穂乃果「海未ちゃんが…変…」 (34)

ずっと変わらないと思っていた。

海未『穂乃果、おはようございます』

優しくて、かっこよくて

海未『世界中のありとあらゆる人が敵になっても私だけは最期まで味方でいます』

周りに流される事のない芯のある女の子。それが海未ちゃんだと思っていた。

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でも、それは私が勝手に抱いていたイメージの押し付けで、

ずっとそうであって欲しいと言う私の願望で、

絵里『変わることを恐れないで、突き進む勇気。私はあの時、あなたの手に救われた』

私の欺瞞。

未来がまだ決まっていないと言う希望は私達がまた変わっていくと言う不安でもある事に今更ながら私は気が付いた。

彼女は突然変わってしまった。

穂乃果「はあ…」

部室に入りづらい。

ことり「穂乃果ちゃん」

穂乃果「え?あっ…ことりちゃん…」

ことり「大丈夫?疲れてるみたいだけど」

図星だ。今、私は疲れている。証拠にことりちゃんに声を掛けられるまで彼女に全く気がつかなかったのだから。

ことり「海未ちゃんの事…気にしてるの?」

穂乃果「うん」

ことり「大丈夫。穂乃果ちゃんのせいじゃないよ」

ことりちゃんは優しい。出会ってから今まで変わらずずっと優しかった。

ことり「海未ちゃんが変わっちゃって穂乃果ちゃんも皆んなもまだちょっとビックリしちゃってるだけで。海未ちゃんは海未ちゃんだから…きっとすぐに今まで通りの私達に戻れるよ」

穂乃果「うん。そうだね」

ことり「さっ、部室に入ろ?」

穂乃果「うん」

本当に彼女の優しさには毎度の事ながら救われる。

ガチャ。

いつから部室の扉はこんなに重くなったのか。少し前まではもっと勢いよく開ける事が出来たのに。そう言えばそれで海未ちゃんに怒られた事もあったっけ。

穂乃果『おっはようございま~す』

ガチャン

海未『穂乃果!!もう少し優しく開けてください』

穂乃果「ごめ~ん」

あの頃が懐かしい。もう、あんな風に海未ちゃんが叱ってくれる事もないのかな。

雪穂「お姉ちゃん。遅かったね」

亜里沙「お疲れ様です。穂乃果さん、ことりさん」

穂乃果「二人とも…早いね」

雪穂「一年生は今日身体測定があったから六時間目はなかったんだよ」

穂乃果「あぁ…そっか」

亜里沙「あの…海未さんは?」

穂乃果「職員室に行ってるよ。今日日直だから」

亜里沙「そうですか…」

穂乃果「うん…」

「何辛気臭空気を出してるの?」

穂乃果「え?」

この聞き覚えのある声…あぁ、ことりちゃんか雪穂辺りが連絡したのかな。

穂乃果「にこちゃん…」

希「ウチ等もいるよ~」

絵里「亜里沙から話は聞いたわ」

そっか。亜里沙ちゃんか。

穂乃果「そうなんだ。大学は大丈夫なの?」

絵里「まあね。大学生って結構暇なのよ」

穂乃果「そっか」

イッチくん最近完走率持ち直してきたし、今回の導入凄く期待感あるからエタらず頼むよー

絵里「話を聞いて正直私もビックリしてる」

希「そうね。まさか海未ちゃんがそんな風になってるなんて想像もつかないもんなぁ」

穂乃果「うん…」

にこ「何?そんなになの?」

穂乃果「部活は真面目に取り組んでるし勉強も日常生活…にはもしかしたら影響は出てるかもしれないけど」

にこ「それって大変な事じゃない」

穂乃果「でも、大体の問題は私達次第なんだよ」

絵里「そう」

穂乃果「うん」

>>1のSSつまらない

「って言うかぁ、マジエモいっしょ~」

にこ「え?もしかして…そうなの?」

穂乃果「はあ…うん…」

ガチャ

海未「ヤッホー!おつかれっす~」

そう。さっき廊下から聞こえた声は海未ちゃんの声。

穂乃果「はあ…」

にこ「あっ…」

にこちゃん…口閉じて。

海未「あれー?エリー達もいるじゃーーーん。よっす~」

にこ「よ、よっす…」

絵里「そ、想像以上ね…」

希「原型ないやん…」

穂乃果「でしょ?」

海未「あれ?どしたしー?」

絵里「いや…あの…海未の様子が…」

海未「あっ、ちょい待ち」

絵里「え?」

海未「エリー、のぞみん、にこっち。こっち来て~」

希「の、のぞみん?」

にこ「ちょ、な、何よ?」

海未「はい。にっこにっこに~」

にこ「にっこにっこに~…はっ!?」

ピロリーン

海未「尊敬するOB三人衆が会いに来てくれました。久し振り~けどウチ等ズッ友だよ!っと」

絵里「あれ…何してるよ?」

穂乃果「インスタに投稿してるんだよ。見てよ、ほら。携帯もあんなデコっちゃって…」

希「ホンマや…。前はスマホなのかガラケーなのかよう分からんの使ってたのに」

海未「亜里沙ピース」

亜里沙「イェーイ」

ピロリーン

海未「インスタあげていい?」

亜里沙「はいっ!おけまる水産です」

海未「わ~マジあげみ~」

雪穂「亜里沙…適応力凄いね」

絵里「穂乃果、ことり。何があったの?」

ことり「それは…」

穂乃果「私がいけないの」

ことり「穂乃果ちゃん」

穂乃果

希「穂乃果ちゃんが?」

穂乃果「うん」

海未「穂乃果ーどしたー?」

穂乃果「いや…うん。海未ちゃん…ちょっとごめんね」

海未「もしかして…テストで赤点取ったとか?」

穂乃果「いや、違う違う。違うから。亜里沙ちゃん」

亜里沙「海未さんこれ見て下さい~」

海未「え~うわ~超バズってる~」

にこ「海未…あの状態でも穂乃果のテストの心配してんのね」

穂乃果「うん。全然怒られてる感じがしないけど…」

にこ「まあ、前が前だったからね」

絵里「それで?」

穂乃果「あっ、うん。あれは…二週間前…」

そう。海未ちゃんがああなってしまったのは二週間前の昼休み。

二週間前。

穂乃果『でね、昨日やってたんだよ。凄く流行ってるんだって』

ことり『へ~。そうなんだ』

ヒデコ『あ~私も見た。なんかインスタ映えとかするんだってね』

穂乃果『そうそう。そうなの。海未ちゃんは見た?』

海未『いえ、その時間は稽古をしていたので』

ヒデコ『え?稽古?』

フミコ『稽古って…あの番組やってたのって9時過ぎだよね?』

海未『はあ…。そうですが』

ヒデコ『そんな時間に稽古やってるんだ』

海未『はい。ですからテレビとかは基本的にあまり…』

ヒデコ『へ~』

ミカ『園田さんさ、インスタとかは知ってる?』

海未『インスタ?』

ことり『SNSだよ』

海未『いえ…すいません。知らないです』

穂乃果『だよね~。海未ちゃん流行りに疎いもんねぇ。まあ、私も人の事言えないけどね』

海未『そ、そんな事ありません』

穂乃果『え?そうじゃん~。昔から流行りものとかに疎かったじゃん』

ことり『まあ、流行に敏感過ぎるのもどうかなって思うけどね』

穂乃果『まあね。でも、中学生の時とか流行りの話についていけなくて困惑してたし。いや~それ見てやっぱり海未ちゃんたなぁって思ったんだよね。そう言う所可愛いなぁと』

海未『私だって…』

穂乃果『え?』

海未『私だって今時の女子高生です』

ことり『う、海未ちゃん?』

穂乃果『ちょっと?』

海未『最近の流行りくらいついていけます。それくらい私にだって出来ます』

穂乃果『ちょっ、海未ちゃーーーーん』

ヒデコ『気にしてたんだ…』

ことり『意外とね…』

穂乃果「って事があったの」

絵里「な、なるほど。そんな事が」

希「でもそれだけで海未ちゃんがこんなに変わるもんなんかな?」

にこ「実際に変わってるんだからそうなんでしょ」

穂乃果「うん。まあ、徐々にだったんだけどね」

絵里「徐々に?」

ことり「雑誌とか見て勉強してたみたい」

絵里「それだけであんなにドップリハマっちゃうものなのかしら」

にこ「まあ、元々思い込みの激しい性格だしね」

海未「あはは~。マジ卍」

にこ「変わりすぎだけど…」

穂乃果「真姫ちゃんと凛ちゃんは人見知り発生させちゃってるし花陽ちゃんはテンパっちゃうし」

にこ「そりゃあそうでしょ。最早別人だもん」

海未「穂乃果ーさっきから深刻そうな顔してどしたー?」

穂乃果「いや…なんでもないよ」

海未「なんでもない事ないし。って言うかさっきからあたしの話してるよね?」

穂乃果「いやね…海未ちゃんが急に変わっちゃったからさ」

海未「変わった?」

穂乃果「そうだよ。変わったじゃん。喋り方変えて服装もなんだかチャラチャラしちゃって…スカートの丈どうしたの?そんなの一番嫌がってたじゃん」

海未「あ~少し?生まれ変わって見ようかなって?」

穂乃果「少しじゃないよ!」

海未「って言うか穂乃果が言ったんでしょー。あたしが流行についていけなくてやばたにえんって」

穂乃果「言ってない。私そんなバカっぽい言葉遣いしないよ」

にこ「そうね。穂乃果はもっと別方向のバカっぽさね」

海未「ま~でも?言葉遣いが多少変わっても?あたしはあたしだし?」

穂乃果「だから多少じゃないって。全然違うじゃん」

海未「だとしたら何がいけないの?」

穂乃果「うっ…それは…」

海未「今までと違って流行にもついていけてるし言葉遣いが堅いとかも言われないし?マジ生まれ変わった気分」

それで?

ギャル海未ちゃんとか新鮮すぎて可愛い

穂乃果「生まれ変わらなくたっていいよ」

海未「は?なんで?」

穂乃果「なんでって…こんなの海未ちゃんじゃないよ」

海未「それは穂乃果の勝手な決めつけでしょ。私は…私は今が楽しいの」

穂乃果「そんな事言われたって納得出来ないよ」

海未「どうして?どんな風になったって私は私でしょ?」

そう。私の勝手な決めつけだ。

私の理想の押し付けだ。

私のワガママだ。

でも…そんな事が出来る相手は

穂乃果「海未ちゃんだけなんだよ」

ポロポロ…

海未「え?」

ことり「穂乃果ちゃん…」

穂乃果「私先に屋上行ってる。わざわざ来てくれたのに…ごめん」

にこ「ちょっと…穂乃果…」


真姫「はあ…気が重いわ…」

花陽「海未ちゃんだよね?」

凛「急にだもんね~。なんか全然知らない人と喋ってるみたいだにゃ。でも、海未ちゃんなんだよね。ちゃんと慣れなきゃいけないよね」

花陽「うん。そうだね。海未ちゃんは海未ちゃんだもん。でも…寂しかな…」

真姫「あ~もう。そんな話してても仕方ないわ。早く部室に入りましょう」

凛「真姫ちゃんから始めた話なのに…」

タッタッタッ

穂乃果「くっ…」

真姫「穂乃果?」

凛「穂乃果ちゃん…どこ…行くの………行っちゃったにゃ…」

にこ「ちょっと…どうすんのよ?」

海未「……」

絵里「海未…あなた、今が楽しいってさっき言ってたけど私にはそうは見えなかったわ」

海未「は?」

絵里「今更後に引けなくなって意地を張って無理しているだけの様に見えるわ」

海未「そんな事…そんな事ない」

希「なあ、海未ちゃん。ウチは変わる事が悪い事だとは思わないよ」

海未「そうでしょう?だったら…」

希「でも、変わらない良さってのもあると思うんよ」

海未「それが私に当てはまるとは限らないでしょ」

希「だったらどうして穂乃果ちゃんが泣いてるん?」

海未「それは…」

にこ「親友を泣かせてまであんたは生まれ変わりたい訳?」

海未「…」

にこ「穂乃果だけじゃないわ。よく見てみなさいよ」

ことり「海未ちゃん…」

海未「ことり…私は…」

ことり「私は…海未ちゃんの事が大好きだよ。例え海未ちゃんが変わってしまったとしても私は海未ちゃんの親友だし、それは穂乃果ちゃんも同じことだと思う。けどね、えへへ…やっぱり寂しいかな…」

海未「私は…私はなんて馬鹿なんでしょう…」

ことり「海未ちゃん」

海未「追いかけなきゃ」

ガチャ

真姫「追いかけるなら早く行きなさいよ」

海未「真姫…」

花陽「穂乃果ちゃん屋上に行ったよ」

海未「花陽…」

凛「海未ちゃん…えへへ、なんか久しぶりだね!」

海未「凛…」




穂乃果「はあ…私…何やってんだろ。海未ちゃんは海未ちゃんなのに…」

海未「穂乃果っ!?」

穂乃果「海未ちゃん?」

海未「穂乃果…あの…心配掛けて申し訳ありませんでした」

穂乃果「海未ちゃん…喋り方…」

海未「私が馬鹿でした。意固地になって親友を困らせて」

穂乃果「ううん。私も馬鹿だよ。海未ちゃんは海未ちゃんなのに。ちょっと話し方が変わっただけであんな…」

海未「穂乃果…ありがとうございます」

穂乃果「海未ちゃん…うっ…うわぁぁぁぁん」

海未「ほ、穂乃果?」

穂乃果「海未ちゃんだぁ。ヒック…いつもの…いつもの海未ちゃんだ」

海未「はい。いつもの私です」

絵里「ふう。一件落着ね」

希「そうやなぁ」

ことり「うん」

にこ「何やってんのよ?あんたも行ってくれば?」

ことり「え?」

にこ「ほーら」

あの日から海未ちゃんはいつも通りに戻り

数日後

海未「穂乃果!」

穂乃果「あ~ん、もう。勘弁してよぉ」

海未「今度と言う今度は許しません。何度忘れれば気がすむのですか」

穂乃果「だってぇ。ふぇ~ん、ことりちゃ~ん」

ことり「よしよ~し」

海未「ことり、あまり穂乃果を甘やかさないで下さい」

真姫「すっかりいつもの日常ね」

花陽「そうだね。あっ、おにぎり美味し」

凛「穂乃果ちゃん可哀想だにゃ」

雪穂「いえ…あれは自業自得ですよ。全く勉強しないお姉ちゃんが悪いんです。三年生なのに」

穂乃果「うぇ~ん、ごめんなさ~い」

海未「覚悟しなさい、穂乃果」

私達はズッ友ですからね。

亜里沙「あのね、雪穂」

雪穂「ん?どうしたの?」

亜里沙「実は…お姉ちゃんが大学デビューしようとしてるみたいなの」

雪穂「え?」

亜里沙「お願い。一緒に止めて」

ギャルえりちも見たいわ
おつおつ

乙ん

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年09月05日 (水) 00:46:14   ID: 17cuMzeJ

あー w
何か好きだなぁーww

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