ミキはね、ホントにズルいコなの。 (18)

こちらはアイドルマスターのSSです。

では始まります。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1542908327

 
──ミキはね、ズルいコなの。

「千早さん、んーー」

ミキからは何も言わないで、それでもわかってよって動いてる。イタズラっぽく逃げ道も作って、ホントにズルいコなんだ。

「…………」

 薄目でこっそり見ると、千早さんはやっぱり困って眉毛をハの字。

「んーー!」

「……よしよし、良い子ね美希は」

 少し迷って、さわさわって優しく頭を撫でてくれる。


 でもね、そっちじゃないの。

「むー、そっちじゃないのにー」

「ふふ、そっちはまた今度ね」

 ミキのいつもの言葉に千早さんのいつもの返事。



ね、また今度って、一体いつ来るの?──そんなのゼッタイ聞けないの。

「もー……千早さんのいくじなし」

 こうしてコッソリ、でもひょっとしたら聞こえるかもって声で、文句を言うのはできるのに──いくじなしは、ホントはミキの方。


 ホントに、ミキはズルいコなの。

 
──私はずるい女だ。


「千早さ~ん、んーー」

 美希のこの仕草、そこにある想いはわかってる……わかっているつもりだけれど。

「…………」

 それでも私は確証が欲しい。確固たる証がなければ踏み出せやしない、臆病者なんだから。

「んーー!」

「はい、お菓子をどうぞ。私と半分こだけどね」

「むぅ~……おいひいけど、ほうじゃにゃいの~」

 だから、こうしてはぐらかすような真似しかできないの。


「ふふ、食べながら喋るのは行儀が悪いわよ?……また今度ね」

「ふぁ~い……」

──ごめんね、美希。

 こうして絶対に聞こえないように、心の中で謝る事しか私にはできないの。

 
 本当に、私はずるい女。



──ミキはね、ホントのホントにズルいコなの。


「千早さん、んーー」

 やる事はいつもとおんなじ、でも特別な何かを期待してる。だって今日は──ミキの特別な日/誕生日だから。

「…………」

「んーー!」

 でもね、きっといつもとおんなじ。いつものように、千早さんの困った顔がミキの目の前にあるんだもん。


 けどね、そこから先はちょっと違ったの。

「そうね、今日は特別な日だものね」

「え?」

 いつもと違う言葉に戸惑うミキのおでこに、ちゅ……って淡い感触。え、これって──。

「え?え?千早さん、今──」

「ごめんね、美希。続きはまた今度ね」

「続き?ね、続きって──」

「今度は……もっと勇気をだすからね」

「……うん、うんっ!待ってるの!ミキ、待ってるからね!」

 千早さんも、もちろんミキも、すっごく良い顔してる。

 だってだって、こんなに嬉しいんだもん!良い笑顔してるに決まってるの☆


 でもね、ミキはやっぱりズルいコなの。

 今がとってもとっても嬉しくて、すっごくすごくふわふわしてるのに、もう次が待ち遠しいんだ。

──ね、千早さん。今度っていつ来てくれるのかな?


 やっぱりミキは、ホントにズルくて──ホントによくばりなコなの。

 
──美希は、本当にずるい娘だ。


「──あ。ねぇねぇ、千早さん」

「うん、何かしら?」

「んーー♪」

どれだけ経っても変わらずキラキラしていて、眩しくて。


「もぅ、またそれ?」

「んもー、いいから早く~……んーー」

「はいはい、わかりました──ん」

「んぅ──ん、ふふ♪ミキね、今すっごく嬉しいの」

「えぇ、私も……すごく嬉しいわ」

「じゃあじゃあ千早さんも、ミキといっしょだね、あはっ☆」

「ふふ、えぇ一緒よ。私達は、いつまでもどこまでも一緒、ね」

「うんっ、もちろんなの!……ね、千早さん」

 私の心をこんなにも強く捉えて、離してくれないんだから。

「もう一回、んーー……」

「もぅ、しょうがないわね──ん」

 唇から伝わる貴女のあたたかさを、決して逃さないように強く、強く抱き締めた。


おわり


はい、以上となります。

少しでもお楽しみいただけたのなら幸いです。


それと最後になりましたが、星井美希ちゃんお誕生日おめでとうございます。

これからもよろしくね。

特殊性癖物なら最初に注意書が欲しいな

おつおつ
シンプルイズベスト

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