【安価・コンマ】野球やろうぜ【1回】 (1000)

天才世代。
それは高校野球が超絶大人気な現代でこぞって使われる単語。

要するになんかこうパワプロ的な野球の安価SSっすね。
よければおつきあいくださいまし。

後進頻度は、てきとー!


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1519545065

名前とか能力とかどんな学校かとか、安価やらコンマやらで決めてこうと思います

下1 お名前フルネーム

酉忘れた!
ごめんね、この下ね

松坂修一

お名前、松坂修一くん

下1 ポジションはー?

投手

hanextuta

投手!
松坂、投手!

では能力をコンマで決めていきますゆえ…


能力値のざっと見表
S 91~100
A 81~90
B 71~80
C 61~70
D 51~60
E 41~50
F   ~40



下1 球速
コンマ二桁/2(端数切り上げ) + 100キロ
例えば89だったら、 145キロ ってことになります

下2 制球

下3 持久力(スタミナ)

ほい


うむ…
一芸特化…? スタミナの…?

球速:103キロ
制球:E(43)
持久力:S(97)


まあ、ね?
投手だしね、打撃能力も決めまっせ?


下1 打力
下2 筋力
下3 走力
下4 肩…は飛ばして守備

はい

a



こいつはパワプロ主人公並の成長が必要だぜ…


松坂修一 投手

球速:103キロ
制球:E(43)
持久力:S(97)

打力:F(40) ※野手能力だし、能力低すぎは大変だろうと思ってランク内の上限に設定しときました
筋力:E(50)
走力:D(60) ※同上
肩力:F(球速換算)
守備:A(84) ※充分高いからこれはこのままで…


しかしスタミナと守備力が異常って、何やねん…


えー、続きまして利き手!
投手だしね、大事なのかな?


↓1 利き手
右か左か、投げ手と打席一緒っす

右左

両党

一緒って書いたのに…
これは、えー、右投げ、左打ち…かな? だよね? そうするね


松坂修一 投手 右投/左打

球速:103キロ
制球:E(43)
持久力:S(97)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)


えー、ではパワプロらしく、主人公感を出すためにも特殊能力的なもんでも決めようかな

とりあえず、能力から鑑みててきとーに考えてみました


↓1 特殊能力
1 不屈の精神!
2 元マラソンマン!
3 一意専心!
4 なんかその他、こんなの~、とか、てきとーなワードでも内容考えまっせ
※でもチートすぎたり理解が及ばないものは下にズラしちゃうから堪忍ね

4刀流(両投げ両打ち)

2

1



四刀流!!
何それ超かっこいい! 採用!


松坂修一 投手 両投/両打

球速:103キロ
制球:E(43)
持久力:S(97)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


あだなはスイッチピッチャーかな?


では、どんな学校に松坂くんが進学したのか…


↓1 どんな野球部?
1 これから野球にめちゃくちゃ力を入れるんだぜ、っていう新設校に一期生として
2 超強豪校:実力至上主義
3 名門校:厳しくとも強い
4 弱小校:1回戦突破で万々歳な上、20年ぶりくらいの快挙

1



新設校! その名は、新摂高校!


新摂高校

松坂修一 投手 両投/両打

球速:103キロ
制球:E(43)
持久力:S(97)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


あと決めるのは、性格かな?
大事だよー、とっても大事だよー


下1 松坂くんの性格
1 自信満々、俺様系!
2 無口で寡黙な真面目系!
3 自信がないなよなよ系…
4 その他、ざっくりと

3

普段なよなよで野球やる時だけ強気なスイッチが入るスイッチヒッター

普段なよなよで野球やる時だけ強気なスイッチが入るスイッチヒッター


なよなよ系!!


そいじゃ今度は新摂高校にどれほどの選手が入ってくるのか…
良くも悪くも、チーム大事!


下1 コンマ(これからめちゃくちゃ野球に力入れるんだぜ!+1)
1~3 天才世代にふさわしいのは1人だけ…
4~6 天才世代が3人くらいいりゃあ、まあ…
7~9 5人くらいいるんじゃね?

自身がないなよなよ系の松坂くん…?

はて中日にも似たようなやつがいたような



うぇーい、チームメイトに頼れるのが5人はいるぜぇーい
しかも新設校だから試合経験はたっぷり詰めるぜぇーい


チームメイトのお名前とかは、随時、安価とかで!

新摂高校

松坂修一 投手 両投/両打

球速:103キロ
制球:E(43)
持久力:S(97)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない




あと、何か決めなきゃいけないのってありましたっけ?

始めていきまっせー



天才世代。
それは高校野球が超絶大人気な現代でこぞって使われる単語。
 確かな才能を持った選手が集い、鎬を削る高校野球は空前絶後の大人気を博していた!


 そんな天才世代が群雄割拠する高校野球界に、また新たな野球部が挑もうとしていた…。
 その名も、新摂高校野球部。


 果たして新摂高校野球部は、天才世代ひしめく高校野球界にどのような旋風を巻き起こすのか。





松坂「……熱心なスカウトさんに推しに推されて入っちゃったけど……僕なんかが、果たして通用するんだろうか…?」

松坂「大丈夫かなあ…? 不安だなあ…」

松坂「……野球部入らなきゃ、ダメかなあ…?」

松坂「でもスポーツ推薦だし…ダメだよなあ…」

松坂「……………グラウンドに行ってみよっと…」




 ↓1 最初に出会ったのは…
 1 監督!
 2 女マネ志望?
 3 もちろん選手に決まってる!

2



松坂「……あれ」

松坂「……このグラウンドは、サッカー場?」

松坂「………野球のグラウンドは一体………?」


女マネ?「あのっ!」

松坂「はいっ!?」ビクッ

女マネ?「や、野球部のグラウンドって、どこか知ってますか…?」

松坂「………いえ、知りません」

女マネ?「…あ、すみませんでした。じゃ、じゃあ…」

松坂「あ、あのっ、ちょっ…」

女マネ?「はい…?」

松坂「野球部の……ぐ、グラウンドって、どこか知ってますか…?」

女マネ?「え?」



女マネ?「あたしも野球部のマネージャーになろうと思って、探してたんです」

女マネ?「奇遇ですよね、野球部に2人とも用事があって、それでお互いに迷子だったなんて! あはは」

松坂「そんな、笑い事じゃないような…。遅刻かも知れないし…」

松坂「もし、すでに何か…挨拶とか始まってたりしたらもう…」

女マネ?「大丈夫ですって、きっと! えーと、あっちの方ですかね?」

松坂(迷わず歩いてるなあ…。この人も迷子のはずなのに…)



 ↓1 女マネ志望な女の子のお名前は?

種田 夕実


夕実「あ、そうだ。あたし、種田夕実です。お名前は?」

松坂「松坂…修一です」

夕実「よろしくね、松坂くん」ニコッ

松坂「よろしく…」

松坂(………かわいい)



 ↓1 さあ、新摂野球部へ乗り込もう
 1~3 ピリピリムードに遅刻した…監督が怖そうだった…
 4~6 まだ何も始まってなかった…ほっとした
 7~9 和やかムードですね、良かった良かった

んほい



夕実「あっ。あそこじゃないかな? ほらっ、人が集まってる!」

松坂「ほんとだ、良かった…けど……」

夕実「みんなもうキャッチボールしてるね…。監督っぽい人の姿は見えないけど」

松坂「」

夕実「あれ、松坂くん…?」

松坂(初日から遅刻…!! 心証最悪!? どうしよう、どうしよう…?)

夕実「おーい?」


?「あれ、あいつらも野球部か?」

?「おーい、おーい! こっち来いよ――って、女の子だああああっ!」

?「まさか、まさかっ、高校運動部名物の、女マネ!? 女マネさんですかあっ!?」

夕実「うぇぇっ…? な、何かすごいガツガツしてる人がいる…?」


?「とりあえずこっちこっちー!」

?「まだ監督とか来てないけど、暇だしってキャッチボールしてたとこー!」

?「そっちのやつも、一緒にやろうぜー!」

松坂「え、まだ始まってない…? 良かったぁ…」


 下1 やたら夕実にガツガツな選手のお名前

 下2 そして、そんな彼のポジション

田中太郎

セカンド

松坂くんは変化球は投げられないのかな?



田中「俺、田中太郎! よろしく、夕実ちゃん!」

田中「あっ、あと松坂…だっけ? きみもよろしくー」

松坂(態度違いすぎない…?)

夕実「あはは…よろしくね、田中くん…」


田中「俺、セカンド! お前は? 松坂?」

松坂「ピッチャー…です」

田中「おおっ、ピッチャーきた!」

田中「スカウトの人が、やったら勧めてきてさー」

田中「これから力入れるから、強いチームになれるし? それに一期生だから1年生から試合も出られるはずーってことで、決めたんだ」

田中「ってえ、ことは…そんなにスカウトに力入れてたわけだし、何かすげえピッチャーなんだろ? なっ?」

田中「いやあ、わくわくしてきた!」

松坂「それほどでも…………本気でないよ」

田中「ガチトーンの謙遜すんなって…」



 下1 監督のお名前おなしゃーす



>>46 完璧に変化球のこと忘れてました…あとでコンマしましょう

長島貞治



 ザッ…

長島「諸君、集合してくれ!」

田中「おっ、あれが監督かな?」

松坂(何ていうか……どこにでもいそうな、オジサン…?)

夕実「あのっ、ここのマネージャーにしてください!」

長島「…………許可する」

夕実「やった♪」

田中「やったあああああああああああ! 女マネだあああああああああ!」

松坂「田中くん…」


長島「さて、諸君。わたしが、新摂高校野球部監督の長島だ」



 下1 コンマ
 1~3 長島「早速だが諸君、わたしは野球は勝利しなければ意味がないと考えている」
 4~6 長島「キャッチボールを自主的にしていたとは、やる気満々だな。紅白戦をしてみよう」
 7~9 長島「自分で言うのもなんだが、わたしは野球が大好きだ!!!」

気になってたんだがコンマ0ならどうなるの?



長島「キャッチボールを自主的にしていたとは、やる気満々だな。紅白戦をしてみよう」

田中「マジっすか!?」

長島「マジだ」

松坂(割とフランクだ、この監督…)

長島「全員、野球道具は持ってきているな。練習用ユニフォームも、すでに用意がある」

長島「早速だが、女マネ就任したての……」

夕実「種田夕実です」

長島「種田、向こうの段ボール箱にユニフォームがある。サイズごとに選手達に配ってくれ」

夕実「はい!」

田中「きびきび働くポニテの女マネ…いい…」

長島「うむ、いいものだ」

松坂(大丈夫かなこの監督…?)



 ↓1 紅白戦!!
 1~3 あれ、このチームの投手…松坂以外にいないぞ…?
 4~6 先発に抜擢されちゃったよ!
 7~9 松坂の他にピッチャーが、しかも天才世代…


>>52 出たときのおたのしみです

ほい



田中「松坂、同じ赤チームだな! よろしく!」

松坂「よ、よろしく…」

長島「それぞれ、充分にストレッチをしてから臨むように!」

長島「それと試合前ノックも両チームともやろう!」

田中「試合前ノックか」

長島「ノックは投手にも参加してもらおう」

松坂「えっ」

田中「まーまー、肩を作る時間はまた別にくれるっしょ」



 下1 もう1人くらい、ここで選手出すかね
 1~3 堂々たる、大エースの素質充分なピッチャーの存在
 4~6 クール系選手
 7~9 女房役捕手とは良い関係を築きたいよね

ここで、この場合の投手は相手チームって事かな?



 カァンッ

松坂「ふっ――!」シュバッ

 バシッ

田中「うおおーっ! フィールディング上手え!」

松坂「ふ、普通だよ…。投げて、打たれたところでヘマとかしたら……ほら、やるせないから…」

田中「お前って弱気だな?」


長島「よし、次は白チームだ! 赤チームの投手はブルペンへ入れ!」

田中「俺もブルペン見に行っちゃおー」

松坂「ああああ…ああああう…」

田中「おいおい、投手のくせに、何でブルペン行こうとして憂うつっぽくなってんの?」

松坂「あんまり、自信なくって…」

田中「んなこと言ってもしょうがねえだろ?」

田中「ほらっ、ピッカピカで新品のブルペン――」


 ズバアアアアンッ

田中「!?」

松坂「!!?」


投手「…よし」グッ

投手「ん…?」

田中「お、お前、白チームっしょ? 交替だから、試合前ノック行けよ…」

投手「ああ、分かった」ザッ


田中「な、何か今、すっげえ音してたけど…」

松坂「すごい…投手だ…」



 下1 投手のお名前!

久遠 康宏

上重 バーーーローー



田中「よぉ、がんばれーい」

田中「ピッチャー様が試合の要だぜー」

松坂「緊張する…」

松坂(でもブルペンで投げるって久しぶりだ…。中学以来…)

松坂(がんばろう)


松坂「ふぅ…」

松坂「ふっ!」シュッ

 ポスッ…

田中「…」

松坂「…」

捕手「…」


松坂「今日…ちょっと調子いいかも」

田中「今のでっ!!?」


田中「さっきのあいつ、えっと、えっと……久遠! 久遠康宏! って名前だったと思うけど、あいつはあんな、ズバーンだったんだぜ!?」

田中「あ、あれか!? お前、変化球が得意なタイプ!? そうだよな!? なっ!?」



 ↓1 コンマ:変化球判定です
 01<00
 コンマの数値を、球種に振り分けられます
 例:70が出たら、30と40でスライダーとフォークに振る…とか
70丸ごとスプリットに振る…とか

 振り分けるのはあとの安価でね


 62 を、振り分けられます

 ↓1 変化球
 球種 と、62の内、いくつ割り振るか…
 余った数値はまた安価でふります

カットボール30
チェンジアップ30

スローカーブ50
チェンジアップ20

イッチは野球未経験の方なんだろうか?
103キロのストレートは早くはないけど擬音でポスンなんて優しい音は出ないぞ

チェンジアップ、50キロぐらいになりそう

残り2とか…使い切ろうよ

というか、数値がいくつで、どれくらい…とか開示してなかったね

91~   S ちょうやべー
80~90 A やっべー
61~79 B すげー
50~60 C ふつーにつかえる
  ~49 D 磨きが必要


くらいで思ってもらえれば…


新摂高校

松坂修一 投手 両投/両打

球速:103キロ
制球:E(43)
持久力:S(97)
カット:D(30)
チェンジアップ:D(30)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない



あ、ぼくは野球未経験ですよ
まあ、パワプロ的な感じと、ギャグ描写程度にぽすって思ってもらえれば…

あ、残り2を忘れてた…
忘れなければどっかで、2プラスするから…

四刀流のメリットはなんだろうか?
現実ならかなり有効だけど安価スレだと色々と管理が大変だろうな

右投手が苦手とかその逆とかね



松坂「変化球は…」

田中「変化球は!?」

松坂「…」スタスタ

捕手「ん…?」

松坂「…ひそひそひそ」

捕手「ん、おう、おう…」

田中「秘密なの!? 俺にも!? 同じチーム! おんなじチーム、俺!」




長島「プレイボール!」

田中「はぁ~……向こうのピッチャー、超強そう…。オーラある…」

松坂「ごめん…オーラなくて…」

田中「100キロちょいがマックスで、コントロールもビミョーで、変化球未知数のピッチャーか…」

松坂「」グサグサッ

田中「…ま、守り甲斐はあるわな。任しとけ」

松坂「田中くん…」

田中「泥船に乗ったつもりでな!」

松坂「田中くん……」



 下1 そんな田中の実力は!?
 1~3 守備職人やでぇっ!
 4~6 ミート上手!
 7~9 言動と正反対の職人タイプ!?

ほい



 カィンッ
 パシッ

<アウト!

田中「あっちゃー、1番バッターがファーストゴロか…。ドンマイ、ドンマイ!」

田中「俺が一丁、チャンスを作ってやるからさ!」

松坂「自信満々だ…。かっこいい…」


田中「さあーて、豪腕久遠くん、お手並み拝見!」

久遠「…紅白戦とは言え、久々の試合。楽しませてくれ」

田中「ふっふふーん…」



 ↓1 田中vs久遠! 堂々たる大エースの素質-2
 1~3 久遠、ヤバすぎぃっ!
 4~6 田中粘るも…
 7~9 田中やるやんけ!!

相手投手の能力も決めてないのにいきなり-2とかw
あとで決めたときにコンマが腐って弱くなったらどうすんだよ



久遠「ふっ…!」

 ズバァンッ

田中「やっば…!? 何これ、やっば!?」

田中(何こいつ、球速いくつっ? やっば、速っや!?)

田中(でもぎりちょん、ついてける? やっちまうかあ?)ニタァ

久遠(見てきた…)


久遠「ふぅー…。ふっ!」

 ビュオンッ

田中「おらよぉっ――と、ファールかあ…」

捕手(このボールを、タイミングズレてたけど打ってきた…? センスあるな…)

久遠「やるな…」ニヤリ

田中「どんどんこいやぁー!」


松坂「すごい…」


久遠「ふっ!」

 ビュオンッ

田中「よっ…」スッ



松坂「バント!?」

夕実「えっ、あんなに打ち気だったのに…!?」

久遠(しかも絶妙な…!)


田中「だぁーっははははー!」ダダダッ

<セェーフ!


松坂「おおおっ…!」


田中「見たかー! これが俺の実力だー!」

<ナイスバントー!

田中「足も誉めろー!」




 ↓1 そして松坂くんの出番…
 1~3 ボッコボコォッ!?
 4~6 皆さん、野球エリートですか…そうですか…
 7~9 スイッチピッチャー

ほい



田中「よぉっしゃー! 打たせてこぉーい!」

松坂「緊張するなあ…」

松坂「打たれたらどうしよう…」

松坂「ああ…あああああ…」

捕手(大丈夫か…?)


久遠(このチームで、俺を除く唯一の投手…)

久遠(どんな選手だ…?)


松坂「…やるしかないか」

松坂「……がんばる」

松坂「………大丈夫、がんばるだけ、がんばる…がんばれば多分…」


田中「ぶつぶつ言ってないで投げろぉー!」

松坂「あ、ご、ごめんなさい…!」

捕手(大丈夫かあ…?)



 カキィンッ

田中「レェフトー!!」

松坂「よ、良かった…レフトフライ…」


 カキィンッ

田中「セェンター!!」

松坂「あ、センター前ヒット…ランナー、一塁…か…」


 カキィンッ

田中「だあらっしゃー!」ズザァッ

田中「はーっははは! 俺様ナーイス、ナイスセカンドライナー! 打たせてけーい!」

松坂(守備が…けっこう頼れる…)



 下1 1回裏2アウトで4番です
 1~3 早速の2失点でした…
 4~6 4番でエースか、久遠…
 7~9 なんかすごいスラッガーチックなのいるぅー



4番「……どうせなら、久遠とやりたかったがしょうがねえか」

松坂「大きい…」

田中「うおー、打ちそうな雰囲気…」

田中「のまれんなー!」

松坂「通用する…かな…? しないよね…」

捕手(何か、弱気になってない…? まだ1回だぞ…)


4番「さあああーてぇ?」

4番「このグラウンド初の柵越え打つかあー! 来いやぁー!」

松坂「ひえっ…」

松坂(苦手なタイプ…!! 人として…)


 シュッ
 カキィィィン

田中「デッカ――」

松坂「」

4番「んお…? 何じゃい、何じゃい、ファールか」

松坂「…すごい大当たりだった…」



 下1 4番のお名前

 同じく下1でコンマも一緒に判定
 1~3 ぼっこぼこに打たれていく松坂くん…
 4~6 守備に助けられながら回を重ねる…
 7~9 スイッチピッチャー的な活躍とかさ…

佐野誠一

清原 真澄(きよはらますみ)

ごめん安価下で

これって>>87が有効なのかな?
名前とコンマが一緒っぽいし

お名前くれたので>>87採用でコンマも>>87


そしてお楽しみの、0です
基本、いいことか悪いことが起きるけど…
練習試合だし、この場は悪いことでも結果的に良いことかもね


 下1 0の再判定
 偶数 田中・久遠・佐野に続く4人目の天才世代は……超有能捕手でした!?
 奇数 佐野くん…きみ、すごいスラッガーだね…

コンマ00でクリティカルで松坂くん才能開花でも良いのよw


捕手「…タイム、ください」

長島「む…。いいだろう」


捕手「松坂くん」タタタッ

松坂「ご、ごめんなさい、ごめんなさい…ヘボでごめんなさい…」

捕手「そう緊張しないで」

捕手「変化球がカットとチェンジアップで…ほとんど使い物にならないって自己申告だったから使う気なかったけど…やってみようか?」

松坂「ぶ、ぶっつけ本番で…?」

捕手「大丈夫、大丈夫。とりあえずチェンジアップね」

松坂「とりあえずって…! ただでさえ遅いのを遅くしたところで、タコ殴りにされて…」

捕手「使い方だよ。変化球も、頭もさ」

松坂「えええ…?」

捕手「まあまあまあ、騙されたと思って」

捕手「それにほら、きみって…久遠くんみたいな、すごいピッチャーじゃないんだし」

捕手「失うものなんてある? たかが練習試合なんだしね」

松坂「い、意外と毒舌だった…」

捕手「それじゃあ、やってみようよ」



 ↓1 捕手くんのお名前

安倍博

これって群像劇みたいな複数の主人公がいる感じなのかな?
主人公のターンの0なのに主人公にとっての成果ではなくチームにとっての成果になってるあたりそうなのかなと



阿部「ねえ、佐野くん」

佐野「ああん?」

阿部「遅いって、嫌い?」

佐野「何を言うかと思えば…嫌いじゃい」

阿部「ふぅーん、僕はそう思うんだよなあ。速さを追及するのもいいけど、自分のペースってあるし」

佐野「はんっ、囁き戦法かい。まだ1回裏なのに…」

阿部「チームメイトだし、コミュニケーションは大事だよね」

阿部「ところできっと、このチームの主砲は佐野くんになると思うんだけど、佐野くんのバッティングの秘訣って何?」

佐野「うるさいわ、集中させろ!」

阿部「後学のためにさ。教えてよ、ね?」


松坂(何か喋ってるけど…いいのかな?)

松坂「……いいよね、別、にぃっ!」

 シュッ


佐野「打撃で考えとることなんざ――って!? っぶなぁっ!?」

 パシッ

<ボール!

阿部「あ、大丈夫だった? 彼、コントロール上手いわけじゃないからさ、顔面に当たらなくて良かったね」

佐野「こ・ん・の…! もう喋らん!」ギロッ

松坂「ごめんなさぁい!!」

田中「あっははは! あの松坂が危険球投げた! ぶわはははっ! わざと!? 今のわざと!?」

松坂「違うんですぅー!」


阿部(とりあえーずー、顔の近くに投げてもらった、思いっきりのストレートを見てもらってから…)

阿部(低めにチェンジアップが決まってくれれば…落差もあるし、多少の球速差も出るだろうし…)

阿部(って、考えは浅はかかなあ…?)



 ↓1 コンマ
 1~3 浅はかだった
 4~6 惜しいね、って
 7~9 いけちゃった!?

やったぜ。


 シュッ

佐野「ぬぅっ…!?」ブンッ

<トライーク!

阿部「割と遅いなあ…」

阿部「ね? 佐野くん? ナイスボールだよ、松坂くん!」シュッ

佐野(こんにゃろう…話しかけて注意逸らして顔すれすれに投げさせといて…さらに遅い、チェンジアップ?)

佐野(今度は、またチェンジアップか? それとも…僅かなもんだが、球速差を利用したストレート…?)

松坂「す、ストライク取れちゃった…?」

田中「いいぞー! いけいけ松坂ー!」


阿部(まあ、問題は制球なんだけど…)

阿部(もう一丁、チェンジアップちょうだいな)



 下1 行動選択
 1 丁寧に、丁寧に…
 2 またチェンジアップて、怖くない!? いいの、それ大丈夫!? って顔でサイン拒否
 3 開き直っていこう…

3



松坂(ま、ままままった、また、チェンジアップ!? チェンジアップぅっ!?)

田中「打たせてけー!」

阿部(顔に出てるよ、動揺が…。ま、でも…)

佐野(今度は何じゃい…? ストレート? さらに遅いチェンジアップ?)

佐野(元々あんなへなへなな顔しとるから分からんわ!!)イライラ


阿部『失うものなんてある? たかが練習試合なんだしね』


松坂(………いや、もう、うん)

松坂(どうせ、たかが知れてるんだから…せめて、キャッチャーのリード通りに!)

松坂「ふぅぅー…」


阿部(あれ、顔つき変わった?)

田中「へいへいへい、ピッチャービビってんぞー! 後ろには俺がいるぞー!」

佐野(どっちじゃ、どっちじゃーい!?)


松坂(キャッチャーを信じて、投げるべし…!)



 ↓1 コンマ
 1~3 制球力:E
 4~6 強引にパワーで持っていかれた…
 7~9 佐野から三振を奪った!

らい

質問に対しての回答がないんだがどうなん?

複数主人公が苦手なんで返事によっては追いかけるのをやめるんで



阿部(要求からは逸れてるけど、腕が触れてる遅いボール!)

阿部(だけどいける、これなら――!)

佐野「どおらあああしゃああああああ――――――い!」

阿部「!?」

松坂「ひえええっ!?」


 カキィィンッ

田中「レフトぉっ!」

阿部(深い――力だけで強引に引っ張って、長打コースに!)



佐野「ちぃぃっ、柵は超えんか!」

松坂「ごめんなさい…」

田中「ドンマイドンマーイ! 声出してこうぜぇー! はぁっはっはっはー!」

阿部「佐野くん、すごいなあ…。ま、でも松坂くんの伸びしろと考えれば…うん、うん」



 ↓1 結局…
 1~3 コールドですって!?
 4~6 ま、新チームとしての顔合わせ、コミュニケーションの一環的な紅白戦だしね
 7~9 敗戦だけど最終回まで投げ抜きました



>>106
申し訳ない
主人公は松坂くんだけどチームスポーツだからずぅーっとスポット当たってるわけじゃないし…
それを群像系ととるかどうかは読者次第だから、そういう感じかなと思います



長島「赤チーム0点、白チーム13点…か」

長島「………だが松坂、最後までよく投げ抜いた。その折れない気持ちは忘れるな」

松坂「は、はい…」

松坂(折れない気持ちというか……すでにバキバキに折れてるもんだから、今さらというか…ははは…)

阿部「何を変な緩い笑顔してるの、松坂くん?」

松坂「えっ、い、いや…」

阿部「悔しくないの?」

松坂「あ、あー…うん…」

田中「超悔しいに決まってんじゃんかよ! なあ、松坂!?」

松坂「う、うん…」

阿部「…ふぅーん?」

松坂(何かこの、ふぅーんっていうの、やだ…!)


長島「明日より、本格的に練習をしていく!」

長島「各自、課題を持って取り組んでもらいたい!」

長島「そこで、全員にノートを配る! これは、諸君と、わたしとの交換日記だ!」

長島「野球に関すること、関わりのないこと、何でも書くように! また、最初のページには高校3年間での目標を書いてもらいたい!」

長島「以上、ノートの記入をし、わたしに提出した者から帰ってよし!」


松坂(何て書こう…?)

松坂(3年間での、目標か…)


長島「ついでだ、種田。お前も書くか?」

夕実「え、いいんですか…? 逆に」

長島「いや、逆に嬉しい」

夕実「………遠慮、しても?」

長島「素直に悲しい」

夕実「じゃ、じゃあ…やりますよ…」

長島「嬉しい」



 ↓1 目標だってさ
 1 エースになりたいです…って小さい字で
 2 足を引っ張らないようにがんばりたいです、って丁寧な字で
 3 その他

>>107レス返しどうも

チームスポーツだとしても0が特殊判定ならそれも主人公が活躍するかでの判定の0なのに成功でキャッチャーが生えるってのはどう考えてもおかしいと思うわけ

まぁ、主人公を優遇しまくれとは言わないけど強敵との勝負での主人公の成長の機会を潰すのはどうかと思うわけなんだけど


松坂「…足を引っ張らないようにがんばりたいです…」カキカキ

松坂(我ながら、上手な字で書けた…)

松坂「よし…提出――」

阿部「何て書いたの?」

松坂「うわっ…!?」

阿部「見せて、見せてぇー」ヒョイッ

松坂「ちょっ…! 何か恥ずかしいから…!」

阿部「まあまあまあ、投手と捕手ってことでさ。包み隠さない関係性――足を引っ張らないように…か」

松坂「読まないで!?」

阿部「……なるほど、把握」パタン

阿部「また明日ね、松坂くん」

松坂「え、あ、うん…」


 下1 行動選択
 1 何やら、みんなで一緒に下校していくらしい…混ぜてもらえるかな?
 2 誰かと一緒に帰ろうかな  相手も書いてね
 3 ちょっと残って練習してこうかな



>>111
状況次第でしか言えないわけなので…
正直松坂くんまだ活躍難しいかなという具合なので成長を促せるポジションの登場という成功判定なわけで…
そういうことですね

>>113

なるほどそして、新たに生えた豪腕Pにその生えたキャッチャーをとられるんだな

なんか展開がつまらないんで追いかけるのをやめるよ


松坂「…」

松坂「ちょっと、練習していこうかな…」

松坂「酷い試合になっちゃったし…久遠くんはいるけど、投手が1人だけっていうのはチームとして大変だろうし…」

松坂「…うん」


松坂「でも、何をしようかな…」

松坂「設備は、一通り揃ってるみたいだけど…」



 ↓1 練習の時間でっせ!

 1 投げ込み:球速強化練習
 2 パネル当て:制球強化練習
 3 走り込み:スタミナ強化練習

3


松坂「……何か、新品の機材使うの申し訳ないし走るだけにしておこう」

松坂(投げ抜いたことも誉めてもらえたし…)

松坂「…よし、走ろう」

 ザッザッザッ…


 下1 スタミナ(S:97)強化!
 コンマ一桁/2 アップ

ほい

すまぬ……

伝え忘れてたけど端数切り上げです


 スタミナS:98

松坂「ふぅっ…ふぅっ…」

松坂「こんなもんかな…」

松坂「…うん」




新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:103キロ
制球:E(43)
持久力:S(98)
カット:D(30)
チェンジアップ:D(30)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない




 下1 コンマ
 1~3 何も起きず…
 4~6 あ、監督だ
 7~9 阿部くんに話しかけられた


 下1 0判定
 偶数 阿部くんが、アドバイスをくれた
 奇数 阿部くんに、嫌われた疑惑…

お願い


松坂「ふぅーっ…」

松坂「暗くなっちゃったな…。そろそろ帰ろう…」

阿部「あ、松坂くーん」

松坂「えっ? あっ、あんなところに…」


松坂「どうしたの?」

阿部「……何か、気になることがあって戻ってきたら走ってたからラッキーって思ってさ」

松坂「?」

阿部「さっきの、ノートの目標って、本気?」

松坂「……本気も、何も」

阿部「あんなに打ち込まれたのに、あんまり悔しそうに見えなかったし」

阿部「もしかしてだけどさ?」ジトッ

松坂「な、何か…?」

阿部「…………勝つ気、ない?」

松坂「え?」

阿部「本気でやってる?」

松坂「……ほ、本気のつもり…」

阿部「………あんまり、そう見えないんだよね」

阿部「俺は捕手だから、投手を輝かせてあげたいって気持ちはあるよ」

阿部「だけど最初からやる気のない投手を相手したって意味ないって思う」

阿部「だからさ…」

松坂「…」

阿部「………せいぜい、『足を引っ張らないように』しててね?」

阿部「それじゃ、また明日ね」



 下1 行動選択
 1 呼び止めて、本気のつもりと伝える
 2 何を言えばいいか分からない…
 3 リードに従って負けたのに偉そうなことを言うなんて…て、ぼそり



松坂「え、あ…」

阿部「ん? どうかした?」

松坂(どうかした、って…平然と言うけど…)

松坂(本気でやってるつもりだし…ちっとも悔しくなかったわけでもないし…)

阿部「…またね」

松坂「……また、明日…」


松坂「…」

松坂(何も、言えなかった…)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:103キロ
制球:E(43)
持久力:S(98)
カット:D(30)
チェンジアップ:D(30)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 (未定)



 下1 忘れかけてた変化球2ポイント分の割り振り

 2ポイントだけだし、ステの何に振ってもいいから指定してちょうだい
 2ポイントまるごと振っちゃうからね

カットボール


松坂(…………阿部くんに、嫌われたのかなあ、やっぱり…)

松坂(キャッチャーに嫌われちゃった投手って、どうすればいいんだろう…?)

松坂(…ちゃんと話せればいいけど……でも何をどう放せばいいんだろう…)

松坂「はあ…」

田中「よう、松坂! 練習しようぜ、練習! とりあえず柔軟とグラウンド5周からキャッチボールしてから開始だとさ!」

松坂「あ、うん」

田中「昨日打ち込まれたことなんざ忘れちまえよ!」

松坂(田中くん、いい人だ…)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:103キロ
制球:E(43)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(30)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 (未定)




長島「さて、では諸君。練習を始めよう」

長島「とは言え、まずは個々のレベルアップよりも、基礎体力作りを念頭に置こうと思う」

長島「また練習の様子を見ながらキャプテンを選ぼうと思っている。各自、つまらない練習だからと言って腐らずに励んでもらいたい」


松坂(キャプテンかあ…)

松坂(誰がふさわしいんだろう…?)



 下1 コンマ
 1~3 めちゃくちゃ走らされた…スタミナアップ(上限到達)
 4~6 きみはスタミナよりも使い物になる投手になろうね、ってニュアンスを言われた…
 7~9 きみはスタミナあるから別メニューしていいよって言われた


長島「あー、松坂。松坂」

松坂「は、はいっ…?」

長島「……お前のスタミナはすでに、見せてもらっている」

長島「だが、それを活かせるようになるのが先決であるとわたしは考えている」

松坂(活かせる、ように…?)

松坂(活かせてない→使い物にならない→ゴミ屑?)


松坂「……はい…」

長島「何故、そうもしゅんとする…?」

長島「まあいい。別メニューを与える」

松坂(使い物にならないばっかりに、別メニュー…!?)

長島「何故、そうもショックを受ける…?」

松坂「すみません…」

長島「…まあ、いい」



 ↓1 監督からの別メニューとは!?
 1~3 体幹鍛えなさいって…
 4~6 フォームチェックを自分なりにしてみなさいって
 7~9 下半身いぢめ


 0 コンマ判定
 偶数 マンツーマン指導!? ま、まさか…眠れる身体能力が引き出されて!? 監督ステキ!
 奇数 松坂のために阿部が動員されて…き、きまずい…!?

(さっさと友情イベしろと言うコンマ神の熱いアシストかな?)


松坂「そ、それで……何をすればいいんでしょう…?」

長島「やるべきことは多々ある、が…」

長島「………俺は選手の考えによく耳を貸そうと思っているタイプの監督だ。だからして」

松坂「はい…」

長島「阿部とともに、課題の洗い出しと、克服するためのトレーニングを考えてみろ」

松坂「!!?」



長島「――というわけで、頼むぞ」

阿部「はい、分かりました」

長島「ではな」


松坂「…」

松坂「……あの」

阿部「ま、確かに色々と課題はあるけど…何が一番の課題だと思う?」

松坂「課題…課題って言われても…」

松坂(やっぱり…遅いこと? 遅いんじゃ、変化球も使いづらいし…)

松坂(でも球速なんてそう簡単に上がるわけじゃないだろうから、まずはコントロールを磨いた方がいいのかな…?)

阿部「考えていいよー」

松坂(プレッシャー…!!)



 下1 何て言ってみよう
 1 球速…かな
 2 コントロールを良くすること…とか
 3 何からやるべきか教えてください…

1


松坂「球速…かな」

阿部「……ふぅーん?」

松坂(また出た、ふぅーん!)

松坂「……えっと…違う、のかな…?」

阿部「どうして球速?」

松坂「……ボールが遅いんじゃ、変化球も活きないし」

阿部「うんうん」

松坂「遅いボールなんて…打たれちゃうから…」

阿部「なるほどね」

阿部「分かった。じゃあ球速アップのトレーニングを考えようか」

松坂(あたり? 正解だったのかな…?)



 ↓1 コンマ 超有能捕手の実力!?+2
 1~3 はかどらない…
 4~6 とりあえず、このトレーニングをしてみようって方針を定めて実践してみた
 7~9 あれれー?

ファッ?!

あ、ちなみに補正での上限は9でお願いします…
0はぴったり0じゃなきゃダメってことで…後だしみたいでごめんなさい



阿部「とりあえず…このおっきな鏡を見て」

松坂「うん…?」

阿部「で、シャドウやってみよっか」

松坂「うん…」

 シュッ

阿部「…もっぺん」

 シュッ

松坂「これって…」

阿部「猿真似だから不格好かもだけど、久遠くんのフォームは……こうかな」

 シュッ

松坂「綺麗…」

阿部「で、松坂くんのフォームは…こういう感じ」

 シュッ

松坂「…きたない…」

阿部「その差だよね」

松坂「えっ?」

阿部「……フォーム、めちゃくちゃだよね、松坂くんって」

松坂「」

阿部「ってわけで、まずは松坂くんに合った理想的なフォーム探しをしてみようよ」

松坂「あ、うん…」


松坂(あれ、嫌われてないのかな…?)


松坂「あ、ところで…」

阿部「何?」

松坂「……左で投げる時もあるんだけど、どうすれば――」

阿部「左っ? え、何で?」

松坂「な、何でって…」

阿部「………え?」

松坂「右でも、投げるし…左でも……投げる、し…」

阿部「何それへんたい?」

松坂「」


阿部「見せて、見せて! 右と左で、フォーム違うの!?」

松坂「え、いや、うーん…?」

阿部「とりあえず見せて!」

松坂(急にグイグイきた…!?)



 下1 スイッチピッチャーについて…
 1~3 阿部「器用貧乏だね」
 4~6 阿部「変態だー!?」
 7~9 阿部「何これ超面白いんだけど」


 シュッ

阿部「変態だー!?」

松坂「変態じゃないです!?」

阿部「変態だよ、ド変態…キモいくらいの変態…うわあああ…」

松坂(すごいひかれた…!?)


阿部「しかも右投げと左投げでフォーム違うし…」

阿部「何これ、どうすればいいの?」

松坂「…」

阿部「…うーん」

阿部「……キモい」

松坂(2回も、キモいって言われた…)



阿部「……でも変態って、そそるよね」ニタリ

松坂「えっ…?」

阿部「イニングによって投げ替えれば、1人なのに敵打線を翻弄できるし…」

阿部「1人で2人分の投球の幅があるってことでしょ?」

阿部「スタミナだけは昨日の試合で折り紙付きって分かってるし…」

阿部「…………ねえ、例えばだけど、右でオーバースローと、左でサイドスローとか、そういうのもできちゃう?」

松坂「……や、やったことないけど…」

阿部「変態すぎだよ、ふひっ…」

松坂(怖い…)



 ↓1 そして気づけば…
 1~3 松坂くんが変態と部内で広まった…!?
 4~6 阿部くんの本性を見てしまった…
 7~9 あれ、阿部くんにものすごく興味持たれてるし…嫌われてないんじゃ…?



阿部「松坂くん、変態すぎるって…。フォーム違うのに、変化球は同じくらいの速度と変化量でしょ?」

阿部「うふっ、ふっふふふ…」

松坂(怖い…)

阿部「1人で2人分のピッチング…」

阿部「いや、打者ごとに替えられるんなら、相手打者の苦手な方で投げれば…」

阿部「嫌がることとか、し放題…?」

阿部「んぅっふふ…ふひひひひっ……」

松坂「あ、あの…阿部くん…?」

阿部「練習量2倍で、平気だよねー?」

松坂「えっ…?」

阿部「だって右と左、両方のフォームで練習しなきゃ意味ないし?」

阿部「でも松坂くん、スタミナだけなら余裕で久遠くんより上なんだし、そこしか現状勝ててないんだから、やるよね?」

松坂「あ、う、うん…?」

阿部「『足を引っ張らないように』がんばろうね?」

阿部「ノーコン、遅球のヘッポコピッチャーなら、最低限それくらいはしなきゃ、足引っ張っちゃうもんねー?」

松坂「笑顔が怖い、この人…!?」



 ↓1 今日最後のコンマ:結局球速は?

 フォーム見直しによって、とりあえずコンマ/2上昇しました


阿部「じゃ、今日はここまでねー」

松坂「す…スパルタ…」

阿部「何言ってるの、普通だよ?」

松坂「ええええ…?」

阿部「それに自分の練習しなきゃで、早めに切り上げたしね」

阿部「また明日ね、ド変態の松坂くん」

松坂「」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(43)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(30)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない



阿部「またねー、ド変態の松坂くーん!」

田中「ド変態!?」

佐野「ド変態…?」

久遠「……ド、変態?」

松坂「誤解! 誤解ですっ!」

夕実「……松坂くん…ド変態なんだ…?」

松坂「違いますっ!?」

田中「冗談だって、冗談! お前、そういうタイプじゃないもんな! せいぜいむっつり?」

佐野「ま、これがド変態なんて…そんな度胸はないじゃろのう…」

久遠「……で、何をすればド変態なんて言われるんだ?」

松坂「誤解なんです!!」

夕実「………し、信じてるね…?」

松坂「信じてください!」


長島(なるほど…。ド変態か…。迷惑をかけない範囲なら、悪いとは断じないぞ)

長島(それに阿部は、もしかすれば…控えめな上、皆と同じメニューをしなかった松坂が孤立しないようにというきっかけを作ったのかもしれん)

長島(いい捕手だ)


阿部(人をからかったりおちょくったりするの、リードで裏をかくくらい楽しいなあ…)ホクホク




今日はここまでっす
あざっした

おつおつ
きたい

みなさんこんばんは
始めようと思います



松坂(昨日、阿部くんと一緒に考えた――というより阿部くんに教わった…球速アップの方法は、自分に合った理想的なフォームを探すこと…)

松坂(その一環で鏡を見ながら、傍目に見ておかしいってところをどうにか意識して矯正して…)

松坂(……こう、かな)

 シュッ

松坂(違うと思う…)

松坂(こう…だったかな)

 シュッ

松坂(あれ、こんなだったっけ…?)

松坂(………答えが分からなくなってくる…)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(43)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(30)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 (未定)

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



長島「諸君、今日も良い日差しだ」

長島「さあ練習を始めよう。地獄の基礎体力作りだ!」


長島「あ、松坂は昨日に引き続き別メニューでいいぞ」

松坂「はい…」

松坂(……みんな、キツそうなトレーニングなのにいいのかな…? あとで恨まれたりしないかな…?)



 ↓1 別メニュー

 1 球速アップ練習(引き続き、理想的フォーム探し)
 2 制球アップ練習
 3 変化球磨き練習

3


松坂(とりあえず、フォーム探しと並行しながら変化球も磨きたいなあ…)

松坂(さらに遅くなるチェンジアップと、変化がほとんど分からないカットだけど…)

松坂「…練習しない分には、上達もしないしね…」

松坂(たかが知れると思うけど…)



 下1 変化球練習
 1 カットを磨きませう
 2 チェンジアップを磨きませう

 採用安価のコンマ判定
 コンマ一桁/2 上昇
 ※端数切り上げ

2

2



松坂「……きっと、無駄じゃないと思いたい…」

松坂「…きっと…多分…おそらく……」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(43)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(31)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 (未定)

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 コンマ

 1~3 佐野くんのポジを安価で決めるためのイベント
 4~6 実はあと1人…有力選手がいる?
 7~9 あ、久遠くんだ



佐野「ゼハァ…コヒュゥ…コヒュゥ…」

佐野「ど…んだけ……走らすんじゃ……あんの…監督、はぁ…」

田中「死ねるよなあ…。この休憩挟んだら、今度はサーキットだと…」グッタリ

久遠「…だが必要なことなら、やるだけだな」

阿部「佐野くん、パワーはあるのにスタミナないんだねー」

佐野「何で…ケロッと…しとるんじゃい……」

阿部「さあってと、屋根のあるブルペンにでも言って松坂くんの様子見てこよーっと」

久遠「俺も行こう」


田中「何で元気なんだ…あのバッテリー…?」

佐野「よっぽどあいつらの方が、変態じゃ…」

田中「たしかに。――って、あれ?」

佐野「ああん?」

田中「おーい、松坂ー!」

松坂「っ…あ、田中くん――と……」

佐野「何じゃいその顔はぁっ!?」

松坂「ひえええっ…!?」


佐野「おうこら松坂ぁ? てめえのう…」

松坂「ごめんなさいすみません申し訳ありません」

田中「すげえ、謝罪の三段活用」

佐野「ビクビクされっと目障りなんじゃ、分かるかあ?」

松坂「失礼いたしました心より深くお詫び申し上げます慙愧の念に堪えません…」

田中「何その小難しい三段活用!? それも謝罪!?」


佐野「ったく…久遠はともかく、こんなんしか他に投手がおらんとは…。こいつのバックを守るなんてできるんかのう、この調子で…」

田中「お、守ってやるつもり満々! 実は親分肌か、佐野!」

松坂「……ところで佐野くんって、守備位置どこだっけ?」

佐野「紅白戦覚えとらんかボケぇっ!?」

松坂「ご容赦くださいぃっ!?」

田中「色んな言葉知ってるなー、松坂…」



 下1 ってことで、佐野くんのポジ

 投・捕・二 以外をおすすめ

DH



佐野「サードじゃ、サード!」

松坂「……右投げの時、1番目につくところ…」ブルッ

佐野「何をぼそっというた?」

松坂「イエナニモ…」

田中「誤摩化すのへたくそだな」

佐野「試合中にヘマぁこいたら眼力だけで殺しちゃるぞ、覚悟しとけぇっ!』

松坂「はいぃっ!」

佐野「ふんっ…」


田中「…何だかんだ、面倒見いいのかもなー、佐野」

松坂「ええ…どこが…?」

田中「ま、その点、俺は女の子限定だけどなー。夕実ちゅわーん! 俺、何か手伝おっか~!?」ダダッ

松坂「……この部、まともな人がいるのかな…?」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(43)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(31)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 三塁手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



長島「よしっ、本日の練習はここまでとする!」

長島「全員、道草はほどほどにして帰るように! 解散!」


松坂(今日も残って練習していこうかな…?)


 下1 部活後…

 1 みんなと一緒に下校
 2 誰かと一緒に帰ろうかな 相手も記載してね
 3 居残って練習してみよう

2種田



松坂「ふぅ…着替えてたら、誰もいなくなっちゃった…」

松坂「ま、いっか…。帰ろう、っと…」

 スタスタ…

松坂「ん…? グラウンドに、誰か…?」ジィッ

松坂「……」ジィィッ


松坂「……種田、さん?」

松坂「どうしたんだろう…?」タッタッタ


松坂「あ、あの…どうか、したの?」

夕実「うぇっ? あ、松坂くん…もう、暗がりから声かけないでよ、ビックリしちゃうから」

松坂「ごめん…」

夕実「何か、ボールが1つ足りなくって…。まだどれも新品だし、もったいないから探してたんだけど…」

松坂「ボール? ……じゃ、じゃあ、一緒に探すよ」

夕実「いいのっ? ありがとう、松坂くんっ」

松坂「どういたしまして…」

松坂(かわいい…)




夕実「あったー!」

松坂「あんまり時間かからなくて良かったね…」

夕実「うん。それにほら、まだこれピカピカに近いよ。こんなのなくしてたらダメだね」

松坂「そ、そうだね…」

夕実「それじゃ、片づけてくるから!」

松坂「うん――うん?」

松坂(片づけてくるから? …片づけてくるから……何? ……まさか?)


夕実「お待たせっ、じゃ、一緒に帰ろっか? 折角だし」

松坂「う、うん」



 下1 コンマ判定

 1~3 尚、女の子と上手に話せない松坂くんだった…
 4~6 明るい夕実に話しかけられまくって楽しい時間でした
 7~9 何で野球を始めたの? って話題になった

ほい


夕実「んんーっ、一仕事終えた後のアイスは格別ですな!」

松坂「おいしいね」

夕実「ところでさ、松坂くんってどうして野球始めたの?」

松坂「えっ…?」

夕実「あたしはね、ちっちゃい時に見た甲子園の試合!」

夕実「内容とかもう忘れちゃったけど、すごく熱い戦いだったのは覚えてて…テレビの前で一喜一憂しちゃって」

夕実「それから毎年、見てる内に…一番近くで見ていたいなーって思って、マネージャーになっちゃった」

夕実「松坂くんは?」

松坂「……きっかけ…かあ…」



 下1 松坂くんの野球の原点とは!?

 1 何となく、野球が周囲で人気だったから始めて…今に至る
 2 家族が野球好きでね…その影響かな
 3 一身に歓声を浴びて輝く球児に憧れて…
 4 その他



夕実「うん。何?」

松坂「……家族が、野球が好きだからその影響かな」

松坂「物心ついた時にはキャッチボールさせられて…少年野球チームに入れられてて…」

松坂「そのまま、何となく…?」

夕実「ふうん…」

松坂「ありきたりでごめんね…」

夕実「そんなことないよ。いいと思うよ、そういうの」

松坂(……かわいい…)


夕実「あ、道こっちだから! それじゃあね、松坂くん!」

松坂「あ、うん…」

夕実「またねー」

松坂「ま、またね」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(43)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(31)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 三塁手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



長島「諸君、今日もいい快晴だ! さあ、地獄のような苦しみで汗を流そう!」

長島「走れ」

松坂「監督…今日も――」

長島「うむ。別メニューだ」

松坂「…はい」

長島「励めよ、青少年!」



 下1 練習だぜ!

 1 球速アップ練習:フォーム研究
 2 制球アップ練習
 3 変化球磨き練習

2


松坂「コントロールが悪いんじゃ、どんなに速くても意味ないし…」

松坂「がんばってちょっとでも制球力をつけないと…」

松坂「……足引っ張らないように…」


松坂「……がんばろう…」

 シュッ
 バガンッ

松坂「…………狙ったのと全然違うところにいく…」


 下1 コンマ

 コンマ一桁/2 上昇



松坂「…うーん…」

松坂(でも…一朝一夕で上達するはずもないし…)

松坂(こんなもんだよね…うん…)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(46)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(31)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 三塁手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ




 下1 コンマ:イベ!

 1~3 そろそろ5人目出ましょうや…
 4~6 田中がボールに触れない練習で欲求不満らしく?
 7~9 久遠くん

はい


 ムリして悪いイベント用意することもないよね

 下1 0判定
 偶数 阿部との友情イベやろうか
 奇数 佐野との友情イベやろうか



松坂「今日も…着替えてたらぼっちになってた…」

松坂(何か、さみしい…)

松坂「でもしょうがないよね…」

松坂(………種田さんも、今日はもう帰っちゃってるのか…)

松坂(帰ろう…)


 ブンッ…
 ブンッ…

松坂「ん…? 何か音がする…」スタスタ


 ブォンッ…
 ブオンッ

佐野「ふぅーっ…ふぅーっ…」

佐野「もう100本…!」ブオンッ

松坂(佐野くんが、素振りしてる…。あれ? でも、けっこう前に上がってたような…?)

松坂(あれからずっと…もしかして、素振りしてたの?)


佐野「誰かおるんか?」

松坂「」ビクゥッ

佐野「……何じゃ、もしや…」ザッザッ

松坂(ち、近づいてきたあっ!?)


佐野「野良犬か野良猫か? ほぉーれ、よちよち、こっち来い…よーしよし、怖くないぞ――」

松坂「」

佐野「」


佐野「………おんどりゃあああああ!? 紛らわしいことすんなあああああ!」

松坂「何でぇっ!?」



 下1 行動選択

 1 誰にも何も言わないから許してくれめんす…
 2 強引に話題をそらしてみる
 3 ………動物、好きなんですか…? かわいいところあるんですね…

3


佐野「…………」

松坂「…………」


松坂(どうしよう…見ちゃいけないところを目撃しちゃった…)

松坂(しかも何故か、すぐに逃げられなかった…!!)


松坂「…………」チラッ

佐野「…………」

松坂(表情から読み取れない…!!)


松坂「……あ、あの…」

佐野「ああん?」ゴゴゴ

松坂(威圧感すごい…!)

松坂「………動物、好きなんですか…?」

松坂「か、かわいいところ、あるんですね……?」

佐野「ワシがかわいいもん好きで悪いっちゅうことか? おおん?」

松坂「め、めめめめっ滅相もないですっ!」

佐野「…」

松坂「…」

松坂(怒らせちゃった…! 試合中、右投げだったらずっと目についちゃうサードの人を…! どうしよう…)


佐野「……ワシゃのう…」

松坂「え、はい…?」

佐野「……………新摂へ来るために田舎から出てきたんじゃ」

松坂「えっ…?」

佐野「何が何でも結果を残す。でもってプロへ行く。それがワシの目標じゃ」

佐野「そんために、今は野球だけに取り組む。そう誓っとるんじゃい」

松坂「…」

佐野「…………だから、お前みたいなんがおるんは邪魔じゃ」

松坂「」


佐野「ええか、松坂ぁ…」

佐野「遊び半分で野球やっとんのちゃう」

佐野「人生懸けてやっとるんじゃ」

松坂「……っ」ゴクリ



 下1 コンマ

 1~3 佐野「もう二度と紛らわしいことすんな、ボケが。かわいいもん見たらバットが鈍るんじゃ、肝に銘じろ」
 4~6 佐野「………じゃが、たまには…触れ合いたい気持ちもある…。たまにじゃ…たまにな…?」
 7~9 佐野「お前みたいなんがおれば、ワシゃあ、自分のことそっちのけであれこれ言いたくなるんじゃ」



 明日早いんでキリ悪いけど今日はここまで
 あざっした

おつ

みなさんこんばんは
そろそろ始まります


佐野「もう二度と紛らわしいことすんな、ボケが」

佐野「かわいいもん見たらバットが鈍るんじゃ、肝に銘じろ」

松坂(すごい横暴…ジャ○アン気質…?)


佐野「分かったら退いてろ」

佐野「ワシゃあと100本残っとるんじゃ!」

松坂「は、はい…」


松坂(1日、どれだけ素振りをしてるんだろう…?)

松坂(それに…)


佐野『遊び半分で野球やっとんのちゃう』

佐野『人生懸けてやっとるんじゃ』


松坂(思ってる以上に、想像以上にみんな――)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(46)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(31)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 三塁手 ★☆☆

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



長島「走れ」

田中「鬼…」

佐野「畜生じゃ…」

阿部「まあまあ」

久遠「走ろう」

田中「って久遠、俺の先を走るなー!」


松坂(何だか…みんな、仲良くなってるような…? 気のせい…だよね?)



 下1 練習

 1 球速
 2 制球
 3 変化球


松坂「コントロール…」

松坂「今日の課題は、制球」

松坂「…」

 シュッ
 ボガンッ

松坂「また、逆球…」



 下1 コンマ

 コンマ一桁/2 制球力上昇


松坂「うーん…」

松坂「……ちょっとは、良くなってるんだろうか…?」


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(49)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(31)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 三塁手 ★☆☆

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 松坂練習中

 1~3 特に何も起こらず
 4~6 他の選手が走ってばっかじゃフラストレーション溜まるだろうからって?
 7~9 阿部&久遠も今日から地獄の基礎作り脱出らしい



田中「だはー…今日も、足パンパンだし…死ねるわ…」

佐野「こんだけ走ってどうなるっちゅうんじゃ…。バット振った方がなんぼもマシじゃ」

田中「分かる! でもずっとバット振ってろとか言われるのもヤダな」

久遠「俺はずっと投げてろって言われると嬉しいな」

阿部「肩壊すからやめようね」

田中「おっ、すっかり女房役じゃんか」

久遠「モテてすまんな…」

佐野「こいつは天然なんか?」

阿部「そうじゃなかったら、なかなかキモいね」

松坂(みんな楽しそう…)



 下1 部活後

 1 誰かと帰ろう
 2 居残り練習しよう
 3 …佐野は、今日も素振りしてから帰るんだろうか…?


松坂(よしっ…今日はちゃんと、皆と同じくらいに着替え終わった!)

松坂(誰かといっしょに、帰りたい…!)


田中「んでさー」

阿部「へえー」

佐野「アホか、お前は!?」

久遠「いや、どちらかと言えばアホよりはバカだろうな」

佐野「どっちでもええ!」


松坂(何だか割り込みにくい空気…!)



 下1 コンマ

 1~3 佐野イベ・つづき
 4~6 5人目の主要選手登場しようよ
 7~9 阿部くんとコミュっといた方がええんちゃうかなとおもいます

うりゃ


佐野「ほいじゃの」

久遠「ん? 帰らないのか?」

佐野「放っとけ!」

久遠「ああ、じゃあな」

佐野「ふんっ…」

松坂(あ…今日も佐野くん、素振りしてから帰るんだ…)

松坂(……ちょっとだけ見ていこうかな…)



 ブォンッ…
 ブオンッ

佐野「ふぅー…」

佐野「……くっ、まだまだじゃの…」

佐野「クソっ…!」

 ブオンッ

松坂(…やっぱり今日も素振りしてるけど……満足してないのか)

松坂(あんまり覗き見てるのも趣味が悪いだろうし…大人しく帰ろ――)

 ガサッ

松坂「あっ…」


佐野「っ――まぁたお前か、松坂あああああっ!?」

松坂「うひぃぃっ!?」

佐野「言うたはずじゃのう、二度と紛らわしいことをすんなってえ!」



 下1 コンマ

 1~3 おこられた…佐野っち怖いよ
 4~6 ガサッ て音は松坂じゃないんだよ、久遠なんだよ!
 7~9 ガサッ て音は松坂じゃないんだよ、本物の野良猫だったんだよ!

コンマ辛い……



佐野「ガミガミクドクドガミガミガミガミガミ!!!!!」

松坂「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

佐野「ふんっ、これくらいにしたるわ!」

松坂(どれだけ怒られてたんだろう……1時間くらいは怒られてたような…)


佐野「ったく邪魔ぁしたいんか、お前は?」

松坂「めめめっそ、滅相もないです」

佐野「ったく…ん? 何じゃ、もうこんな時間か…」

松坂(意外! 腕時計!)

佐野「……アカン、スーパーの惣菜コーナーにひなびたポテトしか並ばなくなる…!」

松坂「え?」

佐野「何じゃ文句あんのかボケぇっ!!」

松坂「何もないですっ!!!」


佐野「ふんっ…素振りもできんかったわ…。ほんじゃな!」

松坂「…」

松坂(そう言えば…今、佐野くんって1人暮らししてる、の…? この学校に来るために…?)



 下1 行動選択

 1 良かったら松坂家で夕ご飯食べてく? って
 2 良かったら一緒に帰りませんか?(当初の目的…
 3 さ、さようなら…また明日…



松坂「あ、あの……佐野くん」

佐野「ああん?」ゴゴゴ

松坂(威圧感すごい…!)

松坂「よ、良かったら…その……い、一緒に帰らない……かなあ、なんて…?」

佐野「……………ふんっ、ついてきたきゃあくればええだけじゃろうが」

松坂「はい…」

松坂(………あれ? これって?)

佐野「何じゃ、置いてかれたいんかっ!?」

松坂「あ、い、今行く…行きます!」

佐野「何で敬語じゃ!」

松坂「うぇぇっ…」



 下1 コンマ

 1~3 それじゃあまた明日って…何もなかった
 4~6 スーパーの買物に何故かつきあって…?
 7~9 帰り道、野良の子猫がみーみーと鳴いていた。

ねこ



佐野「何じゃ、そっちか」

松坂「え、うん…」

佐野「ワシゃこっちじゃ。またの」

松坂「うん…。また、明日…」

佐野「ふんっ…」

松坂(て言うか……割と、学校から近いところに住んでる…のかな?)

松坂(だから遅くまで素振りできるのかも…)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(49)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(31)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 三塁手 ★☆☆

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ




 下1 コンマ

 1~3 最後の主要1人出てや…
 4~6 れ、練習試合…?
 7~9 土日に発足したての野球部の親睦会をやるだと…?

どうだ



長島「諸君、土日の予定を発表しよう!」

田中「おおっ、練習試合!? 練習試合っすか!?」

長島「違うぞ」

田中「はあ…」グッタリ

松坂「露骨…」

阿部「気持ちは分かんないでもないけどね」

久遠「監督、練習試合でなければ朝から晩まで練習ですか?」

長島「違うぞ」

佐野「ちゃうんかい…」


長島「今度の土日は発足したての新摂野球部で親睦会を行うつもりだ」

松永(親睦、会…?)

長島「色々と催しを考えている最中だ。小難しいことは考えず、全員参加をしてもらう」

田中「っす!」

阿部「催し…かあ…」

長島「――尚、1泊2日の日程を予定している」

選手達『え?』

長島「詳しくは、このプリントへ目を通すように! 種田、配ってくれ」

夕実「はーい。どうぞ~」

松坂「ありがとう…」ピラッ

松坂(なになに…持ち物は、服装は動きやすいもの…寝間着…タオル…)

田中「何か遠足みてえwwwww」

松坂(分かる…)


長島「以上、楽しみにしているように!」

松坂(宿泊先は……学校? 泊まれるところ、あったんだ…)



 下1 行動選択

 1 おやつは1人500円以内だって! みんな、何買うの?
 2 一応、練習できるように野球道具を持ってきた方がいいのかな?
 3 …………もしや、夕実も、一泊するんだろうか…? ごくり…


松坂「……おやつは、1人500円以内?」

田中「それな!」

松坂「うわっ…ビックリした」

田中「これは、あれだよな。他人と被らない方がいい」

松坂「え、何で…?」

田中「考えてみろよ。俺がポテチのコンソメ持ってくだろ? で、お前もポテチのコンソメだった。そんな場面」

松坂「う、うん…? うん…」

田中「『おーい松坂ー、おやつ、一緒に広げてつまみっこしようぜー』『いいよー』『俺、コンソメ!』『ええっ、こっちもコンソメ!』……てことになったら、どうよ?」

松坂「何その小芝居面白い」

田中「そっちじゃない。どうよ?」

松坂「うん…ちょっとこう、残念になる…」

田中「だろっ!? だからな、こういうのは相談がいる」

松坂「な、なるほど…」

田中「てわけで、おやつ同盟を組もう、松坂」

松坂「お、おやつ…同盟?」

田中「そう。おやつをシェアして有意義なおやつタイムにしようぜ、って同盟だ。参加条件は、おやつをシェアすることに抵抗のないやつ」

松坂「ゆるい…」


田中「さて…おやつ同盟に誰を誘うか…」

松坂「誰を…って、選ぶの…?」

田中「だあってよ、つまんねーのを持ってくるやつだったらどうする? しみったれたおかきとか」

松坂「………確かに、ちょっと…」

田中「だろっ? だから、センスの良さげなのを選ばねえと…さて、誰にするか……」



 下1 誰をおやつ同盟に誘おう…

 1 阿部
 2 久遠
 3 佐野
 4 5人目…

4



田中「んー…」

松坂「…」

松坂(正直…誰を選ぶとか……そういう、偉そうなのできない自分がいる…)

田中「…阿部は意外と、渋そうだし…もしくは意味不明のもん用意してきそう…」

松坂(田中くん…阿部くんのことを…)

田中「……久遠もけっこう天然だからな…ネタ抜きで、ネタみたいなもんしか持ってこなさそう…」

松坂(田中くん…久遠くんのことも…)

田中「佐野は…………んなもん興味あるか、とか断りそう」

松坂(分かる…)


田中「あっ。あいつはどうだ?」

松坂「あいつ…?」

田中「ほら、あそこの」

松坂「ああ…話したことはないけど…」

田中「ちょっと声かけてくるわ!」

松坂(コミュ強)



 ↓1 いよいよ登場、主要選手最後の1人

 お名前 + 守備位置 をセットでお願いします

中井 薫 外野手(センター)


田中「おーい、中井!」

中井「おう、どうした?」

田中「実はな、俺と松坂でおやつ同盟を結んだんだ」

中井「おやつ…同盟?」

田中「そこで、お前も同盟に入らないか?」

中井「………よく分かんないけど、分かった」

田中「さすが、中がつくやつは違うな!!」

中井「一緒にされたくは、ないな…。お前と」

田中「何をぅっ!?」

松坂(………この野球部にまともそうな人がいたなんて…)


中井「松坂、よろしくな」ニコッ

松坂「よ、よろしく…」

中井「緊張するなって。チームメイトだろ?」ニカッ

松坂(爽やかだ!!)

田中「このイケメンがっ! 死ねっ!!!」

中井「ははは、イケメンは否定しないけど死なぬ」

田中「何をぅっ!」

中井「で、おやつ同盟って何するんだ?」


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(49)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(31)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(84)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 そして親睦会当日!!

 1 何でサッカー!?
 2 フライキャッチ競技会て何!?
 3 バスで移動!? かと思ったら、ハイキングてマジすか




 次回、親睦会。

 今夜はここまでー
 あざっしたー


安価は3

乙、なんかすごい既視感のある書き方だな。前にもなんか書いてた?

おうおつ

そこは掘り返してやるな
しかし参加しやすいからこの形式の安価は良いね

>>208 初めてのスレ立てではないとだけ…

しばしの後に始まります


長島「おはよう、松坂! 早速だが、このバスに乗りたまえ!」

松坂「お、おはよう、ございます…」

松坂(学校に来たら校門にバスが横付けされて監督が仁王立ちしてた…)

長島「バスの座席表を間違わないように」

松坂「はい…」

松坂(座席表、座席表……あ、1番後ろの並びの真ん中だ――って、何この面子…?)

 座席表
 阿 田 松 久 佐 中
 部 中 坂 遠 野 井

松坂(………混沌…)



田中「よぉーっす! 松坂、遅かったな!」

阿部「おはよ」

久遠「顔を引きつらせてどうかしたのか?」

佐野「ふんっ…」

中井「おっす」

松坂「……おはよう…」

松坂(何でみんな、そんなに早いの…?)




長島「――それでは出発! 諸君、改めておはよう!」

 『おはざーっす』

長島「目的地は秘密とだけ言っておくが、1時間ほどかかる距離だ」

長島「今日は親睦を深めることを目的としているので、どれだけハメを外しても構わん! ただし他人様に迷惑はかけるな!」

長島「さて、まだまだ朝でテンションが低いであろう諸君らのために、早速、楽しんでもらえるようにと用意したものを使わせよう」

松坂(何か言い回しが長い…)

長島「カラオケだ! さあ、我こそはと思う者から名乗りを上げろ!」

田中「はい! 俺! 俺、俺、俺いっちばーん!」

長島「よし、田中! 歌え! マイクはカーテンの陰にかくれている!」

田中「六甲おろし、歌います!」

松坂(本当に何この状況…?)


 下1 ハイキングに際して…

 1 3人一組だとう? ※主要選手の中から、こいつとこいつがいい、があれば併記おk
 2 のんびりマイペースにいこう
 3 先頭らへんを歩こう


長島「では、ハイキングスタートだ。きちんと整備された道を歩くように。すれ違った方とは元気な挨拶を交わすのがマナーだ」

田中「何でハイキングぅ? テンション上がっちゃうけどさあ! いえーい、俺、いっちばーん!」ダダダッ

佐野「アホか、あれは…」

久遠「1番は譲らん…!」ダダダッ

佐野「アホじゃな、あれは」

阿部「少なくとも久遠くんは、アホだね、天然物の」

松坂(元気だなあ…)


 スタスタ…

松坂(何か…大自然の中、って感じ…)

松坂(意外と静かだし…あったかいし、空気も綺麗な気がする…)

松坂(意外といいなあ、こういうの…)



 下1 コンマ

 1~3 のんびり歩いてたら、最後尾を歩いてた監督に捕まった…話し相手にさせられた
 4~6 途中でバテたらしい田中と久遠…
 7~9 気づけば阿部くんと中井くん…



阿部「長島監督ってさ」

中井「ん?」

松坂(あれ…?)

阿部「雇われ監督なんだって」

中井「へー。でも、責任教師? 部長っての? 会ったことないよな」

松坂(いつの間にか…この2人と同じペースに…)

阿部「雇われってことは、俺達の練習以外の時間は別のことしてるんだと思うけど…何してるんだろうね」

中井「会社員…には見えないな」

阿部「松坂くんはどう思う?」

松坂「え? あー……うーん…仕事してるイメージが、ない…?」

阿部「だよね…。てことは専業で高校野球の監督ができるくらい、実績とかがあるのかな…? うーん…」

中井「変なとこ気にするんだな、阿部って」

阿部「気にならない?」

中井「だっていい大人だろう?」

阿部「まあねー…そうなんだけどね…」


阿部「あ、ところで松坂くん、フォームの方はどう?」

松坂「うぇっ?」

阿部「何かこう…定まってきた?」

松坂(………正直、そんなにちゃんとやってなかったというか、別の練習にかまけてたというか…)

松坂(何て言おう…?)


 下1 何て言おう

 1 正直に…あんまり、って
 2 何だか考えてもよく分からなくってー…あははー
 3 ば、ばっちりにきまってるじゃないカァー


松坂「……正直、あんまり…」

松坂「やってないというか…他のこと、してたというか…」

阿部「だろうと思った」

松坂(嘘つかなくて良かったー!)


阿部「けど、あんまりマイペースすぎちゃうと新摂の投手は、久遠だけ――って思われちゃうから気をつけてね」

松坂「うん…」

中井「フォームって何の話だ?」

阿部「かくしかでね」

中井「へえ、両投…へえー、ド変態だな」

阿部「でしょ?」

松坂「そんなこと言われても…」


中井「けど面白そうだな。実際に打者を立たせて練習したいとかあったら言ってくれよ。協力するぜ」

松坂「中井くん…」

阿部「甘やかさなくていいよ?」

松坂「」

中井「阿部って意外とキツいのな」

阿部「キツくないって、全然! もっと性格キツい捕手なんて腐るほどいると思うよ」

松坂(そう…なのかなあ…?)



 ↓1 ハイキング締めくくりのおやつタイム…!

 1 誰だ、おやつの持参のはずなのにグライダーとか持ってきちゃうのは! 遊ぶしかないだろう!
 2 おやつ同盟の時間なのだよー!
 3 気持ちのいい景色を眺めながらクッキーをサクッと…ふっ……て悦にひたる

1


 シュッ

田中「おおーっ!?」

中井「ん?」

松坂「何か飛んだ?」


田中「あ、あれは…懐かしのソフトグライダー!!」

松坂「ああー…ゴムで飛ばすやつ…」

中井「おやつじゃないのか?」

松坂「誰が持って来たの…?」


久遠「俺だ」

佐野「アホ」

阿部「バカ」

田中「はっはっは、最高www 久遠最高wwww」

中井「よっし、遊ぶか!」

久遠「ああ、遊ぼう」

田中「松坂もやろうぜ」

松坂「えっ……う、うん」



 下1 コンマ

 1~3 走力が5上がった
 4~6 守備が2上がった
 7~9 制球が3上がった


田中「へいへい、そっち行ったぜ!」

中井「ナイスパース! 次、松坂!」

松坂「あ、うんっ……よっ!」

久遠「……上手いな」

松坂「え、あ、ありがとう…」

中井「そう言えばフィールディングはすごかったよな、松坂」

田中「へいへい、パス、パース!!」

松坂(て言うか、これって……こんな、キャッチボールみたいな遊び方だっけ…?)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(49)
持久力:S(98)
カット:D(32)
チェンジアップ:D(31)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



田中「いやー、ソフトグライダー楽しかったな!」

中井「はしゃぎすぎだろ、お前」

久遠「俺の方が速く飛ばせたな。俺の勝ちだ」

松坂「ソフトグライダーで勝ち誇られても…」

久遠「守備で負けても他は負けんぞ」キリッ

松坂「あ、はい…」

松坂(久遠くんて……負けず嫌い…)


 下1 そして帰りのバスの中…

 1 トランプしようぜ、トランプ!
 2 阿部くんと、久遠くんも交えて投球フォームのお話
 3 意外と疲れ果てて静まった…大人しくしてよう



長島「では出発!」

長島「さて諸君――む…。何だもう疲れたのか、だらしのない」

松坂(けっこう勾配あったりするハイキングだったし…何故かソフトグライダーで盛り上がっちゃったし…)

松坂(朝もちょっと早かったし…眠い……)

長島「……ではいいか」

松坂(監督やさしい…)


田中「んぅ…むにゃ……うぇへへ……先頭打者…ホームラン…」

松坂「先頭打者ホームランの夢…?」

久遠「Zzz」

松坂(久遠くんも寝てた…)


松坂(両隣が寝てたんじゃ…大人しくするしかないよね…)

松坂(…………正直まだ、ちょっと眠たいだけでそこまで疲れてもないけど…)←スタミナ:S



 下1 何やかんやで、夜…

 1 なにぃーっ!? 夕食は自分達で作れだとぉー!?
 2 なにぃーっ!? 夕食のおかず争奪宝探しゲームだとぉー!?
 3 なにぃーっ!? 特に何もないだと? まったりしろと?

2


監督「諸君、そろそろ夕食の時間だ」

監督「しかしこの人数で外食するのも現実的ではなく、昼の弁当代で予算は潰れた」

松坂「えっ…」

監督「だがアスリートにとって、肉体を作る食事は欠かすことのできないものだ。よって、諸君らの手で作ってもらう」

監督「わたしは諸君が作ってくれたものを食べた上で、もっともうまいと思ったものには褒美を出そう」

田中「褒美だと?」

中井「燃えるな」

阿部「料理か…」

佐野「んなもんできるか…」

久遠「ふむ…」

松坂(ご褒美…監督の…?)

監督「個人で作るも良し! 協力して作りあげるも良し! 米だけはある! 各自、おかずになりそうなものを予算600円以内で作り上げよ!」

監督「種田、金を配ってくれ。レシートとともに釣り銭は回収するからちょろまかそうという気は起こさぬように。高校生を相手に横領だとは糾弾したくない」


松坂(しかも予算600円て…。うーん…)

松坂(どうしよう…?)



 下1 どうしよう?

 1 600円でがんばって作ってみよう… ※作りたいメニューを併記してもいいよ
 2 誰かと協力すれば予算は増える… ※協力したい主要選手を併記していいよ(何人でも
 3 別に褒美なんてもらえないだろうし…お惣菜とか買えばいいかな…

2
名前あり全員で


田中「600円な…。600円じゃ、ちと贅沢は難しそうだよな。な、松坂」

松坂「え? うん…そうだよね…」

田中「……よし、こういう時は頭数を増やして贅沢にいこうぜ!」

田中「ってわけで、お前ら! 同じ考えのやつ、この指とーまれ!」

松坂(この指とまれって懐かしい)


 下1 何人集まったかな

 1~3 田中と久遠と阿部
 4~6 上+佐野
 7~9 上+中井
  0  まさかの田中と2人だけ…

集まれぇ!


阿部「乗った」

中井「そうだな。頭数は多い方がいい」

佐野「…ワシゃ、金出すだけじゃ。料理なんぞできんからのう」

久遠「任せておけ」キリッ

田中「逆に怖いな、お前…」

松坂(こんなに集まった…。えーと、これで…6人×600円だから…3600円?)

阿部「3600円あれば、6人分だとしてもそれなりのができるんじゃない?」

中井「うん、いけると思う」

久遠「買い出しに行こう」

田中「何か楽しいな、こういうの!」



 下1 6人合作!!

 1~3 尚、料理下手が多すぎた模様…
 4~6 ああ…足を引っ張るやつらが…
 7~9 この中に1人、ガチな料理上手がいた!


中井「よし、じゃあ…無難に、和食でまとめていこう。和食と言えば、何がいいか…」

佐野「卵焼き」

阿部「肉じゃが」

田中「カレー!!」

久遠「小松菜のおひたし」

松坂「………シャケ?」

中井「………カレールゥは買ってないから、それ以外でいこう。ついでにみそ汁」

阿部「もしかして中井くんて、料理上手?」

中井「趣味だよ、趣味」

佐野「ほおう、そりゃええのう」

松坂(何か期待できそう…)




松坂(――だったのに…)

中井「ああああああああっ! もうやってられるか、好きにしろ! そんなにマズい飯が食いたければそうしろ、俺はもうどうでもいい!!」

松坂(中井くんがキレた…)

阿部「だって栄養は大事なんだし…ほら、レバーは鉄分豊富で、ビタミンAも取れるから。それに食物繊維が豊富な寒天とピーマンぶち込んで…」

田中「ジャンキーなもんほどうまいし? うまいもんはジャンキーなんだし? 味が濃い方がうまいし?」

田中「だからほら、あるじゃん、ジャガリコでポテトグラタンみたいな。その要領でポテチぶっ込んでりゃ大丈夫だって。意外と。意外とな、なっ?」

久遠「………シャケを焼きすぎたな。黒い」

松坂(どうしてこうなった…)

佐野「こりゃ食えるもんは出てこんのう…」

松坂(主張が激しすぎた一部の人達…)


 下1 監督の感想は? 失敗:-2

 1~3 見た目だけでお腹いっぱいて逃げられた
 4~6 ド直球な感想いただきました…
 7~9 監督…

いけー


 0 コンマ判定

 偶数 ダメだこれ…て皆で悟り、始めからがんばってやり直したよ
 奇数 この人達チームプレーっていうものに向いてないんじゃ疑惑…

えい


阿部「…」

田中「…」

久遠「…」

松坂「…」

佐野「…っ」


佐野「何じゃこの生ゴミはあっ!?」

松坂(ですよねー)

佐野「お前らがやいのやいの、好き勝手にやらかすからこんな惨事になるんじゃ! ワシゃ、最初に金出すだけじゃ言うたがのう、お前らそれ以下じゃ!」

佐野「料理できそうじゃった中井を差し置いて暴走するからこういうことになるんじゃ、ボケがっ!」

阿部「だって栄養が…」

田中「まともに料理なんてしたことねーしぃ?」

久遠「俺は見ていてくれと頼まれただけだが…」

佐野「言い訳すんなや! 全員、中井にスライディング土下座でもして、まともなもん作らせろ! ドアホどもが!!」

松坂(佐野くん、ビシっと言うなあ…)



阿部「すみませんでした…」

田中「俺達が悪かったです」

久遠「いや俺は――」

阿部「しっ」

田中「だから残った食材でどうにかお願いします、中井先生…」

中井「………………口出し、すんなよ? 言われたことだけ、しろよ? 特に阿部と田中」

阿部「………はあーい」

田中「ういーっす…」


中井「ったく……残った食材で何ができるか考えるか…」

松坂「ご、ごめんね…。何か、暴走を止められなくて…」

中井「いいよ、お前は…。何かおろおろしてただけだったし…」



 下1 こうして協力して、無事に夕食を作り上げることができましたとさ…

 1~3 尚、監督のご褒美は夕実のものになった…
 4~6 監督にご褒美として、アイスをもらった
 7~9 何だか皆との仲が深まった気がした



長島「ほう…! このチャーハンはうまいな」

久遠「言うなれば残飯チャーハンです」

長島「残…?」

佐野「お前が言うな!」

長島「とにかく、お前たちに褒美をやろう。褒美は、アイスだ!!」

松坂「アイスか…」

阿部「なーんだ」

田中「よっしゃ、アイスゲーット!!」

久遠「バニラはありますか?」

長島「あるぞ」

久遠「っし…!」グッ

佐野「ガッツポーズするほどのもんかい…」

中井「まあ、こんなもんだな」



 下1 ご褒美アイス

 1~3 何故か変化球が3ずつ上昇(細かいことは気にするな
 4~6 何故か制球が3上昇
 7~9 何故か球速が3上昇
  0 投手能力が全て2ずつ上昇


 今夜はここまで!
 ありがとうございました


阿部君もやっぱり天然かw

おつ

はじめまして!
なかなか面白いですね!
今夜楽しみにしてます!

ごはんを食べたら始めるのじゃよ…



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(49)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(40)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
阿部 博 捕手
佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ


松坂「レモンアイスおいしい…」

久遠「バニラもいいぞ」

阿部「ソーダだね」

田中「いや、チョコチップミントもいいぞ! たまに、に限るけどな!」

中井「俺はチョコとバニラのミックスソフトクリームが好きかな」

佐野「…」

阿部「佐野くんは?」

佐野「ワシゃアイスは抹茶じゃ」

田中「女子かよ」

久遠「女子だな」

佐野「じゃかしいわ! アイスごときではしゃげるお前らはガキそのものじゃ!」



 下1 そして夜も更け…

 1 好きな女の子の言いっこしよーぜ! by田中
 2 気づけば宿舎から、人が消えていっている…?
 3 枕投げしよーぜ、枕投げ! by田中

3


阿部「学校の敷地内にこんな立派な宿舎あるなんてね…。軽く旅館だよね」

佐野「何でお前らと同室で寝なくちゃいけないんじゃ…」

中井「そう言うなって」

久遠「空気が読めてないぞ、佐野」

佐野「お前に言われとうないわ!」

田中「なあ松坂…」

松坂「何?」

田中「やっぱこう…このシチュエーションは、あれだよな」

松坂「?」

田中「ピッチャー振りかぶって…」ムンズッ ←枕掴んだ

松坂(読めた――)

田中「投げたぁー!」ブンッ

佐野「何じゃ、うるさ――」

 ボフッ

佐野「っ…」ピキッ

中井「あーあー…」

阿部「始めちゃったか…。田中くんならやりそうかなって思ってたけど」

佐野「田中あああああああ――――――――――っ! まぁたお前かあああああああ――――――――――っ!!」ブオンッ

田中「うおっとぉっ! 鉄壁セカンド、ファインプレー!」バシッ

久遠「暴投」ブンッ

佐野「ぐふぉっ…!? 久遠、やっぱお前もか、お前もかあっ!?」

久遠「暴投だ。気にするな」

佐野「確信犯じゃろうがあっ!!」


松坂「あー…」

阿部「避難、避難…」

中井「元気だな…」


田中「ヘイヘイヘェーイ、我関さずなんて許しゃしねーぜぃっ!!」ブンッ

久遠「受け取れキャッチャー!」ブンッ

佐野「止めんお前らの責任じゃあっ!」ブンッ


阿部「うわっ…しょうがないなあ……。本気出しちゃうよ?」

中井「で、これは最後まで立ってたやつが勝ちとかってルールか?」

松坂(これ僕もやる流れ…?)


 下1 枕投げ、開催!!

 1~3 松坂は枕を受け止めるのだけは上手かった
 4~6 はしゃいだ
 7~9 スイッチピッチャーの本領がこんな場面で発揮されるとは…


田中「どりゃあ!」

松坂「うおっ……とと、えいっ!」

久遠「隙あり!」

松坂「あうっ…」ドサッ

佐野「集中砲火じゃあああ――――――!」

中井「裏切りの陣」ブンッ

阿部「乗った!」ブンッ

佐野「ぬぐ、おおっ!? ぶっ殺すぞお前らあ!!」

田中「よっしゃ佐野、一緒にあいつらぶっ飛ばそうぜ!」

佐野「お前が元凶じゃ、死ね!」

田中「俺の味方はどこだー!?」

松坂「って盾にしないで…!」




<わいわい

<あははは

監督「うむ…若者はこうでなくては」

監督「………しかし、悩むところだな」

監督「誰がこの新摂野球部のキャプテンにふさわしいか…」

監督「…いっそ、彼らに決めさせるか……?」



 下1 コンマ

 1~4 熟睡
  5  佐野
  6  中井
  7  田中
  8  久遠
  9  阿部

うお


 グオォー
 スピー

松坂「んっ…ぅ……」パチ

松坂(今、何時だろう…?)

 ゴソゴソ…

松坂(あれ…? 誰か…)チラッ

松坂(………出ていった…?)

松坂「…」ブルルッ

松坂(トイレ行こう…)



松坂「んん~っ……早起きしちゃった…。まだ寝静まってる感じだし…もう一眠りでも――あれ」

松坂「………誰か、外に行ったのかな。スリッパ置かれてる…」

松坂(ちょっと…気になる。行ってみよう)



 ブンッ…
 ブンッ…

松坂「あっ…」

久遠「ん? 松坂か、おはよう」

松坂「お、おはよう…。シャドウ?」

久遠「ああ。軽くな」

松坂(軽くっていいながら…ちょっと汗ばんでる…)

久遠「早起きなんだな。キャッチボールでもしないか?」

松坂「あ、うん…。いいよ」



 下1 話題選択

 1 久遠ってすごいピッチャーだよね
 2 趣味とか
 3 毎日早起きしてるの?

3


松坂「久遠くんって…毎日早起きしてるの?」

久遠「ああ。5時起床、ランニング、シャドウ、素振りをしてから登校している」

松坂「5時、起床…」

久遠「気持ちがいいぞ、朝は。松坂もしてみたらどうだ?」

松坂「でも…そんなに早起きすると、昼間は眠くなっちゃわないの?」

久遠「昼間? ちゃんと昼寝時間を取っているから問題ない」

松坂「昼寝の、時間…? 昼休み、とか?」

久遠「いや授業中」

松坂(ダメだこの人)


久遠「ところで松坂…」

松坂「あ、うん…?」

久遠「高校に入った途端、授業が一気に難しくなっているんだが…松坂は勉強は得意か?」

松坂「……あんまり」

久遠「そうか…。困ったな…。阿部とか佐野なら、真面目そうだから分かるんだろうか…?」

松坂「それより、お昼寝の時間を削った方がいいんじゃないかな…?」

久遠「それは難しい」

松坂(やっぱりダメだこの人)



 下1 コンマ

 1~3 久遠くんの野球以外の部分でのダメさ加減を思い知りました
 4~6 天然のドアホだけどいいやつな久遠くんだった
 7~9 何か色々と教えてくれた

たあっ


久遠「そうだ松坂、投げるか?」

松坂「え?」

久遠「リトルのころ、キャッチャーの気持ちを知れ…と当時の監督に言われて少しだけ捕手もしていた」

久遠「本職には敵わないがキャッチングくらいなら猿真似程度にはできる。だから受けてやろう」

松坂「……あ、ありがとう…」

松坂(そこまで言われたら断れないし…)


久遠「よし、肩はもういいだろう? ミットじゃないが…まあどうにかなるだろう。投げてみろ」スッ

松坂「プロテクターとかは大丈夫…?」

久遠「危なかったら可能な限り避けるさ」

松坂「じゃ、じゃあ…。ふぅぅ……」


 シュッ
 パシッ

久遠「……俺のグラブと全然違うところへ飛んだな」

松坂「ごめん…」

久遠「もう1球」

松坂「うん…」

 シュッ
 パシッ

松坂「また…」

久遠「…もう1球」

 シュッ
 パシッ

 シュッ
 パシッ


久遠「なるほど…」

松坂「ごめん…」

久遠「何を謝る必要がある。練習だろう?」



 下1 久遠! 頼むぜ!

 1~3 尚、具体的なアドバイスはなかった模様
 4~6 うーん…てなった
 7~9 久遠くん有能(野球に限る


久遠「……俺に言えるのは」

松坂「うん…」

久遠「…………いや、投手はそれぞれあるだろうしな」

久遠「俺が何か言っても無責任だからやめておこう」

松坂「う、うん…」

久遠「そろそろ日も昇ってきたし、宿舎へ戻ろう」

久遠「今日の朝食は何だろうな。……小松菜のおひたしが食べたいが…」

松坂「昨日も言ってたね…」

久遠「食いそびれたから余計なんだ」

松坂「ふふっ…」

久遠「シャケでもいいな」ニコッ




監督「――諸君、おはよう! 親睦会も今日の午前だけで終わりだ」

監督「午後には諸君を解放するから、それまでがんばってもらいたい!」

田中「何をがんばらされるんだ…?」

中井「しっ、そういうこと言うとハードなのくるぞ…。あの監督、そういうタイプっぽいし」

監督「寝起きで頭が動かない軟弱者もいるだろう。各自、1時間ほどそれぞれにウォーミングアップをするといい」

選手達(((何をさせられるんだ?)))



監督「――集合!」

 ザッ…

監督「では、親睦会最後の締めとして…ミーティングを行ってもらう!!」

田中「ミーティング?」

久遠「…ミートの、現在進行形…。打っている状態…あるいは、肉…の状態……?」

阿部「久遠くんはあれだね、喋らない方がいいかもね」

佐野「アホじゃ、アホ…。何を言うても無駄じゃ」

中井「何を決めるんですか?」

監督「3年間を戦っていくために必要不可欠な存在――チームのキャプテンを、諸君らに決めてもらう」

松坂「キャプテン…」

田中「おおー、最後の最後でガチなのきた」

監督「決め方は自由だ。ただし、諸君らに全てを委ねる。わたしは口を挟まん。では、始めてくれ」



 下1 キャプテン決め…

 1 立候補制!!
 2 他薦制!
 3 メタ的な意味の多数決で決めちまおうぜ
 4 サクッとコンマ1発で決めちまおうぜ

風野球しそう


田中「はいはいはいっ、俺やる俺やる俺やるっ!」

田中「そうすりゃチームが勝つ度に取材くるし、目立つし、スター街道まっしぐらだし!」

佐野「スター街道まっしぐらじゃあ? ふざけたこと――」

佐野(いや…注目を集めるっちゅうことは、それだけプロにも近くなるんか…?)

佐野「ワシがやる」ゴゴゴ

松坂(威圧感すごい…)

阿部「いやー、そういうのはどうかと思うよ? やっぱりチームの中心、牽引役なんだからさ」

阿部「そういうのは守備の要である捕手の役目だよ。安心して、俺はけっこうそういうの得意だから、捕手としても、キャプテンとしてもばっちりやれるよ」

中井「そういうことなら、俺もリトルでもシニアでもキャプテンをしてきた。経験はある。任せてくれ」

松坂(自己主張強いなあ、みんな…)


田中「俺だ!」

佐野「ワシじゃあ!」

阿部「いやいや、俺だって」

中井「よし、じゃあ実力で決めるか?」

阿部「ポジションも皆違うのに実力で決めるなんて非現実的だよ」

<俺だってキャプテンやった

<お前らじゃ不安だろ!


 わいわい
 がやがや

松坂(議論紛糾中…)


久遠「みんな――」スクッ

佐野「アホは黙っとれ!!」

久遠「いや…俺も、俺も、と挙手していたら…決まらないだろう?」

久遠「だったら自薦じゃなくて、他薦の方がいいんじゃないか?」

阿部「なっ…!?」

田中「んだと…!!?」

松坂「く…久遠くんが…」

佐野「まともなことを…」

中井「言っている…?」

久遠「ふっ…」

阿部「って、悦に浸るから久遠くんだよね…」


阿部「でも他薦っていうのは、いいかもね」

佐野「ほーん? ほなら、他薦でええじゃろう。ワシがキャプテンになったからには、打撃練習に注力して豪打必勝のチームにしたる!!」

田中「そういう感じ!? なら、俺は足! 機動力野球! 常に次のベースを貪欲に狙うスタイルで圧をかけながら野心的に戦う野球を推奨するぅっ!!」

松坂「他薦ってそういうことなのかなあ…?」



 下1 他薦方式…候補者がしぼられた

 1 豪打必勝・佐野 機動力野球・田中 名捕手主将・阿部
 2 大エース・久遠 爽やか主将・中井 ネタ枠(!?)・松坂
 3 名捕手・阿部 大エース・久遠 豪打必勝・佐野

 ※選ばれた候補からコンマで決まると思ってね

1



佐野「ハッハッハ、こりゃあもう決まったようなもんじゃのう?」

佐野「ワシか、バカの田中、あるいは性格の悪い阿部…。ワシしかおらんじゃろうのう!」

田中「そーやってナチュラルに他人を見下すやつがキャプテンの器かねえ?」

田中「ま、俺がこうして最終候補に残っちゃってるらへん? やっぱ人柄勝負、ってやつだよな。なっ?」

阿部「勝てる勝負でも油断しちゃいけないのはスポーツの鉄則だから、俺は2人みたいに決まった気にはなれないなあ」

阿部「それにやっぱりね、キャッチャーが主将っていうのは王道だよ」


松坂「……これ、誰になっても不安なんじゃ…?」

中井「言うな、松坂…。俺に人望があれば…」

久遠「ま、誰でもいいだろう…」

松坂「いいんだ…?」

久遠「やるべきことをやるだけだ」

松坂「かっこいい…」

中井「アホなのにな…」



 下1 キャップ決定の瞬間!

 1~3 佐野
 4~6 田中
 7~9 阿部

 ※0が出た場合、コンマの二桁のとこを見てあてはめます… 00だったら考えてないけど…出ないよね

いよっ

うおおおと


松坂「……田中くん…阿部くん…阿部くん…佐野くん…佐野くん…」

田中「あと1票にして俺、落選…! クソっ!」

佐野「…総票数からして、最後の1票で決まるってとこじゃのう」

阿部「…」

松坂「最後の1票は…」

中井(いつの間にか松坂が開票係になってるが…不思議と似合うな)

佐野「…」

阿部「…」

松坂「最後の1票は…………佐野くん」

佐野「……ふっ……フアッハッハッハ、ハーッハッハッハー!!」

佐野「ワシがキャプテンじゃ! 全員、練習後に素振り最低500本じゃ! ワシがルールじゃ、従えいっ!」

阿部「あちゃー…扱いづらいのになっちゃったか…」

田中「扱いづらいって何だよ、おい、阿部?」

阿部「いやね…田中くんくらいだったら、こう…ね?」ニコッ

松坂(黒い…)

阿部「でも佐野くんは扱いづらそうだなあ…。口先で転がすのが難しそうというか…」

中井「お前黒いぞ」

阿部「しょうがないね、キャッチャーだからね」ニッコリ

久遠「キャッチャー不信に陥りそうな発言だな」

松坂「…」コクコク


佐野「はっはっは、ワシがキャプテンじゃー!」

田中「ツーかお前、ここぞとばかりにはしゃぎすぎだぞ!」

佐野「ワシに口答えしたやつはケツバットじゃ。見せしめに田中からやるぞ」

田中「暴君だー! 暴君が誕生したぞ、反乱の準備をしろぉー!!」



 下1 副キャップも決めとこ

 2人くらい指名してええで
 誰でもええんなら、そんなことを書いてくれてええで
 コンマがいいなら、そういう風に書いてくれれば対応するで

阿部松坂


田中「こうなったら副だ! 副キャプテン! これぞ陰のリーダー!」

久遠「陰の…か。俺は表がいいな」

佐野「んなもんいるか、ワシがキャプテン! ワシが全てじゃ、補佐役なんぞいるかあっ!」

監督「いるぞ」

佐野「」

監督「佐野、いるぞ」

佐野「…っす」


中井「でもキャプテンがキャプテンだからな…。舵取りができそう、かつ、裏方の仕事で腐らなさそうな性格…のやつがいいんじゃないか?」

中井「この際、実力は置いておいて」

佐野「ワシが決め――」

監督「ダメだぞ」

佐野「」

監督「佐野、副キャプテンについての口出しはするな。後の決め方はお前らに任せる」

佐野「………っす」


 ――その結果

田中「何故、俺が選ばれない!! そしてどーして松坂だあっ!!?」

松坂「自分でもビックリなんだけど…」

阿部「開票係がサマになってたから?」

中井「それだな、決め手は」

久遠「じゃあ阿部の理由は?」

中井「黒いからだろ。まあ…佐野の暴走を止められそうというか」

佐野「どーいう意味じゃ、ああん?」

阿部「キャプテンに人望がなくて、空中崩壊ってことになったら――俺がキャプテンかな?」ニッコリ

佐野「譲るかボケぇっ!」

阿部「ふふふふ…そうだねー」

田中「これはこれでどーよ?」

松坂「自分でいいのかなあ…?」

久遠「いいんだろう。皆で決めたんだ、胸を張れ」

松坂「久遠くん…」

久遠「だから試験の時は…な? 副キャップの権力で…な?」

松坂「久遠くん……」



監督「よし、ではキャプテンと副キャプテンの2名が決まったところで…所信表明演説をいただこう」

佐野「しょし――!?」

阿部「ほら、国会でやってるやつ。こういう感じにしていきますーって意思表明?」

田中「早速、何か副キャプテンぽい!」

松坂(所信表明…何を言えばいいんだろう…?)


 下1 何を言えば…

 1 無難に…
 2 がんばります…
 3 その他(松坂口調に自動変換されます

安部くん田中

すまん安価下でお願いします


佐野「ワシは有言実行が男の生き様じゃと考えとる」

佐野「この場で言わしてもらうが、甲子園出場なんぞ目標とちゃう! 甲子園制覇! それがワシらのゴールじゃ!」

佐野「ま、ついでにワシゃプロ行きの切符も掴ましてもらうがのう! そういうわけで、豪打必勝! 打って勝つ野球がモットーじゃあ!!」


阿部「副キャプテンっていうのはちょっと不服だけど、キャップがキャップだし、あの銅鑼声で言わせてもらえないこともあったら俺に言ってね」

佐野「どーいう意味じゃ。あとキャップ禁止じゃ。バカにされとる気がする」

阿部「キャップが不甲斐ない時は、俺のことをキャプテンって言っていいからね!」

佐野「禁止っちゅうたばっかじゃろうが!!」

阿部「えー、聞こえなーい」


松坂(自分の番になっちゃった…)

長島「松坂、お前の番だぞ」

松坂「あ、はい…。えっと、正直、副キャプテンなんてガラじゃないなあって自分で思いますけどがんばります…」

松坂「………がんばります」

田中「どうして2回言った!?」

中井「つっこむなって…」


長島「よし。これで形ばかりはチームとしてまとまったことになる」

長島「だが、諸君、よく肝に銘じておいてほしい。諸君にはこれまでの実績があると思うが、それらは全て、高校野球という舞台の出来事ではない」

長島「誰もが高校野球というものを、知っているようで知らない。未知の世界であると思ってもらいたい」

長島「これからが、本当の始動だ。失敗を怖れるな。成功だけを考えるな」

長島「苦難の先にこそ、栄冠のゴールは輝いているのだ!」

松坂(かっこいいこと言ってる…)


長島「では解散だ」

長島「尚、グラウンドは解放しておくし、無論、ナイターの準備もある。どうするかは、諸君次第である」


 下1 やっと親睦会は終わり

 1 素振り500本がノルマじゃあ! by佐野キャップ
 2 自主練ムードが濃いから…していこう
 3 早めに帰って休もう


佐野「素振り500本がノルマじゃあ!」

佐野「野手じゃろうが、投手じゃろうが、素振りしてから帰れぇっ!!」

田中「早速キャップ気取りかよ、暴君!」

中井「まあでも、昨日は丸々、バットも握ってなかったしな」

阿部「ただ振るだけの素振りは意味ないけどねー」

久遠「バッティングは嫌いじゃない。いいんじゃないか?」

松坂(バッティング苦手だし…もしもマウンドに立つことになった場合を考えて素振りはしといた方がいいのかな…?)

佐野「さあ振れ、手の皮がズル剥けになるまでバットを振らんかいボケどもがあああっ!!」

長島「佐野、喝を入れることと暴言を吐くことをはき違えるな」

佐野「」

長島「佐野、返事」

佐野「……っす」

阿部「あれれー? キャップの返事が、そんな…っす、みたいなのでいいのかな? キャップならキャップらしく、ハキハキしなきゃ? ねえ?」

佐野「こんのっ…!」

阿部「いーち、にーい、さーん!」ブンブンッ

中井「黒いなー、阿部」

長島「佐野、返事」

佐野「~っ……はい!」

田中「阿部やべえwwww」

松坂「頼もしいね…」

久遠「お前もがんばれよ、松坂」

松坂「…う、うん」


 下1 500本素振り!

 コンマ一桁/2 打力上昇


 今日はここまで
 あざっした

乙!


忘れない内に貼っとく


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:106キロ
制球:E(49)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(43)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ

2

そろそろ始まりますやで


中井「おーい、キャップと副ー。監督が呼んでるぞー」

松坂「あ、うん」

阿部「だってさ、キャップ。何かやらかした?」

佐野「やらかすかボケ」

中井「グラウンドの放送室だと」



 ガチャッ

阿部「失礼しまーす」

松坂「失礼します」

佐野「っす」

長島「よく来てくれた。先にお前らにだけ話しておこうと思ってな。今週末、練習試合をすることになった」

佐野「練習試合?」

阿部「こんな時期に?」

松坂「こんな…?」

佐野「アホか、お前は。もう春の大会始まっとるんじゃ」

松坂「あっ…そっか」

長島「うむ。つまり、早々に春季大会を脱落したチームとの試合ということになる」

佐野「ほなら楽勝じゃ、楽勝。白星発進のまま3年間負けなし記録でも作るかのう!」

長島「佐野、高校野球を甘く見るな?」

佐野「っ…」

阿部「それで…他の部員には内緒なんですか?」

長島「隠す必要はないが、練習試合には目的をもって当たってもらいたい」

長島「何を目標として掲げ、そのためにどのようなことをするかを練習後にでも3人で話し合って決めておくように」

長島「それと今日は柔軟、外周3周、キャッチボールの後に全体での守備練習を行う。そう指示を出しておくように。以上だ」


阿部「失礼しましたー」バタムッ

松坂(目的…目標…)

佐野「なぁーにが目標じゃ。打って勝つ、これが野球の醍醐味じゃろうが」

阿部「守って勝つのも野球だよ」

佐野「0点にいくら押さえようが点を取れなきゃ勝てん!」

阿部「100点取ろうが101の失点をすれば負けだけどねー」

佐野「何じゃ、阿部?ワシの方針に不服か?」ゴゴゴ

阿部「だって佐野くんのそれ、方針っていうよりひとりよがりの、自分にできることだけやってればいいや的な思考停止でしょ?」ニコッ

松坂(胃が痛くなりそう…)



 下1 練習!

 1 守備練習に参加や!
 2 ブルペンで投げ込み練習や!
 3 フォーム研究しなきゃ…


阿部「――ってことがあってさ」

 ズバァンッ

阿部「ナイボール。今週末、試合なんだって」

久遠「そうか」パシッ

久遠「もう1球、ストレート」

 ズバァンッ

阿部「ナイボール。さてさて、監督はどっちを使うんだろうね」チラッ

松坂「…投げます」

捕手「萎縮させるなよ…阿部…」


阿部「久遠くん、ボールが高めにけっこう浮いちゃってるから気をつけてね。佐野くんほどじゃなくても高めのボールなんて持ってかれちゃうよ」

久遠「分かった」

 ズバァンッ


捕手「松坂…お前はあれだ、あの……がんばれ」

松坂「……がんばります…」

 バシッ



 下1 投げ込み!!

 1~3 へなちょこピッチングって言われた…
 4~6 スイッチピッチングについて
 7~9 阿部くん頼むぜおい


阿部「松坂くんってさあ」

松坂「うん…?」

阿部「どっちの腕でも投げられるのはすごいと思うけど…」

松坂「うん」

阿部「へなちょこだよね、ピッチャーとしては」

松坂「」

捕手「言い切りやがったこいつ…」

久遠「いや、フィールディングは上手い」

阿部「だったらショートでもやればって思っちゃうけど…」

松坂「」

久遠「」

捕手「久遠まで黙らされるとは…」


阿部「ともかく、今のまま、ただ漫然とピッチャーやってるんじゃ、例え久遠くんが同じチームにいなかったとしても万年補欠――いや、万年ベンチ外は避けられないと思うよ」

阿部「まあ…考えてみてよ。自分で見つけないと身につかないからね」

松坂「う、うん…」

松坂(考えるって言われても…)


 下1 考える…

 1 久遠くん、どういうことだと思う?
 2 とりあえず考えてみる
 3 佐野くん、どういうことだと思う?


捕手「何だ、もういいのか?」

松坂「うん…ありがとう、受けてくれて…」


松坂(ただ漫然とやるだけじゃダメで…考えろって言われても…何をどうすればいいんだろう…?)

松坂(うーん…両投げの強みって、どっちの打者にも対応できる…こと?)

松坂(…………どっちの打者にも、素の実力がなさすぎていいように打たれそうだけど…)

松坂「………分からない…」

阿部「悩んでる?」

松坂「悩んでる…」

阿部「ヒントは教えないけどね」

松坂「……………」

阿部「そんな顔しても教えないよー」



 下1 阿部の意地悪!

 1 結局、地道にがんばるしかないんじゃ…?
 2 左右で…違う投球フォームとかできるの、って前にやたら阿部が食いついてたみたいな…?
 3 コントロールを磨けば遅い球でも、両方の打者に有利に攻められるのでは……みたいな…?


松坂「……結局…地道にがんばるしか、ない…?」

阿部「………ふぅぅーん?」

松坂「…」

阿部「…」

松坂「がんばります…」

阿部「まあ、地力も大事だよね」

松坂「………ですよね」

阿部「……まあ、ね?」

松坂(含みを持たせすぎじゃ…?)


 下1 練習の成果

 コンマ/2 球速上昇

ののの


長島「本日の練習はここまで!」

佐野「あざぁっした!」

 『あざっしたー!』

佐野「素振り500本、きっちり振ってから帰れ! ちょろまかしたやつはケツバットじゃ!」

阿部「素振りもいいけど佐野くーん」

佐野「何じゃ?」

阿部「監督に言われたこと、覚えてるよね?」

松坂「あっ…」

松坂(すっかり忘れてた…)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:109キロ
制球:E(49)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(43)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ


松坂「………え、ええと……練習試合で、目標をどうするかって……ことだったよね?」

佐野「打って勝つ。それだけじゃ」ゴゴゴ

阿部「だからそれは思考停止じゃないんですか?」ニコニコ

松坂(帰りたい…この空気…)


 下1 意見を出し合……う…?

 1 黙って2人の議論を見守る…
 2 どっちの意見にも乗っておく作戦
 3 投手としては…投げて勝つとか……なんちゃって…あは、はは…


佐野「打って勝つ! そのために必要なんは、打力じゃ。短打、長打はどーでもええ。そんなもん、向き・不向きでそれぞれがやりゃあええんじゃ!」

佐野「とにかくバットを振る! その練習の通りに試合でも打つ! 相手が勝手に呑まれりゃあ万々歳、そうじゃなきゃ打ち崩す!」

松坂「う、打てるチームって怖いもんね…」

阿部「そんな簡単な理論で強いチームになるんなら、全国の球児は朝から晩までバットだけ振るよ」

松坂「それもそう…だね…」


佐野「具体的なことを言えっちゅうんなら、ワシとて理論武装くらいするわ」

佐野「ええか、ワシが打って勝つ言うんはチームの勢いのためじゃ。練習した分だけ自信が出る、自信が出りゃあ実力通りの力を発揮できる」

佐野「守備でエラーかまそうが打撃で取り返せる。そういう自信と勢いが、ここぞで役立つんじゃ」

佐野「だから打って勝つ!!」

松坂「意外とすごく考えてる…?」


阿部「じゃあそれ、練習試合でどう実践すんの?」

佐野「久遠の速球をひたすら打ちまくれば速さにも馴れる、自信もつく」

阿部「は?」

佐野「バッピじゃ、バッピ! 分かるじゃろ、それくらい」

阿部「………それ、久遠くんに、全員のバッティングピッチャーさせるってこと?」

佐野「久遠にもええ練習になるじゃろう?」

松坂「けどそれじゃ……さすがに、肩が…」

佐野「肩ぁ? たかだか1週間ちょっとで心配しすぎとちゃうか?」

阿部「はぁぁー……」

佐野「何じゃ?」

阿部「ピッチャーの肩、何だと思ってんの? マシーンじゃないんだよ」

佐野「んじゃ、まあ…感触確かめる程度には松坂も使えるじゃろ。2人なら負担も半減じゃ」

松坂「確かに負担は半減…」


 下1 果たしてこの話し合いは…?

 1~3 阿部くんがキレちゃった…
 4~6 佐野と阿部が大喧嘩で何も決まらなかった…
 7~9 一触即発の空気を感じ取って、松坂が泥を被ることに…


 バンッ

松坂「っ…!?」

阿部「負担が半減とかそういう話じゃなくてさ。ピッチャーを単なるピッチングマシンみたいに扱うのはクソってことを言いたいの」

佐野「クソじゃあ? ほならお前は、どうすりゃええ打撃練習になると思うんじゃ」

阿部「ティーだろうが、素振りだろうが、練習にはなるよ。でもそこじゃない。キャプテンのくせに、そういう発言するのが、俺はヤダ」

佐野「ヤダもクソもあるかボケが」

阿部「は?」

佐野「ああ?」

松坂「ちょ、ちょっと…あの、2人とも…落ち着いて――」

阿部「落ち着いてるよ?」

佐野「おお、ちぃと頭に血ぃ上ってきとるがのう?」

松坂(怖いこの2人)


阿部「打撃、打撃、打撃ってバカのひとつ覚えですか? ただ素振り500本しろ、が指示? 何のために振るの、それ? どういう意識で振るの?」

阿部「短打だろうが、長打だろうが打てればいい? 向き・不向き? ばっかじゃないの?」

佐野「あああんっ?」ゴゴゴ

阿部「確かに得意なコース、不得意なコースはあるだろうけどさ、それだけを磨くってクソだよ?」

阿部「だってそれを見極められちゃえば、研究されちゃえば、そういう風にしか打たせてもらえなくなるんだから」

佐野「そんなもん――」

阿部「だからこそ、打撃練習なら状況を想定したシチュエーションと、そのためのバッティングを磨くべきじゃないの?」

阿部「それを何の考えもなく? ピッチャーの大事な大事な、命と同価値の、肩を使い潰すようなバッピぃ?」

阿部「そういう考えこそが、最低最悪のクソなんだよ」

松坂「」

佐野「っ――知るかボケぇぇっ!!」

阿部「じゃあこっちも知らないよ。ただし、投手陣をバッピなんかに使わせない。じゃあね。素振りバカ」

佐野「あああああんっ!?」

 バタムッ


松坂「………これ、監督にどう言えば……?」

佐野「お前が言っとけ! ワシゃ帰る!!!」

 バタムッ

松坂「えええええ~…?」



 下1 どうしよう…

 1 松坂もかえる…
 2 監督…こんなことになりました…
 3 佐野くん…謝ろう?
 3 阿部くん…謝ろう?


<コンコン

長島「む……入れ」

松坂「し、失礼します…」

長島「うむ。で、どうなった?」

松坂「それが…………佐野くんと、阿部くんが、喧嘩して、どっちも知るかって帰っちゃいまして…」

長島「ほう?」

松坂「……すみません」

長島「………詳しく聞こう。話しやすいように説明をしてくれ」

松坂「は、はい」


松坂「――と、いう感じで」

長島「分かった。では引き続き、どのような目標を掲げ、実践していくかはお前達に任せる」

松坂「え?」

長島「アップ後の練習は前半を守備練習、後半でお前達が考えたメニューをするように」

松坂「………意見が食い違って、割れちゃったら練習なんて…」

長島「時間の無駄だな」

松坂「…」

長島「どうするかは、お前達次第だ。実際に試合へ出てプレーをするのはお前達だからな」

松坂「…はい…」


松坂(監督なら仲裁してくれるんじゃないかって思ってたのに…まさかの放置プレー…)

松坂(この監督、よく分からないなあ…)




 今日はここまで
 あざっした

おつおつ
頑張れ潤滑油松坂くん!

休みの日は昼間っからやりたいのじゃよ…
誰かいればいいけど始めてみます

はい

います


松坂「練習試合まで、4日…」

佐野「声出さんかぁっ、ぶっ殺すぞ!!」

阿部「レフト、打球の伸び気をつけて! 想像より伸びてくよ!」

松坂(佐野くんも、阿部くんも…練習してる分には普通だけど…)


長島「次、サード!」カァンッ

佐野「よぉっしゃああ!」

 バシッ

佐野「うっ…!? どらぁっ!」シュッ

長島「佐野! 捕球から送球までの動きが甘すぎる! もっと集中しろ!」

佐野「っす!」

松坂(プレーにいちいちアドバイス出してる阿部くんが、佐野くんだけはガン無視…)


長島「まだまだ行くぞ!」

松坂(大丈夫かなあ…)

捕手「松坂、投げろ」

松坂「あ、はい」←ブルペン



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打

球速:109キロ
制球:E(49)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(43)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 全体の守備練習に加えてもらなかった松坂くん

 1 フォームを意識しながら投げ込んでみる
 2 フォームを意識しつつ、一球ずつを丁寧に
 3 とにかく地力をつけるべく…がんばります!


松坂(……考えなしじゃ、また阿部くんにねちねち言われちゃうし…)

松坂(もっとこう…フォームを意識して…?)

 シュッ
 パシッ

捕手(何か投球の感覚が遅くなったか…?)

松坂(同じように、投げる…)

 シュッ
 パシッ

松坂「…あれ?」

捕手(何で首捻ってるんだ、あいつ…?)



 下1 何か掴めるか、松坂!?

 1~3 分からん!!
 4~6 そういえば…投げる時にフォームなんて何も考えなかったって今さら…
 7~9 おっ? おっおっ?

まかぜろ

すいません


 バシッ

捕手「ん、次」

松坂「………うん」

松坂(全然…何か、分からない…)


松坂「反対で投げて、いい?」

捕手「好きにしろ」

松坂「はい…。じゃあ左で、今度は…」

 シュッ
 バシッ

捕手「どっちで投げても、ほんとに大差ないのな…。良くも悪くも」

松坂「…うーん…?」

松坂(分からない…何をどうすればいいの…? フォームって、何…?)



 ―― そんなころ、グラウンド

長島「よし、では次の練習は佐野に指示を仰げ!」

佐野「!」

阿部「…」ジロッ

佐野「っす」


 下1 キャップvs副キャップ問題…

 1~3 キャップがバッピに久遠を使うって言い出して…
 4~6 お、譲歩かな? でも阿部くん、不満そう
 7~9 佐野っち…


佐野「打撃練習じゃ! 3つのチームに別れて、置きティー、ケースバッティングの打撃側、ケースバッティングの守備側でローテ!」

佐野「さあ、早うやらんか、ボケどもがあっ!」

阿部「…ふーん」

田中「おっ、どした阿部?」

阿部「単なる素振りバカでもなかったのかな…って」


松坂「あれ…?」チラッ

松坂(打撃練習…してる? でもバッティングピッチャーはなし…)

松坂(佐野くん、考え直してくれたのかな…?)



 下1 佐野くん、実のとこは?

 1~3 阿部に反対されて時間削られるのが嫌だからって、暫定的措置…らしいっす。和解には遠い…?
 4~6 白黒ハッキリさせたがるキャップと副キャップ…
 7~9 阿部っちの言い分に一応は納得したらしい


佐野「――おう、阿部ぇ、面貸せ」

阿部「…ブルペンにサードが何の用ですか?」

佐野「ええから面貸せぇっ! 仕切り直して昨日の続きじゃ、ボケが」ゴゴゴ

阿部「久遠くん、低め意識してね。ちょっと行ってくるから」

久遠「ああ」

捕手「…大丈夫か、あれ? 何かあったのかよ、松坂?」

松坂「………う、うーん…?」

久遠「見てくればいいだろう、気になるなら」

松坂「…じゃ、じゃあ、行ってきます…」




佐野「別にワシゃ、お前に言い負かされたと思うとるわけとちゃうぞ」

佐野「久遠を使うてのフリーバッティングは絶対に力になる。じゃがお前が、反対して時間をムダにすんのはさらに意味がない」

阿部「だから…とりあえず、あのローテ? あーあ、ちょっと見直しかけた自分がバカみたい…。頭の中、どんだけうんこ詰まってるの? 臭うんですけど?」

佐野「ああん?」ゴゴゴ

松坂(来るんじゃなかったかも…)



 下1 嫌やわ、この2人…どないしよ

 1 見守る…
 2 わ、悪口はやめる方針にしませんか…?
 3 あの…建設的な…話し合いを…


佐野「じゃったらお前はどんだけ投手のこと愛しとるんや。キモいわ、ホモか、ゲイか?」

阿部「あーやだやだ、悪口ひとつ取っても品がなくって、いちいちうげえってなる汚物感。何、うんこの親戚なの?」

松坂「あ、あの……け、建設的な、話し合いをした方がいいんじゃ…? 一応、ほら……練習時間、だし…」

佐野「ああん?」ゴゴゴ

阿部「…」ジロッ

松坂「」ガタガタガタ

松坂(威圧感すごい…)


佐野「松坂にしてはええこと言うたのう」

阿部「そうだね」

松坂「ほっ…」


佐野「打撃練習をする。久遠だけが嫌じゃってんなら、松坂と、あと肩強い選手も適当に投げさせる」

阿部「反対」

佐野「どこがじゃ」

阿部「さっきの指示にしてもそうだけど、ただ漫然と練習するだけなんて意味がない」

阿部「何を意識しなきゃいけないのか、どんな状況を想定しての練習なのかが明確じゃない」

佐野「まずは常に打撃で相手を制するっちゅう意識作りじゃ。とにかくバット振りまくったっちゅう自信を試合に活かす」

阿部「だったらバッピ必要ないよね? マシン打撃で充分」

佐野「そん中で久遠っちゅう破格の投手ぶつけりゃあ、よその投手にビビったり気負うこともなくなるんじゃ!」

阿部「それで久遠くんの肩壊れたらどう責任取るの?」

佐野「ワシが投手でも何でも――」

阿部「ムリだから。現実的じゃないから。それは責任取るとか言わないし」

松坂(何だか…こう着状態…)


 下1 コンマ

 1~3 結局、平行線のまま…
 4~6 勝者阿部! しかし佐野は諦めず…また翌日に持ち越し…
 6~9 いけ!


阿部「ねえ、素振り中に何考えてるの?」

阿部「ただ長打とか本塁打を打とうって?」

阿部「じゃあそれってさ、どんな投手で、どんな状況を想定してのことなの?」

阿部「サウスポー相手? 右投げ? 豪腕投手? 変化球主体? 渋ぅーいコース投げられちゃう制球重視の相手?」

阿部「ただ考えなしにバット振ったらホームラン打てたからそうしますー、みたいなクソの上塗り狙い?」

阿部「そんなのただのマグレ当たりなんでしょ? そのマグレを実力で打てるようにするのが素振りの意味じゃないんですか?」

阿部「どうなんですか?」

佐野「~っ……じゃかしいわあっ!」

 バンッ

阿部「バーカ」

松坂「…」


阿部「さっ、練習戻ろっか」

松坂「……阿部くんて…」

阿部「何?」

松坂「…………いや、何でも…」

阿部「松坂くんも考えてねー」

松坂(基本…いつも頭使ってるんだろうなあ…)

松坂(いつも泳いでなきゃ死んじゃうお魚みたいに、いつも頭回しておかないといけない…みたいな…?)


松坂(だから…考えてね、っていつも言うのかな…?)



 下1 コンマ

 1~3 女マネ成分が足りない…むさい…
 4~6 考えても考えても…松坂的にはわからない…
 7~9 佐野くん…

神コンマこい



夕実「お疲れさま、松坂くん」

松坂「あ、お疲れさま…種田さん…」

夕実「……さっき、聞こえちゃったんだけど放送室で、阿部くんと佐野くん…何か、険悪だったよね? 何かあったの?」

松坂「ああ……うん、実は――」


夕実「なるほど…」

松坂「2人とも怖いし…どうすればいいんだろうって…」

夕実「確かに…何か話聞いてると揃って頑固で、自分の美学…っていうのかな、強く持ってるって感じだよね」

松坂「うん…」

夕実「それで? もう1人の副キャプテンはどうするの?」

松坂「…………どうすればいいんだろうって…」


夕実「…頼りないなあ」

松坂「我ながらどうして副キャプテンに選ばれちゃったのか…」

夕実「んー……雑用係?」

松坂「」

夕実「じょ、冗談だって、冗談! 本気にしないでっ、ねっ?」

松坂「あはは…」


夕実「だけど松坂くんがどうにかしてあげないと、ダメなんじゃない?」

夕実「がんばれ! 副キャプテン?」



 下1 そう言われても…

 1 もう、自分の手に負えないし…他のみんなを頼っちゃう…
 2 阿部と佐野とに事情聴取して…こう、妥協点がないかどうか…
 3 もうなりゆきに任せるしかないよ…

1



久遠「逢瀬は終わりか?」

松坂「えっ? え、ええっ?」

久遠「冗談だ。種田と何か話していたから」

松坂「あ、うん…」

久遠「しかし…種田はそうか…松坂のようなのが…」

松坂「ち、違うよっ!? 全然そういうのじゃないから、本当に! ちょ、ちょっと悩み相談というか、そんな感じで、話し込んじゃったっていうか…!」

久遠「恋の悩みと言いながら距離を詰める作戦か…。やるな、松坂」

松坂「全然違うから! チームのことだから!」

久遠「チームの?」

松坂「あっ…」

久遠「……何かあったのか?」

松坂「……………………実は、その……佐野くんと、阿部くんのことで…」

田中「おっ、何の話?」

中井「すぐに首突っ込むんだな、お前…」

松坂「…………ま、いいか…」



松坂「って、感じで…」

田中「それは阿部が悪いな!」

中井「いや佐野だろ。だってマシンで事足りそうなもんを、久遠使いたいって話だろ?」

田中「違う違う違う、マシンと生身は全然違う! 生きた球サイコー!」

松坂「意見が食い違っちゃって…どうすればいいやら…」

久遠「お前はどうしたいんだ?」

松坂「……どうって…平和に終わってくれれば」

田中「おーいおいおい、松坂くぅーん?」

中井「もっと自信持てよ、副キャプテン。欲出さないとつまらないぜ?」

松坂「え、ええっ…?」

久遠「練習試合に対して、お前はどうしたいとか意見がないのか?」

松坂「……うーん…?」


 下1 今さら…

 1 最初の試合なんだし、チームとして…がんばりたいです…的な…?
 2 とりあえず…チームの実力を確かめといた方がいいんじゃ…的な…?
 3 その他…目標的な…

2


松坂「……月並みというか…なんだけど……ちゃんとした、試合ってこれが最初になるから、打撃がどうこうとか置いといて…」

松坂「とりあえず…チームの実力を確かめといた方がいいんじゃない…かな……みたいな…」

久遠「そうか」

田中「つっまんねー」

中井「面白さを求めるな」

中井「というか、俺もそれくらいがいいと思う」

松坂「中井くん…」

中井「だって俺らはまだ高1だぜ? チームとしても、まだ数日ってところなのにいきなり、打撃重視のチームにするとか何とか…」

中井「決めつけるのが早いっていうか、可能性はたくさんあるわけだ」

中井「現状を認識してから、課題として何か克服するとか、長所を伸ばすべく練習するなら分かるけど…決めつけがましいっていうかさ」

田中「なるほどな! そういうことか!?」

久遠「それは具体的にどういう練習になるんだ?」

中井「んー…何だろうな。守備は全員でやるもんだし、それをしておいて…」

田中「やってるな!」

中井「…やってたな」

松坂「………監督も、そういうつもりなのかな…? 中井くんが言ったような…?」

久遠「だったら話は早い。その上で監督が俺達…厳密には佐野に与えた、後半の練習時間を何に使うか詰めて、松坂が佐野と阿部に伝えればいい」

田中「まずはベーランだろう!!」

中井「何でだよ…。それじゃ佐野と一緒だぞ」

久遠「そうだな。投げ込みだ」

中井「だから何でだよ!」

松坂(何か……相談してみて良かったかも…)



 下1 結局、松坂(+みんなの)案は…

 1 個人でやりたいことをとりあえず練習しようぜ、って
 2 打線を繋ぐための打撃練習がいいんじゃないか的な
 3 打線は水物、だから守備に力を入れてチームプレーを磨こう的な

3


松坂「じゃ、じゃあ…みんなの意見をまとめると、守備練習に充てて…チームプレーを意識する…って感じ?」

田中「それだ! それでいけ、松坂!」

久遠「よし、じゃあ俺は阿部を呼び出そう」prrrr

松坂「えっ、今からっ?」

中井「なら俺は佐野に電話するか」prrrr

松坂「えええー…? さっき、ものすごく派手に喧嘩別れしたのに…」

田中「はっはっは、ぶっ込めよ、松坂! 期待してっからな!!」バシバシ

松坂「背中痛いから叩かないで…」



 ―― で。

佐野「おう、何じゃ?」ゴゴゴ

阿部「久遠くんに呼ばれたから、てっきりボール受けてほしいとかって思ってたのに違ったんだね」

松坂「あの……み、みんなと話して……今度の練習試合で、どういう風にやろうかって話…」

佐野「打撃じゃ」

阿部「うんこ」

松坂「……………しゅ、守備練習に力を入れたらどうかなって」

阿部「へー、何で?」

松坂(きた…。多分、ここで何も考えてないって思われたら……うんこって言われちゃうんだろうな…)

佐野「守備なんてしてるじゃろうが」

松坂「そ、そうなんだけど…ほら、初めての試合で、今のチームとしての実力を把握した方がいいんじゃないかなって意見で…」

松坂「でも打線は水物だし…練習がしっかり成果になりやすいのは守備だから、内野の連携とか…そういうのもあるし、それぞれで試合で確かめ合いたい…っていう…ような…」

阿部「なるほどねー…」

松坂(『ふぅぅーん』じゃなかった…!)



 下1 どうなる!?

 1~3 佐野っち強情~
 4~6 おおっ? 建設的になってきた…?
 7~9 まとまった! やったよ! あと阿部くんに誉められた

どうなる!?


 0 コンマ:まあどっちでも良いことになるやつ?

 偶数 佐野くんと阿部くんが、やっと分かり合った…?
 奇数 まとまったついでに阿部くんが…?


松坂「さ、佐野くんは…どうかな…?」

佐野「………それが、他の連中の総意ちゅうわけか?」

松坂「総意というか…あの場にいた、人達では…」

佐野「……ほなら、気に食わんがええじゃろう。じゃが、練習後の素振り500本だけは譲らんぞ、ワシゃ! ええのう!」

松坂「は、はい…」

阿部「漫然と素振り?」

佐野「んなもん個人の自由じゃ! 各自で課題なり何なり見っけりゃええんじゃボケぇっ!! 帰る!」バンッ


松坂「…」

阿部「へー…意外、今回はちゃんと、課題とか自分で見つけるとか具体的に言ったね」

松坂「あ、阿部くん…」

阿部「ていうか、電車、途中で降りて引き返してきたのにこれで終わりじゃ、何か消化不良…」

阿部「松坂くんちょっと受けてあげるから、投げてよ」

松坂「え?」

阿部「それとも投げるの嫌い?」

松坂「そんなことは…」



 シュッ
 パシッ

阿部「頭使ってる?」

松坂「………考えてはみるんだけど、よく分からないし、ピンとこないっていうか…進展しなくって…」

阿部「そっか…。それじゃあしょうがないなあ。試合も近いし、経験は積んでもらいたいし…」

松坂「え?」

阿部「スパルタとか言わないでね」


 下1 とうとう阿部くんが!?

 1~3 て、手応えが…
 4~6 スイッチピッチングの強みについて
 7~9 要求高すぎませんか!? 難しいよ!?


阿部「そうそう、そうやってプレートの左端から腕を長く使って…」

 シュッ
 パシッ

阿部「はい、うんこボール」

松坂「さ、サイドスローって…」

阿部「サイドのサウスポーでコントロール重視」

阿部「これがワンポイントで光ったら、スターだよ?」

松坂「す、スター…?」

阿部「速さは今は意識しなくていいから、四隅にとりあえず投げ分けられるように」

松坂「四隅って…」

阿部「その後は9分割くらいのコントロールつけてほしいなあ」

松坂「えええっ…」

阿部「じゃ、久遠くんの豪速球に勝てる?」

松坂「…」

阿部「タイプの違う投手が揃ってるチームは攻略しづらいからねー」

阿部「だけど、松坂くんは1人で2役のピッチングできる可能性があるんだから、それを磨くしかなくない?」

阿部「じっくり、ことこと…煮詰めてこうよ。3年もあるんだ」

松坂「う、うん…」

松坂(サイドか…)


 下1 今さらなんだけど、松坂くんの投球フォーム決めてなかったんだよね…

 1 左はサイドってことでいい?
 2 左でサイドはやだ?
 3 それとも、そもそも左右ともサイドだった説…?

 ※右についてはまた決めるよ…

3


松坂(今さらだけど…サイドでこんなにノーコンっていうのも、我ながら……)

阿部「それでさー、右なんだけど」

松坂「右…?」

阿部「こっちもサイドで磨いていくか…あるいは?」

松坂「あ、あるいは……?」

阿部「別のフォームにしちゃうってのも、なしじゃないような気がするんだよねー…」

阿部「どう思う?」

松坂「どうって…」

阿部「オーバースロー? タッパもないわけじゃないし、左で翻弄、右で力押し…ができればいいよね」

阿部「それにストレートが強ければ、それだけ松坂くんのムービング変化球が活きる」

阿部「どうしたい?」

松坂「…」


 下1 どうって言われても…

 1 じゃ、じゃあ右はオーバースロー
 2 いやスリークォーター
 3 まさかのアンダー?
 4 いやいや、このままサイドで…

2


松坂「……オーバースローは、ちょっとこう…尚更、久遠くんに被るというか…?」

阿部「お、賢明だね」

松坂「でも………もうちょっと、リリースポイントを上げる…とか?」

阿部「……やってみる?」

松坂「え? ……う、うん」


 シュッ
 パシッ

阿部「…うんうん。もう1球」

松坂「うん…」


 シュッ
 パシッ

阿部「まだまだ磨きをかける必要はあるけど、悪くないかもね。サイドからリリースポイント高めの、スリークォーターだね」

松坂「す、スリークォーター…! ちょっとかっこいい…」

阿部「もうちょっと高めでリリースできる?」

松坂「うん」



 下1 そんなわけで松坂くんのフォームが決定

 1~3 何だか成長したようで、ほくほく松坂
 4~6 球速と制球が1ずつアップ
 7~9 球速と制球が2ずつアップ、やったぜ

成長おなしゃす!


松坂「何だか…ちょっとは安定したような気がする…」

阿部「ぶれぶれだったからねー、投球フォーム。リリースもバラバラ、足を踏み出す間隔もバラバラで…」

松坂「う…」

阿部「だからそういうところ、ちゃんと意識してくようにね?」

松坂「うん。ありがとう…つきあってくれて」

阿部「キャッチャーだからね。当然だよ」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:110キロ
制球:D(50)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(43)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:F(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 そして練習試合も近づいていく…

 1~3 尚、キャップvs副キャップ問題は継続中…この2人、仲悪いよ…
 4~6 まだまだ能力的に低いなりには、松坂の投球が安定してきたような…?
 7~9 チーム全体としての守備力がやや上がった…ような気がする?

どうなる?

たあっ



佐野「ベースカバーが遅いぞ、久遠!」

久遠「ああ、すまない」

佐野「守備だけは松坂を見習わんかい!」

久遠「…」チラッ


松坂「ふっ…!」パシッ

 シュッ

田中「おおーっ、またファインプレー! お前、守備だけはやべーな!?」

松坂「だけ…?」

阿部「実はスタミナオバケなんだけどねー、松坂くんって…」ボソ


松坂「でも田中くんも守備上手だよね…」

田中「まあな!? まあな~!! もっと誉めろ? 松坂? うん?」

松坂「職人って感じで…」

田中「だぁっははっー! そーだよなあー!!」


松坂(表面上…いい感じに見えるチームだけど…)

松坂(やっぱり、佐野くんと阿部くんだけは、ずっと口利いてない…)

松坂(佐野くんが指示出してる時は、阿部くんあきらかにそっぽ向いてるし…)

松坂(かと言って、佐野くんが阿部くんに何か注文つけたりっていうこともないし…)

松坂(いいのかなあ…?)



長島「――諸君、明日はいよいよ練習試合である!」

田中「どこの高校なんすか!? どこっすか!? 強いんすか!?」

中井「いや、この時期の練習試合だし、そう強くないところだろ…?」



 下1 対戦校は…

 1~3 めっちゃ強いとこやんけ!
 4~6 まあ、中堅…
 7~9 強くない(確信

うりゃ


 下1 0コンマ判定

 偶数 ぜ、全国クラスの超強豪校じゃないですかヤダー!!?
 奇数 ぜ、全国クラスの超強豪校じゃないですかヤダー!!? …て、二軍?

2軍のが勝ちやすそう

舐められてるやんけ


長島「対戦校は、帝央大付属高校」

阿部「帝央…!?」

佐野「何じゃとぉっ!?」

田中「ま、マジで…?」

中井「帝央って…甲子園春夏五連覇した…?」

長島「うむ」

松坂「でも…負けちゃったなら、そんなにじゃないんじゃ…?」

田中「!! 松坂、お前めっちゃくちゃいいこと言った!! そうだよな、こんな早くに負けたとか!」

田中「どーせ舐めプでもして格下に下克上されたってオチだな! 恐るるに足りず! だぁっははははー!!」

阿部「……いや、普通に勝ったはずだけど…」

中井「じゃあ、二軍…?」

田中「」

松坂「ああ…」

田中「舐めてんのか!? 二軍って! 二軍て!」

佐野「ぶっ潰すだけじゃ」ゴゴゴ

田中「乗ったぁ!!」

中井「気負う必要はない…よな」

阿部「………久遠くん?」

久遠「…帝央か」

阿部「知り合いでもいるの?」

久遠「いる」

阿部「早めの再会だね」

久遠「そうだな」

松坂(知り合いいるんだ…?)



 下1 そして試合当日! 松坂の出番は…?

 1~7 もちろん、リリーフっすよね…
 8~0 先発!?

先発すんのかよww
てか投手2人だけなん?


 ゾロゾロ…

田中「ほえー、あれが絶対王者の帝央か…。二軍のくせして雰囲気あるな、おい」

中井「おっ、あの丸刈り知ってる。中学の時に試合で戦った」

佐野「ハッ、相手が誰じゃろうがぶっ潰すだけじゃ」

久遠「…」

松坂「久遠くん、知り合い…いた?」

久遠「人数も多いしな…」

阿部「まあ…そうだよね」

松坂「…ところで今日のオーダーって、いつ発表なんだろう…」

中井「え、お前らも聞いてないの?」

阿部「聞いてないね…」



長島「――では本日のオーダーを発表する」

長島「1番、セカンド。田中」

田中「うおっしゃー!! 任されたぁっ!!」

長島「2番、キャッチャー。阿部」

阿部「はい」

長島「3番、センター。中井」

中井「はい。クリーンナップか…」

長島「4番、サード。佐野」

佐野「はいっ!」

長島「5番、ライト――久遠」

久遠「っ……はい」

阿部「え?」

中井「久遠が、ライト…?」

松坂「それって…?」

長島「…………9番、ピッチャー、松坂」

松坂「!!?」

佐野「はあああっ!?」

長島「返事」

松坂「は、はい…」


久遠「俺の、マウンド…」

阿部「……久遠くんが、ライト…?」

阿部「監督、何考えてるんだろう…?」



 下1 コンマ

 1~3 まさかの先発にガッチガチな松坂…
 4~6 今日の調子良くないかも…
 7~9 ブルペンで投げる限りは…まあ、いつも通り…

おりゃ


松坂「な、何で先発なんだろう…? 意味分かる、阿部くん…?」

阿部「うーん……うちのチーム、投手2人だけだし…久遠くんを下がらせざるをえない状況を想定して…?」

松坂「………そ、そっか…。そうだよね…期待されてるわけじゃないんだし…うん…」

阿部「そっち方面にほっとされるのはすっごく複雑なんだけど…捕手として」

松坂「ご、ごめん…」

阿部「さ、肩作ろう」

松坂「うん…」


 シュッ
 パシッ

 シュッ
 パシッ

阿部「うん…いつも通りかな」

松坂「…だよね…」

阿部「でも、このいつも通りが試合で通用するかなあ? そもそも、試合のマウンドで、この通りに投げられるかなあ?」

松坂「ぷ、プレッシャー…」

阿部「何言ってるの、今さら。大会じゃ、1回負ければそれまでなんだよ。一球に泣くのが大会だよ」

阿部「プレッシャーなんて全場面でかかってるものと思って、裸一貫でぶつかるしかないでしょ」

松坂「……う、うん…」

松坂(阿部くんなりの、エール……なのかな…?)



阿部「さあ、しまっていこーぜー!」

<うぇーい!

<こいやオラぁー!

<松坂、きっちり投げろよー!

松坂「後攻かぁ…」

阿部「さあってと…まずは左のサイドでいこっか」



 下1 スイッチピッチング!!

 1~3 ぼろっくそに打たれまくる…
 4~6 ピンチに次ぐピンチと失点…
 7~9 かろうじて…

ふぇい


 カィンッ

松坂「っ…!」

阿部「セカンド!」

田中「まぁかせろやー! ゲッツーコース!」バシッ

<アウト!

田中「ファーストぉっ!」シュッ

 バシッ

<スリーアウト! チェーンジ!


松坂「ふぅっ…」

阿部「上々、上々。やっぱり適度に打たれて塁を埋めた方がフォースアウトにしやすいね」

阿部「あとはフォアボールを少なくしてー、俺のミットにちゃんと投げられるようにしてー」

松坂「はい…」

阿部「ま、ともかく2アウトだよ。ちゃんと守備練習に費やしてきただけあって、ちょっとムラはあるけどザルな守備陣じゃないからさ、リラックスしていこう」

松坂「うん…」


田中「ふぃー…けど、打球が鋭いよなあ…。速いし」

松坂「あんなに難なく捌いてたのに…?」

田中「ギリチョン綱渡りプレーの連続だっての」

松坂「……確かに、結果としてゴロになってたけど…当てられるとどれも鋭くって怖いね…」

中井「ちなみにこれが、二軍ってのも忘れるな? 俺達、どうにかこうにか…って感じだぜ」

松坂「どうにか、こうにか…」

田中「はっはっは、試合楽しすぎ!」


松坂(3回終わって…2失点…。フォアボールの押し出しで1失点と…タイムリーで…)

松坂(対してこっちの攻撃は、いまだに得点0…。投手は2年生みたいだけど、充分、速いし…守備もどこ打ってもアウトにされそうな鉄壁具合…)

松坂(大丈夫かなあ…?)

田中「おっ? 何だ、向こうのベンチ…? めちゃくちゃ叱られてるな」

中井「格下の新設校相手に、どんな試合してるんだお前らは…みたいな?」

田中「ありえる! ――って、何だ何だ?」

 『選手交替をお知らせします…』

阿部「…………内外野、全員…交替…?」

中井「どれだけ選手いるんだよ…練習試合だからって…」


松坂(交替…いつ、させられちゃうんだろう…? 久遠くんが投げずに終わりって、考えづらいし…)チラッ

久遠「誰かキャッチボールつきあってくれ」

松坂(………自分なんかが、このチームのマウンドにふさわしいとは思えないけど……それでも、あそこにいたいって思っちゃうのは何でだろう…?)

阿部「松坂くん。次の回から、色々とやってみよっか」

松坂「え? い、色々って…?」

阿部「色々だよ」


 下1 いろいろ?

 1 右投げと左投げ、打者ごとに交替…て徹底してみる
 2 左打者には左投げ、右打者には右投げ…て徹底してみる
 3 フォアボール覚悟で、左のサイドで際どいとこを徹底して狙う…


阿部「まず左打者に対しては、左のサイドで」

阿部「右バッターが出てきたら、右投げにして勝負」

阿部「規定では両投げの選手は、イニングごとじゃなくて打者単位で投げ分けていいことになってるらしいから」

松坂「そ、そうなんだ…」

阿部「知らなかったの? ド変態のくせに」

松坂「ド変態じゃないよ…」

阿部「とにかくそれでやってみよ。どうなるか見てみたいし、練習試合なんだから試さないと損しちゃうよ」

阿部「バックを信じて、ね?」

松坂「わ、分かった…」



 下1 さあ

 1~3 内外野全交替後の帝央選手が強すぎて…試すどころじゃないような…
 4~6 打者ごとに変えると…やっと定まりかけてきたフォームがブレてくるかも知れない…
 7~9 超強豪・帝央との因縁が今、始まる…?


 下1 0コンマ判定

 偶数 じ、実戦の中で投球フォームがどんどん固まって…? 大幅に能力アップなのか、そうなのか!? これが松坂のスカウトされた理由?
 奇数 スタミナオバケの松坂がピヨるほどの、超猛攻打線に…あっさりノックアウト!? 強豪ヤバすぎやん…これで二軍とか…


阿部(紅白戦の時は…本当に何も考えなしで投げてたんだろうな…)

阿部(ちょっと声かけてアドバイスして、それで実戦を迎えて…)

松坂「ふぅー…」

 シュッ
 バシンッ

<ストライク!

阿部(4回表にして…もう、これまであったフォームのバラつきがなくなってきてる)

阿部(そもそも松坂くんが紅白戦でボロ負けしながら投げきった、あのスタミナは…相当に走り込んで身につけたんだと思うけど…)

阿部(だからこそ、下半身は強靭で、そのボディバランスと、性格由来の真面目さが、あの守備の上手さに繋がってて)

阿部(素地というか…そういうものは本当に、できあがってたんだ。あとは細かい技術と…)


 シュッ
 バシンッ

<ボール!

阿部「……松坂くん、もっと自信持って! いい感じだよ!」シュッ

松坂「あ、ありがとう…」パシッ


松坂(何か……すごく、調子いい…?)

松坂(この前、阿部くんに言われたことを意識して…丁寧に…)

 シュッ
 カキィンッ

松坂「っ――」

中井「任せろ…!」ダダダッ

 パシッ

<アウトー!

松坂(……あれ、またアウト取れちゃった…?)

阿部(松坂くん、自信なさすぎて気づいてないんだろうなあ…。自分のポテンシャル。調子に乗られるよりいい……のかなあ? 悩みどころだな、これは)



 下1 松坂ええやん!

 1~3 しかしやっぱり、帝央強い
 4~6 コントロールの甘さを狙い打たれた…
 7~9 バントで体力削る作戦だったんだろうけど松坂くん守備もスタミナもすごいから…


阿部(ま、課題は山積み――って、ダメそのコースは!?)

 キィィィンッ

松坂「うぇぇっ…!?」

<レフト頭超えたー! 回れぇー!

阿部「あちゃー…」

阿部「松坂くん、気ぃ抜いちゃダメだよ!」

松坂「ご、ごめん…」

松坂(コントロールは、課題だよね…)



長島「ふむ…」

長島(試合でいきなり化けるとは…。阿部とのバッテリーが実を結び始めてるのか…?)

長島(それに両投げも機能している。松坂の成長は想像より早かったか…)

長島(もう少し見てもいたいが、折角の強豪相手の練習試合。久遠をそろそろ投入してみるか…)




 下1 そんなわけで交替させられたし…久遠くんの実力をいこうか

 1~3 豪速球が持ち味の、本格速球派。課題はフィールディングとスタミナか…?
 4~6 豪速球もヤバいし、緩急まで身につけちゃってるヤバい投手
 7~9 弱点あるのん? 完成されすぎとちゃう?
  0  こいつからエースナンバー奪うのはむずいぞー…

松坂もすごいが久遠ヤバイなまだ一年だろこいつw


 『新摂高校、選手の交替をお報せします』

 『ピッチャー、松坂くんに替わりまして、久遠くん――』

松坂「がんばってね、久遠くん」

久遠「ああ。待ちわびた…。いってくる」

松坂「ふぅ…」

長島「松坂」

松坂「は、はいっ…!」

長島「お前の今の力、見せてもらった。だが、久遠の投球もよく見ておけ。気を抜くなよ。見ることも力になる」

松坂「はい」



阿部「久遠くん、5回で登板ってどんな気分?」

久遠「待たされた分…早く投げたくてたまらないな」

阿部「頼もしいね」

久遠「そうか?」

阿部「でもこれ以上の失点は良くないね…。なかなか点を取れそうにないし、結局、3点差だし…」

久遠「大丈夫だ。これ以上は打たれない」

阿部「おおー…。じゃ、しまっていこうか」

久遠「ああ。頼むぞ、阿部」


 シュッ
 ズバァァンッ

松坂「っ…!? ベンチから見てても、分かる…球威…」

 シュッ
 グォンッ

松坂「からの……緩急がついてるし、変化量の大きい、カーブ…」

 シュッ
 ズバァァンッ

松坂「………膝下いっぱい、アウトロー…」

長島「……正直、育て甲斐という意味ではお前の方が圧倒的に上だぞ、松坂」

松坂(それって…喜べないんじゃ…?)



 下1 投手陣はいいようですが、打線は?

 1~3 佐野こらお前、あんなに打つ打つ言ってたじゃん!
 4~6 相手の守備が鉄壁すぎるんよ…
 7~9 こ、これがエースの実力…? チームの打撃まで調子づいた…?

佐野ホームラン



 ―― 5回裏

松坂「久遠くん、お疲れさま。すごかったね」

久遠「松坂ほどじゃない」

松坂「いや……それは絶対にないと思うよ…?」

阿部「そうそう、久遠くんの方が10倍は実力あるよ」

松坂「」

久遠「松坂が傷つくだろう……あんまり言ってやるな…」

阿部「って言いながら悦に浸っちゃうとこだよねー、久遠くんww」

松坂「…」


田中「だあああーっ、クソったれぇ! 投手にばっかいいカッコさせられっかー! 阿部、阿部ぇっ!」

阿部「おっきい声じゃなくても聞こえるよ?」

田中「次、俺は絶対に出るぞ。俺とお前で、1点取ろうぜ」

阿部「……いいね、乗った」

田中「エンドランでいこうぜ」

阿部「監督がオーケー出したらね」

田中「監督ぅー! 俺と阿部を男にしてください!!」

監督「……………いいだろう、好きなようにやってみろ」

阿部「意外と柔軟…」

中井「ま、塁に出てくれれば俺がチャンスを広げるさ。そしたら佐野が、ガツンと一発、だろ?」

佐野「ドアホ」

中井「何だよ?」

佐野「打撃はシチュエーション次第じゃ。ホームランだけがええんとちゃう」

田中「佐野がかっけえこと言った!!」

佐野「どーいう意味じゃあっ!?」


松坂(何だか…久遠くんが登板してから、ベンチが賑やかになってきた…?)

松坂(……すごいなあ…)


 下1 で、結果は?

 1~3 泥臭く掴み取った1点
 4~6 クリーンナップいいぞ(尚、田中ェ…
 7~9 打撃いけるやん! 繋がったやん!



 ―― 6回裏

松坂「6回表で、三者三振…。久遠くん、すごい…」

久遠「照れるな…ふっ…」

田中「久遠だけとは思わせねえー! ぜぇーったいに、俺が反撃の基点になってやる!!」

阿部「がんばって、田中くん」

田中「他人事みたいに言うんじゃねえよ!!」



田中「よぉーし、来いやオラァ!!」

松坂「田中くんって、守備は上手だけど…あんまり打撃練習のところ見てないから…バッターとしては…」

久遠「嫌なタイプだぞ」

松坂「嫌…?」

久遠「足が速い。塁に出られたら、リードも大きい。それにこの前、やたらにバントの練習――」


 カツンッ…

田中「セーフティ、バアアアアーント!!」ダダダッ

松坂「上手いっ…!」

久遠「練習の成果だな」

田中「だぁーっははははー! 見たか! 俺の華麗なるバントを! さあ、盗塁するぜ、しまくるぜぇー!!」


松坂「……今度は…阿部くんの打席」

久遠「阿部は普通に何でも上手いからな…。2番打者じゃなく、3番でもイケそうだが…」

松坂「あ、バントの構え…。送りバント?」

久遠「それだけで、あんなに綿密な打合せをするか…?」


 シュッ
 スッ…

松坂「バット引いて――バスター?」

 ガィンッ

久遠「いやエンドランだ、すでに田中がスタートを切ってる」


 ズザァッ

<セーフ!

田中「だぁーっははははー! これぞゴールデン、ワンツーコンビ!! 今ここに結成!!」

阿部「それはダサくてヤダなあ…」


中井「ノーアウト、一三塁…」

中井「あとには佐野と、久遠…」

中井(監督からのサインは……好きにやれ、ってことか…)

中井(デカめの一発を狙って、タッチアップ? スクイズ? 何でもできちゃう、おいしいシチュエーションだけど…)

中井(………阿部に反対されまくった挙句、俺達の意見を受け入れてくれた佐野のこともあるし…おいしい場面を用意してやりたいな)

中井「よし――」


 カィンッ

松坂「上手い…!」

久遠「三遊間の絶妙な隙間に鋭いライナー…中井のバッティングセンスはすごいな」

松坂「……って久遠くん、ネクスト行かないと」

久遠「ああ。満塁の場面で、佐野が応えられるか…。見物だな」

松坂(ノーアウト満塁…佐野くん…)


佐野「何じゃあ、お膳立てしたつもりか、中井ぃ…?」ジロッ

中井(何か佐野に睨まれてる…!?)

佐野「そこでお前がガツンとホームランでも打って、だめ押しソロホームランの方がワシの印象残るじゃろうが…ドアホが」

捕手(こいつ…シニアの全国大会で、もうちょっとで本塁打記録だった…)


佐野「ったく…どいつもこいつも甘くみすぎじゃ、打撃を」



 下1 佐野、いけるのか!?

 1~3 って、深いだけのセンターフライ?
 4~6 タイムリーツーベスでランナーは一三塁に
 7~9 ドカンと一発、有言実行
  0  まさかの三振


 シュッ

佐野(インコース――詰まらせようってかあ!?)

 ブォォンッ
 ギィンッ

松坂「強引に力ずくのスイング…!」

田中「だぁーっははははー! 余裕でホームイン!」

 ズザァッ

阿部「よっ――とと、俺も生還。やったね、田中くん」

田中「ゴールデンワンツーコンビだからな!」

阿部「うん、それはヤダかな」


松坂「一気に、2得点…」

松坂「1点差…」

松坂「次の打席が、久遠くんで…ここでもしかしたら、同点になるかも…?」



 下1 久遠!

 1~3 結局この回は同点止まり…
 4~6 佐野がさらに1点追加。打者としても佐野くん…
 7~9 久遠くん弱点ないのん…? 天然なとこだけ?

久遠くんと佐野くん間違えたってことでおk?

コンマ表間違ってたな…
正 打者としても久遠くん…


久遠「お願いします」

松坂(打席に入る時に一礼…礼儀正しい…)


久遠「…」グッ

阿部「久遠くんは、ほんとにすごい選手だよね…」

田中「速いしな!」

阿部「それだけじゃないし…というか、打撃成績も好調だしさ」


<ストライク、ツー!

田中「って割に追い詰められてるけどな!」

松坂「…」

阿部「いやいや…難しいボールをあっさり見逃してただけだよ。低めのボール、ゾーンに入ってたのにあえて見逃してた」

阿部「あれは狙い球を搾ってるよね。何狙ってるかは知らないけど――」


 キィィンッ

田中「うおおー! 打ったぁー! レフト方向、伸びてる!!」

阿部「綺麗な流し打ちだよねー」

松坂「中井くんも生還…! これで同点!」

田中「って佐野ぉー! お前、走塁も積極的かっ!? ムリムリ、レフトの肩強かったし! お前の足じゃムリ――」


 ズザァッ

<アウトー!

阿部「あちゃー」

田中「ナイスラーン! そのチャレンジ精神、俺はいいと思うぞ、佐野ー!」

田中「だけど攻めすぎだー! 元も子もないって言葉があるんだぞー!!」

松坂(田中くん…意外と色々と見てるよね…。レフトの肩なんて、頭になかったのに…ちゃっかり把握してたなんて…)



 下1 そして試合結果は…

 1~6 引き分け!
 7~9 ギリ勝てた!

あい

流れ来すぎィ!


 ―― 9回表

松坂「8回で逆転して…あと1人、抑えれば…」

松坂「でも野球は2アウトからって言うし…いやでも久遠くんなら…」


 シュッ
 ズッバアアアアンッ

<ストライク、バッターアウッ!!

<ゲームセット!


松坂「か、勝てちゃったあ…!!?」

長島「驚きすぎだぞ、松坂」

松坂「ご、ごめんなさい…」

長島「整列だ、走れ!」

松坂「はい!」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:120キロ
制球:D(55)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(43)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:D(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



松坂「今日…何だか、いつもと違ってたな…」

松坂「いつもより……何だか、手応えがあったような…」

松坂「……何でだろう」

阿部「そりゃ、フォームが固まったからでしょ」

松坂「うわあっ!?」

阿部「忘れないようにね、今日の感覚」

松坂「う、うん…ありがとう…」


阿部「まあでも久遠くんがいるんじゃ、難しいよね、エースナンバーは」

松坂「エースナンバーなんて、僕には…」



 下1 僕には?

 1 ………い、いけるのかな…?
 2 ムリ、ムリ…
 3 夢だよね…


松坂「…………い、いけるのかな…?」

阿部「弱気だなあ」

松坂「だ、だって…久遠くんは何だかもう、別格っていうか…」

阿部「同じ人間、同じ1年生だよ」

松坂「勝てるところなんて…」

阿部「フィールディングとスタミナ」

松坂「…い、いけるのかなあ…?」

阿部「いける、いける」

松坂「……どうしたら、いけるのかな…?」

阿部「それは自分で考えてね」

松坂「……ですよね…」

阿部「でも今日は、いい内容だったね。お疲れさま、松坂くん」

松坂「………うん」

松坂(普通に誉められた…!)




 ここまで
 ありがとうございました

 何かおいしいもん食べてきます
 気が向いたら再開するかもです

おつー

球速伸びたな

おつおつ
抑えの方にエースナンバーって好きだから松坂くんはスターター取れるように頑張っていけー

乙です


2軍相手とはいえ勝つとはww


 ~長島監督のゆううつ~

長島「……まさか、勝つとはな…」

長島「…」

<コンコン

夕実「監督、片づけ終わったので帰りますね」

長島「ああ。気をつけて帰るように。いつも選手達の世話をしてくれてありがとう」

夕実「! そ、そそっ、そんなお礼を言われるほどのことは…!」

長島「……そのついでに俺の世話も見てもらいたいのだが」

夕実「はい…?」ジトッ


長島「………今日の練習試合、負けて高校野球のレベルを知ってもらうつもりだったのだ…」

長島「そして強豪校とは言え、相手が二軍であったことを強調して、まだまだ自分達は発足したてのチームでしかないと感じてほしかった」

長島「高校野球というステージは、これまでとは全く違うものだと思い知ってもらいたかった」

長島「それなのに勝ってしまった…」

長島「それが、悔しい。しかし嬉しい自分も存在している」

長島「………この感情は、何だと思う、種田?」

長島「……………種田?」チラッ


長島「…………………すでに帰っていたか…」

長島「さみしい…」

長島「…選手にやさしくとも、監督にはそうじゃないのか…」

長島「はあ…」



夕実「あの監督も……なかなか、久遠くんみたいな天然っぽさあるよね…」

夕実「お茶目っていうか…オッサンなのに…。うーん…」

夕実「悪い人じゃないっぽいけど…面倒臭い、うん」

(途中でめんどうになってスーパーでお惣菜買ってきたのは内緒なんだぜ)

再開だぜ!



 破格の投手と、バッテリーを組んでいた――。
 2学年上の先輩で、誰より練習をして、誰より高い目標を持って、毎日、ボールを投げ続けていた。

 その先輩の輝きに照らされて夢を見た。
 全国制覇という、その夢の響きはチームの誰もを酔わせた。

 力投を続け、夢の舞台まであと一歩まで辿り着いた。
 けれどその時にはもう、気づくのが遅れてしまっていた。

 連投の疲れだと思い込んで。
 ただ少し調子が下がっただけと思い込んで。


 先輩の肩と、夢は潰えた。
 誰より輝いていた先輩のその後は、知らない。

 バッテリーとして自分が気がつくべきだったのに、ただ勝つことだけを見据えたばかりに。
 僅か15歳にして夢を潰えさせた先輩に申し訳がなくて、向き合うのが怖くて、逃げてしまった。


 俺の、唯一の、汚点――。




 バシンッ

阿部「久遠くん、ナイスボール」

久遠「ああ」

阿部「でもそれくらいにしておこうか、今日は」

久遠「まだ足りないくらいだぞ」

阿部「試合で昨日投げたんだからいいでしょ。次は松坂くん、受けてあげる」

松坂「よろしく…お願いします」

阿部「久遠くんはボール触る練習はもうおしまいね」

久遠「投げ足りない…」

阿部「言うこと聞かなきゃもう捕ってあげないから」

久遠「…松坂……俺の分まで、投げてくれ…」

松坂「負けてる試合で降板するんじゃないんだから、そんな言い方しなくても…」


久遠「その分、打ってくる」キリッ

阿部「いいね、その切り替え」

松坂(天然だよね、久遠くんも大概…)



 下1 練習や!

 1 球速アップしたい!
 2 制球アップしたい!
 3 変化球磨きたい!


阿部「丁寧に、一球ずつ、遅延行為にされないぎりちょんくらいまで時間使っていいからね」

松坂「う、うん」

 シュッ
 バシッ

阿部「うんうん」

松坂「ふぅー…」


松坂「…ふっ」

 シュッ
 バシッ

阿部「うんうん。じゃあ反対の腕」

松坂「分かった」


 シュッ
 バシッ

阿部「うーん…うんうん」

松坂「何だか…不安になるんだけど…」

阿部「こっちが不安だったんだよ? 一日置いたらすぐ、またフォームがブレちゃうんじゃないかってさ」

阿部「折角、昨日は使えてたのにもうダメになっちゃたんじゃないかなーとか」

松坂「えええ…?」

阿部「ただ、大丈夫だったみたいで一安心って感じだね。丁寧に投げてね、引き続き」

松坂「はい…」



 下1 制球アップ

 コンマ一桁/2


松坂「何だか…前よりコントロール良くなってるような気がする…?」

阿部「そうだね」

松坂「…や、やっぱり…?」ゴクリ

阿部「自分のことなのに驚きすぎじゃない?」

阿部「それだけ、これまでのフォームが酷かったっていうだーけ」

阿部「でも、だからこそ、ここからは小手先じゃ通じないからね?」

松坂「うん…」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:120キロ
制球:D(57)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(43)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:D(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 イベントしよーぜ、イベント

 1~3 田中くんイベ
 4~6 中井イベ
 7~9 佐野イベ続き


佐野「ふんっ、ふんっ、ふぅんっ…!」ブオンッ

佐野「ふぅーっ……ふぅぅーっ…」

松坂「あ、佐野くん…」

佐野「………何じゃ、松坂か。また覗き見か? ド変態が」

松坂「違います…」

佐野「ああん? 口答えするんか、コラ?」ゴゴゴ

松坂「ち、違うのに…っ…」

佐野「ふんっ…つまらん」


佐野「ちゅうか、お前…バット振っとるんか?」

松坂「え?」

佐野「ワシゃ、お前が素振りしとるとこを見たことがないのう? おおん?」

松坂「………ふ、振ります…」



 下1 素振りさせられるはめに…

 1 500本って多いよ…
 2 でも、どんなバッティングすればいいんだろう…?
 3 佐野くんの打撃フォームをまねて…

2



松坂「…」ブンッ

松坂「…」ブンッ

松坂「あ…」

松坂(そう言えば…阿部くんが素振りでも考えなきゃダメって言ってたような…)

松坂(だけど…どういう、素振りをすればいいんだろう……?)


佐野「…手え止まっとるぞ」

松坂「ご、ごめん…」

佐野「もうバット振るん飽きたか?」

松坂「そうじゃなくて…その、素振りする時も、ただ振るだけじゃダメ…かなと思って」

松坂「シチュエーションを想像する…と言うか…?」


 下1 佐野くんの反応…

 1~3 ドアホって…
 4~6 あれ、機嫌悪くなった…?
 7~9 佐野っちやっぱ、どっか親分肌というか…?


佐野「ドアホ」

松坂「」

佐野「そりゃ、ある程度バット振り込んで、最低限の技術持ってる打者がやることじゃ」

佐野「お前みたいなバットに振り回されるような素振りしかできんようなやつが考えることとちゃうわ」

松坂「」

佐野「お前は500じゃ足りん、1000本じゃ、1000本!」

佐野「徹底的に振りまくってムダな力削ぎ落としてから、自分なりのバッティングフォームを見つけて考えんか、ドアホが」

松坂「ごめんなさい…」

佐野「調子に乗るな、ボケカス」

松坂「はい…振ります…」


 ブンッ
 ブンッ
 ブンッ

佐野「…」ジィッ

松坂「…」ブンッ

松坂(すごく見られてる…!)ブンッ



 下1 佐野イベ進展なるか?

 1~3 ならず
 4~6 両打ちなんだから左でも500振れよ、って言われた
 7~9 じっくり見られながらどうにかこうにか振りまくった

ほい


佐野「ほいじゃの。しっかり振ってから帰れ」

松坂「はい…」

佐野「1本でもちょろまかしたらぶっ殺すぞ」

松坂「……はい」



 下1 佐野イベ、進まんね…

 コンマ一桁/2 打力上昇


松坂「こんなのを毎日やってるなんて…」

松坂「佐野くん、すごいなあ…」

松坂「腕がもうパンパン…」


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:120キロ
制球:D(57)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(44)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:D(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



長島「夏大会まで、2ヶ月程度しか時間はない」

長島「今週末より練習試合を積極的に行うとともに、そこで見つけた課題を克服する練習をしていく」

長島「それと最近、ノートの提出を怠っている者が増えてきている。しっかり、毎日、何かを書いて提出するように」

松坂(そう言えば最近、出してなかった…)

松坂(何か書かなきゃ…何を書こう…?)



 下1 監督との交換日誌…

 1 コントロールアップをがんばっていきたいです。
 2 フォームが安定してきたと阿部くんに誉められてうれしかったです。
 3 その他、内容

1


松坂「コントロールアップを…がんばって…いきたいです……と」

松坂(1行でいいのかな…?)

松坂「…………いっか」パタン


長島「む、松坂。10日ぶりだな、お前のノートは」

松坂「」

長島「楽しみに読ませてもらおう」

松坂「………お願いします…」

長島(日数覚えられてると…何だかこう……やりづらい…)




 下1 交換日誌…

 1~3 もっと色んなことを書いてほしいです。   byかんとく
 4~6 コントロールの上手い投手の強みがたくさん書かれた。
 7~9 インナーマッスル強化のトレーニングについて詳しく書かれた。インナー、マッスル…?



松坂(ノートが返ってきた…)パラ

松坂(1行しか書いてないのに、見開き2ページ丸々、埋められた…!?)

松坂「えっと…」

松坂「…………」

松坂(コントロールが上手い投手の強み…?)

松坂(……へえ…そうなんだ…)


阿部(実は監督との交換日誌、楽しみなんだよね…)

阿部(どんな話題にも食いついてきてくれるし…。木星の地面がないことについて…とかふざけて書いたっけ。何て返ってくるかな…?)ワクワク

阿部(どれどれ…えーと………木星には地表がない…? 中心地まで降り立つと…火傷で死ぬ!? 何それ不思議!?)

阿部(へー…そうなんだ…)


佐野(何でワシが監督なんかと交換日誌せにゃならんのじゃ…)

佐野(素振り最高記録は一晩に2210本とか、前は書いたかのう…?)

佐野(………………はあっ!? 現役時代は3000本がノルマっ!? アホちゃうか、嘘こくなや!)


田中(そーだよなあ、やっぱKSE48(※)はファーストシングルが最高、うん監督さすがぜ、分かってるぅ!)
※KSE48……甲子園48、人気のアイドルユニット


中井(生姜焼きに蜂蜜か…)

中井(いいかもな…今度試してみるか…)


久遠(焦って新しい変化球を覚える必要はない…か)

久遠(だが、もう1球種あった方が幅が広がると思うのだが…。食い下がってみるか…?)


長島(ふっ…こうしてノートを返した後、それぞれに読みふけっている光景は楽しいな)

長島(眠る時間を削った成果だな…ふふふ…)


夕実(また監督がニヤついてる…!)



 下1 練習!

 1 球速アップを!
 2 制球アップを!
 3 変化球磨きを!
 4 全体的な筋力アップを!



松坂「コントロール、コントロール、コントロール…」

松坂「ふっ…!」

 シュッ
 バシッ

阿部「おっ…?」

松坂「どうかした…?」

阿部「いや、今ね、ほとんどミット動かさなかった」

阿部「コントロール良くなってきてるね」

松坂「あ、ありがとう…」

松坂(また誉めてくれた…)ホクホク


阿部(乗せやすいなー…)

阿部(うちの投手は素直だからいいよね…)

阿部(まあ、ちょぉーっと物足りなさがあるかもだけど…)



 下1 コンマ

 コンマ一桁/2 制球上昇

コントロール大事!


阿部「ま、そう簡単に練習の成果が出るなら、世の中はスター選手だらけだよね」

松坂「…はい」

阿部「無知の知、って言葉もあるしね」

阿部「自分に足りないものを知ってる、っていうのは大事だよ」

松坂「はい…」

阿部「あとね、木星って地表がないらしいよ」

松坂「え? う、うん…」

阿部「不思議だね…」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:120キロ
制球:D(58)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(44)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:D(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 そして練習試合…

 1~3 久遠やべーわー…で終わった
 4~6 打撃にムラがありすぎるチームというか…?
 7~9 松坂もがんばりました! 失点は少なくないけど…



 「ゲームセット!!」

 『ありがとうございましたぁっ!!』


田中「うしゃしゃー! やぁーっぱ久遠がいりゃあ、俺ら、1年目にして甲子園出場できるんじゃねっ?」

中井「何言ってんだよ…。こっちはどうにかこうにか、1点もぎ取れただけだっていうのに」

阿部「そうそう。久遠くんが3人いれば盤石だけど、実際はそうじゃないんだから」

松坂「出番なかった…」

久遠「スタミナも強化していかないとな…」

佐野「何じゃ今日の打撃はぁっ!? どいつもこいつも、腑抜けたバッティングばっかしよってぇ!!」

佐野「1000本素振りじゃ、今日は! 終わるまで帰さんぞぉっ!!」

田中「お前は監督じゃねえだろ!ww」

中井「でも……この前の、帝央ではしっかり繋がった気がしたんだけど…。何がいけないんだろうな?」

阿部「うーん……シートバッティングでもして、実践的な打撃の練習にするとか…?」

佐野「…」ピク

阿部「いやでもランナーさえなかなか出なかったような状況なんだし、それ以前の問題だね」

佐野「…」ケッ


田中「けどやっぱ、こんままじゃ久遠ばっか注目されそうだよなあ…」

久遠「……ふっ」

中井「浸った!」

田中「悦に浸った! こいつめっ!」

久遠「嫉妬されるのも仕方がない…実力の世界だ」キリッ

田中「うぜえこいつ!!」

中井「いやでも結果出してるからなあ、久遠は…」


松坂「出番なかった…」

阿部「はいはい、松坂くんはブルペンいこうね…」


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:120キロ
制球:D(58)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(44)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:D(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ

 今度こそ今日はここまで
 どうもありがとうございました

おつ

乙、今更ながら両投げってグローブいちいち変えてんのかなww?

>>415
両投げ用のグローブがあるらしいぜ。

両投げ用グローブって、指入れるとこが多いんやって

さ、はーじまーるやでー


 ―― 6月

佐野「ゲージ増やして打ちまくらんとあかんじゃろうが!」

佐野「練習試合の度に、いくら投手が失点少なくしようが全然、打線が繋がっとらんわ!」

佐野「だからゲージとマシンを総動員して並べて特打じゃ! 特打!」

阿部「あのさあ、じゃあそれ、どういう状況を――」

佐野「状況、状況言う前に、基礎的な打撃が弱いんじゃ、あいつらは! 数こなして体に染みつかせる他あるか、ドアホが!」

阿部「曲がりなりにもスカウトされて集まった選手が大多数なのに、そんなの言い訳にならないでしょ。松坂くんじゃあるまいし」

松坂「え? 何で引き合いに…? 打撃ダメすぎて…?」

佐野「ほならお前は今のチームの打撃力の弱さをどうせえっちゅうんじゃ!!」

阿部「んー、そうだなあ…」

佐野「考えなしかい、ドアホ! だったらワシの案でええじゃろうが、ああんっ!?」

阿部「考えてるとこでしょ? 考えなしとか決めつけないでくれる?」

佐野「ほなら2秒で言え! にーぃ、いーち、時間切れじゃ、ドアホ!!」

阿部「あー、そっか。佐野くん、脳みその成長がうんことちんこ大好きの小学3年生で止まってるのか…」

佐野「ぶっ殺すぞ!?」

阿部「うんこ菌移るからよしてくれない?」

松坂「はあ…」

松坂(今日も今日とて、練習メニューを決める話し合いが罵り合いに…)

松坂(この2人、仲悪い云々の前に…馬が合わないんだろうなあ…)

松坂(もうすぐ夏なのに、大丈夫かな、これで…?)



 下1 練習

 1 球速アーップ!
 2 制球アーップ!
 3 変化球あっぷあぷ…
 4 インナーマッスル鍛えYO!


松坂「…」グッ

松坂「…」グッ

松坂「…」グッ


久遠「…」グッ

久遠「…」グッ

久遠「…」グッ


松坂(チューブトレーニングと、軽めのダンベル使ったトレーニングで、インナーマッスル鍛えてって…阿部くんに言われたけど)グッ

松坂(こう…久遠くんと2人で黙々とやると、何か気不味い…。だけどお喋りしながらトレーニングっていうのも…)グッ

久遠「…」グッ

松坂「…」グッ



 下1 コンマ

 1~3 もくもく…
 4~6 野手組、楽しそうだな…
 7~9 久遠くんから話しかけられた

>>417
なんかエロい
やっぱり松坂くん変態なんやな…。


久遠「…両投げ用のグローブ」

松坂「え? うん…」

久遠「この間、勝手に見せてもらったが…」

松坂「う、うん…」

松坂(何してるのこの人?)

久遠「指入れるところが多いんだな」

松坂「うん…」

久遠「あながち、ド変態じゃないんだな」

松坂「いい加減やめようよ…そのネタ…」

久遠「ネタ?」

松坂「本気ってタチが悪いね…」


久遠「まあ、それはいいんだが…」

松坂「あまり良くないけど流れてくれるならいいような…?」



 下1 久遠くんからどんな話題が…?

 1~3 雑談しながらすごした
 4~6 久遠くんて、ええ人だよ…天然のおばかさんだけど
 7~9 久遠イベ発生!


久遠「中井が昨日の放課後、女子に呼び出されてたんだ」

松坂「え?」

久遠「同じクラスだからな」

松坂「ああ…そ、それで?」

久遠「告白されていた」

松坂「ええっ? じゃ、じゃあ…彼女持ちってこと…?」

久遠「……5人目の」

松坂「ええええー…?」

久遠「なかなか…あいつはクズだな」

松坂「5股…あんな、爽やか好青年みたいな雰囲気出しておいて…5股…?」

久遠「俺が知らないだけで、他の4人と別れてる可能性もあるかもだが…」

松坂「だとしてもモテすぎ…」

久遠「もげればいいのにな」

松坂「……でも、久遠くんも、モテる方じゃないの…?」

久遠「何人か…いたことはあった」

松坂「ほら…」

久遠「だが、みんな口を揃えて…野球とわたしとどっちが大事なのとか言って、振られた」

松坂「………久遠くん…」

久遠「デートはしたことないな…そう言えば…」

松坂「ああ…久遠くん…」


久遠「松坂はどうなんだ?」

松坂「……………い、今は、いないよ…?」

久遠「これまでは?」

松坂「…………………………ご想像に…お任せします…」

久遠「いたことないんだな」

松坂(基本天然なのに、何でこういうとこだけっ! こういうとこばっかり…!)グググッ

久遠「それじゃトレーニングにならないぞ」

松坂「あ、はい…」



 下1 練習後は、もちろん…?

 1 キャップvs副キャップの激論を終わるまで見守る…
 2 素振り500本…
 3 さっさと帰っちゃうもん!


長島「――では、本日はここまでとする」

佐野「あざぁーっしたぁ!!」

 『あざぁーっしたぁっ!!!』


松坂「終わった…うぅ、何か疲れた…腕が…あと口も…」

佐野「素振り500本するまで帰るなよ」ゴゴゴ

松坂「」

他の選手達「」


 ブンッ
 ブンッ
 ブンッ


松坂(どんなにハードな練習の後でも、絶対に佐野くん、これ言うんだよね…)ブンッ

松坂(でも本人が普通に500本以上振ってるから誰も文句なんて言わないし…そもそも、佐野くんに堂々と文句言えそうなのって、阿部くんと…田中くんくらい?)

松坂(だけど2人ともこの素振り500本について、本人に文句は言わないんだよね…むしろちゃんとやってる側だし…)

松坂(阿部くんは、そういう指示についてどうなのってちょいちょい言ってるけど…想定がどうとか…)

松坂(でもちゃんとやってるんだから、従ってるっちゃ、従ってる部分なのかな…?)



 下1 素振り500本!!

 コンマ一桁/2 上昇


松坂「499…!」ブンッ

松坂「500…!」ブンッ

松坂「はぁ…はぁー………終わった…」

佐野「おう松坂」

松坂「あ」

佐野「左でも500振っとけ」

松坂「」

佐野「分かったのう」

松坂「はい………」

佐野「投手だろうが、9人目の打者なことに変わらんからのう?」

松坂「はい…………」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:120キロ
制球:D(58)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(46)
筋力:E(50)
走力:D(60)
肩力:D(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 さてさて、初めての夏までもうちょいですな

 1 特別強化合宿を敢行する   by長島
 2 だがしかしその前に! 高校生として外せないクラスマッチというイベントが! きたぜぇっ!!  by田中
 3 何もないわボケが  by佐野くん…


松坂「もう、1ヶ月後には夏の大会が始まっちゃうんだね…」←1年1組

阿部「そうだね」←1年1組

田中「だがしかぁーし、その前に!!」←1年1組

松坂「その前に…?」

田中「高校生として外せないクラスマッチというイベントが!! きたぜぇっ! ハーッハハハー!!」

阿部「ああ…」

松坂「そう言えば、そうだね…」

田中「お前らテンション上げろ! で、で、何の競技に出るよ?」

田中「部活でやってる競技に参加しちゃいけない、みたいなしちめんどくせえルール無用らしいぜ!」

田中「だからまあ、バスケ部はバスケだし、卓球部は卓球だし、サッカー部はサッカーだし…」

阿部「で、俺らは野球がないから、ソフトボール?」

田中「そこな! ソフトボールしかないっていうな」

松坂「あはは…。硬球、危ないしね…。軟球も軟らかくはないし…」

田中「どーするよ、マジで?」



 下1 クラスマッチかあ…

 1 卓球で
 2 バスケで
 3 サッカーで
 4 ソフトボールで
 5 フケようよ…

すみません
ソフトボールに変更で


松坂「……卓球、やろうかな」

田中「卓球wwwwww」

松坂「な、何で笑うの…?」

田中「いや何かwww 松坂がwwwww 卓球wwwwww 似ww合wwうwwww」

松坂「……何かバカにされてる気分…」

阿部「いいじゃない、卓球。俺も卓球にしようかな」

田中「マジでっ!? 俺と一緒にバスケしねーの!?」

松坂「いつそんな話が…?」

阿部「彼の脳内で」

田中「なーなー、バスケやろーぜー?」

阿部「えー?」

田中「てかもう、エントリーしといたから」

松坂「えっ」

田中「松坂もな」

松坂「た、卓球は…?」

田中「別に1つしか出ちゃダメってことねえし、2つやれよ」

阿部「強引だなあ…。まあいいけど」

松坂「いいんだ…?」



 ↓1 そして、クラスマッチ当日!! まずは卓球から!

 1~3 えっ、ラケット2本持ちはダメなの!?
 4~6 松坂、野球選んで良かったな…
 7~9 松坂、卓球やってた方が良かったんじゃ…?

>>432 おっ、すまぬ、気づかなかった! でも投下しちゃったもんで…ごめんなさいこれで進めます。この下でおなしゃす

はい


阿部「それじゃ松坂くん、がんばろっか」

松坂「よ、よろしくね…」

阿部「まあ、簡単にラリーくらいはできるし、ちゃちゃっとやっつけよっか」

松坂「うん」

松坂(野球では投手と捕手…卓球じゃ、ダブルスのペア…)

松坂(うん、他のダブルスの人達に負けない息の良さを発揮したい…)


佐野「なぁーんでワシが、ちまちました卓球なんぞやらんといけないんじゃああああああああ―――――――――――――――っ!!?」←1年2組

中井「しょうがないだろ、お前寝てたんだから。決める時に」←1年2組

久遠「ああ。俺が推薦しておいた」←1年2組

佐野「おんどりゃああああ!?」

中井「うおっ、どうどう、佐野、どうどう…。ちゃんと俺とのダブルスだし、任しとけって」

佐野「ったく…ワシゃどうなろうが知らんぞ」

中井「さてさて、初戦の相手は…」


松坂「……あ」

阿部「目があっちゃったね…」

佐野「1組が相手――ってお前ら…」

中井「なるほど、そうなるか」

田中「まさかの野球部対決がきたぁーっ! どっちが勝つと思う、久遠っ!?」

久遠「松坂の器用さに俺は注目したい。あと阿部の腹黒さ」

田中「いやいやいやいや、腹黒さなら中井もなかなかだぜぇー? つーか、俺は佐野に期待! きっと卓球も素振り1000本じゃ、とか言うんだろ!?」

佐野「言うかドアホ!」

田中「注目の戦いはぁ~……3行後!!」



佐野「ぬぅんっ!」スカッ

中井「」

松坂「サーブ、サーブ…ふぅー……ふっ」スカッ

阿部「」

田中「あー……どう見ますか、解説の久遠さん」

久遠「佐野と松坂が足を引っ張りすぎているな…目もあてられない、とはこのことだ」

田中「ところで女子の体操服姿って、いいと思いませんか、久遠さん」

久遠「ああ…透けブラがいいな」

田中「なっ!」



 下1 卓球勝負の勝敗はおいといて…

 1~3 何故か走力が3アップした!
 4~6 何故か守備力が3アップした!
 7~9 何故か筋力が3アップした!
  0   何故か球速が2アップした!!

でやっ


田中「さあ、バスケがんばろうぜ!!」

松坂「…そうだね…」

阿部「クラスマッチの勝敗なんて引きずらないでよ、松坂くん…」

松坂「うん…」

阿部「まあ……………クソドヘタくそではあったけど」

松坂「」

阿部「それは佐野くんも一緒だし」

松坂「!! そ、そうだよね…?」

田中「それで希望を持つってどーよ!? で、バスケの初戦はぁー…あー………おおう?」



佐野「何で今度はバスケじゃっ!? ソフトにせえ、ソフトに! そうすりゃ打ちまくってやるわ!」

久遠「野球部はいつもやってるからいいだろう、ってクラスのみんながな…」

中井「そーいうこと~。だからバスケで我慢しろって」

佐野「つーかワシゃ、何で2種目出るんじゃ?」

久遠「佐野は寝てたからな」

中井「寝てる方が悪いな」

佐野「そこに直れ、ぶっ殺しちゃるわあっ!!」

中井「それならほら、最初、1組と当たるし」

佐野「ああん?」ギロッ


松坂「」

阿部「おー」

田中「うわははははっ! また1組と!wwwww」




 下1 バスケ勝負!!

 1~3 松坂ェ…
 4~6 ドヘタくそな、松坂と佐野…
 7~9 バスケの方が良かったんとちゃうのん?

う(た


 下1 0コンマ判定

 偶数 バスケと誰が言った? これはバヌケだ
 奇数 唯一の活躍したところを夕実にバッチリ目撃してもらえた…?

はい


阿部「――跪け」

<また出たぁーっ!!

 ドサァッ

阿部「天帝の眼《エンペラー・アイ》」

阿部「田中くんっ!」シュッ

田中「おうよぉっ!」パシッ

 ダムダムダム…


中井「通させないぜ」

田中「ムダなのだよ」シュッ

中井「この距離でっ…!?」

<ま、また出たぁーっ!!

 スポッ
 ピィィィーー

田中「俺のシュートレンジは、コート全てだ」クイッ

中井「お前眼鏡かけてないだろ普段…」


中井「しゃあねえ、反撃いくか! 久遠!」シュッ

久遠「ああ、任せろ…!」

松坂「うわっ、ちょっ…!? 動きがすごい…!?」

田中「はんっ、ボードの裏まで出てどーす――」

久遠「ふっ」シュッ

<ま、ま、また出たぁー! フォームレスシュートぉー!!

松坂(ていうかさっきから、皆…すごすぎない…?)


田中「やり返そうぜぇっ! 阿部、パァース!」シュッ

阿部「ゴール下まで一気に――でも!」

佐野「ぬぅん…!!」ゴゴゴ

<ま、ま、ま、また出たぁー! 3ポイントライン内側全部を守りきる佐野だぁー!!

阿部「ここで、バックパス! 田中くん!」

田中「っしゃ来た、こっからぁ――」

佐野「させるかドアホがああああああっ!」

松坂「あの距離でっ!?」

 バシィッ

阿部「くっ…!」

田中「しまった、ボールがこぼれ…!」

中井「完全なる模倣《パーフェクト・コピー》」

松坂「あ、あれは…!」

<ま、ま、ま、ま、また出たぁー!! 中井が久遠の動きを完全にコピーしている!!


松坂(異次元すぎるよ、このバスケ…)


 下1 コンマ

 1~3 何故か変化球が3ずつアップした!
 4~6 何故か制球が4アップした!
 7~9 何故か球速が4アップした!
  0  何故か全投手能力が3アップした!


松坂「疲れた…」

田中「いやー、バスケは燃えたな!」

阿部「ねー」

松坂(燃えたっていうか…何ていうか…何でみんな野球やってるの…?)


佐野「ほなら練習じゃ、ドアホどもが。切り替えろや」

久遠「バスケくらいの守備力が野球であればいいのにな」

中井「言ってやるなって。佐野だぜ?」

佐野「どーいう意味じゃ、ボケどもが!!」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:120キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(46)
筋力:E(50)
走力:C(63)
肩力:D(球速換算)
守備:A(86)

特能:四刀流/どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★☆☆
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 練習!!

 1 球速アーップ
 2 制球アーップ
 3 変化球あげあげ
 4 インナーマッスル鍛えるZE

4

1


松坂「今日のバスケ、すごかったね…」グイッ

久遠「そうか?」グイッ

松坂「そうだよ…」グイッ

久遠「だが松坂も、見事な存在感の消え方だったな」グイッ

久遠「一瞬、コートのどこにもいないような気がした」グイッ

松坂(あんまりうれしくない…)グイッ



 下1 インナーマッスルは、どこかのタイミングで効くから直接的な能力アップには関係ないのじゃよ…でもやった方がいいかも?

 1~3 今日も今日とて、キャップvs副キャップ…
 4~6 コンマのせいでなかなか進まない佐野イベ
 7~9 中井イベとか?

4


松坂「498…! 499…! 500…!!」ブンッ

松坂「はぁー…」

佐野「…おう、松ざ――」

松坂「左でも500本…」

佐野(何じゃ、言われんでもやるんか…)

松坂「1…! 2…!」ブンッ

佐野「…」ブンッ



松坂「498…! 499…! 500…!!」ブンッ

松坂「終わったぁ…」ガックシ

松坂「………はぁぁー……」

佐野「…」

松坂「…帰ろう――」

松坂「うわっ!? 佐野くんっ…!?」

佐野「何じゃ、気づいとらんかったのか、ドアホが」

松坂「ごめんなさい…」

佐野「まあええわ」



 下1 台詞選択

 1 佐野くんは今、毎日何本くらい振ってるの…?
 2 そ、そう言えば…スーパー行かなくていいの…? また冷えたポテトしか…って…前に…
 3 な…夏が、もうすぐだね…


松坂「そ、そう言えば…スーパー行かなくていいの…? また冷えたポテトしか…って…前に…」

佐野「ええわ、それくらい」

松坂「いいんだ…」

佐野「最近は冷食のチャーハンかパスタじゃ」

松坂「それはそれで…いいの…?」

佐野「炭水化物さえ取っときゃ問題ない」

松坂「…はい…」


佐野「じゃがな…」

松坂「え…?」

佐野「そう言えば………今日はカップ麺が安い日じゃ! 箱買いせにゃならんかったわ、ボケが!」

松坂「えええー…?」

佐野「思い出させてくれたついでじゃ、おひとり様1箱までのカップ麺、お前も買え。ワシの家まで運べ」

佐野「素振り見といてやった礼にしちゃ丁度ええじゃろう? さっさと着替えんか!」

松坂「は、はい…!」



 下1 横暴だよ…

 1~3 佐野くんチ……学校から近っ!?
 4~6 何だか野球に一生懸命な佐野くんの姿が見える…
 7~9 スーパーから佐野くんチに行く途中…野良猫わんさかスポットが!?

進め


佐野「大漁じゃ、大漁じゃっ! がはははっ!」

松坂「まさか変装させられて1人で2箱買うなんて…段ボール2つって持ちづらい…」

佐野「重いもんでもないんじゃ、文句言うな」

松坂「はい…」

佐野「1個くらい分けてやるわ」

松坂(1個なんだ…)


松坂「あ、佐野くんの家って…あっち方面だっけ?」

佐野「ん? それが何じゃ?」

松坂「こっち…通ったら近道になる……と思って」

佐野「ほう…。ほならそっち行くか」

松坂「うん」

松坂(あれ、でも確か…この道って……あれ、何だっけ…?)


 スタスタ…
 スタスタ…

<みー

松坂「あっ…」

佐野「何じゃ、いきなり止まって?」

松坂「あ、い、いやっ…やっぱり通らない方が、いいかも…なんて…」

佐野「アホ抜かせ、今さら引き返す方が手間じゃ! 行くぞ!」

松坂「い、いやでもっ…あの、佐野くんには――」


<みぃーみぃー

<にゃー

<にゃおん

佐野「」

松坂(ここ…野良猫がたくさん集まってる道だった……)

松坂(もっと早く思い出せれば……ああ……怒鳴られる…怒られる……)



 下1 佐野っちの反応やいかに!?

 1~3 あ、あれっ…?
 4~6 耐えてる…必死に耐えてる…!
 7~9 こんな佐野っち見たくなかったー!!!

やあっ


佐野「…」

黒野良猫「にゃう…」スリスリ

佐野「…」

野良子猫「みぃー」ジィッ

茶虎野良「にゃーお…」


松坂「あわわわわ…」

松坂(何故か野良猫達が佐野くんに興味津々というか、1匹めちゃくちゃ人懐っこい! 足に頭すりつけてる…!)


佐野「…おう、歩きづろうてかなわんわ。これじゃ…ったく、しょうがないのう…」スタスタ

松坂「あ、あれっ…?」

佐野「何じゃ、松坂?」

松坂「い、いえっ、何もっ…」

松坂(ふ、普通に…素通り…?)



佐野「ほれ、礼じゃ」ポイッ

松坂「あり、が…とう……」

 松坂は ラーメンを ゲットした! ▽


松坂「そ、それじゃあ…また明日…」

佐野「おう。ほんじゃな」


松坂(…………あるぇぇ~……?)



 下1 次の練習試合で…

 1~6 佐野くんが無安打どころか、豪快空振りさえもなく、見逃し三振を3回も…
 7~9 阿部くんさえ心配するくらいに、打撃絶不調の佐野っちだった…


 下1 0コンマ

 偶数 ま、まさかの佐野っちイベ、完了!? コンマに恵まれたね!?
 奇数 佐野っちぃ~…だぁいじょうぶかよぉぉー…?

イベント完了でゾロ目とは


佐野「…っ」ピタッ

<ああ~っ!!

松坂「佐野くんが…全打席で…」

田中「み、見逃しの…三振…」

久遠「振ることも、なく…?」

中井「どうした、あいつ…?」

阿部「悪いものでも食べた…とか…?」


<ストライク、バッターアウト!

<ゲームセット!



長島「――佐野、今日の打席は何だ?」

佐野「…」

長島「お前は果敢にバットを振り、点をもぎ取ろうという打者だったように見えていた」

長島「ただパワーだけで飛ばすのではなく、バッティング技術を磨き、どんな局面にも対応できるような打者。それがお前の理想型だと感じ取っていた」

長島「だと言うのに、何故、何もできずに見逃し三振を連発した?」

佐野「…」

長島「…………4番にも、キャプテンにも向かないな、それでは」

佐野「っく…!」

長島「お前のバッティングはどこへ行った!? 応えろ、佐野!」

佐野「………すんませんでした。頭冷やして、バット振って――」

長島「走っていろ。俺がもういいと言うまで、グラウンドを走れ!」

佐野「はい…っ…!」


松坂「佐野くん…」

阿部「どうかしたのかな、あれは…?」

田中「単に調子が悪い…ってえわけには見えないよなあ…」

久遠「ああ…」

中井「素振りしてても、どうもバットが鈍いっていうか…おかしな素振りにもなってたしな。いつものキレがねえって言うか」

松坂(そう言えば前に…かわいいものを見ると、バットが鈍るって言ってたような…?)


阿部「まあ、放っておけば直るんじゃない? 打撃うんこバカなんだから」

田中「何だよwww 打撃うんこってwwww」

中井「お前ら仲悪いなあ…」

阿部「仲の良し悪しじゃないと思うんだけどな」

久遠「お前はストッパーにしては強すぎてな…」


松坂「……ちょ、ちょっと…佐野くんと、話してくる…!」タタタッ

田中「おっ、もう1人の副キャップは真面目!」

中井「あっちはストッパーにはなれないが…まあ、うん」

久遠「いいやつだからな」

阿部「何かそれ、俺がいいやつじゃないみたいな…」

田中・中井・久遠「「「どこが?」」」

阿部「ええー…?」


松坂「さ、佐野くんっ…」

佐野「…」

松坂「あ、あの…」

佐野「…何じゃ」

松坂「……ええと…その………い、一緒に走っても、いい…?」

佐野「好きにせえ…」


 ザッザッザッ…

松坂「………………ご、ごめんなさい…」

佐野「………何がじゃ」

松坂「この前…野良猫が、たくさんいる道……案内しちゃったから…」

松坂「だから、今日の練習試合で…!」

佐野「ドアホが」

松坂「うっ…」

佐野「……ワシの弱さじゃ…。ワシが、あんなもんに勝手に心奪われてときめいたから、集中力を欠いたんじゃ…」

佐野「徹底的にかわいいものは、排除する…。排除して、排除して、排除して……ちっとでも角が丸いもんはそばに置かん」

松坂(そこまでっ!?)

佐野「かわいいもの断ちじゃ…そうでもせんと、やっていけん…」

松坂「…………でも、バットの先端とか、丸みを帯びてるような…」

佐野「!!!?」

松坂(本気でやるつもりだったの…!!?)


佐野「くっ…何てことじゃ…一体、どうすりゃあええっちゅうんじゃ…!?」

松坂(真剣なんだろうけど、何か色々……佐野くんも天然!?)



 下1 なんて言おう…?

 1 べ、別にムリしてかわいいもの断ち…しなくてもいいんじゃない…?
 2 バット、削ろう? 丸みを帯びてる部分、直角にしよう? 手伝うよ
 3 そもそもどうして、かわいいものでバットが鈍るなんてことになるの…?

2


松坂「バット、削ろう? 丸みを帯びてる部分、直角にしよう? 手伝うよ」

佐野「ま、松坂…」

松坂「自分のせいだし…佐野くんだけが、苦しむなんて……心苦しいというか…」

佐野「……っ、だが、ダメじゃ…」

松坂「何で…?」

佐野「そういう改造は、規定にきっと引っかかる…!」

松坂「そんなっ…!? じゃ、じゃあどうすれば………っ…!」

松坂(佐野くん、つらそうだ…)


松坂「そうだ…。だ、だったら佐野くん…」

佐野「今度は何じゃっ?」

松坂「………もう、とことん、かわいいものを解禁したら、いいんじゃない?」

佐野「……何、じゃと…? 今日の試合、お前も見たじゃろうが! あんな風になってしもうたら、ワシゃ――!」

松坂「だけどっ、普通に考えて野良猫とかのかわいさに心奪われてあんなに打てなくなるなんておかしいよ!!」

佐野「!!!!??」


松坂「何か…原因があるんじゃないかな…? それさえ分かれば、我慢する必要なんてないんだよ、きっと…!」

佐野「げ、原因…。考えたこともなかったが…原因じゃと…?」

松坂「お、思い当たることは…?」

佐野「………………………………………最初に、バットが鈍ると感じたのは…」

松坂「うん…」

佐野「子猫の写真集を買うて…朝までずぅっと眺めて…」

松坂「え…?」

佐野「そん次は………ペットショップで見かけた、子犬のめんこい顔が頭から離れんで…試合中に飛び交うボール見とったら、そのわんこと遊ぶ妄想に耽ってしもうて…」

松坂「…」ヒクヒク

佐野「決定的じゃったのは――」

松坂「それ、欲求不満すぎるだけじゃ…ないの…?」

佐野「………は?」


松坂「きょ、今日の試合は…?」

佐野「………………………………………………………………………あの、野良どもに、名前つけるとしたら、何がええかって…この何日も、夢現に考えてしもうて…」

松坂「」

佐野「何じゃ、松坂ぁっ!?」

松坂「……………そういう、妄想とか、しないように、触れ合ったら…いいんじゃないかな…?」

佐野「アホか、そんなことしても意味あるかい!」

松坂「た、試しに! 試しに、解禁してみて…それでダメだったら…ケツバットでも何でも受けるから……!!」


 ―― 翌日の練習試合後

佐野「松坂…お前は親友じゃ」←4打数3安打4打点

松坂「…あ、はい…どうもありがとうございます…」←6回4失点3奪三振



 下1 佐野イベクリアボーナスをチョイスプリーズ!!

 1 特能・ハングリーバッター
 2 打撃能力大上昇
 3 佐野能力大上昇

1


佐野くんが覚醒したので、頼もしい4番として新摂野球部に貢献してくれることでしょう
さらにさらに“あの”佐野っちが松坂くんに一目置いてくれて、キャップと副キャップとして良い関係も築けそうです

では本日はここまで
ありがとうございました



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:120キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(46)
筋力:E(50)
走力:D(63)
肩力:D(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ

おつおつ
にゃ野くんがかわいいだと……

お疲れ様です

ふぉふぉふぉ…そろそろ…始まるのじゃよ…


佐野「どぉらああああああ―――――――――――っ!!」

 ブォンッ
 カッキィィィィィン…

 ポトッ…

佐野「もう一丁来いやあ、オラぁっ!!」


田中「佐野がめちゃくちゃ気合い入ってるな…」

中井「ボロ負けした次の日の練習試合で、めちゃくちゃな大活躍だったしな…」

阿部「波がありすぎというか…一時的に弱まった分が強く出てるのか…。安定してくれれば頼もしいけどね」

中井「つっても、前にも増してめちゃくちゃ豪快になってるくせに、つまんねえ凡打も空振りもしないからな」

田中「まあ、しょせんはマシーンの投げてくれるボールにせよ、な」



松坂「うーん…」

久遠「どうした?」

松坂「何か…佐野くんが、前よりやさしくなって…」

久遠「いいじゃないか」

松坂「いいんだけど………馴れなくて、逆に怖い…」

久遠「お前も不憫だな…」



 下1 練習!!

 1 球速
 2 制球
 3 変化球
 4 インナーマッスる!


 シュッ
 バシッ

 シュッ
 バシッ

松坂「ふぅ…」

捕手「少しは速くなったな」

松坂「うん。阿部くんに色々と教わったら…」


 シュッ
 ズッバァアアアアンッ

松坂「」

捕手「」

久遠「………ダメだな、今のは…」

阿部「うん、ダメだね。力いっぱいと、コントロールを両立させないと」

久遠「フォームに変なところがあれば教えてくれ」

阿部「オーケー。丁寧にね」


松坂(あっちのレベルが、高すぎる気が…)

松坂(がんばろう…)



 下1 コンマ

 コンマ一桁/2 球速うp



阿部「ダウンはしっかり、入念にね」

松坂「はーい」

松坂(もうすぐ夏なのに、これで大丈夫なのかな…?)

松坂(久遠くんはすごいけど…勝てば勝つだけ、負担も増えるし…)

松坂(久遠くんに頼りきりにはなれない…)


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:121キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(46)
筋力:E(50)
走力:D(63)
肩力:D(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



長島「夏の地区大会に向け、チームでのスローガンを決めたいと思う」

長島「それをお前達で話し合って決めるように。以上だ」


松坂(今度はスローガン…。また、荒れるんだろうなあ…)

佐野「スローガンなんぞ決まってるっちゅうに。豪打必勝じゃ!」

阿部「はいうんこー」

佐野「黙れスカトロマニア」

阿部「スカトロの趣味はありません~。どっちかと言えばSMですぅー」

松坂(ほらこうなる…)



 下1 スローガンやって

 1 見守ります…
 2 性癖と言えば佐野くんはやっぱり………コスプレ系?
 3 その他、こんなスローガンはいかが、って


佐野「はんっ、SMじゃあ? 気色悪いやっちゃのう!」

阿部「じゃあ佐野くんはどうなんですかー?」

佐野「ワシゃ普通じゃ、ドアホが」

松坂「佐野くんの、性癖…………コスプレ系…?」ボソ

阿部「何それクソウケるwwwww」

佐野「松坂ぁっ!」

松坂「ご、ごめっ……で、でも、げ、現実的に考えたらそうなっちゃうのかなって…!」

佐野「ドアホがっ! 何が現実的じゃ! ぶっ殺すぞ!?」

阿部「じゃ、松坂くんの性癖は?」

松坂「何でそんなの言わなきゃならないのっ!?」

阿部「ほら、バッテリーとしては色んなことを知ってた方がさ」

松坂「必要ないよね、野球でっ!?」

佐野「はんっ、どーせしょうもない性癖じゃろ、松坂なんぞ」

阿部「えー? でも松坂くんだよ? 両投げ・両打ち、スタミナオバケで守備職人のド変態の」

佐野「…む」

松坂「何で考え込んじゃうのそこ…!?」

阿部「言ぃーえ、言ぃーえっ」

松坂「べ、別に性癖nante……………[ピーーーーーーーーーーーーーー]…みたいな…」

阿部「」

佐野「」

松坂「な…何…?」

阿部「ド変態…」←ガチ顔

佐野「手ぇつけられんわこいつ…」

松坂「ええええええ…?」



 ↓1 ま、まさか雑談で終始するはずもあるまい?

 1~3 そのまさかだよっ!!
 4~6 ちょっとは、この2人の険悪さも薄れてきたのかなあ…?
 7~9 こうして自分が弄られ役になることで円滑な話し合いを促すという松坂くんの身を挺した作戦だったのさ!!(偶然

はい


阿部「だって…それはありえないって」

佐野「カウンセラーでも受けろお前は」

松坂「2人が言えって言ったのに…」

佐野「ワシゃ言うとらんわ」

阿部「そうやって人のせいにして…。試合中に開き直る時だけだよ、それしていいのは」

松坂「試合中はいいんだ…?」

阿部「そりゃね。気持ちが切り替えられるんなら、リードのせいにしても、クソサードのせいにしてもいいよ」

佐野「クソサードって誰のことじゃ?」

阿部「え、うんこが似合いのジジイ言葉使う人」

佐野「ぶっ殺しちゃるわ、表に出ぇっ!!」バンッ

松坂「まあまあまあまあ…! まあまあまあまあ、落ち着いて…!」

佐野「~っ…」


阿部「で、スローガンだっけ…? みんなが納得できるなら何でもいいと思うし…ていうか、納得もクソもないか…」

佐野「どーいう意味じゃ?」

阿部「要するにチーム全体としてどういう意識をもって試合をしましょうか、ってことでしょ?」

阿部「ごーだひっしょー? みたいなのでも、別にいいよ? いいけどさ…」

佐野「何じゃ?」

阿部「それ、できるの?」

佐野「ああん?」ゴゴゴ

阿部「豪打って、具体的に何? 長打狙いのフルスイング? それを皆が実践レベルで出来るようになってて、その意識でやりましょうってこと?」

阿部「ねえ、じゃあさ、俺は? どっちかって言うと長打は捨ててるんだけど。そんなスイングしたって、俺のパワーじゃそう遠くまで飛ばないし」

阿部「田中くんだってそうじゃない? 遠くまで飛ばすってよりも、内野でもいいから転がして足の速さで出塁狙うスタイルだし」

阿部「中井くんは打撃上手だから狙おうと思えば、長打も狙えると思うよ? だけど、力任せにぶん回すってスタイルじゃないよね」

阿部「ねえ。その辺、どうなの?」

佐野「っ…」

松坂(出た、阿部くんの理由がある上での全否定…!)



 ↓1 佐野っち…?

 1~3 勝者、阿部くん!!
 4~6 阿部くん、TKOで勝利!
 7~9 言い返せたぜ、佐野っちが!

でやっ


佐野「んなもん知るかボケぇっ!!!!」

松坂「」

阿部「出た出た、思考停止~」

佐野「阿部ぇっ、ノックじゃ、ノックしたるわ! お前の体に打球ガンガンぶつけたらあっ!!」

松坂「佐野くん思いとどまって…!」

阿部「それじゃもう帰るから」

佐野「素振りしてけやあっ!!」

阿部「家でちゃんとやるよ、ご飯の後に。ばいばーい」

佐野「阿部ぇっ!!!」

松坂「はいっ、はいこれ、子猫写真集!!」

佐野「んなもん今はいらんわぁっ!」

松坂「見るだけ、見るだけっ…!」バッ

佐野「そこをどけ松坂、阿部のやつを――」チラッ

松坂「マンチカンだよ!!?」

佐野「…………っ……かわええのう…」

松坂(おさまった…)



 ↓1 さて帰ろう…

 1 ちょっとお腹すいたなあ…
 2 素振りしてけや by佐野
 3 スローガンって何がいいんだろうなあ…

3


松坂(スローガンかあ…)

松坂(スローガンって何がいいんだろうなあ…)

松坂(そもそもスローガンって何だろう…?)

松坂(チームの…みんなでの、目標…?)

松坂(さすがにもう、初めての練習試合の時みたいな感じのは通用しないし…)

松坂(うーん…目標…スローガン…)

松坂(………火の用心、みたいなの…だよね…?)

松坂(それの野球版だから……一発用心…みたいな…? 違うか…)



 下1 貧困な発想の松坂くん…

 1 『一生懸命』とか?
 2 無難に『全員野球』とか…?
 3 その他、四字熟語にこだわる必要は皆無


 ―― 翌日

松坂「ぶ、無難な考えかもなんだけど……全員野球…とか、そんな感じのじゃ、ダメなのかな、スローガンって…?」

佐野「ああん?」

阿部「ふぅぅーん…?」

松坂「」


松坂「や、野球は1人じゃできないし…ベンチまで込みで、いっそ、スタンドも込みで、みんなで…勝とう…みたいな…」

佐野「ありがちすぎて笑えんわ、逆に」

阿部「ウケ狙いじゃないからそれでもいいんじゃない?」

松坂(反応が素っ気ない…)



 ↓1 だって松坂くん、そんなに頭良くないもん!

 1 ありがちだっていいじゃん…いいよねっ!
 2 じゃあ豪打の方でいいですぅー
 3 阿部くんも何か意見出してよ…


松坂「阿部くんはどうなの…?」

佐野「そうじゃ、お前は何も出し取らんわ! ケチつけるのがキャッチャーのやることか? ああん?」

阿部「ええー…?」

松坂「何か意見出そうよ…」

阿部(松坂くんがすねた…面白いかも)


阿部「そうだなあ…」

阿部「俺だったら、うーん…」

阿部「…………ピンチはチャンス、とか」

佐野「はんっ、お前もありきたりじゃ、ドアホ」

阿部「ありきたりだっていいよ、漠然としてるよりさ」

阿部「肝に銘じておけ、ってことでしょ? だったら漠然と全員野球~とか、できもしないごーだなんとか~、よりマシでしょ?」

松坂「…」

阿部「ピンチの場面なんて試合やってりゃいくらでも出るだろうし、そんな時こそ弱気になったら相手の思うつぼだよね」

阿部「だったらピンチの場面で、思いきりやり返してやって相手の勢い削っちゃえ、って発想の方が建設的だよ」

佐野「お前はどんだけドSなんじゃ」

松坂「阿部くんって…基本、意地悪な人だよね…」

阿部「そうやって人に意見を出させといて批判してさあ」



 ↓1 ぼちぼち決定じゃ!

 1 豪打必勝!!
 2 全員野球!!
 3 ピンチはチャンス!!


<ぎゃあぎゃあ

<わいわい

<ド変態

<ドS

<ド方言

<ぶっ殺す!!!!


長島「…青春の1ページか」ズズ

夕実(監督が何故か、外でマグカップでコーヒー飲んでる…)

夕実(見ないようにして帰ろう…)



佐野「豪打必勝! もうこれで決定じゃ!!」

阿部「だからさあ」

佐野「ええか、単に五感の力強さだけとちゃうぞ! とにかくバットをしっかり最後まで振り切る!」

佐野「そういう思いきりのええスイングのことを言っとるんじゃ! 相手に臆して中途半端にバットを振りゃあ凡打になんのは当たり前じゃ!」

佐野「だからこそ――」

阿部「ああもう、はいはい分かった分かった、それでいいよもう…」

佐野「最後まで聞かんか、ドアホがあっ!!」

阿部「いいっていいって、はいはい…」

松坂「すごい投げやりになってる…」

阿部「今日は早くお家に帰りたい日だから。じゃあね~」

佐野「待てこら阿部ぇっ!! 阿部ええええええええ――――――――――――――っ!!!」

松坂「どうどうどう、ほらっ、ほらあの、これ、何て犬だっけ、あの……かわいいやつ!」

佐野「んなもんで怒りが収まる――わけが…ないじゃろう……」ジィッ

松坂(収まった…)



 ↓1 豪打必勝!!!

 1~3 うーん、選手達にあまり馴染まないのかな…?
 4~6 とにかく振ってこうぜ、って感じの方針として受け取られた…?
 7~9 ええやんええやん、それでええよ、って。軽いな


佐野「――ちゅうわけじゃ、今度の大会のスローガンは豪打必勝でいく!」

佐野「文句あるやつぁ、吊るし上げるぞボケどもがぁっ!!」

田中「いいじゃん、乗った!」

中井「確かに、打って勝つってのはいいよな」

久遠「4番の座、譲ってくれてもいいぞ」

佐野「エースで4番なんぞワシが許すかボケぇっ!!」

松坂「……意外と好評…だったね…」

阿部「そりゃ、みんな好きでしょ、打撃は」

松坂「え?」

阿部「気持ちがいいしね、綺麗に打てれば。やる気が出てくれるんなら何でもいいんじゃない?」

松坂(何かドライだ、阿部くん…)


阿部「それより、そろそろなんだよね…。トーナメントの抽選会」

松坂「抽選…」

阿部「うちの野球部は春大会出てないし、シードなんてなし。どこでどんな強豪とぶつかるか分からないね」

松坂「……シード校とすぐに当たっちゃうところは、ヤダね…」

阿部「どうせ優勝するなら全部倒すんだから、楽しまなくっちゃね」

松坂(何でこう正反対な意見がすらすら阿部くんは出せるんだろう…)



 下1 抽選会!!

 1~3 第一シードとすぐぶつかるやん…
 4~6 強豪ひしめくなあ…
 7~9 あれ、ええやん


阿部「うちの地区は、シードなしだと6回戦目が決勝」

田中「6回戦…」

中井「数にしてみると多いなやっぱ」

久遠「9イニングを6回…54イニングか」

松坂(その内、何回投げられるんだろう…。10イニング…?)


<おーい、佐野と監督が帰ってきたぞ!

田中「佐野ぉー! お前のクジ運はどうなんだ!?」

中井「がっつくな、がっつくな…」

久遠「強豪に当たればいいな」

松坂「いいんだ…?」

阿部「そりゃあ、強い打者との対戦は成長するしね」


長島「全員、集合しろ」

 ザザッ…

長島「抽選会の結果、トーナメント表が決定された」

長島「我々、新摂高校は第3シードのいるブロックとなった」

長島「強豪ひしめく、激戦ブロックと言えるだろう。だが、臆することはない」

長島「我々が目指すべき舞台は、甲子園の先。――地区予選ごとき、全試合コールド勝ちのつもりで行くぞ」

 『はいっ!!』


松坂「全試合、コールド…」

久遠「燃えるな。エース争い、手を抜くつもりはないぞ」キリッ

松坂(エース争いって……久遠くんとじゃ、争いにならないよ…)


長島「夏大会目前、特別強化メニューを徹夜で考えてきた。さあ、夜にゆっくり眠れると思うなよ!」

松坂(しかも何か監督にスイッチ入ってる…!)



 ↓1 特別強化だって!!?

 1 球速
 2 制球
 3 変化球

 ※普段はコンマ/2なのに、コンマ/1になりまっせ

1

…なんかごめんなさい


長島「投げろ」ゴゴゴ

長島「投げてみろ、松坂」ゴゴゴ

松坂(打席に、立たれて…)

阿部(うっわー、めちゃくちゃ打席から威圧感出してるよ…)


長島「さあ、お前の渾身の一球を投げ込んでみるといい、松坂」ゴゴゴ

松坂「は、はい…! ふぅぅー……ふっ!」

 シュッ
 キィィィンッ

松坂「」

長島「軽いな…」

松坂「っ…」

長島「お前のボールには物理的な意味ではなく…重みがない」

長島「それが渾身の一球なのか?」

長島「チームの明暗が別れるという場面で、お前はそんなボールを投げられるのか?」

長島「何が何でも勝つ――そういう意欲が、お前の球からは感じられない」

松坂「……っ…」

長島「お前は心の底から、勝ちたいと思っているのか?」

松坂「それは…」

長島「投げてみろ、松坂。さあ、お前の渾身の一球を、投げるんだ」ゴゴゴ

松坂「っ…」

阿部(煽る、煽る…)


久遠(投げたい…。監督に…)



 下1 そんなこんなで、投げさせられた

 コンマ一桁/1 球速アップ!!


松坂「……はぁ…」

松坂(……自信なんて、持てないのに…)

松坂(久遠くんはすごいし…そうじゃなくても、上手なピッチャーなんていっぱいいる…)

松坂(……チームの明暗が別れる場面で…かあ…)

松坂(ああ……元々ない自信が、さらに消えてくみたいな気がする…)


阿部(こたえてるなー)

久遠(監督が、俺には投げてこいって言わなかった…)


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:124キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(46)
筋力:E(50)
走力:D(63)
肩力:D(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ




 今日はここまでっす
 次回も特訓メニューでコンマ/1あるよ!

乙!

乙です

おっつ!

ぼちぼち始まりまっせ~


田中「ごーだひっしょー!」ブンッ

田中「ごーだ!」ブンッ

田中「ひっしょー!!」ブンッ

佐野「真面目にやらんかぁっ!!」

田中「俺は真面目だぞっ!?」

中井「どこまで本気か分からないんだよな、田中は…」

阿部「きっと本気だよ」

中井「お、阿部がフォローに回るなんて意外な」

阿部「本気であれは、根がふざけた人なんだよ」

中井「見直した俺がバカだったか…」

松坂「阿部くんが最早、自分の評価を気にしなくなってる…」

久遠「あいつの方がよっぽどピッチャー向きの性格じゃないのか…?」

松坂「うーん…」



長島「――さあ、今日もじっくり、がっつり、とっぷりと練習をしよう」

長島「まずはシートノックからやるぞ!」

 『はいっ!!』



 下1 さあ、コンマ一桁/1の練習になるぜよ!

 1 球速
 2 制球
 3 変化球

1


長島「さあ、投げ込んでこい」

長島「ここがお前の天王山。運命を決定づけるような大きな試練と思え」ゴゴゴ

久遠「…」ゴゴゴ

阿部(何でこう、練習なのに穏やかじゃない雰囲気を出すかな…。抜けた空気感よりはいいけど)

松坂(今日は久遠くんが、監督と…)


久遠(相手打者の実力は未知数。しかし、この感覚は強打者特有のもの)

久遠(どこへ投げ込もうとも打ち込まれてしまいそうな感覚さえあるが、飲み込まれるわけにはいかない)

久遠(俺の全身全霊の一球を、ド真ん中――いや、それが勝負のはずがない)

久遠(インコースへしっかりと投げ込むか。だがそれは読んできているかも知れない)

久遠(とりあえずでインコース…なんて発想は安易に過ぎる)

久遠(だったら低めに…いやそれも安易か?)

久遠(ならば変化球から…いやそれも)

阿部(長考がすぎないかな、久遠くん…? これ練習なのに)


捕手「松坂、やろうぜ」

松坂「あ、うん…」

松坂(地味にあっちが気になる…)


長島(………まだ、こないのか…)

久遠(最初に1球ゾーンから外して…いやこれは練習だ。ゾーンに投げ込まない練習なんて意味があるのか? いやない)

久遠(だとすれば…)

長島(まさか、こうしてジラす作戦か? 遅延行為と取られないギリギリのラインまで攻めるつもりか…?)



 下1 コンマ

 さあ、コンマ一桁/1 球速うp!!



久遠(よし――)

 ザッ…

松坂(大きなフォームからの…)

 ビシュッ
 キィィィンッ

久遠「なっ…!?」

長島「――さんざん悩んだ挙句、それか?」

久遠「っ…」

長島「さすがにないぞ、久遠。初球、アウトコースへのスローボールなど」

阿部「ない、ない」

松坂(一体、どれだけ何を悩んで投げたんだろう…?)

久遠「くっ…まだまだか…」

阿部(ていうか、リードは俺の仕事だし、普通にストレートとかを得意なコースに投げればいいんだと思うんだよなあ…)



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:132キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(46)
筋力:E(50)
走力:D(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



松坂「ふぅー…」

 シュッ
 バシンッ

捕手「おお、いいんじゃないか、松坂」

松坂「本当っ…?」

阿部(あれ、知らない間に向こうが…)



 下1 大会前最後のイベ

 1~3 え? あいつが、家庭の事情で何か大変だって…?
 4~6 不安よりもワクワクが先行してるチームメイト達
 7~9 仲は悪いけど目的は一致してる、キャップと副キャップ


田中「ふぃー、終わったぁー…………」

佐野「素振りしてけ」

田中「おぅふ…。やったるぜぇー!」

中井「何で一旦、お前は弱ったんだ?」

田中「野暮なこと言うな、中井! さあ、ブンブンと振り回そうぜ!」ブンッ

佐野「数こなすような素振りすんな!」

久遠「一打ずつ、集中して…」

 ブォンッ

佐野「ああいうのをやれ!」

久遠「………ふぅ、今日はこれくらいでいいだろう」

佐野「もっと振らんかあっ!」

中井「大変なやつだな、佐野も…」

阿部「ツッコミ気質だからね、佐野くん」

松坂「ボケ比率が高すぎるけどね…ここ」


 prrrrr…

松坂「電話…?」


 下1 さあ、誰のイベだ?

 1 阿部くん
 2 中井くん
 3 田中ぁっ
 4 久遠くん

4

1


久遠「俺だな」pi

久遠「もしもし…」スタスタ


田中「久遠の家って、どんなだろーな」ブンッ

中井「さあ? どんなもこんなもないんじゃねえの?」ブンッ

阿部「そうそう。佐野くんチはきっと、ヤクザ屋さんだろうけどあとは普通でしょ」

佐野「誰がヤクザじゃ」

阿部「その喋り方。何系なの?」

佐野「ぶっ殺すぞ」

阿部「建設現場の基礎コンクリートに埋め込まれるぅー、あーれー」

田中「だはははっ」

中井「阿部って佐野にはめちゃくちゃふざけるし、やさしくねえよな」

阿部「普通だって」

佐野「お前の普通は世間の非常識じゃ、ボケが」

松坂「あはは…ハハ…」


久遠「…」スタスタ

松坂「あ、久遠くん」

久遠「……………試合、来週だったな」

佐野「あん? 何じゃ?」

久遠「いや…何でもない。帰る」

佐野「素振りせんかっ!」

久遠「家で振る。用事ができてな」


阿部「久遠くんが野球を後回しにするとは…」

中井「そんな珍しいか?」

阿部「さあ?」

松坂「さあって…」



 下1 久遠くん…

 1~3 目前なのに、部活どころか学校にさえ姿を出さなく…?
 4~6 え、部活休む…?
 7~9 何だか練習に身が入ってないんじゃ…?

1


 下1 0判定

 偶数 久遠くんチ、やゔぁかった
 奇数 久遠、部活辞めるってさ…!? 大会前やぞ!?

おりゃ


松坂「はあ…やっと素振り終わった…」

松坂(500本を2セット…右と左でやるなんて…)

松坂(いっそ、どっちかの打席に絞ろうかな…?)

 prrrrrr…

松坂「あれ?」

佐野「ワシじゃ」pi

佐野「おう、久遠か。何じゃ?」

松坂(久遠くんから電話なんて誰かにするんだ…)

佐野「……は?」

松坂「ん…?」

佐野「どぉおういうことじゃ、ボケがあっ!!?」

松坂「っ…」



 ―― 翌日

阿部「久遠くんが?」

田中「辞めるぅっ?」

松坂「う、うん…昨日、帰り際に佐野くんに電話きて…いきなり、そう言ってきた…って」

阿部「今日、学校きてるの?」

松坂「さあ…?」

田中「ちょっくら2組突撃しようぜ!」


 バンッ

田中「頼もう!! 久遠はいるかっ!?」

中井「お前ら、いいとこに! やべえぞ!」

阿部「何、何、どしたの?」

佐野「久遠が、半年も休学するっていきなり言われたとこじゃ…」

松坂「え…」

阿部「だから辞めるって?」

田中「何で?」

中井「さあ? 家庭の事情…云々……って担任から説明はあったけど…」



 下1 まさかのエース離脱!?

 1 ちょっくらこの面子で久遠くんチに突撃じゃあ! 出入りじゃ、かちこみじゃあー!
 2 電話説得あるのみ! 全休み時間を費やして!!
 3 じゃ、じゃあエースは松坂ってことで…?

1


 ――放課後

長島「む…? 佐野達はどうした?」

夕実「何か、全員…お腹が痛いとか、頭痛いとかで、帰っちゃいました。全速力で…」

長島「………サボりか」



 ――電車

松坂「い、いいのかな、練習…?」

佐野「練習なんぞ、後でやりゃあええんじゃ」

阿部「そうそう。久遠くんがチーム離脱なんて大打撃だよ」

田中「わくわくするな、久遠の家! でも何であいつの家の住所なんて知ってるんだ?」

中井「あいつとアドレス交換した時、住所まできっちり登録されてたからな」

松坂「マメなんだね…」



 下1 久遠くんチ!!

 1~3 超絶貧乏やんけ!!
 4~6 大家族かよ!!
 7~9 超絶金持ちって何じゃそりゃ!


松坂「……こ、ここが…」

佐野「久遠の、家……か…?」

阿部「……え? えっ?」

田中「廃屋じゃなくて…人、住んでるのか?」

中井「間違いはない…はず…。住所的には…」

松坂「あ、でも表札出てる…。久遠、って…」

佐野「いけ、松坂。お前が呼び鈴鳴らせ」

松坂「ないけど…」

阿部「じゃあノックから」

松坂(何で僕が…?)

田中「こんちゃーす! 新摂高校野球部のもんでーす! うちのエース様いませんかー?」ドンドンドン

中井「お前、遠慮ってないのな…」

田中「ない、ない」



 下1 コンマ

 1~3 誰もいない…
 4~6 超絶貧乏&ちっちゃい兄弟多すぎかっ!?
 7~9 久遠ママン

おりゃ


 ガララッ

久遠ママ「ケホッ…あら、いらっしゃい…」

田中「はじめまして! 康宏と同じチームメイトの田中っす!」

久遠ママ「ええ…いつも聞いています。みんなで、一体どうしたのかしら…?」

佐野「あいつはおらんのですか?」

田中「こいつ佐野っす! キャプテン!」

久遠ママ「え…? 今日もいつものように学校へ行ったと思ったけれど…」

阿部「どういうこと…?」

中井「さあ…?」

松坂「さ、サボり…?」


久遠ママ「ケホッ…ごめんなさいね…」

田中「大丈夫っす! それより、体…悪いんすか? 俺らなんて気にしないでいいんで! んじゃ帰ろうぜー」

松坂「あ、お邪魔しました」

中井「しましたー」

阿部「あ、これ手土産ですどうぞ」

佐野「お前いつの間に…」

阿部「ふふーん」

久遠ママ「またきてね」




佐野「おらんっちゅうのは、どういうことじゃ?」

中井「電話も出ないな…。つうか電源切れてる」

田中「こうなりゃ、待ち伏せだな」

阿部「確実に合うにはそれしかないかもね…」

松坂「い、いつまで…?」

田中「そりゃ、あいつが来るまでだろ?」

佐野「あんのドアホ…何考えとんのじゃ」



 下1 久遠イベは長引く予感…

 1~3 結局、夜遅くまで現れなかった…
 4~6 深夜遅くに帰ってきたところを
 7~9 つーかーまーえーたぁぁー

a

取りすぎだろお前


 ―― P.M.11:43

阿部「……さすがにもう、帰ってこいコールがうるさいし、帰るよ」

佐野「電車あるんか?」

阿部「終電がね」

松坂「僕ももう、電車がなくなっちゃうかも…」

佐野「…ワシゃ一人暮らしじゃ。だから残っとく」

阿部「ダメ、ダメ。深夜徘徊とか言われて警察のお世話になったら迷惑だし、キャップなんだからちゃんと帰って」

松坂「田中くんと中井くんはもう、帰ってこいって電話で言われて帰っちゃったしね…」

佐野「こんな遅くまで何しとるんじゃ、あのバカたれは…」

阿部「うーん…」

松坂「………………非行?」

阿部「ないね」

佐野「あの野球バカにそりゃないじゃろ」



阿部「とりあえず、明日の朝、始発電車乗ってここ集合ね」

松坂「え」

佐野「…始発?」

阿部「だって、帰りがダメなら出がけを捕まえるしかないでしょ?」



 ――翌朝

<ガララッ…

阿部「ねーむーいーのーにぃー…」

佐野「おんどりゃあー…」

松坂「やっと…会えた…」

久遠「っ…お前ら…」

佐野「面貸せ、久遠」

阿部「言えない理由じゃないよね?」

久遠「言いたくはないな。だが、それじゃ納得してくれないなら仕方ないか」

久遠「…………見ての通り、ああいう家なんだ。母さんが働いて、養ってくれていたが…それがたたって、倒れたって電話がきた」

佐野「そりゃ、この前のあれか?」

久遠「ああ。それでしばらく休むことになったんだが…カツカツなんだ。バイトでも何でもしないと、な…」

久遠「学校に言われて休学って形にしたけど、本当は自主退学を希望したんだ。……つまらない理由で悪いな。それじゃあ」


佐野「っ…」

阿部(何も言えないよ、こんな理由じゃ…)

松坂(本当にこれじゃ、久遠くん…戻ってこられない…?)



 下1 た、大会は…?

 1~3 久遠、離脱…
 4~6 ワンチャン…あるの…?
 7~9 何かないのん!?

ほい


佐野「大会は…? どうするんじゃ、お前?」

松坂「そ、そうだよ…。エース争いって、言ってたのに…」

阿部「…」

久遠「………悪い」

久遠「だけどずっと、野球をさせてくれたのは、親だからな」

久遠「…………悪い」


佐野「…あんの、ドアホ…」

松坂「久遠くん…」

阿部「………二度寝するってわけにもいかないし、学校でも行って昨日の分、練習しよっか」



 下1 久遠離脱にチームは… 大エースの素質:-2

 1~3 そりゃ、だだ下がるよ…
 4~6 がんばろうぜって空元気
 7~9 キャップ佐野、今こそ!

あがれよおと

久遠離脱ってことは松坂エースか
スタミナだけはお化けだから大丈夫だろうけど実力が…


佐野「――事情は省くが、とにかくそういうわけで久遠は大会に出ん」

佐野「……じゃが、ワシらは豪打必勝じゃ。エースの1人や2人が抜けたとこで何が変わるでもない!」

佐野「気合い入れ直すぞ、ボケどもがっ!」

田中「お、おう、そうだな」

中井「まあ、切り替えないとな…」

阿部「うんうん。………松坂くんに不安があってもね」

松坂「え?」

佐野「……分かったらとっととアップじゃ! 走らんかぁっ!」


長島「………そうか、久遠が…」

夕実「だ、大丈夫なんでしょうか…? 久遠くんの、離脱って…。チームとして」

長島「いきなりの試練だな。……チームとしても、選手それぞれにとっても」

夕実「試練…」

長島「もっとも試されるのはメンタル。…その一点にもっとも大きな不安を持つのが…」チラッ


松坂「ふっ…ふっ…」←走ってる

佐野「松坂ぁっ、もっと前走らんかぁっ!」

松坂「は、はいぃっ…!」ダッ


長島(久遠の姿から感じ取ってくれればと思っていたが…自力でやるしかないようだな)

長島(松坂、お前がこの大会を左右するチームのキーマンだぞ――)



 下1 コンマ一桁/1練習だよ!!

 1 球速をー!
 2 制球をばー!
 3 変化球じゃー!


長島「松坂、お前はそれでエースナンバーを背負えるつもりか?」

長島「久遠がいるから、自分はほどほどで大丈夫だとでも思っていたのか?」

長島「それでお前は大会に臨もうという腹積もりだったのか?」

長島「甘い!」

松坂「~っ…」

長島「投げろ、松坂」

松坂「……はい…」

長島「お前が現状、もっとも満足できるボールを投げられるまで、俺に投げてこい」ゴゴゴ



 下1 コンマ

 コンマ一桁/1 球速アップ!!


長島「それで終わりか、松坂?」

松坂「はぁっ……はぁっ…」

阿部(松坂くんの消耗が激しい…)

阿部(これだけ長い間、監督にプレッシャーをかけられ続けて投げてれば、スタミナもそうだけど…精神的な疲労が溜まるよ…)

阿部(けど、こんな練習は今日までしかできない…。大会まであとちょっとだし…これから先は連投し続けなきゃいけない)

阿部(替えの投手がいない…最悪の状況で…)


長島「さあ、投げろ!」

松坂「ふぅ…ふぅぅっ!」

 ビシュッ

長島「!」

阿部「!」

 スパァンッ

長島「…阿部、どう思う?」

阿部「…………現状の、及第点だと思います」

長島「松坂、お前がチームを背負うことになる」

松坂「っ…」

長島「…………お前がやるべきは、ただ1つだけだ」

長島「最後まで折れず、投げ抜け。それだけを考え続けろ。いいな」

松坂「……はい」



新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(46)
筋力:E(50)
走力:D(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ



 下1 松坂の胸中やいかに…?

 1~3 自信なんてないもん…
 4~6 足を引っ張らないように…がんばります…
 7~9 これでも投手

うりゃ

でも1年で140キロ投げられるようになってるって大進歩やろ!
スタミナはお化けやし大丈夫大丈夫!


松坂「…」ブンッ

松坂「…」ブンッ

松坂「……はぁ」


夕実「まーつざかくん」ヒョコッ

松坂「っ…た、種田さん…」

夕実「何か沈んだ顔してたからさ。エースなのに」

松坂「……うん…」

夕実「どうしたの?」

松坂「本来は、久遠くんのものだったのに…棚ぼたで、こんなことになっちゃって」

夕実「…」

松坂「………正直…」

松坂「…エースなんて、重すぎるんだ…。ポジション争いもなしに、背番号1番…」

松坂「他のポジションはみんな、レギュラー争いをしてるのに、自分だけ……それが、申し訳ないし、応えられる自信もなくて…」

松坂「すごく、憂うつ…」



 下1 そんな頼りない松坂に…?

 1~3 喝!
 4~6 それでいいの?
 7~9 発想の転換だって


夕実「なるほどね」

松坂「……ごめんね、こんなのがエースで…」

夕実「確かに頼りないけど、人それぞれじゃない?」

松坂「うん…。でも、他のみんなには内緒にしてくれるかな…? きっとほら…ね…」

夕実「だね」

松坂「……ありがとう…」


夕実「でもさ、松坂くん」

夕実「棚ぼたって言うけど、ちょっと違うんじゃないかな?」

松坂「えっ…?」

夕実「きっとなるべくして、松坂くんは1年生夏の大会でエースになったんだよ」

夕実「それに松坂くんは自信がないって言うけど、春のころと比べたらすごく進歩してると思うし」

夕実「すでに松坂くんは自分だけじゃなくって、久遠くんの分までがんばらなきゃならなくなってる身なんじゃないかな」

松坂「うぅ…さらに、プレッシャーが…」

夕実「あ、ごめんっ! そういうつもりじゃなくて、こう…何かな…プレッシャーに取るんじゃなくて……」

夕実「ほらっ、ラッキーって感じでさ! 野球が嫌いでやってるわけじゃないでしょ?」

夕実「だから楽しまなきゃダメだと思うぞっ」

松坂「楽しまなきゃ…って言われても……」

夕実「久遠くんの分まで」

松坂「重い…」

夕実「あちゃー。重症だ」

松坂「うぅ…」

夕実「だけどそれが松坂くんなんだから、それでいいんじゃない?」

松坂「結局、何が言いたいの…?」

夕実「んー………発想の転換だよ」

松坂「うん…?」

夕実「自分で思ってるほど、ダメじゃないぞってこと。そのなさすぎる自信からして間違ってるんだから、大丈夫って」

松坂「………………慰めてくれてありがとう…」

夕実「またそうやって取るんだから! もう~…しっかりね、エース!」バシッ

松坂「痛いよ…背中叩かないで…」



 下1 そんな感じでした

 1 種田さんって競争率高いんだろうか…? by松坂
 2 松坂くんって、きっと競争率高くないよね…? by種田
 3 ひゅーひゅー、いい感じだな、おふたりさん! by田中


松坂「……はあ…」

松坂「…………もうすぐ、大会かあ…」

夕実「がんばってね、エースくん。それじゃ、また明日っ!」

松坂「うん、また明日…」


夕実「~♪」タタタッ

松坂「…素振り、続きやろう…」


夕実(何でか、松坂くんって…目が離せないというか、気になっちゃうんだよね…)

夕実(うーん…どうしてだろう…?)

夕実(………………ま、いっか)

夕実(…うん、焦る必要ないよね、松坂くんは)

夕実(……どっちだろうと、結局…競争率は高くないだろうし…)

夕実(あれ、けっこう失礼なこと…? いやいやいや…ふふっ、いいよね)



松坂(やるしかない…んだよね、結局)

松坂(……みんなに、怒られないように…足引っ張らないように…)




 今日はここまで
 あざっした!

乙!


両利きサイドの140キロで緩急とムービング系を投げるスタミナお化けってもう普通に優秀じゃね?


まだ1年最初の大会前なんだよなぁ

ほんとそれ
1年最初の大会でこのステータスなら普通にエースやろ
ダイヤのAで降谷と比べられる沢村みたいなもんやぞ
しかも降谷ポジの久遠いないし

今日は午後が暇なのだよ…雨だし
誰かいたら始めちゃおうかななんて…

いるよーノシ

はい

ういうい

おお、いた
じゃあ始めまっせ~


松坂「…タオルよし、アンダーシャツよし、飲み物は部で用意してくれるし…」

松坂「朝ご飯はちゃんと食べたし…お昼ご飯は用意してくれるし…」

松坂「……………忘れ物は……ない…?」

松坂ママ「ねえ、試合用のユニフォームは?」

松坂「あっ」

松坂ママ「ちゃんと背番号縫いつけておいたからがんばるのよ」

松坂「う、うん…」

松坂ママ「ちゃんと応援いくからね」

松坂「べ、別に大丈夫だよ…」

松坂ママ「何言っちゃってるの、もう。背番号1番なんて初めてでしょ? がんばるのよ」

松坂「……う、うん…がんばるけど…」

松坂ママ「はい、シャキッといってらっしゃい」

松坂「行ってきます…」



 下1 そんなこんなで、大会でっせ!

 1~3 格下、格下ぁっ!
 4~6 いやいや油断はでけへん
 7~9 強い! ってほどじゃなくても弱い! ってわけじゃないのさ

行ってきました

この形式はアイドルブームの人やな?


阿部「大した成績は残してない公立校だけど、決して弱いわけじゃない学校だね」

田中「何たって俺ら、天才世代」

中井「いや自分らで言うのは恥ずかしいだろ、それ…」

阿部「まあ実際、高校野球のレベルが異常に上がってるからね…。昔に比べれば」

佐野「はんっ、ワシゃあ相手が何じゃろうが負ける気はないわ。何ならメジャーリーガーでも連れてきてもろうた方が手応えがあるわ」

田中「うははっ、それ最高」

中井「さすがにそれは無茶だろって。なあ、松坂?」

松坂「あああ…とうとう公式戦…」

中井「こいつはもっと自信がいるな…」

田中「なーにビビってんだよ、エース! でーんとデッカく構えとけっつーの!」ゲシッ

松坂「痛い、痛いから…」



 下1 調子はどや?

 1~3 絶不調!!
 4~6 ふっつー
 7~9 好調じゃね?


 シュッ
 パシッ

 シュッ
 パシッ

阿部「うーん…」

松坂「……」

阿部「松坂くんさ…」

松坂「はい…」

阿部「何か今日、いつにも増して…ダメじゃない?」

松坂「」

阿部「それでも投げ抜くしかないけどね」

松坂「」

阿部(あ、思った以上に固くさせちゃった…?)

阿部「大丈夫だって。ちゃんと俺達で点取ってあげるから。5回まで投げればコールドだよ」

松坂「こ、コールドって…失点ない想定でしょ…?」

阿部「そこはほら、俺のリードの見せどころ。間違っても松坂くんじゃないから大丈夫だよ」

松坂「ええええ…?」


阿部(それに実際、勝てば勝つだけ研究されるだろうし…)

阿部(強豪の一軍相手にどれだけ松坂くんが粘れるかは未知数だからね…)

阿部(できるだけ短いイニングで、次に進みたい)



長島「今日という日を、諸君がどれだけ待ったか」

長島「わたしの課したトレーニングがどれほど辛く苦しかったかを思い出せ」

長島「その成果を発揮しろ。己の努力を信じろ。そうすれば――きっと諸君は勝ち上がる。さあ、野球を楽しむのだ!」

 『はい!』

長島「佐野、気合いを入れる円陣でもやれ」

佐野「円陣? …………何も考えとらんわ…」

阿部「えー?」

田中「ガツンといけよ! ぶっつけ本番でな! あはははっ!」

中井「キャップ、出番だぜ」


佐野「………ワシらの戦いはこっからじゃ」

佐野「試合の分だけ勝ち星上げて、一気に頂点まで駆け上がる」

佐野「ガンガン振って、ガンガン点取って、ガンガン勝つぞ、ボケどもがぁっ! 行くぞぉっ!」

 『おおおおおおおおっ!!』



 下1 コンマ

 偶数 先攻
 奇数 後攻

>>562
そういやそのスレで野球ネタ結構やってたな


阿部「さあ、しまってこーぜー!!」

田中「おっしゃこいやー!!」

中井「どこにでもこーい!」

佐野「やったるぞ、コラァッ!!」

松坂「ふぅぅー…」


阿部(さてさて、敵チームのデータなしの初戦ですよ)

阿部(下馬評としては下の上くらいのもんだけど…新設校のうちは、下の下ってとこだろうし)

阿部(キャップが言ったように勝ち上がっていくだけ。結果は後からついてくる)

阿部(松坂くん、きみはきみが思ってるほど無能な投手じゃない。自信さえ持ってくれれば、ね――)


松坂(初球はストレート。力いっぱい、外れてもいいから高め…)

松坂「ふぅ…」

松坂「やるしか、ないんだよね…」ギュッ

松坂「要求されたコースに、要求されたように――」

 シュッ


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻




 下1 コンマ 絶不調:-2

 1~3 ま、松坂ぁー!?
 4~6 危うげだな、松坂…
 7~9 初回は意外といけた…


 スパァンッ

<トラーイク!

松坂「えっ…?」

阿部「ナイボール!」シュッ

田中「何でお前が驚く!? そこお前が驚くとこじゃないだろうが!」

佐野「テンポよくいかんかい、ボケがぁっ!」

松坂「うぇぇっ、ごめんなさい、すみません…!」

阿部(大丈夫かなあ…これ…? ま、でも大丈夫っぽい感じはあるんだよね――)



夕実「すごい、すごい、松坂くん、無失点だね!」

松坂「ぐ、偶然だよ…」

田中「はははっ、俺のファインプレーあってこそのな! そこは偶然じゃないからよろしくぅっ!」

佐野「ランナー出しおって」

阿部「上々だよ。それにまだ、左のサイドは見せてないし、変化球も秘密のまま。打ち取ってアウト3つ、ちゃんと取れたね」

松坂「う、うん…」


佐野「ほなら、今度はこっちの攻撃じゃ。ガンガン打つぞ、ボケどもがあっ!」

田中「ボケって言うな!」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 ↓1 さあ、今度は攻撃だ!

 1~3 繋がらない打線…
 4~6 むむ…守備堅いなあ…
 7~9 これほんとにコールドいくいきおい?


んよ


 カンッ…

松坂「初球セーフティっ…!?」

田中「だははははーっ!」ダダダダッ

<セェーフ!

松坂「やっぱり足速い…」

夕実「いきなりランナー出ちゃった!」


佐野「よっしゃ、阿部、死んでも続けぇっ!!」

佐野「いっそ死ね!!!!」

中井「むちゃくちゃ言うな、お前…」


松坂「阿部くんのバッティングて、派手さはないけど…」

夕実「狙い打ちが上手だよね」

松坂「狙い打ち…」

夕実「まあ…打率上がるのは、試合終盤からって印象あるけど…」


 キィンッ

阿部(やばっ、併殺コース…!)

松坂「ああっ…」

 バシッ

<アウッ!

 バシィッ

<アウト!

佐野「こんのドアホがぁーっ!! 中井、お前は打てぇっ!! 死ねとまでは言わん!」

阿部「めんごめんご」

田中「ちっくしょー、盗塁しときゃ良かったぁー…」


 キィンッ

中井(よしっ、二遊間、抜けられるか――)


 シュバッ

松坂「ええっ…?」

 バシッ

<アウト!


佐野「ぐぅっ、ぬんぬぬぬぬ…!!」

中井「あれ捕っちゃうのか…。守備上手いな、このチーム…」



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┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ ┃  ┃
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 下1 ま、まだ1回戦やぞ…

 1~3 どっちも攻めあぐねてるというか…ちょいちょい打たれる新摂不利か…?
 4~6 こうちゃくじょーたい
 7~9 1巡目は観察に徹していたのだよぉっ!!


 ―― 3回表

阿部(被安打5…。まだ失点はしてないけど…このまま右だけで押し切るのも難しいかな?)

松坂(どうにかこうにか…守備に助けられてるけど…このままじゃ、ダメなんじゃ…)

阿部「松坂くん、大丈夫! 自信持って!」

松坂「…」コクッ


長島(0対0――投手同士の能力はともかく、安打は相手の方がでているか)

長島(こちらは田中のセーフティと、あとが続けなかった佐野の二塁打のみ…)


阿部(どうしようかな…)

阿部(左を解禁するか…。いや、先に変化球を見せようかな)



 下1 どうすっぺ

 1 チェンジアップを見せつけてやろうぜ
 2 カットを混ぜながら凡打にして打ち取る作戦
 3 スイッチ解禁


阿部(やっぱり最初はチェンジアップだよね)

阿部(大丈夫、きみのボールは春よりずっと進化してる。だからこそ、チェンジアップが活きる)

松坂(チェンジアップ…?)

松坂(大丈夫、なのかな…? 打ちごろの、遅いボールになったり…?)

阿部(見せ方が大事なんだよ。リズムに乗って投げてこう。ぽんぽんぽん、とね。でもって、最後にすっぽーんとチェンジアップだよ)


 シュッ
 バシィッ

<ボール

松坂(クイック…!)

 シュッ
 キィンッ

<ファール!

阿部(タイミングが合ってきてるね)

阿部(今度は低めにぐぐっときて。それからトドメだよ)

松坂(クイックで…!)

 シュッ
 カンッ

<ファール!

阿部(低めのボール球にまで手を出してきて…。打てるって自信のあらわれかな?)

阿部(まあ実際、このままじゃ時間の問題なんだけど……ここで、チェンジアップだよ)

松坂「…」コクッ

阿部(さあ、仕留めよう。三振は気持ちいいでしょ?)



 下1 チェンジアップ!

 1~3 あ、すっぽ抜けて…ピィーンチ!!
 4~6 中途半端なチェンジアップだったけど…まあ
 7~9 ばっちり印象づけてやったったよ


 下1 0コンマ

 偶数 あれ、松坂のチェンジアップがけっこうすごいぞ
 奇数 ドカンと一発! ……………打たれちゃった…すっぽ抜けで…

すまない…

まるで風野球だぁ(直喩)

水物やきう


松坂「あ――」

阿部「あっ」

松坂(すっぽ抜け、て…腕も振り切れなかったし、あのコースじゃ――)


 ブゥンッ
 キィィィンッ

佐野「なぁに…!?」

中井「間に合うか…!」ダダダッ

田中「中井ーっ! 捕れぇーっ!!」

中井(まだ、伸びる…! これじゃ、柵越え――)


 ストンッ…

<おおおおおおおーっ!

<っしゃ、先制点ー!

<いけるぞー!


松坂「あ、ああ…ほ、ホームラン…」

阿部「…」

佐野「こんの、ドアホ…!」

田中「しゃあねえ、しゃあねえ! 打ったやつを誉めとこうぜ! 松坂、ガンガン投げてけ!」

田中「でもって俺んとこに打たせてけよ!」



 下1 被本塁打で初失点…

 1~3 調子ガッタガタに崩れるなよ!
 4~6 重圧&重圧&重圧な松坂…
 7~9 こいつ…打たれ馴れてやがる…!

流れさんもどってきてぇ!


阿部「松坂くん!」

松坂「っ…」

阿部「切り替えていこう。大丈夫、きっと佐野くんが取り返してくれるよ!」

佐野「ワシ任せかい! しゃあないのう、ボケどもは!」

田中「いやいや、俺と阿部のゴールデンワンツーコンビ――」

阿部「それはダサイからないよ」

田中「ダサくはないだろっ! なあっ!? なあ、そうだよな、松坂!?」

松坂「……っ…」

田中「お、おい! 元気出せ! きっと佐野がうまいもん奢ってくれるぞ!」

佐野「だから何でワシなんじゃ!!」


阿部(松坂くん…まだ1回戦の3回表だよ)

阿部(崩れるには早すぎる。だけど……性格からして多分…)


 シュッ

<ボール、フォア!

田中「よしよーし、塁を埋めた方が守りやすいってことだもんな!」

阿部(ゾーンにまで入らなく…どうする)

阿部(こんなところで躓けない…)


阿部「タイム、お願いします」

審判「タイム!」


 タタタッ…

松坂(う…阿部くんが、マウンドきちゃった…)

阿部「松坂くん」

松坂「ご、ごめん…なさい…」

阿部「謝る必要は全然ないよ」

阿部「打って取り返せるし、まだ1点しか取られてないんだから」

松坂「どう、すればいいんだろう…?」

阿部「いつも通りのピッチングができればいい。久遠くんの代わりをしろ、なんて言わないよ」

阿部「松坂くんは松坂くんなんだから。三振取りたい? 打ち取っていく? どっちでもお任せあれ、って感じなんだけど」

松坂「阿部くん…」


 下1 ちょっと頼もしく感じちゃった

 1 さ、三振なんて、取れる…?
 2 打ち取った方がいいのかな…?
 3 阿部くんはどうするのがいいと思う…?

1


松坂「三振なんて…取れるの……?」

阿部「もちろん」

松坂「…」

阿部「やってみる?」

松坂「…」コクッ

阿部「じゃ、まずは深呼吸から」

阿部「失点はすぐ取り返せる。気にしないようにね」

阿部「その上で、最初はストレート。打たれたっていい」

阿部「思いきり。やれるだけ。投げてきて」

松坂「……分かった」



松坂「ふぅー…」

<ピッチャーぶるってるぞー!

<どんどん打とうぜー!

松坂(最初はストレート。打たれたっていい)

松坂(思いきり。やれるだけ。……阿部くんのミットに、投げる!)シュッ



 ↓1 どや?

 1~3 失点は重なったけど凌いだ
 4~6 危うげながら凌げた
 7~9 お、ええんとちゃう?


 バシィッ

<トライーク!

田中「いいぞー!」

松坂(ストライク…! 入った…)

阿部(力が戻ってきたかな)

阿部(ぶつかっていくしかないんだから、それでいい)

阿部(フラストレーションが溜まるのは松坂くんだけじゃないんだから)


 キィンッ

松坂「!?」

阿部「サード!」

佐野「捕ったらぁっ!」バシッ

<アウト!

佐野「セカン!」シュッ

田中「あーらよぉっと!」バシィッ

<アウト!


阿部「佐野くん…!」

佐野「ふんっ」

田中「ナイスサード!!」

阿部「うんうん、ナイス、クソサード!」

佐野「阿部ぇええええっ!!」

松坂「三振は取れなかったけど…2アウト…!」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃1 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



長島「よく、あそこで踏ん張ったな。だがまだ先は長い。気を抜くな、松坂」

松坂「はい…」

長島「ピンチの後にはチャンスがくる! これは鉄則だ!」

長島「松坂、お前のバットで取り返してこい!」


 『9番、ピッチャー。松坂くん――』

松坂(そう言えば…僕からの打順だった…)

田中「打っとけ、打っとけー! 俺が帰してやるぜー!」



 下1 さあ!

 1~3 三振しました
 4~6 意外と粘れたのは…毎日の素振りのおかげ!?
 7~9 セーフティ、成功

試合で勝利した場合の経験値とかあるの?


 カツンッ…

中井「おっ、絶妙!」

田中「俺ほどじゃねえけど足も遅くねえしな!」


<セーフ!

松坂「う、打てちゃった…」

一塁コーチャー「自分で驚くなよ、エース」

松坂「うん…」


田中「よぉーしっ、俺がせっこいセーフティだけの男と思うなよ?」

田中「さあ、反撃といこうぜ、松坂ぁっ!」

松坂「っ…」ゴクリ

阿部(とは言え、相手の守備は堅い…。田中くん、どうする…?)



 下1 1番打者頼むぜ!

 1~3 めちゃくちゃ手堅い送りバント!
 4~6 地味にそつなく何でも巧い、田中
 7~9 長打もいけるんか!
  0  バッターアウト

せこくない戦略的なだけだ


田中「とうっ」

 カツンッ…

佐野「あんだけ大口叩いてバントかい!!」

中井「でもやっぱうまいな」

阿部「ま、そうだよねー…」

田中「だぁーっははは! 1番バッターの俺は、打席も多く回る分、余裕があるからなあ!」

松坂(ピッチャーなのに、こうも走らされるなんて…)

阿部(まあ松坂くん走らせる分には、スタミナの不安ないしね)

松坂(もしかして…知らないだけで、誰かこっそり投手の練習してたとか…?)


阿部「さてと、得点圏…」

阿部「自信つけさせてあげないとね」

阿部「俺の打席で、まずは還す――」



 下1 阿部くん頼むよ!

 1~3 あかんかった…
 4~6 ゴロの間に松坂が三塁へ。そしてクリーンナップに回ります
 7~9 1点返したぜ! そして1アウトのままクリーンナップへ

これ風野球の人?

何でもかんでも他作品の話出さないで


 バシッ

<トライーク!

阿部(うーん、この投手…)

 バシッ

<ボール!

阿部(苦手なタイプだ…)

 バシッ

<ボール!

阿部(コントロール、悪い…!)

 シュッ

阿部(きた――)

 ククイッ
 ブンッ
 バシィッ

阿部(と、思ったらスライダー!)

<ストライク!


阿部(ダメだ、苦手だ…やっぱり。コントロールいいピッチャーは…)

<トライクッ、バッターアウト!

佐野「阿ぁ部ええええええええ―――――――――――っ!!」

阿部「めんごめんご」


阿部「でもクリーンナップの皆さんなら、大丈夫だよね? 中井くん?」

中井「任しとけ」



 下1 イケメン3番センターの中井くん頼むよ…

 1~3 チャンスが潰えた…
 4~6 ランナー、一三塁で佐野へ!
 7~9 タイムリーで松坂生還! やったぜ!


<バッターアウト!

中井「……あちゃー」

阿部「やっぱりコントロール悪い投手なんてクソだよ、クソ。マジうんこ」

佐野「ああん? 文句つけれる立場と思っとるんか、お前は?」ゴゴゴ

阿部「さあ、しまっていこー!」

佐野「無視すんな阿部ぇっ!!」


松坂(1点差…これ以上の失点は避けたい…)

阿部(でも失点を怖れちゃ、いいピッチングはできないよ)

阿部(強気にいかなきゃ。守備でも攻める。それで相手の気勢を削ぐ)



 下1 はてさて

 1 チェンジアップ、再挑戦だよ
 2 カットボール解禁だ
 3 ガンガン投げよう

すまん下で

1


阿部(1ボール、2ストライク)

阿部(このカウントから、松坂くん…もう1度だ)

松坂「!」

松坂(チェンジアップ――また…?)

阿部(見せるだけでいい。緩急っていう武器があるんだと分かれば、相手も見ようとしてくる)

阿部(意識してくれないならチェンジアップで躱せばいい。意識してくれたんなら、押し込める)

阿部(攻めの姿勢でいこう。ピッチャーは唯一、守備側が自分のペースで攻められるポジションだよ)


松坂(さっき失敗して…叩き込まれたばかりなのに…)

松坂(でも阿部くんは、それがいいって…考えてるんだ)

松坂(応えなきゃ…やるんだ…)



 下1 再挑戦!

 1~3 被本塁打が脳裏をよぎって…
 4~6 中途半端な…チェンジアップ
 7~9 成功!


 下1 0判定 呪われた松坂のチェンジアップ説…

 偶数 大成功だよ!! 伏線だよ、失敗は!!
 奇数 呪われてますわぁー…

はい

うによ

うへぁ

ごめん許して・・・

チェンジアップ呪われてんなあ…

正直0とって大成功になった回数少なすぎw確率5割だよなww


松坂(チェンジアップ…チェンジアップで、応えるんだ…)

松坂(阿部くんの期待に…。それで、エースの責任を…果たす…果たすんだ…)

阿部(……きて)

松坂「ふ、ぅぅー…」


 シュッ

松坂「っ――」

阿部(そんな…!?)


 キィィィイイインッ

<またラッキーボールきたぁー!

<飛んでけー!!


中井「嘘だろ、おい…!」ダダダッ

松坂「っ……」

佐野「捕れぇーい!!」

中井「チックショー!」ダッ

 ガシャンッ…


<よっしゃあー!!

<フェンス直撃ー! 回れぇー!!

中井(セカンド――いやサードっ、届けっ!!)ビシュッ



 下1 チェンジアップが(ダメな意味で)ヤバいな…

 1~3 送球がそれて…! ら、ランニングホームラン…?
 4~6 ランナーは三塁…
 7~9 強肩中井氏、ランナーを刺せた!!


佐野「中井っ…!」

中井「しまった――」

<暴投きたあああああ―――――――――――っ!!


佐野「クソったれがあっ!」ダッ

阿部「バックホーム!」

佐野「分かっとるわあっ!」ブンッ

 ズザァッ
 バシッ

松坂「っ…」

田中「アウトアウトアウト…!」


<セェーフ!

松坂「っ――!!」

<きったああああああああ―――――――――――――――!!

<2点目、ゲット!

<ランニングホームランかよっ!


中井「……畜生…焦った…」

佐野「ええ雰囲気じゃないのう…」

田中「ドンマイ、ドンマイ! ガンガンいこうぜぇー!」

阿部(チェンジアップのサインを出した時…動揺が酷かった…)

阿部(もしかして、さっきの一発で悪いイメージばかりが植えつけられて…?)


松坂「…」

阿部(顔色が悪くなってる…)

阿部(まさか、コールドされる側がこっちじゃないよね――?)



 下1 松坂ぁ…

 1~3 大量失点や…
 4~6 どうにか3点差で…
 7~9 チェンジアップさえ投げなきゃ、まあ…かろうじて


松坂「はぁっ…はっ…」

阿部(消耗が激しい…。打たれながら、どうにかランニングホームランの1失点にこの回は留められたけど…)

阿部(チェンジアップの失敗から、中井くんの送球ミス…)

阿部(どれほど松坂くんのメンタルが削られてるか…)


中井「悪い、松坂…」

松坂「ううん…こっちが、打たれたせいで…」

田中「お通夜かよ!! 元気出していこうぜ!? まだ中盤だ!」

阿部(こういう時の田中くんはいいね)

阿部「………佐野くん」

佐野「何じゃ」ゴゴゴ

阿部「期待してるよ、主砲の一発に」

佐野「アホか。ワシゃ、4番でキャプテンじゃ」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃1 ┃1 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



佐野(久遠の離脱から、いきなりエースにされた松坂…)

佐野(ワシならおいしいっちゅう状況じゃが、あいつにゃ単なる重責をいきなり負わされた被害者意識みたいなもんじゃろうな…)

佐野(その上、この試合内容…)

佐野(取り返してやらんと、このままじゃ潰れてまうぞ――)



 下1 コンマ 佐野イベクリア:+2

 1~3 力入りすぎぃっ!!
 4~6 シングルヒット
 7~9 勝負にきた相手投手をぶっ飛ばすかのような長打。佐野ー!
  0  佐野っち、ソロホームラン打つってさ

slug cat


佐野「来いや…」ゴゴゴ

投手(っ…やっぱこの4番、雰囲気があるな)

投手(でも向こうの投手が潰れかけてる今こそ、攻勢に回って一気に叩き潰す時…!!)

投手(食らえ!)


 ビシュッ

佐野「――ふんぬぅっ!!!」クワッ

 ブォォンッ
 カッキィイイイイイン…


阿部「えっ――?」←プロテクター外してた最中

松坂「あ――」←飲み物飲んでた最中

田中「佐野ぉおおおっ!!」

中井「でっけえ!!」

佐野「ドアホどもが。こんくらい打てんでどうするっちゅうんじゃ」ザッ


田中「ほ、ほほっ、ホームラァア―――――――――ン!!」

中井「マァジでかっ! 佐野ぉっ!!」

阿部「佐野くん、ほんとにやっちゃったよ…」

松坂「さ、さすが佐野くん…!」

佐野「キャプテンとして、こういう時こそ打たんでどうするっちゅうんじゃ、ボケどもが」

佐野「そもそも前の回にワシまで回しとけっちゅう話じゃ…」ブツブツ



 下1 佐野っちのソロホームランでチームに勢いが!?

 1~3 戻らないって何でやねん
 4~6 まだまだこっからだぜ、って。しかし打線の繋がりは、びっみょー
 7~9 佐野っちすごいわー。一発でこれやで?

おらあ


田中「佐野が打てたんだ、俺らも打てる!」

田中「臆することなく果敢に振ろう! モットーは、豪打必勝だぁー! いこうぜー!」

佐野「打てなかったやつぁ、素振り10倍に増やすぞボケどもがー!」

 『おおー!』


阿部(活気は戻ってきたかな…)

阿部(少なくともあと1回は佐野くんに回る。そう考えれば、同点…もっといい形で佐野くんに回せれば逆転――)

阿部(そういうビジョンが見えれば活気づくのも当然)

阿部(けどこのムードを、次の回の表で失速させちゃいけない)

阿部(どんな展開になろうが、チームの勝敗はきみの双肩にかかってるんだよ、松坂くん――)チラッ

松坂「あ、またヒット…!」

田中「そうだ、それでいい! 欲張りにいこうぜぇー!」

阿部(……チェンジアップは、しばらく封印だな。とても実践じゃあ使えない)

阿部(だとすると、取るべきは…)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃1 ┃1 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃1 ┃  ┃  ┃  ┃ ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 下1 さあ、5回表でっせ

 1 打って取るスタイル
 2 三振狙いで
 3 カットボール解禁
 4 スイッチ披露


阿部(自信第一)

阿部(自分の力は通用するって思わせる)

阿部(思ってくれなきゃ困る、だから三振を狙う)

阿部(俺が引っ張るんだ。こんなところで、潰させてたまるか。うちのエースを)


 シュッ

<ボール!

阿部(今の高めに手を出さない…)

阿部(それなら、今度は胸元だよ。当てたっていい。強気で)

 ビシュッ
 キィンッ

<ファール!

阿部(カウントもらい)

阿部(その投球テンポでいい。リズム良く――)

 ビシュッ
 バシンッ

<トライク!!

阿部(後がない。ゾーンは広がった。ここでアウトコース、低め)

阿部(ボールになってもいい、振ってくれさえすれば――)

 バシッ

<トーライク、バッターアウト!!


阿部「さあ、どんどんいこう!」

松坂「ふぅーっ…ふぅーっ…」

松坂(深呼吸して、落ち着いて…1人ずつ…打者をさばく…)



 下1 がんばれ松坂!

 1~3 そしてまたピンチ…
 4~6 打たれはしたけど、無失点で
 7~9 この回、2奪三振


 キィンッ

松坂「っ…」

阿部(ランナーは一二塁…)

阿部(大丈夫、アウトはあと1つだけだから。2アウトのこっちが有利だ)

田中「へいへいへーい! 打たしていこうぜー!」

阿部「2アウトだよー!」

佐野「打たせんか、松坂!」

松坂「ふぅーっ…ふぅーっ…」

松坂「……あと1人で、チェンジ…」


 ビシュッ
 キィンッ

松坂「!」

佐野(ピッチャー前のゴロ…!)

田中(あいつ投げまくりだし、打たれまくりだし、守備上手いけど平気か――!?)


 バシッ

松坂「ファースト!」シュッ

 バシィッ

<アウト!


田中「って杞憂だよな! ナイス守備!」

佐野「おう、それでええんじゃ。お前の強みは守備力とスタミナくらいじゃからな」

阿部「いい感じだよ。三振も取れたしね」

松坂「うん…ふぅぅ…」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃1 ┃1 ┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃1 ┃  ┃  ┃  ┃ ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



松坂「三振した…」トボトボ

中井「気にすんなって。お前は投げることに集中しとけ」

中井「さっきのエラー、何が何でもこの回で取り返してきてやるから…」

松坂「中井くん…」



 下1 コンマ そろそろいきたいよね

 1~3 ぐぬぬ…
 4~6 いけるか?
 7~9 つ、つながった…!?

行け!


田中「俺様お得意のセーフティ――って、ためらいなく突っ込んできやがっ…!?」

<アウト!


阿部「そりゃ、これで3打席連続になるし…」

田中「何たる失態! 裏をついたつもりだったのにぃー!」

佐野「アホか」

中井「アホだろ、あいつは」

佐野「そうじゃったのう…」

松坂「田中くん…」

田中「でも俺、ドンマイ! 守備じゃ活躍してるもんね! だぁーっはっはっはー!」


阿部(そろそろ打ちたい…)

阿部(けどこの投手、やっぱり…!)ブンッ

<トライク!

阿部(コントロール悪すぎぃっ!!)

<バッターアウト!


佐野「三者凡退とはどーいうことじゃボケぇっ! その分、守備できっちり働けやぁっ!!!」

阿部「うるさいな、分かってるよ…」



 下1 松坂の調子は?

 1~3 スタミナってより、メンタルの弱さよね
 4~6 スタミナあるしね、打たれてはいるけど…
 7~9 そこそこ打ってるはずなのに投球の質が変わらない松坂に勝手に相手ベンチが…

はい


 そろそろ成功しとくれよ…

 下1 0コンマ判定

 偶数 あれ、なんか初回よりも調子が上がってるんジャマイカ?
 奇数 精神的な疲労でね…うん…

ジャマイカ

0コンマ呪われすぎィ!

うーんこの

緒戦敗退しそう


 キィンッ

田中「そいやっ――だあっ!?」

<抜けたぁー!!

<ピッチャー弱ってるぞー!!

<打てるぞ、もう一押しだ!!


阿部(軽い…)

阿部(ここにきて…?)

阿部(スタミナは信頼してるつもりだったけど…やっぱり問題は、精神面)

阿部(こっちのリードにはおおむね応えてくれてるだけに、こうなってしまうと厳しいな…)


松坂(思うように投げられない…)

松坂(やっぱり、エースなんて務まらないんじゃ…)


田中「いけるぞ、松坂! ドンドンいこうぜ!」

佐野「気合い入れて投げんかぁっ!」

中井「余計な力抜いていけよ!」


阿部(……………どうする)

阿部(騙し騙しで、まだいけるか…?)



 下1 弱ってきてます

 1 カットだ、カット!
 2 余計な力は抜けたな、チェンジアップだ(呪い補正…つくよ…
 3 スイッチだ
 4 ストレートでいこう、このまま

つまんね

3

4

3
出し惜しみしてたら負けるって!



阿部「…松坂くん!」

松坂「っ…」

阿部「………グローブ、チェンジで」

松坂「えっ…」

佐野「ここでか」

田中「本領発揮だな!」


松坂「………うん」スポッ

 ザワワッ…

<おい、ピッチャーがグラブ外したぞ

<反対の手につけた!

<まさかの両投げか、あいつ!?



松坂(……通用するのかな)

阿部(大丈夫、両投げなんてそうそういないよ)

阿部(ナックルボーラー並にいないんじゃないかな? それとも、それ以下?)

阿部(さあ、ド変態ピッチングでいこう)

松坂(またド変態とか周りに思われたりするのかなぁ…?)



 下1 スイッチピッチング!!

 1~3 リキんだか…
 4~6 戸惑ってる、戸惑ってるぅっ!
 7~9 イケるやん!

そりゃ


打者「はあっ…?」

打者(どうして、俺が打席入ろうとしたらグローブ反対につけて…?)

打者(つか何だあのグローブ? 何でどっちの手にもはまるんだ?)


阿部(さあ、クイックでいこう)

松坂(クイック…!)シュッ

打者(もう投げてきた…!?)

 バシィッ

<トライーク!


 ザワワッ…

打者(左投げでも、変わらないんじゃね…?)

打者(つうかむしろ、サイドだし、コーナーが広い――!)

 ブンッ
 バシィッ

<ストライク、ツー!


阿部(ほらね、通用した)

松坂(あ、あれ…?)

阿部(けどこれは、一時的なもの。冷静になられる前に叩き潰して勢いを持っていかないと)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃1 ┃1 ┃0 ┃0 ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃1 ┃0 ┃  ┃  ┃ ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



中井「俺から、か…。佐野、頼むぜ」

佐野「お前がやってもええんじゃぞ」

中井「キャップにいいとこは譲るよ」

田中「とかかっこつけといて打てないのが今日の中井だろ?」

中井「うるせっ。今度こそ、打ってくるさ」



 下1 中井くーん!

 1~3 守備堅いんだって…
 4~6 痛烈なライナーで鉄壁みたいに思われた二遊間を打ち抜いた
 7~9 ええやん! 二塁打や!

はい


松坂「もうカウントが…」

阿部「3ボール、2ストライク…。追い詰めたのか、追い詰められたのか…」

阿部(俺だったら、振らせたい。けど慎重になりすぎても…)

田中「いけ、中井ー!」

中井「…いいとこ見せないと」ギュッ


 ビシュッ

中井(バットを振り抜いて、守備をぶち破る――!)ブンッ

 ギィンッ

佐野「おおっ…!」

田中「いけっ! いっちまえ!」


 ダダダッ
 バシィッ

阿部(やっぱり守備を徹底して鍛えられてる…!)

中井「クソ…!」

<アウト!


佐野「っ…カッコつけよってこれか」

中井「畜生…畜生…!」

田中「ドンマイドンマイ、まだチャンスはあるぜ!」


佐野(1点差か…。またホームランを打てりゃあええが…)

佐野(そううまくもいかんじゃろうのう…)



 下1 コンマ

 1~3 佐野、打てなかった
 4~6 佐野、シングルヒット
 7~9 佐野、二塁打
  0   佐野、またホームラン打つってさ

どうだ

これは頼れる四番打者


 ギィンッ

松坂「詰まった…!」

田中「けど佐野のパワーならイケんだろぉっ!」

阿部「怪しいとこだけど――」

田中「うおっしゃあああああ! っしゃ! レフト線ギリ! 長打コース!」

中井「あいつ、ほんとにすごいな」

阿部「口だけじゃないのが、佐野くんのズルいとこだからね…」


田中「こっから一気にいけるぜ、おい!」

阿部(でも…こういうチャンスで繋がらなかったのが、今日のこのチームなんだよね…)



 下1 コンマ 繋がってよ!

 1~3 つながらず…
 4~6 やっぱ佐野が打つから、望みが絶たれず戦えるんだね
 7~9 おおっ、とうとうチャンスが!!

はい

呪われるな……呪われるな……


 下1 0コンマ判定

 偶数 同点に、追いついた…! いいムードだぞ!!
 奇数 リリーフピッチャーが…! 出てきおった…折角みんな馴れそうだったのに…

0の呪いを振り切ったぞー!


田中「阿部、お前今、わるーいこと考えたろ?」

阿部「えー、そんなことないよー?」

田中「顔に出てんだよ、腹黒!」

阿部(田中くん、意外と見てるね…)

 キィンッ

阿部「えっ?」

田中「うおー!!?」


松坂「レフト前ヒット…!」

中井「これでランナーは一三塁か」

田中「ほらな! お前、現実的なのと悲観的なのごっちゃにすんなよ、阿部!」

阿部「いやそういうつもりはないんだけど…」


田中「さあ、一打同点だぜ!」

阿部「ここはやっぱり…」


 カツンッ…

田中「スクイーズ! スクイズ! 佐野ぉっ、ぶっ飛ばせぇー!!」

佐野「おおおおおおおっ!」ダダダッ

捕手「ひぃっ…!!?」

<セーフ!

田中「ど・う・てぇえええええええ――――――――――ん!!」

松坂「やった…!」

阿部「思いきりアタックするつもりだったよね、あれ…。いいのかなあ…? 本塁への特攻…」

田中「点さえ入りゃあいいんだよ! それにキャッチャービビってたしぃっ? だぁーっははは!」

中井(こうなると、ほんっとに悔しくてたまらねえな…)



 下1 さ、さらなる追加点は…!?

 1~3 だって下位打順になっちゃったし…
 4~6 惜しかったね
 7~9 逆☆転!

0よ、さては我々に安堵を与えるつもりがないな


 下1 0コンマ判定

 偶数 特能:ハングリーバッターが発動して松坂初打点
 奇数 むしろ同点に追いつかれた危機感かあ、相手の攻撃が…こいつらほんとに下の上かよ…?

こい

さあ

きた

よっしゃあ!

良かった

落としてぶち上げるタイプのコンマ神。

コンマ神最高!



  ◆    S●●●
◆   ◆ B●●●
  ◇    O●●○


 『9番。ピッチャー。松坂くん』


阿部「佐野くんが二塁打で、5番で一三塁になって、6番でスクイズして…」

阿部「7番にフォアボール、8番もフォアボールで…」


松坂「え…? ま、満塁…?」

田中「何でこの場面でお前だ、松坂っ!?」

中井「とにかく振ってけ! 向こうもずっと投げてる、疲れはあるんだ!」

阿部「まさかの松坂くんが…この、場面で…」

松坂「な、ん、で…?」


佐野「松坂ぁっ!!」

松坂「ひっ…!?」

佐野「毎日1000本振ってきたんじゃろうが! しっかり振れぇっ!!」

松坂「…っ」


松坂(そう、だよね…)

松坂(練習の後に、毎日ずっと…1000本…佐野くんに見守られながら振ってきたんだし…)

松坂(投げて失敗した分…もし、ここで取り戻せるんなら…)



 下1 コンマ ハングリーバッター!! +2

 1~3 三振
 4~6 シングルヒット
 7~9 タイムリーで2点追加…!
  0  走者一掃のタイムリーで3点追加…

あ、SBO表示間違ってた…めんご…

0凄い

走者一掃じゃあああああ!!

これ久遠要らなかったかな?
いや、まだ1回戦だ!


松坂(こうして、打席から見ると…あのピッチャー、顔が疲れてる…)

松坂(もしかしてあっちも、交替できる投手がいない…? ううん、ブルペンには人がいる…)

松坂(でも……マウンドに、上げられないって判断なのかな)

松坂(…………だから、体力がなくなりかけてても…投げるしかない)

松坂(それって…つらい状況だよね…)


 ブンッ
 バシッ

<ボール!


松坂(………それに、これで何だかんだ3打席目だし…目が馴れたような…)

松坂(………ストレートがきたら…思いっきり、打ってみよう)

松坂(ストレート…ストレート…)


 ブンッ
 バシィッ

<ストライーク!

松坂(スライダー…。これじゃない、ストレート…)


 ビシュッ

松坂「――!!」ブォンッ

 キィィィンッ


田中「うおおおおおっ!?」

阿部「何でっ!?」

中井「ま、つざかがぁっ……!?」

佐野「当然じゃ、ボケどもが」ニタッ



松坂(あ、飛んだ…初めてかも、こんな大当たり…)

<まーわれぇーい! どんどんどんどんどん、まーわーれーい! だぁっはははー!

<ええぞ松坂ぁーっ!!

<輝いてるぞ!


田中「だははははー! この回、これで、えーと…えっと? 4点だ!!!」

田中「大逆転! だぁっはははー! 松坂、サイコー! まーつざかっ、ヘイ、まーつざかっ!」

佐野「騒いどらんでお前の打席に行け!」

田中「すっかり忘れてた!!」


 下1 ま、まさか…?

 1~3 うん、これ以上はなかったね
 4~6 攻めすぎた…
 7~9 流れが、きてる…?

さあこい!

流れがきてるぞw

流れきた!ここで勝負決めたい!


田中「さあ、この俺をセーフティだけの男と思うなヨ!?」

<きょどってるぞ田中ー!

<そろそろ普通にヒッティングしろー!

松坂(また、走るのかな…? あ、でも2アウトだし…送りバントはないはずだし…)


 ビシュッ

田中「初球打ちぃっ!!」ブンッ

 ギィンッ

佐野「田中が…!」

阿部「普通に…打った!!」

中井「いやいや、練習試合で打ってたろって…」


<いいぞ、田中ー!

<どんだけ点入るんだー!?


 『ピッチャーの交替をお報せします――』

阿部(おっ…? やっと、クソコントロール投手終わり…? いけるかな?)

阿部(投球練習してもらってるのを、じっくり見ちゃうもんね…)ニヤリ



 キィンッ

<阿部が打ったー!?

<あんなアウトローのを、あいつ狙い打ったのか!?

阿部(だから、コントロール悪い投手が苦手なんだってば…)


中井(今度こそ、打つ…!)



 下1 中井くん…?

 1~3 ダメですよねぇー
 4~6 そして、頼れる4番へ繋がれた…
 7~9 またまた得点!!

こいや

中井くん気負いすぎぃ!



 キィンッ

田中「だぁーっははははー! 流れはこっちにきてるのだー!」

松坂「ホーム…!」ズザァッ

阿部「いや、打上げすぎた…!」

 パシィッ

<アウト!

中井「~っ…!!!」

佐野「つまらんライトフライか…」


田中「ドンマイ、ドンマイ、一気に逆転できたんだ! この勢いでいこーぜぇ!」

中井(な、ん、で、だぁっ……!?)

佐野(中井は今日、本格的に調子悪いんか…?)

阿部(力入りすぎじゃない? 失態を取り返そうって…)

中井(ヤバい、ヤバいぞ、俺…? もしかして、次の試合、外されるんじゃ…?)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃1 ┃1 ┃0 ┃0 ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃1 ┃0 ┃4 ┃  ┃ ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



阿部(7回入って、2-5の3点差…)

阿部(あと3回凌げばこっちの勝ちだ。自分で取り返した打点、大事にしようね)

松坂(3点差なら…余裕を持って………だ、だけどここで、逆に盛り返されたら今度こそ…)

阿部(あ、また顔が弱気になってる…?)

阿部「すぅぅー…」

阿部「中井くんほどダメじゃないからがんばっていこー、松坂くん!!」

松坂「ええっ!?」

佐野「そうじゃ、中井ほどダメじゃない!」

田中「だはははっ、あいつ、3番なのに打ててねえし、センターなのに暴投したしなあ! お前のが万倍マシだぜ!」

中井「っ……どういうことだ、どういう! 俺を引き合いに出すな! そりゃ、結果は出てねえけどなあ!?」

松坂「あ、はは…」

阿部(ちょっとはリラックスしてくれればいいけど…)



 下1 いったれ、松坂!

 1~3 むむぅ…向こうベンチはガンガン代打を出してきてるな
 4~6 スイッチピッチで翻弄できてるぞ
 7~9 勢いキープ!


 バシッ

<ストライク、バッターアウッ!

阿部(うん、左を解禁してから調子が戻ってきてる)

阿部(それにさっきの攻撃で勢いづいたかな。この調子なら最終回までいける)


佐野「ワシが、この勝負を決めてきたるわ…」ザッ

松坂「がんばって、佐野くん…!」

佐野「がんばるも何もあるか、ボケ。ワシゃ、打つだけじゃ」ゴゴゴ

阿部「わーたのもしーなー。少なくとも中井くんよりは?」チラッ

中井「」

田中「そうだな、中井よりはな!」

中井「」

松坂「な、中井くん、あの…ドンマイ!」

中井(とうとう松坂に、慰められ…!?)



 下1 長い試合だった…

 1~3 と、思いきや…?
 4~9 内容は酷かったけど、初戦突破

ほい

勝てば良い!それがすべてだ!


阿部(さあ、最後のバッター)

阿部(ランナーは気にせず、思いきり!)

松坂「ふぅぅー…」

 ビシュッ
 ブンッ
 バシィッ

<ストライク、バッターアウト!

<ゲームセット!


佐野「うおらあああああっ!」

田中「やってやったぜぇー!」

阿部「ナイピッチ、松坂くん!」

松坂「か、勝てちゃった…勝てちゃったぁ……!」

中井(いいとこなしだった…)


 ザザッ

 『ありがとうございましたぁっ!!』


夕実「すごい…初戦突破! 初戦突破ですね、監督!」

長島「……………ああ。だが、初戦でこれではな…」

夕実「っ…」

夕実(そ、そうだよね…。まだ1回戦だし…強豪校が相手だったわけでもないのに、こんな消耗した戦い…)

長島「……しごき甲斐しかないな」ゴゴゴ

夕実(あれ、ちょっと楽しそう…?)



 下1 勝てた!!

 1~3 チェンジアップ、封印…
 4~6 大きい課題が判明したね…
 7~9 打撃能力が5ずつアップ!
  0   初戦でめちゃくちゃ疲労がね…

まあねー
もっと磨こうか



長島「入念にダウンをしろ、松坂。お前しか投手はいないんだ」

長島「あとになって、少しでも体のどこかに違和感を感じたら、すぐに言え」

松坂「は、はい」

阿部「ダウン手伝うよ」

松坂「うん…ありがとう」


阿部「それにしても…」

松坂「うん…?」

阿部「………チェンジアップ、投げない方がいいかもね」

松坂「っ…」

阿部「使えれば有効だけど…今日の試合の感じじゃ、とても公式戦で使えないよ」

松坂「……そう、だね…」

阿部「投げた時の感覚とかは覚えてる?」

松坂「…………2回目に要求されて、投げた時…すごく、何か………怖くなっちゃって…」

阿部(やっぱり、あのホームランがトラウマになった…?)

松坂「…ごめん…」

阿部「最悪のタイミングで、最悪のすっぽ抜け方したってだけだから気にしないでいいよ」

松坂(それは、気になっちゃう言い方…)

阿部「でも…やっぱり、チェンジアップは封印した方がいいかもね」

松坂「うん…」

阿部(となると、緩急は使えない…。カットはまだ見せてないにしろ、しばらくスイッチで押し通すか…?)

阿部(苦戦が続きそうだな…)



 下1 試合後… 酷い試合:-2

 1~3 中井が、スタメンから外された…
 4~6 めっちゃくちゃ、全員、走らされた
 7~9 めっちゃくちゃ、全員、打撃練習させられた


長島「中井」

中井「はい…」

長島「………今日の試合は何だ?」

中井「すみませんでした」

長島「何故、いけなかったのかを自分なりに分析してノートに書いておけ」

中井「はい」

長島「次の試合、お前はスタメンから外す」

中井「っ………分かり、ました」


田中「中井が外れるのか…スタメン…」

佐野「しゃあないのう、あれは当然じゃ。仮にも3番を任せられといて、安打0、守備でもエラー」

阿部(結果的に勝てたからいいけど…結果を出せずに負けてたら、もう夏が終わってたんだ。勝つためには、采配として仕方がない…)


中井「…」

中井(畜生、何で…打てなかった…)

中井(焦ったせいか…? だけど…頭じゃ、焦ってるつもりはなかった…)

中井(………バットにボールは触れた。それでも、相手の守備が――いや、言い訳してるようじゃまだまだか…)

中井(……………帰りにバッセン寄るか)



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃ 計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃1 ┃1 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃ 0┃2 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃1 ┃0 ┃4 ┃1 ┃0┃× ┃6 ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


阿部(終わってみれば…2-6か)

阿部(だけど、途中で盛り返すことができなかったら…)

阿部(うーん…このままじゃ、厳しいよね…)

阿部(かと言って、いきなり誰かがものすごく上達するはずもないし…)

阿部(………想像以上に、厳しいかもな…)


佐野「何しとんじゃ?」

阿部「試合を振り返って反省中…」

佐野「結局、ヒット1本の2番打者じゃ、それも当然の態度じゃのう」

阿部「はいはい、猛打賞おつかれさま…」

佐野「っ…」

阿部「…けどここから先、本当に佐野くんが打撃の要にならないとマズいかもね」

阿部「今日の相手は堅守が特徴的だったのもあるけど…投手のレベルがそう高かったわけじゃない」

阿部「なのに、あれだけ打ちあぐねたんだから…打力不足を痛感するよ。何が豪打必勝だか…」

佐野「さりげなくディスるのやめい」

阿部「……がんばってね、佐野キャプテン」

佐野「ふんっ、言われんでも打つだけじゃ。……お前も、松坂の手綱よう取れたのう。………ほいじゃな。帰るわ」



久遠「……初戦突破、2-6か」

久遠「…」

<おーい、新入りー

久遠「はい、今行きます」

久遠「…………投げたい…」




阿部「次の相手は、去年の夏大会でベスト16」

田中「ベスト16っつーと…? 準決勝で、ベスト4。準々決勝でベスト8…? 何だ、別にそこまででもなくね?」

阿部「ところがどっこい、去年の優勝チームとぶつかっちゃってるんだよねー。僅差で負けたチーム」

佐野「はんっ、始まる前から相手にビビってどうするんじゃ、ボケが」

田中「そーだそーだ、その通りだー!」

阿部「まあ秋も春も、大した成績は残せてないけど…この前の試合を考えればねえ? 中井くん?」

中井「うるさい」

田中「阿部ってねちっこいな。お前、バッテリーとして大変そうだよな」

松坂「え? あ、うーん…」

阿部「練習試合でどんだけ結果残そうが、しょせんは練習。本番で負けたら意味ないし、気合いを入れ直さないとね」

田中「それはその通りだな!」

阿部「って、本当はキャプテンが言うのかもねー?」

佐野「黙れ殺すぞ死ね。練習じゃ。始めるぞ」


阿部「大会中だし、松坂くんは調整メニューね。監督と相談して決めといたから」

松坂「えっ…うん…」

阿部「これやっといてね」ピラッ

松坂(………………あれ、ぜんぜん、投げさせてもらえない…?)



 下1 練習中のこと…

 1 中井くんが一心不乱にバットを振っている
 2 田中がうざ絡みしてきた
 3 阿部くんが、ずっと松坂を見ながらうーん…てなってる

3

1


松坂「…」グイッ

松坂「…」グイッ

松坂(何だか…)グイッ

松坂(さっきからずっと…)グイッ

松坂(阿部くんが…)グイッ

阿部「……うーん…」ジィィッ

松坂(こっち見て、唸ってる…)グイッ

松坂(何だろう…?)


阿部(ぶっちゃけ…松坂くんは、スペックはいいのに…)

阿部(それを発揮できないタイプなんだよね…)

阿部(メンタルのせいで)

阿部(……けどメンタルなんて、どうやればいいんだろう…)

阿部(嫌味を言って奮起するタイプでもないだろうし…)

阿部(そうと言って素直に強気になれるタイプでもない…)

阿部(自信をつけさせようにも、異様に自己評価が低いせいで…ちょっとの失敗でまた、自信が底辺に落ち着く…)

阿部(手に負えないってこういうことかな…?)

阿部「……うぅーん…」


松坂(………も、もしかして…この前の試合で、見限られて…?)

松坂「…」グイッ

阿部「…」ジィッ



 下1 コンマ

 1~3 ずっと唸ってた阿部くんだった…
 4~6 阿部くんと雑談した
 7~9 腹割って話すことにしたらしい阿部くん

腹を割って話そう!

ほい


松坂「……ど、どうかした?」

阿部「ねえ松坂くん…」

松坂「うん…?」

阿部「………………………………」

松坂「……阿部くん…?」

阿部「あ、いや…。うん、松坂くんってさ、食べもの、何好き?」

松坂「食べもの…? ……………うーん、ハンバーグとか…」

阿部「チーズ入ってるのは? そそられる派?」

松坂「あんまり…別に…」

阿部「俺はチーズは、上に乗ってる方が好きかな。ぺろんってやつが乗ってるタイプ」

松坂「あ、それの方がいいかも」

阿部「だよね。音楽とか聞く?」

松坂「…テレビで流れてるようなのだけ…」

阿部「なぁーんだ」

松坂「阿部くんはどんなの聞くの?」

阿部「んー…ジャンルとしては………スラッシュメタル?」

松坂「スラッ…?」

阿部「きっと松坂くんは興味持たなきゃ一生、意識して聞くことないよ」

松坂「…」

阿部「そう言えば佐野くんと、いつの間にか仲良くなってない? 何かあったの?」

松坂「あー……あったけど…ちょっと、言わない方がいいかも…」

阿部「人に言えない関係? やだ、ド変態…」

松坂「そういうのじゃないよっ…」

阿部「あははっ、よく言うよね~」

松坂「ていうか阿部くんは練習しないの? さっきからずっと、こっち見てるばっかりで…」

阿部「考えごとを優先してただけでーす」

松坂「どんな?」

阿部「…………………んー、背を伸ばす方法」

松坂「背…?」←身長:176cm

阿部「背」←身長:164cm

松坂「……ちっちゃいもんね、阿部くん」

阿部「あ、ちょっと今カチンときた」

松坂「気にしてた…んだね…」

阿部「ま、別にいいけどねー。ふーんだ」

松坂「拗ねた…」

阿部「そりゃ拗ねるよ…。松坂くんがダメダメでさ…」

松坂「ごめん…」

阿部「………でも、手のかかる投手の方が、捕手としてはやりがい感じちゃうんだよね。どっちかと言えばSだと思ってるのにさ」



 下1 コンマ 雑談した

 1~3 よくよく考えると阿部くんのことさっぱり知らなかったんだなって気づいた松坂くんだった
 4~6 投手といえば久遠くん…
 7~9 阿部イベ、発生か?


阿部「さあって、と…」

阿部「練習してこよ。松坂くん、サボっちゃダメだからね」

松坂「はーい…」

阿部「またねー」スタスタ


松坂(そう言えば…阿部くんのこと、あんまりよく知らなかったな…)

松坂(………バッテリーなんだし、もっとお互いのことを理解し合った方がいいのかな…?)

松坂(また今度、時間があったらおしゃべりしてみようかな…)


阿部(どう切り出せばいいのやら…)

阿部(メンタルってめんどい…)

阿部(何でこう、世の中の人っていうのは精神病んだり、弱かったりするんだろう…?)

阿部(全然、理解できないんだよなあ…うーん……)



 下1 そして、また試合が近づく…

 1~3 またもや堅守自慢のチームですか…
 4~6 うげえ、打撃自慢っすか?
 7~9 ひょえー、いい投手ですなあ…。久遠ほどじゃないけど←

ヤベェよ


 下1 0コンマ判定

 偶数 あ、弱いぞ…?
 奇数 超攻撃的なチームか…松坂くんには相性悪そうだなあ… by阿部

いいぞ!


 ―― 2回戦

阿部「1回戦のデータを見たんだけど…」

佐野「おう」

田中「どうなんだ?」

松坂「…」

中井(スタメンならず…か。当然とは言え…代打を出されたら、アピールしないとな)


阿部「多分…監督が変わったんだろうね」

阿部「…………1回戦はどうにか突破したみたいだけど、そんなに強くなさそう。ていうか、弱く見えるね…」

佐野「とか言って、お前のことじゃ…。何かあるんじゃろう?」

阿部「ない、ない」

田中「え、じゃあマジで弱いのか?」

阿部「試合前ノック見れば分かるんじゃないかな?」

松坂「そ、そんなに…? 1回戦の、相手よりも…?」

阿部「うん」



 『敵さん高校、試合前ノックを開始してください――』

 キィン…
 バシッ…
 シュッ…

田中「………何だ、あの動き?」

佐野「…きびきびやらんか、きびきび…」

中井「確かに…動きも、良くはないな…?」

松坂「守備力は…低そう…」

阿部「特筆するような打者もいないし…。典型的なプルヒッティングで長打を狙おうって4番と、ちょっと足速いかなって1番と…」

阿部「変化球がなさそうな投手と…うん、それくらいかな」


佐野「じゃが、前の試合はそれで甘く見とったら、あの体たらくじゃ」

佐野「相手がどこだろうが、全力で叩き潰す! ええのう!?」

 『おうっ!』



 下1 プレイボール!!

 1~3 あ、打たれた…
 4~6 弱くて逆に手応えがない疑惑…
 7~9 これコールドねらえんぞ

どう?

ほい


田中「今回は、打って打って、打ーつ!」

 ブンッ
 キィンッ

松坂「ゆ、有言実行…!」

田中「だっはっはっはー!!」


阿部(コントロール良くはないけど、ふつーに遅いし、リードも単調!)

 ブンッ
 キィンッ

松坂「続いちゃった…!?」


3番(中井がスタメンを降りた今、絶交のアピールチャンス…!)

 キィンッ

松坂「ま、満塁…!?)



 下1 コンマ 佐野っち、いけ

 1~3 タイムリーで初回2点
 4~6 タイムリーで初回3点
 7~9 満塁本塁打…
  0  遅すぎて打てんわぁっ!! by佐野

なー

ほい


佐野「たらたら投げよって腹立つわあっ!!」

 ブオンッ
 キィィンッ

松坂「タイムリー!」

田中「よぉっし、楽々セーフ!」

阿部「生還っと!」ズザァッ

松坂「いきなり、2点…」

佐野「ちぃ…遅くてきっちりミートできんかったか…」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃ 計┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━
┃新┃2 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━
┃敵┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃1 ┃┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



阿部(さ、松坂くん)

阿部(気楽にいこう。相手は本当に格下だよ)

松坂(2点もリードあるし…大丈夫、大丈夫…やれる…………………と思いたい…けど…………)

阿部(何で顔がまたひきつっていくかな…?)

田中「よぉっしゃ、ガンガン打たせてこいやぁー!」

佐野「コールドで勝つぞ、ボケがぁっ!!」



 下1 いけ、松坂!

 1~3 ああ、打たれたか…スペックを発揮できないんだよね…
 4~6 ま、及第点の立ち上がりかな…?
 7~9 いけるやんけ



 ビシュッ

<ストライク、バッターアウト!

松坂「……あれ、三振2つ目…」

阿部「ナイピッチ!」

田中「いっつもその感じでやれってーの!」

佐野「このまま一気に勝たしてもらうかのう!」


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃ 計┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━
┃新┃2 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━
┃敵┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃1 ┃┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


松坂「…早くも、2奪三振…?」

松坂「まだ、1回裏が終わったばかりなのに…?」

中井「何をほうけてるんだよ。お前の力がちゃんと出てるだけだろ。ほら、ドリンク」

松坂「あ、ありがとう…」

中井「自信持っていけよ。ちゃんと力が出せてるんだから」

松坂「中井くん…」

阿部(うんうん、いいね、中井くん。その調子で自信持たせてあげて)

阿部(ま、本人にもやってもらいたいところなんだけど…そのあたりは)



 下1 コールドいっちゃうかあ?

 1~3 おっと、しかし、2・3回は停滞気味…
 4~6 順調に得点しますな…
 7~9 今日は打線が絶好調ですな!


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃ 計┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━
┃新┃2 ┃1 ┃1 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━
┃敵┃0 ┃0┃┃ ┃ ┃ ┃ ┃┃ ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


 ―― 3回裏

松坂「…」ゴクリ

松坂(被安打2…無失点…!!?)

阿部(だからどうして、こう…自分のことに驚けるかなあ…? 多少、天狗になってもらいたいね…)

松坂(もしかしてこの後、悪いことが起きたり…?)

阿部(また変なこと考えてるのかな…?)


田中「バシバシ守ろうぜぇー!」

佐野「外野も声出さんかぁー!」

<うぇーい!

<任せろー!

<ライトこーい!


阿部(………左投手が出てきたな…。左投げで、角度を使っていこう)

松坂(アウトコースに、ストレート…)



 ↓1 いけいけムード?

 1~3 だがしかし?
 4~6 ま、ちょいちょい打たれる…
 7~9 いいぞいいぞ! ま・つ・ざ・かー!



 ビシュッ

阿部(甘い――)

 キィンッ

松坂「うわっ…!?」

田中「オーケー、オーケー! ランナー出た方が燃えるぜぇー!?」

阿部(まあ、フォアボールを出さないだけいいよね…)

阿部(ちゃんとこっから抑えてくれれば問題ないよ)


 ビシュッ
 キィンッ

田中「きたぁっ!」ダダッ

 バシィッ
 ヒョイッ

阿部(田中くん、守備上手いなぁ)

松坂「グラブトスで…!?」

 パシッ

<アウト!

 シュッ

<アウト!


田中「っしゃ、2アウトー! いえーい! 俺様のダブルプレーを見たかぁー!!」

松坂(4・6・3のダブルプレー、綺麗だったなあ…)

阿部(こんな守備がいてくれるんだから、もっともっと気楽に投げていいと思うんだけど…性格か、きっと)

阿部(さ、次の打者でチェンジだよ。コールドはすぐそこだ)



 下1 初戦のヤバさは一体…?

 1~3 こ、ここから山場なんだよ、多分!?
 4~9 コールド勝ちしました、やったね


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃ 計┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━
┃新┃2 ┃1 ┃1 ┃3 ┃1 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃8 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━
┃敵┃0 ┃0 ┃┃0 ┃0┃  ┃  ┃ ┃  ┃0 ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 『ありがとうございましたぁっ!!』

松坂(8-0で…コールドゲーム…)

松坂(……1回戦が、嘘みたい…)

松坂(…………無失点で、試合が終わりって…)

松坂(………2イニング以上投げた試合で初めてかも…)


田中「くぅーっ! 気持ちいいもんだな、コールド!」

佐野「ドアホ、調子に乗んな」

阿部「そうそう。ここからだよ、大会は」

中井(出番が、こなかった…)ヒクヒク

松坂「…」ボーゼン


長島(相手チームの実力不足があった、とは言え…こうもすんなりと)

長島(1回戦は何だったんだ…? 打線は水物とは言うが、極端なやつらだ)

夕実「やった、勝った…! しかも今回は完封、完全勝利ですね、監督!」

長島「……だがまだ、大会が終わったわけではない」

長島「ここから先の試合は、こう簡単にはいかないぞ」

夕実「っ…そ、そうですよね」



 下1 コールド勝ちに松坂は…? 性格:-2

 1~3 絶対に何か災難が待ち受けてる…! ってビビってる
 4~6 一生の運を使い果たしたんだ…って落ち込んでる
 7~9 もしかして…このチームすごく強い…!? by松坂
  0   もしかして僕……いい投手…? by松坂

あい

はいそうです

これで少しはメンタル改善してほしいわ

これ、良い判定なのか判断に困る、ただ天狗になる感じならデメリットだし

入部してから大会始まるまでの間に球速30キロも早くなった投手が良い投手じゃないわけ無いんだよなぁ



佐野「お前にしてはええピッチングじゃったのう」

田中「そーそー、いつもこれくらいやれるだろ? 次も期待してるぜっ!」バシッ

中井「期待に応えたな、松坂」

松坂「う、うん……ありが、とう…?」

阿部(まだまだすごく戸惑ってるなあ…)


松坂(おかしい…)

松坂(今までだったら、きっとどこかのタイミングで、いきなり打たれ出して…)

松坂(それで交替させられてたはずなのに…あ、交替できる投手はいないけど…)

松坂(それでもっ…やっぱり、こんなことって、なかったはずなのに…)

松坂(何で…?)


松坂「………………………………………何でだ…?」

夕実「松坂くんっ」

松坂「あ、はいっ…?」

夕実「すごかったね、今日の試合! おつかれさま」

松坂「あ、ありがとう…」

夕実「やっぱり松坂くん、いいピッチャーだよね」ニコッ

松坂「いい…ピッチャー…………? 僕が…?」

夕実「気づいてないの?」

松坂「………だ、だって…………えっ…?」

夕実「全然疲れないスタミナあるし、ボールだって遅くないよ。フォアボールもたくさん出すわけじゃない」

夕実「それに、ストレートだけで押し切っちゃったんだよ。やっぱり両投げってすごいんだね」

夕実「そんな武器持ってる人、なかなかいないもん。松坂くん、すごいよ」

松坂「……………あ、りがとう……?」

夕実「何で首傾げちゃうかなあ?」クスクス



松坂(……………もしかして……僕……いい投手なの……?)

松坂「………うぅーん…」


阿部「…」

阿部(どうする…?)

阿部(一気に畳み掛けて自覚を促すか…?)

阿部(だけど増長されても、それはそれで松坂くんじゃないみたいになりそうだし…)

阿部(割と単純な性格っぽいから乗せて持ち上げて誉め殺せば、自信を持ってくれそうな気はする……ものの…)

阿部「うーん…」


田中「何でバッテリー揃ってめちゃくちゃ悩んで唸ってるんだ?」

佐野「アホどもだからじゃ」

中井「んなバッサリとお前は…」



 下1 結局阿部くんは…?

 1 誉め殺し大作戦に出るそうです
 2 何もせず、様子見
 3 釘を差す。ちょーしにのるなよ、って

1

2


阿部「ねえ、みんな、松坂くんに内緒で…ちょっと、いい?」

佐野「何じゃ?」

阿部「………松坂くんの弱さは、自信がないことなんだよ」

阿部「だけど…今日のコールド勝ちと、マネージャーのファインプレーで、今、松坂くんにようやく、自信が芽生え始めてる」

阿部「だからこの機会に、部員総出で松坂くんを誉め殺して、自信を持てるように促そうと思うんだ」

阿部「協力してくれなきゃ、こっそりみんなの弁当に下剤混ぜるけど、どうする?」

田中「何だその脅し方!?」

阿部「やる、やらない?」つ下剤のビン

佐野「……………あいつは紅白戦の時から、ワシから空振り奪ったええピッチャーじゃろうが。自覚させんでどうする」

田中(あ、下剤に屈した)

中井(下剤に負けたな)


阿部「それじゃあ、松坂くんを誉め殺し隊、結成」

佐野「おう」

田中「結局やるのか」

中井「最近、こいつら、地味に認め合ってねえ?」




松坂(…うーん……でも、やっぱりマグレだよ…。マグレ、きっと…)

松坂(だって僕なんかがいい投手だったら、世の中がしっちゃかめっちゃかで――)

佐野「松坂ぁっ!!」

松坂「はいごめんなさい!」

佐野「反射的に謝るな!!」

松坂「はいすみません…」

佐野「………それはそうと、お前、ええ投球じゃったのう? お前ほどええ投手は久遠の他に知らんわ」

松坂「え?」

佐野「そんだけじゃ。ほな」


田中「まーつざかー! 俺、お前すげえんだなって改めて思ったぜ!」

松坂「え、えっ…?」

田中「例えるならそう…2000本安打を達成したイチロー…打っても投げても大活躍だった大谷翔平…そんな、当たり前にやっぱすげえって思わせられるような」

田中「とにかくすげー投手だよな、お前! それじゃっ」


中井「松坂」

松坂「こ、今度は中井くんっ…?」

中井「………お前はいい投手だなって、きっと久遠も認めてるぜ。あの空の向こうで」

松坂「久遠くん、死んでないよね?」

中井「おっと…。とにかくすげえな、ってきっと皆思ってるって。それじゃ」


松坂(な、何…? 何でこんなに、いきなり、みんなして…?)

松坂(も…もしかして僕、本当にいい投手だった……!?)←単純


 下1 コンマ

 1~3 増長しよった、こいつ…!?
 4~6 いやきっとこれは何か裏があるに違いない… って迷走する、松ばか
 7~9 松坂は自分が悪くない投手だと自覚した! ▽


松坂「……………い、いやいや…」


阿部(まだ粘る…!? いいよ、そのまま自覚して!)

佐野(あんだけ言うたのに、まだ自信持てんのか…?)

田中(何かかわいそうに思えてきた…)

中井(いや実際、けっこう哀れな部類じゃねえか…? あそこまでいくと…)


松坂「……せ、せめて…うん…」

松坂「悪くない…ってところ…だよね…?」

松坂「うん…へ、平均…。うん、平均…!」グッ


阿部(やや下!)

佐野(あんだけやって平均て…)

田中(俺、あいつにやさしくなりそう…)

中井(お前はけっこう、あいつにやさしい方だと思うぞ?)


松坂「平均…」

松坂「……うぇへへ…」


阿部(あ、ニヤけた)

佐野(アホ面じゃな)

田中(まー、実際アホだしな)

中井(あんなので単純に自己評価上げられるらへんな…)

阿部(あんなのて、一応、無失点に抑えたんだよ?)

中井(そうだった)

田中(お前試合に出てないからってどっか抜けてたな?)

佐野(バット振れや)

中井(俺への風当たりが強くなっってきてないか…?)


新摂高校
松坂修一 投手 両投/両打 右:スリークォーター 左:サイドスロー

球速:140キロ
制球:C(62)
持久力:S(98)
カット:D(35)
チェンジアップ:D(34)

打力:F(46)
筋力:E(50)
走力:D(63)
肩力:C(球速換算)
守備:A(86)

特能
四刀流:どちらの手で投げようが、どちらの打席に立とうが一切能力が衰えない
ハングリーバッター:狙い球を絞ることで打席を重ねる度、その狙い球をめちゃくちゃ打ちやすくなる


チームメイト(の一部)
田中太郎 二塁手
久遠康宏 投手 ★☆☆
○阿部 博 捕手
◎佐野誠一 三塁手 ★★★
中井 薫 外野手

長島貞治 監督
種田夕実 女マネ


 今日はここまで あざっしたー

おつ


松坂くん一歩前進って感じだな


松坂頑張れ!


久遠はイベント進めれば復活するのかな

さあ、プレイボールの時間やで
いけるかい皆様?

ほほほ


 【オマケ・監督のダンディズム】

夕実「ダンディズム…」

夕実「1、おしゃれ、伊達に徹する態度。19世紀初め、イギリスの青年の間に流行したもので、その影響はフランスにも及んだ」

夕実「2、その男性の、生活様式・教養などへのこだわりや気取り」

夕実「…………ふむふむ」チラッ


長島「日暮れ時、汗と泥にまみれた選手達が苦しみに表情を歪める光景は良い…」

長島「その苦痛が、そして仲間とともに分かち合う友愛が、試合で結実する時を想像すれば…わたしは喜んで鬼になろう」ズズ

夕実(何でこう、グラウンドにミルクたっぷりのコーヒーをいれたマグカップ片手に現れるかな、この人は…?)

長島「ふっ…」

夕実(やっぱりおかしい人だよね…)


長島(種田が俺を見る目に時折混ざる、悲哀のような瞳の色…)

長島(だが俺は、一介の雇われ監督。未来も希望もある、瑞々しい女子高生の哀れな恋心は、こんな中年に向けるものではないぞ…)


夕実「~っ…」ゾクゾク

夕実(何か寒気がした…)




 【オマケ・田中の喜怒哀楽】

田中「だぁっははははー! シートバッティングだろうが俺様、優秀ーっ!」

松坂(田中くん、自分が出塁するとフォアボールだろうが、セーフティだろうがものすごく喜ぶな…)


田中「なぁんでそういうことするかなー!? だって、だぁってさあ…! あああああああああああっ!!!!」

中井「何をキレてんだ、田中?」

阿部「好きなアイドルグループの1人がゴシップされたんだって」

松坂(とりあえず怒る時は叫ぶんだな…)


田中「うおおおおおん…おおおう…うわああああ…」

中井「今日は泣いてるのか…。どしたんだ、あいつ?」

佐野「この前ゴシップされたアイドルが脱退の上、デキ婚するんじゃと」

田中「ぢぃぐじょうがあああ…。俺がスターになってぇ…始球式きっかけでぇ…おつきあいしてぇ…うおおおおおん…」

松坂(めちゃくちゃ夢見てた…)


田中「るるる~♪ いぇいぇいぇい~♪ ふふんふふふーんふーん~♪」

阿部「どうしたの、田中くん?」

中井「何かまた、お気に入りのアイドルがあらわれたらしいぞ。同じ歌ばっか、歌詞もろくに覚えてないくせにエンドレス鼻歌」

松坂(楽しんでる時がもしかしたら、1番、静かかも知れない…?)

お、いた
じゃあ始めるやで


阿部「うーん…」

松坂「……どうしたの?」

阿部「3回戦の相手の動画見てるんだけど…」

松坂「強い…?」

阿部「1回戦で苦戦しちゃった俺らには、どこだろうが格上だと思ってた方がいいよね…」

松坂「…」

阿部(それに…そろそろ松坂くんだけじゃなくて、俺達の打撃能力とか、守備能力についても研究され始めるかも知れない…)



 下1 3回戦の相手ですって

 1~3 打撃は強打よりも巧打って感じだし、機動力もあるし…攻撃的なチームだな
 4~6 投打ともに全体的なレベルが高くてバランスが良いな
 7~9 エースの4番が君臨している…この選手の攻略がキモだな


佐野「おう、どうじゃ、阿部?」

阿部「強いだろうね、普通に…」

佐野「どう強いんじゃ?」

阿部「打撃の特徴としては長打狙いの強振っていうより、ライナー性の強い当たりを打とうって意識を感じられるね」

阿部「それでいて出塁すれば打順に関係なく、積極的に走ろうとするみたい。……これ、前の試合だけど完全に盗んで走ってるシーン」pi

松坂「………盗塁…。リードも大きかったな…」

佐野「足も速いのう」

阿部「積極的に点を取っていこう、っていう方針に見えるね。けどバントとか、犠牲フライっていうのはあまりしないかな」

阿部「叩いて、打ち抜いて、走って、点を取る」

佐野「ちゅうことは、乱打戦じゃのう? 腕が鳴るわ!」

阿部「はいはい、そーですねー。とりあえず、守備で気は抜けないよ。松坂くんは、牽制はポーズくらいのもんでいいよ」

松坂「えっ…? でも、足も速いんでしょ?」

阿部「俺が刺す」

松坂「っ…!」

佐野「そのままパクられろ」

阿部「はいはいキャップは頭弱い発言しないでくださいねー」

佐野「阿部ぇっ!!」



 下1 強敵の予感!

 1~3 尚、中井はまだスタメン復帰できない模様
 4~6 だ、大丈夫、並程度の投球はできる…あとはみんながいるし… by松坂
 7~9 何で田中が燃える?

たー


中井(今日も、スタメン落ち…)

中井(出番が来たら、必ず打つ…!)

阿部(出番が来たら、必ず打つ………とか思ってたら、また気負って打てなくなっちゃうんじゃないかな、中井くんって?)

阿部(意外と中井くんって、メンタル強いわけじゃなさそうだし…)


長島「さあ、勝ってこい、諸君」

長島「まだ3回戦だ。諸君の実力はまだまだこの程度ではないだろう!」

 『はいっ!!』



 下1 先攻? 後攻?

 偶数 先攻
 奇数 後攻


松坂「何か…1回の表で登板するのって緊張するな…」

松坂「ものすごく注目を集めちゃうし…」

松坂「……はああ…」


阿部「さあ、しまってこーぜー!!」

田中「おっしゃ、来いやぁー!!」

佐野「ガンガン打たせたれ、ボケどもがあー!!」


松坂「ふぅー…」

松坂(ああ…注目されちゃう…緊張する…)

阿部(松坂くん、後半で良くなってくることもあるし、けっこう立ち上がりは良いって印象ないんだよね…)

阿部(だからこそ初回は丁寧にいこう)



 下1 松坂、今日の調子は!?

 1~3 おお、いきなり打たれまくり…
 4~6 バックに助けられますね
 7~9 ええやんけ


 下1 【00】コンマ判定

 偶数 松坂くん単純すぎて…スペックフル発揮きた? メンタルってすごいね…
 奇数 ま、松坂に因縁があったのか…? 3回戦でかよ…決勝とかでこいよ… 敵に名有りキャラきたやで

やったぜ。



松坂(緊張はするけど…)

松坂(大丈夫…みんな、誉めてくれたし…)

松坂(阿部くんだってずっと練習につきあってくれたし…)

松坂(みんなが信じる自分を信じて……やれるだけ、投げるだけ――!)


 ビシュッ
 ズバンッ

阿部「っ…」

打者(速い――)

<ストライク!


松坂(よ、良かった…通用してる…?)

阿部(あれ…何か、今日、すごく調子いい…?)

阿部(そう言えばフォームも安定してるし…まさか、この前の誉め殺し作戦が大ハマりした…?)



<ストライク、バッターアウト!!

<おおおおっ!

<すごいな、あのピッチャー

<三者連続三振かよ…!?


松坂「……何か今日、調子いいかも…」ホクホク

田中「ナイピッチ、松坂! サイコーだな!?」バシッ

松坂「痛っ…う、うん、ありがとう…」

佐野「そのままでいけ、松坂」

松坂「うん」

阿部「………松坂くんさ…」

松坂「え?」

阿部「………あ、いや、よしとく」

松坂(何っ!?)

阿部(かなり、単純な部類だよね…? 本人に確認しても調子狂わせたらヤダから言わないけど…)



 下1 巧打&機動力に、新摂は…

 1 豪打必勝で臨むべし!!
 2 豪打&機動力で臨むべし!!
 3 佐野を主軸に、ランナーを溜めていこうぜ!

3



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ ┃  ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


 ―― 1回裏

田中「さあ、俺はセーフティだけの男じゃねえぜぇっ!!?」

松坂(って口では言ってるけど、相手の内野は前進守備…。めちゃくちゃバント警戒してる…)

阿部(でも実際、田中くんって塁に出ることにだけはすごく頭回すからなあ…。あんな前進守備、抜いてくれって言ってるようなものだよ)

阿部(まあ、ろくにこっちのデータがないから…なんだろうけど)


 キィンッ

松坂「打った…!」

佐野「ショートの頭! ええとこじゃ、ボケぇっ!」

中井「あいつ、打率いくつだ…?」

夕実「かなり高い方…」



阿部「さてと…続きたいな」



 下1 阿部くん、いけるのん?

 1~3 あかんかって…
 4~6 地味に送りバント。戦略的ってだけよ!
 7~9 ランナー、一三塁に!?


阿部(初球アウトローストレートでボール)

阿部(2球目アウトローストレートでストライク)

阿部(3球目インローにシンカーでストライク)

阿部(4球目がまたアウトローにストレートを投げてボール…)

阿部(とすれば、5球目は…シンカーで詰まらせてゲッツー狙いたいとか?)


 ビシュッ

阿部(おお、きちゃった♪)

 ブゥンッ
 ギィンッ


松坂「阿部くんが、1回で打った…!」

佐野「いつもそんくらいやらんかい、ボケぇー!!」

中井「あんな内角にきたのをよく振り抜けたな」


<ランナーが一気に一三塁!

<こっからクリーンナップだ!


阿部「コントロールがいいって、やっぱりいいよね~」

田中「よっしゃ、これぞゴールデンワンツーコンビだな!!」



 下1 ええやんけ

 1~3 しかし3番打者、ゲッツー食らってランナーは三塁田中だけに
 4~6 スクイズで1点追加して佐野へ
 7~9 満塁で佐野っちや!!


中井「続けぇー!」

松坂「がんばって…!」

佐野「ワシに回さんで点取ってもええぞ、ボケがぁー!!」


 ギィンッ

松坂「あっ…」


阿部(それはちょっと…!)ダッ

 バシッ

<アウト!

 ビシュッ
 バシッ

<アウト!


<ああああ~っ!

<ここでゲッツーか…!

<佐野で最低2点か


松坂(地味に佐野くん、ものすごく期待値高くなってるよね…)

松坂(だけど佐野くんならきっと打ってくれるって…何か思えてくる…)



 下1 佐野っち、出番やで!!

 1~3 おい佐野。おい
 4~6 おうおう、佐野、おう、らしくない短打だな。1点とったけど
 7~9 田中を生還させて佐野は二塁
  0   センターへのホームランで2点追加。さすが佐野っち!!


田中「佐野ぉー! 余裕で返してくれよー!」

中井「いっとけ、佐野!」

阿部「佐野くん、がんばれー」

松坂「佐野くん…!」


佐野「はんっ、言われんでも、打つだけじゃあああっ!」

 ブォンッ
 キィィンッ

松坂「おっきい…!」

阿部「けど、ちょっと高さばっかりで…」


 パシッ

佐野「ぬっ…!?」

田中「おい」

中井「ライトフライ…」

松坂「佐野くん…」

阿部「さ、切り替えていこう!」


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ ┃  ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 下1 松坂くん、好調やねんな! :+1

 1~3 ピンチを招くも無失点で切り抜けた!
 4~6 3連続奪三振といかなくても無失点!
 7~9 おいおい、松坂、ヤバいじゃん…
  0   束の間の覚醒だった…?


松坂「ふぅー…」

 ビシュッ
 ズバァンッ

<ストライク!

打者(手が、出せない…)

打者(際どいコースにばっかりってわけでもないのに…こっちの考えを見通すような配球だし…)

打者(つうか、何で左右どっちの腕でも投げられるんだよ!?)

 ビシュッ
 ズバンッ

<ストライク、ツー!

打者「くっそ…!」

打者(どうせストレートしか投げてこないんだ…。思いきり振りゃあいい!)


 ビシュッ

打者(っ――インハイ、ぶつか…!?)

 バシッ

<ストライク、バッターアウト!

打者「なっ…?」

阿部(打ち気にはやって前に出過ぎてたのはそっちでしょ…っと)


阿部「ナイピッチ、松坂くん!」

松坂「三振…5つ目…?」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ ┃  ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 下1 試合展開は…?

 1~3 膠着してどっちも得点できぬまま…
 4~6 守備では圧倒的だけど、意外とこっちも得点できない
 7~9 次の打順で勝負や! なっ!?



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃  ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃  ┃  ┃ ┃  ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


 ―― 6回裏

阿部「何で打たないかなあ、佐野くんは…」

田中「ほんっとだよな!」

佐野「お前らも最初の打席だけじゃろうが!」

中井「まあまあ。試合に出れるだけマシだろ…」

松坂「仲裁しながら落ち込まなくても…」


田中「つーか誰だよ、乱打戦とか言ったの!?」

佐野「ワシじゃ、文句あるんか?」ゴゴゴ

田中「全然違う予想したくせに脅すなっ!? ビビるだろっ!?」


阿部(点が欲しいな…)

阿部(松坂くんがどんだけ0点に抑えたって、点が取れなきゃ…)

阿部(それに勝てば勝つだけ、試合間隔も短くなるのに…。少しでも楽に投げさせたい…)



 下1 打撃は水物って言うけども…

 1 しっかり見ながら振っていこう
 2 揺さぶりかけてくか、相手投手に
 3 中井、起爆してこい。新摂打線を



長島「バントの構えを見せていけ」

長島「成功するに越したことはないが、相手の投手を疲れさせろ」

長島「バント処理のために前へ毎度のように出てくれば、足腰に負担はかかる」

 『はいっ!』

長島「そして次に打順が先頭へ戻った時…」

田中「俺らで点を取る!」

阿部「ってことですか?」

長島「……じわじわと、なぶってこい」

 『はいっ!!』



 下1 コンマ

 1~3 揺さぶり、これ効いてるのか…?
 4~6 よーしよし、いいんじゃないか?
 7~9 おおっ、バント出塁! で…松坂か


 カンッ…

投手「っ…!」ダッ

<バント失敗…!

投手「ちっ…」


阿部「効いてるね」

佐野「ねちっこくて趣味じゃないのう」

阿部「えー、俺こういうの大好きだよ? ねえ、松坂くん?」

松坂「なんでふるの…?」


田中「けど、めちゃくちゃ嫌そうな顔してんな」

田中「こりゃ、次の回、いけるんじゃね?」



 下1 てことで、守ろうや

 1~3 代打が1年生か…よほどの選手?
 4~6 松坂がとらえられ始めてる…
 7~9 絶好調すぎんよ!!


 ビシュッ
 キィンッ

<ファール!

阿部(そろそろ、馴れ始めちゃったかな、向こうの選手も…)

阿部(こうなると、変化球が欲しくなるけども…)

阿部(チェンジアップはないな…)

田中「打たしてけー!」

佐野「ええぞ、そのまま投げろー!」


阿部(さて、どうしたものか…)

阿部(松坂くんは何が好みかな…?)



 下1 チェンジアップは封印なので選択肢に出ません

 1 これまで徹底して、左打者に左投げだったけど、あえて逆の腕で翻弄
 2 カットを解禁するか
 3 打たせて取る投球でね

2



阿部「……しょうがない。いくか」スッ

松坂(あのサイン…何だっけ…?)

松坂(…………………あ、カットボール!)

松坂「…」コクッ

阿部(そんな、がんばります…って気合い入れた頷きしたら、何かするかもって思われちゃわない?)

阿部(まあいいけどさ…)


阿部(さて、松坂くんのカット、変化を持たせられるかな…?)



 下1 カット解禁!!

 1~3 Dやし…びみょー
 4~6 ま、まあ、芯をずらすのが目的やし
 7~9 直球と混ぜることでの真価よ


 ビシュッ
 クッ…

 キィンッ

田中「うおっとぉっ…!?」バシッ

田中「ラッキーも実力の内ぃっ!」ビシュッ

 バシッ

<アウト!


松坂(いきなり…打たれた…)

阿部(キレのないカットの意義について…説教したい)

阿部(いや、こっちから要求したし…やめとこう)

阿部(多少の揺さぶりになればいいけど…)

阿部(これでどうにかしていこうって考えにはなれないな)



 下1 カット、ビミョーやってん…

 1~3 案の定、打たれた!? ピンチ!?
 4~6 騙し騙し…
 7~9 それでも凡打にしてしまえば…!

ほい



 キンッ

佐野「余裕じゃい!!」バシッ

 ビシュッ

<アウト!


松坂「ふぅっ…」

阿部「ナイピー!」

佐野「反撃じゃ、いくぞぉっ!」

田中「おうよ!!」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃  ┃ ┃  ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 『9番。ピッチャー。松坂くん――』

松坂(バント…した方がいいのかな…?)チラッ

長島(好きにやれ。投手に打撃内容まで求めん)スッスッ

松坂(サインは…好きにしろ…かあ…)



 下1 はてさて

 1 揺さぶりに貢献!
 2 ハングリーバッター、発動の時!!
 3 振っていこー

3

1


松坂(前の回で、さんざんバントの揺さぶりかけたんだし…)

松坂(い、意外と振ってみたら、当たるんじゃ…?)ギュッ


田中「前の試合は大活躍だったからな、あいつ! 9番じゃなくていいんじゃねっ?」

阿部「ピッチャーは松坂くんだけなんだから、打撃くらいは打順下げて楽させないと」

田中「ちぇ~」

中井「投手として、って面では阿部もやさしいよな」

田中「いやいや、酷使してやろうって黒い腹だろ?」

阿部「想像に任せるよ…」



 下1 松坂、振っていく!!

 1~3 3球三振
 4~6 内野ゴロでアウト
 7~9 進塁しちゃった

ほい


 ブンッ

<トライーク!


 ブンッ

<トライク、ツー!


 ブンッ

<ストライク、バッターアウト!


松坂「…」

松坂「…田中くん、がんばって!」

田中「何事もなかったってか!? そういうことか、お前!?」


田中「しゃあねえなあ、一丁、いくかぁっ!」




 下1 揺さぶりかけたし…ね!?

 1~3 田中、バント失敗したってさ
 4~6 ピッチャーがエラーして! 揺さぶりの成果か!?
 7~9 田中って貢献度高いよね


 カツンッ

田中「あっ…!?」ダッ

阿部「ええっ?」

佐野「あ・ん・の・ボケぇーっ!!?」

中井「勢い殺せてないぞ…っ!?」


<アウト!

田中「やってしまったぁー!? 俺としたことがっ!!?」

田中「クソっ、これじゃゴールデンワンツーコンビとしての阿部が実力を発揮できないー!!?」

阿部「だからそれはないってば」



 下1 阿部くーん!

 1~3 あかんやんけ
 4~6 ちゃんと出塁
 7~9 揺さぶりはきいてんねん! 二塁打

ほい

びっくりするほど低コンマ



阿部「さて…」

阿部(打ちたいなー)


 ブンッ
 キィンッ

田中「おおっ、初球打ち!!」

佐野「ゴロじゃ」


 バシッ

<アウト!

阿部「あっるぇ~…?」




中井「だあああっ…!? ここでもダメじゃ、延長になるんじゃねえか…?」

松坂「え、延長…」

中井「お前のスタミナはともかく、次の試合だってあるってのに…」


佐野「中井」

中井「はいっ…?」

佐野「……守備につけ。次の回、お前からだ」

中井「…はい、分かりました」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃  ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃  ┃  ┃
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 ―― 8回表

松坂(カットで凡打にして打ち取られるようになったけど…)

松坂(これもいつまで保つのかな…?)

阿部(大丈夫、捉えられる前に終わらせる)

阿部(点が取れれば――ね)



 下1 松坂がんば!

 1~3 ピンチか…試合も終盤、正念場だね
 4~6 どうにか抑えた
 7~9 大丈夫、松坂はスタミナオバケだ。延長だろうがスタミナは、保つ


 本日二度目って…


 下1 【00コンマ判定】

 偶数 解呪されたチェンジアップ…短い封印だったな…
 奇数 その時、アクシデントが…!?

偶数

松坂覚醒したなw

絶好調!

これは主人公


 キィンッ

阿部「…ここにきて、これか」

阿部(フォアボールを出して、送りバント…)

阿部(そこからシングルヒットで、ランナーが一三塁…)

阿部(8回の終盤にして、三塁まで進塁を許しちゃうなんて)

阿部(それにカットボールは、大した効果を発揮できていない…)


阿部(こんな時、緩急さえ使えれば…)

阿部(でも…)


松坂「…」ジィッ

阿部(今日の松坂くんは、これまでにないほど調子がいい)

阿部(この調子を崩せば最悪だけど――この調子に乗って、チェンジアップが使えるようになってくれれば)

阿部(どうする…? 使うか、使わないか…?)

阿部(………………いや、我ながらダメだな)

阿部(こういう場面こそ、エースを信じないでどうするんだっていうのさ)スッ


松坂(チェンジアップの、サイン…!)

阿部(松坂くん、きみはきみが思ってるほど、平凡な投手じゃない)

阿部(大丈夫、いけるんだよ)


松坂(この場面で、チェンジアップ…。イケるの…? あんなに、大失敗した、チェンジアップを)

松坂(……また、あの悪いイメージが…出てくるけど………投げないと)


阿部(エースはきみだよ)

松坂(エースは、僕なんだ)


 ビシュッ

打者(きた、ストレートを狙い打っ――?)

 ブルンッ…
 パシッ

<ストライク!


佐野「あいつ、チェンジアップを…!」

田中「はっ、はははっ! だぁっはっははー! 見たか、これが松坂の実力でぇーい!!」

松坂「投げられた…!」

阿部「ナイスボール!」



 下1 チェンジアップ成功という、大きな成功の流れに乗って…!

 1~3 中井のスランプ長引くのか…
 4~6 泥くさくたっていいじゃない
 7~9 中井が打ったよぉー!!

うい


中井「松坂、ナイピッチ」

松坂「中井くん…」

中井「俺も、続くぜ」

松坂「…うん。がんばって」

中井「……ああ。今度こそ、打つ」

阿部(って、意気込んでると打てないんじゃないのかなあ…?)



 ビシュッ
 キィンッ

<ファール!

中井(っ……ダメだ、打てる気がしねえ…)

中井(何でだ…? 打てるだろ、俺は!)

中井(松坂だってがんばったんだ。あんだけぼろくそに打たれたチェンジアップをちゃんと投げて…)

中井(それなのに、俺だけ何もできねえでいるってのかよ…!?)

 ブンッ
 バシッ

<ストライク、ツー!

中井「っ…」


阿部(気負いすぎじゃないかな…?)

田中「中井ー! 打て、打てぇーい!」

佐野「中井っ!」

中井「っ…佐野の声はよく通るな…」

佐野「ワシが打つ、引っ込んでてええぞ?」

中井「」カチンッ


中井「……っ…ふ・ざ・け・んなーっ!!」

 ブォンッ
 キィィィィンッ


松坂「打った…!!」

田中「それでいいー! それでいいんだ、中井! やればできる子だと思ってたぜぇー!」

阿部「打っちゃったよ…」

田中「いい二塁打だったぞ!! その調子をキープしろ! だぁっはははー!」


中井「ふぅーっ……」

中井「これを続けねえとな」



 下1 佐野っちの出番や

 1~3 おい佐野、コラ
 4~6 タイムリーで待望の得点!
 7~9 中井よりデカいの打ちよった、佐野っち

頼むぞ佐野


佐野「何じゃ、二塁打っちゅうのは」

佐野「そこはガツンとホームランでも打つとこじゃろうが」

佐野「しゃあないのう、うちのアホどもは…!」


松坂「佐野くん…!」

田中「いけいけ、佐野ぉー! 得点圏だぞ!」

阿部「いやあ、打てないでしょ。これまでのパターンだと」

田中「って、逆張りする方針だなっ!? 阿部ぇ、素直じゃねえな?」

田中「お前は言うのと反対になっちまうもんな~?」

阿部「そういうつもりないんだけど――」


 キィンッ

田中「うおおおおおおっ!?」

松坂「おっきい!」

阿部「で、センターフライ?」

 ポトッ…

田中「センター越えたぁっ! 中井、戻ってこぉーい! へっへっへーい!」

田中「阿部、お前の逆張り当たるなっ!?」

阿部「すごく不本意なんだけど…」

松坂「これで、1点目、ゲット…!」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃1 ┃  ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



阿部「さあ、最終回にしよう!」

阿部「しまってこーぜ!」

田中「うおっしゃあああっ!」

佐野「このまま勝つぞボケがぁっ!!」

中井「打たせろぉっ!」

松坂「ふぅーっ…」

 ビシュッ



 下1 コンマ

 1~3 しまった、カットを狙い撃ちで長打を…!?
 4~6 無事に抑えきった
 7~9 たった1球のチェンジアップがめちゃくちゃ効果を発揮したぜぃ!

いけ!

やっぱ次の成長チャンスでカット鍛えたいな……。
チェンジアップならキレ無くても緩急あるからリードで何とかなるけどキレ無いカットって棒球だし。


 ビシュッ
 キィィィィンッ

松坂「っ…!?」

田中「レフトぉー!」ダダダッ

阿部(カットボールを、狙い打たれた…!?)

阿部(力を使って強引に振り抜いて…。それに目が馴れたのもあるのか…?)


佐野「アウト3つだけじゃ、ボケぇっ!!」

田中「守りやすいぜぇー! ドンドン行こうぜ!!」

田中「ゲッツー取って、そっから三振で締めようぜぇっ!!」

中井「思いきって投げろ、松坂!」


阿部(…大丈夫、こんなのピンチじゃない)

阿部(松坂くん、分かってるね…?)


松坂「ふぅーっ…」



 下1 あとちょいやで!?

 1~3 ノーアウト…満塁…ここにきて…?
 4~6 ひえええ…2アウトの三塁に…
 7~9 抑えきって勝った

はな


田中「あと1つだぜぇっ!!」

佐野「ビビってんとちゃうのうっ!?」

中井「ツーアウト、ツーアウトぉっ!!」

松坂「ふぅ…ふぅーっ…」

阿部「…」


阿部(アウトがあと1つの場面で、逆転をされる…)

阿部(それはかなり、良くない状況になる…)

阿部(でも逆にこのピンチを乗り越えてくれれば…)


阿部(さあ、正念場だよ)

阿部(勝とう、松坂くん)



 下1 最後のアウトは

 1 三振狙いだぜぃっ!
 2 打たせて、取る!
 3 チェンジアップだ

3


 ビシュッ
 キィンッ

<ファール!

阿部(ストレートのタイミングに、合ってきてる…)

阿部(だからこそ、チェンジアップが活きる)

阿部(緩急を使えば…)

阿部(でも、最後の1投としてチェンジアップを狙うという可能性を相手も考えるかも知れない)

阿部(………いや、だからこそ、まだこの試合で1球しか投げてないチェンジアップでいく)


阿部(松坂くん――)

松坂(チェンジアップが、きた)


阿部(さあ、締めよう!)



 下1 最後の1投になれるか!?

 1~3 あ、打たれた
 4~6 危うかったけど、打ち取った
 7~9 三振!

かっこいい


 シュッ

打者(な、げられたのか――)

 ブルンッ

<トライク、バッターアウト!

<ゲームセット!!!!


打者(あの1球しか投げてこなかったから…偶然か、見せるためだけと思っていたのに…)

打者「クッソぉっ……!」



 『ありがとうございましたぁっ!!』

松坂「ふー…」

中井「ナイピッチ、松坂。良く投げたな」

田中「中井もよく打ったな!」

中井「当たり前だろ?」

佐野「調子に乗るな。お前は素振り毎日1000本振れ」

中井「はあっ?」

佐野「松坂はやっとるぞ」

中井「え?」

松坂「……実は」

田中「マジでか、松坂っ!? お前、偉いなっ!?」


阿部(今日もギリギリかあ…)

阿部(勝てて良かったけど、チームの課題は……打力不足、なのかな)

阿部(ハマらないと打てない打撃能力なんて、単なる勢いだけっていうのと変わらない)

阿部「………この夏、どこまでいけるかな…?」



 下1 3回戦突破!

 1 あっさり練習してから解散!
 2 息抜きにみんなで焼肉食い放題じゃい!
 3 なんか最近、女マネが松坂と仲良くねえか?  by田中

決まったぁ!

2


長島「佐野」

佐野「っ…何ですか」

長島「さっさとバスに全員乗せろ」

佐野「今日に限ってどうしてですかい?」

長島「予定が詰まっている」

佐野「予定…?」

長島「期待をしているぞ、佐野?」

佐野(まさか、試合の後じゃっちゅうのに、練習か…?)


佐野「………ちぃっ、全員、さっさとバスに乗らんかボケがぁっ!! あとで苦しむんはワシらじゃぞ!?」

阿部「何、いきなり?」

佐野「ええからはよせえ!」



佐野「――って、何じゃここはあっ!?」

長島「諸君、たっぷり食べるといい。ノルマは、1人2キロだ」

田中「っしゃあああああ!」

松坂「え、2キロ…? キロ?」

阿部「さすがにそれはちょっと…」

中井「肉の質は良くなさそうだな…」

佐野「………ま……こっちの方がええか。お前ら、食わんかあっ!? いただきます!」

 『いただきまぁーす!!!』



 下1 焼肉だぜ!!

 1~3 何で苦行になるんだ!?
 4~6 久遠どうしておるのん!?
 7~9 他校との因縁作ってこーぜぇ!!



松坂「カルビ、カルビ…♪」

松坂「もう焼けたかな――?」スッ

 バシッ

中井「まだ早い」ゴゴゴ

松坂「な、中井くん…?」

中井「俺がいる以上、勝手な肉のひっくり返し及び、網の上への過剰な肉乗せは許さない」

阿部「焼肉奉行…? めんどくさっ」

田中「お、もういけんだろ。もーらい」ヒョイパクッ

松坂「僕のカルビ…!」

中井「田中! それはまだ…!」

佐野「アホちゃうか、焼肉ごときで…」


松坂「はあ…。新しいお肉取ってこよう…」

松坂「何にしよう…。えーと……あ、タンがある」

久遠「ちょっと待てば、新しいのが出るからそっちの方がいいぞ、松坂」

松坂「え? あ、うん…ありがとう久遠くん」

久遠「ああ」


松坂「……………久遠くんっ!?」

田中「んっ?」

佐野「何じゃ松坂、うるさいぞ」

中井「…」ジィッ ←肉を見つめてる

阿部「あれ、えっ? 久遠くん?」

久遠「何でそう驚く…?」

佐野「何でお前がこんなとこにおるんじゃっ!?」

久遠「バイトだ」

松坂「ああ…ここで…?」



 下1 久々の久遠くんやな!

 1 おかんの様子はどうなん?
 2 松坂がエースになっちゃってるぜー? お前もうかうかできねーな! by田中
 3 エースとして投げてる今になって、久遠くんから色々と教えてもらいたいことが

1


 ジュゥゥゥ…


阿部「それで、お母さんの様子はどうなの?」

久遠「まあ、体は快方に向かってる」←休憩もらった

佐野「んでいつ戻るんじゃ?」

久遠「まだ目処は立たない。今は生活費が手一杯だからな…」モグモグ

田中「大変なんだな。まあ食えよ」

久遠「ああ、食べてる」モグモグ

阿部(あれ? これ、久遠くんの飲食代ってどうなるんだろ…? まあいっか、黙っとこ)


佐野「学費も払えんほどか?」

久遠「学費については、俺は特待生だから無料だな。スカウトされた時、私立は金がないと言ったら…」

阿部「うわ、正しい特待制度の使い方してる…」

中井「よし、これは食えるぞ」

松坂「わあ…タン…!」


佐野「ほなら学費の心配はせんでええんじゃろう?」

阿部「あとはほら…生活保護とか?」

田中「行政頼ろうぜー?」

久遠「医療費がな…。それがかさんで、生活費もなかなか…。それに加えて、野球もするんじゃ…さらに金がかかる」

久遠「……あと3年あれば…俺がプロに行って、楽させてやれると思ってたんだが…」


中井「松坂、これも食えるぞ」

松坂「おいしい…」モグモグ

松坂(にしても皆…意外と真面目なことまで知ってるんだなあ…)



 下1 金の問題じゃあなあ…

 1~3 でも久遠は元気そうだったね
 4~6 色々と制度とか調べればどうにかなるんじゃね?
 7~9 誰かどうにかしろよー


 下1 0コンマ判定

 偶数 久遠にまさかの因縁が発生するのか…?
 奇数 久遠…お前諦めてるのか…?



久遠「……3回戦、勝ったんだったな」

田中「おうよ! 松坂が覚醒しやがって! お前にも見せたかったな、あの勇姿を!」

松坂「か、かくせい…って…」

久遠「そうか」

阿部「久遠くんも、うかうかしてられないね」

久遠「………松坂がいれば、きっとチームは大丈夫だな」

佐野「あん?」

久遠「良かった。……心残りはない」

阿部「久遠くん?」

松坂「何か…他人事みたいな…?」

久遠「……じゃあ、そろそろ休憩終わりだから」


阿部「……何か、久遠くん、変なこと言ったよね…?」

田中「言ったな」

佐野「心残りがない、じゃあ…? 意味分からんわ」

松坂「………戻らなくても、大丈夫って思った……みたいな…?」

阿部「それ、戻るつもりないってこと?」

佐野「おかしいじゃろ。何でじゃ、そりゃ?」

田中「…諦めちまったとか? 野球」


阿部「……まさか」

佐野「ないじゃろ。久遠じゃぞ?」

田中「だよなー!」

松坂「……そ、そうだよね?」

中井「これもう食えるぞ?」

佐野「お前は黙っとけ、中井」



 下1 久遠イベは長期戦(作中経過時間で

 1~3 こっから先は強豪やで!! マジもんの!
 4~6 投手王国が次の対戦校か…
 7~9 佐野並か、それ以上のスラッガーがおるチームが相手や

はい


阿部「次の対戦校は、投手が4人もいるね」

佐野「4人か。全員、片っ端から叩き潰すわ」

田中「楽しめそうだな」

中井「こっちは松坂1人で余裕だしな」

阿部「甘いと思うよ、そういう考えは」

阿部「まず狙い球を絞らせてくれるはずがないし…」

阿部「投手1人ずつのレベルも高い」

阿部「特にエースナンバーを背負ってる投手は脅威だね」

阿部「マックス144キロの速球で圧倒してくる」

佐野「久遠の方が速いじゃろう」

田中「そだな!」

阿部「2番手、3番手の投手だって一癖、二癖ありそうだよ」

阿部「投手としてのタイプも違うし」

松坂「…何か、すごそうだね…」

佐野「お前が言うな」

田中「そーだそーだ、1人2役投手のド変態なくせして」

中井「右も左も、こっちは対策できそうだな?」

阿部「……スタメンだけなら、1人頭30球までは許してあげるよ」

松坂「…何が?」

阿部「バッピ」

松坂「えっ…?」



 下1 バッピ松坂

 1~3 なにこのスタメンたちようしゃなさすぎ
 4~6 松坂バッピとしても優秀!
 7~9 バッピにならんぞ松坂ぁっ!


松坂「ふっ…!」

 ビシュッ

田中「ぬおっ!?」

松坂「やった…!」

田中「て、打たせろ、松坂! バッピだぞ、お前、バッピだからな、今は!? バッティングピッチャー!! 意味分かるぅっ!?」

松坂「あ、ごめん…」


阿部(ま、いい傾向だよね)

阿部(それに松坂くん、ピッチングについては器用だから左でスリークォーターも、右でサイドも投げられちゃうし)

阿部(少なくとも、いきなり知らない軌道からボールを投げ込まれた、って事態は回避できる…はず)


中井「ほんとに松坂、覚醒したよな…」

中井「これで打者ごとじゃなくて、好きなタイミングで左右変えていいってんなら手えつけられなくなるとこだ」

佐野「まだまだじゃ。次はワシじゃ、松坂ぁっ!」

松坂「は、はい…」


 ビシュッ

佐野「ふんぬぅっ!!!」

 ガッキィィイイイイインッ

松坂「」

中井「容赦ねえー…」

田中「ずりーぞ、佐野! 俺にも打たせろ、松坂!!」



 下1 そして試合当日!

 1~3 ネームドが2人も!
 4~6 名有りは1人や!
 7~9 vs投手王国!! プレイボール!

さあさあ


阿部(投手王国…とは言え)

阿部(……実質、投手の二枚看板だよね)

阿部(それでも、あの2人に追随するような投手が育ちつつあるという状況)

阿部「…投手戦、かな」


 ザッ…

阿部「…」チラッ

阿部「やっ、久しぶり」



 下1と下2 実は阿部の知り合いだった敵さん!

 お名前おなしゃーす

絶希 望(ぜつき のぞむ)

金剛明羅(こんごう あきら)


絶希「何が、やっ、だ」

金剛「相変わらずふてぶてしく…」

阿部「何で2人で同じ高校に行っちゃったんですか? 面白くなくない?」

絶希「後輩だろうが、敬語使え」

阿部「投手と捕手でしょ?」

絶希「別のチームの、な! 今は」

阿部「まあまあ、元チームメイトってことで」

絶希「この野郎…」


金剛「叩き潰してやるからな、阿部」

阿部「できるものならどうぞ、金剛先輩」

絶希「俺にも先輩ってつけろ」

阿部「えー、何で? いーじゃん、のんちゃん」

絶希「のんちゃん言うな!」

阿部「で、どっち先発?」


絶希「…」チラッ

金剛「…」チラッ

絶希・金剛「「俺」」

阿部「だからどっち? エースナンバーはのんちゃんなんでしょ?」



 下1 コンマ どっちだったん?

 偶数 絶希(144km/h・B・C)だった
 奇数 金剛(150km/h・D・B)だった



<プレイボール!!


田中「足だけの男と思うなよぉっ!?」ブンブンッ

阿部「…」

中井「阿部っ、お前、向こうの選手と話してたよな? 知り合いか?」

阿部「中学のころの先輩なんだよ」

阿部(まあ…あの人ほどの投手じゃないけど…)

阿部「面倒だとは思うよ、けっこう」

佐野「いったれや、田中ぁー!」

田中「おうよぉっ!」


絶希(阿部、お前ならどんな強豪校にも行けたんだろう?)

絶希(なのにどうして、こんな新設校にいる? ナメてんのか、高校野球を…!)



 下1 どれほどのもんかね、のんちゃん

 1~3 コントロール良すぎだし速さもあるし、強気すぎ
 4~6 コントロールいいし速いし打ちづれっ
 7~9 尚、田中は得意のセーフティで出塁した模様

ふい


 ビシュッ

田中「っ――」

 ズバァンッ

<ボール!

田中「っぶねえっ!?」

田中「顔面ぶつける気かよ!?」


阿部「出たよ…強気すぎる投球…」

阿部(エグいインコースに平気で投げ込めるメンタルと、ゾーンへ積極的に入れられるコントロール)

阿部(それでいて、あの速球。数値以上に球威を感じられる…)


田中「こんにゃろう…」

絶希「出させるかよ、お前みたいなうざそうなのは」


松坂(すごい、気迫…)

佐野「打ちごたえがありそうじゃのう…」ゴゴゴ

中井「こっちでも燃えてやがるっ…!」



 下1 田中は?

 1~3 三振
 4~6 投手ゴロ…
 7~9 気合いの出塁


 ズバンッ

<ストライク、バッターアウト!!


田中「クッソぅ…!」

絶希「はんっ、1年坊が調子に乗るなよ?」



阿部「相変わらずわるぅーい顔してるねー、のんちゃん」

絶希「黙れ、てめえはぶっ殺す」

阿部「何でこう俺って命狙われる発言多いのかな…?」

阿部「ま、でも…打つ気しかないけどね」



 下1 阿部くんは狙い撃ち得意だしね、知ってる投手なら打てるんちゃう?

 1~3 阿部の想像以上に強くなってたのだよ…
 4~6 単純に、実力で押し通された…?
 7~9 いいぞ阿部くーん!


絶希「やってみろ、クソガキが」

阿部「1個しか違わないのに」


 ビシュッ
 ズバァンッ

<ストライク!

阿部「…」

絶希「おら、今度はストレートをアウトローだ」

阿部「嘘つけ――」


 ビシュッ
 ズバァンッ

<ストライク、ツー!

阿部「っ…」

阿部(本当にアウトロー、だったけど…エグい、ギリギリだよ…?)


阿部(でもって最後はインコース!?)

 ビシュッ

阿部(やっぱり――!)ブンッ

 ギィィンッ

阿部(重っ…!)


 パシィッ

<アウト!


絶希「どーだ、バカやろー」

阿部(……ヤバいかもな、これ…)



 下1 つおいぞ、相手…

 1~3 中井もあっさりと…
 4~6 インコース攻めエグくって…
 7~9 中井が打ったぁー!?


 ギィンッ

中井「くっ…!」

<ファール!


中井(ヤバいんじゃねえか、この投手?)

中井(こいつと同程度のが、まだ控えにいる…? 嘘だろ…!)

 ビシュッ

中井(外れるか…!)

 バシィッ

<ストライク、バッターアウト!

中井「なあっ…!?」

絶希「ハッ、弱えな、1年」




┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



阿部(せめて投手戦。これは負けられない、譲れない)

阿部「松坂くん、堂々とね!」

松坂「う、うん」

松坂(相手の投手はすごい人なんだから、せめて守備で貢献しないと…!)



 下1 いったれ、松坂!

 1~3 つよい(相手が
 4~6 どうにか
 7~9 つよい(松坂が

さっきから酷いな(コンマが)


 ビシュッ
 キィンッ

松坂「っ…!」

阿部(初球打ち…!?)


中井「任せ、とけぇっ…!」

 ズザァッ
 パシッ

<セーフ!

田中「おおおーっ! 中井、よくやったー!」

佐野「ええぞ、松坂ぁっ! そのまま打たせてけぇっ!」


阿部(…ためらいなく、初球からいきなり打ちに…?)

阿部(研究されてる…?)



 下1 強敵やぞ!!

 1~3 あれ、また打たれ…? 研究されとるのう!?
 4~6 阿部くんのリードが読まれてる…?
 7~9 阿部くんのリードで切り抜けよう!

くう


阿部(だったら、低めに投げて凡打で――)

 ダッ

<スチール!!

阿部「何――」

 バシッ
 ブンッ

 バシィッ

<アウト!

松坂「おおっ…強肩…」

佐野「狂犬の間違いじゃろ。アホのバカ犬じゃ」


阿部(……ギリギリ、間に合った)

阿部(チェンジアップなんて投げさせたら、間に合わないんじゃ…?)

田中「いいぞ、阿部! お前の肩やべーぞ!」


阿部(こんな初回から、思いきった盗塁…いや、スチール…)

阿部(松坂くんのモーションを盗まれた…?)

阿部「まさかね…」



 下1 コンマ悪すぎてね、もう…

 1~3 初回2失点
 4~6 初回1失点
 7~9 苦しい展開ながら無失点で初回切り抜けた

ID: koZHntzRO暫くROMれ三連続2だぞw

>>867
うん…そうする(遠い目



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
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┃新┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
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┃敵┃2 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
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阿部「監督、相手チームはきっと、うちを…」

長島「ああ。相当に研究してきていると見た」

長島「だがいずれ、こうなるはずだっただけのことだ」

長島「この2点、きっちり返してこい!!」

 『はい!』


佐野「燃えるのう、ぶっ潰し甲斐のある投手っちゅうのは!」ブゥンッ

絶希「ほんとに1年か、こいつ…? 雰囲気ありすぎだろ」

絶希「俺ほどじゃねえにしろなあ」ゴゴゴ

佐野「来い…!」ゴゴゴ



 下1 佐野っち!

 1~3 さ、佐野っちまで…
 4~6 苦手なコースだろうがきっちり練習、それが佐野の打撃
 7~9 佐野は通用するぞ!!

さす佐野

流れを変えたぞ

佐野あざす


 ビシュッ

佐野「待っとったぞ、インコースぅっ!!」

 ブゥゥンッ
 ガッキィィィンッ

松坂「詰まったけど打った…!」

中井「佐野のパワーなら余裕で飛ぶ!」

田中「うおっしゃ、それでこそだ、佐野ー!」

阿部「うわ、佐野くんやるねー」


佐野「ワシが4番の限り、安穏としてられんぞ?」

佐野「のう、先輩さんよぉ?」ゴゴゴ

絶希「この野郎…1塁からかっこつけやがって…!」



 下1 佐野に続けぇ!!

 1~3 いやムリ
 4~6 むずいて…
 7~9 がんばったけど…得点ならず
  0   つづけた

ほい


 ブンッ

<バッターアウト!


 バシッ

<アウト!


 バシィッ

<バッターアウト!


田中「あのピッチャー、すげえな…」

中井「佐野に打たれても、変わらず強気なインコース攻め…。徹底してるからな」

阿部「簡単には打ち崩せないよ、あの人はきっと」


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┃新┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
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┃敵┃2 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
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阿部(打撃も心配だけど、むしろ守備だ)

阿部(松坂くんの隠し球はもう、ない。あとはリードでどうにか誤摩化していくしか…)

阿部(こんな時…替えの投手さえいれば…。いや、ないものねだりは意味がない…)

阿部(………松坂くんで、勝つしかないんだ)



 下1 強いからなあ

 1 チェンジアップで緩急をつけて翻弄
 2 投げ手をランダムに変えて翻弄
 3 こっちも強気に打ち取っていこ

2



阿部「松坂くん、ちょっと翻弄しよう」

松坂「翻弄?」

阿部「うん。これまで、左打者には左投げ、右打者には右投げでやってきた」

阿部「けどここで、それをやめてランダムにするんだ」

松坂「ら、ランダム…? でも、そのランダムはどう決めるの…?」

阿部「そうだな…。ふとスタンドを見た時、最初に目についたのが男なら右、女性なら左」

松坂「……パッと見、分からなかったら?」

阿部「じっくり見て決めればいいよ…」



 下1 さて、通用するか!?

 1~3 まさかの想定内…?
 4~6 今のところは
 7~9 効いてる!

)



絶希「ああん?」

金剛「……データにないな、あれは」

絶希「小細工しやがって。あんな、打者ごとにまたバラバラに投げるの変えたとこで通用するはず…」


<ストライク、バッターアウト!

金剛「…」

絶希「…」

金剛「通用してるな」

絶希「ぶっ殺す!!!!!」

金剛「…」



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
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┃敵┃2 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
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阿部(2回裏はどうにかなったけど…長続きはしないよね)

阿部(早く流れを掴まないと…)



 下1 3回表の攻撃は、松坂くんに打順が回るよ!

 1~6 もちろん、出塁ならず
 7~9 セーフティが成功しちゃった

よいしょ

松坂は打つ方のセンスもあるんだよな



松坂「っ…」

絶希「雑魚は、すっこんでろぉっ!」

 ビシュッ
 ズッバァンッ

<ストライク、ツー!


松坂(すごい、球…)

松坂(……そうだ、前の試合でやったように揺さぶりをかければ…!)

絶希「失せろぉっ!」

 ビシュッ
 カツンッ…

松坂(あれ、当たっちゃったっ!?)ダッ

絶希「何、だとぉっ…!?」


阿部「うわ、絶妙!」

田中「いーぞ、松坂ぁー! お前、地味にバントうまいかもな!?」

佐野「どこぞのアホ捕手と交替した方がええんとちゃうか、打順」

阿部「ムリしちゃって、松坂くん…。自分が投手って分かってるのかな?」

佐野「」ピキッ

中井「ふっかけといて無視されたからってキレんなよ、佐野…」



 下1 さあ、ノーアウトのランナーや!!

 1~3 田中、凡退…
 4~6 田中が続いてくれたぁー!
 7~9 一気にゆさぶりをかける、エンドラン!!


田中(インコースに強気でくるってことは…)

田中(佐野がやったように、ヤマも張りやすいってことだ)

田中(だったらインコースに手を出さないような素振りを見せといて…!)


 ビシュッ

田中(きた、インコース!)

田中「打ち抜く!!」

 キィンッ


<サード方向!

<抜けたぁーっ!!

田中「うおっしゃらあああああっ!! 見たか、俺の勇姿を!!」

松坂「田中くんすごい…」


阿部(ノーアウトで、一二塁…)

阿部(犠牲フライもできるし、ゴロでも進塁打にはできそう)

阿部(こっちの選択肢は多い。その中から、のんちゃんの切ってくるカードを予想して…)



 下1 阿部くん!

 1~3 あかん、阿部くんが使えぬ…
 4~6 犠牲ゴロ…?
 7~9 満塁!

流れがきたな!


絶希「お前には打たせねえ…!」

 ビシュッ

阿部(って、逸るのがダメなとこだよ!)


 キィンッ

<阿部も打ったー!

<満塁だ!

<次は佐野――じゃないのか…


中井「俺で悪かったな!?」

中井「ったく…活躍しねえとかっこ悪い場面じゃねえか」


絶希「っ…」ピキピキ

阿部「いやー、満塁策をとるなんて大人になったね、のんちゃーん! がんばって無失点にしてねー!」

絶希「あんの野郎…!!」

田中「煽りうめえな、阿部!」

松坂(よくあんな怖そうな人を煽れるなあ…)



 下1 絶希は短気持ち

 1~3 ゲッツー食らった中井くん…
 4~6 フォアボールで1点労せずゲットしちゃった…阿部の煽りのおかげかな?
 7~9 中井が、打ったー!? 2点追加
  0   おう中井、三振か

流れさんが来たぞ!
囲め逃がすな!

ほい

中井は所詮中井だつたかw


絶希「こんなんで取り乱せるか」

絶希「甲子園に行くのは、俺だっ!」

 ビシュッ
 ズバァンッ

中井(っ…やっぱこの球威は…)

中井(つーか阿部が煽ったせいで、さらに速くなってんじゃ…?)


中井(だけどフライでも1点は取れる!)

中井(思いきり、振っていくだけだ!)

 ブゥンッ
 ガィンッ

中井(重――やばっ、内野ゴロに…!)


 バシィッ

<アウト

 ビシュッ
 バシッ

<アウト!

 ビシュッ
 バシィッ

<セェーフ!


絶希「――余裕!」

絶希「トリプルプレーにならなかったのが残念だけど、まあこんなもんだな!」


<こら中井ー!

<お前またスタメン落ちしたいかー!?

<チャンス潰しやがって!!

中井「…クソっ…」



 下1 佐野っち、頼むよ

 1~3 凡打
 4~6 打ったけど得点にはならず
 7~9 タイムリーで1点返した、貫禄の主砲キャップ


 ギィンッ

<内野フライ…!?

絶希「余裕っ!」

 バシィッ

佐野「ぐぬっ…!」

阿部(やっぱり、簡単には打ち崩せないか…)



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┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
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┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
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┃敵┃2 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
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阿部(得点力に欠く今、投げ合いでは負けられない)

阿部(松坂くん、しんどいだろうけど踏ん張ってね)

松坂「ふぅーっ…」



 下1 コンマ

 1~3 研究されまくってるもんで…
 4~6 とうとう両投げも馴れてきた…?
 7~9 阿部くんのリード頼り



 キィンッ

<ファール!

阿部(もうタイミングが合ってきてる…)

阿部(チェンジアップで…!)


 ビシュッ

打者「!」ググッ

 ギィンッ

阿部(強引に、打ってきた…!?)


 バシィッ

佐野「任せんかあっ!!」ビシュッ

 ズバンッ

田中「うおおおっ! 佐野も強肩!! ナイスプレー!」

佐野「打たしてかんかあっ!」


阿部(今のは佐野くんに助けられたな…。けど、チェンジアップにまで対応してる…)

阿部(きっちり頭に入ってるんだ…。強いな、やっぱり…)

阿部(どう出し抜く…? 何か、手はないか…?)



 下1 つらい展開

 1 ガチンコでやってくしかない
 2 目には目を、インコース攻めで
 3 際どいコースを狙ってこう…

1



阿部「…」

阿部(いや、もうここに至っては…全力を出して、ぶつかっていくしかない)

阿部(松坂くん、そのスタミナありきの考え方だから許してね)


 ビシュッ
 バシンッ

<ボール!


 ビシュッ
 ブンッ

<ストライク!


阿部(ここでチェンジアップ…!)


 ビシュッ
 ブンッ

<ストライク、ツー!


阿部(よしっ、つり球に手を出せ!)

 ビシュッ

<ボール!

阿部(ああもうっ、うまくいかない…!!)



 下1 ガチンコだよ!

 1~3 失点なんか気にするな! 2失点…
 4~6 と、取り返せばええねん! 1失点…
 7~9 危うげながらも無失点!!

あとは、任せた

流れが来てない今0は怖いなぁ


 下1 0コンマ判定

 偶数 粘り強さが松坂に出てきてるんとちゃうかい? 崩せそうで崩れないってゆーね!
 奇数 コールド負けの危険性が出てきた(白目

偶数

でかした!


 ギィンッ

阿部(得点圏にランナー…!)

田中「打たせろ!」

佐野「ワシが取り返す、いっそ打たれろ!!」

松坂「ふぅーっ…」


阿部(凌ぐよ!)

 ビシュッ
 バシンッ

<ボール!

 ビシュッ
 ズバンッ

<ストライク!


松坂(投げ合いで負けたら…試合に負けちゃう)

松坂(ピンチだろうと、投げ抜かないと…!!)

 ビシュッ
 バッシィンッ

<ストライク、バッターアウト!



┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
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┃敵┃2 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 下1 敵ベンチに動きあり…?

 1~3 投手、交替だと…?
 4~6 なめてんのか、おおん?
 7~9 投げさせろってわめくのんちゃんの姿が…

ほい

今のところ佐野と松坂しか働いてないな


阿部(これまでと同じなら、このあたりで投手交替で、継投策にくるころだけど――)チラッ


絶希「俺が投げる! このまま完封だ!」

金剛「いや俺の番だ。こっから先は俺が投げる」

控えA「いや俺っす!」

控えB「主張激しいなこの人達…」


<ぎゃーぎゃー

<投げる

<投げさせろ

<マウンド所有権主張!

<異議あり!!



田中「何か向こうのベンチ、揉めてんな…?」

中井「主張激しいんだろ、あの投手」

松坂「出て、こないね…?」

阿部(……のんちゃんなら、うちの野手陣なら、打てるチャンスが広がる…)

阿部(けどここで金剛先輩だったら……)


田中「おっ、出てきた!」

阿部「のんちゃん…!」

佐野「あん?」

阿部「よし…あの我の強さのお陰で希望が残った…」



 下1 とはいえ?

 1~3 阿部くんの読みははずれるしなー…
 4~6 インコースにくるって分かってんのに打てないぃー!
 7~9 しっかり振ればええねん!

ほい

勝つんや!


 ビシュッ
 ガィンッ

絶希「雑魚い!」

 バシィッ

<アウト!


絶希「ハッ、俺だけでやっぱ余裕だぜ」

絶希「打てるもんなら、打ってみやがれぇー!!」

 ビシュッ
 ズバァンッ



 下1 希望はないんか…?

 1~3 結局三者凡退…チェンジです…
 4~6 おっおっおっ?
 7~9 のんちゃんはドジッコ?

はい

高い



絶希「そらよぉっ!」

 ビシュッ
 バシンッ

<ボール、スリー!

絶希「…ん?」


阿部「き、たぁっ…!!」

佐野「どしたんじゃ、阿部?」

阿部「のんちゃん、ノッてくると勢い出るけどコントロール悪くなるんだよ!」

阿部「調子に乗って、見事にそれが出始めてる! 揺さぶっていこう! 交替させられる前に!!」

中井「阿部が興奮するって珍しいな」

阿部「バッテリー組んだ時、何度あの悪癖で困らされたか…!!」

田中「実感こもってんなー」

松坂(僕もこんな感じに思われてることあるのかな…?)



 下1 いったれや!

 1~3 え、もう絶希がマウンド降ろされたん…?
 4~6 揺さぶってる、揺さぶってるぅ!
 7~9 チャンスでバッター、松坂…

こい

オラ、0出し過ぎw


 下1 0判定

 偶数 フォアボール連発やんけ! チャンスに松坂きたで!
 奇数 阿部くんの読み…はずれるから…(震え声

はい


<ボール、フォア!


絶希「…っ」ダラダラ

<よっしゃ、崩れたー!!


松坂「ま、ん…るい…?」

田中「松坂、いけ!」

阿部「地味に松坂くん、満塁の場面多くない?」

中井「多いな…」

中井(でもって地味に結果も残してるからなあ、あいつ…)

佐野「打てや、松坂」


松坂「…」ダラダラ

絶希「…」ダラダラ


阿部(のんちゃんも焦ってるけど、松坂くんまで焦ることないでしょ…)

阿部(そういうとこどうにかしよ…?)



 下1 い、今、相当相手は荒れてるし…

 1 よく見ていこ! 押し出しフォアボール狙いで
 2 今こそハングリーバッターだ!!
 3 スクイズ

2



松坂(インコースが、すごく多い投手だし…)

松坂(やっぱりインコースにくるのかな…?)

松坂(だったら、インコースに狙いを絞って打てば…)

松坂「ふぅーっ…」


絶希「こんなんで、点をやるわけがねえだろうがぁっ!!」

 ビシュッ
 ズバァンッ

<ボール!

松坂「っ…」

松坂(やっぱり、エグい…)



 下1 ハングリーバッター、発動!

 1~3 おおう、フライか。ま、でも1点
 4~6 タイムリーで2点ゲット!!
 7~9 ランナー、一掃…?
  0   三振にされちゃった…

こい

嘘だろ!松坂



 ギィンッ

松坂(やっぱり重い…!)

<ファール!!


松坂(もっとスイングを鋭くしなきゃ…)

松坂(佐野くんみたいに、鋭く、速く…)

 ビシュッ

松坂「――叩くっ!!」

 キィイインッ


田中「うおおおおおおおっ!!?」

中井「まさかの、松坂が長打っ…!!?」

阿部「さすがにないと思って、外野も前進してたから…!」

佐野「当たり前じゃろうが! あいつは毎日1000本振ってきたんじゃ!!」


<松坂ー!!

<エースいいぞ!

<ランナー一層のタイムリーツーベースヒット!

<一気に3点ゲットー!!



松坂「…打てちゃった……?」

阿部「だから何で本人が1番驚いちゃうかな…?」



 下1 ええ流れやな!

 1~3 絶希降板…金剛さん、登板
 4~6 絶希降板…サウスポー、登板
 7~9 絶希降板…1年生、登板

はい


 『選手の交替をお知らせします』

 『ピッチャー、絶希くんに替わって――』


 ザッ…

金剛「だから降りとけば良かったんだ」

絶希「っ……これ以上打たれたら、ぶっ殺すからな」

金剛「お前が殺されろ」


阿部「金剛先輩がきたか…」

田中「誰だろうが、ぶっ飛ばす!! 俺を打つだけの男と思うなよぉっ!!?」

金剛「……肩はすでに、できてる。フルスロットルでいくぞ」



 下1 金剛さん

 1~3 久遠より速くね…? by田中
 4~6 制球は荒れ気味だけど速くてテンポ良くて…
 7~9 速い上にすげえ縦スラ投げてくる…

速いだけならまだ……。

後割と球速遅いだけの大谷みたいな二刀流っぽくなってね?ww
下手したら久遠戻って来てエース降ろされても外野あたりの練習して(フィールディングバケモノレベルにいいのはみんな知ってる)、
登板してない時は野手として働くみたいな状態になってるかも……ww
実際実績的にバント相当上手くてチャンスめっさ強いバッターにしか見えないww


 ビシュッ
 ズッバアアアアンッ

田中「――ええっ…?」

佐野「な、んじゃと…?」

中井「速っ…」

阿部「………あれ、こんなに速かったっけ…? のんちゃんよりは速いと思ってたけど」

田中「……マジかよ、おい…」


金剛「ついてこられないなら、さっさと負けておけ…!」

 ビシュッ
 ズッバアアアアアンッ

<ボール、ツー!

田中「……コントロール良くなさそうだけど」

佐野「何じゃ、ノーコンかい」

阿部「落ち着いていけば、いけるかも…?」



 下1 田中、がんば

 1~3 凡打
 4~6 堅実な送りバントで松坂を三塁に
 7~9 打ったぜ


 カツンッ…

田中「俺はそう、戦略的な男なのだー! だぁーっはははー!」

田中「あとは任せた、阿部!」

阿部「田中くん、バッティングに欲がないからすごいよね…」

阿部(ある意味、1番チームに貢献してるかも…)


阿部(追加点も狙えるな…)

阿部(1アウト三塁…スクイズもある、犠牲フライもオーケー)

阿部(中井くんは…気負いすぎるとダメだからなあ…ここで点を取っときたい)


阿部(でも、まだのんちゃんの方がコントロール良かった分、打ちやすかった…!)

 ビシュッ
 ブンッ
 バシィッ

<ストライーク!

阿部(荒れ荒れだよ…)



 下1 コンマ 阿部くん?

 1~3 苦手なんやって、コントロール悪いの
 4~6 打てないな、って思ってスクイズ狙いにシフト…バッテリーで得点できるか?
 7~9 さすがに元チームメイト相手なら打てるのか?

はい



阿部(これは、打てないなあ…)

阿部(どうしたもんか…)

阿部「…」チラッ


長島「…」スッスッ

阿部(……スクイズ)

阿部(ほんっとこのチーム、松坂くんをそこらのピッチャー扱いしないよね)

阿部(誇っていいんだよ、こういう扱い…)チラッ


松坂(す、スクイズ、するの…!?)

松坂(大丈夫なのかな…?)


 下1 スクイズ!!

 1~3 ゲッツーやん…
 4~6 スクイズ失敗、阿部アウト
 7~9 スクイズ成功! 1点ゲットやで!


 バシィッ

<ストライク、ツー!

阿部(やっば…)


松坂(え、これ、大丈夫…?)

阿部(次で決めなきゃ、失敗する…!)


 ビシュッ
 カツンッ…

阿部「っ…!」

<ファール、バッターアウト!

松坂「あっ…おっと!」ダッ

 バシィッ

<セーフ!


阿部「ごめん、中井くん…」

中井「何で謝るんだよ?」

阿部「いやー、中井くん頼りないからここで決めたかったなーって」

中井「この野郎…」



 下1 中井!

 1~3 ですよねー…
 4~6 マグレ当たりヒットで出塁! 尚、三塁ランナー動けず…
 7~9 あ、中井が打った!

はい


 ビシュッ
 ギィンッ

<詰まらされた!

<中井のパワーじゃ…!


中井「こん、のぉぉっ!」ダダダッ

<走っとけ、中井ー!

<変なとこ落ちてるぞー!


中井(一塁、あと少しっ!)

 ズザァァッ

<一塁にヘッスラした!?

<一塁は駆け抜けろー!!

<セーフ!

<え、マジでセーフ! よくやったぞー!

<中井サイコー!!


中井「あいつらっ…」

松坂「…動けなかった…」


<ランナーが一三塁で!

<頼むぞ、佐野ー!

<キャップ、やっちまえー!



佐野「2人目、ぶっ潰したるわ…!」ゴゴゴ

金剛「きたな、4番…」



 下1 佐野っち!!

 1~3 なぁっ!? 佐野が押し切られた…!?
 4~6 うほっ、いいライナー! 松坂生還!
 7~9 佐野っち、有能やな…タイムリーで2点も追加しよった…

よいしょ



 ビシュッ
 ズッバアアアアンッ

佐野「ほう…ええのう、やっぱ」

 ビシュッ

佐野「投手っちゅうんは、速い方がやる気上がるわあっ!」

 ブォオオオンッ
 ガッキィィィンッ


<捉えたー!!

<思いっきりレフト引っ張りやがった! 入るか!?

 ガシャンッ

<いやフェンス直撃!

<回れぇー!!


 ズザァッ

松坂「やった、帰れた…!」


<中井ーっ! 走れ!!

中井(センターの守備範囲を守る俺の足、なめんなぁあああっ!!)


 ズザァァッ
 バシィッ

<セェーフ!!



<うおおおおおおおっ!!


佐野「ハッ、余裕じゃのう!?」

田中「佐野やべえ!」

中井「やったな、松坂!」

松坂「うんっ」

阿部「……すごいな、佐野くんやっぱり…」


┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃5 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


阿部(逆転して、一気に3点差…)

阿部(だけど依然として、松坂くんのピッチングは研究されてると見た方がいい…)

阿部(それでも二枚看板から、合計5点を奪ったんだ。流れはこっちにきてる)

阿部(この流れで、一気に勝つ…!!)



 下1 コンマ

 1~3 絶希、マウンドは降りても打撃は残ってたん? え、一発…?
 4~6 薄氷を踏むような投球でっせ
 7~9 松坂ぁー! お前やればほんっとにできる子やんなあっ!?

なんかさ、こっちはチームでつないでようやく点に繋がった感じがあるけど相手はいくら1~3だからって一回でホームランかよ
敵チームを優遇してない?


絶希「やられっぱなしで、終われるかよ…」

阿部(のんちゃん、打撃センスもあるからなあ…)

阿部(だけどここまで抑えてこれてる…。いけるよ、松坂くん)

松坂「…」コクッ


絶希「俺のバットで、取り返す――!!」

 ブゥゥンッ
 カキィィィンッ

松坂「っ――!?」

<おおおおーっ!?

<でけえぞっ!?


中井「ライト、もっと下がれー!!」

ライト「分かってる…! オーライ、オーラ――」ドンッ

ライト(フェンス…?)

 ポトッ…


<ホームランだああっ!

<まだまだお前の負債残ってるからなー!


絶希「ハッ、いつでもマウンド戻せよ、監督!」




阿部「大丈夫! まだこっちがリードしてるよ!」

阿部「落ち着いていこう、松坂くん!」

松坂「う、うん…」



 下1 崩れない…よね? 粘り:+1

 1~3 しかし立て続けに打たれる…
 4~6 多少のフォアボールは出したけどだいじょーぶい
 7~9 一発の1失点でおさえた…

育ったとは言え松坂能力まだポンコツやぞ。
まっすぐも140まで伸びたとは言えめっちゃ速いってレベルじゃない、コントロールも普通ぐらい、
変化球に至ってはキレのないカットボールと球速差で誤魔化す事しか出来ないチェンジアップのままだし。


 下1 0コンマ判定

 偶数 大丈夫やれるがんばるみんな認めてくれてる平凡並には投げられるいつも通り大丈夫大丈夫きっといけるいつも通り…ブツブツ  by松坂心の声
 奇数 焦るな焦るな、焦るなって!! by阿部くんの心の声


松坂(大丈夫やれるがんばるみんな認めてくれてる平凡並には投げられるいつも通り大丈夫大丈夫きっといけるいつも通り…)

松坂「ふぅーっ…」

 ビシュッ
 バシンッ

<ストライク、ツー!

阿部「いいよ、そのまま!」


阿部(今度はチェンジアップ…!)

松坂「ふぅーっ…」

 ビシュッ

打者「ぐっ…!」

 ギィンッ

阿部「サード!」

佐野「余裕じゃあ!!」

 バシッ
 ビシュッ

<アウト!



絶希「チクショ、打ってやったのに続かねえのかよ」

絶希「おい金剛、マウンド寄越せ!」

金剛「黙ってろ外野」

絶希「あんだとてめえっ!?」


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┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃5 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃0 ┃0 ┃1 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
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 下1 試合展開は…?

 1~3 回を重ねるごとに松坂が打たれやすく…かろうじて失点おさえてるけど
 4~6 金剛の方が速いけど、絶希のインコース攻めの方がエグかった説
 7~9 金剛からさらに得点して、3人目の投手引きずり出したぜぃっ! いけんじゃね?



 一旦休憩っす
 ちょっくら銭湯いってきます

よいしょ

……とりあえずコンマ狙う時はしばらく「よいしょ」って言い続けるわ(言いながら取ったら8→9→9なコンマ見ながら)

たんおつー

一旦乙

ちょいとのぼせた…
まったり再開やでー…

左で140とかドラ1級なんですけどね…

左で140オーバーなんてプロでも菊池雄星以外殆どいないし



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┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃5 ┃0 ┃0 ┃1 ┃ ┃  ┃  ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃0 ┃0 ┃1 ┃0 ┃0 ┃ ┃ ┃  ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻


 ―― 7回裏

絶希「2点、取り返すぞゴラァっ!!」

<うおおおおーっ!!


阿部(松坂くん、がんばってくれてるな…)

阿部(初回と4回の一発以外は、無失点でどうにか切り抜けてる…)

阿部(だけど…もう、一度当たり始めたら止められないかも知れない)

阿部(あと少し、投げ抜いて。松坂くん)

阿部(投手を2人もマウンドから下ろして、こっちがリードしてて、優勢なんだ)


松坂「ふぅーっ…」

田中「打たせてっていいぞー!」

佐野「サードにこぉい!」

中井「外野に飛んだら任せろ!!」


阿部(さあ、あと3イニングだ!)



 下1 がんばれ松坂

 1~3 おっといきなりフォアボール…
 4~6 強くバットを振り抜いていく作戦でこられたか
 7~9 むっ、バントの揺さぶり攻撃か!


 バシッ

<ボール、フォア!

松坂「…」

阿部「いいよ、気にしないで!」


阿部(うーん、ちょっとゾーンに入らないな…)

阿部(スタミナは信頼してるけど…ここまでずっと、ギリギリで持ちこたえてきてるわけだし)

阿部(慎重にやっていかないとな)


松坂「ふぅーっ…」

田中「ランナーは阿部がぶっ刺すから気にすんなよー!」

佐野「走られても阿部のせいにすりゃええぞ!」

阿部(好き勝手言うなあ、みんな…)


阿部(……それにしても、リードが大きい)

阿部(積極的に盗塁を仕掛けられてるし、気をつけないと)



 下1 終盤、踏ん張りどころ

 1 左のサイドを主体に、コーナーを利用したピッチングで
 2 走られたって構うもんか、チェンジアップを利用した緩急で勝負
 3 野手陣を信頼して打たせてこう

3



阿部(ここは確実に、打たせて取っていく)

阿部(うちの守備はけっこう頼りになる方だよ、松坂くん)


 ビシュッ

<ランナースタート!

阿部(早速の盗塁――)

 カツンッ

阿部(エンドラン…!?)


松坂「ふっ…!」

 バシッ

阿部(松坂くんのフィールディングなら狙える!)

阿部「ボールセカン!」

 ビシュッ
 パシッ

阿部「ファーストもいけぇっ!」

 ビシュッ
 バシィッ


 下1 なるか、ゲッツー!?

 1~4 ぐぬっ!
 5~9 成功


<バントのエンドランを1・6・3のゲッツーで狙って…!?

<セェーフ!

<惜しいっ!!

<つーか松坂、フィールディングうめえ!

<バントおざなりっぽかったけどな!

<にしても守備強気だな!?


阿部「さすがに、そううまくはいかないか…」

田中「おい松坂っ! 投げて、打って、その上守りまでそれかお前!?」

田中「完璧超人にんでもなるつもりか、ああんっ!?」

松坂「ええっ…な、何で怒られてるの…?」

田中「怒ってねえよ、誉めてんだよ! だぁーっはははは!」

松坂「あ、そう…」


阿部(ランナーは一塁のまま…)

阿部(ま、いい感じだね。得点圏にランナーを進ませることはなかったわけだし)

阿部(あとアウト2つか…)


阿部「バッター集中でいくよ!」

松坂「…」コクッ



 下1 優勢だけど油断できない、そんな展開

 1~3 しっかし、敵も攻めてくるなあ…
 4~6 大丈夫、松坂の守備力は高い
 7~9 よし、無失点



 キィンッ

松坂「っ…!」バッ

 バシィッ

田中「うおおっ!?」

佐野「またファインプレーか、松坂ぁっ! ようやった!!」

松坂「い、今のはグローブに偶然…」

阿部「結果が全てだよ、ナイスプレー!」


阿部(ほんっとに、ただ投げるだけじゃないところで松坂くんってすごい優秀…)


松坂「ふぅーっ…」

松坂「これで2アウト…ランナーは一塁…」チラッ

阿部(さあ、あと1つ、取ろう!)



 キィィンッ
 ヒュンッ…

中井「オーライ、オーライ!」

 パシッ

松坂「中井くんっ…!」

田中「エラーしなかったな!」

佐野「やればできるのう」

中井「いや俺、試合でのエラーは1回しかしてねえから! って、エラーじゃねえし!」

佐野「エラーじゃろ」

阿部「エラーだよ」

田中「だとさ!!」

中井「っ…」


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┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
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┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃5 ┃0 ┃0 ┃1 ┃0 ┃  ┃  ┃
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┃敵┃2 ┃0 ┃0 ┃1 ┃0 ┃0 ┃0 ┃ ┃  ┃  ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



 下1 あと2イニング!

 1~3 8回裏で、ランナー二塁の状態で、絶希…
 4~6 9回裏、最後の打者が絶希やで!
 7~9 投げ抜いた…苦しい試合だった…



絶希「こんなとこで負けて、たまるかぁっ!!」

 ブンッ
 ギィンッ

<ファール!!

阿部(あと1人…あと1アウト…)

阿部(松坂くん…!)

松坂「ふぅーっ…」


 ビシュッ

絶希「ぶっ飛べぇっ!!」

 キィンッ
 ヒュォォッ…

絶希「~っ…!」ダダダッ


 パシッ

阿部「これでゲームセット」

<ゲームセット!!



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┃  ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃計 ┃
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┃新┃0 ┃0 ┃0 ┃5 ┃0 ┃0 ┃1 ┃ 0┃ 0┃6 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃敵┃2 ┃0 ┃0 ┃1 ┃0 ┃0 ┃0 ┃ 0┃ 0┃3 ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻



松坂「はぁぁ~……はぁ…」

阿部「おつかれさま、松坂くん」

松坂「うん…」

阿部「ダウンはしっかりね」

松坂「はい…」



 下1 終わってみれば3点差だった

 1~3 しかし、松坂の連戦の疲労が心配…
 4~6 おっ、負け投手がきた
 7~9 3回戦突破の新設校ってことで、記者が松坂のとこに…!?

かった?
やった

長く苦しい戦いだった・・・



女記者「――松坂くん!」

松坂「っ…?」

阿部「知り合い?」

松坂「ううん…」

女記者「はじめまして、こういうものなんですが」つ名詞

女記者「取材させてもらってもいいですか?」

松坂「え、ええっ…? しゅ、取材…?」

佐野「取材?」ピクッ

田中「取材だとっ?」ピクッ

中井「お前ら反応しすぎ…」



 下1 取材って言われても…

 1 阿部くんに断ってもらえた…だって口下手だし…
 2 佐野くんの方がいいよ…って逃げた
 3 ちゅ、注目されてる…! うれしい…! 何でも答えちゃう!

2


女記者「是非!」

松坂(しゅ、取材って…そんなのいきなり困るし…)

松坂(こういうのって、が、学校の許可とかいるのかな…?)

松坂(どこまで喋っていいの…? どうしよう、どうしよう…?)

女記者「両投げの投球スタイルはどこで、どういう経緯で身につけたんでしょう?」

松坂「あ、い、いや、あの…それは、あのえっと…」

佐野「…」ギロッ

松坂「!?」

松坂「さ、佐野くんっ!」

女記者「えっ?」

松坂「佐野くんの方が、キャプテンだし、4番だし、すごいから…佐野くんがいいと思います…!!」

女記者「え、ああ、彼もすごいけれどわたしは松坂くんに――」

佐野「何じゃ呼んだか、松坂ぁっ!? おお、取材か? ほならワシの方がええですよ、記者さん!」

佐野「何でも聞いてもろうてええんで、ガンガン来てください! 松坂ぁっ、ダウンしとけ!」

松坂「はいっ! 失礼します!」ダッ

女記者「ああっ…」

佐野「で、何から?」

女記者「……………え、ええと…じゃあ…」



松坂「ふぅ…どうにかなった」

田中「松坂こんにゃろー! 取材申し込まれて逃げるってどーいうことだよ!?」

中井「新聞載せてもらえたかも知れないのにな」

松坂「で、でも…」

阿部「疲れてるのに取材で体力使わせてらんないもんねー?」

松坂「え、あ、うーん…?」

田中「ちっくしょー! 次は俺んとこに取材こーい!!」


阿部「はいはい、それじゃ、次の相手の偵察いくよー」

田中「おっ? 偵察?」

阿部「次の試合で勝った方と当たるからね」

中井「佐野はどうする?」

阿部「ほっとけばー?」



 下1 次の相手は…?

 1~3 名門校。強い。
 4~6 勢いあるな、おい…
 7~9 機動力野球。とにかく守備を振り回そうとしてくる

どこだ!


阿部「…………いやー、強かったねー…」

田中「何だ、あの打線…? 7番のやつが、ホームラン打ったぞ?」

中井「打線だけじゃないだろ。ショートがすげえプレーしてたし」

松坂「打順に関係なく、すごく振って、すごく攻めてきてたね」

阿部「投手も充実してるね」

阿部「エースを筆頭に、リリーフが2人…」

中井「……ま、でも今日もヤバかったし?」

田中「案外、イケるよなっ?」

阿部「そうそう、その意気だね」

阿部「ただし」

田中「おうっ?」

阿部「こっちの投手は、松坂くんだけ」

阿部「松坂くんが打たれるのは、必須だと思った方がいいよ」

阿部「だからこそ、ここから先は攻撃力が大事になってくる」

中井「なるほど」

田中「まず中井が8番だな」

中井「おい」

阿部「強敵だよ、次の相手も」



 下1 vs名門校!!

 1 特打すんぞぉー! ぶっ飛ばせぇー!
 2 え、あの学校に進もうとしてたやつがいるって?
 3 松坂くんはじっくり休んでてねー。また9イニング投げるんだから

3


 キィンッ

 キィンッ

<声出してけー!

<打てぇー!

<松坂楽にすんぞー!

<昇天しろぉー!

<何か意味変わってんぞぉー!

<とにかく打てぇー!

 キィンッ
 キィンッ


松坂「…」グイッ

松坂「…」グイッ

松坂(……ボール投げるな、ウェイトするな…)

松坂(走るな…捕るな…)

松坂「……やれるのは…チューブトレーニングだけ…」ガックリ

松坂「………退屈…」



 下1 暇をもてあました松坂くん…

 1 あ、夕実、話し相手になってあげてよー
 2 球出し係の方がマシ…
 3 変化球の握り確認するだけだから…! それくらい触ってもいいでしょ…!?

1

あ、【下1】で3回戦で戦った投手王国の学校名おなしゃーす
名有りキャラいるからね…

東究高校

これ残りは埋めていいの?

埋めてもろてええですよー
あと投手王国、4回戦…だったよね?

ほいじゃ、次スレではじまりまーす

うめ

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一応読み方は東究(とうきゅう)高校でお願いします

うめ

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うめ

うめ

うめ

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