクワークでもしていたのか、パソコンから顔を上げたクソ上司が不気味に笑いかけてきた。
クソ上司「やあ腹下君、そこに座りたまえ」
少し警戒心が出てきたがとりあえずソファに腰掛ける。
腹下「今日はどういったご要件でしょうか。」
クソ上司「ふむ、平たく言えば君の昇進の話だ。」
腹下「……。」
クソ上司「んん?あまり嬉しくなさそうに見えるね。どうかしたのかい?」
表情は相変わらず読めず、本当か嘘かも分からないが、それだけではないことだけは、気味の悪い笑顔から何となく伝わってきた。
腹下「それだけでしたら業務も忙しいので、ここで。」
さっさと戻ろうとするが。
クソ上司「うむ、言葉が足りなかったかな。君には私の仕事を引き継いで貰う。」
腹下「……?確かに明確にはなりましたが、先程の説明と変わらないのでは?」
クソ上司はニヤニヤと笑を絶やさずに続ける。
クソ上司「おっと、今度は言葉が多すぎたかな」
「君には『私』になってもらう」
腹下「は…………?」
クソ上司「まだ分からないかね。いや、私も……『俺』も分からなかったがな。」
腹下「その声は……!?」
クソ上司は最高に気色悪い笑みを浮かべると自分の顔をゆっくりと剥いでいく。
常人より一回り大きかった頭の下から、僕のよく見知った顔が出てきた。
???「この顔で会うのは久しぶりだな、腹下」
腹下「は、腹中…先輩…!?」
腹中?「なんて顔してんだ。よろこぶところだぞ?昇進が決まり、消えたはずの先輩に再開したんだから……な?」
確かに先輩にもう一度会いたいとは思っていた。しかし、今目の前にいる「先輩の顔をしたなにか」を先輩とは到底思えなかった。混乱して思考がまとまらない。
そいつは再び喋り出す。
腹中?「俺にはもう何も残ってない。残りカス、絞りカスってやつだなァ。最後に残った水分も吸われて要らなくなったからポイだ。んで、次は腹下、お前の番だってことだよ。」
何を言っているんだコイツは…?
腹中?「『糞』上司に呼ばれたあの日に、俺は腹中ではなく『糞』になったのさ。ちょうど今のお前と同じような反応をしたなァ。もうちょい冷静だったと思うがな。」
何が面白いのか、ヤツはクックックと笑う。
腹中?「これは代々引き継がれてるシステムでな。止めることも逃れることも出来ん。この部屋に入った時点でお前のウンコ化は始まっている。」
腹下「……え?」
話を聞くのに精いっぱいたったことと、頭が混乱していたことで気づけなかったが、よく見ると足元が床に埋まっていた。違う、床にあるものが這い登ってきている…!?
腹下「う、うわあああ!?」
腹中?「はっはっは、狼狽えすぎだ。」
腹下「そんな……そんな……嫌だああああ!!」
腹中?「………」
腹下「うわっ臭い!!嫌だァああああ!!なりたくない!!う、ウンコになんてなりたくないいいいいいいいい!!!!」
腹中?「もう少し静かに出来ないのか?」
腹下「ぎゃああああ!!助けてぇぇぇぇぇ!!臭い!!おえっ!!きったな!!きもちわるー!!嫌だァああああ!!」
腹中?「うるせえ」
腹下「もがっ!?」
腹中は手近にあったウンコを掴むと僕の口に突っ込んだ。それをきっかけにしたようにウンコの侵食は加速した。意志を持ったウンコが飛びまわり、身体に引っついてくる。呻きながら振り払っても宙を舞うウンコの方が速く、どんどんウンコになっていく。
腹中?「よし、もう大丈夫だな。じゃあ俺はウンコとして、最期の役目を果たすとするか。」
朦朧とした意識の中で腹中先輩の顔をしたヤツがドアに対面した窓を開け放つのが見える。窓から飛ぶ前に、チラリとこちらを振り返り何か呟いたように見えたが、耳の中までウンコまみれの僕には届かない。それでも、先輩が初めて見せた悲しそうな笑顔は忘れられない気がした。
腹山「あ、『糞』上司さーん。おはようございます。ちょっとお聞きしたいことが……」
糞「おや、腹山さんではないですか。なにか?」
腹山「いえね、最近うちの部署で流れてる噂なんですが……。」
糞「ああ、私の耳にも入ってきていますよ。根も葉もない噂ですが、恐怖も好奇心も人を駆り立てるものです。中には真に受けてしまう人もいるでしょうから、上に立つ者が動じないように伝えてください。」
腹山「承知しました。他にも伝えておきます。」
糞「よろしくお願いします。それでは失礼。」
自室のぼんやりと光る、労働者名一覧が表示されたスクリーンから顔を上げ、ウンコは呟いた。
「また、へってきたな……」
~fun~
読んでいる時にうんこの香りを1度でも思い起こしてくれれば嬉しいです。
クソSS失礼しましたうんちっち。
お前生きてて恥ずかしくないか?
乙
いいウンコSSだった
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