小梅「レーザー干渉計カワイイ波観測所」 (15)

小梅「ってなに?」

輝子「こ、今年のノーベル物理学賞だぞ……。カワイイ波を直接検出できる、世紀の大発明だ」

小梅「???」

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輝子「じゃあわかりやすく説明するぞ……」

小梅「わっ、いつの間にかスクリーンとプロジェクターが……。映画みたい……」

輝子「で、ではこの映像をご覧ください。部屋の真ん中に幸子ちゃんが座ってるだろ?」

小梅「椅子に縛りつけられてる幸子ちゃんもカワイイね」ゾクゾクゾク

輝子「幸子ちゃんの周りは、実は幸子ちゃん自身が持つ強大な"カワイイ"によって、ちょっとだけ時空が歪んでいるんだ。目には見えないくらいだけど、な。このカワイイの広がりを、カワイイ場っていうんだ」

小梅「へぇ~」

輝子「ついでにちょっとだけ余談……。あまりにカワイイ場が強いと、放出される光の波長が長くなったりするんだ」

小梅「え、どうして……?」

輝子「うーん、例えば……。幸子ちゃんと遊んでると、あっという間に時間が過ぎるだろ……?」

小梅「うん」

輝子「それはな、幸子ちゃんの近くの点での時間の進みが、幸子ちゃんから無限遠の点の時間の進みに比べて遅いからなんだ。幸子ちゃんの強大なカワイイ場の周りで一分くらいしか経っていなくても、遠くではもう一時間経ってたりする」

小梅「あ、知ってる。インターステラー、だね」

輝子「うん、それ……。かの有名なアインシュタイン先生は、『熱いストーブの上に一分間手を乗せると一時間ぐらいに感じられるけど、カワイイ女の子と一緒に一時間座っていても、一分間ぐらいにしか感じられない。それこそが相対性です』って言ってる」

小梅「それと光の波長はどういう関係があるの……?」

輝子「時間が遅いってことはそこでの光の周期が長いってこと。周期が長いということは、波長も長くなる、っていうこと……らしい。これを、カワイイ力赤方偏移という」

小梅「ああ、そっか。だからCuアイドルのみんなは、ピンクっぽい衣装のことが多いんだね」

輝子「そうだな……。ゆるふわ時空の使い手として有名な藍子さんも、多分カワイイ力赤方偏移していると思う。だから、本当は緑色じゃなくて青緑色の服を着ているのかもしれないな」

小梅「へぇ~」

輝子「ここらへんはカワイイ場についての方程式とかを出してちゃんとお話したいんだけど、リーマン幾何学とか一般相対論とか、いろいろとややこしいので、省略」

小梅「し、仕方ないよね」

輝子「うん。それで、話を戻すぞ。この部屋にまゆさんを投入する。まゆさんは、しばらくはプロデューサーを探してうろうろしてるんだけど、幸子ちゃんを見つけるとそっちに引き寄せられるんだ。そして、幸子ちゃんもまゆさんに引き寄せられる……」

小梅「まゆさんの"カワイイ"でも時空が歪んでいるから?」

輝子「そう、その通り。そうしてお互いに近づいていくんだ」

小梅「あ、ふたりでくるくる回ってるね」

輝子「そう……。こうやってくるくる回りながら近づいていって……。最後には」


 幸子『まゆさん!』

 まゆ『幸子ちゃん!』


 ギュ~


小梅「わあ~。カワイイ……」

輝子「この瞬間、カワイイを感じただろ?」

小梅「う、うん」

輝子「カワイイが移動したり、二つの強いカワイイ場が合わさったり……。そういうときにカワイイ場は変化する。このカワイイ場の変化が伝わっていうことを、カワイイ波というんだ」

小梅「でも、このカワイイ波、どうやって測るの?」

輝子「そこで、干渉計を使うんだ」

小梅「干渉計?」

輝子「小梅ちゃん、光の干渉は、知ってる?」

小梅「なんとなく……。波が強めあったり弱めあったりするんだよね?」

輝子「だ、だいたい合ってる。簡単に言うと、波の山どうし、谷どうしがぶつかると強い波になって、山と谷がぶつかると弱め合うんだ。この性質を利用したのが、干渉計」

小梅「?」

輝子「仕組み自体は簡単だぞ。一つのレーザー光をハーフミラーを使って二つに分けて、それぞれ違う経路を辿って検出器に合流させる。その二つの経路の差が波長の整数倍なら強めあって、半波長ズレてたら弱め合うんだ」

小梅「な、なるほど。でもそれをどう使うの?」

輝子「フヒヒ。小梅ちゃん、カワイイ波は、時空を歪ませるんだ。もしこの干渉計の中をカワイイ波が通り抜けたら……」

小梅「うーん、時空が歪んで、光の経路の大きさが変わる……?」

輝子「そう。そのズレによる光の強弱を読みとって、カワイイ波を見つけるんだ」

小梅「で、でも、それって大変だよね。光の波長って、ものすごく小さいし……」

輝子「うん、口で言うのは簡単だけど……。実際はすごく大変。なにせアインシュタイン先生の予言から、百年経ってようやく観測に成功したくらいだからな」

小梅「ひゃ、ひゃくねん……」

輝子「そのカワイイ波による時空の歪みも、とっても小さいんだ。聞いた話だと、カワイイ波が太陽系にやってきたとすると、地球から太陽までの距離(一億五千万[km])がおよそ水素原子一個分くらい変化する程度の大きさらしい……」

小梅「す、すごいね。よくそんな小さい時空の歪みを測ることができたね」

輝子「このくらいだと、ちょっとしたごく小さい地震とか、近くを車が通ったとか、その程度で簡単にノイズが出ちゃうから……。とんでもない精度だぞ。すごい技術力だ」

小梅「でも……。私たちならちゃんと見えるよね、カワイイ波」

輝子「た、確かに……」


 幸子『ま、まゆさん? 今度はボクに何する気ですか……? あれ、プロデューサーさん!? 見てないで助けてください! ちょ、ちょっと待っ、あっひゃあ!』


小梅「ほらね、カワイイ」

輝子「カワイイが聞こえる……」

輝子「そういえば、光による宇宙観測を"目"に例えると、重力波は"耳"、らしい……。音みたいな性質を持ってるから……」

小梅「重力波? な、なにそれ……」

輝子「……あ」

これにておしまいです
物理学素人なのであまり突っ込まないでください


幸子ォ! 誕生日おめでとう!
レイナー・ワイス先生、バリー・バリッシュ先生、キップ・ソーン先生、ノーベル賞おめでとう!
インターステラーはキップ・ソーン先生がSF考証やってるからぜひ見ような



参考文献

佐藤勝彦『相対性理論』岩波書店

スパゲッティのミートソースが高速で離れていっているから赤いってやつか

なぜナポリタンが赤く見えるのかだったな

しょうこうめ空間にもカワイイ波が出てるな

りんごが高速で云々

おつおつ


カワイイものには惹きよせられるし重力みたいなもんだよね

乙乙

ありフレとかでも観測できそうだが。

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