【モバマス】11月11日 (16)
P「今日は11月11日……ポッキー&プリッツの日か」
P「特に何かあるわけじゃない普通の日だけど、俺にとっては大変な一日になりそうだ……」
ガチャ
ちひろ「おはようございます」
P「あ、ちひろさん。おはようございます」
ちひろ「どうしました? トイレ満員だったんですか?」
P「我慢してそうな顔してますか」
ちひろ「ええ。違うんですね」
P「今日は11月11日ですよ。これだけの情報で俺の心中を察してくれるでしょう」
ちひろ「あー……なるほど。去年はお疲れでしたもんね」
P「去年も一昨年もですね。仮病使って休もうか考えたほど憂鬱です」
P「どうせ休んでも家まで押しかけてくると判断して泣く泣く出社しました」
ちひろ「そんなしょうもない理由で休まないでください」
P「他人事だからしょうもないとか言えるんですよ、実際しょうもないですけど」
P「いつ彼女らが話を切り出してくるか、ずっと気にしてて……恐怖心も芽生えそうで……」
ちひろ「大げさですねぇ。とって食われるわけでもないのに」
P「いや、ある意味食われるかも…」
ガチャ
凛「おはようございます」
P「!!」
ちひろ「凛ちゃん、おはようございます」
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P「……」
凛「プロデューサー、おはよう」
P「あ、ああ……おはよう」
凛「どうしたの? トイレ満員だった?」
P「排泄を我慢してるんじゃないよ。ちょっと心配事があってな」
凛「そうなんだ、私でよければ相談に乗るよ」
P「本当か?」
凛「力になれるなら。何でも言って」
P「相談というより、お前含めたアイドルたちにお願いがあるんだ」
凛「どんなお願い?」
P「今日一日、ポッキーゲーム禁止」
凛「……」
凛「……ふふっ」
凛「何言ってるのプロデューサー。今日は11月11日なんだよ?」
凛「意中の人にポッキーゲームを挑んで、キスに成功したら恋人になれるっていう夢のような日なのに」
P「そんなルールねえよ」
凛「なお、挑まれた異性はポッキーゲームを断ることはできない」
P「ルール追加すんな! 話聞いてるか!?」
P「去年も一昨年も説明しただろ! いつになったらその間違った認識を改めてくれるんだよ!」
凛「ということでプロデューサー、いざバトル」パクッ
P「毎度のこと聞く耳持たないな!」
凛「ほらプロデューサー、私は準備できてるよ。さっさと咥えて」クイクイ
P「しない! してたまるか!」スタタタッ
凛「あっ、逃げた。逃がさないよ」スタタタッ
ちひろ「2人ともー、お仕事とレッスンは欠かさずにお願いしますねー!」
ちひろ「さてと……いちごポッキー食べながら頑張ろう♪」スタスタ
――――
P「はぁ……はぁ……! 撒いたか?」
P「まったくもう……何で俺の意思を無視して強行突破してくるんだよ……」
まゆ「本当ですよねぇ。相手の気持ちはちゃんと考えないと」
P「……」
まゆ「ということで、相思相愛のまゆとポッキーゲームしましょう♡」
P「うわああああああ!?」
まゆ「ど、どうしました!? 凛ちゃんが出ましたか!?」キョロキョロ
P「お前だよお前っ! どうして男用トイレにいるんだ!」
まゆ「走ってるプロデューサーさんが見えたので、ぴったり背後にくっついて来ました」
P「怖すぎる。足音聞こえなかったぞ、忍者か」
まゆ「くのいちまゆの誕生ですねぇ♪」
P「言ってないで出て行け」
まゆ「その前にポッキーゲームです。挑まれたら断れないはずですよね?」
P「お前らが勝手に決めたことだろ! 俺は知らない!」
まゆ「プロデューサーさんが知らなくても、これは346のアイドルたちで決めたことなので、絶対ですよぉ♪」
P「さっきお前、相手の気持ちは考えないとって言ったよな?」
※キャラ崩壊注意 と書き忘れていました、ごめんなさい
まゆ「それはそれ、これはこれです」
P「理不尽にもほどがある」
まゆ「さあ、まゆは準備できてますよ。ポッキーゲームしましょう」スッ
P「誰がするか!」スタタタッ
まゆ「あっ、外は危険です! 凛ちゃんに見つかりますよ!」
P「同じくらいまゆも危険だよ!」
スタタタッ
まゆ「ちっ……せっかく2人きりになれたというのに」
まゆ「しょうがないですね、違う方法で追い込みますか」
――――
P「ぜぇ……ぜぇ……! くそ、どこに逃げてもアイドルがいそうだな」
P「どうすればいい? この理不尽な状況は打破するには、どうすれば……」
ガシッ
P「!?」
P(しまった、腕を掴まれた! 一体誰に……!)
奈緒「よ、よう」
千枝「……」モジモジ
響子「おはようございます……」
夕美「……」ソワソワ
P(4人!? みんなポッキーかプリッツを持ってる!)
P「お前たちもか」
奈緒「え?」
P「お前たちも、ポッキーゲームを?」
千枝「は、はい……」
P「何故だ……4人は今まで一度も、こんな奇行に走ったことなかったのに……」
奈緒「奇行ってなんだよ」
P「ポッキーゲームをしに来たんだろ?」
響子「はい。凛ちゃんが話してるのを聞いて」
P「えっ?」
夕美「凛ちゃんが、プロデューサーさんとのポッキーゲームに勝てば」
夕美「こっ……恋人になれるって……」カァァ
P「……」
響子「本当の話……なんですよね?」
P「いや……」
P(もしかして、この4人は出まかせを耳にしただけ?)
千枝「違うんですか?」
P「ああ……それは、凛やまゆが勝手に言ってるだけなんだ」
P「事実じゃない、真っ赤なウソだよ」
奈緒「なあっ!?」
響子「う、ウソだったんですか!」
夕美「慌ててポッキーを買ってきたのに……!」
P「……」
P「えっと……その話を聞いて、俺のもとに来たってことは」
P「まさか……」
千枝「!!」
奈緒「ち、ちち、違うぞ!? これはレッスンの後に食べようと思って……!」
夕美「そうそう! お茶と一緒に!」
千枝「あ……う……」カァァ
響子「えっと、その……!」
響子「こ、これからレッスンがあるんでした! それでは!」スタタタッ
夕美「私もレッスンだった!」スタタタッ
千枝「ご、ごめんなさい……!」スタタタッ
P「……」
奈緒「絶対に違うからな! 勘違いするなよ! これは1人で食べようと思ってたんだ!」
奈緒「だから……って、誰もいない!?」
P「……」
奈緒「うっ……ううっ……!」
奈緒「本当に違うからなぁぁぁ!!」スタタタッ
P「……」
――――
P「驚いた。そんな素振り全く見せなかったのに」
P「まあ奈緒は、もしかして? と思ってたけど、本当だったとは」
P「って気を抜いてる場合じゃない。このポッキーゲーム騒動を収めないと仕事もできやしない」
P「何か策を考えないと……」
ツンツン
P「……」
ツンツン
P「ごめん、ちょっと待って。今考え事を……」
P「……」クルッ
留美「やっと見つけた」
P「!?!?!?」
スタタタッ
留美「逃がさないわ」ガシッ
P「ひいっ!」
P「る、留美さん……俺に何の用でしょうか……?」
留美「私を見て逃げたってことは、何の用か理解できるでしょう?」
留美「ポッキーゲーム、しましょう」ニコッ
P「ごめんなさい」
留美「いいプロデューサー君。あなたの選択肢には『はい』か『いいですよ』か『分かりました』か『イエス』しかないの」
留美「裏ワザを使えば『そんなことより結婚しよう』も増えるわ。っていうかそれを選んでくれるに越したことはないわね」
P「留美さん、正気に戻ってください! 仕事をしてる時のあなたはとても輝いてるじゃないですか!」
P「プライベートだとこうなってしまうのは何故なんですか!」
留美「誰にも操られてないわよ。強いて言うなら」
留美「私はあなたの魅力に操られてるわ」フフッ
P「誰か助けて!! ってダメだちくしょう! 叫んだところで別の脅威が迫ってくる!」
留美「さあ、私はもう咥えたわ。早くあなたも咥えて」クイクイ
留美「そして私が勝った暁にはあなたのを咥えさせて」
P「最低です留美さん!!」
???「そこまでよ留美ちゃん」
留美「!?」
P「こ、この声は……!」
瑞樹「待たせたわね」ジャーン
早苗「プロデューサー君の隣で共に人生を歩んでいくのは」ドーン
美優「わ、私です……!」バーン
P「脅威が3つもやって来た!!」
留美「くっ、別々で捜索したのにもうここまで……!」
早苗「抜け駆けとはいい度胸じゃない」
瑞樹「確か4人で協力して、見つけたら全員に知らせるんじゃなかった?」
美優「そして、そこから4人で真剣勝負をすると約束を……」
留美「し……仕方ないじゃない……」
留美「プロデューサー君とキスしたいもの! カップルになってイチャイチャしたいもの!」
早苗「まるで恋愛初体験の少女のような考え方」
美優「で、でも……気持ちは痛いほど分かります……」
瑞樹「……ええ。よく考えると、きっと私たちだって、留美ちゃんの立場だったら抜け駆けすると思うし」
瑞樹「でしょう?」
早苗「そうかしら」
美優「してしまうと思います。少なくとも、私は……」
早苗「……そうね。しちゃうかもね」
瑞樹「だから、留美ちゃん」
瑞樹「私たちは、あなたのことを許すわ」
留美「……!」
留美「いいの……? こんな私を、許してくれるの……?」
早苗「ええ」ニコッ
留美「あ、ありがとう……」ウルウル
P(勝手にドラマをやってる今のうちだ。抜け出そう)コソコソ
ガシッ
P「!!」
瑞樹「どこに行くの?」
早苗「お楽しみはこれからでしょ♪」
美優「プロデューサーさん……」
留美「ポッキーゲームをしましょう」
P(一致団結した!)
P「うおおおおおおお!!」スタタタッ
早苗「しまった! 拘束が甘かった!」
瑞樹「追うわよ!」
――――
P「ひぃ……ひぃ……!」
P(た、体力が……このままじゃいずれ走れなくなる……!)
P(その前に、どうにかしないと……!)
凛「発見!」
P「!?」
凛「プロデューサー、今度こそ逃がさないよ! 大人しく私とポッキーゲームをして!」スタタタッ
P「絶対に嫌だっ!」スタタタッ
凛「何でなの!? 早くしないと、まゆや大人組にあんなことやこんなことされちゃうんだよ!」
P「俺は誰のものにもならない! 少なくとも今はな!」
まゆ「いいえ」
P「!?」
まゆ「今のうちにものにしておかないとダメなんです。プロデューサーさんはとても素敵な人ですから」スタタタッ
P「ナルト走り!?」ガーン
P「まゆ!!」
まゆ「はい」
P「お前いつからそんな走り方を!! ってか足速くないか!?」
まゆ「プロデューサーさんを追い詰めるために、アイドルのレッスンとは別で日々特訓してるので」
P「涼しい顔してるのも特訓のおかげか!!」
まゆ「はい♡ 逃がしませんよぉ♡」
P「ひぃぃぃぃぃ!?」
留美「見つけたわ!」
P「!?」
瑞樹「マズイわ、凛ちゃんとまゆちゃんに狙われてる!」
早苗「その前に私たちで保護するわよ! さっき説明したフォーメーションBで!」
美優「了解です……!」
P(美優さんが見たことないような鋭い目つきしてる!)
P「ちくしょおおおおお!!」ズダダダッ
瑞樹「階段を上がった! 屋上へ行く気よ!」
留美「袋のネズミね」
早苗「その前に……」ササッ
まゆ「そこ、通してもらえますか?」
凛「お願いします」
美優「ごめんね……それはできないの……」
留美「プロデューサー君の結婚相手は、同じ大人がふさわしいわ」
瑞樹「諦めて」
まゆ「……凛ちゃん」
凛「そうだね……ここは休戦して、一旦手を組んだ方がいいみたい」
ゴゴゴゴゴ
――――
P「はあっ、はあっ、もうっ……無理だっ……!」
P「こ、このまま……やりたい放題にされるのか……? それは、避けたいけど……」
P「体力が……もう……!」
P(と、とりあえず屋上に隠れて、体力を回復させよう……)
ガチャ
P「はぁ……はぁ……」
P「くっ……隠れるったって、どこにすれば……!」
ギャーギャー
「プロデューサー君は私の!」
「まゆのですぅ!」
P「うっ、ヤバいぞ。すぐそこまで来てる」
今西「おや? どうしたのかね」
P「!!」
今西「かなり疲弊してるようだが……社内で運動かな?」
P「い、今西部長! 隠れるとこありませんか!?」
今西「え?」
P「どこでもいいんです! 実は追われてて…」
ドンッ
P「!?」
まゆ「まゆが先にぎゅってしました!」
凛「いいや私だよ!」
留美「私よ!」
スタタタッ
瑞樹「ちょっと、何してるの! プロデューサーに怪我させちゃダメよ!?」
早苗「そうよ! 大丈夫? プロデュー……サー……」
美優「……え……?」
P「……!!」ブチュー
今西「……!?」ブチュー
美優「あ……ああっ……!」
瑞樹「こ、これは……」
凛「……」
P「……ぶはあっ」
P「す、すみません今西部長……おえええっ」
P「し、失礼しました!」フキフキ
今西「いや……いいんだ……今のは事故だ……気にしないでくれ……」フキフキ
P「誠に申し訳ありませんっ!」ペコリ
まゆ「……」
留美「……」
凛「……す……」
凛「すみませんでした」ペコリ
まゆ「まゆ、いえ、私たちのせいで」ペコリ
留美「申し訳ありません」ペコリ
瑞樹・早苗・美優「申し訳ありません」ペコリ
今西「はは、いいんだよ……でも、はしゃぐのはほどほどにね……」
「「「はい……」」」
P「誠に! 誠に申し訳……おえええっ」
――――
P(ポッキー&プリッツの日から時は過ぎ、11月12日)
P(今西部長との事故があったおかげで、アイドルたちは猛反省し、今後あんなことはしないように誓ってもらった)
P(ついでに346プロの掃除も、自主的にしばらくやるそうだ。口だけでなく行動にも反省の色が見えるので一安心だろう)
P(そうそう……口といえば……)
P「今西部長、おはようございます」
今西「ああ……君かね……」
P「昨日の件について、再度謝罪をしたく……」
今西「いいんだよ。本当に」
P「でも……」
今西「すまないが、これから会議があるんだ。話ならまた後にしてくれ」
P「は、はい」
P(この反応、相当怒っている。今西部長と目を合わせて話せるのは。許してもらえるのはいつになるだろうか)
P(……それにしても……)
P(部長の頬が赤みを帯びているように見えたのは、気のせいだよな……?)
P(……気のせいであってくれ……)
由里子「……ほう……」
おわり
今日中に何か書きたかった
投稿時間、11時11分に合わせるつもりが…
読んでくださりありがとうございました
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