ミキはね、ホントにズルいコなの。 (18)
こちらはアイドルマスターのSSです。
では始まります。
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──ミキはね、ズルいコなの。
「千早さん、んーー」
ミキからは何も言わないで、それでもわかってよって動いてる。イタズラっぽく逃げ道も作って、ホントにズルいコなんだ。
「…………」
薄目でこっそり見ると、千早さんはやっぱり困って眉毛をハの字。
「んーー!」
「……よしよし、良い子ね美希は」
少し迷って、さわさわって優しく頭を撫でてくれる。
でもね、そっちじゃないの。
「むー、そっちじゃないのにー」
「ふふ、そっちはまた今度ね」
ミキのいつもの言葉に千早さんのいつもの返事。
ね、また今度って、一体いつ来るの?──そんなのゼッタイ聞けないの。
「もー……千早さんのいくじなし」
こうしてコッソリ、でもひょっとしたら聞こえるかもって声で、文句を言うのはできるのに──いくじなしは、ホントはミキの方。
ホントに、ミキはズルいコなの。
──私はずるい女だ。
「千早さ~ん、んーー」
美希のこの仕草、そこにある想いはわかってる……わかっているつもりだけれど。
「…………」
それでも私は確証が欲しい。確固たる証がなければ踏み出せやしない、臆病者なんだから。
「んーー!」
「はい、お菓子をどうぞ。私と半分こだけどね」
「むぅ~……おいひいけど、ほうじゃにゃいの~」
だから、こうしてはぐらかすような真似しかできないの。
「ふふ、食べながら喋るのは行儀が悪いわよ?……また今度ね」
「ふぁ~い……」
──ごめんね、美希。
こうして絶対に聞こえないように、心の中で謝る事しか私にはできないの。
本当に、私はずるい女。
──ミキはね、ホントのホントにズルいコなの。
「千早さん、んーー」
やる事はいつもとおんなじ、でも特別な何かを期待してる。だって今日は──ミキの特別な日/誕生日だから。
「…………」
「んーー!」
でもね、きっといつもとおんなじ。いつものように、千早さんの困った顔がミキの目の前にあるんだもん。
けどね、そこから先はちょっと違ったの。
「そうね、今日は特別な日だものね」
「え?」
いつもと違う言葉に戸惑うミキのおでこに、ちゅ……って淡い感触。え、これって──。
「え?え?千早さん、今──」
「ごめんね、美希。続きはまた今度ね」
「続き?ね、続きって──」
「今度は……もっと勇気をだすからね」
「……うん、うんっ!待ってるの!ミキ、待ってるからね!」
千早さんも、もちろんミキも、すっごく良い顔してる。
だってだって、こんなに嬉しいんだもん!良い笑顔してるに決まってるの☆
でもね、ミキはやっぱりズルいコなの。
今がとってもとっても嬉しくて、すっごくすごくふわふわしてるのに、もう次が待ち遠しいんだ。
──ね、千早さん。今度っていつ来てくれるのかな?
やっぱりミキは、ホントにズルくて──ホントによくばりなコなの。
──美希は、本当にずるい娘だ。
「──あ。ねぇねぇ、千早さん」
「うん、何かしら?」
「んーー♪」
どれだけ経っても変わらずキラキラしていて、眩しくて。
「もぅ、またそれ?」
「んもー、いいから早く~……んーー」
「はいはい、わかりました──ん」
「んぅ──ん、ふふ♪ミキね、今すっごく嬉しいの」
「えぇ、私も……すごく嬉しいわ」
「じゃあじゃあ千早さんも、ミキといっしょだね、あはっ☆」
「ふふ、えぇ一緒よ。私達は、いつまでもどこまでも一緒、ね」
「うんっ、もちろんなの!……ね、千早さん」
私の心をこんなにも強く捉えて、離してくれないんだから。
「もう一回、んーー……」
「もぅ、しょうがないわね──ん」
唇から伝わる貴女のあたたかさを、決して逃さないように強く、強く抱き締めた。
おわり
はい、以上となります。
少しでもお楽しみいただけたのなら幸いです。
それと最後になりましたが、星井美希ちゃんお誕生日おめでとうございます。
これからもよろしくね。
特殊性癖物なら最初に注意書が欲しいな
おつおつ
シンプルイズベスト
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