男子「歯止めのきかぬ男子達」 (20)
男子『葉っぱ』
男子「今週の金曜ロードショー、ハリーポッターだって」
気弱「賢者の石だよね。た、楽しみだよね」
秀才「金曜日お婆ちゃん家なんだよね……」
ガキ大将「俺録画するから見に来いよ」
男子「行く行く」
ガキ大将「男子は家で観れるだろ」
男子「あ、四葉だ」
気弱「く、クローバーって言うんだよ」
男子「何か違うの?」
気弱「違う、と、思う」
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男子「まじで?」
ガキ大将「……」ブチッ ムシャムシャ
気弱「……どうなんだろう」
秀才「クローバーの葉っぱが四枚ついてるってことだよ」
気弱「あ、そっか」
男子「俺知ってたし」
秀才「はい嘘」
男子「嘘じゃねーし」
ガキ大将「……」ムシャムシャ
秀才「……ガキ大将、何食べてるの?」
ガキ大将「四葉」
気弱「え……?」
ガキ大将「俺葉っぱ食えるー!」ドヤァ
秀才「!」
男子「す、すげえ……!」
気弱「き、汚くないの?」
男子「汚いからすげえんだよ」
ガキ大将「俺! 葉っぱ!! 食えるー!!!」ドヤァ
男子「クッソ……」ブチブチッ ムシャムシャムシャ
気弱「え、えぇ?」
男子「俺、葉っぱ、二枚食えるー!!!」
秀才「すごい!」
ガキ大将「なっ!? クソッ」ブチブチブチ ムシャムシャムシャ
男子「さ、三枚!?」
気弱「や、やめなよ? ね、秀才君も一緒に止め――」
秀才「……」ブチブチブチブチ ムシャムシャムシャ
男子「おいおいおい!」
秀才「俺、タンポポ食えるー!」ドヤァ
ガキ大将「やべえ、只者じゃねぇよこいつ!」
男子「絶対負けねぇ!」ムシャムシャムシャ
気弱「え、え……」
ガキ大将「あめえし、俺なんかタンポポ二個いくし」ムシャムシャムシャ
気弱「や、やめようよ!」
秀才「タンポポ四個」ムシャムシャムシャ
男子「そんなに食えねぇよ!」ムシャムシャムシャ
ガキ大将「それが男子の限界だ」ムシャムシャムシャ
気弱「あ、あ、あ……」
男子「ま、負けねぇ、タンポポ10個いってやる!」ブチブチブチブチ
秀才「ちょっ! それは流石に!」
気弱「うわぁあああああ!!」ガシッゴクン!!
ガキ大将「え……?」
気弱「ぼ、僕だって!」
男子「お前、それ……」
気弱「ぼ、僕、石食べれるー!」バタン
ガキ大将「すげえええ!」
秀才「いや救急車ー!」
男子「通学路破り」
男子「ユーチューバーなりたくね?」
ガキ大将「なりてぇ」
気弱「も、もてそうだよね」
男子「あ、女好き!」
ガキ大将「女好きだ!!」
気弱「ち、違うよ!」
秀才「でも実際もてそうだよね」
男子「……俺は興味ねぇし」
ガキ大将「俺もねぇし」
気弱「僕もないし……」
秀才「もちろん俺もないし」
男子「女子うぜーし!」
一同「ゲラゲラゲラほんとそれな」
秀才「この前給食で牛乳残したら隣の女子にチクられたよ」
ガキ大将「俺ゲーム持ってきたらチクられた」
男子「通学路無視したらチクられた」
秀才「え、いつ?」
男子「先月。ほら、皆風邪引いて休んでた時」
ガキ大将「……俺も通学路破った事あるし」
男子「は?」
ガキ大将「俺なんかあれだわ、さっきのとこ曲がった事あるし」
男子「は? は? 俺なんかさっきのとこ曲がってさらに橋渡った事あるし」
秀才「俺ヒッチハイクして帰った事あるし」
ガキ大将「はい嘘」
男子「はい嘘」
秀才「嘘じゃないし!」
気弱「ぼ、僕通学路破った事ない……」
男子「俺だってヒッチハイクした事あるし」
ガキ大将「俺なんかヒッチハイクしてさっきのとこ曲がってさらに橋渡った事あるし」
秀才「はい嘘」
ガキ大将「嘘じゃねえし」
男子「嘘かもしれねえし」
ガキ大将「嘘かもしれねえ事ねえし」
秀才「嘘かもしれねえ事なくないし」
男子「もうどっちかわかんねぇし」
ガキ大将「確かに」
秀才「ゲラゲラゲラ」
ガキ大将「ゲラゲラゲラ――え、気弱、どうした?」
気弱「う、うわあああああ僕だってぇえ!!!」タッタッタッタ
秀才「気弱ー!」
翌朝、教室
男子「おはよ」
秀才「おはよー。あ、気弱!」
ガキ大将「気弱、昨日どこいってたんだよ」
気弱「つ、通学路破った」
秀才「え、どこ短縮したの? 商店街のとことか?」
気弱「ううん、隣町」
男子「ん?」
気弱「隣町、経由して帰ったし!」ドヤァ
男子「そ、それは……」
ガキ大将「短縮出来てねぇじゃん」
気弱「そういうルールなの!?」
女子「先生ー! 男子達が通学路破ったって言ってます!」
秀才「あ……」
男子『大移動』
キーンコーンカーンコーン
女子「起立、礼」
全員「先生さようなら!」
男子「しゃああ夏休みぃぃ!」
秀才「教科書とか全部持って帰らないとね」
気弱「面倒だなぁ」
男子「習字セットもあるんだよ……」
秀才「最後に使ったの先月じゃん……」
男子「え、お前らそれだけ?」
気弱「こ、小まめに持って帰ってたから」
秀才「俺も」
男子「うそぉ! 二人で半分ずつ持ってくれよ!」
気弱「そ、それじゃあ男子君何も持たないじゃないか!」
男子「ほんとだ」
全員「ゲラゲラゲラ」
ガキ大将「お、お前ら、か、帰るぞ!」ぎっしり
気弱「う、うわぁ……」
男子「身体より荷物の方がでけぇ……」
秀才「何入ってるんだよ……」
男子『ピンポンダッシュ』
男子「暇じゃね?」
気弱「うん、暇だね」
秀才「なんかする?」
男子「鬼ごっことか?」
気弱「いいよ!」
男子「気弱足速いもんなぁ」
秀才「やだなぁ」
男子「秀才足遅いもんな」
秀才「遅くないし!」
気弱「……僕達よりは遅いもんね」
秀才「あ、こいつ!」
全員「ゲラゲラゲラ」
ガキ大将「ピンポンダッシュやんね?」
男子「そ、それは……」
秀才「まずいって」
気弱「そ、そうだよ!」
ガキ大将「ちょっとやってくるわ」スタスタスタ
男子「あ、おい!」
秀才「え、まじでやるの?」
気弱「ど、どうしよう!」
ピンポーン
ガキ大将「ははははは逃げるぞ!」ダダダダダ
男子「ちょ、待てよ!」ダダダダダ
気弱「うわぁあああ!」ダダダダダ
秀才「待って、待ってくれ!」
男子「はぁ、はぁ、はぁ……」
秀才「な、なんてことするんだ……」
気弱「そうだよ! ばれたら怒られちゃうよ?」
ガキ大将「――俺、ピンポンダッシュ出来る!」ドヤァ
男子「!」
秀才「チッ」
気弱「これまずい流れだってぇ……!」
男子「俺だって出来るし」
ガキ大将「はい嘘」
男子「嘘じゃねえし」
ガキ大将「やってこいし」
気弱「やめなって!」
男子「やってやるし」スタスタスタ
ピンポーン!
男子「わはははは!」ダダダダダ
気弱「うわああああ!」ダダダダダ
ガキ大将「くそっ! 俺の方がすげえし!」ダダダダダ
秀才「ちょ、まだ体力が!」
ガキ大将「俺なんてピンポン押してから三秒待って逃げるし」
ピンポーン
男子「は? 俺なんてピンポン二回押してから逃げるし」
ピンポーン
気弱「や、やってやる。僕だって! う、うわあああ!!」
ピンポーン
秀才「ちょ、もうやめようぜ。無理、体力無理、体力無理だっ――」
ピンポーン
ガキ大将「秀才ダサ! 俺なんてピンポンしてノックして宅配ですって言うし」
ピンポーン
男子「秀才ダッサ! 俺なんかピンポン押して後ろ走りで逃げ切るし!」
ピンポーン
気弱「秀才君」
秀才「はぁ、はぁ、はぁ、な、なに」
気弱「頑張って?」ニヤ
ピンポーン
秀才「く、クソッ! クソォォオ! 俺、俺なんか! ピンポン押して対応してから逃げるし!」
ピンポーン
女子「はーい」ガチャ
秀才「あ」
男子「あ」
気弱「あ」
ガキ大将「あ」
男子『女子を倒そう』
女子「ちょっと男子! ちゃんと掃除してよね!」
男子「ハイハイ」
女子「ハイは一回!」
ガキ大将「ハイハイハイハイ」
男子「ハイハイハイハイハイハイハイ」
女子「何それぇ!?」
秀才「……巻き込まれないようにしような」サッサッ
気弱「そうだね……」サッサッ
女子「秀才君もちゃんと注意してよ!」グイッ
秀才「え、えぇ?」
男子「秀才! お前は俺達の味方だよな?」
秀才「え、あ、いや」
女子「しゅ・う・さ・い・くん!!!」ギロ
秀才「ヒィッ! ちゃ、ちゃんと掃除シヨウ!」
ガキ大将「裏切りものがぁ!」
帰り道
秀才「ごめん」
男子「いや、仕方ねえよ」
ガキ大将「実際恐かったもんな」
気弱「ね……」
男子「……」
ガキ大将「……」
気弱「……」
秀才「……」
男子「女子倒さね?」
ガキ大将「乗った」
秀才「絶対勝つ」
気弱「か、勝てないよ!」
男子「作戦練ったらいけるって」
ガキ大将「そうだ。絶対いける」
秀才「うん、楽勝だよ」
気弱「また投げ飛ばされるよ!?」
男子「……いや、まあ」
ガキ大将「それ言うなよ……」
秀才「女子、柔道やってるもんな……」
秀才「――勝ちの定義次第だと思うんだ」キラーン
男子「あ、なんかそれかっこいい」
ガキ大将「すげー久しぶりに秀才っぽいな」
秀才「前提条件として、戦いでは勝てないだろ?」
男子「ああ、絶対勝てねぇ」
ガキ大将「四人がかりでも勝つイメージが持てないぞ」
気弱「僕、多分一撃で殺されるよ……」
男子「秀才、どうすりゃいいんだ!」
秀才「まあ落ち着いてよ。まず、投げ飛ばされる理由を潰すんだ」
ガキ大将「どういうことだ?」
秀才「いい? 俺達はいつも、女子が文句を言ってきて、それに言い返してる」
気弱「うんうん」
秀才「つまり、そもそも文句を言わせなければ投げ飛ばされない!」
男子「!」
ガキ大将「すげえ、すげえよ!」
気弱「で、でも、あの女子さんに文句を言わせないって、どうすれば……」
秀才「俺に秘策がある!」
翌日、放課後の教室
男子「そっち俺掃いた」サッサッサッ
ガキ大将「オッケー」サッサッサッ
気弱「あ、ちりとり」
秀才「俺持ってる」
男子「……」
ガキ大将「……」
気弱「……」
秀才「……な?」
男子「いや掃除しちゃってるじゃん」
ガキ大将「そうだよ! これ負けてるよ!」
秀才「負けてない! 生き残った俺達の勝ちだ!」
男子「それはそうだけど!」
女子「あ、珍しい! ちゃんと掃除してるんだ! 皆良いとこあるじゃん」ニコ
全員(……まあ、いいか)
完
ありがとうございました。
この雰囲気嫌いじゃないおつ
おつおつ
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