(ある日の事務所)
P「ちひろさん。美優さん。俺もそろそろ覚悟を決めて大人になることにしましたよ…」
美優「!?」
ちひろ「…」
P「…もうファミレスのドリンクバーで飲み物を混ぜるのはやめます」キリッ
美優「」
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P「昨日、飛鳥たちとファミレスに行ったんですけどね。何気なくコーラとカルピスを混ぜていたら『童心をいつまでも持つのは恥ずべきことではないが、キミの振る舞いはあまりにもナンセンスだね』とものすごく冷たい目で睨まれていたたまれない気持ちになったんですよ」
ちひろ「さぁ。仕事仕事」スタスタスタ
P「ファミレスでの楽しみが1つ消えるのは悲しいですけど、これも大人ゆえの…って美優さん。どうしてそんな渋柿を頬張ってしまったような苦々しい顔をしているんですか?」
美優「いえ。まったく何も問題ありませんよ。プロデューサーさん」ハァァァァァァ
P「ドライヤーのごとく勢いある深い深い溜息をついておいて問題ないはないでしょうに」
美優「プロデューサーさん」
P「何でしょう?」
美優「大人になりたいかー」オ-
P「…」
美優「…あ、あの」
P「はい?」
美優「そこは…ノってくれないんですね…」
P「美優さんのかけ声があまりにも新鮮でフリーズしてしまいました!」グッ!
美優「もう2度と言いません…///」カァァァァ
P「可愛らしかったので今度の特番でかけ声やってもらいましょうか」
美優「やめてくださいっ!」ヒャ-!!
(しばらくして)
美優「プロデューサーさん。いま一度お尋ねします。大人になりたいでしょうか?」キッ
P「ええ」
美優「責任を持つお覚悟はおありでしょうか?」
P「責任?」
美優「確かにプロデューサーさんは未だにピーマンが食べられませんし、お寿司屋さんでサビ抜きを頼みますし、プロ野球チップスを買い込みますし、雪が積もったら躊躇いなくダイビングする子供のような方ですが」
P「散々な言われようですね」
美優「それでも大人になる努力を惜しまないというのであれば私がお手伝いします。いかがでしょうか?」
P「うーん…なんだか大変そうだしなぁ」
美優「決まりですね。では、よろしくお願いします」ニコリ
P「まだ何も言ってませんよ!?」
美優「アイドルを成長させる前に、プロデューサーさんもひと皮剥けるべきなのではないかと思います。さあ、私と一緒に頑張りましょう♪」ガシッ
P「ちょ」
美優「♪」ズリズリズリ
P「ひーきーずらーれーるぅー…」
(しばらくして)
美優「では、まずは大人になるためのレッスンその1です。指輪を買ってみましょう」
P「指輪?」
美優「ええ指輪です。指輪を買ってプレゼントする。これは大人の男として認められるための通過儀礼として古来日本より伝わる伝統的な儀式なのです」
P「ナゴールのバンジージャンプみたいなものが日本にもあったんですね」
美優「ええ。あったんです」
注:【ナゴールのバンジージャンプ】
バンジージャンプのような通過儀礼の一種。ゴムのロープではなく、植物の蔦(つた)を足に巻いてやぐらのような場所から飛び降りる。蔦ゆえに伸びがなく足がめっちゃ痛いらしい。千切れると当然怪我、最悪死ぬ。千切れなくても足首が痛い。これをやらないと成人とは認められない掟がある。
P「でも…指輪って結構なお値段なんですよね。買うとなると勇気が…」
美優「まったく煮え切りませんねプロデューサーさんは。さあ、志希ちゃんが作ってくれた礼儀正しくなる青紫色の薬でも飲んで大人しくしていてください」グイッ
P「ちょ。グェェェェ」
グビグビグビ...ボンッ!!
P「」
美優「さあこれで文句は言えなくなったはずです。早速購入してみましょうか。スタッフさんよろしくお願いします」パチッ
シュタッ!!
スタッフ「はい。すでに準備は出来ております。346ジュエリーショップ出張販売でございます♪」
P「ぐぅぅぅぅ…えらく準備がいいですね。そしてこの緑色のマスクを付けた店員どこで見たことあります。というより、毎日がエブリデイの頻度で見ているような気がしてなりません」
美優「ささいな問題は放っておきましょう。それより時間は有限です。時は金なり。まずはスタッフさんのオススメを購入してみましょう。これは貴重な経験ですよ」
P「スタッフさん。ちなみにこの指輪はおいくらなんですか?」ヒョイ
スタッフ「はい。こちらペアで50万という破格の価格となっております♪」
P「お高ぁい」
スタッフ「ありがとうございます。では、12回払いということで♪」
P「何も言っていないのに話をポンポン進めていくのはやめてください!」
スタッフ「ありがとうございますお客様。いいお買い物をなされましたね♪」チャリ-ン!
P「まだ買ってないのに『ゲームの購入効果音』を鳴らすのはやめてください!」
(しばらくして)
P「結局、購入してしまいました…どうするんですか。この指輪」
キラ-ン!
美優「あとで使いますのでとっておいてください。それより次行きますよ♪」
P「まだ何かあるんですか?」
美優「ええ、大人になるためです。これは仕方のないことなんですよ」
P「なかなかお財布に優しくない通過儀礼なんですね。ところで美優さんはもう経験されてるんですか?」
美優「いえ。恥ずかしながら私も経験がないのでプロデューサーさんと一緒に経験中なんです」
P「先輩面してたのに美優さんも初体験だったんですね」
美優「しかし私はプロデューサーさんと違ってこの日を待ち望んでましたから。心の準備はばっちりなんですよ♪」
P「なるほど。しかし指輪は買っていなかったようですが」
美優「男女ペアでこの通過儀礼を行う際は男性のみでいいんです」
P「恥ずかしながら初めて知りました。ところで俺たちはいまどこに向かっているのでしょう?」テクテク
美優「もうすぐ着きますよ…と、こちらです♪」
P「ここは何です? まるで結婚式場のような場所ですが…」
美優「ここはですね。一見、結婚式場に見えますが結婚式場なのです。要するにここは結婚式場に見えますが実は違う場所で、その反対で本当のところは結婚式場なのです」
P「頭がこんがらがってきました。要するに結婚式場ではないんですね。ああよかった安心した」
美優「安心していただけて何よりです。さあ、予約とドレスの下見を済ませましょう♪」
(しばらくして)
P「まさか本格的にウェディングドレスの試着をするとは思いませんでしたよ。まあ、こういう場所は頻繁に来ることはありませんからね。試着したいという気持ちも理解できます」
美優「ええ。いいドレスが見つかってよかったです。ふふふ♪」
P「これで終わりですか?」
美優「いえ、また明日に続きます。今度は不動産屋さんと家具を見に行きますよ」
P「不動産と家具屋…? 引越しでもするんですか?」
美優「そんなところです♪」
(次の日)
P「おはようございます美優さん。朝起きたら俺のアパートの契約が解約されたという通知が来ていたのですが何か知りませんか?」
美優「まあ、それは大変ですね。私はまったく何も知りません。知らぬ存ぜぬですけれど同情します。この先、行くところもないでしょうどうぞうちに泊まっていってください」
P「いやいや。それは流石に駄目でしょう。新居が決まるまではネカフェとか男友達の家に泊まろうかと思ってます」
美優「まったくプロデューサーさんは相変わらずですね。1日経って薬の効き目が弱まってしまったんでしょうか。えい、もう一度志希ちゃん特製の大人しくなる青紫色の薬です」グイ-
P「ちょ。グェェェェ」
グビグビ...ボン!
P「」
美優「しばらくの間、私のマンションに泊まってください。いいですね?」
P「...ハイワカリマシタ」
美優「それでいいんです。まあ、これから先は一緒に暮らすんですから。さしたる問題でもありませんよね♪ それではマンションを見に行きましょう」グイ-
(不動産屋)
美優「この部屋がいいです」
店員「新婚さんですか?」
美優「そんなところです。プロデューサーさんもこの部屋でいいですよね♪」
P「オゥケーイ」
(家具屋)
美優「こちらのダブルベットをお願いします」
店員「新婚さんですか?」
美優「そんなところです。プロデューサーさんもこのベッドでいいですよね♪」
P「オゥケーイ」
(役所)
美優「では、こちらにサインをお願いします♪」
【婚姻届】
P「オゥケー…って、待ってください!?」ガ-ン!
美優「どうかしましたか?」
P「どうかしましたかってどうかしてますよ。どうして俺たちは新婚生活の準備を始めているんですか! いつの間にこんな段階までやらかしてたんですか!?」
美優「…薬に耐性が出来て気付くのがはやまってしまったようですね。このまま素直に印鑑を押しておけばいいものを」
P「ええい。俺は決して騙されたりしませんよ。こんな婚姻届なんて破棄して…」
美優「…」シュ-ン
P「…」
美優「…」ションボリ
P「いやいやいや。そんな落ち込んでみてもダメです。俺はそんな情にほだされるような男ではないので断固結婚など拒否します。一時の迷いで揺らぐような俺ではありませんよ」
美優「…どうしてもダメなんですね?」シュ-ン
P「だ、駄目です。さあマンションの契約を解約して、購入したものはすべてクーリングオフです。早く行きますよ…って」
美優「…」ハイライトオフ
P「あの」
美優「…」ズイッ
P「ちょっと美優さん…?」
美優「ふふふふふ…ここまで来て全部おじゃんにするだなんて…そんなこと許されると思っているのですか? プロデューサーさん…♪」ガシッ
P「」
美優「ほら…まだ薬はあるんです…♪ きょ・う・りょ・く・な・お薬ですよ♪」グイッ
P「ちょ。グェェェェ」
グビグビグビ...ボン!
P「」
美優「ふふふ…サインは帰ってからでいいですよね…♪」
美優「すみません職員さん。私の旦那さんが寝てしまったのでタクシーを呼んでいただけますか♪」
職員「合点」
キキ-...ブロロロロ-...
(しばらくして・美優宅)
P「…はっ、ここはどこだ?」パチクリ
美優「おはようございます。晩御飯出来てますよ」
P「ああそうなんですね…では、ありがたく頂戴して…って…そうじゃないっ!!!」バ-ン!
美優「寝起きから大きな声を出すのは身体に悪いですよ。プロデューサーさん」
P「何なんですかこれは美優さん?」
美優「麻婆豆腐ですよ」
P「いや。メニューはわかってます。美味しそうです」
美優「プロデューサーさんが好きなメニューですよね。どうぞ。昼間連れ回してしまったのでお腹空いているでしょう? 食べてください♪」
P「ああもう確かにそうなんだけど。いただきます」ムシャリムシャリ
美優「♪」
P「で、美優さん。何がどうなってこんな暴走をしているんですか?」ムシャ-
美優「暴走…?」キョトン
P「ウワー、気付いてない。自分のエキセントリックかつアンビリーバブルな行動に気付いていないよこの人」
美優「何のことをおっしゃっているのかはわかりませんが、とりあえず今日はゆっくり休んで2人で一緒に考えましょう。時間はたくさんあるんですから♪」
P「夫婦前提の話になってるゥー!」
美優「はい♪」
P「ああ笑顔が眩しい可愛いエプロン姿が似合っている。だけれどもそれとこれとは話が違う! 美優さん! 少し落ち着いてください! いくらなんでも強引すぎますよ!」
美優「それが何か?」
P「こんちくしょう開き直ってるし。あの清楚かつ常識的な美優さんの倫理観を一体誰がどんな方法で変えてしまったんだろう。こんな風に人間の人格を変えることが出来る奴なんてうちの事務所には存在しなーーー」
〜回想〜
志希『にゃっほーい♪』ヒョッコリ
P「あいつかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
(数日前)
志希「出来たよ! 飲んだ人が思い付いたことを即行動に移せるようになる薬! 『ゴウインニナール(強引になる)』!!!」
志希「これを試しに…と♪」
美優「あ、志希ちゃん。おはようございます」
志希「被験体はっけーん♪」
美優「?」
志希「まあまあ。何も言わずに飲んでくれたまえー♪」
美優「あ、ちょっと。ま…ヤァァァァ」
グビグビグビ...ボン!!
美優「…♪」フフフフ
志希「成功♪」
(今に至る)
ピポパポ...トゥルルルル...ピッ!
志希『はーい。何の用かにゃ〜♪』
P「美優さんに何を盛った?」
志希『おや。バレちゃった?♪』
P「しばらく変な薬を作ってないと思ったらっ!! やっぱりお前かぁぁぁぁっ!!!!」グァァァァ!!
志希『大丈夫、大丈夫♪ 時間的にはあと1時間くらいで切れるはずだから。じゃね♪』ピッ
P「あ、こら。待ちなさい。志希!」
ツ-ツ-
P「ああ…なんてこったちくしょう」
美優「何の話をしているかはわかりませんが…さぁ…今晩はゆっくり休みましょう♪」ガシ-
P「ちょ」
美優「ふふふ…少しベッドが狭いですけれど…くっ付いて寝れば平気、ですよね…♪」ギュッ
P「」
イヤァァァァァァッ!!
(次の日の朝)
チュンチュン...
美優「うーん…あれ…私、昨日いつ寝たんでしたっけ…?」
美優「…なんだかここ数日の記憶がぼんやりとしています。あちこちのお店に寄ったような気はしますが」
美優「…おかしいですね。なんだか布団中でゴツゴツしているものが」
P「」
美優「…えっ!? ぷ、プロデューサーさん!?」
P「」
美優「あ、あの…ぷ、プロデューサーさん…? 起きてますか…? というか起きてください…?」ユサユサ
P「」
美優「(ああ、どうしましょう。一体何がどうなってこんな状況になってしまったのでしょうか…とりあえずシャワーを浴びて…いえ、その前に着替えて…)」アタフタ
ポトッ
美優「…何でしょう。プロデューサーさんのジャケットから物が落ちまし…」ヒョイ
【例の指輪】ド-ン!
美優「!?!?」
美優「(ゆ、指輪…!? しかもペアリング…内側に名前が彫ってありますね…1つはプロデューサーさんの名前で、もう1つは…わ、私の名前です…!)」ドキドキドキ
P「」
美優「(ま、まさかプロデューサーさん…わ、わ、私にこれを…!? い、いえ、彫られているのは『miyu』という名前です…もしかしたら別の方かもしれません…)」
ピラッ
美優「何でしょう。また何か書類のようなものが落ちて…」
【マンション契約書】ド-ン!
美優「(これはマンションの契約書…って、名義がプロデューサーさんと私になってます!? こ、こ、こ、これは…! 一つ屋根の下で共に生活するということでしょうか…!? い、いえ!! 仮にそうだとしても恐らくアイドル活動に必要なことなんでしょう…か、勘違いはいけません…!)」ドキドキドキ
ピラッ
美優「何でしょう。また何か落ちて…」
【婚姻届】ド-ン!
美優「!?!?!?」
美優「(こ、こ、ここここ、これは!? 私の名前が書いてあります!? 書いた記憶はないのですが…ぷ、プロデューサーさん…!? もしかして…本当に…!)」
美優「…し、信じていいんですよね///」ドキドキ
P「…ううん…はっ! いつの間にかまた気を失っていた」
美優「起きましたか…プロデューサーさん…♪」
P「ああ…美優さん。もう薬は切れましたよね。あれから少なくとも1時間以上は経ってますから」
美優「何の話です?」
P「いえ。昨晩のことは覚えてますか?」
美優「い、いえ…何も…///」ドキドキ
P「ああよかった。ならば万事解決あらゆることが元の鞘に収まりますね。さあでは俺も着替えて仕事に出かけ…」
ガシッ
P「ん?」
美優「プロデューサーさん…いえ、あなた。経緯はわかりませんが私のことを選んでくれてありがとうございます。これから先もずっと…よろしくお願いしますね♪」
P「え、ちょ。何の話です?」
美優「ふふふふふ…みなまで言わずともいいんですよ…さあ、役所に行って書類を提出しましょう。それだけで済みますから♪」グイッ
P「ま」
イヤァァァァァァァァァ!!
(1年後)
P「子供ができました」
ちひろ「大人になりましたね」
終わり
以上です
お読みいただきありがとうございました
SSR美優さんの絵はHすぎると思います
さて、それとはまったく関係のない話ではあるのですが限定っ!!!!!!!!!!
柚を引けたぞぉぉぉぉぉぉ!!!!!!! ヒャッハァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!
可愛い大問題です本当にありがとうございました
やったぜ
成し遂げたぜ。
完璧や
大人こわいなぁ
乙
美優さんの専属Pなら別にどうでもいいんだが、全アイドルのPも担当してるぽいから他の婚姻届勢の動向が気になるな…
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