pixivにも上げたけどこっちにも
ネルソン「〜っ/// わ、わたひはまらまへてないんだはら!!」
ネルソンはクダを巻いている。もう彼女の意識は野原をふわふわと浮かぶシャボン玉ようだ。
顔を真っ赤に紅潮させているし呂律も回ってない。まだ負けを認めるつもりはないという意志だけは彼女の役立たずの舌からなんとか汲み取れる。
アークロイヤル「......(やってしまった......なんということだ......今からでもエルドリッジちゃんのお股に顔をうずめてこの現実から撤退したい!)」
ネルソンの真正面に対峙するこの中性的な容貌の麗人はその変態的な欲望を内に秘めこの状況に頭を抱えている。
なぜなら対戦相手が思っていた以上に酒に弱く、この悪酔いする酔っ払いの世話という最悪な任務が自分の身に降りかかることがほぼ間違いないからである。
ロドニー「あ、あの姉さん......もうそのへんにした方が......」
ネルソン「あ”あ”!? うっさいわねえ!私はロイヤルネイビーの威信を取り戻す為にもこいつには負けられないの!!」(要約
そういきり立ってグラスを手に持ったままテーブルに鉄拳を加えるとロドニーはひぃっと小さく悲鳴をあげた。
今、このテーブルには指揮官である私とアークロイヤル、ロドニー、ネルソンに加えて
部屋の隅でびくびく震えながら神の慈悲を乞うフォーチュンとソファに寝そべりながらネットサーフィンに勤しむ綾波がいる。
ネルソン「どうせ指揮官もロイヤルは変態の集まりとか思ってんでしょう? おぉん?!」(要約
指揮官「.......そ、そんなことあるわけないだろ......!(うわあ、これじゃあただの酔っ払いオヤジだよ.......どうすりゃいいんだこれ.......)」
その時、綾波がおもむろに口を開いた。
綾波「もはや普段のツンデレおっぱいビッグセブンのネルソンさんは見る影もないのです。そこらのオヤジと変わらないのです。」
(いやあああ!!!やめてえええええ!!!)
この瞬間、我々は文化の違い、言葉の違い、価値観の違いを越えて一つになれた気がする。
綾波とネルソンを除いて
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ネルソン「う......うう.......」
ロドニー「? どうしました、姉さん?」
ネルソン「うわあああああん!!! じゃあどうすればいいのよぉぉぉ!!! 目の前にいるこのバッッカのせいで陛下やみんなの立場がないじゃないのおおお!!! ううううわあああああああん!!!」(要約
ネルソン「ロイヤルってさwwwwwwロイヤルってさwwwwww ってじゃあ!!!私が!!!一生懸命任務とか頑張って!!!やっと総合戦力1万越える様になったんですぅうう!!!!」(要約
アークロイヤル「ご、ごめんなさい.......」
ネルソン「あんた!!!分かってんの!!! 最近じゃ指揮官までロリコン犯罪者みたいに見られてんのよ!!!この始末どうしてくれんのよおおおおお!!!」(要約
アークロイヤル「え、えーっと、わ、私が至らないせいで皆さんにご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした......」
ネルソン「うわあああああん!!! 私だって指揮官の指輪欲しかったのおおおお!!!変態バカ女に私の指揮官寝取られたあああ!!!!......ひぐっ......ひぐっ......」
フォーチュン「ひぃっっ!! あぁ......天にまします我らが父よ.......どうかこの哀れな雌羊めにあなた様の御慈悲を!........天にまします我らが父よ......(略」
指揮官「おいおい落ち着け! もうその辺にして今日はもう寝ろ」
それとネルソンが何か意味ありげな事を叫んでいた気がするが今はそんな事に気を取られている場合ではない。今は一刻も早くこいつを寝かさなくては!
ネルソン「ふっ.......」
どうした事だろう。急に落ち着いたネルソンが一度、ふっと笑うとぼそぼそと幾言かつぶやき始めた。
ネルソン「ねえ、アークロイヤル? あんたと私は士官学院の中等部3年以来の付き合いよねぇ?」
アークロイヤル「お、おう、そうだな.......」
指揮官「おいおい あいつら同級生だったのかよ!」
思わず隣にいたロドニーに小さい声で耳打ちした。
ロドニー「あれ?言ってませんでしたっけ? 姉さんが中等部3年の時、別の士官学院からアークロイヤルさんが転校してきたんですよ」
ロドニーは少し驚いてわずか大きく目を見開いた。
そして、そのまま彼女は姉妹の身の上を語り始めた。
ロドニー「私たちはロイヤルのミドルクラス......つまり中流階級の家に生まれました。」
ロドニー「母は一代で身を興しロイヤルネイビーの作戦幕僚長にまで出世し父がその部下でした。ですのでその関係上、私たちも将来はロイヤルの国防に携わる人間になることを期待されて士官学院に入ることになりました」
ロドニー「小さいころの姉さんは手の付けられないおてんば娘でした」
指揮官「今じゃ、考えられないな」
ロドニー「ええ、そうですね。でも、姉さんは小さいころから困った人を放ってはおけない性格で階級云々もあまり気にしない人だったんです。なので、労働者階級のあまりお行儀の良くない子達に混じって遊んでいつも汗まみれ泥まみれで家に帰るものだからメイドや母にいつも叱られていました」
そう言うとロドニーは懐かしさに顔をほころばせた。その口調から誰でも分け隔てなく接し心優しく思いやりある姉を心から慕っていることが伺えた
ロドニー「小等部は平穏無事に学生生活を送っていましたが、中等部に上がり上流階級の令嬢がクラスの大半を占めるようになるとああいう姉ですから途端に煙たがられるようになりました」
指揮官「あぁ.......」
ロドニー「それはもう上履き隠されるわ、教科書捨てられるわでひどい有様でした。そんなことされて黙っていられないのも姉ですから事あるごとに喧嘩になり毎日のように先生や母に怒られる日々でした」
ロドニー「まだ臆病で幼い私は家で涙に暮れる姉に寄り添う事しか出来ませんでした」
楽しげに語るロドニーの表情は姉の悲惨な日々の話になると途端に低い雲が顔に立ち込めるようになっていた。
ちなみに当のネルソンはアークロイヤルを徹底的に絞り上げて一方的なワンサイドゲームの様相を呈している
ロドニー「姉はもう上流階級どころか同年代の子供たちも信じられなくなり次第次第に自分の殻に閉じこもるようになっていきました」
ロドニー「ですが、中等部3年の夏にアークロイヤルさんが転校してきて全てが変わっていきました」
指揮官「もしかして、アークロイヤルは昔からああいう趣味が.......?」
ロドニー「いいえ、おそらく指揮官が最初に抱いた印象そのままですよ」
指揮官「そうか......あいつはどこで道を踏み外したんだろうなあ.......」
ロドニー「アークロイヤルさんも今みたいに弁舌さわやか、まるで夏のそよ風のような立ち居振る舞いでクラスメイトの人望はとても厚かったんですよ」
指揮官「願わくばずっとそのままで居て欲しかったよ」
ロドニー「アークロイヤルさんは周りから疎まれている姉にも平等に接しようと試みましたがああいう過程もあってか姉はなかなか心を開こうとはしませんでした」
指揮官「まあ、そうだろうな」
ロドニー「ですがある日、アークロイヤルさんがおはようと挨拶をしても姉が無視した事があってそれをきっかけに姉とアークロイヤルさんは大喧嘩になりました。それはとても壮絶で窓ガラスが3枚割れて、お互いに針で数針縫う羽目になるような大喧嘩だったんです。」
指揮官「うわあ........」
ロドニー「不思議なもので、その後も2人はお互いは基本的には喧嘩腰でしたが思っていることをはっきり言いあえるようになり、急速にお互いの理解が深まっていった様に思います」
ネルソン「あんっった!さあ!! 私の話聞いてんの??!!!ずーーっと生返事ばっかじゃないのさっきから!!!」
アークロイヤル「......っ~!!」
アークロイヤルが何やら拳を震わせ俯いている。
アークロイヤル「ああもう!!!聞いてるよ!!! ったく、うっさいなあ!!!」
ネルソン「あ”ぁ”ん”!!?? 何その反抗的な態度は!!! ロリコン変態空母ですみませんでしたの一言もないの?!?! 自分がどう見られてるか分かってんかしら? このロイヤルの恥さらしが!!!」
アークロイヤル「あ”あ”ぁ”ん!!! 私は仕事はちゃんとやってるぞ!!! その証拠に私はずーっと閣下の秘書艦で第一艦隊の旗艦ですけど~??? 自分こそもっと下半身の丈を考えたらどうなんですか??? あんたの服装は上も下も緩すぎなんだよ!!!この痴女が!!!」
ここまで防戦一方だったアークロイヤルの我慢は限界を超えた。彼女の有能でかつ容姿端麗でユニセクシャルな麗人という普段の姿を窓の外に放り投げて、まるで子供の様に闇雲に怒りをぶつけている。
ネルソン「うがぁああああああああああ!!!!!」
最も痛いところを突かれたネルソンは我を忘れて獣の様なけたたましい叫び声を上げた。
ロドニー「で、今はあんな感じです」
そう言ってロドニーは私に困ったような苦笑いを投げかけた。
ネルソン「な、なによぉ...... そんな言い方ないじゃない...... あんたは学院に居た頃から一緒に戦ってくれたじゃない...... 私にちょっかい出してくるバカな連中に向かって行ってくれたじゃない...... ひぐっ...... えぐっ.......」
アークロイヤル「ふん! 知るか。 あんたが退役しても指揮官は困らないから今からでも娼婦に転職すれば?」
指揮官「おい!それは言い過ぎだぞ! ネルソンは我が艦隊の主砲だ。退役なんぞは天地がひっくり返ってもありえん」
アークロイヤル! 今度はお前かよぉお!という反応が一気に脳内を飛び出して口から出そうになったのを水際で食い止めた。
ロドニー「まぁまぁ お二人とも落ち着いて」
指揮官「そうだそうだ 今日はもうお開きにしようか」
しかし、この二人にこんな過去があったとはな。
私が最も信頼する二人の馴れ初めを知れただけでもこの会は有意義だったといえる。
翌日、ネルソンは何でもないような顔をして毎日の定期任務に出撃したが時折、こめかみを押さえて苦悶している様子が見て取れた。
それでも言い訳を一切せず目の前の仕事をこなしていくその姿は正にプロフェッショナルに相応しいものであった。
そして、今の姿があるのもアークロイヤルとの腐れ縁があることも忘れてはならないだろう。
完
おつ
おもしろかった
この形式なら台詞の前の名前いらないかも
ありがとうございました。参考にします。
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