千歌「決めた…!私、この転校を機にヤンキー辞めて、真面目に生きる!!」 (797)

生徒 ザワザワ…

千歌 ドキドキドキ…

先生「はーい、みんな静かにー!高海さんが挨拶できないでしょー」

先生「じゃあ、高海さん、簡単に自己紹介だけして貰っていいかしら?」

千歌「はい…!」ドキドキドキ…

千歌「え…えっと……静岡の浦の星女学院っていう所から来ました…!高海千歌です…!み…みなさん…よろしくお願いします……!」

千歌(よし…!練習通りできた…!)

生徒 パチパチパチパチ…!

千歌「え…えへへ……///」

千歌(おー!好感触だねー!!東京の子達は冷たいって言うから不安だったけど、みんな良い子そうで良かったよ~!)

千歌(この感じなら私の第二の高校生活も希望が持て…)

ヤンキー ニヤニヤ… ジロジロ…

千歌「あ゛?」ギロリッ…


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先生「……え…?」

千歌「あ……」

千歌(や…やば……声に出てた……)

生徒 ザワザワ…

千歌(うぅ…もう…!あのアホ共が、ジロジロ見るからぁ…!)

千歌(私が誰だか分かってんのか!?喧嘩無敵の高海千歌さんだぞ!?あん?)

千歌(後でぶん殴ってやる…)

千歌(………)

千歌(って…ダメダメ……そういうのは卒業するって決めたんだから……)

先生「え…えーっと……それじゃあ、みなさん…!高海さんと仲良くしてあげてくださいね…!」

千歌(お…!さっきのはお咎め無し?)

千歌(ちゃんと真面目っぽい見た目にしてきたからかな……)

先生「それじゃあ、高海さんは桜内さんの隣の席でいいかしら?」

梨子「え…!」ビクッ…

梨子「は…はい……」

千歌(ふーん…桜内さんね……なんかオドオドしてる子だなぁ……)

先生「じゃあ、転校生の紹介も終わった事ですし、ホームルームを始めましょうか」

千歌 スッ…

千歌(廊下側の一番後ろの席……これは良い席だね……)

千歌(寝ててもバレにくい…)

千歌(………)

千歌(って…また、すぐそういう事考えて……バカか私は……)

千歌(これからは真面目に善良な高校生として生きるんだって決めたじゃん…!)

千歌(よーし…!そうと決まったら、まずは先生の話をキチンと聞いて……)

梨子「………」ドキドキ…

梨子「あ…あの……」コソッ…

千歌「え…?」

千歌(さ…桜内さん…!?)

千歌(話しかけてきたよ!?この子!!なんで!?)

梨子「え…えっと……」ドキドキドキ…

千歌(ま…まさかさっきの私の睨みを見て、元ヤンである事を見抜かれたんじゃ……)

梨子「よ…よろしくね…」ニコッ…

千歌「…!」ドキッ…

千歌(お…おぉ……///)

千歌(よろしく…か……)

千歌「う…うん……こちらこそ…よろしくね…、えっと…桜内さん…!」

梨子「うん…!」ニコッ!

千歌「…!」ドキッ…

千歌(おぉ……いい笑顔だ……///)

千歌(なんか優しい感じするね……) ホカホカ…

千歌(こんな優しい気持ちになったの、いつぶりだろ……) ホカホカ…

千歌(よし…決めた……私の第二の高校生活はこの子に捧げよう……) ホカホカ…

梨子「……」ドキドキドキ…


ヤンキー達「………」



--------------------



キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…


千歌(お昼休みか……)

千歌(………)

千歌(お弁当……)

生徒 ワイワイガヤガヤ

千歌(うっ……もうグループができてる……)

千歌(そりゃそうだよね……もう9月だし……)

千歌(しょーがない……一人で…)

梨子「………」モグモグ…

千歌「え……?」

梨子「………」

千歌「桜内さん……」

梨子「え…!?な…なに……?」

千歌「もしかして……一人……?」

梨子「…!?」ギクッ…

梨子「そそそそそそんな事ないわよ…!?きょ…今日はたまたま仲良い子が休んでて…!!」

千歌「いや…今日、休みの人いないじゃん……」

梨子「あっ……」

千歌「なんで、そんなすぐバレる嘘つくのさ…」

梨子「うぅ……ごめんなさい……実は私…友達作るのとか苦手で……」

千歌「ふーん…そうなんだ……でも、私にとっては好都合だね!」

梨子「え…?好都合……?」

千歌「うん…!だって、私が桜内さんの一番の友達になれるから!」

梨子「…!」

お弁当 ドンッ!

千歌「お弁当!一緒に食べよ!」ニカッ!

梨子「た…高海さん……」

千歌「わー!桜内さんのお弁当美味しそうだね!貰っていい?」

梨子「う…うん……どうぞ…」

千歌「わーい!」ヒョイ! パクッ!

千歌「美味しい!!」

梨子「あ…ありがとう……」

梨子(す…)

千歌「これも美味しいー!!」パクッ!

梨子(すごいグイグイくるわね……)

千歌「これも貰っていい??」

梨子「ど…どうぞ~…」

梨子(私のお弁当無くなるんだけど……)

千歌「う~ん!うまい!!」

梨子(こんな時期に転校してくるから、前の学校で、いじめでもあったのかと思ったけど…)

梨子(絶対そういう子じゃないわよね……)

梨子(なんで転校してきたんだろ……)

梨子(………)

梨子(はぁ……私と同じタイプかと思ったんだけどなぁ……)

梨子(ちゃんと仲良くできるかなぁ……私……)

千歌「ねー!ねー!桜内さん!」

梨子「え…?なに……?」

千歌「名前で呼んでいい?」

梨子「えぇ…!?な…名前で…!??」

千歌「うん…!私のことも名前で呼んでいいからさ!」

梨子「そ…そんな……名前でなんて……」

千歌「ダメ…?」

梨子「うっ……」

梨子「ダ…ダメじゃないけど……」

千歌「じゃあ、いいって事だね!!梨子ちゃん!」

梨子「…!」

千歌「次、梨子ちゃんの番だよ!名前で呼んで?」

梨子「えぇ……そ…そんな急に……」

千歌「急じゃないよ!もう私たち友達でしょ?」

梨子「…!」

梨子「と…友達……」

千歌「そう!友達!だから名前で呼ぶのは普通だよ!」

梨子「う…うん……」

梨子「えっと……」

梨子「ち……千歌…ちゃん……///」

千歌「お…おぉ……///」

千歌「そんな照れて言われると、こっちまで恥ずかしくなるね……///」

梨子「ご…ごめんなさい……慣れてなくて……///」

千歌(ち…千歌ちゃん…か……)

千歌(前の学校じゃ、曜ちゃん以外の人からは「千歌さん」だったから、なんか変な感じだなぁ……) ホカホカ…

梨子「あ…あのさ…!千歌ちゃん……!」

千歌「ん?なぁに?」

梨子「えっと……気になってたんだけど……千歌ちゃんって、どうして転校してきたの…?」

千歌「…!」

千歌「うーん……」

梨子「?」

千歌「ごめん……それはちょっと言えない……」

梨子「言えない…の……?」

千歌「うん……」

千歌「………」

梨子「そ…そう……じゃあ、深くは聞かないわ……」

梨子(い…言えないって……)

梨子(それに、この落ち込み様……)

梨子(やっぱり、いじめを受けたんだわ……辛かったわね……)

梨子(さっきまで、よく喋ってたのに急に黙っちゃった……相当傷が深いのね……) ホロリ…

梨子(でも、もう大丈夫よ……今度は私が守ってあげるからね……千歌ちゃん……) ニコッ…

千歌(な…なんだろ……)

千歌(すごい優しい笑顔を向けられている……)

千歌(ていうか、とりあえず、今は話題変えなきゃ……)

千歌(これ以上、前の学校の話題が続くと、うっかり喧嘩自慢でもしそう……)

千歌「え…えっとさ…!梨子ちゃん…!」

梨子「なに?なんでも言って?」

千歌「私の前の学校の話なんかしても、つまんないからさー、梨子ちゃんの話聞かせてよ!」

梨子「わ…私の……?」

千歌「うん…!趣味とか!」

梨子「趣味………」

梨子「い…一応……あるけど……」モジモジ…

千歌「ほんと!?なになに??」

梨子「え…えっと……笑わないでね……?」モジモジ…

千歌「笑わないよー!」

梨子「じゃ…じゃあ……」ゴソゴソ…

千歌 ワクワク…!

梨子「うぅ……人に見せるの初めてなんだからね……これ……」スッ

千歌「ん…?ノート……?」

梨子「うん……」

千歌「開けていい…?」

梨子「どうぞ……」

千歌「…!?」

千歌「が…楽譜…!?」

梨子「うん………その……私……作曲…やってて……」

千歌「さ…作曲……!?」

千歌「す…すごい……私には読めないけど……」

梨子「そ…そう…?」テレテレ

千歌「じゃ…じゃあさ!梨子ちゃんって、なんか楽器弾けるの…!?」

梨子「うん…ピアノを……」

千歌「ピアノ!?すごい!かっこいいね!!」

梨子「え…えへへ……」テレテレ

千歌「じゃあさ!じゃあさ!この曲今度聞かせてよ!!」

梨子「あっ…それはまだ作ってる途中で……」

千歌「そうなの?じゃあ、できたら聞かせてね!」

梨子「…!」

梨子「う…うん…!」


ヤンキー達「………」



--------------------


帰り道-


梨子「………」トコトコ…

梨子(高海…千歌ちゃん……か…)

梨子(………)

梨子(…ふふっ……)

梨子(友達……か……) ホカホカ…

梨子(………)

梨子(この曲今度聞かせて……か……) ホカホカ…

梨子(………)

梨子(しばらくやってなかったけど、また作曲頑張らなきゃね……) ホカホカ…

梨子(よーし…!そうと決まったら、早く帰って…) タッ…!

ヤンキーA「はーい!ストップ!!ここは通行止めでーす!」バッ!

梨子「え…」

梨子(こ…この人……同じクラスの……)

ヤンキーB「ハロー、桜内さん」

ヤンキーC「あはは、大丈夫大丈夫、そんな怯えないで?」

梨子(さ…3人も……)

梨子(うぅ……からまれないように静かに生きてたのに……なんで……)

梨子「と…通してください……!」ササッ

ヤンキーA「おおっと…!」ドッ!

梨子「きゃっ…!」ドサッ!

鞄 ズサアァァァ…!

梨子「あぁ…!」

ヤンキーA「あはは、ごめんごめん!まさか、当たっただけで倒れるとは」

ヤンキーB「ふふっ…拾うの手伝ってあげるわよ」

梨子「だ…大丈夫です…!自分で……」

ヤンキーC「ん~…?なにこれ、ノート?楽譜?」

梨子「あっ…!そ…それは……!」

ヤンキーC「え?なに?大切な物?」

梨子「そ…そうです……返して……」

ヤンキーC「あはは、じゃあ、返してあげる」スッ…

梨子 ホッ…

ヤンキーC「ただし……高海千歌と、つるむの止めたらね?」ヒョイッ

梨子「え…!?」

梨子「な…なんで…千歌ちゃんが……」

ヤンキーA「あれ?見てなかった?あいつ、自己紹介の時、私達の方にガン飛ばしてきたんだよね~」

梨子「そんな…!ち…千歌ちゃんは、そんな子じゃ……」

ヤンキーB「どういう子かは問題じゃないの、私らにガンくれた時点で、あの子は終わり……苦しんで貰わないと…ね?」

梨子「そ…そんな……」

ヤンキーC「で?どうすんの??高海千歌と関わるの止める?それとも、この大事な大事なノート…川にでも捨てる?」

梨子「か…川に…!?」

梨子「そんな…!止めてください…!!」

ヤンキーC「じゃあ、明日、高海千歌に「私に関わらないで」って言う事だね」

梨子「…!」

ヤンキーC「そしたら、返してあげるよ」スタスタスタ…

梨子「あっ…!ま…待って……!」

梨子「いたっ……」ズキッ…

梨子「あ…足が……」

梨子「うぅ……そんな……」

梨子「なんで……なんでこんな事に……」



--------------------


次の日 朝-


千歌(……) チラッ

時計「7:50」

千歌「おぉ……」

千歌(すごい……この私が登校時間の25分前に学校に着いた……)

千歌(真面目だ……偉いぞ…私……) ジーン…

千歌(すっごい眠いけど……)

千歌(午前中の授業は寝てよう……) トコトコ

千歌(あっ…そしたら梨子ちゃんに怒られそうだなぁ……) トコトコ

千歌(まあ、怒られたら謝って、後でノート見せてもらおっと……) トコトコ

千歌(………)

千歌(ふふっ……) ニヤニヤ…

千歌(我ながら、なんか青春って感じだねぇ~!)

千歌(喧嘩ばっかりしてた昔とは大違いだよ!!)

千歌(さーて……今日も真面目に元気に頑張るかな!)


千歌 ガララ…!

梨子「…!」

梨子(ち…千歌ちゃん……)

千歌「あっ!梨子ちゃん!おっはよー!」

梨子「…!」

梨子「お……おはよ……」

千歌「あれ?どうしたの?梨子ちゃん元気ない?」

梨子「えっ…!?い…いや……」


ヤンキー ニヤニヤ…


梨子「うぅ…」

千歌「?」

千歌「いや~……それにしても良い朝だね~!早起きすると気持ち良いよ!」

梨子「そ…そうね……」

梨子(い…言わなきゃ……)

千歌「でも、ちょっと眠いかも、あはは」

梨子「う…うん……」

梨子(あのノートは……)

梨子(私の夢なんだもん……)

千歌「?」

千歌(…なんだろ……今日の梨子ちゃん、なんか変だな……)

梨子(子供の頃から作ってきた……)

梨子(大切な…大切なノートなんだもん……)

梨子(言わなきゃ……)

梨子(大丈夫……どうせ千歌ちゃんだって、すぐに私から離れていく……)

梨子(私みたいな地味な子に、友達なんてできるわけない……)

梨子(だから……)

梨子(ごめん…!千歌ちゃん…!)

梨子「あ…あの…!」

千歌「あっ!そうだ!梨子ちゃん、昨日のノートもう一回見せてよ!私、昨日少し楽譜勉強したんだー!」

梨子「え……?」

梨子(楽譜の勉強……?)

千歌「ほら!梨子ちゃん、誰にも見せた事無いって言ってたでしょ?」

梨子「う…うん……」

千歌「そんな大切な物見せて貰ったのに、何も分からないじゃ梨子ちゃんに失礼かな~って思って!」

梨子「…!」

梨子「千歌…ちゃん……」

千歌「まあ、そうは言っても、まだ全然分かんないけどね~、あはは」

梨子(あぁ……)

梨子(バカだ……私……)

千歌「?」

千歌(また黙っちゃった……なんかまずい事でも言ったかな……)

梨子(曲なんて…また作ればいいじゃない……)

千歌「……り…梨子ちゃん…?あの~……楽譜を見せて貰いたいんですが……」

梨子「ノートは………」

千歌「?」

梨子「その……無くしちゃったの……また作るから、そしたら見せるね?」ニコッ

千歌「え…?無くしちゃったの……??」

梨子「うん……でも、いいのよ…私にはもっと大切な物が見つかったから……」

千歌「んん?何の話?」

梨子「ふふっ…千歌ちゃんには絶対教えてあげない」ニコッ

千歌「えぇ!?教えてよー!」

ワイワイ! ワイワイ!



ヤンキーA「…!?」

ヤンキーC「えぇ…!?」

ヤンキーB「ちょ…ちょっと…!どうするのよ…!桜内の奴、ノートが大切なんじゃないの!?」

ヤンキーC「そ…そのはずなんだけど……」

ヤンキーA「くっそ…!こうなったら、私が直接、高海に文句言ってやる…!」

ヤンキーB「だ…大丈夫なの……?私達、まともに喧嘩とかした事ないけど……」

ヤンキーA「じゃあ、どうすんのよ!あいつは、私達にガン飛ばしてきたのよ!?不良ってのはね!ナメられたら終わりの生き物なんだよ!!」

ヤンキーC「お…おぉ……かっこいい……」

ヤンキーA「へっ……だろ…?」

ヤンキーB「それで…いつやるの?」

ヤンキーA「そうだな……昼休みにでも、校舎裏に呼び出して、3人で袋にしてやろう……」

ヤンキーB「えっ……3人でやるの……?」

ヤンキーA「そ…そうだよ……なんか文句あるかい!?」

ヤンキーB「いや……卑怯じゃ……」

ヤンキーA「うるさいなぁ!しょーがないでしょ!喧嘩なんて怖いんだから!!」

ギャーギャーワーワー



梨子(な…なんか騒いでる……)

梨子(私が、言う通りにしないから怒ってるのかしら……)

梨子(ど…どうしよ……)

千歌「あれ?梨子ちゃん…足怪我してる……」

梨子「あっ……こ…これは……」

千歌「どうしたの?」

梨子「えっと……こ…転んで……」

千歌「転んだの!?高校生にもなって!?」

梨子「う…うん……」

千歌(うわぁ……梨子ちゃん、運動神経無いんだろうなぁ……)

梨子(うぐ……なんか、私が運動神経無いみたいに思われてそう……)

梨子(まあ……実際、運動神経無いけど……)


キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…


先生「はい、じゃあ、みんな席着いてー、出席とるわよー」ガララ…



--------------------


昼休み-


キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…


千歌「zzz………んがっ…!」パチッ

梨子「………」

千歌「あれ……ここは……?」

梨子「学校です……」

千歌「あっ……あぁ……」

梨子「もう……一限から四限まで、ずっと寝てるって、どう言う事よ……」

千歌「あ…あははー……って事は、もうお昼?」

梨子「そうよ……お弁当食べましょ」

千歌「うん…!私もお腹空いちゃったよ~」

ヤンキーA「お…おい……!」

千歌「?」

梨子「…!」

ヤンキーA「高海…千歌っつったか…?その……あれだ……ツラ貸せや……」

千歌「…!?」

千歌(んん?? もしかして…私……)

千歌(喧嘩売られてる…!?)

千歌(おぉ……私が喧嘩売られるなんて、いつぶりだろ……)

梨子「ち…千歌ちゃん…!行っちゃダメよ…!」

ヤンキーA「う…うるせぃ!お前は黙ってろ…!!」バチィィンッ!!

梨子「きゃっ…!」

千歌「…!!」

ヤンキーA(や…やばい……結構強く叩いちゃったけど……大丈夫かな……)

千歌「………」

ヤンキーA「と…とにかく…!!高海千歌!!お前は許さねえぞ…!!校舎裏に来い…!!」

千歌「ふふっ……」

ヤンキーA「な…なに笑ってやがんだ!?お前は!!」

千歌「ただじゃ済まさないからな……?」

ヤンキーABC「…!?」ゾワッ…!

ヤンキーA(な…なんだ……こいつ…寒気が……)

千歌「いいよ…行こうよ……どこ…?」

梨子「千歌ちゃん…!」

ヤンキーA「へっ……物分かりが良くて助かるぜ……ついてきな…!」ザッ…

千歌 ザッ…

梨子「あぁ…!千歌ちゃん…!!」

梨子「い…」

梨子「行っちゃった……」

梨子(そ…そんな………)

梨子(このままじゃ、また千歌ちゃんが、いじめられちゃう……)

梨子(なんとか……)

梨子(私がなんとかしなきゃ……)

梨子(………)

梨子(うぅ……ダメ……怖い……)

梨子(私じゃ何もできない……)

梨子(………)

梨子(ごめん……)

梨子(ごめんなさい……千歌ちゃん……)

梨子(せめて…せめて……無事に帰ってきて……)



--------------------


校舎裏-


ヤンキーA「へっへっへっ……のこのこ着いてきやがって……バカだぜ…あんた……」

千歌「………」

ヤンキーC「な…何黙ってやがんだ!!お前!」

千歌「………」

ヤンキーB「ちっ……!あんたは、今から私達に袋にされるんだよ…!?ちったあ、怖がんなよ!」

千歌「………」

千歌(………)

千歌(はぁ……)

千歌(弱いな……こいつら……)

千歌「………」

千歌「御託はいいからさ……」

千歌「きなよ……?」ニヤッ…

ヤンキーC「…!」

ヤンキーC「く…くそっ…!後で泣いても知らないからな…!!」ダッ!

ヤンキーB「いけ!やっちまえ!」

ヤンキーC「くらえや!」ガバッ!!

千歌「…」 スッ…

ヤンキーC(え…?避け……


ドカッ!!!


ヤンキーC「あ…あがっ……」

ヤンキーC ドサッ…!

ヤンキーB「え…!?ちょ…ちょっと!!なにしてんの!?」

千歌「ひとつ……」

ヤンキーB「え…?」

千歌「ろくに喧嘩もした事がないのに、喧嘩をふっかけた事……」

千歌 サッ…!

ヤンキーB「…!?」


バキッ!!!


ヤンキーB「う…うぐっ……」

ヤンキーB ドサッ…!

ヤンキーA「ちょ…ちょっと…!?二人とも!?」

千歌「ふたつ……」

千歌「私の大切な友達を傷つけた事……」

ヤンキーA「さ…さっきから……」

ヤンキーA「何言ってやがんだ!!お前はああああ!!」ガバッ!!

ヤンキーA「おらぁ!」ブンッ!!

千歌 スッ…

ヤンキーA(な…!き…消え……


ゴンッ!!!


ヤンキーA「うぐ……」

ヤンキーA 「つ…強えぇ……」フラッ…

千歌「みっつ……」

千歌「「喧嘩のカリスマ」と呼ばれた私に喧嘩を売った事……」

ヤンキーB「…!?」

ヤンキーB(け…喧嘩のカリスマ…!?)

千歌「よっつ……」

ヤンキーA「え…!?ま…まだあ…

千歌「梨子ちゃんを叩いた事…!!」

ヤンキーA「それ、さっき言っ…


ゴシャッ!!!


ヤンキーA「あがっ…」クラッ…

ヤンキーA ドサッ…!

千歌「…よって!死刑!!!」

ヤンキーA「ひっ……ゆ…許して……」

ヤンキーB「ま…待って…!い…今……あんた…け…喧嘩のカリスマって言った……?」

千歌「言ったけど……なに…?」

ヤンキーB「…!?」

ヤンキーA「ど…どうしたんだい…?」

ヤンキーB「し…知らないの!?け…喧嘩のカリスマって言ったら、不良界じゃ知らない者がいないほどのビックネームだよ!?」

千歌「ふーん…東京にも私の噂届いてたんだ……」

ヤンキーB「む…無敗どころか、まともに攻撃を食らった事すらない、最強のヤンキー…!全ての攻撃を避け、狙いすました必殺のカウンターで相手を一撃でしとめる!その芸術的とまで言える喧嘩スタイルから「喧嘩のカリスマ」と呼ばれるようになった、静岡は浦の星女学院の最強番長…!高海千歌……!!!」

ヤンキーAC「…!?」

千歌「おー!ご丁寧にどうも」

ヤンキーA「そ…そんなすごい人が、なんでこの学校に……」

千歌「まあ、それは、いろいろあってね~……」

千歌「浦の星退学になっちゃったんだよ…それで、東京のお母さんの所で叱られてこい!って家も追い出されて……」

千歌「それで、今は、もうヤンキーも辞めて真面目に過ごしてるんだ」

ヤンキーA「い…いや……暴力振るってるじゃないですか……」

千歌「え…?………あっ…!」

千歌「あー!!!もう、こういう事しないって決めてたのにーー!!」

ヤンキーA「あ…あはは……」

千歌「なに笑ってんだ!」ガンッ!

ヤンキーA「いてっ!」

ヤンキーA「そ…そんな…理不尽ですよ……千歌さん……」

千歌「さん付けで呼ぶな!」ガンッ!

ヤンキーA「いてぇっ…!!」

千歌「そんな風に呼ばれてたら、不良の親玉みたいじゃん!!私、この学校じゃ、普通の人として過ごしたいの!分かる!?」

ヤンキーA「は…はい……すみませんでした……」

千歌「だから、敬語使うなって!」

ヤンキーA「あっ…え…えっと……す…すまん……」

千歌「…」ムカッ…

千歌「なんかムカつく!」ガンッ!

ヤンキーA「いたぁっ…!」

ヤンキーA「そ…そんな……ひどい……」

千歌「とにかく!私は、これから真面目に生きるの!だから、私が元ヤンだって事は絶対に誰にも言っちゃダメだからね!」

ヤンキーA「わ…分かりました……」

ヤンキーC「じゃ…じゃあ、桜内の奴にもノート返してやりますか…?」

千歌「ん…?」

ヤンキーA「そうだな……普通に可哀想だしな……」

ヤンキーB「ちょ…ちょっと…!!それは言っちゃ……」

ヤンキーAC「あっ……!」

千歌「………」ゴゴゴゴゴゴゴ…

ヤンキーABC「ひっ…ひいぃ…!!」

千歌「……なんで…梨子ちゃんが無くしたノートを、あんた達が知ってるのかな…??」ゴゴゴゴゴゴゴ…

ヤンキーA「あっ…い…いやっ…!その…違うんです…!あ…あれは……」ダラダラダラダラ…

千歌「もしかして…梨子ちゃんが足怪我してたのも、あんた達の仕業…??」ゴゴゴゴゴゴゴ…

ヤンキーB「あっ…そ…それは……」ダラダラダラダラ…

千歌「お仕置きが足りなかったみたいだね……」ゴゴゴゴゴゴゴ…

ヤンキーABC「ひっ…ひぃぃぃ…!!!」


ドカッ!!バキッ!!ゴンッ!!!


ヤンキーABC「ぎゃああああ……!!」






物陰-


花陽「は…はわわわわ………」

花陽「た…大変な事に……!!」

花陽 ゴクリッ…

花陽「り……」

花陽「…凛ちゃんに報告しなきゃ……!!!」

期待

面白くなりそう

なんかわからんが凄く微妙

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-----------------
--------------

一年生教室-


花陽「はぁ…はぁ…!」タッタッタッタッ…!

花陽 「り…凛ちゃん…!」ガララ…!

凛「ん?どうしたにゃ?」

花陽「はぁ…はぁ……た…大変なの…!」

凛「た…大変…!? なにが…!?」

花陽「け…喧嘩の……」

凛「喧嘩の……?」

花陽「喧嘩のカリスマが、この学校に転校してきたの…!!!」

凛「け…喧嘩のカリスマぁ…!?」

花陽「う…うん……」

凛「だ……」

凛「誰にゃ……そいつ……」

花陽「ええええええええええええ!!??し…知らないの!!??」

凛「凛はかよちんみたいに、不良界の事は詳しくないにゃ」

花陽「喧嘩のカリスマって言ったら、無敗どころか、まともに攻撃を食らった事すらない、最強のヤンキー…!全ての攻撃を避け、狙いすました必殺のカウンターで相手を一撃でしとめる!その芸術的とまで言える喧嘩スタイルから「喧嘩のカリスマ」と呼ばれるようになった、静岡は浦の星女学院の最強番長…!高海千歌さんの事だよ…!?本当に知らないの!?」

凛「う~ん……前にかよちんから聞いたような…聞いてないような……」

花陽「と…とにかく…!!そんなすごい人が、この学校に転校してきちゃったって事なんだよ…!」

凛「ふふっ……大丈夫にゃ!そんなの凛が、すぐにぶっ倒してやるにゃ!」

花陽「い…いや……今回ばかりは、さすがの凛ちゃんでも……」

凛「そ…そんなに強いの?」

花陽「うん……噂で聞いた限りだと、もしかしたら……うちの番長の絵里先輩より強いかも……」

凛「絵里先輩よりも…!?」

花陽「うん……あくまで予想だけどね…?」

凛「そ…そんな……じゃあ…」ワナワナ

花陽「うん……番長交代があるかもしれない……」

凛「なっ…! え…絵里先輩は、凛が倒す予定なのに……」ワナワナ

凛 バンッ…!!

花陽「凛ちゃん…!?」

凛「こうしちゃいられないにゃ…!!今すぐでも行って、どんな奴なのか偵察に……」


キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…


凛「あっ……」

花陽「昼休み終わっちゃったね……」

凛「にゃ……」

花陽「後で行こっか…」

凛「そうするにゃ…」



--------------------


放課後-

二年生教室-


梨子「えっ……?か…返してくれるの……?」

ヤンキーA「へへっ……いやぁ…その……はは…」

千歌「あっ……!それ、梨子ちゃんの落としたノート!?もしかして、拾ってくれたの!?」

ヤンキーA「えっ…」

千歌「わー!良かったね!梨子ちゃん!!」

梨子「え…?えぇ……そ…そうね…」

千歌「それにしても、君達、実はいい子なんだね!!いやぁ~!良かった!良かった!」

ヤンキーA「あ…あはは……」

梨子「あはは……」



教室前廊下-


凛「あ…あれが高海千歌先輩……」コソコソ

花陽「す…すごい……もう二年の鮫島先輩達を舎弟にしてる……」コソコソ

凛「あんなのは、ただの口だけヤンキーにゃ。それよりも…千歌先輩の隣にいる人の方が気になるにゃ……」

花陽「誰だろう……私も分かんないや……」

凛「かよちんが分かんないなら、ヤンキーじゃないんじゃ……」

花陽「でも、見た感じだと千歌先輩と対等っぽいよ?ただ者じゃないかも……」

凛「たしかに……」



ガタッ…


凛「あっ…!出てくるにゃ…!!」

花陽「う…うん…!!」


千歌「それでね~、マフラーを変えると全然音が違ってね~…」

梨子「へぇ~、千歌ちゃんバイク詳しいのね~」

凛「……」ジーーー……

千歌「まぁね~!乗ってたから!」

梨子「えぇ…!?そうなの…!?」

花陽「……」ジーーー……

千歌「う…うん…!前の学校ではね!」

梨子「えぇ…!?バイクで行って良かったの!?」

凛「……」ジーーー……

千歌「あっ…そ…それは……」

花陽「……」ジーーー……

千歌「………」

凛「……」ジーーー……

梨子「………」

花陽「……」ジーーー……

凛「……」ジーーー……

千歌「え…!?なに…!!??」

凛「…!」ビクッ!

千歌「なんでずっと見てるの!?何か用!!??」

梨子「ち…千歌ちゃん……落ち着いて……」

花陽「あわわ……」

梨子「ほら…怖がっちゃってるじゃない……全く……」

千歌「あ…あはは……ごめんごめん……つい…」

梨子「あなた達…一年生?何か用があったんでしょ?どうしたの?」ニコッ

花陽「あわわ……」
--------------------
花陽視点-

梨子「てめぇら一年か!?何の用じゃコラァ!!」

--------------------
花陽「あわわわ……」

凛「か…かよちん…!!しっかりして…!」

花陽「り…凛ちゃん……」

千歌「いや、梨子ちゃんも怖がられてるじゃん……」

梨子「あ…あれ……?おかしいな……」

花陽「わ…私の事はいいから……凛ちゃんだけでも逃げて……」

凛「そんな…!かよちんを置いて逃げるなんてできないにゃ!!」

千歌「……」

梨子「……」

花陽「でも…このままじゃ二人とも……」

凛「大丈夫にゃ…!凛がなんとかするから!!」

梨子「あー…あの~……」

凛「…!」

凛「かよちんに手は出させないにゃ!凛が相手にゃ!!」

花陽「り…凛ちゃん…!」

梨子「え…えぇ……?」

凛「喧嘩のカリスマだかなんだか知らないけど、凛の方が強いにゃ!!」

千歌「…!」

凛「にゃああああ!!」バッ!!

梨子(え…!?速…


パシッ!!


凛「え…?」

花陽(り…凛ちゃんが止められた…!?)

千歌「もぅ……危ないなぁ……」

梨子「千歌ちゃん…!」

凛「そ…そんな……凛のスピードが……」

千歌「えー…っと……その…凛…ちゃん…?いきなり人を殴ろうとしちゃダメだよ…?」

凛「…!」

花陽「凛ちゃん……」

千歌「じゃあ、帰ろ?梨子ちゃん」

梨子「そ…そうね……」

梨子「じゃ…じゃあね…!えっと…凛ちゃんと…か…かよちゃん…!」

凛「………」

花陽「あっ…は…はい…!さようなら……」

凛「………」

花陽「………」

凛「かよちん……」

花陽「…!」

凛「今まで凛のスピードについてきた人っていたっけ……?」

花陽「え…えっと……絵里先輩…くらいじゃ……」

凛「だよね…」

花陽「凛ちゃん……」

凛「ふっふっふっ……」

花陽「え…?」

凛「さすが喧嘩のカリスマさん……面白くなってきたにゃ……」

花陽「り…凛ちゃん……」

凛「決めた…!凛、絵里先輩の前に千歌先輩を倒す!!」

花陽「えぇ…!?た…倒すの…!?」

凛「うん…!!絶対……」

凛「絶対やってやるにゃ!!」

花陽「…!」

花陽「うん…!!」



--------------------


帰り道-


梨子「はぁ……怖かった……急に殴りかかってくるんだもん……」トコトコ

千歌「そ…そうだね~……」トコトコ

千歌(うぅ……喧嘩のカリスマって言ってたし、あれ絶対、私狙ってるよなぁ……)

千歌(はぁ…私は、普通に暮らしたいだけなのに……)

梨子「あの子達、ヤンキーよね…?」

千歌「え…?あ…あぁ……だろうね」

梨子「はぁ……しつこく絡まれたりしないわね…?私…ああいう人達苦手で……」

千歌「えっ…」

梨子「だって、ほら…話が通じないし…気に入らないと暴力振るうし……」

千歌「う…うん……」

梨子「はぁ…何もないように静かに暮らしてたのに……なんで、またこうなるのかしら……」

千歌「ま…また…?」

梨子「うん……その…昔にも、ヤンキーの人達にしつこくされた事があって……」

千歌「………」

梨子「だから…絶対そういう人達には関わらないように!って思ってたの……」

千歌「そ…そっか……」

千歌(うっ…)

千歌(こ…これは……)

千歌(絶対、私が元ヤンだってバレちゃいけないやつだ…)

梨子「あっ…じゃあ、私の家ここのマンションだから」

千歌「え…!?」

梨子「じゃあね、千歌ちゃん」ニコッ

千歌「え……」

千歌「えええええええええええええええ!!??」

梨子「えぇ…!?な…なに…!?」

千歌「わ……」

梨子「?」

千歌「私の家も……ここ……」

梨子「え……」

梨子「ええええええええええええええ!!??」


--------------------
-----------------
--------------

マンション-


千歌「え……?」

梨子「うそ……」

千歌「そ…そこ梨子ちゃん家……?」

梨子「う…うん……」

千歌「え……じゃ…じゃあ……」

梨子「うん……お隣……」

千歌「ええええええええええええええ!!??」

千歌「そういえば、隣の人、桜内だった!!」

梨子「私も、そういえば、高海さんが挨拶に来たってお母さんから聞いた…!!」

千歌「こ…こんな事って……」

梨子「あるのね……」

千歌ママ「あっ、千歌おかえり~」

千歌「お母さん!」

梨子「お母さん!?」

梨子(若っ!?)

千歌「仕事、今終わり?今日早いね」

千歌ママ「愛する娘の面倒見なきゃいけないからね、早めに抜けさせてもらったの」

千歌「おー!ありがとう!お母さん!」

千歌ママ「それより…千歌…?あなた、今日は喧…

千歌「わー!!!わー!!!」

千歌ママ「えぇ…?どうしたの……?」

千歌「な…なんでもないよ……」ダラダラダラ…

千歌(危なかった……お母さん…急に喧嘩とか言うんだもん……梨子ちゃんにバレるじゃん……)

梨子「あ…あの……」

千歌ママ「あっ…あら!桜内さんのとこの娘さんね!たしか…梨子ちゃんって言ったかしら!美人さんね~」

梨子「え…!?///」

千歌ママ「なに?千歌、この子と友達になったの?いい子見つけたじゃない!」

千歌「えへへ……まあね…」

千歌ママ「乱暴者だけど、根は優しい子だから…よろしくね?梨子ちゃん」

千歌「あっ…」

千歌(ら…乱暴者って……!)

梨子(乱暴者…?)

梨子「は…はい…!こちらこそ、よろしくお願いします…!」

千歌「ふ…ふぅ……」

千歌(なんとかバレはしなかったか……)

千歌ママ「それじゃあ、家入りましょう?またね、梨子ちゃん」

梨子「あっ…!は…はい…!失礼します!」

千歌「じゃーねー、梨子ちゃん」フリフリ

梨子「うん、じゃあね、千歌ちゃん」フリフリ


ガチャ…


梨子(………)

梨子(それにしても……)

梨子(千歌ちゃんのお母さん、若いわね……)

梨子(………)

梨子(千歌ちゃんも年取ったら、ああいう感じなのかしら……)

梨子(………)

梨子(まあ、いいや……私も家入ろ……)


ガチャ…



--------------------


高海家-


鍋 グツグツ…


千歌ママ「どう?学校には慣れた?」

千歌「まあまあ……」

千歌ママ「東京はすごいでしょ?人もたくさんいて、みんな忙しそうにしてて」

千歌「ん…そうだね」

千歌ママ「………」

千歌「………」

千歌ママ「本当にあなた、喧嘩してない?」

千歌「…!」

千歌「し…してない……」

千歌ママ「………」トントントン…

千歌「………」

千歌ママ「まあ…千歌がそう言うな、信じるけどね、もう喧嘩はしちゃダメよ?」ジャーー……

千歌「わ…分かってる……」

千歌「ぼ…暴力は暴力しか生まない……でしょ?」

千歌ママ「そう……分かってるじゃない」

千歌「………」



--------------------


次の日 朝-


千歌「ふぁ~あ……眠い……」

千歌「行ってきま~す……」ガチャ…

凛「あー!!出てきたにゃー!!」

千歌「………」

千歌「……はい…?」

凛「降りてくるにゃー!!勝負にゃー!!」

千歌「こ…これは……」

梨子「さっきからずっとこの調子で……」

千歌「梨子ちゃん!?」

梨子「おはよう…千歌ちゃん…」

千歌「お…おはよう……」

梨子「なんか、喧嘩のカリスマだの…浦の星の番長だの……よく分からない事を言ってて……」

千歌「うっ……」

千歌(わ…私の事だ……)

凛「降りてくるにゃー!!」

千歌「うぅ……」

梨子「はぁ……なんだか分かんないけど登っては来ないみたい……まあ、このままじゃ学校に行く事もできないけど……」

千歌(………)

千歌(狭い所で戦ったら自慢のスピードが生かせないからだろうなぁ……)

千歌(うぅ…めんどくさい……)

千歌(ぶん殴って黙らせるわけにもいかないし……かといってこのままじゃ学校に行けないし……)

千歌「………」

千歌「しょーがない……」

梨子「千歌ちゃん…?」

千歌「走ろう」

梨子「え…!」

千歌「走って逃げよう」

梨子「む…無理!!」

千歌「大丈夫だよ!私達の方が一個上だし、普通に走っても…」

梨子「無理よ!私すっごい足遅いもん!!」

千歌「………」

梨子「絶対追いつかれるわ」

千歌「………」

千歌「そんな自信満々に言われても……」

梨子「でも、事実よ」

千歌「………」

千歌「はぁ……分かったよ……」

梨子「?」

千歌「じゃあ、私が囮になるから、梨子ちゃん先逃げてて」

梨子「えっ…!」

梨子「ダ…ダメよ…!!そんなの…!千歌ちゃんを置いて私だけ逃げるなんて…!」

千歌「大丈夫……」

千歌「私…梨子ちゃんと違って足早いから!」ニカッ!

梨子「なっ…」

千歌「じゃ!そういう事で!たぶん私、遅刻するから、適当に誤魔化しといてー!」タッタッタッ!

梨子「えぇ…!?ちょっと!千歌ちゃん!?」

凛「ん?」

凛「あっ!降りてきたにゃー!!」

千歌「こっちだよー!!」タッタッタッ!!

凛「待つにゃー!!」ダッ!

千歌「よしっ…!こっち来た…!」タッタッタッ!!

凛「逃げても無駄にゃー!!」タッタッタッ!!


タッタッタッタッタッ……


梨子「…す…すごい……」

梨子「二人とも速い……もう見えなくなっちゃった……」

梨子「………」

梨子「ああいう人達は、きっと運動会とかも楽しかったんだろうなぁ……」

梨子「私、トラウマしかない……」

梨子「はぁ……学校行こ…私も遅刻しちゃう……」

梨子「………」タッタッタッ…

梨子「………」トコトコトコ…

花陽「あ…あの……」

梨子「…!?」ビクッ!!

梨子「か…かよちゃん…!?」

花陽「は…はなよです……おはようございます…」

梨子「あ…そ…そう……はなよ…ちゃん……おはよう……」

梨子「え……?」

梨子「も…もしかして……ずっと居たの…?」

花陽「はい……凛ちゃんと一緒に……」

梨子「見えなかったけど……」

花陽「隠れてました……」

梨子「なぜ……」

花陽「恥ずかしくて……」

梨子「………」

梨子(え…?なんで…!?)

花陽「そ…その……梨子先輩……」

梨子「え…?な…なに……?」

花陽「ご…ごめんなさい……!」

梨子「えっ…?」



--------------------


万世橋-


千歌「はぁ…はぁ……」タッタッタッ!!

凛「待つにゃー!!」タッタッタッ!!

千歌(ぐぅ…ま…まだ喋る余裕があるのか……) タッタッタッ!!

凛「にゃあああ!!」タッタッタッ!!

千歌(めちゃくちゃ走るの得意だな…この子……私だって地元じゃ一番二番を争うくらいに速かったのに……) タッタッタッ!!

凛「捕まえたにゃ!」ガバッ!

千歌「わあっ…!」スルリッ…!

凛「あー!避けられたにゃ!!」

千歌「ひぃ…!」タッタッタッ!!

凛「待つにゃー!!なんで勝負しないにゃー!!」タッタッタッ!!

千歌(喧嘩しちゃダメだからだよ…!!) タッタッタッ!!

千歌(あーもー!上手いことまいて、学校行こうと思ってたのにー!!) タッタッタッ!!

凛「往生際が悪いにゃー!!」タッタッタッ!!

千歌「は…速……」タッタッタッ!!

千歌(うぅ…ごめん…梨子ちゃん……今日、私、遅刻じゃなくて欠席かも……) タッタッタッ!!



--------------------


通学路-


梨子「そ…そんな……花陽ちゃんが謝る事じゃ……」

花陽「いや……私のせいなんです……」

梨子「え…?」

花陽「実は……凛ちゃんが、喧嘩ばかりするのは私のせいで……」

梨子「そ…そうなの……?」

花陽「はい……その…えっと……あんまり言いたくない事なんですけど……私…昔いじめられてて……」

梨子「…!」

花陽「ほら…私……こんな性格だし…鈍臭いから……それで、クラスの子にバカにされて……」

梨子「そ…そう……」

花陽「そういう時はいつも決まって凛ちゃんが助けてくれて……」

梨子「凛ちゃんが…?いい子じゃないの……」

花陽「そうなんです……凛ちゃんは本当はすごく優しくて…人を殴るなんて……よっぽどの事でもない限りしたくないはずなんです……」

梨子「じゃあ、なんで……」

花陽「凛ちゃんは、私を守るためだって言ってくれてます……」

梨子「花陽ちゃんを……?」

花陽「はい……凛ちゃんは私がいじめられないように強くなるんだ!って言ってて……」

梨子「そう……」

花陽「そうやって誰彼構わず喧嘩ばかりしてたら、中学の時に「アキバの暴れ猫」なんて異名まで付いちゃって……」

梨子「アキバの暴れ猫……」

花陽「それで、私……どうしたらいいか分かんなくて……凛ちゃんは私のためにやってくれてる事だから……私も少しでも凛ちゃんの力になろうって思って……」

梨子「それで、不良に詳しいのね……花陽ちゃんは……」

花陽「はい……」

梨子「………」

梨子「花陽ちゃん……」

花陽「は…はい…なんですか…?」

梨子「厳しいことを言うようだけど……それは間違ってるわよ」

花陽「…!」

梨子「花陽ちゃんか本当に凛ちゃんの事思ってるなら、止めてあげなきゃ…!」

花陽「と…止める……」

梨子「そう……このままじゃ凛ちゃんは、いつか大怪我をするかもしれない……それに凛ちゃんだけじゃない……凛ちゃんに傷つけられた人も沢山でる……」

花陽「…!」

梨子「それは、すごく良くない事……分かるでしょ?」

花陽「は…はい……」ウルウル…

梨子「えぇ…!?ちょ…ちょっと…!なんで泣くの!?私、キツく言い過ぎた!?」

花陽「ち…違います……ただ…今までそんな風に言ってくれた人いなかったから……」ウルウル…

梨子「…!」

梨子「そう……辛かったわね……」

花陽「でも、今の言葉で決心がつきました…!私……今日、凛ちゃんに言ってみます…!!」

梨子「えらい!きっと凛ちゃんも分かってくれるわ」

花陽「はい…!ありがとうございます…!」

梨子「あとは……」

花陽「………」

梨子「あの二人が、学校に来るかどうかが問題ね……」

花陽「そ…そうですね……」



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秋葉原UDX-


凛「はぁ…はぁ……」

千歌「はぁ…はぁ……」

千歌(やっと止まった……)

千歌(私も、もう走れないけど……)

凛「はぁ…はぁ……」

凛(凛が追いつけないなんて……)

凛「はぁ…はぁ……」

千歌「はぁ…はぁ……」

凛「……ぐっ…」

千歌「…?」

凛「にゃああっ!!」ガバッ!!

千歌「おわっ!」スルリッ…!

凛「ぐぬぬ……また避ける……」

千歌「はぁ…はぁ……」

凛「なんで逃げてばっかりにゃ!強いんだから、正々堂々勝負するにゃ!!」

千歌「ぐっ…」

凛「食らうにゃ!!」サッ…!

千歌「…!」

凛「にゃ!」ブンッ!

千歌「おっと…」スッ…

凛「にゃ!」ブンッ!

千歌「ほっ!」スッ!

凛「にゃ!!」ブンッ!

千歌「わっ…と!」スッ!

凛「なっ…」

凛「凛のパンチが当たらない……」

千歌「………」

千歌「たしかに…凛ちゃんのパンチは速い……」

凛「…!」

千歌「普通の相手なら、これで十分通用するだろうね……」

凛「な…何が言いたいにゃ…!」

千歌「速さだけじゃ、私には通用しないって事!」

凛「…!」

凛「速さ…だけ……」

千歌「やるだけ無駄だよ……?もう完全に遅刻だけど、学校行こうよ」

凛「…!」ムカッ

凛「無駄じゃないにゃ!!第一、千歌先輩は一回も反撃もできてないにゃ!これは凛のスピードについてこれてな…

千歌「…」サッ!

凛「…!」

凛「にゃ…」

凛(す…寸止め……)

千歌「はい…終わり……今のを振り抜いてたら凛ちゃん立てないよ?」

凛「た…立てたにゃ!!だいたい、なんで振り抜かないにゃ!!凛は情けなんて…

千歌「あー!もー!うるさいなー!!喧嘩はやめるって決めたんだよ!!」

凛「え…?」

凛「な…なんでやめるにゃ!!そんなに強いのに!」

千歌「………」

千歌「強くないよ…」

凛「え…?でも……」

千歌「凛ちゃんは強さを分かってない……喧嘩に強いは強さじゃない……」

凛「…?」

凛「ど…どういう事にゃ……?」

千歌「喧嘩が強くても何も守れないって事」

凛「…!」

凛「そ…そんな事ないにゃ…!!凛は今まで喧嘩に強くなる事で、かよちんを守ってきたにゃ…!」

千歌「かよちゃんを…?」

千歌「そう……じゃあ、それは間違ってる」

凛「…!?」

凛「なんで、そんな事言うにゃ…!凛はかよちんの事を思って……」

千歌「凛ちゃんが本当にかよちゃんの事を思ってるなら、喧嘩は辞めるべきだよ」

凛「で…でも…!凛は…」

千歌「………」

凛「凛は……かよちんのために……」

千歌「………」

千歌「はぁ……じゃあ、少し昔話してあげるよ」

凛「昔話…?」

千歌「あんまり話したくない事なんだけどね……凛ちゃんは私と似てるから……」

凛「?」

凛「ど…どういう事にゃ…?」

千歌「このままだと凛ちゃんは、いつか必ず後悔する……私と同じように……」

千歌「そうなって欲しくはないから……」

凛「千歌先輩と同じように……?」

千歌「そう……あれは私が、まだ浦の星にいた頃の話……」

凛「……」ゴクリッ…



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同じ頃 二年生教室-


先生「えー…で、あるからして……」

梨子「………」

梨子(千歌ちゃん遅い……もう一限始まっちゃったじゃない……)

梨子(もう……なにやってるのかしら……)

先生「あー…じゃあ、桜内さん、この問題解けるかしら?」

梨子(まさか今頃、凛ちゃんに捕まって、いじめられてるんじゃ……)

先生「………」

梨子(そんな…私を庇ったばっかりに……)

先生「あー……桜内さん…?」

梨子(どうしよう……今からでも助けに……)

先生「………」

生徒「おーい…」ツンッ

梨子「え…!?なに……?」ビクッ!

生徒「指されてるよ…?」

梨子「え…?」

先生「………」ゴゴゴゴゴゴゴ…

梨子「あ……」

梨子「す…すみませんでした……」

先生「次からは気をつけるように…!」

梨子「はい……」

梨子(うぅ……このままじゃ全然集中できない……)

梨子(千歌ちゃん……無事に帰ってきて……)



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秋葉原UDX-


--------------------
-----------------
--------------

千歌「…それで私は浦の星を退学になって、今は、お母さんを頼って、こうして秋葉原にいるの……」

凛「じゃ…じゃあ、千歌先輩が喧嘩しない理由って……」

千歌「うん……あんな事があったからだよ……」

千歌「暴力は暴力しか生まない……」

凛「…!」

凛「で…でも…!千歌先輩は友達のために…!」

千歌「理由はどうであれ、暴力は暴力……」

千歌「そんな方法でしか訴えられなかった私がバカだった……それだけだよ……」

凛「…!」

凛「………」

凛(す…すごい……凛と一つしか変わらないのに……こんな事まで考えてるなんて……)

千歌「だから、凛ちゃんには私のようにはなって欲しくない……」

凛(ダメだ……凛……とても、この人には敵わない……)

千歌「かよちゃんなら、喧嘩以外で守る事ができる……それに、きっとその方が、かよちゃんも嬉しいはずだから……」

凛「わ…分かったにゃ……」

凛「いや……分かりましたにゃ…!!」

千歌「う…うん……」

千歌(急に敬語……)

凛「凛、感動しました…!!千歌先輩、すごいです!凛も千歌先輩みたいな、立派な人間になりたいです!」

千歌「そ…そう…?えへへ……そこまで言われると照れるね…///」

千歌「じゃあ…まあ、頑張ってね!凛ちゃん!私も応援してるよ!」

凛「はい!!ありがとうございます!!凛は、一生千歌先輩についていきますにゃ…!!!」

千歌「え…?」

凛「よろしくお願いします…!!」ペコリッ!

千歌「んん…??」

千歌(あれ…?なんか話がおかしな方向にいってるような……)

凛「鞄お持ちしますにゃ」スッ…

千歌「え……あ…ありがとう……」

凛「んん…!?すごく軽いにゃ!!」

千歌「あぁ…お弁当ぐらいしか入ってないから…」

凛「お弁当だけ!?す…すごいにゃ…!!教材が無くても授業が分かるなんて…!!」

千歌「え……いや…そうは言ってな…

凛「喧嘩だけじゃなくて勉強もすごいなんて……さすが千歌先輩だにゃ…!!」

千歌「あ…あはは……」

千歌(ど…どうしよ……この状況……)

凛「それじゃあ、学校行くにゃー!!」ダッ!!

千歌「えぇ…!?ちょっと!?また走るの!?」

凛「当たり前にゃ!!早くかよちんに話がしたいにゃ!!」

千歌「えぇ……私、もう疲れたよ~…」

凛「いいから、早く走るにゃー!」

千歌「うぅ……もうタメ口に戻ってる……」

凛「あっ!それから、千歌先輩!かよちんの本名は「はなよ」だにゃ!かよちゃんじゃ誰か分からないにゃ!」

千歌「えぇ…!?そうなの…!?じゃあ、なんで、かよちんに…?」

凛「昔の事すぎて覚えてないにゃ!」

千歌「えぇ……気になる……」

凛「って、そんな事はどうでもいいにゃ!!早く学校行くにゃ!!さあ、走るにゃ!!」ダッ!!

千歌「あっ…!ちょ……」

凛 タタタッー!!

千歌「あ……」

凛 タタタッー!

千歌「………」

凛 タタタッー…

千歌「うぐぐ……」

千歌「もう…!!分かったよ!!走りゃあいいんでしょ!走れば!!」ダッ!!

千歌「うおおおおおお!!!凛ちゃん待てぇぇいっ!!!」タタタッー!!!



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同じ頃 三年生教室-


先生「えー…で、あるからして……」

絵里「………」

ヤンキー「絵里さん…」

絵里「…」

ヤンキー「少しお耳に入れたい事が…」

絵里「………」

絵里「なに…?」

ヤンキー「二年の事なんですが…」

絵里「…」

ヤンキー「~~~~」コソコソ…

絵里「…!」

絵里「………」

絵里「へぇ……」

絵里「………」

絵里「喧嘩のカリスマ……ねぇ……」

絵里「………」




期待


翌日 昼休み 二年生教室-

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ワイワイガヤガヤ


梨子「時制が間違ってるわ、やり直しよ」

千歌「えぇっー!?どこが!?合ってるよ!!」

梨子「ここよ、これはメアリーが昔から今までずっと住んでいるわけだから現在完了形よ」

千歌「げ…現在完了形……!?」

梨子「そうよ」

千歌「…って、なに……?」

梨子「知らないの!?千歌ちゃん、前の学校で何してたのよ!」

千歌「あ…あははー……えっと…友達とじゃれあってた……かな…?」

梨子「はぁ!?どういう事よ……」

千歌「あはは……」

梨子「あはは、じゃないわよ……このままじゃ千歌ちゃん赤点になるわよ…?」

千歌「そ…そうですね……」

凛「えぇっー!?千歌先輩、赤点なんですか!?」ガララッ!!

千歌「わっ…!り…凛ちゃん…!!」

凛「頭良かったんじゃなかったんですか!?」

千歌「いやぁ~……あれは凛ちゃんが勝手に勘違いしただけで……」

凛「なっ…!み…見損なったにゃー!!」

千歌「…!?」

千歌「そ…そんな事言ったって、しょーがないじゃん!!私、頭悪いもん!!!」

凛「あー!!開き直ったにゃー!!情けないにゃ!!」

千歌「な…情けなくないもん!!だいたい、私のが先輩なんだから敬語…

梨子「はいはい……もう千歌ちゃん落ち着いて……」

千歌「むぅ……わ…分かったよ……」

梨子「凛ちゃんも何か用があって来たんじゃないの?」

凛「あっ、用があるのは凛じゃなくて、かよちんで……」

梨子「その花陽ちゃんが見当たらないけど……」

凛「それは……」

花陽「はぁ…はぁ……凛ちゃん足速い……」

凛「あっ!かよちん、やっと来たにゃー!」

梨子「走ってきたのね……」

千歌「そんな急用なの…?」

花陽「は…はい…!!大変なんです…!!」

千歌「何が…?」

花陽「ち…千歌先輩が…です…!」

千歌「え…?」






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数分後-


千歌「えぇ…!?私が三年生からマークされてる!?」

花陽「は…はい……目立った事をしてなくても、やはり千歌先輩ほどのビックネームとなると……」

千歌「そ…そんな……」

梨子「?」

凛「あっ…」

梨子「ビックネーム…?千歌ちゃんが?」

千歌「あ…!」

梨子「なにかスポーツでもしてたの…?」

花陽「え…?いや……その…だって、千歌先輩は…もがっ!」

凛「か…かよちん…!!ちょっとこっちに来るにゃ…!!」

花陽「むがっ…!もがもがっ…!?」ガララッ…!ピシャンッ!!

梨子「え…?な…なに……?」

千歌「わー!!水筒こぼしちゃったっー!!!」

梨子「えぇ…!?ちょっと…なにやってるの!?」

千歌「あはは…ごめんごめん……拭くの手伝って……」

梨子「はぁ……もう、しょうがないわね……」

千歌「ありがとー…!」

千歌(………)

千歌(い…今のは危なかった……) フキフキ

千歌(てっきり、花陽ちゃんにも凛ちゃんが伝えてくれたのかと……) フキフキ

千歌(り…凛ちゃんめ……さては、私が不良辞める話しかしてなかったな……) フキフキ

千歌(これは、お仕置きが必要だね……) フキフキ

千歌(うん…これは暴力じゃない……罰だよ…罰……)

千歌「ふふふっ…」

梨子「え……なに……?」

花陽「す…すみませんでしたっー!!」ガララッ!!

千歌「あはは……いいよいいよ、知らなかったんだから、しょーがないって」

千歌「だから、悪いのは……」

千歌 ギロリッ…

凛「ひっ…!」ビクッ!

千歌「あとでね…?」

凛「そ…そんな……」

梨子「?」

梨子「えっと……なんだか、よく分からないんだけど……その…千歌ちゃんが三年生にマークされてるのは、なんで…?」

花陽「あっ…!そ…それは……えっと……」

凛「ち…千歌先輩が、転校してきたのに、ウチの番長に挨拶にも行かないからだにゃ…!!」

花陽「…!」

千歌(凛ちゃんナイスフォロー!)

梨子「挨拶……?そんなの私もしてないけど……」

花陽「あっ…そ…それは……」

凛「えっと……し…知らないんですか!?ウチの生徒はみんな、番長に挨拶に行ってますよ…!?」

花陽「え…」

凛「ね…!?かよちん!」

花陽「う…うん…!」

千歌(なんじゃそれ……無理があるでしょ……)

梨子「そ…そうなの…!?ど…どうしよう……私も挨拶に行かないと……」

千歌「…!?」

凛「………」

凛「梨子先輩って…詐欺とかあいそうですね…」

梨子「えぇ…!?なんで急に、そんな事言うの!?」

凛「なんでもないです…」

千歌「じゃ…じゃあ!私と梨子ちゃんで挨拶に行ってこようか…!!」

花陽「えぇ…!?ほ…本当に行くんですか…!?」

梨子「え…?行かなきゃいけないんじゃないの…?」

凛「そうです…!そうです…!行きましょう!今すぐにでも!」

花陽「り…凛ちゃん!?」

凛「大丈夫にゃ……三年生も、そうすぐには仕掛けてこないはずにゃ……」コソコソ…

花陽「で…でも……いきなり敵地の真っ只中に行くなんて……」コソコソ…

梨子「なんの話?」

凛「な…なんでもないです…!!さっ!行きましょう!行きましょう!」

凛「何かあった時のための護衛として、凛もついて行くにゃ……かよちんは先に教室に戻ってて……」コソコソ…

花陽「う…うん……気をつけてね…」コソコソ

千歌「よーし…!じゃあ、三年生のフロアに向けてしゅっぱーつ…!!」

凛「お…おーーっ!!」

梨子「?」

梨子「おー! ……?」



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見てるよ

メッチャ楽しみ


三年生フロア-


ヤンキー ジロジロ…

ヤンキー ジロジロ…

千歌(や…やばい……)

ヤンキー「おらぁ!!テメェら殺すぞ!!」

凛「ひぃっ…!す…すみません……」

ヤンキー「落ち着けよ……絵里さんがやってくれるって……」

ヤンキー「ちっ…」

凛「……」ホッ…

ヤンキー ジロジロ…

ヤンキー ジロジロ…

千歌「うっ…」

千歌「り…凛ちゃん……」コソコソ…

凛「…なんにゃ……」コソコソ…

千歌「今からでも遅くない……梨子ちゃんは適当に誤魔化して、帰ろう……」コソコソ…

凛「こ…ここまで来て…!?」コソコソ…

千歌「う…うん……だって、三年生めちゃくちゃ気が立ってるし……梨子ちゃん、さっきから恐怖で、意味分かんない事ばっかり言ってるし……」コソコソ…

梨子「………」フラフラ…

梨子「私はかかし…私はかかし……」フラフラ…

凛「で…でも……どうやって……」コソコソ…

千歌「幸い、私達はまだ絵里先輩とやらに会ってない……だから、梨子ちゃんには絵里先輩は今日休みだとか言って…」コソコソ…

ヤンキー「コラァ!!なに喋ってんのじゃ!!おのれは!!」

千歌「むっ…」

千歌(も…もう……うるさいなぁ……)

凛「…!」

凛(あ…あそこにいるのって……)

千歌(一人ぐらいぶん殴って黙らせるか……)

ヤンキー「何か言わんかい!!コラァ!!」

ヤンキー「ビビッとんのか!?ワレ!!」

ヤンキー「このアホ毛が!」

千歌「…」ムカッ…

千歌(こ…こんの野郎~っ……黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって……)

絵里「どきなさい……私の客でしょ?」

ヤンキー「あっ、絵里さん……」

千歌(よしっ…ぶん殴ろう……これは暴力じゃなくて、制裁……)

凛「あ…あぁ……」

梨子「私は…かかし……私は…」フラフラ…

千歌(決めた……次に私に絡んできた奴にしよう……見せしめになるように全力で……)

絵里「こんにちわ…あなたが高海…

千歌(てめぇか…!!)

千歌 キュッ…!!

絵里「え…?」

千歌「ふんっ…!!!」ブンッ!!


ゴシャッ!!!!


凛「…!?」

ヤンキー「…!?」

絵里「あがっ…」フラリ…

梨子「私はかかし……私はかかし……」フラフラ…

千歌「パーフェクト…!」

絵里「うっ…」ドサッ…!!!

凛「あ…あぁ……」

ヤンキー「あ……」

絵里「………」

千歌「ふふっ…完璧に入ったね……これは、もう立てないよ……」

ヤンキー「え…絵里さあああああんっ!!!!」

千歌「え…?」

千歌「絵里……さん……?」

ヤンキー「絵里さん!大丈夫ですか!?」

ヤンキー「しっかり!!絵里さん、しっかり!!」

千歌「あー…あれ……?」

凛「な…」

凛「なにしてるにゃああああああ!!!!」

千歌「わーっ!ちょ…大声出さないでよ!」

凛「うるさいにゃ!!バカ!!」

千歌「バ…バカァ…!?」

ヤンキー「許さない……絵里さんの仇……」

ヤンキー「二年の分際で、絵里さんに手をあげるなんて……」

ヤンキー「喧嘩のカリスマだかなんだか、知らねぇけど、ここまでされちゃあ黙っていられねぇ……」

凛「や…やばいにゃ……」

千歌「あ…あはは……まずは話し合いを……」

凛「そんな事言ってる場合じゃないにゃ!!」

ヤンキー「殺せえええええええええええ!!!」

凛「逃げるにゃああああああああ!!!!!」ダッ!!

千歌「ひ…ひぃっっ!!」ダッ!!

梨子「私は…かかし……私は…」フラフラ…

千歌「梨子ちゃん!!」ガシッ!!

梨子「わっ…」フワリッ…!

千歌「行くよ!!凛ちゃん!!!」タタタッー!!

凛「分かったにゃー!!」タタタッー!!

梨子「えぇ…!?ちょっと!千歌ちゃん!?なにこれ!?なんでお姫様抱っこ!?」

千歌「梨子ちゃん足遅いからだよ!!!」タタタッー!!

ヤンキー「待てコラァアア!!!」ドドドドドドドッ!!

ヤンキー「ただじゃ済まさせねぇぞ!!」ドドドドドドドッ!!

梨子「えぇ…!?な…なんで!!??」

凛「捕まったら、殺されるにゃあああ!!」タタタッー!!

梨子「こ…殺される…!?」

千歌「後で説明するから!!!今はとにかく逃げる!!」タタタッー!!

ヤンキー「オラァアアア!!!」ドドドドドドドッ!!

千歌ちゃんやっちまったなw

先生「ん…?」

先生「なんの声……」

ヤンキー「死ねぇえええええ!!!!」ドドドドドドドッ!!

先生「…!?」

先生「コ…コラァ…!!!なにをしとるか!!お前ら!!!」

ヤンキー「げっ…!」

凛「今のうちにゃ!!!」タッ!!

千歌「うん…!!」タッ!!

ヤンキー「あ…コラ!!待て…」

先生「待つのはお前らだろが!!!全員、生徒指導室に来い!!!」

ヤンキー「なっ…」


千歌「急げ!急げっー!!」タタタッー!!

凛「今のうちにゃーー!!」タタタッー!!

梨子「えぇ……な…なんなの……?」



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校舎裏-


凛「はぁ…はぁ……」

千歌「はぁ…はぁ……」

梨子「だ…大丈夫……?二人とも……」

梨子「あと、5限もう始まってるんだけど……」

千歌「はぁ…はぁ…分かってるよ……ちょっと休んだら行く……」

凛「凛は5限パスで……」

梨子「えぇ…!?ダメよ!?授業はちゃんと出ないと……」

花陽「あっ…!凛ちゃん!みなさん!!」タッタッ…

凛「あ…かよちん……」

梨子「花陽ちゃん!?授業は!?」

花陽「あ…お腹痛いって言って抜けてきちゃいました……凛ちゃんが帰ってこなかったので……」

梨子「えぇ…!?」

梨子(わ…私の感覚がおかしいだけで、授業をサボるのは割と普通なのかしら……)

花陽「さっき、職員室で聞いたんですけど……」

花陽「三年生複数人が一週間の停学、絵里先輩が保健室で休んでるって、どういう事ですか!?」

千歌「て…停学か……」

花陽「はい……なんか、生徒指導の先生を殴ったみたいで…」

凛「はぁ……良かった…一週間は死なずに済むにゃ……」

梨子「ご…ごめん……私、あんまり覚えてないんだけど…何かあったの……??」

千歌「そ…それは……」

凛「千歌先輩が絵里先輩を殴ったにゃ……」

千歌「あっー!!凛ちゃん、それ言っちゃ…!」

凛「うるさいにゃ」

千歌「…!?」

梨子「な…殴った!?なんで!?」

千歌「あ…えっと……その…ムカついて……」

凛「…」ピクッ…

凛「なんにゃ!その理由は!!!暴力は暴力しか生まないとか言ってた千歌先輩はどこ行ったにゃ!!」

千歌「あー!もー!うるさいなぁ!!ムカついたもんはムカついたの!!」

梨子「そ…そんな理由で……」

千歌「あっ…」

千歌「ち…違うんだよ!!梨子ちゃん!!」

千歌「その…えっと……三年生の人に梨子ちゃんをバカにされて……それで…つい……」

梨子「…!」

凛「?」

凛(そんな事言われたかな…?)

千歌(嘘だけど……)

梨子「そう……そうだったのね……ありがとう千歌ちゃん……でも、理由がなんであれ、暴力は暴力だよ」

千歌「…!」

凛(千歌先輩も、同じこと言ってたにゃ……)

千歌「はい……反省します……」

梨子「もうやっちゃダメだからね?」

千歌「はい……」

花陽「そ…それで、その……どうするんですか!?この後……」

凛「う~ん…………全面戦争…?」

千歌「凛ちゃん喧嘩辞めるんじゃなかったの!?」

凛「ムカついたから殴るような人に言われたくないにゃー!!」

梨子「はいはい……とにかく喧嘩はダメだからね……?」

千歌「わ…分かってるよ……私、喧嘩とか怖くてできないし……?」

凛「なんにゃ…それ……」

花陽「じゃあ、やっぱり謝って許してもらうしか……」

梨子「そうね……ちゃんと心を込めて謝れば、きっと分かってくれるでしょう……」

千歌「………」

凛「………」

千歌(絶対無理だ……)

凛(かよちんも梨子先輩も、不良という人種を分かってないにゃ……)

梨子「停学中の三年生は、一週間後の停学明けに謝るとして……絵里先輩は……」

花陽「今は保健室で寝てるみたいですから、明日でいいんじゃないですかね…?」

梨子「そうね!そうしましょう!」

千歌「………」

梨子「千歌ちゃんもそれでいい?」

千歌「……あぁ…うん…」

千歌(無理だろうけど……)

梨子「よし!じゃあ、授業に戻りましょう!今なら、まだ始まったばかりよ!」

凛「じゃあ、凛はここにいるんで、梨子先輩だけ行ってきてください」

梨子「…!?」

千歌「ダメでしょ!凛ちゃん!!授業はちゃんと出なきゃ!!」

凛「どの口が言うにゃ……」

梨子「さすが千歌ちゃん!凛ちゃんみたいな悪い子とは違うわね!えらい!!」

千歌「えへへ…///」

凛(一番悪い人なんだけどなぁ……)

花陽「花陽も授業に戻りますね、凛ちゃんも元気になったら来てね」

凛「えー!かよちんも行っちゃうの!?じゃあ、凛も行くにゃ」

千歌「おー!凛ちゃん偉い!」

凛「別に寝る場所が変わるだけにゃ」

凛「さっ、教室に行くにゃ、かよちん」

花陽「うん…!それじゃあ、梨子先輩!千歌先輩!失礼します…!」

梨子「うん、じゃあね~」

千歌「さて、じゃあ、私達も帰りますか……」

梨子「そうね、行きましょう」



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次の日 朝-


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二年生教室-


ザワザワ…


??「……」ドキドキドキ…

梨子「また転校生か~、どんな子だろうね?千歌ちゃん」

千歌「あ…あぁ……」

梨子「ん?千歌ちゃん…?」

先生「はーい、みんな静かにー!渡辺さんが挨拶できないでしょー」

千歌「う…嘘でしょ……?」

先生「じゃあ、渡辺さん、簡単に自己紹介だけして貰っていいかしら?」

曜「はい…!」ドキドキドキ…

曜「静岡の浦の星女学院っていう所から来ました!渡辺曜です!趣味は空手!!特技は空手です!!みなさん、よろしくお願いします!」

生徒 パチパチパチパチ…!

梨子「へ~、千歌ちゃんと同じ静岡じゃない、もしかして…知り合いだったりして…」

千歌「よ…よよ……」

梨子「って、そんな偶然あるわけないわよね~」

曜「………」キョロキョロ…

曜「あっ…!」

千歌「よ…曜ちゃん…!!!」ガタッ!!

曜「千歌ちゃん…!!!」

梨子「………」

梨子「はい…?」

千歌「曜ちゃん!曜ちゃん!!曜ちゃん!!!久しぶりだね!!え!?ていうか、なんでこっちに!?いつから!?なんで言ってくれないの!?どういう事!?曜ちゃん!!!」

曜「あ…あはは……そんないっぺんに言われても……」

梨子「え……?し…知り合い……なの……??」

千歌「し…知り合いっていうか……」

曜「千歌ちゃんの右腕です!ヨーソロー!」ビシッ!

梨子「み…右腕ぇ……!?」

千歌「あはは……」

梨子「ど…どういう事……?」




ちょっと話しかけただけで殴られたチカ

面白い
最後まで書いてくれ

穂乃果ちゃんが音ノ木坂のテッペン取るやつの外伝とかかと思ったら違った?
でもこっちもかなり面白くて期待

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昼休み 屋上-


千歌「…」モグモグ…

曜「……」ドキドキドキ…

千歌「…」ゴックン…

曜「ど…どう……?」

千歌「………」

千歌「曜ちゃん……」

曜「……」ゴクリッ…

千歌「やっぱり、曜ちゃんの手料理は最高に美味しいよ!!!120点!!!」

曜「やったっ~!!!5日ぶりに千歌ちゃんに褒められた~!!嬉しい!!!」

梨子「なんで、そんな細かく覚えてるのよ……」

曜「それは、千歌ちゃんの右腕ですから!」

千歌「それにしても、私を追って東京に引っ越してくるなんて、さすが曜ちゃんだね!」

曜「えへへ…千歌ちゃん、すごく落ち込んでたから……私が側にいてあげたくて……」

梨子「…?前の学校で何かあったの?」

曜「え…?」

千歌「よ…曜ちゃん…!ちょっと…」

曜「なに…?」

梨子「?」

千歌「ごめん、梨子ちゃん、ちょっとここで待ってて…?」

梨子「え…えぇ……分かったわ…」

千歌「行こ、曜ちゃん」

曜「う…うん……」


ガチャ…バタンッ……


梨子「………」ポツーン…


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校舎内-


曜「えぇ…!?まだ話してなかったの!?」

千歌「まだっていうか……多分これからも話さない……」

曜「そ…そっか……たしかに、それがいいのかもね……」

千歌「うん……だから、梨子ちゃんには内緒にして欲しくて……」

曜「分かったよ!それにしても、あんなに真面目そうで、可愛い子と友達になってるなんて、不良辞めるってのは上手くいってるんだね!さすが千歌ちゃん!!」

千歌「あっ…あはは……それは…」

凛「あっ!千歌先輩だにゃ!」

花陽「こ…こんにちは…!」

千歌「あっ…」

曜「ん…?」


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屋上-


曜「えぇ…!?この学校の番長を三年生全員が見てる前で殴ったぁ!?」

千歌「は…はい……」

凛「いや、その前に誰にゃ!!こいつ!!!」

曜「こいつって……」

梨子「渡辺曜ちゃんよ、今日ウチのクラスに転校してきたの……先輩なんだから、こいつなんて言っちゃダメよ?」

凛「ふんっ、凛は自分の尊敬する人にしか敬語は使わないにゃ」

千歌「え!?じゃあ、私は!?」

凛「尊敬してないにゃ」

千歌「…!?」

曜「凛ちゃん…だっけ……?それは聞き捨てならないなぁ……」

凛「いや、なんで曜先輩が怒るにゃ……」

曜「私が千歌ちゃんの右腕だからだよ」

花陽「ち…千歌先輩の右腕…!?」

花陽「って事は……まさか……あの…」

曜「あれ?もしかして、私の名前、東京まで届いてる?」

花陽「は…はい……さ…最強のNo.2…渡辺曜さんですよね…?」

曜「そう!いやぁ~!私も有名になったねぇ~!」

梨子「最強のNo.2?」

千歌「な…なんでもないよ~…気にしないで…?」アセアセ…

梨子「?」

凛「じゃあ、強いのかにゃ?」

曜「もちろん!千歌ちゃんには及ばないけどね」

千歌「ちょ…ちょっと…!!」

梨子「強い…?なにが…?」

千歌「あっ…そ…それは…

花陽「り…梨子先輩…!!ちょっと来てください…!」

梨子「えぇ…?なんで?どうしたの?花陽ちゃん……」

千歌「…!」

千歌(ナイス!!花陽ちゃん!!ありがとう…!!)

花陽「いいから、早くこちらに…!」

梨子「え…?ちょ…ちょっと…!?」


ガチャ…バタンッ……

千歌「ふぅ……これで一安心……」

凛「強いって言っても、学校のトップになれない時点で、たかが知れてるにゃ」

曜「トップは千歌ちゃんだからね、私は千歌ちゃんを支えるのが一番あってる」

千歌「ちょ…凛ちゃん……やめなよ…?曜ちゃん、空手やってて普通に強いからね?」

凛「空手…!?」

凛「ふっ、空手なんて喧嘩じゃ役に立たないにゃ」

曜「…」

千歌「いやいや……」

凛「顔を狙わない、狙われない空手なんて、喧嘩になれば…

曜 フッ!!


ピタッ!


凛「にゃ…!」

凛(が…顔面に……)

曜「………」

曜「…」ニヤッ…

曜「私がやってるのは、普通の空手とは違う…」

凛「え…?」

千歌「そーだよー?凛ちゃん。曜ちゃんがやってるのは、顔面も目つきもある、なんでもありの超実戦空手なんだから」

凛「ちょ…超実戦空手…?」

曜「まあ、そんな事教えてる道場なんて浦の星にしかないけどね」

凛「で…でも…!だからと言って凛より強いとは…!」

千歌「無理だよ、凛ちゃんじゃ」

凛「…!」

凛「ぐっ……」

凛「………」

千歌(………)

千歌(ちょっと、キツく言いすぎたかな…?)

千歌(まあ、凛ちゃん、ヤンキー辞めるって言ってたし……別に大丈夫かな…?)

花陽「し…失礼します……」ガチャ…

梨子「はぁ…はぁ……」

千歌「あ!花陽ちゃん!梨子ちゃん!おかえり!なにしてたの?」

花陽「え…えっと……」

梨子「走ってたわ……」

千歌「えぇ…!?なんで!?」

花陽「あ…あはは……えっと…体力作りをしようと思って……」

千歌「あ…そ…そう……」

千歌(何も思いつかなかったんだね……花陽ちゃん……)

凛「………」

花陽「?」

花陽(凛ちゃん……?)

梨子「それで…?そっちは、何話してたの?」

千歌「え…!?あ…え…えっと……」

凛「絵里先輩に謝る方法を考えてたにゃ」

千歌「…!」

千歌「そ…そう…!それそれ…!」

梨子「そう…それで、どうなったの?」

千歌「あー……えっと…心を込めて…謝る……てきな…」

梨子「普通じゃないの…」

花陽「でも、それしかないですよね…」

曜「え…?もしかして、謝って許して貰うつもりなの……??」

千歌「う…うん……」

曜「無理なんじゃ……」

千歌「あ…あはは……」

千歌(そんな事分かってるよ!!)

梨子「大丈夫よ!きっと心は通じるわ!!」

曜「う…う~ん……不良って、そういう人種じゃないような……」

梨子「そ…そうなの……?」

曜「うん……不良ってのは、なによりも自分のプライドのために生きてるって感じで……」

凛「………」

曜「その番長さんって、全員の前で倒されたんじょ?だったら、プライドはズタズタにされてるはず……」

梨子「え……そ…それって……」

曜「うん……聞く耳を持たないだろうし……会えば、殴りかかってくるまであると思う……」

梨子「そ…そんな……」

千歌「あはは……まずいね……」

梨子「まずいじゃないわよ!!千歌ちゃん、殴られちゃうかもしれないのよ!?」

曜「いや、まだそうと決まったわけじゃないよ?」

梨子「え…?」

曜「その番長さんが、どういうタイプの番長かに寄るけど……まだ希望はある……」

梨子「タイプ…?」

曜「うん……番長ってのはさ、たとえ不良であっても、大勢の上に立つ以上、何か人を惹きつける魅力がないと務まらないものなんだよ」

千歌(ふふっ…それは確かに……)

曜「それで、大事になってくるのが、まずはもちろん「強さ」」

曜「これは、不良のトップである以上、絶対必要……」

梨子「まあ…そうよね……」

曜「ここからはタイプが分かれる。一つは仲間に制裁を加えたりして恐怖政治をひくタイプ」

梨子「きょ…恐怖政治……」

花陽「たしかに……そういうタイプの番長は多いですよね……」

千歌(私は、違うよね……?)

曜「二つ目は、強さと人望で引っ張っていくタイプ」

千歌「…!」

千歌(私、たぶん、これだ…!)

千歌(いや、これであって欲しい…!!)

梨子「そっちは、良い人そうね……」

曜「他にも、頭が良かったり、リーダーシップがあったり、ほっとけないタイプだったり、いろんなタイプの番長がいる」

梨子「なるほど……じゃあ、絵里先輩が、その…良い方の番長だったら可能性はあるって事ね?」

曜「うん……できれば、人望があって頭がいいようなタイプだと良いんだけど……」

千歌「そこんとこ、どうなの?花陽ちゃん」

花陽「う…う~ん……絵里先輩は、あまり口を開かないタイプなので、詳しい性格までは分からないんですが……」

花陽「「氷の女王」……そう呼ばれています……」

梨子「こ…」

千歌「こおりの…」

曜「女王…」

梨子「絶対、恐怖政治のタイプじゃない……」

花陽「そ…そうですね……」

花陽「即殴られてしまうかもしれません……」

千歌「えぇ……そんな……」

梨子「だ…大丈夫よ…!!だって、ほら!千歌ちゃんのパンチ一発で倒れちゃったんでしょ?それって、あんまり強くないんじゃない!?」

千歌「…!」

曜(いやいや……その人のパンチ、普通じゃないから……)

梨子「殴られても軽傷で済むかも…!!」

千歌「そ…そうだね…!!私みたいな普通の女の子のパンチ一発で倒れるぐらいだもんね…!!あはは…!!」

凛「………」

凛「…」チラッ…

凛「あ……」

凛「絵里先輩が歩いてるにゃ」

千歌「え!?どこどこ!?」

凛「下の木のところ」

千歌「……」キョロキョロ…

千歌「あっ…!」

千歌「は…鼻の所に包帯巻いてる……」

曜「折れたのかな……」

千歌「そんな…!」

花陽「これは怒ってそうですね……」

梨子「報復に千歌ちゃんも鼻を折られるかも……」

千歌「ちょ…ちょっと!?なんで、そんな怖い事言うの!?」

凛「謝るなら今がいいんじゃないかにゃ?」

千歌「え…えぇ……今…?」

凛「だって、三年生のフロアだと、周りがうるさいし……」

千歌「あ…あぁ……そっか…」

花陽「行くんですか!?」

千歌「う…うん……行くしかないよね……」

梨子「頑張ってね!千歌ちゃん!きっと分かり合えるわ!」

千歌「だといいね……」

千歌「じゃあ、行ってくる……」トボトボ…

曜「あっ!私もついてくよ!」タッ!

梨子「えぇ…!?なんで曜ちゃんも!?」

曜「右腕だから♪」

梨子「は…はぁ……」

花陽「行っちゃいましたね……」

梨子「無事に帰ってきてくれるといいけど…」

凛「………」

花陽「………」

花陽(ど…どうしたんだろ……凛ちゃん……)

花陽(私達がいない間に何が……)

凛「………」

花陽「り…凛ちゃん…!」

凛「なに?かよちん」

花陽「元気……ないみたいだけど……何かあったの…?」

凛「………」

凛「なんでもないよ…」

花陽「…!」

花陽「で…でも…!」

凛「大丈夫……凛の問題だから……」

花陽「……」

凛「………」

凛「じゃあ、凛、先に教室戻るね」クルッ…

花陽「あっ、凛ちゃん…!」


ガチャ…バタンッ……


花陽「凛ちゃん……」

梨子「………」

梨子「凛ちゃん、どうかしたの?」

花陽「わ…分かりません……」

花陽「私達と、凛ちゃん達とは、人種が違うので……」

梨子「?」

花陽「でも、私は分かってあげたいです……凛ちゃんのために……」

梨子「そ…そう……」

梨子(人種が違うって……どういう事かしら……)



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校庭-


絵里「………」

絵里(………)

絵里(歩くと鼻が痛いわね……)

絵里(こう…なるべく振動が伝わらない歩き方を……)カチコチ…

千歌「え…絵里先輩…!!」

絵里「え…?」クルッ…

絵里「あら……あなた……」

曜(ん…?怒ってない……?)

千歌「え…」

絵里「どうしたの?何か用があるんじゃないの…?」

千歌「お…怒ってないんですか……?」

絵里「怒ってるわよ」

千歌「や…やっぱり……」

曜「し…仕返しはしないんですか!?」

絵里「するわよ、でも、わざわざ話しかけてきたって事は、何かあるんでしょう?それを聞いてから決めても遅くないはずよ?それに、私、動くと鼻痛いし」

曜「…!」

絵里「まあ、今すぐ喧嘩しようってんなら、買うけどね?」

曜(こ…この人……)

曜(こういうタイプか……)

絵里「で?なんなの?」

曜(まずいな……)

千歌「あっ、その……えっと…謝りたくて……」

絵里「謝る…?私に?」

千歌「はい……」

絵里「いきなり殴っておいて?」

千歌「そ…それは…その……事故というか……」

絵里「?」

千歌「う…うーん……実は私は、その…もう不良は卒業してて……えっと…」

絵里「? 話が見えないわよ?」

千歌「あ…えっと……話すと、ちょっと長くなりそうなんで……とりあえず、そこのベンチにでも……」

絵里「そうね、私も鼻痛いし」

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数分後-


絵里「なるほどね……」

千歌「分かってもらえたでしょうか……」

絵里「だいたいね………そう……暴力は暴力しか生まない…か……」

絵里「たしかに、あなたの言う通りなのかもしれない……」

千歌「は…はい……そ…それで…その…」

絵里「まだ、許すとは言ってないわよ?」

千歌「え……」

絵里「ひとつ聞きたいんだけど、あなたムカつくからって私の事殴ったじゃない?あれは、なぜ?」

曜「………」

千歌「え…そ…それは……ムカついたからで……」

絵里「なぜムカついたの…?」

千歌「え…なぜ……ムカついたか……」

千歌「………」

千歌「さ…三年生が私の事バカにしたから……」

曜「ちょ…ちょっと、千歌ちゃん…!」

千歌「あっ…!す…すみません…!!別に三年生に喧嘩を売ってるわけじゃ……」

絵里「ふふっ、いいのよ、分かってる。そう……自分をバカにされたから殴った……」

絵里「くだらないわね……」

千歌「うっ……おっしゃる通りです……」

絵里「そのくだらない事のために、自分の中の暴力を振らないっていうルールを破った……」

千歌「は…はい……」

絵里「あなた……バカね」

千歌「なっ…!」

絵里「でも、そういうバカは嫌いじゃないわ」スクッ…

千歌「え…?」

絵里「あなたは、さっき暴力は絶対悪のように言ったわね」

千歌「はい……」

絵里「私はそうは思わない……」

千歌「…!」

絵里「暴力は悪いからとか良いからとか……そういう事のためだけにあるものじゃない……」

絵里「もっと、くだらない……他人が聞いたら呆れちゃうような……そんな大切なものを守るために、暴力は必要だったりする……」

千歌「くだらない…大切な…もの……」

絵里「そう……あなたはどう…?」

絵里「あなたの大切なものはなに…?」

千歌「…!」

千歌「わ…わたしは……」

絵里「ふふっ、今、答えを出さなくてもいいわよ?じっくり考えなさい」

絵里「それじゃあ、私は行くわね、また会いましょう、高海千歌さん、渡辺曜さん」

千歌「え!?行っちゃうんですか!?」

曜「そ…その……!これは、許してもらえたって事でいいんですか?」

絵里「ふふっ…最初からあなた達とモメる気はないわ、今は学校内でモメてる場合じゃないしね……」

曜「え……」

千歌「あ…ありがとうございます…!!!」ペコリッ!

絵里「いいのよ、これからよろしくね」

千歌「はい…!!」

曜「………」

千歌「曜ちゃん!!絵里先輩、すごいいい人だったね!!私、感激しちゃったよ!!」

曜「そ…そうだね……すごく…いい人だった……」

曜(自分を殴った相手を、戒めるんじゃなく、手懐けた……)

曜(すごいカリスマ性のある人だ……)

曜(本当にまずいな……)

曜(こういう人がやられると……下の人達は……)

千歌「曜ちゃん?」

曜「え…?」

千歌「どうかした?考え事?」

曜「い…いや…!なんでもないよ…!」

千歌「そ…そう…?ならいいけど……」

曜(千歌ちゃんは私が守らないと……)



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いきなりダウンでポンコツ感あったけどKKEやったか…

これはやばいかも…

まあえりち信者の復讐はヤバイやろな


二年生教室-


千歌「ただいまー!」ガララ…

梨子「あ!千歌ちゃん!!大丈夫だった!?何もされなかった!?」

千歌「うん!絵里先輩、すごいいい人でね!怒ってもいなかったよ!」

梨子「そうなの…!?良かったわね!」

曜「………」

梨子「?」

梨子「どうしたの?曜ちゃん、浮かない顔して…」

曜「え…!?あ……な…なんでもないよ…!」

梨子「そう…?なんか、さっき凛ちゃんも浮かない顔してたから気になって……」

千歌「…!」

曜「え…?凛ちゃん?ってあの、一年生の?」

梨子「そうそう、花陽ちゃんも心配してて……」

千歌「そっか…凛ちゃんが……」

千歌「………」

梨子「千歌ちゃん…?」

千歌「ごめん…!私、5限サボる!!先生には適当に言っておいて!!」

梨子「えぇ…!?またサボるの!?」

曜「どうしたの?私も行こうか?」

千歌「大丈夫!!私だけでなんとかするから!それじゃあ!!」ガララ…!

梨子「え…ちょ…ちょっと…!?」

梨子「行っちゃった……」

曜「まあ、6限には戻ってくるよ」

梨子「え……」

梨子「………」

曜「ん?どしたの?梨子ちゃん」

梨子「そ…その……曜ちゃん達の学校では、授業サボるのって普通だったの…??」

曜「えっ…」

曜「ん~……」

曜(普通じゃないけど……そう言ったら、千歌ちゃんが素行が悪いみたいになるし……)

曜「まあ…普通だったかな……?」

梨子「そ…そうなの……」

梨子「すごい学校ね……先生が可哀想……」

曜「あはは…たしかに……」



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屋上-


凛「………」

凛「はぁ……」

凛「………」


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千歌「…」サッ!

凛「…!」

凛「にゃ…」

凛(す…寸止め……)

千歌「はい…終わり……今のを振り抜いてたら凛ちゃん立てないよ?」

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曜 フッ!!


ピタッ!


凛「にゃ…!」

凛(が…顔面に……)

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凛(………)

凛(強い……)

凛(凛よりも……)

凛(それも二人とも……)

凛(………)

凛(絵里先輩が卒業したら、凛が一番だと思ってたのに……)

凛(いや…いつか絵里先輩も倒すつもりだった……)

凛(………)

凛(って…)

凛(なに考えてるにゃ……凛は…)

凛(凛はかよちんを守るために喧嘩してただけ……)

凛(かよちんを守れるなら、喧嘩じゃなくてもいい……)

凛(もう喧嘩はしない……自分が、どれだけ強いかなんて関係ない……)

凛(喧嘩で一番になりたいなんて思わない……)

凛(………)

凛(そのはず……なんだ……)

凛(………)

千歌「あ!やっぱりここに居た…!」

凛「…!?」

凛「ち…千歌先輩……授業は…」

千歌「それは凛ちゃんもでしょ?いいの?花陽ちゃんが心配するよ?」

凛「………」

千歌「はぁ……だんまりか……」

凛「………」

凛「なんで来たにゃ……」

千歌「ん?ちょっと、私も悩んでてね……」

凛「悩み…?なんにゃ……?」

千歌「………」

千歌「本当に不良でいる事は悪い事なのか……」

凛「…!」

千歌「さっき、絵里先輩と話した時にね、絵里先輩がこう言ったの…」

千歌「暴力は、くだらなくて他人が聞いたら呆れちゃうような、そんな大切なものを守るためにあるんだって……」

凛「くだらなくて……大切な…もの……」

千歌「うん……」

千歌「なんの事か分かる…?」

凛「う…うん……たぶん……」

千歌「だよね……だから、私達って不良やってるんだと思う……」

凛「でも、凛はもう辞めたにゃ」

千歌「ふふっ……」

千歌「本当に辞めれるの…?」

凛「なっ…!」

凛「や…やめれるにゃ…!!だいたい、凛はかよちんのために喧嘩してただけで、本当は喧嘩なんて…」

千歌「私と曜ちゃんに、凛ちゃんのそのくだらないプライドをへし折られても…?」

凛「…!」

千歌「折られたんでしょ?だから拗ねてる……」

凛「ち…違っ…」

千歌「思うにさ、私達は不器用なんだよ……」

凛「…な…なにを言ってるにゃ……」

千歌「普通の人なら、妥協するような所で妥協できないし……本当は大した存在でもないのに、それを認めたくない……」

凛「………」

千歌「だから、自分の力を認めてもらおうとする……誰より強いとか、誰より弱いとか……そういうくだらない事をすごく気にする……」

凛「り…凛は……」

千歌「悔しいんでしょ?自分が弱い事が……」

凛「…!」

凛「よ…弱くないにゃ!!凛は誰にも負けない…!!凛がこの学校の一番になるんだにゃ…!!」

千歌「!」

凛「あっ…」

千歌「ふふっ…やっと本音を言ってくれたね!」ニカッ!

凛「ち…違うにゃ…!!今のは忘れるにゃ…!!」

凛「ていうか、千歌先輩も喧嘩やめるんじゃなかったのかにゃ!?凛にそんな事言って、どういうつもりにゃ!!」

千歌「あはは…だよね……」

千歌「私もよく分かんないや……」

凛「な…なんにゃそれ……」

千歌「ん~…なんだろ……なんていうか……」

千歌「私は、浦の星の時の事で、一度は本当に暴力を辞めるべきだと思った……でも、絵里先輩に言われた事はすごく分かる……」

千歌「私はやっぱり舐められるのは嫌だし、でも、梨子ちゃんと普通の女子高生みたいな生活をするのも好き……」

千歌「私には、守りたい大切なものが多すぎて、何をすればいいのか分からない……」

千歌「だから、探すの……」

凛「探す……?」

千歌「うん……答えを……」

凛「答え……」

千歌「凛ちゃんも見つかってないんでしょ?自分の大切なもの……」

凛「そ…それは……」

千歌「だから、一緒に探そう?私達の本当に大切なもの……」

凛「…!」

凛「千歌先輩……」

千歌「へへっ、ちょっとクサ過ぎたかな…?」ニカッ!

凛「ほんとにゃ……クサ過ぎだにゃ……」

千歌「え…!?や…やっぱり…?」

凛「クサ過ぎて、ほとんど何も聞いてなかったにゃ……」

千歌「えぇー!?けっこう頑張って喋ったのにー!!」

凛「なんか最後の方で大切なものが、どうとか言ってたのは聞こえたけど、そんなの悩むまでもないにゃ」

千歌「え…!?そ…そうなの…!?」

凛「もちろんにゃ…!凛にとって一番大切なのは、かよちん!!それだけだにゃ!」

千歌「…!」

千歌「凛ちゃん……」

凛「それじゃあ、愛しのかよちんが心配してそうだから、凛は授業に戻るにゃ」

千歌「うん…!それでこそ、凛ちゃんだよ!!」

千歌「じゃあ、一緒に教室戻ろっか!」

凛「あ、そ…それから……千歌先輩……」

千歌「ん?なに…?」

凛「えっと……あ…ありがとうございました…にゃ……///」

千歌「…!」

千歌「け…敬語……」

凛「…///」

千歌「凛ちゃん、遂に私の事を尊敬して…!」

凛「あー!もー!やっぱり辞めだにゃ!!凛の性に合わないにゃ!!!///」

千歌「えぇー!?そんなー!!!敬語にしてよ!!!」

凛「嫌だにゃ!!千歌先輩なんか尊敬できないにゃ!!」

千歌「いや、なんで!?さっき、一瞬敬語になったじゃん!!」

ワイワイ!ワイワイ!


物陰-


花陽「心配で来てみたけど……」ウルウル…

花陽「まさか、千歌先輩が来てくれてるなんて……」ウルウル…

花陽「うぅ…良かったね…!凛ちゃん…!」ウルウル…

ワイワイ!ワイワイ!

花陽「あっ…!こ…こっち来る…!」

花陽「私も教室戻らなきゃ…!」タタッ!




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--------------

放課後-


千歌「やっと学校終わったー!!もー!めちゃくちゃ疲れたー!!」

梨子「いや、千歌ちゃん、休み時間以外ほとんど寝てたじゃないの……」

千歌「なっ……そ…そんな事ないよ…!一応授業は聞いてたよ!伏せながら…!」

梨子「それじゃダメでしょ……」

曜「おーい!千歌ちゃん、梨子ちゃん、一緒に帰ろー!」タッタッ!

千歌「あ、曜ちゃん!そうだね!帰ろっか!」

梨子「曜ちゃん家、どこなの?方向一緒かしら」

曜「あ、それは問題無いよ!」

千歌「そうなの?」

曜「だって、私、千歌ちゃん家の隣だから…!」キランッ!

千歌「…!?」

梨子「…!?」

千歌、梨子「えええええええええええ!!??」

曜「お…おぉ……思ったより、いいリアクションするね……」

梨子「い…いや……だって……」

千歌「梨子ちゃんも私の家の隣だから……」

曜「え……?」

曜「ええええええええええええええ!!??」


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駐輪場-


曜「それにしても…すごい偶然だね……私のは偶然じゃないけど……」

梨子「そうね……びっくりだわ…」

千歌「でも、楽しいね!!三人でお隣同士だなんて!」

梨子「そうね、ベランダ出れば会話もできるしね」

千歌「おー!それ楽しそう!!今日の夜やろうよ……って…」

曜「よっと…」ガチャン…

千歌「曜ちゃん…!?」

曜「ん?なに?」

千歌「そ…それ……」

梨子「バ…バイク…!?バイクで学校来たの…!?」

曜「いや、バイクじゃなくてスクーター…」

梨子「いやいや!そういう問題じゃないわよ!!そんなので学校来るなんて、先生が…

千歌「ず…ずるいよ、曜ちゃん!!!」

梨子「え……」

曜「え…?千歌ちゃん、スクーターじゃないの?」

千歌「静岡に置いて来ちゃったよー!!!私も持ってくれば良かったーー!!」

曜「え!?そうなの!?もったいない!千歌ちゃんのすごい良いやつなのに…!」

梨子「いやいや……だから、その前に、学校にスクーターで来ちゃダメだからね…?」

千歌「って…あれ……?曜ちゃんの以外にも原付あるじゃん」

曜「ホンダのジョルノだね、誰のだろ……?」

千歌「綺麗な水色……大事にしてそうだね」

絵里「私のよ」ザッ…

千歌「…!」

千歌「絵里先輩…!!」

絵里「ふふっ…また会ったわね、そちらは、話に出てきた桜内さん…?」

梨子「え…!?は…はい…!桜内梨子です…!」

絵里「そう…私は絢瀬絵里よ、よろしくね」

梨子「ちょっと!千歌ちゃん、私の事話したの…!?」コソコソ…

千歌「あ……う…うん…話の流れでね……?」

曜「絵里先輩、ジョルノなんてオシャレですね!」

絵里「ふふっ、ありがと。祖母から貰った大切なものなの…」

曜「へぇ~…おばあさんから……いいおばあさんですね…」

絵里「えぇ……私にとって、すごく大事な人だわ。そんな人から貰ったものだからね……当然、大事に扱うわ」

絵里「渡辺さんのは……リトルカブかしら?素敵ね」

曜「えへへ…///名前を「千歌ちゃん号」といいます」

絵里「ん…?」

梨子「え……?なんて…?」

曜「いや、だから「千歌ちゃん号」と」

千歌「あはは……やっぱり、まだその名前なんだ……」

梨子「曜ちゃん……あなた……」

曜「?」

絵里「い…いい名前ね……」

曜「そうですよね!あと、カッティングも入れてあるんですよ!!見てください!」

絵里「え…?どこ…?」

曜「ここです!」


千歌ちゃん 命


曜「えへへ……///」

絵里「こ…これは……」

梨子「曜ちゃん……」

千歌「あはは……」

絵里「い…いいカッティングね……」

曜「ありがとうございます!!」

梨子(絵里先輩……優しいんですね……) ホロリ…

絵里「でも、カッティングは本当にいいわよね、私のダイヤモンドプリンセス号にも入れようかしら……」

梨子「は…?」

曜「え…?今、なんて…?」

絵里「いや…だから、私のダイヤモンドプリンセス号にもカッティングを入れようかと……」

千歌「ダ…ダイヤモンドプリンセス号……」

絵里「ふふっ、驚いた?いい名前でしょ?」

曜「そ…そうですね……はは…」

梨子(いや…ダイヤモンドプリンセス号て……)

梨子(私…絵里先輩が分からなくなりそうだわ……)

絵里「じゃあ、私は失礼するわね、これから病院なの」

千歌「あ…もしかして……鼻…」

絵里「いいのよ、気にしないで?あれは事故だったんでしょ?」

千歌「…!」

絵里「それじゃあ、また明日ね!」ブウゥゥゥンッ…!!

千歌「お…おぉ……」

梨子「たしかに、千歌ちゃんの言う通りいい人ね……絵里先輩…」

千歌「でしょ!私、あんなできた人、見た事ないよ!」

千歌「ああいう人が番長だったら、ついていきたくもなるよね~!」

梨子「いやいや……ダメよ?不良なんかになっちゃ」

千歌「あはは、分かってるよ~!さっ、私達も帰ろ?」

梨子「そうね、曜ちゃんはどうする?一緒に歩く?」

曜「ん~……そうしたいけど…今日はちょっと寄るところあるから…」

梨子「そうなの…?残念……」

千歌「どうかしたの?」

曜「あっ、気にしないで?全然大した事じゃないから…」

曜「それじゃあね!また明日!」ブウゥゥゥンッ…!!

千歌「あ…行っちゃった……」

梨子「何の用だったのかしらね……」

千歌「ん~…分かんない…!まあ、曜ちゃんが気にしないでって言った事だし、気にしてもしょうがないよ!帰ろ!」

梨子「そうね、帰りましょうか」







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番長なのにえらい可愛いのに乗ってんな

ジョルノ…ぴったりだな

鼻折られたのに寛大すぎるわw
舎弟にガチ恋勢いっぱいいそう


秋葉原 路地-


花陽「千歌先輩、絵里先輩に許してもらえたんだって!良かったね!」トコトコ

凛「ふんっ、千歌先輩なんか一発殴られれば良かったんだにゃ」トコトコ

花陽「ふふっ…素直じゃないね~凛ちゃん」トコトコ

凛「にゃ…!?/// な…なに言ってるにゃ!かよちん!!これが本心にゃ!!」トコトコ

花陽「はいはい…分かったよ~」トコトコ

凛「なっ…!し…信じてないにゃー!!」

ヤンキー「おおおおお!!!」

凛「え……?」

花陽「…!」

凛「あ…あれ?…あの人達って……」

花陽「うん……停学中の三年生……」

凛「だよね………なんでこんな所に……」

ヤンキー「行くぞ!!お前ら!!!」

ヤンキー「おおおおお!!!!」

凛「行く…?どこに……」

花陽「あっ…!」

花陽「まさか……」

ヤンキー「絵里さんを傷つけた高海を許すな!!」

ヤンキー「おおおお!!!」

凛「…!」

花陽「やっぱり……!」

凛「そ…そんな…!!千歌先輩が…!!」

花陽「千歌先輩に知らせなきゃ…!!」

凛「そ…そうだね…!!それで逃げてもらえば…」

花陽「えー…っと……千歌先輩のLINEは…」

花陽「あっ!私、千歌先輩のLINE貰ってない!」

凛「えぇ!?じゃ…じゃあ、凛が…」

ヤンキー「ん?」

ヤンキー「なんだ?お前ら……ウチの制服着てるな……」

凛、花陽「…!」

凛「や…やば……」

花陽(見つかった…!)

ヤンキー「あれ…?お前……どこかで……」

凛「うっ…」

花陽(ま…まずい……凛ちゃんは顔を見られてる……)

ヤンキー「どうしたー?なにかあったのか?」

ヤンキー「なんだ?なんだ?」

花陽(集まってきちゃった……)

花陽「り…凛ちゃん……」

凛「かよちん……」

花陽、凛「………」コクリッ…

花陽、凛 ダッ!!

ヤンキー「あっ!ちょ…おい!」

凛「全力で逃げるにゃ!!かよちん!!!」タタタッー!

花陽「うん…!!」タタタッー!

ヤンキー「おい…」ガシッ!

凛「にゃ…!」グイッ!

花陽「わっ…!」グイッ!

ヤンキー「私は忘れてねぇぞ……お前…高海と一緒にいた奴だな……」

凛「なっ…」

凛(うっ…この人……力強い…!片手で……!)

花陽「は…はなして……」

ヤンキー「離すわけねえだろ…!!」グイッ!

花陽「う……いたっ…」

凛「…!」

凛「か…かよちん…!!」

ヤンキー「ん?なんだ?仲間がやられて辛いか?」

凛「…お…お前……!許さないにゃ……!」ギロッ…

ヤンキー「あー?なんだ、その反抗的な目…

凛 グルンッ…!

ヤンキー「…!?」

凛「にゃ!」ブゥンッ!!


メキョッ!!!


ヤンキー「あ…あがっ……」

ヤンキー「な…なんだこいつ…!」

ヤンキー「か…回転して肘入れやがった…!!」

ヤンキー「っ…い…いってぇ……」

花陽「凛ちゃん…!」

凛「下がってて……かよちん……」

花陽「…!」

凛「それから、ごめん……凛…やっぱり喧嘩辞めれないにゃ……」

花陽「凛ちゃん……」

凛「かよちんが傷つけられたのに、黙ってたら……」

凛「凛は凛じゃなくなっちゃうから…!」ニッ…!

花陽「凛ちゃん……!」

ヤンキー「なに訳の分からない事言ってやがんだ、テメェは!!」

ヤンキー「この人数相手に喧嘩売っといて、無事で済むと思うなよ!?」

凛「………」

ヤンキー「おいコラ!!なんとか言え!!コラ!!」

凛「はぁ…」

凛「……御託はいいから、かかってくるにゃ」チョイチョイ

ヤンキー「…!」ブチッ…!!

ヤンキー「くたばれや、オラアアアア!!!」ドドドドドッ!!!

凛 サッ…!!

ヤンキー「…!?」

ヤンキー「ど…どこに…


バキッ!!!


ヤンキー「う…うぐぁ……っ」

ヤンキー「…!?」

ヤンキー「なんだ…!?」

凛「全員…遅すぎにゃ…!」

ヤンキー「…!」


ドカッ!!バキッ!!ガツッ!!!


ヤンキー「ぐあっ…!」

ヤンキー「あぅっ…」

ヤンキー「あぐはっ…!」

ヤンキー「お…おい…!!お前ら…!!」

花陽「す…すごい…!!凛ちゃん、この人数相手に負けてない…!!」

ヤンキー「だ…誰かこいつを止めろ!!!」

凛「無理だよ…!」


ドカッ!!!


ヤンキー「あ…あがっ…!」

ヤンキー「やろうっ!!」ガシッ!!

凛「あっ…!」

ヤンキー「へへっ…捕まえてやったぜ……」

凛「うっ…」

花陽「そんな…!!凛ちゃん…!!!」

ヤンキー「よっしゃあ……離すなよ……?」

凛「ぐっ…ぐうっ…!」ジタバタ…!!

ヤンキー「おうおう…そんな弱い力じゃ、ふり払えねえぞ…?」

凛「くっ…」

凛(凛に、もっとパワーがあれば……!)

ヤンキー「おっしゃあ!くたばれ!!」ガバッ!!

凛「うっ…」ギュッ…!


ブウゥゥゥゥゥンッッッ!!!!


ヤンキー「わっ…!な…なんだこいつ…!」

ヤンキー「危ね…!」

ヤンキー「…?なんだ……?」

凛「え…?」

花陽「あ…あれは……」


ブウゥゥゥゥゥンッッッ!!!!


凛「え…?ちょ……こ…こっち来るにゃ……」

ヤンキー「え…ええ……?え…!?」

ブウゥゥゥゥゥンッッッ!!!!

ヤンキー「え!?」

曜「…」ニヤリッ…

曜「とおっ!」バッ!!

ヤンキー「飛んだ…!?」

曜 フワリ…

ヤンキー「あっ…!」

ヤンキー(ガード…!) バッ!

曜「遅い!!」


曜「てやぁっ!!!!」メキィッ!!!!


ヤンキー「ぶっ…」

凛「…!?」

花陽「と…飛び蹴り……!!!」

ヤンキー「あがっ…」ドサッ…

曜「よっと…」シュタッ…!

凛「あ…ああ……あなたは……」

曜「遅れてゴメンね!凛ちゃん!」

凛「よ…曜先輩…!!!」

花陽「なんでここに!?」

曜「停学中の三年生が暴れてる頃だと思ってね…」

花陽「え!?な…なんで分かったんですか!?」

曜「絵里先輩に会って確信したよ……ああいう番長がやられるとね……下の人達は…」

ヤンキー「…!」

曜「復讐……するんでしょ?千歌ちゃんに…」

ヤンキー「なっ…!」

ヤンキー「テ…テメェに、何が分かるってんだ!!!ウチ達の絵里さんをやられた私達の気持ちが!!」

曜「う~ん……分かんないや」

曜「私のボスは、やられた事ないから♪」

ヤンキー「テ…テメェ…!!殺す!!!」

曜「上等…!!かかってきなよ!!」

ヤンキー「な…なんだ、あいつ……」

凛「…!」

凛(油断してる…!)

凛(いける…!) グルンッ…!

ヤンキー「え…?」


凛「離すにゃ!!」バキッ!!!


ヤンキー「がっ…!」

凛 スルリッ!!

凛「よしっ…!」

曜「おー!すごい回転肘打ち…!もしかして……凛ちゃん喧嘩強い…?」

凛「当たり前にゃ…!!凛はいつか、アキバの一番になるんだにゃ…!!!」

凛「こんな所で…こんな奴らに負けてるわけにはいかないんだにゃ…!!!」

花陽「凛ちゃん…!」

曜「いいね!!それ!最高にかっこいいよ!!」

ヤンキー「仲良く喋ってんじゃねえぞ!!コラアアアア!!!」ドドドドドッ!!!

凛「来たにゃ…!」

曜「うん…!行くよ!凛ちゃん!!」

凛「言われなくても……」サッ…

ヤンキー「…!」

凛「勝手に行くにゃ!!!」ガツンッ!!!

ヤンキー「ぶはっ…!」

花陽「アッパー!!綺麗に決まった!!」

曜「おー……速……」

ヤンキー「なに、呑気に観戦してんだ!テメェは!!」ガバッ!!!

曜「ん?来たか…」スッ…

花陽「…!」

花陽(あの構え…!)

ヤンキー「くたばれ…!」ブンッ!

曜「セイッ!!!」ドンッ!!!!

花陽(せ…正拳突き…!!)

ヤンキー「うぅ…」ドサッ…

花陽(なんて完成された突き……!これだけで、曜先輩がすごく強いのが分かる……!!)

凛(……一撃で……)

ヤンキー「よそ見してんじゃねえぞ!!」ガバッ!!!

凛「む…」

凛「にゃ!!」ドカッ!!!

ヤンキー「ぶはっ…!」

曜「てやぁっ!!」ガツンッ!!!

ヤンキー「あがっ…」

凛「おりゃあ!」バキッ!!!

曜「はっ…!!」ドカッ!!!

ヤンキー「ぐあっ…!」

ヤンキー「う…うぅ……」

ヤンキー「く…くそっ…!!なんなんだ!こいつら…!!!」

花陽「す…すごい……たった二人で……」

曜「ふふっ、なかなかやるね……凛ちゃん…」

凛「曜先輩こそ…!」

ヤンキー「め…めちゃくちゃ強えぇ…!!!」

ヤンキー「ひ…ひぃ…!!」ダッ!!

ヤンキー「あ…!おい!!逃げるな!!」

ヤンキー「わ…私も…!!」ダッ!!

ヤンキー「あんたが逃げるなら、私も…!」ダッ!!

ヤンキー「ちょ…ちょっと……!」

ヤンキー「に…逃げろーーっ!!」ダッ!!

ヤンキー「おい…!」

ヤンキー ダダダダダダッッ!!!!

ヤンキー「あっ……」

凛「に…逃げた……」

ヤンキー「くっ……」

曜「どうする?もうあんた一人だけだけど……やる?」

ヤンキー「…!」

ヤンキー「ちっ…!お…覚えてろよ!!お前ら!!後で絵里さんが黙ってないからな!!!」

曜「絵里先輩…?」

曜「それなら、今日話したよ」

ヤンキー「は…話した……??怒ってなかったのか……??」

曜「うん、なんか今は学校内でモメてる場合じゃはいって」

ヤンキー「なっ…」

ヤンキー「そ…そんな……!」

曜「で?どうすんの?あんたも逃げた方がいいんじゃない?」

ヤンキー「ちっ…!」

ヤンキー「な…なんとしても、お前らは潰すからな!!覚えてろ!!!」ダッ!!

曜「はいはい、じゃあね~」

凛「は…はは……勝った……」ストンッ…

花陽「凛ちゃん…!?大丈夫…!?」タッ!

凛「だ…大丈夫にゃ……ちょっと腰が抜けただけ……」

花陽「そ…そっか…良かった……」

凛「さすがに、これだけの人数相手にやるのは、初めてだったから……」

曜「そりゃあね…よく一人で立ち向かったよ…凛ちゃんは……」

凛「はは…かよちんが傷つけられたから……ついカッとなって……」

花陽「凛ちゃん……」

曜「そっか……大切な友達なんだね……」

曜「でも、あんな無謀な喧嘩は、もうしちゃダメだよ?私が来てなかったら、本当に危なかったんだから!」

凛「たしかに……凛、捕まっちゃったし……」

曜「あれだけの人数の中に入っていけばね……当然後ろを取られちゃうから」

凛「後ろを……」

曜「うん、喧嘩において後ろを取られるのは絶対やっちゃいけない事だから……もし、大人数とやらなきゃいけないんだとしても、狭い路地に逃げ込んで、一人一人倒していくのが定石だよ」

凛「な…なるほど……勉強になるにゃ……」

曜「あはは…こんなの喧嘩でしか役に立たないけどね……」

凛「いや…喧嘩で役に立てば十分にゃ…」

曜「………」

曜「あのさ……気になったんだけど、凛ちゃんって喧嘩辞めたんじゃなかったの?いいの?こんな事しちゃって……」

凛「そ…それは……」

花陽「………」

凛「わ…分からないにゃ……」

曜「そっか……」

凛「さっきはアキバで一番になるとか言ったけど……本心では、どうなのか分からない……凛は結局、何がしたいのか……何を守りたいのか……」

曜「何を守りたいのか……か…」

凛「千歌先輩も、それが分からないって言ってたにゃ……」

曜「そっか…千歌ちゃんも……」

凛「あ…あの……曜先輩は、なんで喧嘩するんですか…?」

曜「あれ…?急に敬語…?」

凛「あっ…/// や…やっぱ無しで……」

曜「え~!残念……」

凛「い…いいから、答えて欲しいにゃ!」

曜「えっと…何で喧嘩するか…だっけ…?私の場合は……まあ、完全に千歌ちゃんのためかな……」

凛「…!」

曜「私は、別に、自分のプライドとか誇りとかみたいなものは、そんなに大事じゃなくて……なによりも千歌ちゃんを支えたい……そんな感じかな…」

凛「そ…そうですか……」

曜「まあ、そんなに悩まなくてもいいんじゃない?好きにやれば……それが不良ってもんでしょ!」

凛「…!」

花陽「私もそう思う……」

凛「かよちん…!」

花陽「凛ちゃんは、いつも私のためって言ってくれるけど、私は凛ちゃんの好きなようにやってくれるのが一番……」

花陽「さっき喧嘩の時に、凛ちゃんが凛ちゃんじゃなくなるから…って言ってよね…?」

凛「あっ……う…うん……そういえば……」

花陽「あれなんじゃないかな…?凛ちゃんが大切にしたいもの……」

凛「…!」

凛「凛が……凛であるため……?」

凛「………」

凛「う…うーん……難しいにゃ……」

曜「あはは……なんか哲学的だもんね…」

凛「り…凛のやりたいようにやればいいって事なのかな……?」

曜「ん~…そうなんじゃない?分かんないけど……」

花陽「わ…私は、それがいいと思うよ…!」

凛「かよちん……」

花陽「うん…!凛ちゃんがやりたいようにやる……それが一番凛ちゃんらしくいれる方法だと思う…!」

凛「…!」

凛「そ…そっか……凛のやりたいように……」

凛「………」

凛「うん…!なんかスッキリしたにゃ…!!やっぱり、凛はこんな難しい事考えずに、やりたいようにやるのが合ってるにゃ!!」

花陽「凛ちゃん…!」パアァッ!!

凛「よーし!なんか、そう思ったら、すごく気が楽になったにゃ!!元気出てきたにゃ!!」

曜「あはは…単純だなぁ~」

凛「ん~……!!なんか走りたい気分だにゃ!!かよちん、一緒に走るにゃー!!!」ダッ!!

花陽「えぇ…!?ちょっと、凛ちゃん…!?」

凛「早く来るにゃー!!」ダダダッ!!

花陽「あ…ああ…!もう、あんなに遠くに…」

曜「すご……あんな喧嘩した後なのに、よく走れるな……」アハハ…

花陽「はい……えっと、じゃあ、私も行きますね…。ありがとうございました…!曜先輩!」

曜「うん、じゃーねー」

花陽「さようなら…!失礼します…!!」

花陽「凛ちゃん、待って~!!」ダッ!

曜「………」

曜「ふぅ……」

曜「………」

曜「ん……」ノビィー…

曜「あ…いたたたた……」

曜(ちょっと、食らっちゃったかな……)

曜(う~ん……それにしても、今回は、さすがにヤバかった……)

曜(人数も多いし、さすがに三年生だけあって、一人一人が強い……)

曜(逃げてくれて助かったよ……)

曜「………」

曜(まぁ、なにはともあれ……)

拳 グッ…

曜(千歌ちゃんを守れた…)

曜(それだけで十分……)

曜(………)

曜(あとは……)

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ヤンキー「な…なんとしても、お前らは潰すからな!!覚えてろ!!!」ダッ!!

--------------------

曜(あの言葉……)

曜(一応、まだ終わってないって思った方がいいのかも………)







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--------------

次の日 昼休み 屋上-


凛「こうかにゃ?」ブンッ!ブンッ!

曜「うんうん、いい感じいい感じ」

花陽 ガチャ…

曜「あ、花陽ちゃん来た」

花陽「こんにちわ、あれ?曜先輩と凛ちゃんだけですか?」

曜「うん、千歌ちゃんは梨子ちゃんに捕まって勉強してるよ、今度のテストやばいみたいで…」

花陽「あはは……」

凛「曜先輩!これは!?」ブンッ!

曜「あはは、それはダメ」

凛「えぇ~!?かっこいいのに!!」

花陽「何してるの?」

凛「曜先輩に、蹴り技教えて貰ってるにゃ!」

曜「なんか、相手を一撃で倒せる大技が欲しいんだって」

花陽「なるほど…それで蹴りですか……」

曜「本当は、蹴りなんて難しいものじゃなくて、顔掴んで、ヘッドバッドからの膝蹴り食らわすとかが一番、楽で強いんだけどね」

花陽「うわ……エグいですね…それ……」

曜「うん、確実に鼻が折れるし、戦意喪失するか、痛みで気を失うからね」

凛「でも、そんなのスマートじゃないにゃ!!凛はスマートに勝ちたいにゃ!!」

曜「はいはい……分かったって……でも、蹴り技ってのは本当に難しいし、そうそう決まるもんでもないんだよ?」

凛「そうなのかにゃ?」

曜「ちゃんと体重かけて蹴るのは高等技術だし、それに、なによりも一本足になるってのは、すごくリスキーな事だからね。だからこそ、相手に隙が無いと打てない…」

凛「な…なるほど……」

花陽「じゃあ、相手に隙を作る技術も必要になるんですね……」

曜「そうそう、まあ、その点、凛ちゃんはスピードがあるから、相手をフラッシュさせるのは簡単だけどね」

凛「フラッシュ?」

曜「ひるませる事だよ、ダメージを与えるんじゃなくて、ひるませる……だから……」

曜「こう…!」ヒュッ!!

凛「速…!」

曜「拳を握ってないからね、脱力して、ただただ速く腕を振る……これでも、顔あたりに当てられたら、相手はひるむよ」

凛「なるほど…!」ヒュッ!!ヒュッ!!

曜「そうそう、そんな感じそんな感じ」

花陽「ふふっ、凛ちゃん楽しそうだね」

凛「うん…!強くなるのは楽しいにゃ!!」ヒュッ!!ヒュッ!!


ザワザワ…


曜「ん?なんか下が騒がしいな…」ヒョイッ!

曜「あ…!」

花陽「曜先輩どうかしたんですか?」

曜「し…下……」

花陽「え…?下…?」ヒョイッ…

花陽「…!!」

花陽「あ…あれって……!」

曜「うん……」

花陽「き…昨日の…三年生…!!!」

曜「それに絵里先輩も……」

凛「えぇ…!?絵里先輩と三年生が…!?」

花陽「な…何してるんだろう……」

曜「三年生の人達……全員、包帯巻いてる……」

花陽「松葉杖ついてる人も……」

凛「えぇ!?凛達、そこまでやったっけ!?」

曜「やってない………全員逃げたわけだから、立てない程のダメージは無かったはず……」

花陽「ぎ…偽装……」

曜「うん……」

凛「な…何のために…!?」

曜「………」

曜「分からない……」

曜「ただ……私達にとって良いものだとは、考えにくいね……」

凛「そ…そんな……」

曜「………」


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校門前-


絵里「え…?渡辺さんと星空さんと高海さんに……?」

ヤンキー「はい……私達は、ただ散歩してただけなんですが……突然その三人に襲われて……」

絵里「そう……それはヒドイわね……じゃあ、私の方から、三人に話を…」

ヤンキー「…!」

ヤンキー「は…話じゃなくて、けじめとってくださいよ!!あんた、ウチらの番長でしょ!!」

絵里「それはそうだけど、渡辺さんと星空さんと高海さんも、この学校の愛すべき生徒よ。争う気はないわ」

ヤンキー「くっ……」

絵里「あなた達の言ってる事は信じるわ……でも、私はあの三人が、理由もなくそんなヒドイ事をする人じゃないって事も信じてる」

絵里「それに、今は学校内でモメてる場合じゃない……あなた達もわかってるでしょ…?」

ヤンキー「そ…それはそうですけど…!!」

ヤンキー「落ち着いて…」スッ…

ヤンキー「なっ…!こ…これが落ち着いてられるか!!」

ヤンキー「いいから……」

絵里「?」

ヤンキー「絵里さん、分かりました。それじゃあ、絵里さんから、三人に話聞いてきてください………でも……忘れないでくださいよ?私達が、ここまでの怪我を負わされた事……」

絵里「……」

絵里「そうね……それに関しては、どんな理由であれ許せない事だわ。ちゃんと叱っておく」

ヤンキー「お願いします……」ニヤッ…

ヤンキー「?」

絵里「それじゃあ、私は戻るわね。みんな、ちゃんと安静にしてるのよ」

ヤンキー「はい…!部屋で大人しくしてます!」

絵里「ふふっ、本当に?あなた達、すぐ暴れるから不安だわ…?」

ヤンキー「なっ!だ…大丈夫ですよ!!絵里さん!全く……」

絵里「まあ、とにかくお大事にね?停学明けを楽しみにしてるわ」

ヤンキー「はい…!それじゃあ、失礼します!」

絵里「じゃあね、また1週間後に」

ヤンキー「はい…!さようなら!」

絵里 トコトコ…

ヤンキー「………」

ヤンキー「お…おい…!!どういう事だよ!!この怪我で、絵里さんに報復してもらうんじゃなかったのかよ!!」

ヤンキー「最初は、そのつもりだったけどね……やっぱり、あの人はその程度じゃ動かない……」

ヤンキー「じゃ…じゃあ!諦めたのか!?」

ヤンキー「まさか…!ちゃんと、次の手は考えてもあるわよ……ふふふっ……」

ヤンキー「つ…次の手……?」

ヤンキー「えぇ……やるのは、人目につきにくい授業中……みんな、バットは持ってきたわね?」

ヤンキー「あぁ…それなら、私が持ってきたわよ、でも、これ何に使う気なの……?」

ヤンキー「ふふっ……それはね……」


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屋上-


凛「絵里先輩、普通に帰っていったにゃ……」

花陽「なんだったんだろう……」

曜「三年生にも動きはない……」

曜(これは、絵里先輩に、報復を頼んだけど断られたって考えていいのかな……普通に考えれば、そうだろうけど……)

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ヤンキー「な…なんとしても、お前らは潰すからな!!覚えてろ!!!」ダッ!!

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曜(………)

曜(いや……考えすぎか………)

曜(………)


キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…


凛「あ、昼休み終わっちゃったにゃ」

花陽「はっ!り…凛ちゃん、次体育だよ!!着替えなきゃ!!」

凛「あー!忘れてたにゃー!!急いで教室行くにゃ!!」ダッ!!

花陽「あぁ…!待って凛ちゃん!!」ダッ!!

曜「………」

凛「曜先輩、何やってるにゃ!!授業遅れるにゃ!!」

曜「あっ…あぁ……ごめんごめん…ちょっと考え事してて……今行くよ」スクッ…

曜「………」

曜(大丈夫……)

曜(うん……大丈夫…だよね……?)









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--------------

なにする気だ?

展開が気になる


授業中-


ヤンキー ザッ…

ヤンキー「周り……誰もいないわよね」

ヤンキー「うん…でも、不安だから見張りはつけておいたよ」

ヤンキー「そう……じゃあ……」

ダイヤモンドプリンセス号「………」

ヤンキー「こ…これよね……絵里さんのスクーター……」

ヤンキー「えぇ……たしか、祖母に貰ったものとか言って、すごく大切にしてたわ……」

ヤンキー「そうね……つまり、これが壊されれば……さすがの絵里さんも……」

ヤンキー「………」ゴクリッ…

ヤンキー「や…やるわよ……!」

ヤンキー「えぇ…!」

ヤンキー「ちょっと気が引けるけど……」

ヤンキー「高海を潰すためだから…!」ザッ…

ヤンキー「オラァ!!」ブンッ!!


バキィッ!!!



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--------------


ダイヤモンドプリンセス号 ボロボロ…

ヤンキー「はぁ…はぁ……」

ヤンキー「こ…このくらいで十分よね……」

ヤンキー「えぇ……これだけやれば、さすがの絵里さんもキレるでしょ……」

ヤンキー「自分が殴られたのと、私達がやられたのもあるしね……」

ヤンキー「三度目の正直ってやつね……」

ヤンキー「え……意味違くない…?」

ヤンキー「仏の顔も三度までってやつよ……」

ヤンキー「あ…そっちか……」

ヤンキー「いや、二度ある事は三度あ…

ヤンキー「ちょっと!頭悪い会話してないで、さっさと最後の仕事終わらすわよ」

ヤンキー「え…?まだ、何かやるの…?」

ヤンキー「一番大事な事をやってないでしょ!ほら!ちょっと釘貸して!」

ヤンキー「え…?う…うん……どうぞ」

ヤンキー「はい、どうも」

ヤンキー「な…何するの?」

ヤンキー「まあ、見てなさいって」

ヤンキー「これを使って……」

ガリガリガリ…

ヤンキー「よし……」

ヤンキー「あっ…!」



宣戦布告 高海千歌


ヤンキー「な…なるほど……これで、高海のやつがやった事にするのね……」

ヤンキー「えぇ……ふふっ…楽しみだわ……高海のやつが絵里さんにやられるの……」

ヤンキー「きっと病院送りにされるわね……あの人……やるとなると容赦しないから……」

ヤンキー「で…でも…!あの、高海ってやつは強いんだろ!?もし、絵里先輩が敵わなかったら……」

ヤンキー「100%ありえないわね。絵里さんは、あのアキバ四天王の一人なのよ…?勝てる人なんていないわ」

ヤンキー「さっ、やる事はやったし、私達も帰りましょう?停学中に学校来てると怒られるしね」

ヤンキー「そうね……じゃあ、また1週間に会いましょう」










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--------------

ぜんぜん慕われてなくてワロタ


放課後-


千歌「曜ちゃーん!」タッタッタッ…

曜「あ、千歌ちゃん!」

千歌「ごめん……待った?」

曜「全然!それより、梨子ちゃんは大丈夫なの?」

千歌「うん……鬼の形相で追いかけてられたけどね……びっくりするほど足が遅かったから、簡単にまけたよ」トコトコ…

曜「あはは…そっか……」トコトコ…

千歌「全く……放課後まで勉強させようとするなんて……梨子ちゃん、ひどいよ…!」トコトコ…

曜「まあまあ、梨子ちゃんは千歌ちゃんのためを思ってやってくれてるわけだし……それに、本当にテストやばいんでしょ?」トコトコ…

千歌「大丈夫だよ!いざとなったら、隣の梨子ちゃんの回答用紙を~……」トコトコ…

曜「いやいや…ダメでしょ…それは……」トコトコ…

絵里「………」

千歌「あれ?絵里先輩だ!おーい!絵里せんぱーい!」タッタッタッ

絵里「………」

千歌「ん?絵里先輩…?」

絵里 ギロッ!

千歌「…!」

絵里 ヒュッ!!!

千歌「わっ…!?」スカッ!

曜「ちょ…ちょっと、絵里先輩!?」

千歌「あ…危ないじゃないですか!!なんで急に…」

絵里「許さない……」

千歌「え……?」

絵里「あなた達……何が狙いなの……?」

曜「な…何を言って……」

絵里「高海さん……あなた、不良辞めるって言ってたわよね……?それなのに、なんでこんな事するの……?」

千歌「え…ええ??な…なにがなんだか……」

絵里「とぼけるつもり……?私の大切な仲間とダイヤモンドプリンセス号を傷つけて……」

曜「…!?」

千歌「え…?絵里先輩の仲間とダイヤモンドプリンセス号を……???」

曜「まさか……」

曜 バッ!

曜「あっ…!」

ダイヤモンドプリンセス号 ボロボロ…

曜「こ…これって……」

曜「ん?何か文字が……」


宣戦布告 高海千歌


曜「…!!」

絵里「言ったわよね……それは、祖母から貰った大切なものだって……」

絵里「さすがの私も、我慢の限界よ……」

絵里「私を殴って……私の仲間を傷つけて……私の大切な物まで傷つけて………そこまでして、私を怒らせたかったわけ……?」

千歌「え…ええ…??」

曜「ち…違うんです!絵里先輩!!これは、私達じゃなくて…

絵里 ザッ!!!

曜「え…


ガツンッ!!!


千歌「…!」

絵里「もう言い訳は聞き飽きたわ」

曜「あ…あぅ……」

曜(お…重い……なんてパンチ……)

千歌「よ…曜ちゃん…!!」タッ…!

曜「うぅ……」

千歌「だ…大丈夫!?曜ちゃん!曜ちゃん!!」

絵里「……」

千歌「ちょ…なんで、こんな事するんですか!!絵里先輩!!!」

絵里「先にやったのは、あなた達でしょう……?」

千歌「だ…だから……なんの事か……」

千歌「…!」

絵里 ブンッ!!!

千歌「危なっ…!」スカッ!

絵里「……」

絵里(また避けた……)

凛「あれ?絵里先輩と千歌先輩達だにゃ!おーい!」

花陽「ん?なにか様子が……」

千歌「凛ちゃん!花陽ちゃん!」

絵里「星空さん……」

曜「うぅ……」

凛「え……??なに…この状況……」

花陽「曜先輩……?」

曜「は…はめられた……逃げて……」

凛「え…?はめられた…?」

絵里 バッ!!

凛「え…

花陽「凛ちゃん!危ない!!」


ガッッッ!!!


絵里「………」

千歌「い…いたた……」

凛「千歌先輩…!!」

千歌「だ…大丈夫?凛ちゃん」

凛「は…はい……でも、千歌先輩が…」

千歌「大丈夫…ガードしたから」

千歌(いったぁ~っ!!腕折れるかと思った!!)

絵里「……」

絵里「ふっ…どうやら、喧嘩のカリスマってのは嘘じゃないようね……私の攻撃を、ここまで耐えたのは、あなたが始めてよ」

千歌「そ…そりゃどーも…!!ていうか、とりあえず、攻撃すんの辞めてもらえませんか!?」

曜「そ…そうです…!!絵里先輩は誤解してます!!」

絵里「……」

絵里 サッ!

千歌「あっ…!」

曜「…!」


ガツンッッッ!!!!


曜「あがっ…!」

花陽(か…顔を蹴り上げた……ひどい…!)

凛「曜先輩…!!」タッ…!

曜「あっ…ぶはっ……あぁ…うっ…」ボタボタ…

絵里「その血の量……鼻、折れたかしら……?私と同じね…ふふっ……」

千歌「………!」

花陽「曜先輩…!曜先輩!!」

曜「だ…大丈夫……大丈夫だから……」

千歌「曜…ちゃん……」

曜「ち…千歌ちゃん………ダメだよ…?喧嘩しちゃ……そしたら…あいつらの思惑通りに…」

千歌「…!」

千歌「……っ」

千歌「わ…分かってる……」

千歌「なんだか知らないけど……はめられたんでしょ……?私達……」

千歌「大丈夫……堪えるから……」

拳 グググ……!

曜「千歌ちゃん……」

千歌「凛ちゃんも曜ちゃんも、そこを離れないで……目の届く位置にいないと守れないから……」

曜「うん……」

凛「わ…分かったにゃ……」

絵里「あら…?なに?その目は……」

千歌「………」ゴゴゴゴゴゴ…

曜「ダ…ダメだよ……千歌ちゃん……」

絵里「ふふっ…無抵抗な相手を殴るのは、私の趣味じゃないからね……」

絵里「やる気になってくれたみたいで、嬉しいわ…!!」ダッ!!!


スカッ!


千歌「…」

絵里「まだよ…!」ブンッ!!!


スカッ!


千歌「…」

絵里「…!?」

花陽「避けた…!!」

千歌「………」

絵里「あなた……」

凛「まさか…千歌先輩……攻撃しないで、全部避ける気じゃ……」

花陽「え…絵里先輩相手に…!?そ…そんなの……」

曜「できる…」

花陽「…!?」

曜「千歌ちゃんは、カウンターの名手だから……相手の攻撃を見切るのは誰よりも上手い……」

絵里「ふんっ…ナメた事してくれるわね……」

千歌「わ…私は攻撃する理由がないので……」

絵里「あら?さっき、私、あなたの友達の鼻を折ったのよ?それでも怒らないの?」

千歌「その曜ちゃんが、ダメだって言ってますから……」

曜「…!」

曜「ち…千歌ちゃん……」

曜(すごい……昔は、すぐに手が出てたのに……)

曜(本当にすごいよ……ちゃんと変われたんだね……千歌ちゃん……)

千歌「お…お願いです……話を…聞いてください……」

絵里「声……震えてるわよ…?本当は私を殴りたいんじゃなくて?」

千歌「そんな事…ないです……それより、話を…」

千歌「誤解…なんです……」

絵里「再三やっておいて、今更なに!? 往生際が悪いわよ!!」

千歌「お願いです……話を……」


絵里「黙りなさい…!!」ヒュッ!!

千歌「くっ…」スカッ…!

絵里「ふんっ…!」ブンッ!!!

千歌 スカッ…!

絵里「ちっ…」

凛「す…すごい……本当に全部避けてる…」

曜「当然だよ……千歌ちゃんは、浦の星の時は一度も攻撃を食らった事が無かったんだから……」

凛「い…一度も…!?」

曜「うん……何人が相手でも……大人が相手でも……絶対に攻撃を食らわなかった……」

曜「だからこそ、喧嘩のカリスマと呼ばれた……誰一人、千歌ちゃんに触る事もできない……」

凛「す…すごいにゃ……だったら絵里先輩も…」

花陽「どうだろう……」

凛「え…?」

花陽「絵里先輩は強いよ……」

曜「……花陽ちゃん………」

絵里「このっ…!」ゴオッ!!

千歌「うっ…」スカッ…!

千歌(は…早い……それでいて強い……)

千歌(顔の横を通る風切り音が教えてくれる……)

千歌(この人は強い……!)

絵里「ふんっ…!」バッ!!

千歌「くっ…」カスッ…!


曜「絵里先輩の攻撃が……!」

凛「かすった…!」

千歌(まずい……このままじゃ……)

絵里「ちっ…ちょこまかと……!」

千歌(一度、捕まえるかなんかして、動きを止めないと……!)

絵里「はっ!」ヒュッ!!!

千歌(ここだ…!)

千歌(まず、避けて…) スカッ…!

千歌(捕まえる…!!) バッ!!!

絵里「…!」

スカッ…!!

千歌(な…!の…仰け反って……

絵里 ゴオッ!!!

千歌「え…


ガツンッ!!!


千歌「ぶっ…!?」

千歌(なっ……ど…どこから攻撃が……)

絵里「………」


凛「…あ…あそこから蹴りを…!?」

曜「あんなに仰け反ってるのに、回転して片足で、威力ある蹴りを撃てるなんて……」

花陽「あれです……」

曜「え…?」

花陽「あれが、絵里先輩の強さなんです……バレエで鍛えられたバランス感覚で、どんな体勢からでも攻撃してくる……」

凛「バ…バレエ…!?」

花陽「うん……絵里先輩は子供の頃からバレエをやっていたらしくて……当然、バランス感覚も抜群で……」

凛「バランス感覚……」

曜「うん……つまり、体幹が強いって事だね……」

曜(なるほど……だから、あれだけ重いパンチが打てたのか……)

千歌(くっ…私が攻撃を…

絵里 ザッ…!!

千歌「…!!」


メキィッ!!!


千歌「あっ…あがっ…!」

絵里「………」


曜「か…顔に蹴り……」

凛「ひどいにゃ……」

花陽「でも、あれも絵里先輩の強さのひとつ……」

花陽「さっき、曜先輩の顔を蹴り上げたように、相手を壊す事に一切の躊躇がない……」

花陽「故に、氷の女王……いままで絵里先輩と戦って無事で済んだ人はいません……」

凛「そ…そんな……」

千歌「………」ポタポタ…

曜「…!」

曜「ま…まずい…!!」

曜「千歌ちゃんが…!!!」

凛「え…?」


千歌「………」ゴゴゴゴゴゴ…

絵里「?」

凛「ち…千歌先輩の雰囲気が……」

曜「や…やばい……あれは……」

千歌「ふっー…ふっー……」ゴゴゴゴゴゴ…

絵里「鼻息なんか荒くして、どうしたの?蹴られてキレた?」

曜「絵里先輩…!!逃げて…!!」

絵里「え…?」

千歌「こっの……」

千歌「金髪アホ野郎があああああああああっっっっ!!!!」ザッ!!!

絵里「な…!」

絵里(き…金髪アホ野郎…!?)

千歌 ヒュンッ…!!

絵里「…!」


バキィッ!!!!


絵里「…!? ぶっ…ぶはっ…!!」

凛「お…折れてる鼻を……!」

曜「やばい……」

千歌「まだまだぁ!!」ガシッ!!

絵里「あぐっ…」

絵里(あ…頭を……)

千歌「ふんっ…!!!」メキョッ!!!

凛「へ…ヘッドバット……」

絵里「あぐぁ…」ブシュッ…!

花陽「血が……」

千歌「もいっちょ!!!」グイッ!!

凛「あ…!まさか……」


グチャ…


絵里「あ…あぁ……」ボタボタ…

凛「ひ…膝……」

凛「これ……曜先輩が言ってた……」

曜「う…うん……顔を掴んでから、ヘッドバット、膝蹴りの二連撃……」

花陽「ひっ…ひどい……」

千歌「ふふっ…!」グイッ…

絵里「あ…あぁ……」

千歌「あははっ!!!」バッ…!!

花陽「嘘…!まだやる気なの…!?」

絵里「くっ…」

千歌「オラァッ!!」ブンッ!!!

絵里「くあっ…!」スカッ…!!

絵里「ぐっ…」ヨロヨロ…

凛「避けた……」

花陽「でも、もうフラフラ……」

千歌「待てコラァ!!」ダッ!!

絵里「くっ…」

絵里「っああ…!!!」ザッ…!!


メキッ!!!


千歌「うぐっ…」

凛「絵里先輩の蹴りが入った…!」

絵里(今の音……確実に折れた…!)

絵里(これで少しはおとなしく…


バキィッ!!!


絵里「あぐっ…ぶはっ…!」

千歌「ははっ…!」

絵里(そ…そんな……アバラが折れたのに……)

凛「…!?」

凛「け…蹴りが効いてないの…!?」

曜「違う……あれは……」

花陽「か…感じてない……」

凛「…!?」

曜「そう……あれは、蹴りが効いてないんじゃない……痛みを感じてない……」

凛「な…なんにゃ…!!それ…!!危険だにゃ!!」

曜「うん……たしかに危ない……今までは、千歌ちゃんに攻撃を入れられる人なんていなかったから良かったけど、絵里先輩はそれができる……」

凛「じゃ…じゃあ…!どうすればいいにゃ!!このままじゃ二人とも死んじゃうにゃ…!」

曜「どうしようもない……ああなった千歌ちゃんは、相手が潰れるまで止まらない……」

凛「ああなったって……」

曜「仲間が傷つけられると、周りが見えなくなる……昔からそうなんだ……」

花陽「あっ…じゃ…じゃあ……曜先輩が傷つけられたから……」

曜「うん……今回は、それでも、我慢してくれてたんだけどね……自分が攻撃を食らった事で、吹き出しちゃったみたい……」

曜「千歌ちゃんにとっては、初めて喧嘩でもらったダメージだから……」

凛「は…初めて……レベルが違いすぎるにゃ……」

絵里「くっ……」

絵里(顔の血が止まらない……)

絵里(頭がフラフラする……)

絵里(血が出すぎた……)

千歌「ははっ…!」ダッ!!

絵里(き…来た…!)

絵里(くっ…血なんか気にしてられない…!!この化け物を倒さないと、私が殺される…!!)

絵里(やるしかない……!)

絵里「………」スッ…

千歌「終わりだ…!!!」ガバッ!!

絵里「……」


フワリッ…


千歌「…!?」

曜(かわされた…!?)

曜「いや……流された…!!??)

絵里「…」


ガンッ!!!


千歌「あがっ…!」

絵里「……」

千歌「くっ…」ザッ…

千歌「…!!!」

曜(な…なんだ今の動き……流れるように反撃された……合気道……?? いや…合気道とも違う……もっと攻撃的な……なにか……)

絵里「はぁ…はぁ……」

絵里(ダメ……呼吸が…乱れる……)

絵里(整えなきゃ……呼吸を……!)

千歌「………」

絵里「…?」

絵里(な…なに……?急に大人しくなった……)

千歌「………」

曜(千歌…ちゃん……?)

絵里「ど…どうしたの……?」

絵里「今更、怖くなった?先に言っとくけど、あなたが喧嘩を辞めたくても、私は辞める気は無いわよ…?」

絵里「あなたには……返さなきゃいけない借りがあるからね……」

千歌「………」

凛「な…なんにゃ…!?千歌先輩が急に大人しくなっちゃったにゃ!!」

花陽「ど…どうしたんだろ……」

千歌「あ……あぁ……」

絵里(ん…?私を見てない…!?後ろ…?何を見て……

絵里「…!!」

梨子「ち…千歌……ちゃん……?」

曜「あっ…!!」

凛「り…」

花陽「梨子先輩…!!!」

千歌「梨子……ちゃん………」

絵里(あの子……たしか、高海さんが不良である事を隠してるとか言ってた……)

梨子「ど…どうしたの……そんなに血を流して……絵里先輩も……」

千歌「………」

曜「り…梨子ちゃん…!!これは…!!」

千歌「曜ちゃん……いいから……」

曜「…!」

絵里「………」

凛「ど…どうなるにゃ……これ……」

花陽「わ…分かんない……でも……」

梨子「な…なにしてたの……?千歌ちゃん……勉強は……」

千歌「………」

梨子「なんで黙ってるの……?千歌ちゃん…?なにか……なにか答えてよ………」

千歌「………」

梨子「ち…違うよね……?これ……喧嘩じゃないよね……?そうだよね…?千歌…ちゃん……」

千歌「………」

千歌「喧嘩だよ……」

梨子「…!」

千歌「喧嘩……私と絵里先輩の……」

絵里「………」

梨子「ど…どうしてそんな事…!!」

千歌「知らないよ……理由なんて忘れた」

梨子「…!」

千歌「ただ……なんか自分の中で大切にしたいものがあって……それが傷つけられたような気がしたから……」

梨子「な…なによ……それ……分かんないわよ……」

千歌「だよね………梨子ちゃんと私は違うから……」

梨子「違う……?なに言って……」

千歌「私は不良だから」

梨子「…!!」

曜「千歌ちゃん……」

絵里「………」

梨子「うそ……分かんない……分かんないよ……私……どうしたらいいの……」

千歌「今まで嘘ついててごめん……それから、ありがとう……私は楽しかった……」

梨子「なんで……なんでそんな事言うの……」

千歌「もう一緒にいれないかもしれないから………私は不良で…梨子ちゃんはそうじゃない……悪いのは騙してた私で……梨子ちゃんは悪くない……」

千歌「もう…私に梨子ちゃんと友達でいたいなんて言える権利はない……」

梨子「そ…そんな……私は……」

千歌「絵里先輩……続き…やりますか……?」

梨子「…!!」

絵里「あなた……」

千歌「………」

絵里「遠慮しとくわ……あなたのせいで気分最悪よ…」

千歌「………」

絵里「最低ね……あなた……もう二度と私の前に顔を見せないでちょうだい」クルッ…

花陽「あぁ…!絵里先輩…!!」

凛「い…行っちゃったにゃ……」

千歌「ごふっ…」ポタポタポタ…

曜「ち…千歌ちゃん…!?」ダッ!

曜「大丈夫…!?血が……」

千歌「いいから……」スッ…

曜「でも…!病院行かなきゃ…!」

千歌「………」ヨロヨロ…

梨子「あ…」

千歌「………」ヨロヨロ…

凛「千歌先輩……梨子先輩の方に……」

梨子「ち…千歌ちゃ…

千歌「………」スッ…

梨子「え…」

花陽「な…何も言わずに通り過ぎた……」

千歌「………」ヨロヨロ…

梨子「そんな……うぅ…千歌ちゃん……」ポロポロ…

曜「り…梨子ちゃん…!」ダッ!

梨子「曜ちゃん……うぅ…千歌ちゃんが……千歌ちゃんが……」ポロポロ…

曜「……梨子ちゃん………」

千歌「………」ヨロヨロ…

凛「ち…千歌先輩が行っちゃうにゃ…!!」

曜「ごめん、凛ちゃん…!千歌ちゃん頼める…?」

凛「…!」

凛「わ…分かったにゃ…!!ち…千歌先輩!待つにゃー!!」ダッ!

花陽「わ…私は……」オロオロ…

花陽「あっ…!そうだ!私、絵里先輩の誤解を解いてきます…!!」

曜「ごめん……花陽ちゃん…ありがとう……あと、絵里先輩にも病院行くように言っておいて……」

花陽「はい…!じゃあ、失礼します…!」ダッ!

梨子「うぅ……曜ちゃん……私…どうしたら……」ポロポロ…

曜「…!」

曜「………」

梨子「うぅ……もう…なにも分かんないよ……私……」ポロポロ…

曜「り…梨子ちゃん……」

梨子「どうしたらいいの……私は……」ポロポロ…

曜「ど…どうしたら……か……」

曜「………」

曜「り…梨子ちゃんは……その…千歌ちゃんの側にいてあげればいいと思うよ……?…それが一番、千歌ちゃんのためになるから……」

梨子「え…!?で…でも……」

曜「大丈夫……千歌ちゃんは、きっと梨子ちゃんを待ってる……」

梨子「ま…待ってる……?」

曜「うん……えっと…詳しい事は後で、また話すけど……千歌ちゃんね、浦の星の時は、すごい不良で……喧嘩のカリスマだなんて呼ばれるぐらい喧嘩ばっかりしてて……」

梨子「そ…そうだったんだ……全然分からなかった……」

曜「でもね…?ちょっといろいろあって……不良は辞めるって決めて、退学になった浦の星から、この学校に来たの……」

梨子「不良を……辞める………」

曜「うん……だから、隠してた……特に梨子ちゃんにはバレたくなかったみたい……」

梨子「え…?私に…?」

曜「そう……梨子ちゃんなの……千歌ちゃんが変われたのは梨子ちゃんのおかげなんだよ……?」

梨子「どういう事……?」

曜「今までとは全然違う生き方をするって決めるのは簡単じゃないと思う……千歌ちゃんは、きっと、すごく不安だったんだと思う……」

梨子「……」

曜「そんな時に、最初に話しかけてくれたのが梨子ちゃんだった……」

曜「だから、千歌ちゃんにとって梨子ちゃんは、梨子ちゃんが思ってるよりも、ずっとずっと大切で、絶対無くしたくないものだったんだと思う……」

梨子「そんな……そんなの……」

曜「だから…その……

梨子「私だって千歌ちゃんが大切よ……」

曜「え…?」

梨子「高校入って初めてできた友達が、千歌ちゃんだったんだから……」

曜「梨子ちゃん……」

梨子「ありがとう……曜ちゃん……私…分かったよ……もう迷わない……」

梨子「私……千歌ちゃんに会いに行く……会って、ちゃんと話す………そうすれば、きっと分かる……私がどうしたらいいか……どうしたいのか……」

曜「梨子ちゃん…!」

曜「うん…!うん…!それがいいよ…!!行こう!千歌ちゃんの所に…!!」

梨子「えぇ……でも、その前に曜ちゃんも病院ね?曜ちゃんも、ひどい怪我なんだから……」

曜「え…!?あ…あはは……私のことは別に…

梨子「ダーメ!曜ちゃんだって、千歌ちゃんと同じくらい大切な友達なんだから…!!」

曜「…!」

曜「そ…そっか……/// 友達か……///」

曜「あはは、ごめんごめん…!じゃあ、病院行こっか…!絵里先輩と千歌ちゃんもいるかもしれないし…!!」

梨子「そうね……行きましょうか……」

梨子「……」フラッ…

梨子「きゃっ…」

曜「おっと…!大丈夫…?梨子ちゃん……」

梨子「あ…ありがとう曜ちゃん……まだ少し頭が混乱してて……」

曜「そっか……」

曜(頭混乱してて、つまづくかな……? もしかして、梨子ちゃん、運動神経悪いんじゃ……)

梨子「そ…その……ちょっと聞きたいんだけど……曜ちゃんも…その……喧嘩とかするの…?」トコトコ

曜「そ…そりゃあね……た…多少は……」トコトコ

梨子「そっか………」トコトコ

梨子「………」トコトコ

曜「………」トコトコ

梨子「また嘘つくのね……」トコトコ

曜「うぐっ…」ギクッ!

曜「す…すみません……多少じゃないです……」トコトコ

梨子「じゃあさ、聞くけど、なんで喧嘩なんてするの?」トコトコ

曜「う…うーん……千歌ちゃんのため……みたいな……」トコトコ

梨子「それって喧嘩じゃなきゃダメなの…?謝ってどうにかなったりするものなんじゃないの…?」

曜「あ…謝るのは……その…プライドが許さないというか……なんというか……」トコトコ

梨子「………」トコトコ

曜「………」トコトコ

梨子「はぁ……全く理解できないわね……なによ、プライドって……くだらない……」トコトコ

曜「仰る通りです……」トコトコ

梨子「でも……」トコトコ

曜「…?」トコトコ

梨子「ちょっとだけ、かっこいいわね……そういうの……」トコトコ

曜「…!」トコトコ

曜「梨子ちゃん……!」トコトコ

梨子「あっ、不良がいいって言ってるわけじゃないからね?私は、不良には断固反対よ」トコトコ

曜「うぅ……やっぱりそうか……」トコトコ

梨子「だから、曜ちゃんにも喧嘩は辞めてもらいます」トコトコ

曜「えぇ…!?」トコトコ

梨子「えぇ…!?じゃないわよ!曜ちゃんが怪我するのなんて、私見たくないんだから!」トコトコ

曜「うぅ…で…でも……必要になるというか……」トコトコ

梨子「ダーメ!次、喧嘩したら友達辞めるわよ」トコトコ

曜「えぇ…!?」トコトコ

曜「じゃ…じゃあ……喧嘩辞めます……」トコトコ

梨子「よろしい」トコトコ

曜「はい……」トコトコ…

梨子「後は、千歌ちゃんね……」トコトコ

曜「え…?でも、千歌ちゃんは、もう喧嘩しないって決めて…

梨子「してるじゃない」トコトコ

曜「あ…」トコトコ

梨子「甘いのよ、決意が。ビシッと言ってあげなきゃ…!!あと、勉強も!」トコトコ

曜「あはは……梨子ちゃん厳しい……」トコトコ

梨子「曜ちゃんが散々甘やかしたみたいだからね、私が厳しくしないと…!」トコトコ

梨子「待ってなさい!千歌ちゃん!!」








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--------------

こっから先はどうなるんやら


病院 入院棟-


絵里「………」

千歌「………」

ピピピピピピピ…

看護師「はーい、お熱計れましたね~」

看護師「わっ…!二人とも、すごい高熱……骨も折れてるし……しばらく安静にしてる必要があるわね~」

絵里「………」

千歌「………」

看護師「たしか、二人とも同じ高校なんだっけ?良かったわね~!友達が隣で!」

絵里「………」

千歌「………」

看護師「じゃあ、私は行くわね!大人しくしてるのよ~」ガララ……バタンッ…

絵里「………」

千歌「………」

絵里「………」

千歌「………」

絵里「いや、なんで隣なのよ……」

千歌「こっちのセリフですよ」

絵里「………」

千歌「………」

絵里「その…体…大丈夫?結構強く蹴っちゃったけど……」

千歌「大丈夫です」

絵里「………」

千歌「………」

絵里「あ…あと……その……ごめんなさいね…?事情は、小泉さんから聞いたわ……」

千歌「………」

絵里「停学明けたら、あの子達には、私からキツく言っておくわ」

千歌「………」

絵里「………」

千歌「………」

絵里「あれ…?無視?聞こえなかった?」

千歌「………」

絵里「お…怒ってる…?」

千歌「怒ってません」

絵里「え…えぇ~……怒ってるじゃない……」

千歌「………」

絵里「なんで?あの桜内さんとかいう子に見られたから…?」

千歌「………」

絵里「でも、あなたも悪いのよ?あんな突き放すような言い方して……」

千歌「………」

絵里「桜内さん、すっごい悲しそうな顔してたわよ?」

千歌「………」

絵里「………」

千歌「………」

絵里「………」

絵里(何も喋らない……)

絵里(………)

絵里(部屋替えてもらえないかしら……)



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一階 ロビー -


花陽「まさか、絵里先輩と千歌先輩が同部屋になるとは……」

凛「それも隣……」

花陽「大丈夫かな……喧嘩とかしてたり……」

凛「それはないにゃ……おそらく二人で黙り込んでるに違いないにゃ」

花陽「あはは…それ辛いね……」

梨子「あ!花陽ちゃん!凛ちゃん!」タッタッ!

花陽「あ!梨子先輩…!も…もう大丈夫なんですか…?」

梨子「まあね……吹っ切れたわ」

凛「あれ?曜先輩は?」

梨子「あ、曜ちゃんなら今、治療中よ。ひどい怪我だったからね……」

花陽「そうですか……」

梨子「それで……その…千歌ちゃんに会いたいんだけど……部屋分かる?」

凛「え…!?会うんですか!?」

梨子「えぇ……会って話さなきゃいけないと思ったから……」

凛「………」

梨子「どうしたの?凛ちゃん……」

凛「えっと……その…今、千歌先輩に会っても、たぶん……」

梨子「……ふふっ…いいのよ……そんなの分かってる……話してくれるようになるまで、粘るしかないわ……何日でもね…!」

凛「梨子先輩……」

看護師「あの~…あなた達、高海さんのお友達の方?」

梨子「え…?は…はい……そうですけど……どうかしました?」

看護師「今、高海さんから言われたんだけどね……面会拒否だって……」

梨子「え…」

看護師「ごめんなさいね……そういうのは一応、患者側に権利があるから……」

梨子「そう…ですか……」

看護師「高海さん……なにかすごく悩んでるみたいだけど……なにかあったの…?」

梨子「………」

梨子「いえ…大丈夫です…!」ニコッ…

梨子「わざわざ伝えてくださって、ありがとうございました…!」ペコリ…!

花陽「梨子先輩……」

看護師「そう…?じゃあ、私は戻るわね。高海さんにも、よろしく伝えておくわ」クルッ

梨子「はい…!お願いします…!」

梨子「………」

凛「そんな……面会拒否だなんて……」

梨子「あはは…断られちゃった……」

花陽「…!」

花陽「だ…大丈夫ですよ…!きっと今日だけで、明日には……」

梨子「うん…そうだね……!明日、また来よう!」

花陽「はい…!きっと千歌先輩も会いたがってますよ!」

梨子「そうね……うん…きっと……そう……」

梨子「………」

凛「梨子先輩……」

梨子「さっ!こんな所でしょげてても、しょうがないわ!曜ちゃんのお見舞いに行きましょう!」

花陽「あっ…は…はい…!そうですね!曜先輩も、大変ですからね!」

凛「うん……」

凛「………」

凛(千歌先輩……)

凛(一体どうしちゃったにゃ……)



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病室-


絵里「本当に良かったの?面会拒否だなんて」

千歌「………」

絵里「はぁ……また無視?」

千歌「………」

絵里「何か言ったらどうなの?ここなら私以外誰も聞いてないわよ」

千歌「………」

千歌「……じ…自分の中で答えも見つかってないのに……会えない…です……」

絵里「バカね、それを一緒に探してくれるのが友達でしょ?見つかってないなら、なおさら会うべきよ」

千歌「…!」

千歌「………」

絵里「………」

絵里「まあ、あなたの問題だから、私には関係ないけどね」

千歌「はい……」

ヤンキー「絵里さん…!」ガララ…!

絵里「あら、あなた達……」

ヤンキー「た…高海にやられたって本当ですか!?嘘ですよね!!??」

絵里「むっ…」


ゴチンッ!!!


ヤンキー「いっ…いったぁ!な…なにするんですか!?」

絵里「言う事が違うでしょ!!私は、もう全部知ってるのよ!!」

ヤンキー「えっ……」

ヤンキー「ぜ…全部って……全部ですか…?」

絵里「えぇ、小泉さんに聞いたわ」

ヤンキー「す…すみませんでしたあああ!!!」

絵里「謝らなきゃいけないのは、私じゃないでしょ、ほら…」

ヤンキー「えっ……うぅ……」

絵里「ほら!早く!」

ヤンキー「は…はい……」

千歌「…」

ヤンキー「わ…わりぃ……」

絵里「…!」


ゴチンッ!!!


ヤンキー「いったぁ!?な…なんですか!!謝ったじゃないですか!!」

絵里「あれのどこが謝ってるのよ!!ちゃんと謝りなさい!!!」

ヤンキー「え…えぇ~……でも後輩に…」

千歌「別にいいです」

ヤンキー「え…?」

千歌「私……怒ってませんから」

ヤンキー「えっ…えぇ~……絶対怒ってるじゃん……」

千歌「怒ってません。私の事は気にしないでください」

絵里「………」

ヤンキー「え…絵里さん……高海のやつはこう言ってる事だし……とりあえずは……」

絵里「はぁ……まあ、そうね……いいわ……」

絵里「今のこの子には、何を言っても通じないだろうしね……」

絵里「それで、どうしたの?ただ見舞いに来たわけじゃなさそうだけど……」

ヤンキー「そ…そうなんです!!大変なんです!!遂に、焔ヶ丘高校(ほむらがおか)の奴らが動き出したんすよ!!」

千歌(焔ヶ丘……?)

絵里「そう……焔ヶ丘が……」

ヤンキー「多分、絵里さんが入院したのを知って、一気に来る気なんです!!どうすればいいですか!?」

絵里「決まってるわ、焔ヶ丘の奴らは全員ぶっ飛ばす……あの一件以来、ずっと、そう決めてたでしょ?」

ヤンキー「で…でも……絵里さん抜きじゃ……」

絵里「大丈夫よ、すぐに退院するわ。それまでは耐えてて」

ヤンキー「っはい…!!分かりました!!よっしゃ!行くぞ!お前ら!!」

ヤンキー「それじゃあ、失礼します!絵里さん、お大事に!!」ガララ……バタンッ…!

絵里「………」

千歌「………」

絵里「はぁ…全く……慌ただしい人たちね……ごめんね?騒がしかった?」

千歌「いえ…別に……」

絵里「………」

千歌「………」

千歌「あの……」

絵里「ん?なに?」

千歌「なんですか?焔ヶ丘って……」

絵里「あら?興味あるの?不良の話よ?」

千歌「………」

千歌「別に…ちょっと気になっただけです……」

絵里「ふふっ…じゃあ、ちょっとだけ教えてあげるわ……」

絵里「今のアキバが、なんて呼ばれてるか知ってる?」

千歌「アキバが…?」

千歌「………」

千歌「オタクの街……」

絵里「違うわ……」

千歌「じゃあ、なんですか…?」

絵里「………」

絵里「不良戦国時代よ……」

千歌「不良…戦国時代……」

絵里「そう……今、この秋葉原は、3つの高校が覇権を争う戦国時代に突入してるのよ」

千歌「3つ……」

絵里「えぇ……まず、私達の通う西の水見色高校(みずみいろ)、それから、さっき話した東の焔ヶ丘高校、そして、北の緑王学園(りょくおう)……この3つよ」

千歌「水見色…焔ヶ丘…緑王……」

絵里「えぇ……中でも、私たちと焔ヶ丘は、ずっと対立してるの。一年前のある事件をきっかけにね……」

千歌「事件……?」

絵里「………」

絵里「はめられたのよ……焔ヶ丘の今の二年生番長……高さ…

看護師「はーい!それじゃあ、高海さんと絢瀬さん、お熱測りましょうね~!」ガララ…!

絵里「あっ、はい…!お願いします」

千歌「ちょ…ちょっと…!話の続きは…」

絵里「ん~…よく考えたら、あなたにここまで話す必要なかったわ。まあ、喧嘩に加わってくれるなら話は別だけどね?」

千歌「なっ…」

看護師「はいはーい!お友達同士、お話するのが楽しいのは分かるけど、検診はちゃんとしなきゃダメよ~!はい!体温計!」

千歌「は…はい……」












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面白くなってまいりました!

期待


三日後 病院-


千歌「………」ゴソゴソ…

絵里「………」

絵里「なんで、あなたの方が先に退院するのよ……」

千歌「普通に私の方が軽傷だったからじゃないですか?」

絵里「なんか負けたみたいで腹立つわね……言っとくけど、あの時、私はまだ本気出してな…

千歌「あーはいはい…もう何回も聞きましたよ、それ……分かりましたって」ゴソゴソ

絵里「………」

千歌「………」ゴソゴソ…

絵里「………」

千歌「よしっ…と……」

絵里「もう行くの?」

千歌「はい、お母さんも心配してますし」

絵里「そう…」

千歌「………」

千歌「…なんですか?私がいなくなって寂しいんですか?」

絵里「…!?」

絵里「そそそそそそそそそそんなわけないでしょ!?だ…だいたい、あなたずっと落ち込んでるし、部屋が暗くなるのよ!!いない方がいいわ…!!」

千歌「そうですか……」

絵里「うっ…」

絵里「ま…またそうやって落ち込んで……いつまでそうしてるつもりよ…」

千歌「………」

絵里「また、答えが見つかるまで、とか言う気?そんなに悩んで、あなたは何を見つけたいの?」

千歌「………」

絵里「何かは知らないけど、きっとそれは一人で見つけられる程、簡単な答えじゃないわよ?」

千歌「………」

千歌「失礼します……」スッ…

絵里「…!」

絵里「そう……それじゃあね、また学校で」

千歌「はい…ありがとうございました」ガララ…

絵里「っ…」

絵里「わ…私でよければ、いつでも相談に乗るからね…!!」

千歌「……」バタンッ…

絵里「あ………」

絵里「………」

絵里「はぁ……」

絵里「全く……困った後輩ができたものね……」

絵里「………」



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病院 ロビー -


千歌「…!」

梨子「千歌ちゃん…!!」

千歌「り…梨子ちゃん……なんでここに……」

梨子「千歌ちゃんのお母さんに聞いたのよ!今日、退院するって……それで……」

千歌「そ…そう……」

梨子「うん……」

千歌「………」

千歌「そ…それじゃあ……」スッ…

梨子「…!」

梨子「なんで…!?なんで、突き放そうとするの!?」

千歌「…!」ピタッ…

千歌「うっ……」

梨子「私は……私は別に、千歌ちゃんが不良だろうが何だろうが関係ない…!!そんな事で嫌いになったりなんてできない…!!」

千歌「………」

梨子「千歌ちゃんが言ってくれたんじゃない……私達、友達だって……」

千歌「そ…それは……」

梨子「………」

千歌「………」

梨子「今日……」

千歌「え…?」

梨子「今日の12時……駅前に来て……」

千歌「駅前に……?なんで…

梨子「いいから来るの!!来なかったら嫌いになるわよ…!!」

千歌「えぇ…!?」

梨子「それじゃあね…!待ってるから!!」タッ…!

千歌「あっ…」

千歌「………」









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12時 駅前-


ザワザワザワザワ


千歌「………」

千歌(き…来てみたはいいけど……駅前って、電気街口の方で良かったのかな……)

千歌(私達の家からすると、こっちのが近いけど……)

梨子「…!」

梨子「あっ!千歌ちゃーん!」タッタッタッ!

千歌「梨子ちゃん…!」

梨子「ごめんごめん……呼び出しといて、遅くなっちゃった……」

千歌「う…うん……別にいいよ…私も今来たところだし……」

梨子「そう?それじゃあ、行きましょうか…!」

千歌「え?どこに…?」

梨子「穂むらよ!」

千歌「ほ…穂むら…!?」

梨子「そう、穂むらよ」

千歌「えぇ…?ほ…穂むらって……」

千歌「………」

千歌「……なに…?」

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穂むら前-


梨子「ここよ」

千歌「え…?わ…和菓子屋さん……??」

梨子「えぇ、私の行きつけよ」

千歌「へ…へぇ~…そうなんだ…」

梨子「さっ、入りましょう!」ガララ…!

千歌「う…うん……」

穂乃果「いらっしゃいませー!!…って、梨子ちゃん!!来てくれたんだ!!」

千歌「え…?」

梨子「久しぶりね、穂乃果ちゃん」ニコッ

千歌「し…知り合い……?」

梨子「えぇ、焔ヶ丘高校の二年生、高坂穂乃果ちゃんよ」

穂乃果「高坂穂乃果です!よろしくね!あなたは?」

千歌「あっ…えっと……高海…千歌………です…」

穂乃果「へぇ~!じゃあ、千歌ちゃんだね!よろしく!!」

千歌「う…うん……よろしく……」

千歌(すごいグイグイくる……)

梨子「ごめん、穂乃果ちゃん……仕事中だったわね……ちょっと話したい事があったんだけど……」

千歌(話…?)

穂乃果「話!?なになに?」

梨子「うん…できれば、部屋で落ち着いて話したい事なんだけど……」

穂乃果「そうなの?じゃあ、お母さんに店番変わってもらうよ!お母さーん!!!」ダッダッダッ!

梨子「えぇ!?ちょ…ちょっと!?穂乃果ちゃん!?悪い…よ……って…」

千歌「行っちゃったね……」

梨子「はぁ…全く……ああいう所は昔から、なんにも変わってないんだから……」

千歌「え…?昔から?」

梨子「まあ、ちょっとね……学校は一回も一緒になった事ないんだけど、昔からこの和菓子屋にはよく来てたのよ。それで、同学年って事もあって穂乃果ちゃんとはよく遊んだの」

千歌「へぇ~…梨子ちゃん、ちゃんと友達いたんだね……」

梨子「ん?なんかバカにしてる?」

千歌「してないしてない」

穂乃果「うぅ…」トボトボ…

梨子「あれ…?ダメだったの…?」

千歌(うわぁ…分かりやすい……)

穂乃果「うん……普通に怒られた……よく分かったね……梨子ちゃんエスパー…?」シュン…

梨子「いや…エスパーではないけど……」

穂乃果「でも、頑張って頼んだら、あと10分だけでいいって言ってくれたよ!!」パアッ…!

梨子「そうなの…?じゃあ、少し待たせて貰ってもいい?」

穂乃果「うん…!じゃあ、私の部屋使っていいよ!さっ!上がって上がって~!千歌ちゃんも~」

梨子「えぇ!?悪いわよ…ここで待たせてもら…

穂乃果「いいから!いいからー!ほらほらー!」グイグイ

梨子「わわっ!ちょ…押さないでよ!分かったわよ!部屋で待たせて貰うから!」

穂乃果「ほんと!?じゃあ、後でお茶とほむまん持ってくね!!」

千歌「あはは……」

千歌(ほんと、すごいグイグイくる子だな……)

梨子「じゃあ、千歌ちゃん行きましょう。穂乃果ちゃんの部屋、二階だから」

千歌「あっ、うん!じゃあ、使わせてもらうね、穂乃果ちゃん…!」

穂乃果「ごゆっくり~」フリフリ



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穂乃果部屋-


千歌「わっ、漫画いっぱい…」

梨子「あぁ、昔からそうなのよね。まあ、全然巻数揃ってなくて読むの大変だけど……」

千歌「あはは…本当だ……」

千歌「………」

梨子「………」

千歌「え…えっと……」

梨子「なに?どうしたの?」

千歌「う…えっと……」

千歌「………」

梨子「………」

千歌「その……」

梨子「………」

千歌「………」

千歌「お…怒ってないの……?」

梨子「怒ってるわよ」

千歌「えっ…」

梨子「当たり前じゃないの、騙された上に、千歌ちゃんが不良だったなんて」

千歌「あぅ……そ…そうだよね……」

梨子「だから謝って!」

千歌「……え…?」

梨子「まだ、私、千歌ちゃんに謝ってもらってないわよ?だから、謝って」

千歌「え……で…でも……謝るって、どうこうなる問題じゃ……」

梨子「どうこうなるわよ!謝ってくれたら、許すわ」

千歌「ゆ…許すって……そんな簡単な問題じゃ……ないよ……」

梨子「そう?」

千歌「だ…だって……私…不良なんだよ……?」

梨子「………」

梨子「…そうね……」

千歌「梨子ちゃんが、前に苦手だって言ってた不良なんだよ……?」

梨子「言ったわね……」

千歌「それに、私……今は本当にどうしたらいいのか分かんなくなっちゃって……不良である事だって辞めるかどうか……」

梨子「………」

梨子「千歌ちゃんが、どう考えてるのか、はっきりとは分からないけど……」

千歌「………」

梨子「私は、やっぱり不良は辞めた方がいいと思うわよ?」

千歌「えっ……」

千歌「じゃ…じゃあ……」

梨子「? どうしたの?」

千歌「うぅ………その……もし…」

千歌「もし、私が不良を辞めないって言ったら……その…どうなるの……?」

梨子「辞めて!って言うわね」

千歌「え…?」

梨子「えぇ……」

千歌「で…でも……」

梨子「………」

千歌「あぅ……」

梨子「………」

梨子「千歌ちゃん…何か勘違いしてない?」

千歌「か…勘違い……?」

梨子「うん。言っておくけどね、私は、なにがあっても千歌ちゃんと友達である事を辞めるつもりはないわよ?」

千歌「…!!」

梨子「例え、千歌ちゃんが不良でも、ましてや、タバコを吸ってたり、犯罪を犯したりしたとしても……関係ない」

梨子「私は、いつだって千歌ちゃんの味方だし、千歌ちゃんが私が思う良い方向に進んでくれるなら、応援するし、逆に、私が思う悪い方向に進んでるなら、叱ってあげる」

千歌「梨子ちゃん……」

梨子「でも、最終的に決めるのは千歌ちゃん本人………たとえ、それが私の願う方向と違ってたとしても、私は理解するわ」

梨子「一緒に本気になって悩んであげて、最後は理解してあげる……」

千歌「………」

梨子「友達ってそういうもんでしょ?違う?」ニコッ

千歌「…!」

千歌「友達……」

梨子「えへへ、ちょっとクサすぎたかな…?///」テレテレ…

千歌「ううん……」

千歌「そんな事ないよ……」

梨子「え?そ…そう…?」

千歌「その通りだよ……ごめん……私……何も分からなくなってた……」

千歌「絵里先輩にも言われたのに……」

梨子「え?絵里先輩?」

千歌「うん…!病室でね、隣だったから」

梨子「隣…!?だ…大丈夫だったの…?」

千歌「大丈夫だよ!誤解は解けてたし」

梨子「そ…そう……」

千歌「でも、まさか梨子ちゃんに友達論を諭されるなんて……」

梨子「ん?バカにしてない?」

千歌「してないしてない」

梨子「してるじゃない……なによ、私だった友達いるのよ?」

千歌「穂乃果ちゃんだけでしょ?最近は会ってないみたいだけど……」

梨子「うっ…た…たしかに、最近は会ってないけど……」

梨子「で…でも…!友達が穂乃果ちゃんだけって事はないわよ!?海未ちゃんだって、ことりちゃんだっているし!」

千歌「海未ちゃん?ことりちゃん?」

梨子「穂乃果ちゃんと仲が良かった子達よ、学校こそ違ったけど、良く遊んだの」

千歌「ふーん…」ゴロンッ…

梨子「あ!千歌ちゃん、人の家で横になって…」

千歌「いいのいいの、もう穂乃果ちゃんとは友達だしね」

梨子「それはそうだけど……」

千歌「あと、私は疲れたんだよ、少しくらい横になっても………って、ん?なんか落ちてる……」

千歌「なんだろ…?」

梨子「あんまりいじらないのよ?穂乃果ちゃんの物なんだから」

千歌「分かってる分かってる~」

千歌「よっと…!」スッ!

千歌「…!?」

梨子「あぁ…もう……そんな勝手にいろいろ触ったら、穂乃果ちゃん怒るわよ…?」

千歌「………」

梨子「? どうしたの?千歌ちゃん…」

千歌「り…梨子ちゃん……」

梨子「なに?」

千歌「これ…」スッ…

梨子「…!?」

梨子「こ…これは……」

穂乃果「おまたせー!!いやぁ~!やっと店番終わったよ!!」ガララッ!!

千歌「あ…」

梨子「あ…」

穂乃果「え?」


熊のパンツ ゴゴゴゴゴゴゴ…


穂乃果「あああっーー!!!それ、穂乃果の無くしてたパンツ!!!」

千歌「え…」

梨子「え…」

穂乃果「あ…」


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-----------------
--------------


穂乃果「うぅ…ぐすん……」

梨子「………」

千歌「ほ…穂乃果ちゃん……」

穂乃果「もうヤダ……お嫁に行けない……」

梨子「いや、そんな事ないわよ…?」

穂乃果「そんな事あるよ…!だって……」

穂乃果「高校生にもなって、あんなパンツ履いてるのがバレたんだよ!?もう死ぬ!!」

千歌「あはは…」

梨子「いいじゃないの、可愛いわよ?熊さん」

穂乃果「あっー!!梨子ちゃん、またバカにしてるでしょ!!私だって好きであんなの履いてるわけじゃないんだからね!!」

梨子「そうなの?」

穂乃果「そうだよ!!好きで履くわけないじゃん!!お母さんが勝手に買ってくるんだよ!!」

穂乃果「私だって、本当は、もっと大人なパンツがが欲しいよ!!でも、お母さんにそう言うのは恥ずかしいし、言うタイミングも分かんなくて、いつの間にか高校生になっちゃってたんだよ!!」

梨子「あはは…」

千歌「き…気にする事ないよ……私も…お母さんに買ってきてもらってるし……」

穂乃果「え…?」

梨子「ち…千歌ちゃんも…?」

千歌「あ…」

穂乃果「…てことは……」

穂乃果「…」ピラッ…

千歌「あああっー!!!」バッ!!!

穂乃果「あ……」

千歌「み…見た……?///」

穂乃果「う…うん……」

穂乃果「………」

穂乃果「み…みかんがいっぱい……」

千歌「…!!!」

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--------------


千歌「うぅ…ぐすん……」

穂乃果「ご…ごめんって……」

千歌「もうヤダ……お嫁に行けない……」

梨子「そんな事無いわよ、可愛いわよ?みかん」

千歌「…!」

千歌「ま…また、そうやってバカにして……!」

梨子「あはは、してないしてない」

千歌「してるじゃん!!」

梨子「本当にしてないわよ?二人とも、可愛くて良いと思うわ!」

千歌、穂乃果「…!!」

穂乃果「千歌ちゃん……」ゴゴゴゴゴ…

千歌「うん……穂乃果ちゃん……」ゴゴゴゴゴ…

梨子「あれ?どうしたの?二人とも……目が怖いわよ…?」

穂乃果「梨子ちゃんのパンツも見せろーー!!」ガバッ!!!

梨子「えぇ…!?ちょ…」

千歌「捕まえた!」ガシッ!!

梨子「ぐえ…!ちょ…やめ…」

千歌「今だよ!!穂乃果ちゃん!!!」

穂乃果「うん…!」

梨子「嘘!?ちょ…やめて!?きょ…今日は…

穂乃果「ご開帳!!!」バッ!!!

穂乃果「…!!??」

千歌「…!!??」

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--------------


穂乃果「お…大人だった……」

千歌「大人だったね……」

梨子「な…なによ!!そのリアクションは!!大人じゃないわよ…!!///」

穂乃果「いや…でも……」

千歌「さすが、桜内さんって感じというか……」

梨子「さん付けで呼ばないで!?普通よ!!高校生なんだから!!」

穂乃果「普通と言われても、私達子供には分からない話で……」

梨子「じゃあ、もういいわよ!!それよりも…」ゴソゴソ…

千歌「ん?どうかしたの?」

梨子「完成したの…」

千歌「?」

梨子「はい…!これ!」スッ

千歌「あっ…!」

穂乃果「え?なに?ノート?」

千歌「そっか……完成したんだ……!」

梨子「えぇ…あれから、結構頑張ってね、昨日やっと満足のいくものができたの…!」

穂乃果「え?なになに?穂乃果、分かんないよ?」

千歌「曲だよ!曲!!梨子ちゃんが作った!」

穂乃果「えぇ!?きょ…曲!?梨子ちゃんが作ったの!?」

梨子「う…うん……えへへ…///」

穂乃果「す…すごい……たしかに昔からピアノは上手かったけど……」

千歌「見ていい…?」

梨子「うん…」

千歌「じゃ…じゃあ…」ピラッ…

穂乃果「…!」

穂乃果「おー!すごい!!楽譜だ!!」

千歌「………」ジーー…

穂乃果「え?千歌ちゃん……もしかして…」

千歌「………」ジーー…

穂乃果「分かるの…?楽譜……」

千歌「いや…」

千歌「全然分からない……」

穂乃果「えぇ!?そ…そうなの!?じゃあ、なんでそんな真剣に……」

千歌「いけるかと思って……私、ちょっとは勉強したから……」

梨子「ふふっ、そうね……最初に楽譜を見せた時に、千歌ちゃん勉強してきてくれたもんね……」

千歌「でも、やっぱり全然分からなかった……ごめん……」

梨子「いいのよ、楽譜は難しいし、見ただけで、どんな曲か分かるには時間も必要だわ。だから……」ゴソゴソ…

穂乃果「?」

梨子「これ!さっき、家出る前に録音してきたの…!」スッ

穂乃果「おー!ウォークマン!!それなら、穂乃果でも分かるよ!!」

千歌「すごい…!これ、梨子ちゃんが弾いたの?」

梨子「もちろんそうよ?私以外、誰が弾くのよ」

千歌「あはは…いや……なんか、すごすぎて……」

梨子「そうは言っても、上手く弾けるまで時間かかったのよ?そのせいで、千歌ちゃんとの集合時間にも遅れたんだから」

千歌「あ…、あー…それで遅れたんだ……」

穂乃果「ねー!ねー!早く聴こうよ!私、もう待ち切れないよ!」

梨子「ふふっ、分かったわ。じゃあ、流すわよ……」

千歌「………」ゴクリッ…

穂乃果「………」ワクワク…

梨子「…」ポチッ


♪~


千歌「わぁ……」

穂乃果「綺麗……」


♪~


千歌「なんか…優しい感じ……」

穂乃果「でも、力強くて明るい……」


♪~


千歌「………」

穂乃果「………」

梨子「………」



♪~………ポチッ


梨子「…と、まぁ、こんな感じなんだけど……ど…どうかな……?///」

千歌「すごいよ……」

梨子「え…?」

千歌「うん…すごい……」

穂乃果「すごい……」

穂乃果「すごい!すごい…!!」

千歌「すごい!すごいよ!!梨子ちゃん!!!」

梨子「え…そ…そう……?///」テレテレ…

梨子(この子達、すごいしかボキャブラリーないのかしら……)

穂乃果「私、感動しちゃったよ!!曲聴いて、こんな感動した事なんて初めてだよ!!」

千歌「私も!!歌詞の無い曲で、こんなに聴き入っちゃったの初めてだよ!!本当にすごいよ!梨子ちゃん!!」

梨子「えへへ…そんなに言われると、照れるわね……///」テレテレ…

穂乃果「急に梨子ちゃんが訪ねてきたから、何かと思ったら、こんないい曲聴かせてもらえるなんて…!!」

梨子「ふふっ、でも、今日は曲を聴いてもらいに来ただけじゃないのよ?」

穂乃果「え…?まだ、何かあるの?」

梨子「うん……むしろ、本題はこっち……」

千歌「…?」

梨子「千歌ちゃん…!穂乃果ちゃん…!」

穂乃果、千歌「は…はい……」ゴクリッ…

梨子「作詞……やってみない……?」

穂乃果「え…?」

千歌「さ…」

穂乃果、千歌「作詞…!!??私達が!?」

梨子「うん、作詞……この曲に歌詞を書いて欲しいの……二人に…」

千歌「こ…この曲に……」

穂乃果「で…でも……私、作詞なんてやった事ないよ…?なにしていいか……」

千歌「私も……。こんないい曲に付ける歌詞なんて考える自信ないよ……?」

梨子「いいのよ?別にチグハグでも……」

梨子「二人が作ってくれる事が大事なの」

千歌「え…?わ…私達が…?」

梨子「うん……この曲のコンセプトは、「友達」なの」

穂乃果「友達……」

梨子「昔からの大切な友達の穂乃果ちゃんと、高校でできた大切な友達の千歌ちゃん……二人の事を思って書いた曲なの……」

千歌「そ…そうだったんだ……」

穂乃果「えへへ…なんか照れるね……///」

梨子「だから、この曲は3人で完成させたいの……例え、それが、どんなに稚拙でも……」

千歌「梨子ちゃん……」

穂乃果「そっか……うん…分かったよ…!梨子ちゃん!やるよ!!やってみる!!千歌ちゃんも、いいよね?」

千歌「うん!もちろんだよ!!私も、作りたい!この3人で1つの曲!!」

梨子「二人とも…!」パアァッ…!

千歌「よーし!そうと決まったら、さっそく作詞に取り掛かるぞー!!!」

穂乃果「おー!!!」




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--------------

3時間後-


穂乃果「私の美学……私の美貌……」

千歌「手が届かない高嶺のフラワー……」

穂乃果「ドンウォーリー…ドンウォーリー…」

千歌「冷たいヤケドを教えてあげる……」

穂乃果「………」

千歌「………」

梨子「………」

梨子「どういう歌よ……それ……」

穂乃果「だって、なんにも思いつかなくて……」

千歌「作詞、難しすぎ……」グタッ…

スマホ ピロリンッ♪

千歌「んあ?凛ちゃんからLINEだ…」

穂乃果「凛ちゃん? もしかして、それって星空凛ちゃんの事?」

千歌「え!?知ってるの?」

穂乃果「うん、中学一緒だったから。凛ちゃん、すごい不良で有名だったし……」

千歌「あー…なるほどね……」

穂乃果「そっか、凛ちゃん、水見色行ったんだ…ふーん……」

梨子「それで?凛ちゃん、どうかしたの?」

千歌「あぁ、いや……なんでもないよ」

千歌「うん……」

梨子「?」

千歌「……」


凛 : 退院おめでとうございます!なんだか元気が無いみたいですが、そんなの千歌先輩らしくないですよ?細かい事は気にせずに、また一緒に遊びましょう!


千歌「ふふっ……」

千歌(これ、励ましてくれてるのかな……)

千歌「………」スッスッスッ…


千歌 : 心配かけてごめんね?でも、もう大丈夫!明日からは学校行けるから、また遊ぼうね!


千歌「よしっ…と……」

穂乃果「ちょっとー!千歌ちゃん、スマホいじってないで、ちゃんと考えてよ!!」

千歌「あぁ、ごめんごめん」

千歌「何か進んだ?」

穂乃果「………」

穂乃果「………なにも……」

千歌「ですよね……」

梨子「まあ、別に今日決めないといけないわけじゃないから、大丈夫よ。そんな簡単にできるものじゃないしね」スクッ…

穂乃果「あれ?梨子ちゃん、帰るの?」

梨子「えぇ、外も暗くなってきたし、今日は帰らせてもらうわ。また今度ね」

千歌「じゃあ、私も帰ろっかな」スクッ…

穂乃果「あ、梨子ちゃん、ノートとウォークマン忘れてるよ!」

梨子「それは貸しとくわ、作詞に必要でしょ?」

穂乃果「いいの!?やったー!」

梨子「千歌ちゃんにも、また作って渡すね」

千歌「助かるよ~、ありがとう梨子ちゃん」

穂乃果「じゃあ、なんかいい歌詞浮かんだら、連絡するね!千歌ちゃん!」

千歌「うん!私もそうするよ!」

梨子「進んだら、私にも見せてよ?二人だけに任せておくと大変な事になりそうだから……」

千歌「あー、はいはい…大変な事にはならないけど、ちゃんと見せるよ」

スマホ ピロリンッ♪

千歌「ん?お母さんからだ…」


母 : 美渡が、邪魔だって言って、千歌のスクーター届けにきたわよ。はやく帰ってきなさい


千歌「…!?」

梨子「どうかしたの?」

千歌「オレンジみかん号が……」

梨子「は?」

穂乃果「オレンジみかん号…?」

千歌「オレンジみかん号が戻ってきた……!」

千歌「オレンジみかん号が、戻ってきたんだよ…!!!」

梨子「いや、何言ってるのか、全然分かんないんだけど……」

千歌「スクーターだよ!スクーター!!ほら、この前、静岡に置いてきちゃったって言ったじゃん!」

梨子「あー…そういえば、言ってたわね」

穂乃果「へぇ~!千歌ちゃんも乗るんだ!」

千歌「穂乃果ちゃんも?」

穂乃果「うん!私のは超クールだよ!今度、見せてあげるよ!」

千歌「わぁ~!ほんと!?楽しみだよ~!」

梨子「千歌ちゃんのも、なんか良いやつなんでしょ?曜ちゃんが言ったけど」

千歌「うん!私のも超クール!!まあ、梨子ちゃんには、すぐに見せてあげるよ!」

梨子「はぁ…まあ、少し楽しみね」

千歌「よーし!そうと決まったら、早く帰ろ!梨子ちゃん!」

梨子「えぇ…じゃあ、またね、穂乃果ちゃん」ニコッ

穂乃果「うん!またね~!」フリフリ

穂乃果「千歌ちゃんも、またね~!」フリフリ

千歌「うん…!また今度、スクーター見せてね!」

千歌「よし!じゃあ、行こう!梨子ちゃん!」

梨子「はいはい、分かったわよ…」

穂乃果「じゃあね~」フリフリ


ガララ…パタンッ…


穂乃果「………」

穂乃果(………)

穂乃果「あっ…!ほむまん出すの忘れた!!」

穂乃果「うぅ…千歌ちゃんに食べてもらいたかった……」

スマホ プルルルルル…♪

穂乃果「ん?海未ちゃんから電話だ」

穂乃果「はい!もしもし!穂乃果だよ!!」

穂乃果「………」

穂乃果「あはは…ごめんごめん……」

穂乃果「それで、どうしたの?急に」

穂乃果「………」

穂乃果「え……?」

穂乃果「………」

穂乃果「そっか……ツバサさんが……」

穂乃果「分かった……時間は?」

穂乃果「………」

穂乃果「明日の夜ね……うん…空けとく……」

穂乃果「………」

穂乃果「ふふっ…心配しなくても大丈夫だよ、ツバサさんは悪い人じゃない……うん……」

穂乃果「………」

穂乃果「うん…じゃあね…また明日……」

穂乃果「………」ポチッ…

穂乃果「………」







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秋葉原 路地-


千歌「楽しみだなぁ~!早く会いたいなぁ~!オレンジみかん号!!」トコトコ

梨子「また、すごいネーミングセンスね……千歌ちゃんも…」トコトコ

千歌「えぇ…!?オレンジみかん号は、アリでしょ!!」トコトコ

梨子「ん~…まあ、「千歌ちゃん号」とか「ダイヤモンドプリンセス号」に比べたらマシだけど……」トコトコ

千歌「当たり前だよ!あれと並べられちゃあ、心外ってもんだよ!」トコトコ

梨子「まあ、レベルが違うからね……曜ちゃんのは、ネーミングセンス以前の問題だし、絵里先輩のは、純粋にダサいし……」トコトコ

千歌「あはは、たしかに!なんで、ダイヤモンドプリンセス号なんて付けたんだろ?かっこいいと思ったのかな?」トコトコ


ドカッ! バキッ!


千歌「ん?なんの音……?」

梨子「こっちの方から聞こえるわね…」スッ…

梨子「…!?」


ヤンキー「オラァ!水見色の奴らは皆殺しだ!!」ドカッ!

生徒「あ…あぅ…や…やめて……」

ヤンキー「やめるわけねぇだろ!!オラァ!」バキッ!


梨子「あ…あの子…!ウチのクラスの…!」

千歌「やばい…と…止めなきゃ…!!やりすぎてる…!!」ダッ!!

梨子「あぁ…!千歌ちゃん…!!」

千歌「ちょ…ちょっと…!」ザッ…!

ヤンキー「あ?誰だ…?お前」

生徒「あ……ち…千歌ちゃん……それに、桜内さんも……」

ヤンキー「なんだ?お前ら、知り合いか?」

梨子「ち…千歌ちゃん…!!ダメよ…?」

千歌「分かってる……」

千歌「ふー……」

千歌「……」

ヤンキー「なんだよ、何か言えよ、コラ」

千歌「うん……」

千歌「えっと……その子、ウチのクラスの友達なんだ…離して欲しいんだけど……いいかな…?」

生徒「千歌ちゃん……」

ヤンキー「あぁ!?ダメに決まってんだろうが!!水見色は全員潰すんだよ!!」

千歌「っ…」

ヤンキー「お前ら、こいつのクラスメイトって事は、水見色か?だったら、そこで待ってろよ。こいつが終わったら、すぐ殺してやるから」

千歌「っ…!」

千歌(ぶ…ぶん殴りたい……)

千歌(100%私の方が強いのに……)

ヤンキー「なんだ?威勢良く助けにきたくせに、もうだんまりか?はっはっはっ!とんだ腰抜け野郎だな!!」

千歌「……」ムカッ…

千歌(こ…こらえろ……私…)

千歌(穏便に……穏便に済ませるんだ……)

千歌「え…えっと……もう一度言うけど…離してもらっていいかな……?」ニコォ~…

梨子(お…おぉ……千歌ちゃん頑張ってる……)

ヤンキー「あぁ?なんだ、その引きつった笑顔は!!気持ち悪りぃんだよ!!アホ毛が!!」

千歌「…」プツンッ…

千歌「よし…!お前ら、死刑!」ニコッ!

梨子「千歌ちゃん…!!??」

ヤンキー「は?なに言って…

千歌 ザッ…!

ヤンキー「…!」


バキィッッッ!!!!


ヤンキー「ぶはっ…!!」フワリッ…!

ヤンキー「…!?」

ヤンキー「あがっ…ぐ…くはっ…!」ゴロゴロゴロ…!

ヤンキー「うっ…あっ…」ズザアァァァァッッッ!!

ヤンキー「あぐぁっ…」ドカッ!

ヤンキー「あぅ…」ズルリ……

生徒「…!?」

梨子「はぁ…もう……全く……」

ヤンキー「え…?と…飛んだ……!?人が……パンチ一発で……」

千歌「次、お前」

ヤンキー「…!?」

ヤンキー「ひっ…!す…すみませんでした!!ごめんなさい!!もう帰ります!!!」

ヤンキー「お…おい…!!退くぞ!!」ユサユサ…!

ヤンキー「………」

ヤンキー「ダ…ダメだ……完全にのびてる……」

ヤンキー「ちっ…!しょうがない…」ガシッ!

ヤンキー「重っ…」

ヤンキー「引きずってくしかないか…!」

ヤンキー「………」ズルズル…


千歌「あれ?行っちゃった……」


トスッ!

千歌「あいたっ…!」

梨子「あれ?じゃないわよ!!全く!!暴力はダメって言ったでしょ!?」

千歌「あ…あはは……でも、まあ…助けられたわけだし……」

梨子「まあ…それはそうだけど……」

生徒「ありがとう、二人とも……二人がいなかったら、私……」

千歌「あ!だ…大丈夫?ずいぶん、ひどくやられたみたいだけど……」

梨子「そうだ…!救急車呼ぶわね…!!」

生徒「うん…お願い……ありがとう…桜内さん……」

千歌「なにがあったの?あいつら誰…?」

生徒「なにもないよ……ただ、普通に部活から帰ってきてただけで……」

生徒「そしたら、急にあの人達が、私のジャージを見て、「水見色は潰す」って言ってきて……」

千歌「そんな……なんで……」

生徒「たぶん…あの人達……焔ヶ丘の人だよ……今、水見色潰ししてるって噂の……」

千歌「…!」

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絵里「えぇ……中でも、私たちと焔ヶ丘は、ずっと対立してるの。一年前のある事件をきっかけにね……」

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千歌「そういえば…絵里先輩が……」

生徒「それにしても、すごいね……千歌ちゃん……なにか格闘技やってたの…?」

千歌「あっ…い…いや……格闘技とかはやってないけど……」

生徒「けど…?」

千歌「え…えっと……自己流というか……」

生徒「?」


ピーポーピーポーピーポー!


梨子「あ!救急車来たわよ!」

千歌「ほんとだ!立てる…?」

生徒「う…うん……なんとか……」フラリッ…

千歌「付き添った方がいい?」

生徒「いや、大丈夫だよ…ありがとう……」

生徒「桜内さんも、ありがとうね、また学校で…」

梨子「う…うん…!お大事にね…!」

ピーポーピーポーピーポー!

救急隊員「大丈夫ですか!?」ガチャ!

生徒「は…はい……なんとか……」

救急隊員「…!ひどい怪我だ……すぐに病院に連絡を…!!」

バタバタ…!バタバタ…!


千歌「………」

千歌(本当にひどい怪我だった……)

千歌(そこまでやれるって……)

千歌(………)

千歌(焔ヶ丘と水見色……)

千歌(一体、なにがあったんだろ……)












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期待

梨子ちゃんの嫁感凄い


次の日 朝-


千歌「フンフンフーン」ブロロロ…

千歌「やっぱり、最高だな~!オレンジみかん号は」ブロロロ…

千歌「歩きより早いから、家を遅くに出ても間に合うし…♪」ブロロロ…

梨子「はぁ…はぁ…」タッタッタッ…

千歌「ん…?」ブロロロ…

千歌「前にいるの梨子ちゃんかな?」ブロロロ…

梨子「はぁ…はぁ…」タッタッタッ…

千歌「あっ、さては遅刻しそうだから走ってるんだな?徒歩登校は大変ですなぁ」ブロロロ…

梨子「はぁ…はぁ…」タッタッタッ…

千歌「………」ブロロロ…

梨子「はぁ…はぁ…」タッタッタッ…

千歌「………」ブロロロ…

梨子「はぁ…はぁ…」タッタッタッ…

千歌「あの~…梨子ちゃん……?」ブロロロ…

梨子「あっ…!ち…千歌ちゃん…!お…おはよう……」タッタッタッ…

梨子「スクーター……さっそく乗ってきたのね……」タッタッタッ…

千歌「おはよう……えっと…その……乗せてあげようか…?」ブロロロ…

梨子「えぇ…!?ダメよ…!二人乗りなんて……!それに、千歌ちゃんヘルメットもしてないし……」タッタッタッ…

千歌「えぇ……でも……」ブロロロ…

梨子「はぁ…はぁ…なに……?」タッタッタッ…

千歌「そのペースだと遅刻するよ…?」ブロロロ…

梨子「なっ…!」タッタッタッ…

梨子「しょ…しょうがないでしょ!!私、足遅いんだから!!」タッタッタッ…

千歌「遅すぎるよ……」ブロロロ…

千歌「ていうか、それ走ってるの……?」ブロロロ…

梨子「走ってるの…!!全力なの…!!もう!失礼なんだから!!」タッタッタッ…

千歌「そう……」ブロロロ…

梨子「先行ってていいわよ…!」タッタッタッ…

千歌「………」

千歌「…」スッ…

梨子「千歌ちゃん…!?」タッタッタッ…

千歌「私も走る!」

梨子「えぇ…!?でも、スクーター引いて走るなんて…」タッタッタッ…

千歌「おりゃあああ!!!」タッタッタッ!

梨子「えぇ…!?ちょっと…!!」

千歌「おりゃああああ!!!」タッタッタッ!

梨子「もー!なんで、私より速いのよー!!」



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二年生 教室-


曜「え!?オレンジみかん号、戻ってきたの!?」

千歌「うん…!!昨日ね!美渡姉が運んできてくれたの!」

曜「わぁ~!良かったね!!千歌ちゃん!」

梨子「前に、千歌ちゃんのスクーターすごいって言ってたけど、どこがすごいの?たしかに、オシャレではあったけど……」

千歌「ふふんっ!教えてあげよう!私のはね、なんとイタリアのベスパって奴なのさ!!」

梨子「ベスパ…?知らないけど……」

千歌「まあ、梨子ちゃんは知らないだろうね。でも、本当にすごい奴なんだよ?値段も高いし、歴史もあって、スクーター乗りの中じゃベスパは憧れだよ」

曜「映画とかでも、使われたからね!ローマの休日とか!」

梨子「へぇ~、そんなすごいの、よく買えたわね」

千歌「親戚の人がくれたんだよ!さすがに、買えないって…!高すぎて」

生徒「ねぇねぇ、高海さん!桜内さん!ちょっといい?」

千歌「え?うん、いいよ!なに?」

梨子「どうかしたの…?」

曜「?」

生徒「昨日、焔ヶ丘に襲われた○○を助けてくれたんだって?さっき、○○がLINEで言ったよ!」

千歌「あっ…う…うん……遅かったけどね……」

生徒「でも、○○感謝してたよ!それを伝えてくれって!」

千歌「そっか……わざわざ、ありがとね!」

生徒「うん!それじゃあね~」

千歌「………」

千歌「…そっか……○○さん、入院してるのか……」

梨子「ひどい怪我だったからね……本当に…」

曜「………」

曜「…え?二人とも、昨日、なにかあったの?」

千歌「うん……」

千歌「実は、昨日……」



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昼休み 屋上-


千歌「…って事があって……」

花陽「えぇ…!?ほ…焔ヶ丘の人を殴っちゃったんですか…!!??」

千歌「は…はい……」

凛「なんにゃそれ!この前まで、あんなに落ち込んでたのに!!」

千歌「うぐっ…」

曜「あはは…でも、まあ、今回は人助けでもあったわけだし…セーフ…

花陽「アウトです…!!」

曜「え…」

花陽「千歌先輩!梨子先輩!名前はバレてませんか?」

千歌「え?名前……?」

梨子「ん~……○○さんが、私達の名前呼んでたわね……あと、たしか、私も千歌ちゃんって言ったわ」

花陽「そんな…!」

花陽「終わりです……」ガックシ…

千歌「いやいや、そんなちょっと呼んだくらいの名前だし、覚えてるわけ…

花陽「覚えてますよ!!特に千歌先輩は!!」

千歌「え…?そ…そうなの……?」

花陽「知らないんですか?今、千歌先輩はアキバの不良の中じゃ、ちょっとした有名人なんですよ?」

千歌「ゆ…有名人…!?なんで…!?」

花陽「「アキバの暴れ猫」と「氷の女王」を倒して、水見色を制覇したって噂になってます。もちろん、絵里先輩含む三年生は否定してますが……」

千歌「えぇ…!?せ…制覇ぁ…!?」

凛「凛はやられた覚えは無いにゃ」

曜「不良は、自分達の地域の勢力図には敏感だからね……噂になってもおかしくないね……」

梨子「なんか、凄い事にになってるわね……千歌ちゃん……」

花陽「はい……ですから、その倒した焔ヶ丘の生徒が、千歌先輩の事を知っていた可能性もあります……そうなれば、確実に記憶されてますよ……」

千歌「た…たしかに……」

花陽「千歌先輩は、焔ヶ丘に、完全に目をつけられたと思った方がいいですね……」

千歌「うそ……ど…どうしよう……」

凛「全員、ぶっとばせば、万事解決にゃ!」

梨子「ダメに決まってるでしょ…」ビシッ!

凛「いたっ!」

梨子「そうとなったら、とりあえず、千歌ちゃんは一人で行動しない事ね……幸い、私と曜ちゃんが家一緒だから、なるべく一緒にいれるし……」

曜「そうだね……千歌ちゃんは、もう喧嘩しないって決めたわけだし……」

千歌「うん……そうだね…」

梨子「あれ?千歌ちゃん、喧嘩しない事にしたの?なんか悩んでたみたいだったけど……」

千歌「いや、今も悩んでるよ……自分の中で答えは見つかってない……だから…」

梨子「……」

千歌「今は、梨子ちゃんに従ってみるよ…!それが、私の中でも一番しっくりくるしね…!」

梨子「千歌ちゃん…」

梨子「ふふっ、ずっとそうしていてくれれば、私も楽なんだけどなぁ~」

千歌「そうはいかないよ!梨子ちゃんも言ったように、最後は私が決めるから!」

梨子「じゃあ、私はそれまでに頑張って千歌ちゃん説得しなきゃね」

梨子「もちろん、曜ちゃんも…」

曜「え…!?わ…私も…!?」

梨子「むしろ、千歌ちゃんより危険だわ。喧嘩する気満々じゃないの」

曜「うっ……ひ…否定できない……」

花陽「み…みなさん、その…喧嘩しないのは素晴らしい事なんですが……」

梨子「どうしたの?花陽ちゃん」

花陽「たぶん…無理です……焔ヶ丘に目を付けられて、無事で済むとは到底思えません……」

曜「そ…そんなにまずいの……?」

花陽「はい…焔ヶ丘と水見色の対立は深いですからね……本当に何をされるか……」

梨子「対立…?焔ヶ丘と水見色が…?」

凛、花陽「…!?」

梨子「え…?ど…どうしたの…?二人とも……」

凛「し…知らないんですか…!?アキバにいて!!」

梨子「え…?そ…そんな有名な話なの……?」

花陽「そうですよ…!!不良じゃなくても、アキバの人間なら全員知ってますよ!!常識です!!」

梨子「そ…そうなんだ……私、関係狭いから知らなかった……」

曜「私達も、転校してきたばっかりだから、分かんないんだけど……なにかあったの…?」

花陽「………」

凛「………」

花陽「はい……今から、ちょうど一年前になります……焔ヶ丘によって画策され、水見色を巻き込んだ大事件が起きました…通称「焔ヶ丘の変」……」

千歌「焔ヶ丘の…変……」

花陽「一年前…当時の秋葉原は、アキバ四天王のうちの二人……焔ヶ丘の松浦果南、小原鞠莉……この二人によって支配されていました……」

曜「アキバ四天王…?そんなのあるの?」

花陽「はい……今言った二人と、我が校の絵里先輩……それから、緑王学園の黒澤ダイヤ……喧嘩で圧倒的強さを誇ったこの四人の事を敬意を込めて、こう呼んでいるんです……」

千歌「ふーん…絵里先輩も、そのアキバ四天王とかいうやつの一人なんだ」

花陽「そうです…だからこそ、絵里先輩を倒した千歌先輩の名前も広まるんです……」

千歌「あはは…」

曜「じゃあ、絵里先輩を倒した千歌ちゃんは、アキバ四天王とやらの一人になれるんじゃない!?やったじゃん!!」

千歌「よ…よくないよ…!?もう、昔とは違うんだから!!」

曜「あっ、そ…そうだったね……あはは…」

千歌「で…でも……これで、もし本当に私がアキバ四天王とかになっちゃったら、どうしよう……」

花陽「それはありません」

千歌「え…?そ…そうなの…?」

花陽「なぜなら、今現在、アキバ四天王は既に消滅しているからです……一年前に松浦果南と小原鞠莉が年少に入ってから……」

千歌「ね…年少…!?何したの…!?」

花陽「傷害です。それも、水見色の生徒に対する大規模なもの……その場で大勢の警察官に取り押さえられ、現行犯逮捕されました」

梨子「そ…そんな事が……」

曜「危ない人達だね……その松浦果南って人と小原鞠莉って人……」

花陽「それはたしかに、そうです……二人は、大の喧嘩ジャンキーで、誰にでも、なりふり構わず暴力を振るう事で、アキバの人間から恐れられていました……」

花陽「でも……」

千歌「でも…?」

花陽「二人は、警察に捕まるようなヘマは絶対にしませんでした……見つかるような事は、もちろんしませんでしたし、後から訴えられたとしても、小原家の力で抑える事ができました……」

曜「小原家…?」

凛「小原鞠莉の家の事にゃ。アキバじゃ有名な資産家で、警察も頭が上がらないんだにゃ」

梨子「えぇ…!?そ…それで、犯罪も取り消されちゃうの…!?」

凛「まあ、警察なんてそんなもんにゃ」

梨子「そ…そんな……」

花陽「凛ちゃんの言う通りで、実際何度も、二人は罪を免れています」

千歌「じゃ…じゃあ、なんで捕まったの!?」

花陽「はめられたんです……」

曜「はめられた……?」

花陽「はい……事件当時、高校一年生だった、現焔ヶ丘番長……高坂穂乃果先輩によって……」

梨子、千歌「…!!??」

凛「………」

曜「高坂…穂乃果……」

花陽「はい……今は焔ヶ丘の二年生です……」

梨子「……」

梨子「え…?」

千歌「い…今……なんて…?」

花陽「え?いや、その…だから……今は二年生だって……」

千歌「そ…その前……」

花陽「え…?高坂穂乃果先輩ってところですか…?」

梨子「こ…高坂……穂乃果…?」

凛「そうにゃ…凛たちの中学の時の先輩の穂乃果先輩だにゃ」

千歌「え…」

梨子、千歌「えええええええええええええええええええええええええええええええ!!!???」

曜「ど…どうしたの…!?二人とも……」

梨子「う…嘘でしょ……?穂乃果ちゃんが……」

千歌「焔ヶ丘の番長で……焔ヶ丘の変の首謀者だなんて……」

花陽「し…知り合いなんですか…!?」

千歌「知り合いっていうか……」

梨子「友達よ……私も千歌ちゃんも……」

花陽「と…友達…!?穂乃果先輩と!?」

梨子「う…うん……昨日も会ったし……」

花陽「昨日会った…!?ど…どういう事ですか…!?」

千歌「いや…普通に……梨子ちゃんに呼ばれて……」

花陽「よ…よく殺されませんでしたね……」

千歌「こ…殺されるって……そんな大げさな…」

凛「大げさじゃないにゃ」

千歌「え…?」

凛「あの人は……あの人の喧嘩は……そういう喧嘩だにゃ……」

花陽「凛ちゃん……」

千歌「ほ…穂乃果ちゃんが……?」

梨子「し…信じられないわ……あんな普通の子なのに……」

曜「普通…なの……?なんか、今の話聞いた限りだと、すごい頭のキレる恐い人っぽいけど……」

梨子「そんな…!穂乃果ちゃんは、そういうのとは正反対にいる人よ…!!」

千歌「うん……少なくとも、頭がキレるタイプじゃないと思う……」

梨子「そうよ!穂乃果ちゃんが、そんな誰かをはめるなんて、できるはずないわ!!性格的にも、能力的にも…!!」

花陽「でも、現に起こった話です……今だって、穂乃果先輩は、松浦果南、小原鞠莉の恐怖からアキバを救った事から「アキバの救世主」と呼ばれていますし……」

曜「アキバの救世主……なんかかっこいいね……」

梨子「そんな……ダメよ…本当に信じられない……私は…私は小さい頃から、穂乃果ちゃんを見てきたんだから……」

千歌「わ…私も……まだ一回しか会ってないけど、穂乃果ちゃん、すごい良い子だったし、とても、そんな事するような子には見えなかった……」

凛「それは、昔の穂乃果先輩の事だにゃ」

梨子「え…?む…昔の……?」

凛「うん…凛が憧れた中学の時の穂乃果先輩……」

凛「今は……今は、もう変わっちゃったにゃ……」

梨子「そんな……でも…昨日は……」

凛「隠してたんじゃないかにゃ…?たぶん」

梨子「…!」

梨子「嘘……ヤダよ…そんな……友達なのに……」

千歌「梨子ちゃん……」

花陽「でも、穂乃果先輩は、たしかに変わってしまいました……」

花陽「昔は、ただ純粋に強さを求めて、喧嘩してたんです……だから、強い人としか喧嘩しなかったし、その人柄で、沢山の人から慕われてました……」

花陽「でも、今は違います……。自分の高校のためなら、なんでもする……そこには狂気すら感じます……」

曜「一番恐いタイプだね……そういう子は、喧嘩も負けない……」

梨子「違う…!!穂乃果ちゃんはそんなんじゃない……!!」

凛「………」

梨子「私……穂乃果ちゃんに電話してみる…!!」

千歌「え…!?い…今…!?」

梨子「うん…!だって、あっちもお昼休みでしょ?今なら、出るはずだから……」

梨子「………」スッスッスッ…

梨子「………」プルルルルル…

花陽「梨子先輩……」

梨子「………」プルルルルル…

梨子(お願い……!出て……)


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穂むら 穂乃果部屋-


スマホ プルルルルル…

穂乃果ママ「あっ!穂乃果ったら、またスマホ忘れて……」

スマホ プルルルルル…

穂乃果ママ「全く…いつになったら、忘れ物しないようになるのかしらね……あの子は…」

スマホ プルルルルル……


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水見色高校 屋上-


梨子「………」

梨子「出ない……」

千歌「そんな……」

花陽「おそらく…既に、千歌先輩と梨子先輩の事が穂乃果先輩に報告されている可能性があります……」

梨子「報告って……」

花陽「友達といえど、焔ヶ丘の生徒を殴ったとなれば、穂乃果先輩は容赦しません……」

梨子「そんな……」

梨子「嘘よ……そんなの……」

梨子「………」

千歌「…梨子ちゃん……」

梨子「………」







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焔ヶ丘高校 二年生教室-


穂乃果「あれ……おかいしな……」ゴソゴソ…

ことり「穂乃果ちゃん、どうかしたの?」

穂乃果「うーん…スマホが無くって……」ゴソゴソ…

海未「また忘れたのですか?」

穂乃果「いや、今日はちゃんと持ってきたと思ったんだけどなぁ~……」ゴソゴソ…

海未「全く……どうするんですか…もし、ツバサさんから連絡があったら……」

穂乃果「だよね……今日、会うことになってるし……連絡来ててもおかしくないかも……」ゴソゴソ…

穂乃果「ん…?」ゴソ…

穂乃果「あった…!」バッ!

穂乃果「あ…」

穂乃果「ウォークマンだった……」

海未「なんなんですか……あなたは……」

ことり「穂乃果ちゃん、ウォークマンなんて持ってたっけ?」

穂乃果「穂乃果のじゃないよ、これは梨子ちゃんに貸して貰ったの!」

ことり「梨子ちゃん!?会ったの…?」

穂乃果「うん!昨日ね!梨子ちゃんが家に来て、曲を作ったから歌詞を書いてくれって言われてね」

ことり「え~!?じゃあ、二人で一曲作っちゃうんた!すごいね!!」

穂乃果「あー、私と梨子ちゃんだけじゃなくて、梨子ちゃんの友達の千歌ちゃんって子も一緒に作詞やるんだよ!」

海未「千歌…?ですか……?」

穂乃果「うん…!どうしたの?」

海未「いえ……」

海未(千歌……どこかで聞いたような……)

ヤンキー「ほ…穂乃果さん…!!」ガララ…!

ことり「あっ…」

穂乃果「どうかしたの?そんなに急いで」

ヤンキー「た…大変なんすよ……昨日、水見色狩りしてたら……高海千歌に襲われたんですよ…!!」

穂乃果「…!?」

海未「高海…千歌……?」

海未「………」

海未「あっ…!ほ…穂乃果!!そうですよ…!高海千歌と言えば、凛と絢瀬絵里を倒して、水見色の番長になったと噂の…」

穂乃果「え…えぇ…!?千歌ちゃんが…!?」

ヤンキー「え…?知り合いなんすか…?」

穂乃果「知り合いというか……」

海未「昨日、その高海千歌と一緒に遊んだらしいんですよ……穂乃果は……」

ヤンキー「…!?」

ヤンキー「ほ…本当ですか…!?」

穂乃果「う…うん……昨日、お昼ぐらいに家に来て…それで暗くなるぐらいまで……」

生徒「そ…それじゃあ、ウチらが襲われた時間とも合うじゃないですか……」

穂乃果「ま…待って…!!でも、私には、そんな子には見えなかったよ…!間違いなんじゃ…」

生徒「いえ……高海千歌で間違いないと思います……最初は気づかなかったんですが……確実に千歌と呼ばれていましたし……それになにより、あの強さ……あれはただ者じゃありません……」

穂乃果「…!」

海未「穂乃果……残念ですが……」

穂乃果「うん……」

ことり「え…?ほ…穂乃果ちゃん……?」

穂乃果「いい友達になれると思ったんだけどなぁ……」

ことり「…!」

海未「仕方ありません……」

ことり「う…海未ちゃん……!」

ことり「う…嘘だよね…!?だって、一緒に曲を作るんだって、さっき……」

穂乃果「ことりちゃん……それでも、ウチの生徒に手を出した人間は生かしちゃおけないんだよ」

ことり「…!」

海未「分かってください…ことり……私達は、もう引き返せないんです……」

ことり「そんな……」

ヤンキー「穂乃果さん!じゃあ、高海の野郎、潰しにいきますか!?」

穂乃果「うん……でも、強いんでしょ?喧嘩」

ヤンキー「え…えぇ……だから、次はウチらも人数集めて……」

穂乃果「いいよ、めんどうだし…」

ヤンキー「え…?で…でも……そうでもしないと…」

穂乃果「私が行くよ」

ヤンキー「…!?」

ヤンキー「ほ…穂乃果さん直々に…!?」

ことり「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「私なら…一人でいいし、すぐ終わる」

ヤンキー「そ…そうですね…!!穂乃果さんなら、楽勝っすもんね…!!」

ヤンキー「す…すげぇ…!穂乃果さんの喧嘩が見れるかもしれないぞ……!」

海未「はぁ……じゃあ、それでいいですけど、今日はダメですからね?もしもの事があって、ツバサさんを待たせるような事になれば大変ですから」

穂乃果「分かってるよ」

穂乃果「やるのは明日……学校が終わってから……」

穂乃果「………」

ことり「そんな……」

ことり「おかしいよ……そんなの……」

海未「………」

キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…

穂乃果「………」

ことり「ほ…穂乃果ちゃん…!!やっぱり、やめようよ…!こんな事…!」

穂乃果「………」

穂乃果「無理だよ……もう……」

ことり「…!」

海未「………」

海未「さ、ことり……もう授業が始まります……席に戻りましょう……」

ことり「………」

ことり「う…うん……」

穂乃果「………」














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緑王の番長誰かと思ったらダイヤか
エリーチカとの絡みに期待

あと出てないのはにこのぞまきとよしまるびぃかな


焔ヶ丘高校 放課後-


キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…


海未「穂乃果、ちゃんと場所は覚えてますか?」

穂乃果「大丈夫!大丈夫!なんか高そうな中華屋さんでしょ?ちゃんと覚えたよ!」

海未「曖昧じゃないですか……」

穂乃果「まあ、でも、スマホにメモってあるから、それ見れば、大丈夫だよ!」

海未「それならいいですが……」

ことり「穂乃果ちゃん……本当に一人で大丈夫…?」

穂乃果「ん~……大丈夫だよ…!うん…!それに、一人でって言われちゃったし、従わないわけにもいかないから…」

ことり「私、心配だよ……そんな暴走族の人と一緒にご飯食べに行くなんて……」

海未「ことり……」

穂乃果「あはは……ことりちゃんには、いつも心配かけてばっかりだね……私……」

穂乃果「でも、本当に大丈夫!ツバサさんとは、もう仲良いし、それに、悪い人じゃないから…!」

ことり「本当…?」

穂乃果「うっ…」

穂乃果「うーん……たぶん……」

ことり「穂乃果ちゃん……やっぱり、こんな関係持つの辞めた方が……」

海未「ことり……心配なのは分かります……分かりますが……」

ことり「海未ちゃん……」

穂乃果「うん……」

穂乃果「もう、引き返せないから……」

海未「はい……」

ことり「………」

穂乃果「あはは…ごめんね…!ほんとに……」

穂乃果「でも…もう少し耐えれば、きっと、また昔みたいに戻れると思うから…!」

穂乃果「だから、ちょっとだけ待ってて…!私、頑張るから…!」

ことり「…穂乃果ちゃん……」

海未「………」

穂乃果「じゃあ、私、遅れるとマズイから、もう行くね?」

ことり「うん……気をつけてね…?」

海未「お行儀よくするのですよ?穂乃果はマナーがなってないですか…

穂乃果「あー!分かった!分かった!もう何回も言われたって!ちゃんとやるから!」

海未「はぁ……本当にお願いしますよ…?」

穂乃果「うん…!任せて!」

海未「穂乃果…」

穂乃果「ん?なに?」

海未「………」

海未「いえ……なんでもありません……それより、時間…送れますよ…?」

穂乃果「え…?あっ!本当だ!!急がないと!」

穂乃果「じゃ、私もう行くね!また明日!!」

穂乃果 タッタッタッ…

海未「………」

ことり「海未ちゃん……」

海未「………」

海未「大丈夫です……あと少しの辛抱ですから……」

ことり「………」















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水見色高校 放課後-


キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…


校門前-


花陽「それじゃあ、くれぐれも単独行動は避けるようにしてくださいよ…!本当に危ないので!」

曜「了解しました!命に代えても、千歌ちゃんを守るでありますっ!!」ビシッ!

千歌「お~!曜ちゃん心強い!!」

曜「えへへ……///」

梨子「いや、命に代えてもって……」


スマホ ピロリンッ♪


梨子「ん…?」

梨子(誰だろ……?)

梨子「…」スッ…


ことり : 梨子ちゃん、久しぶり!急で申し訳ないんだけど、今からって会えるかな…?もし、来れるなら、AKIBAカフェで待ってるね


梨子「…!」

凛「? 梨子先輩、どうかしたんですか?」

梨子「あ、い…いや……その…ことりちゃんからLINEが来て…今から会えないかって……」

凛、花陽「…!?」

花陽「こ…ことりちゃんって…まさか、南ことり先輩の事ですか…!?」

梨子「あ、やっぱり知ってる…?そうよね、たしか後輩なのよね」

曜「なになに?どしたの?ことりちゃんって誰?」

梨子「あ、えっと、穂乃果ちゃんの友達でね、すっごい可愛くて、女子力の塊みたいな子…

梨子「…って、あれ!?もしかして、私が知らないだけで、ことりちゃんも不良だったりして!?」

凛「いや…それは無いにゃ……」

花陽「ことり先輩は不良とは一番遠い存在ですからね……」

梨子「そ…そうなんだ……良かった……」

梨子「あっ、じゃあ、海未ちゃんは?真面目だし、悪い事はできなそうだけど……」

花陽「安心してください、海未先輩も不良じゃないですよ」

凛「でも、喧嘩はめちゃくちゃ強いにゃ。凛も何回も負けたし……」

梨子「そ…そう……たしか家が武道やってるのよね……海未ちゃんって……」

凛「そうにゃ、海未先輩は小さい頃から、武道全般やってるから、ほぼ無敵にゃ」

千歌「はぁ~…それは勝てる気がしないな……」

花陽「それで…なんで、ことり先輩が梨子先輩に会いたがってるんですか…?」

梨子「わ…分かんない……理由は書いてないし、最近は会ってなかったから……」

曜「もしかして……千歌ちゃんをおびき寄せるための…罠…?」

梨子「そ…それはないわよ…!ことりちゃんに限って……そんな……」

花陽「それは私も同意ですが……一応、ことり先輩も焔ヶ丘の人間ですからね……行くのは辞めた方が……」

梨子「………」

梨子「いや…私行くわ……」

花陽「…!」

花陽「で…でも…!」

梨子「これ以上、友達を疑うのは嫌なの……」

花陽「…!」

梨子「私は信じるわ……ことりちゃんを…」

花陽「梨子先輩……」

梨子「ごめんね…花陽ちゃん……花陽ちゃんは、私の事、心配してくれて言ってくれてるんだよね……でも……」

梨子「信じたいの……たとえ、それで裏切られたとしても……」

花陽「…!」

花陽「分かりました……梨子先輩がそこまで言うなら、私もことり先輩を信じます…!それに、私だって、ことり先輩の事信じたいですから…!!」

梨子「花陽ちゃん…!」

千歌「それじゃあ、私も行っていい?罠じゃないなら、むしろそっちの方が安全そうだし」

曜「じゃあ、私も行くよ!ことりちゃんって子、会ってみたいし!」

梨子「そうね、みんなで行きましょうか!私も、千歌ちゃんと曜ちゃんをことりちゃんに紹介したいし」

梨子「凛ちゃんもそれでいい?」

凛「えっ…」

凛「り…凛も……?」

梨子「えぇ…!行きましょう!」

凛「え…」

凛(うぅ…ことり先輩苦手なんだけどなぁ……)

花陽「一緒に行こうよ!凛ちゃん!」

凛「うぅ……か…かよちんがそう言うなら……」

千歌「よーし!じゃあ、凛ちゃんも行くって事で決定ね!」

凛「わ…分かったにゃ……」

梨子「じゃあ、ことりちゃんにもそう言っておくわね」

梨子「………」スッスッスッ…

凛(な…なんで、こんな事に……もう、ことり先輩に会う事は無いと思ってたのに……)

千歌「ん?凛ちゃん、どうかしたの?」

凛「………」

凛「なんでもないにゃ……」

千歌「?」






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数分後 AKIBAカフェ前-


ザワザワ… ガヤガヤ…


千歌「はぁ~……またオッシャレ~な所だね……」

曜「うん……さすが東京って感じ……」

凛「田舎者は黙ってるにゃ」

千歌、曜「…!?」

梨子「さ、入りましょう。ことりちゃん、もう着いてるって」

花陽「そうですね、待たせちゃ悪いですから」

凛「うぅ…ことり先輩に会うのは、気が重いにゃ……」

千歌「ちょ…ちょっと…!?今の発言は聞き捨てならないよ!?凛ちゃん!!」

曜「そ…そうだよ…!!それに、私は千歌ちゃんと違って沼津だから、まだ都会だし!」

千歌「あー!曜ちゃん、内浦をバカにした!!沼津だって、東京に比べたら、内浦と大差ないよ!!」

曜「そ…それはないでしょ!!沼津は高速道路通って…

凛「あーはいはい……どっちも田舎なんだから、もう黙るにゃ」

千歌、曜「なっ…!」

梨子「じゃあ、入るわよー」

千歌「ちょ…まだ決着ついてないんだけど!!」

梨子「はぁ……ついたじゃないの……凛ちゃんが言った通り、どっちも田舎よ……」

千歌、曜「…!?」ガーン!

千歌「そんな……」

曜「ひどい……」

梨子「はいはい」カランカラーン…

店員「いらっしゃいませー」

店員「何名様でしょうか?」

梨子「あ、人を待たせてるので…」

店員「では、あちらの席のお客様でしょうか?」

梨子「あ、そうです!ありがとうございます」

店員「それでは、ごゆっくりどうぞ」

梨子「はい、…さ、みんな行くわよ」

千歌「うぅ……」

曜「田舎だっていい所あるもん……」

梨子「もう…いつまでいじけてるのよ……別に田舎が悪いなんて言ってないわよ?」

千歌「言ってなくても、思ってるもん……」

曜「絶対見下してるもん……」

梨子「いや…そんな事ないわよ……」

ことり「?」クルッ…

ことり「あ…!」

ことり「おーい!梨子ちゃーん!」フリフリ

梨子「あ、ことりちゃん!」

千歌「あ…あの子が……ことりちゃん……」

曜「うわぁ~……すごい可愛い……こういうオシャレなカフェにいそう感がすごい……」

千歌「なんか…絵になるね……」

凛「千歌先輩達と違って、ことり先輩は都会的ですからね~」

千歌、曜「…!?」

梨子「もう…凛ちゃんも煽らないの…、ほら、行くわよ?」

千歌「は…はい……」

曜「私達……こんなカフェ来ちゃいけなかったのかも……」

花陽「そんな卑屈にならなくても……」



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着席後-


梨子「あ…あはは……」

曜「なるほど……凛ちゃんが、ことりちゃんに会いたがらなかったのって……」

千歌「こういうわけね……」

花陽「変わってませんね……ことり先輩……」

凛「………」ワシャワシャ

ことり「やっぱり、凛ちゃん可愛い~♪」ナデナデ

凛「や…やめてほしいにゃ……髪が…」ワシャワシャ

ことり「あっ!ごめんね?久しぶりに会ったら、つい……それにしても、凛ちゃん、また可愛くなったね!!髪は伸ばさないの?」

凛「……邪魔になるにゃ…」

ことり「え~!?もったいないよ~!ショートも似合ってるけど、ロングにしても絶対可愛いよ!ねぇねぇ、一回やってみない?伸ばしたら、私がいろいろ髪型教えてあげるから~」

凛「……遠慮しとくにゃ…」

ことり「え~!?あ、じゃあ、ショートでもいいから結んでみたら?ほら、ここの横の所で~」スッスッスッ…

凛「………」スッスッスッ…

ことり「できた…!わ~!やっぱり可愛いっ!!」

凛「……解いてほしいにゃ…」

ことり「え~!?でも…

梨子「ことりちゃん…!」

ことり「え?梨子ちゃん?」

梨子「本題に入ってほしいんだけど……」

ことり「あっ…、ごめんごめん……あはは…そうだったね……」

ことり「えっと……そちら、高海千歌ちゃんだったよね?」

千歌「うん…」

ことり「それで……渡辺曜ちゃん…」

曜「そうです…」

ことり「そっか!二人とも、よろしくね!」

千歌「よろしく……」

曜「うん…よろしく……」

ことり「あ…あれ…?二人とも…元気ないの…?」

梨子「あ、気にしないで?この子達、今、田舎者って言われて卑屈になってるの」

千歌「ごめんね…私なんかがいたら、雰囲気壊れるよね……」

曜「田舎臭くなっちゃうよね……」

ことり「え~!?そんな事ないよ?二人とも、すごい可愛い!!」

千歌「え…?」

曜「わ…私達が…?」

ことり「うん…!モデルさんみたいに可愛い!!」

千歌「モ…」

曜「モデル……」

千歌「私達が……」

凛「………」

ことり「うんうん…!スタイルもいいし、洋服も何着ても似合うんじゃない?」

千歌「そ…そんな……///」

曜「いやぁ~……でも、洋服あんまり持ってないから……」

ことり「じゃあ、今度ウチにおいでよ!沢山持ってるから、貸してあげるよ!」

千歌「ふ…ふ~ん……じゃあ…///」

曜「うん…そうだね……ちょっと見せてもらうだけ……///」

ことり「やった~!二人に似合う服用意して待ってるね!」

凛(二人とも、ことり先輩のおもちゃ行き決定だにゃ……)

梨子「ちょ…ちょっと!ことりちゃん…!」

ことり「あっ…あはは…ごめんごめん……またやっちゃった…」

梨子「全く……急に呼び出すから、何かあったのかと思って、心配してたのよ?その様子なら心配いらなそうだけど……」

ことり「あ…いや……」

梨子「?」

花陽「な…何かあったんですか…?」

ことり「………」

ことり「うん……」

梨子「え…」

花陽「……」

ことり「梨子ちゃん、この前、穂乃果ちゃんに会ったんだよね…?その時……穂乃果ちゃん……何か変わった様子は無かった…?」

梨子「いや……いつも通りの穂乃果ちゃんだったと思うけど……」

ことり「そっか……じゃあ、梨子ちゃんの前では、忘れられたのかも……」

梨子「忘れる……?なにを…」

ことり「………」

ことり「絶対誰にも言わないって約束できる…?」

梨子「うん……言わないわ…」

千歌「私達も言わないよ…」

ことり「………」

ことり「じゃあ…言うね……」

ことり「これは、本当は絶対誰にも言っちゃいけない事なんだけど……」

花陽「……」ゴクリッ…

ことり「穂乃果ちゃん……今、暴走族の人と関わりがあるんだ……」

梨子「…!?」

千歌「…!」ピクッ…

梨子「ぼ…暴走族…!?」ガタッ!

ことり「り…梨子ちゃん…静かに……」

梨子「あ…ご…ごめん……」スッ…

梨子「そ…それで……暴走族って……」

ことり「うん……えっと…焔ヶ丘の変って覚えてる…?もう一年前になるんだけど……」

梨子「え…えぇ……」

梨子(今日、知ったけど……)

ことり「あれね……本当は、穂乃果ちゃんがやった事じゃないの……」

梨子「…!」

花陽「えぇ…!?そ…そうなんですか…!?」

ことり「うん……」

梨子「でも、納得ね……穂乃果ちゃんが、そんな事できるわけないもの……」

花陽「じゃ…じゃあ、誰が……」

ことり「それが、その暴走族の人なの……」

花陽「…!」

凛「……ど…どういう事にゃ……?なんで、暴走族の人がやった事が、穂乃果先輩のやった事になってるにゃ…?」

ことり「………」

ことり「凛ちゃんさ、一年前の秋葉原覚えてる?あの…焔ヶ丘の変が起きる前の……」

凛「え…?そ…そりゃあ、もちろん覚えてるにゃ……鞠莉先輩と果南先輩が暴れ回ってて、みんな酷く怯えてて……なんというか…あの頃のアキバは最悪だったにゃ……」

ことり「そう……あの頃のアキバは、鞠莉先輩と果南先輩に支配されてて、アキバに不良の居場所は無かった……」

花陽「………」

凛「たしかに、そうだったにゃ……凛達は、どっかで鞠莉先輩と果南先輩を恐れながら、不良やってたにゃ……」

曜「あれ…?でも、アキバ四天王とかいうのが、あったんだよね?絵里先輩とかは対等だったんじゃなかったの?」

花陽「それは一対一の話です……四天王のうち二人が組んで、それも二人とも喧嘩ジャンキー……絵里先輩は、たしかに強いですが、一人で行って勝てない事は目に見えていました……それに、絵里先輩は、そんなに喧嘩したがりませんし……」

曜「そっか……まあ、二対一は厳しいよね……」

ことり「そう…だから、鞠莉先輩と果南先輩の天下は、誰にも止められないものだと思われた……穂乃果ちゃんが、焔ヶ丘に入学するまでは……」

凛「…? 穂乃果先輩が入学するまで…?」

ことり「うん……穂乃果ちゃんね、鞠莉先輩と果南先輩を倒すために、焔ヶ丘に来たの……」

凛「あっ……そ…そういえば、中学の時、穂乃果先輩、そんな事言ってたにゃ……」

花陽「私も覚えてます……「私がアキバを救う」って言ってたような……」

ことり「そう……穂乃果ちゃんは、みんなに言ってた……自分がアキバの救世主になるんだって……みんなを救うって……」

千歌「………」

ことり「だから、沢山の人が、穂乃果ちゃんに期待した……当然、穂乃果ちゃんの周りには人が集まって、穂乃果ちゃんも楽しそうだった……」

千歌「………」

ことり「でも、無理だった……」

ことり「穂乃果ちゃんには、鞠莉先輩と果南先輩を倒す事はできなかった……」

梨子「そんな……」

凛「仕方ないといえば、仕方ないにゃ……穂乃果先輩は強いとは言っても、鞠莉先輩と果南先輩より年下だし……勝てなくても無理ないにゃ……」

ことり「うん……だから、穂乃果ちゃんも、そんなにショックは受けてなかった……また挑めばいい……それで、次は勝つんだって……」

千歌「………」

千歌「でも…周りが許さなかったんだね……」

ことり「…!」

曜「千歌ちゃん……」

千歌「分かるよ……私も、期待される立場だったから……」

ことり「そ…そっか……千歌ちゃんは、こっちに来る前は、番長さんだったんだもんね……」

千歌「………」

ことり「その通り……穂乃果ちゃんに期待した人達は全員、穂乃果ちゃんから離れていった……」

梨子「ひどい……そんなの勝手すぎる……」

ことり「だよね……でも、事実そうなった……」

梨子「嘘……穂乃果ちゃんが可哀想よ……」

ことり「うん……実際、あの時、穂乃果ちゃんは、すごく落ち込んでた……私達でフォローできないぐらい……」

千歌「期待を裏切るのは辛いからね……」

ことり「そんな時だった……あの暴走族の人達が、穂乃果ちゃんに近づいてきたのは……」

花陽「…!」

花陽「ま…まさか、それで……」

ことり「うん……その人達は、焔ヶ丘の変を起こす事に、穂乃果ちゃんを誘った……」

ことり「鞠莉先輩と果南先輩に、水見色を襲わせて、そこを待機していた複数の警察で一気に捕まえる作戦だった……」

梨子「け…警察……」

ことり「普段は、鞠莉先輩の家が抑えちゃうんだけどね……その暴走族の頭の人が、警察を動かして……」

花陽「そんな事まで、できるなんて……」

ことり「でも、この作戦は、水見色の生徒を犠牲にして成り立つものだった……」

梨子「穂乃果ちゃんは、反対しなかったの…!?」

ことり「しなかった……ううん…そんな事考えられるような状態じゃなかった……」

梨子「…!」

ことり「それで、作戦通り、鞠莉先輩と果南先輩は捕まった……穂乃果ちゃんを英雄にして……そして、水見色と焔ヶ丘の対立を残して……」








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同じ頃 秋葉原 街中-


ザワザワ… ガヤガヤ…


穂乃果「えっと……ここの角を曲がった所……」トコトコ…

穂乃果「…!」

穂乃果「こ…ここかぁ……」

穂乃果「………」

穂乃果(すっごい高そうなお店……普段だったら、絶対入れないね……)

穂乃果(時間は……)

穂乃果(…ちょっと早いけど、大丈夫かな……)

穂乃果「………」

穂乃果(よし…!入ろう…!)

穂乃果「………」ドキドキドキドキ…

穂乃果(うぅ…緊張する……)

穂乃果(どんな顔して入ればいいんだろ……)

穂乃果(制服で来ちゃったし……)

穂乃果(や…やばい……着替えてくれば良かった……)

穂乃果(せ…制服じゃあ、入店できないとかないよね……???)

穂乃果(うぅ…ど…どうしよう……海未ちゃん、ことりちゃん、助けて……)

ツバサ「あら?穂乃果さん?」

穂乃果「…!?」

穂乃果「ツ…ツバサさん…!!」クルッ!

英玲奈「なんだ?約束の時間まで、まだ1時間はあるぞ?もう来ていたのか?」

穂乃果「あ…は…はい……遅れちゃいけないと思って……」

穂乃果(ツ…ツバサさん、まだ着いてなかったのかぁ……危なかった……私一人で、こんなお店いれないよ……)

ツバサ「ふふっ、それにしても、1時間前は早すぎよ?」

穂乃果「あはは…ですよね……あれ?でも、ツバサさんも……」

あんじゅ「早く来ちゃマズイ?」

穂乃果「あっ…!い…いえ…!そんな事は……」

ツバサ「脅かさないのよ?あんじゅ…ごめんなさいね?穂乃果さん……私との食事、楽しみにしてくれてたみたいで嬉しいわ」

穂乃果「は…はい…!ありがとうございます…!」

ツバサ「ふふっ、それじゃあ、少し早いけど入りましょうか…」

穂乃果「はい…!」







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AKIBAカフェ-


花陽「ま…待ってください…!それじゃあ、焔ヶ丘と水見色の対立って……」

ことり「うん……たしかに、作戦を了承した穂乃果ちゃんも悪いのかもしれない……でも、主犯は穂乃果ちゃんじゃない……悪いのは、その暴走族の人達……」

花陽「そんな……じゃあ、今すぐにでも、その事を伝えて、対立を止めなきゃ…!!」

ことり「……花陽ちゃん……」

花陽「え…?な…なんですか……?」

ことり「無理なの……それは……」

花陽「えっ…な…なんでですか…!?」

ことり「約束なの……穂乃果ちゃんと暴走族の人の……」

花陽「や…約束……?」

ことり「うん…果南先輩と鞠莉先輩を自分の手で倒すまで、暴走族の人の、言いなりになるって約束……」

梨子「い…言いなり…!?穂乃果ちゃんが…!?」

ことり「うん……もう一年になる……」

凛「そ…そんな事が……」

曜「ひどい……そんなのやり方が汚すぎる……」

ことり「でも、それが暴走族……私達とは違う、少し大人の世界……」

千歌「……それで、穂乃果ちゃんは、この事を口止めされてるって事…?」

ことり「うん……他にも、穂乃果ちゃんは話したがらないけど、悪い事もしたんだと思う……」

梨子「…!!」

梨子「そんな……そんなのって……」

梨子「やだよ……穂乃果ちゃんが、そんなに苦しんでたなんて……」

ことり「………」

ことり「…ありがとう…梨子ちゃん……でも、もう大丈夫だよ」

梨子「え…?」

ことり「あれから一年……つまり、鞠莉先輩と果南先輩が年少から出てくるんだよ」

花陽「…!じゃ…じゃあ、それで穂乃果先輩が、二人を倒せれば…!!」

ことり「うん…!穂乃果ちゃんは自由になれる…!!昔みたいに戻れるんだよ…!」

花陽「本当ですか…!?そしたら、水見色と焔ヶ丘の誤解も解けて、対立も無くなりますよね…!」

梨子「そうね…!ちゃんと話せば、みんな分かってくれるわ…!」

ことり「………」

千歌「………」

梨子「え……?こ…ことりちゃん……?」

ことり「う…うん……その…」

千歌「………」

千歌「もう引き返せないんだね……穂乃果ちゃんは……」

梨子「…!」

ことり「あはは……すごいね…千歌ちゃん……なんでも分かっちゃう……」

梨子「え…そ…それって……」

ことり「穂乃果ちゃんがね、焔ヶ丘の変をやった事になって…「アキバの救世主」だなんて呼ばれるようになった時ね……離れていったみんなが、また戻ったきたの……」

ことり「それに、今年は、その穂乃果ちゃんに憧れた沢山の一年生が入ってきた……」

凛「………」

ことり「穂乃果ちゃんは、それで、また期待を背負った……それも、失った時の苦しみを知っちゃってる分、前より重く……」

梨子「そ…そんなの…!!無視すればいいじゃない…!!そんな関係なんて……!」

ことり「梨子ちゃん……」

梨子「だって、そうでしょ…!?そんな人達いなくたって、私達がいる…!!私達なら、どんな事があっても、穂乃果ちゃんを見捨てたりはしないわ…!」

ことり「……ありがとう…梨子ちゃん……でもね…それは、私も、何度も穂乃果ちゃんに言ったの……」

梨子「な…なら…!」

ことり「でも、ダメだって……もう、引き返せないんだって……」

梨子「…!」

曜「…一度手に入れた物を失うのは怖いからね……それも、「アキバの救世主」だなんて、大きくて偉大な物なら……なおさら……」

千歌「………」








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高級中華料理店-


ワニ ジュー…ジュー…

穂乃果「………」

穂乃果(ワ…ワニさんが……そのまま……)

ツバサ「………」

ツバサ「珍しい?ワニの姿焼きよ」

穂乃果「す…姿焼き…ですか……はは…」

穂乃果(うそ…こ…これ…食べるの……)

穂乃果(あれ…?ていうか、このワニさんって、さっきお店入った時、入り口にいた……)

穂乃果「…」クルッ…

穂乃果「…!」

穂乃果(い…いなくなってる……!そんな…ワニさん……)

穂乃果(お店に入った時は、眠ってて可愛かったのに……)

料理長「焼き上がりました」スッ…

穂乃果「えっ…」

穂乃果(そ…そのまま出すの……!?)

穂乃果(ど…どうやって食べれば……)

ツバサ「美味しそうね、いただくわ」スッ…

ツバサ「……」ツッー…

穂乃果(ナ…ナイフ…!)

ワニ ダラァー…

穂乃果(血…!?)

ツバサ「……」バクリッ

穂乃果(いった…!)

ツバサ「……」モグモグ…

穂乃果(あ…味は……)

ツバサ「……」

穂乃果(………)

ツバサ「うん…変わらないわね!最高の焼き加減よ!」

料理長「ありがとうございます…」

穂乃果(お…美味しいの…!?)

穂乃果「…」チラッ…

ワニ「………」

穂乃果(うっ…目が合っちゃった……)

穂乃果(ワニさん……さっきまで生きてたのに……)

ツバサ「………」

ツバサ「食べないの…?穂乃果さん……」

穂乃果「え…!あ…い…いや……その…」

ツバサ「………」

ツバサ「気に入らなかったかしら……?私の選んだ料理は」

穂乃果「…!」

穂乃果「ち…違いますよ…!!こんな素晴らしいもの、本当に、私なんかが頂いちゃっていいのか悩んでて…!!」

ツバサ「そう……?いいのよ?そんなの気にしないで……」

穂乃果「そ…そうですか…!?じゃあ、い…いっただっきまーす…!!!」

穂乃果「……」ガブッ!!

料理長「…!?」

あんじゅ「そ…そのままいった…!」

英玲奈「か…?み切れるのか……?」

穂乃果「むぐぐ…」ギリギリギリ…

ツバサ「………」

料理長「………」

穂乃果「むんっ…!!」ブチリッ!!

ツバサ「…!」

英玲奈「か…噛み切った……」

穂乃果(うぅ……血の味がするよぉ……)モグモグモグ…

料理長「………」

ツバサ「穂乃果さん……」

穂乃果「ふぁい…?なんですか…?」

ツバサ「豪快なのはいいけど、その……はしたないわよ?」

穂乃果「あっ…!す…すみません……!!つい勢いで…」

ツバサ「ごめんなさいね、料理長。今度は、ちゃんと躾けてから来るわ」

穂乃果「…!」

料理長「いえ、いいんですよ、ツバサさん。ここまで豪快に食べられては、私も嫌な気はしません」

ツバサ「そう…?それなら、良かったわ」

穂乃果「す…すみませんでした……」

ツバサ「………」

ツバサ「…ところで、穂乃果さん…」

穂乃果「は…はい…なんですか…?」

ツバサ「あなた…最近、水見色狩りなんていう事してるんだって……?」

穂乃果「…!」ドキッ!

穂乃果「あ…あはは……マズかったでしょうか…」

ツバサ「別にマズくはないわよ?ただ、少し気になってね……なんで、そんな事してるのか」

穂乃果「えっ…」

穂乃果「な…なんで……」

ツバサ「えぇ、理由があるんでしょう?」

穂乃果「そ…それは……えっと…」

穂乃果「ほ…焔ヶ丘と水見色は対立してるから……だと思います……」

ツバサ「………」

穂乃果「………」

ツバサ「…そう……」

穂乃果「……はい…」

ツバサ「じゃあ、何をグズグズしてるのかしら…?たしか、今、水見色は頭がいないんでしょう?いまが好機なんじゃないの…?」

穂乃果「あっ…は…はい……そうなんですが……」

ツバサ「………」

穂乃果「実は、水見色に転校生が来まして…」

ツバサ「転校生…?」

穂乃果「はい……高海千歌っていう子なんですが……」

ツバサ「…!」

穂乃果「え…?ツバサさん、どうかしました?」

ツバサ「………」

英玲奈「ツバサ…」

ツバサ「えぇ……」

穂乃果「…?」

ツバサ「ふふっ……そう…あの子が……」

あんじゅ「………」

穂乃果「え…?ええ…?知ってるんですか…?」

ツバサ「ふふっ…昔、ちょっとね…?それにしても、この街に来てただなんて……」

穂乃果「…?」

ツバサ「穂乃果さん、水見色潰し……私からもお願いするわ」

穂乃果「えっ…!?ツ…ツバサさんが…?」

ツバサ「えぇ…それと、これは命令ね?逆らう事は許さないわよ」

穂乃果「…!」

穂乃果「は…はい……で…でも…なんで……」

ツバサ「あなたが理由を知る必要は無いわ?知った所で、あなたのやる事は変わらないもの……私の言われた通りに動く……それだけでしょ…?」

穂乃果「…!」

穂乃果「は…はい……すみませんでした……」

ツバサ「必要な物があったら、なんでも言ってね。すぐに準備するわ」

穂乃果「あ…ありがとうございます…」

ツバサ「そうね…今はとりあえず……」

穂乃果「え…?」

ツバサ「英玲奈、この子に」

英玲奈「あぁ」

穂乃果「…?」

英玲奈「無くすなよ…?」ゴトッ…

穂乃果「…!!」


拳銃 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…


穂乃果「こ…これって……」

ツバサ「本物よ、あると便利だわ。貸してあげる」

穂乃果「そ…そんな…!!ピストルなんて、私…!」

ツバサ「………」

穂乃果「あっ……」

穂乃果「い…いただきます……」スッ…

拳銃 ズシッ…

穂乃果(お…重い……)

ツバサ「ふふっ、触ったのは初めて…?結構重いでしょ」

穂乃果「は…はい……これじゃあ、ちゃんと撃てるか……」

ツバサ「ふふっ、別に撃つ必要は無いのよ?見せるだけ……それだけで、十分だわ」

穂乃果「…!」

ツバサ「さ、この話はこれで終わり。食事を楽しみましょう?せっかくのご馳走なんだから」

穂乃果「………」

穂乃果「は…はい……」








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AKIBAカフェ-


凛「じゃ…じゃあ、水見色と焔ヶ丘の対立はどうすればいいにゃ…!?こんな誤解で戦うなんて、最悪だにゃ…!!」

ことり「それは、私がなんとかする………私が、穂乃果ちゃんを説得してみせる……!」

花陽「…!」

梨子「ことりちゃん……」

ことり「だから、みんなは待ってて欲しいの……私が説得できるまで……」

千歌「そっか……それで、今日、梨子ちゃんを呼んだんだね……」

ことり「うん……これを伝えたくて……」

千歌「そういう事なら、分かったよ!私は焔ヶ丘とは戦わない…三年生含め、他のみんなにも、そう伝えとくよ!もちろん、事実は伏せてね」

ことり「千歌ちゃん…!」

千歌「凛ちゃんと曜ちゃんも、それでいいよね?」

曜「もちろん!ヨーソロー!」

凛「………」

千歌「凛ちゃん…?」

凛「凛は……凛は、一発、穂乃果先輩を殴らないと気が済まないにゃ……」

千歌「凛ちゃん…!?」

花陽「………」

ことり「凛ちゃん……」

凛「でも……ことり先輩が代わりににやってくれるって言うなら、凛は辞めるにゃ」

ことり「…!」

ことり「うん…!分かったよ…!私が、凛ちゃんの代わりに穂乃果ちゃんの目覚ましてくる…!!」

ことり「バシンッとね!」

凛「にゃはは…ことり先輩のパンチは凛のより、何倍も効きそうだにゃ」

ことり「じゃ…じゃあ…!」

凛「うん…凛も喧嘩しないにゃ!」

ことり「凛ちゃん…!」

ことり「ありがとう…!ありがとう、みんな…!私、頑張るね!絶対、穂乃果ちゃんを説得してみせる…!!」

梨子「うん…!頑張ってね…!!応援してるわ!」

花陽「私も応援します…!ことり先輩、すごいです!」

ことり「えへへ…///」

曜「ところで、その暴走族ってのは、どんなチームなの?結構悪い感じ…?」

ことり「あっ…う…うん……それは…」

ことり「A-RISEってチームなんだけど…」

花陽、凛「…!?」

曜「…!?」

千歌「……!?」

梨子「え…?な…なに…?有名なの…?」

千歌「……」スクッ…

曜「ち…千歌ちゃん…!」

千歌「ごめん…私……帰る……」

梨子「え…!?な…なんで…!?」

千歌「……」スタスタスタ…

曜「千歌ちゃん…!!待って…!!」

千歌「……」スタスタスタ…

曜「っ…!ご…ごめん…!私も帰るね!千歌ちゃんを一人にできない…!!」ダッ!

梨子「よ…曜ちゃんまで…!?ちょ…ちょっと…!」

カランカラーン…

凛「行っちゃったにゃ……」

ことり「あ…あれ……?私、なんかマズイ事言ったかな……?」

花陽「わ…分かりません……確かに、A-RISEは有名なチームですが、その名が静岡まで届いてるとは思えませんし……」

凛「それに…ただ知ってるだけじゃなさそうだにゃ……今の様子からして……」

梨子「な…なんなの……?そのA-RISEっていうのは……」

ことり「………」

花陽「…アキバ最大の暴走族の事です……」

梨子「ア…アキバ最大…!?」

花陽「はい…数年前までは、喧嘩はしない走り専門のチームだったんですが……」

花陽「現三代目総長…綺羅ツバサが頭についてからは、突然、武闘派チームになりまして……」

梨子「綺羅…ツバサ……」

凛「たしか、その綺羅ツバサが、一人でアキバの他のチーム全て潰して、A-RISEを最強集団にしたらいしにゃ」

梨子「ひ…一人で…!?そんなに強いの…」

ことり「うん…強さもたしかにあるんだけど……それよりも怖いのが、頭が誰よりもキレるって事…」

花陽「はい……残忍かつ狡猾なやり方で、アキバ中から恐れられています……」

梨子「…!そ…それで…穂乃果ちゃんも……」

ことり「うん……」

梨子「で…でも、なんで…!?なんで、そんなすごい暴走族が、穂乃果ちゃんを…」

ことり「………」

ことり「たぶん…楽しんでるだけだと思う……」

梨子「…!」

ことり「自分達は、もう倒す敵もいなくなって…他にやる事がないから……」

梨子「そんな……」

梨子「そんなのって……」

ことり「ごめんね…?今日は、こんな重い話ばっかりになっちゃって……」

花陽「いえ…!大事な事ですし……」

ことり「それはそうなんだけどね……今度は、穂乃果ちゃんや海未ちゃんも混ぜて、楽しい話ができたらいいなって……」

梨子「ことりちゃん……」

ことり「梨子ちゃんにも久しぶりに会って、本当はもっと楽しい話したかったんだけどね……」

梨子「………」

凛「全部、終わってから遊べばいいにゃ。今は、問題の解決が先にゃ」

ことり「そうだね…じゃあ、私も行くね?あんまり遅くなると、お母さん心配するし」

梨子「う…うん……それじゃあ、途中まで一緒に行こっか」

ことり「うん…!凛ちゃんと花陽ちゃんも!」

花陽「はい…!ご一緒させていただきます…!」

凛「何かあったら、凛が守らないとだしね!」

ことり「じゃあ、行こっか!」

梨子「えぇ…!」

梨子(………)

ことり「………」

梨子(ことりちゃん……)








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秋葉原 路地-


千歌「………」ツカツカツカツカ…

曜「ち…千歌ちゃん…!待って…!一旦、落ち着いて…!」タッタッタッ!

千歌「………」ツカツカ…

千歌「………」ピタッ…

曜「千歌ちゃん……」

千歌「………」

千歌「…曜ちゃん……さっき、ことりちゃん…A-RISEって言ったよね……」

曜「う…うん……言った…」

千歌「………」

曜「………」

千歌「そっか……この街にいたんだ……」

千歌「…綺羅…ツバサ……」

曜「…千歌ちゃん……」

千歌「………」

??「あれ?その装束……もしかして、あなた達…闇の組織の一員……?」ザッ…

??「その制服…水見色ずらね?」ザッ

曜「…?」

千歌「………」

曜「だ…誰……?」

善子「くっくっくっ……よくぞ聞いてくれたな…!!我が名はヨハ…

花丸「善子ちゃんと、オラは花丸ずら」

善子「…!?」

善子「ヨハネだってば…!!」

曜「は……はぁ…?ヨ…ヨハ…?」

千歌「曜ちゃん…この子達…たぶん焔ヶ丘…」

曜「あっ…!そ…そっか……それで、私達の制服見て……」

善子「くっくっく…今頃気づいたようね……しかし…!!時すでに遅し…!!このヨハネに出会った時点で、お前達の運命は…

花丸「善子ちゃん……」

善子「ちょ…なによ!ずら丸…!!今、決め台詞言う所だったのに…!!」

花陽「もう、逃げてるずら」

千歌、曜 ピューン!

善子「…って、あっー!!!逃げ足はやっ!!」

善子「コ…コラァー!!!勝手に逃げるな!この腰抜けー!!!」

曜「…」ムカッ…

曜「っ…誰が腰抜け…

千歌「曜ちゃん…!ことりちゃんに言われたでしょ!」タッタッタッ!

曜「む~……分かってるよ…」タッタッタッ!

善子「腰抜けー!!アホー!!間抜けー!!!」

花丸「善子ちゃん、そんな事言ってないで、あれやるずら」

善子「えっ…?あ…あー…あれね……」

善子「えーっ…と……」ゴソゴソ…

善子「あった…!」

吹き矢 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

善子「行くわよ~……ヨハネファイナルダーク…

花丸「いいから、早く撃つずら!!」

善子「~っ…!わ…分かったわよ…!!ヨハネアローッ!!!」フッ!!!

曜の鞄 ピタッ!

善子「よし…!鞄に当たったわ!」

花丸「ナイスずら!善子ちゃん!!」

善子「散々練習したからね!!外す事はないわ!」

花丸「あれ…?その吹き矢は、善子ちゃんが天から授かった相手を追跡する吹き矢って設定だったんじゃ……」

善子「あっ…!」

花丸「忘れてたずらね…?」

善子「ち…違う…!!ていうか、設定って言うな!!」


曜「はぁ…はぁ……」タッタッタッ!

曜の鞄 「………」ピッピッピッ…














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小物感が凄いんだが

期待


次の日 朝-

千歌達のマンション-


チュンチュン…


梨子「………」

梨子(はぁ…曜ちゃんと千歌ちゃん襲いなぁ……)

梨子(………)

梨子(昨日の事…聞きたいのに……)

曜「行って来まーす」ガチャ!

梨子「あっ、曜ちゃん!」

曜「梨子ちゃん!おはヨーソロー!あれ?千歌ちゃんは、まだ来てない感じ?」

梨子「うん、なんかバタバタしてるのは聞こえたけど…」

曜「あはは、千歌ちゃん、朝弱いからね~」

梨子「………」

梨子「あのさ、曜ちゃん…」

曜「あっ…もしかして、昨日の事…?」

梨子「えっ…う…うん……よく分かったわね…」

曜「いやぁ~…あんな事しちゃったら、当然、梨子ちゃんも心配してるだろうなぁ~って思って…」

梨子「じゃ…じゃあ…」

曜「ん~…でも、理由は言えない…かな……」

梨子「え…」

曜「千歌ちゃんに口止めされてるの……梨子ちゃんには言っちゃダメだって……」

梨子「口止めって……」

曜「でも、それは私が転校して来たばっかりの時の話で、今は、たぶん、千歌ちゃんも話していいと思ってると思う……」

梨子「そ…それなら…!」

曜「でも、私の口からは言えないよ、千歌ちゃんの問題だから…」

梨子「曜ちゃん……」

千歌「行って来まーす!」ガチャ!

梨子「あ、千歌ちゃん…!」

曜「千歌ちゃん!おはヨーソロー!」

千歌「おはよー!二人とも!!ごめんごめん!ちょっと遅れた!」

曜「いいよいいよ、私も今出た所だし!さっ、早く学校行こう!」

千歌「うん…!」

梨子「………」

千歌「ん?梨子ちゃん、どうかした?」

梨子「……いや、なんでもないわ、さっ、行きましょう」

千歌「え…?そう…?なら、いいけど…」



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千歌「よーし!行くぞ~!オレンジみかん号!」ブロロロ…

曜「千歌ちゃん号も、行くよ~!!」ブロロロ…

梨子「って、いやいやいやいや!」

千歌「ん?どうかしたの?」

梨子「二人とも、スクーター乗ってくの!?私は!?」

曜「ん~……後ろ、乗ってくかい?」キランッ!

梨子「いや、犯罪だから!」

千歌「でも、そうしないと梨子ちゃんだけ走る事になるよ?」

梨子「えぇ!?スクーターに乗らないって選択肢は無いの!?」

千歌「えぇ~!だって、せっかく持ってるのに乗らないなんて!」

梨子「でも、私だけ走るなんておかしいでしょ!」

千歌「だから、乗ればいいよ!二人ぐらいなら余裕だよ!!余裕!!」

梨子「そういう問題じゃないでしょ!?犯罪なの!犯罪!!ルールなの!やっちゃダメなの!!」

千歌「梨子ちゃん…ルールは破るためにあるんだよ!」

梨子「はぁ!?」

千歌「さっ!行こう!!」グイッ!!

梨子「わわっ!ちょっ…千歌ちゃ…

千歌「おりゃ!」グイッ!!

梨子「きゃっ!」ドサッ!!

千歌「よし!!出発進行ー!!!」ギュルン!!

梨子「えっ…!?」

曜「ヨーソロー!!」ギュルン!!

千歌「ひゃっほうー!!!」ビューーーンッ!!

曜「いえええいっ!!!」ビューーーンッ!!

梨子「いやあああああああああっっっ!!!」

梨子「死ぬ死ぬ死ぬ!!降ろして!!死ぬから!!」

千歌「死なないよ!ちゃんと、私に掴まってれば!」ブーンッ!!

梨子「掴まってるわよっ!!」

曜「あはは!楽しーね!!」ブーンッ!!

千歌「うん!!最高!!!」ブーンッ!!

梨子「楽しくないわよ!!バカじゃないの!?」

千歌「そんな風に目つぶってるからだよ!もったいないよ!目、開けて!!」ブーンッ!!

梨子「怖くて開けられないの!」

千歌「大丈夫!!信じて!!」ブーンッ!!

梨子「う…うぅ……」

梨子(す…少しだけなら……)

梨子「……」スゥ…

梨子「…!」

千歌「どう?気持ちいいでしょ!!」ブーンッ!!

梨子「………」

千歌「あれ?気絶でもした?」ブーンッ!!

梨子「すごい……」

千歌「…!」ブーンッ!!

千歌「見えた!?」ブーンッ!!

梨子「うん……景色が流れてく……」

千歌「でしょ!!それに風も気持ちいい!!」ブーンッ!!

梨子「うん…うん…!たしかに…!!気持ちいいわね!!」

曜「おー!梨子ちゃん、分かってきたね!!」ブーンッ!!

梨子「うん…!気持ちいい!バイクって、こんなに気持ちいいものだったんだ…!!」

千歌「あはは、スクーターだけどね~!」

警察官「最近、不良生徒が多いからな…見つけたら、ちゃんと注意しないと…」トコトコ…

オレンジみかん号 ブーンッ!!

千歌ちゃん号 ブーンッ!!

警察官「む…?」

千歌「いえええええいっ!!!」ブーンッ!!

曜「気持ちー!!」ブーンッ!!

警察官「なっ…!?そ…そこの原付!!止まりなさい!!!」ダッ!!

千歌「ん?あ…!警察だ!!」ブーンッ!!

曜「お…!ほんとだ!」ブーンッ!!

梨子「えぇ!?えええ!!??嘘!?捕まっちゃうじゃないの!!」

警察官「ノーヘル禁止ー!!!二人乗りもだー!!!あと、スピード違反だー!!」ダッダッダッ!!

千歌「お勤めご苦労様ですっ!」ビューンッ!!

曜「ヨーソロー!」ビューンッ!!

梨子「…!?」

警察官「コ…コラァー!!待てーー!!!」ダッ!

千歌「あはは、追いつけるわけないよーん」ブーンッ!!

曜「ま、バイクで来たところで、捕まらないけどね~!」ブーンッ!!

梨子「ちょ…ちょっと!!二人とも!?」

千歌「ん?どしたの?梨子ちゃん」ブーンッ!!

曜「何ー?」ブーンッ!!

梨子「い…いいの…!?あんな事して!!」

千歌「いいわけないじゃん!!あはは!」ブーンッ!!

曜「当たり前だよ!梨子ちゃん!!」ブーンッ!!

梨子「え…えぇ……?」

梨子(ダ…ダメだ……私、この子達の事、分からないわ……)

千歌「ひゃっほうー!!!」ブーンッ!!

曜「ヨーソロー!!!」ブーンッ!!












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焔ヶ丘高校 二年生教室-


海未「え…ツ…ツバサさんから……?」

穂乃果「うん…水見色を潰せって……」

ことり「そんな…」

穂乃果「まあ、言われなくてもやる話だったけど、これで、もう本当にやらないわけにはいかなくなった……」

海未「そうですね……」

ことり「…!」

ことり「ま…待って…!!でも、あと少しすれば、そのツバサさんから自由になれるんでしょ!?それなら…!」

穂乃果「……ことりちゃん…」

ことり「お願い…穂乃果ちゃん……、だって、こんなのおかしいよ…水見色と焔ヶ丘が争う必要なんて無いんだよ……」

穂乃果「………」

穂乃果「必要だよ……」

ことり「…!」

ことり「そんな…!なんで…!!」

穂乃果「私のため……ことりちゃんも、本当に私の事考えてくれるなら、口出さないでよ……」

ことり「…!」

ことり「穂乃果ちゃ…」ウルッ…

穂乃果「………」

海未「穂乃果っ…!!」

穂乃果「…!」

海未「謝りなさい……ことりに……」

穂乃果「………」

ことり「海未ちゃん……」

穂乃果「………」

海未「………」

穂乃果「もう、いい……」クルッ…

海未「あっ…!穂乃果…!!」

穂乃果「………」ガララ…バタンッ…

海未「穂乃果……」

ことり「穂乃果ちゃん……」

海未「ごめんなさい…ことり……」

ことり「そんな……海未ちゃんが謝る事がじゃないよ……」

海未「いえ…私が悪いんです……私が…あの時、ちゃんと気づいてあげていれば……」

ことり「それなら、私だってそうだよ…!穂乃果ちゃんが、一人で苦しんでるのに気づけなかった…!相談に乗ってあげることもできなかった…!」

海未「………」

海未「…いいんですよ…ことり……ことりは、私達の支えなんですから……」

ことり「海未ちゃん……」

海未「でも、だからといって水見色潰しを辞めるわけにはいきません……今、それが無くなれば…穂乃果は……」

ことり「違う…!それじゃあ、繰り返すだけだよ…!!変わんなくちゃダメなんだよ…!」

海未「………」

海未「ごめんなさい…ことり……私は…私は、もう穂乃果を失いたくはないんです……」

ことり「…!」


キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…


ことり「あっ…」

海未「ホームルームが始まります…私は席に戻りますね」

ことり「穂乃果ちゃんは…!」

海未「………」

海未「分かりません…いづれ戻ってくるでしょう……」

ことり「う…うん……」

















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水見色高校 昼休み-

屋上-


千歌「相手を絶対倒す最強のパンチって何か分かる?」

凛「ん…ん~……ものすごい威力の…」

千歌「はずれ~」

凛「えぇ~!?でも、すごい強いパンチなら、相手は立てないにゃ!」

梨子「………」モグモグ…

花陽「……」モグモグ…

千歌「ん~…まあ、本当にすごい威力なら立てないよ?でもね、人間ってのは、案外、来るって分かってれば、どんなパンチも一発なら耐えられるんだよ」

凛「そ…そんな事…」

千歌「あるって、我慢すればいい、覚悟すればいい、もっと言えば、ガードすればいい。来るって分かってるなら、耐えられないパンチはないよ」

凛「じゃ…じゃあ、正解はなんにゃ」

千歌「簡単だよ!来るって分からないパンチを打てばいい!」

凛「来るって分からないパンチ…?」

曜「ま、その代表例がカウンターだね!千歌ちゃんお得意の!」

凛「カウンター……」

千歌「喧嘩の中で、相手が一番油断する瞬間っていつだと思う?」

凛「ん~……攻撃の時…?」

千歌「そうそう、だから、その瞬間を狙う…相手が踏み込んで攻撃を繰り出そうとした瞬間…!」

千歌 バッ!!

凛「…!」フワッ…

千歌「拳を突き出す……」

千歌「相手の見えない角度、タイミング、スピードで打つ…!これがカウンターの原則!」

凛「でも、それって失敗したら……」

千歌「うん…自分が大ダメージを食らう…相手の攻撃に対して、こっちは踏み込んでるわけだからね……」

凛「こ…怖いにゃ…」

千歌「でも、そこを乗り切れれば、一発で相手を倒せる!ハイリスクハイリターンってやつだね!」

凛「な…なるほど……」

千歌「だから、カウンターで一番大切なのは、まず相手の攻撃を見切ること!これに尽きるよ!」

凛「見切る……難しそうにゃ……」

千歌「普通にやればね…」

凛「普通に……?じゃあ、普通じゃない方法があるって事かにゃ…?」

千歌「うん…!ズバリ、相手の攻撃を待つんじゃなく、打たせる!」

凛「う…打たせる……?」

千歌「例えばだけど、不用意に前に出たり、わざとガードに隙を作って狙わせたり……相手の次の攻撃を誘導するの!」

凛「誘導……す…すごいにゃ……」

曜「まあ、失敗すれば、普通に攻撃くらって終わりだけどね~」

凛「てことは、またハイリスクハイリターンって事かにゃ……」

千歌「だから、練習しないと実践では使えない…まあ、私は、いきなり実践でやったけど……」

凛「え…!?で、できるのかにゃ!?」

曜「いやいや、普通は無理だよ。千歌ちゃんは特別だからね…凛ちゃんは、やりたいなら、ちゃんと練習した方がいいよ」

千歌「いやぁ~…///」テレテレ

凛「分かったにゃ…!じゃあ、さっそくカウンターやってみるにゃ!」

千歌「よっしゃ!じゃあ、私が適当に攻撃するから…

梨子「じゃないでしょ!!なんで喧嘩教えてるのよ!!」

千歌「えっ…」

梨子「喧嘩しないんでしょ!!昨日、ことりちゃんに言われたばっかりじゃない!!」

千歌「い…いやぁ~……これは、喧嘩というか…スポーツ…?みたいな……あはは…」

梨子「明らかに喧嘩目的だったでしょ!!もう!本当にダメよ?喧嘩しちゃ…」

千歌「わ…分かってるって…!昨日だって、焔ヶ丘に絡まれたけど、黙って逃げ出し…」

梨子「え…?そうなの…?」

千歌「うん…!ね!曜ちゃん!」

曜「本当だよ、なんか変な二人組で、千歌ちゃんに腰抜けだなんて言うもんだから、キレそうになったけど、逃げてきたよ」

梨子「へぇ~…偉いわね、二人とも」

千歌「えへへ…///」

曜「いやぁ~…///」

花陽「…」モグモグ…

花陽「…」ゴクン…

花陽「…変な二人組って、どんなですか?」

曜「え…?ん~…えっと…片方は、なんか自分の事ヨハネとか言ってて…もう片方は、なんか方言……ずらって言ってたかな…?」

凛「えっ…」

花陽「そ…それって……」

曜「あれ?知ってるの?」

凛「…知ってるにゃ……アホのよしまるコンビだにゃ……」

千歌「ア…アホ…?」

凛「アホだにゃ…あいつらは……」

曜「中学の時、なんかあった感じ?」

花陽「隣の中学でした、善子ちゃんと花丸ちゃんが音ノ木二中……私達と穂乃果先輩達が音ノ木三中でした」

曜「へぇ~…なんか面白いね~」

梨子「ちなみに、私は一中よ」

千歌「誰も聞いてないよ…梨子ちゃん……」

梨子「…!?」

梨子「なんで、そんな事言うのよ!!」

千歌「いや、なんか梨子ちゃん面白くて…」

梨子「どういう事!?」

曜「それで、何がアホなの?その二人って」

凛「喧嘩の仕方だにゃ……もう二度とやりたくないにゃ……」

曜「え…?どゆこと…?」


キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…


曜「あ…ベル鳴っちゃった……」

凛「まあ、そのアホ二人の話は、またどっかでしてあげるにゃ」スクッ…

凛「今は、そんな事構ってられる状況じゃないし…」

梨子「そうね……それよりも、穂乃果ちゃん達の事の方が問題だわ…」

花陽「きっと大丈夫ですよ…!ことり先輩なら!」

千歌「でもさ、例え説得できて、水見色と焔ヶ丘の対立が無くなったとしても、その…鞠莉…と果南…?って人達倒さないと、穂乃果ちゃんは自由になれないんでしょ?」

千歌「それって、結構大変なんじゃない?」

花陽「いや…!穂乃果先輩は本当に喧嘩強いので、大丈夫ですよ!」

曜「でも、一回負けてるんでしょ?」

花陽「…!そ…それは……二対一だったからで…」

千歌「たとえ、そうだとしてもさ……喧嘩で一度負けた相手に勝つってのは、本当に大変な事なんだよ」

花陽「そ…そうなんですか…?」

千歌「喧嘩は、スポーツと違って、ルールなんてないからね……危険な技も使えるし、ストップも無い……だからこそ、精神面が大きく影響するんだよ」

梨子「どういう事…?」

曜「ちょっとでも気持ちで負けてれば、例え実力差があったとしても、一発で形成が逆転するって事だよ」

千歌「それが、一度負けた相手だと、どうしても負けた時のイメージが付きまとう……これがキツイ……それを考えた時点で負けたようなものだから……」

梨子「はぁ…なんとなくだけど、分かったわ…」

花陽「じゃ…じゃあ、穂乃果先輩が勝つのは相当難しいって事ですか…?」

千歌「まあね…普通に考えたら無理だろうね……」

凛「………」

凛「大丈夫にゃ……」

千歌「…?」

凛「穂乃果先輩なら……昔の…凛の憧れた穂乃果先輩なら……」

花陽「凛ちゃん……」

凛「………」

凛「…さっ、もう教室戻るにゃ!授業が始まっちゃうにゃ」

梨子「あ!本当だ!早く行かないと!」

曜「ていうか、次、体育じゃん!着替えないとだよ!!」

千歌「えぇ!?今日、体育あったの!?体操着忘れたっー!!」

梨子「えぇ!?じゃあ、誰かに借りないとじゃない!なおさら急がないと!!」

千歌「うん!!そ…それじゃあ、私達行くね!また放課後!!」ダッ!


ガチャッ…バタンッ…!


凛「はぁ…全く忙しい人達だにゃ…」

花陽「あはは…そうだね」

凛「じゃあ、凛達は、ゆっくり優雅に教室に向かうにゃ。かよちん、次の授業なんだっけ?」

花陽「えっと…たしか英語だったかな…?」

凛「…!?」

凛「え…英語…!?」

花陽「え…?ど…どうかしたの!?」

凛「しゅ…宿題やってないにゃ…」

花陽「えぇ!?い…今からじゃ間に合わないよ…!?」

凛「間に合わせるにゃ…!!かよちん、宿題見せて!!」ダッ!

花陽「えぇ!?ちょ…凛ちゃん!?」

凛「かよちん、早く来るにゃー!!」

花陽「ま…待ってよー!!」ダッ!
















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放課後 焔ヶ丘高校-


キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…


ザワザワ…ガヤガヤ…

花丸「うわぁ~…本当に焔ヶ丘中の不良が集まってるずら……」

善子「まあ、穂乃果先輩直々の呼び出しだからね」

花丸「それにしても、なんだろうね……急に放課後、校舎裏に集まれーだなんて……」

善子「さぁ…?水見色に総攻撃でも仕掛けるんじゃないの?」

花丸「そ…それは流石に……」

ザワザワ…!

善子「ん?あっ…!来たみたいよ!!」

花丸「え!?どこずら!?」

穂乃果「………」ザッ…

海未「………」ザッ…

善子「いた…!!前の方に!」

花丸「あっ!本当ずら…!!かっこいいずら……」

善子「当たり前じゃない!アキバの救世主よ!救世主!!そして、それを支える最強のNo.2!「武神」こと、園田海未先輩!!やっぱり、焔ヶ丘に入学して良かったわ…!」

穂乃果「………」

シーン…

善子(す…すごい……穂乃果先輩が来てから、ずっと騒がしかった不良が静かになった……)

花丸(これが、高坂穂乃果先輩……すごいカリスマ性ずら……)

穂乃果「………」

穂乃果「…みんな…今日、あちゅまって…あっ…」

ヤンキー達「「…!?」」

善子「え…?」

花丸「い…今……」

海未「………」

穂乃果「こほんっ…///えー…みんな…今日、集まってもらったのは…」

善子(す…すごい…!無かった事にした……)

花丸(これが、高坂穂乃果先輩……すごいカバー能力ずら……)

穂乃果「他でもない……水見色と焔ヶ丘の事についてだ……」

善子(やっぱり……でも、今更なにを…?)

穂乃果「単刀直入に言う……今日、総攻撃をかけて水見色を潰す」

ヤンキー達「「…!?」」

花丸(きょ…今日…!?)

穂乃果「今から、配置に分かれて、下校中の水見色生徒を襲う……二度と焔ヶ丘に刃向かえないように…徹底的に……」

善子「…!」ゾッ…

善子(ほ…本気だ……)

穂乃果「配置は…

ことり「穂乃果ちゃん…!!」ザッ…!!

海未「…!?こ…ことり…!!」

穂乃果「………」

穂乃果「ことりちゃん……」

ザワザワ…

善子「え…?誰…?あの人……穂乃果先輩を呼び捨てで……」

花丸「たしか…二年の南ことり先輩ずら……穂乃果先輩と海未先輩と幼馴染とかいう……」

海未「ことり…!なぜ来たのですか!!ここには来てはいけないと、先程…

穂乃果「海未ちゃん…」スッ…

海未「穂乃果…」

ことり「………」

穂乃果「私が行く……ここは海未ちゃんに任せてもいい…?」

海未「穂乃果……」

穂乃果「ことりちゃん……話があるんでしょ…?場所…変えよう」

ことり「…!」

ことり「う…うん…!」

ザワザワ…

善子「え…!?なに…!?どういう事!?」

花丸「分かんないずら…!なんで、こんな大事な時に、穂乃果先輩が…」

海未(穂乃果……ことり……)

ヤンキー「なんだなんだー!?」

ヤンキー「どういう事だー!?」

善子「ちょ…ちょっと……なによ、これ…!急に騒がしくなってきたわよ…!?」

花丸「そりゃそうずら…!本来、不良が静かにしてる方がおかしいずら…!!」

ヤンキー「いって…おい!てめぇ、今、足踏んだろ!!」

ヤンキー「あぁ!?てめぇが、そんな所に立ってるから悪いんだろうが!!」

花丸「け…喧嘩まで……」

善子「や…やばいんじゃない……これ…逃げた方が……」

海未「………」

海未「…」スッ…

踏み足 ダンッッッッッ!!!!!!

ヤンキー達「「…!?」」ビクゥッッ!!!

善子、花丸「…!?」ビクゥッッ!!!

善子(え…な…なに……?地震……!?)

海未「……あなた達……」

海未「…誰が喋っていいと言いました……?」

ヤンキー達「「…!!」」ゾッ…!

ヤンキー達「す…すみませんでした…!!」ピシィッ!!

海未「全く……」

花丸(こ…怖すぎるずら……)

善子(海未先輩には逆らわないようにしよう……)






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校舎内 廊下-


穂乃果「……」

ことり「……」

ことり「ほ…穂乃果ちゃん……」

穂乃果「ことりちゃん……言いたい事は分かるよ……でもね、もう何があろうと、変える気はないから」

ことり「………」

ことり「で…でも……私は…」

穂乃果「………」

ことり「私は…もうそんな辛そうな穂乃果ちゃんを見たくないよ……」

穂乃果「………」

ことり「大丈夫だよ…私達がいるから……変われるよ……今からでも……」

穂乃果「………」

穂乃果「無理だよ…」

ことり「無理じゃないよ…!!みんながいるから…!梨子ちゃんや花陽ちゃん達だって…!」

穂乃果「…!」

穂乃果「梨子…ちゃん……」

ことり「大丈夫だから……私達がいるから……だから……」

穂乃果「…っ」

穂乃果「なにが……」

穂乃果「なにが分かるのさ……ことりちゃんに…」

ことり「えっ…」

穂乃果「何も知らないくせに……」

ことり「穂乃果…ちゃ……」

穂乃果「………」

穂乃果「ごめん……私、もう戻らなきゃ……」クルッ…

ことり「そんな…!待って!!穂乃果ちゃん!!穂乃果ちゃん!!!」

穂乃果「……っ」ツカツカ…

ことり「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「……」ツカツカ…

ことり「……」

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ことり「それは、私がなんとかする………私が、穂乃果ちゃんを説得してみせる……!」

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ことり「………っ」

ことり(ごめん……みんな…)

穂乃果「……」ツカツカ…

ことり(…約束……守れそうにない……)

はさみ スッ…

ことり(やっぱり、私じゃ説得なんてできなかった……でも……)

ことり「…っ!!」バッ!

ことり(穂乃果ちゃん一人止める事なら……!)


グサッ!!


ことり「~っっ!?」

ことり「ぐっ…あああああああああっっ…!!!」

穂乃果「…!?」クルッ!!

ことりの足 ダラダラダラ…

穂乃果「こ…ことりちゃん…!?ち…血が…!!」

ことり「あぐっ…あっ…あああっっ…!!うあああああっっ…!!!」ドサッ…!!

穂乃果「…!?」

穂乃果「ことりちゃん…!!」ダッ!!!

ことり「うぐっ…あ…あぁ……」

穂乃果「な…なんで…!!ことりちゃん…!!ことりちゃん…!!!」

ことり「はぐっ…あ…はぁ……はぁ…」

穂乃果「ち…血の量がすごい……止血しなきゃ……ほ…保健室に……!!」

ことり「はっ…はっ…はぁ…はぁ…」

穂乃果「ごめん…ことりちゃん…ちょっと、動かすよ…!!」

穂乃果「よっと…!」グイッ…!

ことり「うぐっ…!」フワリッ…

穂乃果「…!」

穂乃果「…っ」

穂乃果「ごめん…ごめん……ことりちゃん……ごめん……」

ことり「はぁ…はぁ……」

穂乃果「…!」

穂乃果の服 ジワァ…

穂乃果(血が私の服まで……出血量が多すぎる……)

穂乃果「急がないと…!!」ダッ…!!

ことり「はぁ…はぁ……」














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水見色高校 校門-


キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…


花陽「それじゃあ、くれぐれも喧嘩しないようにしてくださいよ…!ことり先輩のためにも!」

千歌「分かってるって!それに、今日は焔ヶ丘と会わないように、別の道で行くし」

曜「いつもの道だと、焔ヶ丘の通学路と重なるからね」

花陽「そうなんですか…?でも、それなら安心ですね!会わないのが一番ですから!」

梨子「会ったら喧嘩しそうだしね」

千歌「し…しないよ!!」

曜「そういえば、今日、凛ちゃんは?昼休みの時はいたけど…」

花陽「凛ちゃんは、宿題忘れて、職員室に呼び出されてます……」

千歌「ほんと!?あははっ!凛ちゃん、バカだね~!」

梨子「人の事、言えないでしょ?千歌ちゃん、このままいったら、留年よ」

千歌「えぇ!?」

凛「おーい!みんなー!!」タッタッタッ!

花陽「あ、凛ちゃん!」

凛「ごめん、かよちん、遅くなったにゃ……」

凛「なんか、宿題の話だったのに、聞く態度が悪いとか別の事も言ってきて……」

梨子「凛ちゃんが悪いじゃないの……」

凛「凛は普通に立ってただけだにゃ!」

曜「どんな風に立ってたの?」

千歌「あ…あの……梨子ちゃん、留年って……」

凛「普通に、こうにゃ!」バーン!

梨子「え?千歌ちゃん、何か言った?」

曜「態度、わるっ!!」

花陽「凛ちゃん、そんなに顎あげて聞いてちゃダメだよ…?」

千歌「いや、私が留年するとか、なんとか…」

凛「えっ!?千歌先輩、留年するの!?」

梨子「このままだとね、先生が話してたわ」

凛「ほんとかにゃ!?じゃあ、もう千歌先輩じゃなくて、千歌ちゃんだね!」

千歌「…!?」

千歌「ま…まだ決まったわけじゃないよ!!これから、頑張るんだよ!!」

梨子「頑張るの?」

千歌「うっ……」

千歌「が…頑張る…よ……うん…」

梨子(頑張らなそうね……)

曜「じゃあ、今日は早く帰って勉強会でもしますか!」

千歌「えぇ…!?」

梨子「そうね、じゃあ行きましょう」

千歌「そ…そんなぁ……今日は、見たいテレビが…」

梨子「それじゃあ、凛ちゃん、花陽ちゃん、また明日ね」

花陽「はい…!失礼します…!」

凛「あれ?今日、千歌先輩達、いつもと方向が違うような……」

花陽「あ、焔ヶ丘に会わないように、道変えたんだって」

凛「ふーん、面倒くさい人達だにゃ」トコトコ

花陽「あはは、まぁ、でも、会うと何が起きるか分からないからね…不良同士だと……」トコトコ

凛「たしかに……特に曜先輩は怪しいにゃ、喧嘩を楽しんでるような所あるし……」トコトコ

花陽「曜先輩は格闘技やってるからね~、闘うの好きなんだよ、きっと」トコトコ

凛「戦闘狂だにゃ……」トコトコ

花陽「凛ちゃん、それひどい」アハハ…


??「なにやら楽しそうですね…私も混ぜてもらえますか?」ザッ…

凛「え…?」クルッ…

凛「…!!?」














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水見色二年生サイド-


梨子「はい、じゃあ、次の問題」トコトコ

千歌「……」ゴクリッ…

梨子「享保の改革を行った江戸幕府八代将軍は?」トコトコ

千歌「と…徳川………」トコトコ

曜「頑張って!千歌ちゃん!」トコトコ

千歌「い…家…

梨子「はい、はずれ」トコトコ

千歌「えぇ…!?まだ全部言ってないじゃん!」トコトコ

梨子「正解は徳川吉宗。全員「家」がつくと思ったら大間違いよ」トコトコ

千歌「なっ…」

曜「ドンマイ!千歌ちゃん!次、頑張ろ!」トコトコ

千歌「うぬぬ…でも、梨子ちゃんの出す問題、難しすぎて……」トコトコ

梨子「いや、簡単よ……これくらい、中学生でも分かるわ」トコトコ

千歌「私が中学の時は分かんなかったよ!」トコトコ

梨子「一般的な中学生なら分かるの!はい、ほら、次の問題いくわよ」トコトコ

千歌「う~…もう、やめたい……」トコトコ



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スマホ ピコンッ…ピコンッ…ピコンッ…

花丸「こっちに歩いてきてるずらね」

善子「くっくっくっ……愚かね…地獄に近づいているとも知らずに……」

花丸「そろそろ、そこの角から出てくるずら」

善子「そうね……じゃあ、行きますか」


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千歌「ペ…ペリー!」

梨子「違うわ……千歌ちゃん、外国人は全員ペリーじゃないわよ…?」

千歌「わ…分かってるよ!!でも、ペリーしか知らないから、ペリーに賭けるしかないんだよ!」

曜「千歌ちゃん、外国人の問題、全部ペリーって答えてるもんね…」

善子「くっくっく……」

千歌「え…?なに……?笑い声…?」

善子「外国人をペリーしか知らないとは……愚かな下界の者よ……」ザッ…

千歌、曜「あっ…!!」

花丸「善子ちゃんに言われたくないけどね」ザッ…

千歌、曜「あーーーっ!!!」

梨子「え…?なに…?知り合い…?」

千歌「違うよ!!昨日会った焔ヶ丘の奴らだよ!!」

梨子「えぇ…!?焔ヶ丘!?」

曜「そうだよ!!はやく逃げなきゃ!!」

花丸「なっ…また逃げようと……」

善子「今度、そうはいかないわよ!!」ゴソゴソ…

千歌「梨子ちゃん!走るよ!!」

梨子「え…えぇ…!!頑張るわ!!」

善子「くらえっ!!堕天奥義!!堕天龍鳳凰縛ーーっっ!!!」バッ!!!


網 ブワッ…!!


千歌「え…」

曜「あ…網…!?」

梨子「…!?」

千歌「危なっ!」ヒョイッ!

曜「よっと!」ヒョイッ!

梨子「きゃあああっ!!」ガバッ!!

曜「梨子ちゃん!!」

千歌「あぁ…!梨子ちゃん、鈍臭いから!」

梨子「ちょ…なにこれ…!!助けて!!」ジタバタ!

善子「くっ…一人しか捕らえられなかったか……」

善子「まあ、いいわ……後は、これで…」スッ…

梨子「え!?なに…!?手錠!?」

善子「その通り!!それも、警察から頂いた本物の手錠よ!!」ガチャン!!!

梨子「ああっーー!!」

善子「片方は、この金網につけて……」ガチャン!

梨子「ああっーー!!!」

千歌「あ…」

曜「や…やば……」

梨子「なんで早く助けてくれなかったのよ!!」

千歌「いや…なんか行ったら私も絡まりそうで……」

梨子「なによ!それ!!じゃあ、これ、どうするのよ!!」

曜「か…鍵を貰えれば……」

善子「バカなの?渡すわけないでしょ?」

曜「あはは…ですよね……」

花丸「これで、まる達と闘うしかなくなったずらね……まあ、仲間を置いて逃げるって手もあるけど……」

善子「その場合は、お仲間さんが、どうなるか……分かってるわよね…?」

梨子「ひっ…」ゾッ…

千歌「くっ…」

曜「ち…千歌ちゃん……これは…」

千歌「…! ダ…ダメだよ…!!ことりちゃんと約束したんだから…!!」

曜「でも…このままじゃ、梨子ちゃんが…」

梨子「私の事はいいから!二人とも、逃げて!!」

千歌「梨子ちゃん……」

曜「………」

善子「そんなに逃げたいの?随分と、まあ腰抜けなのね……くくっ……」

曜「…!」ムカッ…

曜「あいつ…また……千歌ちゃんを……」

善子「あら…?なに、その目は……腰抜けって言われてキレた……?くっくっ…あなたは、まだ見込みあるようね……そこのオレンジ頭に比べて……くっくっくっ……」

曜「…!」プツンッ…

千歌「…オ…オレンジ頭って……」

曜「………」

曜「千歌ちゃん……」

曜「先行ってていいよ……」

千歌「え……よ…曜ちゃん…!?」

曜「梨子ちゃんは、私がなんとかするから……」

千歌「い…いや…!それなら、私も残って…」

曜「二対二じゃ、喧嘩になっちゃう」

千歌「え…」

曜「二対一なら……正当防衛だよね…?」

千歌「い…いや……それは……」

梨子「ちょ…曜ちゃん!?喧嘩しようとしてない!?」

曜「喧嘩じゃないって…二対一だから正当防衛だよ…正当防衛……」

梨子「いや、喧嘩よ!?やっちゃダメよ!曜ちゃん!!」

曜「行って、千歌ちゃん……千歌ちゃんが捕まるのはマズイ……」

千歌「う…うん……!」

梨子「ちょ…千歌ちゃん!!」

千歌「それじゃあ、梨子ちゃんは任せたよ!!曜ちゃん!!」ダッ!!

曜「任せて……ふふふ……」

梨子「あっ…!ちょ…ま…待って!!千歌ちゃん!!明らかにダメでしょ!!曜ちゃん、喧嘩する気満々よ!!」

千歌「だとしても、もう止められないから!!後は、よろしくね!梨子ちゃん!!」タッタッタッ!

梨子「え…ちょ……」

曜「さぁー…て…」コキッ…

花丸「善子ちゃん!オレンジの方が逃げちゃうずらよ!」

善子「分かってるわよ!!私が行くわ!!」ダッ!!

曜「…」サッ…

花丸「…!」

善子「え…


曜「はっ…!!」ズンッッッ!!!


善子「…!?」

善子「あ…あが……」フラッ…

花丸(今の動き……)

花丸「空手……ずらか……?」

曜「ご名答……まあ、普通の空手とはちょっと違うけどね…?」

善子「~~っっ!!」

善子(ちょ…な…なにこのパンチ……重……鉄球でもお腹に叩きつけられたみたいに……)

梨子「はぁ……もう……」

曜「空手の拳は痛いでしょ?ボクシングなんかとは違って、素手でやる格闘技だからね……拳の硬さが違うんだよ」

善子「…っ」

花丸「善子ちゃん……これは、ちょっと本気でやらないとマズイ相手っぽいずら……」

善子「わ…分かってるわよ……」

善子、花丸「……」ゴゴゴゴゴ…

曜「来なよ…」クイクイ…


梨子(ダ…ダメだ……この人……)











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もうだめ猫の人

ヤバい面白い

本気ってなんだろう?アホとか言われてたし


凛、花陽サイド-


海未「………」ゴゴゴゴゴゴゴ…

花陽「う…海未先輩……」

凛「なんで、こんな所に……」

海未「あなたを倒すためですよ、凛。絢瀬絵里のいない今、水見色で一番怖いのはあなたですからね」

凛「…!」

花陽「り…凛ちゃん……」

凛「分かってるにゃ……でも、海未先輩から逃げられるかどうか……」

海未「逃げる……?アキバの暴れ猫と呼ばれたあなたが…?」

凛「…っ、そうにゃ…!ことり先輩と約束したんだにゃ…!!」

海未「ことり……?」

海未「………」

凛「な…なんにゃ…!その顔は…!!」

花陽「凛ちゃん…!早く逃げないと…!」

海未「………」

凛「…っ!」

凛「な…なんで暴走族なんかにいいようにされてるにゃ…!!ことり先輩は一人で闘ってたにゃ!!可哀想だにゃ!!なんで、支えてあげないんだにゃ!!」

海未「………」

花陽「凛ちゃん……」

凛「ことり先輩、辛そうだったにゃ……昔みたいに戻りたいって言ってたにゃ……なのに…なんで……」

海未「………」

花陽「………」

海未「…言いたい事はそれだけですか……?」

凛「…!!」

海未「では…行きますよ…」スッ…

凛「………!」

花陽「海未先輩……」

花陽(ダメだ……考える事を放棄してる……)

凛「…かよちん……」

花陽「え…?なに…?凛ちゃん……」

凛「やっぱり、凛……約束守れないにゃ……」

花陽「…!」

凛「凛は、このバカを一発殴ってやらないと、ことり先輩に申し訳ないにゃ…!!」

花陽「凛ちゃん……」

花陽「うん…!分かった…!!凛ちゃんがそうしたいと思ったなら、それが一番だよ…!!ことり先輩には、後で一緒に謝ろう…!」

凛「ありがとう…かよちん……やっぱり、かよちんは最高の親友だにゃ……」

海未「話は済みましたか……?」ゴゴゴゴゴゴ…

凛「……」ゴクリッ…

凛「別に待ってくれなんて言ってないにゃ…」

海未「そうですか……では…」ザッ…

凛「…!」

凛(来る…!) ビクッ…!

海未「…」サッ…

凛(なっ…速…


ドンッ!!!


凛「あぐぁっ…!」グラッ…

凛(掌底……!)

花陽「凛ちゃん…!!」

海未「………」スッ…

凛「くっ…」フラッ…

海未「……私が怖いですか…?凛…」

凛「…!」

凛「そ…そんな事…!」

海未「分かりますよ……あなたに喧嘩を教えてあげたのは私ですものね……」

凛「…っ」

海未「さっきから、ずっと震えてますよ…?降参した方が良いのではないですか…?」

凛「…!」

凛の足 ガクガクガク…

花陽「凛ちゃん……」

凛「くっ…」


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中学-


凛「にゃ…!」バタッ!

海未「足への警戒が足りていませんよ?凛」

凛「うぬぬ……もう一回だにゃー!!」ガバッ!

海未「よっ…」トスッ…!

凛「にゃにゃっ!?」

海未「隙ありです…!」ドンッ!!

凛「にゃふっ…!」

海未「ふふっ…まだまだですね…凛、そんなんじゃ、いつまで経っても穂乃果には勝てませんよ?」

凛「ぬ~……勝てるようになるまでやるにゃーっ!!!」ガバッ!


--------------------


凛「……っ」

海未「どうしました…?来ないなら、こっちから行きますよ…?」

凛「…!」

凛(ダ…ダメにゃ……勝てる気が…

花陽「凛ちゃん…!!」

凛「…!」

凛「かよちん…?」

花陽「思い出して…!!屋上で、曜先輩と千歌先輩に教わった事…!!!」

凛「…!!」

海未「曜…千歌……?」

凛「そうだ……そうだったにゃ……」

海未「例の浦の星の転校生ですか……関わりがあったとは……ますます見過ごすわけにはいかなくなりましたね……」

凛「思い出したにゃ……」

凛の足 スッ…

海未「…!?」

海未(震えが……止まった……?)

凛(怯える事なんてなかったにゃ……)

凛(凛には、海未先輩よりずっとずっと強い先輩がついててくれてたにゃ……)

凛(大丈夫……凛は勝てる……勝てる…!)

凛(曜先輩から教わったフラッシュと蹴り……) スッ…

凛(千歌先輩から教わった一撃必殺のカウンター……) ググッ…

凛(この二つがあれば……凛は海未先輩にだって負けない…!!!)

海未「…!?」

海未(構えが変わった……?)

海未(………)

凛「ここからが本番だにゃ…!!覚悟するにゃ!!凛が千歌先輩達と過ごした全てを、今ここで、海未先輩にぶつけるにゃ…!!!」

海未「………」

海未「どうやら、中学の時の私は一つ教え忘れたようですね……」

凛「………」

海未「師を超える弟子など存在しないと…」スッ…

花陽「……っっ!!」












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焔ヶ丘高校 保健室-


ことり「はぁ…はぁ…はぁ…」

穂乃果「うぅ……ことりちゃん……」

体温計 ピピピピピピピ…

穂乃果「あっ…鳴った…!」

ことり「はぁ…はぁ…はぁ……」

穂乃果「…!」

穂乃果「は…8度もある……」

穂乃果「ど…どうしよう……やっぱり病院に…」

ことり「…」ガシッ!

穂乃果「…!」

ことり「……」フルフル…

穂乃果「ことりちゃん……でも…」

ことり「はぁ…はぁ…ダメ……ダメなの……ここに居て……」

穂乃果「ことりちゃん……」

ことり「はぁ…はぁ……はぁ………」

穂乃果「どうして……どうして、そこまで……」

ことり「はぁ…はぁ……ほ…穂乃果ちゃんが…」

穂乃果「……」

ことり「穂乃果ちゃんが……辛そうだったから……」

穂乃果「……っ」

穂乃果「そんなの……そんな事で……」

ことり「こ…ことりにとっては……一番大事な事だから……」

穂乃果「…!」

ことり「うぐっ…!」ズキッ…!

穂乃果「ことりちゃん…!!」

ことり「はぐぅっ……くぅっ…」

穂乃果「ことりちゃん……」

穂乃果「うぅ……」

穂乃果「や…やっぱり病院行かないとダメだよ…!!」スクッ!

ことり「穂乃果ちゃ…」

穂乃果「もう何言っても聞かないから…!!私も、ことりちゃんが一番大事だよ…!!ことりちゃんが辛いのに、黙ってられないよ…!!」

ことり「で…でも……」

穂乃果「ダメダメ…!!もう聞かないから…!!行くよ…!!」ガバッ!

ことり「いっ…」ズキッ…!

穂乃果「ごめん…痛むよね……でも、病院までだから…!」

ことり「はぁ…はぁ……」

穂乃果「行くよ、ことりちゃん!」スッ

ことり「ほ…穂乃果ちゃ……」












--------------------


秋葉原 街中-


ザワザワ…ガヤガヤ…


千歌「あ…あれ…?」クルッ…!

千歌「えっと……」クルッ…!

ザワザワ…ガヤガヤ…

千歌「………」

千歌(ど…どうしよう………完全に迷った……)

千歌(もう……いつもと違う道とか行くから……)

千歌(どこだ、ここ……全然分かんないよ……)

千歌(あっ…!そうだ……人に聞けば……)

通行人「……」スタスタスタ…

千歌「あ…あの~……」

通行人「……」スタスタスタ…

千歌「なっ…」

千歌(む…無視…!?)

千歌(ここにきて、都会の冷たさが……)

千歌(あっ…!スマホ…!)

千歌(そうだ……そうだ……スマホがあったっけ…!いやぁ~……便利になったなぁ~…) ゴソゴソ…

千歌(ん…?) ゴソゴソ…

千歌(んん…!?) ゴソゴソ!!

千歌(嘘………)

千歌(スマホ、学校に忘れた……)

千歌(そんなぁーーーーっっ!!!)

千歌(どうすればいいのさ…!!これ!!もー!!曜ちゃん、梨子ちゃん、助けてー!!!)













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曜、梨子サイド-


梨子「ふんっ……おりゃっ…!」ガシャンッ!ガシャンッ!

梨子「もー……全然取れそうにない……」

梨子(取れれば、喧嘩も終わるのに……)


善子「行くわよ!ずら丸!」

花丸「分かってるずら!善子ちゃん!」

曜「………」ゴゴゴゴゴ…

梨子「うぅ……」

曜(二対一……)

曜(囲まれたらマズイ……深追いはできないか…)

曜(攻撃に来た所を狙うしかないね……)

善子「行くわよ~」ゴソゴソ…

曜(ん…?何か来る…!)

善子「堕天奥義!!堕天龍幻惑無双!!!」バッ!!

曜(なんだ…!?)


煙玉 ボンッ…!!!


曜「えっ…!?な…なに…!?煙…!?」

曜「けほっ…な…なんなの……」

レーザー光線 ピーーー…

曜「…!?」ピーーー…

善子「いた…!!ずら丸!あそこよ!!」

花丸「分かったずらああああっっっ!!!」ダッ!!

煙 ブワッ!!!

曜「…!!?」


花丸「ずらあっ!!」ドンッッッ!!!!


曜「ぶっ…!?」メキメキィッ…

曜(た…体当たりって……)

花丸「ずらぁっ!!!」ドガッッッ!!

曜「あがっ…!」

梨子「ちょ…曜ちゃん…!?大丈夫なの…!?何が起こってるの…!?」

善子「くっくっくっ……狂乱の宴よ……」

梨子「え…?きょ…狂乱…?宴……?」

梨子(ダ…ダメだ……この善子って子、何言ってるのか全然分からない……)

曜「くっ…!」ザザッ…!

梨子「あっ!曜ちゃん…!!」

善子「あら…、今ので倒れないなんて……なかなかタフなようね…」

花丸「仕留め損ねたずら……」スッ…

曜「~っ!」

曜(いったぁ~……骨いったかな…これ……)

曜(それにしても、煙玉にレーザーまで使って……なんなの、この喧嘩……)

曜(凛ちゃんが二度とやりたくないって言ってたのも納得だよ……全く……)

善子「くっくっくっ……次は立っていられるかしらね……」ゴソゴソ…

曜「あっ…!」

曜(やばい…!また、なんか変な事される…!!)

曜(止めなきゃ…!!) ダッ!!

善子「む…!」

曜「はぁっ…!」ブンッ!!

善子「危なっ!」スカッ!!

曜「…!?」

曜(避けられた…!?)

善子「…」タッタッタッ…!

曜(うっ…もう、あんな遠くに……)

花丸「ずらぁっ!!」ブンッ!!

曜「…!」ガキィンッ!!

曜「~っ!!」

曜(ガ…ガードしたのに……)

曜(この子…スピードは無いけど、パワーが段違いだ……)

善子「さー!休ませないわよー!!」ゴソゴソ…

曜(そんで、奥の子は反射神経はあるけど、おそらく腕力は無い……)

曜(互いに弱点を補い合ってるってわけか……厄介な二人組だな……)

善子「くらいなさいっ…!!堕天奥義!!」

曜「…!!」

曜(マズイ…!それをやられると…!!)

善子「堕天龍日輪閃光!!!」ポイッ!

曜(なに…!?)

善子「ずら丸!」ギュッ…!

花丸「分かってるずら!」ギュッ…!

閃光弾 カッ…

梨子「え…?」


閃光弾 ピカァァァァッッッ!!!!


梨子「きゃ…!?なに…!?」

曜「眩しっ…!?」

善子「よしっ!」スゥッ…

花丸「閃光弾炸裂ずら!!」スゥッ…

曜(うぐっ…目が……)

善子「今よ!ずら丸!!」

花丸「ずらぁっ!!」ダッ!!

曜「くっ…」

花丸「ボディーがガラ空きずら!!」


ドスッッッ!!!


曜「ぐぁっ…!?」メキッ…

曜「~~っ!!」

梨子「え…!?ど…どうしたの!?曜ちゃん!?見えないんだけど…!!」

曜「うっ…うぁ……」

曜(くっ……)

曜(や…やばい……結構いいの貰っちゃった……)

善子「さぁ……トドメよ……地に伏しなさい……蛮族よ……」ゴソゴソ…

梨子「…!!」

梨子「そんな…!曜ちゃん……!!」

曜「っ……」













--------------------


凛、花陽サイド-


海未「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

凛「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

花陽「り…凛ちゃん……」

海未「……」ズリッ…

凛「…!」

凛(…距離を縮めてきてる……)

凛「………」

海未「………」

凛(海未先輩の家の武術は打撃技中心の独自流派……)

凛(凛との戦いは必然、近距離でのインファイトになる……)

凛(そんな中で…まして、武術の達人の海未先輩からカウンターを取れるほど、凛は強くない……)

海未「……」ズリッ…

凛(だとすれば、海未先輩を倒す可能性のある打撃は……)

海未「すぅ……」

花陽(う…海未先輩が、攻撃に入る……!)

凛(フラッシュで隙を作ってからの蹴り……!これしかないにゃ……!!)

海未「はっ…!!」ダッ!!!

凛「…!!」

凛(来た…!!!)

海未「……」ザッ!

凛(右を振りかぶった…!!ガード…!!!) サッ…!

海未「……」キッ…!


ガツンッッッ!!!!


凛「あぐっ…!?」フラッ…

凛(左…!?マズイ……右は誘いだった……!)

凛(迂闊だった……!相手は海未先輩…!考えを改めろ…!!)

凛(体勢を立て直せ…!!!)

海未「……」シュッ…!!


パンッ!!パンッ!!!


凛「ぶっ…!あっ…!!」

花陽(左右のワンツー…!!速い…!!見えなかった…!!)

凛(た…体勢を……)

海未「……」キュッ…!!

凛「…!!」

海未「はあぁっっ!!」


ドッッッッッ!!!!


凛「ぶはっ…!!」フワリッ…

凛「ぐっ…あがっ……!」ズザァァァッッ!!!

凛「うぐ……ぐぅ…」

花陽「凛ちゃん…!!」

海未「………」

凛「げほっ…!がはっ…!!」

花陽「凛ちゃん……」

花陽(ワンツーで距離をとってからの腹部への前蹴り……海未先輩…本気で凛ちゃんを潰す気だ………)

凛「はぁ…はぁ……」

海未「……」

海未「…そんなものですか……あなたの全ては……」

凛「…!」

凛「くっ…!」キッ…!

海未「睨んだところで何も変わりませんよ、分かりますか?凛……世の中には、思いがどんなに強くても、どうにもならない事があるのですよ」

凛「っ…」

凛「そ…それは……A-RISEの事を言ってるのかにゃ……?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

海未「…!?」

海未「…ことり…ですか……全く……他には漏らすなと言ったのに……」

凛「質問に答えるにゃ……それは…!A-RISEの事を言ってるのかにゃ…!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

海未「………」

海未「そうですが………どうかしましたか…?」

凛「…!!」

花陽「凛ちゃん……」

凛「あぁ…そうかにゃ……よく分かったにゃ……やっぱり、海未先輩は凛がぶっ飛ばさないと気が済まないにゃ………」

海未「………」

凛「何が、どうにもならない…だ……!そんな事あるか……!ことり先輩は…!ことり先輩は、諦めてなかったにゃ…!!!」

海未「………」

凛「……」スクッ…

凛「さっきは、ちょっと油断してたにゃ……こっからが本番……覚悟するにゃ…!!!」ザッ…!!

花陽「凛ちゃん…!!」

海未「…何度やっても…結果は同じです……あなたが私に勝つ事は絶対にありません……!!」ザッ…!!













--------------------


西木野総合病院 出口-


穂乃果「ありがとうございました!」

看護師「お大事に~」

ことり「はい…!ありがとうございます…!」

自動ドア ウィーン…

ことり「よっと……」ツカッ…

穂乃果「大丈夫?ことりちゃん……松葉杖歩きにくくない…?」トコトコ

ことり「ううん…!思ったより歩きやすいよ!早くは歩けないけど……」ツカツカ

穂乃果「そっか……足は…?痛くない……?」トコトコ

ことり「あはは…それは、まだちょっと痛いかな……でも、さっきよりは全然平気!」ツカツカ

穂乃果「そっか……」トコトコ…

ことり「………」ツカツカ…

ことり(………) ツカツカ

ことり(結局、焔ヶ丘を出る事になっちゃったけど、この時間なら、もう水見色のみんなは家に帰ってるはず……) ツカツカ

穂乃果「………」トコトコ…

ことり(でも、根本的解決にはなってない……私が……私が、穂乃果ちゃんを説得しないと……) ツカツカ

穂乃果「………」トコトコ…

ことり「あ…あのさ…

穂乃果「ことりちゃん……」トコトコ…

ことり「え…」ツカツカ…

穂乃果「ごめんね……私のせいで、こんな事になっちゃって……本当に…ごめん……」トコトコ…

ことり「穂乃果ちゃん……」ツカツカ…

穂乃果「っ……」トコトコ…

ことり「ほ…穂乃果ちゃん…!じゃあ…!」ツカツカ…

穂乃果「ごめん……」トコトコ…

ことり「…!」ツカツカ…

穂乃果「ごめん……無理なんだ………もう、どうしようもないんだ……」トコトコ…

ことり「…!そ…そんなの、やってみなくちゃ分からないよ…!!」ツカツカ…

穂乃果「…分かるよ……相手が悪すぎる……歯向かっちゃダメなんだよ………」トコトコ…

ことり「で…でも…!」ツカツカ…

穂乃果「もう…私だけの問題じゃない……私の我儘で動いていい問題じゃない……」トコトコ…

ことり「穂乃果ちゃん……」ツカツカ…

穂乃果「………」トコトコ…

穂乃果「…私ね……昔は、頑張ればできない事なんて無いんだって思ってた……」トコトコ…

ことり「……」ツカツカ…

穂乃果「だから、私は無我夢中に頑張ったし、実際できた……できなかった事もあったけど、それは頑張りが足りなかったからだと思った……」トコトコ…

ことり「……」ツカツカ…

穂乃果「…でも、違った……世の中には、絶対にどうにもならない事があった……」トコトコ…

ことり「……」ツカツカ…

穂乃果「私なんかじゃ、何をどう頑張ったって変えられない……そういう絶対のモノ……」トコトコ…

ことり「穂乃果ちゃん……」ツカツカ…

穂乃果「だから諦めるしかない……でも、これは悪い事じゃないの……仕方ないから……それを変えようとするのは無謀だし、もっと悪い方向に行くかもしれない……」トコトコ…

ことり「……」ツカツカ…

穂乃果「ごめんね……こんなの私らしくないよね……私も大人になったのかも……」トコトコ…

ことり「…!」ツカツカ…

穂乃果「昔みたいに戻れるって言ったけど、やっぱり無理かもしれないや……私、もう知っちゃったから……嫌な事も含めていろいろ……」トコトコ…

ことり「そ…そんな……」ツカツカ…

ことり「戻れる…!戻れるよ…!!いや、戻ろうよ…!!できるよ……絶対できるって……!穂乃果ちゃんが、私に教えてくれたんじゃん…!!だから、私は……」ウルウル…

穂乃果「………」トコトコ…

穂乃果「ごめん……ごめんね……ことりちゃん……」トコトコ…

ことり「うぅ……謝らないでよ……また、昔みたいに笑ってよ……」ポロポロ…

穂乃果「……ごめん…」トコトコ…

ことり「うぅ…ぅ……」ポロポロ…

穂乃果「………」トコトコ…

千歌「えっと…たしかこっちの方に……」タッタッ…

穂乃果「…!!?」ピタッ…!

ことり「…!!?」

ことり「ち…千歌ちゃん……!!?」

千歌「え…?」クルッ…

千歌「…!!??」

千歌「ええええええええええええっっっ!!??こ…ことりちゃんと穂乃果ちゃん…!!??」

穂乃果「千歌…ちゃん……」

穂乃果「………」

--------------------

一年前 都内某所-


ツバサ「東京都…千代田区…外神田○丁目……○-○○……」

穂乃果「…!?」

ツバサ「それと……東京都…千代田区…外神田○丁目……○○-○……」

穂乃果「そ…それって……」

ツバサ「そう……」ピラッ…

ことりと海未の家の写真 ドンッ!!

穂乃果「…!!」

ツバサ「無論、これだけじゃなく、あなたの友達の住所は全て把握してあるわ…中学時代のものも含めてね…?」

穂乃果「…!!!」

ツバサ「約束を守れなかったら………」

ツバサ「分かるわね……?」

穂乃果「………っ」

穂乃果「は…はい……」


--------------------

穂乃果「高海…千歌……」メラァッ…

千歌「え…ちょ……ほ…穂乃果ちゃん…?」

ことり「…!」

ことり「千歌ちゃん、逃げて…!!!」

千歌「え…?」

穂乃果の鞄 ドサッ…

穂乃果「……」ダッ…!!!

千歌「え…!えぇ…!?」

千歌「ほ…穂乃果ちゃん…!!おおおお落ち着いて…!!話し合えば…」

穂乃果「……」ザッ…!

千歌「いっ…!」

穂乃果「……」ブンッ!!!

千歌「あぶっ…!?」スカッ…!!

穂乃果「……」ギュルンッ…!

千歌「え…?」

穂乃果「あぁっ!!!」ブゥンッッ!!!

千歌「…!?」

千歌「っ…!」カスッ…!

千歌(う…後ろ回し蹴りって……!喧嘩で使う人、曜ちゃん以外に初めて見た…!!)

千歌(格闘技経験者…!?)

穂乃果「……」ダッ…!!!

千歌「うっ…」

千歌(ま…まだ来る…!!)

ことり「千歌ちゃん…!!」

千歌「う…うん…!!これは逃げた方が良さそうだ…!!」ダッ…!!!

穂乃果「くっ……待てっ…!!」タッタッタッ!!!

千歌「いや、待つのは穂乃果ちゃんの方だよ…!!一旦、話し合おうって…!!!」タッタッタッ!!!

ことり「逃げて…!!遠くまで…!!!絶対、闘っちゃダメだから…!!!」

千歌「わ…分かってるよ…!!!」タッタッタッ!!!

穂乃果「……」タッタッタッ!!!

ことり「………」

ことり「穂乃果ちゃん……」

--------------------

穂乃果「昔みたいに戻れるって言ったけど、やっぱり無理かもしれないや……私、もう知っちゃったから……嫌な事も含めていろいろ……」トコトコ…

--------------------

ことり「………」ウルウル…

ことり「…っ」

ことり「ダメだ……今は感傷的になってる場合じゃない……穂乃果ちゃんを止めなきゃ……」

ことり「できる……やれる……そう穂乃果ちゃんに教えて貰ったから……」

穂乃果の鞄 ズズズ…

ことり(穂乃果ちゃんの鞄……ここに置いてくわけにもいかないよね……)

ことり「よっと……」グイッ…

ことり「ん…?重い……」

ことり「何が…」

拳銃 ポロッ…

ことり「…!!??」

拳銃 ガンッ…ゴロゴロ……

ことり「こ…これって………」













--------------------


凛、花陽サイド-


花陽「………」ゴクリッ…

海未「……」ズリッ…

凛「…!」

凛(来る……行かなきゃ…!)

凛(後手に回れば、凛に勝ち目は無い…!)

凛(先手を取って、速さで圧倒する…!!)

海未「……」ズ…

凛(今にゃ…!!)

凛「にゃあああっ!!!」ダッ!!!

海未「……」ユラリ…

凛「…!」

凛(隙あり…!!チャンス…!!!)

海未「……」

凛(ここだぁっっ!!!) ゴォッッ!!!


ガンッッッ!!!!


花陽「あっ…!」

凛「…がはっ……!」フワリッ…

海未「………」

凛(い…今……何が……)

花陽「カ…カウンター……!!」

海未「若いですね……私が、そう簡単に隙を見せるとでも…?」

凛「…!」

凛(そ…そうだった……) クラッ…

--------------------

千歌「例えばだけど、不用意に前に出たり、わざとガードに隙を作って狙わせたり……相手の次の攻撃を誘導するの!」

--------------------


凛(なにも……)

凛(なにも身につけてなんかいなかった……)

凛(ダメだ……もう…頭が…回らない……)

凛(ごめん……ごめん…千歌先輩…曜先輩……) フラフラ…

花陽「り…凛ちゃん…!!!」

海未「眠りなさい……」

凛(凛の……) フラッ…

海未「……」

花陽「そんなっ…!」ウルッ…

凛「……」フラァ…

凛(凛の……負…

??「おっと…」ポスッ…

海未「…!!?」

花陽「あ…あぁ……!」

凛「うっ…な…なんにゃ……?」

??「星空…凛さんだったかしら…?ありがとうね、それと、遅くなってごめんなさい…病院抜け出すのは大変で……」

凛「え…?」

海未「っ……」

海未「あ…あなたは……!!」

絵里「さぁーて……ウチの可愛い後輩を傷つけた罪は重いわよ……?園田さん……」

海未「絢瀬…絵里……!!!」

花陽「え…絵里先輩っっ…!!!」ウルッ…!

凛「絵里…先輩………」

絵里「喋らなくていいわ…ゆっくり休みなさい……後は、私がやるから……」

凛「…!!」

凛「絵里先輩……」ウルッ…

凛「凛……凛…ダメだったにゃ……凛…なにもできなかったにゃ……うぅ……」ポロポロ…

絵里「泣かないのよ…可愛い顔が台無しだわ」ニコッ

絵里「小泉さん…」

花陽「は…はいっ…!!」

絵里「星空さんをお願いできるかしら……あなたといる方が、星空さんも休まるだろうから」

花陽「…!!」

花陽「はいっ…!!」

花陽「り…凛ちゃん…!!」ダッ!

凛「うぅ……かよちん……」ポロポロ…

花陽「凛ちゃん…!かっこよかったよ…!!勝てはしなかったけど、恥じる事なんてないよ…!!凛ちゃんは、最高にかっこよかったよ…!!!」

凛「かよちん……」

凛「うぅ……ありがとう……ありがとう…かよちん……やっぱり、かよちんは最高の親友だにゃ……」

海未「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

絵里「さて……私の仕事はこっちね……」

海未「………」

海未「…あなたの退院は、たしか明日だったはずです……何故、ここに……」

絵里「ふふっ…知らせてくれたのよ……私の学校の生徒が……」

海未「くっ…余計な事を……」

絵里「水見色の愛すべき生徒が血を流してる……そしたら私が出ないわけには、いかないでしょ?水見色は私の学校なんだから…」

海未「ずいぶんと母校に思い入れがあるようですね……絢瀬絵里……」

絵里「…さっきからフルネームで呼ぶの辞めて貰えないかしら……一応、年上よ…?」

海未「敵に敬語を使う人間はいません……」

絵里「使ってるじゃない……」

海未「っ…ず…ずいぶん余裕ですね……勝てると思ってるのですか…?私に……」

絵里「勝てるわね」

海未「…舐められたものですね……」

絵里「私が強すぎるからね、あなたが弱いわけじゃないわよ?」

海未「戯言を……」ズリッ…

凛「…!」

凛(あ…あれは…!!)

凛「絵里先輩!気をつけて!!来ます!!」

絵里「教えてくれてありがとう、星空さん。おかげでカウンターが狙えそうだわ」ニッ

凛「え…!?」

海未「…!!」

海未「敵に次の攻撃を教えるとは……愚かな行動を取りましたね…絢瀬絵里…!」ズリッ…

絵里「あなたじゃ、分かってても防げないからね」

海未「っ…!」

絵里「試してみなさいよ」クイクイ…

海未「なっ…」

絵里「ふふっ…」

海未「怒りましたよ……」ゴゴゴゴゴゴ…

花陽(な…なんで、あんなに相手を挑発するようなマネを……)

海未「望み通り、試してあげますよ…!!」ダッ!!

絵里「……」

海未「……」ザッ…!!

凛「…!!」

絵里「……!」キッ…!

海未「はあぁっ…!!」ゴオッッ!!!


スカッ!!


海未「…!!?」

絵里「若いわね……」

海未「はっ…!」


ドカッッッ!!!!


海未「ぐあっ……!」

花陽「き…決まった…!カウンター…!!」

海未「くっ……」

花陽「す…すごい……なんて見切りの能力……」

凛「いや…違うにゃ……」

花陽「え…?」

凛「今の海未先輩の攻撃……いつもの海未先輩より、少し大振りで隙があったにゃ……」

花陽「そ…そうなの…!?」

凛「うん……それで、それをさせたのが……」

花陽「あっ…!」

花陽「あ…あの挑発……」

凛「うん……あそこから絵里先輩の攻撃は始まっていたんだにゃ……」

絵里「ふふふっ……あなた、格闘技は相当やるみたいだけど、路上はやらないタイプでしょ」

海未「…!」

海未「な…何故それを……」

絵里「そういう所よ、今のがハッタリだったら、相手に喧嘩経験が無い事をバラす事になるわよ?」

海未「…!!」

絵里「路上での喧嘩はね、格闘技とは違うの……単純な暴力の勝負だと思ったら大間違いよ」

海未「くっ……」

花陽「す…すごい……絵里先輩…海未先輩を圧倒してる……」

海未「……」タラリッ…

絵里「どうしたの……?来ないなら、こっちから行くわよ?」

海未「っ……」

海未(くっ…まさかアキバ四天王の一人、絢瀬絵里が出てくるとは……迂闊でした……そうと分かっていれば……)

海未(そうと分かっていれば……っ)


ヤンキー「へっへっ…水見色の奴ら、ビビって逃げて行きやがったぜ!」ザッザッ…

ヤンキー「お前が、木刀なんか持ってるからだよ!どっから持ってきたんだよ!」ザッザッ…

海未「…!?」クルッ…!

海未「あっ…!」

ヤンキー「あー?剣道部の部室から借りてきたんだよ、いいだろ?」

絵里「……」

絵里(あれは……焔ヶ丘の……)

花陽「う…嘘……敵が……」

凛「ま…まずいにゃ……」

海未「あなた達…!!」

ヤンキー「え…?」

ヤンキー「あっ…!う…海未さん…!!」

ヤンキー「お…お疲れ様です…!!!」バッ!

絵里「くっ……面倒な事になりそうね……」

海未「………」

ヤンキー「あっ…!あれ…!?海未さんが闘ってるのって……」

ヤンキー「あ…絢瀬絵里…!?」

ヤンキー「四天王の一人じゃないですか!!加勢しますよ!!」

花陽「…!!」

凛「くっ…こ…こうなったら、凛も……」

花陽「凛ちゃん…!それは……!」

凛「でも…!このままじゃ、絵里先輩が危ないにゃ…!!凛が行かないと……」

海未「…いえ……加勢は必要ありません……」

凛「え…」

絵里「……?」ピクッ…

ヤンキー「え…!?な…なんでですか…!?相手は四天王ですよ!!流石の海未先輩でも……」

海未「大丈夫です……ただし、その木刀……貸していただいてもよろしいでしょうか…?」

ヤンキー「え…?ぼ…木刀を……?」

凛「あっ…!!」

絵里(木刀……)

凛「そ…そうだったにゃ……」

花陽「え…?ど…どうしたの…?凛ちゃん……」

凛「う…海未先輩は……」

ヤンキー「ど…どうぞ……」スッ…

海未「………」

海未「…赤樫ですが……良いですね……」ブンッ…ブンッ…

ヤンキー「あ…あかがし……?」

海未「木刀の種類ですよ、まあ、この赤樫は本赤樫では無いようですが……」

ヤンキー「…??」

絵里(今の素振り……そして、木刀への知識……)

絵里(この子……まさか……)

凛「う…海未先輩は……」

花陽「う…海未先輩は……?」ゴクリッ…

凛「け…剣道の…有段者なんだにゃ……!!」

花陽「えぇ…!!?」

絵里「くっ……」

絵里(やっぱり……)

海未「さ、あなた達はもう行きなさい……ここは私、一人で十分です」

ヤンキー「…!は…はいっ…!!失礼します…!!」ダッ!!

海未「ふぅ……さて……」

海未「……」ピタッ……

花陽「…!」

花陽(き…綺麗……構えただけなのに……)

絵里「っ……」

海未「行きますよ……?」

凛「や…やばいにゃ……」

絵里「………」










--------------------


曜、梨子サイド-


善子「行くわよ…!!」

花丸「ずら!!」

曜「くっ…」

梨子「曜ちゃん…!!逃げて…!!」

善子「堕天究極奥義!!」

曜(来る…!!)

善子「堕天龍堕天DATTEN!!!」バッ!!

袖口 キラッ…

曜「ん…?」

善子「発射…!!」

袖口 ブシャッ!!!

曜「…!!」

曜「むがっ…!?」バシャッッ!!

梨子(曜ちゃんの顔に謎の液体が…!?)

曜「………っ!!」

曜「かっ…」

梨子「え…?」

善子「ふっ…」ニヤリッ…

曜「かっ…辛ああああああああああいっっ!!!辛い!!辛い!!辛い!!辛いいいいっっ!!!」

曜「み…水…!!水!!!り…梨子ちゃ……水を……あっ…あああっ…!!」

梨子「え…!?ええ…!?そ…そんな事言われたって、私、動けないわよ…!?」

善子「今よ!ずら丸!!今度こそ、楽にしてやりなさい!!」

花丸「言われなくても行くずら!!」ダッ!!

曜「ぐ…ぐぅ……痛い……顔全部痛い……梨子ちゃ……助けて……」

梨子「そ…そんな事言ってる場合じゃ無いわよ!!攻撃が来てるわ!!避けて!曜ちゃん!!」

花丸「逃がさないずらああ!!!」ダッダッ!!

曜「む…むぐぅ……梨子ちゃんが全然、心配してくれない……本当に痛いのにぃ……」

善子「な…なんで当たるのよ!!まさか、もう眼が見えるように!?」

曜「見えないよ!!痛すぎて開けられるわけないじゃん!!」

花丸「じゃ…じゃあ、なんで……」

曜「あんな大声出して、突っ込んできたら、見えなくても位置ぐらい分かるよ!!」

花丸「はっ…!」

善子「そ…そんな……」

梨子「そ…そう言われればそうね……」

花丸「まさか、そこを突かれるなんて……」

善子「なかなかのキレ者のようね……」

曜「いや、普通に分かるよ!!バカなの!?」

梨子「曜ちゃん……顔が痛すぎるのか何だか知らないけど、口が悪くなってるわよ……」

善子「バ…バカ……?今、私達の事をバカだと言ったわね……」ゴゴゴゴゴゴゴ…

花丸「許さないずら……もう、大声出して突っ込むのは辞めるずら……」ゴゴゴゴゴゴゴ…

曜「ぬぐぅ……まだ痛い……なんなのこれ……」

梨子「曜ちゃん、気をつけて!!相手二人とも、怒ってるわよ!!」

曜「私も怒ってるよ…!!」

曜「ぜぇ~ったい許さない!!眼なんか見えなくても、関係ない!!全力でぶっ飛ばす!!!」ザンッ!!

善子「くっくっくっ……眼が見えないのに、どうやって攻撃を当てるつもり…?行きなさい、ずら丸…今度は静かにね……」

花丸「…分かったずら……」コソッ…

梨子「曜ちゃん!来てるわよ!!」

曜「分かってる…!!」

曜「ふぅっーー……」

曜「………」

花丸「………」ソロォ~……

曜「………」

--------------------

曜、幼少期-

空手道場-


師匠「違うぞ…曜よ……見るのではない……感じるのじゃ……」

曜「……?」

曜「全然意味が分かんないであります!!ししょー!」

師匠「視覚だけに頼っていては、ダメじゃという事じゃ……聴覚、嗅覚、触覚……全ての感覚を用いれば、見えぬ物などないのじゃ……」

曜「………」

曜「わ…分かったであります!!ししょー!」

曜(………)

曜(ぜ…全然意味分かんない……)


--------------------

曜(…今なら、ちょっとだけ言ってる事分かるよ……師匠……)

曜(………)

曜(心を落ち着かせて……)

曜(全神経を鋭く集中させる……)

風 サァー……

鳥 チュンチュン…

手錠 カチャ…

花丸 ゴクリッ…

曜(……いた……左側……まだ遠い……)

花丸 スッ…

曜(少しずつ近づいてる……おそらく一歩で詰めれる距離に来て、右ストレートを狙ってる……)

花丸 スッ…

梨子「よ…曜ちゃん……」

梨子(な…何なの……この言い知れぬ雰囲気は……)

善子「……」

汗 タラリッ…

善子「くっ……」

善子(眼が見えないっていうのに、何故ここまでの迫力を……)

花丸「……」スッ…

曜「………」

花丸(行ける……この距離なら一歩で……)

曜「………」

花丸(でも……)

曜「………」ゴゴゴゴゴゴゴ…

花丸(な…なんなんずら……この予感は……)

花丸(近づいちゃダメだって言うこの予感は……!)

曜「………」

花丸「ぐっ…」タジッ…

曜「…!」

曜(今の気配……引いた…!?チャンス…!!)

曜「…」ギュルンッ…!

花丸「…!」

曜「ハアァッ…!!」ブンッ!!


バシィィンッッ!!!


花丸「いっ……!?」

花丸「ぐ…ぐあああっっ…!!」

善子「ず…ずら丸…!!」

花丸「う…ぐ……くぅ……」

花丸(ロ…ローキック……足の感覚が……)

曜「見つけたよ……ずら丸ちゃん……」

花丸「…!」

曜「正確な位置は分からなかったからね……ローで足、止めさせて貰ったよ…動けないでしょ…?」

花丸「っぐ……」

善子「ずら丸…!!何やってるのよ!!早く逃げなさい…!!」

花丸「わ…分かってるずら……!!」

花丸(分かってる…分かってるけど……!)

花丸(足が、まだシビれてるずら…!今は立ってるのがやっとで……)

曜「位置さえ分かれば、後はこっちのもの……」

曜「行くよ……」スッ…

花丸「っ…!」

花丸(どうせ、動けないなら……)

花丸(こっちから攻撃に出てやるずら……!!)バッ!!

梨子「…!曜ちゃん、危ない…!!」

曜「……」


スカッ…!


花丸「…!?」

花丸(な…なんで……見えてないのに……)

曜「……」バッ…!

善子「…!ずら丸!前!!」

花丸「え…


ガンッッッ!!!


花丸「…!!」グラッ…

花丸(こ…こめかみに……見えてないのに……)

曜「……」ザッ…!


ズンッッッ!!!


花丸「~~っ!!」

花丸(み…みぞおち……!?)

曜「はっ…!!」


ガツンッッッ!!!!


花丸「ぶはっ…!?」

梨子「…!?」

善子「あ…顎を……蹴り上げた……」

花丸「うぅ……」フラッ…

花丸「……」ドサッ…!!!

曜「セイッ!!!」


スカッ!!!


曜「あ…あれ…!?」

花丸「う…うぅ………」ゴロンッ…

善子「ずら丸…!!」ダッ…!!

曜「え…?」

善子「ずら丸…!!ちょっと!!しっかりしなさい…!!ずら丸…!!ずら丸!!!」ユサユサ…!!

花丸「う…う~ん……」ユサユサ…!!

曜「あ…あぁ……倒れたのか……」

梨子「…!?」

梨子「よ…曜ちゃん、まだ目開けられてなかったの…!?」

曜「え…?う…うん……顔すごい痛いし……」

梨子「う…嘘……じゃあ、さっきの攻撃は……」

曜「あー…あれは……何というか…その…なんとなく気配でローキック打ったら、当たって……それで…位置が分かってからは、まあ練習通りに……」

善子「…!」

善子「な…なによ!それ!!意味分からないわよ!!そんな理由で、ずら丸がやられたって言うの!?本当は眼開いてたんでしょ!!」

曜「いやいや…違うって、実際、熟練の人なら気配を読むような人もいるし…その後は、私が何千何万と繰り返してきた動きだもん……眼が見えなくても、関係ないよ」

善子「…!!」

善子「な…何千何万……」

善子(今まで、空手やってた不良なんて沢山いた……でも、たいてい喧嘩目的だし、不良だから長続きしなかったような奴ばっかりで、大して強くも無かった……)

善子(だけど、この人は違う……本物だ……本物の空手家だ……)

曜「………」ス…スゥ……

曜「いたっ…!」ギュッ…!!

曜「う…うぅ……やっぱりダメだ……痛すぎて開けられない……」

善子「……」

曜(まだ、後一人倒さないといけないっていうのに……!!)

善子「………」ゴソゴソ…

曜「…!」

曜(バックを探る音…!何か来る…!!) ザッ…!

善子「………」ゴソゴソ…

善子「……」

善子「……」バッ…!

曜「…!」

梨子「…!?」


バシャッッ…!


曜「わ…ぶっ…!?」

梨子「え…!?な…なに…!?」

善子「水よ……顔洗いなさい」

曜「え…!?あ…あぁ……本当だ……」

梨子「水…!?なんで!?どういう事!?」

善子「私達の負けって事よ……鍵も置いておくわ……」ポイッ…

鍵 カランッカラン…

梨子「あ…!」

曜「………」ゴシゴシ…

善子「ほら、行くわよ…ずら丸……」グイッ…

曜「………」スゥ……

梨子「あ…!曜ちゃん!!目、開けられたのね!!」

曜「………」

善子「………」

梨子「え…」

曜「………」

善子「ふっ……なに?その顔は……勝って嬉しくないの…?」

曜「………」

善子「こんな形だから不満…?言っとくけど、もう無理よ、私達は二人で一人……片方がやられたんなら、それで終わりよ……それに……」

善子「あなたみたいな本物に出会えた……私も不良だからね…ただ純粋に、あなたのその強さを尊敬しちゃったの……その時点で、もう私の負けだわ……」

曜「………」

梨子「………」

梨子(こ…この子……バカな子だと思ってたけど……意外なところあるのね……)

善子「それじゃあ、私はずら丸を病院に連れてくわね……会えて良かったわよ、渡辺曜……」クルッ…

曜「……」

曜「……」ガシッ…

善子「え…?」クルッ…

曜「なにいい感じに帰ろうとしてんの?私は、あんたにムカついてんだけど…?」ニコニコ

善子「へ…?」

梨子「え…」

曜「千歌ちゃんに何度もナメた口聞いた罪…償って貰わないとね…?」ニコッ!

善子「う…嘘……」

梨子「いや…千歌ちゃんって……」

曜「せー…のっ…!」

善子「い…いやいやいやいや…!!ちょっと待って!?え!?ええ!?今、いい感じに帰れる流れじゃなかっ…

曜「ごちゃごちゃうるさいよ」ニコッ!

善子「え…


ゴンッッッ!!!


梨子「あぁ……もう……」

善子「あ…あひゅー……」バタンッ…!

花丸「うっ……」バタンッ…!

曜「はー!スッキリした…!!大満足!!」ニッコリ!

曜「これで、千歌ちゃんの威厳は守ったぞー!!私、最強ー!!!」

梨子「あ…あぁ……」

梨子(や…やっぱりダメだ……この人……千歌ちゃん以上にバカかも……)

曜「さーて…!じゃあ、囚われの梨子ちゃんを解放してあげようかな!」タッタッ…!

梨子「はぁ……私の手錠解いたら、そこの二人連れて病院行くのよ…?」

曜「えぇ…!?なんで私が……」

梨子「やったの曜ちゃんでしょ……責任持ちなさい」

曜「えー……面倒くさい……」

梨子「ダメよ、行くの…!ことりちゃんとの約束破ったんだから、これぐらい我慢しなさい…!」

曜「ぶー……分かったよー……」スッ…

梨子「当たり前よ……」

曜「もー…梨子ちゃん、真面目すぎ……」カチャカチャ…

手錠 カチャッ…!

曜「お…開いた……」

梨子「ん…んん~…!!」ノビィー……

梨子「やっと、解放された…!!もう、手が痛いわ……」

曜「あはは……結構長い間、手錠されてたもんね……」

梨子「そうね……曜ちゃんが、喧嘩しだすから」

曜「え…!?いやいやいや、私が喧嘩しなきゃ、ずっと手錠されてたよ!梨子ちゃん!!」

梨子「話し合えば、すぐ渡してくれたかもしれないわ」

曜「い…いや……だから、不良に話し合いとか通じないって……」

梨子「不良である前に人間よ…?言葉が通じるなら、やりようがあるはずだわ、すぐに暴力に訴えるのは良くないわよ」

曜「う…うーむ……」

曜「そ…それは……そうかもしれないけど……」

善子「う…うーん……」ゴロンッ…

曜「あれ…?起きた…?」

善子「ん…」パチッ…

善子「あ……あれ…?空……?」

曜「おーい」ヌッ…

善子「…!?」

善子「ぎゃ…ぎゃあああっ!!あ…悪魔!!や…やめて!!来ないで!!!」ズザザザザッッ!!

曜「あはは…もう、何もしないって……」

善子「え……ほ…本当に……?」

曜「ほんと、ほんと、後ろから私より怖い人に睨まれてるから」

梨子「………」ジィーーー…

善子「え…」

善子(嘘…!あの人、そんなに強かったの!?)

花丸「う…うぅ……」

曜「あ、ずら丸ちゃんも起きた?」

花丸「う…こ…ここは……」ムクリッ

善子「なに寝ぼけてんのよ……やられたのよ、私達二人とも……この渡辺曜に……」

花丸「あっ……」

花丸「そっか……」ゴロンッ…

花丸「まる達、負けたずらか……」

善子「そうね……完敗だったわ……」

曜「いやいや、結構苦戦したよ?私だって、ずら丸ちゃんのタックルで相当ダメージあるし……」

善子「………」

花丸「…花丸ずら……」

曜「え…?」

花丸「花丸ずら…!!ずら丸は、善子ちゃんが勝手に呼んでるだけずら!!本名じゃないずら!!!」

善子「あはは…ずら丸、ごめん……」

花丸「…!!」

花丸「ずら丸って呼ぶなずら!!」ポカッ…

善子「いてっ…!」

花丸「まるには、花丸っていう、ちゃんとした名前があるずら…!善子ちゃんにも、そう呼んで欲しいずら……!」

善子「え~……でも、今更だし……それに、あんただって、私の事ヨハネって呼んでくれないわけだし……」

花丸「ヨハネは本名じゃないずら…!」

善子「…!?」

善子「ほ…本名よ…!!」

花丸「なに言ってるずら…!!じゃあ、なんでクラスの名簿に津島善子って書いてあるずら!?津島ヨハネだって、先生に言いに行けばいいずら!」

善子「うぐっ……そ…それは……その…善子は仮の名前で……その…ヨハネは……知られてはいけない名前というか……下界では善子として活動しているというか……」

梨子「はいはい……何言ってんのか分かんないけど、くだらない事で言い争っちゃダメよ…?二人とも……」

善子「…!」

花丸「なっ…!く…くだらない事じゃな…もがっ…!?」

善子「ず…ずら丸…!!」グググッ…

花丸(よ…善子ちゃん…!?く…苦しいずら…!!)

善子「ダメよ……逆らっちゃ……さっき知ったけど、この人は、渡辺曜より強いのよ…!!逆らったら、なにされるか……」コソコソ…

花丸「…!?」

花丸「こ…この人が……?」

梨子「…?」

花丸(ぜ…全然強そうに見えないのに……)

花丸(まさに、能ある鷹は爪を隠すずらね……)

花丸「…敵わないずら……」ガックシ…

梨子「え…?」

善子「今はまだね……」スクッ…

花丸「そうずらね……」スクッ…

曜「あ…あれ……?二人とも、もう行くの?」

善子「いつまでも、敵と仲良く話してるのも、おかしいでしょ?私達は帰るわ」クルッ…

花丸「次会った時は覚えとくずらよ!!絶対、二人ともやっつけてやるずら!!」ザッ…

梨子「え…!?わ…私も…!?」

曜「あはは…なんでだろ……ドンマイ、梨子ちゃん」

梨子「ド…ドンマイじゃないわよ……私なにもしてないのに……」

曜「あはは…あ、いてて…」ズキッ…

梨子「…!」

梨子「曜ちゃん!大丈夫!?」

曜「う…うーん……ちょっとマズイかも……梨子ちゃん、助けて…」

梨子「えぇ…!?マズイの!?じゃ…じゃあ、病院…!病院行かないと…!!」

曜「運んで~」

梨子「は…運ぶの…!?できるかしら……」

曜「できる、できる、人間一人くらい訳ないって」

梨子「そ…そう…?じゃあ……」

梨子「ふぬぬ……」グググッ…

曜「………」

梨子「ぬぬ~……っ!」グググッ…!

曜「………」

梨子「っはぁ……!む…無理……曜ちゃん、重すぎ……」ハァ…ハァ…

曜「いや、梨子ちゃんが力無いんだよ……私、別に太ってないし……」

曜「はぁ……仕方ない…歩くか……」スクッ…

梨子「ごめんなさい……力無くて……」

車 ブーン…

曜「あ、すごい車だ…!乗せてもらおうかな?」

梨子「はぁ…?な…なに言って……」

曜「すいませーん!病院までー!!」ブンッ!ブンッ!

梨子「ちょ…」


車 ブオオオオンッッッ!!!


曜「…!?」

梨子「あぁ……通り過ぎちゃった……」

曜「………」

梨子「…内浦じゃどうだったか知らないけど、東京じゃ、知らない人を車に乗せてくれる人なんていないわよ…?」

曜「い…今の……」

梨子「…?」

梨子「曜ちゃん……?」

曜「……綺羅…ツバサ………」

梨子「え…?」

曜「綺羅ツバサだった……今、車に乗ってたの……」

梨子「えぇ…!?き…綺羅ツバサ…!?」

梨子「それって、たしか…A-RISEの……」

曜「う…うん……」

曜「………っ」

曜「あいつ……本当にいたんだ……ここに……っ」

梨子「よ…曜ちゃ……」

曜「ぐっ……」

拳 グググッ…

梨子「…!」

梨子「…………」

--------------------

曜「でも、私の口からは言えないよ、千歌ちゃんの問題だから…」

--------------------

梨子「っ……」

梨子「よ…曜ちゃん…!!」

梨子「そ…その……!やっぱり、教えてもらえないかしら…!千歌ちゃんと曜ちゃんが昔、何があったのか…!!」

曜「………」

梨子「もう前とは違って、私は二人が不良だって事知ってるし……それに、なにより…私だけ、仲間外れは嫌よ…!!」

梨子「二人が何か悩んでるなら、助けになりたい……!何もできないかもしれないけど……それでも、何もしないでいるなんて、できない…!!」

曜「……梨子ちゃん………」

梨子「友達だから……大切な……」

曜「………」

梨子「………」ジッ…

曜「…はぁ……」

梨子「曜ちゃん……」

曜「後で、千歌ちゃんに怒られても知らないからね……?」

梨子「…!」

梨子「う…うん…!」

曜「………」

曜「先に言っとくけど、聞いてて気持ちがいい話じゃないからね……私も、できれば思い出したくないし……」

梨子「わ…分かったわ……ごめんなさいね……」

曜「いいよ……思い出したくないけど、私も梨子ちゃんには知ってて貰いたい……」

梨子「…曜ちゃん……」

曜「……あれは…」

曜「…私達が、ここに転校して来る前の八月…夏休み……」

梨子「………」ゴクリッ…










--------------------


千歌、穂乃果サイド-


千歌「ひっ…ひぃっ……」タッタッタッ…!

穂乃果「………」タッタッタッ…!

千歌「ちょ……ほ…穂乃果ちゃ…ストップ……!一旦止まって…!!」タッタッタッ…!

穂乃果「………」タッタッタッ…!

千歌「うぐ……」タッタッタッ…!

千歌(ぜ…全然聞いてくれない……) タッタッタッ…!

穂乃果「………」タッタッタッ…!

千歌(道分かんないから、どこ走ってんのか全然分かんないし……穂乃果ちゃん、止まってくれそうにないし……) タッタッタッ…!

千歌「こ…これ…どうすれば………」タッタッタッ…!

千歌「…!」

千歌(ま…前……階段……) タッタッタッ…!

穂乃果「………」タッタッタッ…!

千歌(この距離なら……) タッタッタッ…!

千歌 ダッ!!

千歌(階段上がった所で、振り切れる…!!) タッタッタッ…!

穂乃果「…!」

穂乃果(あの階段……) タッタッタッ…!

穂乃果「………」タッタッタッ…!

穂乃果 ダッ!!

千歌「はぁっ…はぁっ……」タッタッタッ…!

千歌(か…階段キツ……結構長いし……) タッタッタッ…!

千歌(あと…少し……!) タッタッタッ…!

千歌「っはぁ……」タンッ!!

千歌「え……」

千歌(こ…ここって……)

千歌「…じ…神社……?」

穂乃果「………」タッタッタッ…!

千歌「…!」

千歌(き…来てる…!!)

千歌(とりあえず右に…!!) ダッ!!

千歌「…!!」

千歌「い…行き止まり…!?」

千歌(ど…どっかに他の入り口……!) クルッ…!

穂乃果「……」ザッ…!

千歌「あっ…!!」

穂乃果「はぁ……はぁ……」

穂乃果「やっと……止まったね……高海千歌……」ハァ…ハァ…

千歌「うぐっ……」

千歌「穂乃果ちゃん……」


--------------------

ことり「はぁ…はぁ……」ツカツカ…!

ことり(たしか……二人とも、こっちに……) ツカツカ…!

ことり「…!」

ことり(わ…分かれ道……)

ことり「はぁ…はぁ……」クルッ…クルッ…

ことり(左右の道には、いない……)

ことり「じゃ…じゃあ……」

ことり「………」

ことり(こ…この階段………)

ことり(ここは……)

ことり「………」

ことり(穂乃果ちゃん……)

ことり「………」

ことり ダッ…!











--------------------

>>543-546
トコトコツカツカトコトコツカツカトコトコツカツカトコトコツカツカトコトコツカツカ

絵里先輩かっこよすぎてこの後が心配だけど……頑張れ!


凛、花陽、絵里サイド-


海未「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

絵里「……っ」


花陽「…剣道経験者で、それも有段者が、木刀を使うなんて……ずるいよ……そんなの勝ち目が……」

凛「いや……ずるいなんて事は無いにゃ……」

花陽「えっ…!?で…でも……」

凛「そもそも、これは喧嘩にゃ……ルールなんてどこにも無いにゃ……」

花陽「そ…そんな……じゃあ、絵里先輩は……」

凛「………」

凛「…残念だけど、普通に考えて、今の海未先輩に勝つのは不可能だにゃ……」

花陽「…!!」

凛「多分、絵里先輩も分かってる……なんとか隙を作って、逃げる事を考えてると思うにゃ……」

花陽「に…逃げる……」

凛「うん……だから、かよちん……凛達も逃げる準備を……」

花陽「…!う…うん……!」

凛「………」

凛「絵里先輩……」

海未「………」

海未「……」ヒュンッ…

絵里「…!」ピクッ…

海未「………」

絵里「くっ……」

絵里(切っ先を細かく動かしてフェイントをかけてる……)

絵里(私が、突っ込むのを待ってるんだわ……)

海未「………」ヒュンッ…

絵里「…!」ピクッ…

絵里(……落ち着くのよ……私……絶対に釣られてはダメ……)

絵里(この距離をキープ……この距離なら、避けられる……)

海未「………」ズリッ…

凛「…!」

凛「絵里先輩…!!逃げて…!!!」

絵里「…!?」

海未 ダッ!!!!

絵里「なっ…!?」

絵里(きょ…距離が一気に……)

海未 ザッ!

絵里「…!」

絵里(小手狙い…!?)

海未 ブンッッッ!!!

絵里(手を引け…!!!) バッッ!!


スカッ!!!


絵里「…!!」

絵里(ま…間に合った……)

海未「……」ザッ!!

絵里「あっ…!」

絵里(ま…まずい……!!頭が……!!)

絵里(がら空…


ガンッッッ!!!!


絵里「~っっ…!!?」

凛「…!!」

凛「こ…小手…!!」

海未「………」

絵里「ぐっ……ああっ……くっ…」ドサッ…

海未「……折れましたね……手首……」

絵里「っ……!」

花陽「そ…そんな……手首が……」

海未「それでは、もう勝負にならないでしょう……私の勝ち……いや、焔ヶ丘の勝利という事で、よろしいですか……?」

絵里「くっ………」

海未「………」

凛「え…絵里先輩……」

海未「反論しないと言う事は、了承したと受け取ってよろしいですね…?」

凛「っ…!!」

凛「ま…まだにゃ…!!!」スクッ…!!

花陽「凛ちゃん…!?」

海未「…凛……」

凛「り…凛が相手にゃ…!!!こ…このまま焔ヶ丘の好きになんかさせないにゃ…!!!」

海未「………」

海未「足……震えていますよ……?」

凛「…!!」

足 ガクガクガク…

海未「怖いのでしょう……?素手ですら勝てなかったあなたが、木刀を持った私に勝てるわけがありませんものね……」

凛「っ……!!」

凛「そ…そんなの……!!」

絵里「星空さん…!!!」

凛「…!」

凛「え…絵里先輩……?」

絵里「ありがとね……私の事…心配してくれたんでしょ……?」

凛「……」

絵里「でも、大丈夫よ……私に任せて……?勝てるから……」

凛「…!?」

凛「か…勝てる……!?」

海未「………」

海未「見苦しいですね……絢瀬絵里……嘘までついて、後輩に良い所を見せたいのですか…?」

絵里「嘘じゃないわよ……本当に勝てるの……見つけたのよ……あなたの弱点………」

海未「…?」ピクッ…

凛「じゃ…弱点……?海未先輩に……?」

海未「戯言を……」

絵里「ふふっ……戯言か、どうかはやってみれば分かるわ……」

海未「っ…」

海未「…大人しく降参していれば良かったものを……」

海未「骨折どころでは済まなくなりますよ……?」ゴゴゴゴゴゴゴ…

絵里「ふふっ……どうかしらね……」

海未「………」ゴゴゴゴゴゴゴ…

絵里「………」

海未「………」ズリッ…

絵里(来る…!!)

海未 ダッ!!!!

絵里「…!!」

絵里(やっぱり速い…!!これが剣道の踏み込み…!!)

絵里(でも……)

海未 ガバッッ!!!

絵里(これならどう…!?) バッッ!!

海未「…!?」

凛「え…!?」

凛(手…手を後ろに……!?)

海未「っ……」ピタッ…

凛「う…海未先輩の動きが……!!」

絵里(今…!!)キッ…!

絵里 ザッッ!!!

海未「…!」


ドカッッッ!!!!


海未「~っ!?!?」

凛(当たった……!!)

海未「ぐっ……あぁ……っ」

海未(な…なんて重い蹴り……) ガクッ…

絵里 ザッ…

海未「え…


ガツンッッッ!!!!


海未「ぶっ…!?」

凛「…!?」

花陽「ひ…ひどい……顔を……」

絵里 ザッ…

海未「ぐ……あぐ……ぐ…」ポタポタ…

凛「…!!」

凛「え…絵里先輩…!!」ダッ!!

絵里「………」バッ…!

海未「ぐっ……」ポタポタ…

海未(血…血が……)

凛「ス…ストップッッ……!!」ガバッッ!!!

絵里「わっ…と……」

花陽「凛ちゃん…!!」

絵里「………星空さん……」

海未(り…凛……) ポタポタ…

凛「もう終わりにゃ…!!もう勝負ついたにゃ……!!!これ以上やったら、海未先輩が死んじゃうにゃ……!!!」

絵里「………」

海未「………」ポタポタ…

絵里「…星空さん……これは、勝負じゃないのよ……?喧嘩……分かる…?」

凛「…!!」

海未(け…喧嘩……)

絵里「園田さんもよ…?あなた……小手以外打つ気無かったでしょう……?」

海未「…!!!」

海未「そ…そんな事は…!!」

絵里「あるわよね…?最初の攻撃の時、がら空きだった面じゃなく、わざわざ後ろに引いてあった手を狙った……」

海未「…!」

絵里「怖かったんでしょう……?面を打つのは……」

海未「っ……!」

海未「だ…だから……!そんな事は……

絵里「骨折どころでは済まなくなる……」

海未「…!」

絵里「あなた、そう言ったわよね…?分かってるんでしょう……?頭や胴や突きを打つのは、命を奪ってしまうかもしれないって」

海未「…!!!」

凛「海未先輩……」

絵里「星空さん……離して貰っていいかしら……?もう、殴らないから」

凛「え……」

絵里「いい…?」

凛「…!」ゾッ…!

凛「は…はい……」スッ……

絵里「ありがとう……」

花陽(凛ちゃん……)

絵里「さて……園田さん……」ザッ…

海未「…!」

絵里「一つ聞いていい……?あなた……なぜ喧嘩なんかしてるの……?」

海未「…!?」

海未「そ…それは……」

絵里「おかしいわよね……あなたは、こっち側の人間じゃないわ……人を傷つけるなんて、本当は出来ないはずよ……?」

海未「っ……」

絵里「………」

凛「海未先輩……」

海未「わ…私は……」

海未「………」

花陽「ほ…穂乃果先輩のためですか……?」

海未「…!?」

絵里「高坂さんの……?」

海未「っ……」

凛「だ…だとしたら、それは間違ってるにゃ…!!こんな事しても、穂乃果先輩のためになんか、ならないにゃ…!!!」

海未「………」

海未「…また、それですか……凛………」

海未「じゃあ、なんですか……?ことりのやっている事が正しい事だとでも言うのですか……?」

絵里「…?」

絵里(なんの話……?)

凛「そ…そうにゃ……!!穂乃果先輩が暴走族に苦しめられてるなら、支えるんじゃなくて、そこから、助けてあげないとダメなんだにゃ…!!!」

絵里(暴走族……?)

海未「だから、それは無理だと……

スマホ ピロリンッ♪

花陽「あっ…」

絵里「ちょ……花陽さん……こんな時に……」

花陽「す…すみません……誰かからLINEが…」

花陽「あっ…!」

凛「…?」

花陽「こ…ことり先輩からです……」

海未「…!?」

海未「こ…ことりから……!?」

花陽「はい……今すぐ、神田明神に来てくれって……」

凛「神田明神……?なんで……」

花陽「分かんない……でも、急いでるみたいだし、たぶん……穂乃果先輩の事だと……」

海未「…!!」

海未 スクッ…

凛「え…?う…海未先輩……?」

海未「私も神田明神に向かいます……」

絵里「は…?」

絵里「ちょっと……まだ話は…

海未 ダッ!!!

絵里「あっ…!!」

凛「い…行っちゃったにゃ……」

絵里「はぁ……全く……」

凛「お…追わないんですか……?」

絵里「………」

絵里「…やめとくわ……そろそろ看護師さん達が、血相変えて私の事探してる頃だろうしね……私は病院に戻るわ」

凛「そう…ですか……」

絵里「あなた達は、どうするの……?行くの…?神田明神……何か私の知らない事情があるようだけど……」

花陽「……い…行きます……!」

花陽「だよね…凛ちゃん…!」

凛「う…うん……!全部、終わったら、絵里先輩にも説明するにゃ…焔ヶ丘の変の真相について……」

絵里「…焔ヶ丘の変……真相……?」

絵里「………」

凛「そうにゃ……今は説明してる時間は無いけど、焔ヶ丘と水見色は争っちゃダメなんだにゃ……悪いのは全部A-RISEなんだにゃ……!!」

絵里「A-RISE…?」

絵里「なんで、A-RISEが……」

花陽「すみません…!後で、全部説明します…!!とりあえず、今は急がないとなので……」

絵里「………」

絵里「…そう……分かったわ……それじゃあ、二人とも気をつけてね」

凛「はい…!ありがとうございました…!!絵里先輩…!!!」

凛「行こう!かよちん!!」

花陽「うん…!」

凛、花陽 ダッ!!!


絵里「………」

絵里(…焔ヶ丘の変……A-RISE……)

絵里(………)

--------------------

一年前-

??「大丈夫!ウチに任せて!エリチは無理する事ないから!!」

絵里「で…でも……松浦さんと小原さんは……」

??「大丈夫やって!心配性やな~、エリチは!」

--------------------

絵里(………)

絵里「希………」













--------------------


曜、梨子サイド-


曜「…私達が、ここに転校して来る前の八月…夏休み……」

梨子「……」

梨子「夏休み……」

曜「うん。内浦も一応、観光地だからさ、毎年、この時期には観光客も来て結構賑わうんだよ」

梨子「そ…そうなの…?」

曜「伊豆も近いしね、水族館とかあるから」

梨子「そうなんだ……」

スマホ ピロリンッ♪

梨子「あっ…」

曜「ちょ……梨子ちゃん……」

梨子「あはは…ごめんごめん……なんかLINE来たみたい……えっと……」

梨子「え…!?」

曜「…?」

曜「どうかしたの…?梨子ちゃん」

梨子「こ…ことりちゃんから……」

曜「ことりちゃんから…?」

梨子「これ……」スッ…

曜「え…?なに……?」

曜「…!?」

曜「こ…これって……」

梨子「うん……この急ぎ様……穂乃果ちゃんに何かあったのかも……」

曜「…!」

曜「じゃ…じゃあ…!早く神田明神って所に行かないと…!!」

梨子「えぇ…!話は走りながらお願いできる…?」

曜「うん…!とりあえず、急ごう!!」ダッ!!

梨子「えぇ…!」ダッ!

梨子「…って、えぇ…!?」タッタッタッ…

曜 ピューンッ!!

梨子「足速っ…!!?」タッタッタッ…

曜「え…?」クルッ…

曜「えぇ…!?梨子ちゃん、遅っ…!?」

梨子「い…いや……曜ちゃんが速いのよ……もうちょっと遅く走っ…」カツッ…!

梨子「え…」グラッ…

足首 グキィッ…!

梨子「…っ!!?」

曜「え…」

梨子「いたああああああっっ!!!??」

曜「ちょ…梨子ちゃん……」

梨子「いったぁ……痛い……痛すぎる……うぐぅ……」

曜「………」

梨子「あ…歩けない……助けて、曜ちゃん……」

曜「嘘でしょ……」













--------------------


神田明神-


スマホ スッ…スッ…

ことり(よし……)

ことり(これで、梨子ちゃん達が来てくれる……)

ことり(後は……)

穂乃果「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

千歌「うぐ……」

ことり(私が、なんとか時間を稼がないと……!)

ことり「ほ…穂乃果ちゃん…!!」

穂乃果「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

千歌「ことりちゃん……」

ことり「一旦落ち着こう…!?千歌ちゃんとは、友達なんでしょう…?一緒に曲も作るんじゃなかったの…!?」

穂乃果「………」

千歌「そ…そうだよ…!!穂乃果ちゃん…!!あの日、一緒に遊んだ仲じゃん…!!私、穂乃果ちゃんと闘いたくないよ…!!」

穂乃果「………」

千歌「大丈夫だよ…!A-RISEなんて、怖くないよ!!私達も協力するし…!!」

穂乃果「…!?」

穂乃果「あ…A-RISE……?なんで、千歌ちゃんが、それを………」

千歌「え…」

ことり「………」

穂乃果「…!」

穂乃果「…ことり……ちゃん……まさか……」

ことり「………」

ことり「う…うん……」コクリッ…

穂乃果「…!!!」

ことり「で…でもね…!!これは、穂乃果ちゃ…

穂乃果「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!」

ことり「…っ」

千歌「…!?」

穂乃果「なんで……どうして………言っちゃダメなのに……そう言われてたのに……」

穂乃果「どうしよう……みんなが……みんなが…!私の大切な物が全部………」ブルブルブルブル…

千歌「…!」

千歌(ふ…震えてる……)

千歌(こんなに怯えるなんて……)

千歌「くっ……」ギリィッ…

千歌(綺羅ツバサ………一体何を……)

ことり「穂乃果ちゃん…!」ダッ!!

穂乃果「う…うぅ……どうすれば……どうすれば……」

ことり「大丈夫だよ…!穂乃果ちゃん…!!みんなで、なんとかしよう…!?きっと、なんとかなるよ…!!私達だけじゃない…!梨子ちゃんや、千歌ちゃん達もいるから…!!!みんなで頑張ろう…?」

穂乃果「うぅ……無理だよ……何も変えられないよ……無理なんだよ……」

千歌「穂乃果ちゃん……」

千歌「………」

穂乃果「どうすれば……どうすれば……」

千歌「ほ…穂乃果ちゃん…!」

穂乃果「…!」

穂乃果「千歌……ちゃん……」

千歌「だ…大丈夫だよ!!私も含め水見色のみんなにも協力するから!みんなで頑張れば、きっと、できないことなんて、なんにも無いよ…!!」

穂乃果「高海……千歌……」ザワッ…

千歌「え…」

穂乃果「……」スクッ…

ことり「ほ…穂乃果ちゃん……?」

千歌(様子が……)

穂乃果「…そうだ………悪い事したら、良い事して打ち消しちゃえばいいんだ……」フラリ…

千歌「…!?」

千歌(近づいてくる…)

穂乃果「そうすれば、大丈夫……ふふふっ……良かった……私は、また守れたんだ……」ピタッ…

千歌「…!」

ことり「え…?」

ことり(ち…千歌ちゃんの前で……)

穂乃果「ありがとう…高海千歌……」ニコリ…

千歌「…!!」


ガツンッッッ!!!!


千歌「あぐぁっ…!!」フラッ…

ことり「…!!?」

ことり「ほ…穂乃果ちゃん…!?」

穂乃果「倒れろっ!!!」ギュルンッッ!!

千歌「…!!」


メキィッ!!!!


千歌「…!!?」グラッ…

千歌「いっ…」ドサッッ…!!

千歌(う…後ろ回し蹴り……頭を……)

ことり「…!!」

ことり「千歌ちゃん!逃げて…!!」

穂乃果 ドサッッ!!

千歌「うぐっ…!?」

千歌(や…やば……上に乗られ…


ゴンッッッ!!!


千歌「ぶはっ…!?」

ことり「…!」


ガンッッッ!!!


千歌「あぐ…」

ことり「…!!」


ドカッッッ!!!


千歌「あ…」

穂乃果「………」スッ…

ことり「や……」

千歌「うぐぅ……」

千歌(い…意識が……)

ことり「やめてえええええええええええええっっっ!!!」


バキィッッッ!!!


千歌「あぅ……」ゴロンッ…

穂乃果「………」

ことり「…!!」

ことり「そ…そんな……千歌ちゃん……」

千歌「………」

穂乃果「………」

穂乃果「……」スッ…

穂乃果「………」

穂乃果「……」クルッ…

ことり「…!!」

ことり「穂乃果ちゃん…!!」

穂乃果「………」スタスタスタ…

ことり「うぅっ……!」

ことり「ち…千歌ちゃん…!!」ダッ!!

千歌「………」

ことり「千歌ちゃん…!!千歌ちゃん、しっかり…!!!目開けて…!!千歌ちゃん…!!」ユサユサ…!

千歌「………」ユサユサ…!

穂乃果「………」スタスタスタ…

ことり「あぁ……そんな……そんな……」

ことり「なんで……なんで、こんな事に……」ポロポロ…

穂乃果「………」スタスタスタ…

ことり「ほ…穂乃果ちゃん…!!」

穂乃果「………」スタスタスタ…

ことり「うぅ…穂乃果ちゃん……」

千歌「………」

ことり(ダメだ……こんな状態の千歌ちゃんを放って、穂乃果ちゃんを追うなんて、できない……)

ことり(どうすれば……)

穂乃果「………」スタスタスタ…

ことり(誰か……誰か、穂乃果ちゃんを……)


海未「…!」ザッ…!!

ことり「…!!?」

穂乃果「……!」

ことり「う…海未ちゃん…!!?」

海未「穂乃果…!!ことり…!!」

穂乃果「…海未ちゃん……」

海未「穂乃果………こ…これは……」

穂乃果「………」

穂乃果「見た通りだよ…私がやったの……言ったでしょ?高海千歌は、私がやるって」

海未「…!」

穂乃果「海未ちゃんは?凛ちゃん、倒したんだよね?」

海未「…!そ…それは……」

凛「えっ…!?」ザッ…!!

穂乃果「…!?」

海未「り…凛…!!」クルッ…!

凛「こ…これは……」

ことり「凛ちゃん……!千歌ちゃんが…!千歌ちゃんが……!!」ポロポロ…

千歌「………」

凛「…!!?」

凛「ち…千歌先輩…!?」ダッ…!!

穂乃果「………」

海未「………」

穂乃果「海未ちゃん……なんで、凛ちゃんが、ここにいるの……?」

海未「…!!」

海未「ち…違うんです…!!あれは、絢瀬絵里が…

穂乃果「言い訳は聞きたくないよ……」

海未「っ…」

花陽「はぁ…はぁ……凛ちゃん速いよ……」タッ…

穂乃果「…!!」

穂乃果「花陽ちゃんまで……」

花陽「え…?こ…これ……何が……」

凛「かよちん…!!」

花陽「え…?」

千歌「………」

花陽「…!!?」

花陽「千歌先輩…!?」

花陽「だ…大丈夫ですか…!!?」ダッ…!!

穂乃果「………」

海未「……っ」

穂乃果「…どうする?海未ちゃん…あっちは手負いの凛ちゃん一人……私達は二人……やるなら今だよね……?」

海未「…!」

海未「ほ…穂乃果…!あなた…!!」

穂乃果「しょうがないじゃん…海未ちゃんが、しくじるから、いけないんだよ…?やんなきゃダメなんだよ……そう言われたんだから」

海未「…!」

--------------------

凛「何が、どうにもならない…だ……!そんな事あるか……!ことり先輩は…!ことり先輩は、諦めてなかったにゃ…!!!」

--------------------

海未「……っ」

--------------------

凛「そ…そうにゃ……!!穂乃果先輩が暴走族に苦しめられてるなら、支えるんじゃなくて、そこから、助けてあげないとダメなんだにゃ…!!!」

--------------------

海未「………」

穂乃果「海未ちゃん……?」

海未「くっ…」

海未(私は……)

--------------------

絵里「一つ聞いていい……?あなた……なぜ喧嘩なんかしてるの……?」

--------------------

海未(私は…穂乃果のために……)

穂乃果「……?」

--------------------

凛「だ…だとしたら、それは間違ってるにゃ…!!こんな事しても、穂乃果先輩のためになんか、ならないにゃ…!!!」

--------------------

海未「……っ」

穂乃果「どうしたの……?早くしないと、逃げられちゃうよ…?」

海未「…ほ……穂乃果………」

穂乃果「…?なに…?海未ちゃん」

海未「私は……」

穂乃果「…?」

海未「私は……間違っていたんじゃないでしょうか……」

穂乃果「え…?」

凛「海未…先輩……?」

ことり「………」

穂乃果「間違いって、どういう事?何が?どうしたの?海未ちゃん」

海未「た…闘いましょう……!!穂乃果…!!」

穂乃果「え…?あぁ……うん…そうだね…早く…

海未「違います…!!A-RISEとです…!!取り戻すんです…!!私達で…!!」

穂乃果「………」

凛「…!!」

ことり「海未ちゃん……」

海未「もう少しで、松浦果南と小原鞠莉が出所してくるのは分かってます……でも、私は、それで終わる気がしないんです……A-RISEは、そういう人達じゃないですか…!だから、断ち切らないといけないんです…!私達自身の力で……」

穂乃果「………」

海未「すみません……急にこんな事言い出して……今まで言ってきた事と全然違いますよね……混乱させてしまっているのは分かります……でも…」

海未「でも、気づいたんです……!今まで考えようともしなかった事…!そうさせた自分の弱さ…!!だから、考えました……それで、思ったんです……このままじゃいけないって……」

ことり「…!!」

ことり「そ…そうだよ…!!穂乃果ちゃん…!!このままでいいはず無いよ…!!動かなきゃ…!!じゃなきゃ、何も変えられないよ…!!!」

穂乃果「………」

凛「ことり先輩……」

千歌「………」

花陽「…!」

花陽「ち…千歌先輩……」

花陽「意識が……」

千歌「………」

海未「ことり……」

ことり「海未ちゃん…ありがとう…!一緒に頑張ろう…!!」

海未「…!」

海未「そんな……悪いのは私なのに……ことり…あなたという人は……」

ことり「ううん…海未ちゃんも穂乃果ちゃんも悪くないよ……?ただ、ちょっと道に迷っちゃってただけ……そうでしょ…?だから、大丈夫…!少しの勇気があれば、いつだって、道は変えられるよ…!!」

海未「ことり……」

海未「うぅ…ありがとうございます……あなたには感謝してもしきれませんね……」ウルッ…

穂乃果「………」

海未「穂乃果……やり直しましょう…きっと大丈夫です…私達には心強い仲間が居てくれるんですから…」

穂乃果「………」

凛「穂乃果先輩…」

穂乃果「………」

ことり「穂乃果ちゃん…」

穂乃果「………」

花陽「穂乃果先輩…」

穂乃果「………」

海未「穂乃果…」

穂乃果「……」

穂乃果「……っさい……」

海未「え……」

穂乃果「…うるさい……」

海未「…!?」

ことり「ほ…穂乃果ちゃん……?」

穂乃果「うるさいよ……何も知らないくせに……綺麗事ばっかり並べて……」

海未「…!!」

ことり「穂乃果ちゃん……」

千歌「………」

穂乃果「………」

ことり「た…たしかに……綺麗事かもしれない……でも…!私は、それでいいと思う…!やってみてダメでも、また頑張れば、きっと、いつかなんとかなるよ…!!」

花陽「ことり先輩……」

穂乃果「………」

穂乃果「はぁ……じゃあ、言うけどさ……」

ことり「え…?」

穂乃果「A-RISEにね、脅されてるの……もし、約束を破ったら、私達の知り合い全員ただじゃ済まないって……」

ことり、海未「…!!?」

花陽「そ…そんな……」

凛「なんにゃ……それ……」

千歌「………」

穂乃果「もちろん、凛ちゃん達も入ってるよ…?住所だけじゃなく、写真も見せられた……分かる…?もう私一人の問題じゃないの……」

ことり「……!」

穂乃果「どう……?これでも、歯向かおうと思う…?私達の知り合い全員を犠牲にする事になるとしても……」

海未「穂乃果……あなた……」

ことり「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「……?」

海未「なんで早く言ってくれないんですか……」

穂乃果「…!?」

ことり「それで、ずっと一人で苦しんでたなんて……ごめん…穂乃果ちゃん……何もしてあげられなくて……」

穂乃果「…!!?」

穂乃果「ちょ…な…何言ってるのさ…!!ふたりとも……!!そんなの、言った所で、何も変わらないじゃん!!二人に心配かけてまで、言う事じゃないよ…!!」

海未「変わるじゃないですか……あなたの心が……」

穂乃果「…!!?」

海未「辛いなら話してください……苦しいなら叫んでください……私達にも背負わせてください…一人で背負わないで…」

ことり「そうだよ…!心配なんか、いくらでもかけてよ…!穂乃果ちゃんが辛いなら、私も辛いよ…!」

穂乃果「ことりちゃん……海未ちゃん……」

穂乃果「………」

凛「穂乃果先輩……」

花陽「………」

千歌「………」

穂乃果「くっ……」

穂乃果「で…でも……!!私が多少、楽になった所で、この状況は何も変えられないじゃん…!!!今ので分かったでしょ!?無理なんだよ!!A-RISEに立ち向かうなんて…!!」

ことり「……そ…それは……」

海未「……っ」

穂乃果「二人の気持ちは嬉しいよ…?でも、私が動けば、すぐに周りに被害が出る…!!それに、例え、犠牲覚悟で動いたとしても、上手くいくわけない…!!A-RISEを倒すなんて、絶対できない…!!」

凛「………」

花陽「…穂乃果先輩……」

穂乃果「………」

穂乃果「…無理なんだよ……もう……」

穂乃果「諦めるしかないんだよ……」

ことり「………」

海未「………」

凛「………」

花陽「………」

千歌「………」

穂乃果「………」

千歌「…はぁ……」

ことり「…!?」

ことり「ち…千歌ちゃん…!?意識戻ったの…!?」

千歌「さっきね…」スクッ…

花陽「…!!」

花陽「た…立って大丈夫なんですか…!?ダ…ダメージは……」

千歌「治った……やらされてるパンチなんて効かないからね」コキッ…コキッ…

穂乃果「…!」

穂乃果「っ……」

千歌「何…?何か言いたい事でもあるの…?操り人形のくせに、意思はあるの……?」

穂乃果「…!!」

穂乃果「だ…だから、言ってるじゃん!!しょうがないんだよ…!!好きで、操られてるわけじゃない…!!」

千歌「しょうがない……?」

千歌「なんで?」

穂乃果「だ…だから…!!立ち向かった所で、無理なんだって…!!!」

千歌「無理……?」

千歌「なんで、そんな事分かるの…?」

穂乃果「…!?」

千歌「そんなの、やってみなきゃ分かんないじゃん…」スッ…

凛「…千歌先輩……」

千歌「それを、やっても無いのに、無理だの、できないだの、わめいて……」スタスタ…

穂乃果「…っ」

ことり(千歌ちゃん、穂乃果ちゃんの方に……)

千歌「できるとかできないは、後から分かる話じゃん……」スタスタ…

千歌「いつだって、あるのは、やるかやらないかだけなんだよ……」スタスタ…

千歌「……」ピタッ…

穂乃果「…!」

海未(ほ…穂乃果の前で止まった……)

千歌「そんな事も分からない腐った脳みそは、私が叩き直してやんよ」

花陽「…!!」

凛「千歌先輩……」

ことり「千歌ちゃん……」

千歌「……」コキッ…

千歌「第二ラウンドだ…」

海未「…!!」

穂乃果「くっ……」

千歌「来なよ……お人形さん?」クイクイッ…

穂乃果「高海千歌……!」











--------------------

物語特有の丈夫さ


曜、梨子サイド-


曜「はぁ…はぁ……」ズン…ズン…

梨子「だ…大丈夫……?曜ちゃん……」

曜「…え…!?…な……なにが……?」ズン…ズン…

梨子「いや…だって……いくら、曜ちゃんが力持ちって言っても、私を背負って神田明神まで行くなんて……」

曜「しょ…しょうがないじゃん…!梨子ちゃんが、転ぶから…!!」ズン…ズン…

梨子「うっ……そ…それはそうだけど……」

曜「いーよ…!別に……修行だと思って、頑張る…!」ズン…ズン…

曜「それに、梨子ちゃん軽いしね…!」ズン…ズン…

梨子「え…///」

梨子「そ…そう……?」

曜「うん…!ダイエットとかしてるの…?」ズン…ズン…

梨子「い…いやいや…!ダイエットなんかしてないわよ…?なにかしらね……才能…?私、太らない体質なのかしらね……ふふ…」

曜「………」ズン…ズン…

曜(なんか調子乗ってるな……) ズン…ズン…

梨子「曜ちゃん…」

曜「ん…?なに……?」ズン…ズン…

梨子「そ…その、千歌ちゃんとA-RISEの過去って言うのは……」

曜「あー…話すって約束だったね……えっと…」ズン…ズン…

曜「夏休みで内浦にも観光客が来るって事までは、言ったよね…?」ズン…ズン…

梨子「えぇ…そこまでは聞いたわ」

曜「うん…それでね……その観光客の中にA-RISEがいたの」ズン…ズン…

梨子「あ…A-RISEが…!?」

曜「そうそう……まあ、観光客の中に悪い人が混ざってるのは、別に良くある事だし、どうって事ないんだけど……」ズン…ズン…

曜「A-RISEは、私達の通ってた浦の星の生徒に対して、暴力を振るったの……」ズン…ズン…

梨子「…!」

梨子「そ…そんな……なんで……」

曜「道を歩いてたら、邪魔だったからとかで……」ズン…ズン…

梨子「…!?」

梨子「理不尽過ぎるわ……理解できない……」

曜「暴走族だからね……自分中心に世界が回ってると思ってるんでしょ……?」ズン…ズン…

梨子「子供みたいね……救いようがないわ…」

曜「そういう人達だから……」ズン…ズン…

梨子「じゃあ、それで千歌ちゃんがA-RISEに復讐を…?」

曜「正解……傷つけられたのが千歌ちゃんの友達だったのも、あって、千歌ちゃん、めちゃくちゃ怒っててね……」ズン…ズン…

曜「すぐにA-RISEの所に行った……」ズン…ズン…

梨子「そ…それで、千歌ちゃんが負けちゃったとか……?」

曜「勝ったよ…」

梨子「…!?」

梨子「ぼ…暴走族相手に…!?」

曜「んー…ていうか綺羅ツバサ相手に……一人でいた所を、千歌ちゃんが見つけたみたいだから……」

曜「その時、綺羅ツバサは武器も持ってなかったし、味方も近くにいなくて、完全なステゴロ勝負……」

梨子「す…すてごろ……?」

曜「素手での喧嘩の事だよ……まあ、ステゴロなら、千歌ちゃんに勝てる人はいないね……」ズン…ズン…

梨子「そ…そう……そんなに強いのね……」

曜「まあね…でも、綺羅ツバサも強かったっぽいよ……いつもは無傷で帰ってくる千歌ちゃんが、ボロボロになってたし……」

梨子「で……でも、勝ったのよね…?じゃあ、なんで千歌ちゃんと曜ちゃんは、そんなにA-RISEを意識してるの……?」

曜「………」ズン…ズン…

曜「燃やされたの……」ズン…ズン…

梨子「え…?」

曜「最初に暴力にあった千歌ちゃんの友達の家が……」ズン…ズン…

梨子「え…!?」

梨子「そ…それって……放火……」

曜「うん……幸い、中に人はいなかったから、誰も死なずに済んだんだけど……家を含め中にあった物は全部燃えちゃったの……」ズン…ズン…

梨子「ひどい……その子は、何も悪くないのに……」

曜「そう……でも、だからこそ、千歌ちゃんには、それが効いた……自分の軽はずみな正義感で、振るった暴力が、罪の無い他人を巻き込んだ……」ズン…ズン…

梨子「………」

曜「いつも、話し合いで解決しようって言う梨子ちゃんなら、分かるでしょ……?暴力に暴力で対抗すれば、時には更に悪い事が起きる……」ズン…ズン…

梨子「…そうね……たしかに、そうだわ……」

梨子「…でも……私は千歌ちゃんが悪いとは言い切れない……方法は間違ってるけど、動機は正しいわ……友達を傷つけられて黙ってる方がおかしい……」

曜「だよね……だから、千歌ちゃんも、そう思った……そして、いつかA-RISEに報復するつもりでいた……でも…」ズン…ズン…

梨子「でも……?」

曜「言われちゃったの……家を燃やされた友達に……」ズン…ズン…

梨子「…?」

曜「「お前のせいだ」って……」ズン…ズン…

梨子「…!!」

梨子「そんな……そんなのって……」

曜「どうなんだろうね……その通りなのかもしれないし……間違ってるかもしれない……でも、千歌ちゃんに、その言葉は刺さっただろね……」ズン…ズン…

梨子「そ…そうね……そんな事言われたら……」

曜「でもね…A-RISEはこれで終わらなかった……今度は、いろんな所に手を回して、火事を千歌ちゃん一人のせいにした……」ズン…ズン…

梨子「…!?」

梨子「そ…そんな事って……」

曜「できるね……A-RISEなら……」ズン…ズン…

梨子「なんなの……それ……」

曜「千歌ちゃんは、不良で有名だったから、世間も簡単に信じた……それで、内浦の人中から非難されて、もちろん学校も退学……だから、お母さんを頼って秋葉原に来たの……」ズン…ズン…

梨子「そんな事が……」

曜「うん……だから、千歌ちゃんは不良を辞める決意をした……もう誰も傷つけないために……」ズン…ズン…

梨子「………」

曜「ま、結局、喧嘩してるけどね…?」ズン…ズン…

梨子「そ…そうね……」

曜「………」ズン…ズン…

梨子「………」

曜「…大丈夫…?梨子ちゃん……急にこんな話しちゃったけど……」ズン…ズン…

梨子「あっ…いや……大丈夫よ……少し驚いただけ……」

梨子「そうね……驚いたわ……何も知らないで、千歌ちゃんと接してた自分が恥ずかしい……」

曜「あはは…いいんだよ、別に……普通に接してあげれれば……」ズン…ズン…

曜「千歌ちゃんは、普通でいたいんだから……」ズン…ズン…

梨子「………」

梨子「でも……もう普通じゃいられないわね……」

曜「………」ズン…ズン…

曜「…そう…だね……A-RISEのせいで、また自分の大切な友達が壊されようとしてる……」ズン…ズン…

梨子「………」

曜「千歌ちゃんも、一度は屈した……対抗するのは諦めた……」ズン…ズン…

曜「それでも……いや、だからこそ……同じ境遇にいる穂乃果ちゃんを助けずにはいられないだろうね……」ズン…ズン…

梨子「そうね……」

曜「うん……でも、それは、ことりちゃんに任せてる……昔なら、自分の暴力で解決しようとしてたからね……」ズン…ズン…

梨子「成長したのね……千歌ちゃん……」

曜「うん…今は、もう家に着いてる頃だろうしね…」ズン…ズン…

梨子「ことりちゃんからのLINEは、千歌ちゃんにもいったのかしら……?」

曜「どうだろ…?ことりちゃんのLINE持ってないんじゃない…?私も持ってないし……」ズン…ズン…

梨子「そう……じゃあ、神田明神にも来てないわよね……」

曜「だね……」ズン…ズン…

梨子「………」

曜「………」ズン…ズン…

梨子「ほ…本当に家にいるわよね……?」

曜「う…うん……私も不安になってきた……」ズン…ズン…

梨子「道に迷って、穂乃果ちゃんとバッタリ会うとか、してないわよ…??」

曜「わ…分かんない……でも、千歌ちゃんがアキバの道知らないのはたしかだし……」ズン…ズン…

梨子「………」

曜「………」ズン…ズン…

曜「い…急ごう……!」ダッ…!











--------------------


神田明神-


穂乃果「……っ」

千歌「………」

ことり「千歌ちゃん……」

凛「………」


穂乃果「………」

千歌「どうしたの…?来ないなら、こっちから行くよ…?」

穂乃果「くっ……」


ことり「………っ」

ことり「ち…千歌ちゃん…!!喧嘩は…

凛「ことり先輩…」スッ…

ことり「り…凛ちゃん……?」

凛「ここは……」

凛「ここは、千歌先輩に任せるにゃ……」

ことり「え……」

凛「………」

海未「………」

海未(凛……)

千歌「………」

穂乃果「………っ」

穂乃果(あれだけ殴ったのに……まだ立ってくるなんて……)

千歌「………」

穂乃果(私とした事が見誤った……次は、確実に息の根を止める……)

穂乃果「……」ザッ…

千歌「ん…?やる気になった……?」

穂乃果「…行くよ……」

千歌「……」ニッ…

海未(穂乃果が戦闘態勢に入った……)

海未「っ……」

海未(凛……あなたは任せると言いましたが、危険であれば、私は止めに入りますよ……)

海未(穂乃果の喧嘩は、危なすぎます……放っておけば、殺してしまう可能性だってある……それも、相手が一度やられてダメージのある高海千歌では……)


千歌「………」フラッ…

海未「…!!」

海未(バランスを崩した……!やはりダメージが!?)

穂乃果(チャンス……!) バッ…!!

花陽「ち…千歌先輩…!!」

穂乃果(終わりだ……!!!) グオォォッッ!!!

千歌「……」


スカッ……


穂乃果「……え…

千歌「……」ザッ…


メキィッッ!!!


穂乃果「ぶっ…!!?」

千歌「……」ニィッ…

海未「…!!?」

穂乃果「ぶはっ…!?あ…あぁ……」フラッ…!

穂乃果「あぐ……くっ…」ポタポタ…

穂乃果(な…殴られた…!?私が攻撃してたはずなのに……!!)

穂乃果(な…なにが……)

千歌「………」


凛「い…今のは……」

海未「ク…クロスカウンター……」ゴクリッ…

花陽「ク…クロスカウンター…!?」

海未「…相手のパンチを顔スレスレで避けて、腕が交差するように、拳を繰り出すカウンターの事です……」

花陽「か…顔スレスレで…!?」

凛「そうにゃ……だから、相手のパンチに向かっていく分、失敗した時のリスクが高くなる……」

海未「…その代わり、成功すれば、相手が向かってくる所にパンチを当てられます……ハイリスクハイリターンの高等技術ですよ……これは……」

ことり「千歌ちゃん……」

海未「まさか、路上の喧嘩で観れるなんて……」

千歌「………」

穂乃果「……っ」

穂乃果(そっか……カウンター喰らったのか……気づけなかった……)

千歌「………」

千歌「…なに……?その顔……まさか一発で、ビビっちゃった……?」

穂乃果「…!!」

穂乃果「ま…まさか…!!この程度…東京には、いくらでも居るよ…!!!」

千歌「そう…?じゃあ……」スッ…

穂乃果「…!」

穂乃果(来る…!)

千歌「遠慮なく……」ギュルンッ!

穂乃果「…!?」

千歌「全力で行くよ…!!!」


ガッッッ!!!!


穂乃果「っ……!!」

穂乃果(う…後ろ回り蹴り……!!)

千歌「あれ…?ガードされたか……」


海未「また高等技術……」

海未「高海千歌……一体何者……」

凛「つ…強い……これが……」

花陽「…喧嘩の……カリスマ………」

千歌「ちぇ…さっきの、お返ししようと思ったのに……」

穂乃果「…!!」

穂乃果「くっ…調子に……」

穂乃果「乗るなあああああああっっっっ!!!!」ザッ!!!

海未「穂乃果…!下手に手を出しては…!!」

千歌「……」ニッ…


ガツンッッッ!!!


穂乃果「あがっ…」

凛「ア…アッパー…!!!」

海未「っ……」

海未(速い……穂乃果の拳が届く前に……)

穂乃果「くっ……」

千歌「……」ザッ…!

海未「穂乃果…!危ない…!!」

穂乃果(やば…逃げ…

千歌「遅いよ」


ズドンッッッ!!!!


穂乃果「~っっ!!?」

凛「ボ…ボディーを……」

ことり「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「ぐっ……くぅ……」

千歌「……」ザッ…

穂乃果「…!!」

海未「ほ…穂乃果の前に……」

穂乃果「くっ……!」

穂乃果(ダ…ダメだ……逃げなきゃマズいのに、さっきのボディー攻撃が効いて、足が……)

穂乃果の足 ガクガク…

ことり「千歌ちゃん……」

ことり(一体何を……)

千歌「………」

穂乃果(な…なに……?攻撃してこない……なんで……)

千歌「………」

凛「………」

凛(千歌先輩……)

穂乃果「なっ……なんなの…!?なんで攻撃しないの…!?言っとくけど、私は、まだ…

千歌「…私の拳は効くでしょ」

穂乃果「え……」

千歌「どっかの操り人形の拳とは違って」

穂乃果「…!?」

穂乃果「な…何を言って……」

千歌「弱いんだよ……穂乃果ちゃんは」

穂乃果「なっ…!!」

穂乃果「そ…そんな事ない…!!」

千歌「……」

穂乃果「私は強い…!!誰にも負けない…!!現に、焔ヶ丘のみんなは、私についてきてくれる…!!アキバの救世主って呼んでくれる…!!ツバサさんも認めてくれてる…!!だから、私は強いんだ…!!弱くないんかない…!!!」

千歌「………」

ことり「穂乃果ちゃん……」

海未「穂乃果……」

穂乃果「っ……」

千歌「違うんだよ……穂乃果ちゃん……」

穂乃果「…!?」

千歌「そんなの強さじゃないんだよ」

穂乃果「…!!?」

穂乃果「じゃ…じゃあ…!!何なの…!!こんなに沢山の人に、強いって言われてる私が、強くないんだとしたら、何が強いの…!!?教えてよ…!!」

千歌「………」

千歌「…それは私にも分からない……」

穂乃果「は…はぁ…!?」

千歌「何だろうね…強さって……私も、ずっとそれを探してる気がする……」

穂乃果「な…なにそれ……」

穂乃果「じゃあ、偉そうに言っといて、結局、なにも分かんないんじゃん……」

千歌「そうだね…でも、これだけは分かる…」

穂乃果「…?」

千歌「強い人は、変われる人なんだと思う……それは、すごい勇気がいる事だから……」

穂乃果「…!」

千歌「自分の弱さに正面から向き合って、このままじゃいけない…変わろうって思える人……」

穂乃果「……」

千歌「もうダメだ…逃げ出したいって時に、諦めないで、一歩踏み出せる人……」

穂乃果「……」

千歌「…たぶん……強い人って、そういう人なんだと思う……」

ことり「………」

海未「………」

凛「………」

花陽「………」

穂乃果「……っ」

穂乃果「な…なにそれ……」

穂乃果「…じゃあ、なに…?今、私がA-RISEに立ち向かう事が強さなの…?だとしたら、それは勇気じゃなくて、蛮勇だよ…!!さっきから、言ってるじゃん…!私達が、いくら束になろうと、A-RISEの前じゃ、ちっぽけな存在でしかないんだって…!!」

ことり「穂乃果ちゃん……」

海未「………」

千歌「………」

千歌「…たしかに、私達の力は微力かもしれない……でも、無力じゃない……」

穂乃果「…!」

凛「………」

千歌「少しずつでもいい……抗い続ければ、何か変わるかもしれない……」

穂乃果「………」

千歌「それを、最初から無理だって言って、やらないで、屈服するしかないの……?」

穂乃果「………」

千歌「違うじゃん……!無理じゃないよ…!1%でも、0.1%でも可能性があるなら挑もうよ…!!」

穂乃果「………」

千歌「それを諦めちゃったら、私達は、何の為に生きてんのか分かんないじゃん…!!」

穂乃果「………!」

凛「千歌先輩……」

ことり「千歌ちゃん……」

花陽「千歌先輩……」

海未「高海…千歌……」

穂乃果「千歌…ちゃん………」

千歌「………」

梨子「千歌ちゃんの言う通りね……」

千歌「…!?」クルッ…!

凛「え…!?」

海未「………!」

花陽「り…梨子先輩…!!」

曜「あはは…やっぱり、千歌ちゃんが絡んでたか……」ハァ…ハァ…

花陽「それに、曜先輩も…!!」

ことり「二人とも来てくれたんだ…!」

梨子「えぇ…いろいろあって、少し遅くなったけどね……」

曜(梨子ちゃんのせいでね……)

穂乃果「………梨子ちゃん…」

梨子「………」

曜「………」

曜(みんな、ひどい怪我してる……ことりちゃんまで……)

曜(一体なにが……)

梨子「…何があったのかは聞かないわ……」

曜「え…」

梨子「今の会話で、だいたい分かったから…」スッ…

花陽(…千歌先輩達の方に……)

梨子「………」

穂乃果「………」

千歌「梨子ちゃん……」

梨子「………」

梨子「また、喧嘩したのね…」

千歌「うぐっ…」

梨子「いいわ…分かってる……拳で語るって言うの?そういうのが、あるんでしょう?」

千歌「……!」

穂乃果「………」

梨子「それで、どうだった?千歌ちゃんの言葉は伝わった…?」

穂乃果「…!」

穂乃果「………」

千歌「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「……」

ことり「……」

海未「……」

凛「……」

花陽「……」

梨子「………」

穂乃果「………」

穂乃果「か…」

穂乃果「…変わりたい……」

ことり「…!!」

梨子「……」

穂乃果「私も変わりたい……強くなりたい……」ポロポロ…

海未「穂乃果……」

梨子「……」

千歌「……」

穂乃果「でも…できるのかな……分からない……私は、そんな事ばかり考えちゃう……不安ばかり浮かんできて、進む足が動かなくなる……」

梨子「………」

穂乃果「ねぇ…梨子ちゃん……できるのかな…?私は……私は、前に進めるのかな……?」

梨子「…そうね……」

梨子「それは、やってみないと分からないわね…」

穂乃果「…!」

梨子「でも、絶対に無理だった道が、進めるかもしれない……無理じゃなくなるんだよ…」

穂乃果「…!!」

梨子「みんなで考えよう…?みんなで立ち向かう…?そしたら、きっと進めるよ……未来に……」

穂乃果「…梨子ちゃん……」

>>687
すみません…脱字ありました……訂正します。

梨子「……」

穂乃果「私も変わりたい……強くなりたい……」ポロポロ…

海未「穂乃果……」

梨子「……」

千歌「……」

穂乃果「でも…できるのかな……分からない……私は、そんな事ばかり考えちゃう……不安ばかり浮かんできて、進む足が動かなくなる……」

梨子「………」

穂乃果「ねぇ…梨子ちゃん……できるのかな…?私は……私は、前に進めるのかな……?」

梨子「…そうね……」

梨子「それは、やってみないと分からないわね…」

穂乃果「…!」

梨子「でも、絶対に無理だった道が、進めるかもしれない……無理じゃなくなるんだよ…」

穂乃果「…!!」

梨子「みんなで考えよう…?みんなで立ち向かおう…?そしたら、きっと進めるよ……未来に……」

穂乃果「…梨子ちゃん……」

ことり「穂乃果ちゃん…」ツカ…

海未「…!」

海未「ことり、手を貸しますよ」スッ…

ことり「ありがとう、海未ちゃん…」ニコッ…

穂乃果「……」

ことり「よっ…と……」ツカ…ツカ…

海未「………」トコ…トコ…

穂乃果「…ことりちゃん……海未ちゃん……」

梨子「……」

ことり「………」

海未「………」

穂乃果「あ…あぅ……」

穂乃果「………」

ことり「穂乃果ちゃん…」

穂乃果「…!」

海未「穂乃果…」

穂乃果「……!」

ことり「………」

海未「………」

穂乃果「………」

穂乃果「ふ…二人とも……」

ことり「…なに…?穂乃果ちゃん」

海未「なんですか…?なんでも言ってください」

穂乃果「っ……」

穂乃果「うぅ……」グスンッ…

穂乃果「いいのかな……私…」ウルウル…

ことり「……」

海未「……」

穂乃果「いいのかな……我儘言っていいのかな……」ウルウル…

ことり「……」

海未「……」

穂乃果「絶対迷惑かけるよ…?危険な目に合うかもしれない……私が我慢すれば済んだかもしれない事なのに……」ウルウル…

ことり「……」

海未「……」

穂乃果「私は……」

ことり「穂乃果ちゃん…」

海未「穂乃果…」

穂乃果「うぅ……私は……」ポロポロ…

ことり「……」

海未「……」

穂乃果「私は変わりたいよ……辛いんだもん……このままなんてイヤだよ……昔みたいに戻りたい……また、昔みたいに笑いたい……」ポロポロ…

ことり「……」

海未「……」

穂乃果「だから……」ポロポロ…

穂乃果「うぅ……だから……」ポロポロ…

梨子「………」

凛「………」

花陽「………」

曜「………」

千歌「………」

ことり「穂乃果ちゃん…」

海未「穂乃果…」

穂乃果「……っ」ポロポロ…

穂乃果「助けて……っ」ポロポロ…

ことり「……!」

海未「……」ニコッ…

穂乃果「ごめん…迷惑かけるかもしれないけど……でも、力を貸して欲しい……私一人じゃ怖くて進めそうに無いから……」ポロポロ…

ことり「………」

穂乃果「う…うぅ……」ポロポロ…

ことり「……」ニギッ…

穂乃果「え……」

穂乃果(手を……)

ことり「…ありがとう……穂乃果ちゃん……」ニコッ…

穂乃果「…!」

ことり「やっと言ってくれたね……もちろんだよ……穂乃果ちゃん……私に出来る事なら、なんでもする……だから、みんなで頑張ろう…?私達を取り戻すために……」ポロポロ…

海未「……」ニギッ…

穂乃果「…!」

海未「…私もです……穂乃果……もう見失いません……今度は、本当のあなたのために、私も尽力します……」ポロポロ…

穂乃果「海未ちゃん……ことりちゃん……」ポロポロ…

梨子「私達もよ…」スッ…

穂乃果「梨子ちゃん……」

凛「もちろん、凛も!!」

花陽「私も微力かもしれませんが、穂乃果先輩のために頑張ります…!」

穂乃果「凛ちゃん…花陽ちゃん……」

曜「……」

花陽「曜先輩も…!ですよね…?」

曜「うん…!私達もA-RISEには借りがあるしね…!それに、穂乃果ちゃん達も助けたい……やらせてもらうよ…!A-RISE退治!だよね?千歌ちゃん…!」

千歌「………」

曜「千歌ちゃん……?」

千歌「あ…うん……そりゃもちろんそうだけど……」

曜「え…?」

穂乃果「……?」

梨子「千歌ちゃん……?」

千歌「とりあえず、私の勝ちって事でいいのかな…?この喧嘩……」

穂乃果「…!!!」

千歌「いや、なんか終わりっぽい感じになってるから、どうなのかなーって……」

梨子「…!?」

梨子「ちょ…ちょっと…!!何言ってるの、千歌ちゃん!!喧嘩とかそういう問題じゃないでしょ!?さっきのだって、喧嘩とかじゃなくて…

穂乃果「梨子ちゃん…」スッ…

梨子「え…?」

穂乃果「………」ニッ…

千歌「…!」

穂乃果「誰も負けたなんて言ってないけど…?」コキッ…

千歌「…!!」

千歌「………」ニッ…

千歌「そっか……じゃあ……」スッ…

穂乃果「うん……」スッ…

梨子「え…!?えぇ…!!?な…なにやって…

海未「梨子…」

梨子「え…!?海未ちゃん…!?なに静かに見てるの!?止めないと…!!」

海未「いいんですよ……梨子……」

ことり「うん……」

穂乃果「………」

千歌「………」

ことり(穂乃果ちゃんの、あんなに楽しそうな目……)

穂乃果「言っとくけど、さっきの本気じゃないから……怪我しても知らないよ…?」ゴゴゴゴゴゴ…

千歌「奇遇だね……私も本気じゃない…怪我するのは、そっちじゃなくて…?」ゴゴゴゴゴゴ…

ことり(すごく久しぶりに見た気がする……あの日に……昔の楽しかったあの日に、戻ったみたい……)

凛「あの目……」

花陽「…?凛ちゃん……?」

凛「あの目だにゃ……」

穂乃果「さて……じゃあ、そろそろ……」ズリッ…

千歌「うん……」ズリッ…

花陽「目…?どういう事……?」

凛「凛の……」

凛「凛が憧れた穂乃果先輩が戻ってきたにゃ……」

花陽「…!!」


穂乃果 ダッッ!!!

千歌 ダッッ!!!

海未「同時に…!」

穂乃果 ザッ…!

千歌 ザッ…!

曜「いや……」


ガツンッッッ!!!!


穂乃果「あぐぁっ…!!」フラッ…

千歌「……」ニッ…

曜「千歌ちゃんの方が速い…!!」

穂乃果「あああっ…!!」グアアッ…!!

千歌「…!」


バキィッッッ!!!!


千歌「ぐはっ…!!」フラッ…

穂乃果「……」ニッ…

海未「すぐに返した…!」

曜(モロに千歌ちゃんのパンチを貰ってるのに……!)

曜「な…なんて精神力……レベルが違う……」

千歌「あああっっ!!!」バッ!!

穂乃果「あああっっ!!!」バッ!!


ドカッッッ!!!!
ゴンッッッ!!!!


千歌「ぶはっ…!!」ヨロッ…

穂乃果「ぐっ…!!」ヨロッ…

花陽「相打ち…!!」

凛「な…なんにゃ……この喧嘩……」

花陽「す…すごすぎる……」

千歌「……」ザザァッ…!

穂乃果「……」ザザァッ…!

千歌「………」

穂乃果「………」

梨子「え……と…止まっちゃったけど……どうしたの…?終わったの…?喧嘩……」

凛「………」

凛「違うにゃ……」

梨子「え…」

梨子「ま…まだやるの……?二人とも、もうボロボロじゃない……」

凛「やるに決まってるにゃ…いや、むしろ、喧嘩はここからだにゃ……」

梨子「こ…ここから…?」

凛「今のは、相手の実力を確かめただけだにゃ……ここから……ここから本当の闘いが始まるんだにゃ……」

梨子「えぇ…!?」

梨子「そ…そんな……危ないわよ……」

曜「でも、止める事はできないよ…」

梨子「え……な…なんで……」

凛「これは不良のプライドをかけた闘いなんだにゃ……ただ単純に、どっちが強いのか……それを止めるなんて差し出がましい事できないにゃ……」

梨子「ど…どっちが強いか……って……」

梨子「…そ…そんなのどうでもいいじゃない……理解できないわ……」

曜「そういう生き物だから……不良ってのは…」

梨子「曜ちゃん……」

梨子「………」

梨子「うぅ……分かったわ……でも、危なくなったら止めるからね……私は…」

凛「そしたら、凛が梨子先輩を止めるにゃ……」

梨子「え…!?」

凛「もうダメなんだにゃ……凛も知りたくなっちゃったんだにゃ……」

凛「一人の不良として、ただ単純に……」

曜「………」

海未「………」

花陽「………」

凛「どっちが強いのか……」

梨子「…!!」

凛「誰が…アキバ最強なのか……」


穂乃果「………」ゴゴゴゴゴゴゴ…

千歌「………」ゴゴゴゴゴゴゴ…

千歌「……」モゴモゴ…

千歌「……」

千歌「ぺっ…」

血 ベチャッ…!

梨子「…!!」

梨子「ちょ…血が……」

千歌「………」

穂乃果「………」

千歌「……」ニッ…

穂乃果「……」ニッ…

梨子「え…笑って……」

千歌「行くよ…穂乃果ちゃん……」

穂乃果「こっちのセリフだよ……」

いやぁ戦いだなぁ

熱い戦い

松浦と小原が怖すぎるんやが

ここでボロボロになったら対暴走族と対ヤクザの戦いどうすんねや

まぁ謎回復入ると思うけど

なんか龍が如くのタイマンを思い出す

焔ヶ丘高校 番長
高坂 穂乃果


千歌「……」

穂乃果「……」

凛「………」ゴクリッ…

千歌「……」ズリッ…

凛「…!!」

凛(動く…!!)


千歌「はあああっっ!!!」ダッッッ!!!

穂乃果「ああああっっ!!!」ダッッッ!!!

凛「また同時…!!」

曜「…!!」

曜(速い…!!穂乃果ちゃんが、千歌ちゃんのスピードに合わせてきた…!!)

海未(全くの互角……あの穂乃果と……)

千歌 ザッ…!!

穂乃果 ザッ…!!

凛(来る…!!)

曜(モーションに入った…!どっちも右の大振り…!!)

海未(当たれば倒れる…!!)

千歌「はああっ…!!」バッ…!

穂乃果「あああっ…!!」バッ…!


ツバサ「……」ザッ…

ツバサ「…これは……」


穂乃果「…!!?」ビクッ…!

千歌「え……?」ピタッ…!

ツバサ「…一体なにをしているのかしら……?」

海未「あ…あなたは……」

英玲奈「たまたま通りかかって見たら…」ザッ…

あんじゅ「なにやら面白い事になってるわね…ふふっ……」ザッ…

ツバサ「………」

曜「き…綺羅ツバサ……!!!」

穂乃果「な…なんでここに………」

ことり「っ……」

花陽「あ…あぁ……」

梨子(こ…この人が……)

千歌「………」ザワッ…

曜「あ…!!」

曜「ち…千歌ちゃん…!!ダメ…!!!」

千歌「……」ザッ…!!

ツバサ「……!」

千歌 ブゥンッ…!!!


パシィッッッ!!!!


花陽「え……?」

ツバサ「………」ググググッ…

千歌「くっ…」グググッ…

花陽「ち…千歌先輩…!!?」

凛(き…綺羅ツバサに攻撃を……)

穂乃果「ち…千歌ちゃ……」

ツバサ「…あんじゅ」

あんじゅ「えぇ」

千歌「…!」

あんじゅ ザッ…!!


ドカッッッ!!!


千歌「あぐっ…!!?」グラッ!!

千歌「いっ……!!」ズザアアアアッッッ!!!

ツバサ「………」

千歌「くっ…!!」バッ…!

ツバサ「……ふふっ……そんなに睨まないでくれる……?久しぶりの再会なんだから……」

ツバサ「ね…?高海…千歌さん……?」

千歌「綺羅…ツバサ……!!」ギリッ…

海未(久しぶりの再会……?)

穂乃果(え…?千歌ちゃんと、ツバサさんが……?)

ツバサ「英玲奈…」

英玲奈「あぁ」

英玲奈 ザッ…

千歌「…!」

英玲奈「お前は、放っておくと何をするか分からないんでな……大人しくしてもらうぞ…」

拳銃 スチャッ…

千歌「…!!?」

梨子「け…拳銃って……」

ことり「…!!」

千歌「くっ……」

英玲奈「動くなよ…?動けば、撃つぞ」

穂乃果「ち…千歌ちゃん…!!」

ツバサ「穂乃果さん」

穂乃果「…!!」

穂乃果「ツ…ツバサ…さん……」

千歌「っ………」

ツバサ「説明してもらえる…?これは、どういう状況なの……?」

穂乃果「…!!」

穂乃果「そ…それは……」

ツバサ「言ったわよね?水見色を潰せって。なにを楽しそうに喧嘩してるの…?拳銃は?渡したわよね?」

穂乃果「…!!」

ことり「………!」

ことり(そ…そっか……あの拳銃は……)

穂乃果「ツ…ツバサさん……」

ツバサ「なに…?」

穂乃果「………っ」

ツバサ「どうしたの…?なんでも言ってみなさい?」

穂乃果「わ…私は……」

梨子「穂乃果ちゃん…」

海未「穂乃果…」

ことり「穂乃果ちゃん…」

穂乃果「………!」

凛「穂乃果先輩…」

花陽「穂乃果先輩……」

穂乃果「わ…私は……!」

ツバサ「……?」

穂乃果「私は、もうツバサさんの指示通りには動けません…!!!」

あんじゅ「……!!?」

英玲奈「なっ……!?」

ツバサ「………」

千歌「…穂乃果ちゃん……」

穂乃果「…………」

英玲奈「こ…高坂穂乃果…!!お前、一体なにを…

ツバサ「英玲奈」

英玲奈「え……」

ツバサ「いいから……」

英玲奈「……」

穂乃果「………」

ツバサ「………」

ツバサ「…あなた……自分の言ってる意味分かってるの……?」

穂乃果「…!」ドキッ…!

穂乃果「……は…はい…」

ツバサ「………」

穂乃果「………っ」

ツバサ「…分かってないわね…現実から目を背けている……」

穂乃果「…!」

ツバサ「あなた、今、「動きません」じゃなく、「動けません」って言ったわよね?」

ツバサ「まるで、誰かにそうさせられているような言い方……自分の意思を隠してる……まだ決心がついてない証拠ね」

穂乃果「……っ」

ツバサ「あなたの目には綺麗事しか見えてない……何を吹き込まれたのか知らないけど、現実を見なさい?思考を停止させちゃダメよ、ちゃんと冷静に考えるの……分かる…?」

穂乃果「………!」

ツバサ「もう一度聞くわ……あなた…自分の言ってる意味……分かってて、そんな事言っるの…?」

穂乃果「っ………」

穂乃果「は…はい……」

ツバサ「………」

ツバサ「そう……」

穂乃果「っ……」

ことり「穂乃果ちゃん……」

ツバサ「英玲奈」

英玲奈「…?」

ツバサ「高海千歌の頭を撃ち抜きなさい」

穂乃果「…!!?」

千歌「…!!!」

梨子「ちょ…な…なに言って……」

ツバサ「本気よ?言っとくけど、人を殺しても捕まらない方法なんていくらでもあるからね」

梨子「…!!?」

ツバサ「英玲奈…やりなさい」

英玲奈「あぁ」

穂乃果「え…あ…あぁ……」

ツバサ「なにを困惑しているの?あなたがさっき言った言葉は、こう言う意味よ…?」

穂乃果「…!」

海未「穂乃果…!!今すぐ訂正しなさい…!!」

英玲奈「もう遅い」ガチャッ…

千歌「っっ…!!」

曜「やめろ…!!!千歌ちゃんを撃ったら、私がお前を殺すぞ…!!!」ザッ…!!!

梨子「よ…曜ちゃん……」

曜「ふっー…ふっー……」ゴゴゴゴゴゴ…

英玲奈「………」

千歌「曜ちゃん……」

英玲奈「そんな言葉が脅しになると思っているのか?」

英玲奈「渡辺曜よ……」

曜「…!!?」

曜(わ…私の名前……覚えて……)

穂乃果「あ…あぁ……」

海未「穂乃果…!!早く訂正を…!!!」

凛「ど…どうすれば……」

花陽「…嫌……そんなの……」

穂乃果「つ…ツバサさ…

ツバサ「遅いって言ったでしょ?」

千歌「~~っ!!」

ツバサ「さようなら、千歌さん」

千歌「…!!」

英玲奈「……」スッ…

曜「や…やめ…

千歌「曜ちゃん!!伏せて…!!!」

曜「え……?」


バンッッッ!!!!


曜「…!!?」

梨子「な…なに……?」

曜「…発砲音……?」

曜(後ろから……?) クル…

ことり「はっ…はっ…はっ…はぁっ…」

拳銃 プルプルプル…

曜「…こ…ことりちゃん………?」

凛「え……」

花陽「け…拳銃……?」

穂乃果「…なんでことりちゃんが……それを……」

英玲奈「……あの拳銃は……」

あんじゅ「ツバサ…」

ツバサ「えぇ……あれは、穂乃果さんに渡したはずの拳銃ね……」

穂乃果「…!!」ビクッ…!

ことり「ち…千歌ちゃんを離してっ…!!!」

千歌「…!!」

英玲奈「………」

英玲奈「二度目になるが…」

ことり「はぁっ…はぁっ……」

英玲奈「そんな言葉が脅しになると思っているのか…?」

ことり「っ………!」

英玲奈「拳銃を持ったのは初めてか?さっきのは狙った場所に撃てたのか?私を狙ったんじゃないのか?その様子じゃ、次はどこに当たるか分からないぞ?」

ことり「…!!」

英玲奈「言っておくが……」

英玲奈「お前の持っているそれは、人を殺せるんだぞ……?」

ことり「………!!」ゾッ…

ことり「あ…あぁ……」

海未「こ…ことり……!!」

拳銃 スッ…

凛「…!!」

花陽「け…拳銃を下げた……」

凛「ことり先輩……」

千歌「ことりちゃん……」

ツバサ「………」

英玲奈「賢明だ」

ことり「うっ…くぅ……」

ツバサ「英玲奈」

英玲奈「……?」

ツバサ「気が変わったわ、引くわよ」

英玲奈「なに……?」

穂乃果「…!!?」

千歌「なっ……」

あんじゅ「ちょ…ちょっと…!ツバサ…!?なんで引くの!?こいつらは、どうすんのよ!!」ザッ!

ツバサ「………」

ツバサ「もちろん潰すわよ?でも、こんなやり方つまらないわ、それに……」

ツバサ「……」チラッ…

千歌「…!」

ツバサ「いい事思いついたのよ…暇潰しのね…?」

あんじゅ「は…はぁ……?」

ツバサ「ほら、英玲奈も銃しまって、行くわよ」

英玲奈「……あ…あぁ……」

拳銃 スッ…

あんじゅ「ちょっと!英玲奈!!」

英玲奈「あんじゅ、分かってるだろ?ツバサは一度言った事は変えない……面倒だが、付き合うしかないだろ……こうなっては……」

あんじゅ「そ…それは……」

ツバサ「置いてくわよー」スタスタ

英玲奈「あ…あぁ……」ザッ…

あんじゅ「ちょ…」

ツバサ スタスタ

英玲奈 スタスタ

あんじゅ「っ……」

あんじゅ「あー!もう…!!ここで、やっちゃえばいいのに…!!」

あんじゅ「…」キッ…!

ことり「ひっ…!」

拳銃 バッッ!!

ことり「きゃっ…!」

あんじゅ「これは返して貰うわよ…!全く…素人が軽はずみに使うんじゃないわよ…!」

ツバサ「何やってるのあんじゅ、早くしなさい」

あんじゅ「分かったわよ!」

あんじゅ スタスタ…!

穂乃果「え………」

花陽「か…帰ってく……」

凛「よ…良かった……助かっ…

千歌「綺羅ツバサ…!!!」ザッッ!!!

凛「…!?」

梨子「ち…千歌ちゃん……!?」

ツバサ「………」

ツバサ「まだ何か用……?高海千歌さん……?」

千歌「……お前……」ゴゴゴゴゴゴゴ…

ツバサ「………」

穂乃果「千歌ちゃん……」

千歌「何する気だ……!!この街で…!!!」ゴゴゴゴゴゴゴ…

ツバサ「………」

千歌「……」ゴゴゴゴゴゴゴ…

ツバサ「………」

ツバサ「ふっ…そうね……戦争でも起こそうかしら……」

海未「…!!?」

曜「せ…戦争って……」

千歌「………」

ツバサ「退屈はさせないわ…楽しんでね……?喧嘩のカリスマさん……?」

ツバサ「……」クルッ…

千歌「………!」

千歌「くっ……」

千歌「お前のっ……!」

千歌「お前の好きになんかさせないからな…!!!綺羅ツバサ…!!!!」

ツバサ「……」スタスタ…

曜「ち…千歌ちゃん……」

千歌「………っ」

梨子「………」

穂乃果「………」












--------------------
-----------------
--------------


A-RISEサイド-

車内-


車 ブロロロロ…

英玲奈「………」

あんじゅ「………」

ツバサ「………」

あんじゅ「…はぁ……それで?今度はどうするつもりなの?ツバサ…」

ツバサ「興味あるの?」

あんじゅ「別に…?私は高校生の事なんてなんとも思っちゃいないわ、ただツバサは何かするんでしょ?じゃあ、協力するわよ」

ツバサ「あら…優しいのね、あんじゅ。英玲奈は?」

英玲奈「私も協力させて貰おう、借りがある相手もいたしな……」

ツバサ「借り……?」

あんじゅ「あー、さっき英玲奈に向かって殺すとか言った子?名前も知ってるようだし、何かあったの?」

英玲奈「………」

英玲奈「…お前が知る必要は無い……」

あんじゅ「あら…ひどいわね」

ツバサ「まあ、でもその通りね。英玲奈の問題なら英玲奈に任せるわ」

英玲奈「あぁ…」

あんじゅ「いいわね~英玲奈もツバサも、高校生のお相手がいて……私は気乗りしないわ」

ツバサ「私に相手?千歌さんの事かしら?」

あんじゅ「違うの?ツバサがやるつもりなんでしょ?あの子」

ツバサ「ふふっ…私が?そう……それもいいかもね……でも、私がやったらすぐに終わっちゃうでしょ?飽きちゃったのよね、そういうの」

あんじゅ「じゃあ、どうするつもりなの?」

ツバサ「言ったでしょ?戦争を起こすって……」

英玲奈「戦争…か……お前……またすごい事考えてるな……」

あんじゅ「え…?なになに…?どういう事?」

あんじゅ「え…?えっと……焔ヶ丘と水見色と……」

あんじゅ「りょ…緑王……」

ツバサ「そう……緑王学園……」

あんじゅ「あ…ツ…ツバサ、あなた……」

ツバサ「分かった?」

あんじゅ「ま…待って…!!でも、緑王学園の番長ってたしか……」

英玲奈「あぁ……ここらじゃ最大規模のヤクザ「黒澤組」の娘がいるな……」

ツバサ「そうね……たしか、黒澤ダイヤさんだったかしら……」

あんじゅ「…ツバサ……やる気なのね……」

ツバサ「…何が?私は何もしないわよ?ただ、ちょっと背中を押してあげるだけ……」

ツバサ「楽しみだわ……どうなるのかしらね……予想もつかない……これこそ、最高のエンターテイメントよ、自分でやっちゃうなんてつまらない……」

あんじゅ「ツバサ……」

ツバサ「最後まで付いてきてね……あんじゅ、英玲奈。きっと楽しいわよ……ふふっ…ふふふっ…」

英玲奈「………」

あんじゅ「………」

英玲奈「…あぁ……」

あんじゅ「えぇ……」














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--------------


3日後-

神田明神-


ザワザワ…ガヤガヤ…


凛「す…すごい……こんなに沢山の不良が集まるなんて……」

花陽「水見色と焔ヶ丘の不良の、ほぼ全員が来てるからね……すごい迫力だよ……」

善子「凛!花陽!」

凛「…?」クルッ

凛「あっ…!」

花丸「久しぶりずらね」

花陽「花丸ちゃん!善子ちゃん!」

善子「あんた達も来てたのね」タッタッ!

花陽「うん!こんな歴史的な事、見逃せないよ!」

凛「二人とも曜先輩にやられた傷は、もういいのかにゃ?」ニヤニヤ

善子「うっ…ま…また棘のある言い方するわね……あんただって負けたんでしょ?ウチの海未先輩に」

凛「凛は最終的に勝ったにゃ」

善子「絵里先輩に助けられてでしょ?あんた個人では全く歯が立たなかったって聞いてるけど?」

凛「だとしても、2対1なのに完全に負けた善子ちゃん達よりはマシだにゃ」

善子「なっ…!あ…あんたねぇ……」

凛「なんにゃ?武器に頼らないと何もできない善子ちゃん?」

善子「…!」ムカッ…

善子「くっくっくっ…いいの…?そんな事言って……また、いじめてやってもいいのよ?」

凛「いじめる?誰が?中学の時、凛に負けたの忘れたのかにゃ?」

善子「はい…?もしかして、あれで勝ったつもりだったの?私には、勝ち目が無くて逃げたように見えたけど?」

凛「…!」ムカッ

善子「ふっ…」ドヤァ…

凛「どうやら、立場をはっきりさせといた方がいいみたいだにゃ……」コキッ…

善子「こっちのセリフよ…」ゴソッ…

花陽「ちょ…二人とも……」アワアワ…

善子「さぁ!行くわよ!ずら丸!!まずは煙玉…

花丸「やめるず…らっ!!」ドカッ!

善子「あがっ…!?」

善子「ちょ…ちょっと!なんで私を殴るのよ!!」

花丸「花陽ちゃんが困ってるずら!それに、今はそんな事してる場合じゃないずら!」

善子「う…うぅ……でも、凛が先に……」

凛「なんにゃ?人のせいにするのかにゃ?」

善子「…!」ムカッ…

花陽「り…凛ちゃん…!」

凛「…?」

花陽「ダメだよ!喧嘩しちゃ!!今日が何の日か忘れちゃったの!?」

凛「かよちん……」

凛「ふふっ…心配しなくても、ちゃんと覚えてるにゃ、さっきのは久しぶりに善子ちゃん見て、からかいたくなっただけにゃ」

善子「か…からかうって……あんた…」

花丸「善子ちゃん、完全に下に見られてるずらね」

善子「えぇ…!?同学年なんだけど!?」


エンジン音 ブルルンッ!ブルンッ!!

ザワザワ…!


凛「ん…?」

善子「なんか騒がしいわね…どうかしたのかしら」

ヤンキー「お…おい……」ザワザワ…

ヤンキー「あぁ……こ…こいつらが……」ザワザワ…

花陽「あっ…!」

善子、花丸「げっ……」

凛「はぁ……」


梨子「え?えぇ?な…なに……?なんで、みんなこっち見るの……?」

曜「あはは…すっかり有名人になっちゃったねぇ~」

梨子「ゆ…有名人に!?」

千歌「うーん……喜んでいいのか悲しむべきなのか……」

梨子「いや、悲しむべきでしょ!こんなの良い事なわけないじゃない!」

花陽「千歌せんぱーい!」ブンブン!

千歌「あっ!花陽ちゃん達だ!おーい!」ブンブン!

曜「あれ?善子ちゃんと花丸ちゃんもいるじゃん、仲良いのかな?あの4人」

梨子「どうなのかしらね……でも、とりあえず今は花陽ちゃん達の所行きましょう?ここにいると、いつ襲われるか……」

ヤンキー ジロジロ…

ヤンキー ニヤニヤ…

梨子「うぅ……」タジッ…

曜「あはは、流石に襲われはしないと思うけどね」

千歌「まあ、でも行こっか!花陽ちゃんに聞きたい事もあるし!」

梨子「そ…そうね……行きましょう」



--------------------

曜「久しぶりだね!善子ちゃん!花丸ちゃん!怪我は治った?」

善子「ふんっ…お陰様でね、すっかり完治したわよ、いつでも再戦待ってるわ」

曜「おぉー!いいねー!やろうやろう!」

花陽「って曜先輩!?」

曜「あはは、冗談だよ!冗談!」

凛「曜先輩のは冗談に聞こえないにゃ……」

曜「えぇ…私そんな喧嘩っ早くないよ?」

花陽「はぁ…ほんとに頼みますよ?今日は水見色と焔ヶ丘が同盟を結ぶ記念すべき日なんですから……」

曜「分かってるって!私も嬉しいんだよ?今日という日を迎えられてね!」

梨子「そうね、思ってた方法とは違ったかもしれないけど、ことりちゃんの願いが叶ったんだもの…本当に喜ばしい日だわ」

千歌「ところでさ、今日って結局なにすんの?こんな大人数で集まって…」

花丸「それはまるも思ってたずら、同盟を結ぶのに、なんで神田明神に焔ヶ丘と水見色の不良を集めたずら?」

花陽「………」

花陽「こ…これは……あくまで噂なんですが……」

凛「…?」

花陽「…和平の儀を…やるらしいんです……」

善子「え…!?」

花丸「わ…和平の儀を!?」

千歌「…?」

曜「…ってなに……?」

善子「あっ…そうよね……あんた達は転校してきたばっかりだから知らないわよね……」

曜「なに?有名なの?」

善子「えぇ……アキバの不良達に伝わる歴史ある儀式……それが和平の儀よ…」

千歌「ふーん、そんなのあるんだ」

花丸「いや、ほとんど伝説的なもので、実際に行われたなんて話は聞いた事ないずら……」

花陽「たぶん、絵里先輩が考えたんだと思うけど、流石だね……ここで和平の儀を持ち出すなんて…」

千歌「へぇ~、そんなすごい事なんだ。凛ちゃんは知ってた?」

凛「うーん……かよちんが昔喋ってたような喋ってなかったような……」

花陽「は…話したよ!!ちゃんと聞いててよ~!」

凛「あはは…ごめんごめん……なんだっけ、和平の儀って」

花陽「うぅ…今度はちゃんと聞いててよ?和平の儀って言うのはね…その昔、まだ戦争が終わったばかりの頃…

凛「あ、昔話は長くなりそうだから、要点だけで……」

花陽「り…凛ちゃん!!?」

梨子「花陽ちゃん…申し訳ないけど、私からも頼むわ……花陽ちゃんが喋り始めると今日終わっちゃうから……」

花陽「えぇ…!?わ…私いつもそんな喋ってますか!?」

梨子「えぇ……止まらないわ」

花陽「そ…そんな……以後気をつけます……」

凛「気をつける事なんてないにゃ!凛はかよちんの話大好きだにゃ!」

花陽「でも、凛ちゃん聞いてなかったし…」

凛「うぐっ…」

花陽「…いいよ別に……つまんない話してた私が悪いんだから……」グスッ…

凛「か…かよちん!そんな事ないよ!かよちんの話面白いよ!あの時はちょっと凛が眠かっただけで…」

花陽「そ…そう?」

凛「うん!かよちんの話は誰よりも面白いにゃ!」

花陽「え…えへへ…///そうかなぁ……」

凛「そうにゃ!そうにゃ!凛が言うんだから間違いないにゃ!」

花陽「そっか…///じゃ…じゃあ!気を取り直して、和平の儀の話してあげるね!」

凛「え…」

花陽「和平の儀って言うのはね、その昔…

絵里「小泉さん」ポンッ…

花陽「え…?」クルッ…

花陽「あ…!え…絵里先輩…!!」

ヤンキー「久しぶりだなぁ…お前ら」

花陽「…と三年生の先輩方…!!!」

絵里「ふふっ…久しぶりね、怪我は平気?」

花陽「あ、私達は結構もう平気ですけど……」

絵里「…?」

花陽「絵里先輩……腕が……」

絵里「あぁ…まあね……木刀でやられちゃったから…折れてたわ」

ヤンキー「園田のやつ、見つけたらただじゃおかねぇぜ!」

絵里「コラ!ダメでしょ?今日が何の日か忘れたの?」

ヤンキー「わ…忘れてないっすよ~…焔ヶ丘と同盟結ぶんですよね……なんでも水見色と焔ヶ丘の対立は誤解だったとかで……」

絵里「そうよ、それも高海さん達が頑張ってくれたからなんだから、感謝しないとね?」

千歌「…!」

ヤンキー「わ…分かってますよ……」

絵里「全く……」

千歌「絵里先輩……」

絵里「聞いたわよ、焔ヶ丘の子達と協力して誤解を解こうとしてくれたんでしょ?」

千歌「あ、いや…私達はただ……」

絵里「謙遜する事ないわ、あなた達のやった事はすごい事よ?ありがとね」

千歌「あはは…いやぁ~、こちらこそありがとうございます」

絵里「…それで……どう?」

千歌「…?」

絵里「探していた答えは見たかった?」コソッ…

千歌「…!」

千歌「答え……」

絵里「………」

千歌「そ…それは……」

絵里「………」

ヤンキー「絵里さーん!!」タッタッ!

絵里「…?」クルッ…

千歌「あっ…」

ヤンキー「お酒の方、準備できましたー!!」

千歌「え…?」

梨子「お…お酒……?」

花陽「…!!?」

絵里「そう…なら、そこの台に…

花陽「え…絵里先輩!!!」

絵里「え…?な…なに……?」

花陽「そ…そのお酒って……ま…まさか……」

絵里「あ…あぁ……ふふっ…気づいた?」

花陽「は…はい……赤酒…ですよね……?」

絵里「えぇ、詳しいのね」

善子「ははっ…本当だったのね……和平の儀…」

花丸「で…伝説通りずら……」

曜「え?えぇ?な…なに?どゆこと!?凛ちゃんの!」

凛「凛も分かんないにゃ!かよちんに聞くにゃ!」

花陽「あ…あれは、和平の儀で使う赤酒です……」

千歌「あ…赤酒……?」

梨子「お酒を使うの?」

善子「そうよ…和平の儀ってのはね、同盟を結ぶ高校の番長同士が同じお酒を飲む事で完了するの」

梨子「えぇ…!?未成年よ!!?」

千歌「梨子ちゃん…今はそういうのいいから…」

梨子「えぇ…!?」

花丸「それも、ただのお酒じゃないずら……あのお酒はアキバの高級な地酒ずら」

花陽「それだけじゃないです…!和平の儀は、絶対の誓いを示すために、お互いの血を混ぜて飲むんです……その赤く染まったお酒の色から、通称「赤酒」……そう呼ばれています……」

梨子「ち…血を…!?」

千歌「うげぇ……」

凛「不衛生だにゃ…」

曜「ちょっと汚いね…」

花陽「ちょ…!し…神聖な儀式ですよ!?汚いとかじゃないですって!!」

絵里「こ…小泉さんの言う通りよ……?それに、これから私が飲むんだから……」

千歌「あ、そ…そうですよね……てことは、相手は穂乃果ちゃんか……」

絵里「えぇ…まだ来てないようだけど……」

梨子「昨日の夜、LINEで「朝一で来る」って言ってたんですけどね……」

凛「寝坊でもしてるんじゃないかにゃ?」

善子「なっ…!ちょっと、凛!ウチのカリスマ番長の穂乃果先輩が寝坊なんてするわけないでしょ!!」

凛「にゃははは、善子ちゃんは穂乃果先輩の事知らないだけにゃ」

善子「え…?」

凛「穂乃果先輩は……


??「どわわわわわっー!!」ブロロロッ!!!

??「ちょ…ちょっと!穂乃果!?」

??「穂乃果ちゃん!ブレーキ!ブレーキ!!」


凛「噂をすれば…」

ヤンキー「ぎゃー!」

ヤンキー「お…おい!!止まれー!!」

ヤンキー「わー!!」

穂乃果「どっ…どいてええええっっっ!!!」ブロロロッ!!!

善子「え…!?ちょ…こ…こっち来るんだけど…!?」クルッ…!


シーン…


善子「って、みんなもう逃げてるし!!」

穂乃果「わああああああああっっっ!!!」ブロロロッ!!!

善子「…!!!」


コンッ!


善子「あ…あぅ……」

善子「……」バタンッ…!

穂乃果「と…止まった……」

善子「………」ブクブク…

海未「いや、ちょっと当たってるじゃないですか!!なにしてるんですか!!」

善子「………」ブクブク…

花丸「泡吹いてるずらね…」

凛「情けない……ビビって気絶したってところだにゃ」

花陽「あはは……とりあえず、怪我は無いっぽいね…」

穂乃果「よ…良かったぁ~……犯罪者になるところだったよ…」

ことり「3人乗りなんてやるから…」

穂乃果「いやぁ~…でも、そうでもしないと遅れちゃうところだったし…」

海未「穂乃果が寝坊するからじゃないですか!全く…昨日あれほど言ったのに……!」

穂乃果「ごめんごめん……」

梨子「あ…あれ……?」

穂乃果「あ!梨子ちゃん!!おはよー!」

千歌「う…嘘……そ…それって……」

穂乃果「ん?」

穂乃果「あ、あぁ!スクーター?えへへ、前に見せるって言ったもんね!」

曜「あはは…」

穂乃果「べスパだよ!いいでしょ!!」

千歌「わ…私もべスパなんだけど……」

穂乃果「………」

穂乃果「え…?」



--------------------


千歌「ほ…ほら……これ…」

オレンジみかん号 ドーン…

穂乃果「そ…そんな……かぶった……」

梨子「見事に色もかぶってるわね」

千歌「うわあああああああ!!!ペスパなんて乗ってるの私だけだと思ってたのにいいいいい!!!」

穂乃果「それは私もだよ!!誰も持ってないの持ってるから嬉しかったのに!!」

曜「あはは…面白い事もあるもんだねぇ」

穂乃果「面白くないよ!」

穂乃果「うぅ…私の「GOGO!穂乃果号」が……」

梨子「え…?」

凛「ご…ごーごー……?…は?」

穂乃果「「GOGO!穂乃果号」だよ!凛ちゃん!かっこいいでしょ!」

凛「いや、めちゃくちゃダサいにゃ……」

穂乃果「えぇ!?」

曜「あはは…面白い名前だね……」

梨子「いや、「千歌ちゃん号」の人に言われたくないけどね?」

曜「えぇ!?」

穂乃果「うぅ…GOGOのゴーと穂乃果号のゴーがかかってるっていうのに……」

海未「穂乃果…何度も言っているでしょう……その名前はダサいと……」

穂乃果「そ…そんなぁー!でも、ことりちゃんはかわいいって言ってくれたよ!?」

ことり「うん!かわいいよ!穂乃果ちゃん!」

穂乃果「ほら!わーい!ことりちゃん大好き!」

ことり「えへへ…///」

海未「はぁ…なんですか、それは……」

絵里「ふふっ…ハラショーね」

千歌「え…?は…はら…?」

穂乃果「はら…はらしょ…?はら…?」

絵里「あっ…ごめんなさいね、ロシア語が出てしまったわ。気にしないで」

千歌、穂乃果「ロ…ロシア語…!?」

絵里「えぇ…ほら、私、ロシア人とのクォーターだし、たまにロシア語が出てしまう時があるのよ」

千歌「す…すごい……かっこいい……」

絵里「ふふっ、別にすごくはないわよ?私にとっては普通よ、普通」

穂乃果「じゃ…じゃあ…!絵里先輩ってロシア語ペラペラなんですか…!?」

絵里「えっ…」ギクッ!

穂乃果「え…?」

千歌「その反応って……もしかして喋れ…

絵里「…るわよ!?喋れる!!喋れる!!当たり前じゃない!」

穂乃果「わぁ~!じゃあ、やっぱり本当に喋れるんですね!すごいです!」

絵里「そ…そう…?私にとっては大した事じゃないけど…?」

千歌「いやいや!大した事ですって!!ロシア語喋れるなんて自慢できますよ!!」

絵里「あはは…そ…そうかしら……」

穂乃果「あ!そうだ!!試しに何か喋ってみてくださいよ!ロシア語聞きたいです!」

絵里「えっ!?」ギクッ!

穂乃果「え…?」

千歌「その反応って…やっぱり喋れ…

絵里「…ぬ○fべ☆*uwは?@ら→〆□……」

穂乃果、千歌「…!!?」

絵里「………」ダラダラダラダラ…

穂乃果「い…今って……」

絵里「………」ダラダラダラダラダラダラ…

千歌「す…すごい……」

穂乃果「すごい…!」

千歌「すごい!すごい!!かっこいい!!」

絵里「…!」

穂乃果「すごいです!絵里先輩!!私、何言ってるか全然分かりませんでした!!」

絵里「そ…そりゃあね……ロシア語だから……あはは…」

絵里(私も何言ってるか全然分からなかったわよ……)

ヤンキー「絵里さん!和平の儀、準備できました!」

絵里「あっ…えぇ、分かったわ、今行く」

穂乃果「も…もう…!?」

絵里「ごめんなさいね、着いてすぐになってしまって……もう少し待ってもらう?」

穂乃果「あ…い…いえ!大丈夫です!いつでもいけます!」

絵里「そう?じゃあ、行きましょうか、高坂さん」

穂乃果「は…はい!」

海未「穂乃果!しっかりやるのですよ!」

穂乃果「うん…!任せて!焔ヶ丘の番長としてバッチリこなしてくるよ!」

ことり「穂乃果ちゃん、頑張ってね!」フリフリ

穂乃果「うん!」

絵里「高坂さん、こっちよ」

穂乃果「はい!今行きます!」タッ…!

ことり「ふふっ…穂乃果ちゃん楽しそう…」

海未「そうですね…本当によく笑うようになりました」

梨子「えぇ…やっぱり穂乃果ちゃんはああでなくっちゃね」

曜「でも、まだそう安心していい状況じゃないよね…A-RISEは戦争を起こすって言ってたし…」

ことり「そうだね…でも、私は穂乃果ちゃんはあれでいいと思うんだ……ああやって前だけ向いて失敗なんて何も考えずに進んでいける……それが穂乃果ちゃんだもん」

海未「えぇ…その代わり後ろを固めるのは私達の役目ですけどね」

千歌「あはは…じゃあ、これから大変だね」

海未「はい…でも、以前よりずっと心が楽なんです。だから、きっと上手くいく…そんな気がします」

梨子「それに、A-RISEも今日まで何もしてこないしね。案外、諦めでもしたんじゃない?」

千歌「いや、それは無いんじゃ…」

曜「梨子ちゃんって、穂乃果ちゃんばりに楽観的だよね……」

梨子「じょ…冗談よ!?流石に本気でそうとは思ってないわよ!」

千歌「なんだ…冗談か……梨子ちゃんなら本気で思ってそうだったから……」

梨子「そんな事ないわよ!私だってA-RISEの怖さはこの目でちゃんと見たんだから……あれは、もう普通じゃないわよ……」

ことり「そうだね……A-RISEがこのまま終わるとは考えられない…」

海未「警戒はしておく必要がありますね…」

曜「うん……」

仕切り人「では、互いに誓いの血を…」

絵里「……」ピッ…!

指 ポタッ…

穂乃果「いっ…」ピッ…!

指 ポタタッ…


善子「う…うーん……」ムクリッ…

花丸「あ、善子ちゃん起きたずら」

善子「あ…あれ……?ここは……」

花丸「なに寝ぼけてるずら…もう始まってるずらよ?」

善子「え…?」

花陽「す…すごい……今日はアキバの歴史に残る一日になるよ……」

凛「うわぁ……本当に血飲むんだ……」

赤酒 ズーン…

穂乃果「………」


梨子「ほ…穂乃果ちゃん、あれを飲むの……?」

ことり「い…いや、まさか!穂乃果ちゃんお酒なんて飲めないし……」

海未「口を付けるだけでいいと言ってありますよ、それぐらいなら穂乃果でもできますし」

梨子「そ…そう……良かったわ…」

仕切り人「では、失礼ながら口上を述べさせていただきます!この度は長らく対立していた水見色、焔ヶ丘の誤解が解け、晴れて対立関係を解消し、互いに協力しあう事が決定されました!」

絵里「……」

穂乃果「……」

仕切り人「つきまして、本日はここ秋葉原に伝わる伝説の儀式…和平の儀をもって同盟を結ばせていただきます!!」

花陽「は…始まる……」ゴクリッ…

仕切り人「では、まずは水見色高校代表!絢瀬絵里殿!誓いの証である赤酒にお口をお付けください!!」

絵里「……」スッ…

穂乃果「………」

絵里「………」

仕切り人「どうぞ!!」

絵里「……」グイッ!

穂乃果「…!!?」

梨子「え…!?」

曜「ご…豪快にいった…!」

絵里「………」ゴクゴク…

穂乃果「………!」

絵里「ぷは……」

海未「なっ……」

絵里「美味しかったわ」ニコッ

ヤンキー「お…おぉ……!」

ヤンキー「すげぇ…!飲みきった…!」

ヤンキー「さ…さすが水見色の番長……」

ザワザワ…ザワザワ…

穂乃果「………!」

凛「す…すごいにゃ……あの量のお酒を一気に……」

花丸「か…かっこいいずら……」

善子「えぇ…憧れるわね……」

花陽「す…すごい…!!さすが絵里先輩!!感激です…!!」

穂乃果「…………」

ことり「あはは…す…すごいね……絵里先輩……」

海未「………」

ことり「…?海未ちゃん…?」

海未「…い…嫌な予感がします……」

ことり「え…?」

海未「くだらない事考えてないといいのですが……」

仕切り人「絢瀬絵里殿ありがとうございました!では、続いて焔ヶ丘高校代表!高坂穂乃果殿!誓いの証である赤酒にお口をお付けください!!」

穂乃果「は…はい……」スッ…

絵里「………」

仕切り人「どうぞ!!」

穂乃果「………」ゴクリッ…

海未「穂乃果……口を付けるだけでいいのですよ……変な気を起こさないで……」

穂乃果(絵里先輩…すごい飲みっぷりだった……)

穂乃果(みんなも驚いてた……)

穂乃果(………)

穂乃果(海未ちゃんが口を付けるだけでいいとかなんとか言ってたような気がするけど……)

穂乃果「……!」

穂乃果(焔ヶ丘代表として、かっこ悪いところは見せられないよね…!!)

穂乃果「……」グイッ!

海未「あっ…!!」

花陽「ほ…穂乃果先輩も豪快にいった!!」

穂乃果「……!!?」

絵里「……?」


穂乃果「ぶっーーーーー!!!!!」ビシャアアアアッッッ!!!!

絵里「…!!」


善子「…!?」

花丸「なっ……!」

花陽「う…嘘……」

ことり「穂乃果ちゃ……」

海未「全く……あのバカは…」

絵里「………」ビチャビチャ…

穂乃果「あぁ…!!え…絵里先輩がびしょびしょに…!!!」

絵里「こ…これは……」ビチャビチャ…

絵里「どういう意味かしら……?高坂さん……?」ゴゴゴゴゴゴ…

穂乃果「ご…誤解です……!!決してわざとやったわけでは…

ヤンキー「オラァァ!!!どういうつもりだ!焔ヶ丘ぁぁ!!!」

ヤンキー「ウチの絵里さんに、なにさらしてくれとんじゃ!!ボケがあああ!!!」

穂乃果「や…やば……」

ことり「ほ…穂乃果ちゃん!早く謝って…

海未「聞いてくれると思いますか!?逃げますよ!!弁明は後です!!!」

穂乃果「え…!?えぇ…!!?」

ヤンキー「オラァァ!!逃すか!!ボケコラァァァ!!!」ドドドドド…!!!

穂乃果「ちょ…!わわっ!わっーー!!!」


ドンチャン!ドンチャン!ワイワイ!ワイワイ!


善子「な…なにこれ……」

花陽「そ…そんな……神聖な和平の儀が……」

凛「にゃはは!穂乃果先輩っぽいにゃ!」

曜「楽しそう!私も混ざろっかな…!」

梨子「はぁ!?何言ってんの!曜ちゃん!!」

千歌「あはははっ!なんか楽しーね!」

梨子「た…楽しくないわよ!!せっかく水見色と焔ヶ丘が仲良くなれそうだったのに!」

曜「まあ、心配しなくても大丈夫でしょ!すぐ誤解だって伝わるよ!」

梨子「そ…それはそうかもしれないけど……」

善子「全く……バカな生き物ね…不良っていいのは……」

千歌「あはは…でも、私は好きだな……不良の生き方って…」

梨子「え…?」

千歌「うん…!私は、自分の細かい事なんて気にせずに自分のやりたいように生きる不良って生き物が好き!」

梨子「ち…千歌ちゃん……?」

千歌「梨子ちゃん!」

梨子「なに…?」

千歌「私分かった!」

梨子「…?」

千歌「分かったよ!私が探してた答え!私が大切にしたいもの!!」

梨子「え…!」

千歌「私は今ここにある幸せを守りたい!!」

梨子「…!」

梨子「千歌ちゃん……」

千歌「今日、みんなでワイワイしてるのがすごい楽しかった!私は今日みたいな日がこれからも続いていって欲しい!」

千歌「どうかな?梨子ちゃん!」

梨子「うん…!私もそれがいいと思う!」ニコッ!

千歌「えへへ…///ありがと!梨子ちゃん!」

凛「はぁ……また千歌先輩がクッサい事言ってるにゃ」

千歌「えぇ…!?」

凛「まあ、でも……言ってる事はなんとなく分かるにゃ」

千歌「え…?」

凛「凛も守りたい……A-RISEなんかに壊されたくないにゃ」

千歌「凛ちゃん……」

曜「それは私も!今日みたいに、ずっとみんなで笑っていたい!」

千歌「曜ちゃん…!」

花陽「もちろん、私もです…!頑張りましょう!みんなで!みんなの笑顔を守るために!」

千歌「花陽ちゃん…!!」

梨子「そうね……頑張りましょう…!私達ならきっと大丈夫よ!」

千歌「うん…!そうだね!きっとできる!!A-RISEなんかぶっ倒そう!!」

善子「あ…A-RISEを倒すって……あんた…」

花丸「あはは…でも、この人達ならやっちゃいそうずらね」

善子「そうだ、ずら丸、あんた凛達に聞きたい事あったんじゃないの?」

凛「え?凛達に?」

花陽「どうかしたの…?」

花丸「う…うん……その……」

凛「…?」

花丸「黒澤ルビィちゃんって覚えてる?ほら、まる達と中学同じだった……」

凛「え…あ…あぁ……覚えてるけど……何かあったの?」

花丸「実は…最近全く連絡がつかなくなったんずら……」

花陽「え…!?れ…連絡が……!?」

花丸「うん…中学卒業した後もずっと連絡取り合ってたんだけど……」

梨子「心配ね……変な事に巻き込まれてないといいけど……」

凛「たしか、緑王行ったんだよね?お姉ちゃんがいるとかで…」

花丸「そうずら…今の緑王の番長のダイヤさんずら……」

千歌「番長……」

曜「千歌ちゃん……」

千歌「うん……何か裏がありそうだね……」











--------------------


同じ頃、緑王学園ー

生徒会室-


にこ「ちょっとー!!なんで、また、あんたと二人っきりなのよ!!」

真姫「知らないわよ、私に言わないで」

にこ「あぁ!!またタメ口!!年上なんだから敬語使いなさいよ!!」

真姫「年齢は上でも同学年でしょ?留年しすぎて…ぷぷっ……」

にこ「わ…笑うんじゃないわよ!!」

にこ「…ったく……希は?どこ行ったの!?」

真姫「さぁ……また、あそこじゃない?」

にこ「はぁ…?ま…またぁ……?」

にこ「全く…どんだけ柔道好きなのよ……」






柔道場-


希「ふぅーー……」

柔道部員「あ…あぅ……」

柔道部員「う…腕が……あぁ……」

柔道部員「う…うぐぁ……」

希「今日もいい稽古ができたみたいやね!」

希「じゃあ、明日もよろしくなー」ガララ…






生徒会室-


にこ「じゃあ、ダイヤは?あいつ、生徒会長でしょ!?なんで、いつも居ないのよ!」

真姫「ルビィを探してるんでしょ?居なくなったらしいじゃない」

にこ「ル…ルビィ……?あぁ…妹の?」

真姫「えぇ、にこちゃんの隣のクラスのね」

にこ「…!」ムカッ…

にこ「あんた、いちいち私の事バカにしないと喋れないわけ…?」

真姫「そんな事ないわよ?に…こ…ちゃん?」

にこ「…!」ブチッ…

にこ「ちゃ…ちゃん付けで呼ぶんじゃないわよ!!!真姫!!!」

真姫「はいはい…」













--------------------


神田明神-


花陽「よしっ…と……」

善子「できた?」

花陽「うん…とりあえず、私からもLINE送ってみたよ…」

凛「凛も送っといたにゃ」

梨子「これで見つかってくれるといいわね…」

花丸「うん……本当に心配ずら…」

善子「まあ、きっと大丈夫よ!あの子、ああ見えて、芯は強い子だから!」

花丸「う…うん……」

千歌「でも、用心するに越した事はないよ…A-RISEが関わってるかもしれないから……」

花丸「あ…A-RISEが…!?なんで……」

曜「緑王の番長さんの妹だから……A-RISEの言ってた戦争ってのが、アキバの三校を戦わせる事だとしたら、可能性はあるよね……」

花丸「そんな……ルビィちゃん……」

千歌「許さない……A-RISE……私が絶対ぶっ倒してやる……」

梨子「………」

梨子「千歌ちゃん……?」

千歌「なに…?梨子ちゃん……」

梨子「あんまり考えすぎちゃダメよ……?曜ちゃんに昔のことは聞いたけど、執着しすぎないようにね…?」

千歌「え…?」

千歌「む…昔のことって……」

曜「あはは…ごめん、千歌ちゃん……私の判断で言っちゃった……」

梨子「い…いや!私が言わせたようなもので……」

千歌「そ…そっか……もう梨子ちゃんも知ってるのか……」

梨子「う…うん……ダメだった…?」

千歌「………」

千歌「いや…ダメじゃないよ……私もいつか話さないといけないと思ってたから……」

梨子「………」

千歌「………」

千歌「どう思った……?」

梨子「え……」

千歌「私の昔の話聞いて……梨子ちゃんの意見が聞きたいな……」

梨子「……!」

梨子「う…うん……私は…」

梨子「………」

千歌「………」

梨子「私は…やっぱり千歌ちゃんのやった事が正しいとは言えないわ……」

千歌「……!」

千歌「そっ…か……」

梨子「でも、それは千歌ちゃんも分かってる事でしょう?だから、直そうとした……」

千歌「……」

千歌「うん……」

梨子「なら、それでいいと思うわ、失敗なんて誰にでもある……だから、しょうがないとは言わないけど、それを直そうとできるなら、失敗も無駄じゃないはずよ」

千歌「………!」

千歌「梨子ちゃん……」

千歌「あはは…やっぱり梨子ちゃんはすごいな……言う事が違うや……」

梨子「そんな事ないわよ……私のだって本の入れ知恵みたいなものだし……」

千歌「それでもすごいよ、ありがとう…梨子ちゃん…少しスッキリした……」

梨子「……!」

梨子「そう……良かったわ……」

千歌「………」

梨子「あ、それと千歌ちゃん」

千歌「ん?なぁに?」

梨子「今度、千歌ちゃんの故郷に連れてってね」

千歌「え…!?」

千歌「で…でも……私は……あっちだと……」

梨子「ちゃんと説明すればいいのよ、そうすればきっと、みんな分かってくれるわ」

千歌「……!」

千歌「梨子ちゃん……」

梨子「誤解されたままなんて悲しいわ、千歌ちゃんはこのままでいいの?」

千歌「……!」

千歌「そ…それはヤダけど……」

梨子「そう……じゃあ、誤解は解かないとね…」

千歌「 う…うぅ……でも……」

梨子「………」

梨子「大丈夫よ…千歌ちゃん……」

千歌「え……?」

梨子「大丈夫……穂乃果ちゃんの事もそうだったでしょ?きっと大丈夫……信じれば上手くいくわ」

千歌「……!」

梨子「それに、内浦って良い所なんでしょ?行ってみたいのよ、純粋にね?」

千歌「梨子ちゃん……」

千歌「う…うん…!分かったよ…!じゃあ、私がたっぷり内浦の良い所紹介してあげるよ!私が生まれ育った街だもん!沢山知ってるよ!!」

梨子「そっか…!楽しみね!」ニコッ!

千歌「うん…!」ニコッ!













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同じ頃-

秋葉原少年刑務所-


刑務官「もう悪さするんじゃないぞ!」

??「はいはい!分かってるって~!」

??「も~、私達ちゃんと更生したんだから大丈夫だよ!」

刑務官「本当に更生してるといいんだが……」

??「ほんと!ほんと!刑務官のみんなにも感謝してるんだから!」

??「うんうん!だから、たっぷりお礼しないとね!」

刑務官「む…?」

??「よっと!」ガシッ!

刑務官「…!?」

刑務官「な…!何をする…!!」

??「お礼だよ…?お、れ、い」スッ…

刑務官「なっ!ちょ…ま…待て!!」

??「いままでありがとね!!」


ガツンッッッ!!!!


刑務官「あ…あが……」バタッ…

??「イェーイ!ナイスパンチー!!」

??「あははは!いやぁー!スッキリしたぁー!久しぶりに人殴ったよー!!」


??「鞠莉さん…果南さん……」ザッ…

果南「ん…?」クルッ…

鞠莉「あっ…!!」

??「刑務所で反省したかと思ったら……相変わらずのようですね……」

果南「ダ……」

鞠莉「ダイヤ…!!」

ダイヤ「お久しぶりですね、二人とも」

鞠莉「ほんとに久しぶりねー!!元気してた!!?」

ダイヤ「えぇ…鞠莉さん達はどうでした?年少で一年過ごしてみて……」

鞠莉「そうね~…結構楽しかったわよ!ね?果南」

果南「うん!意外にね~!結構自由な時間とかもあったし!」

ダイヤ「そうですか……」

鞠莉「んん~??どうかしたのかな?ダイヤ?」

ダイヤ「え…?」

果南「悩んでる顔してるよ?ダイヤ!」

ダイヤ「え!?そ…そんな……顔に出てました……?///」

果南「あはは!昔っからの付き合いだからね!なんでも分かっちゃうよ!」

ダイヤ「そ…そうですか……」

鞠莉「うん…!それも、今回は結構深刻な悩みっぽいねぇ~!」

ダイヤ「………」

果南「どうしたの?なんでも言ってみて?」

ダイヤ「果南さん……」

鞠莉「そうよ?私達の仲でしょ?それに、私達焔ヶ丘辞めちゃったから、今暇人なのよねぇー!まあ、一人お礼しないといけない子がいるけど……」

ダイヤ「あはは……そ…そうですか……じゃあ……」

果南「………」

鞠莉「………」

ダイヤ「果南さん……鞠莉さん……」

果南「なぁに?」

鞠莉「早くいいなさいよ!もう!」

ダイヤ「ほ…焔ヶ丘と水見色を……」

果南「ん?焔ヶ丘と水見色?」

ダイヤ「潰す手伝いをして欲しいんです……」

果南「………!」

鞠莉「あら……」ニコッ…

ダイヤ「こ…答えは……」

果南「ふふっ……そんなの決まってるじゃん…」

鞠莉「えぇ……」



鞠莉「もちろん…イエスよ、焔ヶ丘水見色潰し……楽しんでいきましょう?ダイヤ……」









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完結編に続く……

ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました!

長くなりましたが、ここで今回のスレは閉じさせていただきます。続きである完結編は別スレにて今年の夏頃に公開予定です。

夏か
待ってるぞ


面白かった
続編も期待

いやぁ面白かった
次は夏かぁ…遠いなぁ(´・ω・`)

一気に読んでしまうくらい面白かった
夏か~気長に待つか

キャラがみんなイキイキしてておもしろかった乙
カリスマポンコツ番長二人(三人?)の更なる活躍に期待してる
夏が待ち遠しいなぁ

夏が待ち遠しい
ちゃんと完結するまで待ってます


めっちゃ面白かったわ 続き待ってる

おつおつ待ち遠しい

はやく夏になれ

>>748
ここかわいい

夏までの生きる希望が増えてしまった

これってもう続ききた?

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