三船美優「Rollin' Stone」(R-18)(71)

P✕アイドルではありません
地の文多様しています
人によっては嫌悪を抱く表現があります

あと初めてです

「皆の初恋っていつ」
 よく通る心の声が、飲み会場にされた美優の部屋に響いた。
 心の言葉に、美優、留美、麻里菜、聖(ベテトレ)は顔を見合わせた。
「はぁと、なに言ってんの」
 麻里菜が溜息混じりに言った。
「そ、そうですよ、心さん」
 美優が慌てながら続いた。
 それに追随するように留美と聖も頷いた。けれど心は「えーだって、女子5人集まって、夜更かしといえば恋話っしょ」と楽しそうに言った。

「なら言いだしっぺの心の初恋はいつなの」
 また溜息を吐いてから麻里菜は言った。内心では、こう言えばこの話が終るかと思ったから。
「えっ。私の初恋」
 麻里菜の思惑通り、麻里菜の言葉を聞き心は目を泳がした。けれど手に持ったなみなみと注がれたビールを一気の流し込むと
「はぁとの初恋は幼稚園のたっくん」
 と豪快に宣言した。

心の大きな声に、残りの四人は慌てながら辺りを見渡した。
 ここは美優宅。他人がいるはずはない。けれどアイドルとしてはあるまじき言葉に皆が慌てた。けれど心は慌てる4人を見ながら「ひじりんの初恋はいつ。で、誰よ」楽しそうに囃し立てた。
 むりやりバトンを渡された聖は困惑しながら、3人に助けを求めた。
「聖さんムリに答えなくても」
「そ、そうよ」
「えぇ」
 麻里菜、留美、美優が口々に助け舟を出してきてくれた。
けれどアイドルではない聖を見る三人の目は、消灯時間すぎた布団に包まりながら恋花に勤しむ女学生のように輝いていた。

 聖は自分のグラスにビールをなみなみに注ぐと、心のように一気に流しこんだ。そして
「小学生5年の同じクラスの西田君」
 と、やけくそに言った。
そして3人をじろりと睨んでから「沢田。オマエはどうなんだ」とオフの時の親しい名前呼びではなく
トレーナとして、レッスン場で檄を飛ばすような強い口調で
麻里菜の名を呼び、睨んだ。

 にらまれた麻里菜は、目を泳がせながら留美と美優に助けを求めた。
けれどいつの間にか横に座っていた聖が、麻里菜の肩に手を回し、ビールをグラスに注いできた。
 麻里菜は聖の目を見た。聖の目はわかってるよな。と、無言の圧力をかけてきた。
 その目に飲まれた麻里菜はビールを注がれたグラスを持つと、先の二人に倣って一気に飲み干した。
 そして「小学生一年の頃のミツキ君です」とやけくそに言った。

 そしてそのまま留美を見てから
「留美さんの初恋はいつなんですか」と管を巻いた。
「えっ、えっ。ちょっと、美優助けて」
 留美は美優に助けを求めたが、体がいつの間にか固定されている。
 留美は首を回せるだけ回し、後ろを確認した。
 聖が後ろから羽交い絞めしている。

「るーみん。ビールの用意、で・き・た・ぜ」
 心の愉快そうで不吉な言葉が耳に届いた。
 留美はおそるおそる正面を向いた。
 いつの間にかグラスにビールがなみなみに注がれている。
 留美が顔を背けていたときに麻里菜が注いでおいた物。
留美は顔を横に振り、拒絶した。けれどグラスが近づいてくる。

「るーみん。あーん」
 心が無理やり飲まそうとしてくる。
 留美は「わかった。わかった、言うから一気はなし」と叫んだ。
 けれどグラスはまだ留美の目の前に浮いている。
 留美は息をゆっくりと吸い、ゆっくりと吐き出してから
 「ちゅっ、中学の時の山下先生」と言った。

 留美の言葉を聞き「マジで」と心が食いついてきた。
 やばい。留美はこのままでは根掘り葉掘り聞かれる。と察し
 「美優の初恋はいつ」とボールを無理やり渡した。
 突然ボールを投げられた美優は「えっ、えっ」と4人を見た。
 留美をの除いた3人は本筋を思い出したらしく
 期待に満ちた目で美優を見てきた。
 美優は留美に助けを求めたが、留美の目は逃げれた事に安堵していた。

「言わなきゃ…ダメですか」
 美優の言葉に皆が頷いた。
「えっと…。その…。私の初恋は…。ぴ…Pさんです」
 美優の言葉に全員、顔を見合わせた。
 美優は一人恥ずかしそうに俯いている。
「ちょっ、ちょっと良いかな、美優ちゃん」
 心が恐る恐る口を開いた。
「はっはい、なんでしょう」
「美優ちゃんって処女」
 あけっぴらな心の言葉に麻里菜が心の頭を叩いた。

「心。聞きかたってものがあるでしょ」
「じゃあマリナルどう聞けば良いの」
「そ、そりゃあ」
 麻里菜は言葉に詰まった。
「でしょ。つーことで悪いんだけど。もういっぺん聞くけど、美優ちゃんって処女」
 心の問いかけに美優は俯き、恥ずかしそうに首を横に振った。

「ちょっ、ちょっと待ちなさい美優。ならアナタは好きでもない人とせっ…」
 留美は一度言葉を区切り咳払いしてから
 「好きでもない人とエッチしたの」
 恥ずかしそうに言葉を続けた。
 留美の問いかけに美優は首を首を横に振った。
「じゃあ、誰としたんだ」
 今度は聖が口を開いた。聖の言葉を聞き美優は俯きながら
「その。えーと。話さなきゃ、いけないんですか」とポツリとこぼした。
 美優の呟きに4人は顔を見合わせてから美優を見た。

 美優に向けられて八つの瞳は、好奇心で溢れていた。
 そして美優が口を開くのを楽しみにしている。
 美優は何も言わない好奇心に溢れた瞳の圧力に流され口を開いた。


「私の初めては大学入学してすぐでした」

 入学式。大学進学の為に、たった一人で岩手から出てきた私に
 偶々隣に座っていた彼が話しかけてきてくれたんです。
 突然の出来事に驚きました。
 今思い返しても、その時彼と何を話していたのか思い出せません。
 けどそんな彼が、大学入っての初めての友達で
 私の初めての人。
 彼はとても明るく色んな人と直に友達になってしまう人でした。
 そんな彼のおかげで直に同性の友達もできました。
 おかげで私は一人ぼっちにならず、順風満帆の大学生活が始まりました。
 
 そしてある日、GWに入る前あたりでしたか。彼から告白されたんです。

 その時、私は彼のことをただの友達としてしか見ていなく、お断りしたんです。
 高校の時のように。
 けれどそのことを友達に話すと、勿体ない。なんで。と聞かれました。
 私はその「好きではない」と言ったんです。
 すると友達が
「付き合ったら好きになるかもよ」
 付き合ってみなきゃわかんないじゃん」
 と言ってきたんです。
 そして彼もめげることなく、何度も私に告白してきたんです。
 彼の真摯な態度と、友達の言葉に流されてしまった私は
 根気負けしてしまい、彼からの告白を受け入れたんです。

 彼はとても喜んでいました。
 告白を受け入れたその日から私と彼は恋人になりました。
 ただ今思えば、そこには彼が私を好きという一方通行の感情しかありませんでした。
 彼と付き合うことになったと友達に言ったら
 自分の事のように喜んで祝福してくれたんです。
 そしてあるモノを私に手渡してきました。
 

 何だろう。

 無知だった私は、掌に乗っけられた真四角のモノに戸惑い、首を傾げました。
 すると友達が耳元で『コンドーム』と囁いてきたんです。
 私はその言葉を聞き、掌に置かれた包装されたコンドームをテーブルに落としてしまいました。
 友達は、もー、初心いなぁ。と笑いながら再度私に、コンドームを渡してきました。
 私は要らないって言ったんです。
 けれど友達は『アイツと付き合うんならもっとかないと、いざという時に困るよ』と言ってきたんです。

 私は『要らない』と無理やり返そうとしたんですが
 『自分の身は自分で守んなきゃダメだよ』と無理やり押し切ってきました。
 押し切られた私の掌の上に、包装されたコンドームが残りました。
 けれど今思えば友達の気遣い正しかったんです。
 彼は大学生の男子なんですから。
 コンドームを渡されたその日は彼とデートする約束でした。
 私はコンドームを鞄にしまい、彼とデートしました。
 けれどコンドームを渡された私は、気恥ずかしさから彼と距離をとりながら歩いてしまいました。
 彼は不自然な行動をとる私に苦笑いするだけで、深く聞いてきませんでした。
 その日は何事もなく駅でお別れしました。
 そのとき内心ほっとしていました。

 それから日は進み、ある梅雨の日でした。

 その日は梅雨と言う言葉がとても似合う日。
 空は鈍色の厚い雲に覆われ、昼間なのに暗く
 前日の昼くらいから降り始めた雨粒は、世界にいく筋もの線を引いては
 アスファルトに留まり、鈍色の空を映してました。
 私も彼も三間目までで、バイトも飲み会もない、なにもない日。
 放課後ではないのですが、放課後デートと言う言葉が似合う日。
 私と彼は大学を一緒に出ました。
 そして傘を並べ、他愛もない会話をしながら帰りました。
 その途中で彼が、家で映画見ないか誘ってきたんです。
 その時はわからなかったんですが、今思うと彼は誘ってきたのでしょう。
 何も知らなかった私は彼の誘いに乗り、私達はレンタル屋さんによりました。
 そして互いに好きな映画を一本ずつ選び、お店を後にしました。

 彼の家につき、彼のベットをソファー代わりに映画を見始めました。
 彼が選んだ映画はある音楽雑誌記者の自叙伝的映画。
 私が手に取ることのない映画。
 私は少し彼を知った気になりました。
 映画のエンディングクレジットが流れ終わり、映画は終りました。
 私は彼に映画の感想を言おうとしたその時、私の唇をかさついた少し固い感触が覆いました。
 その感触はほんの僅か。
 けれど私はその僅かな感触に驚きました。 
 そのキスが私の初めてのキス。
 レモン味でも、甘酸っぱくもない、味のしないキス。

『美優』
 彼が優しく私の名を呼びました。
 けれど私は突然のキスに戸惑い、無意識のうちに自分の唇に触れてました。
 その行動良くなかったのでしょう。
 次に気がついた時には初めて見る天井が広がり
 窓の向こうからは雨音が聞こえてきました。
 私が呆気にとられていると、彼がもう一度覆いかぶさってきました。
 また唇にかさついた少し固い感触。
 二度目のキスは初めてのキスより少し長く、私を覆いました。

『美優、スキだ』
 二度目のキスを終えた彼は、矢継ぎ早に言ってまた私の唇を覆いました。
 三度目のキスは二度のキスとは違うものでした。
 彼の舌が私の唇をこじ開けてきました。
 突然の出来事に私はなすすべなく彼を受け入れてしまいました。
 ザラり。としたものが私の舌に絡み付いてきました。
 そして確認すように何度も何度も絡み付いては離れ
 また絡み付いてきました。
 私は呼吸の仕方がわからなくなり、息苦しくなってしまい
 彼の背中をたたきました。
 彼は気がついてくれたのか、名残惜しそうに私から離れていきました。
 私と彼が交わった証しが糸を引いてました。

 私は空気をめいいっぱい吸いました。
 湿り気の帯びた空気。
 けれどまた直に彼が私の唇を覆ってきました。
 彼が私の中を這いずります。
 そしてしつこく私に絡み付いてきます。
 なれないざらりとした感触。
 正直私はイヤでした。
 けれど彼を突き放すことができず、ただ目をきつく閉ざし、我慢しました。
 けれどそれがいけなかったのでしょう。
 目を閉じて閉まったことにより
 彼のざらりとしたものの感触が余計に鮮明になってしまいました。
 そしてくちゅ。くちゅ。と彼と私の唾液が交わる音が微かに聞こえてきてしまいました。
 押し倒された私はただ時が過ぎるのを待ってました。

 彼は満足したのか、けれどどこか名残惜しそうに、私から離れていきます。
 私はおそるそる目を開くと、彼と交わった証しである糸が引いていました。
 糸を辿り、彼の唇を見ると、かさかさしていた唇が、艶めかしく光っていました。
 そのまま視線をずらし彼の目を見ると、いままで私を見てきた優しい目ではなく。
 焦点が定まることはなく、絶え間なく私の体を舐め回す様に見てきました。
 そして『はぁ、はあ』と彼の不規則な息づかいが部屋に響いてました。
 私は無意識に胸を隠しました。
 けれど男の人の腕力に勝てることなく、私の腕は簡単にほどかれてしまいました。

 たしかその日は白のブラウスを着ていたと思います。
 彼はブラウスや、ブラジャーなどを気にすることなく、私の両胸を鷲掴んできました。
 ブラウスごと私の胸は彼の手の形に。
 痛い。
 力任せな彼の欲望はただの痛みでしかなかったです。
 けれど、彼は私のことなど気にすることなく
 私の胸の感触を確かめるように何度も何度も揉んできました。
 そのたびにブラウスが擦れ、痛みによって私の胸は彼の手の形に変わっていきました。
 私は口を固く結び、早くその苦痛が過ぎ去るの待ちました。

 『ごめん』
 私に気がついてくれたのか、胸を鷲掴む痛みが引いてきました。
 私はようやく終ったと。ほっとしたんです。
 彼の『ごめん』と言う言葉を聞いて。
 けれど私の気持ちは、彼の次の行動で見事に打ち砕かれてしまいました。
 彼は私の胸を凝視したまま、私に馬乗りしてきたんです。
 そして私のブラウスのボタンに手をかけたんです。
 そしてボタンを外そうとしてきました。
 けれどなれないブラウスのボタンに、四苦八苦してなかなか外せません。
 それがじれったかのか、ブラウスの隙間に手を入れ、無理やりこじ開けようとしてきたんです。
 『待って』
 私は慌てて彼に声をかけました。ボタンが引きちぎられてしまった帰れない。
 私は必死に呼びかけました。

 まだ彼に冷静な部分があったのでしょう。
 彼はブラウスをこじ開けるのをやめてくれました。
 私は彼に悟られぬよう、息をゆっくりと吐いてから、胸を隠しました。
 彼は胸を隠されたのが気にくわないのか、ギロリと私の目を見てきました。
 その目はまるで飢えた獣のよう。
 私はその目に怖気づき『脱ぐから待って』と言ってしまいました。
 後から思えば、正直、逃げることもできたのでしょう。
 けれどその時の私の選択肢は、自分から脱ぐことしかありませんでした。
『お願い、どいて』
 私の言葉に彼は素直に応じてくれました。
 私は体を起こし、彼に背を向けて座りなおしました。
 そしてゆっくりと、上から一つずづブラウスのボタンをほどいていきました。
 
 
 どんなブラしてたっけ。

 すべてのボタンをほどいた私は、自分が身につけているブラジャーを見ました。
 色気や飾り気のないベージュのブラジャー。
 私は一瞬後ろを振り返り、彼の表情を伺いました。
 彼は今か、今かと、目をぎらつかせながら私を見てきました。
 私は唾を飲み込み、脱ぐことに躊躇しました。
 けれど彼の視線の圧力に耐え切れずブラウスを脱いでしまった。
 私は時間稼ぎにゆっくりとブラウスをキレイに畳み、邪魔にならないところに置こうと思ったんです。
 けどその思惑は通りには進みません。
 痛みと共に、ぐにゅっ。と胸が形を変えました。
 我慢できなかった彼が、背後から胸を揉んできたのです。
 『ま、待って』
 けれど今度は待ってくれませんでした。
 彼はまるで初めて与えられたおもちゃを遊ぶ子供の様に、私の胸を執拗に揉んできます。

『お願い。お願いだから、待って』
 けれど待ってはくれません。私は必死に彼を振りほどこうとしました。
 けれどやはり男の人には勝てません。
 彼はブラジャーが邪魔らしく、隙間から直接胸に触れてきました。
 初めて触れられた男の人の手の感触は想像以上にごつごつし
 ケアなどが全くされていないせいでささくれだってました。
 私は初めて触れられた手の感触に呑みこまれてました。
 ぐにゅっ。ぐにゅっ。と、まるで潰すように彼は力いっぱい私の胸を揉み
 『すっげ』『やっべぇ』
 耳元では粗い息をしていました。
 その時の行為に気持ちよさなどなく、ただ恐怖と痛みしかありませんでした。
 私は歯を食いしばり、彼が飽きるのを必死待ちました。
 
 ようやく飽きたのか、彼は私の胸から手をどかしてくれました。
 けれど違いました。
 彼は私のブラジャーに手をかけ、無理やり剥ぎ取ろうとしてきました。

『お願い。ホックから外して』
 彼の乱暴な扱いにブラジャーが壊れてしまうかと思いました。
 けれどホックが上手く外せなかったせいか、また乱暴にブラジャーを剥ぎ取ろうとしてきました。
 私は慌てて背中に手を回し、ブラジャーのホックに手をかけました。
 私はホックを外すことにも躊躇しました。
 けれど彼の無言の圧力の前にゆっくりとホックを外してしまいました。
 ホックが外れたことにより、ブラジャーで固定されていた胸が自由になりたゆたいました。
 私は片腕で隠すように胸を支え、ブラジャーを脱ぎました。

『美優。こっち向いて』
 優しいけどどこか怖い声。私はゆっくりと彼の方を向きました。
 私は彼の顔を見ることができず、俯きました。俯いた瞬間、彼の下半身が目に入ってきてしまいました。
 ズボン越しでもわかる彼のいきり立ったモノ。
 私は両腕で胸を隠し、目を閉じました、けど彼の手が私の顎に触れ、無理やり顎を持ち上げると
 キスしてきました。
 そしてそのまま私を押し倒してきました。
 私は目を開けるのが怖く、必死に固く閉ざしました。
 彼のごつごつした手が私に触れます。
 私の腕はなすすべなく剥がされてしまいました。

 ひんやりとした空気がまず胸を撫でました。
 そして次に、ごつごつした手が胸を揉んできました。
 さっきと違い、胸の感触を確かめているのか、優しく揉んできました。
 優しく揉まれるとくすぐったく変な感じ。
 私は恥ずかしさからせめてと、手で顔を覆い隠しました。
 いま思い返せば最悪の選択ばかりしていました。
 顔を覆ったせいで、胸を揉まれる彼の手つきが妙に鮮明で
 ごつごつした手が、私の胸をむにゅっ。もにゅっ。とまさぐってきます。
 気持ち悪い。けれど彼が怖いのであげることなどできません。

 私の胸を揉む彼のごつごつした手が、時折胸の突起に触れてきます。
 擦られるたびに体がビクつき、なんともいえないむず痒さが、体を駆け巡ります。
 私がその感覚に抗うため歯を食いしばろうとした瞬間。
 片方の突起が生暖かい感触に覆われました。
 私は驚き、指の隙間からおそるおそる見ると、彼が私の突起を口に含んでいました。
『やめて』
 私は思わず叫んでいました。
 けれど彼はやめることなく私の突起を口付けを続けます。
 彼は突起をあまがんだり、ちゅぱ。ちゅぱ。と音をたてる様に何度も突起に吸い付いてきます。
 そのたび、ぞわぞわと虫唾が走るような不快感が体をめぐります。

 私が下唇を噛み必死に耐えていると今度は、ざらりとした感触が突起を舐めてきました。
 あまがみされたとき以上の不快感で体がぞわぞわと鳥肌。
 けれど彼は気にすることなく突起を転がすように舐め回してきました。
 私は必死に声を殺し耐えました。
 どれだけ咥えられていたかわかりません。
 ようやく飽きたのか、彼は突起から口を離してくれました。
 ひんやりとした風が突起を撫でます。おそらく彼の唾液のせいでしょう。
 梅雨のじめっとした空気でさえも冷たく感じさせます。
 突起を見ると、ピンク色の突起が唾液のせいで薄っすらと艶めかしく光っていました。
 そして『はぁ、はぁ』と彼の荒々しい呼吸の音が響きます。

 私はただ呆然としながら、いやらしく光る先を眺めていました。
 その時。生唾を呑みこんだ音が聞こえた気がしたと同時に私のスカートが翻りました。
 部屋の中なので風のせいでスカートが翻るわけがありません。
 彼が私のスカートの裾を持って、勢い良くスカートを翻したんです。
 ブラジャーとセットアップの白いショーツが露わに。

 また『はぁ、はぁ』と彼の荒い呼吸。
 そして『これが』と言う声。
 一瞬何のことを言ってるのわかりませんでしたが、彼の指が私のショーツに。
 いえショーツ越しに秘所を触れてきたんです。
 やめて。
 私はそう叫びたかったんです。けれど恐怖のあまり声が出てくれません。
 何も知らない彼は、ショーツの上から確かめるように何度も、何度も秘所をなぞってきます。
 ぞくぞくと体が震えました。
 その震えは快楽ではなく、恐怖心。嫌悪感しかありません。
 けれど彼を拒絶してしまったら、
 彼に嫌われてしまう。
 という、今思えばおかしな心理状況なせいで彼を受け入れてしまいました。

 彼は私を尻目に。いえ私のことなんて見てなかったんでしょう。
 ただ私の。いえ、おそらく初めて触れた異性の性器に興奮しているのか、私の秘所を触れながら
 『すっげ』『湿ってきた』『マジで濡れんだ』
 興奮気味に口走ってました。
 私は彼に嫌われたくない一身で、声を殺し、彼が飽きるのを願いました。
 けれどその願いは簡単に壊されてしまいました。
 それもそうですよね。
 初めてで興奮している男が、私のことを思ってくれた事は、一度もなかったんですから。
 いえ、違いますね。他の人としても私のことを本当に思ってくれたのはあの人しかいませんでした。
 私は時間がただ、過ぎていくのを我慢していました。
 その時、ぞくりと、物凄い不快感が秘所を広げてきました。
 私が秘所を見ると、ショーツが横にずらされ、彼の指が露わになった秘所に、おそるそる触れていました。

 『これが』
 生唾を呑み込む音が聞こえ、食い入るような視線が秘所に注がれます。
 そして、壊れ物を扱うように私の秘所を広げてきました。
 初めて秘所を見られたせいか、顔が異様に熱く感じます。
 『やっべ』『すっげ』『やらしい』
 彼の興奮した鼻息が秘所に当たり、くにゅ。くにゅ。と弄りながら秘所を広げてきます。
 そして『これがクリ』と彼の指が突起に触れてきました。
 触れられた瞬間、体に弱い電流が走ったようにビクつきました。
 彼は私の反応に気がついたらしく、くり。くり。と、何度も突起に触れてきます。
 その度私の体はビクつき、口元を私は手で隠し、必死に声を我慢しました。
 私が思った以上の。たぶんAVみたいな反応をしなかったせいか、彼は突起を触れるのをやめ
 また秘所を弄ってきました。
 そして秘所が広げられたと思った瞬間、異物が私の中。秘所に這入ってきました。

異物の正体は彼の指。
 初めて中を広げる異物の感触はわけがわかりません。
 ただ不快感を伴いながらゆっくり、体の中へ。奥へと這入ってきます。
『やべぇ、なにこれ。すげぇ』
 鼻息の荒い興奮した声。彼は初めて触れた異性の性器に興奮を隠しきれていません。
 けど彼の鼻息の荒い興奮した声は私を冷静にさせていきます。
 だけれど、恐怖心に支配された私の体は自由が利きません。
 ただ、彼の好奇心にされるがままです。
 好奇心で溢れた彼の二つの瞳が、自分の指先を。私の秘所を見ています。
 私の秘所は彼の指の付け根まで呑みこんでいました。
 彼は私の中の感触を確かめるように。ぐりっ。ぐりっ。と指の腹で圧し撫でてきます。

 『くっ。あっ。んくっ。いやっ』
 圧し撫でられるたび、自然と声が漏れてしまいました。
 その声を聞き、彼は私が気持ち良くて声を出しているのだと勘違いしたらしく
 何度も。何度も。執拗に中から圧迫してきました。
 私は歯を食いしばり、中からの圧迫に抵抗しました。
 けど彼は私が恥ずかしがっているのだと思ったのか
 『美優。恥ずかしがらなくていいんだよ。声だしてもいいんだよ』
 耳元で囁いてきました。
 ざわり。とし不愉快感。私はよけい歯を食いしばり抵抗の意思を示しました。
 彼は私の声を再度聞くべく、中を指先で蹂躙してきます。
 けれど私は、抵抗の意志でどうにか声を出すことはありませんでした。
 バカですよね。今思い返してもホント馬鹿です。
 拒絶の声をあげなければ意味ないですよね。

 私の中を蹂躙していた指がゆっくりと、隙間を作って抜けていきました。
 私はほっとしたんです。
 終った、と。
 けれどそんなことはありません。
 彼は膝立ちした状態で何かしています。
 がちゃ、がちゃ。と金属がぶつかり合う音。
 私は何をしているんだろうと思い、彼を見たんです。
 彼はジーンズのベルトを外すと、ジーンズを勢い良くベットの外へ脱ぎ捨てました。
 そして着ていたシャツも同じように脱ぎ捨てました。
 彼はボクサーパンツのみ。
 彼のいきり立った男性器はトランクス越しでもその大きさがわかります。
 私はトランクスに隠された男性器を前に、声を失いました。
 小さい頃、お父さんと一緒にお風呂に入った時に見たモノや
 高校の時、友達のお兄ちゃんが隠し持っていたAVの、モザイクでぼかされたモノとは全然違いました。
 
 あんなに大きいの。

 けど初めて目にした男性器だったから、大きく感じたんでしょう。
 今思えば彼のモノは普通。より小さかった気が。
 無意識のうちに私は、彼から距離をとろうしていました。
 けど無駄な抵抗。
 彼の手が私の腰を掴んでいました。
 そして無理やり、私を自分の方へと引き寄せました。
 彼の方へと引き寄せられた私の視線の先には、
 先端がお腹にまでついた、いきり立った彼のモノ。
 いつの間にかボクサーパンツも脱ぎ捨てたらしいです。
 太く、いきり立ったモノ。
 私は驚き、いきり立った彼のモノから視線をずらすことができなくなっていました。
 彼は自分の片方の手でいきり立ったモノに触れると、
 腰を少し前にずらして、秘所を前にして男性器を弄っています。

 私は彼の謎の行動は、わけがわかりません。
 けれどいきり立った彼のモノから視線を外し、逃げようと思わなかったんです。
 おそらくパニックに陥っていたのでしょう。
 彼は相変わらず秘所を前に自分のモノを弄っているだけです。
 ただ時折、秘所や敏感な場所にナニかが触れます。
 彼は何をしているのと思った瞬間。
 どろりとした熱いモノが秘所にかかりました。
 どろりとしたものは秘所だけに留まらず、私の体や顔にもかかりました。
 私は顔にかかったものを指で拭い、拭ったものを見ました。
 白いドロッとしたもの。
 私は無意識のうちに、すんすん。と匂いを嗅いでました。
 なんだろう。生臭い匂い。
 何故なのか、私はその時か彼を見たんです。

 彼は落胆した表情をしていました。
 その表情を見て、いやな予感がしたんです。
 私はゆっくりと下へと視線をずらしました。
 いやな予感はあってました。彼のモノを見ると先っぽに、白いドロッとしたものがついてました。
 私の体にかかったのは精液。
 さっきの彼の行動は、自分で自分のモノを弄っていたわけでなく、私の中に。男性器を秘所に挿入しようと試みていたのです。
 ただ、私はショーツを身につけたまま。
 おそらくショーツが邪魔して上手くいかなかったのでしょう。
 そして挿入ることなく果ててしまった。
 そんな感じかと。
 彼の失敗に私は安堵しました。
 なぜならその時の私は、男性は一度でも出してしまうと
 
 再度大きくなるのに時間がかかると思っていたんです。

 実際、お腹までいきり立っていた彼のモノが萎えていたんです。
 私は逃れるチャンスだ、と思ったんです。
 けれどそんなチャンスはありませんでした。
 彼はおもむろに私の足首を持つと持ち上げ、自分の肩に私の足を乗せました。
 そしてショーツに触れたと思った次の瞬間。
 彼は一気にショーツをモモあたりまでずらしてきたんです。
 私は何をされたのか一瞬分からなく、呆然としてしまいましたが
 彼の再び大きくなったモノで、何をされたのか理解しました。
 今度こそ。
 彼は挿入しようとしていたのです。
 私は逃れようと試みたんです。
 けれどももにかかるショーツが思った以上に邪魔で、彼の肩から足を下ろすことしか出来ません。

 そんな私をあざ笑うように彼は、私の股を広げられるだけ広げてきました。
 その様子はまるでひっくり返ったカエル。
 せめてもの抵抗。
 私は秘所を隠そうと手を伸ばしました。
 けれど遅かったです。私の手にぬるっとした感触。
 その時は分かりませんでしたが、今なら分かります。
 私が触れたのは彼の先端で、ぬるっとしたものは先程出してしまった精液と我慢汁。
 彼は邪魔するものがなくなった秘所に、自分のモノを既にあてがっていたんです。
 
 『待って』
 
 私は思わず叫びました。けれど叫ぶのほぼ同時に、体が裂けるような痛みが。
 今まで感じたことのない痛みに、自然と涙がこぼれてきました。

 『いっ…た…い。痛い…よ』
 私の身に何が起きたのかわかりました。
 けれど認めたくなかったんです。
 私の思い描いていた初めてとかけ離れてたから。
 初めては痛い。
 既に経験した友達や雑誌から知りえてました。
 けれどそれ以上に
 どぎまぎとした、けれどどこか甘い幸せな雰囲気の中で、恥ずかしがりながらも互いを求め合うのだと。
 そして彼に求められる幸福感と、女性のぽっかりと空いた隙間を彼のモノで満たされる至福感で、女性として生まれてきて良かったと。
 そして初めての相手と一生を添い遂げるのだと。
 けれど実際は違いました。
 確かに私は彼に求められましたけど。

 その証拠に、彼の陰部は私の陰部と密着し、本来なら存在するはずの男性器の姿が見当たらない。
 けれど消えたわけではなく、裂けるような痛みを伴いながら、隙間をびっちりと埋める異物。
 そして『やべぇ。やべぇよ。なにこれ。やべぇ』彼の情けない声が私に現実を突きつけてきました。
 痛みのせいで、視界がちかちかと揺らめき動きます。
 痛い。痛い。痛いよ。
 『イタ…い、の。おね…がい。…ぬい…って』
 私は叫びました。けれど咽が焼けるように熱く、言葉になってないんです。
 辛うじて出た言葉もかすれ良く聞こえない。その代りに
 『はぁ、はぁ…っん。やっべぇ。なに、これ。溶ける。すっ…げぇ。やっべぇ…。気持ちいい』
 彼の情けなく、気持ちよさそうなとろけた声が部屋に響いた気がしました。

 私の中に這入ってきた異物は動くことなく、ただ中でいるだけです。
 それでも異物の違和感はすごく、ジンジンと裂けるような痛みが絶え間なく私を襲ってきます。
 痛い。痛いよ。やだよ。
 私は痛みを和らげるために、すがる様に。何かに抱きつきました。
 それも力いっぱいに。
 すると『美優。美優』と獣の呼吸のよう声で私の名が。
 その声で一瞬だけ我に返りました。
 私が痛みを和らげるために抱きついていたのは、彼の体だったんです。
 初めて抱きしめた男の体は、高校までスポーツに励んでいた証拠に、ごつごつとした筋肉で筋張っていました。
 それはふざけて抱き合ったりした、女の子の柔らかい体とは違いました。
 そして梅雨のじとりとした空気のせいか、彼の体はなんともいえぬ湿った肌触り。
 ただただ気持ち悪かったです。

 けど痛みがまた私を苦しめます。
 私は痛みから逃れたい一身で
 『・・って。お…が、い。だから・・・って(抜いて、お願いだから。抜いて)』
 声を絞り出し、さっきより強く彼にすがりつきました。
 私の思いが通じたのか、私の隙間を埋めた異物がゆっくりと外へと動いたんです。
 けど少し動くだけなのに裂けるような痛み。
 私は必死に彼の体に縋り、耐えようとしました。
 けど異物はほんん少しだけ動くと、また止まってしまいました。
 そして『やべぇ』彼の情けない声と共に異物が膨張しました。
 えっ、なに。と思った瞬間。
 彼のモノが大きくビクンと大きく跳ね
 どくっ。どくん。と、どろりとした熱いものが、何度も何度も脈打つように私の中へ。そのさらに奥へと吐き出されます。

 えっ、えっ、なに。
 初めての衝動に私はわけがわかりません。
 ただ中に出された熱い何かをただ受け止めただけです。
 そして、熱いものを吐き出した彼のモノは動こうとしません。
 ただ吐き出す直前より、モノが少し小さくなった気が。
 『やべぇ。出ちゃった』
 彼がポツリとこぼしました。
 私の中に彼の固い男性器とは違う、言葉にしがたい熱い異物。
 出ちゃった。って、一体何が…。
 その時は未知の恐怖心で体が動きませんでした。

 私は彼が抜いてくれるのを、ただただ待っていました。
 けど、彼は私に埋めたモノをいっこうに抜こうとしてくれません。
 それどころか、モノはまた私の中で固くなってきました。
 なんで。なんで。
 彼は自分のモノが復活したことが分かったのか、腰を前へと。私に密着させてきました。
 イタイ。痛い。少し動かれただけなのに裂けるような痛み。
 私は痛みからどう逃げればいいのか分からず、彼の体に縋ってしまいました。
 縋ったのがいけなかったのか今でもわかりません。
 彼は私が縋ってきたことを合図に、腰をゆっくりと動かし始めました。
 私の中を男性器がゆっくりと這いずる、ぞわっ。とした感覚と、中が広げられる感覚。
 そして、ジンジンとする女になった鈍い痛み。
 目頭が熱く、視界も凄く滲んでいました。
 けど、ゆっくりと確実に、私の隙間を埋めていたモノがなくなっていきます。

抜いて。早く抜いて。私は痛みに耐えながら心の中で叫びました。
 けれど、あと少しという所で動きが止まってしまいました。
 彼のカリが私の中に引っかかります。
 その僅か引っかかりでも、違和感がひどいです。
 お願い。早く抜いて。私は何かに祈りました。けど・・・。
 バンッ。と肉と肉がぶつかった音と同時に
 ギシッ。とベットが軋んむ音が部屋に響きました。
 そして私の秘所が彼のモノで隙間が再び埋められていました。
 ナンで。何でなの。私にはわけが分かりません。
 けれど、ギシギシ。とベットの軋む音が響き。
 パンッ。パンッ。と肉と肉がぶつかる音が部屋に響きます。
 そして私の中を彼のモノが激しく前後に蠢きます。
 彼のモノが激しく動くたびに、裂けるような痛みと、無理やり押し広げられる圧迫感。
 『あっ…。くっ…。うっぅぅ…。いっ…た、い…た、い。おね…が、い。やめ…って』
 私は声を絞り出しました。けれど彼は気がついてくれません。

 彼は一心不乱に腰を振り続け『はぁ、はぁ』と獣のような荒い呼吸。
 それとは別に、パンッ。パンッ、と肉と肉がぶつかり合う音に
 ベットのギシ。ぎしっ。ギシ。と不規則な軋む音。
 やだ、やだよ。早く終ってよ。私は彼の体に縋りました。
 彼の体はさっきと違い、おそらく汗でしょう。さっきとは違った湿った体でした。
 『はぁ…み、ゆ…美優』
 彼の荒い呼吸の中に私の名が混じりました。
 『美優。美優』と何度も私の名を一心不乱に叫びます。
 そして『美優、出る』と叫び、腰を。男性器を私の奥へとぶつけてきました。
 『いやっ。やめて』
 叫びました。けれど遅かった。
 また彼のモノは大きく固くなり、ビクン。と大きく私の中で跳ねます。
 そして、どくっ。どくっ。と何度も何度も脈打つようにどろりとした熱いものが、私の中。奥へと吐き出されます。
 
 出てる。
 
 熱いどろりとしたものが私の中に注がれていくのが、嫌なのに手を取るように分かるんです。

 どくっ。どく、と跳ねるように勢い良く欲望を出していたモノが、徐々に勢いをなくしていきます。
 そして『ふぅ』と満足げな彼の声が聞こえました。
 男性器はもう固さを失い、柔らかくなっていました。
 彼は出し切り満足したのか、ゆっくりと腰を引きます。
 なんとも言えない柔らかなモノが私の中を這いずります。
 やっと終った。
 安堵感からか、体の力が抜けていくのが分かります。
 けれど力が抜けてしまったせいで、私の中をゆっくりと這いずる男性器の感触が妙にはっきりと…。
 いやだ…。気持ち悪い。
 私は気持ち悪い感触から逃れるため、無意識に体の力を入れてしまいました。
 すると、私の中で柔らかくなった彼のモノが、また固くなってきたんです。
 
 なんで。なんで、また大きく。

 私はわけがわかりません。
 男性は一回出してしまえば再び大きくなることはない。そう思ってました。
 けれど彼のモノは再び大きくなり、私の中に出した、そして柔らかくなって。なのに。
 また。いえ、三度目。
 彼は私の中で自分のモノが大きくなったことが分かったのか、私を見下ろしてきたんです。
 その目はまるで飢えたケモノ。
 そして、咽仏がごくっ。と大きく動きました。
 『いや』
 私は叫びました。けれど彼の『美優。美優』と叫ぶ声にかき消されてしまいました。
 ベットがまたギシッ。ギシ。と軋む音をたて、
 パンッ、パンパン。と肉と肉がぶつかる音が。
 そして、くちゅっ。ぐちゅっ。と今まで聞いたことのないくぐもった水音がどこからか聞こえました。
 本当のことを言えば何の音かわかっていました。
 けど。けど、認めたくなかったんです。

 それでもベットは軋み。肉と肉がぶつかり合い。
 かき混ぜられ泡立った水の音。それに獣の様な荒い呼吸。
 そして。
 私の中の蠢く、固い彼のモノが現実を私に突きつけてきます。
 
 私はいまセックスをしていると。
 
 私は現実から逃げようと目を閉じました。
 すると、目尻から熱いもの何筋も零れ落ちていきました。
 『はぁ、ハァ。みゆ。美優』
 彼は、獣の様な荒い呼吸をしながら一心不乱に腰を振り続けます。
 ベットはギシッ。ギシ。と軋む音をたて、
 肉と肉がパンパン、パンパン。とぶつかり合い。
 いやらしい水音が、ぐちゅ。ぐちゅっ。ぐちゅ。と聞こえてきます。
 いつの間にか裂けるような痛さが消えていました。
 それに彼のモノが大分スムーズに動いています。

 もしかすると、二度出されてしまった精液が、潤滑油の変わりになっていたのかもしれませんし、
 彼の男としての本能なのかも知れません。
 ただ言えるのは、私の奥底から溢れ出たモノではなかったのは確かです。
 なぜなら、その後何度もした彼とのセックスで、おそらく女としての防衛本能で濡れはしましたが、私はイクことはなかったんですから。
 『はァ、うっ、みゆ…。みゆ…。』
 彼は激しく振っていた腰を叩きつけるように、男性器を深いところまで挿入してきました。
 『デル。美優、奥に出すぞ』
 まるで高校時代、友達の家で見たAV男優の様なセリフをはきながら私の中で果てました。
 すでに二度も出してしたせいか、彼のモノは最初の二回とは違い、僅かに大きくなり
 どぴゅっと私の中に残った欲望を吐き出しました。

 彼のモノは欲望をすべて吐き出したみたいで、再び私の中で大きくなることはありませんでした。
 けれど、彼は諦めていないらしく、再び固くならないモノを私の中から抜こうとしてくれません。
 私の中に固さのない、ふにゃっとした異物。
 けれど異物には変わりません。
 私は早く抜いて願いました。それでも彼はなお、自分のモノが復活すると諦めてくれません。
 けどいつまで経っても再び固くならない自分のモノに諦めたのか、彼はゆっくりと腰を引いてくれます。
 ぞわりとした感覚と中を抉られる感覚共に、徐々に私の中を埋めていたモノが姿を現します。
 男性器は、はじめに見た、お臍までいきり立ったモノとは違い、ふにゃっと萎れていました。

 なのに、まだ私の中に男性器が埋まっているような違和感。
 私は本当に抜けているのか、彼のモノを見たんです。
 男性器は微かに濡れてひかり、そして赤い血。初めての証しが。
 キモチワルイ。
 胃の底から込み上げてくる吐き気。
 私はとっさに口を塞ぎました。
 すると『美優』彼が心配そうな声で問いかけてきました。
 その問いかけに私は我を思い出し、ベットから抜け出し、ベットの外に散らばった服をかき集め、纏いました。
 その様子を彼は、ベットの上で全裸のまま、唖然とした表情で見てきました。
 服を纏った私は『ごめんなさい』と言って彼のアパートから飛び出しました。
 『美優』
 私の名を呼んだ、彼の声が聞こえた気がしました。
 けれど聞こえないふりをし逃げました。

 彼のアパートっを飛び出して少ししたところで、裂けるような強烈な痛みが下腹部に襲ってきました。
 私はその場にうずくまってしまいました。
 じんじんとする痛みと秘所を埋める異物感。
 そして、秘所からこぼれ落ちる女性の日とは違うどろっとしたもの。
 私はうずくまり必死に耐えます。
 けど、私を知らない道行く人は私を不審げにみてきます。
 中には心配そうに足を止める人も。
 けどダレも声をかけてきません。
 それもそのはず。
 その日は朝から梅雨のしっとりとした雨。
 傘も差さずに家を出る人なんていません。
 完全に訳ありな女。
 進んで面倒ごとに首を突っ込みたい人なんていませんよね。
 私はとりあえず痛みに耐えながら、何事もなかった顔を作り立ち上がりました。
 そして駅に向かおうと足を踏み出した瞬間。
 激痛が襲ってきます。
 私は必死に激痛に耐えながら駅に向かいました。

 いつもなら5分もかからない道なのに、何時もの倍はかかったでしょう。
 そのせいで私は雨に濡れてしまいました。
 駅に着くと、さらに不特定多数の奇異の目で見られます。
 私は平静を装い、バックに閉まったハンカチで拭えるだけ雨を拭いました。
 拭っているうちに電車がやってきます。
 時間帯のせいかあまり人は乗っていません。
 けれどこんな状況では椅子に座れません。
 それに座ってしまったら…。
 しかたなくドアの横で立っていたんです。
 すると沢山の視線を感じました。
 異物を見る視線。軽蔑した視線。邪な視線。蔑んだ視線。下心丸出しな視線。中には心配そうな視線もありました。
 けど大半が前者。
 私は視線から逃れるように窓の外に目を向けたんです。

 凄い速さでうつろう景色と、決してうつろうことのない女の姿。
 女の白いブラウスは雨のせいで肌に張り付き、下着が浮き出ていたんです。
 私は思わず窓から車内に目を背けました。
 私を見ていた視線は一斉に引っ込みました。
 けど異性の下心丸だしな視線は、雑誌や携帯に隠れただけで、より一層強く舐めるように見てきます。
 私は逃げ出したかったです。けど逃げることはできません。
 他の車両に移動しようとも思ったんですが、その電車に女性専用車両はなく、他の車両に移った所で同じです。
 私はドアの方に向き直り、足元を見ながら耐えました。

 電車は無事に最寄駅に着きました。けどその間ずっと私は見られ続けました。
 途中から乗ってきた二人組みの男が私を見ながら、何か言ってきましたが、声をかけてくることは有りませんでした。
 私は駅につくと同時に逃げるように我先に降りたのですが、歩くたびに鈍い避ける痛み。
 人々が私を見ながら通り過ぎていきます。
 どうにか駅を出ましたが、まだ雨はしとしとと降り続いています。
 これ以上濡れたくはないので、売店で安物の傘を買いました。
 その売店のおばさんだけが、心配する言葉を私にかけてくれました。
 けど私は愛想笑いだけを返し、歩き始めました。
 歩き始めた私にまたおばさんが声をかけてくれました。
 けど私は苦笑いの様な会釈だけをして立ち去りました。
 家への道も辛かったです。所々で立ち止まりながら歩きました

 私は家に着くと真っ先に浴室に向かいました。
 洗面台の鏡に映った私の顔は、まるで紙をくしゃくしゃにしたみたいに歪。
 白のブラウスは雨のせいで体に張り付き、ブラジャーや体の線を強調してました。
 私は思わず、私から目を逸らしてしまいました。
 そして鏡を見ないように服を脱ぎました。
 雨で濡れたブラウスは体にへばりつき、脱ぐのが大変でした。
 その後、スカート、ブラと外していきました。
 そしてショーツを脱ごうとしたんですが、躊躇してしまいました。
 なぜか分かりますよね。
 けど脱がないことには…。
 私は意を決してショーツを脱ぎました。
 ショーツには明らかに私のではない、白いどろっとしたモノ。
 それも大量に。
 そして、所々がピンク色に染まっていました。
 私は思わず手を離してしまいました。

 ベちゃ。

 不快な音をたてショーツは床に落ちました。
 私は逃げるように浴室へ。
 浴室に逃げた私は、シャワーを捻り頭から浴びました。

 シャワーは雨と違い、私を温かく濡らしてくれます。
 シャワーを浴びていると自然と涙がこぼれてきました。
 私はさらにシャワーを強く捻りました。
 そして、シャワーの音に紛れながら嗚咽を漏らしました。
 涙がすべて流れ落ちてから何時ものように体を洗いました。
 けど一箇所だけ洗えませんでした。
 けどソコを洗わなくては。
 私はおそるそろる手を伸ばしました。
 どろっとしたモノが手に触れます。
 私はおそるおそる手に付いたモノを確認しました。
 白いどろっとしたモノ。
 やだ。ヤだ。ヤダ。
 私は一心不乱に自分の指を秘所に入れ掻きだしました。
 ぐちゅっ。ぐちゅっ。ぐぽっ。
 いやらしい音がシャワーの音に混じります。
 けど掻き出すのにも限界があります。それにあまり濡れていないので痛かったんです。私は全てを書き出すことを諦め、シャワーを止めました。

 タオルで体を拭き、服を着ようとしたんですが、着替えを準備していません。
 私は裸で部屋の中を移動しました。
 とてもまぬけな姿ですよね。
 まぬけな私は服を着ると、ベットに倒れこみました。
 そしてそのまま眠りに落ちてしまいました。
 次に気がついたのは、聞きなれた朝を報せる携帯のアラーム音。
 けどいつもと違いどこからか微かに聞こえてきます。
 私は携帯を探そうとベットから這い出ようとした時、下腹部の辺りから、ずきっ。と鈍い痛みが襲ってきます。
 一瞬、何の痛みか分からなかったんです。
 けど、すぐに前日の出来事を思い出しました。

 初めての体験を。

 思い出しただけで、ぞわりとした不快感が体を走り、固まってしまいました。
 けどアラームの音は私を無視するようになり続けます。
 アラーム音も徐々に不快音に変わっていき、煩いです。
 私は痛みに耐えながら、携帯を探しました。

 浴室の前に置かれたバックの中から音がします。
 私はバックをとろうとしたんですが、何故か上手く取ることができず、中身をまき散らかしてしましました。
 私はまず携帯を取り、アラームを止めました。
 そしてそのまま携帯を弄りました。友達から何通かメールが届いてました。
 その中に彼からのメールも。
 彼のメールを見つけてしまったせいで、他のメールも見る気が起きず、バックにしまいました。
 そして中身を一つ一つバックにしまっていきます。
 その中に見慣れない真四角のモノ。

 なんだろうと手に取り、眺めました。
 それは友達から貰ったコンドーム。
 いざとゆう時の為にと無理やり渡されたもの。
 けど。いざとゆう時に使われる事は有りませんでした。
 彼は生のまま私の中に挿入し、何度も中に出しました。
 中だし。
 そしてある二文字が頭をよぎりました。
 私はコンドームを鞄に突っ込むと、呆然と部屋へ戻り、ベットへ倒れこみました。
 そしてそのまま学校をサボってしまいました。
 小中高通じてはじめてのサボりです。
 その日はやけに携帯が振るえたんです。
 けど私は一切携帯に触れようとしませんでした。
 ただ、ボーっと天井を眺めすごしました。

 
「これが私の初体験の記憶です」



                   以上です。おわり

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