まどマギ ほむら「悪魔になった私は、この先どうなるのかしら」 (30)

涼しげな朝 、私はいつものように歩きながら

緑の多い並木道を通り、学び舎へと向かっていた。

学び舎に着き、教室に入ると、

鹿目まどか。まどかが私に挨拶して話しかけてきた。

「おはよう、ほむらちゃん」

「おはよう、まどか。今日は良い天気ね」


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「今日も一日がんばりましょう」

「うん。よろしくね、ほむらちゃん」

まどかと話をしていると、佐倉杏子が私に話しかける。

「よっ。暁美ほむら。鹿目まどか」

挨拶すると、美樹さやかも、気さくに話しかける

「おっはよー」

まどかと話をしていると、いつも2人して集まるのだった。

「なぁ。今日のサッカー、チーム戦やるらしいな」

佐倉杏子が机に腰掛けると、美樹さやかもそれに同調する。

「体育のこと? 楽しみだよね」

まどかは少し心配そうな顔をする。

「私は…大丈夫かな。サッカーとか運動はあまり得意じゃないから」

「大丈夫だって。私が一緒のチームでやるからさ」

美樹さやかが、『にこにこ』と笑うと、ありがとう、とまどかは言った。

先生が教室に入ってきて、輪もとけて、

皆が席につき始めるなか、私はまどかに聞いた。

「まどか。転入して来てからの、学校生活にはもう慣れた?」

まどかは少し考えるように上の空を見ると、

「うん。」と、にこっとするのだった。

「もう慣れたよ。こうして生活できるのも、ほむらちゃん達のおかげだね」

「そう。それは良かったわ

それじゃあ今日も一日よろしくね」

そう言って、私もまどかも、それぞれの席に向かう。

ここは私が世界を再編して出来たもので、

まどかはアメリカから帰ってきた、帰国子女として、

学校に転入してきたことになっていた。

どうしてかは分からないけれど、

私が、まどかと話をしていると、

美樹さやかも佐倉杏子も、集まって話をするようになり、

いつしか、友達のようになった。

この学び舎には、巴マミもいる。

巴マミは年代が違うので、違うクラスで生活しているけれど、

なぜか、巴マミも、放課後の帰り道に、

どことなく知り合ったように話をするようになり、

偶に、5人で集まったりもするようになった。

体育の時間になり、まどか達と一緒に運動場へと向かう途中、

巴マミに会った。

巴マミは、私達に気がつくと、あっ、と手を振った。

「おはよう。あなたたち」

美樹さやかが応える。

「おはよー」

「あら。あなた達、これから体育の授業なの?」

「そうさ。今日はサッカーのチーム戦をやるからな」

そう言って、佐倉杏子も話に加わると、

まぁ、楽しそうね。と、巴マミは笑う

美樹さやかが言った。

「今日、昼休み、私達と一緒にお弁当食べませんか?」

「いいわね。それじゃあ、あなた達、昼休みにまた会いましょう」

巴マミは、私達に手を振ると、授業があるだろう方向へと歩いていく。

美樹さやかが気がついたように学び舎にある時計を見る

「おっと、私たちも行かないとね」

佐倉杏子も、「そうだな」、と、小走りになり始め

「ああっ」

と、まどかも早歩きになる。

私もそれについて運動場へと向かった。

そうこうしているうちに、サッカーの試合は始まっていた。

美樹さやかがまどかにボールを蹴る

「いくよ、まどか」

まどかは、あたふたとしながら、ボールを受け取る

「まどか、こっちだ」

佐倉杏子が呼びかけると、まどかは佐倉杏子にボールを蹴った

「えいっ」

「ナイスパスだ!」

佐倉杏子は受け取ったボールを、ゴール前まで蹴り進める

私は、その様子を後ろから見ていた

「ほむらちゃん、ボール来たよ!」

「えっ?」

まどかの呼ぶ声で、私は、はっとする。

佐倉杏子が手を振っている姿が見えた。

「すまねぇ、ほむら。もう一度こっちにボールくれ」

私は、慣れない仕草で、ボールを蹴り始める。

すると、とあるクラスメートが、私の前に走ってきた。

「暁美ほむらちゃんね。行かせないよ!」

「わっ」

クラスメートにボールを取られそうになり、

私は必死で、近くに居たまどかに、ボールを蹴った。

「まどか、お願い!」

「わっ」

ボールは無事に、まどかに渡り、

美樹さやかが高い声で呼んだ。

「まどかー。こっち!」

「いくよ!」

まどかが蹴ったボールを、美樹さやかは受け取り、

美樹さやかは、華麗にゴールへとシュートを打った。


ピッピーーーッ!

ゴールのホイッスルが鳴り、

みんな、「やったー!」と言った。

「ナイスシュートだったよ、さやかちゃん」

「やったな、さやか」

「えっへへ。みんなありがと」

まどかがふと私を見る。

「ほむらちゃんも、ナイスパスだったよ」

「えっ そ、そう?」

私もそれとなく輪の中へと走っていった。

体育の授業も終わり、昼休みをむかえ、

私達は、巴マミと一緒に食事をとるため、屋上へと向かっていた。

屋上に着くと、先に来ていた巴マミが、気がついて、私達を見る。

「おつかれさま。サッカーどうだった?」

巴マミの呼びかけに、佐倉杏子が応える。

「うん。私は楽しかったよ」

美樹さやかも、『にこにこ』と笑いながら返事をする。

「私も。今度はマミさんも一緒にサッカーしましょう」

「まあ、いいわね」

さあっ、お弁当を食べましょう、と、座りながら、巴マミは言う。

「今日のお弁当は…卵焼きにお野菜に、ハンバーグ!

改めて見るとワクワクするわ」

巴マミが『にこにこ』と見る弁当の中身を見て、

美樹さやかはびっくりした顔をする。

「うわぁ。マミさん、豪華じゃないですか。

いいなぁ、私もお昼にハンバーグ食べたい」

「うふっ。昨日は腕をふるって作ったから、楽しみにしてたの。

今日、一緒に食べるって知ってたら、あなた達の分も作っても良かったんだけど」

「本当ですか!?…というか、マミさん。

お弁当、自分で作ってるんですか?」

「ええ、そうよ」、と、巴マミは言う。

「私、一人暮らしだから」

「へぇ……そうなんですか」

美樹さやかが頷く横で、

ああ、そうだったわね、と、私は思った。

私が改ざんした世界ではまだ、
巴マミが一人暮らしだったことを、皆、知らなかったのね。

そのとき、まどかがそっと、私の弁当の中身を覗いた。

「ほむらちゃんのお弁当…何だかきっちりと整ってるね。

健康のことを考えてるというか」

「そう…?」

美樹さやかが高らかに言った。

「おっと、今日は皆、お弁当を見せ合う日ですか?」

「それはいいかもね。良かったら、私のハンバーグ分けてあげる」

「それはいいかも」

と、まどかも同調し、皆で輪を囲むことになった。

佐倉杏子が言った。

「しっかし、一人暮らしなんて。

何でまた、そんな生活してるんだ?」

「それは、まぁ自分を鍛えるため、というか…いろいろね。

一人で生活するのは大変だけど、偶にこうして、自分のやりたいことをできるから、悪くもないわよ」

「あなた達と、こうして一緒にいたら、寂しくもないし」

と、巴マミは言う。

美樹さやかが、少し申し訳なさそうに言った。

「私は、家族と一緒に生活してるから、
あんまり、一人暮らしのこととか考えたことなかったかな。

さっきは、勝手に、お弁当の見せ合い、とか言って、よかったですか?」

「構わないわよ」

と、巴マミは言う。

「こうして賑やかで居ると、楽しいから。

あなた達も、せっかくだからお弁当を分け合いましょう。

そうね、佐倉さんは、どんなお弁当を持ってきたのかしら」

「あ?…あたしは…りんご、だけだよ」

「まぁ、なんですって?」

巴マミは手で口を押さえる。

「佐倉さん、それは健康にあまり良くないわ。

りんごは栄養はあるけど、もっとお米やお肉やお野菜を食べないと」

「しゃーねぇだろ。りんごが美味しいんだよ」

「あっはは。まぁそりゃあ、そうだけどさぁ」

美樹さやかが、少し困ったように笑う横で、まどかも言う

「杏子ちゃん。私も、もっと色々なもの食べた方がいいと思う」

「佐倉さん、まさか、いつもりんごだけってことは無いわよね?」

巴マミが問いかけると、佐倉杏子は少し言葉をドギマギさせる

「いや、そういうわけじゃぁねぇけどな」

その後もみんなが口々に、佐倉杏子に話をするなか、私は思った。

そういえば、わたしも、佐倉杏子がどんな風に生活しているのか、とか知らなかったわ

改ざんした世界でも、一人一人ののデータが分かっているわけではなく、

世界を改ざんする前のことを、覚えていた美樹さやかの記憶も、

私が記憶を作り変えて、半ば無かったことにしたようなものだ。

世界を改ざんする前のみんなは、どんな風に生活していたのか、良くは知らなかったわね

私は少しそう思った。

そのとき、佐倉杏子が、私に聞いた

「おい、暁美ほむら。あんたの弁当見せてみなよ」

「えっ?」

「あんた、少し不思議な性格してっからな、あんたも、どんな弁当持ってきてるのか、気になって仕方がねぇ」

「たしかに、言われてみれば」

美樹さやかも頷くなか、巴マミも私を見る

「そうね、他の人のお弁当もあるし、暁美さんのお弁当も、見せてもらえないかしら」

「えぇと、わたしは…」

言葉を詰まらせると、まどかが言った

「ほむらちゃんのお弁当、とってもきっちりしてるんだよ

おかずも入ってるし、お野菜も入ってるし、綺麗に分けられていて、とても、健康だと思う」

へぇ、そうか、と、佐倉杏子が少し目を丸くさせ、

巴マミが、私の弁当をふっと覗いて見る

「ほんとうねっ」

と、巴マミは言った。

「暁美さん、とても、健康的ね。これは身体に良いと思うわ」

「うわー。ほんとだ」

美樹さやかも呟くなか、巴マミが興味深そうに私に聞く

「これは、私も見習いたいわ。御両親から作ってもらったのかしら」

「いえ、これは…」

私は少し言葉に詰まる

私は、世界を改ざんしてから、ある程度自由に生活するようになった。

だから食事も、半分は自分で作っているようなものだし、

魔法の力で、ある程度、食材を出すこともできる。

でも、そんな私は、一応自分で、普通に食材を用意して、食事を作っていた。

だから、普通に答えても、良いわよね

「私がつくりました」

すると、「まぁ」、と、巴マミは口を開き、

佐倉杏子が、少し声を上げて言った

「はぁー!?

ほむら、あんたも弁当自分でつくってたのか」

「ほむらちゃん!?、ほんとに?」

まどかも、びっくりしたように私に聞く

巴マミが心身深そうに言う

「これは、たしかにすごいわね。私もびっくりしたわ。

今日は色々と、みんなのことが知れて良いわ」

「そうですね」

と、美樹さやかが頷くと、

「私は少し気分悪いけどな」

と、佐倉杏子は言う。

すると、巴マミが言った。

「まぁまぁ、佐倉さん。そんなに気を悪くしないで。

そうだ、今日こうして、一緒に集まれたし、
今度みんなで、お出かけに行くのはどうかしら?

私たち、こうして集まることはあっても、まだ、休日に遊んだことなんてなかったから」

「たしかに、そうかも」

まどかも頷く。

「たしかに、そうですね」

と、美樹さやかも頷くと、

巴マミは佐倉杏子に、改めて聞いた。

「どう、佐倉さん。みんなでお出かけに行きましょう」

すると、佐倉杏子は、少し機嫌を治したように笑った。

「ふっ、まぁ、あたしは構わないよ」

「そう、良かったわ。暁美さんも大丈夫かしら?」

「はい、大丈夫です」

「よし、決まりね!」

巴マミは、ひと段落ついたように、ポン、と手を叩いた。

まだか

最近更新できていませんでしたが、自由気ままに更新して行こうと思っています。
しかし、また更新しようと思いますが、最後まで完結するかは分かりません。

次、更新した時はスレを上げます。

朝、空は明るかった。
心地よく涼しい風が吹き、燦々と降り注ぐ日差しが頬を照らした。

私は待ち合わせ場所である、とある駅へと歩いた。

「ほむらちゃん!?」

「えっ?」

声がした方を見ると、少し私の様子を伺い、私の方へと手を振る人がいた。

「やっぱりほむらちゃんだ」

「ま…まどか?」

手を振っていたのは、まどかだった。
まどかは私の方へと駆け寄る。

「ほむらちゃんも今待ち合わせ場所に向かってたんだね。
こっからは一緒に行こう」

「え、えぇ」

いつも制服の姿しか見ていなかったからか、
まどかが最初誰なのか分からなかったわ

私はそう思った。

「行きましょう」

そう言って、私は駅の方へと歩く

「こうして学校じゃないところで話すことって、あんまりなかったね」

「そうね」

歩きながら、まどかは話した。

「学校に転校して、ほむらちゃんも、みんなも、学校では仲良くしてたけど、休日に遊んだりすることはなかったから、今日は楽しみにしてたんだ」

「ええ、私もよ」

まどかは続ける。

「今日は何処にいくんだろうね、マミさんが駅に集合しようってみんな賛同したけど、行き先とかは聞いてなかったなぁ」

「きっと、みんな集まったら教えてくれると思うわ」

「そうだね、えと、駅はこっちだったね」

まどかと私は、駅まで歩いた。

駅に着くと早々、私とまどかを呼ぶ声がした。

「おはよう、あなたたち!」

声色から、すぐに巴マミだと分かった。

見ると、巴マミは、華やかな白色の服に落ち着いた茶色の服を着て、丸っぽい帽子を被っていた。
ふんわりとしたパン屋さんのように、ふわふわとした雰囲気が漂っていた。

私服だと、みんなこんなに雰囲気が変わるのね

私はそう思った。

「おはようございます!マミさん」

まどかは元気に巴マミに挨拶した。

「おはよう、鹿目さん。
美樹さんと佐倉さんは、一緒じゃないのね」

「はい、私もほむらちゃんとさっき道端で偶然一緒になって」

「なるほどね、じゃあ美樹さんと佐倉さんは今から来るのね…と、美樹さんが来たわ…こっちよ!」

巴マミの呼ぶ先に、美樹さやかが居た。
美樹さやかは少し小走りになりながら私達のところに来る

「いやー、おはようみんな」

少し照れたように頭に手を置きながら、美樹さやかは笑った。

美樹さやかは髪の色に似た水色の服を着て、何処かすっと風が吹いてきそうな晴々とした姿をしていた。

「みんな、元気な格好をしてるわね!」

巴マミは、うんと頷く。

「休日に、元気なあなたたちの姿を見れて嬉しいわ」

えっへ、と美樹さやかは声高になる

「そりゃーあたしも女の子ですから!」

「うん、私もみんなとても明るい格好をしてると思う」

まどかも頷いて同意する

みんながそれぞれ話す風景は、
学校で集まって話すのと何処か似ていて、何処か新鮮なようにも見えた。

まどかがふと言った。

「うーん、あれ、杏子ちゃんはまだ来てないのかな」

巴マミはちらっと時計を見る

「そうねぇ…もうそろそろ来てもいい頃だと思うんだけど

もしかして、今日は来ないのかしら。ぜひ、みんなとお出かけしたい場所があったんだけど…」

巴マミが少し心配そうな顔をすると、美樹さやかがそれを否定するように言う

「そんなことはないと思いますよ、何だかんだ、あいつも楽しみにしてましたから」

そのとき、少し遠くから安堵したように私達を呼ぶ声がした

「いやー、探したぞ!」

見ると、佐倉杏子が少し息切れしたように歩いて来ていた。

「この駅広いから見つけんのに苦労しちまった」

「まぁ!そうだったのね」

巴マミはふふっと笑った。

「確かに駅が少し広かったかもしれないわね、ごめんなさい」

「まぁええぞ」

ふぅっと佐倉杏子は一息つく

佐倉杏子は、学校でのややガサツな態度とは違って、上品な服を着て、落ち着いていた。
もふもふとした、そんな雰囲気だった。

みんな、学校にいるときとは違った一面があるのね

私はそう思った。

佐倉杏子はすっかり息を整えて言う。

「それで、今日は何処へ行くんだ。あたしゃなんにも聞いてなかったからまだ知らないんだ」

「そういえば、私もまだ聞いてない」

美樹さやかも、うん?とした顔をする

まどかが巴マミに聞いた。

「今日はどこに行くんですか?」

「そうねっ」

巴マミは一区切りついたようにすっと息を飲んだ。

「あんまり行ったことがないけど、初めて5人揃ってお出かけするとしたら、やっぱりここがいいと思うわ」

巴マミは言う。

「行くわよ!遊園地に!」

美樹さやかは手を後ろに組んで

「はい!」と返事をし、

まどかは、

「わぁっ」

と両手を前に握って

佐倉杏子は、腰に手を当てて清々しい顔をした。

「さぁ、行きましょう!」

美樹さやかが高く声を上げ、みんなも楽しそうに笑う。

あたりにはそよそよとした風が流れていた。

「ねぇねぇ。ほむらちゃんはどんな遊びが好きなの?」

「え?」

遊園地で、ちょっとしたゲームコーナーや遊具などが集まってる遊び場で、まどかは私に聞いた。

「学校でいつもお話したり、一緒にお弁当を食べたりしてたけど、普段ほむらちゃんがどんなことしてるのかとか、どんなことが好きなのか、とか聞いてなかったから」

いつも学校のことについて教えてもらってばかりだったし、とまどかは付け加える。

「そうね…」

私は考えた。

いつも学び舎で問題事が起きないように気を配ってばかりで、普段こういう場所に来ることもなかったし…

私はどんなものに興味があるのかしら

周りのコーナーを見渡すと、美樹さやかや佐倉杏子、そして巴マミが一緒に何か入れ物のようなものを覗いていた。

その横に、何か飾ってあるのが目に入った。

「あれ。あれがいいわ…」

「ん…?」

まどかは指をさした方向を見て、にこっと笑った。

「綺麗な花が飾ってあるね」

まどかはわぁっと目を開いて花を見る。
近づいて売り場に置いてある箱に触れながら

「あみだくじだよ」

とまどかは言った。

「景品が当たったらあのお花が貰えるみたいだね。ほむらちゃん、やってみよう」

「え?…あ、うん」

私は言われるがままにまどかからくじを受けとり、くじを開いた。

なんだか、おもしろいあみだくじね

私はあみだくじに描いてある線を眺めながらそう思った。

占い…。

それとは違うかもしれないけれど、あみだくじも似たようなものを思わせる。

私にとって、くじに書かれている結果は、ただの運試しに過ぎない。言ってしまえば、お遊びのようなものだった。

こんなもの…1人では引くことはないのだけれど…

まどかがふっと微笑み、私は紡がれた線を辿って、上へと指をなぞっていった。

何が書かれているのだろうか

なぞりきるよりも先に、まどかが顔を覗かせて言った。

「大吉!? すごい、大吉だよ!ほむらちゃん」

「え、ほんと…?」

そこには確かに大吉という文字が記されてある

「おっ、縁起がいいねぇ、嬢ちゃん」

見かねた店主さんがはっはと笑って言った。

「ほら、景品だよ」

店主さんは飾ってある花を手に取って、私の胸元へと渡した。

手にとった花からは、ほのかな甘い香りがして、つい花びらへと目を移した。

「…造花?」

よく見ると、花はしっかりとした形を保っており、線でなぞられた模様が描かれていた。

そうだよ、と店主さんは返事をした。

「えっ? ほんとうに?」

まどかは目を丸くして、まじまじと花を見た。

「私…ほんものかと思っちゃった」

「えぇ、そうね」

…私も、渡されるまでほんとうの花かと思ったわ

私は、しばらくその花を眺めていた。

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