曜「鞠莉ちゃんってブレイクダンス出来たの…?」 (27)


鞠莉「ああ…といっても…ちょっとだけね」


善子「なんか…意外というかそうでもないというか…」


鞠莉「ロックな曲に合うダンスを探して練習したのよ、楽しいわよ!」


曜「いいなぁ…なんかカッコイイよね!」


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鞠莉「少しくらいなら教えれるけど、どう?やってみない?」


曜「いや…でも今から千歌ちゃんみたいにやるには時間も…」


善子「大体、今出来ないわよ…いくら鞠莉の家が広いからって…家の中よ?」



鞠莉「うーん…そうでもないわよ?」

鞠莉「と、いうわけでフローリングの部屋にやってきました!」


曜「ここで出来るの?」


鞠莉「yes!ちかっちみたいなアクロバットな技は出来ないけど、十分技をマスター出来るわ」


善子「こんないつもの練習着でいいの?」


鞠莉「ええ、なんなら普段着でも練習出来るわよ」

鞠莉「では!まず基本の姿勢!『チェアー』をマスターしてもらいます」


曜「椅子?」


鞠莉「ええ、まず完成図を画像検索で見てもらった方が早いわね……はい、これよ」


善子「これは…」


善子「なんというか…」


鞠莉「そう、土下座ね」


曜「自分で言うんだ…」

鞠莉「見た目土下座でも、色んな技の終着点、始発点になるから…まずここをちゃんとマスターしないと先に進めないわよ?」


善子「わ、分かったわよ」


曜「ここから色んな技に繋がるんだね」



鞠莉「その通り!じゃ…始めていきましょうか!」


鞠莉「まず利き手と逆の手の肘を…2人は左肘をおヘソにくっつけてみて」


曜「こう……?」


善子「……くっ…腕がつる…」


鞠莉「腕はお腹の平面と垂直に真っ直ぐよ!」


善子「いたい…肩が…」


鞠莉「ここがブレると崩れるから、しっかりとくっつけるのよ」

鞠莉「そしたら、手のひらを思い切りパーに開いて、腕と垂直になるように手首を曲げてちょうだい」


曜「こう…?お腹の真ん前で手のひらを広げる感じかな…?」


鞠莉「そう!肘がお腹から離れないようにね!」


善子「無理…つる…左肩が死ぬ…」


鞠莉「これからはこのポーズがデフォルトになるわよ!もうちょっと頑張りなさい!」


善子「はいぃ……」


鞠莉「次、そのままの姿勢で地面に手のひらをつけるの」


鞠莉「とりあえず、足は真っ直ぐでも、崩して座った状態でも構わないわ」



曜「こう…?出来てる?」


鞠莉「そう!手のひらを地面にペッタリつけて、腕は地面に垂直にね」


善子「こ、こう?」


鞠莉「善子は…大分ヘソから軸がブレてるわね…結構大げさに腕をお腹の内側に置くといいわ」


善子「う、うん…分かったわ」


鞠莉「とにかく、この手と腕に体重をかけるから、しっかりと固定するのよ」


鞠莉「さて、もう少しで完成よ」


鞠莉「顔を軸の手と反対側…右側を向きながら地面につけて」


曜「土下座状態…」


鞠莉「地面につける部分はおでこの左端らへんね、やりすぎると痣になっちゃうから何か敷いてもいいと思うわ」


鞠莉「それが出来たら、右手を支えるように地面に軽くつけて、体重を左腕に乗せる…と同時に足を思いっきり曲げてクロスさせる!」

鞠莉「初心者は足がフラフラしてる事が多いけど足で卍を作ることをイメージして…とにかく限界まで足をクロスさせると上手くいきやすいわ!」


善子「うぎゃっ!」バタッ


曜「善子ちゃん大丈夫!?」


善子「大丈夫…大丈夫……堕天使的になんともないわ……」


鞠莉「今の善子みたいに、重心がしっかり左手、左腕で支えきれてないと潰れてしまうわ」


鞠莉「慣れて来たら右手離しても出来るから…とにかくしっかりと、左腕を軸にして真っ直ぐと体を支えることね…腕をおヘソにつけるのもわすれずにね?」






鞠莉「あと、基本的に利き手の逆って言ったけど…偶にそうじゃないほうがやりやすい人もいるから…変えてやってみるのもアリかもね?」

鞠莉「その時は今言った事を左右逆にしてね?」

曜「ほっ…!!ふぬぬぬぬ!!!!」


鞠莉「おー流石曜!飲み込み早い!」


曜「えへへ~」


善子「せーの……はぁっ!!」


鞠莉「お、善子も出来てる!そこから1分そのまま!」


善子「1分!?無理無理無理!!!」


曜「めっちゃ腕プルプルしてるね」


鞠莉「軸がしっかり出来ていれば必然とかかる負担は軽くなるわ」


鞠莉「ちなみに、ここから頭と右手を離す技もあるわよ」


曜「ええ…それもう手一本じゃん…」


善子「もう…ダメ……うぎゃっ!!」

鞠莉「続いて…2人ともチェアが大体出来たから次は『トラックス』にいきたいと思います!」


善子「トラックス?」


鞠莉「掻い摘んで言うと…寝転んだ状態からチェアーをする技ね…はい、動画」


曜「あ、ちょっと技っぽい…」


鞠莉「ええ!実は難易度の割に見た目のコスパが良いの!一発芸向きね!」


善子「一発芸て」

鞠莉「それじゃあ始めていきましょうか、まず…体育座りしてちょうだい」


曜「はい!」


鞠莉「それが出来たらチェアーの軸手と逆側…2人は右足をまっすぐ伸ばしてそのまま寝転んで、左足はそのままね?」


善子「右を伸ばして寝転んで左はそのまま…」


鞠莉「OK!そしたら足はそのまま…左腕をおヘソに、右手は小さく手をあげるように…さっきのチェアーと同じような格好してね」


曜「左手が軸…だよね」


鞠莉「準備万端よ!後は回るだけね…!」


善子「なんか…赤ちゃんみたいなポーズね…」

鞠莉「左足を蹴って腰から下だけを浮かせてみて?こういう風に」タ-ンタ-ン


善子「…こう?」タ-ン


鞠莉「うーん…まだまだ低いわ…もっと高く!」


曜「こうかな?」タ-ンタ-ン


鞠莉「そうそう!結構思い切りやって構わないわ!」

鞠莉「今は腰から下だけ浮かせてもらったけど…実際は頭以外を浮かすわ」


鞠莉「浮いてる瞬間に体を右向きに回転させてチェアーの姿勢になるのがトラックスの完成系よ」



鞠莉「こうやって…ほっ!!」グルン


鞠莉「っと…こんな感じよ」


曜「え?今何やったの…?」


善子「全然一瞬で分からなかったわよ……」

鞠莉「コツはしっかりと頭のオデコ付近を地面につけて回転させる事、髪が気になるならニット帽を被るといいわ」


曜「せーの……ほぁっ!うぎゃっ!」


鞠莉「回転した瞬間に腕をしっかりと軸の位置に置いて止める、まずそこが出来てないと潰れたカエルみたいになるわ…」


善子「回っても腕と足が地面につく格好になっちゃう…」


鞠莉「頭が地面についてない時は足がしっかり回ってない事が多いわ、さっきも言ったけど卍の形を意識して、結構大げさに回すと成功しやすいわ」


鞠莉「足が真っ直ぐだと重心が下半身の方に傾いて頭が浮いちゃうから…頭を浮かせないようにしっかり曲げて回すのよ」


善子「えぇ…分かったわ」


鞠莉「その状態になるってことは軸の差し込みはしっかり出来てるから…もう一踏ん張りよ!」


善子「よっ!……出来た!出来たわ!……ぎゃっ!」


鞠莉「お、今度は善子の方が早かったわね」


曜「うーん…なかなか出来ない…」


鞠莉「一回コツを掴むまでが大変な技だから…色々自分の中で変えてみて挑戦するといいわ…基本は忘れずにね?」


善子「うぅ…なんかおなかいたい…」


曜「大丈夫…善子ちゃん…?」


鞠莉「頭もそうだけど…肘がつくヘソのところが擦れて痣になっちゃうこともあるから…少し時間を空けて練習するのもいいと思うわ」


善子「うん…そうするわ…」

鞠莉「あと…私のクセなんだけど…何故か右手甲の小指の付け根を擦って怪我しがちなのよね…そういう人は初めの位置でしっかり右手を体にくっつけるといいわ」











曜「ほっ!!……うん!出来るようになったよ!」


鞠莉「グッドよ!2人とも要領いいわね!流石私の後輩!」


曜「えへへ…」


鞠莉「じゃあ最後に…ちょっと大技を教えちゃうわ!」


善子「大技!?」


曜「どんなの!?」

鞠莉「次の技は『ウィンドミル』よ…はい動画」


曜「あ!見たことある!」


善子「何が起こってるか分からないけど…まさにブレイクダンスって感じね…」


鞠莉「一見複雑そうなこの技だけど、実はチェアーとトラックスの動きを繰り返しているのよ」


曜「そうなの?」


鞠莉「ええ、といっても…地面は蹴らないでね?」


善子「ふーん……」

鞠莉「じゃあ、早速いって見ましょう!」


鞠莉「まず最初に服装は何でもいいって最初に言ったけど…この技はジャージや、滑る素材が好ましいわ」


曜「なんで?」


鞠莉「背中で回転するからよ、場所も、初めのうちはなるべく滑りやすいところでやる事をオススメするわ」

鞠莉「まず!チェアーをしてみて!」


曜「出来たよ!」


善子「ふぎぎぎぎ……!」


鞠莉「善子はまだチェアーが固いわね…」


善子「腕が…!腕が取れる…!」



鞠莉「まあ…次に行きましょう……足を開いて伸ばしてみて?『大』の字の下の方のイメージね」


曜「こう?」


善子「まって…!足が伸びて…これつらい…!」


鞠莉「出来たら足を伸ばしたまま腰をお腹の方引き寄せるイメージで下半身を体に近づけて!」


曜「え!?どういう事!?」


善子「もう…無理…!……ぐえっ!」バタン

鞠莉「大の字になってる人間が回るのはちょっと想像し辛いわよね?」


曜「うん、そうだね」


善子「そ、そうね……」


鞠莉「だから、腰をグッと体に近づけて…自分がコマになるように回るのよ」

鞠莉「腰を引き寄せて足が伸ばせたら…その場で反時計回りに回転するイメージで左にコロン、と転がってみて」


曜「こう…?」コロン


善子「ふっ…!」コロン


鞠莉「そうそう!そしたらそのままの勢いで右へと手を伸ばして…もとのチェアーの位置に戻るのよ」


曜「転がった勢いで戻る…!?」


鞠莉「そう!もちろんもっと早く転がって、ね?トラックスの時の瞬時に体を支える感覚を思い出すといいわ!」



善子「これ……大変ね……」

鞠莉「足を広げたチェアーの状態から、足を伸ばしたままプロペラの羽根にするイメージで腰を捻ってみて」


善子「こう…?」ブンブン


鞠莉「そう!それこそがウィンドミル!風車ね!」


曜「あ…そういう意味なんだ…」


鞠莉「その回転で元の位置まで戻るのよ!」

鞠莉「もし足を開いたチェアーに戻れたならそれで完成よ!足をついちゃってもとりあえずは大丈夫!」


鞠莉「後は足をつく前に次の回転にいけるように速度と回数を増やしていけば見栄えのいい技になるわ!」


曜「ええと…チェアーして、腰は引いて足伸ばして…転がって…」


鞠莉「実際問題…数日ではなかなかできる技じゃないから…根気よくコツを掴むまで練習あるのみね」


善子「全然元の形に戻らない…」


鞠莉「一番の失敗の理由は足をしっかり開いてない事、腰がちゃんと引き寄せれてない事、よ」


鞠莉「足を耳にくっつけるイメージね、多少オーバーに限界まで引き寄せてみるのもいいかもね?」


曜「ふんふん」


鞠莉「本当は寝っ転がった状態からスタートしたりもするんだけど…個人的にはチェアーから練習するのをオススメするわ」

鞠莉「と、ここまで駆け足で三つの技をレクチャーしてきたけど…どうだったかしら?」


鞠莉「もちろん、大きな技をやるだけじゃない…音楽に合わせたり、皆で合わせたり…ダンスには色々な楽しみ方がある」


鞠莉「みんなそれぞれのダンスの楽しみ方を見つけて欲しいと願ってるわ」







<あ、一周出来た


<え!凄いよ善子ちゃん!!!凄い!


<そ、そう?それほどでも…ある……わよ?









鞠莉「私は…可愛い後輩に教えるのが一番の楽しみ……なんてね?」

おわり

つまんね

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