幽霊少女「あ、ども」男「……新入部員?」 (29)
幽霊「いえいえ、幽霊です」
男「……幽霊部員?」
幽霊「上手いこと言いますね」
男「え?」
幽霊「え?」
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幽霊「私、本当に幽霊なんですよ」
男「ホラー小説の読みすぎじゃないのか?」
幽霊「おっ。流石文芸部ですね。 普通ならそこは"ホラー映……
スッ
幽霊「やんっ……いきなり触らないでくださいよ!」
男「いや、透けてるじゃん…………ん? 透けて…………?」
スッ スッ スッ スッ
男「うわぁ!!!! 透けてる!!!!」
幽霊「くっ くすぐったいですよぅ」
男「え? 感覚あるの? 普通こういうときってなんにも感じないんじゃないの?」
幽霊「あなたこそホラー小説の読みすぎでは?」
幽霊「お茶入れてもらってもいいですか」
男「飲めるのか?」
幽霊「やだなぁ、飲めますよぅ」
男「お茶はいれるけどその幽霊界の常識を人間に押しつけるのやめて」
幽霊「幽霊も人間ですよ」
男「あぁ……確かに……そうか?」
男「はいお茶」
幽霊「ありがとうございます」ペコリ
男「…………」
幽霊「では失礼して……」ズズズ
男「…………」
幽霊「…………」ズズズ
男「飲めるんだ…………」
幽霊「何ですか今の間」
男「それ、お前が見えない人間にはどう見えてるんだ?」
幽霊「お前なんてやだなぁ、レイちゃんって呼んで読んでくださいよぅ。幽霊のレイちゃんです」
男「……それが本名なのか?」
幽霊「本名なわけないじゃないですか、ハンドルネームですよハンドルネーム。 ネットリテラシーのようなもので、ゴーストリテラシーというものです」
男「…………レイ」
幽霊「いきなり呼び捨てですか。 照れますね」エヘヘ
男「で、レイが見えない人間には今の光景はどう見えてるんだ? 湯呑みが浮いてるように見えるのか?」
幽霊「いいえ。 人によって様々ですが、飲みきった湯呑みがあるように見えたり、そもそも湯呑みが見えないかもしれませんね」
男「…………?」
幽霊「要するに相手にとって情報の整合性の取れる形となって相手に見えるようになるんです。 もっと分かりやすく言えば違和感のない見えかたになってるはずですよ、ということですね」
男「なるほど……」
幽霊「まぁ、ゴーストテクノロジーといいますか。 如何せん洗脳のようなものなので、たまにあなたのように見えちゃったり、見えるまでいかなくても違和感を感じる人はいますけどね」
男「それが心霊体験ってことか」
幽霊「飲み込みが早くて助かります」
幽霊「まぁ、今回はテクノロジーの限界というより、私から姿を見せたんですが」
男「……は?」
幽霊「人探しをお願いしたいのです」
男「人探し?」
幽霊「えぇ。 私、死んでからそんなに経ってないはずなんですけど、生前にすっごく好きな人がいたはずなんですよ」
男「その好きな人を探せと……?」
幽霊「その通りです」ユビパチン
男「自分で探せばいいんじゃないか? その様子だと、幽霊側から生きてる人間が見えないって訳でもないんだろ?」
幽霊「そうなんですが……やっぱり生きてる人間に干渉するのは……いえ、"生きた世界に"干渉するのは難しいところもあるわけです」
男「"生きた世界"?」
幽霊「そうですね……。地縛霊ってわかりますか?」
男「その字の通り、地に縛られてるやつだろ? 自分の死に場所だったり、思い入れのある場所だったりにいて、動けないやつ」
幽霊「その通りです。 それらは何に縛られているかというと、"この世のもの"なんですよ」
幽霊「"この世に対する"思い入れだったり、"この世に対する"思い出だったり。 そういうものを──この世にあるべきものを。 ずっと引きずっているから──抱き続けているから──持ち続けているから、その場から動けなくなるわけです」
男「えぇと……つまり?」
幽霊「そうですね。わかりやすく言えば、この湯飲みです」スッ
バチッ
幽霊「この通り、1mほど動かすと弾かれてその場で止まってしまうんです。 先ほど言ったゴーストテクノロジーの限界というやつです」
男「なるほど」
幽霊「この世のものを何もかも1mしか動かせない縛りプレイじゃ、調べものをするのにも不便極まりありません」
男「それは一理あるかもしれないな」
幽霊「ですので、あなたにも手伝ってもらいたいわけです」
男「なるほど…………なんで俺なんだ?」
幽霊「なんとなくです」
男「なんとなく」
幽霊「なんにでも因果関係や運命を求めるのは小説の読みすぎですよ」
ゲームや小説の人物って頼み方がなってないよね
一方的に押し付けて大抵無報酬って現実だと基地 外や池 沼レベル
ゲームだとシナリオが進まないから尚イラつく、魔王よりモブがラスボス
男「で、その好きな人ってのはどんな人間なんだ?」
幽霊「わかりません」
男「は?」
幽霊「わから、ないんです」
幽霊「これも私に限らずよくあることなんですが、幽霊の人には生前の記憶がおぼろげな人が多くいるんですよ」
幽霊「やはり、私達は"死んじゃった"わけですから。 それだけショックを受けている人も多いのだと思います」
幽霊「だからこそ、いろいろと調べものが必要なのです」
幽霊「どうか──。 どうか、手伝ってはいただけませんか?」
男「…………」
男「…………」
幽霊「…………」ズズズ
男「で、その──。 調べものを手伝ったら俺にはどんな得があるんだ?」
幽霊「特にはないです」
男「そうか」
幽霊「はい。 あ、でも呪い殺したりはしないであげますし、なんなら毎朝ちゅーしてあげますよ」
幽霊「…………触れませんけど」ボソッ
男「あっはっは。 じゃあ俺はこの話を断ったら呪い殺されるのか」
幽霊「かもしれませんね」ニコッ
男「…………」ハァーッ
男「あっはっは……そうか。…………そうか」
男「俺も小説の読みすぎだな」ボソッ
男「なぁ、この部室になんでポットや湯飲みがあるのかわかるか?」
幽霊「へ、へ? いえ、わかりませんけど。元々あったんじゃないですか?」
男「いいや、持ち込んだんだ。 俺が、この部活に入ったときにな」
幽霊「へぇ……でも確かに、あると便利そうでいいですね」
男「確かに便利だが、俺にとってはそんなことは二の次だった」
男「憧れてたんだよ。とある小説のとある部活にさ」
男「その小説の中の人間はいつも不思議を追い求めていて……。 そんな小説ばっか読んでるからだろうな」
男「──この上なくめんどくさそうなのに、現状にちょっとときめいてるんだよ」
男「いいぜ。 手伝ってやるよ」
幽霊「えっ、いいんですか?」
男「"いいんですか?"って……。 それがお前の頼みなんだろ?」
幽霊「いや……えっと……。 それでも私、こんなにうまくいくと思ってなくて……そもそもあなたに姿が見えたのだって偶然のようなもので……」
男「今まで積極的に頼んできてたのにいきなり遠慮するなよ」
幽霊「それも……そうですね…………」
男「おう、じゃあとりあえず明日もここで集合な」
幽霊「えっ。 一緒に帰るんじゃないんですか?」
男「家でレイと話してたら親に頭の心配されるだろ」
幽霊「毎朝のちゅーは?」
男「好きな人探すってのにマジで俺にするつもりだったのか?」
幽霊「いや、まぁ、触れませんし」
男「軽い」
幽霊「そりゃまぁ──幽霊ですから」
第一話おしまい。
特に内容決まってなく、プロットもなくてそのまま書いてるんでどれくらいの長さになるのかとかいまいちわかりませんけど、よかったら気長にお付き合いください。
よろしくお願いします。
おつん
読んでるぜ、乙
好みだ
乙
舞ってる
【第二話】
幽霊「あ、ども」
男「おう」
幽霊「今日もお一人ですか」
男「この部活は俺一人だからな」
幽霊「随分と寂しい部活なんですね」
男「去年までは三年の先輩もいた…………らしいんだけどな」
幽霊「らしい?」
男「俺は今年から入ったんだよ。俺のことはいいだろ。問題はお前の……レイの素性だろ」
幽霊「その通りですね。詮索はしないでおきます」
男「記憶って何もないのか?」
幽霊「そうでもないですよ。断片的に思い出せることは多々あります。……逆に言えば、今思い出せることを明日忘れちゃっていたりもするんですが、それは生きてても死んでても同じようなものですよね」
男「そうか?」
幽霊「私が抜けてるだけでしょうか」
男「だろうな」
幽霊「そこは否定してくださいよぅ」
男「で、どんな記憶があるんだ?」
幽霊「えっと、生前最後に食べたのはカレーだったと思います」
男「どうでもよすぎる」
幽霊「カップヌードルとかじゃないだけ幸せだと思いません?」
男「幸せのハードルが低い……」
男「じゃなくて、その、好きなやつに関して覚えてることは?」
幽霊「そうですねぇ」
幽霊「まず、同い年の男の子だったと思います。幼少期から接していたような……いわば幼馴染ってやつでしょう」
幽霊「それと……これは記憶じゃないのですが、私のこの見た目です」
男「……制服か」
幽霊「そこは冗談でも"かわいい"とか言うところですよ」
男「はいはいかわいいかわいい」
幽霊「適当ですねぇ……とりあえずはあなたの言うとおりで、私のこの制服。これからここの生徒である……あったことはわかるんじゃないでしょうか」
男「なるほどなぁ」
幽霊「リボンとかで学年ごとに色分けされてたらいいんですけどねぇ」
男「それでも歴代の生徒の中から三分の一くらいまでにしか絞られないだろう」
幽霊「歴代の……そうですか、私が死んだのがいつなのかわからない以上、もう私の想い人は立派な大人になってる可能性もあるんですね……」
男「結婚とかしてたりしてな」
幽霊「成仏できるか不安になってきました」
男「まぁ、でもそんなに歳がいったりはしてねぇんじゃねぇかな」
幽霊「はて?」
男「今の俺が二年で41期生なんだが……見てもらった方が早いか」
幽霊「二年生だったんですね。どこか大人びてるので三年生かと思ってました」
男「お世辞はいいよ。ほら、とりあえず行くぞ」
幽霊「行くって、どこへ?」
男「職員室」
幽霊「先生に私を紹介しても見えないので変な人だと思われて終わりだと思いますけど」
男「そんなことはわかってる」
男「……これだ」
幽霊「職員室前のトロフィー、ですか?」
男「……というよりはそれに添えられた記念写真だな。ほら、見ろこれ」
幽霊「34期生の野球部の方々、ですか」
男「それの左端の女の子だ」
幽霊「女の子?……あぁ、この子ですね。マネージャーでしょうか……あっ、この子……」
男「そう。セーラー服なんだ」
男「そしてその隣の記念写真」
幽霊「35期生の吹奏楽部の集合写真。━━ブレザーですね」
男「今と全く同じ、な」
幽霊「ということは……」
男「34期生以前の人間は必然的に候補から外れるな」
幽霊「あなたは今何期生って言ってましたっけ?」
男「41だ」
幽霊「ええと、じゃあ17に……プラスで6して……いってても20代半ばですか……」
男「結婚気にしすぎだろ」
幽霊「初恋ですからね。……たぶん」
はよ書かんかい
まだかよ
湯飲みにポットってハルヒか。懐かしいな
まだか
やあ、(´・ω・`)ようこそ、しっこくハウスへ。
このエタルドはサービスだから、まずは喰らって死んで欲しい。
うん、「絶対に勝てない」んだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このパラメータを見たとき、君は、
きっと言葉では言い表せない 「絶望」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中でそういう気持ちを忘れないで欲しい、
そう思ってこの攻撃をしかけたんだ。
______________じゃあ、リセットしようか。
http://i.imgur.com/onCJqck.jpg
このSSまとめへのコメント
普通におもしいぞ