社長「ウヅリンを売ってくれ」未央「はあ…」 (25)

デレマスの二次創作です。カップリングの話があるので苦手な方はご注意を。

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未央「私は営業マン本田未央!」

未央「某商社で真面目に明るく働いてます!」

未央「まだまだ新人でひよっこの私だけど、これでも営業の成績は結構いいんだ!」

未央「ルーキーの中じゃ一番の業績だし、先輩にも一目置かれちゃってるほど! いやー自分の才能が怖いねっ!」

未央「そんなわけで、今私は社長室の前にいます!」

未央「どういうわけだって? ……ふっふっふ、なんと私、社長直々にお呼ばれしちゃったのだ!」

未央「このタイミングでのお呼ばれなんて、昇進の話に決まってるじゃん! やったね未央ちゃん! いやっほーっ!」


──社長室──

コンコン

未央「失礼します!!」ビシッ

社長「おー、よく来てくれた本田くん。さあさあ座ってくれたまえ」

未央「ありがとうございますっ。失礼しますっ!」

社長「ふふ、噂どうりの元気印だね。本田くんの活躍ぶりはよく耳にしているよ、とても優秀な成績で……いやー結構結構」

未央「えへへっ、ありがとうございます!」

社長「そんな本田くんに折り入って、今日は1つ頼みごとをしに来たんだ……」

未央(おぉ~来たぞ~!)


社長「本田くん、君には……」

未央(部長の座を任されて欲しい、とか!?)

社長「君には……”ウヅリン”を売って欲しいんだ」

未央「…………へ?」

社長「驚くのも無理はない。しかし本田くん、これは君にしか頼めない仕事なんだよ」

未央「ちょ、ちょっと待ってください社長。う、ウヅリン? ウヅリンって……なんですか?」

社長「おや、ウヅリンを知らない? 本田くんともあろう者が、自社製品を知らないなんて……」

未央「す、すみません」

社長「いや、責めているわけではないんだ。それぐらい知名度が低いということだから、逆にこっちが頭を下げなければいけない。……ともかく、説明をするには実物を見てもらった方が早い。ついてきてくれ」


──展示室──

ゴオオオオ

未央「ここは……一体なんですか?」

社長「ここは展示室だよ。うちが取り扱っている全ての”カプ”が展示されているんだ」

未央「は、はあ……」

社長「まず初めに、これを見てくれ」

未央「……わぁ、可愛いですね。ポップな色合いの中に、包まれるような優しい雰囲気が表現されていて……これが”ウヅリン”なんですか?」

社長「いいや、これは”アンキラ”だ」

未央「”アンキラ”?」

社長「ああ。うちのベストセラー商品だよ」


社長「うちの起業当時から売り上げを牽引してくれていて、今でもその人気は衰え知らずなんだ」

未央「へぇ……カプというのがどういうのものなのか私はよく知りませんが、アンキラが人気なのはなんとなくわかる気がします。見ているだけで元気が貰えますもん」

社長「だろ? 一見デコボコなのだが、しかしその実絶妙なバランスを保っている……安定感がある、そんな商品だ」

未央「お~。私も一つ欲しいぐらいです」

社長「試食してみるかね?」

未央「えっ? これ食べ物なんですか?」

社長「ほれ、一口」

パク

未央「めっふぁ甘ふぃですね。しょれに口の中でパチパチはじひぇていまひゅ!」

社長「クセになる美味しさだろう?」

未央「ふぁい」


未央「ごくん。これなら月1000個……いや、1500個売ってみせます! 社長、未央ちゃんにこの製品の営業を!」

社長「心強い言葉だが、その仕事は与えられない」

未央「なぜです!?」

社長「アンキラは本田くんでなくても売ることが可能だ。本田くんに任せたいのは、あくまで”ウヅリン”の営業なんだよ」

未央「そんな……」

社長「そう落ち込むでない。ウヅリンも、見ればきっと気に入ってくれるだろう」

未央「……それで、そのウヅリンはどこにあるんです?」

社長「まあそう焦るな。まずは我が社の人気カプを見学し、その人気の秘訣を本田くんなりに考えてみてくれ」

ウィイイイン

未央「これは?」

社長「これは”ニッターニャ”だ」


未央「おぉ……明るく元気なアンキラとはうってかわって、こちらはどこか儚げ……雪のように繊細な雰囲気が醸し出されていますね」

社長「ニッターニャは彗星のごとく現れ、近年稀に見る売り上げを記録したスーパールーキーなんだよ」

未央「アンキラとは違った意味で人気が出る理由が分かる気がします。触れば壊れてしまうようなもろさがありつつ、美しき作品として完成されている……」

社長「使われている素材の両方とも、人気は元々あった。組み合わせによって新たに爆発的な人気を得たという例だな」

未央「こんなすごい商品がうちにあったなんて……本田未央、勉強不足を痛感いたしました!」

社長「頭を上げてくれ本田くん。それを社員に認知することができなかった私たち経営側の責任でもある」

社長「どうだ、少し轢いてみては?」

未央「え?」

社長「面白い音がなるぞ」

未央「楽器なんだ……では失礼して」ポチ


ミナミィ!

社長「上手いじゃないか本田くん!」

未央「はぁ……」ポチポチ

ミナミナミナミィ♪
アーニャチャン♪
ンィミナミ ミナミ ミナミナミィ♪

社長「君には営業の才能だけでなく演奏者の才能もあるのかもしれないな。こんなに楽しそうに音を奏でるニッターニャを私は久しぶりに見たよ」

未央「はあ、そういうもんですかね」

ウィィィン

社長「次に紹介するのは”ナオカレ”。これも我が社を代表する大人気カプだ」


未央「なるほど……ナオカレはアンキラとは違った意味でデコボコなデザインをしていますね」

社長「ナオカレは初期からのベテラン。最近になって人気が飛躍的に上がったんだ。まさにシンデレラストーリーだな」

未央「見る感じ、ナオカレの武器はその絶妙なコンビネーションでしょうか」

社長「本田君の視点にはいつも唸らさられる。その通りだ。コンビ・距離感が適正だからこそ、幅広い年代から愛されているのだろう」

未央「一方が可愛らしさと頼もしさを、もう一方が飄々しさと危うさを秘めている。近くでいるようで、どこか芸術的でもある……」フム

社長「おぉ~本田くん。なかなかカプのことがわかってきたじゃないか!」

未央「お褒めに預かり光栄です」

社長「ふふ、君にウヅリンを見せるのがますます楽しみになってきたよ」

未央「私もだんだんと、そのウヅリンとやらに興味が湧いてきました」


社長「次はこれを見てくれ。”ミクリーナ”だ」

未央「ほう。今までのものとは打って変わって、賑やかな外見をしていますね。カラフルで、元気で、健康的な印象を受けます」

社長「うむ。動物のようなキュートさと、可愛げの残るクールさを兼ね備えた、とても今風のカプだ」

未央「共存しているようで別物のようで、でも根本は一緒みたいな感じがたまらなくいいですね」

社長「ああ。その一周回った感も、ミクリーナの魅力の一つなんだよ」

未央「触ってみていいですか?」

社長「もちろんだとも」

未央「お~」サワサワ

未央「なんだか、不思議な感触をしています。猫みたいなんだけど、電化製品を触っているみたいな」

…シツコイニャ! ロックジャナイヨ! カイサンニャ!

未央「お! 今こいつしゃべりましたよ!」

社長「そういう鳴き声なんだよ。さあ、どんどん次に行くぞ」


ウィィィン

未央「これまた個性的なカプですね」

社長「これは”アスラン”という名のカプだ」

未央「へぇ。機動戦士とかに乗ってそうな名前してますね」

社長「アスランはニッターニャよりもさらに新しいカプだ。うちの期待株と言ったところだな」

未央「なるほど。確かにフレッシュな感じがしますね。色は白黒がメインだけど、今風な感じがします」

社長「いわゆる”厨二”な感じを前面に出しているからな。お互いがお互いとも厨二だから、二人合わさってより厨二というわけだ」

未央「それなのに、こんなに収まりがいいなんてある意味奇跡ですね。普通だったらこういうペアって、食傷気味になるところなのに」

社長「それがアスランのすごいところだ。本田くんの言う通り、この手の個性は通常であればぶつかり合う」

未央「だけどアスランは、ぶつかり合うどころか、両者がその個性をより際立たせている」

社長「そうだ。ある意味奇跡なのかもしれない。ラーメンにハンバーグを突っ込んだら、なぜかサッパリいただけた、みたいな。そう言った類の奇跡なのかもしれない」

未央「その例えはよくわかりませんけど……」


社長「次はこの”カエミユ”だ」

未央「大人っぽい感じのカプですね。落ち着いた印象を持ちます……が」

社長「が?」

未央「その裏にあるのは、実はとても子供っぽい内面なのかも。これは大人になってもなおその内側に在り続ける子供の一面を暗に表現した、そういうカプなのかもしれない」

社長「あぁー、本田くん。君は本当に優秀な社員だよ。君を我が社に採用して心から良かったと思っている。社長である私がそう思っている」

未央「奥深いです。このカプだけで純文学が一冊書けてしまいそうです」

社長「私もこのカエミユの可能性には期待していてね。今はまだ認知度も低いが、皆に知られる機会があれば爆発的に普及するなんてことも無きにしもあらずだと思っているんだ」

未央「爆発的に普及、ですか。それはそれで、なぜだか悲しい気がしますね」

社長「わかる、その気持ちもよく分かるよ本田くん。しかしビジネスマンは、そういったノスタルジーと常に戦い続ける宿命にあるんだ」

未央「悲しい生き物ですね、ビジネスマンって」


未央「その後も私は、たくさんのカプを見せてもらった」

 社長『ミカミリア』
 
 未央『突拍子がないようで奥深く中身がある。愛の形とは何かを訴えかける傑作』
 
 社長『フミアカ』
 
 未央『低温と高温。凪と風。そんなコントラストがどこまでも尊い』
 
 社長『ユカユカリ』
 
 未央『文武両道を体現したようなカプ。かけがえのなさがこのカプを応援したくなる原動力に昇華されていく』
 
 社長『ハルアリ』
 
 未央『タイプの違う優秀で対等な関係であり、明るく無限大の将来を想像させる……』

未央「広い展示室を一周して、最後に──私はウヅリンをこの目で見ることになったんだ」


社長「さあ本田くん。これまでたくさんのカプを見てきたが……感想はどうかな?」

未央「新発見の連続でした。こんな世界があるんだなぁと思い知らされました」

社長「うむ。……新発見という意味では、ウヅリンは本田くんのご期待には添えないかもしれない」

未央「? なぜです?」

社長「なぜならウヅリンは、これといって強い個性はないからだ。アンキラやアスランといった印象的なカプを見てからだと、ウヅリンは少し退屈に映るかもしれない」

未央「では、なぜ……」

社長「ではなぜ、ウヅリンを最後に見せるのか。それは……私は本田くんに、本気でウヅリンを売ってもらいたいと考えているからだよ」

社長「数多くのカプのことを知った上で、ウヅリンの良さを探って欲しい。そしてウヅリンを、多く長く売り続けて欲しい」

社長「私の願いはそれだけだ」

未央「……どうしてそこまで、ウヅリンに肩入れするんですか」

社長「ふふ。それは、私が”ウヅリン”に魅せられてものだからとしか言えないな」

ウィィィン…


社長「これが”ウヅリン”だ」

ゴォォォォ

未央「……」

社長「さあ、本田くんの素直な感想を聞かせてくれ」

未央「……そうですね」

未央「これを、一言で表すとするのなら……」

未央「王道」

社長「ほぉ……」

未央「社長のおっしゃる通りウヅリン自体に目立った個性はないように見えます。しかしそれは弱点ではなくむしろ強み……特徴がないからこそなんでもできると思わせるだけの懐の深さがそこにある……そんな予感がします」

未央「言うならばウヅリンは主人公の組み合わせなんです。少年漫画のヒロインと少女漫画のヒロインが掛け合わさったかのような……そんな愚直で『王道』な雰囲気がウヅリンには内包されている」

未央「アンキラのようは派手さはない、ニッターニャのようなアバンチュールもない……だけどそう、ウヅリンには霧のように漂う『特別感』のような何かがあるんだ。だからこそウヅリンをずっと見つめ続け、ウヅリンだからこそ表現できるドラマを永遠と見続けたくなるんだ」

未央「『王道』かつ『特別感』のある組み合わせ……それが今この瞬間、私が感じたウヅリンです」

未央「……」


社長「……本田くん」

社長「本田くん。君はやはり逸材だよ。間違いなく我が社の未来を支える唯一無二の逸材だ」

社長「長年私が抱いてきたウヅリンに対する価値観、それと全く同じ所感を一目見ただけでピタリと言い当てて見せた」

社長「これがどれだけのことなのか、私は一字一句詳細に褒め称えたいが、それは野暮というものだろう。今はただ一言ありがとうと言いたい。本田くん、ありがとう。君をこの部屋に招いて本当に良かった……」

未央「……」

社長「この商品を売った暁には”部長”、いや、”次期社長”の座を約束しよう」

社長「さあ、ウヅリンを売り出すのに必要な機材や人材があるなら遠慮せずに行ってくれ。すぐに手配しよう!」

未央「……」

社長「……さっきから急に黙って、どうかしたか本田君?」


未央「社長……申し訳ありませんが」

未央「私にはこれを売ることはできません」

社長「!? な、何を言っている!」

未央「今まで見てきたカプ、長所短所あれどみな私の手にかかればそれなりの売り上げを出せることでしょう」

未央「しかし、このウヅリンだけはダメです。私には売ることができない」

社長「今さっきまでウヅリンのよさを語ってくれてたではないか!」

未央「ウヅリンの魅力は認めるところです。しかし、これはそういう問題ではなく……」

社長「な、なぜだ!? どうしてなんだ!」

未央「だって……」


未央「だって私は、リンミオ派なので」



おわり

しきフレがない
訴訟

みおあいとか……あいゆみとか…Ai'sとか…

可愛さとホラーとキノコが混ざりあったイチヨンニーズがないぞ

ウヅリンがウサミンに見えてウサミンを売ってほしいのかと

未央ちゃんがわた藍子ちゃんと結ばれれば一番平和ですよ

ミオミユとセキトモエもイイゾ

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