詩人のキャンバス (6)
昔詩人がいた
詩人は世界各地の遺跡にメッセージを残してゆく
多くの人がその行為を非難するが、
実際に目にした者の多くに受け入れられる
その詩人は姿をどこにも表さず
いないとさえ言われる。
しかしこの4つの遺跡を見てきた中でそれは共通した精神において書き記されているとわかる
別の人間の悪戯書きのようなものではない
今日は調査のため海外に赴く
また新たなメッセージが発見された遺跡を見に行くのだ
こんなにもわかりやすく気分が高翌揚している自分は遠い目から見ると少し子供のようで、他人なら失笑しかねないが
それはどんな調査をしてもいつ書かれたか詳しく分からないのだ
全ての共通点は全て入り口から入りすぐ右の壁に文が書かれていること
そんなわけで気分的には今にもスキップしそうな気でいるが抑え、いかにも仕事をしにという行く体で飛行船に乗り込んだ
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メ欄にsagaを入れるといいよ
>>2
ありがとう
いらないかなと思ったりしてたけどやっぱり入れます
君は神を信じるだろうか
僕はこれまで生まれてこのかた礼拝を欠かしたことはなかった。今までは
僕はとある仕事で少し遠く町に来ていた
そこで礼拝をするためその日はその町の神殿へ向かった
近くに来ると周りの声から何か落書きが書かれていると知り、怒りの念に満ち溢れていた
でもどうなの?
僕が抱いてきた思いが子供の時からの思い出や昔の失敗に似た感情であることを知ってしまった
そこにはこう書かれていた
(自分は現地の人間でないからしっかり言葉が訳せているか分からないが
神と戦うもの
悪でなくてはならないのか
~~~により~~~~????
その左手には酷くデフォルメされた絵、
馬付き戦車のような乗り物に乗った王子の誇張された目に矢が刺さっている
これらが神殿の内壁を削りそこに存在していた
昔、神を信じないと言っていた友人に僕はこう言っていた
君に神様を感じる事はできなくとも
君に存在を否定することはできない
なぜ言ったことも忘れていた昔の言葉を今思い出したのか
その日からすべきことの全て手につかず
いつもその日の出来事を繰り返し考えていた
世界との繋がりを絶たれた気分、泥沼に落ち助けを求め手を振り回している気分かもしれない。ゆっくりゆっくり見えない世界に落ちてゆく、僕は恐怖だった。変わることが恐怖であったし、変わらないことも恐怖だった。そんな感情は今まで知らなかった
その日から数日たった
ある時、抜け殻だけになった人間の歩くだけの存在となっていた。歩き方を忘れ歩く。風にあたりにあっただけだった気がする
屋外喫茶の前を通ると、話し声が聞こえてきた
各地で価値ある文化的建造物にメッセージが書かれるという現象が起こっている-ちょうど神殿に起きたように
僕はすぐに調べあげ、最も近くにあるそれが起きた場所へ向かった
生きる希望が滲む血のように湧き出した、文字通り我を忘れて船に乗る。答えがそこにある気がしていた
この世の全ては魔法でできていた
という言葉が
あったようななかったような
それと似たように
全てに気づいた賢者が己の命を断つ話が
あったようななかったような
つまりは知ってしまっては
こんな簡単なことを自分は知らずに生きてきた
時間の無駄だったのではないかと思ってしまった
その賢者は考えて、考えた
そして無意味だと気づいたのだ
全てを知った人が変わってしまうところを
見たことはあるだろうか
彼は孤独になってしまったのだ
知ったことによって
そんな簡単な事が分からない人間と話すのは苦痛だから
人は教えられた事は信じようとしない
自分で見つけた事しか信じようとしない
本当に話の上手い人は答えを言わず
道筋をヒントを放り込み
人の心に答えさせる
その問いが難解である事には
解が簡単でも理解はされはしないだろう
故に賢者は孤独なのだ
生きる多くの人が
その問いの解を必要としない世界で
その解を見つけ
その解を考えて
その解に縛られ
その解を考えた
故に賢者は姿を消した
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