勇者「魔王を打倒するため旅を初めておよそ半年……」
勇者「やっとここまでたどり着いた……」
勇者「間違いない! この扉の向こうに魔王がいる!」
勇者「魔王を倒し、囚われの姫を救い、世界を平和にしてみせる!」
キートン山田「ずいぶんと独り言の多い男である」
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バァンッ!
勇者「魔王ッ!」
魔王「ついにここまでたどり着いたか……」
勇者「なんという邪気! なんという異形! これが魔王か……!」
魔王「フハハハハ、待っていたぞ勇者よ……」
キートン山田「なぜ待っているばかりで、自分から動かなかったのか」
勇者「お前の世界征服の野望も、今日ここで終わりを告げる!」
魔王「ほざけ!」
魔王「人間どもの希望たる貴様をこの手で叩き潰し、世界征服を成し遂げてくれるわぁっ!」
キートン山田「世界征服とは、ずいぶん分かりやすい野望を持った魔王である」
キートン山田「世界を征服しても管理が大変なだけな気もするが」
勇者「いくぞっ!」ダッ
勇者「だあああああああっ! ――必殺・十連斬ッ!」
ザザザザザシュッ!
魔王「ぐぬう……闇の防壁よ!」ヴンッ
ギギギギギンッ!
勇者「くっ、硬い! 半分は防がれたか!」
キートン山田「十連斬だからといって、律義に十回攻撃しなくてもいいだろうに」
聞こえているならこっちから声をかけろよwwwww
伝わるだろうし……
魔王「はあああああ……!」ゴゴゴゴゴ…
勇者(力を溜めている!?)
魔王「魔炎獄焦熱猛哮烈波ァァァッ!!!」
ズドォォォォォンッ!!!
勇者「うぐあぁぁぁぁぁぁっ!」
キートン山田「なんという漢字だらけの技だろうか。子供泣かせである」
キートン山田って入るだけで瞬時にちびまる子っぽい絵柄で脳内に映像浮かぶのズルい
魔王「――おい!」
勇者「!」
魔王「さっきからなんなのだ! この冷めた口調のナレーションは!」
勇者「知るか! 俺が旅を始めた時から、ずっとこのナレーションがついてきたんだ!」
魔王「雰囲気がブチ壊しだ……。どうにかならんのか!?」
勇者「どうにかなるなら、とっくにやってる!」
キートン山田「最終決戦だというのに、集中力のない男どもである」
勇者&魔王「ほっとけ!!!」
魔王「……まぁいい、気を取り直して戦いを再開しよう」
勇者「ああ」
魔王「ぬあああああっ!」
勇者「はあああああっ!」
ガキィンッ!
キートン山田「両者決め手に欠け、盛り上がりにも欠ける戦いが、だらだらと続くのであった」
勇者(好き勝手いいやがって……!)
魔王(無視せねば……!)
勇者死ね
ズバァッ!
魔王「ぐごっ……!」ガクッ
勇者「よし、手ごたえあり!」
魔王「ククク……」
勇者「!?」
魔王「どうやら貴様は、ワシの本気を見る資格があるようだ……」
キートン山田「偉そうにいっているが、なぜ最初から本気を出さなかった」
勇者「まさか、今までのは本気じゃなかったのか!?」
魔王「当然だろう。今のこの姿は“仮の姿”に過ぎん」
魔王「今こそ見せてやろう! ワシの“真の姿”をなァ!」
魔王「ぬがあああああああああ……!!!」ズゴゴゴゴゴ…
勇者「ぐっ……!」
キートン山田「後半へ続く」
勇者「気が抜けるわ!」
真魔王「ハァァァァァ……!!!」シュゥゥゥゥゥ…
勇者(まるで、竜と蛇と悪魔が融合したような……! とんでもない化け物だ!)
真魔王「ワシの真の姿を見て、生き延びた者は一人としていない……」
真魔王「魔界の好敵手も、神ですらも全て、天の彼方へ吹き飛ばしてやった……」
真魔王「勇者よ、貴様も例外ではない!」
真魔王「我が力で地獄に叩き落としてくれようぞ!」
キートン山田「吹き飛ばすのか叩き落とすのか、どちらかにしろ」
くっそ…脳内再生余裕なのがまた腹立つ
真魔王「あの世で誇れ……自分は魔王の真の姿を見ることができた、と!」
真魔王「暗黒魔炎吐息(エビルブレス)!!!」
ゴォワァァァァァァッ!!!
勇者「ぐあああああああっ……!」
キートン山田「この光景、口臭に悶えてるようにも見えなくもない」
ドサッ…
勇者「なんて強さだ……変身前とはケタが違う!」
勇者「ここまで、なのか……!」
キートン山田「ずいぶんと諦めの早い男である」
勇者「いや、まだだ! まだ打つ手はある! 最大……奥義ッ!」
勇者「二十連斬ッ!」ギュオッ
キートン山田「数が二倍になっただけの技が今さら通用するとは思えないが」
真魔王「ふん、こんな技ではかすり傷すらつかん!」ギィンッ
ドゴォッ!
勇者「がふぅっ!」
キートン山田「だから言わんこっちゃない」
真魔王「そろそろこの茶番劇もフィナーレだ」
真魔王「闇の力よ、奴を縛りつけろ!」バリバリッ
勇者「しまったぁ!」ギュゥゥゥゥ…
キートン山田「こんなクライマックスだというのに、名前のない技が出てきてしまった」
真魔王「……ダークネス・オーラ・バインド!」バリバリッ
勇者「う、動けない!」ギュゥゥゥゥ…
キートン山田「即興丸出しのネーミングにするぐらいなら、名前などつけない方がいい」
勇者「ぐううううう……!」ギュゥゥゥゥ…
勇者(俺の力だけじゃ脱出できない……!)
勇者(この旅で出会ったみんな……!)
勇者(みんなの力を貸してくれぇっ……!)
キートン山田「少し間違うと、知り合いから金を無心するダメ男に見えてしまいそうだ」
勇者「はあああっ!!!」
バシュッ!
真魔王「な!? ワシの拘束を打ち破った!?」
勇者「冒険で出会ったみんなの力が、俺の中に宿ったんだ!」バチバチ
勇者「俺は一人じゃない……一人でここまで来れたわけじゃない!」バチバチ
勇者「みんなの力で魔王、お前を倒す!」バチバチバチッ
真魔王「うおおおおっ……」
キートン山田「チカチカ光る今の勇者の姿は、とても目に悪そうである。少し抑えて欲しいものだ」
勇者「喰らえッ!」
勇者「一・刀・百・断ッ!!!」
ズバシュッ!!!
真魔王「ぐおあぁぁぁっ……!!!」
キートン山田「なぜ一太刀で百断できるのか、説明は一切ないのであった」
真魔王「バ、バカな……このワシが……人間ごときに……」
真魔王「だが、ワシが滅んでも、魔族は滅びぬ……」
真魔王「いつの日か、ワシの遺志を継ぎ、第二の魔王となる者が現れ……」
真魔王「次こそ、人間を根絶やしに、してくれる……であろう……」
真魔王「覚えておけ、勇者……」
真魔王「この勝利は……束の間の勝利に、過ぎんということを……!」
真魔王「フハハ、ハハハ……ハハ……」シュゥゥゥ…
勇者「……」
キートン山田「あれだけ斬られたわりに、ずいぶんと長い断末魔の言葉である」
姫「勇者様!」
勇者「姫!」
姫「助けに来て下さったのですね!」
勇者「はい、魔王は滅ぼしました……ご安心下さい!」
姫「よかった……!」
キートン山田「こっちこそ姫が不細工でなくてよかった、とほっと一安心の勇者であった」
勇者「んなこと思ってねえから!」
勇者「さぁ、城へ帰りましょう。陛下もお待ちです」
姫「はい、勇者様」
姫「私、お城に戻ったら、お父様にすぐにでもこう言うわ」
姫「勇者様とずっと一緒にいさせてって……」
勇者「姫、私も同じ気持ちです!」
姫「勇者様……!」ダッ
勇者「姫……!」ギュッ
キートン山田「交配へ続く」
勇者「うるせえよ!!!」
おわり
>>1
×旅を初めて
↓
○旅を始めて
ひでぇオチww
いいオチですw
脳内再生余裕だった
乙ー
面白かった
最後のがやりたかっただけだろwww
発想は良かった
単純に面白い上に
キートン山田がスマートスピーカー的な存在に見えるので
動作の仕組みを考えると妙な面白さまで出てくる
キートン山田は卑怯www
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