アローラリーグから10年後……
サトシ「…………え?」
ピカチュウ「ピ?」
スイレン「……………………」
サトシ「…………あー…わ、わかった!あれだろー?スイレン!いつものウソでーす………」
スイレン「………………」グスッ
サトシ「…………マジなの?」
スイレン「」コクリ
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サトシ「……勘違いって事は……」
スイレン「…………まだ病院に行って確認してないからわかんないけど……でも……」
サトシ「………………」
スイレン「……病院に一人で行くの…なんだか怖くって…」グスグス
サトシ「…………あの、スイレン…聞きにくいんだけど…」
スイレン「日数的にもあの日で間違いない」
スイレン「私、あの日以外そういうのした事無いし…それにサトシだって私がハジメテだったって知ってるよね?」
サトシ「い、いや!それはわかってるよスイレン!」アセアセ
ピカチュウ「ピカー」
スイレン「…………私はそういう事、好きな人としかしたくない…」
サトシ「…………」
スイレン「…………あの日、サトシはその場の勢いだったのかもしれない、でも……」ウルッ
サトシ「そ、そんな訳ないだろ?な、泣くなよスイレン!」
スイレン「……私は…子供の頃からずっと…サトシの事好きだったから…」グスッ
サトシ「………………」
スイレン「うぅ……ぐすっ…!」ズピー
サトシ「………………」
ピカチュウ「ピカピィ」ポン
サトシ「あ、あのさスイレン……まだ妊娠したって決まった訳じゃないし……」アタフタ
スイレン「…………一人で病院行くの怖い…」グスッ
サトシ「も、もちろん俺も一緒に行くよ!な?ピカチュウ!」
ピカチュウ「ピカピカ」コクコク
スイレン「本当……?」ゴシゴシ
サトシ「と、当然だろ?もしデキてたら俺の子供だしさ!」ハハハ
スイレン「サトシ…」
サトシ「明日さ!一緒に病院行こうぜ!」ニッ
ピカチュウ「ピカ!」
スイレン「……うん!」ニコッ
浜辺
ザザーン
アセロラ「ゲンガー!ナイトベッド!」
ゲンガー「ゲーン!」オオオ
ピカチュウ「ピカピ!」バッ
サトシ「」ポケー
ピカチュウ「………ピカピィ!」
サトシ「……………え?」
ゲンガー「ゲンガー!」ブンッ
ピカチュウ「ビガー!」ドサッ
サトシ「あーっ!ピカチュウ!」
アセロラ「やったね!ゲンガー!」グッ
ゲンガー「ゲンゲーン!」
サトシ「……ごめんピカチュウ…」
ピカチュウ「ピカピィ…」ヨロッ
アセロラ「サトシー、どうしたのー?」
ミミたん「キュー」フワフワ
サトシ「………え?」
アセロラ「なんかポケーっとしてたみたいだから……何か悩み事?」
サトシ「い、いや……別に………」
アセロラ「ふーん??」
ミミたん「………………」
ピカチュウ「…………」
アセロラ「……でも本当かなぁ?今のサトシ、子供の頃におじさんに負けて泣きベソかいてたサトシにそっくりだよー?」ジトー
サトシ「こ、子供の頃の話はいいだろ!」
アセロラ「アハハ、ごめんね?」クスクス
ピカチュウ「ピカァ」
アセロラ「そうだよねー?サトシも子供の頃から比べたら背もうーんと大きくなって……」
サトシ「……あの頃からアセロラよりは背も大きかったよ……」
アセロラ「………バトルも強くなって……少しだけしっかりして……」
サトシ「……………」
アセロラ「顔も……まぁまぁかな?」クスッ
サトシ「まぁまぁってなんだよ…」
ピカチュウ「ピカァ」
アセロラ「ふふふ」ニコッ
ミミたん「キュー」フワフワ
アセロラ「まぁでも……サトシはバトルバトルーポケモンポケモンーだし、ガールフレンドは当分出来ないかな?」
サトシ「」ビクッ
アセロラ「?」
サトシ(そういえば俺……スイレンと付き合ってすらいない……なのに……あんな事しちゃって……)
アセロラ「………どうしたの?」
ミミたん「キュー?」
サトシ「い、いや……」ハハハ
アセロラ「……ま、アセロラもサトシの事言えないけどねー?ボーイフレンド作るよりも、こうやってサトシやピカチュウとバトルの特訓してる方が楽しいし」
ピカチュウ「ピッカァ」ニコッ
サトシ「…………………」
アセロラ「おじさんも早くカレシつくれーって言うけどさ?まだそういうのはイイカナーって……」チラッ
サトシ(……どうしよう…アセロラは女の子だし、アセロラに相談するか……?)
サトシ(い、いやでも……まだ子供がデキたって決まった訳じゃないし……)
サトシ(……それに……相談して何とかなるような事じゃ……)
サトシ「……ウーン………」
アセロラ「?」
ミミたん「キュー」フワフワ
アセロラ「……サトシ…………やっぱり今日様子おかしいよ?」
サトシ「そ、そうかな?」ハハハ
アセロラ「悩み事があるなら相談してよー!サトシはアセロラのライバルなんだから!」
サトシ「ライバル……」
アセロラ「うん、そうだよー!チャンピオンを目指すライバル!」
サトシ「!」
アセロラ「………この間のリーグはサトシに負けちゃったけど……次は負けないよ!」
サトシ(……リーグ………もし俺がパパになったら大会出場できんのかな?)
アセロラ「そういえば……サトシは子供の頃に色んな地方を旅してたんだよね?」
サトシ「え……?あ、うん……」
アセロラ「アセロラもしてみたいなー……旅……」
サトシ(旅……きっと無理だろうな……)
アセロラ「………色んな所を旅してー……それでー……カントーのセキエイリーグに出るの!」
アセロラ「決勝戦はアセロラvsサトシ!」
サトシ(……定職について……それで……)
アセロラ「あっ、どうせならバトルの特訓がてら一緒に旅する?な、なんちゃって////」テレッ
サトシ「……………」
アセロラ「あー、えっと……サトシ?」
サトシ「………ごめんアセロラ。もうバイトの時間だから行くよ」スクッ
ピカチュウ「ピカッ」
アセロラ「そ、そうなんだ?お仕事頑張ってね!」ニコッ
ミミたん「キュー」
翌日
病院
ジョーイ「おめでたです」ニコニコ
スイレン「あ………」
サトシ「」
ピカチュウ「ピカピカ」
スイレン「サトシ!やっぱり妊娠だった!」
サトシ「あ、うん………」
サトシ「その……スイレンはどうしたいの?」
スイレン「………私は産みたい……」
スイレン「だって……私とサトシの子供だから……!」
サトシ「……………」
スイレン「………サトシ、やっぱり嫌?」
サトシ「え!?」
スイレン「………そうだよね……私とサトシは別に付き合ってる訳じゃない…」
サトシ「そ、そんな事ないよスイレン!」
スイレン「え?」
サトシ「すっげー嬉しいよ!お、俺だって嫌なら最初からそんな事しないし!」
スイレン「サトシ……」ウルッ
サトシ「俺ももう子供じゃないし……ちゃんと責任とるからさ!スイレン!」
サトシ「産まれてくる子は男の子かな?女の子かな?楽しみだなーピカチュウ!」
ピカチュウ「ピッカ!」ニコッ
スイレン「サトシ……」グスッ
サトシ「だ、だからさ?もう泣くなよスイレン!めでたい事だろ?」ナデナデ
スイレン「………ごめん…本当は不安だったから…」ゴシゴシ
サトシ「ほらっ!嬉しい時は笑おうぜ!」ニッ
ピカチュウ「ピッカ」ニコッ
スイレン「………うん!」ニコッ
スイレンの家
アシレーヌ「アーシレーヌ」
スイレンママ「妊娠……?」
スイレン「………うん…」
スイレンママ「それ、間違いないの?」
スイレン「今サトシと病院で確かめてきたから間違いない…」
スイレンママ「……………あなたたち、いつの間にそんな関係に…」チラッ
サトシ「………俺、責任とりますから!」
ピカチュウ「ピッカ!」
スイレンママ「……サトシくん、スイレン…あなたたちはもうスクールに通ってた頃みたいに子供じゃないのよ?」
スイレンママ「………聞けば…別に付き合ってる訳じゃないんでしょ?」
スイレン「………それは……」
スイレンママ「それに…そんな責任感だけで赤ちゃんを育てるだなんて…上手くいくハズないわ…」
サトシ「俺は責任感だけで言ってる訳じゃありません!」
サトシ「スイレンとは…スクールの頃からの付き合いだし…付き合ってた訳じゃないけど、でも…」
サトシ「嫌いだったらそんな事もしないです!確かにスイレンが妊娠したって聞いた時はビックリしました、でも今は心の底からスイレンと産まれてくる子供をゼンリョクで守ってやりたいと思ってます!」
スイレン「サトシ……」
スイレンママ「………………」
スイレンママ「………赤ちゃんを育てて家庭を守っていくってのは子供のアソビじゃないのよ?当然、バトルしてポケモンを育てていくのとはワケが違う」
スイレンママ「サトシくん……聞けばちゃんとした定職についてないそうじゃない……」
サトシ「………これからはちゃんとした職業にもつくし、色んな地方をフラフラしたりしない……」
サトシ「スイレンと産まれてくる子供の為に生きてくよ!」
ピカチュウ「ピッカ」
スイレンママ「………………」
スイレン「お母さん、私…この子を産みたい!」
スイレン「サトシと二人で育てていきたいの!」
サトシ「スイレン……」
スイレンママ「二人とも……本気なのね……?」
サトシ、スイレン「」コクッ
ピカチュウ「ピッカピッカ」
ククイの家
バーネット「スイレン…妊娠って……」
ククイ「お前ら……」
ロトム図鑑「これは驚きロト」
サトシ「さっきスイレンのママにも挨拶してきたんだ」
バーネット「スイレン…その、産んで育てる気なの……?」
スイレン「うん…」
サトシ「スイレンとも相談して決めた事だから…」
サトシ「もちろん、ちゃんとした仕事にも就くよ」
ククイ「………ポケモンマスターやチャンピオンの夢はどうするんだ?」
サトシ「………子供を育てて働きながらでも大会に出られない訳じゃないし…な?ピカチュウ」
ピカチュウ「ピカ!」
バーネット「……ククイくん…」チラッ
ククイ「………まぁ、お前らが本気なら止める気はない」
サトシ「博士……」
ククイ「いや、それどころかゼンリョクでお前らを応援しよう!」ニッ
バーネット「私もククイくんと同じ意見よ」ニコッ
サトシ「ククイ博士…バーネット博士……」ウルウル
スイレン「ありがとうございます!」
ロトム図鑑「サトシー!これからパパになるロト。泣いていてはスイレンに笑われるロトよ?」
サトシ「あ、ああ!そうだな!」ゴシゴシ
スイレン「ふふっ」ニコッ
ピカチュウ「ピカァ」
バーネット「……もうサトシもスイレンもスクールに通ってた頃の子供のままじゃないのね?」ウルッ
ククイ「ああ、そうだな」ウルッ
ロトム図鑑「何故めでたい事なのに、ククイ博士もバーネット博士も泣いてるロト?」
ククイ「……年のせいかもしれないな?」
バーネット「あら?私はまだ若いわよ?」
ククイ「おっとそういえばサトシ…」
サトシ「なに?博士」
ククイ「カントーのお母さんには連絡したのか?」
サトシ「ああ…ママにも連絡するつもりだよ!」
スイレン「本当は直接お義母さんに会って伝えたいけど……」
サトシ「………アローラとカントーじゃな…とりあえずは電話で伝えて……それから日取りを合わせて会いに行くよ!」
ククイ「そうか、ならいい!」
バーネット「私たちに伝えてくれたのは嬉しいけど…まずはカントーのお母さんに報告しなきゃね?」
サトシ「うん!」
スイレン「………お義母さん…私たちの事、認めてくれるかな?」ドキドキ
サトシ「ママなら大丈夫だよスイレン!」
ピカチュウ「ピカ!」グッ
ロトム図鑑「サトシのママ…ビックリして倒れなきゃいいロトね」
スイレン「え……」
サトシ「おい!余計な事言うなよロトム!」
ロトム図鑑「ごめんロト」
ククイ「やれやれ」
バーネット「……本当に大丈夫かしらね?」
ピカチュウ「ピカー」
………………
………
…
サトシ「いやぁ…ママビックリしてたなぁ…」
ピカチュウ「ピッカ」
スイレン「お義母さん…泣いてた…」
サトシ「ハハッ…」
スイレン「………でも、応援してくれるって言ってくれて良かった!」
サトシ「………ああ!」
ピカチュウ「ピカ!」
サトシ「………とりあえずママたちには伝えたし、今後の事も……」
スイレン「………ねぇ、サトシ…」
サトシ「ん?」
スイレン「………無理、してない?」
サトシ「え?」
ピカチュウ「ピカ?」
サトシ「なんで?」
スイレン「その……なんとなく……」
サトシ「………まぁ、確かに昨日の今日で色んな事があってビックリはしてるけど……」
スイレン「………………」
サトシ「でもさ!やっぱりスイレンの家でスイレンのママに言ったのが本音だよ!」ニッ
スイレン「………落ち着いたら……お義母さんの居るカントーに住まない?」
サトシ「カントー?でもカントーに行ったらスイレンの家族やマオやカキやマーマネにも会えなくなるぜ?」
スイレン「うん……」
サトシ「あっ、それにアセロラにも」
スイレン「………………」
ピカチュウ「ピカァ」
スイレン「………一年に何回とか帰ってくれば会えるよ!連絡したかったら電話もある!」
スイレン「それに……カントーにはリーリエも留学してるしカスミだっている!」
サトシ「まー、それはそうだけどさー?」
スイレン「サトシにあんまり無理してほしくない」
サトシ「いや、別に無理は……」
スイレン「………本当はまだポケモンマスターやチャンピオンの夢、諦めてないよね?」
サトシ「!」
サトシ「………それならさっきもスイレンの家で言ったじゃん…働きながらでも大会に出る事はできるよ」
スイレン「でも……自由に色んな地方に行ってって事はできなくなる」
サトシ「………旅なら子供の頃にいっぱいしたよ」
スイレン「本当?嘘ついてない?」ジトー
サトシ「……まぁ、全く未練がないって言ったら嘘になるよ……でもさ…」
サトシ「俺自身がパパになるんなら、なるべく家族の側に居てやりたいってのはずっと思ってたんだ。嘘じゃないよ」
スイレン「サトシ……」
ピカチュウ「ピカピ…」
サトシ「だからさスイレン……」
スイレン「………やっぱりカントーに住もう!」
サトシ「え?」
スイレン「カントーなら、ジムだってあるし…ジムリーダーになるってのもいいかも!」
サトシ「!」
スイレン「それに……前にサトシから聞いてたフロンティアブレーンってやつ!サトシがなりたいって言うんなら反対はしない!」
スイレン「………もちろん……ポケモンマスターの夢だって……」
サトシ「………………」
スイレン「だから……」スッ
スイレン「カントーに住もうよ…」ギュッ
サトシ「スイレン………」
ピカチュウ「ピカァ……」
一週間後
スイレンの家
サトシ「それじゃあ行ってくるよスイレン!」
ピカチュウ「ピカッ!」
スイレン「うん、いってらっしゃい!お仕事頑張ってね」ニコッ
アシレーヌ「アシレーヌ!」フリフリ
ホウ「いってらっしゃ~い!おにいちゃん!ピカチュウ!」
スイ「帰ってきたらバトル教えてね!おにいちゃん!」
サトシ「ハハハ…やっぱその呼び方まだ慣れないな?」ポリポリ
スイレン「ちょ、ちょっと!ホウ!スイ!////」
ホウ、スイ「なーにー?」
スイレン「えっと……その……サトシが困ってるっていうか…////」モジモジ
ホウ「えー?だっておねーちゃんとサトシおにいちゃんに子供できたんでしょー?」
スイ「だったらサトシおにいちゃんはおにいちゃんだよ!」
スイレン「そ、そうだけど////」
ホウ「あーあ……私もおばさんかー」ニヤニヤ
スイ「こまっちゃうねー?ピカチュウ?」ニヤニヤ
ピカチュウ「ピカァ」
スイレン「うぅ…」
サトシ「スイレンはそうやってすぐテレるとこ、子供の頃から変わってないなぁ」ハハハ
スイレン「……………」ムゥ
スイレン「サトシは変わった」
サトシ「え?」
スイレン「………子供の頃はそういうの、全然気にしなかったのに……」
スイレン「今はちゃんと意識するようになった」
サトシ「!」
スイレン「………サトシもきっと……大人になったんだ」クスッ
サトシ「………そっかな?」
ピカチュウ「ピカ!」
サトシ「んじゃ、行ってくるよー!」
ピカチュウ「ピカー!」
ホウ、スイ「行ってらっしゃーい!」
スイレン「…………………」
ホウ、スイ「……どうしたのおねーちゃん?」
スイレン「……………ううん、なんでもない…」ニコッ
アシレーヌ「アシ?」
ホウ、スイ「?」
スイレン(幸せ……)ギュッ
サトシ「えーと…今日はスクールでバトルの特別講師と……」スタスタ
ピカチュウ「ピカァ」トコトコ
「サトシ」ポン
サトシ「!」
カキ「よぉ、今からバイトか?」
サトシ「カキ!」
ピカチュウ「ピカァ!」
サトシ「カキこそ何でこんな時間からブラブラしてんだよ?サボりか?」
カキ「そんな訳ないだろ、今日は午後から大試練があるから午前中をオフにしてもらったんだ」
サトシ「大試練……そっか…カキはアーカラの島キングだもんなぁ……」
サトシ「………懐かしいな……あの島巡りした日々……」
ピカチュウ「ピカッ!」
カキ「………………」
サトシ「なぁカキ…今度暇があったらたまにバトルでも……」
カキ「それより聞いたぞサトシ?」
サトシ「聞いた?何を?」
カキ「お前……スイレンのヒモやってるんだってな?」ニヤニヤ
サトシ「は!?ヒモ?」
カキ「ああ、マオが言ってた」
サトシ「ま、待って!ヒモじゃなくてその……」
カキ「………冗談だよ、パパになるんだってな?」
サトシ「!」
カキ「それで落ち着くまでスイレンのお母さんの側にいる為にスイレンの家で暫く厄介になってるんだろ?」
サトシ「ま、まぁ……」
サトシ(スイレン……もう少し落ち着くまではみんなには言わないでって言ったのに…)
カキ「どうした?」
サトシ「い、いや…(まぁ、隠す事でもないしいっか…マオはスイレンの親友だし相談したい事もあるよな)」
ピカチュウ「ピカ」
カキ「サトシ、頑張れよ」ニッ
サトシ「ああ、サンキュー!カキ!」
ピカチュウ「ピカ!」
夕方
サトシ「今日はちょっと早めに終わったな」
ピカチュウ「ピカー」
サトシ「……スイレン待ってるかな?ご飯食べてホウちゃんとスイちゃんとバトルの特訓してからスイレンと………」
ソレデネ!! ホントウデスカ?
サトシ「……ん?家から声が聞こえる……?」
ピカチュウ「ピカ?」
サトシ「スイレーン!ただいまー」ガラッ
ピカチュウ「ピカー!」
スイレン「うん!それでね?」
リーリエ『本当ですか!?』
サトシ「!」
スイレン「あっ!サトシ帰って来た」
リーリエ『お久しぶりですサトシ』ニコッ
シロン『コーン』
サトシ「リーリエと電話してたのか?」
スイレン「うん!」
リーリエ『サトシ!スイレンから聞きましたよ?おめでとうございます!』
シロン『コーン!』
サトシ「えっと……サンキューリーリエ!シロン!」
リーリエ『それにしても……意外ですよね?』
サトシ「なにが?」
リーリエ『ポケモンにしか興味ないと思っていたサトシが……まさかスイレンにあんな事まで////』ポッ
シロン『コン…////』ポッ
サトシ「!?」
サトシ「お、おいスイレン!リーリエに何言ったんだよ!」
スイレン「ひみつ////」
サトシ「ひ、秘密って……あんまり何でも人に言うなよ……」
スイレン「別にいいでしょ?もう子供じゃないし……それにこういう事は本当に親しい女の子の友達にしか言わない」
サトシ「い、いやでも……」
スイレン「…………それとも……誰か知られたくない女でもいるの?」
サトシ「は?何言ってるんだよスイレン」
スイレン「…………」
リーリエ『えと……そ、その!論理的結論から言いますと、私もボーイフレンドが出来て来る日の為に参考になりました!』フンス
サトシ「そ、そうか……良かったな……」
サトシ「学業優秀……去年の学内ミスコンも優勝……」
スイレン「さすがリーリエ……」
リーリエ『そ、そんな事ありませんよ!』アセアセ
スイレン「でも運動はダメダメ」
サトシ「そこは変わらないな」
ピカチュウ「ピカピカ」コクコク
リーリエ『………論理的結論から言いますと、人間には得手不得手がありまして……』
シロン『コーン』
スイレン「リーリエ、でもきっとモテモテ」
リーリエ『興味は無いとはいいませんが、今は学業に追われててそんな暇は……』
サトシ「ま、でも元気そうで良かったよリーリエ!」
スイレン「うん!元気が一番!」
リーリエ『サトシとスイレンもです』ニコッ
リーリエ『本当は……アローラに戻って直接お祝いしたいのですが……』
サトシ「無理すんなよリーリエ、今はリーリエのやるべき事をゼンリョクでやれよ!」
スイレン「うん!その気持ちだけで嬉しい!」ニコッ
リーリエ『サトシ……スイレン……』ウルッ
シロン『コーン』
リーリエ『………あっ、そういえばスイレン』
スイレン「なに?」
リーリエ『まだやってるんですか?』
リーリエ『アローラの女子会』
スイレン「………………」
サトシ「アローラの女子会?」
ピカチュウ「ピカ?」
リーリエ『はい、私がカントーに留学するまでは一月に一回みんなで時間を合わせてやっていたんです』
リーリエ『私とスイレン……マオとアセロラ……アローラの女子で集まってみんなで将来の夢や恋を語ったり……時には愚痴やを言い合ったり……』
リーリエ『とても楽しかったです』ニコッ
サトシ「あー……そういえばアセロラからそんな話聞いた事あるなー」
ピカチュウ「ピカー」
スイレン「………………」
サトシ「楽しそうだなー!今度俺もまぜてよ!」
リーリエ『サトシ。女子会です!普段男性が居るような場では話せない事を語り合う会なんです!』
リーリエ『そういう所は子供の頃と変わっていませんね?』
サトシ「あー……ハハハ…」
スイレン「……………」
リーリエ『………そうだスイレン!もし都合がついたらアローラに戻ります!またその時にでも……』
スイレン「もうやってないよ」
リーリエ『………え?』
スイレン「もうそれはやってない」
サトシ「………スイレン?」
リーリエ『もうやってないって……どうしたんですか?もしかしてケンカでも……』
スイレン「別に……みんなの都合が合わないだけ。もう子供じゃないしみんな忙しいんだよ」
サトシ「でもスイレン、マオとはよく会ってんじゃん」
スイレン「………………」
サトシ「アセロラの都合が合わないのか?だったら俺から暇な日を聞いて……」
スイレン「サトシさ、まだアイツと会ってるの?」
サトシ「え?」
ピカチュウ「ピ……」
リーリエ『あ、あの……』アセアセ
サトシ「いや……アイツって………」
スイレン「どうなの?会ってるの?」
サトシ「………スイレンと住むようになってからは忙しくて会えてないけど……前までは暇な時にバトルの相手してもらってたよ」
スイレン「なにそれ?浮気?」
サトシ「は?いや、浮気って……別にアセロラとはただの友達だし、何で浮気に……」
スイレン「バトルの相手ならカキでもいいよね?」
サトシ「カキは家の牧場と島キングで忙しいし……暇な時はマオと遊ぶ時間だって欲しいだろうし…スイレンだって知ってるだろ?」
スイレン「………………」
リーリエ『あ、あのー……ケンカはやめましょ?ね?』アセアセ
シロン『こ、コーン!』アセアセ
サトシ「………なぁスイレン…アセロラとなんかあったのか?」
スイレン「………………」
リーリエ『そ、そうですよ!私がカントーに行く前はあんなに仲良かったじゃないですか!』
スイレン「…子供の頃とはもう違う」ボソッ
リーリエ『え?』
サトシ「?」
スイレン「……アイツ、クチを開けば自慢話ばっかりだし」
リーリエ『自慢話……?』
サトシ「アセロラは自慢話なんかしないよ…優しいし、すっげーいい奴だし……俺が子供の頃にウラウラに行った時だって…」
スイレン「アイツのクチから何回も聞いた」
スイレン「その"自慢話"」
サトシ「え?」
リーリエ『スイレン…それは自慢話ではなく思い出話です!アセロラはけっしてそんなつもりで話してた訳ではないと思いますよ?』
スイレン「そうだね、リーリエは本の話とかでアイツと仲良かったもんね」
リーリエ『スイレン……』
スイレン「アイツどうせサトシやリーリエに私の悪口言ってたんでしょ?」
サトシ「アセロラのクチからスイレンの悪口なんて聞いた事ないよ!俺がスイレンの話をした時だってニコニコして聞いてくれてたぜ?」
リーリエ『そうです!スイレンの事は素敵な夢を持ってて、ポケモンが大好きでいい子だって言ってました!』
スイレン「……もういい、アイツの話は気分悪い」
サトシ「スイレン……」
スイレン「……リーリエ、私たちね!落ち着いたらカントーに住もうと思ってる!」
リーリエ『!』
サトシ「あ、あのさスイレン……まだ決まった訳じゃ……」
スイレン「……あっちにはサトシのお義母さんもいるし……子供の頃、スクールで行ったマサラタウン。空気も美味しくてサイコーだった!」
リーリエ『…………………』
スイレン「そうだリーリエ!私たちがカントーに行ったら、カスミも誘って女子会しよ!」
スイレン「なんならマオちゃんも呼んで……」
リーリエ『スイレンは……本当にそれでいいんですか?』
スイレン「うん、いい。だってそれが……」
スイレン「私とサトシにとって一番いい事だから」
リーリエ『………そうですか…』
サトシ「……………」
ピカチュウ「ピカァ……」
翌日
サトシ「じゃあ行ってくるよ」
ピカチュウ「ピカー!」
スイレン「うん、いってらっしゃい!」ニコッ
アシレーヌ「アシー」
スイレン「……あっ、そうだサトシ」
サトシ「ん?」
スイレン「……今日、私もちょっと行く所あるから少し遅くなるかも」
サトシ「? 何処行くんだ?」
スイレン「ちょっと」
サトシ「んー、わかった!でもお腹に子供もいるんだしあんま無理はするなよ?」
ピカチュウ「ピカー!」
スイレン「大丈夫!アシレーヌもいる!」
アシレーヌ「アシー!」
サトシ「へへっ、そうだな!でも何かあったらすぐに連絡くれよ?」
スイレン「うん!」ニコッ
スイレン(サトシ、やっぱり優しい……)
スイレン(大好き…)
マラサダショップ
サトシ「急に呼び出してごめんマオ!」
ピカチュウ「ピカー!」
マオ「大丈夫だよ!今日は休みだったし!」
マオ「なんせウチには優秀なバイトがいるからねー♪」
サトシ「あぁ…ホシちゃんか」
マオ「うん!すっごくよく働いてくれるお陰で助かるよ」
マオ「サトシこそ大丈夫なの?」
サトシ「うん、今日はスイレンも用事があるみたいだし」
マオ「用事?」
サトシ「うん、よくわかんないけど」
マオ「……よくわかんないって…それより、相談ってなに?」
マオ「まさか………もうはやスイレンの愚痴とか……?」ニヤニヤ
サトシ「んーあのさぁ…ちょっと聞きたい事あって……」
マオ「聞きたい事???」
サトシ「その……スイレンとアセロラの事なんだけど……」
マオ「………………あー……」
サトシ「………って事が昨日あってさ……」
ピカチュウ「ピカー」
マオ「………………」
サトシ「なぁ、マオ。スイレンとアセロラがケンカしてる理由なんか知ってる?」
マオ「……まぁ、知ってるといえば知ってる……」
サトシ「マジ?」
マオ「う、うん……よくスイレンから愚痴聞いてたし…」
サトシ「じゃあ教えてくれよ!このまま二人が仲悪いままなんてやだよ!」
ピカチュウ「ピカー」
マオ「その前に……アセロラはサトシとスイレンがこうなった事知ってるの?」
サトシ「いや、まだ言ってないけど……」
マオ「………………」
マオ「……うーん…何て言っていいかわかんないんだけど……あの二人はケンカ?してるって言うか……」
サトシ「違うの?」
マオ「……簡単に言えばスイレンのヤキモチ」
サトシ「ヤキモチ……?」
マオ「リーリエがカントーに留学する頃……カキも島キングになったでしょ?」
サトシ「ああ、それが何か関係あるの?」
マオ「それまでサトシ……カキとバトルの特訓してたけど、カキが忙しくなったからアセロラと特訓するようになったよね?」
サトシ「うん、アセロラもチャンピオンが夢だって言ってたし……喜んで相手になってくれたよ」
マオ「……リーリエが居なくなってからも暫く続けてたんだよ女子会」
サトシ「え?」
マオ「その女子会でさ……アセロラがサトシとバトルの特訓してる事を楽しそうに話すんだよ」
サトシ「それが何か悪いのか?」
マオ「いや、悪くないよ。私だって二人が夢に向かって特訓してるのは微笑ましいって思ったし、応援してたつもり」
サトシ「……だったら……」
マオ「でもスイレンはさ?その……そうなる前からサトシの事ずっと好きだったんだよ……それこそスクールに通ってた頃から」
サトシ「……………」
ピカチュウ「ピカピィ」
マオ「サトシももう子供じゃないし、ここまで話したらわかるよね?」
マオ「最初はスイレンも笑ってアセロラの話を聞いてたよ…でも……」
マオ「会を重ねるごとに辛いって……もう聞きたくないって……」
サトシ「…何で俺に相談してくれなかったの?」
マオ「………スイレンがサトシの事好きだからアセロラとの特訓やめてくれなんて私が言える訳ないじゃん!」バンッ
サトシ「うん、そうだな…ごめん」
ピカチュウ「ピカピィ…」
サトシ「……よし、わかったよ。なら俺が一度アセロラに会って話してみるよ、最近忙しくて会えてなかったし」
マオ「話すってなにを?」
サトシ「スイレンの事とか……今の状況とかさ」
マオ「………それはまだやめた方がいいよ」
サトシ「え?」
マオ「……これ、スイレンにはナイショだけどさ?実は私……たまにアセロラとも会って話聞いてるんだよ」
サトシ「マジ?」
マオ「うん、マジ。アセロラはスイレンと気まずいの嫌だって言ってたよ」
サトシ「ならさ………スイレンを説得してアセロラと話させれば解決じゃん!」
マオ「うーん…まぁそうなんだけどさー……なんてゆーか……薄々は感づいてたんだけど、話聞いてたらやっぱりって感じかなー」
サトシ「?」
マオ「………あのさサトシ、とりあえずアセロラには私が話するからサトシはスイレンが落ち着くまでアセロラと距離をおいてくれない?」
サトシ「なんで?」
マオ「いいからさ!とりあえずは私に任せてよ!」
マオ「きっとここでサトシが出てったら、最悪もう取り返しがつかない事になるよ!」
サトシ「でもさ……」
マオ「サトシ!もう子供の頃とは違うんだよ!」
マオ「ケンカしちゃったからごめんなさいで済まない事だってあるんだよ……」
サトシ「わ、わかったよ……」
ピカチュウ「ピカー」
ウラウラ島
図書館
アセロラ「ふーんふふーん♪」イソイソ
ミミたん「キュー」フワフワ
アセロラ「最近サトシから連絡こないねミミたん?」
ミミたん「キュー」
アセロラ「……もしかして……お仕事忙しいのかな?」
ミミたん「キュー?」
アセロラ「……今日のお仕事終わったら連絡してみようかな?」
ミミたん「キュー」
ガラッ
アセロラ「!」
アセロラ「……誰か来たみたい…」スタスタ
ミミたん「キュー」フワフワ
「久しぶり」
アセロラ「!」
スイレン「アセロラ」ニコッ
アセロラ「……スイレン……」
ミミたん「キュー」
アセロラ「ひ、久しぶりだねー!きょ、今日はどうしたの?」ニコニコ
スイレン「……ちょっと借りたい本あって」
アセロラ「そ、そうなんだー!だったらアセロラに任せてよー!」
スイレン「……ごめんねアセロラ」
アセロラ「?」
スイレン「その、私のくだらないヤキモチでアセロラと気まずくなっちゃって……」
アセロラ「……え?」
スイレン「虫のイイ話かもしれない、でも……できれば昔の事は水に流してアセロラと仲良くしたい」
アセロラ「スイレン……」
スイレン「アセロラ…私、その……」シュン
アセロラ「………アセロラの方こそごめんねスイレン」
スイレン「え?」
アセロラ「その……スイレンの気持ちをわかってて変な話ばっかりしちゃって……」
スイレン「アセロラ……」
アセロラ「また…前みたいに仲良くしようよスイレン!」ニコッ
スイレン「……うん!」ニコッ
ミミたん「キュー」
アセロラ「あっ、そういえばスイレン…何か本探してたんだよねー?」
スイレン「……この本なんだけど……」ピラッ
アセロラ「うんうん!ここはアセロラの庭みたいなものだから!アセロラに任せてよ!」ピラッ
アセロラ「…………えーと……」
アセロラ「!」
スイレン「……どうしたの?」
アセロラ「…………これ…赤ちゃんの育て方の本…?」
スイレン「うん、そうだよ」
アセロラ「……誰かに頼まれたの?」
スイレン「違う。今後必要だと思って」
アセロラ「なん……」
スイレン「私、妊娠したの!」ニコッ
アセロラ「!?」
スイレン「もちろん嘘じゃない」
アセロラ「そ、そうなんだー!おめでとうスイレン!」
スイレン「ありがとうアセロラ」ニコッ
アセロラ「…………そ、その…誰……」
スイレン「サトシ」
アセロラ「……え?」
スイレン「アセロラも知ってると思うけど…私、ずっとサトシの事好きだったから…」
スイレン「今、とっても幸せ」ニコッ
アセロラ「……なんで……」
スイレン「なんでってそんなの……赤ちゃんの作り方くらいアセロラも知ってるよね?」
スイレン「もう子供じゃないんだし」
アセロラ「…………」
ミミたん「キュー」
アセロラ「……ごめんスイレン…今、その本貸し出し中だからないんだった……」
スイレン「……そっか、残念!」
スイレン「……あっ、そうだ」
アセロラ「……なに?」
スイレン「最近サトシと連絡とった?」
アセロラ「……なんでそんな事聞くのよ…」
スイレン「サトシ、今私と一緒に私の家で暮らしてるから…」
スイレン「……今後の事もあるし……忙しいからバトルの特訓はできないかも。一応私から伝えとく」
アセロラ「…………」
スイレン「……それじゃ、また来るね!アセロラ」スクッ
スタスタスタ
ピシャリ
アセロラ「…………」
ミミたん「キュー……」
一ヶ月後
ワイワイ
ロトム図鑑「えー……それではサトシとスイレンの結婚を祝って……」
ロトム図鑑「カンパーイ!ロト!」
「カンパーイ!」
ワイワイ
マオ「スイレンおめでとー!」
スイレン「ありがとう!マオちゃん!」ニコッ
リーリエ「おめでとうございます!スイレン!」
スイレン「リーリエ……わざわざカントーから来てくれてありがとう」
リーリエ「いえいえ」ニコッ
ライチ「うぅ……羨ましくなんか……」シクシク
ハラ「ライチ殿、お酒のペースが早すぎですぞ!」
カキ「サトシー!いいパパになれよ…」グスグス
サトシ「な、なんでカキが泣くの?」
ピカチュウ「ピカー」
ホシ「お兄ちゃん泣き上戸なんです」ハァ
ホウ「お互い兄弟には苦労するねー?ホシちゃん」
スイ「ねー?」
ホシ「まったくだよ」クスッ
カキ「ホシー!!」バッ
ホシ「離れて」グイッ
カキ「ぐえっ」
マオ「ほらカキー!もういい年なんだからシスコンは卒業しなよ!」
カキ「だって……」
ホシ「情けないなー」ハァ
マオ「ねー?」
カキ「うぅ…」グスグス
サトシ「ハハハ」
マーマネ「サトシ、おめでとう」
サトシ「マーマネ……」
マーマネ「最初サトシがパパになるって聞いた時は驚いたよー」
サトシ「ははっ、俺もだよ」
ピカチュウ「ピカー」
リーリエ「マーマネも負けてはいられませんね?」
マーマネ「リーリエ……」
マーマネ「あ、その…ひ、久しぶり…キレイになったね……」
リーリエ「マーマネは変わりませんね?」クスッ
シロン「コン」
マーマネ「ハハハ…そうだね……」
ワイワイ
ククイ「うぅ…あいつら……立派になったなぁ…」ウルッ
バーネット「そうね?」クスッ
マーレイン「おや?泣いてるのかい?」
ククイ「……年のせいだよ…」グスッ
サトシ「……………」キョロキョロ
スイレン「……誰か探してるの?」
サトシ「あ、いや……グラジオやっぱ来なかったなーと思って……」
ピカチュウ「ピッカー」
スイレン「リーリエのお兄さん、今ホウエンにいるらしい。リーリエが言ってた」
サトシ「そ、そっかー…グラジオも頑張ってるなー」
ハナコ「サトシ、スイレンちゃん!」
サトシ「ママ……」
スイレン「お義母さん……」
ハナコ「嬉しいわ…サトシがこんな素敵な子を見つけてくるなんて……」グスッ
バリヤード「バリィ」
スイレン「す、素敵な子////」ボフン
サトシ「スイレン!?」
スイレンママ「サトシくん、スイレンをお願いね?」
サトシ「………うん!任せてよ!スイレンと産まれてくる子は俺がゼンリョクで守るよ!」
ピカチュウ「ピッカー!」
スイレン「サトシ……」
スイレンママ「ふふっ」ニコッ
コジロウ「ほら飲めー!」
サトシ「ごふっ!」
ムサシ「男みせなさい!」
ニャース「めでたい席なのにゃ!のまにゃきゃ損なのにゃ!」
ソーナンス「ソーナンス!」
ワイワイ
リーリエ「それにしても……一時は心配しましたが、スイレンとアセロラが仲直りできて良かったです」ニコッ
マオ「…………………」
リーリエ「………どうしました?マオ」
マオ「うーん……確かにスイレンが言うには仲直りしたって言うし……私も心配になってアセロラに聞いてみたらさ?アセロラも仲直りしたって言ってたよ」
リーリエ「はい、良かったですよね!今日アセロラが体調を崩してこれないのは残念ですが……」
マオ「………………」
「まぁ、おかしいな」
マオ、リーリエ「!」
クチナシ「よぉ、ねーちゃんたち」
マオ「クチナシさん!」
リーリエ「おかしいって……どういう事ですか?」
クチナシ「………………」
クチナシ「アセロラの事はガキの頃から知ってる……あの子ならこういう友達のめでたい席なら無理してでも出てくるような子だってこった」
リーリエ「!」
マオ「………………」
クチナシ「まぁ、あいつの兄ちゃんに対する気持ちはなんとなく気づいてたし、ここ最近の様子は確かにおかしかった」
マオ「クチナシさん……気づいてたならなんで……」
クチナシ「………俺はあの子の親代わりみたいなもんだったが、本当の親じゃねぇ…」
マオ「クチナシさん……」
クチナシ「それに……あいつももうガキじゃねぇ。触れられたくない事もあんだろうと様子を見てたが……」
リーリエ「で、ですが気づいてたら相談に乗るぐらいは……」
クチナシ「……………」
マオ「リーリエ!」
クチナシ「いや、そのねーちゃんの言うとおりだなぁ…」
マオ、リーリエ「!」
クチナシ「アセロラは……昔から辛いことがあっても無理して笑顔をつくる子だ……」
クチナシ「もっと早く相談に乗ってやってやれば良かったなぁ……」
マオ「………………」
リーリエ「………………」
サトシ「うぅ……」フラッ
スイレン「サトシ、どこ行くの?」
サトシ「………飲みすぎて気持ち悪い…ちょっとその辺散歩してくる…」フラフラ
スイレン「じゃ、じゃあ私も……」
サトシ「大丈夫、ピカチュウがいるからさ?スイレンはここにいろよ。すぐ戻ってくるよ」
ピカチュウ「ピカー!」
スイレン「う、うん………」
浜辺
ザザーン
サトシ「………ロケット団の奴……飲ませすぎだよ…オエッ」
ピカチュウ「ピカピィ」
ザッザッ
サトシ、ピカチュウ「?」
ユラー
アセロラ「………サートシー♪」フリフリ
ミミたん「キュー」フワフワ
ゲンガー「ゲーン」
サトシ「………アセロラ?」ポヤー
ピカチュウ「ピ……」
サトシ「………どうしたんだよアセロラ~…今日も来てくれないし……最近連絡もとれないし……心配したんだぞー?」
アセロラ「ごめんねー?ちょっと忙しくって」
サトシ「ま、来てくれたからいいや。あっちにスイレンもみんなもいるから……」
アセロラ「………ここでいーよ」
サトシ「え?」
アセロラ「ふふふ、こーれー」スッ
サトシ「お酒?」
アセロラ「…………少しの間二人でお祝いしよーよ♪」
サトシ「……………」
ピカチュウ「ピ……」
アセロラ「ほらほらサトシー!もっと飲んでー?」
サトシ「な、なぁ…俺もう飲めな……」
アセロラ「…………スイレンから注いでもらわきゃ飲めないの?」
サトシ「………わ、わかったよ…」ゴクゴク
アセロラ「うんうん♪」
ピカチュウ「ピカピ……」
サトシ「おぇ~……気持ち悪い……」
ピカチュウ「ピカピィ!」ユサユサ
アセロラ「…………初めて会った時の事覚えてる?」
サトシ「………え?」ヒッグ
アセロラ「ほら、子供の頃……おじさんの交番で……」
サトシ「………うん、覚えてるよ………」
アセロラ「あの頃はアセロラもサトシもちっちゃくて…」
サトシ「……アセロラは今でもちっちゃいよ」
アセロラ「………もぅー!ムード壊さないで!」プクー
サトシ「悪い悪い…」ハハハ
アセロラ「………でも、今はもうお酒が飲めるくらいにおっきくなって……」
アセロラ「サトシはパパになった……」
サトシ「…………………」
アセロラ「………大人になるってどういう事なのかな……?」
サトシ「え?」
アセロラ「………大人になっちゃったらね?子供の頃におっきく見えてた物も小さく見えて……素敵に見えて物もなんだこんな物かって思っちゃうんだよ」
サトシ「…………………」
アセロラ「夢見てた景色も現実が見えちゃって諦めちゃう…ケンカしてもすぐに仲直りできてた友達とだってもう友達じゃいられなくなるんだよ」
サトシ「アセロラ……」
アセロラ「………子供の頃のまま時が止まっちゃえばいいのに……そうしたらサトシだってずっと10才!余計な事も考えないでポケモンマスターを目指せるんだよ?」
サトシ「…………………」
サトシ「泣いてるのか?」
アセロラ「………………」
ミミたん「キュー」
アセロラ「でもね?きっと無理なんだよ……だってもう大人になっちゃったから…」
アセロラ「心も体も……」スクッ
サトシ「……あのさアセロ……」
アセロラ「サイミンジュツ」ボソッ
ゲンガー「ゲーン」ウイーン
サトシ「!?」
ピカチュウ「ピカピ……」
ドサッ
アセロラ「………………」
アセロラ「……今のサトシにはアセロラがどう見える?」
アセロラ「子供の頃の無邪気なアセロラのまま?それとも……」スッ
サトシ「zzz」
ピカチュウ「zzz」
ミミたん「キュー」フワフワ
ザザーン
………………
………
…
翌日
チュンチュン
サトシ「……………ん…」ムクリ
サトシ「朝……か……」ポリポリ
サトシ「うぇー……頭イテー…飲みすぎた…完全に二日酔いだなこりゃ」ハハハ
ピカチュウ「zzz」
サトシ「おいピカチュウ。起きろよ、朝だぞ」ユサユサ
ピカチュウ「ピ…」ムクリ
サトシ「…………にしても、ここどこだ?スイレンの家じゃない…」キョロキョロ
サトシ「…………どっかで見たことあるようなー……」
ピカチュウ「……ピ……………」
「あっ、サトシ起きたんだ♪」
サトシ「あー、おはよースイレン。なぁここどこ……」
アセロラ「うふふ、サトシー。まだ寝惚けてるのー?」ニコニコ
ミミたん「キュー」フワフワ
サトシ「アセロラ!?」
ピカチュウ「ピ……」
サトシ「なん……」
アセロラ「あーっ!サトシやっぱり覚えてないんだー?」プクー
サトシ「え?」
アセロラ「昨日浜辺で飲んだでしょ?その後サトシ、酔いつぶれちゃったからアセロラの家まで運んできたんだよー?大変だったんだから!」プンプン
サトシ「そ、そっか…悪い……」ハハハ
サトシ「でも……それならスイレンの家まで運んでくれれば……」
アセロラ「……夜も遅かったし迷惑だと思って…」スッ
サトシ「でも……」
アセロラ「……………」ピト
サトシ「な、なに………?(なんでくっついてくるんだ?)」
アセロラ「ふふっ、サトシお酒くさーい」クンクン
サトシ「ハハハ…昨日飲みすぎたからな……」
サトシ「そ、それよりさ…俺もう帰らなきゃ……」バッ
アセロラ「……………」
サトシ(な、なんだ………?今日のアセロラ…いつもより色っぽいような……)ドキドキ
サトシ「……………な、なぁアセロラ……昨日ナニもなかったよな?」
アセロラ「……………ナニもなかったってなんだろ?言ってる意味わかんないや」
サトシ「い、いや…何でもないよ…」
アセロラ「……………」
ピカチュウ「ピカピ…」
ミミたん「キュー」フワフワ
サトシ「そ、そういえばさ!ほらっ!こうやってやってるとなんか子供の頃を思い出すなー」ハハハ
アセロラ「え?」
サトシ「ほ、ほら!俺がクチナシさんに負けた時にー……」
アセロラ「ふふっ」クスッ
サトシ「?」
アセロラ「うんうん、そーだねあの頃を思っちゃうね」
サトシ「だろ?」
アセロラ「でも……アセロラには……」ウーン
アセロラ「…………子供の頃と同じに見えても全然違う景色が見えるよ」ニコッ
サトシ「…………?」
アセロラ「……ねぇサトシー……お昼ご飯も食べていきなよ」
サトシ「あ、あのさアセロラ……悪いんだけどスイレンやみんなが心配するといけないし……」
アセロラ「そっか…残念…」シュン
サトシ「ごめん……」
アセロラ「………サトシ」スッ
サトシ「え?」
アセロラ「」ギュッ
サトシ「ど、どうしたんだよアセロラ…」
アセロラ「………ホントはね?アセロラ……寂しかったの…」
サトシ「寂しい……?」
アセロラ「………サトシがパパになったら…もうサトシ、アセロラの事なんか忘れちゃうんじゃないかって…」ギュウ
サトシ「…………そんなわけないだろアセロラ?」ナデ
アセロラ「サトシ……」
サトシ「今はちょっと忙しいけど……落ち着いたらさ、また一緒にバトルの特訓したり、どっか行ったりしようぜ!」ニッ
アセロラ「………うん!」ニコッ
サトシ「へへっ」
ピカチュウ「……………」
アセロラ「サトシ、こ~れ~」スッ
サトシ「これ……」ピラッ
アセロラ「アセロラからのプレゼント!今までありがとうとこれからもヨロシクの意味も込めて!」
アセロラ「ちゃんと二枚買ってあるからね?」ニコッ
サトシ「二枚?」スッ
アセロラ「あぁー!中身は帰ってからにしてー!」アセアセ
サトシ「ハハハ、悪い!サンキューなアセロラ!」ニッ
アセロラ「スイレンにはナイショね?」
サトシ「え?なんで?」
アセロラ「ほらっ!スイレンが誤解でヤキモチ焼いたら困るでしょ?サトシの鈍感ー!」プクー
サトシ「あっ!そうか!」
アセロラ「サトシはやっぱりまだ子供だねー」ハァ
サトシ「そ、そんな事……」
アセロラ「大丈夫だよー!スイレンにも後でプレゼント渡すし……ソレは拾った事にでもしてよ」
サトシ「……わかった…でもなんかホッとしたよ」
アセロラ「え?」
サトシ「アセロラもなんだかんだ子供の頃と変わんないなって」ニッ
ピカチュウ「ピカー」
アセロラ「………………」
アセロラ「…………そうかな?」ニコッ
ミミたん「キュー」フワフワ
サトシ「じゃあなー!アセロラ!また来るよー!」
ピカチュウ「ピッカー」
アセロラ「うん♪」ニコッ
ミミたん「キュー」フワフワ
サトシ「さっ、帰ろうぜピカチュウ?みんなが心配しちゃう」
ピカチュウ「ピッカー」
タッタッタ
アセロラ「………………」
アセロラ「ごめんねサトシ?」
アセロラ「もうアセロラは子供のままじゃないの……」
ミミたん「キュー」フワフワ
スイレンの家
カキ「たくっ!お前は……そのまま酔いつぶれて路上で寝てたってどういう事だ!」ガミガミ
リーリエ「みんなで必死に探したんです!これからはお酒ひ控えてください!」ガミガミ
マーマネ「ハァ…サトシはいつまでたっても子供だねー…」
サトシ「ごめん……」
ピカチュウ「ピッカー」
マオ「サトシ!謝る相手が違うよ!スイレンなんてサトシがいないって泣きっぱなしだったんだよ!」
サトシ「………………」チラッ
スイレン「…………………」
サトシ「その……スイレン…本当にごめ……」
スイレン「………………」ギュッ
サトシ「え?」
スイレン「よかった…帰って来てくれて……」グスッ
サトシ「スイレン………」
サトシ「…………ごめんなスイレン?もう一人でフラフラどこにもいかないよ。約束する」ギュッ
スイレン「………うん」グスッ
ククイ「やれやれだな……」
バーネット「そうね?」
ハナコ「あの……!家の息子がご迷惑をかけて…その………」ペコペコ
スイレンママ「い、いえ…無事見つかって良かったですし、顔を上げて……」
バリヤード「バーリリィ」
風呂場
サトシ「………………なぁピカチュウ、俺、酒臭い?」ヌギヌギ
ピカチュウ「ピカピカ」
サトシ「………俺、改めて決心したよピカチュウ!もうスイレンを絶対に泣かせない!スイレンも産まれてくる子供も……ゼンリョクで守るってな!」ヌギヌギ
ピカチュウ「ピカー!」
サトシ「んじゃ、シャワー浴びてスッキリ……」ゴソッ
サトシ「………………ん?」ピラッ
サトシ「あー、そういえばアセロラから貰ったプレゼント…忘れてた」
サトシ「えーと中身は……」ビリビリ
サトシ「!……二枚買ったってそういう意味だったのか…」ピラッ
サトシ「カントー行きのチケット……もしかしてスイレンから俺たちがカントーに住むかもって話を聞いて……」
ピカチュウ「ピ?」
サトシ「アセロラ………」ジーン
サトシ「…………へへっ、でもアセロラって……子供の頃はしっかりした子って印象だったけどさ?やっぱちょっとヌケてるとこあんのかもな?」
ピカチュウ「ピカ?」
サトシ「……二枚買ったとか言ってた癖に……」スッ
サトシ「一枚しか入ってないじゃん」
ピカチュウ「ピカピ…」
完
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